説明

携帯電子機器

【課題】本発明は、シート部材におけるキー操作部が配置される領域を全て含む領域に非導電性の材料により構成される遮光部材を塗布することで、遮光と静電気対策がなされた携帯電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯電話機1は、キー孔13a、15aを有する操作部側筐体2と、キー孔13a、15aから外部に露出して配置され少なくも一部が透光性を有する機能設定操作キー部材13b及び非透光性の環状キー部材16bと、機能設定操作キー部材13b及び環状キー部材16bを支持するキーシート40Cと、キーシート40Cの下方に配置されるLED発光部55と、キーシート40Cにおける環状キー部材16bが対向する領域の全てを含むと共に外縁が機能設定操作キー部材13bにおける環状キー部材16b側の端部130が対向する位置まで延びるように塗布される遮光部材45と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キー操作部に割り当てられた機能や数字をより明確に表示するために、キー操作部の押下部に数字等の形状をした透光部を形成すると共に、筐体の内部に配置された発光部から照射された光をキー操作部に形成された数字等の透光部から透過させる携帯電子機器が開示されている。
【0003】
しかし、筐体の内部に配置された発光部から照射される光がキー操作部に形成された透光部とは異なる部分から漏れ出す場合には、上述の表示効果が半減すると共に、使用者の印象が悪くなるという問題があった。
【0004】
これに対し、透光性樹脂で形成されたキー操作部としてのキートップと、このキートップが接合されたキーパッドとを有すると共に、このキーパッドにおけるキートップが配置された領域の周囲に非透光性のインキを塗布することで、キートップの周囲から光が漏れることを抑制した携帯電子機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−173380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された構造では、キートップが配置される領域の周囲に非透光性のインキが塗布されているが、キーパッドにおけるキートップが配置される領域には非透光性のインキが塗布されていない。
【0006】
このような構造において、キートップに帯電した静電気が、非透光性のインキが塗布されていないキーパッドにおけるキートップの直下領域を通り抜けてキースイッチ等の動作に影響を与える場合があった。
【0007】
また、上述のような静電気への対策として、上述のインキを塗布した後、更にキーパッドに導電性の塗料等を所定のグランド部に電気的に接続される態様で塗布する必要があった。この場合においては、遮光のためのインキの塗布と、静電気対策のための導電性塗料の塗布とが必要になるという問題があった。
【0008】
本発明は、静電気対策が必要なキー操作部が配置されるシート部材における前記キー操作部が配置される領域を全て含む領域に非導電性の材料により構成される遮光部材を塗布することで、遮光と静電気対策がなされた携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、開口部を有する筐体と、少なくも一部が透光性を有して構成される第1キー操作部と、前記第1キー操作部に隣設される非透光性の第2キー操作部と、前記第1キー操作部と前記第2キー操作部とを支持する透光性のシート部材と、を有し、前記第1キー操作部と前記第2キー操作部が前記開口部を介して前記筐体の外部に露出するよう配置されるキー部材と、前記シート部材を間に挟んで前記第1キー操作部に対向した位置に配置され前記第1キー操作部の押下操作によって動作される第1スイッチ部材と、前記シート部材を間に挟んで前記第2キー操作部に対向した位置に配置され前記第2キー操作部の押下操作によって動作される第2スイッチ部材と、を有するキースイッチ部材と、前記第1スイッチ部材における前記第2スイッチ部材側に配置される発光部材と、を備え、前記シート部材には、前記第2キー操作部が対向する部分の全てを含む共に、前記第1キー操作部における前記第2キー操作部側の外縁が対向する位置まで延びるように非導電性の材料により構成される遮光部材が塗布される携帯電子機器に関する。
【0010】
また、前記遮光部材は、前記シート部材における前記第1キー操作部と前記第2キー操作部とが配置される側の面に塗布されることが好ましい。
【0011】
また、前記第2キー操作部の外表面には、前記筐体の外部に露出する部分から前記筐体の内部に配置される部分まで連続して導電性の塗料が塗布されることが好ましい。
【0012】
