説明

携帯通信端末

【課題】タッチパネル入力操作面への操作の検知精度の悪化を抑えられる携帯通信端末を提供することを目的とする。
【解決手段】板状の導体によって形成されるUHF帯アンテナを、携帯通信端末本体の表面近傍のうち、タッチパネルの操作面と重ならない位置に配置する。
このようにすることで、タッチパネルの操作性に悪影響を出すことなく、UHF帯アンテナと内蔵する基板上の金属部品との距離を大きくすることができ、UHF帯アンテナの受信状況を良好なものとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送を受信するためのアンテナを備える携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタルテレビ放送の信号を受信するためのUHF(Ultra High Frequency)帯アンテナを備え、内蔵するディスプレイを用いてテレビ番組を表示する携帯通信端末がある。
UHF帯アンテナは、近くに金属があると受信する地上デジタルテレビ放送の信号の電界強度が弱められてしまうことがある。よって、UHF帯アンテナは、金属を含む部品が多数装着されている基板からできるだけ遠い位置、すなわち携帯通信端末本体の表面近傍に配置されることが望まれる。
【0003】
電子機器の表面近傍にアンテナを配置する技術として、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5に記載されているように、電子機器に内蔵されるディスプレイの表面に透明導体からなるアンテナを配置する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−251550号公報
【特許文献2】特開2007−235751号公報
【特許文献3】特開2007−4501号公報
【特許文献4】特開2002−109672号公報
【特許文献5】特開平11−187096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タッチパッドとディスプレイとが互いに重ねられてなるタッチパネルを入力デバイスとして利用する携帯通信端末がある。
タッチパネルを有する携帯通信端末を利用するユーザは、携帯通信端末本体の表面にあるタッチパネル入力操作面を指等で触れて操作することで、携帯通信端末へのコマンドの入力等を行う。
【0006】
しかしながら、タッチパッドとディスプレイとは互いに重ねられているため、ディスプレイの表面にUHF帯アンテナを配置することはできない。
このため、この種の携帯通信端末に対しては、タッチパッドは、その表面上にUHF帯アンテナを重ねられてしまうと、ユーザからのタッチパネル操作面への操作の検出精度を悪化させてしまうからである。
【0007】
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、タッチパネル入力操作面への操作の検知精度の悪化を抑えられる携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る携帯通信端末は、表面が入力操作面とされたタッチパネルを備える携帯通信端末であって、前記タッチパネルの入力操作面の外縁に沿って、導体からなるアンテナ構体が、表面近傍に敷設されていることを特徴とする。
ここで、表面近傍とは、携帯通信端末における表面付近の領域のうち、携帯通信端末の主表面とディスプレイの背面との距離をxとする場合において、携帯通信端末の表面から深さxまでの領域のことをいう。
【発明の効果】
【0009】
上述の構成を備える本発明に係る携帯通信端末は、タッチパネル入力操作面への操作の検知精度の悪化を抑えられるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】携帯電話機100の平面図
【図2】タッチパッド150とアンテナ構体130との構成を示す分解斜視図
【図3】携帯電話機100の断面図
【図4】携帯電話機400の平面図
【図5】携帯電話機400の断面図
【図6】携帯電話機600の平面図
【図7】携帯電話機600の断面図
【図8】補足におけるタッチパッド850とアンテナ構体830との平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態1>
<概要>
