説明

接合装置及び接合方法

【課題】自動車ボディ外縁のアウタパネルの曲げ加工と同時に、アウタパネル及びインナパネルのレーザ溶接作業ができ、かつ、アウタパネルやインナパネルのめっきを除去するための作業時間の短縮をできる接合装置及び接合方法を提供する。
【解決手段】接合装置1は、ヘムローラ14を有し、ヘムローラ14をアウタパネル2及びインナパネル3に対して相対的に移動して、ヘムローラ14によりアウタパネル2を折り曲げて折り曲げ部2dを形成し、折り曲げ部2dにインナパネル3の挿入部3dを挿入する曲げ加工部10と、アウタパネル2及びインナパネル3に対してヘムローラ14と一体でヘム移動方向Yに移動するように設けられ、ヘムローラ14のヘム移動方向Yの後側Y2に配置され、レーザ光21aを発光するレーザヘッド21と、レーザヘッド21を、ヘム移動方向Yとは直交する直交方向Xに移動可能に支持するレーザ直交方向移動部25Xとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘム加工治具を利用した接合装置及び接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車ボディ外縁のアウタパネルの曲げ加工と同時に、アウタパネル及びインナパネルのレーザ溶接作業ができる自動車ボディ外縁折曲部接着システムがあった(例えば特許文献1)。
しかし、アウタパネル及びインナパネルに亜鉛めっき鋼板等のめっき材を用いる場合には、アウタパネル及びインナパネルのうち溶接する領域のめっきを除去しなければならない。このため、従来の自動車ボディ外縁折曲部接着システムでは、めっきを除去するための別の工程が必要になり、作業時間の短縮が十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−276285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、自動車ボディ外縁のアウタパネルの曲げ加工と同時に、アウタパネル及びインナパネルのレーザ溶接作業ができ、かつ、アウタパネルやインナパネルのめっきを除去するための作業時間の短縮をできる接合装置及び接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)アウタパネル(例えば、後述のアウタパネル2)の折り曲げ部(例えば、後述の折り曲げ部2d)と、インナパネル(例えば、後述のインナパネル3)の挿入部(例えば、後述の挿入部3d)とを接合する接合装置(例えば、後述の接合装置1,201,301,401A,401B)であって、加工用ヘム治具(例えば、後述のヘムローラ14)を有し、前記加工用ヘム治具を前記アウタパネル及び前記インナパネルに対して相対的に移動して、前記加工用ヘム治具により前記アウタパネルを折り曲げて前記折り曲げ部を形成し、前記折り曲げ部に前記インナパネルの前記挿入部を挿入する曲げ加工部(例えば、後述の曲げ加工部10)と、前記アウタパネル及び前記インナパネルに対して前記加工用ヘム治具と一体で前記加工用ヘム治具の移動方向(例えば、後述のヘム移動方向Y)に移動するように設けられ、前記加工用ヘム治具の前記移動方向の後側(例えば、後述の後側Y1)に配置され、レーザ光を発光するレーザ照射部(例えば、後述のレーザヘッド21,221)と、前記レーザ照射部を、前記移動方向とは直交する方向である直交方向(例えば、後述の直交方向X)に移動可能に支持するレーザ移動部(例えば、後述のレーザ直交方向移動部25X)とを備えること、を特徴とする接合装置。
【0006】
(1)の発明によれば、レーザ照射部が、加工用ヘム治具の移動方向とは直交する方向である直交方向に移動可能なので、インナパネル及びアウタパネルのうち少なくとも1つのめっき除去領域にレーザ照射するようにレーザ照射部を配置して、めっきを除去できる。また、インナパネル及びアウタパネルの溶接位置にレーザ照射するようにレーザ照射部を配置して、インナパネル及びアウタパネルを溶接できる。さらに、レーザ照射部が加工用ヘム治具の移動方向後側に配置されているので、アウタパネルの曲げ加工を進めると同時に、インナパネルやアウタパネルのめっきを除去でき、製造時間を短縮できる。
【0007】
(2)前記レーザ照射部は、途中まで曲げ加工された前記アウタパネルと、前記インナパネルとの少なくとも一方のめっきを除去し、前記アウタパネルの前記折り曲げ部に前記インナパネルの前記挿入部が挿入された状態で、前記アウタパネル及び前記インナパネルを溶接すること、を特徴とする(1)に記載の接合装置。
【0008】
(2)の発明によれば、レーザ照射部が、途中まで曲げ加工されたアウタパネルと、インナパネルとの少なくとも一方のめっきを除去するので、ヘミング加工の前側のパスにおいて、アウタパネルの曲げ加工をしながら、これらめっきを除去できる。また、その後側のパスにおいて、アウタパネルの折り曲げ部にインナパネルの挿入部が挿入された状態で、レーザ照射部がアウタパネル及びインナパネルを溶接できるので、レーザ照射部をめっき除去と溶接とに兼用して利用できる。
【0009】
