説明

携帯端末

【課題】本発明は、ユーザが通話をしながらテレビ放送を視聴する際に、テレビ放送の音声によって通話の音声が聞き取りにくくなることが防止することができる携帯端末を提供する。
【解決手段】テレビ視聴中に、着信を検出する第1の検出手段(S101)と、着信が検出された際、テレビ放送波に含まれる字幕情報を表示する表示制御手段(S107)と、着信が検出された際、テレビ放送波に含まれる音声情報の音声出力を無効に設定する音声制御手段(S111)と、着信が検出された際、テレビ視聴機能と併せて通話機能を実行する実行手段(S113、S115)とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ視聴中に音声着信が発生してテレビ視聴機能と通話機能とを同時に実行する際に、テレビの音声を無効にするとともにテレビ視聴画面に字幕情報を表示することができる携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の携帯端末において、地上波デジタルテレビ放送等のテレビ放送を受信して視聴できるテレビ視聴機能が搭載されるようになってきた。また、これらの携帯端末は、テレビ放送の視聴機能のみでなく、録画・再生機能を同時に備えていることが一般的である。
【0003】
例えば特許文献1には、テレビを視聴しながら通話ができるテレビ付き携帯電話機が記載されている。このテレビ付き携帯電話機は、出力する音声において、第1の音声出力手段と、第2の音声出力手段と、テレビ音声信号または受話音声信号を入力として、いずれかを選択し第1の音声出力手段に出力する第1の選択手段と、テレビ音声信号または受話音声信号または無音声信号を入力として、いずれかを選択し第2の音声出力手段から出力する第2の選択手段と、第1の音声出力手段と第2の音声出力手段から出力する入力音声信号を合成するミキシング手段とを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−252774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、携帯電話機等の携帯端末は、スピーカやマイクロフォンを備えたヘッドセットをユーザが頭に装着して、このヘッドセットと端末本体とで有線接続または無線接続にて音声信号を送受信することにより、ユーザが携帯端末を耳に当てることなく通話を行うことが可能となっている。
【0006】
この際、携帯端末では、音声着信によりテレビ視聴が中断されるという問題を解決するために、通話の音声出力とワンセグ視聴の音声出力を、ヘッドセット、内蔵スピーカなどに出し分ける機能を備えているが、各々の音声を出力先によって出し分けるのみであるため、ユーザにとって、テレビ放送の音声によって通話の音声が聞き取りにくくなり、テレビ視聴の妨げになる恐れがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされてものであり、ユーザが通話をしながらテレビ放送を視聴する際に、テレビ放送の音声によって通話の音声が聞き取りにくくなることが防止された携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯端末は、テレビ視聴中に、着信を検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段により着信が検出された際、テレビ放送波に含まれる字幕情報を表示する表示制御手段と、前記第1の検出手段により着信が検出された際、テレビ放送波に含まれる音声情報の音声出力を無効に設定する音声制御手段と、前記第1の検出手段により着信が検出された際、テレビ視聴機能と併せて通話機能を実行する実行手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る携帯端末によると、ユーザが通話をしながらテレビ放送を視聴する際に、テレビ放送の音声によって通話の音声が聞き取りにくくなることが防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(A)は、本発明に係る携帯端末(携帯電話機)の閉じた状態を示す斜視図、(B)は、本発明に係る携帯端末(携帯電話機)の開いた状態を示す斜視図。
【図2】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)の機能を示すブロック図。
【図3】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)におけるテレビ視聴制御機能を実現するためのソフトウェア構成図。