また、前記シート部材は、ラバー部材により構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、静電気対策が必要なキー操作部が配置されるシート部材における前記キー操作部が配置される領域を全て含む領域に非導電性の材料により構成される遮光部材を塗布することで、遮光と静電気対策がなされた携帯電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、以下、携帯電子機器として携帯電話機1について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン、電子辞書、携帯音楽再生機等であってもよい。
【0015】
図1により、携帯電話機1における基本構造を説明する。図1は、携帯電話機1を開いた状態における外観斜視図を示す。
図1に示すように、携帯電話機1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3と、を備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、ヒンジ機構を備える連結部4を介して開閉可能に連結されている。具体的には、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、連結部4を介して連結されている。これにより、携帯電話機1は、ヒンジ機構を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に動かすことが可能になる。つまり、携帯電話機1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが開いた状態(開状態)にしたり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが折り畳まれた状態(閉状態)にしたりすることができる。ここで、閉状態とは、両筐体が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、両筐体が互いに重ならないように配置された状態をいう。
【0016】
操作部側筐体2は、外面がフロントケース2aとリアケース2bとにより構成される。この操作部側筐体2は、フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイクとしての音声入力部12のための音声入力孔とがそれぞれ露出するように構成される。
【0017】
操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための第1キー操作部としての機能設定操作キー13、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う操作部材としての決定操作キー15により構成されている。決定操作キー15は、第2キー操作部としての環状キー16と、環状の中央部に形成される中央キー17とにより構成される。
【0018】
機能設定操作キー13を構成する機能設定操作キー部材13bには、所定の機能を表示する形状に形成された透光部が形成される。環状キー16を構成する環状キー部材16bには、外部に露出される側の表面全体にメッキが塗布される。これにより、環状キー部材16bは、非透光性であると共に導電性となるように構成される。
【0019】
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や各種モード、或いは起動されているアプリケーション等の種類に応じて所定の機能が割り当てられている(キー・アサイン)。そして、使用者が各キーを押圧することにより、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0020】
音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側と反対の外端部側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1が開状態において一方の外端部側に配置される。
【0021】
操作部側筐体2における一方側の側面には、外部機器(例えば、PC等)と通信を行うためのインターフェース(図示せず)が配置されており、インターフェースは、キャップ19により覆われている。操作部側筐体2の他方側の側面には、所定の機能が割り当てられているサイドキーと、外部メモリの挿入及び取り出しが行われるインターフェース(図示せず)とが配置されており、インターフェースは、キャップにより覆われている。
【0022】
表示部側筐体3は、外面がフロントパネル3aとフロントケース3bとリアケース3cとリアパネルとにより構成される。表示部側筐体3におけるフロントケース3bには、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバとしての音声出力部22のための音声出力孔と、が露出するように構成される。ここで、表示部21は、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とから構成される。
