説明

携帯表示機器、およびプログラム

【課題】現在位置を基準にして地図を表示する際に、現在自分が地図上のどの建物内に居て、その建物内の何階に居るのかまでを地図上において直ちに確認できるようにすること。
【解決手段】ユーザが携帯電話機3を操作すると、携帯電話機3は現在位置の緯度・経度・高さを検出し、地図情報提供サービスサーバ200に緯度・経度を送信する。地図情報提供サービスサーバ200は携帯電話機3から緯度・経度を受信すると、緯度・経度に対応した海抜データを海抜データベース26bから検索するとともに、その緯度・経度を中心にした地図の画像を生成する。地図情報提供サービスサーバ200は海抜データと地図の画像を携帯電話機3に送信する。携帯電話機3は、検出した高さ、階高、海抜データから階数を演算し、地図の画像とともに階数を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面上に地図を表示可能な携帯表示機器、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、データ通信機能等を搭載したモバイルパソコン、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話機等の携帯型情報端末が急速に普及している。データ通信機能を利用した携帯型情報端末として、現在位置を中心とした地図を表示する携帯型情報端末が開発されている(例えば、特許文献1参照)。このような携帯型情報端末はGPS受信機を内蔵し、このGPS受信機により得た現在位置を含む地図の画像を外部の地図データベースサーバからダウンロードして、ダウンロードした地図の画像を表示するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−159537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の携帯型情報端末では、ユーザが携帯型情報端末を持ってビル内にいる場合、ユーザがその携帯型情報端末で地図の画像を表示させても、そのビルの何階であるかをその携帯型情報端末から把握することができない。
【0005】
本発明は、現在位置を基準にして地図を表示する際に、現在自分が地図上のどの建物内に居て、その建物内の何階に居るのかを地図上において直ちに確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、表示画面上に地図を表示可能な携帯表示機器であって、現在位置を取得する位置取得手段と、前記位置取得手段で取得した前記現在位置を含む周辺地図情報を取得する地図取得手段と、当該携帯表示機器が建物内に所在する場合において、当該建物内における前記現在位置での所在階数を取得する階数取得手段と、建物内において現在位置を含む地図を表示する際は、前記地図取得手段で取得した周辺地図情報に基づいて現在位置周辺の地図を前記表示画面上に表示し、当該地図上において前記現在位置をマーク表示により識別表示すると共に、前記階数取得手段で取得した所在階数を前記マーク表示位置に対応づけて前記地図内において識別表示する表示制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、現在位置を基準にして地図を表示する際に、現在所在する位置が建物内である場合には、現在所在する位置を上記地図上においてマークにより識別表示するだけでなく、当該建物内における現在所在の階数を上記地図上の上記マーク表示位置に対応づけて表示するようにしたので、表示される地図を見るだけで、現在自分が地図上のどの建物内に居るのかが分かるだけでなく、その建物内の何階の場所に居るのかまでを表示される地図上において直ちに確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明が適用された地図表示システムの構成を示したブロック図である。
【図2】図1に示された地図表示システム(地図情報提供サーバ)の構成を示したブロック図である。
【図3】図1に示された携帯電話の構成を示したブロック図である。
【図4】図3に示された階高データテーブルのデータ構成を示した図面である。
【図5】前記携帯電話が実行する処理の流れを示したフローチャートである。
【図6】前記地図情報提供サーバが実行する処理の流れを示したフローチャートである。
【図7】図5の処理の続きを示したフローチャートである。
【図8】前記携帯電話の表示画面を示した図面である。
【図9】第二実施形態において建物を示した側断面図である。
【図10】第二実施形態において携帯電話の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
〔第一の実施の形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による情報提供システム1(地図表示システム)の構成を示すブロック図である。
