携帯電子機器及び地磁気センサ較正方法
【課題】電磁結合による非接触通信に伴う地磁気の検出精度の低下等に起因する方位に関する表示制度の低下を抑制できる携帯電子機器とその地磁気センサ較正方法を提供する。
【解決手段】非接触通信機能部(111)において非接触通信が行われた場合、その通信の終了後に地磁気センサ(110)のキャリブレーションに関わる処理および方位の算出する処理を実行することにより、非接触通信に伴う方位に関する表示精度の低下を抑制する。
【解決手段】非接触通信機能部(111)において非接触通信が行われた場合、その通信の終了後に地磁気センサ(110)のキャリブレーションに関わる処理および方位の算出する処理を実行することにより、非接触通信に伴う方位に関する表示精度の低下を抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地磁気センサを備えた携帯電子機器とその地磁気センサ較正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)を利用して現在地の地理的な位置を表示するナビゲーション機能を備えた携帯電話機が実用化されている。
このような携帯電話機には、一般に地磁気センサが搭載されており、現在地とともに方位を表示することが可能である。
例えば、進行方向に合わせて地図の表示方向を回転させるヘディングアップと称される表示方法によって、現在の位置と進行方向をユーザに分かり易く表示することができる。
【0003】
地磁気センサは、例えば磁気抵抗素子などの磁気検出素子を用いて、複数方向(通常は2軸方向又は3軸方向)の地磁気の強さを検出する。
しかしながら、地磁気は非常に微弱であるため、地磁気センサの検出値は他の磁気の影響を受け易い。
特に、地磁気センサが搭載された電子機器内部の部品に発生する磁気は、地磁気の検出値の大きな誤差要因となる。
電子機器の内部で発生する磁気は、電子機器をどの方角に向けても電子機器の内部に一定の磁界を生じるため、地磁気の検出値に固定的な誤差(オフセット)をもたらす。
地磁気センサによって地磁気を精度よく検出するためには、このオフセットを推定してセンサの検出値から除去するキャリブレーション(較正)が必須となる。
特許文献1〜8には、携帯電子機器に搭載される地磁気センサのキャリブレーションに関する技術が記載されている。
【0004】
他方、外部のリーダ/ライタ装置との間で電磁結合により非接触通信を行うICチップが普及しており、これを埋め込んだICカードが乗車券や銀行のキャッシュカード、電子マネーの媒体などに広く用いられている。
近年、このICカード機能を内蔵する携帯電話機が登場し、注目を集めている(例えば、特許文献9を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−291931号公報
【特許文献2】特開2005−291932号公報
【特許文献3】特開2005−291933号公報
【特許文献4】特開2005−291934号公報
【特許文献5】特開2005−291935号公報
【特許文献6】特開2005−291936号公報
【特許文献7】特開2005−345387号公報
【特許文献8】特開2005−345388号公報
【特許文献9】特開2003−16398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ICカード機能を内蔵する携帯電子機器は、リーダ/ライタ装置と非接触通信を行うときに強力な磁場にさらされるため、その内部の部品は着磁若しくは消磁されて、内部の磁界が大きく変化する場合がある。
したがって、そのような携帯電子機器に地磁気センサが搭載されると、非接触通信の前と後で機器内部の着磁状態が大きく変化し、地磁気の検出精度が低下するという問題がある。
【0007】
従って、電磁結合による非接触通信に伴う地磁気の検出精度の低下等に起因する方位に関する表示精度の低下を抑制できる携帯電子機器と、その地磁気センサ較正方法を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点によれば、情報を表示する表示部と、地磁気を検出する地磁気センサと、当該地磁気センサの検出値に基づいて方位を算出するとともに前記方位に関する情報を前記表示部に表示する制御部とを備える携帯電子機器において、電磁結合による非接触通信を行う非接触通信部と、フラグデータを記憶する記憶部と、を更に備え、前記制御部は、前記地磁気センサの較正に関わる較正関連処理を実行可能であり、前記非接触通信部において非接触通信が行われると前記フラグデータを第1の値にセットし、前記方位を算出して前記表示部に表示する際、前記記憶部にて前記フラグデータが前記第1の値にセットされているならば前記較正関連処理を実行するとともに前記フラグデータを第2の値にリセットすることを特徴とする。
【0009】
好適には、前記制御部は、前記方位を算出して前記表示部に表示するプログラムを処理している状態で前記非接触通信が行われる場合に、前記フラグデータを第1の値にセットすることを特徴とする。
【0010】
また、好適には、前記制御部は、前記方位を算出して前記表示部に表示する際に、前記記憶部にて前記フラグデータが前記第1の値にセットされている場合には、所定時間が経過してから前記較正関連処理を実行することを特徴とする。
【0011】
さらに好適には、前記制御部は、前記非接触通信が終了したときに、前記フラグデータを前記第1の値にセットすることを特徴とする。
【0012】
また、好適には、前記非接触通信部は、前記非接触通信中若しくは前記非接触通信の終了を前記制御部に通知し、前記制御部は、前記非接触通信部において前記非接触通信中が通知される状態から通知されない状態に遷移する、又は前記非接触通信の終了が通知されることにより前記非接触通信の終了を判定することを特徴とする。
【0013】
また、好適には、前記制御部は、前記地磁気センサの検出値の変化に基づいて前記非接触通信の終了を判定することを特徴とする。
【0014】
さらに好適には、前記制御部は、前記方位を算出して前記表示部に表示するプログラムを前記非接触通信後に開始する場合に前記記憶部にて前記フラグデータが前記第1の値にセットされているか否か判定することを特徴とする。
【0015】
また、好適には、開閉可能に連結された筐体を備え、前記制御部は、前記方位を算出した際に、前記筐体が開状態である場合には前記フラグデータの確認を行い、前記筐体が閉状態である場合には前記フラグデータの確認を行わないことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第2の観点によれば、地磁気を検出する地磁気センサと、当該地磁気センサの検出値に基づいて方位を算出するとともに前記方位に関する情報を前記表示部に表示する制御部と、電磁結合による非接触通信を行う非接触通信部と、フラグデータを記憶する記憶部とを備える携帯電子機器における地磁気センサの較正方法であって、前記地磁気センサの較正を行う較正ステップと、前記非接触通信部において非接触通信が行われると前記フラグデータを第1の値にセットするフラグセットステップと、前記方位を算出して前記表示部に表示する際、前記フラグデータの確認を行う確認ステップと、を有し、前記確認ステップにおいて、前記フラグデータが前記第1の値にセットされているならば前記較正ステップを実行するとともに前記フラグデータを第2の値にリセットすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電磁結合による非接触通信が行われた場合であっても、その後の方位の検出精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機(携帯電子機器)において地理的位置および地図の情報を取得するためのシステムの構成例を示す図である。
【図2】携帯電話機の外観の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る携帯電話機の構成例を示すブロック図である。
【図4】非接触通信機能部の構成の一例を示す図である。
【図5】携帯電話機におけるGPS信号受信処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】ナビゲーション処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】ナビゲーションサーバ装置から送信される地図情報の一例を示す図である。
【図8】方位の算出と表示に関わる処理の第1の例を示すフローチャートである。
【図9】非接触通信を監視する処理の第1の例を示すフローチャートである。
【図10】地磁気センサのキャリブレーションに関わる処理の第1の例を示すフローチャートである。
【図11】方位の算出と表示に関わる処理の第2の例を示すフローチャートである。
【図12】非接触通信を監視する処理の第2の例を示すフローチャートである。
【図13】地磁気センサのキャリブレーションに関わる処理の第2の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、GPSによるナビゲーション機能やICカード機能を搭載する多機能型の携帯電話機に適用された本発明の携帯電子機器について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る携帯電話機(携帯電子機器)100において地理的位置および地図の情報を取得するためのシステムの構成例を示す図である。
【0020】
携帯電話機100は、既知の軌道を周回する3つまたはそれ以上のGPS衛星200から送信されるGPS信号を受信する。
そして、受信したGPS信号に関する情報を、基地局300から通信網を経由してGPSサーバ装置401に送信し、現在地の位置情報をGPSサーバ装置401から取得する。
また、携帯電話機100は、GPSサーバ装置401から取得した現在地の位置情報を、基地局300から通信網を経由してナビゲーションサーバ装置402に送信し、現在地周辺の地図の情報をナビゲーションサーバ装置402から取得する。
【0021】
GPSサーバ装置401は、通信網を介して携帯電話機100から送られてくるGPS信号の情報に基づいて、携帯電話機100の地理的な位置(例えば緯度や経度など)を算出する。
そして、算出した位置情報を、通信網から基地局300を経由して携帯電話機100に送信する。
【0022】
ナビゲーションサーバ装置402は、通信網を介して携帯電話機100から送られてくる位置情報に基づいて、携帯電話機100周辺の地図の情報をデータベースから検索する。
そして、検索した地図情報を、通信網から基地局300を経由して携帯電話機100に送信する。
【0023】
図2は、携帯電話機100の外観の一例を示す図である。
図2(A)は正面方向からの斜視図であり、図2(B)は背面方向からの斜視図である。
【0024】
携帯電話機100は、図2に示すように、第1筐体(上部筐体)501と第2筐体(下部筐体)502とを有する。
これら2つの筐体501,502は、ヒンジ部503を介して折り畳み自在に連結されることにより、相互に開閉することができる。
【0025】
折り畳まれた状態(閉状態)において第2筐体502と対向する第1筐体501の面501Aには、表示部518(図3の107)とスピーカ504(図3の105)が配置される。
