説明

携帯通信システム、携帯通信装置、着信通知方法および着信通知プログラム

【課題】常時携帯していない携帯通信端末への着信を、周囲に迷惑をかけることなく、早く確実に知ることができるようにする。
【解決手段】携帯通信装置と、所定距離に到達可能な近接信号を出力する近接信号出力器とを備えた携帯通信システムであって、携帯通信装置は、近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する存在判断手段と、着信があった際に存在判断手段が近接信号出力器が所定の範囲に存在しないと判断した場合に、着信があった際に近接信号出力器が所定の範囲に存在しなかったことを示す着信時不在情報を記憶手段に記憶させる着信時不在情報登録手段と、記憶手段が着信時不在情報を記憶した後近接信号出力器が所定の範囲に存在すると存在判断手段が判断した場合に、携帯通信装置に備えられている報知手段または近接信号出力器に備えられている報知手段を動作させる制御を実行する報知制御手段とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の距離に到達可能な近接信号を出力する近接信号出力器からの近接信号を受信可能な携帯通信装置が他の携帯通信装置からの着信を通知する携帯通信システム、携帯通信装置、着信通知方法および着信通知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機の普及に伴い、一人で複数の携帯電話機を保有することが珍しくない。特に、勤務先においては、業務用の携帯電話機と個人用の携帯電話機との両方を持つことが多い。この場合、所有者は、業務用の携帯電話機を常時携帯し、個人用の携帯電話機を常時携帯せずに、例えば自分の鞄や机の中に置いておくことが多い。このような状態で個人用の携帯電話機に着信があった場合、所有者が離席していると鞄や机の中で携帯電話機が鳴動する。しかし、周囲の人はその電話に応答することはできず、携帯電話機はしばらく鳴動し続けるため、周囲に迷惑がかかる。携帯電話機をマナーモードなどにして鳴動しないようにしておけば周囲に迷惑がかからない。しかし、所有者は、定期的に着信の有無を自ら確認しなければならないため不便である。
【0003】
上記のような問題を回避するための方法として、本人が常時携帯している携帯電話機に、携帯していない携帯電話機への着信を転送する方法が知られている。図9は、一般的な転送システムの概要を示す説明図である。
【0004】
図9に示す転送システムでは、同一の所有者が所有する個人用の携帯電話機4と業務用の携帯電話機5とが、通信経路6、通信ネットワーク8および通信経路7を介して通信可能に接続されている。所有者は、業務用の携帯電話機5を常時携帯する。所有者は、図9に示すように、個人用の携帯電話機4を常時携帯せずに、例えば鞄9の中に入れてあるとする。着信があると、携帯電話機4が備える転送機能は、業務用の携帯電話機5に着信があったことを通知する。
【0005】
また、携帯電話機4は、通信経路6、通信ネットワーク8および通信経路7を経由して転送を行う。このように、一旦通常の回線と商用ネットワークを経由して着信を転送するため、一般に通信料金が発生してしまい、不経済であるという欠点がある。
【0006】
別の方法として、携帯電話機に付属する送受話機能のない小型の子機を用いて、携帯電話機(親機)に着信があったときに子機も鳴動させるか、子機に着信の発生を記憶させる方法が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。この場合、親機と子機とを同時に持ち歩いている場合はすぐに応答することができるが、親機を机の中に入れた状態で離席するなどして親機と子機とを同時に持ち歩かない場合には、すぐに応答することができない。そのため、着信時に子機が親機と同時に鳴動しても、実際には役に立たない。そればかりか、持ち歩き先で子機が鳴動することによって、その周囲に迷惑がかかることがある。また、特許文献3には、無線子機の着信鳴動の要否に応じて自動的に着信音の鳴動・非鳴動を制御する携帯無線電話装置が提案されている。
【0007】
また、電話機に着信があった場合に電話機と小型機器との間で送受信を行うことにより、電話機と小型機器が電波を送受信可能な距離以上離れている場合には、着信音を鳴らさずに留守録モードに切り替えたり、プライベート情報を見られないようにする電話機システムが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
【特許文献1】特開平10−23549号公報
【特許文献2】特開2001−320769号公報
【特許文献3】特開平10−23539号公報
