説明

搬送車の走行制御装置

【課題】無人運転モードにおいて乗車した作業者(運転者)による車両操作の介入を防止し、無人運転モードによる走行の信頼性を向上させること。
【解決手段】無人運転モード時において、運転者が検出される条件、パーキングブレーキが操作されたことが検出される条件、常用ブレーキが操作されたことが検出される条件、及びアクセルレバーが所定の操作態様で操作されたことが検出される条件のうち何れか一つの条件を満たした場合、走行中のときには停止させる車両停止制御を実行し、停止中のときには車両の発進を禁止する発進禁止制御を実行する(ステップS13〜S16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有人運転モード及び無人運転モードの何れかの運転モードで選択的に走行可能な搬送車の走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リモートコントローラ(送信機)から指令を送信し、無人で走行させる車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、有人車両と無人車両を混在させて走行させる走行システムに関し、有人車両の安全を確保することができる安全装置について開示されている。
【0003】
また、荷を搬送する搬送システムにおいては、フロアに敷設したガイド線(例えば、磁気テープ)に沿って搬送車を走行させ、その搬送車に積載した荷を所定の位置に搬送することが行われている。そして、搬送車には、ガイド線をガイドセンサで検出し、その検出結果をもとに操舵輪を自動操舵して走行させる無人運転モードと、作業者が乗車して操舵ハンドルを操作することで操舵輪を手動操舵して走行させる有人運転モードとを有する車両がある。以下の説明において「搬送車」とは、無人運転モード及び有人運転モードの切り替えにより、選択された運転モードで走行可能な車両を意味するものとする。
【特許文献1】特開2000−315112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、無人運転モードが選択された搬送車は、作業者がリモートコントローラ(送信機)から各種指令を送信し、遠隔操作にて走行を制御する。そして、無人運転モードが選択された搬送車は、通常、作業者が乗車せずに走行する。このため、無人運転モードが選択されているにも拘らず作業者が乗車し、例えばアクセル操作やブレーキ操作を行うと、無人運転モードによる搬送車の走行を妨げることになる。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、無人運転モードにおいて乗車した作業者(運転者)による車両操作の介入を防止し、無人運転モードによる走行の信頼性を向上させることができる搬送車の走行制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、有人運転モード及び無人運転モードの何れかの運転モードで選択的に走行可能な搬送車の走行制御装置において、運転者が運転姿勢をとって運転席に着いたか否かを検出する運転者検出手段と、車両に設けた駐車用ブレーキの操作状態を検出する駐車用ブレーキ操作状態検出手段と、車両に設けた常用ブレーキの操作状態を検出する常用ブレーキ操作状態検出手段と、車両の加速を指示するアクセル操作部材の操作状態を検出するアクセル操作状態検出手段と、各検出手段の検出結果をもとに、前記無人運転モード時における車両の走行状態を制御する走行制御手段と、を備え、前記走行制御手段は、前記無人運転モード時において、前記運転者検出手段により運転者が検出される条件、前記駐車用ブレーキ操作状態検出手段により前記駐車用ブレーキが操作されていることが検出される条件、前記常用ブレーキ操作状態検出手段により前記常用ブレーキが操作されていることが検出される条件、及び前記アクセル操作状態検出手段により前記アクセル操作部材が所定の操作態様で操作されていることが検出される条件のうち何れか一つの条件を満たした場合、走行中のときには車両を停止させる車両停止制御を実行し、停止中のときには車両の発進を禁止する発進禁止制御を実行することを要旨とする。
【0007】
これによれば、無人運転モード時に、運転者が検出される条件、駐車ブレーキが操作されたことが検出される条件、常用ブレーキが操作されたことが検出される条件、及びアクセル操作部材が所定の操作態様で操作されたことが検出される条件の何れか1つの条件を満たした場合に車両の走行に制限が加えられる。すなわち、無人運転モードが選択されている時に作業車が乗車し、車両が操作された場合又は操作されようとする場合に、車両の走行に制限が加えられる。このため、無人運転モードにおいて乗車した作業者(運転者)による車両操作の介入を防止し得る。また、無人運転モードが選択されている搬送車を確実に無人の状態で走行させることができ、無人運転モードによる走行の信頼性を向上し得る。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の搬送車の走行制御装置において、前記アクセル操作部材の所定の操作態様は、前記運転者が前記アクセル操作部材を所定時間、継続して操作していることを要旨とする。
【0009】
これによれば、走行時の振動などの影響を受けてアクセル操作部材が一瞬作動したような状況下において、車両の走行に制限が加えられることを回避できる。したがって、無人運転モードによる走行の信頼性を向上し得る。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の搬送車の走行制御装置において、前記車両停止制御及び前記発進禁止制御の制御状態を解除する異常解除操作部材を備え、前記走行制御手段は、前記各条件が満たされていないことと前記異常解除操作部材が操作されることを契機に前記車両停止制御及び前記発進禁止制御の制御状態を解除することを要旨とする。