閉状態において第1筐体501と対向する第2筐体502の面502Aには、キー入力部517(図3の103)とマイクロフォン505(図3の106)が配置される。
【0026】
第2筐体502の内部には、非接触通信機能部506(図3の111)が内蔵される。
非接触通信機能部506は、通信回路等が形成されたICチップ510と、回路基板の配線により形成されたアンテナ520(図4の112)とを有する。
【0027】
第2筐体502のヒンジ部503には、基地局300と無線通信を行うための伸縮自在のアンテナ507(図3のAT1)が配置される。
【0028】
図3は、本発明の実施形態に係る携帯電話機100の構成例を示すブロック図である。
図3に示す携帯電話機100は、無線通信部101と、GPS信号受信部102と、キー入力部103と、音声処理部104と、スピーカ105と、マイクロフォン106と、表示部107と、記憶部108と、開閉判定部109と、地磁気センサ110と、非接触通信機能部111と、制御部120とを有する。
【0029】
無線通信部101は、基地局300との間の無線通信に関する処理を行う。
例えば、制御部120から出力される送信データに所定の変調処理を施して無線信号に変換し、アンテナAT1から送出する。
また、アンテナAT1において受信された無線信号に所定の復調処理を施して受信データを再生し、制御部120に出力する。
【0030】
GPS信号受信部102は、GPS衛星200から送出されるGPS信号を受信して増幅、ノイズ除去、変調等の信号処理を施し、GPSサーバ装置401において携帯電話機100の地理的位置を算出するために必要な情報を取得する。
【0031】
キー入力部103は、例えば電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、各種の機能が割り当てられたキーを有しており、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部120に入力する。
【0032】
音声処理部104は、スピーカ105において出力される音声信号やマイクロフォン106において入力される音声信号の処理を行う。
すなわち、マイクロフォン106から入力される音声信号に増幅、アナログ−デジタル変換、符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部120に出力する。
また、制御部120から供給される音声データに復号化、デジタル−アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカ105に出力する。
【0033】
表示部107は、例えば液晶表示パネルや有機ELパネルなどの表示デバイスを用いて構成されており、制御部120から供給される映像信号に応じた画像を表示する。
例えば、発信時における発信先の電話番号、着信時における着信相手の電話番号、受信メールや送信メールの内容、日付、時刻、バッテリ残量、待ち受け画面などの各種の情報や画像を表示する。
また後述するように、ナビゲーションを行う時には現在地周辺の地図を表示する。
【0034】
記憶部108は、制御部120において処理に利用される各種のデータを記憶する。
例えば、制御部120に備わるコンピュータのプログラム、電話番号や電子メールアドレス等の個人情報を管理するアドレス帳、着信音やアラーム音を再生するための音声ファイル、各種の設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータなどを保持する。
【0035】
記憶部108は、例えば不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
【0036】
開閉判定部109は、ヒンジ部503を介して連結された第1筐体501と第2筐体502の開閉状態を判定する。
例えば、開閉判定部109は、第1筐体501と第2筐体502とが重なった状態になる閉状態を検出するスイッチ等の検出器を含んでおり、閉状態とそれ以外の状態とを判別する。
【0037】
地磁気センサ110は、方位の算出に用いられる地磁気を検出する。
地磁気センサ110は、例えば第2筐体502の内部の回路基板に配置されており、回路基板上に設定された所定の座標系(2軸又は3軸)を基準として、その各軸方向の地磁気を検出する。
地磁気の検出には、例えば磁気抵抗素子の抵抗値を検出する方法や、コイルの励磁を利用する方法、ホール効果を利用する方法など、種々の方法が用いられる。
【0038】
地磁気センサ110は、例えば、磁気により状態の変動する素子部分(磁気抵抗素子など)と、この素子部分の変動値を周期的に検出するドライバ部とにより構成されている。
そして、制御部120が記憶部108に格納されるナビゲーションのプログラムなどに含まれる電子コンパスのプログラムに基づきドライバ部を駆動して周期的な検出を行わせ、更にこの検出結果を周期的に検出する。
そして、素子部分及びドライバ部分による検出値から、後に説明するオフセット誤差を補正することにより、正確な方位の算出を行う。
本実施形態では、このオフセット誤差の算出と補正に関わる処理を地磁気センサ110の較正(キャリブレーション)と呼ぶことがある。
【0039】
非接触通信機能部111は、外部のリーダ/ライタ装置600と電磁結合による非接触通信を行う。
非接触通信機能部111は、例えば外部のリーダ/ライタ装置600から電磁波として発せられるAM変調信号を受信すると、負荷変調などの方法によってリーダ/ライタ装置600へ応答を返すことにより、外部のリーダ/ライタ装置600との間で情報をやり取りする。
【0040】
図4は、非接触通信機能部111の構成の一例を示す図である。
図4に示す非接触通信機能部111は、アンテナ112と、送受信部113と、暗号処理部114と、記憶部115と、ICカード制御部116とを有する。
【0041】
送受信部113は、アンテナ112において受信される信号からベースバンド信号を復調するとともに、受信信号のキャリア成分に基づいてクロック信号を再生し、このクロック信号に同期してベースバンド信号を復号化し、受信データを取得する。
また、ICカード制御部116から供給される送信データを符号化して送信信号を生成し、この送信信号に応じてアンテナ112を駆動することにより、リーダ/ライタ装置600に情報を送信する。
なお、アンテナ112はコイルとして機能し、リーダ/ライタ装置600からの電磁波を受けると励磁されて電磁結合する。
リーダ/ライタ装置600からの電磁波の強弱変動などによって生成された信号がアンテナ112にて受信され、送受信部113及び非接触通信機能制御部116によりアンテナ112側の誘導起電力の変動から受信信号を抽出する。
送受信部113をはじめ、暗号処理部114、記憶部115、非接触通信機能制御部116は携帯電話機100側の電源により駆動されてもよいし、アンテナ112からの誘導起電力により駆動されてもよい。
【0042】
暗号処理部114は、リーダ/ライタ装置600との間でやり取りされる情報の暗号化や復号化に関わる処理を行う。
【0043】
記憶部115は、リーダ/ライタ装置600と通信を開始するために必要な暗号鍵や、各種の機密情報を記憶する。
また記憶部115は、電子マネー情報なども記憶する。
具体的には金額情報であり、リーダ/ライタ装置600との通信や、無線通信101を用いて電子マネー管理サーバ(不図示)に接続しての通信により金額のチャージが行われる。
【0044】
ICカード制御部116は、リーダ/ライタ装置600と所定の通信プロトコルに基づいて通信を行い、情報をやり取りするための処理を行う。
例えばリーダ/ライタ装置600は、図示しない認証装置と接続されており、この認証装置において所定の暗号鍵により暗号化された乱数を非接触通信機能部111に送信する。
ICカード制御部116は、記憶部115の暗号鍵を用いて、この暗号化された乱数を暗号処理部114により復号化し、リーダ/ライタ装置600へ返信する。
認証装置は、リーダ/ライタ装置600に返信された乱数と元の乱数とを比較することにより、非接触通信機能部111が正規に登録された暗号鍵を保有しているか否か判定する。
更に、商品購入などを行うときには、リーダ/ライタ装置600との通信を行い、非接触通信機能制御部116は、購入する商品に該当する金額を記憶部115の記憶残高から減算する処理を行う。
【0045】
制御部120は、携帯電話機100の全体的な動作を統括的に制御する。
すなわち、携帯電話機100の各種の処理(回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWebサイトの閲覧、ナビゲーション処理など)がキー入力部103の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各ユニットの動作(無線通信部101における信号の送受信、GPS信号受信部102におけるGPS信号の受信動作、音声処理部104における音声の入出力、表示部107における画像の表示など)を制御する。
例えば制御部120は、記憶部108に格納されるプログラム(オペレーティングシステム、アプリケーション等)に基づいて処理を実行するコンピュータを備えており、このプログラムにおいて指示された手順に従って上述した処理を実行する。
【0046】
制御部120は、ナビゲーション機能に関連する処理として、地磁気センサ110の検出値に基づいて方位を算出する処理や、GPS信号受信部102で受信したGPS信号の情報をGPSサーバ装置401に送信して現在地の位置情報を取得する処理、この位置情報をナビゲーションサーバ装置402に送信して現在地周辺の地図の情報を取得する処理、基地局300からの測位用信号と方位の算出結果とに基づいて現在地を割り出す処理、方位の算出結果に応じて表示部107の画面上における地図の向きを制御する処理(ヘディングアップ表示処理)などを行う。
制御部120は、これらの処理を記憶部108に記憶されるナビゲーション用のアプリケーションプログラム(以下、ナビゲーションアプリと記す)によって実行する。
【0047】
また、制御部120は、非接触通信機能部111において非接触通信が行われた場合、その通信の終了後に地磁気センサ110のキャリブレーションに関わる処理を実行する。
キャリブレーションに関わる処理としては、例えば、地磁気センサ110のキャリブレーションを促すメッセージや画像を表示部107に表示したり、地磁気センサ110の自動キャリブレーションを実行したりする。
【0048】
携帯電子機器100の内部には、例えばシールドケースやメモリカードホルダ、補強用板金など、電子部品や金属部品が含まれている。
これらは、強い磁界を受けると着磁して、磁気を帯びて極性を持つ状態になり、磁界を発生する。
リーダ/ライタ装置600により発生する磁界もこの例外ではなく、携帯電子機器100に着磁を引き起こす。
他方、携帯電話機100の内部は狭く、地磁気センサ110には上記のように着磁しやすい部品が近接してレイアウトされる。
そのため、地磁気センサ110には純粋な地磁気による磁界の他に、携帯電話機100内部の着磁した部品により発生する磁界が加わる。
地磁気センサ100のキャリブレーションは、このような携帯電話機100内部の磁界に基づいて生じる検出値の固定的なオフセット誤差を算出して補正するものである。
地平面に対して携帯電話機100を回転すると、地磁気センサ110に加わる地磁気の磁界は回転動作に伴って変化するが、地磁気センサ100に対して位置関係が固定された携帯電話機100内部の部品により発生する磁界は回転動作によって変化しない。