【特許文献4】特開2002−199061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された方式では、小型機器が電話機(親機)から離れている場合、親機は鳴動せずに留守録機能が動作する。この場合、親機が卓上電話機や机の上に置かれている携帯電話機であれば、所有者は、着信があったことをすぐに知ることができる。しかし、親機が、例えば鞄の中に入れられている場合、所有者は、着信があった旨の表示を見ることができない。
【0010】
業務用の携帯電話機に対して個人用の携帯電話機等の2台目の携帯電話機は、通常、いつでも見える場所には置かれずに、鞄の中などに入れられている。勤務先等において、所有者は、鞄の中などにしまってある個人用の携帯電話機への着信有無の確認を、例えば昼休み等に行うに過ぎず、常時頻繁に鞄を開けて、中の携帯電話機を確認することはしない。このような状況であっても、緊急の通信が着信することもあり得るため、着信があったことを早く知ることができるほうがよい。しかし、特許文献1に記載されている留守録機能だけでは、着信があったことを早く知ることはできない。
【0011】
そこで、本発明は、常時携帯していない携帯通信装置への着信を、周囲に迷惑をかけることなく、早く確実に知ることができる携帯通信システム、携帯通信装置、着信通知方法および着信通知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による携帯通信システムは、携帯通信装置と、所定距離に到達可能な近接信号を出力する近接信号出力器とを備えた携帯通信システムであって、携帯通信装置は、近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する存在判断手段と、着信があった際に存在判断手段が近接信号出力器が所定の範囲に存在しないと判断した場合に、着信があった際に近接信号出力器が所定の範囲に存在しなかったことを示す着信時不在情報を記憶手段に記憶させる着信時不在情報登録手段と、記憶手段が着信時不在情報を記憶した後近接信号出力器が所定の範囲に存在すると存在判断手段が判断した場合に、携帯通信装置に備えられている報知手段または近接信号出力器に備えられている報知手段を動作させる制御を実行する報知制御手段とを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明による他の携帯通信システムは、携帯通信装置と、所定距離に到達可能な近接信号を出力する近接信号出力器とを備えた携帯通信システムであって、携帯通信装置は、近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する存在判断手段と、着信があった際に存在判断手段が近接信号出力器が所定の範囲に存在しないと判断した場合に、着信があった際に近接信号出力器が所定の範囲に存在しなかったことを示す着信時不在情報を記憶手段に記憶させる着信時不在情報登録手段と、記憶手段が着信時不在情報を記憶した後近接信号出力器が所定の範囲に存在すると存在判断手段が判断した場合に、携帯通信装置に備えられている報知手段または近接信号出力器に備えられている報知手段を動作させる制御を実行する報知制御手段とを含み、近接信号出力器は、携帯通信装置に対し近接信号を発信する信号発信手段を含み、信号発信手段が発信する近接信号を受信する信号受信手段を備え、携帯通信装置における存在判断手段は、信号受信手段が近接信号を受信したか否かに応じて、近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断することを特徴とする。
【0014】
本発明による携帯通信装置は、所定の距離に到達可能な近接信号を出力する近接信号出力器からの近接信号を受信可能な携帯通信装置であって、音響または振動を生じさせる報知手段と、近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する存在判断手段と、着信があった際に存在判断手段が近接信号出力器が所定の範囲に存在しないと判断した場合に、着信があった際に近接信号出力器が所定の範囲に存在しなかったことを示す着信時不在情報を記憶手段に記憶させる着信時不在情報登録手段と、記憶手段が着信時不在情報を記憶した後近接信号出力器が所定の範囲に存在すると存在判断手段が判断した場合に、報知手段を動作させる制御を実行する報知制御手段とを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明による着信通知方法は、所定の距離に到達可能な近接信号を出力する近接信号出力器からの近接信号を受信可