説明

接点ばね付シート及びスイッチ装置

【課題】操作部の適切な照明が可能な接点ばね付シートを提供すること。
【解決手段】接点ばね(124)を保持する保持シート(121)と、保持シート(121)上に積層され、光源(2)からの光が入光する入光部(122c)を有し光源(2)からの光を導く導光シート(122)と、を備えた接点ばね付シート(12)であって、導光シート(122)の接点ばね(124)を押圧可能に配置される操作部と対向する領域(122f)に、光源(2)からの光の進行方向に沿うように線状の凹凸パターンが形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機の操作スイッチ等に用いられる接点ばね付シート及びスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機をはじめとする携帯型電子機器の入力デバイスとして、光源が発する光を導光シートによって操作部に導くことで操作部の照明を可能にしたものが知られている。この入力デバイスは、基板と、基板上に配置された固定接点及び可動接点を含むスイッチ部と、スイッチ部を覆う導光シートと、基板上において導光シート端部に近接して配置される光源と、導光シート上に配置され、導光シート側の表面にプランジャー(突起部)を有するキーパッド(キートップシート)とを含んで構成される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述した入力デバイスにおいては、キーパッドのプランジャーがスイッチ部の可動接点に対応する領域に配置されており、キーパッド表面の操作部を指などで押圧すると、当該押圧された領域のプランジャーが下方に移動して可動接点を撓ませる。これにより、可動接点が固定接点と接触して導通する。キーパッドから指を離すと、可動接点の弾性力によって可動接点が固定接点から離れて導通が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−324100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、導光シートは柔軟性を有する部材で構成されているため、操作部を構成するキーパッド表面を指などで押圧した場合、対応する領域のプランジャーが導光シートに貼りつき、指を離しても突起部と導光シートとが分離しなくなることがある。このようにプランジャーと導光シートとが貼りついた状態では、光源からの光がプランジャーを通じてキーパッド表面から漏れ出すため、プランジャーと導光シートとが貼りついた領域のみが異常に明るく見えてしまう。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、操作部の適切な照明が可能な接点ばね付シート及びこれを用いたスイッチ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の接点ばね付シートは、接点ばねを保持する保持シートと、前記保持シート上に積層され、光源からの光が入光する入光部を有し前記光源からの光を導く導光シートと、を備えた接点ばね付シートであって、前記導光シートの前記接点ばねを押圧可能に配置される操作部と対向する領域に、前記光源からの光の進行方向に沿うように線状の凹凸パターンが形成されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、導光シートに線状の凹凸パターンが形成されているため、導光シートとプランジャー等との接触面積が小さくなり、これらの貼りつきを防止できる。また、凹凸パターンを光源からの光の進行方向に沿うような線状のパターンとしているため、凹凸パターンによる光の散乱が大きくなり過ぎず、明るさを適切に抑制できる。これらにより、導光シート面内において明るさに異常のある領域が発生せずに済むため、操作部の適切な照明が可能な接点ばね付シートが実現する。
【0009】
本発明の接点ばね付シートにおいて、前記線状の凹凸パターンの周囲には、前記光源からの光を散乱するドット状の凹凸パターンが形成されていることが好ましい。この構成によれば、線状の凹凸パターンの周囲にドット状の凹凸パターンが形成されることで、ドット状の凹凸パターンにより操作部の適切な照明が可能になる。
【0010】