そこで制御部120は、例えば、携帯電話機100の筐体を地平面に対して水平に回転させる動作(すなわち地磁気センサ100の2軸分のパラメータを変化させる動作)をユーザに実行させている間に、地磁気センサ100の検出値を複数取得し、この複数の検出値に基づいて固定的なオフセット誤差を算出している。
【0049】
なお、地磁気センサ110が3軸以上の地磁気を検出可能である場合は、各軸ごとの検出方法を変えたサンプルを順次取得することにより、筐体を回転させることなくオフセット誤差を算出すること(すなわち自動キャリブレーション)が可能である。
【0050】
制御部120は、上述したキャリブレーションに関わる処理を非接触通信が終了した後に毎回行ってもよい。
ただし、方位の算出以外に地磁気センサの検出値を利用しない場合は、非接触通信の度にキャリブレーションを行っても無駄であるため、その場合には、非接触通信が終了してから方位の算出を開始する際に、キャリブレーションに関わる処理を実行してもよい。
例えば制御部120は、非接触通信の終了後にナビゲーションアプリを起動する場合や、ナビゲーションアプリの動作中に非接触通信が終了した場合など、非接触通信が終了してからナビゲーションアプリにおいて方位を算出する際に、地磁気センサ110のキャリブレーションに関わる処理を実行する。
【0051】
制御部120は、非接触通信が終了したか否かについての判定を、非接触通信機能部111から出力されるステータス信号に基づいて行う。
例えば、非接触通信機能部111から非接触通信の開始時点と終了時点を示すステータス信号が出力されるものとすると、制御部120はその終了時点を示すステータス信号に応じて非接触通信の終了を判定する。
また、非接触通信機能部111(非接触通信機能制御部116)から非接触通信中にのみステータス信号が出力されるものとすると、制御部120はそのステータス信号が受信される状態が生じてから受信されない状態に遷移することにより非接触通信中の状態が終了したと判定する。
また制御部120は、地磁気センサ110の検出値の変化に基づいて、非接触通信が終了したか否かを判定してもよい。
例えば、地磁気センサ110の検出値の時間平均が所定のしきい値を超えたとき、リーダ/ライタ部600の磁界に進入した(すなわち非接触通信を開始した)と判定し、このしきい値を超えた状態から元の状態へ戻ったとき、非接触通信を終了したと判定してもよい。
【0052】
更に制御部120は、非接触通信が終了したと判定した場合、その判定から所定時間が経過した後で、地磁気センサ110のキャリブレーションに関わる処理(キャリブレーションを促す表示、自動キャリブレーションなど)を実行してもよい。
これにより、非接触通信直後の周辺磁場や携帯電話機内部の磁場の不安定な状態でのキャリブレーションが防止される。
【0053】
また制御部120は、開閉判定部109において第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれていない開状態にあると判定されている場合、すなわち方位の情報を表示する表示部104の画面が露出されている場合にのみ、地磁気センサ110のキャリブレーションに関わる処理を実行してもよい。
地磁気センサ110のキャリブレーション結果は、地平面に対する筐体の角度に応じて変化する。
制御部120は、方位の情報がユーザに表示される状態(すなわち筐体が地平面に対して概ね水平になる状態)において最も精度よく方位を算出できるようにキャリブレーション演算を行う。
したがって、方位の情報を表示可能な状態でキャリブレーションに関わる処理を実行することにより、方位の算出精度が向上する。
【0054】
また一般的に、閉状態はユーザが表示部104を見る意思を持っていない状態であるとも言える。
したがって、この閉状態においては筐体が水平になっていない可能性が高く、この状態でのキャリブレーションの精度は低いものとなることが予想される。
【0055】
ここで、上述した構成を有する携帯電話機100の動作について、本発明に関連するナビゲーション機能を中心に説明する。
【0056】
まず、GPS信号の受信処理について述べる。
【0057】
図5は、携帯電話機100におけるGPS信号受信処理の一例を示すフローチャートである。
【0058】
制御部120は、例えば2秒間隔といった一定のタイミングでGPS信号受信部102を制御して、衛星からのGPS信号のスキャンを行う(ステップST102,ST104)。
スキャンの結果、GPS信号を受信できた場合には、その情報を記憶部108に格納する(ST106)。
このようなGPS信号のスキャンと情報の格納を、受信可能な全ての衛星について繰り返す(ステップST108,ST104,ST106)。
全ての衛星についてスキャンを行ったら、次のGPS信号受信タイミングまで待って、再びステップST104〜108の処理を行う。
制御部160は、このようなGPS信号受信処理を、例えば電源がオンの期間において常に実行する。
【0059】
次に、ナビゲーション処理について述べる。
【0060】
図6は、ナビゲーション処理の一例を示すフローチャートである。
【0061】
制御部120は、例えばキー入力部103におけるキー入力操作等によってナビゲーション処理の開始が選択されると(ステップST122)、制御部120はナビゲーションアプリを起動する。
まず制御部120は、上述したGPS受信処理によって得られた情報を無線通信部101から基地局300、通信網を介して、GPSサーバ装置401に送信する処理を行う(ステップST124)。
GPSサーバ装置401は、携帯電話機100からGPSの情報を受信すると、この受信したGPS情報に基づいて携帯電話機100の現在地の位置(例えば緯度、経度の情報)を算出し、その算出結果を通信網から基地局300を経由して、携帯電話機100に送信する。
【0062】
携帯電話機100は、GPSサーバ装置401から送信される位置情報を受信して、記憶部108に格納する(ステップST126)。
【0063】
次に、制御部120は、無線通信部101から基地局300、通信網を介してナビゲーションサーバ装置402にアクセスし(ステップST128)、取得した位置情報をナビゲーションサーバ装置402へ送信する(ステップST130)。
ナビゲーションサーバ装置402は、携帯電話機100から位置情報を受信すると、この位置情報によって特定される携帯電話機100の現在地周辺の地図の情報をデータベースから検索し、該検索した地図情報を通信網から基地局300を経由して携帯電話機100に送信する。
携帯電話機100は、ナビゲーションサーバ装置402から送信される地図情報を受信して、記憶部109に格納する(ステップST132)。
【0064】
図7は、ナビゲーションサーバ装置402から送信される地図情報の一例を示す図である。
本実施形態では、一例として、地図情報にそれぞれ固有の識別番号が割り当てられているものとする。
ナビゲーションサーバ装置402は、この識別番号に基づいて、所定サイズ(例えば1km四方)ごとに地図のデータを管理しており、携帯電話機100へ地図情報を送信する場合には、この識別番号を地図のデータに添付して送信する。
図7の例において、現在地周辺の地図は識別番号MP0であり、その四方の地図は識別番号MP1〜MP4である。
【0065】
このような地図情報を取得すると、制御部160は、取得した地図情報に基づいて現在地周辺の地図の画像データを生成し、表示部107の表示パネルに地図を表示させる(ステップST134)。
【0066】
表示パネルに表示される地図の領域は、例えば図7に示すように、ナビゲーションサーバ装置402から取得した1km四方の地図より狭い領域(例えば200m×300m)である。
【0067】
地図の表示方法は、例えばノースアップ表示(地図上の北を画面の上に向ける表示)とヘディングアップ表示(地図上の進行方向を画面の上に向ける表示)の何れかを選択することが可能である。
キー入力部103のキー操作によってノースアップ表示が選択された場合、制御部120は、地図の北方向を表示画面の上方向に固定させて表示部107に表示させる。
この場合、制御部120は、携帯電話機100の向きとして、地磁気センサ110からの検出値に基づいて計算した結果を、地図と共に表示部107にコンパスの形をかたどったアイコンなどにより表示させる。
【0068】
一方、キー入力部103のキー操作によってヘディングアップ表示が選択された場合、制御部120は、地磁気センサ110の検出値に基づいて算出した方位に応じて、表示画面における地図の向きを制御する。
例えば進行方向の方位が表示画面の上方に向かうように地図の向きを制御する。
【0069】
上述のようにして地図の表示を始めると、制御部120は、キー入力部103のキー操作によってナビゲーション処理の終了が選択されるまでの間、次に述べるステップST138以降の処理を繰り返す(ステップST136)。
【0070】
まず、制御部120は、携帯電話機100周囲の複数(例えば3つ以上)の基地局300から送出される測位用の基準信号を無線通信部101に受信させ、その受信信号に基づいて現在地の位置を算出する(ステップST138)。
そして、現在地の算出結果から携帯電話機100の移動の有無を判定し(ステップST140)、携帯電話機100が移動していないと判定した場合は、基地局300からの基準信号に基づく現在地の算出を引き続き行う(ST138)。
【0071】
ステップST140において、携帯電話機100が移動したと判定した場合、制御部120は、その移動先の地点が現在取得している地図の端の領域にあるか否かを判定する(ステップST142)。
例えば、表示部107に表示すべき地図の一部が、現在取得している地図に含まれておらず、これに隣接する地図に含まれている場合、現在地が地図の端の領域にあると判定する。
現在地が端領域にあると判定した場合、制御部120は、この端領域に隣接する地図をナビゲーションサーバ装置146に要求する(ステップST146)。
例えば、現在取得中の地図の識別番号と、この地図に対して東西南北の何れの方位に隣接するかを指示する情報とを、ナビゲーションサーバ装置146に送信する。
ナビゲーションサーバ装置402は、携帯電話機100から送られるこれらの情報に応じた地図をデータベースから検出して、携帯電話機100に送信する。
携帯電話機100は、ナビゲーションサーバ装置402から送信される地図情報を受信して記憶部109に格納し(ステップST132)、この地図情報に応じた地図を表示部107に表示させる(ステップST134)。
その後は、ステップST138以降の処理を繰り返す。
また、現在地が端領域にないと判定した場合、制御部120は、現在地の算出結果に応じて、例えば携帯電話機100の現在地が地図の中央になるように地図の表示領域を移動させる処理を行い、その後は、ステップST138以降の処理を繰り返す。
【0072】
次に、ナビゲーションアプリにおける方位の算出と表示について説明する。
【0073】
図8は、方位の算出と表示に関わる処理の第1の例を示すフローチャートである。
【0074】
ナビゲーションアプリが起動すると、まず制御部120は、非接触通信機能部111において通信が行われたか否かを判定する(ステップST205)。