能な携帯通信装置が他の携帯通信装置からの着信を通知する着信通知方法であって、携帯通信装置が、近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する存在判断ステップと、着信があった際に存在判断ステップで近接信号出力器が所定の範囲に存在しないと判断した場合に、着信があった際に近接信号出力器が所定の範囲に存在しなかったことを示す着信時不在情報を記憶手段に記憶させる着信時不在情報登録ステップと、記憶手段が着信時不在情報を記憶した後存在判断ステップで近接信号出力器が所定の範囲に存在すると判断した場合に、携帯通信装置に備えられている報知手段または近接信号出力器に備えられている報知手段を動作させる制御を実行する報知制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0016】
本発明による着信通知プログラムは、所定の距離に到達可能な近接信号を出力する近接信号出力器からの近接信号を受信可能な携帯通信装置が他の携帯通信装置からの着信を通知するための着信通知プログラムであって、コンピュータに、近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する存在判断処理と、着信があった際に存在判断処理で近接信号出力器が所定の範囲に存在しないと判断した場合に、着信があった際に近接信号出力器が所定の範囲に存在しなかったことを示す着信時不在情報を記憶手段に記憶させる着信時不在情報登録処理と、記憶手段が着信時不在情報を記憶した後存在判断処理で近接信号出力器が所定の範囲に存在すると判断した場合に、携帯通信装置に備えられている報知手段または近接信号出力器に備えられている報知手段を動作させる制御を実行する報知制御処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、常時携帯していない携帯通信装置への着信を、周囲に迷惑をかけることなく、早く確実に知ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施形態1.
以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明による携帯通信システムの概要を示す説明図である。図1に示す携帯通信システムは、携帯通信装置(以下、親機という。)1と、近接信号出力器(以下、子機という。)2とを備える。親機1は、例えば、携帯電話機である。子機2は、送受話機能を含まず、通信経路3を介して親機1に近接信号(以下、信号という。)を送信可能である。以下、親機1が携帯電話機である場合を例にして説明する。
【0019】
図2は、第1の実施形態における親機の構成例を示すブロック図である。図2に示す親機1は、主通信手段11と、報知手段12と、近接検出手段13とを含む。
【0020】
主通信手段11は、例えば、本来の携帯電話機として移動通信網の無線基地局と通信を行う。親機1は、例えば、他の携帯電話機や固定電話機等の通信機器と、移動通信網を介して電話やデータ通信等を行うことができる。
【0021】
報知手段12は、親機1に電話がかかってきたことやメールが着信したことなどを通知する機能を有する。報知手段12は、例えば、着信を通知するための着信音を出力するスピーカ等の音響発生装置や、着信音を出力する代わりに振動を発するバイブレータ等の振動発生装置である。以下、音の出力または振動を鳴動という。
【0022】
近接検出手段13は、子機2が送信した信号を通信経路3を介して受信し、子機2が親機1の近傍にあるか否かを検出する。
【0023】
図3は、第1の実施形態における子機の構成例を示すブロック図である。図3に示す子機2は、子機2固有の信号を親機1に対して発信する近接信号発信手段23を含む。
【0024】
近接信号発信手段23は、親機1に対し近接信号を発信する。近接信号は、例えば高周波の微弱電波による信号であって、所定距離(例えば、10m)まで到達可能であり、子機2が親機1に対応する特定の子機であることを識別可能な形式の信号である。
【0025】
次に、図面を参照して第1の実施形態の動作について説明する。図4は、第1の実施形態における携帯通信システムの動作を示すフローチャートである。
【0026】
子機2は、近接信号として、例えば、微弱電波を間歇的に発信する。親機1は、子機2が発信する近接信号を常時受信する。
【0027】
親機1に着信があると(ステップS1)、近接検出手段13は、例えば、子機2の近接信号発信手段23が発信する近接信号を受信したか否かに基づいて、子機2が所定の範囲(近傍)に存在するか否かを判断する(ステップS2)。
【0028】