【0011】
これによれば、作業者は、制限を解除するために、各条件を満たしていない状態とし、さらに異常解除操作部材を操作する必要がある。したがって、無人運転モード時に車両の走行に制限が加えられたことを作業者に認識させつつ、制限を解除させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の搬送車の走行制御装置において、前記運転者検出手段は、車両を操舵する操舵ハンドルに設けられ、前記操舵ハンドルを握る運転者の少なくとも片手を検出する光センサを備えていることを要旨とする。
【0013】
これによれば、運転者が運転姿勢をとって運転席に着いたか否かを検出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、無人運転モードにおいて乗車した作業者(運転者)による車両操作の介入を防止し、無人運転モードによる走行の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を台車に積載した荷を牽引する牽引車に具体化した一実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図1に示すように、搬送車としての牽引車10の車体11は、車体11の前側に設けられたフロントフレーム12と、車体11の後側に設けられたリアフレーム13とからなる。リアフレーム13には、荷を積載するための台車を牽引する牽引機構14が設けられている。牽引機構14は、車体11の後側に配置されており、車幅方向のほぼ中央に位置するようにリアフレーム13に固定されている。この牽引機構14により牽引車10は、後方に1台以上の台車を牽引して走行させることができる。
【0016】
車体11の前後方向のほぼ中央には、立席タイプの運転席15が設けられている。また、車体11の前側下部中央には、図示しない操舵輪(前輪)が設けられているとともに、車体11の後部左右両側には、それぞれ1個の駆動輪(後輪)16が設けられている。また、運転席15の後方に配置されたリアフレーム13には、バッテリBTを収容する箱状に形成された収容部17の上方を覆うバッテリフード18が開閉可能に設けられている。収容部17は、図3に示すように車体11の右側であって、運転席15の後方に配置されており、車幅方向に引き出し可能に構成されている。この収容部17は、ロック部材としてのバッテリストッパー19のロック状態において引き出し不能となり、収容部17からバッテリBTを外部に取り出しできなくなる。一方、収容部17は、バッテリストッパー19のアンロック状態において引き出し可能となり、収容部17からバッテリBTを外部に取り出すことができるようになる。バッテリストッパー19は、棒状の部材であって、車体11に対して回動自在に設けられており、図3に実線で示すように収容部17の前面に対向して配置されている状態がロック状態となり、図3に二点鎖線で示すように運転席15側に向かって回動して配置されている状態がアンロック状態となる。そして、車体11には、バッテリBTを駆動源とする走行用モータMT(図4に示す)が搭載されており、駆動輪16は走行用モータMTから駆動力が付与される。すなわち、本実施形態の牽引車10は、バッテリ式(電気式)の車両とされている。
【0017】
運転席15には、乗車した作業者(運転者)がハンドル操作を行うための操舵ハンドルとしてのバーハンドル20が設けられている。バーハンドル20は、ステアリングコラム21に内装された図示しないステアリングシャフトを介してアクスルシャフトに連結されている。これにより、牽引車10は、運転者がバーハンドル20をハンドル操作(左右方向への回転操作)することにより操舵輪を操舵し、有人運転モード(手動走行モード)で有人走行させることができるようになっている。
【0018】
また、牽引車10は、有人運転モードで走行する他に、無人運転モード(自動走行モード)でも走行可能に構成されている。無人運転モード時には、図4に示す走行コントローラ(制御装置)22によって走行機構23を構成する走行用モータMTが駆動制御されるとともに、リモコンコントローラ24によって操舵機構25を構成する操舵輪用の操舵用モータ(図示しない)が駆動制御される。走行機構23は、走行用モータMTやモータ用電磁ブレーキを含んで構成される。また、操舵機構25は、操舵用モータや、操舵用モータの動力をアクスルシャフトに伝達する伝達状態と動力を伝達しない非伝達状態に切り換える電磁式クラッチ(例えば電磁ツースクラッチ)を含んで構成される。これらの走行コントローラ22及びリモコンコントローラ24は、マイクロコンピュータ(マイコン)からなり、車体11に搭載されている。
【0019】
また、運転席15には、図2に示すように右側のバーハンドル20の近傍に、有人運転モード時において乗車した作業者が牽引車10の加速(走行)を指示するとともに走行速度を調整するためのアクセル操作部材としてのアクセルレバー26が設けられている。本実施形態のアクセルレバー26は、中立位置(ニュートラルの位置)から車両前方(図2に示す矢印A方向)に傾動操作させることにより「前進走行」を指示し、かつ傾動操作の操作量により前進走行時の車速を調整し得るように構成されている。また、本実施形態のアクセルレバー26は、中立位置(ニュートラルの位置)から車両後方(図2に示す矢印B方向)に傾動操作させることにより「後進走行」を指示し、かつ傾動操作の操作量により後進走行時の車速を調整し得るように構成されている。本実施形態の牽引車10に乗車した作業者は、右手で右側のバーハンドル20とアクセルレバー26を握るとともに、左手で左側のバーハンドル20を握り、立ち姿勢で運転する。
【0020】