本発明の接点ばね付シートにおいて、前記保持シートは複数の接点ばねを保持し、前記入光部と近接する領域において、前記導光シートの前記操作部と対向する領域には前記線状の凹凸パターンが形成されており、それ以外の領域において、前記導光シートの前記操作部と対向する領域にはドット状の凹凸パターンが形成されていることが好ましい。この構成によれば、入光部と近接する領域、すなわち、光源からの光量が大きい領域では線状の凹凸パターンによって光の散乱を抑制し、光源からの光量が小さい他の領域ではドット状の凹凸パターンによって光の散乱を増大させることができる。これにより、導光シート面内において操作部の明るさを均一化することができる。
【0011】
本発明の接点ばね付シートにおいて、前記保持シートの前記操作部と対向する領域に、前記光源からの光を吸収可能な印刷パターンが形成されていることが好ましい。この構成によれば、印刷パターンによって光の散乱をさらに抑制することができる。
【0012】
本発明のスイッチ装置は、上述した接点ばね付シートと、前記接点ばね付シートが貼付され、前記接点ばねと離間して対向するよう設けられた固定接点を有する基板と、を備えたことを特徴とする。この構成によれば、操作部の適切な照明が可能なスイッチ装置を実現できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、適切な照明が可能な接点ばね付シート及びこれを用いたスイッチ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態に係るスイッチ装置の構成を示す模式図である。
【図2】本実施の形態に係る導光シートの照明エリア(入光部と近接する領域)の構成を示す模式図である。
【図3】本実施の形態に係る導光シートの照明エリア(他の領域)の構成を示す模式図である。
【図4】本実施の形態に係るスイッチ装置を含む入力デバイスの操作部が照明される様子を示す断面模式図である。
【図5】凹凸パターンを有さないスイッチ装置を用いた入力デバイスについて示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は一実施の形態に係るスイッチ装置の構成を示す模式図である。図1Aはスイッチ装置の平面構成を示し、図1Bは図1AのAA矢視断面を示す。図1に示されるように、本実施の形態に係るスイッチ装置1は、平面形状が略長方形である薄板状の基板11と、基板11の主表面に貼付された接点ばね付シート12とを備えている。基板11の角には接点ばね付シート12の側面に光を照射できるよう2個のLED(光源)2が配置されている。なお、基板11の平面形状は長方形に限られず、また、LED2の数や配置位置も特に限定されない。
【0017】
基板11の接点ばね付シート12が貼付される一主表面には、スイッチの一方の接点となる複数(ここでは12個)の固定接点111が互いに離間して配置されている。固定接点111は平面形状が略円形の導電パターンで構成されている。なお、固定接点111の数や形状は特に限定されない。
【0018】
接点ばね付シート12は、基板11に貼付される保持シート121と、保持シート121に重なるように配置された導光シート122とを含む。保持シート121と導光シート122とは、保持シート121端部に配置される接着層123を介して接着されており、互いの位置関係が略固定されるようになっている。接点ばね付シート12の厚さ(すなわち、保持シート121と導光シート122と接着層123の厚さの合計)は、LED2の厚さと同等か、又はLED2の厚さより小さくなっている。
【0019】
保持シート121は、光を反射する白色又は金属色の可撓性シートであり、導光シート122から放出された光を反射して光の利用効率を高めると共に、スイッチの他方の接点となる凸型ドーム状の可動接点(接点ばね)124を固定接点111に対応する領域に保持できるよう構成されている。保持シート121の裏面には不図示の接着層が設けられており、これによって可動接点124を保持する。また、当該接着層の接着力によって、保持シート121を基板11に貼着する。このような保持シート121により、可動接点124が適切に保持できる。また、導光シート122の裏面122bから放出された光を反射して導光シート122の表面122aから放出できるようになるため、光の利用効率を十分に高めることができる。なお、保持シート121には可動接点124の形状に適合する凹部を形成しても良い。これにより可動接点124の位置合わせ精度を高めることができる。
【0020】
凸型ドーム状の可動接点124は、導電性と弾性とを有する金属薄板材料で構成されている。可動接点124の裏面側は窪んでおり、可動接点124が保持シート121によって固定接点111の上部を覆うよう保持されることで、可動接点124と固定接点111との間に絶縁用のギャップが形成されるようになっている。また、固定接点111の外周が可動接点124の内周と接触しないように、可動接点123の径は固定接点111の径より大きくなっている。可動接点124の外周は、不図示の別の固定接点と接触して導通している。
