説明

携帯機器保持装置

【課題】 2台の携帯機器を同時に保持することができ、またこれらの携帯機器を利用者が利用し易いように任意に位置させることができる携帯機器保持装置を提供すること。
【解決手段】 ベース2と、このベース2に一端が取付けられたバー材3と、このバー材3の他端に固定されたホルダベース4と、このホルダベース4に回転可能に取付けられたホルダ5からなる。前記ホルダ5は、ホルダ裏板6とこのホルダ裏板6に固定されるホルダ本体7とからなり、ホルダ本体7は第1のホルダ部8と第2のホルダ部9を備えている。よって、第1のホルダ部8には携帯端末等の携帯機器を、第2のホルダ部9には携帯音楽プレーヤーの携帯機器を保持することができる。そして、前記ホルダ5を把持してそのホルダ5を任意の位置に向けることにより、携帯機器を利用者の利用し易い位置に置くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の移動体に、一台の携帯電話等の携帯機器に加えて、もう一台の携帯機器を載置することができる携帯機器保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の携帯電話は、固定電話と同様の通話機能に加えて、メール機能、オーデオ機能、テレビ電話機能、決済機能、さらには地上デジタルテレビ放送の受信機能も付加されつつあり、人々の日常生活に深く浸透している。
よって、在宅中のみならず、自動車等での移動中においても携帯機器を身近に置いておく必要から、各種の携帯電話ホルダが開発されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0003】
一方では、単一の機能に特化させた携帯機器、例えば音楽プレーヤー、カメラ等の携帯機器も開発、販売され、若年層のみならず各層にも浸透しており、これに対応するようにその携帯機器用ホルダも開発されている(特許文献4)。
【特許文献1】特開2005−212535
【特許文献2】特開2002−144974
【特許文献3】特開平8−186632
【特許文献4】実用新案登録3087520
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらのホルダに共通する課題は、一台の携帯機器のみを保持することを目的として構成されており、2台目の携帯機器はカバンの中に入れたり、ダッシュボード内に入れたり、車内に放置しなければならなかった点である。
また、特許文献3の保持装置は、その車載ホルダが自動車の任意の個所に固定されるもので(段落0013)、利用者にとって使い勝手が悪い場合も生じ得る。
また、特許文献1の保持装置及び特許文献2のホルダは、携帯機器の不使用時にはこれを収納できるものの、使用時においてはその位置は固定的であって、利用者にとって使い勝手が悪い場合も生じ得る。
さらに、特許文献4のホルダでは、固定ハンドルによりその位置が変更できるものの、その位置変更は一方向のみであった。
【0005】
そこで、本願発明は、2台の携帯機器を同時に保持することができ、またこれらの携帯機器を利用者が利用し易いように任意に位置させることができる携帯機器保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、ベースと、このベースに一端が取付けられたバー材と、このバー材の他端に固定されたホルダベースと、このホルダベースに回転可能に取付けられたホルダからなり、前記ホルダは、ホルダ裏板とこのホルダ裏板に固定されるホルダ本体とからなり、前記ホルダ本体は、第1のホルダ部と第2のホルダ部を備えていることを特徴とする携帯機器保持装置とした(請求項1の発明)。
【0007】
上記発明において、前記各ホルダ部は、それぞれ前記ホルダ本体の中央に形成された不動部と、この不動部に対向する可動部とからなり、前記各可動部は、それぞれ前記不動部に対面するL字状部と、このL字状部の外側の摘状部とからなり、前記各L字状部は、それぞれ携帯機器の側面が当接する当接部と、前記ホルダ本体に形成されるスライド溝にスライド可能に係合する係合凸状部からなり、前記各係合凸状部が前記各スライド溝に臨む面には、略半円筒状にくりぬかれたトンネル部と、スライドを規制するストッパがそれぞれ設けられ、一方、前記各スライド溝には、一端がスライド溝に設けられたバネ係止部に係止され、且つ、前記各トンネル部に収容されると共に、その他端が前記各トンネル部を塞ぐ壁に当接可能なバネをそれぞれ備えていることを特徴とする携帯機器保持装置とした(請求項2に記載の発明)。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、2台の携帯機器を同時に保持することができ、またこれらの携帯機器を利用者が利用し易いように任意に位置させることができる携帯機器保持装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上記発明に対応する実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は実施形態に係る携帯機器保持装置(以下、本装置)の斜視図、図2は本装置の一部切欠断面を含む平面図、図3は同正面図、図4は同側面図である。
