説明

搬送装置

【課題】耐久性の低下を可及的に招来することなく、被搬送物の搬送効率を向上することのできる搬送装置を提供する。
【解決手段】第1搬送経路R1上で移動する予め定められた載置目標場所に被搬送物Sを載置すべく、載置目標場所が3次元空間における予め定められた位置に到達するのと同期して、被搬送物Sを第1搬送経路R1と異なる第2搬送経路R2を介して前記予め定められた位置に搬送するための第2搬送部3と、第2搬送経路R2上の搬送出口ETに被搬送物Sが到達したことを検出する出口センサ16と、この検出時点における被搬送物Sの理想位置に対する実際位置の位置ずれ量を算出する走行距離検出処理部27と、被搬送物Sの検出時点から予め定められた搬送速度制御対象期間に、前記位置ずれ量に応じ、停止以外の速度範囲内で第2搬送部3の搬送速度を調整する搬送速度算出部28及び搬送制御部29とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1経路上で移動する載置目標場所に向け、被搬送物を前記第1経路と異なる第2経路上で搬送し、該被搬送物を前記載置目標場所に載置する搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、垂下されている連包状態の小袋を切断し、切断後の小袋を搬送コンベアで搬送するとともに、間隔を空けて水平方向に搬送される複数の包装品の上に前記切断後の小袋を順次載置していく小袋用定位置投入装置が開示されている。
【0003】
下記特許文献1の小袋用定位置投入装置は、小袋の先端が前記包装品の搬送経路上の定位置に到達すると、小袋を搬送する前記搬送コンベアの動作を停止して小袋を待機させ、前記包装品が、先に待機している小袋の直下位置に到達すると、前記搬送コンベアによる小袋の搬送動作を再開させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平05−65808号公報(1993年08月31日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の技術にあっては、前記搬送コンベアを停止させるため、この停止や起動に所要の時間がかかる。このため、搬送効率(前記搬送コンベアによって搬送できる小袋の個数)に限界が生じていた。
【0006】
また、前記搬送コンベアの起動と停止とが頻繁に繰り返された場合に、該搬送コンベアの起動や停止によって前記搬送コンベアの構成部品に大きな負荷がかかり、搬送コンベアの著しい耐久性の低下が懸念される。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐久性の低下を可及的に招来することなく、被搬送物の搬送効率を向上することのできる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る搬送装置は、第1経路上で移動する予め定められた載置目標場所に被搬送物を載置すべく、前記載置目標場所が3次元空間における予め定められた位置に到達するのと同期して、前記被搬送物を前記第1経路と異なる第2経路を介して前記予め定められた位置に搬送するための搬送部と、前記第2経路上の所定位置に前記被搬送物が到達したことを検出する被搬送物検出部と、前記被搬送物検出部による検出時点における前記被搬送物の理想位置に対する実際位置の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出部と、前記被搬送物検出部による前記被搬送物の検出時点から予め定められた搬送速度制御対象期間に、前記位置ずれ量算出部により算出された位置ずれ量に応じ、停止以外の速度範囲内で前記搬送部の搬送速度を調整する搬送調整部とを備えるものである。
【0009】
この発明によれば、搬送速度制御対象期間に、前記位置ずれ量算出部により算出された位置ずれ量に応じ、停止以外の速度範囲内で前記搬送部の搬送速度を調整するようにしたので、被搬送物の搬送動作を一旦停止する従来の技術に比して、搬送部の停止及び起動を行わない分、被搬送物の搬送効率を向上することが可能となるとともに、搬送部の構成部品にかかる負担を低減することが可能となる。
【0010】
本発明に係る搬送装置は、前記載置目標場所と共に移動する基準点であって、当該基準点より基準移動量Bだけ上流側に予め設定された場所を載置目標場所として規定する基準点を検出する基準点検出部を備え、前記被搬送物検出部は、前記基準点検出部による前記基準点検出後に前記被搬送物が前記第2経路上の所定位置に到達したことを検出し、前記基準点検出部による基準点検出時点から前記被搬送物検出部による前記被搬送物検出時点までの前記搬送部による搬送距離を検出する搬送距離検出部を有し、前記基準移動量Bは、前記搬送距離検出部の検出距離が当該基準移動量Bと一致すると、前記被搬送物検出時点以降の前記被搬送物搬送部による搬送速度を変更しなくても前記被搬送物を前記載置目標場所に載置できるとして予め設定された距離であり、前記搬送調整部は、前記搬送距離検出部の検出距離が前記基準移動量Bと一致するとき、前記被搬送物搬送部による搬送速度を変更せず、前記検出距離が前記基準移動量Bと異なるとき、前記検出距離と前記基準移動量Bとの差に応じて、前記被搬送物搬送部による搬送速度を停止以外の搬送速度範囲内で調整するように構成するとよい。
【0011】
本発明に係る搬送装置は、前記搬送速度制御対象期間を、前記被搬送物検出時点以降に前記搬送部が前記被搬送物を搬送できる距離を上限として予め設定された設定移動量Aだけ前記搬送部が前記被搬送物を搬送する期間とし、前記搬送調整部は、前記搬送速度制御対象期間に、前記搬送距離検出部の検出距離から前記基準移動量Bを減算した減算結果を前記設定移動量Aに加えた距離だけ前記搬送部が搬送するように前記搬送部の搬送速度を制御するとよい。
【0012】
本発明に係る搬送装置においては、前記搬送速度制御部は、前記減算結果を前記設定移動量Aで除算して得られる比率だけ前記搬送部の搬送速度を変速した速度に設定するとよい。
【0013】
これにより、載置目標場所が3次元空間における予め定められた位置に到達するのと同期して、前記被搬送物を前記第1経路と異なる第2経路を介して前記予め定められた位置に搬送し、第1経路上で移動する予め定められた載置目標場所に被搬送物を載置することができる。
【0014】
本発明に係る搬送装置は、前記搬送調整部は、前記搬送速度制御対象期間の終了前に、前記搬送部の搬送速度を前記被搬送物検出部により検出された時点の搬送速度に戻すことを特徴とするものである。
