説明

接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続方法及び接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続装置

本発明は、電子部品間の接続方法に関し、さらに詳細には、ホーン(horn)により、電子部品間の接続のための接着剤に圧力及び振動が加えられる場合、前記接着剤に発生するストレーン(strain)を調節して、前記接着剤の自己発熱温度を容易に調節する電子部品間の接続方法及びこの方法を行うための電子部品間の接続装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品間の接続方法に関し、さらに詳細には、ホーン(horn)により、電子部品間の接続のための接着剤に圧力及び振動が加えられる場合、前記接着剤に発生するストレーン(ひずみ:strain)を調節して、前記接着剤の自己発熱温度を容易に調節する電子部品間の接続方法及びこの方法を行うための電子部品間の接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来半導体チップまたは基板などの電子部品に形成された接続部電極を相互連結する方法としては、一つの電子部品に形成された接続部電極と他の一つの電子部品に形成された接続部電極との間に導電性または非導電性接着剤を位置させて、熱圧着ヘッドを利用して、これらの間に位置した前記導電性または非導電性接着剤を圧着及び発熱させた後、硬化させて、前記一つの電子部品と前記他の一つの電子部品とを電気的に連結する方法が使用された。
【0003】
しかし、前記導電性接着剤が異方導電性フィルム(ACF)である場合、従来技術を利用して前記一つの電子部品と前記他の一つの電子部品を電気的に連結するためには、前記熱圧着ヘッドを250℃〜300℃程度に維持して、前記異方導電性フィルム(ACF)に熱伝達を行って、前記異方導電性フィルム(ACF)が所定時間硬化に必要な最小限の温度を維持するようにしなければならない。
【0004】
したがって、従来技術は、前記熱圧着ヘッドから発生した熱が、前記異方導電性フィルム(ACF)の他に、前記熱圧着ヘッドを固定及び上下に移送させる上下移送装置などに伝達されることを遮断しなければならない不具合があった。
【0005】
また、従来技術は、前記熱圧着ヘッドから前記異方導電性フィルム(ACF)に熱伝達を行うことにより前記異方導電性フィルム(ACF)の温度を増加させるため、前記異方導電性フィルム(ACF)の温度を一定温度以上に高めるのに限界があった。
【0006】
また、従来技術は、前記熱圧着ヘッドを250〜300℃まで上昇させるために、予め前記熱圧着ヘッドを予熱するに時間がかかるという問題点があった。
【0007】
また、従来技術は、熱圧着の間、前記異方導電性フィルム(ACF)の温度を変化させるためには、前記熱圧着ヘッドの温度を変化させる必要があるため、熱圧着中に前記異方導電性フィルム(ACF)の温度を変化させることが難しく、また温度を変化させるに時間がかかるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するために、一つの電子部品に形成された接続部電極と他の一つの電子部品に形成された接続部電極との間に導電性または非導電性接着剤を位置させて、圧力と超音波振動を印加し、これらの間に位置した前記導電性または非導電性接着剤を圧着及び発熱させた後、硬化させて、前記一つの電子部品と前記他の一つの電子部品とを電気的に連結する方法を提供する。
【0009】
特に、本発明は、前記圧力と超音波振動印加時に発生する前記導電性または非導電性接着剤のストレーン(strain)を調節して、前記導電性または非導電性接着剤の自己発熱時の温度である発熱温度を容易に調節しつつ、前記一つの電子部品と前記他の一つの電子部品とを電気的に連結する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、導電性接着剤または非導電性接着剤を挟んで、第1電子部品の接続部電極の上側に第2電子部品の接続部電極を整列させる整列(配置)段階と、ホーン(horn)により、前記第2電子部品の接続部電極を通じて(介して)前記導電性接着剤または非導電性接着剤に圧力と超音波振動を印加し、前記導電性接着剤または非導電性接着剤を自己発熱させた後、硬化させて、前記第1電子部品の接続部電極と第2電子部品の接続部電極とを相互接続させる超音波接続段階と、を含み、前記超音波接続段階は、前記圧力と前記超音波振動の印加時に発生する前記接着剤のストレーン(strain)を調節して、前記接着剤の自己発熱時の温度である発熱温度を調節することを特徴とする、接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続方法に関する。
【0011】
本発明において、前記接着剤のストレーン(strain)は、前記超音波振動に所要されるパワー(power)及び前記圧力の両方を制御することにより調節できるが、前記超音波振動に所要されるパワー及び前記圧力は、コントローラーにより制御できる。
【0012】
本発明において、前記接着剤のストレーンは、前記超音波振動の振幅を制御することにより調節できるが、前記超音波振動の振幅は、コントローラーにより制御できる。
【0013】
本発明において、前記超音波振動は、前記第1電子部品の接続部電極、前記第2電子部品の接続部電極及び前記接着剤に垂直方向である縦方向振動である。
