説明

携帯端末

【課題】第1筐体と第2筐体とを互いにスライド移動可能に連結した携帯端末において、テンプレートを第1筐体または第2筐体に係合させた状態でスライド移動可能とする。
【解決手段】連結機構部30の下部には、テンプレート40を第1筐体10のディスプレイ裏面13に常に押し当てるように付勢するコイルスプリング31が外嵌されており、第2筐体20の左右両側面24,24には、一対の係止杆51,51が対向配置されている。そして、係止杆51,51を閉じた状態としたとき、テンプレート40の左右両端部が係止杆51,51によって下方に押し下げられ、テンプレート40は第2筐体20のキーボード面22に押し付けられた状態となる一方、係止杆51,51が開いた状態のとき、テンプレート40は、コイルスプリング31によって第2筐体20のキーボード面22から浮き上がり、第1筐体10のディスプレイ裏面13に押し付けられた状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面にディスプレイが配置された第1筐体と、上面にキーボードが配置された第2筐体とを上下に重ね合わせた状態で互いにスライド移動可能に連結された携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、1つのキーボタンを複数の機能に割り当てること(すなわち、モード毎若しくは起動しているソフト毎に特定のキー操作に対する動作内容が異なるよう切り換えること)は、複写機やFAX等のオフィス機器に限らず、多くの機器で取り入れられている。特に、携帯電話に代表される携帯端末では、電話(通話)機能と電子メールに代表される通信機能とを主体として、これにパソコンに代表される情報機器機能(例えば、インターネットアクセス機能)、さらには、TV受信機能等の多くの機能が取り入れられており、益々、多機能化の傾向にある。
【0003】
これらの機器は、持ち運びを主たる商品コンセプトとすることから、端末全体のサイズに対するユーザ要求(持ち運びに不便さを感じない程度のサイズに納める要求)は大きいが、相反するユーザ要求として、キー操作の容易さ(所定のキーサイズの要求)が求められていることも事実である。キー操作の容易さについては、端末上に配置可能なキー数に限界があることから、従来から、1つのキーボタンに数多くの機能を割り当て、必要に応じてこれらキー機能を使い分けることが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1の従来技術の欄には、ヒンジ部に取り付けられた数枚のテンプレートを、本や雑誌のページめくりのように選択可能(差し換え可能)とした、最も一般的な操作パネルの構造が開示されている。そして、この従来技術に対し、特許文献1では、パネル窓及びキーを有するプレートの下に、多種類の表示パターンを表示した単一のパターンシートを移動可能に配置し、所望の表示パターンをパネル窓に一致させることで、そのパターンシートの位置に応じてマルチ操作表示パネルの入力機能が、表示パターンの種類に対応して切り換えられるようになっている。この構成によれば、単一のパターンシート上に表示パターンを表示するため、省スペース化が可能であり、パターンシートの重ね合わせがないため、操作感も変らないといった利点がある。
【0005】
また、特許文献2には、機能表示プレート(テンプレート)を筐体の操作面に装着しない状態では、テンキーはその表面に設けられた表示に対応する基本機能に設定され、機能表示プレートを筐体の操作面に装着すると、その装着を検知して、制御手段が、テンキーの機能を機能表示プレートの表面または裏面に設けられた表示に対応する機能となるように切り替えることが開示されている。すなわち、特許文献2は、複数枚のテンプレートを差し換え可能とすることや、装着されているテンプレートに応じて、キー割り当てを変更する等の、従来、オフィス機器で採用されていた技術を、携帯端末に取り入れたものである。
【0006】
また、特許文献3には、ワンタッチキー群の上に宛先を記入したラベルを貼った切替プレート(テンプレート)をセットし、この切替プレートを支点軸を中心に回動できるように構成することで、切替プレートの位置に応じて切替スイッチをオン、オフすることが開示されている。そして、この切替プレートは、可撓性を有する材料で形成されており、少し撓ませれば切替プレートの軸を、操作パネル本体に設けた軸受突起の軸穴に差し込めるようになっており、脱着が容易に行える構成となっている。
