説明

搬送ローラ、シート厚測定装置および画像形成装置

【課題】 搬送ローラにワイヤレス測定手段を埋設することにより、搬送ローラ自体の基本機能に加え、シート或いは周囲環境を測定する機能を兼ね備える。
【解決手段】 搬送ローラ対10は、第1ローラ11、第2ローラ12、ばね部材13および第1ローラ11に埋設されたワイヤレスの圧力センサ0等を備えている。圧力センサ0は、シート200が通過する際に加わる圧力を測定する。制御部30は、電波信号で送信された圧力センサ0からの測定結果に基づき、画像形成条件(転写温度、定着温度、搬送速度)を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば画像形成装置に用いて好適な搬送ローラおよびシート厚測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コピー機やプリンタ等の画像形成装置は、搬送路に沿って搬送されてくるシートに対し、画像形成手段で形成された画像を転写するものである。そして、シートに画像を転写する際、シートの厚さが画像の品質を決める上で重要な要素となっている。シートの厚さから画像形成条件を算出し、この画像形成条件に基づいて画像形成手段を制御する技術は、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特許第3081517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この特許文献1では、シートの厚さを測定するのに、光学式変位センサを用いている。この光学式変位センサは、シートに向けて発光部から光を照射し、シートで反射した反射光を受光部で受光してシートの厚さを測定するものである。このため、精度の良い測定を実現するためには、分解能の高い光学式変位センサが必要となり、このセンサがコスト高になるという問題があった。
また、発光部および受光部は、信号を送信する器機にリード線を経由して接続される。これにより、各リード線を接続するコネクタにおける接触不良が発生したり、リード線に経時劣化等が発生したりして、電気抵抗が増加してしまい、検出精度が低下する虞があった。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、高い測定精度を維持でき、リード線等の配線が不要となる搬送ローラおよびシート厚測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決するために、本発明が採用する搬送ローラは、シートを搬送する搬送路に沿って設けられる搬送ローラであって、所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として少なくとも圧力または温度を含む物理量に反映した属性を持つ電波信号を生成して出力するワイヤレス測定手段を載置したことを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記ワイヤレス測定手段は、電波を受信して機械振動を発生させる励振部と、前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生すると共に、前記弾性表面波の属性が前記物理量を受けて変化する振動媒体部と、前記弾性表面波を電気信号に変換して電波として送信する送信部と、を具備することを特徴とする。
【0007】
上記構成において、前記ワイヤレス測定手段に所定周波数の電波信号を送信すると共に、前記ワイヤレス測定手段から送信される電波信号を受信する送受信手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
前述した課題を解決するために、本発明が採用する発明は、シートを搬送する搬送路に沿って設けられ、前記シートの厚さを測定するシート厚測定装置であって、前記搬送路に対向配置される第1ローラおよび第2ローラと、前記第1ローラと該第2ローラとを接触させるように、付勢力を発生させる付勢手段と、前記第1ローラまたは第2ローラのうち少なくとも何れか一方に設けられ、所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として圧力に反映した属性を持つ電波信号を生成して出力するワイヤレス圧力測定手段と、前記ワイヤレス圧力測定手段に所定周波数の電波信号を送信すると共に、前記ワイヤレス圧力測定手段から送信される電波信号を受信する送受信手段と、該送受信手段を介して得たワイヤレス圧力測定手段による測定結果に基づき、前記シートの厚さを算出する厚さ算出手段と、を具備したことを特徴とする。
【0009】
上記構成において、前記ワイヤレス圧力測定手段は、電波を受信して機械振動を発生させる励振部と、前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生すると共に、前記弾性表面波の属性が前記圧力を受けて変化する振動媒体部と、前記付勢力を受け、該振動媒体部における弾性表面波の属性を変化させる受圧部と、前記弾性表面波を電気信号に変換して電波として送信する送信部と、を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明が採用する画像形成装置の構成は、上記に記載の搬送ローラを含んで形成された搬送路と、前記搬送路に沿ってシートを収容部から排出部に搬送する間に、当該シートに画像を形成する画像形成手段と、前記ワイヤレス測定手段に所定周波数の電波信号を送信すると共に、前記ワイヤレス測定手段から送信される電波信号を受信する送受信手段と、前記送受信手段で受信した前記ワイヤレス測定手段からの電波信号を受けて、前記画像形成手段において