【図4】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)がテレビ視聴制御処理を行う際の手順を示すフローチャート。
【図5】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)がテレビ視聴制御処理を行う際の手順を示すフローチャート。
【図6】(A)及び(B)は、本発明に係る携帯端末(携帯電話機)における通常のテレビ視聴画面を示す画面図、(C)及び(D)は、本発明に係る携帯端末(携帯電話機)において通話機能及びテレビ視聴機能を同時に起動しているときのテレビ視聴画面を示す画面図。
【図7】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)において、字幕情報を有する番組を視聴しているときに音声着信があった場合のテレビ視聴制御処理を行う際の手順を示すシーケンス図。
【図8】本発明に係る携帯端末(携帯電話機)において、字幕情報を有さない番組を視聴しているときに音声着信があった場合のテレビ視聴制御処理を行う際の手順を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る携帯端末の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本発明に係る携帯端末として、複数の筐体がスライド自在に結合されてなるスライド型の携帯電話機1を例に挙げて説明する。
【0012】
図1(A)は、携帯電話機1の閉じた状態を示す斜視図、図1(B)は、携帯電話機1の開いた状態を示す斜視図である。携帯電話機1は、図1(A)及び図1(B)に示すように、矩形の板状の上筐体10と、この上筐体10とほぼ同形状をした下筐体11とが、閉じた状態で、相互に一面を覆うように積層されることにより形成されている。これらの上筐体10及び下筐体11は、所定方向(例えば長手方向;図1のX方向)に相互に所定長さだけスライド可能なように結合されていて、上筐体10を下筐体11に対してスライドさせることにより、閉じた状態から開いた状態に、あるいは開いた状態から閉じた状態に変形する。
【0013】
上筐体10の外面(下筐体11に対面しない側の面)には、文字や画像等からなる画面を表示するためのディスプレイ12、音声を出力するためのスピーカ13、ユーザにより押下されることにより指示を入力する操作キー14が設けられている。操作キー14は、例えば、発呼を指示するための発呼キー、終話を指示するための終話キー、メール機能の起動を指示するためのメールキー、テレビ視聴機能の起動を指示するためのテレビキー、上下左右の方向を入力するための方向キー等である。
【0014】
これらのディスプレイ12、スピーカ13、及び操作キー14は、携帯電話機1が閉じた状態であっても開いた状態であっても外部に露出するように設けられている。よって、携帯電話機1が閉じた状態であっても開いた状態であっても、ユーザはディスプレイ12の画面を視認したり操作キー14を介して指示を入力したりすることができる。
【0015】
下筐体11の内面(上筐体10に対面する側の面)には、ユーザにより押下されることにより指示を入力する操作キー15、音声を集音するためのマイクロフォン16が設けられている。操作キー15は、例えば、数字や文字を入力するためのテンキー等である。
【0016】
これらの操作キー15やマイクロフォン16は、携帯電話機1が閉じた状態のときには、上筐体10により覆われていて外部に露出していないが、上筐体10を下筐体11に対してスライドさせて開いた状態に変形させたときには、外部に露出される。よって、携帯電話機1が開いた状態のときには、ユーザは操作キー15を介して指示を入力することができるが、携帯電話機1が閉じた状態のときには、ユーザは操作キー15を介して指示を入力することができない。よってユーザは、携帯電話機1を開いた状態に変形させてから操作キー15を用いて指示を入力する。
【0017】
下筐体11の側面には、ユーザにより押下されることにより指示を入力するサイドキー17が設けられている。これらのサイドキー17は、携帯電話機1が閉じた状態であっても開いた状態であっても外部に露出するように設けられている。よって、携帯電話機1が閉じた状態であっても開いた状態であっても、ユーザはサイドキー17を介して指示を入力することができる。
【0018】