例えば制御部120は、図9のフローチャートに示すように、電源がオンの状態において、非接触通信が行われたか否かを常に監視し(ステップST305)、非接触通信が行われると、記憶部108に格納される通信終了フラグfg1を「1」にセットする(ステップST310)。
制御部120は、この通信終了フラグfg1の値を調べることにより、非接触通信機能部111において通信が行われたか否かを判定する。
【0075】
非接触通信機能部111において通信が行われたと判定した場合、制御部120は、地磁気センサ110のキャリブレーションに関わる処理を実行する(ステップST210)。
例えば制御部120は、図10のフローチャートに示すように、キャリブレーションを促すメッセージや画像を表示部107に表示して、携帯電話機100の筐体を回転させる等の操作をユーザに行わせることによりキャリブレーションを実行する。
地磁気センサ110が3軸型の場合は、筐体の回転が不要な自動キャリブレーションを実行してもよい(ステップST405)。
制御部120は、キャリブレーションにより得たオフセット値のデータを記憶部108に格納する。
キャリブレーションの終了後、制御部120は上述した通信終了フラグfg1を「0」にリセットする(ステップST410,ST415)。
【0076】
次に制御部120は、地磁気センサ110の検出値を取得し(ステップST215)、この取得した検出値と記憶部109に格納されるオフセット値とに基づいて、方位を算出する(ステップST220)。
【0077】
方位を算出すると、制御部120は上述した通信終了フラグfg1の値に基づいて非接触通信が行われたか否かを判定し、行われたと判定した場合は、例えば図10のフローチャートに示すように、キャリブレーションに関わる処理を実行する(ステップST230)。
キャリブレーションに関わる処理を実行すると、再びステップST215に戻って、地磁気センサ110の検出値取得と方位の算出を行う(ステップST215,ST220)。
非接触通信が行われていないと判定した場合、制御部120は表示部107における方位の表示を更新する(ステップST235)。
例えば、現在の方位を示す画像を更新したり(コンパスの絵を回転させる等)、ヘディングアップ表示を行っている場合には地図の向きを更新する。
ナビゲーションアプリの終了が選択されるまで(ステップST240)、上述したステップST215〜ST235を反復する。
【0078】
以上説明したように、本実施形態によれば、非接触通信機能部111において非接触通信が行われた場合、その通信の終了後に地磁気センサ110のキャリブレーションに関わる処理が実行されるため、非接触通信に伴う地磁気の検出精度の低下を抑制することができる。
【0079】
また、非接触通信が終了してから方位の算出を開始する際(非接触通信の終了後にナビゲーションアプリを起動する場合、ナビゲーションアプリの起動中に非接触通信が終了した場合など)にキャリブレーション処理を実行することによって、非接触通信の終了後に毎回キャリブレーションを行う場合に比べて、消費電力を削減することができる。
【0080】
具体的には、例えば非接触通信機能部が、電車の自動改札の入出のための課金体系に対応しており、ナビゲーション中に電車を利用する場合などが想定できる。
歩行者向けのナビゲーションのサービスには、電車の乗り換え指示等も含まれており、必然的に電車の自動改札を経由することが考えられる。
すなわち、ナビゲーション中に自動改札(リーダ/ライタ装置600の一例)との非接触通信を行う、又は、自動改札での非接触通信直後にナビゲーションを起動する、といったことが想定される。
このような場合でも、本実施形態によれば、でき得る限りの高精度、かつ無駄のないキャリブレーションを施した方位の特定が可能になり、より確実にユーザを目的地へ導くことができる。
【0081】
次に、方位の算出と表示に関わる処理の第2の例について、図11のフローチャートを参照して説明する。
【0082】
図11に示すフローチャートは、図8に示すフローチャートにステップST222を設けたものである。
制御部120は、ステップST225の判定処理を行う前に、開閉判定部109の判定結果に基づいて筐体が閉状態か否かを判定する。
閉状態と判定した場合、制御部120は、ステップST225の判定処理や、ステップST230のキャリブレーション処理、ステップST235の表示更新処理を行わずに、ステップST215へ戻る。
これにより、方位を表示できない状態で非接触通信が行われる場合には、無駄なキャリブレーションを実行しないようにして、電力消費の削減を図ることができる。
また、方位を表示できない閉状態では正確なキャリブレーションを実行できない可能性が高いため、このような状態でキャリブレーションを行わないようにすることで、方位の算出精度の低下を防止することができる。
【0083】
次に、非接触通信が終了してからキャリブレーション処理を実行するまでに一定の待ち時間を設ける場合の処理の一例について、図12及び図13を参照して説明する。
【0084】
この場合、制御部120は、図12のフローチャートに示すように、図9に示す非接触通信の監視処理において新たにステップST315,ST320,ST325を追加することにより、待ち時間終了フラグfg2を設定する。
すなわち制御部120は、非接触通信の終了を検出すると(ステップST305)、通信終了フラグfg1を「1」にセットするとともに(ステップST310)、所定時間の計時を行うタイマをスタートさせる(ステップST315)。
タイマにおいて所定時間が計時されると(ステップST320)、制御部120は待ち時間終了フラグfg2を「1」にセットする(ステップST325)。
【0085】
他方、制御部120は、図13のフローチャートに示すように、図10に示すキャリブレーション処理に新たなステップST400を追加して、キャリブレーションを実行するまでの待ち時間を設ける。
すなわち、制御部120は、上述した待ち時間終了フラグfg2が「1」になるまで、ステップST405のキャリブレーション処理への移行を停止する。
非接触通信の終了から所定時間が経過して、通信終了フラグfg1が「1」になると、制御部120はステップST405のキャリブレーション処理を実行する。
キャリブレーションが終了すると(ステップST410)、制御部120は通信終了フラグfg1及び待ち時間終了フラグをともに「0」にリセットする。
このように、非接触通信の終了からキャリブレーションの実行までに一定の待ち時間を設けることによって、非接触通信直後の不安定な状態でキャリブレーションが実行されることを防止できる。
【0086】
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明は上記の形態のみに限定されるものではない。
【0087】
例えば、制御部120の処理は上述のようにコンピュータでソフトウェアによって実行してもよいし、その少なくとも一部をハードウェアで実行してもよい。
【0088】
本発明の携帯電子機器は携帯電話機に限定されるものではなく、携帯ゲーム機やPDA(personal digital assistants)、ノートブック型コンピュータなど、地磁気センサを搭載可能な種々の携帯電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
101…無線通信部、102…GPS信号受信部、103…キー入力部、104…音声処理部、105…スピーカ、106…マイクロフォン、107…表示部、108…記憶部、109…開閉判定部、110…地磁気センサ、111…非接触通信機能部、120…制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、地磁気センサを備えた携帯電子機器とその地磁気センサ較正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)を利用して現在地の地理的な位置を表示するナビゲーション機能を備えた携帯電話機が実用化されている。
このような携帯電話機には、一般に地磁気センサが搭載されており、現在地とともに方位を表示することが可能である。
例えば、進行方向に合わせて地図の表示方向を回転させるヘディングアップと称される表示方法によって、現在の位置と進行方向をユーザに分かり易く表示することができる。
【0003】
地磁気センサは、例えば磁気抵抗素子などの磁気検出素子を用いて、複数方向(通常は2軸方向又は3軸方向)の地磁気の強さを検出する。
しかしながら、地磁気は非常に微弱であるため、地磁気センサの検出値は他の磁気の影響を受け易い。
特に、地磁気センサが搭載された電子機器内部の部品に発生する磁気は、地磁気の検出値の大きな誤差要因となる。
電子機器の内部で発生する磁気は、電子機器をどの方角に向けても電子機器の内部に一定の磁界を生じるため、地磁気の検出値に固定的な誤差(オフセット)をもたらす。
地磁気センサによって地磁気を精度よく検出するためには、このオフセットを推定してセンサの検出値から除去するキャリブレーション(較正)が必須となる。
特許文献1〜8には、携帯電子機器に搭載される地磁気センサのキャリブレーションに関する技術が記載されている。
【0004】
他方、外部のリーダ/ライタ装置との間で電磁結合により非接触通信を行うICチップが普及しており、これを埋め込んだICカードが乗車券や銀行のキャッシュカード、電子マネーの媒体などに広く用いられている。
近年、このICカード機能を内蔵する携帯電話機が登場し、注目を集めている(例えば、特許文献9を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−291931号公報
【特許文献2】特開2005−291932号公報
【特許文献3】特開2005−291933号公報
【特許文献4】特開2005−291934号公報
【特許文献5】特開2005−291935号公報
【特許文献6】特開2005−291936号公報
【特許文献7】特開2005−345387号公報
【特許文献8】特開2005−345388号公報
【特許文献9】特開2003−16398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ICカード機能を内蔵する携帯電子機器は、リーダ/ライタ装置と非接触通信を行うときに強力な磁場にさらされるため、その内部の部品は着磁若しくは消磁されて、内部の磁界が大きく変化する場合がある。
したがって、そのような携帯電子機器に地磁気センサが搭載されると、非接触通信の前と後で機器内部の着磁状態が大きく変化し、地磁気の検出精度が低下するという問題がある。
【0007】
従って、電磁結合による非接触通信に伴う地磁気の検出精度の低下等に起因する方位に関する表示精度の低下を抑制できる携帯電子機器と、その地磁気センサ較正方法を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点によれば、情報を表示する表示部と、地磁気を検出する地磁気センサと、当該地磁気センサの検出値に基づいて方位を算出するとともに前記方位に関する情報を前記表示部に表示する制御部とを備える携帯電子機器において、電磁結合による非接触通信を行う非接触通信部と、フラグデータを記憶する記憶部と、を更に備え、前記制御部は、前記地磁気センサの較正に関わる較正関連処理を実行可能であり、前記非接触通信部において非接触通信が行われると前記フラグデータを第1の値にセットし、前記方位を算出して前記表示部に表示する際、前記記憶部にて前記フラグデータが前記第1の値にセットされているならば前記較正関連処理を実行するとともに前記フラグデータを第2の値にリセットすることを特徴とする。