【特許文献1】特開平5−127795号公報
【特許文献2】実開平7−39153号公報
【特許文献3】特開2003−346587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、携帯端末は、持ち運びやモバイル利用を主たる商品コンセプトとしている。従って、テンプレートの差し換えが移動時にも行なわれることを考慮する必要があるが、上記特許文献1〜3の技術は、基本的にオフィス機器を想定していることから、取り外されたテンプレートの収納等についての考慮がされていない。具体的には、特許文献2の技術を携帯端末で実装しようとすると、例えば取り外されたテンプレートを収納するスペースを携帯端末内に設ける等の工夫が必要となる。また、このようにテンプレートを携帯端末と分離可能に設けると、テンプレートを無くしてしまう可能性があるといった問題もあった。
【0008】
この問題は、特許文献1の従来技術に開示されている操作パネル構造では生じない。しかし、この特許文献1の従来技術の操作パネル構造は、上面にディスプレイが配置された第1筐体と、上面にキーボードが配置された第2筐体とを上下に重ね合わせた状態で互いにスライド移動可能に連結された携帯端末には不向きな構造であり、このような構造の携帯端末に実装することは難しい。
【0009】
本発明は係る実情に鑑みて創案されたもので、その目的は、上面にディスプレイが配置された第1筐体と、上面にキーボードが配置された第2筐体とを上下に重ね合わせた状態で互いにスライド移動可能に連結された携帯端末において、異なる機能のキーボタンが配置されたテンプレートを第1筐体側または第2筐体側に係合させた状態でスライド移動可能とすることで、キー機能の切り替えを容易に行える携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の携帯端末は、ディスプレイが配置されたディスプレイ面と当該ディスプレイ面の裏面となるディスプレイ裏面とを有する第1筐体と、キーボードが配置されたキーボード面を有する第2筐体と、前記キーボード面を前記ディスプレイ裏面が覆う第1姿勢と前記キーボード面を露出させる第2姿勢との間で前記第1筐体と前記第2筐体とを互いにスライド移動可能に連結する連結機構部とからなる携帯端末であって、前記キーボード面上に配置されるテンプレートと、前記テンプレートをキーボード面上に配置したまま前記第1姿勢から前記第2姿勢へスライド移動する第1状態と、前記テンプレートを前記ディスプレイ裏面に係合させて前記第1姿勢から前記第2姿勢へスライド移動する第2状態とを切り換える切換手段と、前記切換手段に応じて、キーボード操作に伴うキーコードを変更するテーブル選択手段とを備えた構成としている。
【0011】
すなわち、第1状態では、第2筐体に対して第1筐体をスライド移動させても、テンプレートは第2筐体のキーボード面上に配置したままであり、スライド移動しない構造となっている。そのため、切換手段は、第1状態では、テンプレートを第2筐体のキーボード面上に押さえ付けた状態で固定するように、例えば係止爪等によってテンプレートの縁部を係止固定する構造となっている。このとき、テンプレートの下面に第1突起を設けておき、これに対向する第2筐体の上面に第1凹部を設けておいて、この第1突起と第1凹部とが係止爪の係止力によって係合するように構成しておけば、テンプレートは第2筐体に確実に係合され、第1筐体のスライド移動に影響されることなく、第2筐体のキーボード面上に確実に固定することができる。
【0012】
一方、第2状態では、第2筐体に対して第1筐体をスライド移動させると、テンプレートが第1筐体のディスプレイ裏面に係合して共にスライド移動する構造となっている。そのため、切換手段は、第2状態では、係止爪による係合を解除し、テンプレートを第1筐体のディスプレイ裏面に押さえ付けた状態で固定するように、例えばバネ等によって付勢する構造となっている。このとき、テンプレートの上面に第2突起を設けておき、第1筐体のディスプレイ裏面に第2凹部を設けておいて、この第2突起と第2凹部とが前記バネ等の付勢力によって係合するように構成しておけば、テンプレートは第1筐体に確実に係合され、第1筐体と共に確実にスライド移動することになる。
