説明

携帯情報端末

【課題】 通常電力モード時には、表示プロセッサを用いて、高精細な画像データを生成して高速転送する一方、省電力モード時には表示プロセッサへの電源又はクロック供給を遮断し、消費電力を削減することを目的とする。
【解決手段】 2つのデータ通信線50,51を介してLCDコントローラ2Nに接続されたホストコントローラ1が、画像データを生成してシリアル通信線50へ出力するホストプロセッサ10と、より高速に画像データを生成してパラレル通信線51へ出力する表示プロセッサ11とを備える。そして、通常電力モード時には、表示プロセッサ11が画像データを生成する一方、省電力モード時には、画像データが単位時間当たりに更新されるデータ量を低減させ、ホストプロセッサ10が画像データを生成するとともに、表示プロセッサ11への電源又はクロック供給を遮断し、消費電力を削減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの携帯情報端末に係り、さらに詳しくは、画像表示を行う表示装置と、画像データを生成するホストコントローラとの間に表示コントローラを介在させた携帯情報端末の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話機などの携帯情報端末の表示装置には、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)が採用されている。この種の液晶ディスプレイは、液晶表示パネル及びドライバ回路などを含む予めモジュール化されたLCD表示装置として提供され、画像データを生成するホストコントローラとの間にLCDコントローラ(表示コントローラ)を介在させて使用される。LCDコントローラは、ホストコントローラで生成された画像データを格納するビデオRAMを内蔵し、このビデオRAM内の画像データを所定のタイミングで読み出して、LCD表示装置3へ出力している。
【0003】
また、最近の携帯電話機では、液晶ディスプレイの大型化や高精細化、描画更新速度の高速化に対応するために、ホストコントローラ内には、ホストプロセッサに加えて、表示プロセッサが導入されている。表示プロセッサは、従来はホストプロセッサが行っていた画像データの生成や転送を高速に実行する表示処理専用の回路であり、ホストプロセッサによる表示系の処理負荷を軽減することによって、携帯電話機全体のパフォーマンスを向上させている。
【0004】
図9は、従来の携帯情報端末の要部について一構成例を示したブロック図であり、ホストコントローラ1、LCDコントローラ2、LCD表示装置3、I/O(Input/Output)コントローラ4及びデータ記憶部12,13が示されている。また、パラレル通信線51は、ホストコントローラ1及びLCDコントローラ2を接続している唯一のデータ通信線であり、これらのコントローラ間における全てのデータ通信が、パラレル通信線51を介して行われている。
【0005】
ホストコントローラ1は、ホストプロセッサ10及び表示プロセッサ11により構成される。表示プロセッサ11は、ホストプロセッサ10の指示に基づいて、液晶表示パネル33に表示させる画像データを生成し、パラレル通信線51を介して、LCDコントローラ2へ高速転送する。また、ホストプロセッサ10によって生成されたLCDコントローラ2及びLCD表示装置3の制御データも、一旦、ホストプロセッサ10から表示プロセッサ11へ送られた後、パラレル通信線51を介して、LCDコントローラ2へ出力される。
【0006】
LCDコントローラ2は、画像データを記憶するビデオRAM(VRAM)24と、制御データを記憶するレジスタ群27を備えている。表示プロセッサ11から転送される画像データは、通信部20によって受信され、VRAMアクセス部23によってビデオRAM24に書き込まれる。また、ビデオRAM24内に保持されている画像データは、所定のタイミングで画像データ出力部25によって読み出され、LCD表示装置3へ出力される。一方、表示プロセッサ11から出力される制御データは、通信部20によって受信され、レジスタアクセス部26によってレジスタ群27に書き込まれる。このレジスタ群27内には、制御データとして、書込制御データ、出力制御データ及びLCD制御データが保持されている。
【0007】
書込制御データは、VRAMアクセス部23の動作を規定する制御データであり、例えば、書き込みを開始する画素位置、書き込み範囲、書き込み方向などの情報が含まれている。VRAMアクセス部23は、この書込制御データに基づいて、ビデオRAM24のアドレスを自動生成し、表示プロセッサ11から連続して入力される画像データをビデオRAM24へ書き込んでいく。このため、書込制御データは、表示プロセッサ11によって生成され、一連の画像データの転送に先立って、LCDコントローラ2へ出力される。
【0008】
出力制御データは、画像データ出力部25の動作を規定する制御データである。画像データ出力部25は、この出力制御データに基づいて、ビデオRAM24内の画像データをLCD表示装置3へ出力するタイミングを調整している。
【0009】
LCD制御データは、LCD表示装置3内の通信部31やドライバ回路32の動作を規定する制御データであり、制御データ出力部28によってLCD表示装置3へ送信される。なお、出力制御データ及びLCD制御データは、ホストプロセッサ10によって生成され、表示プロセッサ11を介してLCDコントローラ2へ入力される。
【0010】
I/Oコントローラ4は、シリアル通信線50を介して、ホストプロセッサ10に接続され、ホストプロセッサ10から出力される周辺機器制御データに基づいて、図示しない周辺機器に対する信号入出力や制御を行っている。この周辺機器には、例えば、USB機器やSDカードのように、携帯電話機に対して着脱可能に取り付けられる外部装置だけでなく、携帯電話機内に予め組み込まれている内部装置も含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した通り、最近の携帯電話機は、ホストコントローラ1内に表示プロセッサ11を導入し、液晶ディスプレイの大型化や高精細化に対応しているが、このような変化に伴って、画像表示のために消費される電力量も増大している。
【0012】
一般に、電池電源を利用する携帯情報端末は、一時的にホストコントローラ1の動作周波数などを落として性能を低下させたり、機能を限定することによって、消費電力を低減させる動作モード、いわゆる省電力モードを有している場合が多い。特に、画像表示のための消費電力は、総消費電力に大きな影響を与えることから、省電力モード時に、LCD表示装置3のバックライトを消灯させるとともに、画質の抑制等により画像データを更新するための処理負荷も軽減されている。