以下、本発明に係る携帯通信端末の一実施形態として、タッチパッドとディスプレイとを重ねられてなるタッチパネルと、地上デジタルテレビ放送の信号を受信するためのUHF帯アンテナとを備え、ディスプレイを用いてテレビ番組を表示する携帯電話機について説明する。
【0012】
この携帯電話機は、主表面に、透明なガラス板からなるフロントスクリーンを備え、フロントスクリーンの中央部分の奥にディスプレイが配置されている。
このフロントスクリーンの表面には、ディスプレイと重なる位置に透明な金属(例えば、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ))製の電極を備えるタッチパッドが形成され、タッチパッドを避ける位置に透明な金属(例えば、ITO)製のUHF帯アンテナが形成されている。
【0013】
以下、本実施の形態に係る携帯電話機の主要な構成について、図面を参照しながら説明する。
<構成>
図1は、携帯電話機100の主表面側の平面図である。
同図に示される通り、携帯電話機100の主表面は、マイク開口部111とレシーバ開口部112とを有するフレーム110と、アンテナ構体130と、タッチパッド150と、フロントスクリーン120とから構成される。
【0014】
フレーム110は、携帯電話機100の基体であって、例えば樹脂製である。
フロントスクリーン120は、携帯電話機100の主表面側中央部となる位置に配置された、例えばガラス板製の透明な平板であって、その主表面上にアンテナ構体130とタッチパッド150とが形成されている。
図2は、タッチパッド150とアンテナ構体130との構成を示す分解斜視図である。
【0015】
タッチパッド150は、図示していないタッチパッドコントローラによって制御される4線式抵抗膜方式のタッチパッドであって、図2に示されるように、X軸検知用電極210とスペーサ220とY軸検知用電極230とが重ねられて構成されている。
X軸検知用電極210は、フロントスクリーン120の主表面に、透明な金属(例えば、ITO)が蒸着されることによって形成され、形状は長方形である。
【0016】
Y軸検知用電極230は、透明絶縁フィルム240(例えば、厚さ50μmの絶縁性プラスチック薄膜製)の裏面に、透明な金属(例えば、ITO)が蒸着されることによって形成され、形状は、X軸検知用電極210と合同な長方形である。
スペーサ220は、透明な絶縁物(例えば、絶縁性プラスチック)製のドットスペーサがアレイ状に配列されてなり、Y軸検知用電極230が指等によって押下されていない場合に、X軸検知用電極210とY軸検知用電極230とが互いに接触しない状態となり、Y軸検知用電極230が指等によって押下されている場合に、Y軸検知用電極230におけるその押下されている部分が、X軸検知用電極210と接触する状態となるようにするためのものである。
【0017】
アンテナ構体130は、地上デジタルテレビ放送の信号を受信するためのアンテナであって、フロントスクリーン120の主表面のうち、X軸検知用電極210の外周を取り囲む位置に、X軸検知用電極210と同じ材質である透明な金属(例えば、ITO)が蒸着されることによって形成される。
アンテナ構体130は、X軸検知用電極210の辺毎に、それぞれ平行な部分を有する折れ曲がり形状となっていて、主表面側から見た場合における幅が5mmであって、直線状に伸ばしたときの長さが18cmである。
【0018】
X軸検知用電極210の辺に平行な部分のそれぞれは、対応するX軸検知用電極210の辺との距離が5mmとなっている。
なお、図1と図2とには、タッチパッド150とアンテナ構体130とが図示されているが、実際にはタッチパッド150とアンテナ構体130とは、透明な材質で形成されているため、視認されにくくなっている。
【0019】
図3は、図1中のA、Bを結ぶ鎖線位置における携帯電話機100の断面図である。
同図に示されるように、携帯電話機100は、前述のフレーム110とフロントスクリーン120とアンテナ構体130とタッチパッド150とに加えて、液晶ディスプレイ310とシール340と回路基板320とアンテナ接続部140とスプリングピン330とマイク350とレシーバ360と通話用アンテナ370と電池380とから構成される。
【0020】
図面が煩雑になるのを避けるため、図3には、図2に図示されている透明絶縁フィルム240が省略されている。また、図3には、タッチパッド150とアンテナ構体130とが図示されているが、実際にはタッチパッド150とアンテナ構体130とは、透明な材質で形成されているため、視認されにくくなっている。