【0013】
このような切換手段を設けることで、キーボード上に配置された各キーボタンの機能を、テンプレートが有るときの第1の機能と、テンプレートが無いときの第2の機能との2種類のボタン機能として使い分けることが可能となる。
【0014】
キーコードテーブル記憶部には、第1状態(第1の機能)に対応したキーコードテーブルと、第2状態(第2の機能)に対応したキーコードテーブルとが格納されており、テーブル選択手段は、前記切換手段の切り換え動作に応じて、いずれかのキーコードテーブルを選択することで、キーボード操作に伴うキーコードを変更するようになっている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、異なる機能のキーボタンが配置されたテンプレートを第1筐体側または第2筐体側に係合させた状態で、第1筐体と第2筐体とを相互にスライド移動可能な構造としたので、テンプレートの厚さ分は厚くなるものの、テンプレートを収納するスペースを別途設ける必要がないことから、携帯端末として最も要求の強い端末の厚さ方向に対しての影響を最小限に留めることができる。また、テンプレートは携帯端末から分離できない一体構造であるので、移動時等にテンプレートを無くしてしまうといった問題も発生しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
<実施形態1>
図1は、本発明の携帯端末の実施形態1を示す平面図、図2及び図3は、切換手段の構造を示す縦断面図である。
【0018】
本実施形態1の携帯端末1Aは、ディスプレイ11が配置されたディスプレイ面12及びディスプレイ面12の裏面となるディスプレイ裏面13を有する第1筐体10と、キーボード21が配置されたキーボード面22を有する第2筐体20と、第1筐体10と第2筐体20とを連結する回転軸構造の連結機構部30とを備えている。連結機構部30は、第2筐体20のキーボード面22を第1筐体10のディスプレイ裏面13が覆う第1姿勢(図1(a)の状態)と、第2筐体20のキーボード面22を露出させる第2姿勢(図1(c),(e)の状態)との間で、第1筐体10と第2筐体20とを互いにR方向に往復スライド回転移動可能に連結している。この連結機構部30のより具体的な構造は従来周知の構造であるのでここでは詳細な説明を省略するが、第1姿勢と第2姿勢のいずれか一方の姿勢から他方の姿勢へ、1回の回転操作により、180度回転移動できるように構成されている。
【0019】
このように構成された第1筐体10のディスプレイ裏面13と第2筐体20のキーボード面22との間に、キーボード面22上に配置されるテンプレート40が介挿されている。このテンプレート40も連結機構部30に挿通されており、連結機構部30を回転中心として第1筐体10と共にスライド回転移動可能に設けられている。
【0020】
連結機構部30の下部には、テンプレート40を第1筐体10のディスプレイ裏面13に常に押し当てるように付勢するコイルスプリング31が圧縮状態で外嵌されており、連結機構部30の下端部には、このコイルスプリング31の抜けを防止するための環状の抜け止め片31aが形成されている。また、コイルスプリング31の上端とテンプレート40の下面との間には、ワッシャ32が介挿されている。ワッシャ32を介挿することで、コンルスプリング31の先端部がテンプレート40に直接接触することを防止しつつ、テンプレート40のスムーズなスライド回転移動を確保している。
【0021】
一方、第2筐体20の左右両側面24,24には、一対の係止杆51,51が対向配置されている。この係止杆51は、側面視逆L字形状に形成されており、その下端部が側面24に係止ピン25によって回動可能に連結されている。また、上部の係止爪52は互いの方向に延設されており、係止杆51を閉じたときには、キーボード面22の端部上方まで回動するようになっている。係止爪52は、先端部52aの厚みが薄く形成されており、この先端部52aから連続してテーパ面52bが形成されている。また、この係止杆51,51に対向するテンプレート40の左右両端部にもテーパ面40bが形成されており、係止杆51の先端部52aが、テンプレート40の上面と第1筐体10のディスプレイ裏面13との間に挿入し易くなっている。