地図情報提供サービスシステム2(サーバ)は、地図情報DB(データベース)26と、地図情報提供サービスサーバ200とで構成され、ネットワーク4を介して位置情報(住所または緯度経度)を受信すると、該位置情報で示される場所を中心とした所定のスケールの地図情報を携帯電話機3(携帯機器)に提供する。
【0011】
ネットワーク4は、電話回線網、ISDN回線網、専用線、移動体通信網、通信衛星回線、CATV回線網等の各種通信回線を含む。ネットワーク4は、インターネットのようにオープンなネットワークであっても良いし、LANのように閉ざされたネットワークであっても良い。また、ネットワーク4は、任意な時に接続が可能であれば良く、常時接続されている必要はない。また、ネットワーク4は、情報管理の信頼性の観点から、特定のユーザのみアクセス可能なセキュリティを確保しているネットワークであることが望ましい。なお、携帯電話機3と地図情報提供サービスサーバ200とが通信するための通信プロトコルは特に限定されないが、ここでは通信プロトコルがHTTPであり、地図情報提供サービスサーバ200がWWWサーバとしての機能を有し、携帯電話機3はブラウザ機能を有している。
【0012】
通信サービス業者サーバ8は、通信サービス業者により運用されるサーバであり、無線基地局6、中継基地局7などを介して、携帯電話機3からのネットワーク4へのアクセス要求に応じてインターネット接続サービスを提供する。特に、本実施形態では、通信サービス業者サーバ8は、携帯電話機3と上述した地図情報提供サービスサーバ200との間における情報授受を制御する。また、携帯電話機3は、人工衛星5からの情報と周辺の無線基地局6からの情報とを無線信号にて受信することで自身の位置情報(緯度経度)を取得するGPS機能を有する。
【0013】
次に、図2を用いて地図情報提供サービスシステム2について説明する。図2は、地図情報提供サービスサーバ200を中心とした構成の機能ブロック図である。図2に示すように、地図情報提供サービスサーバ200は、CPU21と、RAM22と、入力部23と、通信制御部24と、プログラム記憶部25と、地図情報DB26と、表示部27と、これらをデータ入出力可能に接続したバス28と、を具備する。
【0014】
プログラム記憶部25はシステムプログラムを予め記憶した記憶媒体を有しており、この記憶媒体は磁気的記憶媒体、光学的記憶媒体又は半導体メモリから構成されている。プログラム記憶部25の記憶媒体に記憶されたシステムプログラムは、CPU21にとって実行可能なプログラムである。なお、プログラム記憶部25に記憶するシステムプログラムは、その一部又は全部を他のコンピュータから通信制御部24で受信して記憶する構成にしても良い。
CPU21は、プログラム記憶部25からシステムプログラムを読み出して実行し、サーバ全体の駆動制御をするように構成されている。
RAM22は、CPU21に作業領域を提供するものであり、システムプログラムに従ってCPU21が実行した処理により生成されたデータ、CPU21が読み出したデータ等を一時的に記憶するように構成されている。
【0015】
入力部23は、カーソルキー、文字・数字の入力キー及び各種機能キーを備えたキーボード等から構成され、このキーボードで操作されたキーに対応した信号を、バス28を通じてCPU21に出力するように構成されている。なお、入力部23は、必要に応じてマウス、タッチパネル等のポインティングデバイスや、その他の入力装置を備えるものとしてもよい。
表示部27は、陰極管表示装置、液晶表示装置、その他の表示装置であり、CPU21からバス28を通じて入力した表示信号に従った表示を行うように構成されている。
通信制御部24は、CPU21の指示によってネットワーク4に対してデータの送受を行うように構成されている。
【0016】
地図情報DB26は記憶媒体を具備し、この記憶媒体は磁気的記憶媒体、光学的記憶媒体又は半導体メモリから構成されている。地図情報DB26は海抜データ記憶手段として機能し、地図情報DB26の記憶媒体には地図データベース26a及び海抜データベース26bが予め記憶されている。地図データベース26a及び海抜データベース26bは、CPU21にとって読取可能なデータベースである。
【0017】
地図データベース26aは、緯度経度で規定された複数のレイヤーを同緯度・同経度で重ね合わせた画像であり、例えば、第一のレイヤーには地形(例えば河川、陸、湖、海、海岸線)の画像が緯度経度で規定されており、第二のレイヤーには交通機関(例えば道路、線路)の画像が緯度経度で規定されており、第三のレイヤーにはオブジェクト(例えば建物、店舗、表札名称、学校、公園)が緯度経度で規定されている。
海抜データベース26bには、緯度経度で規定された海抜データが含まれている。海抜データとは、ある緯度経度における平均海面を基準とした地表の高さを表している。
プログラム記憶部25のシステムプログラムによってCPU21が海抜データ検索手段として機能し、CPU21は通信制御部24によって受信した携帯電話機3の緯度経度に対応する海抜データを海抜データベース26bから検索するように設けられている。