また、運転席15には、図2に示すように、牽引車10の運転モードを、有人運転モード及び無人運転モードの何れかに選択的に切り替える運転モード選択手段としての走行切替レバー27が設けられている。また、車体11には、牽引車10の走行時の速度制御や停止時に使用される常用ブレーキの他に、駐車時に使用されるパーキングブレーキ(駐車用ブレーキ)が装備されており、運転席15にはパーキングブレーキを操作する駐車用ブレーキ操作部材としてのパーキングブレーキレバー28が設けられている。また、運転席15(ステアリングコラム21)には、図2に示すように、牽引車10を始動(電源ON状態)及び停止(電源OFF状態)させる始動操作部材としての始動スイッチキー29が設けられている。また、運転席15には、図2に示すように、走行切替レバー27の操作により「無人運転モード」へ切り換えた後、牽引車10を無人運転モードで走行可能な状態で待機させるための運転準備操作部材としての運転準備ボタン30が設けられている。また、運転席15には、図2に示すように、牽引車10に発生した各種の異常状態(エラー状態)を解除するための異常解除操作部材としての異常解除ボタン(リセットボタン)31が設けられている。
【0021】
また、運転席15の床(フロア)には、図1(a)に示すように、運転者検出操作部材としてのフロアスイッチペダル32が設けられている。フロアスイッチペダル32は、踏み込み操作式に構成されている。本実施形態の牽引車10では、乗車した作業者(運転者)が立ち姿勢でフロアスイッチペダル32を踏み込むことにより運転姿勢をとって運転席15に着いたことになる。作業者が運転席15に着いた状態が着席状態であり、作業者が運転席15に着いていない状態(運転席15に居てもフロアスイッチペダル32を操作していない状態を含む)が非着席状態となる。このため、本実施形態の牽引車10では、フロアスイッチペダル32の操作状態により、運転者が運転姿勢をとって運転席15に着いたか否か(着席したか否か)が検出される。
【0022】
また、運転席15の床(フロア)には、図3に示すように、牽引車10に制動力を作用させる常用ブレーキを操作する常用ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル33が設けられている。有人運転モード時において乗車した作業者は、走行中にブレーキペダル33を操作することによって制動力を作用させ、牽引車10を減速又は停止させる。また、車体11には、無人運転モードによる牽引車10の走行中に点灯する警告手段としての表示灯34、及び警笛などの各種警告音を発する警告手段としてのシグナルホーン35(図4のみに図示する)が設けられている。
【0023】
無人運転モード時には、送信機(リモートコントローラ)36による遠隔操作にてリモコンコントローラ24に各種指令が送られるようになっている。送信機36には、牽引車10の走行形態として寸動走行及び連続走行を指示する走行用指示ボタンなどの各種の操作ボタン37が設けられている。寸動走行は、作業者が送信機36の操作ボタン37を操作し、そのボタン操作中、牽引車10を走行させる走行形態である。寸動走行は、牽引する台車に対して荷を搬入及び搬出する際に、荷の搬入元及び搬出先となる部品棚に台車を位置合わせする時など、牽引車10の停止位置を微調整する場合に使用される。一方で、連続走行は、牽引車10を荷の搬入元や荷の搬出先に向けて走行させたい時など、予め定めた停止位置まで連続的に走行させる場合に使用される。
【0024】
また、リアフレーム13には、送信機36が送信した指令を、受信アンテナ38aを介して受信する受信機38が設けられており、牽引車10は送信機36からの遠隔操作によって走行指示を行えるように構成されている。そして、牽引車10は、無人運転モードで走行する際は、牽引車10の走行経路に敷設されたガイド部材としてのガイドテープGTの位置をガイドセンサGS(図4に示す)で検出し、その検出信号に基づいてリモコンコントローラ24が操舵機構25(操舵用モータ)を制御して操舵輪が操舵される。この実施形態では、ガイドテープGTとして磁気テープが使用されている。
【0025】
次に、牽引車10の電気的構成を図4にしたがって説明する。
走行コントローラ22には、リモコンコントローラ24が接続されており、リモコンコントローラ24からの指示を受けて走行機構23を制御し、牽引車10を走行及び停止させる。リモコンコントローラ24には、操舵機構25、受信機38、走行切替スイッチ39、及びガイドセンサGSが接続されている。走行切替スイッチ39は、走行切替レバー27の操作位置を検出し、その検出結果に応じた電気信号をリモコンコントローラ24に出力する。リモコンコントローラ24は、走行切替スイッチ39からの電気信号を受信し、牽引車10の運転モードを設定する。本実施形態において走行切替スイッチ39は、走行切替レバー27 が無人運転モード時にON状態となり、有人運転モード時にOFF状態となる。
【0026】
ガイドセンサGSは、ガイドテープGTを検知し、ガイドテープGTと牽引車10のずれ量を電気信号に変換してリモコンコントローラ24に送信する。リモコンコントローラ24は、無人運転モード時にガイドセンサGSからの電気信号を受信し、操舵機構25をコントロールして操舵輪の方向を制御する。また、リモコンコントローラ24には、車体11に設けた表示灯34及びシグナルホーン35が接続されている。そして、リモコンコントローラ24は、無人運転モード時、牽引車10の走行状態に応じて表示灯34の点灯態様を制御するとともに、シグナルホーン35の警告音出力を制御する。
【0027】