回路基板320は、電子部品等を互いに電気的に接続させるための回路基板であって、液晶ディスプレイ310の背面側に配置され、プロセッサ(図示せず)、無線通信回路(図示せず)、テレビ受信回路(図示せず)、タッチパッドコントローラ(図示せず)、液晶ディスプレイコントローラ(図示せず)、メモリ(図示せず)等が装着されている。
【0021】
液晶ディスプレイ310は、フロントスクリーン120と回路基板320との間に挟まれて配置され、液晶ディスプレイコントローラ(図示せず)によって制御され、テレビ番組、図形、文字等を表示する機能を有する。
液晶ディスプレイ310とフロントスクリーン120とタッチパッド150とは、互いに重なることでタッチパネル200を形成している。タッチパネル200の操作面は、携帯電話機100の主表面のうち、タッチパッド150の主表面に対応する部分となっている。
【0022】
よって、タッチパッド150と重ならないように形成されているアンテナ構体130は、タッチパネル200の操作面と重ならない。
シール340は、フロントスクリーン120の裏面側外縁部に形成される、フロントスクリーン120の主表面側から見てロの字型をした不透明な接着シールであって、フロントスクリーン120とフレーム110とに接着され、フロントスクリーン120を、フレーム110に固定している。
【0023】
また、アンテナ構体130は、フロントスクリーン120の主表面のうち、シール340に対向する領域内に形成されている。
アンテナ接続部140は、導体(例えば、銅箔)でできた配線であって、アンテナ構体130とスプリングピン330とを電気的に接続している。
スプリングピン330は、先端がバネで伸縮する可動型プローブピンであって、導電性を有し、回路基板320に装着されているテレビ受信回路(図示せず)の入力端子と、アンテナ接続部140とを電気的に接続している。
【0024】
アンテナ構体130は、アンテナ接続部140とスプリングピン330とを介して、回路基板上に装着されているテレビ受信回路(図示せず)の入力端子に電気的に接続する。
通話用アンテナ370は、携帯電話システムにおける通信に利用される2GHz帯の信号を送受信するためのアンテナであって、回路基板320の裏面側に配置されている。
マイク350は、携帯電話機100を利用するユーザの声等を電気信号に変換するマイクであって、回路基板320の表面側に配置されている。
【0025】
レシーバ360は、電気信号を音声に変換するためのスピーカであって、回路基板320の表面側に配置されている。
電池380は、携帯電話機100を構成する各電子部品に電力を供給するための充電式電池であって、回路基板320の裏面側に配置されている。
以上のように構成される携帯電話機100の機能について、以下説明する。
【0026】
<機能>
携帯電話機100は、様々な機能を有している。以下に、携帯電話機100の有する機能のうち、主な機能である、コマンド受付機能、通話機能、テレビ受信機能について説明する。
コマンド受付機能:コマンド受付機能は、携帯電話機100を利用するユーザから携帯電話機100を操作するためのコマンドを受け付け、そのコマンドに対応する処理を実行する機能であって、以下の一連の処理によって実現される。
【0027】
プロセッサは、液晶ディスプレイコントローラを制御して、液晶ディスプレイ310に、携帯電話機100を操作するためのコマンドを示すアイコンの一覧を表示させる。
ユーザは、透明なフロントスクリーン120と透明なタッチパッド150とを通してアイコンの一覧を視認し、選択したいコマンドを示すアイコンの位置に対応する、タッチパッド150の主表面の部分を指等で接触することで、携帯電話機100を操作するためのコマンドを選択する。
【0028】
タッチパッドコントローラは、タッチパッド150がユーザの指等によって接触されると、その接触された位置を検知し、その接触された位置を示す電気信号を生成してプロセッサに出力する。
プロセッサは、タッチパッドコントローラから、接触された位置を示す電気信号を受けると、ユーザによって選択されたコマンドを特定し、そのコマンドに対応するプログラムを実行することで、携帯電話機100にそのコマンドに対応する処理を実行させる。
【0029】