【0018】
次に携帯電話機3の機能構成について詳述する。図3は、携帯電話機3の構成を示すブロック図である。図において、送受信部36は、周波数変換部とモデムとから構成されている。送受信部36は、アンテナANT1を介して無線基地局6と無線通信をするために、電波の周波数変換および変復調を行うものである。通信制御部39は、所定の通信方式(例えば、CDMA(符号分割多重接続)等)に基づいた通信制御を行うものである。音声処理部40は、音声信号の符号化/復号化を行うものであり、通信制御部39からのPCM音声信号をD/A変換によりアナログ音声信号へ変換し、スピーカ41から発音させる一方、マイク42から入力されたアナログ音声信号をA/D変換によりPCM信号に変換し、通信制御部39へ送出する。入力部33は、相手先の電話番号を入力する数値キーや、オンフック/オフフックを行うスイッチ、音声出力を変えるボリュームスイッチ等から構成される。
【0019】
CPU31は、所定のプログラムに従って装置全体を制御する。具体的には、CPU31は、後述する位置検出部34により取得した位置情報(所在位置)を、上述した地図情報提供サービスサーバ200へ自動的に送信する一方、後述のプログラム記憶部37に予め記憶されている所定の端末用プログラムによって、演算手段として機能し、CPU31は位置検出部34により検出した現在の高さと、データ記憶部38に記憶された階高H1及び階高H2と、送受信部36、通信制御部39によって受信した海抜データとから階数を演算するようになっている。
【0020】
プログラム記憶部37には、上記CPU31で実行されるプログラムや種々のパラメータ等が格納されている。また、RAM32は、上記CPU31の制御に伴って生成されるデータを格納する格納領域と、ワーキングエリア等の領域とを備えている。
データ記憶部38はフラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性記憶媒体を具備する。データ記憶部38は階高記憶手段として機能するものであり、データ記憶部38の不揮発性記憶媒体には階高データテーブル38aが格納されている。例えば図4に示すように、階高データテーブル38aは、建物の規模(建物の種類)ごとに一階の階高H1及び二階以上の各階の階高H2が対応づけられたデータテーブルである。なお、階高データテーブル38aは、プログラム記憶部37の端末用プログラムに含まれていても良い。
【0021】
表示部35は、液晶表示器からなり、上記CPU31の制御の下、動作モードや、電話番号、通話時間等の各種データ、受信した地図データなどを表示する。位置検出部34は、米国国防省が打ち上げた測地衛星(NAVSTAR:現在は24個が地球を周回している)のうち、少なくとも4個程度(それ以下でもよいが精度が低下する)の測地衛星から発信する電波(1.22760G/1.57542GHz)と、周辺の無線基地局6から送信される補正情報とをGPSアンテナATN2により受信し、現在位置の緯度・経度(・高度)情報からなる位置情報を取得する。
【0022】
次に、図5〜図7を用いて地図情報提供サービスシステム2及び携帯電話機3の動作について説明する。ここで、図5及び図7は、携帯電話機3のCPU31がプログラム記憶部37に格納された端末用プログラムに従って実行する処理の流れを示した図面である。図6は、地図情報提供サービスサーバ200のCPU21がプログラム記憶部25に格納されたシステムプログラムに従って実行する処理の流れを示した図面である。
【0023】
まず、携帯電話機3のCPU31は、図5に示した海抜データ及び地図画像の取得処理を行う。この処理は、ユーザが携帯電話機3を用いて自分の現在位置を測定することで実行される。即ち、携帯電話機3の待機状態ではCPU31は入力部33が操作されたか否かを判断しており(ステップS1)、ユーザが入力部33を操作してGPSモードに移行する旨を入力すると、CPU31はその旨を検知して入力部33から入力し(ステップS1:Yes)、GPSモードメニューを表示部35に表示させる(ステップS2)。
【0024】
そして、携帯電話機3は表示部35でGPSモードメニューを表示したまま待機状態となっており、CPU31は入力部33が操作されたか否かを判断している(ステップS3)。ユーザがGPSモードのメニュー画面に従って入力部33を操作して現在位置を取得する旨を入力すると、CPU31はその旨を検出する(ステップS3:Yes)。そして、CPU31は、位置検出部34を制御して位置検出部34で現在の緯度・経度・高さを取得し(ステップS4…取得手段、高さ検出手段)、現在の緯度・経度・高さをRAM32のワーキングエリア領域に一時記憶する。次いで、CPU31は、取得した現在の緯度・経度・高さを表示部35に表示させる(ステップS5)。
【0025】
