説明

携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラム

【課題】通信モードの切り替えによる無駄な電力消費を抑制することが可能な携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】近距離通信装置と、前記近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替える制御部を備える携帯端末と、からなる携帯端末システムにおいて、前記携帯端末の制御部は1ないし複数の通信方式の通信モードに切り替え後に、所定の時間間隔の電界強度のサーチにより圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式のサーチの時間間隔を拡大することを特徴とする携帯端末システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離通信機能付き携帯端末に関し、特に複数の通信モードを利用可能な携帯端末の携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の内線のように使われる無線LAN機能付き携帯電話機においては、特に建物内等の無線LAN環境にあるエリアで使用するときに限り無線LANモード(無線LAN機能の通信モード)を動作させ、無線LAN環境のないエリアでは省電力化の観点から無線LANモードをキー操作により停止させ、通信モードの切替を行うシステムが考えられるが、このようなシステムは通信モードの切り替えのためのキー操作が煩わしいという問題がある。
【0003】
また、無線LANエリアの入り口等に非接触リーダ/ライタ(R/W)を設置し、該エリアに入るときに非接触リーダ/ライタ(R/W)に携帯電話機等の情報処理装置をかざすことにより、移動体通信網上の通信モードに加えて無線LANの通信モードを追加するように切り替えるシステムが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−319878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線LANエリアの入り口等に設置した非接触リーダ/ライタにより、それまで携帯電話機等の情報処理装置に設定されていた移動体通信網上の通信モードに加えて、自動的に無線LANの通信モードを追加するように切り替えるシステムは、ユーザの操作が不要であるから利便性が高いが、無線LANエリア内において、必ずしも無線LAN環境が整っていなかったり、当該エリアでは移動体通信網上の通信環境にない場合等があり、このような場合には、何れか又は複数の通信モードの処理動作の稼動により無駄な電力消費が生じる。
【0005】
本発明の目的は、圏外の通信方式の稼動による無駄な電力消費を抑制することが可能な携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の携帯端末システムは、近距離通信装置と、前記近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替える制御部を備える携帯端末と、からなる携帯端末システムにおいて、前記携帯端末の制御部は1ないし複数の通信方式の通信モードに切り替え後、所定の時間間隔の電界強度のサーチにより圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式の前記サーチの時間間隔を拡大することを特徴とする。
【0007】
本発明の第1の携帯端末は、近距離通信装置と近距離通信が可能な非接触通信部と、前記非接触通信部が前記近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替える制御部とを備える携帯端末であって、前記制御部は1ないし複数の通信方式の通信モードに切り替え後、所定の時間間隔の電界強度のサーチにより圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式の前記サーチの時間間隔を拡大することを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の通信モード切替方法は、携帯端末の通信モード切替方法であって、近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替えるステップと、前記通信モードに切り替え後、所定の時間間隔の電界強度のサーチにより圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式の前記サーチの時間間隔を拡大するステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