【0015】
この発明によれば、前記搬送速度制御対象期間の終了前に、前記搬送部の搬送速度を前記被搬送物検出部により検出された時点の搬送速度に戻すことで、前記被搬送物が前記載置目標場所に載置される時点における被搬送物の搬送速度と前記載置目標場所の移動速度との相対速度差を無くすことができる。
【0016】
これにより、前記被搬送物が前記載置目標場所に載置される時点の前記被搬送物が、前記載置目標場所に対して滑ったり位置が変化したりするのを防止又は抑制することができる。
【0017】
本発明に係る搬送装置は、前記第1経路を、前記被搬送物と異なる被搬送体を搬送コンベアによって水平方向に搬送する経路とし、前記搬送コンベアによる被搬送体の搬送速度を、前記搬送部による前記被搬送物の搬送速度と同一とし、前記載置目標場所を、前記被搬送体の上部における予め定められた場所とし、前記搬送距離検出部を、前記基準点検出部による基準点検出時点から前記被搬送物検出部による前記被搬送物検出時点までの前記搬送コンベアの走行距離を検出するものとし、前記第2経路上の所定位置を、前記搬送部の搬送出口とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る搬送装置は、第1経路上で移動する予め定められた載置目標場所に被搬送物を載置すべく、前記載置目標場所が3次元空間における予め定められた位置に到達するのと同期して、前記被搬送物を前記第1経路と異なる第2経路を介して前記予め定められた位置に搬送するための搬送部と、前記第2経路上の所定位置に前記被搬送物が到達したことを検出する被搬送物検出部と、前記被搬送物検出部による検出時点における前記被搬送物の理想位置に対する実際位置の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出部と、前記被搬送物検出部による前記被搬送物の検出時点から予め定められた搬送速度制御対象期間に、前記位置ずれ量算出部により算出された位置ずれ量に応じ、停止以外の速度範囲内で前記搬送部の搬送速度を調整する搬送調整部とを備えるものである。
【0019】
これにより、搬送速度制御対象期間に、前記位置ずれ量算出部により算出された位置ずれ量に応じ、停止以外の速度範囲内で前記搬送部の搬送速度を調整するようにしたので、被搬送物の搬送動作を一旦停止する従来の技術に比して、搬送部の停止及び起動を行わない分、被搬送物の搬送効率を向上することが可能となるとともに、搬送部の構成部品にかかる負担を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る搬送装置の一実施形態の構成を示す図である。
【図2】上記搬送装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】上記搬送装置における計測移動量Cが基準移動量Bより短くなった状態と長くなった状態とを示す図である。
【図4】(a)は、計測移動量Cが基準移動量Bより短い状態を模式的に示す図であり、(b)は、計測移動量Cが基準移動量Bより長い状態を模式的に示す図である。
【図5】基準点検出タイミングと搬送出口での被搬送物検出タイミングと被搬送物が被搬送体に載せられるタイミングとを説明するための図である。
【図6】(a)は、各基準点Oの検出タイミングと、被搬送物Sが搬送出口ETに到達すべきタイミングと、被搬送物Sが搬送出口ETに実際に到達するタイミングとについて、発生し得る前記各タイミング間の関係を示すタイムチャートであり、(b)は、上下コンベアの搬送速度の制御を示すタイミングチャートである。
【図7】設定移動量A、基準移動量B、計測移動量C、搬送コンベア速度Gについて、具体的な数値を設定した場合の位置ずれ量E(=C−B)及び上下コンベア速度Hの値を示す図である。
【図8】搬送装置の制御部による処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る搬送装置の実施形態につき図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る搬送装置の一実施形態の構成を示す図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る搬送装置1は、複数の被搬送体Mを一方向に間隔を空けて一列に並べて搬送する一方で、被搬送体Mに載置する被搬送物S(被搬送物の一例)を、被搬送体Mの搬送経路(以下、第1搬送経路という)R1と異なる搬送経路(以下、第2搬送経路という)R2上で一列に並べて搬送し、各被搬送体Mに被搬送物Sを1つずつ載置していくものである。被搬送体Mは、例えば即席麺として販売される商品のうちの乾燥麺であり、被搬送物Sは、例えば包装済みの粉末スープである。
【0023】
本実施形態では、第1搬送経路R1は予め定められた一方向に水平に延びる経路とされている。また、第2搬送経路R2は、上流側から途中の位置まで鉛直方向に延びる経路と、第1搬送経路R1の下流側の所定位置で第1搬送経路R1に合流するように、前記途中の位置から水平方向に対して所定の角度を成す態様で斜め下方に延びる経路とを有する。第1搬送経路R1は、第1経路の一例であり、第2搬送経路R2は、第2経路の一例である。
【0024】
本実施形態に係る搬送装置1は、被搬送体Mを第1搬送経路R1上で搬送する第1搬送部2と、被搬送物Sを第2搬送経路R2上で搬送する第2搬送部3とを備える。本実施形態では、第1搬送部2による被搬送体Mの搬送速度と、第2搬送部3による被搬送物Sの搬送速度とは同一とされている。
【0025】
第1搬送部2は、搬送コンベア4と、押動体5とを有する。
【0026】
搬送コンベア4は、第1搬送経路R1が延びる方向に所定の間隔を介して設置された一対のプーリ6と、一対のプーリ6に架け渡された無端ベルト7とを備える。なお、図1では、一対のプーリ6のうち一方のみを図示している。
【0027】
図1においては、一対のプーリ6は、時計周りに回転し、無端ベルト7のうち上側に位置するベルト部分が往路側のベルト部分となって左側(上流側)から右側(下流側)に走行する一方、下側に位置するベルト部分が復路側のベルト部分となって右側から左側に走行する。
【0028】
押動体5は、例えば板状や一対のステッィク状をなす部材であり、無端ベルト7の表面から突出する。押動体5は、無端ベルト7と同一速度で走行する。押動体5は、無端ベルト7の長手方向に一定の間隔を介して複数設けられている。
【0029】