【0023】
次いで、図2から図4により、操作部側筐体2及び表示部側筐体3の内部構造について説明する。図2は、操作部側筐体2に内蔵される部材の分解斜視図である。図3は後述するキー構造部40における、遮光部材45が塗布された領域を説明する図である。図4は、後述するフレキシブル配線基板50における遮光部材45が塗布された領域を説明する他の図である。図5は、表示部側筐体3に内蔵される部材の分解斜視図である。
【0024】
図2に示すように、操作部側筐体2は、フロントケース2aと、キー部材としてのキー構造部40と、フレキシブル配線基板50と、シールドケース体60と、基準電位パターン層及び携帯電話機用のRF(Radio Frequency)モジュール等の各種電子部品を備える回路基板70と、音声入力部12と、バッテリリッド2cを備えたリアケース2bと、バッテリ80とを備える。
【0025】
フロントケース2aとリアケース2bとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース2aとリアケース2bとの間には、キー構造部40と、フレキシブル配線基板50と、シールドケース体60と、回路基板70とが挟まれるようにして内蔵される。つまり、回路基板70を覆うようにしてシールドケース体60が積層配置され、また、シールドケース体60の上面側にフレキシブル配線基板50が積層配置され、また、フレキシブル配線基板50の上面にキー構造部40が積層配置される。
【0026】
フロントケース2aには、携帯電話機1を折り畳んだ状態で表示部側筐体3の表示部21と対向する内側面に、開口部としてのキー孔13a、14a、15aが形成される。キー孔13a、14a、15aそれぞれからは、機能設定操作キー13を構成する機能設定操作キー部材13bの押圧面、入力操作キー14を構成する入力操作キー部材14bの押圧面、及び決定操作キー15に含まれる環状キー16を構成する環状キー部材16b及び中央キーを構成する中央キー部材17bの押圧面が露出される。
【0027】
この露出した機能設定操作キー部材13b、入力操作キー部材14b、環状キー部材16b及び中央キー部材17bの押圧面を押し下げるように押圧することで、フレキシブル配線基板50上に対応して配置されているキースイッチ51、52、53、54それぞれに設けられる後述のメタルドーム(椀状形状)の頂点が押圧され、スイッチ端子に接触して電気的に導通する。
【0028】
キー構造部40は、操作部材40Aと、補強部材としてのキーフレーム40Bと、シート部材としてのキーシート40Cと、により構成される。
【0029】
操作部材40Aは、複数のキー操作部材により構成される。具体的には、第1キー操作部としての機能設定操作キー部材13bと、入力操作キー部材14bと、第2キー操作部としての環状キー部材16bと、中央キー部材17bとにより構成される。
【0030】
機能設定操作キー部材13bと、入力操作キー部材14bとには、各操作キー部材の機能等を表示する形状の透光部が形成される。具体的には、機能設定操作キー部材13bには、メール機能やインターネット接続機能を表示する図形状の透光部が形成される。入力操作キー部材14bには、数字形状の透光部が形成される。
【0031】
この透光部から後述するキースイッチ部材としてのフレキシブル配線基板50上に配置されるLED発光部55から照射される光が透過して、所定の機能を示す図形等が強調表示される。ここで、LED発光部55から照射された光が透光部とは異なる部分から漏れ出すことを抑制するために、後述の遮光部材45がキーシート40Cに塗布される。
【0032】
第2キー操作部としての環状キー部材16bには、上述のように、外部に露出する側の外面全体にメッキ処理が施される。外部に露出する側の外面とは、外部に露出する部分だけでなく、同じ表面における操作部側筐体2内に配置される部分も含むものである。これにより、環状キー部材16bは、非透光性であると共に導電性となるように構成される。
【0033】
操作部材40Aを構成する各操作キー部材それぞれは、後述するキーフレーム40Bを挟んでキーシート40Cに接着される。キーシート40Cに接着された各操作キー部材それぞれにおける押圧面は、上述の通り、開口部としてのキー孔13a、14a、15aそれぞれから外部に露出して配置される。具体的には、機能設定操作キー部材13bは、キー孔13aを介して押圧面が露出するように配置される。また、入力操作キー部材14bは、キー孔14aを介して押圧面が露出するように配置される。また、環状キー部材16b及び中央キー部材17bは、キー孔15bを介して押圧面が露出するように配置される。
【0034】