【0009】
好適には、前記制御部は、前記方位を算出して前記表示部に表示するプログラムを処理している状態で前記非接触通信が行われる場合に、前記フラグデータを第1の値にセットすることを特徴とする。
【0010】
また、好適には、前記制御部は、前記方位を算出して前記表示部に表示する際に、前記記憶部にて前記フラグデータが前記第1の値にセットされている場合には、所定時間が経過してから前記較正関連処理を実行することを特徴とする。
【0011】
さらに好適には、前記制御部は、前記非接触通信が終了したときに、前記フラグデータを前記第1の値にセットすることを特徴とする。
【0012】
また、好適には、前記非接触通信部は、前記非接触通信中若しくは前記非接触通信の終了を前記制御部に通知し、前記制御部は、前記非接触通信部において前記非接触通信中が通知される状態から通知されない状態に遷移する、又は前記非接触通信の終了が通知されることにより前記非接触通信の終了を判定することを特徴とする。
【0013】
また、好適には、前記制御部は、前記地磁気センサの検出値の変化に基づいて前記非接触通信の終了を判定することを特徴とする。
【0014】
さらに好適には、前記制御部は、前記方位を算出して前記表示部に表示するプログラムを前記非接触通信後に開始する場合に前記記憶部にて前記フラグデータが前記第1の値にセットされているか否か判定することを特徴とする。
【0015】
また、好適には、開閉可能に連結された筐体を備え、前記制御部は、前記方位を算出した際に、前記筐体が開状態である場合には前記フラグデータの確認を行い、前記筐体が閉状態である場合には前記フラグデータの確認を行わないことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第2の観点によれば、地磁気を検出する地磁気センサと、当該地磁気センサの検出値に基づいて方位を算出するとともに前記方位に関する情報を前記表示部に表示する制御部と、電磁結合による非接触通信を行う非接触通信部と、フラグデータを記憶する記憶部とを備える携帯電子機器における地磁気センサの較正方法であって、前記地磁気センサの較正を行う較正ステップと、前記非接触通信部において非接触通信が行われると前記フラグデータを第1の値にセットするフラグセットステップと、前記方位を算出して前記表示部に表示する際、前記フラグデータの確認を行う確認ステップと、を有し、前記確認ステップにおいて、前記フラグデータが前記第1の値にセットされているならば前記較正ステップを実行するとともに前記フラグデータを第2の値にリセットすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電磁結合による非接触通信が行われた場合であっても、その後の方位の検出精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機(携帯電子機器)において地理的位置および地図の情報を取得するためのシステムの構成例を示す図である。
【図2】携帯電話機の外観の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る携帯電話機の構成例を示すブロック図である。
【図4】非接触通信機能部の構成の一例を示す図である。
【図5】携帯電話機におけるGPS信号受信処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】ナビゲーション処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】ナビゲーションサーバ装置から送信される地図情報の一例を示す図である。
【図8】方位の算出と表示に関わる処理の第1の例を示すフローチャートである。
【図9】非接触通信を監視する処理の第1の例を示すフローチャートである。
【図10】地磁気センサのキャリブレーションに関わる処理の第1の例を示すフローチャートである。
【図11】方位の算出と表示に関わる処理の第2の例を示すフローチャートである。
【図12】非接触通信を監視する処理の第2の例を示すフローチャートである。
【図13】地磁気センサのキャリブレーションに関わる処理の第2の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、GPSによるナビゲーション機能やICカード機能を搭載する多機能型の携帯電話機に適用された本発明の携帯電子機器について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る携帯電話機(携帯電子機器)100において地理的位置および地図の情報を取得するためのシステムの構成例を示す図である。
【0020】
携帯電話機100は、既知の軌道を周回する3つまたはそれ以上のGPS衛星200から送信されるGPS信号を受信する。
そして、受信したGPS信号に関する情報を、基地局300から通信網を経由してGPSサーバ装置401に送信し、現在地の位置情報をGPSサーバ装置401から取得する。
また、携帯電話機100は、GPSサーバ装置401から取得した現在地の位置情報を、基地局300から通信網を経由してナビゲーションサーバ装置402に送信し、現在地周辺の地図の情報をナビゲーションサーバ装置402から取得する。
【0021】
GPSサーバ装置401は、通信網を介して携帯電話機100から送られてくるGPS信号の情報に基づいて、携帯電話機100の地理的な位置(例えば緯度や経度など)を算出する。
そして、算出した位置情報を、通信網から基地局300を経由して携帯電話機100に送信する。
【0022】
ナビゲーションサーバ装置402は、通信網を介して携帯電話機100から送られてくる位置情報に基づいて、携帯電話機100周辺の地図の情報をデータベースから検索する。
そして、検索した地図情報を、通信網から基地局300を経由して携帯電話機100に送信する。
【0023】
図2は、携帯電話機100の外観の一例を示す図である。
図2(A)は正面方向からの斜視図であり、図2(B)は背面方向からの斜視図である。
【0024】
携帯電話機100は、図2に示すように、第1筐体(上部筐体)501と第2筐体(下部筐体)502とを有する。
これら2つの筐体501,502は、ヒンジ部503を介して折り畳み自在に連結されることにより、相互に開閉することができる。
【0025】
折り畳まれた状態(閉状態)において第2筐体502と対向する第1筐体501の面501Aには、表示部518(図3の107)とスピーカ504(図3の105)が配置される。
閉状態において第1筐体501と対向する第2筐体502の面502Aには、キー入力部517(図3の103)とマイクロフォン505(図3の106)が配置される。
【0026】
第2筐体502の内部には、非接触通信機能部506(図3の111)が内蔵される。
非接触通信機能部506は、通信回路等が形成されたICチップ510と、回路基板の配線により形成されたアンテナ520(図4の112)とを有する。
【0027】
第2筐体502のヒンジ部503には、基地局300と無線通信を行うための伸縮自在のアンテナ507(図3のAT1)が配置される。
【0028】
図3は、本発明の実施形態に係る携帯電話機100の構成例を示すブロック図である。
図3に示す携帯電話機100は、無線通信部101と、GPS信号受信部102と、キー入力部103と、音声処理部104と、スピーカ105と、マイクロフォン106と、表示部107と、記憶部108と、開閉判定部109と、地磁気センサ110と、非接触通信機能部111と、制御部120とを有する。
【0029】
無線通信部101は、基地局300との間の無線通信に関する処理を行う。
例えば、制御部120から出力される送信データに所定の変調処理を施して無線信号に変換し、アンテナAT1から送出する。
また、アンテナAT1において受信された無線信号に所定の復調処理を施して受信データを再生し、制御部120に出力する。
【0030】
GPS信号受信部102は、GPS衛星200から送出されるGPS信号を受信して増幅、ノイズ除去、変調等の信号処理を施し、GPSサーバ装置401において携帯電話機100の地理的位置を算出するために必要な情報を取得する。
【0031】
キー入力部103は、例えば電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、各種の機能が割り当てられたキーを有しており、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部120に入力する。
【0032】
音声処理部104は、スピーカ105において出力される音声信号やマイクロフォン106において入力される音声信号の処理を行う。
すなわち、マイクロフォン106から入力される音声信号に増幅、アナログ−デジタル変換、符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部120に出力する。
また、制御部120から供給される音声データに復号化、デジタル−アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカ105に出力する。
【0033】
表示部107は、例えば液晶表示パネルや有機ELパネルなどの表示デバイスを用いて構成されており、制御部120から供給される映像信号に応じた画像を表示する。
例えば、発信時における発信先の電話番号、着信時における着信相手の電話番号、受信メールや送信メールの内容、日付、時刻、バッテリ残量、待ち受け画面などの各種の情報や画像を表示する。
また後述するように、ナビゲーションを行う時には現在地周辺の地図を表示する。
【0034】
記憶部108は、制御部120において処理に利用される各種のデータを記憶する。
例えば、制御部120に備わるコンピュータのプログラム、電話番号や電子メールアドレス等の個人情報を管理するアドレス帳、着信音やアラーム音を再生するための音声ファイル、各種の設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータなどを保持する。
【0035】
記憶部108は、例えば不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
【0036】
開閉判定部109は、ヒンジ部503を介して連結された第1筐体501と第2筐体502の開閉状態を判定する。
例えば、開閉判定部109は、第1筐体501と第2筐体502とが重なった状態になる閉状態を検出するスイッチ等の検出器を含んでおり、閉状態とそれ以外の状態とを判別する。
【0037】
地磁気センサ110は、方位の算出に用いられる地磁気を検出する。
地磁気センサ110は、例えば第2筐体502の内部の回路基板に配置されており、回路基板上に設定された所定の座標系(2軸又は3軸)を基準として、その各軸方向の地磁気を検出する。
地磁気の検出には、例えば磁気抵抗素子の抵抗値を検出する方法や、コイルの励磁を利用する方法、ホール効果を利用する方法など、種々の方法が用いられる。
【0038】
地磁気センサ110は、例えば、磁気により状態の変動する素子部分(磁気抵抗素子など)と、この素子部分の変動値を周期的に検出するドライバ部とにより構成されている。