【0013】
このため、省電力モード時には、表示プロセッサ11を用いて画像データを生成する必要は必ずしもなく、表示プロセッサ11による電力消費を削減することが望ましい。すなわち、省電力モード時には、画像データ生成処理の負荷が削減されているとともに、ホストプロセッサ10自身の負荷も軽減されている。このため、省電力モード時における画像データの生成処理をホストプロセッサ10に行わせることができれば、表示プロセッサ11への電源あるいはクロックの供給を遮断し、携帯情報端末全体としての消費電力を更に低減することができると考えられる。
【0014】
しかしながら、従来の携帯電話機では、パラレル通信線51が、ホストコントローラ1及びLCDコントローラ2を接続している唯一のデータ通信線であり、表示プロセッサ11への電源あるいはクロックの供給を遮断すればホストコントローラ1及びLCDコントローラ2間でデータ通信を行うことができず、ビデオRAM24内の画像データを更新することができなくなるという問題があった。
【0015】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、通常電力モード時には、表示プロセッサを用いて、高精細な画像データを高速に生成し、LCDコントローラへ高速転送する一方、省電力モード時には表示プロセッサへの電源あるいはクロックの供給を遮断して消費電力を削減することを目的とする。特に、データ通信線の数を増大させたり、回路構成を複雑化させることなく、省電力モード時に表示プロセッサへの電源或いはクロックの供給を遮断し、消費電力を削減することを目的とする。また、この様な携帯情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る携帯情報端末は、画像表示を行う表示装置と、画像データを生成するホストコントローラと、上記表示装置及び上記ホストコントローラ間に介在させる表示コントローラとにより構成され、上記ホストコントローラ及び上記表示コントローラが、第1データ通信線及び第2データ通信線によって接続され、上記表示装置に表示される画像データが単位時間当たりに更新されるデータ量を異ならせた通常電力モード及び省電力モードを切り替え可能であるとともに、以下のような特徴を有している。
【0017】
第1の本発明による携帯情報端末は、上記ホストコントローラが、上記通常電力モード時に画像データを生成し、上記省電力モード時には電源供給が遮断される表示プロセッサと、上記省電力モード時に画像データを生成するホストプロセッサとを備えて構成される。また、上記表示コントローラが、上記表示プロセッサから第1データ通信線を介して入力される画像データ、及び、第2データ通信線を介して上記ホストプロセッサから入力される画像データを保持するビデオRAMと、上記第2データ通信線を介して、上記ホストプロセッサから入力される周辺機器制御データを保持するレジスタ群と、上記周辺機器制御データに基づいて、当該携帯情報端末に着脱可能に接続される周辺機器との間で信号入出力を行う周辺機器制御部とを備えて構成される。
【0018】
表示コントローラ及びホストコントローラが、2つのデータ通信線によって接続され、通常電力モード時には、ホストコントローラ内の表示プロセッサによって生成された画像データが、第1データ通信線を介して、表示コントローラへ転送される一方、画像データの更新データ量が少なくなる省電力モード時には、ホストコントローラ内のホストプロセッサによって生成された画像データが、第2データ通信線を介して、表示コントローラへ転送される。このため、省電力モード時に、画像表示を継続しつつ、表示プロセッサへの電源供給を遮断することができる。しかも、表示コントローラへ周辺機器制御データを転送するための第2データ通信線を用いて、省電力モード時の画像データを転送しているため、信号線の数を顕著に増大させ、あるいは、回路規模を顕著に増大させることなく実現することができる。
【0019】
なお、後述するLCD表示装置3は、上記表示装置の一例であり、LCDコントローラ2Nは、上記表示コントローラの一例であって、本発明は、LCD表示装置を有する携帯電話機には限定されない。
【0020】
第2の本発明による携帯情報端末は、上記ホストコントローラが、上記通常電力モード時に画像データを生成し、上記省電力モード時には電源供給が遮断される表示プロセッサと、上記省電力モード時に画像データを生成するホストプロセッサとを備えて構成される。また、上記表示コントローラが、上記表示プロセッサから第1データ通信線を介して入力される画像データ、及び、第2データ通信線を介して上記ホストプロセッサから入力される画像データを保持するビデオRAMと、上記第2データ通信線を介して、上記ホストプロセッサから入力される周辺機器制御データを保持するレジスタ群と、上記周辺機器制御データに基づいて、当該携帯情報端末に着脱可能に接続される周辺機器との間で信号入出力を行う周辺機器制御部とを備えて構成される。
【0021】
表示コントローラ及びホストコントローラが、2つのデータ通信線によって接続され、通常電力モード時には、ホストコントローラ内の表示プロセッサによって生成された画像データが、第1データ通信線を介して、表示コントローラへ転送される一方、画像データの更新データ量が少なくなる省電力モード時には、ホストコントローラ内のホストプロセッサによって生成された画像データが、第2データ通信線を介して、表示コントローラへ転送される。このため、省電力モード時に、画像表示を継続しつつ、表示プロセッサへのクロック供給を遮断することができる。しかも、表示コントローラへ周辺機器制御データを転送するための第2データ通信線を用いて、省電力モード時の画像データを転送しているため、信号線の数を顕著に増大させ、あるいは、回路規模を顕著に増大させることなく実現することができる。
【0022】
第3の本発明による携帯情報端末は、上記構成に加えて、通常電力モード時における画像データの書き込み時に、書込制御データに基づいて、書き込み先となる上記ビデオRAMのアドレスを生成するVRAMアクセス部を備え、上記レジスタ群が、上記ホストコントローラから入力される上記書込制御データを保持するように構成される。この様な構成によって、通常電力モード時における画像データの転送を高速化することができる。
【0023】
第4の本発明による携帯情報端末は、上記構成に加えて、上記通常電力モード時には、上記表示装置の表示画面全体に相当するビデオRAM内の記憶領域が更新され、上記省電力モード時には、上記表示画面の一部に相当するビデオRAM内の記憶領域のみが更新されるように構成される。
【0024】