【0014】
本発明において、 前記導電性接着剤は、等方導電性接着剤または異方導電性接着剤であるが、前記異方導電性接着剤は、異方導電性フィルムまたは異方導電性ペーストであり、前記非導電性接着剤は、非導電性フィルムまたは非導電性ペーストであって、前記第1電子部品及び前記第2電子部品は、それぞれ半導体チップ、軟性基板、硬性基板、PETフィルム、またはガラス基板のいずれか一つである。
【0015】
一方、 本発明は、上記のいずれか一つの電子部品間の接続方法を行うための電子部品間の接続装置であって、前記超音波振動を発生させるコンバーターと、前記コンバーターにより発生された前記超音波振動を伝達及び増幅するように、上側が前記コンバーターに連結されるブースターと、前記超音波振動を、前記第1電子部品の接続部電極と前記第2電子部品の接続部電極との間に配置された前記導電性接着剤または前記非導電性接着剤に伝達するように、前記ブースターの下側に連結されるホーン(horn)と、前記コンバーター、ブースター及びホーン(horn)を一体に上下移動させるための手段として、油圧シリンダー、空圧シリンダー及びモーターのいずれか一つからなる上下移送手段と、前記ホーン(horn)の振動発生面が前記第1電子部品の接続部電極、前記第2電子部品の接続部電極及び前記導電性接着剤または前記非導電性接着剤に加える圧力を測定するためのロードセルと、前記コンバーターに連結されて前記コンバーターから発生される超音波の振幅を制御するか、前記コンバーターが超音波を発生するに供給されるパワー及び前記ホーンの振動発生面に加えられる圧力を制御するためのコントローラーと、を含むことを特徴とする、接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続装置に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、超音波振動による自己発熱システムを基本原理とするため、短い時間内に電子部品間の接続のための接着剤を所望の温度に維持することができ、予熱が必要なく、大きい電力を要求しない長所がある。
【0017】
また本発明は、上記のように、超音波振動による自己発熱システムを基本原理とするため、前記接着剤を所望の温度に上昇させるための予熱時間が必要なく、電子部品間の接続部電極を接続するにかかる時間を短くできる長所がある。
【0018】
さらに本発明は、超音波振動の印加時に所要されるパワー(power)とホーンが前記接着剤を圧着する圧力の両方を制御するか、前記超音波の振幅のみを制御することにより、前記接着剤の自己発熱による発熱温度を短時間内に所望の温度に調節できる長所がある。
【0019】
一方、従来技術は、熱圧着ヘッドから発生した熱が、前記接着剤の他に、熱圧着ヘッドを固定及び上下に移送させる上下移送装置などに伝達されることを遮断するための冷却ラインが必要であるが、本発明は、ホーン(horn)が常温を維持するため、このような装置が要らず、構造が簡単になる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1のフローチャートである。
【図2】図1の整列段階を説明するための状態図である。
【図3】図1の超音波接続段階S20を説明するための状態図である。
【図4】ボンディングフォース(bonding force)が60Nで一定な場合、超音波振動の印加時に所要されるパワー(power)を160W、180W及び200Wに変化させながら測定した異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度グラフである。
【図5】前記超音波振動印加時に所要されるパワーPを180に一定に維持して、前記ボンディングフォースF(bonding force)を60N、90N、120Nに変化させながら測定した異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度グラフである。
【図6】(a)は、前記ボンディングフォースF(bonding force)が80Nに一定に維持される状態で、前記超音波の振幅Aが最大振幅の10%から50%まで変化するにつれて測定された前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度グラフである。 (b)は、前記ボンディングフォースF(Bonding force)が120Nに一定に維持される状態で、前記超音波の振幅Aが最大振幅の10%から50%まで変化するにつれて測定された前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度グラフである。
【図7】実施例2の概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の一実施例について詳細に説明する。
【0022】
(実施例1)
実施例1は、本発明による接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続方法に関する。
【0023】
図1は、実施例1のフローチャートを、図2は、図1の整列段階を説明するための状態図を、図3は、図1の超音波接続段階S20を説明するための状態図を示す。
【0024】
図1を参照すると、実施例1は、整列段階S10と超音波接続段階S20を有する。
【0025】