そして、制御部120が記憶部108に格納されるナビゲーションのプログラムなどに含まれる電子コンパスのプログラムに基づきドライバ部を駆動して周期的な検出を行わせ、更にこの検出結果を周期的に検出する。
そして、素子部分及びドライバ部分による検出値から、後に説明するオフセット誤差を補正することにより、正確な方位の算出を行う。
本実施形態では、このオフセット誤差の算出と補正に関わる処理を地磁気センサ110の較正(キャリブレーション)と呼ぶことがある。
【0039】
非接触通信機能部111は、外部のリーダ/ライタ装置600と電磁結合による非接触通信を行う。
非接触通信機能部111は、例えば外部のリーダ/ライタ装置600から電磁波として発せられるAM変調信号を受信すると、負荷変調などの方法によってリーダ/ライタ装置600へ応答を返すことにより、外部のリーダ/ライタ装置600との間で情報をやり取りする。
【0040】
図4は、非接触通信機能部111の構成の一例を示す図である。
図4に示す非接触通信機能部111は、アンテナ112と、送受信部113と、暗号処理部114と、記憶部115と、ICカード制御部116とを有する。
【0041】
送受信部113は、アンテナ112において受信される信号からベースバンド信号を復調するとともに、受信信号のキャリア成分に基づいてクロック信号を再生し、このクロック信号に同期してベースバンド信号を復号化し、受信データを取得する。
また、ICカード制御部116から供給される送信データを符号化して送信信号を生成し、この送信信号に応じてアンテナ112を駆動することにより、リーダ/ライタ装置600に情報を送信する。
なお、アンテナ112はコイルとして機能し、リーダ/ライタ装置600からの電磁波を受けると励磁されて電磁結合する。
リーダ/ライタ装置600からの電磁波の強弱変動などによって生成された信号がアンテナ112にて受信され、送受信部113及び非接触通信機能制御部116によりアンテナ112側の誘導起電力の変動から受信信号を抽出する。
送受信部113をはじめ、暗号処理部114、記憶部115、非接触通信機能制御部116は携帯電話機100側の電源により駆動されてもよいし、アンテナ112からの誘導起電力により駆動されてもよい。
【0042】
暗号処理部114は、リーダ/ライタ装置600との間でやり取りされる情報の暗号化や復号化に関わる処理を行う。
【0043】
記憶部115は、リーダ/ライタ装置600と通信を開始するために必要な暗号鍵や、各種の機密情報を記憶する。
また記憶部115は、電子マネー情報なども記憶する。
具体的には金額情報であり、リーダ/ライタ装置600との通信や、無線通信101を用いて電子マネー管理サーバ(不図示)に接続しての通信により金額のチャージが行われる。
【0044】
ICカード制御部116は、リーダ/ライタ装置600と所定の通信プロトコルに基づいて通信を行い、情報をやり取りするための処理を行う。
例えばリーダ/ライタ装置600は、図示しない認証装置と接続されており、この認証装置において所定の暗号鍵により暗号化された乱数を非接触通信機能部111に送信する。
ICカード制御部116は、記憶部115の暗号鍵を用いて、この暗号化された乱数を暗号処理部114により復号化し、リーダ/ライタ装置600へ返信する。
認証装置は、リーダ/ライタ装置600に返信された乱数と元の乱数とを比較することにより、非接触通信機能部111が正規に登録された暗号鍵を保有しているか否か判定する。
更に、商品購入などを行うときには、リーダ/ライタ装置600との通信を行い、非接触通信機能制御部116は、購入する商品に該当する金額を記憶部115の記憶残高から減算する処理を行う。
【0045】
制御部120は、携帯電話機100の全体的な動作を統括的に制御する。
すなわち、携帯電話機100の各種の処理(回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWebサイトの閲覧、ナビゲーション処理など)がキー入力部103の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各ユニットの動作(無線通信部101における信号の送受信、GPS信号受信部102におけるGPS信号の受信動作、音声処理部104における音声の入出力、表示部107における画像の表示など)を制御する。
例えば制御部120は、記憶部108に格納されるプログラム(オペレーティングシステム、アプリケーション等)に基づいて処理を実行するコンピュータを備えており、このプログラムにおいて指示された手順に従って上述した処理を実行する。
【0046】
制御部120は、ナビゲーション機能に関連する処理として、地磁気センサ110の検出値に基づいて方位を算出する処理や、GPS信号受信部102で受信したGPS信号の情報をGPSサーバ装置401に送信して現在地の位置情報を取得する処理、この位置情報をナビゲーションサーバ装置402に送信して現在地周辺の地図の情報を取得する処理、基地局300からの測位用信号と方位の算出結果とに基づいて現在地を割り出す処理、方位の算出結果に応じて表示部107の画面上における地図の向きを制御する処理(ヘディングアップ表示処理)などを行う。
制御部120は、これらの処理を記憶部108に記憶されるナビゲーション用のアプリケーションプログラム(以下、ナビゲーションアプリと記す)によって実行する。
【0047】
また、制御部120は、非接触通信機能部111において非接触通信が行われた場合、その通信の終了後に地磁気センサ110のキャリブレーションに関わる処理を実行する。
キャリブレーションに関わる処理としては、例えば、地磁気センサ110のキャリブレーションを促すメッセージや画像を表示部107に表示したり、地磁気センサ110の自動キャリブレーションを実行したりする。
【0048】
携帯電子機器100の内部には、例えばシールドケースやメモリカードホルダ、補強用板金など、電子部品や金属部品が含まれている。
これらは、強い磁界を受けると着磁して、磁気を帯びて極性を持つ状態になり、磁界を発生する。
リーダ/ライタ装置600により発生する磁界もこの例外ではなく、携帯電子機器100に着磁を引き起こす。
他方、携帯電話機100の内部は狭く、地磁気センサ110には上記のように着磁しやすい部品が近接してレイアウトされる。
そのため、地磁気センサ110には純粋な地磁気による磁界の他に、携帯電話機100内部の着磁した部品により発生する磁界が加わる。
地磁気センサ100のキャリブレーションは、このような携帯電話機100内部の磁界に基づいて生じる検出値の固定的なオフセット誤差を算出して補正するものである。
地平面に対して携帯電話機100を回転すると、地磁気センサ110に加わる地磁気の磁界は回転動作に伴って変化するが、地磁気センサ100に対して位置関係が固定された携帯電話機100内部の部品により発生する磁界は回転動作によって変化しない。
そこで制御部120は、例えば、携帯電話機100の筐体を地平面に対して水平に回転させる動作(すなわち地磁気センサ100の2軸分のパラメータを変化させる動作)をユーザに実行させている間に、地磁気センサ100の検出値を複数取得し、この複数の検出値に基づいて固定的なオフセット誤差を算出している。
【0049】
なお、地磁気センサ110が3軸以上の地磁気を検出可能である場合は、各軸ごとの検出方法を変えたサンプルを順次取得することにより、筐体を回転させることなくオフセット誤差を算出すること(すなわち自動キャリブレーション)が可能である。
【0050】
制御部120は、上述したキャリブレーションに関わる処理を非接触通信が終了した後に毎回行ってもよい。
ただし、方位の算出以外に地磁気センサの検出値を利用しない場合は、非接触通信の度にキャリブレーションを行っても無駄であるため、その場合には、非接触通信が終了してから方位の算出を開始する際に、キャリブレーションに関わる処理を実行してもよい。
例えば制御部120は、非接触通信の終了後にナビゲーションアプリを起動する場合や、ナビゲーションアプリの動作中に非接触通信が終了した場合など、非接触通信が終了してからナビゲーションアプリにおいて方位を算出する際に、地磁気センサ110のキャリブレーションに関わる処理を実行する。
【0051】
制御部120は、非接触通信が終了したか否かについての判定を、非接触通信機能部111から出力されるステータス信号に基づいて行う。
例えば、非接触通信機能部111から非接触通信の開始時点と終了時点を示すステータス信号が出力されるものとすると、制御部120はその終了時点を示すステータス信号に応じて非接触通信の終了を判定する。
また、非接触通信機能部111(非接触通信機能制御部116)から非接触通信中にのみステータス信号が出力されるものとすると、制御部120はそのステータス信号が受信される状態が生じてから受信されない状態に遷移することにより非接触通信中の状態が終了したと判定する。
また制御部120は、地磁気センサ110の検出値の変化に基づいて、非接触通信が終了したか否かを判定してもよい。
例えば、地磁気センサ110の検出値の時間平均が所定のしきい値を超えたとき、リーダ/ライタ部600の磁界に進入した(すなわち非接触通信を開始した)と判定し、このしきい値を超えた状態から元の状態へ戻ったとき、非接触通信を終了したと判定してもよい。
【0052】
更に制御部120は、非接触通信が終了したと判定した場合、その判定から所定時間が経過した後で、地磁気センサ110のキャリブレーションに関わる処理(キャリブレーションを促す表示、自動キャリブレーションなど)を実行してもよい。
これにより、非接触通信直後の周辺磁場や携帯電話機内部の磁場の不安定な状態でのキャリブレーションが防止される。
【0053】
また制御部120は、開閉判定部109において第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれていない開状態にあると判定されている場合、すなわち方位の情報を表示する表示部104の画面が露出されている場合にのみ、地磁気センサ110のキャリブレーションに関わる処理を実行してもよい。
地磁気センサ110のキャリブレーション結果は、地平面に対する筐体の角度に応じて変化する。
制御部120は、方位の情報がユーザに表示される状態(すなわち筐体が地平面に対して概ね水平になる状態)において最も精度よく方位を算出できるようにキャリブレーション演算を行う。
したがって、方位の情報を表示可能な状態でキャリブレーションに関わる処理を実行することにより、方位の算出精度が向上する。
【0054】
また一般的に、閉状態はユーザが表示部104を見る意思を持っていない状態であるとも言える。
したがって、この閉状態においては筐体が水平になっていない可能性が高く、この状態でのキャリブレーションの精度は低いものとなることが予想される。
【0055】
ここで、上述した構成を有する携帯電話機100の動作について、本発明に関連するナビゲーション機能を中心に説明する。
【0056】
まず、GPS信号の受信処理について述べる。
【0057】
図5は、携帯電話機100におけるGPS信号受信処理の一例を示すフローチャートである。
【0058】
制御部120は、例えば2秒間隔といった一定のタイミングでGPS信号受信部102を制御して、衛星からのGPS信号のスキャンを行う(ステップST102,ST104)。
スキャンの結果、GPS信号を受信できた場合には、その情報を記憶部108に格納する(ST106)。
このようなGPS信号のスキャンと情報の格納を、受信可能な全ての衛星について繰り返す(ステップST108,ST104,ST106)。