通話機能:通話機能は、基地局を介して他の携帯電話機と通信し、自機のユーザと通信中の携帯電話機のユーザとを通話させる機能であって、以下の一連の処理によって実現される。
マイク350は、自機のユーザの発する声を電気信号に変換してプロセッサに出力する。
【0030】
プロセッサは、マイク350からの電気信号を受けると、携帯電話システムにおいて定められている所定のプロトコルに基づいて、符号化された信号を生成して、無線通信回路に出力する。
無線通信回路は、符号化された信号を受けると、携帯電話システムにおいて定められている所定の変調方法に基づいて変調して送信信号を生成し、通話用アンテナ370を用いて基地局に送信する。
【0031】
無線通信回路は、通話用アンテナ370を用いて基地局から信号を受信すると、携帯電話システムにおいて定められている所定の復調方法に基づいて復調して符号化された信号を生成し、プロセッサに出力する。
プロセッサは、無線通信回路から符号化された信号を受けると、携帯電話システムにおいて定められている所定のプロトコルに基づいて復号し、復号された信号に含まれる音声信号をレシーバ360に出力する。
【0032】
レシーバ360は、プロセッサから音声信号を受けると対応する音声を出力する。
テレビ放送受信機能:テレビ放送受信機能は、テレビ電波塔等から送信される地上デジタルテレビ放送の信号を受信し、液晶ディスプレイを用いてテレビ番組を表示する機能であって、以下の一連の処理によって実現される。
テレビ受信回路は、アンテナ構体130を用いてテレビ電波塔等から信号を受信すると、地上デジタルテレビシステムにおいて定められている所定の復調方法に基づいて復調して符号化された信号を生成し、プロセッサに出力する。
【0033】
プロセッサは、テレビ受信回路から符号化された信号を受け取ると、地上デジタルテレビシステムにおいて定められている所定のプロトコルに基づいて復号し、復号された信号に含まれる音声信号をレシーバ360に出力する。
プロセッサは、復号された信号に含まれる映像信号に基づいて、液晶ディスプレイコントローラを制御して、液晶ディスプレイ310に番組画面を表示させる。
【0034】
レシーバ360は、プロセッサから音声信号を受けると対応する番組音声を出力する。
以下、携帯電話機100の特徴について説明する。
<特徴>
携帯電話機100におけるタッチパネル300の操作面は、タッチパッド150の主表面となる。
【0035】
タッチパッド150とアンテナ構体130とは、互いに重なる部分がないため、タッチパッド150は、携帯電話機100を利用するユーザからのタッチパネル操作面への操作を正しく受け付けることができる。
アンテナ構体130は、金属を含む部品が多数装着されている基板から比較的遠い位置であるフロントスクリーン120の表面に形成されているため、地上デジタルテレビ放送の信号を良好に受信することができる。
【0036】
アンテナ構体130は、透明な金属(例えば、ITO製)によって形成されているため、ユーザによって視認されにくい。従って、アンテナ構体130による、携帯電話機100の主表面における意匠への影響は、限定的なものとなる。
アンテナ構体130は、携帯電話機100の主表面における意匠を損なう可能性が低い。
テレビ番組は、液晶ディスプレイ310に表示されるため、ユーザは、テレビ番組を視聴する場合に、携帯電話機100を、フロントスクリーン120の主表面側が他の物体によって遮られないように手に持って、又は机の上等に置いて視聴する。
【0037】
従って、フロントスクリーン120の表面に形成されているアンテナ構体130は、ユーザがテレビ番組を視聴する際に、他の物体によって遮られることがなく、地上デジタル放送の信号を良好に受信することができる。
<実施の形態2>
以下、本発明に係る携帯通信端末の一実施形態として、実施の形態1で説明した携帯電話機100の一部を変形した携帯電話機400について説明する。
【0038】
実施の形態1に係る携帯電話機100は、フロントスクリーン120の表面上にタッチパッド150が形成されている場合の例であったが、実施の形態2に係る携帯電話機400は、フロントスクリーンの裏面下にタッチパッドが形成されている場合の例となっている。
以下、実施の形態2に係る携帯電話機400の構成について、実施の形態1に係る携帯電話機100からの変更点を中心に、図面を用いて説明する。
【0039】
<構成>