図5は図3のa−a線断面図、図6は図3のb−b線断面図である。
これらの各図及び後述の各図において、同一の構成には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0010】
図1及び図2に示したように、実施形態に係る本装置1は、ベース2と、このベース2に一端が取付けられたバー材3と、このバー材3の他端に固定されたホルダベース4と、このホルダベース4に回転可能に取付けられたホルダ5からなる。
前記ホルダ5は、ホルダ裏板6とこのホルダ裏板6に固定されるホルダ本体7とからなり、ホルダ本体7は第1のホルダ部8と第2のホルダ部9を備えている。
よって、第1のホルダ部8には携帯端末等の携帯機器を、第2のホルダ部9には携帯音楽プレーヤーの携帯機器を保持することができる。そして、前記ホルダ5を把持してそのホルダ5を任意の位置に向けることにより、携帯機器を利用者の利用し易い位置に置くことができる。
【0011】
前記ベース2は、本装置1を自動車等の移動体側に取付ける部分となる個所で、例えば自動車のダッシュボートに固定される固定片20(図4も参照)と、この固定片20の略中心部において上方に膨出形成される凸部21と、この凸部21に固定されるボックス部22から構成されている。
【0012】
前記固定片20は、薄板に複数の切れ込みを入れたもので、その裏面と移動体間に接着剤等を介在させて固定される。なお、固定片20は本装置を安定的に移動体側に固定できるものであればよく、その形状は限定されるものではない。
前記凸部21は、図2及び図4に示したように平面形状が2重円に、側面形状が台形に形成されるもので、その内側に前記ボックス22を固定するビス210を取付けるスペースが形成されている。
前記ボックス部22は、下方に開口され、且つ、前記凸部21に当接する当接開口220と、前記バー材3が導出される導出口221と、内部に形成され、且つ、前記バー材3の一端に固定されたプレス部30を嵌め込むことができる柵222を備え、前記ビス210により固定されている。
【0013】
前記バー材3は、例えば金属芯を被覆したフレキシブルワイヤー或いはスプリングを組み合わせたフレキシブルチューブのように、柔軟に自由自在に曲げることができるものでもよし、このような柔軟性を欠くものでもよい。
【0014】
前記ホルダベース4は、図2及び図4に示したように、前記バー材3の他端を固定する固定部40と、前記ホルダ5を回転可能に軸着する軸着部41と、ホルダ裏板6との間に配置されたベアリング部42からなる。
【0015】
前記固定部40は、上片400及び下片401に分割可能に、且つ、円柱状に構成され、前記バー材3の他端を導入する導入口402と、内部に形成され、且つ、前記バー材3の他端に固定されたプレス部31を嵌め込むことができる柵403を備え、ビス等により上片400及び下片401がカシメ固定されている。
【0016】
前記軸着部41は、前記導入口402の反対側の固定部40の外面40Aから前記下片401を円柱状に突出させたもので、その先端がホルダ裏板6を貫通しホルダ本体7に臨まれ、ビス410等により、前記ホルダ5を回転可能に取付けている。
【0017】
前記ベアリング部42は、固定部40の外面40A又はホルダ裏板6の裏面60に形成されるリング片420に複数のボールをセットして構成されている。
そして各ボールの外周が前記外面40A又は/及び裏面60に接するように配置されている。
【0018】
前記ホルダ5のホルダ裏板6は、横長小判状であって、その中心に、前記軸着部41を受け入れる受入口61が形成され、また前記ホルダ本体7との結合のためのネジ着部62が設けられている。
【0019】
前記ホルダ本体7は、ホルダ裏板6と同様に横長小判状に形成され、前記ホルダ裏板6のネジ着部62に対応するネジ着筒部70(図2参照)と、前記軸着部41を取付ける取付部71と、前記各ホルダ部8,9の各可動部(詳細は後述)をスライド可能に取付ける第1及び第2スライド溝10,11を備えている。
【0020】
前記第1のホルダ部8は、図2及び図3に示したように前記ホルダ本体7の中央に形成された不動部80と、この不動部80に対向する可動部81とからなり、前記可動部81は、前記不動部80に対面するL字状部82と、このL字状部82の外側の摘状部83とからなる。
【0021】