全ての衛星についてスキャンを行ったら、次のGPS信号受信タイミングまで待って、再びステップST104〜108の処理を行う。
制御部160は、このようなGPS信号受信処理を、例えば電源がオンの期間において常に実行する。
【0059】
次に、ナビゲーション処理について述べる。
【0060】
図6は、ナビゲーション処理の一例を示すフローチャートである。
【0061】
制御部120は、例えばキー入力部103におけるキー入力操作等によってナビゲーション処理の開始が選択されると(ステップST122)、制御部120はナビゲーションアプリを起動する。
まず制御部120は、上述したGPS受信処理によって得られた情報を無線通信部101から基地局300、通信網を介して、GPSサーバ装置401に送信する処理を行う(ステップST124)。
GPSサーバ装置401は、携帯電話機100からGPSの情報を受信すると、この受信したGPS情報に基づいて携帯電話機100の現在地の位置(例えば緯度、経度の情報)を算出し、その算出結果を通信網から基地局300を経由して、携帯電話機100に送信する。
【0062】
携帯電話機100は、GPSサーバ装置401から送信される位置情報を受信して、記憶部108に格納する(ステップST126)。
【0063】
次に、制御部120は、無線通信部101から基地局300、通信網を介してナビゲーションサーバ装置402にアクセスし(ステップST128)、取得した位置情報をナビゲーションサーバ装置402へ送信する(ステップST130)。
ナビゲーションサーバ装置402は、携帯電話機100から位置情報を受信すると、この位置情報によって特定される携帯電話機100の現在地周辺の地図の情報をデータベースから検索し、該検索した地図情報を通信網から基地局300を経由して携帯電話機100に送信する。
携帯電話機100は、ナビゲーションサーバ装置402から送信される地図情報を受信して、記憶部109に格納する(ステップST132)。
【0064】
図7は、ナビゲーションサーバ装置402から送信される地図情報の一例を示す図である。
本実施形態では、一例として、地図情報にそれぞれ固有の識別番号が割り当てられているものとする。
ナビゲーションサーバ装置402は、この識別番号に基づいて、所定サイズ(例えば1km四方)ごとに地図のデータを管理しており、携帯電話機100へ地図情報を送信する場合には、この識別番号を地図のデータに添付して送信する。
図7の例において、現在地周辺の地図は識別番号MP0であり、その四方の地図は識別番号MP1〜MP4である。
【0065】
このような地図情報を取得すると、制御部160は、取得した地図情報に基づいて現在地周辺の地図の画像データを生成し、表示部107の表示パネルに地図を表示させる(ステップST134)。
【0066】
表示パネルに表示される地図の領域は、例えば図7に示すように、ナビゲーションサーバ装置402から取得した1km四方の地図より狭い領域(例えば200m×300m)である。
【0067】
地図の表示方法は、例えばノースアップ表示(地図上の北を画面の上に向ける表示)とヘディングアップ表示(地図上の進行方向を画面の上に向ける表示)の何れかを選択することが可能である。
キー入力部103のキー操作によってノースアップ表示が選択された場合、制御部120は、地図の北方向を表示画面の上方向に固定させて表示部107に表示させる。
この場合、制御部120は、携帯電話機100の向きとして、地磁気センサ110からの検出値に基づいて計算した結果を、地図と共に表示部107にコンパスの形をかたどったアイコンなどにより表示させる。
【0068】
一方、キー入力部103のキー操作によってヘディングアップ表示が選択された場合、制御部120は、地磁気センサ110の検出値に基づいて算出した方位に応じて、表示画面における地図の向きを制御する。
例えば進行方向の方位が表示画面の上方に向かうように地図の向きを制御する。
【0069】
上述のようにして地図の表示を始めると、制御部120は、キー入力部103のキー操作によってナビゲーション処理の終了が選択されるまでの間、次に述べるステップST138以降の処理を繰り返す(ステップST136)。
【0070】
まず、制御部120は、携帯電話機100周囲の複数(例えば3つ以上)の基地局300から送出される測位用の基準信号を無線通信部101に受信させ、その受信信号に基づいて現在地の位置を算出する(ステップST138)。
そして、現在地の算出結果から携帯電話機100の移動の有無を判定し(ステップST140)、携帯電話機100が移動していないと判定した場合は、基地局300からの基準信号に基づく現在地の算出を引き続き行う(ST138)。
【0071】
ステップST140において、携帯電話機100が移動したと判定した場合、制御部120は、その移動先の地点が現在取得している地図の端の領域にあるか否かを判定する(ステップST142)。
例えば、表示部107に表示すべき地図の一部が、現在取得している地図に含まれておらず、これに隣接する地図に含まれている場合、現在地が地図の端の領域にあると判定する。
現在地が端領域にあると判定した場合、制御部120は、この端領域に隣接する地図をナビゲーションサーバ装置146に要求する(ステップST146)。
例えば、現在取得中の地図の識別番号と、この地図に対して東西南北の何れの方位に隣接するかを指示する情報とを、ナビゲーションサーバ装置146に送信する。
ナビゲーションサーバ装置402は、携帯電話機100から送られるこれらの情報に応じた地図をデータベースから検出して、携帯電話機100に送信する。
携帯電話機100は、ナビゲーションサーバ装置402から送信される地図情報を受信して記憶部109に格納し(ステップST132)、この地図情報に応じた地図を表示部107に表示させる(ステップST134)。
その後は、ステップST138以降の処理を繰り返す。
また、現在地が端領域にないと判定した場合、制御部120は、現在地の算出結果に応じて、例えば携帯電話機100の現在地が地図の中央になるように地図の表示領域を移動させる処理を行い、その後は、ステップST138以降の処理を繰り返す。
【0072】
次に、ナビゲーションアプリにおける方位の算出と表示について説明する。
【0073】
図8は、方位の算出と表示に関わる処理の第1の例を示すフローチャートである。
【0074】
ナビゲーションアプリが起動すると、まず制御部120は、非接触通信機能部111において通信が行われたか否かを判定する(ステップST205)。
例えば制御部120は、図9のフローチャートに示すように、電源がオンの状態において、非接触通信が行われたか否かを常に監視し(ステップST305)、非接触通信が行われると、記憶部108に格納される通信終了フラグfg1を「1」にセットする(ステップST310)。
制御部120は、この通信終了フラグfg1の値を調べることにより、非接触通信機能部111において通信が行われたか否かを判定する。
【0075】
非接触通信機能部111において通信が行われたと判定した場合、制御部120は、地磁気センサ110のキャリブレーションに関わる処理を実行する(ステップST210)。
例えば制御部120は、図10のフローチャートに示すように、キャリブレーションを促すメッセージや画像を表示部107に表示して、携帯電話機100の筐体を回転させる等の操作をユーザに行わせることによりキャリブレーションを実行する。
地磁気センサ110が3軸型の場合は、筐体の回転が不要な自動キャリブレーションを実行してもよい(ステップST405)。
制御部120は、キャリブレーションにより得たオフセット値のデータを記憶部108に格納する。
キャリブレーションの終了後、制御部120は上述した通信終了フラグfg1を「0」にリセットする(ステップST410,ST415)。
【0076】
次に制御部120は、地磁気センサ110の検出値を取得し(ステップST215)、この取得した検出値と記憶部109に格納されるオフセット値とに基づいて、方位を算出する(ステップST220)。
【0077】
方位を算出すると、制御部120は上述した通信終了フラグfg1の値に基づいて非接触通信が行われたか否かを判定し、行われたと判定した場合は、例えば図10のフローチャートに示すように、キャリブレーションに関わる処理を実行する(ステップST230)。
キャリブレーションに関わる処理を実行すると、再びステップST215に戻って、地磁気センサ110の検出値取得と方位の算出を行う(ステップST215,ST220)。
非接触通信が行われていないと判定した場合、制御部120は表示部107における方位の表示を更新する(ステップST235)。
例えば、現在の方位を示す画像を更新したり(コンパスの絵を回転させる等)、ヘディングアップ表示を行っている場合には地図の向きを更新する。
ナビゲーションアプリの終了が選択されるまで(ステップST240)、上述したステップST215〜ST235を反復する。
【0078】
以上説明したように、本実施形態によれば、非接触通信機能部111において非接触通信が行われた場合、その通信の終了後に地磁気センサ110のキャリブレーションに関わる処理が実行されるため、非接触通信に伴う地磁気の検出精度の低下を抑制することができる。
【0079】
また、非接触通信が終了してから方位の算出を開始する際(非接触通信の終了後にナビゲーションアプリを起動する場合、ナビゲーションアプリの起動中に非接触通信が終了した場合など)にキャリブレーション処理を実行することによって、非接触通信の終了後に毎回キャリブレーションを行う場合に比べて、消費電力を削減することができる。
【0080】
具体的には、例えば非接触通信機能部が、電車の自動改札の入出のための課金体系に対応しており、ナビゲーション中に電車を利用する場合などが想定できる。
歩行者向けのナビゲーションのサービスには、電車の乗り換え指示等も含まれており、必然的に電車の自動改札を経由することが考えられる。
すなわち、ナビゲーション中に自動改札(リーダ/ライタ装置600の一例)との非接触通信を行う、又は、自動改札での非接触通信直後にナビゲーションを起動する、といったことが想定される。
このような場合でも、本実施形態によれば、でき得る限りの高精度、かつ無駄のないキャリブレーションを施した方位の特定が可能になり、より確実にユーザを目的地へ導くことができる。
【0081】
次に、方位の算出と表示に関わる処理の第2の例について、図11のフローチャートを参照して説明する。
【0082】
図11に示すフローチャートは、図8に示すフローチャートにステップST222を設けたものである。
制御部120は、ステップST225の判定処理を行う前に、開閉判定部109の判定結果に基づいて筐体が閉状態か否かを判定する。
閉状態と判定した場合、制御部120は、ステップST225の判定処理や、ステップST230のキャリブレーション処理、ステップST235の表示更新処理を行わずに、ステップST215へ戻る。
これにより、方位を表示できない状態で非接触通信が行われる場合には、無駄なキャリブレーションを実行しないようにして、電力消費の削減を図ることができる。
また、方位を表示できない閉状態では正確なキャリブレーションを実行できない可能性が高いため、このような状態でキャリブレーションを行わないようにすることで、方位の算出精度の低下を防止することができる。
【0083】