(3)前記レーザ照射部(例えば、後述のレーザヘッド221)は、前記移動方向に平行な軸(例えば、後述の軸Y3)回りに回転可能に設けられ、前記アウタパネルのめっき除去領域と、前記インナパネルのめっき除去領域とに同時にレーザ照射すること、を特徴とする(1)又は(2)に記載の接合装置。
【0010】
(3)の発明によれば、レーザ照射部が、移動方向に平行な軸回りに回転可能に設けられているので、アウタパネルのめっき除去領域と、インナパネルのめっき除去領域とに同時にレーザ照射できるため、アウタパネル及びインナパネルを同時にめっき除去できる。
【0011】
(4)前記曲げ加工部と、前記レーザ移動部と、前記レーザ照射部とを制御する制御部(例えば、後述の制御部352)と、前記移動方向において前記加工用ヘム治具及び前記レーザ照射部の間に配置され前記アウタパネルの端部(例えば、後述の2c)に接触する接触子(例えば、後述の接触子331)を有し、その端部の前記直交方向の位置を検出する接触検出部(例えば、後述の接触子位置センサ332)とを備え、前記制御部は、前記接触検出部の出力に基づいて、前記端部の前記直交方向の位置を判定し、前記接触子及び前記レーザ照射部の距離(例えば、後述の距離L)と、前記移動方向の移動速度(例えば、後述の移動速度v)とに基づいて、前記端部に対応した前記直交方向のレーザ照射領域が、前記移動方向の位置に到達する時間を求め、前記レーザ移動部を制御して、前記端部に対応した前記レーザ照射領域が、前記移動方向の位置に到達する時間(例えば、後述の時間t)に合わせて前記レーザ照射部を前記直交方向の位置に配置してレーザ照射すること、を特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の接合装置。
【0012】
(4)の発明によれば、アウタパネルの端部を検出し、その端部に対応したレーザ照射領域が到達する時間に合わせてレーザ照射部を直交方向の位置に配置するので、端部を基準にして、正確な照射領域にレーザを照射できる。また、接触子を利用するので、光学センサ等のような反射光に起因する検出エラーがなく、端部を正確に検出できる。
【0013】
(5)前記曲げ加工部と、前記レーザ移動部と、前記レーザ照射部とを制御する制御部(例えば、後述の制御部52,252,352)を備え、前記制御部は、前記曲げ加工部を制御して、先曲げ工程において、前記加工用ヘム治具を前記アウタパネル及び前記インナパネルに対して相対的に移動して、前記アウタパネルの折り曲げ加工を途中まで施し、前記レーザ移動部を制御して、前記先曲げ工程と同じパスにおいて、加工された前記アウタパネルと、前記インナパネルとの少なく一方のめっきを、そのめっきを除去する領域にレーザ照射するように前記レーザ照射部を前記直交方向に配置して、前記レーザ照射部により除去し、前記曲げ加工部を制御して、後曲げ工程と同じパスにおいて、前記めっき除去工程よりも後側のパスにおいて、前記加工用ヘム治具を前記アウタパネル及び前記インナパネルに対して相対的に移動して、前記アウタパネルに折り曲げ加工を施して前記折り曲げ部を形成し、前記折り曲げ部に前記インナパネルの前記挿入部を挿入し、前記レーザ移動部を制御して、前記アウタパネル及び前記インナパネルを溶接する領域にレーザ照射するように前記レーザ照射部を前記直交方向に配置して、前記後曲げ工程で加工された前記アウタパネル及び前記インナパネルを、前記レーザ照射部により溶接すること、を特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の接合装置。
【0014】
(5)の発明によれば、制御部が、先曲げ工程のパスにおいて、アウタパネルの折り曲げ加工を途中まで施し、めっきをレーザ照射部により除去し、後曲げ工程のパスにおいて、アウタパネルに折り曲げ部を形成し、インナパネルの挿入部を挿入し、アウタパネル及びインナパネルを溶接するので、制御部が各部を制御することにより、上記(1)から(4)と同様にアウタパネル及びインナパネルを加工できる。
【0015】
(6)めっきされたアウタパネルの折り曲げ部と、めっきされたインナパネルの挿入部とを接合する接合方法であって、曲げ加工部が、前記アウタパネル及び前記インナパネルに対して相対的に移動をして、前記アウタパネルの折り曲げ加工を途中まで施す先曲げ工程と、レーザ移動部が、前記先曲げ工程と同じパスにおいて、前記アウタパネルと、前記インナパネルとの少なく一方のめっきを、そのめっきを除去する領域にレーザ照射するようにレーザ照射部を前記相対的に移動をする移動方向とは直交する方向である直交方向に配置して、前記レーザ照射部により除去するめっき除去工程と、前記曲げ加工部が、前記めっき除去工程よりも後側のパスにおいて、加工用ヘム治具を前記アウタパネル及び前記インナパネルに対して相対的に移動して、前記アウタパネルに折り曲げ加工を施して前記折り曲げ部を形成し、前記折り曲げ部に前記インナパネルの前記挿入部を挿入する後曲げ工程と、前記レーザ移動部が、前記後曲げ工程と同じパスにおいて、前記アウタパネル及び前記インナパネルを溶接する領域にレーザ照射するように前記レーザ照射部を前記直交方向に配置して、前記後曲げ工程で加工された前記アウタパネル及び前記インナパネルを、前記レーザ照射部により溶接する溶接工程とを備えること、を特徴とする接合方法。
【0016】