図示していないが、無端ベルト7のうち往路側(上側)のベルト部分の搬送方向両側上方には、一対の水平な被搬送体載置面が設けられている。被搬送体載置面は、押動体5の移動経路の側方において無端ベルト7の搬送方向に延びるように設けられており、図示していない供給装置から第1搬送部2に供給される被搬送体Mはこの被搬送体載置面に載置される。
【0030】
押動体5は、第1搬送経路R1の上流側で前記被搬送体載置面に被搬送体Mが載置されると、被搬送体Mを搬送方向上流側(図1では左側)から搬送方向下流側(図1では右側)に向けて押す。これにより、被搬送体Mは、前記被搬送体載置面上を滑りつつ第1搬送経路R1の下流側に移動する。
【0031】
第2搬送部3は、第2搬送経路R2の上流側から順に、カッター部8と、シュート部9と、上下コンベア10とを備える。
【0032】
カッター部8は、複数の被搬送物Sが一列に連続した被搬送物連続体を被搬送物Sごとに切断して各被搬送物Sに分離するものである。カッター部8は、本実施形態では、カッター刃をそれぞれ有するローラ8a,8bが第2搬送経路R2を挟んで対向配置されてなり、前記被搬送物連続体は、ローラ8aとローラ8bとの間の間隙に上方から垂下した状態で搬送される。
【0033】
ローラ8a,8bは、前記一対のカッター刃の噛合時に前記被搬送物連続体の搬送方向に沿って前記カッター刃が移動するように所定速度で互いに逆方向に回転する。これにより、カッター部8は、垂下した状態で搬送される被搬送物連続体の搬送を阻害することなく、一対のカッター刃によって被搬送物連続体を挟み込んで切断する。
【0034】
シュート部9は、カッター部8による切断後の各被搬送物Sを上下コンベア10に向けて適切に導くためのガイド板として機能するシュート9aと、シュート9aを通過する被搬送物Sの姿勢、形状及び移動速度を安定させるための搬送安定ローラ9bとを備え、被搬送物Sをシュート9aと搬送安定ローラ9bとで挟みながら下方へ導く。
【0035】
被搬送物Sが例えば粉末スープを小袋に封入したものである場合、被搬送物Sは変形し得る。このように、変形し得る被搬送物Sを第2搬送部3で搬送する場合、被搬送物Sの形状に応じて被搬送物Sの表面形状が異なるから、搬送安定ローラ9bが無い場合、被搬送物Sの形状に応じて被搬送物Sとシュート9aの表面(被搬送物の滑落面)との接触面積が異なる。
【0036】
そのため、被搬送物Sとシュート9aとの間に作用する摩擦力が被搬送物Sの形状に応じて異なり、延いては、シュート9aの滑落面を滑る被搬送物Sの滑落速度が被搬送物Sの形状に応じて異なる。
【0037】
その結果、搬送安定ローラ9bが無い場合、上下コンベア10に被搬送物Sが到達するタイミング(被包装物連続体の切断から上下コンベア10に被搬送物Sが到達するまでの時間)や、被搬送物Sが上下コンベア10に到達したときの被搬送物Sの移動速度が被搬送物Sの形状に応じて変化することとなる。
【0038】
搬送安定ローラ9bは、このような不具合を解消又は抑制するためのものであり、被搬送物連続体の切断後における被搬送物Sの移動速度が被搬送物Sの形状に応じて変化する場合であっても、一定の速度で回転することにより、その回転速度に対応する一定の搬送速度で被搬送物Sが搬送されるようにして、被搬送物Sが搬送安定ローラ9bに到達したときから上下コンベア10に到達するまでの時間を一定とし、且つ、被搬送物Sが上下コンベア10に到達したときの被搬送物Sの移動速度を一定とするようにしている。
【0039】
カッター部8とシュート部9とによって、第2搬送経路R2のうち鉛直方向に延びる搬送経路が形成されている。
【0040】
上下コンベア10は、上コンベア11と、下コンベア12と、挟持部13とを備える。
【0041】
上コンベア11は、所定の間隔を介して配置された一対のプーリに無端状の搬送ベルトが架け渡されてなる。下コンベア12も上コンベア11と同様の構成を有する。上コンベア11と下コンベア12とは、互いのベルト面が一定の間隔を介して対向するように配置されている。そして、上コンベア11と下コンベア12とは、水平方向に対して所定の角度を成しつつシュート部9の下端位置から斜め下方に延び、第1搬送経路R1における所定位置で第1搬送経路R1に合流する経路を形成する。
【0042】
なお、下コンベア12は、上コンベア11より上流側が長く形成された延設部12aを有し、シュート部9から搬送されてくる被搬送物Sを延設部12aで受け止めて上コンベア11と下コンベア12との間の間隙に導く。
【0043】
上コンベア11を構成するプーリのうち搬送方向下流側に設置されたプーリ14と、下コンベア12を構成するプーリのうち搬送方向下流側に設置されたプーリ15とは、所要の間隙を介して第2搬送経路R2と直交する方向に並設されることにより、第2搬送部3の搬送出口ET(第2経路上の所定位置)を形成する。
【0044】
第2搬送部3の搬送出口ET近傍には、出口センサ16が設置されている。出口センサ16は、上コンベア11及び下コンベア12により搬送される被搬送物Sの先端が搬送出口ETに到達したことを検出するものである。
【0045】
出口センサ16は、例えば、一対の投受光器により構成されており、この場合、投光器と受光器との間の間隙に被搬送物Sが存在するか否かに応じた信号が受光器から出力される。
【0046】
すなわち、投光器と受光器との間の間隙に被搬送物Sが進入していないときには、投光器から出力される検出光が受光器により受光され、投光器と受光器との間の間隙に被搬送物Sが進入していないことを示す受光信号(例えばH(ハイ)信号)が前記受光器から出力される。
【0047】
一方、投光器と受光器との間の間隙に被搬送物Sが進入すると、投光器から出力された検出光が被搬送物Sにより遮られて受光器により検出光が受光されなくなり、前記間隙に被搬送物Sが進入したことを示す非受光信号(例えばL(ロー)信号)が前記受光器から出力される。
【0048】
受光器から出力される信号(受光信号/非受光信号)は、出口センサ16の出力信号として後述する制御部24(図2参照)により受信される。
【0049】
挟持部13は、被搬送物Sを所要の力で挟み込むものである。挟持部13は、上コンベア11及び下コンベア12による搬送経路のうち、上コンベア11と下コンベア12とで被搬送物Sを挟み込む力の低下が懸念される位置に設置されるのが好ましい。
【0050】
図2は、本実施形態に係る搬送装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
【0051】