【0022】
そして、係止杆51,51を閉じた状態(図2(a)に示す状態)としたとき、テンプレート40の左右両端部のテーパ面40bが係止杆51,51の係止爪52,52の先端部52aによってまず係止され、次に、係止爪52のテーパ面52bに沿って下方に押し下げられるため、テンプレート40はコイルスプリング31の弾発力に対抗して第2筐体20のキーボード面22に押し付けられた状態となる。このとき、テンプレート40の下面に第1突起41を設けておき、これに対向する第2筐体20のキーボード面22に第1凹部26を設けておいて、この第1突起41と第1凹部26とが係合するように構成しておけば、テンプレート40は第2筐体20に確実に係合されることになる。従って、この状態で第1筐体10を、図2(a)に示す第1姿勢から図2(b)に示す第2姿勢までR1方向(図1(b)参照)に、180度スライド回転移動させても、第1筐体10のスライド回転移動に影響されることなく、テンプレート40を第2筐体20のキーボード面22上に確実に固定することができる。すなわち、このときのキーボード21の各キーボタンは、テンプレート40に標記されたキー機能(例えば、数字の1,2,3・・・に対応したキー機能)を実行するキーボタンとなる。
【0023】
また、第1凹部26には、第1突起41の係合を検知するための検知スイッチ64が配置されている。この検知スイッチ64は、例えば機械式のリミットスイッチを用いることができ、第1突起41が第1凹部26に係合されたとき、この第1突起41によってリミットスイッチがオンされるようになっている。後述する端末制御部100は、第1筐体10が第1姿勢から第2姿勢までスライド回転移動したとき、この検知スイッチ64のオン、オフ状態によって、テンプレート40がキーボード面22上にあるのか、第1筐体10のディスプレイ裏面13にあるのかを判別することができるので、その判別結果に応じてキー機能の切り換えを行うことができる。
【0024】
一方、係止杆51,51が開いた状態(図3(a)に示す状態)のとき、テンプレート40は、コイルスプリング31の弾発力によって第2筐体20のキーボード面22から浮き上がり、第1筐体10のディスプレイ裏面13に押し付けられた状態となっている。このとき、テンプレート40の上面に第2突起42を設けておき、第1筐体10のディスプレイ裏面13に第2凹部14を設けておいて、この第2突起42と第2凹部14とが係合するようにしておけば、テンプレート40は第1筐体10のディスプレイ裏面13に確実に係合されることになる。従って、この状態で第1筐体10を、図3(a)に示す第1姿勢から図3(b)に示す第2姿勢までR1方向(図1(d)参照)に、180度スライド回転移動させると、テンプレート40も第1筐体10と共に確実にスライド回転移動することになる。すなわち、このときのキーボード21の各キーボタンは、キーボード面22(若しくはキーボタン21キートップ)に標記されたキー機能(例えば、英語のa,b,c,・・・に対応したキー機能)を実行するキーボタンとなる。このようなキー機能の切り換えは、上記したように、検知スイッチ64のオン、オフ状態に基づいて行うことができる。
【0025】
図4は、上記構成の携帯端末1Aの電気的構成を示すブロック図である。
【0026】
本携帯端末1Aは、各種アプリケーションソフトを実行する端末制御部100に、キーボードコントローラ101、表示コントローラ102、及び各種ドライバ103が接続されている。
【0027】
表示コントローラ102は、端末制御部100からの制御により、第1筐体10に配置されているディスプレイ(液晶表示装置)11の表示制御を行う。各種ドライバ103は、端末制御部100との双方向の通信により、対応する各種デバイス109を制御する。
【0028】
キーボードコントローラ101には、第2筐体20のキーボード面22に設けられているキーボード21のキー出力、及び検知スイッチ64の出力(オン、オフ信号)が導かれているとともに、動作時には各種アプリケーションソフトを実行するワークエリアとして働くワークメモリ105、及びキーコードテーブル格納部106が接続されている。