(6)の発明によれば、アウタパネルの折り曲げ加工を途中まで施す先曲げ工程と、パネルのめっきを、レーザ照射部により除去するインナパネルめっき除去工程と、アウタパネルに折り曲げ加工をして折り曲げ部を形成し、インナパネルの挿入部を挿入する後曲げ工程と、アウタパネル及びインナパネルをレーザ照射部により溶接する溶接工程とを備えるので、接合装置を利用して、上記(1)から(5)と同様にアウタパネル及びインナパネルを加工できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、自動車ボディ外縁のアウタパネルの曲げ加工と同時に、アウタパネル及びインナパネルのレーザ溶接作業ができ、かつ、アウタパネルやインナパネルのめっきを除去するための作業時間の短縮をできる接合装置及び接合方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る接合装置の構成を示す概要図である。
【図2】前記接合装置の制御手段の構成を示すブロック図である。
【図3】前記接合装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】前記接合装置の一連の動作、アウタパネル及びインナパネルのレーザ照射領域の加工状態に関する一連の推移を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るレーザヘッドの拡大図、接合装置の動作、アウタパネル及びインナパネルのレーザ照射領域の加工状態に関する一連の推移を説明する図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る接合装置の構成を示す概要図である。
【図7】前記接合装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】前記接合装置の一連の動作を説明する図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る接合装置の構成を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る接合装置1の構成を示す概要図である。
図1(a)は、接合装置1をヘム移動方向Yに直交する方向である直交方向Xから見た図である。
図1(b)は、接合装置1をヘム移動方向Yから見た図である。
なお、接合装置1の構成を分かりやすく説明するために、図1(a)に示すように、アウタパネル2及びインナパネル3の表面の法線方向を鉛直方向上側に向けた状態における鉛直方向をZ、ヘム移動方向をYとし、また鉛直方向Z及びヘム移動方向Yに直交する方向を直交方向Xとする。ヘム移動方向Y及び直交方向Xは、水平面内の方向である。
【0020】
接合装置1は、例えばロボットアーム等のヘム移動方向移動部15Yの先端に設けられている。接合装置1は、このヘム移動方向移動部15Yにより、ヘムローラ14(加工用ヘム治具)が自動車ボディ(ワーク)外縁のアウタパネル2及びインナパネル3に対してヘム移動方向Yに相対的に移動するように駆動されて、アウタパネル2をヘミング加工し、またアウタパネル2及びインナパネル3を溶接して接合する。
アウタパネル2及びインナパネル3は、亜鉛めっき鋼板である。後述するように、接合装置1は、ヘミング加工、溶接加工と同時に並行して、これらのめっきを除去できる。
【0021】
以下、接合装置1の構成等を詳細に説明する。
接合装置1は、曲げ加工部10と、レーザ照射装置20とを備えている。
曲げ加工部10は、台座11と、支柱12と、ローラ13と、ヘムローラ14(加工用ヘム治具)と、ヘム直交方向移動部15Xと、ヘム移動方向移動部15Yとを備えている。
台座11は、アウタパネル2、インナパネル3を載置するテーブル状の部材である。台座11は、加工時において、接合装置1の設置面に対して固定される。
支柱12は、ローラ13、ヘムローラ14、レーザ照射装置20等を支持するための部材であり、長手方向が鉛直方向Zになるように、配置されている。支柱12は、ヘム移動方向移動部15Yにより、台座11に対してヘム移動方向Yに駆動される。支柱12の台座11に対する位置は、光学センサ等の検出部(図示せず)が検出して、その出力に基づいて、制御部52が判定できるようになっている。
【0022】
ローラ13は、台座11の下面に当接しながら回転する従動ローラである。ローラ13は、回転軸が直交方向Xになるように、配置されている。
ヘムローラ14は、アウタパネル2を折り曲げるために、アウタパネル2に当接しながら回転するローラである。ヘムローラ14は、回転軸が直交方向Xになるように、配置されている。ヘムローラ14は、外周面にテーパ面14a及び円筒面14bを有している。
ヘムローラ14は、直交方向Xの複数の位置に配置される。これにより、テーパ面14a及び円筒面14bがアウタパネル2に当接する位置が調節され(図4(a)参照)、アウタパネル2の押し付け量を調節して、アウタパネル2を複数の曲げ角度で折り曲げ加工できる。
【0023】
ヘム直交方向移動部15Xは、直交方向Xに伸縮する軸を備え、ヘムローラ14を直交方向Xに駆動して、直交方向Xの複数の位置に配置する駆動装置である。