の第1のプログラムは、携帯端末の通信モード切替用のプログラムであって、近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替えるステップと、前記通信モードに切り替え後、所定の時間間隔の電界強度のサーチにより圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式の前記サーチの時間間隔を拡大するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、圏外の通信方式の電界強度のサーチ間隔の拡大により無駄な電力消費を抑制することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラムの実施形態について説明する。
【0012】
図1は本発明の第1の実施形態の携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラムを示す図である。本実施形態の携帯端末システムは、図1(a)に示すように、1ないし複数の通信方式(同図(a)は携帯電話機網を使った移動体通信の例)が利用可能な通信環境のエリアAと、1ないし複数の通信方式(同図(a)は移動体通信及び無線LANの例)が利用可能な通信環境のエリアBとからなり、エリアBの入り口等に設置した非接触ICカード等を搭載した近距離通信装置2及びユーザが携帯する近距離通信機能付き携帯端末1から構成される。
【0013】
ユーザの携帯端末1がエリアAにおいて、1ないし複数の通信方式の通信モードで動作中に、ユーザの移動に伴い携帯端末1がエリアBに移動する際、携帯端末1が近距離通信装置2と近距離通信を行うと、エリアBに設定された1ないし複数の通信方式に通信モードが切り替わり、この後、携帯端末1は切り替わった1ないし複数の通信方式で電界強度のサーチ処理により圏外か否かを判断し、圏外の通信方式が存在した場合に、当該通信方式のサーチ間隔を拡大する。
【0014】
例えば、図1(a)のようにエリアBへ移動した際、移動体通信網及び無線LANの両方が圏内の場合は移動体通信網及び無線LANの両方の通信方式が動作し、また、少なくとも一方が圏外の場合は、圏外の通信方式の電界強度のサーチ間隔を、例えば最大間隔等に拡大する。圏外の通信方式のサーチ間隔を拡大することにより、サーチ処理による電力消費が節約できる。
【0015】
また、本実施形態の通信モード切替方法は、図1(a)に示す携帯端末システムに係る携帯端末の通信モード切替方法であって、エリアAからエリアBへ移動する際、図1(b)に示すように、近距離通信装置2との近距離通信を行うステップ(S01)と、予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替えるステップ(S02)と、前記通信モードの切り替え後に当該通信モードの電界強度のサーチ処理により圏外を検出した場合に該通信モードのサーチ間隔を拡大するステップ(S03)と、を含む。以上のように圏外の通信方式のサーチ間隔を拡大することにより、サーチ処理による電力消費が節約できる。
【0016】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態の携帯端末の構成を示す図である。
【0017】
本携帯端末1は、端末全体の制御を行う制御手段である制御部10、ユーザの入力操作に対するインターフェースとしてのユーザ操作部11、各種データや制御部10の制御プログラムを格納する格納手段としてのROM(Read Only Memory)、制御部10のワークエリアとしての使用や、一時的なユーザ設定を格納するRAM(Random Access Memory)等からなるメモリ12、本携帯端末1の電源部13、制御部10の指示により各種表示が可能なLCD(Liquid Crystal Display)14、携帯端末1のカウンタの基準クロックを発生するクロック部15と基準クロックをカウントし、電界強度のサーチの時間間隔等を決定するカウンタ16、携帯電話機網で通信する場合の無線部となる携帯電話機無線部17、無線LAN通信を行う場合の無線部となる無線LAN無線部18、及び非接触ICカード等が搭載された近距離通信装置2に接近時に近距離通信(非接触近距離無線通信)により、非接触ICカード等からの信号を受信する非接触ICカード読取等を行う無線部としての非接触通信部19を備える。また、制御部10は携帯端末1を制御する端末制御部101、非接触通信部19からのデータを制御する非接触通信制御部102として機能する。
【0018】