【0021】
導光シート122は、LED2からの光を導くことが可能な高透過率の可撓性シートである。具体的には、例えば、導光シート122は、ウレタン樹脂やポリカーボネイト樹脂、軟質アクリル樹脂などの材料で構成される。導光シート122は略長方形の2つの角が切り欠かれた平面形状を有しており、切り欠きによって形成された端面がLED2からの光が入光する入光部122cとなる。ただし、入光部122cの構成はこれに限られない。入光部122cは、少なくともLED2からの光が適切に入光するよう構成されていればよい。
【0022】
導光シート122の表面122aにおいて破線で囲まれる照明エリア122d、122eには、LED2からの光が散乱されて照明されるようにドット状の凹凸パターン(凹部)122hが形成されている(図1において不図示、図2A及び図3A参照)。照明エリア122d、122eの中央付近の領域122f、122gは、不図示のキーパッドのプランジャー(突起部)が接触する領域であり、当該領域には線状の凹凸パターン(溝)122i、又はドット状の凹凸パターン(凹部)122jが形成されている(図1、図2A及び図3A参照)。以下、照明エリア122d、122eの構成について詳細に説明する。
【0023】
図2は照明エリア122dの構成を示す模式図である。図2Aは照明エリア122dの平面構成を示し、図2Bは図2AのAA矢視断面を示す。図2に示されるように、入光部122cに近接する照明エリア122dにおいて、領域122fには線状の凹凸パターン122iが形成されている。この線状の凹凸パターン122iは、図2Bに示されるように近接して配置される複数の溝によって構成されており、領域122fにおいて表面122aと略同一の高さの領域(図2Bにおいて破線の円で示される領域)の占める面積の割合が十分に小さくなるよう構成されている。このように、キーパッドのプランジャーが接触する領域122fにおいて、表面122aと略同一の高さとなる領域が十分に小さくなっていることで、プランジャーと導光シート122との接触面積が小さくなるためプランジャーと導光シート122とが貼りつかずに済む。これにより、プランジャーと導光シート122との貼りつきに起因する照明の異常を防止できる。
【0024】
なお、図2Bでは線状の凹凸パターン122iを構成する溝の平面形状が長方形と半円とを組み合わせた形状(長方形の端部に半円が付加された形状)になっており、溝の断面形状が半円孤状になっているが、溝の形状はこれに限られない。また、図2Bでは隣接する溝の間隔がほぼゼロであり、溝の中心線の間隔と溝の幅とが略等しくなっているが、隣接する溝が互いに重なるように配置されていても良いし、隣接する溝が所定の間隔をあけて配置されていても良い。
【0025】
領域122fにおける線状の凹凸パターン122iは、導光シート122の表面122aから見て光の進行方向(図2Aの矢印Bで示す方向)に沿うように形成されている。このように線状の凹凸パターン122iを光の進行方向に沿うように形成することで、LED2からの光が領域122fにおいて散乱されにくくなるため領域122fにおける照明の光量が大きくなり過ぎずに済む。つまり、入光部122cに近接する照明エリア122dにおいて上述した線状の凹凸パターン122iを設けることで、照明エリア122dにおける光の散乱を抑制し、照明エリア122dに相当する操作部の明るさを抑制できる。
【0026】
また、上述した線状の凹凸パターン122iにより領域122fにおける散乱を抑制することで、入光部122cから離れた照明エリア122eにも十分な光量の光を導くことが可能になる。このように、入光部122cに近接する照明エリア122dにおいて光の進行方向に沿う線状の凹凸パターン122iを設けることで、入光部122cに近接する照明エリア122dを相対的に暗くし、入光部122cから離れた照明エリア122eを相対的に明るくすることができる。これにより、操作部の明るさを均一化することができる。
【0027】
なお、領域122fにおける散乱をさらに抑制する必要がある場合には、保持シート121の導光シート122側の表面に、線状の凹凸パターン122iの形成領域に対応するよう有色インクの印刷パターンを形成することが好ましい。有色インクとしては、例えば、黒色インクなどの光を吸収し易いものを用いると良い。ここで、線状の凹凸パターン122iの縁のLED2に近い領域に印刷パターンを形成すると、適切に散乱を抑制し、領域122fの明るさを低減できるため好ましい。具体的には、例えば、図2Aのように線状の凹凸パターン122iが略円形の領域122fに設けられる場合は、領域122fの一部である円弧状の領域Pに印刷パターンを形成すればよい。