ヘム移動方向移動部15Yは、支柱12を台座11に対してヘム移動方向Yに駆動する駆動装置であり、例えばロボットアーム等である。これによって、支柱12に設けられたヘムローラ14及びレーザヘッド21は、台座11に載置されたアウタパネル2及びインナパネル3に対して、一体でヘム移動方向Yに移動する。
【0024】
レーザ照射装置20は、支柱12のヘム移動方向Yの後側Y2に延びるように配置されたアーム12aに取り付けられている。レーザ照射装置20は、レーザヘッド21(レーザ照射部)と、レーザ直交方向移動部25X(レーザ移動部)と、レーザ鉛直方向移動部25Zとを備えている。
【0025】
レーザヘッド21は、レーザ光21aを発光する素子を有する装置である。レーザヘッド21は、アーム12aに設けられたレーザ直交方向移動部25X及びレーザ鉛直方向移動部25Zに取り付けられている。このため、レーザヘッド21は、台座11に載置されたアウタパネル2及びインナパネル3に対して、ヘムローラ14と一体でヘム移動方向Yに移動可能であり、またヘムローラ14よりもヘム移動方向Yの後側Y2の範囲で、直交方向Xに移動可能である。レーザヘッド21は、ケーブル21bを介して電力を供給される。
【0026】
レーザ直交方向移動部25Xは、台座11に対して、レーザヘッド21を直交方向Xに平行移動(オフセット)するための移動機構である。レーザヘッド21の直交方向Xの位置は、検出部(図示せず)により検出され、その出力に基づいて、制御部52(図2参照)がレーザ照射領域を判定できるようになっている。
レーザ鉛直方向移動部25Zは、台座11に対して、レーザヘッド21を鉛直方向Zに移動するための移動機構である。レーザ鉛直方向移動部25Zは、レーザヘッド21を鉛直方向Zに移動して、レーザ光21aをフォーカス調整する。
これらの各移動部は、移動機構として、例えば、ボールねじ、スライダ機構等を用いることができる。
【0027】
図2は、接合装置1の制御手段の構成を示すブロック図である。
接合装置1は、操作部50と、記憶部51と、制御部52とを備えている。
操作部50は、加工形状、加工条件等の加工情報等を入力したり、加工を開始、停止等する操作情報等を入力する部材である。操作部50は、キーボード、ボタン等を有している。操作部50に入力された情報は、制御部52に出力される。
【0028】
記憶部51は、接合装置1の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。記憶部51は、加工形状、加工条件等の加工情報等を記憶している。
制御部52は、接合装置1を統括的に制御するための制御装置であり、例えば、CPU(中央処理装置)等から構成される。制御部52は、記憶部51に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。制御部52は、操作部50から入力された情報を、記憶部51に記憶したり、操作部50や各検出部の出力に基づいて、各駆動装置を制御して加工を行う。
【0029】
次に、接合装置1の動作を説明する。
図3は、接合装置1の動作を示すフローチャートである。
図4は、接合装置1の一連の動作、アウタパネル2及びインナパネル3のレーザ照射領域の加工状態に関する一連の推移を説明する図である。
図4(a−1)から図4(a−3)は、それぞれ、第1パスから第3パスにおいて、接合装置1をヘム移動方向Yから見た図である。
図4(b−1)から図4(b−3)は、それぞれ、第1パスから第3パスにおけるアウタパネル2及びインナパネル3のレーザ照射領域の加工状態を説明する図である。
【0030】
接合装置1は、第1パスから第3パスの3回のパスを経て、アウタパネル2及びインナパネル3を接合する。
最初にステップS(以下、単に「S」という)1において、操作部50から加工開始の情報が出力されると、制御部52は、記憶部51から加工条件等の情報を読み出して、処理を開始する。
【0031】
(第1パス)
ステップS10において、制御部52は、第1パスの処理を開始する。
S11において、制御部52は、ヘムローラ14を直交方向Xに移動して、アウタパネル2の第1曲げ角度に対応する位置(図4(a−1)参照)に配置する。第1曲げ角度は、一連のヘミング曲げ工程のなかで最初の曲げ角度であり、最も曲げ量が少ない角度である。
S12において、制御部52は、レーザ直交方向移動部25Xを駆動して、第1曲げ角度におけるアウタパネル2の端部2cよりも、直交方向Xの左側X1(ワーク内側)の領域であって、インナパネル3のレーザ照射領域に対応した位置P1(図4(a−1)参照)に、レーザヘッド21を配置する。
S13において、制御部52は、インナパネル3に対してレーザ光21aがデフォーカス状態になるように、レーザヘッド21を鉛直方向Zに駆動してレーザ照射する。
【0032】
S14において、制御部52は、台座11に対して、支柱12をヘム移動方向Yの前側Y1(図4の紙面奥側)に移動する。
図4(a−1)に示すように、第1パスでは、アウタパネル2は、ヘムローラ14によって第1曲げ角度でヘミング曲げが施される(先曲げ工程)。
また、図4(b−1)に示すように、第1パスでは、レーザ光21aがインナパネル3に対してデフォーカス状態であるので、インナパネル3の表面のめっき3aのみを除去できる(めっき除去工程)。