また、リモコンコントローラ24には、始動スイッチキー29の操作位置を検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力するキースイッチ40と、運転準備ボタン30の操作位置を検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力する運転準備スイッチ41が接続されている。リモコンコントローラ24は、キースイッチ40からの電気信号を入力することにより電源ON状態か又は電源OFF状態かを検出する。また、リモコンコントローラ24は、運転準備スイッチ41からの電気信号を入力することにより運転準備ボタン30の操作状態を検出する。そして、リモコンコントローラ24は、運転準備ボタン30が操作されている場合、走行切替レバー27により運転モードが無人運転モードへ切り替えられている条件のもと、牽引車10を無人運転モードで待機させる。本実施形態において運転準備スイッチ41は、運転準備ボタン30が操作されている時にON状態となり、運転準備ボタン30が操作されていない時にOFF状態となる。
【0028】
また、リモコンコントローラ24には、アクセルレバー26の操作位置を検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力するアクセルスイッチ42が接続されている。アクセルスイッチ42は、アクセルレバー26の操作位置が、中立位置であるか、又は前進走行を指示する前進位置であるか、若しくは後進走行を指示する後進位置であるかを検出する。そして、リモコンコントローラ24は、アクセルスイッチ42からの電気信号を入力することによりアクセルレバー26の操作状態を検出する。本実施形態においてアクセルスイッチ42は、アクセルレバー26が前進位置及び後進位置の時にON状態となり、アクセルレバー26が中立位置の時にOFF状態となる。
【0029】
また、リモコンコントローラ24には、パーキングブレーキレバー28の操作位置を検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力するパーキングスイッチ43が接続されている。パーキングスイッチ43は、パーキングブレーキレバー28の操作位置が、パーキングブレーキをリリースした解除位置であるか、又はパーキングブレーキをかけた非解除位置であるかを検出する。そして、リモコンコントローラ24は、パーキングスイッチ43からの電気信号を入力することによりパーキングブレーキレバー28(パーキングブレーキ)の操作状態を検出する。本実施形態においてパーキングスイッチ43は、パーキングブレーキレバー28が非解除位置の時にON状態となり、パーキングブレーキレバー28が解除位置の時にOFF状態となる。
【0030】
また、リモコンコントローラ24には、ブレーキペダル33の操作位置を検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力するブレーキスイッチ44が接続されている。ブレーキスイッチ44は、ブレーキペダル33の操作位置が、常用ブレーキをリリースした解除位置であるか、又は常用ブレーキをかけた非解除位置であるかを検出する。そして、リモコンコントローラ24は、ブレーキスイッチ44からの電気信号を入力することによりブレーキペダル33(常用ブレーキ)の操作状態を検出する。本実施形態においてブレーキスイッチ44は、ブレーキペダル33が非解除位置の時にON状態となり、ブレーキペダル33が解除位置の時にOFF状態となる。
【0031】
また、リモコンコントローラ24には、フロアスイッチペダル32の操作位置を検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力するフロアスイッチ45が接続されている。フロアスイッチ45は、フロアスイッチペダル32の操作位置が、踏み込み操作された踏込み位置であるか、又は踏み込み操作されていない非踏込み位置であるかを検出する。そして、リモコンコントローラ24は、フロアスイッチ45からの電気信号を入力することによりフロアスイッチペダル32の操作状態、すなわち運転者が運転姿勢をとって運転席15に着いたか否かを検出する。本実施形態においてフロアスイッチ45は、フロアスイッチペダル32が踏込み位置の時にON状態となり、フロアスイッチペダル32が非踏込み位置の時にOFF状態となる。
【0032】
また、リモコンコントローラ24には、バッテリストッパー19の操作位置を検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力するバッテリストッパースイッチ46が接続されている。バッテリストッパースイッチ46は、バッテリストッパー19の操作位置が、ロック位置であるか、又はアンロック位置であるかを検出する。そして、リモコンコントローラ24は、バッテリストッパースイッチ46からの電気信号を入力することによりバッテリストッパー19の操作状態を検出する。本実施形態においてバッテリストッパースイッチ46は、バッテリストッパー19がロック位置の時にON状態となり、バッテリストッパー19がアンロック位置の時にOFF状態となる。
【0033】
また、リモコンコントローラ24には、異常解除ボタン31の操作位置を検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力する異常解除スイッチ47が接続されている。リモコンコントローラ24は、異常解除スイッチ47からの電気信号を入力することにより異常解除ボタン31の操作状態を検出する。本実施形態において異常解除スイッチ47は、異常解除ボタン31が操作されている時にON状態となり、異常解除ボタン31が操作されていない時にOFF状態となる。
【0034】
次に、無人運転モードに関するリモコンコントローラ24の制御内容を図5にしたがって説明する。
図5に示すように、ステップS10にてリモコンコントローラ24は、キースイッチ40がON状態であるか否かを判定し、その判定結果が肯定の場合にはステップS11に移行し、判定結果が否定の場合には処理を終了する。
【0035】