例えば、近接信号発信手段23が発信する近接信号が微弱電波である場合、近接検出手段13は、子機2が親機1の近傍に存在するときにのみ近接信号を受信することができる。ここで、近傍とは、例えば数メートル以内の範囲を意味する。微弱電波の強度を変更することにより、近傍の範囲を変更することができる。
【0029】
ここで、近接検出手段13は、近接信号発信手段23が発信した子機毎に異なる固有の近接信号を受信する。近接検出手段13は、親機1に付属する子機2が発信した近接信号を対象としてステップS2の処理を行うことにより、例えば他人が所有する携帯電話機の子機が発信する近接信号を排除することができる。固有の近接信号は、例えば、あらかじめ設定された数桁から十数桁の数字列を子機毎に割り当て、高周波に適当な変調を施して送信することにより実現される。変調方式は、例えば、ASKやFSKなどの簡単なデジタル変調方式でよい。
【0030】
一般的な携帯電話機は、他の携帯電話機等から着信があると、鳴動して着信があったことを所有者に知らせる。本発明による携帯通信システムにおいて、親機1は、他の携帯電話機等から着信があった際に、所有者が親機1の近くにいないためすぐに応答ができない場合の処理を設定可能な機能(例えば、設定アプリケーション)を備える。設定アプリケーションは、例えば、親機1のメモリ等に記憶される。使用者は、設定アプリケーションを起動して操作することにより、着信時に応答できない場合の処理として以下に説明する機能を実行するよう設定することができる。ここで、所有者は、小型軽量である子機2のみを携帯しているとする。
【0031】
ステップS2において、子機2が所定の範囲に存在すると判断した場合(Yes)、主通信手段11は、報知手段12を鳴動させ(ステップS11)、所定の停止理由に応じて鳴動を停止して(ステップS12)、一連の処理を終了する。ステップS12において、報知手段12は、例えば、所有者が着信確認操作や所定の鳴動停止のためのキーを押下する操作等の所定の操作を行った場合に鳴動を停止する。
【0032】
一方、ステップS2において、子機2が所定の範囲に存在しないと判断した場合(No)、親機1は、着信時不在情報を記憶する(ステップS3)。着信時不在情報は、着信があった際に子機が所定の範囲に存在しなかったことを示す情報であって、例えば、主通信手段11が含む通常の着信メモリに記憶される。
【0033】
近接検出手段13は、子機2が所定の範囲に存在するか否かを判断し(ステップS4)、存在しないと判断した場合(No)、再度ステップS4の処理を繰り返す。ステップS4において、子機2が所定の範囲に存在すると判断した場合(Yes)、すなわち着信時に近傍になかった子機2が近くに戻ってきた場合、主通信手段11は、報知手段12を鳴動させ(ステップS5)、着信があったことを通知する。
【0034】
ここで、ステップS5における出力音の音色やメロディ等を、ステップS11における通常の着信時の出力音と異なるように設定可能であることが望ましい。例えば、ステップS5における出力音とステップS11における通常の着信時の出力音とが異なる場合、所有者は、不在時に着信があったことをすぐに認識することができ、利便性がさらに高まる。
【0035】
主通信手段11は、所定の停止理由に応じて、報知手段12の鳴動を停止させる(ステップS6)。例えば、主通信手段11は、所有者が、着信確認操作や所定の鳴動停止のためのキーを押下する操作等の所定の操作を行った場合に、報知手段12の鳴動を停止させる。また、ステップS5において報知手段12が鳴動している間に、近接検出手段13が子機2が所定の範囲に存在しないと判断した場合にも、主通信手段11は、報知手段12の鳴動を停止させる。すなわち、鳴動時に停止操作がされずに再び子機2が遠くに離れてしまった場合にも、報知手段12の鳴動を停止させる。
【0036】
次に、主通信手段11は、ステップS6における停止理由が何であったかを判断する(ステップS7)。所定の操作が実行されたことに応じて鳴動を停止したと判断した場合(所定の操作)、主通信手段11は、着信時不在情報を消去し(ステップS8)、一連の処理を終了する。なお、ステップS8において、主通信手段11は、着信時不在情報のみを消去し、一般的な着信記録(相手の電話番号や着信時刻等)は消去しない。
【0037】
一方、子機2が所定の範囲に存在しないと判断したことに応じて鳴動を停止したと判断した場合(子機不在)、ステップS4に移行し、近接検出手段13は、子機2が所定の範囲に存在するか否かの判断を繰り返す。ステップS4において、子機2が所定の範囲に存在すると判断した場合(Yes)、報知手段12は再び鳴動し(ステップS5)、以下、上述した処理を実行する。
【0038】