つまり、レーザヘッド21は、デフォーカス状態かつ設定されているヘムローラ14の移動速度では、レーザ照射される対象の温度が、鋼材(鉄)の融点(1535℃)よりも低く、亜鉛の沸点(907℃)よりも高くなるようになっている。これにより、接合装置1は、インナパネル3の表面のめっき3aのみを蒸発させて除去できる。
【0033】
第1パスのようなヘミング曲げの一連の工程における前側の工程では、直交方向Xにおいて、アウタパネル2の端部2cよりも直交方向Xの左側X1の領域に、インナパネル3のめっき3aの除去領域が位置する。接合装置1は、この位置関係を利用して、アウタパネル2の曲げ加工をしながら、レーザ照射してインナパネル3の表面のめっき3aを除去できる。
【0034】
また、接合装置1は、レーザ照射領域の上側Z2が開空間になっているので、蒸発した亜鉛がこもってしまうことがなく、蒸発した亜鉛を加工領域の外部に逃がすことができる。例えば、レーザ照射領域がパネル等に密閉されて閉空間になっていると、蒸発した亜鉛がこもってしまい内部圧力が上昇して破裂しまう可能性がある。この場合には、溶接部分が剥離してしまう可能性があるが、接合装置1は、このような剥離を防止できる。
図3に戻りS15において、制御部52は、第1パスの移動動作が終了すると、支柱12を基準位置に戻す。
【0035】
(第2パス)
S20において、制御部52は、第2パスの処理を開始する。
S21において、制御部52は、ヘムローラ14を直交方向Xに移動して、アウタパネル2の第2曲げ角度に対応する位置(図4(a−2)に示す位置)に、ヘムローラ14を配置する。第2曲げ角度は、第1曲げ角度及び第3曲げ角度(図4(a−3)に示す角度)との間の曲げ角度である。アウタパネル2は、第1パスと同様に、ヘムローラ14によって第2曲げ角度で、ヘミング曲げが施される(先曲げ工程)。
S22において、制御部52は、レーザ直交方向移動部25Xを駆動して、アウタパネル2のレーザ照射領域に対応した位置P2(図4(a−2)参照)に、レーザヘッド21を配置する。
S23において、制御部52は、レーザヘッド21を鉛直方向Zに駆動して、第2曲げ角度で曲げ加工されたアウタパネル2に対して、デフォーカス状態になるようにレーザ照射を開始する。
【0036】
S24において、制御部52は、台座11に対して、支柱12をヘム移動方向Yの前側Y1に移動する。
図4(a−2)に示すように、第2パスでは、アウタパネル2は、ヘムローラ14によって第2曲げ角度でヘミング曲げされる(先曲げ工程)。
そして、図4(b−2)に示すように、第1パスと同様に、レーザヘッド21は、レーザ照射して、第2曲げ角度で曲げ加工されたアウタパネル2の表面及び裏面の亜鉛めっき2a,2bを蒸発させて除去する(めっき除去工程)。
図3に戻りS25において、制御部52は、第2パスの移動動作が終了すると、支柱12を基準位置に戻す。
【0037】
接合装置1は、これにまでの第1パス及び第2パスにより、インナパネル3及びアウタパネル2の亜鉛めっきのうち、後述する第3パスで溶接する領域のめっきを予め除去できる。
【0038】
(第3パス)
S30において、制御部52は、第3パスの処理を開始する。
S31において、制御部52は、ヘムローラ14を直交方向Xに移動して、アウタパネル2の第3曲げ角度に対応する位置(図4(a−3)に示す位置)に、ヘムローラ14を配置する。第3曲げ角度は、一連のヘミング曲げ工程の最終の曲げ角度である。
S32において、制御部52は、レーザ直交方向移動部25Xを駆動して、アウタパネル2及びインナパネル3を溶接するレーザ照射領域に対応した位置P3(図4(a−3)参照)に、レーザヘッド21を配置する。なお、この第3パスでのレーザヘッド21の直交方向Xの位置は、第1パスにおける位置と同一である。
S33において、制御部52は、レーザヘッド21のレーザ光21aが第3曲げされたアウタパネル2に対してフォーカス状態、つまり合焦状態になるように、レーザヘッド21を鉛直方向Zに駆動してレーザ照射を開始する。
【0039】
S34において、制御部52は、台座11に対して、支柱12をヘム移動方向Yの前側Y1に移動する。
図4(a−3)に示すように、第3パスの動作により、アウタパネル2は、ヘムローラ14によって第3曲げ角度でヘミング曲げされ、折り曲げ部2dが形成され、インナパネル3の挿入部3dが、この折り曲げ部2dに挟み込まれるように挿入される(後曲げ工程)。
そして、図4(b−3)に示すように、レーザヘッド21は、レーザ照射して、折り曲げ部2dに挿入部3dが挿入された状態で、アウタパネル2及びインナパネル3を溶接する(溶接工程)。
接合装置1は、インナパネル3の表面うち第1パスでめっき除去された領域と、アウタパネル2の裏面のうち第2パスでめっき除去された領域とを接合することにより溶接する。
【0040】
レーザヘッド21は、フォーカス状態にされることにより、設定されているヘムローラ14の移動速度でレーザ照射される対象の温度が、鋼材を溶解できるようになっている。このため、接合装置1は、インナパネル3の表面及びアウタパネル2の裏面をその温度まで上昇させて、アウタパネル2及びインナパネル3を溶接して接合できる。
S35において、制御部52は、第3パスの移動動作が終了すると、支柱12を基準位置に戻し、S36に進み、一連の処理を終了する。