そして、携帯電話機3は表示部35で現在の緯度・経度・高さを表示したまま待機状態となっており、CPU31は入力部33が操作されたか否かを判断している(ステップS6)。ユーザが表示画面に従って入力部33を操作して、ネットワーク4を介して地図情報提供サービスサーバ200に接続して現在位置を送信する旨を入力すると、CPU31はその旨を入力部33から検出し(ステップS6:Yes)、送受信部36、通信制御部39を制御して現在の緯度・経度・高さを送信する(ステップS7)。次いで、CPU31は、地図の画像及び海抜データを地図情報提供サービスサーバ200から受信したか否かを判定し(ステップS8)、地図の画像及び海抜データを受信し終わるまで受信処理を続ける(ステップS8:No)。
【0026】
一方、地図情報提供サービスサーバ200のCPU21は、携帯電話機3からその携帯電話機3の現在位置の緯度及び経度を通信制御部24で受信したら、図6に示した地図画像及び海抜データの提供処理を行う。即ち、CPU21は、上記ステップS7で携帯電話機3から送信された緯度・経度を受信すると(ステップS9:Yes)、受信した緯度・経度をほぼ中心にした所定範囲内の各レイヤーを地図データベース26aから読み出し、読み出した各レイヤーを重ね合わせて地図の画像を生成する(ステップS10)。次いで、CPU21は、受信した緯度・経度における海抜データを海抜データベース26bから検索して読み出す(ステップS11…海抜データ検索手段)。そして、CPU21は、通信制御部24を制御し、生成した地図の画像及び読み出した海抜データを通信制御部24で携帯電話機3に送信する(ステップS12…海抜データ送信手段)。そして、地図の画像及び海抜データの提供処理が終了する。
【0027】
そして、携帯電話機3においては、CPU31が送受信部36、通信制御部39で地図情報提供サービスサーバ200から地図の画像及び海抜データを受信したら(ステップS8:Yes…受信手段、海抜データ受信手段)、地図の画像及び海抜データをRAM32に記憶する(地図記憶手段)。
そして、海抜データ及び地図画像の取得処理が終了し、図7に示した地図画像表示処理が開始する。地図画像表示処理においては、まずCPU31は、受信した海抜データを検出した高さと照合する(ステップS13)。そして、CPU31は、ユーザに対して建物の種類を選択させるためのメニュー画面を表示部35に表示させる(ステップS14)。このメニュー画面では、建物の種類が複数表示されており(例えば、図4のようなデータテーブルの場合には「中小規模」、「大規模」が表示部35に表示される。)、ユーザがこれらの種類の中から選択できるようになっている。このメニュー画面を表示している最中、CPU31は所定時間経過するのを計時するとともにユーザにより入力部33が操作されたか否かを判断している(ステップS15、ステップS16)。
そして、ユーザが所定時間内に入力部33によって一種類を選択したら、CPU31はその旨を入力部33から検出し(ステップS15:Yes…入力手段)、選択された種類の建物についての一階の階高H1と二階以上の各階の階高H2を階高データテーブル38aから検索して読み出す(ステップS17)。一方、ユーザが建物の種類を所定時間内に選択しなかったら(ステップS16:Yes)、CPU31はデフォルトの一種類についての一階の階高H1と二階以上の各階の階高H2を階高データテーブル38aから検索して読み出す(ステップS18)。
【0028】
次いで、CPU31は読み出した階高H1・階高H2、受信した海抜データ及び検出した高さから現在の階数を演算する(ステップS19)。階数の演算に際しては、CPU31は次式(1)を用いて計算し、得られたNの自然数部分を階数とする。式(1)において、H0は受信した海抜データの値であり、H4は検出した高さの値である。
(H4−H0−H1)/H2+2=N … (1)
【0029】
次いで、CPU31は、受信した地図の画像をRAM32から読み出し(読出手段)、その読み出した地図の画像を表示部35に表示させるとともに、求めた階数を表示部35に表示させ(ステップS20)、CPU31による処理が終了する。図8は表示部35に表示される画面について示したものである。図8(a)、(b)ともに、表示画面内には地図の画像91が表示されているが、現在位置を表す星マーク92が地図の画像91のほぼ中央部に合成されて表示されている。図8(a)の画面では、階数を表す「○F」マーク93(○は求められた階数の数値)がCPU31によって星マーク92の周囲に合成され、その合成画像が表示部35に表示されている。一方、図8(b)の画面では、階数を表す「○F」マーク93がCPU31によって地図の画像91の外に配置され、地図の画像91とともに「○F」マーク93が表示部35に表示されている。
【0030】
なお、データ記憶部38には、建物の規模ごとに一階の階高H1及び二階以上の各階の階高H2が対応づけられ記憶されているが、建物の規模ごとに一階以上の各階の階高H6が対応づけられて記憶されていても良い。この場合において、上記ステップS19においてCPU31が以下の式(2)を用いてNを求め、Nの自然数部分を階数として求める。