キーフレーム40Bは、孔部14cが複数形成された金属性の板状部材である。キーフレーム40Bは、入力操作キー部材14bの押圧時における回路基板70等への悪影響を防ぐための補強部材である。即ち、キーフレーム40Bは導電性の部材で構成され、入力操作キー部材14bの操作時に飛び込む静電気を回路基板70のグランド部に逃がすための部材としても機能する。キーフレーム40Bに形成される複数の孔部14cには、後述するキーシート40Cに形成される凸部14dが嵌合するように配置される。そして、この凸部14dに入力操作キー部材14bが接着される。また、キーフレーム40Bは、可撓性を有するキーシート40Cの撓みを抑制する機能を有しており、入力操作キー部材14bの操作時等におけるキーシート40Cの浮き上がりを抑制したり、キーシート40Cの位置決めを行うように構成されている。
【0035】
孔部14cは、凸部14dの外周よりも大きく、かつ、入力操作キー部材14bの外周よりも小さくなるように形成される。孔部14cがこのように形成されるので、孔部14cの周囲に形成される格子部14eには、入力操作キー部材14bの外周が載置される。
入力操作キー部材14bの押圧面が押下された場合、押圧面が撓むと共に、格子部14eに載置された外周は格子部14eに支持される。つまり、キーフレーム40Bにより、キー操作に必要な変形が得られると共に、回路基板70に過剰な圧力が加えられることを抑制できる。
【0036】
キーフレーム40Bは、後述するシールドケース体60に固定部42に挿通された導電性の固定部材により固定される。キーフレーム40bは、シールドケース体60と電気的に接続される。そして、後述のようにシールドケース体60は基準電位部としての基準電位パターン層75に電気的に接続されるので、キーフレーム40Bは、シールドケース体60を介して基準電位パターン層75と電気的に接続される。
【0037】
シート部材としてのキーシート40Cは、透光性のラバー部材により構成される。具体的には、キーシート40Cは、可撓性を有するシリコンゴム製のシート状部材により構成される。キーシート40Cには、操作部材40Aを構成するキー操作部材が接合されると共に、操作部材40Aを構成するキー操作部材を支持する。
【0038】
ここで、キーシート40Cには、キーフレーム40Bが配置される側の面に複数の凸部14dが形成される。この複数の凸部14dそれぞれは、後述するキースイッチ52に対応する位置に形成される。複数の凸部14dそれぞれは、キーフレーム40Bに形成される複数の孔部14cそれぞれに嵌合するようにして配置される。複数の孔部14cそれぞれに嵌合するように配置される複数の凸部14dにおける頂面には、入力操作キー部材14bが接着剤により接合される。
【0039】
キーシート40Cにおけるキーフレーム40Bが対向して配置されない操作部材40A(機能設定操作キー13、決定操作キー15)が接合される側の面には、遮光部材45が塗布される。遮光部材45は、絶縁性の部材であると共に、遮光性に優れた部材である。遮光部材45は黒色の絶縁性塗料で構成されるシリコンゴム用インクであり、キーシート40Cにおける上述の面に塗布される。
【0040】
図3に示すように、遮光部材45は、シート部材としてのキーシート40Cにおける第2キー操作部としての環状キー部材16bが対向して配置される領域の全てを含む領域に塗布される。具体的には、遮光部材45は、キーシート40Cにおける環状キー部材16bが対向して配置される領域を全て含むと共に、第1キー操作部としての機能設定操作キー部材13bにおける環状キー部材16b側の端部である端部130が対向する位置までその外延が延びるように形成される。つまり、遮光部材45は、キーシート40Cにおける環状キー部材16bが対向して配置される領域、及び環状キー部材16bの機能設定操作キー部材13b側における端部135から機能設定操作キー部材13bの端部130までの領域に配置される。
【0041】
更には、遮光部材45は、キーシート40Cにおける機能設定操作キー部材13b同士の間に対向する領域131にも塗布される。また、遮光部材45は、キーシート40Cにおける機能設定操作キー部材13bや環状キー部材16bにおけるキーフレーム40B側の端部が対向する位置からキーフレーム40Bにおける機能設定操作キー部材13bや環状キー部材16b側の端部が対向する位置までの領域132にも塗布される。つまり、遮光部材45は、遮光処理が必要ない部分にも塗布される。
【0042】
ここで、遮光部材45は、絶縁性の材料で構成されるので、該遮光部材45は絶縁部材としても機能する。
【0043】
図2に示すように、キースイッチ部材としてのフレキシブル配線基板50は、キーシート40C側に配置される複数のキースイッチ51、52、53、54を有する。第1スイッチ部材としてのキースイッチ51、キースイッチ52、第2スイッチ部材としてのキースイッチ53、キースイッチ54それぞれは、キーシート40Cを間に挟んで第1キー操作部としての機能設定操作キー部材13bと、入力操作キー部材14bと、第2キー操作部としての環状キー部材16bと、中央キー部材17bとのそれぞれに対向(対応)する位置に配置される。