図2に示すように、搬送装置1は、駆動部17を有する。駆動部17は、カッター部8を駆動するカッタモータ18と、シュート部9の搬送安定ローラ9bを駆動するローラモータ19と、上コンベア11及び下コンベア12を駆動する上下コンベア駆動モータ20とを含む。
【0052】
また、搬送装置1は、前述した出口センサ16に加え、基準点センサ22と、エンコーダ23と、制御部24とを備える。
【0053】
基準点センサ22は、第1搬送部2の無端ベルト7に対して該無端ベルト7の長手方向に一定間隔で設置された基準点Oを検出するものである。基準点Oは、無端ベルト7に設定されているため、無端ベルト7の走行に伴って変位する。
【0054】
本実施形態では、隣り合う2つの基準点O間の距離と、搬送コンベア4におけるプーリ6の1回転とが対応付けられている。すなわち、本実施形態に係る搬送装置1は、プーリ6が1回転すると、第1搬送部2における搬送コンベア4の無端ベルト7が、隣り合う2つの基準点O間の距離だけ走行するように構成されている。
【0055】
また、プーリ6を駆動する駆動軸の周方向における所定位置が基準点Oに対応する位置として設定されており、その位置に図略の被検出体が設置されている。そして、所定位置に固設された基準点センサ22の検出領域内に前記被検出体が進入すると、基準点センサ22は、被検出体、すなわち基準点Oを検出した旨の信号を出力する。
【0056】
被搬送体Mは、隣り合う2つの基準点O間に載置される。換言すると、無端ベルト7に載置された各被搬送体Mに対し基準点Oが設定される。
【0057】
基準点Oは、各被搬送体Mに対して載置すべき被搬送物Sの載置目標場所を規定するための基準となる点である。本実施形態では、基準点Oより基準移動量Bだけ上流側の位置が載置目標場所として設定されている。載置目標場所の設定方法については後述する。
【0058】
エンコーダ23は、詳細には説明しないが、例えばエンコード板と該エンコード板に摺接するエンコーダブラシとを備え、第1搬送部2における無端ベルト7の周回位置(以下、搬送位置という)を検出するためのものである。
【0059】
制御部24は、図略のCPU(Central Processing Unit:中央演算処理部)と、そのCPUの動作を規定するプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やデータを一時的に保管する機能や作業領域としての機能を有するRAM(Random Access Memory)の記憶部をはじめとする各種周辺装置とを有して構成されている。
【0060】
本実施形態に係る搬送装置1においては、図5に示すように、まず、基準点Oが基準点センサ22及び後述する制御部24(基準点検出処理部25)により検出される。そして、出口センサ16及び制御部24(被搬送物到達検出処理部26)により搬送出口ETに被搬送物Sが到達したことが検出される。その後、被搬送物Sが載置すべき対象の被搬送体M上の適所に載置される。搬送出口ETは、第2経路上の所定位置の一例である。
【0061】
基準点Oが基準点センサ22及び制御部24により検出される時点(以下、基準点検出時点という)から被搬送物Sが出口センサ16及び制御部24により検出される時点(以下、被搬送物出口検出時点という)までの間の期間(1)に第2搬送部3が被搬送物Sを搬送する搬送距離を計測移動量Cというものとする。
【0062】
このとき、本実施形態では、計測移動量Cが基準移動量Bと一致すると、搬送出口ETでの被搬送物検出後における被搬送物Sの搬送速度が一定のままで、被搬送物Sを前記載置目標場所に載置することができるように構成されている。
【0063】
このように構成されている搬送装置1においては、図3に示すように、前後関係にある2つの被搬送物Sの間隔が、想定している適切な距離と一致しない状態で被搬送物Sが搬送される状況が発生し得る。このような状況が生じた場合に、被搬送物Sの搬送速度を一定に維持したまま被搬送物Sを搬送すると、搬送出口ETへの被搬送物Sの到達タイミングが適切なタイミングで搬送出口ETに到達しなくなる。
【0064】
すなわち、前後関係にある2つの被搬送物Sの間隔が、想定している適切な距離より長い場合、前記2つの被搬送物Sのうち前側の被搬送物Sが搬送出口ETに適切なタイミングで到達したものとすると、後側の被搬送物Sが搬送出口ETに到達するタイミングは適切なタイミングより遅れることとなる。一方、前記間隔が想定している適切な距離より短い場合には、後側の被搬送物Sが搬送出口ETに到達するタイミングは前記適切なタイミングより早まることとなる。
【0065】
図3は、第2搬送部3の計測移動量Cが基準移動量Bより短い状態と長い状態とを示す図である。この図においては、計測移動量Cが基準移動量Bより短い場合の計測移動量Cを計測移動量C1といい、計測移動量Cが基準移動量Bより長い場合の計測移動量Cを計測移動量C2と表している。
【0066】
図4(a)は、計測移動量Cが基準移動量Bより短い状態を模式的に示す図であり、(b)は、計測移動量Cが基準移動量Bより長い状態を模式的に示す図である。
【0067】
図4(b)に示すように、被搬送物Sが搬送出口ETに到達するタイミングが前記適切なタイミングより遅れた場合には、第2搬送部3による計測移動量C(C2)が基準移動量Bより長くなる。被搬送物Sが搬送出口ETに到達するタイミングが前記適切なタイミングより早い場合には、図4(a)に示すように、第2搬送部3による計測移動量C(C1)が基準移動量Bより短くなる。
【0068】
このように第2搬送部3の計測移動量Cが基準移動量Bと一致しないにも拘わらず被搬送物Sの搬送速度を一定に維持したまま被搬送物Sを搬送出口ETから搬送すると、被搬送物Sを載置目標場所に的確に載置することができない。
【0069】
ここで、従来技術のように被搬送物Sの搬送を一時的に停止させて、被搬送物Sの搬送を被搬送体Mの搬送と同期させる方法によって、被搬送体Mの上部に被搬送物Sを載置することは可能ではある。
【0070】
しかしながら、この場合、上下コンベア10の停止や起動に所要の時間がかかる。そのため、搬送効率(上下コンベア10によって搬送できる被搬送物Sの個数)に限界が生じる。また、上下コンベア10の起動と停止とが頻繁に繰り返された場合に、該上下コンベア10の起動や停止によって上下コンベア10の構成部品に大きな負荷がかかり、上下コンベア10の著しい耐久性の低下が懸念される。
【0071】
