説明

接着剤組成物、それを用いた銅張り積層板、カバーレイフィルムおよび接着剤シート

【課題】接着性および絶縁信頼性に優れた接着剤組成物、それを用いた銅張り積層板、カバーレイフィルムおよび接着剤シートを提供すること。
【解決手段】フェノキシ樹脂、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエン変性エポキシ樹脂および硬化剤を含有することを特徴とする接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤組成物、それを用いた銅張り積層板、カバーレイフィルムおよび接着剤シートに関する。
【背景技術】
【0002】
電気・電子機器印刷回路基板に用いられる積層板の代表例として、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuits、以下、FPCということがある)が挙げられる。FPCは、銅張り積層板(以下、CCLということがある)、カバーレイフィルム(以下、CLということがある)で構成される。CCLには、例えば、銅箔、ポリイミドベースフィルム、エポキシ系熱硬化型接着剤層の3種の層で構成される安価な3層タイプと、ポリイミドベースフィルムと同質のポリイミド系接着剤を有した3層タイプ、さらには接着剤層を有しない2層タイプがある。また、CLはCCLの銅配線を保護する目的で積層されるものであり、例えば、ポリイミドベースフィルム、エポキシ系熱硬化型接着剤層および剥離可能な保護フィルムで構成される。また、リジット基板等への接続のために、FPCにコネクターを形成する場合がある。コネクターには、差し込み性、電気接続性を確保するために撓まない程度の強度が必要とされ、FPCに金属板あるいは厚手のプラスチックフィルム等を用いた補強板を、接着剤層と剥離可能な保護フィルムを有する接着剤シートを用いて貼り合せることが一般的である。柔軟性に富み、優れた屈曲性を有するFPC材料は、HDD、CD、DVD、携帯電話、各種電子機器のヒンジ部等、可動部分の基板として好適であり、これら電気・電子機器の小型化、軽量化、省スペース化にとって必要不可欠な存在となっている。
【0003】
このような接着剤層に用いられる接着剤組成物として、これまでにカルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴムとエポキシ樹脂、硬化剤を含む接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴムを含む接着剤組成物は可撓性に優れ、接着性が高いという利点がある。しかしながら、特に高温・高湿条件下における絶縁信頼性(耐マイグレーション性)が十分ではなかった。これに対し、エポキシ樹脂、硬化剤、フェノキシ樹脂、ゴム成分および硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)、リン原子を含有したフェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、カルボキシル基含有ブタジエンゴム、硬化剤、硬化促進剤、金属水酸化物および無機質充填剤を含む接着剤組成物(例えば、特許文献3)が提案されている。フェノキシ樹脂を含む接着剤組成物は、硬化物のガラス転移温度が高く、絶縁信頼性に優れる一方、接着性が不十分であるという課題がある。
【特許文献1】特開平7−316525号公報
【特許文献2】特開2003−286390号公報
【特許文献3】特開2003−292927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴムを含む接着剤組成物およびフェノキシ樹脂を含む接着剤組成物のそれぞれの特徴を活かすためには、これらを混合することが考えられる。しかしながら、これらを混合すると非相溶化し、均一な接着剤層を形成することが困難であった。本発明は、接着性および絶縁信頼性に優れた接着剤組成物、それを用いた銅張り積層板、カバーレイフィルムおよび接着剤シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、フェノキシ樹脂、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエン変性エポキシ樹脂および硬化剤を含有することを特徴とする接着剤組成物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、これまで両立することが難しかった高接着力、高絶縁信頼性を有する接着剤組成物を得ることができる。さらに、本発明の接着剤組成物を用いて高接着力、高絶縁信頼性を有する銅張り積層板、カバーレイフィルム、および接着剤シートを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の詳細について説明する。本発明の接着剤組成物は、フェノキシ樹脂、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエン変性エポキシ樹脂および硬化剤を含有する。フェノキシ樹脂およびカルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴムの熱可塑性樹脂は、接着性、可とう性、熱応力の緩和、低吸水性による絶縁性の向上等の機能を有する。カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエン変性エポキシ樹脂は、硬化剤と反応することにより、耐熱性、高温での絶縁信頼性、耐薬品性、接着剤層の強度等の物性バランスを実現することができる。
【0008】