用いられる画像形成条件を設定する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明が採用する画像形成装置の構成は、シートを収容部から排出部に搬送する搬送路の途中に設けられた上記に記載のシート厚測定装置と、前記搬送路に沿ってシートを収容部から排出部に搬送する間に、当該シートに画像を形成する画像形成手段と、前記シート厚測定装置のワイヤレス圧力測定手段に所定周波数の電波信号を送信すると共に、前記ワイヤレス圧力測定手段から送信される電波信号を受信する送受信手段と、前記送受信手段で受信した前記ワイヤレス圧力測定手段からの電波信号を受けて、前記画像形成手段において用いられる画像形成条件を設定する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
上記構成において、前記シート厚測定装置は、前記搬送路のうち前記画像形成手段の上流側に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明による搬送ローラは、搬送ローラ自体の持つシートを搬送するという基本機能に加え、シート或いは周囲環境を測定する測定手段としての機能を兼ね備えることができる。
しかも、シート厚測定装置は、ワイヤレス測定手段を用いているため、この測定手段には外部の器機と接続するためのリード線は必要なく、リード線による接触不良や電気抵抗の増加等の不具合を防止でき、高精度の測定を行うことができる。
さらに、シートに接触した状態で物理量を測定できるため、正確な測定を可能にでき、特に圧力でシートの厚さを測定する場合には、波打った状態にあるシートであっても、他のローラとの間にシートを押さえ込むことにより、正確な厚さ測定を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明における実施形態について図面を参照しつつ説明する。
<A.第1実施形態>
(A−1)画像形成装置の構成
まず、図1は、本発明に係る搬送ローラが組み込まれた画像形成装置100の構成を示す図である。この画像形成装置100は、例えばカラープリンタやカラー複写機、或いはこれらの複数の機能を兼ね備えた複合機等である。
画像形成装置100は、画像読取部110、画像形成部120および用紙供給部130に大別される。画像読取部110は、CCD(Charge Coupled Device)等により構成される光学系部材を備えており、載置された原稿の画像を光学系部材によって読み取り、読み取った画像を表す画像データを生成するものである。
【0015】
用紙供給部130は、画像形成用のシート200を積み重ねて収容する4つの給紙トレイ131a〜131dと、この給紙トレイ131a〜131dから画像形成部120を経由して用紙排出部132に、シート200を1枚ずつ搬送する搬送路133とを備える。この搬送路133に沿ってシート200を案内する複数の搬送ローラ134が設けられている。
【0016】
画像形成部120は、画像読取部110で生成された画像データに基づいて、トナー像を生成し、生成したトナー像をシート200に転写及び定着して画像を形成するものである。図1に示すように、画像形成部120は、YMCK各色のトナー像を形成する画像形成ユニット121と、定着器122とを備える。画像形成ユニット121は、感光体ドラム上に像光を照射して表面に静電電位の差による潜像を形成し、この潜像をトナーの選択的な付着によって可視化してトナー像とし、このトナー像を中間転写ベルト(図示せず)に転写(一次転写)する。
【0017】
上述のトナー像の形成に平行して、用紙供給部130は、形成される画像に応じたシート200を供給する。給紙トレイ131a〜131dの何れかから供給されたシート200は搬送ローラ134によって搬送される。そして、搬送されたシート200に中間転写ベルト上のトナー像が転写(二次転写)される。定着器122は、このトナーを加熱及び加圧し、融合および固着することでシート200に定着し、シート200上の画像が形成される。トナー像が定着されたシート200は、搬送路133を経由して用紙排出部132に排出される。
この画像形成装置100においては、後述するシート厚測定装置からの電波信号を受けて、シートの厚さを算出し、この厚さから転写温度、定着温度、搬送速度等の画像形成条件を設定する。
【0018】
次に、本発明に係る搬送ローラを備えたシート厚測定装置について図2を参照しつつ説明する。画像形成部120の上流側位置(図1中のa部)に、搬送路133を挟んで対向する2つのローラ11,12をローラ対10として配置する。
このa部は、給紙トレイ131a〜131dからの各搬送路が合流した下流側に位置している。このため、4つの給紙トレイ131a〜131dから給紙されるシート200は、全てローラ対10を通過する。
ここで、搬送ローラ対10は、第1ローラ11、第2ローラ12、ばね部材13および第1ローラ11に埋設されたワイヤレスの圧力センサ0等を具備している。
バネ部材13は、支持部14と第2ローラ12の軸部12Aとの間に架設される。バネ部材13は、第2ローラ12を第1ローラ11側に押圧することにより、第1ローラ11に対して所定の付勢力を発生させる。
【0019】
ローラ11,12は、回転自在に軸支される軸部11A,12Aと、この軸部11A,12A外周に設けられた弾性層11B,12Bと、この弾性層11B,12Bの外周に設けられた表面層11C,12Cとを備える。
また、第1ローラ11の弾性層11B上に圧力センサ0が貼着され、圧力センサ0は表面層11Cに覆われている。即ち、圧力センサ0は第1ローラ11の外周面近傍に埋設される。そして、この圧力センサ0は、外部から第1ローラ11に加わる圧力を属性(振幅、位相、周波数等)の変化して捕らえ、この属性変化を電波信号として送信する。