次に、携帯電話機1の機能について、図2に示すブロック図を用いて説明する。携帯電話機1は、図2に示すように、主制御部20、電源回路部21、表示制御部22、記憶部23、外部メモリ接続部24、音声制御部25、通信制御部26、テレビ受信部27、映像再生制御部28、及び近距離無線通信制御部29を備えていて、これらはバスBによって相互に通信可能に接続されている。
【0019】
主制御部20は、様々なデータ処理や演算を行うCPU(Central Processing Unit)を具備し、携帯電話機1の総括的な制御を行うとともに、後述するメール作成処理やテレビ視聴処理等や、その他の様々な処理を行う。また主制御部20は、操作キー14、15、サイドキー17に対する入力インタフェースを備え、操作キー14、15、サイドキー17のうちのいずれかのキーが押下された際に、この押下されたキーに対応付けられた様々な処理を行う。さらに主制御部20は、例えばRTC(Real Time Clock)回路を用いて計時する内蔵時計を備えていて、現在時刻を常時計時している。
【0020】
電源回路部21は、ユーザによる操作キー14、15を介した入力に基づいて電源のON/OFF状態を切り替え、電源がON状態の場合には電力供給源(バッテリ等)から各部に対して電力を供給して、携帯電話機1を動作可能にする。表示制御部22は、ディスプレイ12の表示インタフェースを備え、主制御部20の制御に基づいて、テレビ視聴画面や通話画面等の様々な表示画面をディスプレイ12に表示する。
【0021】
記憶部23は、主制御部20が処理を行う際に使用するデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、主制御部20が行う処理の処理プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記憶装置を具備する。主制御部20が後述する録画制御処理や録画番組リスト表示処理等を行う際の処理プログラムは、例えばROMに記憶されている。
【0022】
外部メモリ接続部24は、例えばSD(登録商標)カードやUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の外部メモリMに対する入出力インタフェースを備え、外部メモリMが携帯電話機1に電気的に接続された際に、この外部メモリMに対してデータの書き込み処理や読み込み処理を行う。
【0023】
音声制御部25は、主制御部20の制御に基づいて、マイクロフォン16で集音した音声からアナログ音声信号を生成し、このアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。また音声制御部25は、デジタル音声信号を取得すると、主制御部20の制御に基づいて、このデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、スピーカ13から音声として出力する。
【0024】
通信制御部26は、主制御部20の制御に基づいて、アンテナ26aを介して受信した受信信号をスペクトラム逆拡散処理してデータを復元する。このデータは、主制御部20の指示により、ディスプレイ12に表示されたり記憶部23に記録されたりする。また通信制御部26は、主制御部20の制御に基づいて、操作キー14、15を介して入力されたデータや記憶部23に記憶されたデータに対してスペクトラム拡散処理を行い、アンテナ26aを介して送信する。
【0025】
地デジ受信部27は、チューナ27a、復調部27c、TSデコーダ27d、字幕デコーダ28eを備えている。チューナ27aは、地上波デジタルテレビ放送の放送局(図示せず)から放送された地上波デジタルテレビ放送(地上波デジタルワンセグ放送も含む)の変調波aを、アンテナ27bを介して受信する。復調部27cは、チューナ27aが受信した変調波aを取得して復調し、地上波デジタルテレビ放送の符号化映像情報bを生成する。TSデコーダ27dは、復調部27cが生成した符号化映像情報bを取得して復号し、符号化映像情報bのうちの音声情報cを音声制御部25または記憶部23へ伝送するとともに、符号化映像情報bのうちの動画像情報dを映像再生制御部28または記憶部23に、符号化映像情報bのうちの文字情報eを字幕デコーダ27eまたは記憶部23に伝送する。
【0026】
音声情報cを受信した音声制御部25は、この音声情報cをスピーカ13から音声として出力する。動画像情報dを受信した映像再生制御部28は、この動画像情報dを表示制御部22を介してディスプレイ12に表示する。文字情報eを受信した字幕デコーダ27eは、この文字情報eから字幕情報fを生成して、表示制御部22または記憶部23に伝送する。
【0027】