図2を参照すると、整列段階S10では、電気的接続のための第1電子部品の接続部電極10の上側に第2電子部品の接続部電極20が配置される。ここで、第1電子部品の接続部電極10と第2電子部品の接続部電極20との間には導電性接着剤または非導電性接着剤30が配置される。一方、第2電子部品の接続部電極20上側には、第2電子部品の接続部電極20を通じて前記導電性接着剤または非導電性接着剤30に圧力及び超音波振動を印加するために、ホーン(horn)40が配置される。
【0026】
前記第1電子部品及び前記第2電子部品は、それぞれ半導体チップ、軟性基板、硬性基板、PETフィルムまたはガラス基板のいずれか一つである。
【0027】
前記導電性接着剤は、等方導電性接着剤(ICA;Isotropic Conductive Adhesive)または異方導電性接着剤(ACA;Anisotropic Conductive Adhesive)などであるが、前記異方導電性接着剤(ACA)は、異方導電性フィルム(ACF;Anisotropic Conductive Film)または異方導電性ペースト(Anisotropic Conductive Paste;ACP)などである。
【0028】
前記非導電性接着剤は、非導電性フィルム(NCF;Non-conductive Film)または非導電性ペースト(NCF;Non-conductive Paste)などである。
【0029】
以下、実施例1の場合、第1電子部品の接続部電極10と第2電子部品の接続部電極20との間に配置される前記導電性接着剤または非導電性接着剤30が異方導電性フィルム(ACF)である場合を例として説明する。
【0030】
図3を参照すると、超音波接続段階S20では、超音波発生装置のホーン(horn)40により、第2電子部品の接続部電極20を通じて前記異方導電性フィルム(ACF)に圧力と超音波振動を印加して前記異方導電性フィルム(ACF)を自己発熱させた後、硬化させて、前記第1電子部品の接続部電極10と第2電子部品の接続部電極20とを相互接続する。この際、印加される超音波振動は、縦方向振動、横方向振動、または縦方向振動と横方向振動の混合であるが、以下、前記超音波振動が、前記第1電子部品の接続部電極10、異方導電性フィルム(ACF)及び第2電子部品の接続部電極20と垂直をなす方向である縦方向振動の場合を例として説明する。
【0031】
一方、ホーン(horn)40が第2電子部品の接続部電極20下部に位置した前記異方導電性フィルム(ACF)に前記圧力及び超音波振動加えて、前記異方導電性フィルム(ACF)を自己発熱させる場合、前記異方導電性フィルム(ACF)に発生する自己発熱量をdQとすると、dQに関して下記の[数学式1]が知られている。
【0032】
[数学式1]
dQ=f(Δε)E″/2
ここで、fは、超音波の周波数を示し、Δεは、ホーン40(horn)による前記圧力と超音波振動の印加時に発生する前記異方導電性フィルム(ACF)のストレーンを示し、E″は、異方導電性フィルム(ACF)の損失弾性率(Loss modulus)を示す。
【0033】
一方、前記超音波周波数fは、ホーン40の形状などにより定められる常数であるため、超音波接続段階S20では、前記圧力と前記超音波振動の印加時に発生される前記異方導電性フィルム(ACF)のストレーン(strain)を調節して、異方導電性フィルム(ACF)の自己発熱時の温度である発熱温度を調節するようになる。以下では、前記異方導電性フィルム(ACF)のストレーン、即ち、前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度を調節する方法について説明する。
【0034】
ます、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーが前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度に及ぼす影響及び結合力(ボンディングフォース)Fが前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度に及ぼす影響について説明する。ここで、前記ボンディングフォースは、ホーン40が第2電子部品の接続部電極20を通じて前記異方導電性フィルム(ACF)を圧着する力を示す。したがって、前記ボンディングフォースは、ホーン40による前記圧力と前記圧力が加えられる前記異方導電性フィルム(ACF)の面積とを掛けた値となる。
【0035】
下記の図4、図5及び図6は、前記第1電子部品は硬性基板であり、前記第2電子部品は軟性基板であって、前記導電性または非導電性接着剤が異方導電性フィルム(ACF)である場合に対する結果グラフであるが、前記第1電子部品、前記第2電子部品及び前記異方導電性フィルム(ACF)の仕様は、下記の表1のようである。
【0036】
【表1】

【0037】
また、下記の図4、図5及び図6は、ホーン40により加えられる縦方向周波数が、図4及び図5は27kHz、図6は40kHzである場合のグラフである。
【0038】
図4は、ボンディングフォース(Bonding force)が60Nに一定な場合、前記超音波振動の印加時に所要されるパワー(power)を160W、180W及び200Wに変化させながら測定した前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度グラフを示す。
【0039】