【0044】
フレキシブル配線基板50に配置されるキースイッチ51、52、53、54それぞれは、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する構造になっている。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、フレキシブル配線基板50の表面に印刷された電気回路(図示せず)に形成されるスイッチ端子に接触して電気的に導通するように構成される。つまり、機能設定操作キー部材13b、入力操作キー部材14b、環状キー部材16b、中央キー部材17bそれぞれの押下操作によってキースイッチ51、52、53、54それぞれは動作される。なお、フレキシブル配線基板50は、複数の絶縁フィルムの間に配線を挟み込んだものである。
【0045】
図2又は図4に示すように、フレキシブル配線基板50のキースイッチ51、52、53、54が配置される側の面には、発光部材としてのLED発光部55が配置される。具体的には、キースイッチ同士の間に配置される。具体的には、透光部を有する機能設定操作キー部材13b、入力操作キー部材14bに隣接する位置に配置される。第1キー操作部としての機能設定操作キー部材13bにおいては、第2キー操作部としての環状キー部材16b側にLED発光部55が配置される。即ち、機能設定操作キー部材13bと環状キー部材16bとの間にLED発光部55が配置される。
【0046】
LED発光部55は、キーシート40C側に光を照射する。具体的には、LED発光部55は、キーシート40Cを介して透光部を有する機能設定操作キー部材13b、入力操作キー部材14b、環状キー部材16bそれぞれに向けて光を照射する。LED発光部55から照射された光は、各キー部材に形成された透光部から外部に透過すると共に、遮光部材45が塗布された領域では透過されない。
【0047】
フレキシブル配線基板50は、後述するシールドケース体60における平板部61に載置される。フレキシブル配線基板50がシールドケース体60における平板部61に載置されるので、操作部材40Aそれぞれが押圧されることによる圧力や撓みは、シールドケース体60の下方に配置される回路基板70に伝達されにくい。
【0048】
シールドケース体60は、薄型の直方体における一の広い面が開口した形状を有する導電性の部材である。シールドケース体60は、平板部61における開口側の面に略垂直に形成されるリブ62を有する。リブ62は、回路基板70に実装される各種電子部品のうち最も高さのある電子部品の高さと同等又はそれよりも十分に高くなるよう形成される。リブは、平板部61の周縁及び内側に基準電位パターン層75に対応するように形成される。具体的には、シールドケース体60が回路基板70に載置された状態で、基準電位パターン層75上に配置されるようにリブが形成される。なお、シールドケース体60は、金属により形成するほか、骨格を樹脂により形成し、その表面に導体膜を形成したものでもよい。
【0049】
シールドケース体60は、リブの底面が基準電位パターン層75に当接されることで、基準電位パターン層75と電気的に接続される。シールドケース体60は、基準電位パターン層75と電気的に導通して該基準電位パターン層75と同じ大きさの電位を有するようになる。つまり、シールドケース体60は、シールドケースとして機能する。シールドケース体60は、シールドケースとして外部からのノイズが回路基板70に配置される不図示の各種電子部品に作用するのを防ぐと共に、RF(Radio Frequency)回路等の高周波回路から放出されるノイズを吸収して、他の電子部品に作用することを防ぐ。具体的には、シールドケース体60におけるリブの底面が基準電位パターン層75上に配置されることで、後述する各回路はリブにより囲われると共に平坦部の一部により覆われる。リブは、各回路における隔壁として機能し、シールドケース体60の一部と共に各回路をシールドする。
【0050】
シールドケース体60にはフレキシブル配線基板50が載置されると共に、キーフレーム40Bがフレキシブル配線基板50上に積層的に配置される。そして、キーフレーム40Bは、シールドケース体60に電気的に接続される。
【0051】
回路基板70には、不図示の各種電子部品や回路が配置される。各種電子部品は、所定の組み合わせにより複数の回路ブロックを形成する。例えば、RF(Radio Frequency)回路、電源回路等を含む各種回路ブロックが形成される。
【0052】
回路基板70には、基準電位部としての基準電位パターン層75が形成される。基準電位パターン層75は、各回路ブロックを区画するように形成される。基準電位パターン層75は、導電性の部材を回路基板70の表面に所定パターンで印刷することで形成される。