映像再生制御部28は、地デジ受信部27により受信された地上波デジタルテレビ放送の動画像情報dや記憶部23に記憶されている動画像情報dを取得すると、これらの動画像情報dを表示制御部22を介してディスプレイ12に表示する。また映像再生制御部28は、主制御部20の制御に基づいて、ディスプレイ12に表示されている画面を静止画像ファイル(キャプチャ画像)gとして記憶部26に記憶する(キャプチャする)。
【0028】
近距離無線通信制御部29は、携帯電話機1から所定距離内にある通信端末と電波をやり取りするアンテナ29aを備えていて、このアンテナ29aを介して、他の通信機器に対して無線通信を行う。すなわち、近距離無線通信制御部29は、主制御部20の制御に基づいて、アンテナ29aを介して他の通信機器から受信した受信信号をスペクトラム逆拡散処理してデータを復元する。また、近距離無線通信制御部29は、主制御部20の制御に基づいて、例えば記憶部29に記憶されたデータ等に対してスペクトラム拡散処理を行い、他の通信機器に対してアンテナ29aを介して送信する。
【0029】
近距離無線通信制御部29により通信可能な他の通信機器は、例えば音声信号を送受信したり音声を入出力したりするヘッドセット等である。携帯電話機1が所定距離内にあるヘッドセット(例えばユーザが装着したヘッドセット)に対して音声信号を送信してヘッドセットが有するスピーカから音声を出力させることにより、ユーザはヘッドセットを介して携帯電話機1の音声を聞くことができるとともに、ヘッドセットが有するマイクロフォンから入力された音声の音声信号が携帯電話機1に送信されることにより、ユーザはヘッドセットを介して携帯電話機1に音声を入力することができる。
【0030】
図3は、携帯電話機1においてテレビ視聴中に音声通話が割り込んだ場合に、主制御部20がテレビ視聴制御処理を実行するためのソフトウェア構成を示す構成図である。携帯電話機1は、アプリケーションプログラムを実装するためのソフトウェア部品を備えたフレームワーク30を有していて、このフレームワーク30上に、全てのアプリケーションプログラムの起動や終了、スタックを管理するためのアプリマネージャ31、ユーザに対してテレビ機能のユーザインタフェースを提供するとともにテレビ視聴処理や録画処理、再生処理を行うアプリケーションプログラムであるワンセグアプリ32、ユーザに対して通話機能のユーザインタフェースを提供するとともに通話処理を制御するためのアプリケーションプログラムである通話アプリ33を有している。
【0031】
また、携帯電話機1は、フレームワーク30の下に、コンピュータを制御してアプリケーションプログラムやミドルウェア等のコンピュータ資源をアプリケーションプログラムで利用可能にするオペレーティングシステム34を有しているとともに、携帯電話機1の装置本体や、ヘッドセットなどの本体に接続される外部装置の状態を管理するミドルウェアであるデバイス管理ミドルウェア35、ワンセグアプリ32とオペレーティングシステム34との中間に位置してオペレーティングシステム34からワンセグアプリ32にテレビ機能を提供するミドルウェアであるワンセグミドルウェア36、通話アプリ33とオペレーティングシステム34との中間に位置してオペレーティングシステム34から通話アプリ33に通話機能を提供するミドルウェアである通話ミドルウェア37を有している。
【0032】
また、携帯電話機1は、オペレーティングシステム34の下に、ハードウェア39を制御し、アプリケーションプログラムやミドルウェアに対して抽象化されたインタフェースを提供するデバイスドライバ38を有し、デバイスドライバ38の下に、携帯電話機1の物理的な構成要素であるハードウェア39を有する。
【0033】
携帯電話機1が受信する地上波デジタルテレビ放送波には字幕情報が含まれている場合が多々あり、携帯電話機1では、ユーザ設定により、テレビ視聴中に字幕情報をディスプレイ12に表示するか否かの設定を切替えることができるようになっている。さらに、携帯電話機1は、テレビ視聴を行っている最中に音声着信が発生した場合に、テレビ放送の音声を無音声に設定するとともに、ディスプレイ12に字幕情報を表示するテレビ視聴制御機能を備えている。なお、携帯電話機1は、通話終了後に音声着信前の視聴状態に戻す。
【0034】
携帯電話機1が、テレビ視聴中に音声着信が発生した場合に、このテレビ視聴制御処理を行う際の手順を、図4及び図5に示すフローチャート、図6に示す画面遷移図、図7及び図8に示すシーケンス図に基づいて説明する。なお、図7は、携帯電話機1にて視聴中の番組が字幕情報を有していた場合のシーケンス図であり、図8は、携帯電話機1にて視聴中の番組が字幕情報を有していなかった場合のシーケンス図である。以下、例えば「ステップS101」を「S101」のように、「ステップ」の語句を省略して説明する。