本発明に用いられるフェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、リン化合物で変性されたリン含有フェノキシ樹脂が挙げられる。また、これらを2種以上含有してもよい。得られる接着剤組成物の耐熱性、柔軟性の点から、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂が好ましく用いられる。具体的には、「“フェノトート”YP−50」(東都化成株式会社、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、商品名)、「1256B40」(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、商品名)、「4256H40」(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、商品名)などとして入手することができる。
【0009】
一般に、フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂、硬化剤を混合した接着剤組成物は、フェノキシ樹脂の架橋反応によって形成される柔軟構造の直鎖状高分子鎖の架橋物と、エポキシ樹脂の硬化反応によって形成される剛直構造の三次元硬化物とが適度に絡み合い、高弾性率・高Tg・高絶縁性の膜を得ることができる。しかしながら、一方で被着材に対する接着性が低下してしまう傾向が強かった。
【0010】
これに対して本発明の接着剤組成物は、接着性を付与する成分として、カルボキシル基を含有するアクリロニトリルブタジエンゴム(以下、NBR−Cという)を含有する。NBR−Cの例としては、アクリロニトリルとブタジエンを約10/90〜50/50のモル比で共重合させた共重合ゴムの末端基をカルボキシル化したもの、あるいはアクリロニトリル、ブタジエンとアクリル酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有重合性単量体の三元系共重合ゴム等が挙げられる。具体的には、「PNR−1H」(JSR株式会社製、商品名)、「“ニポール”(登録商標)1072J」、「“ニポール”(登録商標)DN612」、「“ニポール”(登録商標)DN631」(以上、日本ゼオン株式会社製、商品名)等が挙げられる。
【0011】
本発明の接着剤組成物において、NBR−Cの含有量は、フェノキシ樹脂100重量部に対して20重量部以上100重量部以下が好ましい。20重量部以上であると接着力と靭性がより向上する。100重量部以下であると絶縁信頼性をより高く保つことができる。
【0012】
本発明の接着剤組成物は、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエン変性エポキシ樹脂(以下、CTBN変性エポキシ樹脂という)を含有することを特徴とする。従来、フェノキシ樹脂とNBR−Cを含む接着剤組成物を得るために両者を混合・撹拌すると、非相溶化して均一な組成物を得ることが困難であり、均一な接着剤層を形成することができなかった。本発明においては、CTBN変性エポキシ樹脂を含有することにより、フェノキシ樹脂とNBR−Cを相溶化させ、均一な接着剤組成物を得ることができ、これを用いて均一な接着剤層を容易に形成することが可能となる。なお、本発明においては、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンに由来する構造を有する成分のうち、エポキシ基を2個以上有するものは(NBR−C)ではなくCTBN変性エポキシ樹脂に分類するものとする。
【0013】
CTBN変性エポキシ樹脂は、具体的には、変性量などで各種存在するが、「TSR−601」、「TSR−960」(ともに大日本インキ化学工業製、商品名)などとして入手することができる。これらを2種以上含有してもよい。
【0014】
CTBN変性エポキシ樹脂の含有量は、フェノキシ樹脂100重量部に対して5重量部以上150重量部以下が好ましい。5重量部以上であるとフェノキシ樹脂とNBR−Cの相溶化効果がより向上する。150重量部以下であると絶縁信頼性をより高く保つことができる。
【0015】
本発明に用いられる硬化剤は、特に限定されるものではないが、例えば、芳香族ポリアミンである3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4,4’−トリアミノジフェニルスルホンなどやフェノールノボラック樹脂、ジシアンジアミド、酸無水物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0016】
硬化剤の含有量は、硬化剤の活性水酸基数(Hhとする)とエポキシ樹脂のエポキシ基数(Eとする)の比率(Hh/E)が0.1から1.8の範囲となることが好ましい。ここで、エポキシ樹脂のエポキシ基数とは、CTBN変性エポキシ樹脂のエポキシ基の数を指すが、後述する他のエポキシ樹脂が含まれる場合にはこれも含むものとする。
【0017】
本発明の接着剤組成物は、難燃剤としてハロゲンを用いない場合、上記各成分に加えて、リン系難燃剤を含有することが好ましい。リン系難燃剤としては、特に限定されないが、リン酸エステル金属塩、ホスファゼン化合物、有機リン酸エステル化合物、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドやその誘導体などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。中でも、リン酸エステル金属塩および/またはホスファゼン化合物を含有することが好ましい。リン酸エステル金属塩は、リン含有率が比較的高い上に、分解温度が高いことから、難燃性がより高く、また、加工時の圧力や熱などによるブリードアウト現象が起こり難い。ホスファゼン化合物は、リンだけでなく窒素も含有しているために、相乗効果によって難燃性がより高くなる効果がある。
【0018】
リン酸エステル金属塩としては、「OP935」(クラリアント株式会社製、商品名)などが上市されている。
【0019】
ホスファゼン化合物としては、一般式(I)で表されるシクロホスファゼン化合物が好適に用いられる。
【0020】
【化1】

【0021】