【0029】
キーコードテーブル格納部106には、キーボード面22(若しくはキーボード21自体)に標記されたキー機能を実行するキーコードテーブル、及びテンプレート40に標記されたキー機能を実行するキーコードテーブルが格納されている。
【0030】
図5は、キーコードテーブル格納部106に格納されているキーコードテーブルの一例を示している。すなわち、本実施形態1では、キーボード面22上にテンプレート40が無い場合と、有る場合の2種類のキーコードテーブルが格納されており、テンプレート40が無い場合は、キー番号に従って各キーボタンにa,b,c,・・・を割り当てたテーブル1(tbl1)が用いられ、テンプレート40が有る場合は、キー番号に従って各キーボタンに1,2,3,・・・を割り当てたテーブル2(tbl2)が用いられる。ただし、このような各キーボタンのキー機能の割り当てはあくまで一例であり、携帯端末の機能に応じて適宜設定すればよい。
【0031】
次に、上記構成の携帯端末1Aにおけるキー機能の選択処理について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0032】
すなわち、電源がオンされると、キーボードコントローラ101は、キー入力の有無と、第1筐体10が第2筐体20に対して開いた状態(第2姿勢)となっているか否かとを監視する(ステップS1,S2)。ここで、ステップS2の判断は、例えば回転機構部30の回転状態を検知することで判断できる。
【0033】
その結果、キーボード21の操作によるキー入力があったとき、第1筐体10が第2筐体20に対して開いた状態であった場合(ステップS1,S2が共にYesの場合)には、キーボードコントローラ101は、次にテンプレート40がキーボード面22上に有るか否かを判断する(ステップS3)。テンプレート40の有無の判断は、上記したように検知スイッチ64がオンかオフかで判断できる。その結果、テンプレート40が無い場合(すなわち、検知スイッチ64がオフの場合)、キーボードコントローラ101は、キーコードテーブル格納部106に格納されているテーブル1(tbl1)から、該当するキー入力に対応したキーコード値を読み出して端末制御部100に出力する(ステップS4)。これにより、端末制御部100は、このキーコード値に対応した処理を開始する。
【0034】
一方、ステップS3においてテンプレート40がキーボード面22上に有ると判断された場合(すなわち、検知スイッチ64がオンの場合)、キーボードコントローラ101は、キーコードテーブル格納部106に格納されているテーブル2(tbl2)から、該当するキー入力に対応したキーコード値を読み出して端末制御部100に出力する(ステップS5)。これにより、端末制御部100は、このキーコード値に対応した処理を開始する。
【0035】
<実施形態2>
上記実施形態1は、第2筐体20に対する第1筐体10のスライド移動が回転機構部30を中心とするスライド回転移動の場合を例示しているが、本実施形態2では、第2筐体20に対する第1筐体10のスライド移動が直線移動の場合について説明する。
【0036】
図7は、本発明の携帯端末の実施形態2を示す平面図、図8及び図9は、切換手段の構造を示す縦断面図である。
【0037】
本実施形態2の携帯端末1Bは、ディスプレイ11が配置されたディスプレイ面12及びディスプレイ面12の裏面となるディスプレイ裏面13を有する第1筐体10と、キーボード21が配置されたキーボード面22を有する第2筐体20と、第1筐体10と第2筐体20とを連結する連結機構部70とを備えている。
【0038】
連結機構部70は、第2筐体20のキーボード面22を第1筐体10のディスプレイ裏面13が覆う第1姿勢(図7(a)の状態)と、第2筐体20のキーボード面22を露出させる第2姿勢(図7(c),(e)の状態)との間で、第1筐体10と第2筐体20とを互いに一方向Yに往復スライド移動可能に連結している。
【0039】