ここで、端末制御部101は、ユーザ操作部11からの入力操作による近距離通信装置2に搭載されている非接触ICカードの識別情報等の登録機能と、切り替える通信モードの選択情報等の登録機能と、非接触通信制御部102からの前記非接触ICカードとの通信時の通知を受け、選択された通信モードに切り替える制御機能と、通信モードの切替後に携帯電話無線部17及び無線LAN無線部18を制御し、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信の通信モードによる電界強度のサーチ処理を行う機能と、各通信モードの通信方式の圏内の情報等を取得する処理により、圏内か圏外かを判定し、圏外の通信方式のサーチ間隔を拡大する制御機能と、を有する。
【0019】
また、携帯電話無線部17及び無線LAN無線部18は、端末制御部101からの制御により圏内か否かの電界強度のサーチ機能及びサーチの時間間隔として、通常の通信時等の所定の時間間隔と当該間隔より拡大した、例えば最大値等の時間間隔との間で切り替える機能を有する。
【0020】
つまり、非接触通信制御部102は、非接触通信部19が近距離通信装置2の非接触ICカードと近距離無線通信を行った場合に、当該非接触ICカードの識別情報等を検出して端末制御部101に通知し、端末制御部101は前記非接触ICカードの識別情報等を受信すると、該非接触ICカードが予め登録された非接触ICカードか否かを判断し、登録された非接触ICカードの場合に、予め選択、設定されている通信モード(例えば移動体通信方式、無線LAN通信方式、移動体通信方式と無線LAN通信方式等)に基づいて、現時点の通信モード(例えば移動体通信方式)から予め選択、設定されている通信モード(例えば移動体通信方式と無線LAN通信方式等)に切り替え、切り替えた通信モードで電界強度のサーチ処理を制御し、圏内か圏外かを検出し、圏外の通信方式のサーチ間隔を最大値等に拡大する制御を行う。
【0021】
(第2の実施形態の動作)
本発明の第2の実施形態の動作をフローチャートにより以下説明する。本実施形態の携帯端末1は、切り替える通信モードとして、携帯電話機網を使った移動体通信ベアラのみや無線LANのみのような1つの通信ベアラだけの通信モードだけでなく、複数のベアラを選択することが可能であるが、第2の実施形態として、携帯電話機網を使った移動体通信の通信モードから、同携帯電話機網を使った移動体通信及び無線LAN通信の通信モードへの切り替えを行う場合について以下説明する。
【0022】
図3は第2の実施形態の処理フローチャートを示す図である。
まず、ユーザはユーザ操作部11の操作により、あらかじめ携帯端末の非接触通信機能を起動させ、非接触ICカードの読取機能を稼動状態とし、あらかじめ通信モードの切り替え制御のトリガとなる近距離通信装置2の非接触ICカードの識別情報等をメモリ等に記録することにより携帯端末1に登録するとともに、前記非接触ICカードの読取時に切り替えるべき通信モードを選択する(S11)。
【0023】
ここで非接触ICカードの読取り機能の起動は、ユーザのキー操作による起動や、折り畳み型携帯端末の場合には折り畳まれた状態から開いた状態にすることに連動させて起動させるように構成することができ、また、他の設定手段とすることもできる。本実施形態では、ユーザは切り替え先の通信モードとして、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信の各通信モードを選択、設定する。
【0024】
次に、ユーザは携帯端末を携帯して所定エリアの入り口等に移動し、当該入り口等に設置された近距離通信装置2の非接触ICカードの配置箇所に携帯端末をかざすと、携帯端末は非接触通信部19で前記非接触ICカードの識別情報等を読み取り、非接触通信制御部102は非接触ICカードの識別情報等を入力し端末制御部101に通知する(S12)。
【0025】
端末制御部101は、非接触通信制御部102から通知された識別情報等により、近距離通信装置2の非接触ICカードが登録された非接触ICカードであるか否かを判断する(S13)。
【0026】
端末制御部101は入力した非接触ICカードの識別情報等により事前に登録された近距離通信装置であると判定すると、あらかじめ選択されていた通信ベアラである携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信を許可する通信モードに切り替える(S14)。次に端末制御部101は、携帯電話無線部17及び無線LAN無線部18を制御し、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信の通信モードによる電界強度のサーチ処理を行い(S15)。各通信モードの通信方式の圏内の情報等を取得する処理により、圏内か圏外かを判定する(S16)。
【0027】
端末制御部101はサーチ処理の結果、何れの通信方式でも圏内が検出された場合、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信の通信モードへの切り替えを確定する(S16、NO)。