【0020】
制御部30は、インターフェース等の入出力部30A、CPU(Central Processing Unit)30B、ROM(Read Only Memory)30C、RAM(Random Access Memory)30D等を具備して構成されている。ROM30Cには、画像形成装置100の動作を制御するプログラムを始め、圧力センサ0が検出した圧力(以下、シート圧という)に基づいてシートの厚さを算出する演算機能等を実行するためのプログラムが格納されている。RAM30Dは、前記プログラムを実行する際のワークエリアとして利用される。また、記憶エリア30Eには、受信した電波信号の周波数の変化分から圧力を算出し、この測定されたシート圧からシート200の厚さを算出するためのテーブル(または演算式)および画像形成条件を算出するためのテーブル等が記憶されている。
【0021】
(A−2)ワイヤレスの圧力センサ
(A−2−1)圧力センサの構成
ここで、圧力センサ0の構成および動作について説明する。
図3は圧力センサ0の構成を示している。圧力センサ0は、基台となるSiを材料とする基板1と、該基板1上に酸化膜1Aを介して形成され、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)が伝播する誘電体薄膜2と、誘電体薄膜2上に形成され、電気信号から弾性表面波又は弾性表面波から電気信号に変換する変換部としての一対の櫛型電極(IDT:Inter-digital Transducer)3A,3Bと、この一対の櫛型電極3A,3Bの一方にインピーダンスマッチング部5A,5Bを介して接続され、外部の送・受信機との間で電波の授受を行う送受信部としてのアンテナ4A,4Bと、一対の櫛型電極3A,3Bの他方に接続されたグランド6A,6Bと、基板1の裏面に形成され、グランド6A,6Bにスルーホール(図示しない)を介して接続されたグランド電極7と、受圧部8とを具備している。この受圧部8は、起端が前記誘電体薄膜2に当節し先端が圧力センサ0から若干突出するように設けられる。
【0022】
また、基板1の裏面側には異方性エッチングにより54.75度のテーパ面をなして凹部が形成されており、この底の部分が脆弱部となって外部からの圧力に反応するダイヤフラム1Bとなる。図面では、酸化膜1Aは便宜上厚く描写しているが、実際には基板1と誘電体薄膜2との間での絶縁を確保できる厚さであればよい。
そして、受圧部8の先端に外部から圧力が加わることによってダイヤフラム1Bが撓み、この撓みが誘電体薄膜2に発生している弾性表面波の属性を変化させる。
【0023】
(A−2−2)圧力センサの材質
次に、圧力センサ0を構成する部材の材質について述べる。
この圧力センサの場合は、誘電体薄膜2の材料にLiTaO3を使用する。このLiTaO3の結晶は、弾性表面波の伝搬速度が温度変化に対して変化が少ない材質で、その温度係数は約18.0×10-6/℃となる。LiNbO3の結晶に対して温度係数は約1/4と小さく10℃の温度変化に対して弾性表面波の変化率は0.005%程度となる。
【0024】
ダイヤフラム1B上には酸化膜1Aを介して誘電体薄膜2が配置される。このダイヤフラム1Bに外部から例えば2barの圧力が加わると、ダイヤフラム1Bが変形し、櫛型電極3A,3Bの電極間の幅を変えると共に、弾性表面波の速度が変化して中心周波数f0(例えば、400〜800MHz)に対して周波数を0.2%程度変化させる。また、測定対象物の温度変化が著しい場合、温度センサとの併用で補正することも可能となる。
以上のように、この圧力センサ0は、中心周波数f0に対して約0.2%程度周波数が変化することが検知されている。
【0025】
また、変換部3、アンテナ4およびグランド5は、導電パターンにより一体的に形成される。この導電パターンの材料としては、Ti,Cr,Cu,W,Ni,Ta,Ga,In,Al,Pb,Pt,Au,Ag等の金属、またはTi−Al,Al−Cu,Ti−N,Ni−Cr等の合金を、単層もしくは2層以上の多層構造に積層することが好ましく、特に金属としてはAu,Ti,W,Al,Cuが好ましい。また、この金属層の膜厚は、1nm以上10μm未満とすることが好ましい。
【0026】
(A−3)第1実施形態の動作
次に、基本的な測定動作について説明する。なお、図3(a)に示す圧力センサ0の平面図において、便宜上、信号が図面向かって左側から右側に移動するものとするが、実際には信号の流れには方向性がある訳ではない。
【0027】
この圧力センサ0は、送受信機20の発信部21との間、受信部22との間で電波信号の授受を行う。発信部21から送信される電波信号はアンテナ4Aで受信され、この信号により櫛型電極3Aが誘電体薄膜2を励振して機械振動を発生させる。この機械振動は、誘電体薄膜2表面に弾性表面波を発生させる。この弾性表面波は、櫛型電極3Aから櫛型電極3Bに向けて移動し、櫛型電極3Bに到達した弾性表面波は、櫛型電極3Bで電気信号に変換されてアンテナ4Bを経由して送信される。受信部22は、圧力センサ0からの電波信号を受信する。
【0028】
ここで、受圧部8を介して外部から圧力がダイヤフラム1Bに加わると、表面に弾性表面波を発生している誘電体薄膜2に撓みを生じさせる。この撓みが弾性表面波の属性を変化させる。このように、誘電体薄膜2の表面に発生する弾性表面波は、この誘電体薄膜2に加わった圧力の変化によって、振幅、位相、周波数等(属性)が変化する。この弾性表面波を受信した受信部22は、この電波信号を電気信号に変換して制御部30に伝送する。制御部30では、この電気信号を解析することにより、圧力センサ0が受ける圧力を測定する。
【0029】