第5の本発明による携帯情報端末は、上記構成に加えて、上記省電力モード時には、ビデオRAM内に格納される画像データを構成する各ピクセル当たりの情報量が上記通常電力モード時よりも少なくなるように構成される。
【0025】
第6の本発明による携帯情報端末は、上記構成に加えて、省電力モード時には、ビデオRAM内に格納される画像データの更新周期が、通常電力モード時よりも長くなるように構成される。
【0026】
このような各構成によって、ホストコントローラで生成され、表示コントローラへ転送される画像データのデータ量を省電力モード及び通常電力モードに応じて異ならせることができる。従って、省電力モード時に表示プロセッサへの電源あるいはクロック供給を遮断し、ホストプロセッサによって画像データの生成及び転送を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、通常電力モード時には、表示プロセッサを用いて、高精細な画像データを高速に生成し、表示コントローラへ高速転送する一方、省電力モード時には表示プロセッサへの電源あるいはクロックの供給を遮断し、消費電力を効果的に削減することができる。特に、データ通信線の数を増大させたり、回路構成を複雑化させることなく、省電力モード時に表示プロセッサへの電源あるいはクロックの供給を遮断することができる。また、この様な携帯情報端末を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による携帯情報端末の概略構成例を示したブロック図であり、ここでは、携帯情報端末の一例として携帯電話機が示されている。ホストコントローラ1は、プログラム記憶部13に保持されているプログラムに基づいて動作し、携帯電話機を構成する各ブロックの制御を行っている。無線通信部14は、図示しない基地局との間で無線通信を行っており、ユーザは、送受話器17を用いて通話することができる。この様な通話処理や発着信処理は、ホストコントローラ1によって制御される。また、ユーザがキー操作を行った場合、キー操作部16からの操作信号に基づいて、ホストコントローラ1が予め定められた処理を実行する。また、カメラ部15により撮影された画像データは、ホストコントローラ1によって画像データ記憶部12に一旦格納され、JPEG形式など既存の画像圧縮方式にしたがって圧縮された後、フラッシュメモリあるいはSDカードなどの不揮発性のメモリに格納される。
【0029】
さらに、LCD表示装置3に画面表示される画像データも、ホストコントローラ1によって生成される。例えば、ホストコントローラ1がSDRAM、フラッシュメモリ、あるいはSDカードなどに保持されている画像データを読み出し、この画像データを加工することによって、画面表示すべき画像データが生成され、画像データ記憶部12に格納される。この様にして生成された画像データは、一旦、LCDコントローラ2Nに蓄積され、所定のタイミングでLCD表示装置3へ出力される。また、LCDコントローラ2Nは、ホストコントローラ1の指示に基づいて、周辺機器に対する信号入出力や制御も行っている。
【0030】
また、この携帯電話機は、消費電力の異なる動作モードとして、通常電力モード及び省電力モードを有している。これらの動作モードの切り替えは、ホストコントローラ1が、キー操作部16からの操作信号や、無線通信部14からの着信信号などに基づいて行っている。例えば、一定の期間、ユーザがキー操作を行わなかった場合に省電力モードに移行し、その後にキー操作が行われたり、着信があった場合に、通常電力モードに戻る。
【0031】
省電力モードは、通常電力モードよりも消費電力少ない動作モードであり、LCD表示装置3のバックライトを消灯させるとともに、LCD表示装置3により表示される画像データの単位時間当たりに更新されるデータ量を削減している。この様な更新データ量の削減は、例えば、画像データの更新が行われるエリアを表示画面内の一部に限定(パーシャル表示)したり、画面データの更新周期を遅くしたり、選択可能な色数(色の種類)を減少等させてピクセルごとの情報量を低減させたりすることにより行われる。特に、LCD表示装置3が、3原色(例えばRGB:Red/Green/Blue)の階調表現を組み合わせることによって、256以上の色数を実現している場合、これらの3原色の組み合わせからなる8色に色数を限定することによって、画像データのデータ量を削減できるだけでなく、階調表現に使用されるドライバ回路32内のD/A変換器(不図示)における消費電流も同時に削減することができる。
【0032】
図2は、図1の携帯電話機の要部について更に詳細に示したブロック図であり、画面表示に関連する各ブロック、すなわち、ホストコントローラ1、LCDコントローラ2N、LCD表示装置3、画像データ記憶部12及びプログラム記憶部13が示されている。つまり、図1の携帯電話機に内蔵されている表示システムの一構成例を示したブロック図である。
【0033】
図中のLCDコントローラ2Nは、従来のLCDコントローラ2及びI/Oコントローラ4の機能を統合した半導体デバイスである。このLCDコントローラ2Nは、ホストコントローラ1とは異なる半導体デバイスとして与えられ、ホストコントローラ1及びLCD表示装置3の間に介在させるとともに、ホストコントローラ1及び図示しない周辺機器の間にも介在させるように配置されている。また、ホストコントローラ1及びLCDコントローラ2N間は、2つのデータ通信線、すなわち、シリアル通信線50及びパラレル通信線51によって接続されている。なお、本明細書における半導体デバイスとは、単一の半導体基板上に形成され、プリント基板上へ固着するまでは互いに独立している回路素子を意味するものとする。
【0034】
シリアル通信線50は、ホストプロセッサ10及びLCDコントローラ2N間においてシリアル通信を行うためのデータ通信線である。ここでは、ホストプロセッサ10からのクロック信号を伝送するクロック信号線SCL(Serial Clock Line)と、データ信号を送受信するためのデータ信号線SDA(Serial Data line)で構成され、2線式の通信規格I2C(登録商標)が採用されているものとする。
【0035】
パラレル通信線51は、表示プロセッサ11及びLCDコントローラ2N間においてパラレル通信を行うためのデータ通信線であり、シリアル通信線50よりもビットレートが高く、データ量の多い画像データの転送に適している。ここでは、LCDコントローラ2Nに対するアクセスであることを示すチップセレクト信号線CSと、データの取り込みタイミングを示すライト信号線WRBと、複数のデータ信号線D0〜D7とによって構成され、8ビットのデータを同時に送信することができる。また、パラレル通信線51は、表示プロセッサ11からLCDコントローラ2Nへのデータ送信のみを行っており、シリアル通信線50からの画像データ転送と比べて、画像データを高速に転送することができる。