次に、ステップS11にてリモコンコントローラ24は、走行切替スイッチ39がON状態であるか否か、すなわち運転モードとして無人運転モードに切り替えられているか否かを判定する。この判定結果が否定の場合、リモコンコントローラ24は処理を終了する。一方、ステップS11の判定結果が肯定の場合、ステップS12にてリモコンコントローラ24は、運転準備スイッチ41がON状態であるか否か、すなわち運転準備ボタン30が操作されているか否かを判定する。この判定結果が否定の場合、リモコンコントローラ24は処理を終了する。
【0036】
一方、ステップS12の判定結果が肯定の場合、リモコンコントローラ24は、運転モードが無人運転モードに設定され、かつ運転準備ボタン30が操作されたので、牽引車10を無人運転モードにて走行可能な状態で待機させる。すなわち、リモコンコントローラ24は、送信機36からの走行を指示する走行指示信号の受付を許可した状態とする。このため、リモコンコントローラ24は、ステップS12の処理が終了した時点で、送信機36からの走行指示信号を入力すると、その走行指示信号に基づき、走行コントローラ22に走行機構23を駆動制御させるとともに、操舵機構25を駆動制御し、牽引車10を走行させる。そして、リモコンコントローラ24は、ステップS12の判定結果が肯定の場合にはステップS13に移行する。
【0037】
次に、ステップS13にてリモコンコントローラ24は、無人運転モードにおいて予め定めた無人運転条件が成立しているか否かを判定する。本実施形態では、無人運転条件として、以下に説明する5つの条件が定められている。
【0038】
まず、1つ目の無人運転条件としては、アクセルスイッチ42がOFF状態、すなわちアクセルレバー26が中立位置に操作されていることとしている。次に、2つ目の無人運転条件としては、パーキングスイッチ43がOFF状態、すなわちパーキングブレーキレバー28が解除位置に操作されていることとしている。次に、3つ目の無人運転条件としては、ブレーキスイッチ44がOFF状態、すなわちブレーキペダル33が解除位置に操作されていることとしている。次に、4つ目の無人運転条件としては、フロアスイッチ45がOFF状態、すなわち運転席15に運転者が着いていないこととしている。次に、5つ目の無人運転条件としては、バッテリストッパースイッチ46がON状態、すなわちバッテリストッパー19がロック位置に操作されていることとしている。
【0039】
そして、リモコンコントローラ24は、上記の無人運転条件としての5つの条件のうち全ての条件が成立している場合には運転モードが有人運転モードに切り替わる迄の間、及び無人運転モードの状態で牽引車10が電源OFF状態となる迄の間、継続してステップS13の処理を繰り返す。
【0040】
一方、リモコンコントローラ24は、牽引車10の走行中及び停止中の何れの場合においても、上記の無人運転条件としての5つの条件のうち何れか1つの条件が成立しなかった場合にはステップS13を否定判定し、ステップS14〜S16の処理にて牽引車10の走行に制限を加える。なお、リモコンコントローラ24がステップS13を否定判定する場合は以下に説明するとおりである。
【0041】
まず、リモコンコントローラ24は、アクセルレバー26の操作状態に関して、無人運転モード時にアクセルスイッチ42がON状態になると、そのON状態を検出してからの時間を計測し、アクセルレバー26が所定時間(例えば、1〜3秒)の間、継続して操作されたか否かを判定する。アクセルレバー26は、非操作時には中立位置に配置され、操作時には運転者の操作力(本実施形態の場合には把持力)を弱めると、ばね力によってアクセルレバー26が中立位置へ戻るように構成されている。このため、設定したばね力の強弱に応じてアクセルレバー26は、牽引車10の走行時の振動により、瞬間的にアクセルスイッチ42がON状態になる可能性がある。したがって、ステップS13の判定におけるアクセルレバー26の操作状態については、アクセルスイッチ42がON状態になることに加えて、アクセルレバー26の操作時間を参照し、無人運転条件の成立及び非成立を判断するようになっている。なお、判定に用いる所定時間(操作時間)は、運転者が運転の意思を持ってアクセルレバー26を操作したことを判断し得る時間に設定される。また、判定に用いる所定時間(操作時間)は、アクセルレバー26の構造(ばね力など)も加味して設定される。
【0042】
そして、リモコンコントローラ24は、アクセルスイッチ42がON状態となり、かつアクセルレバー26が所定時間の間、継続して操作された場合、無人運転条件を非成立とし、ステップS13を否定判定する。
【0043】
また、リモコンコントローラ24は、パーキングブレーキの操作状態に関して、無人運転モード時にパーキングスイッチ43がON状態になると、パーキングブレーキレバー28がパーキングブレーキを作動させるように操作されていることを検出し、無人運転条件を非成立とする。その結果、リモコンコントローラ24は、ステップS13を否定判定する。
【0044】
また、リモコンコントローラ24は、常用ブレーキの操作状態に関して、無人運転モード時にブレーキスイッチ44がON状態になると、ブレーキペダル33が常用ブレーキを作動させるように操作されていることを検出し、無人運転条件を非成立とする。その結果、リモコンコントローラ24は、ステップS13を否定判定する。
【0045】
また、リモコンコントローラ24は、運転者の有無に関して、無人運転モード時にフロアスイッチ45がON状態になると、フロアスイッチペダル32が操作されていることで運転席15に運転者が着いていることを検出し、無人運転条件を非成立とする。その結果、リモコンコントローラ24は、ステップS13を否定判定する。
【0046】
また、リモコンコントローラ24は、バッテリストッパー19の操作状態に関して、無人運転モード時にバッテリストッパースイッチ46がOFF状態になると、バッテリストッパー19がアンロック状態であることを検出し、無人運転条件を非成立とする。その結果、リモコンコントローラ24は、ステップS13を否定判定する。
【0047】