なお、上記の実施形態では、携帯通信装置として携帯電話機を例に説明したが、音声通信機能のないデータ専用情報端末であっても、メールや新規情報の着信等の場合に同様に適用できる。よって、本発明は、携帯電話機に限らず、一般的な携帯通信装置に対して適用される。
【0039】
また、上記の実施形態では、通信経路を介して高周波の微弱電波を送受信する場合を例に説明したが、例えば、赤外線や可聴範囲外の超音波等であってもよく、非有線の通信経路を介して送受信できればよい。
【0040】
以上に説明したように、第1の実施形態によれば、携帯電話機の所有者が状況によって携帯電話機本体(親機)を鞄や机の中などに入れたまま離れていたときに着信があった場合でも、鞄や机の中で携帯電話機が鳴動し続けて周囲の人に迷惑がかかるという事態を避けることができる。
【0041】
また、着信時に離れていた所有者が戻って来て携帯電話機本体の近傍に来ると、携帯電話機が鳴動し、着信があったことを通知する。そのため、所有者は、戻ってきた都度鞄や机の中などに入れておいた携帯電話機を取り出して確認しなくてもよく、利便性が向上する。特に、例えば一度に複数の携帯電話機を持ち歩くことができない業務中に、会議等に出席した場合、その間持ち歩かなかった方の携帯電話機について、会議から戻ってきた際の着信確認が容易であり、有効である。
【0042】
本発明は、携帯電話機すなわち端末側のみで完結する機能であり、効果を得るために別の商用通信ネットワークを利用する必要がないため、通信料金が別に発生することがなく経済的であり、構成も簡単である。
【0043】
実施形態2.
以下、本発明の第2の実施形態を図面を参照して説明する。第1の実施形態では、親機が鳴動する場合を例にして説明したが、子機が鳴動してもよい。また、親機および子機の両方が鳴動してもよい。以下、子機が鳴動する場合を例にして説明する。
【0044】
図5は、第2の実施形態における親機の構成例を示すブロック図である。図5に示す親機1は、主通信手段11と、報知手段12と、近接検出手段13と、サブ通信手段14とを含む。以下、第1の実施形態における親機1と同様の構成部については、図2と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0045】
サブ通信手段14は、子機2と双方向で通信を行う。第2の実施例では、第1の実施例における親機1が鳴動する条件が成立した場合に、親機1は、サブ通信手段14を介して、子機2に対し鳴動するよう指令する信号を発信する。
【0046】
図6は、第2の実施形態における子機の構成例を示すブロック図である。図6に示す子機2は、サブ通信手段21と、報知手段22と、近接信号発信手段23とを含む。
【0047】
サブ通信手段21は、親機1と双方向で通信を行う。サブ通信手段21は、鳴動を指令する信号を受信する。
【0048】
報知手段22は、例えば、着信を通知するための着信音を出力するスピーカ等の音響発生装置や、着信音を出力する代わりに振動を発するバイブレータ等の振動発生装置である。報知手段22は、サブ通信手段21が鳴動を指令する信号を受信したことに応じて鳴動する。なお、同時に親機1の報知手段12が鳴動してもよい。
【0049】
また、第1の実施形態において、近接信号が子機毎に異なる固有の信号である場合を例にして説明したが、第2の実施形態において、親機1は、子機2に対し、近接信号を任意の異なる信号に変更するよう指令することが可能な機能を備えてもよい。
【0050】
この場合、例えば、親機1のサブ通信手段14は、子機2のサブ通信手段21に対し、信号の種類を指定したり、信号そのものを子機2に送信することにより、信号の変更設定を行う。このような構成によれば、本発明を適用した複数の携帯通信システムが近傍に存在する環境であっても、特定の携帯通信システムだけを動作させることが容易に可能となる。
【0051】
また、第2の実施形態では、子機2が受信機能を有する。そのため、第2の実施形態では、第1の実施形態で例示したように子機2が間歇的に微弱電波を発信するのではなく、着信があった時に親機1が子機2に対して電波を発信し、子機2は、親機1が発信した電波を受信した場合にのみ微弱電波を発信してもよい。そのような形態によれば、子機2は、常時微弱電波を発信する必要がないため、消費電力が小さくなり、長時間使用可能になる。
【0052】
以上に説明したように、第2の実施形態によれば、所有者が常時携帯している子機が鳴動するため、着信があったことをより確実に通知することができるという効果がある。また、近接信号を任意に設定可能であるため、特定の携帯通信システムだけを動作させることができるという効果がある。
【0053】
実施形態3.