【0036】
画像データ記憶部12は、画像データを保持している記憶装置であり、例えば、ホストコントローラ1のクロック信号に同期して動作するSDRAM(Synchronous Dynamic RAM)が用いられる。この画像データは、ホストプロセッサ10又は表示プロセッサ11によって読み出され、所望の画像処理が行われることにより、液晶表示パネル33に表示させるための画像データが生成される。なお、画像データとは、静止画像や動作画像を規定しているピクセルデータやベクトルデータ、又は、これらの集合体であるものとする。
【0037】
プログラム記憶部13は、プログラムやデータを保持している記憶装置であり、例えば、電気的に書き換え可能な不揮発性の半導体メモリであるフラッシュメモリが用いられる。ホストプロセッサ10は、プログラム記憶部13から読み出したプログラムを逐次実行している。また、ホストプロセッサ10は、表示プロセッサ11を初期化した後、プログラム記憶部13から表示プロセッサ11用のプログラムあるいはマイクロコードを読み出し、表示プロセッサ11内のメモリに書き込みを行う。
【0038】
ホストコントローラ1は、ホストプロセッサ10、表示プロセッサ11及びタイミング制御部18により構成される。なお、ホストプロセッサ10、表示プロセッサ11及びタイミング制御部18は、異なる半導体デバイスとして構成することもできるが、一つの半導体デバイスとして構成することもできる。
【0039】
表示プロセッサ11は、動作モードが通常電力モードの場合、画像データ記憶部12から読み出された画像データに基づいて、LCD表示装置3において画面表示させる画像データを生成している。例えば、MPEG4、H.263などの形式でエンコードされた動画像データをフレームごとの画像データに展開するデコード処理や、画像データの拡大処理、縮小処理、回転処理、反転処理、フォーマット変換処理、色空間補正処理、重ね合わせ処理などを行っている。この様にして生成された画像データは、パラレル通信線51を介して、LCDコントローラ2Nへ高速転送される。その際、表示プロセッサ11による一連の画像データの転送に先立って、VRAMアクセス部23の動作を規定する書込制御データが、ホストプロセッサ10からLCDコントローラ2Nへ出力される。
【0040】
ホストプロセッサ10は、シリアル通信線50を介して、LCDコントローラ2Nに制御データを出力し、表示プロセッサ11が行う上記処理を除き、LCDコントローラ2N及びLCD表示装置3に対する様々な制御を行っている。ここでは、LCDコントローラ2Nに対し、VRAMアクセス部23の動作を規定する書込制御データ、画像データ出力部25の動作を規定する出力制御データ、LCD表示装置3の動作を規定するLCD制御データ、周辺機器制御部29の動作を規定する周辺機器制御データを出力している。
【0041】
また、ホストプロセッサ10は、動作モードの切り替え制御を行っている。すなわち、キー操作部16からの操作信号や、無線通信部14からの着信信号などを監視して、通常電力モード及び省電力モードの切り替えを行っている。動作モードを省電力モードへ移行させる場合、ホストプロセッサ10は、表示プロセッサ11への電源あるいはクロック供給を遮断するとともに、パーシャル表示や色数の削減などによって、画像データ生成処理の負荷を軽減させる。そして、省電力モード中は、停止中の表示プロセッサ11に代わり、ホストプロセッサ10が、画像データを生成し、シリアル通信線50を介して、LCDコントローラ2Nへ転送している。
【0042】
タイミング制御部18は、通常電力モード時に、ホストプロセッサ10及び表示プロセッサ11によるLCDコントローラ2Nへのアクセスタイミングを制御している。ここでは、ホストプロセッサ10による書込制御データの転送完了後に、表示プロセッサ11による画像データの転送が行われるように、両者の動作タイミングを調整している。
【0043】
LCDコントローラ2Nは、表示用通信部21、制御用通信部22、VRAMアクセス部23、ビデオRAM24、画像データ出力部25、レジスタアクセス部26、レジスタ群27、制御データ出力部28及び周辺機器制御部29により構成される。
【0044】
表示用通信部21は、パラレル通信線51に接続され、表示プロセッサ11から送出された画像データの受信処理を行っている。表示用通信部21によって受信された画像データは、VRAMアクセス部23へ出力され、ビデオRAM24に書き込まれる。
【0045】
制御用通信部22は、シリアル通信線50に接続され、ホストプロセッサ10との間で制御データや画像データの送受信処理を行っている。すなわち、ホストプロセッサ10から書込制御データ、出力制御データ、LCD制御データ及び周辺機器制御データを受信した場合には、レジスタアクセス部26へ出力する。また、レジスタアクセス部26からレジスタ群27内の制御データが入力され、あるいは、VRAMアクセス部23からビデオRAM24内の画像データが入力された場合には、これらのデータをホストプロセッサ10へ送信する。さらに、省電力モード時には、ホストプロセッサ10により生成された画像データを受信して、VRAMアクセス部23へ出力する。さらに、シリアル通信線50に2線式の通信規格I2C(登録商標)が採用されている場合、制御用通信部22には、レジスタ群27アクセス用のスレーブアドレスとVRAM24アクセス用のスレーブアドレスとが用意されており、ホストプロセッサ10から受信したスレーブアドレスによって、レジスタ群27へのアクセスかVRAM24へのアクセスかの判定が行われる。
【0046】
VRAMアクセス部23は、表示用通信部21又は制御用通信部22が受信した画像データをビデオRAM24へ書き込み、また、ビデオRAM24から読み出した画像データを制御用通信部22へ出力する。画像データの書き込みは、レジスタ群27内の書込制御データに基づいて、一連の画像データをビデオRAM24に順次に書き込むことによって行われる。表示プロセッサ11及びホストプロセッサ10から転送される一連の画像データは、その画素位置が連続領域を形成していることから、VRAMアクセス部23は、書込制御データに基づいて、各画像データの書き込み先となるビデオRAM24上のアドレスを順次に生成し、画像データの高速書き込みを行っている。この書込制御データは、例えば、画像データのフォーマットや、ビデオRAM24への書き込みを開始する画素位置、書き込み方向、書き込み範囲、書き込み禁止許可などの情報からなる。
【0047】
