説明

携帯通信端末

【課題】 携帯通信端末の温度が所定値に達したとしても、緊急通信時に連続して通信可能な携帯通信端末を提供する。
【解決手段】 通信処理、音楽録音再生処理、ゲーム処理、各種設定処理等の動作メニューの一つを実行中(ステップS1)、温度測定を行い(ステップS2)、所定温度以上か以下かをチェックする(ステップS3)。この所定温度は、例えば、携帯通信端末が使用者の身体に連続して接触して低温火傷を起こす恐れがある低めの温度等である。ステップS3で所定温度以上であれば、次に、処理中の動作(ステップS1)が緊急通信であるかをチェックする(ステップS4)。緊急通信中であれば、ステップS1の実行中の動作、即ち、緊急通信をそのまま継続する。ステップS4で緊急通信以外の動作であれば、温度が高いことを報知手段により使用者に報知する(ステップS5)。そして、これらの緊急通信以外の動作を強制的に停止する(ステップS6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の携帯通信端末において、発熱時の制御を行う携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信機の熱破損や操作者の火傷などを防ぐ熱保護方式がある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1では、温度が第1基準値TUを超えると送信制限の警告音を出力し、一定時間だけ送信を許可し、それでも温度が更に上昇して第3基準値THを超えると送信を停止している。このことにより、いきなり送信を停止するのではなく、送信制限の警告音を出力してから短時間だけ送信を可能にして緊急通信を保証している。
【特許文献1】特開平4−326211号公報(第2頁、図3(a))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の背景技術の熱保護方式では、警告音を出力してから一定時間だけ送信可能だが、それ以上の通信はできない。また、警告音を出力してから温度が更に上昇して第3基準値THを超えると、それ以上の通信はできない。また、警告音を出力してから、温度を下げるのは、ユーザが使用を控える等のユーザ任せであり、結局、それ以上の緊急通信はできないという問題があった。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、温度が所定値に達したとしても、緊急通信時に連続して通信可能な携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の携帯通信端末は、携帯通信端末の温度を検出する温度検出手段と、前記携帯通信端末の使用者に報知する報知手段と、前記温度が所定値以上の場合、動作中の処理が緊急通信中であるかを判断し、緊急通信中であれば当該緊急通信を継続し、緊急通信中でなければ温度警告報知を前記報知手段に出力すると共に動作中の処理を制限する制御手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、温度が所定値に上昇した時、警告を出すと共に、緊急通信であるかどうかを判断して、緊急通信であれば通信制限を設けないようにし、緊急通信でなければ現在使用中の動作に制限を加える。特に、温度所定値として、携帯通信端末が使用者の身体に連続して接触して低温火傷を起こす恐れがある低めの温度に設定することにより、温度が所定値に上昇した時、それが即、携帯通信端末の破損や、使用者の火傷に、即、直結するものではないことが多く、そのため、緊急通信を行うことをユーザ判断で行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【実施例】
【0007】
図1は、本発明の実施例に係る携帯通信端末のブロック図である。携帯通信端末100は、アンテナ1、無線通信部2、マイクロホン3、レシーバ4、制御部5、温度センサ6、表示部7、バイブレータ8、スピーカ9、キー入力部10などにより構成されている。 アンテナ1は、図示しない基地局との間で電波の送信受信を行う。無線通信部2は、変調復調処理等を行う。マイクロホン3は送話用の音声入力手段である。レシーバ4は受話用の音声出力手段である。制御部5は、図示しないCPU、プログラムROM、ワーキングRAM、DSP等により構成され、温度制御、緊急通信の判断、音声圧縮拡張、使用者との間の入出力処理等を行う。また、携帯通信端末100が備える色々な動作メニュー、例えば、通信処理、音楽録音再生処理、カメラ処理、ゲーム処理、各種設定処理等を実行する。温度センサ6は、携帯通信端末100自体の温度を測定するデバイスである。
【0008】
表示部7は、使用者への報知手段の一つであり、LCD画面や、LEDランプである。バイブレータ8は、使用者への報知手段の一つであり、振動手段である。スピーカ9は、使用者への報知手段の一つであり、再生音楽や着信時の着信音やその他の報知音を出力する。キー入力部10は、使用者による操作入力手段である。
【0009】
図2は、本発明の実施例に係る携帯通信端末の制御部の温度制御処理に関する動作フローチャートである。携帯通信端末100の制御部5は、通信処理、音楽録音再生処理、ゲーム処理、各種設定処理等の動作メニューの一つを実行中である(ステップS1)。実行中、温度測定を行い(ステップS2)、所定温度以上か以下かをチェックする(ステップS3)。この所定温度は、予め決められた温度であり、例えば、携帯通信端末100が使用者の身体に連続して接触して低温火傷を起こす恐れがある低めの温度等である。そして、ステップS3で所定温度以上であれば、次に、ステップS1で処理中の動作が緊急通信中であるかをチェックする(ステップS4)。
【0010】
緊急通信中とは、例えば、110番通報や119番通報などである。また、図示しない基地局や電話網との間で予め決められた緊急手順を実行中などであってもよい。そして、ステップS4で緊急通信中であれば、ステップS1の実行中の動作、即ち、緊急通信をそのまま継続する。
【0011】
ステップS4で緊急通信以外の動作、即ち、一般通信、音楽録音再生処理、カメラ処理、ゲーム処理、各種設定処理等であれば、温度が高いことを、表示部7、バイブレータ8、スピーカ9等の報知手段の1つ又は複数により使用者に報知する(ステップS5)。そして、これらの緊急通信以外の動作を強制的に停止する(ステップS6)。それにより、温度が上昇しないようになる。携帯通信端末100は、使用者が意識しないで、使用者の身体に連続して接触する恐れがある。例えば、使用者の着衣のポケットに携帯通信端末100を入れている場合で、かつ何らかの動作中モードになっている場合などである。この低温火傷を防ぐために、この処理が有効である。
なお、ステップS4で緊急通信中の場合、緊急通信をそのまま継続すると共に、使用者にあまり邪魔にならないように、例えば表示部7のみで報知する等してもよい。
【0012】
本発明の実施例によれば、携帯通信端末が低温火傷を起こす恐れがある低めの温度に達したとしても、且つ、緊急通信中であれば、使用者は、十分に携帯端末を意識しながら使用しているため、即、低温火傷に結びつく恐れは極めて低い。その極めて低い恐れよりも緊急通信ができる環境を提供し、使用者判断で動作の継続を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る携帯通信端末のブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る携帯通信端末の制御部の温度制御処理に関する動作フローチャート。
【符号の説明】
【0014】
1 アンテナ
2 無線通信部
3 マイクロホン
4 レシーバ
5 制御部
6 温度センサ
7 表示部
8 バイブレータ
9 スピーカ
10 キー入力部
100 携帯通信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯通信端末の温度を検出する温度検出手段と、
前記携帯通信端末の使用者に報知する報知手段と、
前記温度が所定値以上の場合、動作中の処理が緊急通信中であるかを判断し、緊急通信中であれば当該緊急通信を継続し、緊急通信中でなければ温度警告報知を前記報知手段に出力すると共に動作中の処理を制限する制御手段とを
具備することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記温度の所定値は、当該所定値状態の前記携帯通信端末に使用者が長時間接触した時に低温火傷を起こす可能性のある温度であることを特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−43422(P2007−43422A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224550(P2005−224550)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】