このシート厚測定装置では、図2に示すように、バネ部材13により第2ローラ12が所定の付勢力で第1ローラ11を押圧する。このため、ローラ11,12間にシート200が挟まれている場合と、挟まれていない場合とで、圧力センサ0で測定される圧力は異なる。そして、シート200の厚さに応じても第1ローラ11に加わる圧力値が決まる。そこで、制御部30は、圧力センサ0で測定された圧力に基づき、記憶エリア30Eに記憶されたテーブルを参照することにより、シート200の厚さを算出する。
【0030】
次に、図4のフローチャートを参照しつつ、画像形成条件設定処理について説明する。
制御部30のCPU30Bは、装置の電源投入と同時にシート厚測定処理(ステップS1)を実行する。この処理は前述しているのでその説明は省略するが、CPU30Bは、算出されたシート200の厚さをRAM30Dに記憶する。
次に、CPU30Bは、RAM30Dから前記シート厚測定処理(サブルーチン;ステップS1)で記憶されたシート200の厚さを読み出し、この厚さに基づき、記憶エリア30Eに記憶された画像形成条件を設定するためのテーブルを参照して定着器122の定着温度、シート200の搬送速度、転写温度を設定する(ステップS2)。
なお、一般に、画像形成条件は、坪量(単位面積当たりのシート1枚の重さ)に基づいて設定されており、この坪量とシート200の厚さとの関係は、図5に示すようになっている。
【0031】
具体的には、シート200が比較的厚い場合には、シート200に熱が伝わり難いため、定着温度および転写温度を標準より高めに設定し、シート200の搬送速度を標準より遅く設定する。一方、シート200が比較的薄い場合には、シート200に熱が伝わり易いため、定着温度および転写温度を標準より低めに設定し、シート200の搬送速度を標準より早く設定する。
さらに、CPU30Bは、電源がオフになるまで、ステップS1およびS2の処理を繰り返し、電源が開成された場合(ステップS3;YES)にこの処理を終了する。
【0032】
(A−4)第1実施形態の効果
このように、画像形成条件設定処理において設定された条件を用いて画像形成装置100を駆動させることにより、シートの厚さに応じた厳格な温度管理を自動的に行うことができる。このため、トナーが十分に溶融されずに起きる定着不良を防止することができる。しかも、定着温度・転写温度等の画像形成条件をシート200の厚さによって設定することで、トナーが解けてシート200同士を融着してしまうトナーブロック等の不具合をなくすことができる。
【0033】
このように、本実施形態によるシート厚測定装置にあっては、第1ローラ11にワイヤレスの圧力センサ0を埋設している。これにより、圧力センサ0と制御部30とを繋ぐリード線が不要となり、リード線の引き回し作業が省略できると共に、リード線を繋ぐコネクタもなくすことにより、接触不良等による測定精度の低下を防止することができ、長期に渡って測定精度を高めることができる。しかも、圧力センサ0は、外部の送受信機20からの電波信号を受けて圧力を測定することができるため、バッテリーレスにでき、メンテナンス性を向上できる。
【0034】
また、シート厚測定装置では、第1ローラ11と第2ローラ12からなるローラ対10によってシート200を挟んでシート圧を測定している。このため、波打った状態にあるシートであっても、正確な厚さ測定を実現できる。
【0035】
<B.第2実施形態>
次に、本発明による第2実施形態について説明する。本実施形態の特徴は、搬送ローラにワイヤレスの圧力センサと温度センサを埋設させた点にある。なお、本実施形態では、前述した第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
(B−1)搬送ローラの構成
この実施形態による搬送ローラを用いたローラ対10´は、図1中のb部に設けられる。このb部は、定着器122の下流側に位置する。
この搬送ローラ対10´は、図6に示すように、第1ローラ11´、第2ローラ12、ばね部材13および第1ローラ11に埋設されたワイヤレスの圧力センサ0,温度センサ0´等を備えている。
バネ部材13は、支持部14と第2ローラ12の軸部12Aとの間に架設される。バネ部材13は、第2ローラ12を第1ローラ11´側に押圧することにより、第1ローラ11´に対して所定の付勢力を発生させる。
【0036】
ローラ11´,12は、回転自在に軸支される軸部11A´,12Aと、この軸部11A´,12A外周に設けられた弾性層11B´,12Bと、この弾性層11B´,12Bの外周に設けられた表面層11C´,12Cとを備える。
また、第1ローラ11´の弾性層11B´上に圧力センサ0と温度センサ0´が貼着され、圧力センサ0と温度センサ0´は表面層11C´に覆われる。即ち、圧力センサ0と温度センサ0´は第1ローラ11の外周面近傍に埋設される。
そして、この圧力センサ0は、外部から第1ローラ11に加わる圧力を電波信号の周波数に反映させて出力し、温度センサ0´は、周囲の温度を電波信号の周波数に反映させて出力する。
【0037】
制御部30の記憶エリア30Eには、圧力センサ0から送信される電波信号の周波数の変化分から圧力を算出し、この測定された圧力からシート200の厚さを算出するためのテーブル(または演算式)が記憶されると共に、温度センサ0´から送信される電波信号の周波数の変化分から温度を算出するためのテーブル(または演算式)が記憶され、さらに装置全体を制御するプログラム(例えば、画像形成条件(定着温度、搬送速度、転写温度等)に用いられるテーブル等が記憶されている。
【0038】
(B−2)ワイヤレスの温度センサ
(B−2−1)温度センサの構成
ここで、温度センサ0´の構成および動作について説明する。