図4を参照すると、ボンディングフォースが60Nに一定な場合、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーを160Wから200Wに変化させるにつれて、前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度は、200℃から350℃に増加することが分かる。
【0040】
図5は、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーPを180に一定に維持して、前記ボンディングフォースF(Bonding force)を60N、90N、120Nに変化させながら測定した異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度グラフを示す。
【0041】
図5を参照すると、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーPを180Wに維持した状態で、ボンディングフォース(bonding force)を60Nから120Nに増加させるにつれて、前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度は、290℃から180℃に減少することが分かる。
【0042】
一方、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーは、超音波振動により行われた仕事に直接比例する。したがって、下記の[数学式2]が成立する。
【0043】
[数学式2]
P=W×f
ここで、Pは、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーを示し、Wは、前記超音波の1回振動時に行われた仕事を示し、fは、超音波の周波数を示す。
【0044】
一方、仕事は、加えられた力と前記加えられた力方向への移動距離の積で表現されるため、下記の[数学式3]が成立する。
【0045】
[数学式3]
W=F×A
ここで、Wは、[数学式2]と同様に前記超音波の1回振動時に行われた仕事を示し、Fは、ホーン40が第2電子部品の接続部電極20を通じて前記異方導電性フィルム(ACF)を圧着する力である前記ボンディングフォースを示し、Aは、前記超音波の振幅を示す。
【0046】
したがって、[数学式3]を[数学式2]に代入すると、P=W×f=(F×A)×fであるため、下記の[数学式4]が成立する。
【0047】
[数学式4]
A=P/(Ft)
【0048】
一方、ホーン(horn)40による前記ボンディングフォースFと超音波振動の印加時に発生する前記異方導電性フィルム(ACF)のストレーンΔεに対しては、下記の[数学式5]が成立する。
【0049】
[数学式5]
Δε=A/t
ここで、tは、前記異方導電性フィルム(ACF)の厚さを示す。
【0050】
[数学式4]を[数学式5]に代入すると、下記の[数学式6]が得られる。
【0051】
[数学式6]
Δε=A/t=P/(tFf)
【0052】
次いで、[数学式6]を[数学式1]に代入すると、下記の[数学式7]が得られる。
【0053】
[数学式7]
dQ=f(Δε)E″/2=(PE″)/(2tf)
【0054】
[数学式7]から、前記ボンディングフォースFが一定な場合、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーPを増加させるにつれて、前記異方導電性フィルム(ACF)に発生する自己発熱量dQが増加することが分かるが、これは、図4のグラフと一致する。
【0055】
図4及び[数学式7]から、前記異方導電性フィルム(ACF)に発生する自己発熱量dQは、前記ボンディングフォースFが一定な場合、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーPに比例することが分かる。
【0056】
一方、[数学式7]から、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーPが一定な場合、前記ボンディングフォースFを増加させるにつれて、前記異方導電性フィルム(ACF)に発生する自己発熱量dQが減少することが分かるが、これは、図5のグラフと一致する。
【0057】
図5及び[数学式7]から、前記異方導電性フィルム(ACF)に発生する自己発熱量dQは、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーPが一定な場合、前記ボンディングフォースFに反比例することが分かる。
【0058】
したがって、図4、図5及び[数学式7]から、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーP及び前記ボンディングフォースFの両方を制御することにより、前記異方導電性フィルム(ACF)に発生する自己発熱量dQ、即ち前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度を調節できることが分かる。
【0059】