次に、本発明の第3の実施形態を図面を参照して説明する。第1および第2の実施形態では、近接検出手段13を親機1に内蔵する場合を例にして説明したが、親機1の外部に取り付けてもよい。このような構成によれば、本発明による近接検出手段13を携帯電話機のオプション機能とすることができる。
【0054】
図7は、第3の実施形態における親機の構成例を示すブロック図である。図7に示す親機1は、主通信手段11と、報知手段12とを含み、近接検出手段13と接続されている。
【0055】
第3の実施形態において、近接検出手段13は、例えば、一般的な携帯電話機に搭載される外部接続端子を介して接続される。このような構成によれば、本発明を適用していない携帯電話機であっても、本発明による子機と外部接続機器(近接検出手段13)とを用意することにより、本発明を適用した携帯電話機として使用することが可能である。ここで、外部接続機器は、携帯電話機の充電装置などの、一般的な携帯電話機の付属装置の中に組み込まれる形態であってもよい。
【0056】
第3の実施形態によれば、一般的な携帯電話機に外部装置として近接検出手段13を追加することもできる。本発明は、携帯電話機すなわち端末側のみの付加機能であるためである。そのため、利用範囲が広がり、一般的な携帯電話機の付加価値を高めることが可能である。
【0057】
実施形態4.
次に、本発明の第4の実施形態を図面を参照して説明する。図8は、本発明による携帯通信システムの最小の構成例を示す機能ブロック図である。図8に例示する親機1は、存在判断手段101と、着信時不在情報登録手段102と、報知制御手段103と、記憶手段104とを備える。
【0058】
存在判断手段101、着信時不在情報登録手段102および報知制御手段103は、親機1に搭載されるCPUが、それらの機能を実現するためのプログラムを実行することによって実現される。
【0059】
存在判断手段101は、子機2が所定の範囲に存在するか否かを判断する。
【0060】
着信時不在情報登録手段102は、着信があった際に存在判断手段101が子機2が所定の範囲に存在しないと判断した場合に、着信時不在情報を記憶手段104に記憶させる。
【0061】
報知制御手段103は、記憶手段104が着信時不在情報を記憶し、かつ存在判断手段101が子機2が所定の範囲に存在すると判断した場合に、親機1の報知手段(図示せず。)または子機2の報知手段(図示せず。)を鳴動させる制御を実行する。
【0062】
ここで、記憶手段104が着信時不在情報を記憶している場合とは、着信があった際に子機2が近くになかった場合である。その場合であって、かつ存在判断手段101が子機2が所定の範囲に存在すると判断した場合とは、着信があった際には不在だった子機2が、現在は存在する場合を意味する。このような状態において、報知制御手段103は、親機1または子機2を鳴動させる制御を実行する。したがって、所有者は、常時携帯していない携帯通信装置への着信を、周囲に迷惑をかけることなく、早く確実に知ることができる。
【0063】
なお、上記に示した実施形態では、以下の(1)〜(5)に示すような特徴的構成を備えた携帯通信システムが示されている。
【0064】
(1)携帯通信装置(例えば、親機1によって実現される)と、所定距離に到達可能な近接信号を出力する近接信号出力器(例えば、子機2によって実現される)とを備えた携帯通信システムであって、携帯通信装置は、近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する存在判断手段(例えば、存在判断手段101によって実現される)と、着信があった際に存在判断手段が近接信号出力器が所定の範囲に存在しないと判断した場合に、着信があった際に近接信号出力器が所定の範囲に存在しなかったことを示す着信時不在情報を記憶手段(例えば、記憶手段104によって実現される)に記憶させる着信時不在情報登録手段(例えば、着信時不在情報登録手段102によって実現される)と、記憶手段が着信時不在情報を記憶した後近接信号出力器が所定の範囲に存在すると存在判断手段が判断した場合に、携帯通信装置に備えられている報知手段(例えば、報知手段12によって実現される)または近接信号出力器に備えられている報知手段(例えば、報知手段22によって実現される)を動作させる制御を実行する報知制御手段(例えば、報知制御手段103によって実現される)とを含むことを特徴とする携帯通信システム。
【0065】
(2)近接信号出力器は、携帯通信装置に対し近接信号を発信する信号発信手段(例えば、近接信号発信手段23によって実現される)を含み、存在判断手段は、信号発信手段が発信する近接信号を受信する信号受信手段(例えば、近接検出手段13によって実現される)を有し、信号受信手段が近接信号を受信したか否かに応じて、近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する携帯通信システム。そのように構成された携帯通信システムは、信号を受信可能な範囲に子機が存在するか否かを判断することができる。