(H4−H0)/H6+1=N … (2)
【0031】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザは、携帯電話機3により現在位置を検出することにより、現在位置を含む地図の画像を携帯電話機3の表示部35に表示させることができる。ここで、表示部35には地図とともに階数が表示されるから、ユーザがビル等の建物内で現在位置を携帯電話機3検出すれば、その建物の何階であるかを携帯電話機3から把握することができる。
【0032】
特に、携帯電話機3が現在の階数を演算するに際して現在位置の海抜データを地図情報提供サービスサーバ200から受信し、その海抜データを現在の高さから差し引いてから建物の階数を演算しているため、表示部35に表示される階数がより正確なものである。
また、携帯電話機3が現在の階数を演算するに際してユーザの操作に従った建物の規模(建物の種類)を入力部33から入力し、ユーザによって選択された種類に応じた階高H1、階高H2に基づき建物の階数を演算しているため、表示部35に表示される階数がより正確なものとなる。
【0033】
〔第二の実施の形態〕
第一実施形態では、携帯電話機3が地図情報提供サービスサーバ200から海抜データH0を受信し(ステップS8)、海抜データH0、階高H1、階高H2及び高さH4から階数を算出している。それに対して第二実施形態では、携帯電話機3が建物の一階の高さを検出し、その検出した一階の高さ、階高H1、階高H2及び高さH4から階数を算出するようになっている。
【0034】
詳細に説明すると、携帯電話機3が建物の一階の高さを検出できるように、図9に示すように建物101の一階の入口102に無線基地局103が設置されており、図10に示すように無線基地局103と通信できる第二通信モジュール50が携帯電話機3に内蔵されている。
無線基地局103はトランシーバ、制御回路等を具備し、例えばBluetooth(登録商標)規格やICタグ等の近接無線通信規格に従った無線通信を行うものであり、周囲にある携帯電話機3に対して現在位置の測定を催促する旨の無線信号を送信するように構成されている。
第二通信モジュール50もトランシーバ、制御回路等を具備し、例えばBluetooth規格やICタグ等の近接無線通信規格に従った無線通信を行うものであり、受信した無線信号をCPU31に出力するように構成されている。
携帯電話機3は第二通信モジュール50を具備したことを除いては第一実施形態の場合と同様に構成されている。また、地図情報提供サービスサーバ200は第一実施形態の場合と同様に構成されているが、データ記憶部26に海抜データベース26bが記憶されていなくても良い。
【0035】
以下に第二実施形態における地図情報提供サービスサーバ200、携帯電話機3の動作を説明するが、第二実施形態に特徴的な動作を主に説明し、第一実施形態における処理と同じ処理については簡略して説明する。
携帯電話機3を持ったユーザが入口102から建物101内に入ると、無線基地局103から携帯電話機3に無線信号が送信される。携帯電話機3が第二通信モジュール50で無線基地局103から無線信号を受信すると、第二通信モジュール50から無線信号をCPU31に出力される。
これにより、CPU31が、位置検出部34を制御して位置検出部34で現在位置を取得し、現在位置の高さをRAM22に一次記憶する。ここでRAM22に記憶された高さが建物101の一階の高さであり、以下では高さH5と示す。
その後、携帯電話機3のCPU31は図5に示した処理を行う。CPU31の処理中にユーザが建物101の中で現在位置取得の旨を入力すると、CPU31が位置検出部34で現在の緯度・経度・高さを取得し、現在の緯度・経度・高さをRAM22に一時記憶する(ステップS4)。ここでRAM22に記憶された高さが携帯電話機3の現在位置の高さであり、以下では高さH4と示す。
【0036】
その後のCPU31の処理は第一実施形態の場合と同様に行われ、CPU31は現在の緯度・経度・高さを地図情報提供サービスサーバ200に対して送信する(ステップS7)。次のステップS8では、第一実施形態においては地図の画像及び海抜データの両方を受信し終わるまで受信処理を続けていたが、第二実施形態においては地図の画像のみを受信し終わるまで受信処理を続ける。
一方、地図情報提供サービスサーバ200においても、携帯電話機3から現在の緯度・経度・高さを受信したら、CPU21が図6の処理を行うが、ステップS11の処理を省略し、ステップS12においては地図の画像のみを携帯電話機3に送信する。
【0037】
そして、携帯電話機3においては、CPU31が送受信部36で地図情報提供サービスサーバ200から地図の画像を受信したら(ステップS8:Yes)、第一実施形態の場合と同様に図7に示した処理が開始する。
ここで、第二実施形態ではステップS19の処理を省略し、ステップS13の階数の演算に際してはCPU31が次式(3)を用いて階数を求める。ここで、Nの自然数部分を階数として求める。