そして、リモコンコントローラ24は、何れか1つの無人運転条件が成立しないとステップS13を否定判定し、ステップS14に移行する。一方、リモコンコントローラ24は、全ての無人運転条件が成立しているとステップS13を肯定判定し、運転モードとして無人運転モードが設定されている間、ステップS13の処理を繰り返す。
【0048】
ステップS14に移行したリモコンコントローラ24は、牽引車10の走行中に無人運転条件が非成立となったか否かを判定する。そして、リモコンコントローラ24は、走行中に無人運転条件が非成立となった場合にはステップS15に移行し、走行停止、警告音出力及び表示灯の点灯に係る制御を実行する。ステップS15においてリモコンコントローラ24は、無人運転条件が非成立となったことによる走行の停止を指示する指示信号を走行コントローラ22に出力する。そして、前記指示信号を入力した走行コントローラ22は、車両に回生制動を付与するように走行用モータMTを制御する。これにより、牽引車10は、急停止することなく、走行用モータMTの回生制動力により、制動距離が長くなってゆっくりと停止する。また、ステップS15においてリモコンコントローラ24は、所定時間の間、警告音を出力させるようにシグナルホーン35を制御する。また、ステップS15においてリモコンコントローラ24は、警告として表示灯34を点灯させるように表示灯34を制御する。なお、リモコンコントローラ24は、無人運転条件が非成立となっている状態が解除される迄の間、表示灯34を点灯させる。
【0049】
一方、リモコンコントローラ24は、停止中に無人運転条件が非成立となった場合にはステップS16に移行し、警告音出力及び表示灯の点灯に係る制御を実行する。ステップS16においてリモコンコントローラ24は、警告音出力及び表示灯の点灯に関し、ステップS15と同様に制御を行う。また、リモコンコントローラ24は、ステップS14を否定判定した場合、停止中の牽引車10が送信機36からの走行指示により走行を開始しないように、送信機36からの走行指示を受け付けない。すなわち、リモコンコントローラ24は、牽引車10の発進を禁止する。
【0050】
本実施形態では、図5のステップS13の処理を実行することにより、リモコンコントローラ24とアクセルスイッチ42によりアクセル操作状態検出手段が構成されるとともに、リモコンコントローラ24とパーキングスイッチ43により駐車用ブレーキ操作状態検出手段が構成される。また、本実施形態では、図5のステップS13の処理を実行することにより、リモコンコントローラ24とブレーキスイッチ44により常用ブレーキ操作状態検出手段が構成されるとともに、リモコンコントローラ24とフロアスイッチ45により運転者検出手段が構成される。また、本実施形態では、図5のステップS13の処理を実行することにより、リモコンコントローラ24とバッテリストッパースイッチ46によりロック操作検出手段が構成される。
【0051】
また、本実施形態では、ステップS13を否定判定し、ステップS14〜S16の処理を実行するリモコンコントローラ24が走行制御手段として機能し、ステップS15の制御内容が車両停止制御となり、ステップS16の処理が発進禁止制御となる。そして、本実施形態では、リモコンコントローラ24と、アクセルスイッチ42と、パーキングスイッチ43と、ブレーキスイッチ44と、フロアスイッチ45と、バッテリストッパースイッチ46とにより、搬送車としての牽引車10の走行制御装置が構成される。
【0052】
次に、図5のステップS13を否定判定し、ステップS14〜S16の処理にて牽引車10の走行に制限を加えた場合における前記制限の解除条件を説明する。
本実施形態では、前記制限の解除条件を、全ての無人運転条件が成立することと、運転席15に設けた異常解除ボタン31が操作されることとしている。このため、リモコンコントローラ24は、全ての無人運転条件が成立したか否かの判定を行い、この判定結果が肯定となった後に異常解除スイッチ47がON状態になると、異常解除ボタン31が操作されたことを契機として制限を解除する。すなわち、リモコンコントローラ24は、ステップS15及びステップS16で実行した制御状態を解除する。
【0053】
その後、リモコンコントローラ24は、運転準備ボタン30が再び操作されることにより、運転モードが無人運転モードへ切り替えられている条件のもと、牽引車10を無人運転モードで待機させる。この待機状態においてリモコンコントローラ24は、送信機36からの走行指示を受け付け、走行指示を受信した場合には牽引車10を無人運転モードにて走行させる。
【0054】
以下、本実施形態の牽引車10の作用を説明する。
作業者は、牽引車10を無人運転モードで走行させる場合、始動スイッチキー29を電源ON状態に操作するとともに、走行切替レバー27を無人運転モード側に切り替え、運転準備ボタン30の操作により牽引車10を無人運転モードで走行可能な状態で待機させる。この待機状態で無人運転条件が成立していない場合には、リモコンコントローラ24の制御により、警告音が出力されるともに表示灯34が点灯し、無人運転条件が成立していない旨が作業者に報知される。このため、作業者は、無人運転条件が成立するように各部を操作する。例えば、パーキングブレーキレバー28の操作位置が非解除位置であれば、その操作位置を解除位置とするようにパーキングブレーキレバー28を操作する。
【0055】
そして、無人運転条件が成立した状態で待機している牽引車10は、作業者による送信機36からの走行指令により、走行を開始する。走行を開始した牽引車10は、走行コントローラ22による走行機構23の制御とリモコンコントローラ24による操舵機構25の制御により、走行経路に敷設されたガイドテープGTに沿って走行する。また、走行を開始した牽引車10は、作業者による送信機36からの走行停止指令や、予め定めた停止位置への到着により、走行を停止する。