ビデオRAM24は、画像データを書き換え可能に記憶する半導体記憶装置であり、表示用通信部21の受信した画像データがVRAMアクセス部23の指定する画素位置に対応づけて格納される。このビデオRAM24内に格納されている画像データは、画像データ出力部25によって読み出され、LCD表示装置3へ出力される。なお、ビデオRAM24は、書き込み時のオーバーヘッドを低減するための入力バッファが設けられており、平均書き込み速度はレジスタ群27よりも速い。
【0048】
画像データ出力部25は、データ通信線53を介して、LCD表示装置3に接続されており、レジスタ群27内の出力制御データに基づいて、ビデオRAM24から読み出した画像データを加工するとともに、レジスタ群27内の出力制御データに基づくタイミングにて、加工後の画像データをデータ通信線53へ出力している。この出力制御データには、例えば、画像データのカラーパレット、転送速度、フォーマット、水平垂直信号の出力タイミング、画素データの出力タイミングなどの情報が含まれている。また、データ通信線53による画像データの伝送には、RGB666のパラレル通信や、LVDS(Low Voltage Differential Signaling:低電圧差動伝送)方式が採用され、例えば、毎秒60フレームのフレームレートで画像データが転送される。
【0049】
レジスタ群27は、制御データを保持する複数のレジスタで構成される書き換え可能な半導体記憶装置であり、レジスタアクセス部26は、ホストコントローラ1から入力された制御データをレジスタ群27に書き込み、また、レジスタ群27から読み出した制御データを制御用通信部22へ出力する。すなわち、シリアル通信線50を介してホストプロセッサ10から入力された書込制御データ、出力制御データ、LCD制御データ及び周辺機器制御データは、レジスタアクセス部26によって、レジスタ群27内のいずれかのレジスタに書き込まれる。
【0050】
制御データ出力部28は、データ通信線52を介して、LCD表示装置3に接続されており、レジスタ群27内のLCD制御データをLCD表示装置3へ出力している。このLCD制御データには、データ通信線53を介してLCD表示装置3へ入力される画像データを除く様々な制御情報が含まれている。例えば、画像データの転送速度やフォーマット情報、水平垂直信号の出力タイミング、画素データの出力タイミングなどの情報や、LCD表示装置3内のドライバ回路32の電圧制御、ガンマ補正などの情報が含まれており、これらの情報がLCD表示装置3へ出力される。
【0051】
周辺機器制御部29は、レジスタ群27内の周辺機器制御データに基づいて、図示しない周辺機器に対する信号入出力や制御を行っており、例えば、USBトランシーバ、信号レベルを変換するレベルシフタとしての機能を有している。つまり、図9に示した従来の携帯電話機におけるI/Oコントローラ4に相当する。なお、この周辺機器制御部29が対象とする周辺機器には、USB機器やSDカードのように着脱可能に取り付けられる外部装置だけでなく、携帯電話機内に予め組み込まれている内部装置も含まれる。
【0052】
LCD表示装置3は、LCDコントローラ2NのビデオRAM24から転送される画像データを画面表示する表示装置である。このLCD表示装置3は、データ通信線53を介して画像データを受信する通信部31と、受信した画像データに基づいて液晶表示パネル33を駆動するドライバ回路32と、表示画面を有する液晶表示パネル33によって構成される。なお、通信部31及びドライバ回路32は、異なる半導体デバイスとして構成することもできるが、一つの半導体デバイスとして構成することもできる。
【0053】
通信部31及びドライバ回路32は、データ通信線52を介して入力されるLCD制御データに基づいて動作している。また、通信部31は、LCDコントローラ2Nから画像データを正しく受信できなかった場合、受信エラーを通知する制御信号として、インタラプト信号(割り込み信号)を生成し、LCDコントローラ2N或いはホストコントローラ1へ出力する。
【0054】
図3は、図2のレジスタアクセス部26及びレジスタ群27について更に詳細な構成例を示したブロック図である。
【0055】
レジスタ群27は、2以上のレジスタ71及びRA(Read Address)レジスタ72によって構成され、いずれもシリアル通信線50を介してホストプロセッサ10からアクセスされる。レジスタ71には、書込制御データ、出力制御データ、LCD制御データ及び周辺機器制御データが格納されている。一方、RAレジスタ72は、レジスタ71内に保持されている制御データを読み出す際、読み出し対象となるレジスタのアドレス(リードアドレス)を予め書き込んでおくレジスタである。
【0056】
レジスタアクセス部26は、入力バッファ61、アドレスデコーダ64及びセレクタ65からなる。入力バッファ61は、制御用通信部22からのデータ書き込み要求を一時格納している。この入力バッファ61は、アドレス記憶部62及びデータ記憶部63からなり、書き込み先となるレジスタアドレスがアドレス記憶部62に格納され、書き込むべきデータがデータ記憶部63に格納される。
【0057】
アドレスデコーダ64は、レジスタ群27内のレジスタを指定するレジスタアドレスをデコードしている。書き込み時には、アドレス記憶部62内のレジスタアドレスをデコードしている。セレクタ65は、上記デコード結果に基づいて、レジスタ群27を構成するレジスタのいずれか一つを選択する。このようにして選択されたレジスタに対して、データ記憶部63内のデータの書き込みが行われる。
【0058】
図4のステップS101〜S104は、図3のレジスタアクセス部26における動作の一例を示したフローチャートであり、レジスタ群27に対するデータ書き込み(ライト)時の処理手順が示されている。まず、入力バッファ61は、シリアル通信線50を介してホストプロセッサ10から入力されるレジスタアドレス及びデータをそれぞれアドレス記憶部62及びデータ記憶部63に蓄積する。(ステップS101)。
【0059】
次に、アドレス記憶部62内のレジスタアドレスがアドレスデコーダ64へ出力され、データ記憶部63内のデータがセレクタ65へ出力される。アドレスデコーダ64は、このレジスタアドレスをデコードし、デコード結果をセレクタ65へ出力する(ステップS102)。セレクタ65は、このデコード結果に基づいて、書き込み先となるレジスタを選択し、当該レジスタにデータ記憶部63のデータを書き込む(ステップS103,S104)。
【0060】
図5のステップS201〜S204は、図3のレジスタアクセス部26における動作の一例を示したフローチャートであり、レジスタ群27からのデータ読み出し(リード)時の処理手順が示されている。
【0061】