(H4−H5−H1)/H2+2=N … (3)
【0038】
なお、建物の規模ごとに一階以上の各階の階高H6が対応づけられてデータ記憶部38に記憶されている場合、上記ステップS19においてCPU31が以下の式(4)を用いてNを求め、Nの自然数部分を階数として求める。
(H4−H5)/H6+1=N … (4)
ステップS13後に、CPU31は、図9に示すように、受信した地図の画像を表示部35に表示させるとともに、求めた階数を表示部35に表示させる(ステップS20)。
【0039】
第二実施形態によれば、ユーザは、携帯電話機3により現在位置を検出することにより、現在位置を含む地図の画像とともに階数が表示部35表示されるから、その建物の何階であるかを携帯電話機3から把握することができる。また、ユーザが建物101に入った時に予め一階の高さH5が検出され、その高さH5を現在の高さH4から差し引いてから建物の階数を演算しているため、表示部35に表示される階数がより正確なものである。
【0040】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、地図情報提供サービスサーバ200の機能を他のサーバに分散させても良く、地図データベース26aをファイルサーバに記憶させ、海抜データベース26bを別のファイルサーバに記憶させ、地図情報提供サービスサーバ200がLAN接続によりファイルサーバ中の地図データベース26a及び別のファイルサーバ中の海抜データベース26bを読み取れるように構成しても良い。
この場合においては、地図情報提供サービスサーバ200、LAN及び二つのファイルサーバを組み合わせた装置が「サーバ」に相当し、LANとネットワーク4との間にルータを設け、地図情報提供サービスサーバ200はルータを介してネットワーク4に接続するようになっている。
【符号の説明】
【0041】
1 … 情報提供システム
2 … 地図情報提供サービスシステム
3 … 携帯電話機
21 … CPU
24 … 通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上に地図を表示可能な携帯表示機器であって、
現在位置を取得する位置取得手段と、
前記位置取得手段で取得した前記現在位置を含む周辺地図情報を取得する地図取得手段と、
当該携帯表示機器が建物内に所在する場合において、当該建物内における前記現在位置での所在階数を取得する階数取得手段と、
建物内において現在位置を含む地図を表示する際は、前記地図取得手段で取得した周辺地図情報に基づいて現在位置周辺の地図を前記表示画面上に表示し、当該地図上において前記現在位置をマーク表示により識別表示すると共に、前記階数取得手段で取得した所在階数を前記マーク表示位置に対応づけて前記地図内において識別表示する表示制御手段と、
を具備したことを特徴とする携帯表示機器。
【請求項2】
前記携帯表示機器が所在する前記建物の種類を指定する種類指定手段と、
前記携帯表示機器が所在する前記建物内における高さを取得する高さ取得手段と、を更に具備し、
前記階数取得手段は、前記指定手段で指定された建物の種類と前記高さ取得手段で取得された高さとに基づいて、当該建物内における前記現在位置での所在階数を取得する、ことを特徴とする請求項1記載の携帯表示機器。
【請求項3】
前記携帯表示機器が所在する前記建物の種類を指定する指定手段、を更に具備し、
前記階数取得手段は、前記指定手段で指定された建物の種類に応じた所在階数を取得する、ことを特徴とする請求項1記載の携帯表示機器。
【請求項4】
表示画面上に地図を表示可能な携帯表示機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
現在位置を取得する位置取得手段、
前記現在位置を含む周辺地図情報を取得する地図取得手段、
当該携帯表示機器が建物内に所在する場合において、当該建物内における前記現在位置での所在階数を取得する階数取得手段、
建物内において現在位置を含む地図を表示する際は、前記地図取得手段で取得した周辺地図情報に基づいて現在位置周辺の地図を前記表示画面上に表示し、当該地図上において前記現在位置をマーク表示により識別表示すると共に、前記階数取得手段で取得した所在階数を前記マーク表示位置に対応づけて前記地図内において識別表示する表示制御手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−69830(P2011−69830A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236021(P2010−236021)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【分割の表示】特願2003−208855(P2003−208855)の分割
【原出願日】平成15年8月26日(2003.8.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】