【0056】
そして、走行中に無人運転条件が成立しなくなると、牽引車10は、走行コントローラ22及びリモコンコントローラ24の制御により、減速し、停止する。また、リモコンコントローラ24の制御により、警告音が出力されるともに表示灯34が点灯し、無人運転条件が成立していない旨が作業者に報知される。このため、作業者は、無人運転条件が成立するように各部を操作する。例えば、無人運転中に作業者が乗車し、アクセルレバー26やフロアスイッチペダル32を操作した場合には、これらの操作を止めて降車する。そして、作業者は、異常解除ボタン31を操作するとともに運転準備ボタン30を操作し、牽引車10を無人運転モードで走行可能な状態で待機させる。これにより、牽引車10は、無人運転条件が成立していることを前提とし、作業者による送信機36からの走行指令により再び無人運転モードで走行が可能となる。
【0057】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)リモコンコントローラ24は、無人運転モード時に、予め定めた無人運転条件の何れか一つが成立しない場合、車両の走行に制限を掛ける。すなわち、無人運転モードが選択されている時に作業車が乗車し、車両の操作された場合又は操作されようとする場合に、牽引車10の走行に制限が加えられる。このため、無人運転モードにおいて乗車した作業者(運転者)による車両操作の介入を防止できる。また、無人運転モードが選択されている牽引車10を確実に無人の状態で走行させることができ、無人運転モードによる走行の信頼性を向上させることができる。
【0058】
(2)また、無人運転条件として、走行系の条件(アクセルレバー26の操作状態)、制動系の条件(パーキングブレーキレバー28の操作状態、ブレーキペダル33の操作状態)及び乗車した作業者の有無の条件など、車両の走行に影響を及ぼす条件を設定した。このため、無人運転モードにおいて乗車した作業者(運転者)による車両操作の介入を防止できる。また、無人運転モードが選択されている牽引車10を確実に無人の状態で走行させることができ、無人運転モードによる走行の信頼性を向上させることができる。すなわち、条件を増やすことで、無人運転モードによる走行の信頼性を向上させることができる。
【0059】
(3)また、無人運転条件の中にバッテリストッパー19の操作状態に関する条件を加えた。このため、無人運転モードによる走行中に、バッテリBTの収容部17が車体11から離脱する(抜け落ちる)などの事態を回避できる。
【0060】
(4)また、アクセルレバー26の操作状態に関しては、アクセルスイッチ42のON状態及びOFF状態の検出に加えて、アクセルレバー26が所定時間の間、継続して操作された場合とした。このため、走行時の振動などの影響を受けてアクセルレバー26が一瞬作動し、アクセルスイッチ42がON状態となったような状況下において、牽引車10の走行に制限が加えられることを回避できる。したがって、無人運転モードによる走行の信頼性を向上させることができる。
【0061】
(5)走行に制限が加えられた場合の解除条件を、成立していない無人運転条件を成立させるように戻すことと、解除ボタン31が操作されることとした。このため、作業者は、制限を解除するために、牽引車10の状態を無人運転条件が成立するように戻し、さらに解除ボタン31を操作する必要がある。したがって、無人運転モード時に牽引車10の走行に制限が加えられたことを作業者に認識させつつ、制限を解除させることができる。
【0062】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態は、運転席に座席を設けた座席タイプの搬送車に具体化しても良い。この場合、操舵ハンドルは、ステアリングハンドルとなる。なお、運転席に座席を設けた座席タイプの搬送車の場合には、運転者が座席に着座することにより運転姿勢をとって運転席に着いたことになる。このため、座席にシートスイッチを設け、そのシートスイッチの検出結果をもとに、運転者が運転姿勢をとって運転席に着いたか否かを検出するようにしても良い。
【0063】
○ 実施形態において、バーハンドル20に光センサを設け、バーハンドル20を握る運転者の手を光センサで検出することにより、運転者が運転姿勢をとって運転席に着いたか否かを検出するようにしても良い。すなわち、運転者は、牽引車10を有人運転モードで走行させる場合、バーハンドル20で操舵輪を操舵することになるので、バーハンドル20を握る姿勢が運転姿勢となる。光センサは、左右一対のバーハンドル20のうち何れか一方のバーハンドル20側に設けても良いし、両方のバーハンドル20に設けても良い。すなわち、少なくとも運転者の片手を検出すれば良い。なお、光センサを何れか一方のバーハンドル20側に設ける場合は、アクセルレバー26が設けられていない側(実施形態では左側のバーハンドル20側)に設けることが好ましい。また、光センサによる検出は、前述した操舵ハンドルをステアリングハンドルに変更した場合にも適用できる。
【0064】
○ 実施形態において、図5のステップS13を否定判定したことにより牽引車10の走行に制限を加えた場合、その制限の解除条件を変更しても良い。例えば、走行切替レバー27を有人運転モード側に操作したことを契機に前記制限を解除するようにしても良いし、始動スイッチキー29を一旦電源OFF状態に操作してから再び電源ON状態に操作したことを契機に前記制限を解除するようにしても良い。
【0065】
○ 実施形態における図5のステップS13の処理において、アクセルスイッチ42と、パーキングスイッチ43と、ブレーキスイッチ44と、フロアスイッチ45の検出結果をもとに、無人運転条件が成立しているか否かを判定するようにしても良い。すなわち、上記4つの検出結果をもとに、何れか1つの無人運転条件が非成立の場合に、走行に制限を加えても良い。
【0066】