【0028】
照明エリア122dにおいて、領域122f以外の領域にはドット状の凹凸パターン122hが形成されている。当該ドット状の凹凸パターン122hは、図2Aに示されるように所定の密度で配置される複数の凹部によって構成されており、照明エリア122dの全体を照明できるようになっている。なお、適切な光量で照明が可能であれば、ドット状の凹凸パターン122hに代えて線状の凹凸パターンなどを用いても良く、これらを組み合わせて用いても良い。
【0029】
図3は照明エリア122eの構成を示す模式図である。図3Aは照明エリア122eの平面構成を示し、図3Bは図3AのAA矢視断面を示す。図3に示されるように、入光部122cから離れた照明エリア122eにおいて、領域122gにはドット状の凹凸パターン122jが形成されている。このドット状の凹凸パターン122jは、図3Bに示されるように近接して配置される複数の凹部によって構成されており、領域122gにおいて表面122aと略同一の高さとなる領域(図3Bにおいて破線の円で示される領域)の占める面積の割合が十分に小さくなるよう構成されている。このように、キーパッドのプランジャーが接触する領域122gにおいて、表面122aと略同一の高さとなる領域が十分に小さくなっていることで、プランジャーと導光シート122との接触面積が小さくなるためプランジャーと導光シート122とが貼りつかずに済む。これにより、プランジャーと導光シート122との貼りつきに起因する照明の異常を防止できる。
【0030】
なお、図3Bではドット状の凹凸パターン122jを構成する凹部の平面形状が円形で、断面形状が半円孤状になっているが、凹部の形状はこれに限られない。また、図3Bでは隣接する凹部の間隔がほぼゼロであり、凹部の中心線の間隔と凹部の幅とが略等しくなっているが、隣接する凹部が互いに重なるように配置されていても良いし、隣接する凹部が所定の間隔をあけて配置されていても良い。
【0031】
領域122gでは、凹凸パターンがドット状であるため、LED2からの光が領域122gにおいて散乱されやすくなる。このため、領域122gにおける照明の光量を十分に大きくすることができる。つまり、入光部122cから離れた照明エリア122gにおいて上述したドット状の凹凸パターン122jを設けることで、照明エリア122eにおいて光を十分に散乱し、照明エリア122eに対応する操作部の明るさを十分に確保できる。特に、領域122fの線状の凹凸パターン122iと組み合わせて用いることで、照明エリア122eに適切に光を導くと共に、導かれた光を領域122gのドット状の凹凸パターン122jで十分に散乱させて操作部の明るさを均一化することができる。
【0032】
なお、領域122gにおける散乱をある程度抑制する必要がある場合には、保持シート121の導光シート122側の表面に、ドット状の凹凸パターン122jの形成領域に対応するよう有色インクの印刷パターンを形成しても良い。有色インクとしては、例えば、黒色インクなどの光を吸収し易いものを用いると良い。ここで、ドット状の凹凸パターン122jの縁のLED2に近い領域に印刷パターンを形成すると、適切に散乱を抑制し、領域122gの明るさを低減できるため好ましい。
【0033】
照明エリア122eにおいて、領域122g以外の領域にもドット状の凹凸パターン122hが形成されている。このドット状の凹凸パターン122hは、図3Aに示されるように領域122gより低い密度で配置される複数の凹部によって構成されており、照明エリア122eの全体を照明できるようになっている。また、照明エリア122eでは、ドット状の凹凸パターン122hと共に線状の凹凸パターン122kが用いられており、所望する明るさが得られるようになっている。なお、この凹凸パターンは、ドット状の凹凸パターン122hのみとしても良いし線状の凹凸パターン122kのみとしても良い。
【0034】
図4は、本実施の形態に係るスイッチ装置1を含む入力デバイスの操作部が照明される様子を示す断面模式図である。図4Aは、領域122fの近傍の様子を示し、図4Bは、領域122gの近傍の様子を示す。
【0035】