【0041】
以上説明したように、接合装置1は、曲げ工程を進行しながら、アウタパネル2及びインナパネル3の亜鉛めっき2a,3a,3bを除去できるので、製造時間を短縮できる。また、アウタパネル2及びインナパネル3を溶接するレーザ照射装置20を、めっき除去に兼用できるので、装置のコストアップを軽減できる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
なお、以下の各実施形態の説明及び図面において、前述した第1の実施形態と同様の機能、処理を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係るレーザヘッド221の拡大図、接合装置201の動作、アウタパネル2及びインナパネル3のレーザ照射領域の加工状態に関する一連の推移を説明する図である。
図5(a)は、ヘム移動方向Yから見たときのレーザヘッド221の拡大図である。
図5(b)は、ヘム移動方向Yから見たときの接合装置201の動作を説明する図である。
図5(c)は、アウタパネル2及びインナパネル3のレーザ照射領域の加工状態に関する一連の推移を説明する図である。
【0043】
図5(a−1)、図5(a−2)に示すように、レーザヘッド221は、ヘム移動方向Yに平行な軸Y3の回りに回転可能に設けられている。レーザヘッド221は、駆動装置222により、この軸Y3の回りに回転駆動される(回転方向θ参照)。
【0044】
接合装置201の動作を説明する。
(第1パス)
図5(b−1)に示すように、第1パスにおいて、制御部252は、第2曲げ角度の途中の曲げ角度である第1曲げ角度でアウタパネル2をヘミング曲げする(先曲げ工程)。
また、制御部252は、レーザ光221aの光軸221bが第1曲げ角度で折り曲げられたアウタパネル2に対してほぼ垂直になるように、レーザヘッド221を回転駆動する。制御部252は、レーザヘッド221が発光するレーザ光221aが、アウタパネル2及びインナパネル3に対してデフォーカス状態になるように、レーザヘッド221を光軸221bの方向に駆動してレーザ照射をする。また、インナパネルの3の表面には、アウタパネル2の裏面の熱が空気を介して伝わる。
これにより、図5(c−1)に示すように、アウタパネル2の表面及び裏面のめっきと、インナパネル3の表面のめっきとが除去される(めっき除去工程)。
【0045】
(第2パス)
第2パスは、第1の実施形態の第3パスとほぼ同様である。すなわち、制御部252は、一連の曲げ工程の最終の曲げ角度である第2曲げ角度で、アウタパネル2をヘミング曲げする。
これにより、アウタパネル2に折り曲げ部2dが形成され、この折り曲げ部2dにインナパネル3の挿入部3dが挿入される(後曲げ工程)。
【0046】
また、制御部252は、レーザ光221aの光軸221bが第2曲げ角度で折り曲げられたアウタパネル2及びインナパネル3に対してほぼ垂直になるように、レーザヘッド221を回転駆動する。そして、制御部252は、アウタパネル2及びインナパネル3の溶接領域にレーザ照射するようにレーザヘッド221を直交方向Xに配置して、かつ、レーザ光221aがアウタパネル2及びインナパネル3に対してフォーカス状態になるように、レーザヘッド221を光軸221bの方向に駆動してレーザ照射をする。
これにより、図5(c−2)に示すように、アウタパネル2及びインナパネル3が溶接される(溶接工程)。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の接合装置201は、アウタパネル2及びインナパネル3を同時にめっき除去できるので、製造時間をより短縮できる。
【0048】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図6は、第3の実施形態に係る接合装置301の構成を示す概要図である。
図6(a)は、接合装置301を直交方向Xから見た図である。
図6(b)は、接合装置301をヘム移動方向Yから見た図である。
なお、図6(b)は、接触検出部330の構成を分かりやすく示すため、その他の一部の構成を2点鎖線で示す。
【0049】
接合装置301は、接触検出部330を備えている。
接触検出部330は、曲げ加工されたアウタパネル2の端部2cの直交方向Xの位置を検出する検出部である。接触検出部330は、接触子331と、接触子位置センサ332とを備えている。
接触子331は、ヘム移動方向Yにおいて、ヘムローラ14及びレーザヘッド21の間に配置されている。ヘム移動方向Yにおいて、接触子331及びレーザヘッド21の距離は、距離Lである。接触子331は、エアスライダ等の支持機構331aにより、直交方向Xに低摩擦で移動可能に、支柱12に支持されている。一方、接触子331は、ヘム移動方向Yへは、ヘムローラ14及びレーザヘッド21と一体で移動可能に、支柱12に支持されている。
接触子331は、直交方向Xの右側X2(ワーク外側)にバネ333により付勢されている。これにより、接触子331は、曲げ加工された、アウタパネル2の端部2cに常に接触できる。
【0050】
接触子位置センサ332は、接触子331の支持機構331aに設けられた光学センサ等である。接触子位置センサ332は、接触子331の取り付け部331bの位置を検出する。接触子位置センサ332は、検出信号を制御部352に出力する。