【0028】
また、ステップS16で何れかの通信方式で圏外が検出された場合は(S16、YES)、圏外の通信方式のサーチ間隔を最大値等に切り替える(S17)。つまり、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信の何れか一方又は両方が圏外の場合は、前記一方又は両方のサーチ間隔を最大値等に拡大(変更)し、電力消費を抑制する。
【0029】
更に、端末制御部101は、サーチ間隔を最大値等に拡大した通信方式が圏外から圏内に移行したか否かを判断し(S18)、圏内に移行した通信方式のサーチ間隔を元に戻す(S19)。
【0030】
また、ステップS13で携帯端末1に登録されていない非接触ICカードの場合は、通信モードを切り替えることなく、それぞれまでの携帯電話機網を使った移動体通信を許可する通信モードのままとする(S20)。
【0031】
本実施形態によれば、非接触ICカードの登録と、切り替える通信モードの選択、設定とを行っておくことにより、切替え先の通信方式の切り替えを簡単に行うことができるとともに、圏外の通信方式のサーチ間隔の拡大により電力消費を抑制できる。また、複数の非接触ICカードの登録とそれぞれの通信モードの選択、設定を行うことにより、非接触ICカード別の通信方式への切り替えを関連付けて行うことも可能であるから、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0032】
(第3の実施形態)
第2の実施形態においては、通信モードの切り替えに関して説明したが、実際には通信モードの切り替え時には携帯端末の設定を変更する場合がある。例えば、無線LANの場合では無線LAN通信といってもセキュリティ設定やチャネル設定などの、各無線LAN環境・アクセスポイントに応じた設定が必要である。これらの設定はプロファイルと呼ばれるが、その都度、キー操作を行うのは煩わしいので、通信モードの切り替えとともに携帯端末のプロファイルなどの設定を変更するように構成することができる。
【0033】
図4は本発明の第3の実施形態の処理フローチャートを示す図である。本実施形態ではユーザ操作部11からのプロファイル設定操作により、端末制御部101は通信モードの切替時のプロファイル設定をメモリ等に記憶し、該記憶情報により非接触ICカードの読取と連動して通信モードの切り替えと同時にプロファイルなどの設定変更を行う制御機能を有する。
【0034】
図4に示すステップS22〜S26、S34の処理は図3に示すステップS12〜S16、S20と同様である。
【0035】
ユーザはユーザ操作部11を通して非接触通信機能を起動させて非接触ICカード及び切替える通信モードをあらかじめ携帯端末に登録するとともに、非接触ICカード読取時に切り替える通信ベアラとモード切替後の設定を確定しておく(S21)。
【0036】
非接触通信部19により非接触ICカードが読み取られると(S22)、それが登録された非接触ICカードであるか否かを端末制御部101にて判断する(S23)。端末制御部101が登録された非接触ICカードと判定すると、あらかじめ選択された通信ベアラを許可するモードへ切り替え(S24)、モード切替後の通信方式による所定の時間間隔の電界強度のサーチ処理を行い(S25)、切り替えた通信方式で全て圏内が検出された場合は(S26、NO)、切り替えた通信方式の携帯端末の設定を行う(S27)。
【0037】
また、ステップS26で、切替えた通信方式に圏外の通信方式が検出され(S26、YES)、一部圏内の通信方式が検出された場合は(S28、YES)、端末制御部101は当該圏内の通信方式の携帯端末の設定を行い(S29)、圏外の通信方式はサーチ間隔を最大値等に拡大し(S30)、当該通信方式の圏内への移行を判断する(S31)。
【0038】
そして、端末制御部101は、圏外の通信方式の圏内への移行を検出した場合は(S31、YES)、当該通信モードのサーチ間隔を元のサーチ間隔に戻し(S32)、圏内へ移行した(圏外だった)通信方式について携帯端末の設定を行う(S33)。
【0039】
また、ステップS23で端末制御部101は非接触通信部19により読み取られた非接触ICカードが携帯端末1に登録されていない非接触ICカードの場合は、通信モードを切り替えることなく、それまでの通信モードのままとする(S34)。
【0040】
本実施形態によれば、非接触ICカードの登録と、切り替える通信モード及びプロファイルの選択、設定を行っておくことにより、切り替え先の通信方式の切り替えとプロファイル変更を関連付けて行うことができとともに、圏外の通信方式のサーチ間隔の拡大により電力消費を抑制できる。また、複数の非接触ICカードの登録とそれぞれの切り替え通信モードの選択、設定、プロファイル変更などを行うことにより、非接触ICカード別の通信方式の切り替えとプロファイル変更を関連付けて行うことも可能であるから、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0041】