まず、ホストコントローラ1によって、レジスタ群27内のRAレジスタ72に、読み出し対象となるレジスタのアドレス(リードアドレス)が書き込まれる(ステップS201,S202)。次に、ホストプロセッサ11から制御用通信部22へレジスタ群27の読出し要求が入力されるとRAレジスタ72によって指定されたアドレスのレジスタ内に保持されている制御データが読み出される(ステップS203)。そして、RAレジスタ72内に記憶されているレジスタのアドレス(リードアドレス)とレジスタから読み出されたデータが、シリアル通信線50を介して、ホストプロセッサ10へ出力される(ステップS204)。
【0062】
図6のステップS301〜S305は、図2のホストコントローラ1における画像データの送出動作の一例を示したフローチャートである。なお、表示プロセッサ11の動作タイミングは、タイミング制御部18を介して、ホストプロセッサ10によって制御されているものとする。
【0063】
まず、ホストプロセッサ10が、シリアル通信線50に書込制御データを送出し、LCDコントローラ2Nのレジスタ群27に書き込む(ステップS301)。この書込制御データには、画像データのフォーマット情報と、ビデオRAM24に対する書き込み許可の情報と、画像データの書き込み時にアドレスを生成するために必要な情報とが含まれている。書込制御データの送出が完了すると、一連の画像データが生成され、LCDコントローラ2Nへ転送される(ステップS302〜304)。この画像データの生成処理及び転送処理は、通常電力モードの場合には、表示プロセッサ11によって実行され、省電力モードの場合には、ホストプロセッサ10によって実行される。
【0064】
通常電力モードの場合、書込制御データの送出が完了すると、ホストプロセッサ10からタイミング制御部18へ画像データ送信許可が通知され、表示プロセッサ11が、画像データの生成を開始する(ステップS302)。次に、表示プロセッサ11は、生成した画像データをパラレル通信線51に順次に送出し、LCDコントローラ2NのビデオRAM24に書き込む(ステップS303)。このとき、ビデオRAM24内の書き込み先アドレスは、書込制御データに基づいて、VRAMアクセス部23が生成している。画像データの送出は、全ての画像データが送出されるまで繰り返される(ステップS304)。そして、全ての画像データの送出が完了すれば、タイミング制御部18が、画像データの転送完了をホストプロセッサ10に通知する。
【0065】
一方、省電力モードの場合、ステップS301で書込制御データの送出が完了すると、ホストプロセッサ10が画像データを生成し(ステップS302)、生成した画像データをシリアル通信線50に順次に送出し、LCDコントローラ2NのビデオRAM24に書き込む(ステップS303)。このとき、ビデオRAM24内の書き込み先アドレスは、書込制御データに基づいて、VRAMアクセス部23が生成している。画像データの送出は、全ての画像データが送出されるまで繰り返される(ステップS304)。
【0066】
表示プロセッサ11又はホストプロセッサ10によって、全ての画像データの送出が完了すれば、ホストプロセッサ10が、シリアル通信線50に書込制御データを再び送出し、LCDコントローラ2Nのレジスタ群27に書き込む(ステップS305)。この書込制御データには、ビデオRAM24に対する書き込み禁止の情報が含まれている。
【0067】
この様にして、ホストコントローラ1による画像データの書き込みは、動作モードに応じて、シリアル通信線50又はパラレル通信線51を介して行われるが、画像データの読み出しは、動作モードにかかわらず、シリアル通信線50を介して行われる。つまり、VRAMアクセス部23によって読み出されたビデオRAM24内の画像データは、動作モードにかかわらず、制御用通信部22へ出力され、シリアル通信線50を介して、ホストプロセッサ10へ出力される。
【0068】
LCD表示装置3を用いて画像表示を行う場合、ホストコントローラ1からビデオRAM24へ画像データの書き込みが行われる必要があるが、ホストコントローラ1がビデオRAM24内の画像データを読み出す必要はない。しかしながら、例えば、携帯情報端末の設計時には、デバッグ作業のために、ビデオRAM24内の任意の画像データを読み出すことが必要になる場合がある。このような画像データの読み出しをシリアル通信線50を介して行うことによって、パラレル通信線51をLCDコントローラ2Nに対するデータ送信専用にすることができる。このため、表示プロセッサ11の制御手順および回路構成を複雑化させることなく、パラレル通信線51を介して行われる画像データの転送を更に高速化することができる。
【0069】
また、デバッグ時に、ホストコントローラ1及びLCDコントローラ2N間のデータ通信線50又は51に外部機器を接続し、その伝送データを監視する場合にも、パラレル通信線51よりもマルチ・マスター・バスに対応したI2Cインタフェイスなどのシリアル通信線50を使用した方が、外部機器の接続および外部機器からのビデオRAM24の読み出しが容易である。このため、ビデオRAM24から読み出された画像データをシリアル通信線50へ出力する方が、デバッグ作業にも好適である。
【0070】
また、LCDコントローラ2N内に周辺機器制御部29を設け、周辺機器制御データの転送に使用されるシリアル通信線50を用いて、書込制御データを転送することによって、ホストコントローラ1が有するデータ通信線の数を増大させることなく、画像データの転送を高速化することができる。
【0071】
なお、省電力モード時には、表示プロセッサ11への電源あるいはクロックの供給が遮断され、ホストプロセッサ10のみが動作する状態となるため、タイミング制御部18への電源あるいはクロックの供給も遮断することによって、更に消費電力を削減することが可能である。
【0072】
なお、本実施の形態では、通信線50がパラレル通信線、通信線51がシリアル通信線である場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、通信線50がシリアル通信線、通信線がパラレル通信線である場合、或いは、2つのデータ通信線50,51がいずれもパラレル通信線、又は、いずれもシリアル通信線である場合にも適用することができる。
【0073】
さらに、本実施の形態では、表示プロセッサ11がLCDコントローラ2Nへ1フレーム分の画像データを転送終了後に、タイミング制御部18がホストプロセッサ11へ画像データ転送完了を通知するとしたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、タイミング制御部18内に、表示プロセッサ11が画像データ送信中か否かを示すビットを含むレジスタを設け、ホストプロセッサ10が同レジスタをポーリングすることによって、表示プロセッサ11による画像データ転送が完了したかどうかを確認する構成にしてもよい。
【0074】
実施の形態2.