そこで、本実施形態では、被搬送物Sが搬送出口ETに到達するタイミングが、想定している適切なタイミングに対して変化する状況、すなわち、第2搬送部3の計測移動量Cが基準移動量Bと一致しない状況が発生したとしても、被搬送物Sが搬送出口ETに到達した後の被搬送物Sの搬送速度を調整することで、被搬送物Sを載置目標場所に載置できるようにしている。
【0072】
具体的には、まず、制御部24は、図5に示す基準点検出時点から被搬送物出口検出時点までの期間(1)における第2搬送部3の計測移動量Cにつき、後述する方法で得られた実測値が設定値(基準移動量B)と一致するか否かを判断し、一致していない場合には、前記実測値と前記設定値との差を算出する。
【0073】
実測値が設定値と一致する場合とは、被搬送物Sが適切なタイミングで搬送出口ETに到達した場合であり、実測値が設定値と一致しない場合とは、被搬送物Sが適切なタイミングで搬送出口ETに到達しなかった場合である。また、前記実測値と前記設定値との差により、被搬送物出口検出時点が想定している適切なタイミングに対してどれだけ誤差が生じているのかが判る。
【0074】
本実施形態に係る搬送装置1は、実測値と設定値との間に誤差が生じている場合、その誤差を解消し、適切なタイミングで被搬送体Mに載置されるようにするべく、所定の搬送期間を使ってその誤差を解消するための処理を行う。誤差を解消するための処理とは、被搬送物Sの搬送速度を調整する処理である。
【0075】
ここで、本実施形態では、被搬送物Sの搬送速度を調整する場合に、その速度の調整範囲を0(零)を除く範囲としている。すなわち、制御部24は、被搬送物Sを停止させずに被搬送物Sの速度調整を行うようにしている。
【0076】
被搬送物Sの速度調整を行うことができるのは、第2搬送部3の上コンベア11、下コンベア12による被搬送物Sの搬送が終わるまで(上コンベア11、下コンベア12が被搬送物Sを搬送している間)である。したがって、被搬送物Sの速度調整を行う期間(前記所定の搬送期間)は、図5に示す被搬送物出口検出時点を始点とし、また、第2搬送部3が被搬送物Sを搬送している状態からその搬送状態が解除される状態に切り替わる切替時点までの任意の時点を終点とする期間(2)に設定される。この期間(2)を搬送速度制御対象期間という。
【0077】
被搬送物Sの搬送方向における後端が搬送出口ETに到達するまで第2搬送部3による被搬送物Sの搬送状態が解除されないものとすると、被搬送物Sの搬送方向における長さ(幅)を長さRとしたとき、前記切替時点は、被搬送物出口検出時点を基準として被搬送物Sが長さRだけ搬送された時点に相当する。
【0078】
また、前記任意の時点とは、被搬送物出口検出時点を基準として、長さR若しくはそれより短い所定長さだけ被搬送物Sが搬送された時点に相当する。この長さを設定移動量Aと表すものとすると、前記所定の期間は、被搬送物出口検出時点から第2搬送部3が設定移動量Aだけ被搬送物Sを搬送するまでの期間である。設定移動量Aは、搬送速度制御対象期間に対応し、搬送速度制御対象期間における搬送コンベア4の移動量に相当する。
【0079】
上記のような制御を行うべく、本実施形態に係る制御部24は、基準点検出処理部25と、被搬送物到達検出処理部26と、走行距離検出処理部27と、搬送速度算出部28と、搬送制御部29とを備える。
【0080】
基準点センサ22及び基準点検出処理部25は、請求項に規定する「基準点検出部」に相当し、出口センサ16及び被搬送物到達検出処理部26は、請求項に規定する「被搬送物検出部」に相当し、エンコーダ23及び走行距離検出処理部27は、請求項に規定する「搬送距離検出部」に相当する。また、搬送速度算出部28は、請求項に規定する「位置ずれ量算出部」としての機能を有し、搬送速度算出部28及び搬送制御部29は、請求項に規定する「搬送調整部」として機能する。
【0081】
基準点検出処理部25は、基準点センサ22から出力される検出信号を用いて、基準点Oを検出する処理を行うものである。基準点検出処理部25により検出される基準点Oは、第2搬送部3により搬送される被搬送物Sのうち搬送出口ETに最も近い被搬送物S(先頭に位置している被搬送物S)の載置対象である被搬送体Mについての基準点Oである。
【0082】
被搬送物到達検出処理部26は、出口センサ16から出力される検出信号を用いて、搬送出口ETに被搬送物Sが到達したことを検出するものである。
【0083】
走行距離検出処理部27は、基準点検出処理部25により基準点Oが検出されてから被搬送物到達検出処理部26により搬送出口ETに被搬送物Sが到達したことが検出されるまでの間における第2搬送部3の計測移動量Cを検出するものである。
【0084】
本実施形態では、前述したように、第1搬送部2による被搬送体Mの搬送速度と、第2搬送部3による被搬送物Sの搬送速度とは同一とされている。したがって、第1搬送部2による被搬送体Mの搬送距離と第2搬送部3による被搬送物Sの搬送距離とは一致する。
【0085】
本実施形態ではこれを用い、第2搬送部3による被搬送物Sの搬送距離を直接検出する代わりに、第1搬送部2による被搬送体Mの搬送距離を検出することで、第2搬送部3による被搬送物Sの計測移動量Cを間接的に検出する。
【0086】
走行距離検出処理部27は、第1搬送部2による被搬送体Mの搬送距離を、エンコーダ23から出力される検出信号を用いて検出し、この搬送距離を第2搬送部3による被搬送物Sの計測移動量Cとして出力する。
【0087】
具体的には、走行距離検出処理部27は、基準点検出処理部25により基準点Oが検出されると、エンコーダ23から出力される検出信号に基づき現時点での無端ベルト7の周回位置L1を取得する。また、走行距離検出処理部27は、被搬送物到達検出処理部26により搬送出口ETに被搬送物Sが到達したことが検出されると、エンコーダ23から出力される検出信号に基づき現時点での無端ベルト7の周回位置L2を取得する。そして、走行距離検出処理部27は、前記周回位置L1と前記周回位置L2との差を第2搬送部3の計測移動量Cとして検出する。
【0088】
搬送速度算出部28は、搬送速度制御対象期間の被搬送物Sの搬送速度を算出するものである。以下、この搬送速度の算出方法について説明する。
【0089】
図6(a)は、各基準点Oの検出タイミングと、被搬送物Sが搬送出口ETに到達すべきタイミングと、被搬送物Sが搬送出口ETに実際に到達するタイミングとについて、発生し得る前記各タイミング間の関係を示すタイムチャートである。図6(b)は、上コンベア11、下コンベア12の搬送速度の制御を示すタイムチャートである。