図4は、携帯電話機400の平面図であり、図5は、図4中のA、Bを結ぶ鎖線位置における携帯電話機400の断面図である。
図4、図5に示されるように、携帯電話機400は、実施の形態1に係る携帯電話機100(図1、図3参照)から、フロントスクリーン120がフロントスクリーン420に変更され、タッチパッド150がタッチパッド450に変更され、シール340がシール540に変更されたものである。
【0040】
また、フロントスクリーン120がフロントスクリーン420に変更され、タッチパッド150がタッチパッド450に変更されたことに伴って、タッチパネル300は、タッチパネル500に変更されている。
フロントスクリーン420は、携帯電話機400の主表面側中央部となる位置に配置された、例えばガラス板製の透明な平板である。実施の形態1に係るフロントスクリーン120では、主表面上にタッチパッド150とアンテナ構体130とが形成されていたが、このフロントスクリーン420は、主表面上にアンテナ構体130が形成されている。
【0041】
タッチパッド450は、図示していないタッチパッドコントローラによって制御される静電容量方式のタッチパッドであって、透明な電極(例えば、ITO製)によって構成され、フロントスクリーン420と液晶ディスプレイ310との間に挟まれて配置されている。
アンテナ構体130とタッチパッド450とは、互いに重なることがない位置に形成されている。
【0042】
液晶ディスプレイ310とフロントスクリーン420とタッチパッド450とは、互いに重なることでタッチパネル500を形成している。
図4と図5とには、タッチパッド450とアンテナ構体130とが図示されているが、実際にはタッチパッド450とアンテナ構体130とは、透明な材質で形成されているため、視認されにくくなっている。
【0043】
シール540は、フロントスクリーン420の裏面側外縁部に形成される、フロントスクリーン120の主表面側から見てロの字型をした不透明な粘着シールである。実施の形態1に係るシール340は、フロントスクリーン120と液晶ディスプレイ310とフレーム110とに接着されていたが、このシール540は、フロントスクリーン420とフレーム110とに接着され、フロントスクリーン420をフレーム110に固定している。
【0044】
<機能>
携帯電話機400の有する機能は、実施の形態1に係る携帯電話機100の有する機能と同様の機能である。よって、ここではその説明を省略する。
<特徴>
携帯電話機400は、実施の形態1に係る携帯電話機100の特徴から、一部の特徴を除いて、同様の特徴を有する。従って、ここでは、携帯電話機400の特徴のうち、携帯電話機100の特徴と異なるものについて説明する。
【0045】
携帯電話機400におけるタッチパネル500の操作面は、フロントスクリーン420の主表面のうち、タッチパッド450に対向する部分となる。
タッチパネル500の操作面とアンテナ構体130とは、互いに重なる部分がないため、タッチパッド150は、携帯電話機100を利用するユーザからのタッチパネル操作面への操作を正しく受け付けることができる。
<実施の形態3>
以下、本発明に係る携帯通信端末の一実施形態として、実施の形態1で説明した携帯電話機100の一部を変形した携帯電話機600について説明する。
【0046】
実施の形態1に係る携帯電話機100は、アンテナ構体130がフロントスクリーン120の表面上に形成されている場合の例であったが、実施の形態3に係る携帯電話機600は、アンテナ構体がフロントスクリーン620の裏面側外縁部に形成されるロの字型をした不透明な粘着シールの背後に隠れる位置に形成されている場合の例である。
図6は、携帯電話機600の平面図であり、図7は、図6中のA、Bを結ぶ鎖線位置における携帯電話機600の断面図である。
【0047】
図6、図7に示されるように、携帯電話機600は、実施の形態1に係る携帯電話機100(図1、図3参照)から、フロントスクリーン120がフロントスクリーン620に変更され、アンテナ構体130がアンテナ構体630に変更され、シール340がシール740に変更され、スプリングピン330がスプリングピン730に変更され、アンテナ接続部140が削除されたものである。
【0048】
また、フロントスクリーン120がフロントスクリーン620に変更されたことに伴って、タッチパネル300は、タッチパネル700に変更されている。