【0053】
回路基板70とシールドケース体60とは複数の連結部Aにおいて着脱可能に部分的に固定される。具体的には、図2に示す回路基板70の4隅に形成される回路基板側ネジ孔と、シールドケース体60の4隅に所定の部材を配置して形成したシールドケース体側ネジ孔(不図示)を重ね合わせた状態で、該重なり合わされたネジ孔にネジ部材を螺合させることで、回路基板70とシールドケース体60とは着脱可能に固定される。
【0054】
具体的には、基準電位パターン層75にリブの底面が当接された状態でシールドケース体60は回路基板70と固定される。つまり、回路基板70における基準電位パターン層75とシールドケース体60とは電気的に接続される。ここで、上述のように、キーフレーム40Bはシールドケース体60と電気的に接続されるので、キーフレーム40Bは、シールドケース体60を介して基準電位パターン層75と電気的に接続される。
【0055】
リアケース2bには、取り外し可能なバッテリリッド2cが設けられており、バッテリ80をリアケース2bの外側から収納した後、リアケース2bに装着される。また、リアケース2bには、ユーザの音声を入力する音声入力部12が収容される。
【0056】
図5に示すように、表示部側筐体3は、フロントパネル3aと、音声出力部22と、フロントケース3bと、スピーカ23と、表示部21と、表示部21が接続されたプリント基板85と、リアケース3cと、リアパネル3dと、を備える。
【0057】
表示部側筐体3は、フロントパネル3aと、フロントケース3bと、表示部21と、プリント基板85と、リアケース3cと、リアパネル3dとがそれぞれが積層的に配置される。具体的には、フロントケース3bとリアケース3cとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。
【0058】
そして、フロントケース3bとリアケース3cとの間には、表示部21が接続されたプリント基板85が挟まれるようにして内蔵される。プリント基板85には、不図示のアンプと接続されるスピーカ23が接続される。
【0059】
なお、本実施形態においては、連結部4により折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、このような折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転(リボルバ)式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でもよい。
【0060】
続けて、遮光部材45の作用について説明する。遮光部材45は、LED発光部55からの光を遮光すると共に、操作キー部材や外部からの静電気が筐体内部の電子部品等に導電することを防止する。遮光部材45は絶縁部材としても機能し、遮光対策だけでなく静電気対策としても用いられる。
【0061】
まず、キースイッチ51とキースイッチ53との間に配置されるLED発光部55から照射された光は、キーシート40Cを透過する。キーシート40Cを透過した光は、機能設定操作キー部材13bに形成される透光部を透過する。これにより、機能設定操作キー部材13bに形成される透光部が外部からみて発光し、透光部により構成される形状や数字等が強調表示される。
【0062】
LED発光部55から照射されキーシート40Cを透過した光の一部は、遮光部材45により遮光される。つまり、遮光部材45は、LED発光部55から照射された光を遮光する。詳細には、遮光部材45は、該遮光部材45が塗布される領域における光の透過を防止する。遮光部材45が塗布された図3に示す領域における光の透過が防止されるので、環状キー部材16bの周囲等から光が漏れ出すことが抑制される。
【0063】
ここで、環状キー部材16bにおける外部に露出する側の面全体には導電性の材料によりメッキ処理が施されているので、外部からの静電気が環状キー部材16bに帯電して、この帯電した静電気が筐体内部に入り込みやすい。遮光部材45は、この静電気対策のための部材としても機能する。具体的には、遮光部材45は、絶縁性の材料で構成されると共に、キーシート40cにおける機能設定操作キー部材13bが対向して配置される領域の全てを含む領域に塗布されるので、機能設定操作キー部材13bの表面に施されたメッキを伝って筐体内に入り込む静電気等がキーシート40Cを透過することを抑制できる。機能設定操作キー部材13bが対向配置され当接する部分に絶縁性の遮光部材が配置されるので、キーシート40Cを介して内部の電子部品に導電される(静電気が飛び込む)ことが抑制される。
【0064】