【0035】
始めに、携帯電話機1はテレビ視聴処理を行っているものとする。このとき、ディスプレイ12の表示画面40には、例えば図6(A)に示すように、テレビ放送の映像が表示される番組情報表示欄41、または、例えば図6(B)に示すように、テレビ放送の映像及び文字情報が表示される番組情報表示欄41aが表示されている。
【0036】
この状態で、主制御部20は、携帯電話機1に音声着信が発生したか否かを判断する(S101)。この際、主制御部20は、通話ミドルウェア37が着信信号を検知したことに基づいて、音声着信があったものと判断する。音声着信が発生していない場合(S101のNo)は、主制御部20は音声着信が発生するまで待機する。
【0037】
図7及び図8に示すように、携帯電話機1に音声着信が発生した場合に、通話ミドルウェア37はアプリマネージャ31に対して、テレビ視聴中であるか(ワンセグアプリが最前面(最上位)であるかどうかの問い合わせを行い(S301)、アプリマネージャ31は、テレビ視聴中であるかどうかを示す信号を通話ミドルウェア37に返信する(S302)。通話ミドルウェア37は、音声着信が発生したときにテレビ視聴中でなかった場合には、着信音や振動によりユーザに対してこの音声着信を通知する等、通常通りの音声着信処理を行う。そして、音声着信が発生したときにテレビ視聴中であった場合に、以下のテレビ視聴制御処理を行う。
【0038】
携帯電話機1に音声着信が発生した場合(S101のYes)は、主制御部20は、携帯電話機1でヘッドセットが使用されているか否かを判断する(S103)。ユーザは、ヘッドセットを使用することによって、携帯電話機1を耳に当てなくとも通話を行うことができる。よってユーザがヘッドセットを使用している場合には、携帯電話機1でテレビ視聴と通話との双方を同時に行うことができるから、主制御部20は、テレビ放送の音声出力を字幕表示に切り替えて、テレビ視聴中に通話処理を開始する。
【0039】
このとき、図7及び図8に示すように、通話ミドルウェア37がデバイス管理ミドルウェア35に対してヘッドセットが使用中であるかどうかの問い合わせを行い(S303)、デバイス管理ミドルウェア35は、ヘッドセットが使用中であるかどうかを示す信号を通話ミドルウェア37に返信する(S304)。
【0040】
ヘッドセットが使用されている場合(S103のYes)は、主制御部20は、音声の代わりに字幕情報に切り替えるために、視聴中の番組が字幕情報を含んでいるか否かを判断する(S105)。この際、主制御部20は、字幕のありなしについて、地上デジタルテレビ放送波に含まれるPMT(Program Map Table)内にあるパラメータ(stream_type)により判定する。
【0041】
テレビ視聴機能で視聴中の番組が字幕情報を含んでいる場合(S105のYes)は、主制御部20は、字幕設定において、字幕情報ありに設定する(S107)。このとき、通話ミドルウェア37はワンセグミドルウェア36に対して、「字幕表示あり」に設定するように要求する(S305)。ワンセグミドルウェア36は、テレビ視聴機能において「字幕表示あり」に設定する(S306)。
【0042】
これにより、ディスプレイ12には番組の映像とともに字幕情報が表示される。このとき、ディスプレイ12の表示画面40には、例えば図6(C)に示すように、映像が表示される番組情報表示欄42、通話情報が表示される通話情報表示欄43が表示されるとともに、番組情報表示欄42には字幕情報44が表示される。または、ディスプレイ12の表示画面40には、例えば図6(D)に示すように、映像が表示される番組情報表示欄42a、通話情報が表示される通話情報表示欄43aが表示されるとともに、番組情報表示欄42aには字幕情報44aが表示される。通話情報は、例えば通話相手に関する情報、通話時間等を含んでいる。
【0043】
また主制御部20は、現在の設定情報を記憶部23に記憶する(S109)。このとき、ワンセグミドルウェア36がワンセグアプリ32に対して、「字幕表示あり」に設定したことを示す信号を送信し(S307)、この信号を受信したワンセグアプリ32が、設定情報を記憶部34に記憶する(S308)。記憶される設定情報は、音量情報、字幕設定情報、表示レイアウト情報等である。これらの記憶された設定情報は、通話処理が終了されたときにテレビ視聴機能を再設定するために使用される。
【0044】