フロントスクリーン620は、携帯電話機600の主表面側中央部となる位置に配置された、例えばガラス板製の透明な平板である。実施の形態1に係るフロントスクリーン120では、主表面上にタッチパッド150とアンテナ構体130とが形成されていたが、このフロントスクリーン620は、主表面上にタッチパッド150が形成されている。
【0049】
シール740は、フロントスクリーン620の裏面側外縁部に形成される、フロントスクリーン120の主表面側から見てロの字型をした不透明な粘着シールである。実施の形態1に係るシール340は、フロントスクリーン120とフレーム110とに接着されていたが、このシール740は、フロントスクリーン420とアンテナ構体630とフレーム110とに接着され、フロントスクリーン420とアンテナ構体630とをフレーム110に固定している。
【0050】
アンテナ構体630は、地上デジタルテレビ放送の信号を受信するためのアンテナであって、フィルム状の金属(例えば、銅箔)からなり、主表面の形状が実施の形態1におけるアンテナ構体130の主表面の形状と同じであって、シール740に接着されることでシール740の背後の位置に配置されている。
また、アンテナ構体630は、シール740の背後の位置に配置されることで、携帯電話機600の外部から視認されることはない。
【0051】
アンテナ構体630とタッチパッド150とは、互いに重なることがない位置に形成されている。
液晶ディスプレイ310とフロントスクリーン620とタッチパッド150とは、互いに重なることでタッチパネル700を形成している。
スプリングピン730は、先端がバネで伸縮する可動型プローブピンであって、導電性を有し、回路基板320に装着されているテレビ受信回路(図示せず)の入力端子と、アンテナ構体630とを電気的に接続している。
【0052】
図6と図7とには、タッチパッド150が図示されているが、実際にはタッチパッド150は、透明な材質で形成されているため、視認されにくくなっている。
<機能>
携帯電話機600の有する機能は、実施の形態1に係る携帯電話機100の有する機能と同様の機能である。よって、ここではその説明を省略する。
【0053】
<特徴>
携帯電話機600は、実施の形態1に係る携帯電話機100の特徴から、一部の特徴を除いて、同様の特徴を有する。従って、ここでは、携帯電話機600の特徴のうち、携帯電話機100の特徴と異なる特徴について説明する。
アンテナ構体630は、金属を含む部品が多数装着されている基板から比較的遠い位置であるフロントスクリーン620の裏面近傍に形成されているため、地上デジタルテレビ放送の信号を良好に受信することができる。
【0054】
アンテナ構体630は、シール740の背後の位置に配置されているため、携帯電話機600の外部から視認されることがない。従って、アンテナ構体630は、携帯電話機600の主表面における意匠を損なわない。
<補足>
以上、本発明に係る携帯通信端末の一実施形態として、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3において、3つの携帯電話の例について説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3で示した通りの携帯通信端末に限られないことはもちろんである。
(1)実施の形態1において、携帯通信端末の例として、携帯通信端末が携帯電話機である場合について説明したが、ユーザからの操作を受け付けるためのタッチパネルと、テレビ放送を受信するためのアンテナを有する携帯通信端末であれば、必ずしも携帯電話機に限られる必要はなく、例えば、タッチパネルを入力デバイスとし、無線通信機能とテレビ受信機能とを有するPDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)等であっても構わない。
(2)実施の形態1において、アンテナ構体130とX軸検知用電極210とは、互いに同じ材質である透明な金属(例えば、ITO製)によって形成される例について説明したが、アンテナ構体130とX軸検知用電極210とは、透明な金属であれば、必ずしも互いに同じ材質で形成される必要はなく、例えば、アンテナ構体130がITO製で、X軸検知用電極210がZnO(Zinc Oxide:酸化亜鉛)製であるとしても構わない。