ただし、RおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子または有機基である。またnは3から10の整数である。一般式(I)中のRおよびRの有機基としては、例えばフェノキシ基、アルコキシル基、アリル基などが挙げられる。
【0022】
具体例として、RおよびRがフェノキシ基である、「SPB−100」(大塚化学株式会社製、商品名)などとして入手することができる。
【0023】
有機リン酸エステル化合物としては、例えば、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、トリキシレニルホスフェイト、クレジルジフェニルホスフェイト、キシレニルジフェニルホスフェイト、レゾルシノール−ビス−(ジフェニルホスフェイト)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェイト、トリアリルホスフェイト、縮合リン酸エステル、これらの誘導体などが挙げられる。
【0024】
リン系難燃剤の含有量は、接着剤組成物中の樹脂成分全体100重量部に対して、難燃性の観点から0.3重量部以上が好ましい。ここで、樹脂成分とはフェノキシ樹脂、NBR−C、CTBN変性エポキシ樹脂を指し、後述する他の樹脂が含まれる場合にはこれも含むものとする。
【0025】
本発明の接着剤組成物は、エポキシ樹脂として、前述のCTBN変性エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を含有してもよい。エポキシ基を2個以上含むものであれば、その種類は特に限定されないが、例えば、汎用の非臭素化エポキシ樹脂およびリン含有エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0026】
汎用の非臭素化エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエンジフェノール等のジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェニロールメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でもノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、難燃性をより向上させることができる。
【0027】
リン含有エポキシ樹脂としては特に限定されるものではないが、例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドやその誘導体と、1,4−ベンゾキノン、1,2−ベンゾキノン、トルキノン、1,4−ナフトキノン等が反応して得られる化合物に、エポキシ樹脂を予め反応させたもの等が挙げられる。
【0028】
本発明の接着剤組成物中のリン含有量は、難燃性をより向上させるために0.5重量%以上が好ましい。特に高い難燃性が要求されるCCL用途には5.0重量%以上が好ましい。リン含有量は、一般的には元素分析等の方法で測定することができる。
【0029】
本発明の接着剤組成物に難燃剤としてリン酸エステル金属塩を用いた場合、接着剤中にフィラーとして存在するリン酸エステル金属塩はアルカリ水溶液に溶出しやすくなる傾向がある。このため、接着剤組成物は硬化促進剤および/またはシラン系カップリング剤を含有することが好ましく、エポキシ樹脂のマトリックスをより緻密にしてリン酸エステル金属塩の溶出を抑えることができる。
【0030】
硬化促進剤としては、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体などの三フッ化ホウ素のアミン錯体、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸などの有機酸などが挙げられる。これらを単独または2種以上用いてもよい。硬化促進剤の含有量は、硬化促進剤の活性水酸基数(Hcとする)とエポキシ樹脂のエポキシ基数(Eとする)の比率(Hc/E)が0.1から0.5の範囲となることが好ましい。ここで、エポキシ樹脂のエポキシ基数とは、CTBN変性エポキシ樹脂のエポキシ基の数を指すが、前述した他のエポキシ樹脂が含まれる場合にはこれも含むものとする。
【0031】
シラン系カップリング剤としては、アミノシラン、エポキシシラン、ビニルシランなどが挙げられる。これらの中でもアミノシランが好ましく、リン酸エステル金属塩のアルカリ水溶液への溶出を抑える効果をより高めることができる。シラン系カップリング剤の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して1.0から7.0重量部の範囲が好ましい。ここで、エポキシ樹脂とは、CTBN変性エポキシ樹脂を指すが、前述した他のエポキシ樹脂が含まれる場合にはこれも含むものとする。シラン系カップリング剤の含有量を1.0重量部以上とすることで、リン酸エステル金属塩のアルカリ水溶液への溶出をより抑えることができ、7.0重量部以下とすることで、接着力をより高いレベルで維持することができる。
【0032】
本発明の接着剤組成物は、必要に応じて無機粒子剤を含有してもよい。無機粒子剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カルシウム・アルミネート水和物等の金属水酸化物、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の金属酸化物が挙げられ、これらを単独または2種以上用いてもよい。無機粒子剤の平均粒子径は透明性と分散安定性を考慮すると、0.2〜5μmが好ましい。また、以上の成分以外に、接着剤の特性を損なわない範囲で酸化防止剤、イオン捕捉剤、窒素系難燃剤(メラミン変性フェノール樹脂等)などの有機、無機成分を含有することは何ら制限されるものではない。
【0033】
本発明の接着剤組成物は、例えば、上記各成分を有機溶剤で溶解した後、有機溶剤を除去することによって得ることができる。有機溶剤は特に限定されないが、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン系極性溶剤が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0034】