(他の実施形態)
以上の実施形態においては、通信環境の異なるエリアの境界エリアへ移動時にそれまでの通信方式と切り替え先の通信方式として、携帯電話機網を使った移動体通信から同携帯電話機網を使った移動体通信と無線LAN通信モードへの切り替えの例で説明したが、本発明は1ないし複数の通信方式の切り替えに切り替え元の1ないし複数の通信方式との関係から各種の組み合わせが適用可能である。
【0042】
図6は本発明の通信モードの切り替え例を示す図である。同図(a)〜(c)に示すように、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LAN通信の間の切り替え、携帯電話機網を使った移動体通信と携帯電話機網を使った移動体通信及び無線LAN通信の間の切り替え、無線LAN通信と携帯電話機網を使った移動体通信と及び無線LAN通信の間の切り替え、等が可能であり、更に、無線LAN通信と携帯電話機網を使った移動体通信はそれぞれ1〜複数とすることが可能である。また更に、PHS通信、その他の通信方式の組み合わせとすることが可能である。
【0043】
また、ユーザが携帯端末に事前に非接触ICカード等の登録及び切り替え通信モードの選択、設定を行う構成例を示したが、非接触ICカード等の登録は携帯端末に予め設定するように構成してよいし、切り替え通信モードはエリアの境界等の非接触ICカード等を搭載する近距離通信装置側から指定するようにし、携帯端末の接近時に前記近距離通信装置から指定信号を出力し、携帯端末は前記指定信号を受信して通信モードを切り替えるように構成することができる。
【0044】
また、以上の各実施形態において、エリア間での通信モードの切り替え前後で同じ通信方式が許可され、両エリアで当該通信方式の通信環境が良好な場合には、切り替え後の同じ通信方式でのサーチを省略し、許可されていなかった通信方式でのみサーチを行うように構成することができる。
【0045】
例えば、携帯電話機網を用いた移動体通信のみが許可されたモードから、移動体通信と無線LANの双方を許可する通信モードへ切り替える場合には、無線LAN無線部18を用いて帰属可能な無線LANアクセスポイントが存在するか否かをサーチし、切り替え前の通信モードで許可されていた通信方式である携帯電話機網を使った移動体通信のサーチを省略し、無線LAN通信のサーチの結果、無線LAN通信が圏外の場合には、そのサーチ間隔を拡大するとともに、携帯電話機網を使った移動体通信はそのままとするように構成できる。
【0046】
更に、各実施形態において、サーチ処理の時間間隔は通常の時間間隔から最大値に切り替える例を示したが、サーチの時間間隔の拡大の制御は、例えば通常のサーチ間隔(最短)を2秒とし、圏外を検出した場合は、経時的に、例えば2秒、4秒、8秒、16秒と徐々に伸ばし、30秒を超えた場合は、30秒ずつ伸ばし、300秒を最大とする等の制御とすることができる。
【0047】
また、携帯端末の一方のエリアから他方のエリアへの移動時の近距離通信装置との通信による通信モードの切り替え動作を説明したが、本発明は他方のエリアから一方のエリアへの移動時にも適用可能である。この場合、新たな近距離通信装置を設置することで実施することが可能であるが、一方のエリアから他方のエリアへの移動した情報を携帯端末に記憶させることにより、他方のエリアから一方のエリアへの移動時にも同一の近距離通信装置との通信により、当該情報に基づいて元の通信モードに切り替えるように構成することが可能である。この場合にも以上の各実施形態の処理が適用できることは明らかである。
【0048】
次に、本発明の以上の実施形態の処理は、ハードウェアにより実行させることが可能であるとともに、ソフトウェアにより実行させることが可能である。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、以上の各実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをメモリ12等の記憶部に格納し、制御部を構成するコンピュータ(CPU、MPU(Micro Processing Unit))が前記記憶部に格納されたプログラムコードを読み込み、前記端末制御部101及び非接触通信制御部102等の機能を実現するように構成する。
【0049】
また、プログラムコードを記憶した記憶媒体を使用し、この記憶媒体からプログラムコードを読み出し、前記記憶部に格納することができる。記録部へのプログラムの格納は、必要に応じて携帯電話無線部17、無線LAN無線部18等を介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット等の通信媒体を利用して行われるように構成することができる。