上記のように、超音波接続段階S20では、前記異方導電性フィルム(ACF)のストレーンを調節して、異方導電性フィルム(ACF)の自己発熱時の温度である発熱温度を調節するようになるが、前記異方導電性フィルム(ACF)のストレーンを調節する方法の一例として、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーPと前記ボンディングフォースFの両方を制御する方法を選択することができる。この場合、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーPと前記ボンディングフォースFは、コントローラーにより、所望の値を有するように容易に制御できる。即ち、前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度が一定な温度を維持できるように、前記パワーPと前記ボンディングフォースFを制御する必要があるが、前記パワーPと前記ボンディングフォースFは、コントローラーにより制御できる。
【0060】
以下では、前記超音波の振幅が前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度に及ぼす影響について説明する。
【0061】
図6(a)は、前記ボンディングフォースF(bonding force)が80Nに一定に維持される状態で、前記超音波の振幅Aが最大振幅の10%から50%まで変化するにつれて測定された前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度グラフを示し、図6(b)は、前記ボンディングフォースF(Bonding force)が120Nに一定に維持される状態で、前記超音波の振幅Aが最大振幅の10%から50%まで変化するにつれて測定された前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度グラフを示す。ここで、前記超音波の最大振幅は、20μmである。
【0062】
図6(a)及び(b)を参照すると、前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度は、前記超音波の振幅Aが増加するにつれて、70℃から270℃に増加することが分かる。また、前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度は、他の変数に係わらず非常に急激に増加して、速い時間内に安定した高平部をなすことが分かる。即ち、前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度は、前記ボンディングフォースFに係わらず、前記超音波の振幅Aのみにより制御されることが分かる。
【0063】
一方、[数学式5]を[数学式1]に代入すると、下記の[数学式8]が得られる。
[数学式8]
dQ=f(Δε)E″/2=(AfE″)/(2t)
【0064】
[数学式8]を参照すると、特定な厚さの異方導電性フィルム(ACF)に対して、前記異方導電性フィルム(ACF)に発生する自己発熱量dQは、単に前記超音波の振幅Aのみに依存することが分かる。即ち、前記dQは、前記ボンディングフォースFに係わらず、前記超音波の振幅Aのみにより制御されることが分かる。これは、図6(a)及び(b)のグラフと一致する。
【0065】
一方、これは、前記dQまたは前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度を、前記パワーPと前記ボンディングフォースFを通じて制御する場合と区別される。前記dQまたは前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度を、前記パワーPと前記ボンディングフォースFを通じて制御する場合は、前記Pと前記Fが両方とも前記dQの制御変数であるため、前記Pと前記Fのいずれか一つのみを制御すると、目標とする発熱温度を達成することができなくなる問題点がある。
【0066】
上記のように、超音波接続段階S20では、前記異方導電性フィルム(ACF)のストレーンを調節して、異方導電性フィルム(ACF)の自己発熱時の温度である発熱温度を調節するようになるが、前記異方導電性フィルム(ACF)のストレーンを調節する方法の他の一例として、前記超音波の振幅Aのみを制御する方法を選択することができる。この場合も同様に、前記超音波の振幅Aは、PIDコントローラーにより、所望の値を有するように容易に制御できる。即ち、前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度が一定な温度を維持できるように、前記超音波の振幅Aを制御する必要があるが、前記超音波の振幅Aは、コントローラーにより制御できる。
【0067】
従来技術は、熱圧着ヘッドから発生した熱が、前記異方導電性フィルム(ACF)の他に、熱圧着ヘッドを固定及び上下に移送させる上下移送装置などに伝達されることを遮断するための冷却ラインが必要であるが、上記の一実施例の場合、前記ホーン40が常温を維持するため、このような装置が不要で、構造が簡単になる長所がある。また、従来技術は、熱圧着ヘッドから接着剤への熱伝達による熱伝達システムを基本原理とするため、熱圧着ヘッドを予め予熱して高温に維持するために大きい電力が要求されるが、上記の一実施例は、超音波振動による自己発熱システムを基本原理とするため、短時間内に前記接着剤を所望の温度に維持することができ、予熱が不要で、大きい電力を要求しない。また、従来技術は、上記のように熱伝達システムを基本原理とするため、予熱が必要であって、予熱のための時間がかかり、電子部品間の接続部電極を接続するために多い時間がかかってしまう短所があるが、上記の一実施例は、上記のように超音波振動による自己発熱システムを基本原理とするため、予熱が不要で、これにより、前記発熱温度達成のための準備時間が短く、電子部品間の接続部電極を接続する時間が短くなる長所がある。