【0066】
(3)信号発信手段は、近接信号出力器を識別可能であって任意に設定可能な識別信号を発信し、信号受信手段は、識別信号を受信する携帯通信システム。そのように構成された携帯通信システムは、特定の子機が所定の範囲に存在するか否かを判断することができる。
【0067】
(4)報知制御手段は、携帯通信装置に備えられている報知手段を動作させる携帯通信システム。そのように構成された携帯通信システムは、簡単な構成で着信があったことを確実に通知することができる。
【0068】
(5)報知制御手段は、近接信号出力器に備えられている報知手段を動作させる携帯通信システム。そのように構成された携帯通信システムは、常時携帯している子機が鳴動するため、着信があったことをより確実に通知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、常時携帯しない携帯通信装置に着信があったことを確実に通知するために効果的に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明による携帯通信システムの概要を示す説明図である。
【図2】第1の実施形態における親機の構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態における子機の構成例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態における携帯通信システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態における親機の構成例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態における子機の構成例を示すブロック図である。
【図7】第3の実施形態における親機の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明による携帯通信システムの最小の構成例を示す機能ブロック図である。
【図9】一般的な転送システムの概要を示す説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1 親機
2 子機
3 通信経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯通信装置と、所定距離に到達可能な近接信号を出力する近接信号出力器とを備えた携帯通信システムであって、
前記携帯通信装置は、
前記近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する存在判断手段と、
着信があった際に前記存在判断手段が前記近接信号出力器が所定の範囲に存在しないと判断した場合に、着信があった際に前記近接信号出力器が所定の範囲に存在しなかったことを示す着信時不在情報を記憶手段に記憶させる着信時不在情報登録手段と、
前記記憶手段が着信時不在情報を記憶した後前記近接信号出力器が所定の範囲に存在すると前記存在判断手段が判断した場合に、前記携帯通信装置に備えられている報知手段または前記近接信号出力器に備えられている報知手段を動作させる制御を実行する報知制御手段と
を含むことを特徴とする携帯通信システム。
【請求項2】
近接信号出力器は、携帯通信装置に対し近接信号を発信する信号発信手段を含み、
存在判断手段は、前記信号発信手段が発信する近接信号を受信する信号受信手段を有し、前記信号受信手段が近接信号を受信したか否かに応じて、前記近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する
請求項1記載の携帯通信システム。
【請求項3】
信号発信手段は、近接信号出力器を識別可能であって任意に設定可能な識別信号を発信し、
信号受信手段は、前記識別信号を受信する
請求項2記載の携帯通信システム。
【請求項4】
報知制御手段は、携帯通信装置に備えられている報知手段を動作させる
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の携帯通信システム。
【請求項5】
報知制御手段は、近接信号出力器に備えられている報知手段を動作させる
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の携帯通信システム。
【請求項6】
携帯通信装置と、所定距離に到達可能な近接信号を出力する近接信号出力器とを備えた携帯通信システムであって、
前記携帯通信装置は、
前記近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する存在判断手段と、
着信があった際に前記存在判断手段が前記近接信号出力器が所定の範囲に存在しないと判断した場合に、着信があった際に前記近接信号出力器が所定の範囲に存在しなかったことを示す着信時不在情報を記憶手段に記憶させる着信時不在情報登録手段と、