まず、本実施形態に用いられるワイヤレスの温度センサ0´の構成について説明する。
この温度センサ0´は、前述した圧力センサ0とほぼ同様に構成され、ダイヤフラム1Bおよび受圧部8が形成されていない点で相違しており、基本的な構成はほぼ同一であるので構成の説明は省略する。
【0039】
(B−2−2)温度センサの材質
次に、温度センサを構成する部材の材質について述べる。
温度センサとして使用するためには、図3に示した誘電体薄膜2の材料にLiNbO3を使用する。このLiNbO3の結晶は、弾性表面波の伝搬速度が温度変化に対して敏感に変化する材質で、その温度係数は約75.0×10-6/℃となる。この温度における伝搬速度の変化は、弾性表面波の周波数を変化させることになる。例えば、実験においては、温度が約100℃変化することにより、弾性表面波の中心周波数f0に対して約0.2〜0.3%程度周波数が変化する結果を得ている。
【0040】
また、櫛型電極3A,3B、アンテナ4A,4B、インピーダンスマッチング部5A,5Bおよびグランド6A,6Bは、導電パターンにより一体的に形成される。この導電パターンの材料としては、Ti,Cr,Cu,W,Ni,Ta,Ga,In,Al,Pb,Pt,Au,Ag等の金属、またはTi−Al,Al−Cu,Ti−N,Ni−Cr等の合金を、単層もしくは2層以上の多層構造に積層することが好ましく、特に金属としてはAu,Ti,W,Al,Cuが好ましい。また、この金属層の膜厚は、1nm以上10μm未満とすることが好ましい。
【0041】
(B−2−3)第2実施形態の動作
次に、基本的な測定動作について説明する。
この温度センサ0´は、送受信機20の発信部21との間、受信部22との間で電波信号の授受を行う。発信部21から送信される電波信号はアンテナ4Aで受信され、この信号により櫛型電極3Aが誘電体薄膜2を励振して機械振動を発生させる。この機械振動は、誘電体薄膜2表面に弾性表面波を発生させる。この弾性表面波は、櫛型電極3Aから櫛型電極3Bに向けて移動し、櫛型電極3Bに到達した弾性表面波は、櫛型電極3Bで電気信号に変換されてアンテナ4Bを経由して送信される。受信部22は、温度センサ0´からの電波信号を受信する。
【0042】
誘電体薄膜2の表面に発生する弾性表面波は、この誘電体薄膜2に加わった温度の変化によって、周波数が変化する。この弾性表面波を受信した受信部22は、この電波信号を電気信号に変換して制御部30に伝送する。制御部30では、この電気信号を解析することにより、温度センサが受ける温度を計測する。
【0043】
次に、画像形成条件設定処理について説明する。
前述した如く、制御部30のRAM30Dには、圧力センサ0からの電波信号を受けてシート200の厚さが記憶され、温度センサ0´からの電波信号を受けてシート200の温度が記憶されている。そして、シート200の厚さと温度を受けて以下の処理が行われる。
まず、定着器122から下流のシート温度を監視することにより、定着器122の加熱温度が適正であるか否かを判定し、定着器122における定着温度を調整する。具体的には、定着温度が適正温度を超えている場合には定着温度を下げるべく、ヒータに流す電流を低下させ、定着温度が適正温度に達していない場合には定着温度を上げるべく、ヒータに流す電流を上昇させる。
これにより、シート200が適正温度を超えた高温になっている場合には、トナーが融解を起こす可能性が高く、トナーブロック等の不具合を引き起こす場合があったが、上記制御を行うことで、この不具合を事前に予測でき、早期対処を行うことが可能となる。
【0044】
さらに、温度センサ0´からの測定温度に基づいて定着器122の定着温度を制御するようにしてもよい。例えば、予めシート200にカール(湾曲)が発生する可能性のある温度を基準温度として記憶しておき、測定温度がこの基準温度を超えた場合にはシート200にカールが発生する可能性があるため、定着温度を下げるべく、ヒータに流す電流を低下させる。これにより、画像形成装置100は、カールのないシート200を排出することができる。
【0045】
また、シート200にしわやよれが発生した場合には、ローラ11´,12間に挟まるシート200の厚さは通常の2倍弱になり、圧力センサ0で測定される圧力の値は大きくなる。そこで、b部を通過するシート200から受ける圧力を監視することにより、シート200にしわやよれが発生しているか否かが管理できる。そして、画像形成装置100では、しわやよれが発生した場合には、定着器122における定着温度を低下させたり、当該画像形成装置100を停止させたりする制御を行う。
【0046】
<C.センサを複数個とした例>
これまでは、1つのワイヤレスセンサを使用した場合について述べたが、複数個のワイヤレスセンサを用いた場合には、各センサを識別する手法が必要となる。
以下、各センサを識別するための一手法について述べる。
図7に示すように、ワイヤレスセンサ0´´は、形状の異なる櫛型電極3A−1,3B−1…3A−4,3B−4が形成されている。このワイヤレスセンサ0´´においては、外部から送信される電波信号の周波数により複数の周波数に対応した弾性表面波が誘電体薄膜2上に発生する。
【0047】
例えば、櫛型電極3A−1,3B−1およびインピーダンスマッチング部5A,5Bで設定される弾性表面波の周波数をf1、櫛型電極3A−2,3B−2およびインピーダンスマッチング部5A,5Bで設定される弾性表面波の周波数をf2、櫛型電極3A−3,3B−3およびインピーダンスマッチング部5A,5Bで設定される弾性表面波の周波数をf3、櫛型電極3A−4,3B−4およびインピーダンスマッチング部5A,5Bで設定される弾性表面波の周波数をf4とする。この図7では、グランドおよびグランド電極の図示は省略して描いている。
【0048】