【0068】
一方、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーPと前記ボンディングフォースFが同一であるか、前記超音波の振幅Aが同一な場合も、前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度は、第1電子部品の接続部電極10と第2電子部品の接続部電極20との間に新たに配置される前記異方導電性フィルム(ACF)の面積や形状などによって変わる。この場合、上記の一実施例は、前記超音波振動の印加時に所要されるパワーPと前記ボンディングフォースFの両方を制御するか、前記超音波の振幅Aのみを制御することにより、新たに変わった前記異方導電性フィルム(ACF)の発熱温度を短時間内に調節できる長所がある。
【0069】
(実施例2)
実施例2は、実施例1を行うための、接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続装置に関する。
【0070】
図7は、実施例2の概略的な斜視図を示す。
【0071】
図7を参照すると、実施例1は、ヘッドユニット100を有する。ヘッドユニット100は、ヘッドユニットプレート110、コンバーター120、ブースター130及びホーンを有する。
【0072】
図7を参照すると、コンバーター120は、ヘッドユニットプレート110に固定される。コンバーター120は、超音波振動を発生させる装置である。
【0073】
図7を参照すると、ブースター130は、ヘッドユニットプレート110に固定されるが、コンバーター120により発生された超音波振動を伝達及び増幅させるように、上側がコンバーター120の下側に連結される。
【0074】
図7を参照すると、ホーン140は、コンバーター120から超音波振動が伝達されるように、上側がコンバーター120の下側に一体に連結される。ホーン140は、コンバーター120から伝達された超音波振動を、実施例1で説明した前記導電性接着剤または前記非導電性接着剤に伝達するための装置である。前記導電性接着剤または前記非導電性接着剤は、前記第1電子部品の接続部電極と第2電子部品の接続部電極とを相互接続させるために、その間に配置される接着剤である。
【0075】
図7を参照すると、実施例2は、支持プレート200を有する。支持プレート200には、上下移送手段210が固定される。上下移送手段210は、ヘッドユニット100を上下に移送させるための移送手段であって、油圧シリンダー、空圧シリンダー及びモーターのいずれか一つである。したがって、 上下移送手段210は、フローティングジョイント(floating joint)214を通じてヘッドユニットプレート110に連結されることにより、コンバーター120、ブースター130及びホーン140を一体に上下移動させることができる。
【0076】
図7を参照すると、ヘッドユニットプレート110にはロードセル220が設けられて、支持プレート200にはロードセル接触部220が設けられる。ロードセル接触部220は、ロードセル200が下部に移動することによりロードセル200と接触し、ホーン140の振動発生面が前記第1電子部品の接続部電極、前記第2電子部品の接続部電極、及び前記導電性接着剤または前記非導電性接着剤に加える圧力を測定するためのものである。
【0077】
図7を参照すると、実施例1は、コントローラー300を有する。コントローラー300は、コンバーター120及びロードセル220に回路的に連結される。コントローラー300は、コンバーター120に連結されて、コンバーター120から発生される超音波の振幅を制御するか、コンバーター120が超音波を発生するに供給されるパワーを制御して、ホーン140の振動発生面が前記第1電子部品の接続部電極、前記第2電子部品の接続部電極、及び前記導電性接着剤または前記非導電性接着剤に加える圧力を制御するためのものである。一方、コントローラー300は、ホーン140の振動発生面に加えられる圧力を入力してもらうために、ロードセル150に回路的に連結される。コントローラー300は、PIDコントローラーである。
【0078】
符号230は、前記第1電子部品の接続部電極と前記第2電子部品の接続部電極とが前記導電性接着剤または前記非導電性接着剤を挟んで整列される接続部電極整列板を示す。接続部電極整列板230は、支持プレート200に固定される。
【0079】
一方、実施例2の図7に示されたように、ロードセル200は、接続部電極整列板230に設けることができる。この場合、ロードセル接触部220は、ヘッドユニットプレート110の下端部に突設されて、ヘッドユニット100の下部移動時、ロードセル200に接触できる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、超音波振動の印加時に所要されるパワー(power)とホーンが前記接着剤を圧着する圧力の両方を制御するか、前記超音波の振幅のみを制御することにより、前記接着剤の自己発熱による発熱温度を短時間内に所望の温度に調節できるなどの長所があるため、半導体チップまたは基板などの電子部品に形成された接続部電極を相互連結するに広く使用できる。
【符号の説明】
【0081】
10 第1電子部品の接続部電極
20 第2電子部品の接続部電極
30 導電性または非導電性接着剤