○ 実施形態において、アクセルレバー26やパーキングブレーキレバー28を運転席15のフロア(床)に配設したアクセルペダルやパーキングブレーキペダルに変更しても良い。また、ブレーキペダルをブレーキレバーに変更しても良い。
【0067】
○ 実施形態において、走行コントローラ22とリモコンコントローラ24を単一のコントローラで構成しても良い。
○ 実施形態において、無人運転条件が非成立となった時に出力させる警告音を制限が解除されるまで出力しても良い。また、無人運転条件が非成立の場合には、表示灯34を点滅させるなど、表示灯34の点灯態様を変更しても良い。また、無人運転条件が非成立の場合には、警告音の出力又は表示灯34の点灯の何れか一方により警告を行っても良い。
【0068】
○ 実施形態は、荷を牽引により搬送する搬送車に代えて、荷を運搬により搬送する搬送車に具体化しても良い。また、荷を牽引及び運搬の両方の形態で搬送する搬送車に具体化しても良い。
【0069】
○ 実施形態は、駆動輪16をエンジンの駆動力で駆動するエンジン式車両に具体化しても良いし、走行用モータとエンジンの両方の駆動力で駆動する車両に具体化しても良い。
【0070】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記車両は、車体に搭載されるバッテリを駆動源とする走行用モータの発生する駆動力により走行可能な電気式車両であり、前記車体には前記バッテリの収容部が設けられているとともに前記収容部から前記バッテリを取り出し可能なアンロック状態と前記収容部から前記バッテリを取り出し不能なロック状態に操作可能なロック部材が設けられており、前記ロック部材の操作状態を検出するロック操作検出手段を備え、前記走行制御手段は、前記4つの条件と前記無人運転モード時において前記ロック操作検出手段によりアンロック状態が検出される条件のうち何れか一つの条件を満たした場合、前記車両停止制御又は前記発進禁止制御を実行する請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の搬送車の走行制御装置。
【0071】
(ロ)請求項1〜請求項3及び前記技術的思想(イ)のうちいずれか一項に記載の搬送車の走行制御装置を備えた搬送車。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】(a)は本実施形態の牽引車の概略を示す斜視図、(b)は牽引機構を示す正面図。
【図2】運転席前方を示す正面図。
【図3】牽引車の右側面を示す斜視図。
【図4】牽引車の電気的構成を示すブロック図。
【図5】無人運転モード時におけるリモコンコントローラの制御内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0073】
10…牽引車、15…運転席、19…バッテリストッパー、20…バーハンドル、24…リモコンコントローラ、26…アクセルレバー、27…走行切替レバー、28…パーキングブレーキレバー、31…異常解除ボタン、32…フロアスイッチペダル、33…ブレーキペダル、42…アクセルスイッチ、43…パーキングスイッチ、44…ブレーキスイッチ、45…フロアスイッチ、46…バッテリストッパースイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有人運転モード及び無人運転モードの何れかの運転モードで選択的に走行可能な搬送車の走行制御装置において、
運転者が運転姿勢をとって運転席に着いたか否かを検出する運転者検出手段と、
車両に設けた駐車用ブレーキの操作状態を検出する駐車用ブレーキ操作状態検出手段と、
車両に設けた常用ブレーキの操作状態を検出する常用ブレーキ操作状態検出手段と、
車両の加速を指示するアクセル操作部材の操作状態を検出するアクセル操作状態検出手段と、
各検出手段の検出結果をもとに、前記無人運転モード時における車両の走行状態を制御する走行制御手段と、を備え、
前記走行制御手段は、前記無人運転モード時において、前記運転者検出手段により運転者が検出される条件、前記駐車用ブレーキ操作状態検出手段により前記駐車用ブレーキが操作されていることが検出される条件、前記常用ブレーキ操作状態検出手段により前記常用ブレーキが操作されていることが検出される条件、及び前記アクセル操作状態検出手段により前記アクセル操作部材が所定の操作態様で操作されていることが検出される条件のうち何れか一つの条件を満たした場合、走行中のときには車両を停止させる車両停止制御を実行し、停止中のときには車両の発進を禁止する発進禁止制御を実行することを特徴とする搬送車の走行制御装置。
【請求項2】
前記アクセル操作部材の所定の操作態様は、前記運転者が前記アクセル操作部材を所定時間、継続して操作していることである請求項1に記載の搬送車の走行制御装置。
【請求項3】
前記車両停止制御及び前記発進禁止制御の制御状態を解除する異常解除操作部材を備え、
前記走行制御手段は、前記各条件が満たされていないことと前記異常解除操作部材が操作されることを契機に前記車両停止制御及び前記発進禁止制御の制御状態を解除する請求項1又は請求項2に記載の搬送車の走行制御装置。
【請求項4】
前記運転者検出手段は、車両を操舵する操舵ハンドルに設けられ、前記操舵ハンドルを握る運転者の少なくとも片手を検出する光センサを備えている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の搬送車の走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−25984(P2009−25984A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187209(P2007−187209)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】