主制御部20は、音量設定を消音に設定する(S111)。このとき、ワンセグミドルウェア36は、テレビ視聴機能の音量を消音に設定して音声を無効にする(S309)。そしてワンセグミドルウェア36は、通話ミドルウェア37に「字幕表示あり」の設定が完了した旨を示す応答を返す(S310)。
【0045】
そして主制御部20は、テレビ視聴機能を下位で実行する(S113)。すなわち主制御部20は、通話機能を上位で実行してその下でテレビ視聴機能を実行する。このとき、通話ミドルウェア37がアプリマネージャ31に対して、通話アプリの割り込み起動(“ワンセグ見ながらモード”)を要求するための信号を送信する(S311)。信号を受信したアプリマネージャ31は、ワンセグアプリ32に対してテレビ視聴機能を中断を指示するための信号を送信して(S312)、ワンセグアプリ32は、テレビ視聴機能を中断する(下位で実行する)とともに、中断した旨を示す信号をアプリマネージャ31に送信する(S313)。なお、“ワンセグ見ながらモード”は、半画面表示モードや画面未使用モードなど、テレビ視聴画面を隠さないような動作モードであり、予め設定されている。
【0046】
主制御部20は、通話機能を上位で実行して携帯電話機1を着信状態に移行させて、ユーザに対して音声や振動によりこの着信を通知する(S115)。このとき、アプリマネージャ31が通話アプリ33に対して、通話機能の起動を指示するための信号を送信して(S314)、信号を受信した通話アプリ33は、通話機能を起動する。
【0047】
次に、主制御部20は、着信状態が終了されたか否かを判断する(S117)。この際、主制御部20は、着信相手から着信が解除された場合や、携帯電話機1における通話処理が終了された場合に、着信状態が終了されたものと判断する。着信状態が終了されていない場合(S117のNo)は、主制御部20は着信状態が終了するまで待機する。なお、このS117においては、着信状態が終了されたか否かの判断にかえて、「着信状態またはその後の通話状態が終了されたか?」という判断であってもよい。つまり、ユーザが着信に出ずに着信状態が終了したか、またはユーザが着信に出て通話が開始され、その通話が終了したかが判断されるようにしてもよい。
【0048】
着信状態(または通話状態)が終了された場合(S117のYes)は、主制御部20は、通話機能を終了する(S119)。このとき、通話アプリ33は、通話機能が終了されると、アプリマネージャ31に対して通話機能が終了された旨を示す信号を送信する(S315)。信号を受信したアプリマネージャ31は、ワンセグアプリ32に対してテレビ視聴機能の再開を要求するため信号を送信する(S316)。
【0049】
主制御部20は、ステップS109にて記憶した設定情報に基づいて、テレビ視聴機能の設定を元に戻す(S121)。このとき、ワンセグアプリ32は、ステップS109(S308)にて記憶した情報に基づいて、ワンセグミドルウェア36にテレビ視聴機能の設定を要求するための信号を送信する(S317)。信号を受信したワンセグミドルウェア36は、受信した設定情報に基づいてテレビ視聴機能の設定を元に戻す(S318)。このとき主制御部20は、テレビ視聴機能に対して、ステップS101にて音声着信が発生する前の音量、字幕表示、表示レイアウトに設定する。そして主制御部20は、テレビ視聴機能を上位で実行する(S123)。
【0050】
音声着信が発生したときにヘッドセットが使用されていなかった場合(S103のNo)、またはテレビ視聴機能で視聴中の番組が字幕情報を有していなかった場合(S105のNo)は、主制御部20は、テレビ視聴機能と通話機能とを同時に実行できないため、テレビ録画機能を下位で実行する(S201)。このときワンセグミドルウェア36は、視聴していた番組の録画(タイムシフト録画)を開始する(S401)。
【0051】
主制御部20は、テレビ視聴機能の設定情報を記憶部23に記憶する(S203)。このとき主制御部20は、設定情報として音量情報を記憶する。また、ワンセグミドルウェア36がワンセグアプリ32に対して、タイムシフト録画を開始したことを示す信号を送信し(S402)、この信号を受信したワンセグアプリ32が、設定情報を記憶部34に記憶する(S403)。記憶される設定情報は、音量情報等である。これらの記憶された設定情報は、通話処理が終了された際にテレビ視聴機能を再設定するために使用される。
【0052】
主制御部20は、テレビ視聴機能の音量を消音に設定する(S205)。このとき、ワンセグミドルウェア36は、テレビ視聴機能の音量を消音に設定して音声を無効にする(S404)。そしてワンセグミドルウェア36は、音声を無効にした旨を示す信号を通話ミドルウェア37に対して返信する(S405)。