40 ホーン(horn)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性接着剤または非導電性接着剤を挟んで、第1電子部品の接続部電極の上側に第2電子部品の接続部電極を整列させる整列段階と、
ホーン(horn)により、前記第2電子部品の接続部電極を通じて前記導電性接着剤または非導電性接着剤に圧力と超音波振動を印加し、前記導電性接着剤または非導電性接着剤を自己発熱させた後、硬化させて、前記第1電子部品の接続部電極と第2電子部品の接続部電極とを相互接続させる超音波接続段階と、
を含み、
前記超音波接続段階は、前記圧力と前記超音波振動の印加時に発生する前記接着剤のストレーン(strain)を調節して、前記接着剤の自己発熱時の温度である発熱温度を調節することを特徴とする、接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続方法。
【請求項2】
前記接着剤のストレーン(strain)は、前記超音波振動に所要されるパワー(power)及び前記圧力の両方を制御することにより調節されることを特徴とする、請求項1に記載の接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続方法。
【請求項3】
前記接着剤のストレーンは、前記超音波振動の振幅を制御することにより調節されることを特徴とする、請求項1に記載の接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続方法。
【請求項4】
前記超音波振動に所要されるパワー及び前記圧力は、コントローラーにより制御されることを特徴とする、請求項2に記載の接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続方法。
【請求項5】
前記超音波振動の振幅は、コントローラーにより制御されることを特徴とする、請求項3に記載の接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続方法。
【請求項6】
前記超音波振動は、前記第1電子部品の接続部電極、前記第2電子部品の接続部電極及び前記接着剤に垂直方向である縦方向振動であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続方法。
【請求項7】
前記導電性接着剤は、等方導電性接着剤または異方導電性接着剤であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続方法。
【請求項8】
前記異方導電性接着剤は、異方導電性フィルムまたは異方導電性ペーストであることを特徴とする、請求項7に記載の接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続方法。
【請求項9】
前記非導電性接着剤は、非導電性フィルムまたは非導電性ペーストであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続方法。
【請求項10】
前記第1電子部品及び前記第2電子部品は、それぞれ半導体チップ、軟性基板、硬性基板、PETフィルム、またはガラス基板のいずれか であることを特徴とする、 請求項1乃至5のいずれかに記載の接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続方法。
【請求項11】
請求項1乃至5のいずれかに記載の電子部品間の接続方法を行うための電子部品間の接続装置であって、
前記超音波振動を発生させるコンバーターと、
前記コンバーターにより発生された前記超音波振動を伝達及び増幅するように、上側が前記コンバーターに連結されるブースターと、
前記超音波振動を、前記第1電子部品の接続部電極と前記第2電子部品の接続部電極との間に配置された前記導電性接着剤または前記非導電性接着剤に伝達するように、前記ブースターの下側に連結されるホーン(horn)と、
前記コンバーター、ブースター及びホーン(horn)を一体に上下移動させるための手段として、油圧シリンダー、空圧シリンダー及びモーターのいずれかからなる上下移送手段と、
前記ホーン(horn)の振動発生面が前記第1電子部品の接続部電極、前記第2電子部品の接続部電極及び前記導電性接着剤または前記非導電性接着剤に加える圧力を測定するためのロードセルと、
前記コンバーターに連結されて前記コンバーターから発生される超音波の振幅を制御するか、前記コンバーターが超音波を発生するに供給されるパワー及び前記ホーンの振動発生面に加えられる圧力を制御するためのコントローラーと、
を含むことを特徴とする、接着剤の発熱温度調節による電子部品間の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−505710(P2011−505710A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537876(P2010−537876)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【国際出願番号】PCT/KR2009/000056
【国際公開番号】WO2010/055970
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(596071752)コリア アドバンスト インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (60)
【Fターム(参考)】