実施の形態1では、ホストプロセッサ10がタイミング制御部18へ画像データ送信許可信号を送信することで表示プロセッサ11の動作タイミングをコントロールしている場合について説明した。これに対し、本実施の形態では、ホストプロセッサ10及び表示プロセッサ11が、独自のタイミングで動作している場合について説明する。
【0075】
なお、実施の形態2の構成は、実施の形態1で説明した図2と同じ構成をとるものとするが、ホストプロセッサ10と表示プロセッサ11の動作は独自のタイミングで動作しているものとする。さらに、タイミング制御部18はホストプロセッサ10および表示プロセッサ11と通信を行いながら、各プロセッサ10,11の状態の管理および各プロセッサ10,11の制御を行っているものとする。
【0076】
図7は、図2のタイミング制御部18の動作の一例を示したシーケンス図であり、通常電力モード時に表示プロセッサ11によって生成された画像データをLCDコントローラ2Nへ送信する際の手順が示されている。ホストプロセッサ10は、シリアル通信線50へ書込制御データを出力する際、タイミング制御部18に対し、書込制御データの送信要求信号を出力する。タイミング制御部18は、表示プロセッサ11によるLCDコントローラ2Nへのアクセス状況に基づいて、ホストプロセッサ10からLCDコントローラ2Nへ書込制御データを送信可能かを判定する。
【0077】
ホストプロセッサ10は、タイミング制御部18から送信許可信号を受信すると、シリアル通信線50を介して、LCDコントローラ2Nへ書込制御データを送信する。この書込制御データの送信が完了すると、ホストプロセッサ10は、送信完了通知信号をタイミング制御部18へ出力する。タイミング制御部18はホストプロセッサ10から送信完了通知信号を受信すると、ホストコントローラへACK信号(応答信号)を返し、一連のLCDコントローラ2Nへの書込制御データの送信処理が終了する。
【0078】
一方、表示プロセッサ11は、画像データ記憶部12内の画像データを読み出し、ビデオRAM24へ書き込む画像データを生成している。表示プロセッサ11は、生成した画像データをLCDコントローラ2Nへ送信する際、タイミング制御部18に対し、画像データの送信要求信号を出力する。このとき、ホストプロセッサ10による書込制御データの送信完了前であれば、タイミング制御部18は、表示プロセッサ11へ送信拒絶信号を返信し、画像データの送信を許可しない。
【0079】
書込制御データの送信完了後に、表示プロセッサ11が、画像データの送信要求信号を出力すれば、タイミング制御部18は、表示プロセッサ11がLCDコントローラ2Nへ画像データを送信可能と判定し、表示プロセッサ11に対し、送信許可信号を返信する。表示プロセッサ11は、タイミング制御部18から送信許可信号を受信すると、パラレル通信線51を介して、LCDコントローラ2Nへの画像データの送信を開始する。この画像データの送信が完了すると、表示プロセッサ11が、タイミング制御部18へ送信完了通知信号を出力し、この送信完了通知信号を受信したタイミング制御部18から表示プロセッサ11へACK信号が返され、一連のLCDコントローラ2Nへの画像データの送信処理が終了する。
【0080】
本実施の形態によれば、通常電力モード時にはホストプロセッサ10及び表示プロセッサ11が、独立したタイミングで動作している場合であっても、LCDコントローラ2Nに対し、書込制御データの送信完了後に、画像データを送信することができる。
【0081】
なお、省電力モード時には、表示プロセッサ11が停止し、書込制御データ及び画像データの転送は、いずれもホストプロセッサ10が行っているため、タイミング制御部18は必要とされない。したがって、タイミング制御部18への電源あるいはクロックの供給も遮断することによって、更に消費電力を削減することが可能である。
【0082】
実施の形態3.