【0053】
そして主制御部20は、テレビ視聴機能を中断する(S207)。このとき、通話ミドルウェア37がアプリマネージャ31に対して、通話アプリの割り込み起動(“通常モード”)を要求するための信号を送信する(S406)。信号を受信したアプリマネージャ31は、ワンセグアプリ32に対してテレビ視聴機能を中断を指示するための信号を送信して(S407)、ワンセグアプリ32は、テレビ視聴機能を中断する(下位で実行する)とともに、中断した旨を示す信号をアプリマネージャ31に送信する(S408)。
【0054】
そして主制御部20は、通話機能を上位で実行して携帯電話機1を着信状態に移行させて、ユーザに対して音声や振動によりこの着信を通知する(S209)。このとき、アプリマネージャ31が通話アプリ33に対して、通話機能の起動を指示するための信号を送信して(S409)、信号を受信した通話アプリ33は、通話機能を起動する。このとき主制御部20は、通話機能を最上位で実行する。
【0055】
主制御部20は、着信状態が終了されたか否かを判断する(S211)。この際、主制御部20は、着信相手から着信が解除された場合や、携帯電話機1における通話処理が終了された場合に、着信状態が終了されたものと判断する。着信状態が終了されていない場合(S211のNo)は、主制御部20は着信状態が終了するまで待機する。なお、ステップS211においても、S117と同様、着信状態が終了されたか否かの判断にかえて、「着信状態またはその後の通話状態が終了されたか?」という判断であってもよい。つまり、ユーザが着信に出ずに着信状態が終了したか、またはユーザが着信に出て通話に入り、その通話が終了したかが判断されるようにしてもよい。
【0056】
着信(又は通話)状態が終了された場合(S211のYes)は、主制御部20は、通話機能を終了する(S213)。このとき、通話アプリ33は、通話機能が終了されると、アプリマネージャ31に対して通話機能が終了された旨を示す信号を送信する(S410)。信号を受信したアプリマネージャ31は、ワンセグアプリ32に対してタイムシフト録画&再生の開始を要求するため信号を送信する(S411)。
【0057】
主制御部20は、ステップS201にて記憶した設定情報に基づいて、テレビ視聴機能の設定を元に戻す(S215)。このとき、ワンセグアプリ32は、ステップS203(S403)にて記憶した情報に基づいて、ワンセグミドルウェア36にテレビ視聴機能の設定を要求するための信号を送信する(S412)。信号を受信したワンセグミドルウェア36は、受信した設定情報に基づいてテレビ視聴機能の設定を元に戻す(S413)。このとき主制御部20は、テレビ視聴機能に対して、ステップS101にて音声着信が発生する前の音量に設定する。
【0058】
そして主制御部20は、テレビ録画再生機能を上位で実行する(S217)。このとき主制御部20は、録画処理と再生処理とを同時に行うタイムシフト録画を行う。このとき、ワンセグミドルウェア36は、ステップS201(S401)にて開始された録画処理を継続しつつ、ステップS201にて録画されたテレビ番組を先頭から再生する(S414)。
【0059】
このようにして携帯電話機1は、テレビ視聴中に音声着信が発生したときに、ユーザがヘッドセットを利用していた場合には、テレビ放送の音声を無音声に設定するとともに字幕を表示して、着信状態に移行する。そして携帯電話機1は、着信状態が終了したときに、音声や字幕の設定を着信前の状態に戻す。これにより、ユーザは通話の音声に邪魔されることなく、携帯電話機1でテレビ視聴を継続することができる。
【0060】
また、携帯電話機1は、テレビ視聴中に音声着信が発生したときに、視聴中のテレビ放送が字幕情報を含んでいなかった場合や、ユーザがヘッドセットを利用していなかった場合には、テレビ放送の録画を開始してから着信状態に移行する。そして携帯電話機1は、着信状態が終了したときに、録画されたテレビ番組を再生しつつ、録画を継続する。すなわち、視聴しているテレビ番組が字幕情報を有さない場合、タイムシフト録画を動作させるようにする。
【0061】
なお、テレビ視聴時の音声着信時の画面の構成をユーザが設定できるようにし、ユーザのニーズに合わせてカスタマイズするようにしても良い(例えば、上半分にワンセグ画面、下半分に着信画面を表示するなど)。
【0062】