これにより、制御部352は、アウタパネル2の端部2cの直交方向Xの位置を判定できる。
【0051】
図7は、接合装置301の動作を示すフローチャートである。
図8は、接合装置301の一連の動作を説明する図である。
S310において、制御部352は、第1パスの処理を開始する。
S11、S13の処理は、第1の実施形態と同様である。
S314において、制御部352が支柱12を駆動することにより、S315において、アウタパネル2は、ヘムローラ14により第1曲げ角度で曲げ加工される。
S316において、接触子331がアウタパネル2の端部2cに接触すると、接触子位置センサ332が端部2cの情報を制御部352に出力する。
【0052】
S318において、制御部352は、接触検出部330の出力に基づいて、アウタパネル2の端部2cの位置を判定する。そして、制御部352は、端部2cに対応したレーザ照射領域、つまり、ヘム移動方向Yにおいてインナパネル3のうちが端部2cと同一の位置にあるレーザ照射領域が、レーザヘッド21が配置されているヘム移動方向Yの位置に到達する時間tを求める。制御部352は、以下のように時間tを求める。
支柱12のヘム移動方向Yへの移動速度が移動速度vとすれば、レーザヘッド21は、ヘム移動方向Yにおいて、接触子331がアウタパネル2の端部2cに接触してから、その端部2cに対応したインナパネル3のレーザ照射領域に到達するまで、
t=L/v・・・式(1)
を要する。制御部352は、この式(1)によって、時間t=L/vを算出する。式(1)と、移動速度v等の加工条件とは、記憶部351が記憶している。
【0053】
S317において、制御部352は、レーザ直交方向移動部25Xを制御して、接触検出部330の出力時から時間tだけ遅らせて、レーザヘッド21を直交方向Xに移動する。つまり、制御部352は、端部2cに対応したレーザ照射領域が到達する時間に合わせて、レーザヘッド21を直交方向Xの位置に配置する。
【0054】
図8(a)に示すように、レーザ照射領域がアウタパネル2の端部2cから左側X1に距離d1の位置に設定されている場合には、制御部352は、時間tだけ遅らせて、レーザヘッド21をこの位置に配置する。
そして、制御部352は、レーザヘッド21がインナパネル3の照射領域に、デフォーカス状態でレーザ照射して、インナパネル3の表面のめっきを除去する。
【0055】
S320から第2パスにおいて、図8(b)に示すように、第1パスと同様に、制御部352は、接触検出部330の出力に基づいて、端部2cに対応したアウタパネル2のレーザ照射領域の到達時間tを算出する(S326,S327)。そして、制御部352は、時間tだけ遅らせて、レーザヘッド21を端部2cから右側X2に距離d2の位置に配置して、レーザヘッド21を制御してデフォーカス状態でレーザ照射して、アウタパネル2の表面及び裏面のめっきを除去する(S328)。
【0056】
S330からの第3パスにおいて、図8(c)に示すように、第1パスと同様に、制御部352は、接触検出部330の出力に基づいて、端部2cに対応したアウタパネル2のレーザ照射領域の到達時間tを算出する(S336,S337)。そして、制御部352は、時間tだけ遅らせて、レーザヘッド21を端部2cから左側X1に距離d3の位置に配置して、レーザヘッド21を制御してフォーカス状態でレーザ照射して、インナパネル3及びアウタパネル2を溶接する(S338)。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の接合装置301は、アウタパネル2の端部2cを検出し、その端部2cに対応したレーザ照射領域が到達する時間に合わせて、レーザヘッド21を配置するので、端部2cを基準にして、正確な照射領域にレーザ照射できる。
また、接合装置301は、接触子331をアウタパネル2の端部2cに機械的に接触させるので、光学センサ等のような反射光の影響に起因する検出エラーがなく、端部2cを正確に検出できる。
【0058】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図9は、本発明の第4の実施形態に係る接合装置401A,401Bの構成を示す概要図である。
図9(a)は、接合装置401Aを直交方向Xから見た図である。
図9(b)は、接合装置をヘム移動方向Yから見た図である。
接合装置401Aは、吸入部440を備えている。
吸入部440は、吸引装置(図示せず)に接続されたホース441の先端に設けられている。吸入部440は、レーザ照射領域の近傍に配置され、蒸発して気体になった亜鉛を吸引する。これにより、接合装置401Aは、蒸発して気体になった亜鉛が、インナパネル3、アウタパネル2等に付着したり、接合装置401Aに付着することを防止できる。
なお、接合装置401Aは、吸入部440の代わりに、空気を吹き出す吹き出し部を設けて、蒸発して気体になった亜鉛を、加工領域の外部に排出するようにしてもよい。
【0059】
図9(b)は、接合装置401Bを直交方向Xから見た図である。