前記L字状部82は、図3のように携帯機器の側面を保持する場合にその側面が当接する当接部820と、前記スライド溝10にスライド可能に係合する係合凸状部821からなり、この係合凸状部821が前記スライド溝10に臨む面822(図7参照)には、略半円筒状にくりぬかれたトンネル部823と、スライドを規制するストッパ824が設けられている。
なお、前記トンネル部823を塞ぐための左右の壁825、826(図2参照)が設けられている。
また、当接部820には摩擦係数が高いスポンジ等の緩衝材等を取付けてもよい。
【0022】
前記摘状部83は、図2及び図3に示したように横長小判状の前記ホルダ本体7の端部形状と同様に半月状に形成された平面部830と、この平面部830から前記L字状部82の当接部820の端部まで起立する摘片831からなる。
【0023】
前記第2のホルダ部9は、前記第1のホルダ部8と対称的な位置において略同一に形成されている。
即ち、不動部80と、この不動部80に対向する可動部91からなり、前記可動部91は、前記不動部80に対面するL字状部92と、このL字状部92の外側の摘状部93とからなる。
その他の構成は、前記第1のホルダ部8と略同一であり、詳細な説明は省略する。
なお、図3に示したように各ホルダ部8、9の把持幅の最少値W1とW2は異なるが、このような構成に限定されるものでもない。
【0024】
前記第1スライド溝10は、図3に示したように前記可動部81の係合凸状部821をスライド可能に取付けるアングル状部100と、このアングル状部100の終端から略半円状に形成される平面部101と、この平面部101の一端に形成されたバネ係止部102と、このバネ係止部102に一端が係止されるバネ103(図6参照)からなる。
このバネ103の他端は前記第1のホルダ部8のトンネル部823の壁825に当接可能にされ、その結果、前記可動部81が前記不動部80に当接する方向に、常時付勢されている。
【0025】
なお、前記第2スライド溝11は、前記第1スライド溝10と対称的な位置関係において略同一に形成されているので、詳細な説明は省略する。
【0026】
次ぎに、上記構成の本装置1の使用例を図8及び図9に基づいて説明する。
[使用例その1]
使用前の本装置1の第1、第2のホルダ部8、9は、前記バネ103、113の付勢力により、前記可動部81、91の係合凸状部821、921がアングル状部100、110に納まり、前記摘状部83、93が前記平面部101、111上に位置している。
この状態から、摘状部83又は93の摘片831又は931を把持してバネ103、113の付勢力に抗するように、携帯機器Kの幅分に前記可動部81、91をスライドさせる。そしてスライド後の前記可動部81、91と不動部80間に携帯機器Kを置き、摘状部83、93を離せばよい。
その結果、前記バネ103、113の付勢力により、前記可動部81、91と不動部80間に携帯機器Kが把持されることなる。
【0027】
[使用例その2]
上記[使用例その1]の状態で、例えば携帯機器Kに取付けられている
液晶画面等が90度に回転したとする。
この場合には図9のように、前記ホルダ部5を把持して、90度に回転させることもできる。
【0028】
以上のように構成された本装置では、次のような作用効果を奏する。
第1に、一方のホルダ部8には携帯端末等の携帯機器を、他方のホルダ部9には携帯音楽プレーヤー等の携帯機器を保持することができ、それぞれの携帯機器の使い勝手を向上させることができる。
第2に、前記ホルダ5を把持してそのホルダ5を任意の位置に向けることができ、特に携帯機器の液晶画面等が回転したとしても、迅速に安全に対応させることができる。
第3に、各ホルダ部8、9での携帯機器の保持は、バネ103、113によることから、各携帯機器を迅速に安全に保持させることができる。
【0029】
上記実施形態では、本装置1は移動体としての自動車に使用される場合を例示しているが、船、飛行機でもよいし、また、移動体に限定されるものではなく、机上に配置してもよい。
また、携帯機器とは、携帯して使用可能な機器の意味であって、電話類、時計類、音響機器類、AV機器類、カメラ類、テレビカメラ類、ビデオカメラ類、ゲーム機類、計算機類、電卓類、コンピュータ類、カーナビゲーション類、電子辞書、電子手帳、電子書籍、ポータブルデータターミナル等が例示できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態に係る携帯機器保持装置の斜視図、
【図2】本装置の平面図、
【図3】本装置の正面図、
【図4】本装置の側面図、
【図5】図3のa−a線断面図、
【図6】図3のb−b線断面図、
【図7】本装置の可動部の側面図、
【図8】本装置の使用例説明図、
【図9】本装置の使用例説明図。
【符号の説明】
【0031】
1 本装置 2 ベース
3 バー材 4 ホルダベース
5 ホルダ 6 ホルダ裏板
7 ホルダ本体 8 第1のホルダ部
9 第2のホルダ部
10 11 第1及び第2スライド溝