すなわち、第2筐体20のキーボード面22の左右両側には、一方向Yに沿って平行に一対のスライド溝27,27が形成されており、これに対向する第1筐体10のディスプレイ裏面13の左右両側には、下方に突出した一対のスライド杆15,15が形成されている。すなわち、このスライド杆15,15がスライド溝27,27内を一方向Yに往復スライド移動することで、第1筐体10と第2筐体20とが、第1姿勢から第2姿勢に、及び第2姿勢から第1姿勢にスライド移動するようになっている。
【0040】
このように構成された第1筐体10のディスプレイ裏面13と第2筐体20のキーボード面22との間に、キーボード面22上に配置されるテンプレート40が介挿されている。このテンプレート40の左右両側にも、一方向Yに沿って平行に一対のスライド溝44,44が形成されており、このスライド溝44に第1筐体10のスライド杆15が挿通されている。
【0041】
スライド杆15の下部には、テンプレート40を第1筐体10のディスプレイ裏面13に常に押し当てるように付勢するコイルスプリング71が圧縮状態で外嵌されており、スライド杆15の下端部には、このコイルスプリング71の抜けを防止するための環状の抜け止め片15aが形成されている。また、コイルスプリング71の上端とテンプレート40の下面との間には、スライド用のワッシャ72が介挿されている。このスライド用ワッシャ72を介挿することで、スライド杆15がテンプレート40のスライド溝44内をスライドするとき、コイルスプリング71の弾発力によってスライド用ワッシャ72がテンプレート40のディスプレイ裏面13に接触した状態でスライド杆15と共にスライド移動することで、スライド杆15のスムーズなスライド移動を確保している。
【0042】
一方、第2筐体20の左右両側面24,24には、一対の係止杆51,51が対向配置されている。この係止杆51は、側面視逆L字形状に形成されており、その下端部が側面24に係止ピン25によって回動可能に連結されている。また、上部の係止爪52は互いの方向に延設されており、係止杆51を閉じたときには、キーボード面22の端部上方まで回動するようになっている。係止爪52は、先端部52aの厚みが薄く形成されており、この先端部52aから連続してテーパ面52bが形成されている。また、この係止杆51,51に対向するテンプレート40の左右両端部にもテーパ面40bが形成されており、係止杆51の先端部52aが、テンプレート40の上面と第1筐体10のディスプレイ裏面13との間に挿入し易くなっている。
【0043】
そして、係止杆51,51を閉じた状態(図8に示す状態)としたとき、テンプレート40の左右両端部のテーパ面40bが係止杆51,51の係止爪52,52の先端部52aによってまず係止され、次に、係止爪52のテーパ面52bに沿って下方に押し下げられるため、テンプレート40はコイルスプリング71の弾発力に対抗して第2筐体20のキーボード面22に押し付けられた状態となる。このとき、テンプレート40の下面に左右一対の第1突起41を設けておき、これに対向する第2筐体20のキーボード面22に左右一対の第1凹部26を設けておいて、これら第1突起41と第1凹部26とが係合するように構成しておけば、テンプレート40は第2筐体20に確実に係合されることになる。従って、この状態で第1筐体10を、図7(a)に示す第1姿勢から図7(b)に示す途中の姿勢を経て図7(c)に示す第2姿勢まで、Y1方向にスライド移動させても、第1筐体10のスライド移動に影響されることなく、テンプレート40を第2筐体20のキーボード面22上に確実に固定することができる。すなわち、このときのキーボード21の各キーボタンは、テンプレート40に標記されたキー機能(例えば、数字の1,2,3・・・に対応したキー機能)を実行するキーボタンとなる。
【0044】
また、第1凹部26には、第1突起41の係合を検知するための検知スイッチ64が配置されている。この検知スイッチ64は、例えば機械式のリミットスイッチを用いることができ、第1突起41が第1凹部26に係合されたとき、この第1突起41によってリミットスイッチがオンされるようになっている。
【0045】