また、実施形態として、携帯電話機1にて視聴中のテレビ放送が字幕情報を含んでいるか否かに基づいて、テレビ放送の音声を字幕表示に切換えるかタイムシフト録画を開始するかを決定する例について説明したが、これに限定せず、ユーザ設定に基づいて、テレビ放送の音声を字幕表示に切り替えたりタイムシフト録画を開始したりしても良い。
【0063】
また、実施形態として、音声着信が発生したときの動作を説明したが、音声着信状態に限定されず、メール着信状態、テレビ電話着信(通話)状態、アラーム発生状態に適用しても良い。その際には、通話アプリ33の機能がそれぞれメールアプリ、テレビ電話アプリ、アラームアプリにそれぞれ置き換わればよい。
【0064】
本発明に係る携帯端末(携帯電話機1)によると、ユーザが通話をしながらテレビ放送を視聴する際に、テレビ放送の音声によって通話の音声が聞き取りにくくなることを防止することが可能となる。
【0065】
本発明の説明として、携帯電話機1について説明したが、これに限らず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯ゲーム機、携帯テレビ等、テレビ視聴機能及び通話機能を備えた携帯端末であれば、任意の携帯端末であって良い。
【符号の説明】
【0066】
1…携帯電話機,10…上筐体,11…下筐体,12…ディスプレイ,13…スピーカ,14、15…操作キー,16…マイクロフォン,17…サイドキー,20…主制御部,21…電源回路部,22…表示制御部,23…記憶部,24…外部メモリ接続部,25…音声制御部,26…通信制御部,26a…アンテナ,27…テレビ受信部,27a…チューナ,27b…アンテナ,27c…復調部,27d…TSデコーダ,27e…字幕デコーダ,28…映像再生制御部,29…近距離通信制御部,29a…アンテナ,30…フレームワーク,31…アプリマネージャ,32…ワンセグアプリ,33…通話アプリ,34…オペレーティングシステム,35…デバイス管理ミドルウェア,36…ワンセグミドルウェア,37…通話ミドルウェア,38…デバイスドライバ,39…ハードウェア,40…表示画面,41、41a、42、42a…番組情報表示欄,43、43a…通話情報表示欄。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ視聴中に、着信を検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段により着信が検出された際、テレビ放送波に含まれる字幕情報を表示する表示制御手段と、
前記第1の検出手段により着信が検出された際、テレビ放送波に含まれる音声情報の音声出力を無効に設定する音声制御手段と、
前記第1の検出手段により着信が検出された際、テレビ視聴機能と併せて通話機能を実行する実行手段と
を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記第1の検出手段により検出された着信又は通話の終了を検出する第2の検出手段を備え、
前記第2の検出手段により着信又は通話の終了が検出された際に、前記表示制御手段は字幕情報の表示を終了し、前記音声制御手段はテレビ放送波に含まれる音声情報の音声出力を有効に設定することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記音声制御手段は、前記携帯端末にヘッドセットが接続されていた場合、着信に含まれる音声出力をこのヘッドセットに出力することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項4】
前記第1の検出手段により着信が検出された際、テレビ放送が字幕情報を含んでいなかった場合、テレビ放送の録画を開始する録画手段と、
前記第2の検出手段により着信又は通話の終了が検出された際、前記録画手段により録画された映像を再生する再生手段と
を備えたことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項5】
前記第1の検出手段により着信が検出された際、前記携帯端末にヘッドセットが接続されていない場合、テレビ放送の録画を開始する録画手段と、
前記第2の検出手段により着信又は通話の終了が検出された際、前記録画手段により録画された映像を再生する再生手段と
を備えたことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−161472(P2010−161472A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−916(P2009−916)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】