本発明の銅張り積層板は、絶縁性フィルム、前記接着剤組成物から形成される接着剤層および銅箔をこの順に有する。各層の厚みは、例えば片面CCLの場合、絶縁フィルム(10〜125μm)/接着剤層(5〜20μm)/銅箔(9〜35μm)が好ましく、また両面CCLの場合、銅箔(9〜35μm)/接着剤層(5〜20μm)/絶縁フィルム(10〜125μm)/接着剤層(5〜20μm)/銅箔(9〜35μm)が好ましい。
【0035】
絶縁性フィルムとしては、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックフィルムが挙げられる。これらから選ばれる複数のフィルムを積層して用いても良い。また必要に応じて、加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施すことができる。また銅箔としては、一般的には圧延銅箔、電解銅箔等を用いることができる。
【0036】
次に、本発明のCCLの製造方法について説明する。例えば、予め接着剤組成物を有機溶剤で適当な固形分濃度に調整してワニスとし、これをリバースロールコーター、コンマコーター、スリットダイコーター等を用いて絶縁性フィルムの片面側に塗布する。この接着剤付き絶縁性フィルムをインラインドライヤーに通して、50〜200℃で1〜30分間加熱処理して、ワニス中の有機溶剤を除去し、接着剤組成物を半硬化状態とする。さらに接着剤面と銅箔を、温度70〜150℃、圧力1〜5MPaの条件で熱ラミネートする。その後、必要に応じてアフターキュアを行い、CCLとする。
【0037】
本発明のカバーレイフィルムは、絶縁性フィルム、前記接着剤組成物から形成される接着剤層および剥離可能な保護フィルムをこの順に有する。各層の厚みは、例えば、絶縁性フィルム(10〜125μm)/接着剤層(10〜35μm)/剥離可能な保護フィルム(12.5〜125μm)である。
【0038】
絶縁性フィルムとしては、CCLにおける絶縁性フィルムとして例示したものを挙げることができる。また、剥離可能な保護フィルムとしては、CLの形態を損なうことなく剥離できれば特に限定されないが、例えば、シリコーンあるいはフッ素化合物のコーティング処理を施したポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、およびこれらをラミネートした紙が挙げられる。
【0039】
次に、本発明のCLの製造方法について説明する。例えば、予め接着剤組成物を有機溶剤で適当な固形分濃度に調整してワニスとし、これをリバースロールコーター、コンマコーター、スリットダイコーター等を用いて絶縁性フィルムの片面側に塗布する。この接着剤付き絶縁性フィルムをインラインドライヤーに通して、50〜200℃で1〜30分間加熱処理して、ワニス中の有機溶剤を除去し、接着剤組成物を半硬化状態とする。さらに接着剤面側に保護フィルムを、温度20〜80℃、圧力1〜5MPaの条件で熱ラミネートする。その後、硬化度を調整するために、必要に応じて熱処理を行い、CLとする。
【0040】
本発明の接着剤シートは、前記接着剤組成物から形成される接着剤層の両面に剥離可能な保護フィルムを有する。各層の厚みは、剥離可能な保護フィルム(12.5〜125μm)/接着剤層(10〜35μm)/剥離可能な保護フィルム(12.5〜125μm)である。保護フィルムとしては、CLにおける保護フィルムとして例示したものを挙げることができる。
【0041】
次に、本発明の接着剤シートの製造方法について説明する。例えば、予め接着剤組成物を有機溶剤で適当な固形分濃度に調整してワニスとし、これをリバースロールコーター、コンマコーター、スリットダイコーター等を用いて保護フィルムの剥離可能な面に塗布する。この接着剤付き保護フィルムをインラインドライヤーに通して、50〜200℃で1〜30分間加熱処理して、ワニス中の有機溶剤を除去し、接着剤組成物を半硬化状態とする。さらに接着剤面側と保護フィルムの剥離可能な面とを、温度20〜80℃、圧力1〜5MPaの条件で熱ラミネートする。その後、硬化度を調整するために、必要に応じて熱処理を行い、接着剤シートとする。
【0042】
本発明の接着剤組成物、銅張り積層板、カバーレイフィルム、接着剤シートの用途は特に限定されるものではなく、電子機器、半導体集積回路接続用基板、半導体装置に好適に使用することができる。例えばFPC、テープオートメーティッドボンディング(TAB)用途、各種パーケージ用途(CSP、BGA)などが挙げられる。
【実施例】
【0043】
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例の説明に入る前に評価の方法について述べる。
【0044】
A.評価用サンプル作製方法(片面CCL)
12.5μm厚のポリイミドフィルム“カプトン”(登録商標)50EN(東レ・デュポン株式会社製、商品名)に、接着剤溶液をバーコーターで塗布し、150℃5時間で加熱硬化して、10μm厚の接着剤層を形成した。次に接着剤層に1/3ozの電解銅箔(三井金株式会社製、3EC−M3S−HTE箔、12μm厚)の非光沢面を合わせ、130℃、3MPaでラミネートした後、熱風循環式エアーオーブンで150℃、5時間の熱処理を行って、接着剤層の硬化度が90%以上である片面CCLを作製した。
【0045】
B.評価用サンプル作製方法(両面CCL)
前記Aに記載の方法で得られた片面CCLのポリイミドフィルム面に、さらに接着剤溶液をバーコーターで塗布し、150℃5時間で加熱硬化して、10μm厚の接着剤層を形成した。接着剤層に1/3ozの電解銅箔(三井金属(株)製、3EC−M3S−HTE箔、12μm厚)の非光沢面を合わせ、前記Aと同様の条件でラミネートした。これを熱風循環式エアーオーブンで150℃、5時間の熱処理を行って、接着剤層の硬化度が90%以上である両面CCLを作製した。
【0046】
C.評価用サンプル作製方法(CL)