ここで、外部の発信部11から周波数f1の電波信号が送信されると、櫛型電極3Aでは、この周波数f1に対応した電極3A−1が機械振動を発生し、この機械振動によって誘電体薄膜2上に弾性表面波が発生する。この弾性表面波が電極3B−1に伝達される。電極3B−1に伝達される弾性表面波は、温度の影響を受けてその属性が変化する。一方、他の櫛型電極3A−2,3B−2〜3A−4,3B−4においては、周波数f1に同調していないので、弾性表面波の発生やこれに基づく電波信号の送信は行われない。即ち、これらの櫛型電極3A−2,3B−2〜3A−4,3B−4は、各々周波数f2,f3,f4に同調するように設定されており、このため、周波数f2の電波をワイヤレスセンサ0´´に送信した場合には、櫛型電極3A−2→3B−2という経路で弾性表面波が伝達され、この弾性表面波に対応した電波信号がアンテナ4Bを経由して出力される。
【0049】
同様に、周波数f3の電波信号をワイヤレスセンサ0´´に送信した場合には、櫛型電極3A−3→3B−3という経路で弾性表面波が伝達されてアンテナ4Bを経由して出力され、周波数f4の電波信号をワイヤレスセンサ0´´に送信した場合には、櫛型電極3A−4→3B−4という経路で弾性表面波が伝達されてアンテナ4Bを経由して出力される。
従って、周波数f1,f2,f3,f4の順でワイヤレスセンサ0´´に電波を送信すれば、これらに対応する応答信号を得ることができる。またこの場合、櫛型電極3B−1,3B−2,3B−3,3B−4(出力側)から出力される信号の変化帯域(温度による変化の幅)を重複しないように設定しておけば、周波数f1〜f4を同時にセンサ0に出力しても、その応答信号として出力される4つの信号を分離して解析することができる。
【0050】
ここで、4カ所の測定位置a〜dに個々に配置されたセンサ0−1,0−2,0−3,0−4とする。具体的には、弾性表面波の周波数は、櫛型電極3A,3Bの形状で設定されるため、センサ0−1には、図7に示したワイヤレスセンサ0´´の櫛型電極3A−1,3B−1が形成され、センサ0−2にはワイヤレスセンサ0´´の櫛型電極3A−2,3B−2が形成され、センサ0−3にはワイヤレスセンサ0´´の櫛型電極3A−3,3B−3が形成され、センサ0−4にはワイヤレスセンサ0´´の櫛型電極3A−4,3B−4が形成されるものとする。これにより、誘電体薄膜に発生する弾性表面波の周波数が、センサ0−1がf1、センサ0−2がf2、センサ0−3がf3、センサ0−4がf4となる。即ち、受信する電波信号の周波数f1〜f4によってセンサ0−1〜0−4が特定されることになる。
【0051】
そして、周波数f1の電波信号では測定対象aに配置されたセンサ0−1による測定が、周波数f2の電波信号では測定対象bに配置されたセンサ0−2による測定が、周波数f3の電波信号では測定対象cに配置されたセンサ0−3による測定が、周波数f4の電波信号では測定対象dに配置されたセンサ0−4による測定が可能となる。
【0052】
このように、周波数によってセンサを識別することができる。具体的には、周波数f1を圧力センサ0、周波数f2を温度センサ0´といったように割り振ることもできる。
【0053】
<D.他の実施形態>
(D−1)
前記実施形態における搬送ローラでは、圧力センサ0或いは圧力センサ0と温度センサ0´を埋設するものとして述べたが、本発明はこれに限らず、温度センサのみ、或いは後述する湿度センサのみ、さらにはこれらのセンサの組み合わせを埋設或いは載置させてもよい。
これにより、搬送ローラ自体の基本機能に加え、シート或いは周囲環境を測定する測定部としての機能を兼ね備えることができる。
【0054】
(D−2)
(D−2−1)湿度センサの材質
この湿度センサは、前述した圧力センサ0、温度センサ0´とほぼ同様に構成されているため、相違点となる部位の材質のみ、以下に記載する。
湿度センサとして使用するためには、図3に示した誘電体薄膜2の材料にLiTaO3を使用する。
【0055】
また、LiTaO3の表面に酢酸セルロースの薄膜を約10μmでスピンコートにより形成する。この酢酸セルロースは吸水性を持ち、湿度10%〜70%RH(相対湿度パーセント)の間に比誘電率が約50%変化する性質を有する。このように誘電率の変化する膜をLiTaO3上に形成することにより、例えば、実験においては、湿度が10%〜70%変化することにより、弾性表面波の速度に約0.06%の変化が得られている。また、測定対象物の温度変化が著しい場合、温度センサとの併用で補正することも可能となる。
以上のように、この湿度センサでは、実験結果から中心周波数f0に対して約0.06%程度周波数が変化することが検知されている。
【0056】
(D−2−2)材質について
前記実施形態におけるワイヤレスセンサの各部の材質は、以下の材質であってもよい。
基板1の材質は、Si,Ge,ダイヤモンド等の単体半導体、ガラス、AlAs,AlSb,AIP,GaAs,GaSb,InP,InAs,InSb,AlGaP,AlLnP,AlGaAs,AlInAs,AlAsSb,GaInAs,GaInSb,GaAsSb,InAsSb等のIII-V系の化合物半導体、ZnS,ZnSe,ZnTe,CaSe,CdTe,HgSe,HgTe,CdS等のII−VI系の化合物半導体、導電性或いは半導電性の単結晶基板としてはNb,La等をドープしたSrTiO3,AlをドープしたZnO,In23,RuO2,BaPbO3,SrRuO3,YBa2Cu27-X,SrVO3,LaNiO3,La0.5Sr0.5CoO3,ZnGa24,CdGa24,MgTiO4.MgTi24等の酸化物、またはPd,Pt,Al,Au,Ag等の金属等が挙げられるが、既存の半導体プロセスとの適合性やコスト面から、Si,GaAs、ガラス等の材料を用いることが好ましい。