(3)実施の形態1において、アンテナ構体130は、タッチパッド150の4辺を取り囲む形状である場合の例について説明したが、アンテナ構体130とタッチパッド150とが互いに重ならなければ、必ずしもアンテナ構体130は、タッチパッド150の4辺を取り囲む形状である必要はなく、例えば、タッチパッド150の2辺を取り囲むL字型であっても構わない。
【0055】
図8は、アンテナの形状がタッチパッドの2辺を取り囲むL字型である例における、タッチパッドとアンテナ構体との平面図である。
同図に示されるように、アンテナ構体830の主表面は、タッチパッド850の主表面の第1辺851に平行な部分と、タッチパッド850の主表面の第2辺852に平行な部分とを有するL字型形状となっている。
(4)実施の形態1において、タッチパッド150の主表面の形状が長方形である場合の例について説明したが、ユーザからの操作コマンドを受け付ける機能に支障のない形状であれば、例えば、菱形、正六角形等の長方形以外の形状であっても構わない。
(5)実施の形態1において、アンテナ構体130は、主表面側から見た場合における幅が5mmであって、直線状に伸ばしたときの長さが18cmであるとしたが、地上デジタルテレビ放送の信号を受信することができれば、必ずしも主表面側から見た場合における幅が5mmであって、直線状に伸ばしたときの長さが18cmである必要はなく、例えば、主表面側から見た場合における幅が1cmであって、直線状に伸ばしたときの長さが9cmであっても構わない。
(6)実施の形態1において、アンテナ構体130のX軸検知用電極210の辺に平行な部分のそれぞれは、対応するX軸検知用電極210の辺との距離が5mmであるとしたが、アンテナ構体130とX軸検知用電極210とが互いに接触することがなければ、必ずしも対応するX軸検知用電極210の辺との距離が5mmである必要はなく、例えば、対応するX軸検知用電極210の辺との距離が10mmであっても構わない。
(7)実施の形態1において、タッチパッド150は、4線式抵抗膜方式のタッチパッドを用いるとしたが、タッチパッドとしての機能を有するものであれば、必ずしも4線式抵抗膜方式のタッチパッドに限定されない。
【0056】
例えば、5線式以上の抵抗膜方式のタッチパッド、投影型静電容量式タッチパッド、表面型静電容量式タッチパッド等が考えられる。
(8)以下、さらに本発明の一実施形態に係る携帯通信端末の構成及びその変形例と各効果について説明する。
(a)本発明の一実施形態に係る携帯通信端末は、表面が入力操作面とされたタッチパネルを備える携帯通信端末であって、前記タッチパネルの入力操作面の外縁に沿って、導体からなるアンテナ構体が、表面近傍に敷設されていることを特徴とする。
【0057】
上述の構成を備える携帯通信端末は、アンテナ構体の敷設位置がタッチパネルの入力操作面と重ならないこととなる。よって、タッチパネルは、アンテナ構体によって、ユーザからのタッチパネル入力操作面への操作の検出を邪魔されることがない。
従って、ユーザからのタッチパネル入力操作面への操作の検知精度の悪化を抑えられるようになる。
【0058】
(b)また、前記アンテナ構体は、前記タッチパネルの入力操作面の外縁である多角形の各辺のうち、少なくとも隣り合う第1辺と第2辺との外側に沿って当該第1辺と当該第2辺とに並行しているとしてもよい。
これにより、アンテナ構体を、タッチパネルの入力操作面の第1辺に並行する直線部分と第2辺に並行する直線部分とを有する折れ曲がった形状とすることができる。
【0059】
従って、アンテナ構体を、1つの直線部分のみで構成されるものよりも長くすることができるようになる。
(c)また、前記アンテナ構体は、透明な材料からなるとしてもよい。
これにより、アンテナ構体は視認されにくいものとなるため、アンテナ構体による、携帯通信端末の外観における意匠への影響を、限定的なものとすることができる。
【0060】
(d)また、前記タッチパネルは、1つ以上の電極板を有し、前記アンテナ構体は、前記電極板の少なくとも1つと同一平面上に敷設されているとしてもよい。
一般に、-携帯通信端末を利用するユーザは、アンテナ構体が受信するテレビ放送信号をタッチパネルに表示させて視聴する場合に、携帯通信端末を、タッチパネルの主表面側が他の物体によって遮られないように手に持って、又は机の上等に置いて視聴する。
【0061】
よって、上述の構成を備える携帯通信端末は、ユーザがテレビ番組を視聴する際に、アンテナ構体が他の物体によって遮られることがないため、テレビ放送信号を良好に受信することができる。