一方、係止杆51,51が開いた状態(図9に示す状態)のとき、テンプレート40は、コイルスプリング71の弾発力によって第2筐体20のキーボード面22から浮き上がり、第1筐体10のディスプレイ裏面13に押し付けられた状態となっている。このとき、テンプレート40の上面に左右一対の第2突起42を設けておき、第1筐体10のディスプレイ裏面13に左右一対の第2凹部14を設けておいて、これら第2突起42と第2凹部14とが係合するようにしておけば、テンプレート40は第1筐体10のディスプレイ裏面13に確実に係合されることになる。従って、この状態で第1筐体10を、図7(a)に示す第1姿勢から図7(d)に示す途中の姿勢を経て図7(e)に示す第2姿勢まで、Y1方向にスライド移動させると、テンプレート40も第1筐体10と共に確実にスライド移動することになる。すなわち、このときのキーボード21の各キーボタンは、キーボード面22(若しくはキーボタン21のキートップ)に標記されたキー機能(例えば、英語のa,b,c,・・・に対応したキー機能)を実行するキーボタンとなる。このようなキー機能の切り換えは、上記したように、検知スイッチ64のオン、オフ状態に基づいて行うことができる。
【0046】
なお、上記構成の携帯端末1Bの電気的構成は図4と同じであり、キー機能の選択処理のフローチャートは図6と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の携帯端末の実施形態1を示す平面図である。
【図2】実施形態1の切換手段のスライド回転移動の構造を示す縦断面図である。
【図3】実施形態1の切換手段のスライド回転移動の構造を示す縦断面図である。
【図4】本発明の携帯端末の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】キーコードテーブルの一例を示す説明図である。
【図6】本発明の携帯端末におけるキー機能の選択処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の携帯端末の実施形態2を示す平面図である。
【図8】実施形態2の切換手段のスライド回転移動の構造を示す縦断面図である。
【図9】実施形態2の切換手段のスライド回転移動の構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1A,1B 携帯端末
10 第1筐体
11 ディスプレイ(液晶表示装置)
12 ディスプレイ面
13 ディスプレイ裏面
14 第2凹部
15 スライド杆
20 第2筐体
21 キーボード
22 キーボード面
24 側面
25 係止ピン
26 第1凹部
27 スライド溝
30 連結機構部
31 コイルスプリング
32 ワッシャ
40 テンプレート
40b テーパ面
41 第1突起
42 第2突起
44 スライド溝
51 係止杆
52 係止爪
52a 先端部
52b テーパ面
64 検知スイッチ
70 連結機構部
71 コイルスプリング
100 端末制御部
101 キーボードコントローラ
102 表示コントローラ
103 各種ドライバ
105 ワークメモリ
106 キーコードテーブル格納部
109 各種デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイが配置されたディスプレイ面と当該ディスプレイ面の裏面となるディスプレイ裏面とを有する第1筐体と、キーボードが配置されたキーボード面を有する第2筐体と、前記キーボード面を前記ディスプレイ裏面が覆う第1姿勢と前記キーボード面を露出させる第2姿勢との間で前記第1筐体と前記第2筐体とを互いにスライド移動可能に連結する連結機構部とからなる携帯端末であって、
前記キーボード面上に配置されるテンプレートと、
前記テンプレートをキーボード面上に配置したまま前記第1姿勢から前記第2姿勢へスライド移動する第1状態と、前記テンプレートを前記ディスプレイ裏面に係合させて前記第1姿勢から前記第2姿勢へスライド移動する第2状態とを切り換える切換手段と、
前記切換手段に応じて、キーボード操作に伴うキーコードを変更するテーブル選択手段と、を備えていることを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−3634(P2009−3634A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162783(P2007−162783)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】