12.5μm厚のポリイミドフィルム“カプトン”(登録商標)50EN(東レ・デュポン株式会社製、商品名)に、接着剤溶液をバーコーターで乾燥厚さ約25μmになるように塗布し、150℃5分間乾燥し、接着剤層を形成した。次に、接着剤層にシリコーン離型剤で処理した厚さ25μmのポリエステルフィルムを130℃、10N/cm、5m/分の条件で熱ラミネートしてCLを作製した。
【0047】
D.塗工性(接着剤膜面の状態)評価方法
上記AおよびCに記載の方法において接着剤層を形成したとき、接着剤層表面を目視で確認し、ムラの有無を判定した。ムラが無い場合を「優」、ムラが有る場合を「劣」と表記する。
【0048】
E.常態接着力評価方法
JIS−C6481(1996)に準拠して行った。常態接着力は、好ましくは10N/cm以上である。
(CCLの場合)
上記Aに記載の方法で作製した片面CCLサンプルの銅箔をエッチングして2mm幅の銅箔パターンを作製した。テンシロンを用いて2mm幅の銅箔のみを90度方向に引き剥がした場合の強度を測定し、常態接着力とした(引張速度:50mm/分)。
(CLの場合)
東レ株式会社製、片面2層CCL「9A1ETP30」(“カプトン”(登録商標)50EN(東レ・デュポン株式会社製、商品名、12.5μm)、USLP(日本電解株式会社製、商品名、1/3oz))の銅箔面に、上記Cに記載の方法で作製したCLのポリエステルフィルムを剥離して露出した接着剤層を合わせ、160℃、4MPa、60分間プレス貼り付けを行った。得られた積層体のカバーレイ側のポリイミドフィルム表面に2mm幅の切れ込みをカッターで入れ、テンシロンを用いてポリイミドフィルムのみを90度方向に引き剥がした場合の強度を測定し、常態接着力とした(引張速度:50mm/分)。
【0049】
F.半田耐熱性評価方法
JIS−C6481(1996)に準拠した方法で行った。半田耐熱性としては、好ましくは260℃以上、より好ましくは280℃以上である。
(CCLの場合)
上記Aに記載の方法で作製した片面CCLサンプルを20mm角にカットし、40℃、90%RHの雰囲気下で24時間調湿した後、すみやかに所定の温度の半田浴上に30秒間浮かべ、ポリイミドフィルムの膨れおよび剥がれのない最高温度を測定した。
(CLの場合)
上記Eの(CLの場合)と同様の方法で、片面2層CCLとCLを用いて積層体を得た。得られた積層体を20mm角にカットし、40℃、90%RHの雰囲気下で24時間調湿した後、すみやかに所定の温度の半田浴上に30秒間浮かべ、ポリイミドフィルムの膨れおよび剥がれのない最高温度を測定した。
【0050】
G.難燃性評価方法
(CCLの場合)
上記Bに記載の方法で作製した両面CCLの銅箔を両面全面エッチングしたサンプルを作製し、UL94V−0に準拠して測定した。
(CLの場合)
東レ株式会社製、両面2層CCL「9A2ETP33」(“カプトン”(登録商標)50EN(東レ・デュポン株式会社製、商品名、12.5μm)、USLP(日本電解株式会社製、商品名、1/3oz))の銅箔を両面全面エッチングしたサンプルを作製した。これに上記Cに記載の方法で作製したCLのポリエステルフィルムを剥離して露出した接着剤層を合わせ、160℃、4MPa、60分間プレス貼り付けを行った。得られた積層体の難燃性をUL94V−0に準拠して測定した。
【0051】
H.耐マイグレーション性評価方法
(CCLの場合)
上記Aに記載の方法で作製した片面CCLに、75μmピッチの櫛形パターンをエッチングにより形成した。85℃、85%RHの恒温高湿装置内で、DC50Vの電圧を連続印加し、1000時間後の抵抗値R1000を測定した。
(CLの場合)
東レ株式会社製、片面2層CCL「9A1ETP30」(“カプトン”(登録商標)50EN(東レ・デュポン株式会社製、商品名、12.5μm)、USLP(日本電解株式会社製、商品名、1/3oz))に、75μmピッチの櫛形パターンをエッチングにより形成した。このパターン上に、上記Cに記載の方法で作製したCLのポリエステルフィルムを剥離して露出した接着剤層を合わせ、160℃、4MPa、60分間プレス貼り付けを行った。得られた積層体に、85℃、85%RHの恒温高湿装置内で、DC50Vの電圧を連続印加し、1000時間後の抵抗値R1000を測定した。
【0052】
I.耐アルカリ性評価方法
(CCLの場合)
上記Aに記載の方法で作製した片面CCLの銅箔を塩化第二鉄でエッチングし、次に50℃、10重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬した。処理前後のサンプルについて、ヘイズメーター(スガ試験機(株)製、型番HGM−2DP)で全光線透過率を測定し、次式で定義される変化率を求めた。
全光線透過率の変化率=(処理前の全光線透過率−処理後の全光線透過率)/処理前の全光線透過率
(CLの場合)
上記Cに記載の方法で作製したCLのポリエステルフィルムを剥離したものを、50℃、10重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬した。処理前後のサンプルについて、ヘイズメーターで全光線透過率を測定し、前記式で定義される変化率を求めた。
【0053】
アルカリ処理により難燃剤が溶出した場合、アルカリ処理後に接着剤層に空隙が生じて白色化現象が観察される。全光線透過率の変化率が25%以上であると、白色化現象が顕著であるといえる。
【0054】
実施例1