接合装置401Bは、レーザヘッド21が照射したレーザ光21aの漏光を防止するシールド442と、このシールド442内の空気を吸引する吸入部443とを備えている。これにより、接合装置401Bは、レーザ光21aの漏光を防止し、かつ、接合装置401Aと同様に、気体になった亜鉛の各部への付着を防止できる。
【0060】
(変形形態)
(1)実施形態において、接合装置は、インナパネル及びアウタパネルの両方のめっきを除去する例を示したが、これに限定されない。例えば、インナパネル及びアウタパネルのいずれか1つにめっき材を利用する場合には、そのパネルのめっき除去領域のみにレーザ照射して、そのめっきを除去してもよい。この場合には、めっき材ではないパネルのめっき除去工程を省略できるので、工程を簡単にできる。
【0061】
(2)実施形態において、レーザヘッドは、鉛直方向に移動してデフォーカスする例を示したが、これに限定されない。レーザヘッドは、内部のミラー構造等を移動させて、デフォーカスしてもよい。
【0062】
(3)実施形態において、レーザヘッドは、デフォーカスすることにより、レーザ照射される対象の温度を低くする例を示したが、これに限定されない。例えば、レーザヘッドは、レーザ照射される対象にフォーカス(合焦)させた状態でレーザ光の出力を下げることにより、この温度を低くしてもよい。
【0063】
(4)実施形態において、接合装置は、アウタパネル及びインナパネルを載置して台座に対してヘム等を備える支柱が移動する例を示したが、これに限定されない。例えば、接合装置は、支柱に対して台座が移動するようにしてもよいし、また、支柱及び台座が移動してもよい。
【0064】
以上、本発明の実施形態、変形形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、実施形態及び変形形態に記載の範囲には限定されない。実施形態及び変形形態には、多様な変更又は改良を加えることができ、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得る。なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0065】
1,201,301,401A,401B 接合装置
2 アウタパネル
3 インナパネル
10 曲げ加工部
11 台座
12 支柱
13 ローラ
14 ヘムローラ
15X ヘム直交方向移動部
15Y ヘム移動方向移動部
20 レーザ照射装置
21,221 レーザヘッド
25X レーザ直交方向移動部
52,252,352 制御部
330 接触検出部
331 接触子
332 接触子位置センサ
440 吸入部
441 ホース
442 シールド
443 吸引部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウタパネルの折り曲げ部と、インナパネルの挿入部とを接合する接合装置であって、
加工用ヘム治具を有し、前記加工用ヘム治具を前記アウタパネル及び前記インナパネルに対して相対的に移動して、前記加工用ヘム治具により前記アウタパネルを折り曲げて前記折り曲げ部を形成し、前記折り曲げ部に前記インナパネルの前記挿入部を挿入する曲げ加工部と、
前記アウタパネル及び前記インナパネルに対して前記加工用ヘム治具と一体で前記加工用ヘム治具の移動方向に移動するように設けられ、前記加工用ヘム治具の前記移動方向の後側に配置され、レーザ光を発光するレーザ照射部と、
前記レーザ照射部を、前記移動方向とは直交する方向である直交方向に移動可能に支持するレーザ移動部とを備えること、
を特徴とする接合装置。
【請求項2】
めっきされたアウタパネルの折り曲げ部と、めっきされたインナパネルの挿入部とを接合する接合方法であって、
曲げ加工部が、前記アウタパネル及び前記インナパネルに対して相対的に移動をして、前記アウタパネルの折り曲げ加工を途中まで施す先曲げ工程と、
レーザ移動部が、前記先曲げ工程と同じパスにおいて、前記アウタパネルと、前記インナパネルとの少なく一方のめっきを、そのめっきを除去する領域にレーザ照射するようにレーザ照射部を前記相対的に移動をする移動方向とは直交する方向である直交方向に配置して、前記レーザ照射部により除去するめっき除去工程と、
前記曲げ加工部が、前記めっき除去工程よりも後側のパスにおいて、加工用ヘム治具を前記アウタパネル及び前記インナパネルに対して相対的に移動して、前記アウタパネルに折り曲げ加工を施して前記折り曲げ部を形成し、前記折り曲げ部に前記インナパネルの前記挿入部を挿入する後曲げ工程と、
前記レーザ移動部が、前記後曲げ工程と同じパスにおいて、前記アウタパネル及び前記インナパネルを溶接する領域にレーザ照射するように前記レーザ照射部を前記直交方向に配置して、前記後曲げ工程で加工された前記アウタパネル及び前記インナパネルを、前記レーザ照射部により溶接する溶接工程とを備えること、
を特徴とする接合方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−224624(P2011−224624A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97737(P2010−97737)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】