本実施形態によれば、キーシート40Cに上述の領域に絶縁性の遮光部材45が塗布されるので、不要な部分から光が漏れ出すことを抑制できると共に、キー操作部材等からの静電気等が内部の電子部品に導電されることを抑制できる。つまり、静電気による電子部品の誤動作を抑制できる。特に、上述のように第2キー操作部としての環状キー部材16bにおける表面全体にメッキ処理が施されている場合には、該環状キー部材16bの表面を伝って静電気が内部側に伝わるので、遮光部材45を上述の領域に塗布することは静電気対策として好ましい。また、キーシート40Cがシリコン性のシート部材である場合には、該シリコン性のシート部材に生じるピンホールから静電気が透過するという問題が遮光部材45を塗布することで解消されるため好ましい。
【0065】
また、本実施形態によれば、キーシート40Cの表面に絶縁性の材料で構成される遮光部材45を塗布することで遮光と静電気対策が可能であるので、製造工程を減らすことができる。これにより、製造工程上の負担を軽減できると共に、製造コストを低減できる。
【0066】
また、本実施形態によれば、汎用される塗料等により遮光部材45を構成することもでき、従来の塗布条件が厳しい導電性塗料を塗布する場合における製造上の困難性やこれに起因するコスト上昇等を回避することができる。
【0067】
以上、本形態の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態において、遮光部材45は、遮光性と絶縁性とを兼ね備えた塗料やインキを用いることができる。また、遮光部材45の色は黒色に限定されず、遮光性が著しく低くなければその色は限定されない。ここで、遮光部材45は、キーシート40Cの表面に塗布されるが、本実施形態における塗布には、塗布、塗装、印刷、シート状の部材を溶着させること、シール状の部材を貼り付けることが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】携帯電話機1を開いた状態における外観斜視図を示す。
【図2】操作部側筐体2に内蔵される部材の分解斜視図である。
【図3】遮光部材45が塗布された領域を説明する図である。
【図4】遮光部材45が塗布された領域を説明する他の図である。
【図5】表示部側筐体3に内蔵される部材の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体
3 表示部側筐体
11 操作キー群
13 機能設定操作キー
13a キー孔
13b 機能設定操作キー部材
14a キー孔
15a キー孔
16 環状キー
16b 環状キー部材
40 キー構造部
40A 操作部材
40B キーフレーム
40C キーシート
45 遮光部材
50 フレキシブル配線基板
51 キースイッチ
52 キースイッチ
53 キースイッチ
54 キースイッチ
55 LED発光部
60 ケース体
70 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筐体と、
少なくも一部が透光性を有して構成される第1キー操作部と、前記第1キー操作部に隣設される非透光性の第2キー操作部と、前記第1キー操作部と前記第2キー操作部とを支持する透光性のシート部材と、を有し、前記第1キー操作部と前記第2キー操作部が前記開口部を介して前記筐体の外部に露出するよう配置されるキー部材と、
前記シート部材を間に挟んで前記第1キー操作部に対向した位置に配置され前記第1キー操作部の押下操作によって動作される第1スイッチ部材と、前記シート部材を間に挟んで前記第2キー操作部に対向した位置に配置され前記第2キー操作部の押下操作によって動作される第2スイッチ部材と、を有するキースイッチ部材と、
前記第1スイッチ部材における前記第2スイッチ部材側に配置される発光部材と、を備え、
前記シート部材には、前記第2キー操作部が対向する部分の全てを含む共に、前記第1キー操作部における前記第2キー操作部側の外縁が対向する位置まで延びるように非導電性の材料により構成される遮光部材が塗布される携帯電子機器。
【請求項2】
前記遮光部材は、前記シート部材における前記第1キー操作部と前記第2キー操作部とが配置される側の面に塗布される請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記第2キー操作部の外表面には、前記筐体の外部に露出する部分から前記筐体の内部に配置される部分まで連続して導電性の塗料が塗布される請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記シート部材は、ラバー部材により構成される請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−294804(P2008−294804A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138829(P2007−138829)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】