【0090】
なお、図6(a)における「B」は、前述した基準移動量Bを示し、図6(a)における「C」は、図5に示す基準点検出時点から被搬送物出口検出時点までの期間(1)における第2搬送部3の計測移動量Cを示す。また、図6(a)における「E」は、第2搬送部3の計測移動量Cから前記基準移動量Bを減算した位置ずれ量を示す。
【0091】
搬送速度算出部28は、走行距離検出処理部27により検出された計測移動量Cと基準移動量Bとの位置ずれ量E(=C−B)を算出する。図6(a)の矢印Xに示すように、搬送速度算出部28は、位置ずれ量E(=C−B)が零のときには、上下コンベア10による搬送速度制御対象期間(図5)の被搬送物Sの搬送速度を、図6(b)に示すように、被搬送物Sが搬送出口ETに到達するまでの被搬送物Sの搬送速度と同一とする。
【0092】
一方、図6(a)の矢印Y及び矢印Zに示すように、搬送速度算出部28は、位置ずれ量E(=C−B)が零ではないとき、位置ずれ量E(=C−B)に応じた搬送速度を算出する。
【0093】
前述したように、第2搬送部3の計測移動量Cが基準移動量Bより短い場合(計測移動量C=C1<B、(図4(a)))、図6の矢印Yに示すように、搬送出口ETに被搬送物Sが到達した時点で、距離で表すと、距離(B−C1)だけ被搬送物Sの搬送が早い。
【0094】
よって、上下コンベア10は、搬送コンベアが設定移動量Aだけ移動する間に、被搬送物Sが「A−(B−C1)」だけ移動するように、搬送コンベアが設定移動量Aだけ移動する搬送速度制御対象区間(図5)における被搬送物Sの搬送速度(上下コンベア速度)を調整すれば、被搬送物Sは的確に載置目標場所に載置できることが判る。
【0095】
また、第2搬送部3の計測移動量Cが基準移動量Bより長い場合(計測移動量C=C2(図4(b)))、図6の矢印Zに示すように、搬送出口ETに被搬送物Sが到達した時点で、距離で表すと、距離(C2−B)だけ被搬送物Sの搬送が遅延している。
【0096】
よって、上下コンベア10は、搬送コンベアが設定移動量Aだけ移動する間に、被搬送物Sが「A+(C2−B)」だけ移動するように、搬送コンベアが設定移動量Aだけ移動する搬送速度制御対象区間(図5)における被搬送物Sの搬送速度(上下コンベア速度)を調整すれば、被搬送物Sは的確に載置目標場所に載置できることが判る。
【0097】
したがって、搬送コンベア速度をG、搬送速度制御対象区間における第2搬送部3の上下コンベア速度をHと表したとき、
G:A=H:{A+(C−B)}
が成り立つように、第2搬送部3の上下コンベア速度Hを設定すればよい。
【0098】
すなわち、第2搬送部3の上下コンベア速度Hを、
H=G×{1+(C−B)/A} ・・・(1)
とすればよい。
【0099】
この式(1)は、設定移動量Aに対する位置ずれ量E(=C−B)の比率E/Aだけ第2搬送部3の上下コンベア速度Hを増大又は減少させることを意味する。
【0100】
図7に、設定移動量A、基準移動量B、計測移動量C、第1搬送部2の搬送コンベア速度Gについて、具体的な数値を設定した場合の位置ずれ量E(=C−B)、上下コンベア移動量F及び上下コンベア速度Hの値を示す。なお、図7には、前記各パラメータA,B,C,Gの値を複数設定した場合の位置ずれ量E及び上下コンベア速度Hの値を示している。
【0101】
搬送コンベア速度Gを「1000(mm/s)」と設定し、設定移動量Aを「40(mm)」に設定し、基準移動量Bを「40(mm)」に設定した場合、計測移動量Cが「20(mm)」であると、位置ずれ量E(=C−B)は「−20(mm)」となり、上下コンベア移動量F=A+Eは「20(mm)」となり、従って、上下コンベア速度H(=G・F/A)は「500(mm/秒)」になる。計測移動量Cが「60(mm)」であると、位置ずれ量E(=C−B)は「20(mm)」となり、上下コンベア移動量F=A+Eは「60(mm)」となり、従って、上下コンベア速度H(=G・F/A)は「1500(mm/秒)」になる。計測移動量Cが「40(mm)」であると、位置ずれ量E(=C−B)は「0(mm)」となり、上下コンベア移動量F=A+Eは「40(mm)」となり、従って、上下コンベア速度H(=G・F/A)は「1000(mm/秒)」になる。
【0102】
設定移動量Aを「50(mm)」に設定した場合、計測移動量Cが「20(mm)」であると、位置ずれ量E(=C−B)は「−20(mm)」となり、上下コンベア移動量F=A+Eは「50−20=30(mm)」となり、従って、上下コンベア速度H(=G・F/A)は「600(mm/秒)」になる。計測移動量Cが「60(mm)」であると、位置ずれ量E(=C−B)は「60−40=20(mm)」となり、上下コンベア移動量F=A+Eは「50+20=70(mm)」となり、従って、上下コンベア速度H(=G・F/A)は「1400(mm/秒)」になる。計測移動量Cが「40(mm)」であると、位置ずれ量E(=C−B)は「0(mm)」となり、上下コンベア移動量F=A+Eは「50(mm)」となり、従って、上下コンベア速度H(=G・F/A)は「1000(mm/秒)」になる。
【0103】
設定移動量Aを「30(mm)」に設定した場合、計測移動量Cが「20(mm)」であると、位置ずれ量E(=C−B)は「20−40=−20(mm)」となり、上下コンベア移動量F=A+Eは「30−20=10(mm)」となり、従って、上下コンベア速度H(=G・F/A)は「333(mm/秒)」になる。計測移動量Cが「60(mm)」であると、位置ずれ量E(=C−B)は「60−40=20(mm)」となり、上下コンベア移動量F=A+Eは「30+20=50(mm)」となり、従って、上下コンベア速度H(=G・F/A)は「1666(mm/秒)」になる。計測移動量Cが「40(mm)」であると、位置ずれ量E(=C−B)は「0(mm)」となり、上下コンベア移動量F=A+Eは「30(mm)」となり、従って、上下コンベア速度H(=G・F/A)は「1000(mm/秒)」になる。
【0104】
このように、設定移動量Aに対応する搬送速度制御対象期間における被搬送物Sの上下コンベア速度Hを式(1)で表される値に設定することで、第2搬送部3により搬送される被搬送物Sの搬送間隔にばらつきがあっても、被搬送物Sを載置目標場所に載置することができる。
【0105】
さらに、本実施形態に係る搬送装置1においては、次のような点が考慮されている。
【0106】