フェノキシ樹脂として、「YP50」(東都化成株式会社製、商品名、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂)100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」(JSR株式会社製、商品名)50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」(大日本化学工業株式会社製、商品名)30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)80重量部、リン系難燃剤として、「SPB−100」(大塚化学株式会社製、商品名、ホスファゼン化合物)200重量部、硬化剤として、「DICY7」(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)6重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」(四国化成工業株式会社製、商品名)2重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤組成物の溶液(接着剤溶液)を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0055】
実施例2
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、リン系難燃剤として、「OP935」(クラリアントジャパン株式会社製、商品名、リン酸エステル金属塩)100重量部、硬化剤として、「DICY7」6重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」2重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0056】
実施例3
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」30重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」70重量部、リン系難燃剤として、「OP935」80重量部、硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)15重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0057】
実施例4
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」100重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」50重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、リン系難燃剤として、「OP935」120重量部、硬化剤として、「DICY7」7重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」2重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0058】
実施例5
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」20重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」15重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、リン系難燃剤として、「OP935」80重量部、硬化剤として、「DICY7」5重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」2重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0059】
実施例6
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、リン含有エポキシ樹脂として、「EXA−9710」(大日本化学工業株式会社製、商品名、リン含有率3重量%)50重量部、リン系難燃剤として、「OP935」70重量部、硬化剤として、「DICY7」5重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」2重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0060】
実施例7
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、リン系難燃剤として、「OP935」100重量部、硬化剤として、「DICY7」6重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」6重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0061】
実施例8
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、リン系難燃剤として、「OP935」100重量部、硬化剤として、「DICY7」6重量部、及びシラン系カップリング剤として「KBM−903」(信越化学工業株式会社製、商品名、アミノシラン)5重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0062】
実施例9
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、硬化剤として、「DICY7」6重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」(四国化成工業株式会社製、商品名)2重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0063】
実施例10
フェノキシ樹脂として、「YP50」(東都化成株式会社製、商品名)100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」(JSR株式会社製、商品名)50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」(大日本化学工業株式会社製、商品名)30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)80重量部、硬化剤として、3,3’‐ジアミノジフェニルスルホン20重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」(四国化成工業株式会社製、商品名)3重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0064】