次に、非接触通信が終了してからキャリブレーション処理を実行するまでに一定の待ち時間を設ける場合の処理の一例について、図12及び図13を参照して説明する。
【0084】
この場合、制御部120は、図12のフローチャートに示すように、図9に示す非接触通信の監視処理において新たにステップST315,ST320,ST325を追加することにより、待ち時間終了フラグfg2を設定する。
すなわち制御部120は、非接触通信の終了を検出すると(ステップST305)、通信終了フラグfg1を「1」にセットするとともに(ステップST310)、所定時間の計時を行うタイマをスタートさせる(ステップST315)。
タイマにおいて所定時間が計時されると(ステップST320)、制御部120は待ち時間終了フラグfg2を「1」にセットする(ステップST325)。
【0085】
他方、制御部120は、図13のフローチャートに示すように、図10に示すキャリブレーション処理に新たなステップST400を追加して、キャリブレーションを実行するまでの待ち時間を設ける。
すなわち、制御部120は、上述した待ち時間終了フラグfg2が「1」になるまで、ステップST405のキャリブレーション処理への移行を停止する。
非接触通信の終了から所定時間が経過して、通信終了フラグfg1が「1」になると、制御部120はステップST405のキャリブレーション処理を実行する。
キャリブレーションが終了すると(ステップST410)、制御部120は通信終了フラグfg1及び待ち時間終了フラグをともに「0」にリセットする。
このように、非接触通信の終了からキャリブレーションの実行までに一定の待ち時間を設けることによって、非接触通信直後の不安定な状態でキャリブレーションが実行されることを防止できる。
【0086】
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明は上記の形態のみに限定されるものではない。
【0087】
例えば、制御部120の処理は上述のようにコンピュータでソフトウェアによって実行してもよいし、その少なくとも一部をハードウェアで実行してもよい。
【0088】
本発明の携帯電子機器は携帯電話機に限定されるものではなく、携帯ゲーム機やPDA(personal digital assistants)、ノートブック型コンピュータなど、地磁気センサを搭載可能な種々の携帯電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
101…無線通信部、102…GPS信号受信部、103…キー入力部、104…音声処理部、105…スピーカ、106…マイクロフォン、107…表示部、108…記憶部、109…開閉判定部、110…地磁気センサ、111…非接触通信機能部、120…制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示部と、地磁気を検出する地磁気センサと、当該地磁気センサの検出値に基づいて方位を算出するとともに前記方位に関する情報を前記表示部に表示する制御部とを備える携帯電子機器において、
電磁結合による非接触通信を行う非接触通信部と、
フラグデータを記憶する記憶部と、を更に備え、
前記制御部は、
前記地磁気センサの較正に関わる較正関連処理を実行可能であり、前記非接触通信部において非接触通信が行われると前記フラグデータを第1の値にセットし、
前記方位を算出して前記表示部に表示する際、前記記憶部にて前記フラグデータが前記第1の値にセットされているならば前記較正関連処理を実行するとともに前記フラグデータを第2の値にリセットする
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記方位を算出して前記表示部に表示するプログラムを処理している状態で前記非接触通信が行われる場合に、前記フラグデータを第1の値にセットする
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記方位を算出して前記表示部に表示する際に、前記記憶部にて前記フラグデータが前記第1の値にセットされている場合には、所定時間が経過してから前記較正関連処理を実行する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記非接触通信が終了したときに、前記フラグデータを前記第1の値にセットする
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記非接触通信部は、前記非接触通信中若しくは前記非接触通信の終了を前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記非接触通信部において前記非接触通信中が通知される状態から通知されない状態に遷移する、又は前記非接触通信の終了が通知されることにより前記非接触通信の終了を判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記地磁気センサの検出値の変化に基づいて前記非接触通信の終了を判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記方位を算出して前記表示部に表示するプログラムを前記非接触通信後に開始する場合に前記記憶部にて前記フラグデータが前記第1の値にセットされているか否か判定する
ことを特徴とする請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
開閉可能に連結された筐体を備え、
前記制御部は、前記方位を算出した際に、前記筐体が開状態である場合には前記フラグデータの確認を行い、前記筐体が閉状態である場合には前記フラグデータの確認を行わない
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
地磁気を検出する地磁気センサと、当該地磁気センサの検出値に基づいて方位を算出するとともに前記方位に関する情報を前記表示部に表示する制御部と、電磁結合による非接触通信を行う非接触通信部と、フラグデータを記憶する記憶部とを備える携帯電子機器における地磁気センサの較正方法であって、
前記地磁気センサの較正を行う較正ステップと、
前記非接触通信部において非接触通信が行われると前記フラグデータを第1の値にセットするフラグセットステップと、
前記方位を算出して前記表示部に表示する際、前記フラグデータの確認を行う確認ステップと、
を有し、
前記確認ステップにおいて、前記フラグデータが前記第1の値にセットされているならば前記較正ステップを実行するとともに前記フラグデータを第2の値にリセットする
ことを特徴とする地磁気センサ較正方法。
【請求項1】
情報を表示する表示部と、地磁気を検出する地磁気センサと、当該地磁気センサの検出値に基づいて方位を算出するとともに前記方位に関する情報を前記表示部に表示する制御部とを備える携帯電子機器において、
電磁結合による非接触通信を行う非接触通信部と、
フラグデータを記憶する記憶部と、を更に備え、
前記制御部は、
前記地磁気センサの較正に関わる較正関連処理を実行可能であり、前記非接触通信部において非接触通信が行われると前記フラグデータを第1の値にセットし、
前記方位を算出して前記表示部に表示する際、前記記憶部にて前記フラグデータが前記第1の値にセットされているならば前記較正関連処理を実行するとともに前記フラグデータを第2の値にリセットする
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記方位を算出して前記表示部に表示するプログラムを処理している状態で前記非接触通信が行われる場合に、前記フラグデータを第1の値にセットする
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記方位を算出して前記表示部に表示する際に、前記記憶部にて前記フラグデータが前記第1の値にセットされている場合には、所定時間が経過してから前記較正関連処理を実行する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記非接触通信が終了したときに、前記フラグデータを前記第1の値にセットする
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記非接触通信部は、前記非接触通信中若しくは前記非接触通信の終了を前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記非接触通信部において前記非接触通信中が通知される状態から通知されない状態に遷移する、又は前記非接触通信の終了が通知されることにより前記非接触通信の終了を判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記地磁気センサの検出値の変化に基づいて前記非接触通信の終了を判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記方位を算出して前記表示部に表示するプログラムを前記非接触通信後に開始する場合に前記記憶部にて前記フラグデータが前記第1の値にセットされているか否か判定する
ことを特徴とする請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
開閉可能に連結された筐体を備え、
前記制御部は、前記方位を算出した際に、前記筐体が開状態である場合には前記フラグデータの確認を行い、前記筐体が閉状態である場合には前記フラグデータの確認を行わない
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
地磁気を検出する地磁気センサと、当該地磁気センサの検出値に基づいて方位を算出するとともに前記方位に関する情報を前記表示部に表示する制御部と、電磁結合による非接触通信を行う非接触通信部と、フラグデータを記憶する記憶部とを備える携帯電子機器における地磁気センサの較正方法であって、
前記地磁気センサの較正を行う較正ステップと、
前記非接触通信部において非接触通信が行われると前記フラグデータを第1の値にセットするフラグセットステップと、
前記方位を算出して前記表示部に表示する際、前記フラグデータの確認を行う確認ステップと、
を有し、
前記確認ステップにおいて、前記フラグデータが前記第1の値にセットされているならば前記較正ステップを実行するとともに前記フラグデータを第2の値にリセットする
ことを特徴とする地磁気センサ較正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−210638(P2010−210638A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108531(P2010−108531)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【分割の表示】特願2008−508602(P2008−508602)の分割
【原出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【分割の表示】特願2008−508602(P2008−508602)の分割
【原出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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