すなわち、被搬送物Sが被搬送体Mに載置される時点で、被搬送物Sの搬送速度と被搬送体Mの搬送速度との間に大きな相対速度差があると、被搬送物Sが被搬送体M上を滑って被搬送物Sの載置位置が変化することが考えられる。
【0107】
そこで、本実施形態では、図6(b)に示すように、前記搬送速度制御対象期間の終了直前における被搬送物Sでの被搬送物Sの搬送速度を、被搬送物Sが搬送出口ETに到達した時点での搬送速度、すなわち第2搬送部3による被搬送体Mの搬送速度に戻すようにしている。
【0108】
これにより、被搬送物Sが被搬送体Mに載置される時点で、被搬送物Sの搬送速度と被搬送体Mの搬送速度との間の相対速度差を無くす、若しくは可及的に低減することができ、被搬送物Sが被搬送体M上を滑って被搬送物Sの載置位置が変化するという事態が生じるのを防止することができる。
【0109】
なお、図6(b)に示すように、搬送速度制御対象期間における上コンベア11、下コンベア12の搬送速度の速度変化を示すグラフを描くと、そのグラフは台形形状となる。これは、搬送速度を所定の目標速度に変更する場合に、搬送速度が所定の目標速度に瞬間的に変化するのではなく、前記搬送速度が前記所定の目標速度まで所要の時間をかけて変化していくためである。
【0110】
ここで、被搬送物Sの搬送速度についての目標速度は、前記台形の上辺に相当する目標速度としてもよいし、或いは、この搬送速度の一連の速度変化における平均値としてもよい。
【0111】
搬送制御部29は、搬送速度算出部28により搬送された搬送速度で被搬送物Sが第2搬送部3によって搬送されるように上下コンベア駆動モータ20の駆動を制御するものである。
【0112】
図8は、本実施形態における搬送装置1の制御部24による処理を示すフローチャートである。
【0113】
図8に示すように、基準点検出処理部25は、基準点センサ22から基準点検出信号を受信したか否かを判断し(ステップ♯1)、基準点センサ22から基準点検出信号を受信していない場合には(ステップ♯1でNO)、基準点センサ22から基準点検出信号を受信するまで待機する。
【0114】
基準点検出処理部25は、基準点センサ22から基準点検出信号を受信すると(ステップ♯1でYES)、走行距離検出処理部27は、エンコーダ23から検出信号を取得して第1搬送部2における無端ベルト7の現在位置(現在の周回位置)を把握する(ステップ♯2)。
【0115】
次に、被搬送物到達検出処理部26は、出口センサ16から被搬送物Sが搬送出口ETに到達した旨を示す検出信号を受信したか否かを判断し(ステップ♯3)、出口センサ16から検出信号を受信していない場合には(ステップ♯3でNO)、出口センサ16から検出信号を受信するまで待機する。
【0116】
被搬送物到達検出処理部26は、出口センサ16から検出信号を受信すると(ステップ♯3でYES)、走行距離検出処理部27は、エンコーダ23から検出信号を取得して第1搬送部2における無端ベルト7の現在位置(現在の周回位置)を把握する(ステップ♯4)。
【0117】
そして、走行距離検出処理部27は、ステップ♯2で把握した現在位置からステップ♯4で把握した現在位置までの距離を第2搬送部3の計測移動量Cとして算出する(ステップ♯5)。
【0118】
搬送速度算出部28は、走行距離検出処理部27により算出された計測移動量Cが基準移動量Bと一致するか否かを判断する(ステップ♯6)。搬送速度算出部28は、計測移動量Cが基準移動量Bと一致すると判断した場合(ステップ♯6でYES)、第2搬送部3の搬送速度を現状の搬送速度と算出し、搬送制御部29は、第2搬送部3の搬送速度を現在の搬送速度に維持したまま第2搬送部3に搬送動作を行わせ、被搬送物Sを被搬送体M上に載置する(ステップ♯7)。
【0119】
一方、ステップ♯6において、搬送速度算出部28は、走行距離検出処理部27により算出された計測移動量Cが基準移動量Bと一致しないと判断した場合(ステップ♯6でNO)、さらに、計測移動量Cが基準移動量Bより大きいか否かを判断する(ステップ♯8)。
【0120】
搬送速度算出部28は、前記計測移動量Cが前記基準移動量Bより大きいと判断すると(ステップ♯8でYES)、前記演算式(1)に基づき搬送速度制御対象期間における第2搬送部3の搬送速度を算出し(ステップ♯9)、搬送制御部29は、搬送速度制御対象期間、第2搬送部3の搬送速度をステップ♯9で算出した搬送速度まで上昇させ、その後、搬送速度を元に戻して被搬送物Sを被搬送体M上に載置する(ステップ♯10)。
【0121】
一方、搬送速度算出部28は、走行距離検出処理部27により算出された計測移動量Cが基準移動量B以下であると判断すると(ステップ♯8でNO)、前記演算式(1)に基づき搬送速度を算出し(ステップ♯11)、搬送制御部29は、搬送速度制御対象期間、第2搬送部3の搬送速度をステップ♯11で算出した搬送速度まで低下させ、その後、搬送速度を元に戻して被搬送物Sを被搬送体M上に載置する(ステップ♯12)。
【0122】
ステップ♯7,♯10,♯12の処理後、制御部24は、搬送すべき被搬送物Sが未だ存在するか否かを判断し(ステップ♯13)、存在する場合には(ステップ♯13でYES)、ステップ♯1の処理に戻る一方、搬送すべき被搬送物Sが存在しない場合には(ステップ♯13でNO)、一連の処理を終了する。
【0123】
以上のように、本実施形態では、第2搬送部3の計測移動量Cが基準移動量Bと一致しない状況、すなわち、前後関係にある2つの被搬送物Sの搬送間隔が想定している適切な間隔と一致しない状況が発生すると、搬送出口ETに到達した後の被搬送物Sの搬送速度を停止以外の搬送速度範囲内で調整しつつ搬送出口ETから被搬送物Sを搬送(排出)するようにした。
【0124】
これにより、被搬送物Sを載置目標場所に的確に載置することができることに加え、被包装品の搬送動作を一旦停止する従来の技術に比して、被搬送品の搬送効率を向上することが可能となるとともに、第2搬送部3の構成部品にかかる負担を低減することが可能となる。
【0125】
また、遅くとも搬送速度制御対象期間が終了するまでに、被搬送物Sの搬送速度を被搬送物Sが搬送出口ETに到達した時点での搬送速度(第1搬送部2による被搬送体Mの搬送速度)に戻すようにしたので、被搬送物Sが被搬送体Mに載置される時点で、被搬送物Sの搬送速度と被搬送体Mの搬送速度との間の相対速度差を無くす、若しくは可及的に低減することができ、被搬送物Sが被搬送体M上を滑って被搬送物Sの載置位置が変化するという事態が生じるのを防止することができる。
【0126】