【0057】
また、誘電体薄膜2の材質はLiTaO3やLiNbO3に限らず、SiO2,SrTiO3,BaTiO3,BaZrO2,LaAlO3,ZrO2,Y238%−ZrO2,MgO,MgAl24,AlVO3,ZnO等の酸化物、ABO3型のペロブスカイト型としてBaTiO3,PbTiO3,Pb1-XLaX(ZryTi1-y1-X/43(x,yの値によりPZT,PLT,PLZT),Pb(Mg1/3Nb2/3)O3,KNbO3等の正方系、斜方系或いは擬立方晶系材料、擬イルメナイト構造体としてLiNbO3,LiTaO3等に代表される強誘電体等、またはタングステンブロンズ型として、SrXBa1-XNb26,PbXBa1-XNb26等が挙げられる。この他に、Bi4Ti3O12,Pb2KNb515,K3Li2Nb515、さらに以上列挙した強誘電体の置換誘電体等から選択される。さらに、鉛を含むABO3型のペロブスカイト型酸化物が好適に用いられる。特に、これらの材料のうちLiNbO3,LiTaO3,ZnO等の材料は、弾性表面波の表面速度、圧電定数等の変化が顕著でより好ましい。誘電体薄膜2の膜厚は、目的に応じて適宜選択されるが、通常は0.1μmから10μmの間に設定されるようになる。
【0058】
また、この誘電体薄膜2は、変換部3における電気機械結合係数/圧電係数、或いはアンテナ4の誘電損失等の観点から、エピタキシャルまたは単一配向性を有することが好ましい。また、誘電体薄膜2上にGaAS等のIII−V族半導体或いはダイヤモンド等の炭素を含有する薄膜を形成してもよい。これにより、弾性表面波の表面速度、結合係数、圧電定数等がより向上できる。
【0059】
(D−3)
前記実施形態では、複数のワイヤレスセンサを識別する手段として、変換部3の形状及び大きさを異ならせて、誘電体薄膜に発生する表面弾性波の周波数を個々に設定し、この周波数で識別させるようにしている。センサを識別する手段はこれに限らず、櫛型電極の形状及び大きさを同形状にして櫛型電極間の離間距離d(図3参照)を異ならせることによっても実現することができる。
具体的には、櫛型電極間の離間距離を異ならせることで、誘電体薄膜上に発生する表面弾性波の時間が異なる。この点に着目し、発信部21の電波信号発信から受信部22での電波信号受信までの時間を測定することによりセンサの識別化を図る。
【0060】
(D−4)
前記第1実施形態では、画像形成条件を定着温度、転写温度、搬送速度とした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、シート200の厚さに応じて変更した方が良いと思われるパラメータであればよい。例えば、厚さからシートの種類(ハクリ紙、透明フィルムなど)が特定できれば、その種類に応じたパラメータを設定するようにしてもよい。
【0061】
(D−5)
前記第1実施形態では、画像形成部120の上流側にシート厚を測定する圧力センサ0を備えた搬送ローラ対10を設け、シートの厚さから定着温度、転写温度、搬送速度を制御するようにした。一方、前記第2実施形態では、定着器122の下流側にシート厚を測定する圧力センサ0または温度を測定する温度センサを備えた搬送ローラ対10´を設け、シートの厚さまたは温度から定着温度を制御するようにした。本発明はこれに限らず、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせても良い。
具体的には、定着温度は、画像形成部120の上流側に位置した搬送ローラ対10からの電波信号に基づいた温度設定のみで行うのでなく、定着器122の下流側に位置した搬送ローラ対10´からの電波信号に基づいて温度設定する。この制御を備えた画像形成装置は、シート200に形成される画像の不具合をなくし、より精度の高い画像形成を実現することができる。
【0062】
(D−6)
前記各実施形態では、搬送ローラを弾性層と表面層の2層からなるように記載したが、ワイヤレスセンサがローラ表面近傍に位置して埋設される形状であれば、これに限らず、一層の弾性体にワイヤレスセンサを埋設してもよい。
また、圧力センサ0をローラ内に埋設させる場合には、ダイヤフラム1Bの部分に空間を形成するとよい。
【0063】
(D−7)
ワイヤレスセンサを備えた搬送ローラの位置は、前記各実施形態に限定されるものではなく、用途に応じた位置とすればよい。
【0064】
(D−8)
前記各実施形態では、一方の第1ローラ11にのみワイヤレスセンサを埋設させた場合について述べたが、第2ローラ12に埋設させても、両方のローラ11,12に設けるようにしてよい。
ワイヤレスセンサは、ローラの軸方向に対して複数個配置させてもよい。例えば、規格幅位置に対応させて圧力センサ0を複数個埋設させた場合には、搬送途中に、シート200の厚さを測定するだけでなく、シート200の大きさも測定値から算出することが可能となる。
(D−9)
圧力センサ0は、外部から第1ローラ11に加わる圧力を電波信号の周波数に反映させて出力し、温度センサ0´は、周囲の温度を電波信号の周波数に反映させて出力するようにしたが、周波数に限らず、圧力や温度等の物理的作用に対応させて電波信号が変化する振幅、位相等の属性であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施形態に係るシート厚測定装置を備えた画像形成装置を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るシート厚測定装置を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態による圧力センサを示す図である。