図4に示される入力デバイスにおいて、導光シート122の表面122a側には、操作部Cを構成するキーパッド3が配置されている。キーパッド3の裏面(導光シート122側の面)において領域122f、122gに対応する領域には、プランジャー(突起部)31が設けられている。キーパッド3表面の操作部Cを指などで押圧すると、プランジャー31が導光シート122に接触して導光シート122及び保持シート121を押し下げる。これによって可動接点124が下方に変形し、可動接点124と固定接点111とが接触して導通し、固定接点111と不図示の固定接点とが可動接点124を介して導通する。キーパッド3の表面から指を離すと、可動接点124の弾性力によって可動接点124の形状が戻り、可動接点124が固定接点111から離れて固定接点111と不図示の固定接点との導通が解除される。
【0036】
図4において矢印で示されるように、LED2の側面から放出された光は入光部122cを通じて導光シート122に入光し、導光シート122内を伝播する。光が照明エリア122dの領域122fに到達すると、光は領域122fに設けられた線状の凹凸パターン122iによって散乱されて導光シート122の表面122aから放出される(図4A)。導光シート122の表面122aから放出された光は、プランジャー31を通じてキーパッド3の操作部Cを照明する(図4A)。なお、導光シート122を伝播した光は、照明エリア122dの領域122f以外の領域においてもドット状の凹凸パターン122h(図4Aにおいて不図示)により散乱され、同様に操作部Cを照明する。
【0037】
光が照明エリア122eの領域122gに到達すると、光は領域122gに設けられたドット状の凹凸パターン122jによって散乱されて導光シート122の表面122aから放出される(図4B)。導光シート122の表面122aから放出された光は、プランジャー31を通じてキーパッド3の操作部Cを照明する(図4B)。なお、導光シート122を伝播した光は、照明エリア122eの領域122g以外の領域においてもドット状の凹凸パターン122h及び線状の凹凸パターン122k(図4Bにおいて不図示)により散乱され、同様に操作部Cを照明する。
【0038】
上述したように、領域122fにおける線状の凹凸パターン122iは、導光シート122の表面122aから見て光の進行方向に沿うように形成されている。一方、領域122gにはドット状の凹凸パターン122jが形成されている。このため、LED2からの光は領域122fにおいて散乱されにくく、領域122gにおいて散乱されやすい(図4A、B)。このように、LED2からの距離(又は、入光部122cからの距離)に応じて凹凸パターンの形状を変えることで、操作部の明るさを均一化することができる。
【0039】
以上のように、本実施の形態に係るスイッチ装置1を用いた入力デバイスでは、導光シート122においてプランジャー31が接触する領域122f、122gに、周辺領域より狭い間隔(高密度)で線状の凹凸パターン122i又はドット状の凹凸パターン122jが形成されているため、導光シート122とプランジャー31との接触面積が小さくなり、これらの貼りつきを防止できる。また、入光部122cと近接する領域122fにはLED2からの光の進行方向に沿うような線状の凹凸パターン122iが形成され、入光部122cから離れた領域122gにはドット状の凹凸パターン122jが形成されているため、複数存在する操作部Cの明るさを均一化することができる。
【0040】
図5は、プランジャーが接触する領域に上述した凹凸パターンが形成されていないスイッチ装置を用いた入力デバイスについて示す断面模式図である。図5に示される入力デバイスの構成は、プランジャー31が接触する領域Dにおいて上述した凹凸パターンが形成されていない点を除き、図4に示される入力デバイスの構成と共通している。
【0041】
図5Aに示されるように、操作がなされていない状態では、LED2からの光は導光シート122´内を適切に導光し、操作部Cは適切に照明される。この状態でキーパッド3表面の操作部Cを指などで押圧すると、プランジャー31が導光シート122´に接触する。ここで、図5に示されるスイッチ装置1´は、プランジャー31が接触する領域Dに上述した凹凸パターンが形成されていないため、キーパッド3の表面から指を離してもプランジャー31と導光シート122´とが貼りついたまま離れないことがある(図5B)。
【0042】
このような状態になると、導光シート122´内を導光したLED2からの光は、プランジャー31と導光シート122´との接触領域(領域D)において所望しない角度に屈折させられて操作部Cを過剰に照明する。このため、このような状態が生じた領域に対応する操作部Cは異常に明るく見える(図5B)。また、このような状態がLED2と近接する領域において生じると、LED2から離れた領域では導光シート122´を導光する光の光量が著しく低下して操作部Cは暗くなる。