なお、走行距離検出処理部27により検出された計測移動量Cと基準移動量Bとの位置ずれ量E(=C−B)が大きすぎて、搬送速度制御対象期間における被搬送物Sの搬送速度の調整では、もはや、被搬送体Mの搬送と同期して被搬送物Sを搬送することができない場合(位置ずれ量Eが限界値Ethより大きい場合)には、警報を出力したり、或いは、位置ずれ量Eが算出された対象の被搬送物S及び該被搬送物Sに対応する被搬送体Mを外部に排出したりするように構成することも可能である。
【0127】
設定移動量Aは、袋体(被搬送物S)の長手方向の長さ(ピッチ)の半分程度に設定することが好ましい。設定移動量Aの設定が小さすぎると、上下コンベア10の速度調整による補正が十分に効かないおそれがある。図4(b)に示すように、被搬送物Sが被搬送体Mよりも遅れて搬送出口ETに到達したときに、設定移動量が小さく、被放送物Sのピッチが小さいと、補正が十分に効かないおそれがある。
【0128】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、一方向に間隔を空けて直列に搬送される複数の被包装品に、被包装品の搬送経路と異なる搬送経路で小袋を搬送しながら1つずつ載置していく搬送装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0130】
1 搬送装置
2 第1搬送部
3 第2搬送部(搬送部)
4 搬送コンベア
10 上下コンベア
8a,8b ローラ
16 出口センサ(被搬送物検出部)
20 上下コンベア駆動モータ
22 基準点センサ(基準点検出部)
23 エンコーダ(位置ずれ量算出部、搬送距離検出部)
24 制御部
25 基準点検出処理部(基準点検出部)
26 被搬送物到達検出処理部(被搬送物検出部)
27 走行距離検出処理部(位置ずれ量算出部、搬送距離検出部)
28 搬送速度算出部(搬送調整部、位置ずれ量算出部)
29 搬送制御部(搬送調整部)
M 被包装品(被搬送体)
S 袋体(被搬送物)
R1 第1搬送経路(第1経路)
R2 第2搬送経路(第2経路)
ET
A 設定移動量
B 基準移動量
C 計測移動量
G 搬送コンベア速度
E 位置ずれ量
F 上下コンベア移動量
H 上下コンベア速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1経路上で移動する予め定められた載置目標場所に被搬送物を載置すべく、前記載置目標場所が3次元空間における予め定められた位置に到達するのと同期して、前記被搬送物を前記第1経路と異なる第2経路を介して前記予め定められた位置に搬送するための搬送部と、
前記第2経路上の所定位置に前記被搬送物が到達したことを検出する被搬送物検出部と、
前記被搬送物検出部による検出時点における前記被搬送物の理想位置に対する実際位置の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出部と、
前記被搬送物検出部による前記被搬送物の検出時点から予め定められた搬送速度制御対象期間に、前記位置ずれ量算出部により算出された位置ずれ量に応じ、停止以外の速度範囲内で前記搬送部の搬送速度を調整する搬送調整部と
を備える搬送装置。
【請求項2】
前記載置目標場所と共に移動する基準点であって、当該基準点より基準移動量Bだけ上流側に予め設定された場所を載置目標場所として規定する基準点を検出する基準点検出部を備え、
前記被搬送物検出部は、前記基準点検出部による前記基準点検出後に前記被搬送物が前記第2経路上の所定位置に到達したことを検出し、
前記基準点検出部による基準点検出時点から前記被搬送物検出部による前記被搬送物検出時点までの前記搬送部による搬送距離を検出する搬送距離検出部を有し、
前記基準移動量Bは、前記搬送距離検出部の検出距離が当該基準移動量Bと一致すると、前記被搬送物検出時点以降の前記搬送部による搬送速度を変更しなくても前記被搬送物を前記載置目標場所に載置できるとして予め設定された距離であり、
前記搬送調整部は、前記搬送距離検出部の検出距離が前記基準移動量Bと一致するとき、前記搬送部による搬送速度を変更せず、前記検出距離が前記基準移動量Bと異なるとき、前記検出距離と前記基準移動量Bとの差に応じて、前記搬送部による搬送速度を停止以外の搬送速度範囲内で調整することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送速度制御対象期間は、前記被搬送物検出時点以降に前記搬送部が前記被搬送物を搬送できる距離を上限として予め設定された設定移動量Aだけ前記搬送部が前記被搬送物を搬送する期間であり、
前記搬送調整部は、前記搬送速度制御対象期間に、前記搬送距離検出部の検出距離から前記基準移動量Bを減算した減算結果を前記設定移動量Aに加えた距離だけ前記搬送部が搬送するように前記搬送部の搬送速度を制御することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送調整部は、前記減算結果を前記設定移動量Aで除算して得られる比率だけ前記搬送部の搬送速度を変速した速度に設定することを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送調整部は、前記搬送速度制御対象期間の終了前に、前記搬送部の搬送速度を前記被搬送物検出部により検出された時点の搬送速度に戻すことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第1経路は、前記被搬送物と異なる被搬送体を搬送コンベアによって水平方向に搬送する経路であり、
前記搬送コンベアによる被搬送体の搬送速度は、前記搬送部による前記被搬送物の搬送速度と同一であり、
前記載置目標場所は、前記被搬送体の上部における予め定められた場所であり、
前記搬送距離検出部は、前記基準点検出部による基準点検出時点から前記被搬送物検出部による前記被搬送物検出時点までの前記搬送コンベアの走行距離を検出するものであり、
前記第2経路上の所定位置は、前記搬送部の搬送出口であることを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−162336(P2012−162336A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22111(P2011−22111)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(390000538)株式会社旭金属 (4)
【Fターム(参考)】