実施の形態1、2では、動作モードにかかわらず、シリアル通信線50を介して、ホストプロセッサ10からLCDコントローラ2Nへ書込制御データが送信される場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、通常電力モードの場合には、パラレル通信線51を介して、表示プロセッサ11からLCDコントローラ2Nへ書込制御データが転送される場合について説明する。
【0083】
図8は、本発明の実施の形態3による携帯情報端末の要部について一構成例を示したブロック図であり、図2と比較すれば、ホストコントローラ1が、タイミング制御部18を備えることなく構成され、LCDコントローラ2N内において、レジスタアクセス部26が、表示用通信部21及び制御用通信部22のいずれにも接続されている点で異なる。
【0084】
本実施の形態では、表示プロセッサ11が、画像データの転送に先立って、パラレル通信線51を介して、LCDコントローラ2Nへ書込制御データを送信している。このため、ホストプロセッサ10との動作タイミングを調整するタイミング制御部18は不要となる。
【0085】
パラレル通信線51には、書き込み先としてビデオRAM24又はレジスタ群27を指定するためのセレクト信号線RSPが含まれている。表示用通信部21は、このセレクト信号線RSPに基づいて、受信データが画像データ又は書込制御データのいずれであるのかを判別し、画像データの場合にはVRAMアクセス部23へ出力し、書込制御データの場合にはレジスタアクセス部26へ出力する。
【0086】
また、レジスタアクセス部26は、ホストプロセッサ10及び表示プロセッサ11からのレジスタ群27に対するデータ書き込みに競合が生じれば、これらのデータ書き込みについて調停を行って、レジスタ群27への書き込みを順次に行う。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態による携帯電話機の概略構成例を示したブロック図である。
【図2】図1の携帯電話機の要部について更に詳細に示したブロック図である。
【図3】図2のレジスタアクセス部26及びレジスタ群27について更に詳細な構成例を示したブロック図である。
【図4】図3のレジスタアクセス部26におけるデータ書き込み動作の一例を示したフローチャートである。
【図5】図3のレジスタアクセス部26におけるデータ読み出し動作の一例を示したフローチャートである。
【図6】図2のホストコントローラ1における画像データの送出動作の一例を示したフローチャートである。
【図7】図2のタイミング制御部18の動作の一例を示したシーケンス図であり、通常電力モード時に画像データをLCDコントローラ2Nへ送信する様子が示されている。
【図8】本発明の実施の形態3による携帯情報端末の要部について一構成例を示したブロック図である。
【図9】従来の携帯情報端末の要部について一構成例を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0088】
1 ホストコントローラ
2 LCDコントローラ
3 LCD表示装置
10 ホストプロセッサ
11 表示プロセッサ
12 画像データ記憶部
13 プログラム記憶部
14 無線通信部
15 カメラ部
16 キー操作部
18 タイミング制御部
19 アナログ制御部
21 表示用通信部
22 制御用通信部
23 VRAMアクセス部
24 ビデオRAM
25 画像データ出力部
26 レジスタアクセス部
27 レジスタ群
28 制御データ出力部
29 周辺機器制御部
31 通信部
32 ドライバ回路
33 液晶表示パネル
50〜53 データ通信線
61 入力バッファ
62 アドレス記憶部
63 データ記憶部
64 アドレスデコーダ
65 セレクタ
71 レジスタ
72 RAレジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示を行う表示装置と、画像データを生成するホストコントローラと、上記表示装置及び上記ホストコントローラ間に介在させる表示コントローラとを備え、上記表示装置に表示される画像データが単位時間当たりに更新されるデータ量を異ならせた通常電力モード及び省電力モードを切り替え可能な携帯情報端末において、
上記ホストコントローラ及び上記表示コントローラが、第1データ通信線及び第2データ通信線により接続され、
上記ホストコントローラが、通常電力モード時に画像データを生成し、省電力モード時には電源供給が遮断される表示プロセッサと、省電力モード時に画像データを生成するホストプロセッサとを備え、
上記表示コントローラが、上記表示プロセッサから第1データ通信線を介して入力される画像データ、及び、第2データ通信線を介して上記ホストプロセッサから入力される画像データを保持するビデオRAMと、
上記第2データ通信線を介して、上記ホストプロセッサから入力される周辺機器制御データを保持するレジスタ群と、
上記周辺機器制御データに基づいて、当該携帯情報端末に着脱可能に接続される周辺機器との間で信号入出力を行う周辺機器制御部とを備えたことを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
画像表示を行う表示装置と、画像データを生成するホストコントローラと、上記表示装置及び上記ホストコントローラ間に介在させる表示コントローラとを備え、上記表示装置に表示される画像データが単位時間当たりに更新されるデータ量を異ならせた通常電力モード及び省電力モードを切り替え可能な携帯情報端末において、
上記ホストコントローラ及び上記表示コントローラが、第1データ通信線及び第2データ通信線により接続され、
上記ホストコントローラが、通常電力モード時に画像データを生成し、省電力モード時にはクロック供給が遮断される表示プロセッサと、省電力モード時に画像データを生成するホストプロセッサとを備え、
上記表示コントローラが、上記表示プロセッサから第1データ通信線を介して入力される画像データ、及び、第2データ通信線を介して上記ホストプロセッサから入力される画像データを保持するビデオRAMと、
上記第2データ通信線を介して、上記ホストプロセッサから入力される周辺機器制御データを保持するレジスタ群と、
上記周辺機器制御データに基づいて、当該携帯情報端末に着脱可能に接続される周辺機器との間で信号入出力を行う周辺機器制御部とを備えたことを特徴とする携帯情報端末。
【請求項3】
通常電力モード時における画像データの書き込み時に、書込制御データに基づいて、書き込み先となる上記ビデオRAMのアドレスを生成するVRAMアクセス部を備え、
上記レジスタ群が、上記ホストコントローラから入力される上記書込制御データを保持することを特徴とする請求項1または2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
通常電力モード時には、上記表示装置の表示画面全体に相当するビデオRAM内の記憶領域が更新され、
省電力モード時には、上記表示画面の一部に相当するビデオRAM内の記憶領域のみが更新されることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
省電力モード時には、ビデオRAM内に格納される画像データを構成する各ピクセル当たりの情報量が、通常電力モード時よりも少ないことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯情報端末。
【請求項6】
省電力モード時には、ビデオRAM内に格納される画像データの更新周期が、通常電力モード時よりも長いことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−148665(P2007−148665A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340862(P2005−340862)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】