【0043】
これに対し、本実施の形態に係るスイッチ装置1では、プランジャー31が接触する領域122f、122gに、周辺領域より狭い間隔(高密度)の凹凸パターン122i、122jを形成しているため、このような問題が生じない。このため、操作部の適切な照明が可能である。
【0044】
以上のように、本発明に係る接点ばね付シート及びこれを用いたスイッチ装置は、導光シートの特に入光部と近接する領域において線状の凹凸パターンが形成されているため、導光シートとプランジャー等との接触面積が小さくなり、これらの貼りつきを防止できる。また、凹凸パターンを光源からの光の進行方向に沿うような線状の凹凸パターンとしているため、凹凸パターンによる光の散乱が大きくなり過ぎず、明るさを適切に抑制できる。これらにより、導光シート面内において明るさに異常のある領域が発生せずに済むため、操作部の適切な照明が可能になる。
【0045】
なお、本発明は上記実施の形態の記載に限定されず、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態では、入光部に近接する領域と入光部から離れた領域とで凹凸パターンを異ならせているが、全ての照明エリアのプランジャー接触領域において、領域122fの線状の凹凸パターン122iのような線状の凹凸パターンを形成しても良い。また、凹凸パターンは溝(凹部)によって構成されることに限られず、突起(凸部)によって構成されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の接点ばね付シート及びスイッチ装置は、例えば、携帯電話機の入力デバイスに有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 スイッチ装置
2 LED(光源)
3 キーパッド
11 基板
12 接点ばね付シート
111 固定接点
121 保持シート
122 導光シート
122c 入光部
122d、122e 照明エリア
122f、122g 領域
122h、122j ドット状の凹凸パターン(凹部)
122i、122k 線状の凹凸パターン(溝)
123 接着層
124 可動接点(接点ばね)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点ばねを保持する保持シートと、前記保持シート上に積層され、光源からの光が入光する入光部を有し前記光源からの光を導く導光シートと、を備えた接点ばね付シートであって、
前記導光シートの前記接点ばねを押圧可能に配置される操作部と対向する領域に、前記光源からの光の進行方向に沿うように線状の凹凸パターンが形成されていることを特徴とする接点ばね付シート。
【請求項2】
前記線状の凹凸パターンの周囲には、前記光源からの光を散乱するドット状の凹凸パターンが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接点ばね付シート。
【請求項3】
前記保持シートは複数の接点ばねを保持し、
前記入光部と近接する領域において、前記導光シートの前記操作部と対向する領域には前記線状の凹凸パターンが形成されており、
それ以外の領域において、前記導光シートの前記操作部と対向する領域にはドット状の凹凸パターンが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接点ばね付シート。
【請求項4】
前記保持シートの前記操作部と対向する領域に、前記光源からの光を吸収可能な印刷パターンが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の接点ばね付シート。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の接点ばね付シートと、前記接点ばね付シートが貼付され、前記接点ばねと離間して対向するよう設けられた固定接点を有する基板と、を備えたことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−243711(P2012−243711A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115619(P2011−115619)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】