【0050】
この場合も前記記憶媒体又は記憶部のプログラムコード自体が以上説明した各実施形態の機能を実現することになり本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、磁気ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性のメモリーカード等とすることができる。
【0051】
各実施形態も制御部を構成するCPUは記憶部のプログラムを読み込み、読み込んだプログラムにより制御され、キー操作部から入力される指令に応じて、以上説明した各種の機能を実現する処理を実行する。
【0052】
以上説明したように、携帯電話機網を用いた移動体通信と無線LAN通信のように複数の通信方式を利用できる携帯端末に非接触ICカード等の情報を読み込ませるだけで、ユーザがキー操作することなく、自動的な通信モードの切り替え時に、圏外の通信方式のサーチ間隔を拡大できるため、本発明により利便性が向上するとともに、無駄な電力消費を抑制することが可能となる。
【0053】
本発明の各実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態の携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラムを示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の携帯端末の構成を示す図である。
【図3】第2の実施形態の処理フローチャートを示す図である。
【図4】本発明の第3の実施形態の処理フローチャートを示す図である。
【図5】本発明の通信モードの切り替え例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 携帯端末
2 近距離通信装置
11 ユーザ操作部
12 メモリ
13 電源部
14 LCD(Liquid Crystal Display)
15 クロック部
16 カウンタ
17 携帯電話無線部
18 無線LAN無線部
19 非接触通信部
101 端末制御部
102 非接触通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離通信装置と、前記近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替える制御部を備える携帯端末と、からなる携帯端末システムにおいて、前記携帯端末の制御部は1ないし複数の通信方式の通信モードに切り替え後、所定の時間間隔の電界強度のサーチにより圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式の前記サーチの時間間隔を拡大することを特徴とする携帯端末システム。
【請求項2】
前記携帯端末の制御部は、前記サーチの時間間隔を拡大した通信方式が圏内に移行した場合に、当該通信方式のサーチの時間間隔を元に戻すことを特徴とする請求項1記載の携帯端末システム。
【請求項3】
前記携帯端末の制御部は、ユーザ操作部からの操作により前記近距離通信装置及び切り替える前記1ないし複数の通信方式を予め登録、設定することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯端末システム。
【請求項4】
前記携帯端末の制御部は、ユーザ操作部からの操作により切り替える通信方式の端末設定を予め設定し、通信方式の切り替え時に端末設定を行うことを特徴とする請求項1から3の何れかの請求項記載の携帯端末システム。
【請求項5】
前記通信モードの切り替えは、少なくとも携帯電話機網を使った移動体通信方式と無線LAN通信との間の切り替えを含むことを特徴とする請求項1から4の何れかの請求項記載の携帯端末システム。
【請求項6】
前記近距離通信は、非接触ICカードによる通信であることを特徴とする請求項1から5の何れかの請求項記載の携帯端末システム。
【請求項7】
近距離通信装置と近距離通信が可能な非接触通信部と、前記非接触通信部が前記近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替える制御部とを備える携帯端末であって、前記制御部は1ないし複数の通信方式の通信モードに切り替え後、所定の時間間隔の電界強度のサーチにより圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式の前記サーチの時間間隔を拡大することを特徴とする携帯端末。
【請求項8】