実施例11
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」30重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」80重量部、硬化剤として、「DICY7」7重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0065】
実施例12
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、リン系難燃剤として、「PX−200」(大八化学工業株式会社製、商品名、縮合リン酸エステル)150重量部、硬化剤として、「DICY7」6重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」2重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤組成物の溶液(接着剤溶液)を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0066】
実施例13
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、リン系難燃剤として、「SPB−100」30重量部、硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン20重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」2重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0067】
実施例14
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」30重量部、リン系難燃剤として、「OP935」10重量部、硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン15重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」2重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0068】
実施例15
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、リン系難燃剤として、「OP935」10重量部、硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン12重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」6重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0069】
実施例16
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」30重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」70重量部、リン系難燃剤として、「OP935」10重量部、硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン15重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」2重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0070】
実施例17
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」110重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、リン系難燃剤として、「SPB−100」30重量部、硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン20重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」2重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0071】
実施例18
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」10重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン20重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」3重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0072】
実施例19
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、リン含有エポキシ樹脂として、「FX289B」(大日本化学工業株式会社製、商品名、リン含有率2重量%)130重量部、硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン25重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」2重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0073】
実施例20
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン20重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」5重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0074】
比較例1
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、リン系難燃剤として、「OP935」90重量部、硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン20重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」5重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0075】
比較例2
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」70重量部、リン系難燃剤として、「OP935」70重量部、硬化剤として、「DICY7」5重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」5重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0076】
比較例3
NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」30重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」40重量部、リン系難燃剤として、「OP935」50重量部、硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン15重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」3重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0077】
比較例4
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、NBR−Cとして、「PNR−1H」40重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」80重量部、リン系難燃剤として、「OP935」10重量部、硬化剤として、3,3’‐ジアミノジフェニルスルホン20重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」5重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0078】
比較例5
フェノキシ樹脂として、「YP50」100重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」70重量部、リン系難燃剤として、「OP935」10重量部、硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン15重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」5重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0079】
比較例6
NBR−Cとして、「PNR−1H」50重量部、CTBN変性エポキシ樹脂として、「TSR−960」40重量部、汎用エポキシ樹脂として、「jER834」30重量部、リン系難燃剤として、「OP935」10重量部、硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン20重量部、及び硬化促進剤として「2E4MZ」3重量部をジメチルアセトアミドに溶解し、60℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を用いて前述の方法で評価用サンプルを作製し、塗工性、常態接着力、半田耐熱性、難燃性、耐マイグレーション性を評価した。
【0080】
実施例1〜20、比較例1〜6の接着剤組成および評価結果を表1〜3に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノキシ樹脂、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエン変性エポキシ樹脂および硬化剤を含有することを特徴とする接着剤組成物。
【請求項2】
さらにリン系難燃剤を含有することを特徴とする請求項1記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記リン系難燃剤がリン酸エステル金属塩および/またはホスファゼン化合物を含むことを特徴とする請求項2記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記リン系難燃剤がリン酸エステル金属塩であり、さらに硬化促進剤および/またはシラン系カップリング剤を含むことを特徴とする請求項2記載の接着剤組成物。
【請求項5】
絶縁性フィルム、請求項1〜4いずれか記載の接着剤組成物から形成される接着剤層および銅箔をこの順に有することを特徴とする銅張り積層板。
【請求項6】
絶縁性フィルム、請求項1〜4いずれか記載の接着剤組成物から形成される接着剤層および剥離可能な保護フィルムをこの順に有することを特徴とするカバーレイフィルム。
【請求項7】
請求項1〜4いずれか記載の接着剤組成物から形成される接着剤層の両面に剥離可能な保護フィルムを有することを特徴とする接着剤シート。

【公開番号】特開2009−167396(P2009−167396A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320656(P2008−320656)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】