20 固定片 21 凸部
22 ボックス部 210 ビス
220 当接開口 221 導出口
222 柵

30 31 プレス部

40 固定部 41 軸着部
42 ベアリング部 400 上片
401 下片 402 導入口
403 柵 40A 外面
410 ビス 420 リング片

61 受入口 62 ネジ着部

70 ネジ着筒部 71 取付部

80 90 不動部
81 91 可動部
82 92 L字状部
83 93 摘状部
820 当接部 821 係合凸状部
822 面 823 トンネル部
824 ストッパ 825、826 壁
830 平面部 831 摘片

100 アングル状部 101 平面部
102 バネ係止部 103 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、このベースに一端が取付けられたバー材と、このバー材の他端に固定されたホルダベースと、このホルダベースに回転可能に取付けられたホルダからなり、
前記ホルダは、ホルダ裏板とこのホルダ裏板に固定されるホルダ本体とからなり、
前記ホルダ本体は、第1のホルダ部と第2のホルダ部を備えていることを特徴とする携帯機器保持装置。
【請求項2】
前記各ホルダ部は、それぞれ、前記ホルダ本体の中央に形成された不動部と、この不動部に対向する可動部とからなり、
前記各可動部は、前記不動部に対面するL字状部と、このL字状部の外側の摘状部とからなり、
前記各L字状部は、携帯機器の側面が当接する当接部と、前記ホルダ本体に形成されるスライド溝にスライド可能に係合する係合凸状部からなり、
前記各係合凸状部が前記各スライド溝に臨む面には、略半円筒状にくりぬかれたトンネル部と、スライドを規制するストッパがそれぞれ設けられ、
一方、前記各スライド溝には、一端が各スライド溝のバネ係止部に係止され、且つ、前記各トンネル部に収容されると共に、その他端が前記トンネル部を塞ぐ壁に当接可能なバネが、それぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯機器保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−314089(P2007−314089A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147308(P2006−147308)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(597114041)株式会社ユニオン産業 (4)
【Fターム(参考)】