前記制御部は、前記サーチの時間間隔を拡大した通信方式が圏内に移行した場合に、当該通信方式のサーチの時間間隔を元に戻すことを特徴とする請求項7記載の携帯端末。
【請求項9】
前記制御部は、ユーザ操作部の操作により前記近距離通信装置及び切り替える前記1ないし複数の通信方式を予め登録、設定することを特徴とする請求項7又は8記載の携帯端末。
【請求項10】
前記制御部は、ユーザ操作部の操作により切り替える通信方式の端末設定を予め設定し、前記圏外の通信方式を含まない通信方式への切り替え時に端末設定を行うことを特徴とする請求項7から9の何れかの請求項記載の携帯端末。
【請求項11】
前記通信モードの切り替えは、少なくとも携帯電話機網を使った移動体通信方式と無線LAN通信との間の切り替えを含むことを特徴とする請求項7から10の何れかの請求項記載の携帯端末。
【請求項12】
前記近距離通信は、非接触ICカードによる通信であることを特徴とする請求項7から11の何れかの請求項記載の携帯端末。
【請求項13】
携帯端末の通信モード切替方法であって、近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替えるステップと、前記通信モードに切り替え後、所定の時間間隔の電界強度のサーチにより圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式の前記サーチの時間間隔を拡大するステップと、を含むことを特徴とする通信モード切替方法。
【請求項14】
前記サーチの時間間隔を拡大した通信方式が圏内に移行した場合に、当該通信方式のサーチの時間間隔を元に戻すステップを含むことを特徴とする請求項13記載の携帯端末システム。
【請求項15】
前記携帯端末のユーザ操作部の操作により前記近距離通信装置及び切り替える前記1ないし複数の通信方式を予め登録、設定するステップを含むことを特徴とする請求項13又は14記載の通信モード切替方法。
【請求項16】
前記携帯端末のユーザ操作部の操作によりユーザ操作部の操作により切り替える通信方式の端末設定を予め設定するステップを含み、前記圏外の通信方式を含まない通信方式へ切り替えるステップは、当該切り替え時に端末設定を行うことを特徴とする請求項13から15の何れかの請求項記載の通信モード切替方法。
【請求項17】
前記通信モードの切り替えは、少なくとも携帯電話機網を使った移動体通信方式と無線LAN通信との間の切り替えを行うステップを含むことを特徴とする請求項13から16の何れかの請求項記載の通信モード切替方法。
【請求項18】
前記近距離通信は、非接触ICカードによる通信であることを特徴とする請求項13から17の何れかの請求項記載の通信モード切替方法。
【請求項19】
携帯端末の通信モード切替用のプログラムであって、近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替えるステップと、前記通信モードに切り替え後、所定の時間間隔の電界強度のサーチにより圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式の前記サーチの時間間隔を拡大するステップと、を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項20】
前記サーチの時間間隔を拡大した通信方式が圏内に移行した場合に、当該通信方式のサーチの時間間隔を元に戻すステップを含むことを特徴とする請求項19記載のプログラム。
【請求項21】
前記携帯端末のユーザ操作部の操作により前記近距離通信装置及び切り替える前記1ないし複数の通信方式を予め登録、設定するステップを含むことを特徴とする請求項19又は20記載のプログラム。
【請求項22】
前記携帯端末のユーザ操作部の操作により切り替える通信方式の端末設定を予め設定するステップを含み、前記圏外の通信方式を含まない通信方式へ切り替えるステップは、当該切り替え時に端末設定を行うことを特徴とする請求項19から21の何れかの請求項記載のプログラム。
【請求項23】
前記通信モードの切り替えは、少なくとも携帯電話機網を使った移動体通信方式と無線LAN通信との間の切り替えを行うステップを含むことを特徴とする請求項19から22の何れかの請求項記載のプログラム。
【請求項24】
前記近距離通信は、非接触ICカードによる通信であることを特徴とする請求項19から23の何れかの請求項記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−103646(P2010−103646A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271342(P2008−271342)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】