(e)また、前記少なくとも1つの電極板は、透明な材料からなり、前記アンテナ構体は、前記少なくとも1つの電極板の透明な材料と同じ材料からなるとしてもよい。
【0062】
これにより、携帯通信端末の製造工程において、タッチパネルのうちの少なくとも1つの電極板の形成とアンテナ構体の形成とを互いに同じ製造設備を用いて実現することができるようになる。
(f)また、前記携帯通信端末は、表面の一部の領域に透明な絶縁フィルムを備え、前記アンテナ構体は、前記絶縁フィルムの背後に密着して敷設されているとしてもよい。
【0063】
これにより、アンテナ構体が絶縁フィルムの背後に形成されるため、携帯通信端末を利用するユーザは、携帯通信端末のどの部分を持ったとしても、アンテナに接触してしまうことがなくなる。
また、一般に、透明な絶縁フィルムは、厚さが数十μmである。
よって、アンテナ構体は、携帯通信端末の表面から数十μmの位置に形成されることとなるため、電波を比較的良好に受信することができる。
【0064】
(g)また、前記タッチパネルは、外縁部に不透明な枠体を有し、前記アンテナ構体は、前記携帯通信端末の外部から見て、前記枠体の背後に敷設されているとしてもよい。
これにより、携帯通信端末外部からアンテナ構体は視認されることがなくなるため、アンテナ構体による携帯通信端末の外観における意匠への影響を限定的なものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、タッチパネルとアンテナとを備える携帯通信端末に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
100 携帯電話機
110 フレーム
111 マイク開口部
112 レシーバ開口部
120 フロントスクリーン
130 アンテナ構体
140 アンテナ接続部
150 タッチパッド
300 タッチパネル
310 液晶ディスプレイ
320 回路基板
330 スプリングピン
340 シール
350 マイク
360 レシーバ
370 通話用アンテナ
380 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が入力操作面とされたタッチパネルを備える携帯通信端末であって、
前記タッチパネルの入力操作面の外縁に沿って、導体からなるアンテナ構体が、表面近傍に敷設されている
ことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記アンテナ構体は、前記タッチパネルの入力操作面の外縁である多角形の各辺のうち、少なくとも隣り合う第1辺と第2辺との外側に沿って当該第1辺と当該第2辺とに並行している
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記アンテナ構体は、透明な材料からなる
ことを特徴とする請求項2記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記タッチパネルは、1つ以上の電極板を有し、
前記アンテナ構体は、前記電極板の少なくとも1つと同一平面上に敷設されている
ことを特徴とする請求項3記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電極板は、透明な材料からなり、
前記アンテナ構体は、前記少なくとも1つの電極板の透明な材料と同じ材料からなる
ことを特徴とする請求項4記載の携帯通信端末。
【請求項6】
前記携帯通信端末は、表面の一部の領域に透明な絶縁フィルムを備え、
前記アンテナ構体は、前記絶縁フィルムの背後に密着して敷設されている
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項7】
前記タッチパネルは、外縁部に不透明な枠体を有し、
前記アンテナ構体は、前記携帯通信端末の外部から見て、前記枠体の背後に敷設されている
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−90206(P2012−90206A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237183(P2010−237183)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】