前記記憶手段が着信時不在情報を記憶した後前記近接信号出力器が所定の範囲に存在すると前記存在判断手段が判断した場合に、前記携帯通信装置に備えられている報知手段または前記近接信号出力器に備えられている報知手段を動作させる制御を実行する報知制御手段とを含み、
近接信号出力器は、携帯通信装置に対し近接信号を発信する信号発信手段を含み、
前記信号発信手段が発信する近接信号を受信する信号受信手段を備え、
前記携帯通信装置における存在判断手段は、前記信号受信手段が近接信号を受信したか否かに応じて、前記近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する
ことを特徴とする携帯通信システム。
【請求項7】
所定の距離に到達可能な近接信号を出力する近接信号出力器からの近接信号を受信可能な携帯通信装置であって、
音響または振動を生じさせる報知手段と、
前記近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する存在判断手段と、
着信があった際に前記存在判断手段が前記近接信号出力器が所定の範囲に存在しないと判断した場合に、着信があった際に前記近接信号出力器が所定の範囲に存在しなかったことを示す着信時不在情報を記憶手段に記憶させる着信時不在情報登録手段と、
前記記憶手段が着信時不在情報を記憶した後前記近接信号出力器が所定の範囲に存在すると前記存在判断手段が判断した場合に、前記報知手段を動作させる制御を実行する報知制御手段と
を含むことを特徴とする携帯通信装置。
【請求項8】
存在判断手段は、近接信号出力器が発信する近接信号を受信する信号受信手段を有し、前記信号受信手段が近接信号を受信したか否かに応じて、前記近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する
請求項7記載の携帯通信装置。
【請求項9】
所定の距離に到達可能な近接信号を出力する近接信号出力器からの近接信号を受信可能な携帯通信装置が他の携帯通信装置からの着信を通知する着信通知方法であって、
前記携帯通信装置が、
前記近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する存在判断ステップと、
着信があった際に前記存在判断ステップで前記近接信号出力器が所定の範囲に存在しないと判断した場合に、着信があった際に前記近接信号出力器が所定の範囲に存在しなかったことを示す着信時不在情報を記憶手段に記憶させる着信時不在情報登録ステップと、
前記記憶手段が着信時不在情報を記憶した後前記存在判断ステップで前記近接信号出力器が所定の範囲に存在すると判断した場合に、前記携帯通信装置に備えられている報知手段または前記近接信号出力器に備えられている報知手段を動作させる制御を実行する報知制御ステップと
を含むことを特徴とする着信通知方法。
【請求項10】
近接信号出力器が、携帯通信装置に対し近接信号を発信する信号発信ステップを含み、
存在判断ステップにおいて、前記携帯通信装置が、前記近接信号出力器が前記信号発信ステップで発信する近接信号を受信したか否かに応じて、前記近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する
請求項9記載の着信通知方法。
【請求項11】
所定の距離に到達可能な近接信号を出力する近接信号出力器からの近接信号を受信可能な携帯通信装置が他の携帯通信装置からの着信を通知するための着信通知プログラムであって、
コンピュータに、
前記近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する存在判断処理と、
着信があった際に前記存在判断処理で前記近接信号出力器が所定の範囲に存在しないと判断した場合に、着信があった際に前記近接信号出力器が所定の範囲に存在しなかったことを示す着信時不在情報を記憶手段に記憶させる着信時不在情報登録処理と、
前記記憶手段が着信時不在情報を記憶した後前記存在判断処理で前記近接信号出力器が所定の範囲に存在すると判断した場合に、前記携帯通信装置に備えられている報知手段または前記近接信号出力器に備えられている報知手段を動作させる制御を実行する報知制御処理と
を実行させるための着信通知プログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
存在判断処理において、近接信号出力器が発信する近接信号を受信したか否かに応じて、前記近接信号出力器が所定の範囲に存在するか否かを判断する処理を実行させるための
請求項11記載の着信通知プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−49736(P2009−49736A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214349(P2007−214349)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】