【図4】第1実施形態による画像形成条件設定装置を示す流れ図である。
【図5】シートのシート厚に対する坪量を示す特性図である。
【図6】第2実施形態に係る搬送ローラを備えた周辺部を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態による他の形態のワイヤレスセンサを示す図である。
【符号の説明】
【0066】
0…圧力センサ、0´…温度センサ、0´´…ワイヤレスセンサ、1…基板、2…誘電体薄膜、2B…ダイヤフラム、3…櫛型電極、4A,4B…アンテナ、5A,5B…インピーダンスマッチング部、6A,6B…グランド、7…グランド電極、8…受圧部、10,10´…搬送ローラ対、11,11´…第1ローラ、12…第2ローラ、13…バネ部材、20…送受信機、21…送信部、22…受信部、30…制御部、30A…入出力部、30B…CPU、30C…ROM、30D…RAM、100…画像形成装置、110…画像読取部、120…画像形成部、122…定着器、130…用紙供給部、133…搬送路、200…記録シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送路に沿って設けられる搬送ローラであって、
所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として少なくとも圧力または温度を含む物理量を反映した属性を持つ電波信号を生成して出力するワイヤレス測定手段を載置した
ことを特徴とする搬送ローラ。
【請求項2】
請求項1記載の搬送ローラにおいて、
前記ワイヤレス測定手段は、電波信号を受信して機械振動を発生させる励振部と、
前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生すると共に、前記弾性表面波の属性が前記物理量を受けて変化する振動媒体部と、
前記弾性表面波を電気信号に変換して電波信号として送信する送信部と、を具備した
ことを特徴とする搬送ローラ。
【請求項3】
請求項1記載の搬送ローラにおいて、
前記ワイヤレス測定手段に所定周波数の電波信号を送信すると共に、前記ワイヤレス測定手段から送信される電波信号を受信する送受信手段を備えた
ことを特徴とする搬送ローラ。
【請求項4】
シートを搬送する搬送路に沿って設けられ、前記シートの厚さを測定するシート厚測定装置であって、
前記搬送路に対向配置される第1ローラおよび第2ローラと、
前記第1ローラと該第2ローラとを接触させるように、付勢力を発生させる付勢手段と、
前記第1ローラまたは第2ローラのうち少なくとも何れか一方に設けられ、所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として圧力に反映した属性を持つ電波信号を生成して出力するワイヤレス圧力測定手段と、
前記ワイヤレス圧力測定手段に所定周波数の電波信号を送信すると共に、前記ワイヤレス圧力測定手段から送信される電波信号を受信する送受信手段と、
該送受信手段を介して得たワイヤレス圧力測定手段による測定結果に基づき、前記シートの厚さを算出する厚さ算出手段と、を具備した
ことを特徴とするシート厚測定装置。
【請求項5】
請求項4記載のシート厚測定装置において、
前記ワイヤレス圧力測定手段は、電波を受信して機械振動を発生させる励振部と、
前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生すると共に、前記弾性表面波の属性が前記圧力を受けて変化する振動媒体部と、
前記付勢力を受け、該振動媒体部における弾性表面波の属性を変化させる受圧部と、
前記弾性表面波を電気信号に変換して電波として送信する送信部と、を具備した
ことを特徴とするシート厚測定装置。
【請求項6】
請求項1に記載の搬送ローラを含んで形成された搬送路と、
前記搬送路に沿ってシートを収容部から排出部に搬送する間に、当該シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記ワイヤレス測定手段に所定周波数の電波信号を送信すると共に、前記ワイヤレス測定手段から送信される電波信号を受信する送受信手段と、
前記送受信手段で受信した前記ワイヤレス測定手段からの電波信号を受けて、前記画像形成手段において用いられる画像形成条件を設定する制御手段と、を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
シートを収容部から排出部に搬送する搬送路の途中に設けられた請求項4に記載のシート厚測定装置と、
前記搬送路に沿ってシートを収容部から排出部に搬送する間に、当該シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記シート厚測定装置のワイヤレス圧力測定手段に所定周波数の電波信号を送信すると共に、前記ワイヤレス圧力測定手段から送信される電波信号を受信する送受信手段と、
前記送受信手段で受信した前記ワイヤレス圧力測定手段からの電波信号を受けて、前記画像形成手段において用いられる画像形成条件を設定する制御手段と、を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、
前記シート厚測定装置は、前記搬送路のうち前記画像形成手段の上流側に配置した
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−264928(P2006−264928A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87179(P2005−87179)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】