説明

携帯電話機利用における送信データ保護方法及びその送信データ保護システム

【課題】 利用毎に同じ内容の入力が不要で、かつ入力時間がかかり待ち行列ができることを回避可能な携帯電話機利用における送信データ保護方法及びその送信データ保護システムを提供する。
【解決手段】 契約時の暗証番号や電話番号を記憶する記憶部と入力データの一時記憶部と利用者の入力データ記憶部と表示画面を持った携帯電話機11利用における送信データ保護方法において、個人データを送信する場合に、前記契約時の暗証番号を用いて暗号化を行い、前記電話番号をキーとして認証局(携帯電話会社)13から複合キーを入手して複合化する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話機利用における送信データ保護方法及びその送信データ保護システムに係り、特に、携帯電話機を用いて、銀行やクレジットカード会社等の現金自動預払機(ATM)等の事前入力を行う際の暗号化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】昨今、iモードなど手軽にインターネットを利用できる環境が整いつつあり、携帯電話機を用いて残高照会や振込などの金融機関取引も容易に行えるようになってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、携帯電話機を用いてインターネットで個人情報を送信する場合、盗聴などにより、データ内容が第三者に漏れる恐れがある。特に、銀行取引などでは、利用者の重要な個人情報が漏れて悪用された場合には被害が大きい。
【0004】一方、現金自動預払機(ATM)を利用した金融機関取引も、現在では一般的である。
【0005】しかし、ATMでの取引においては、利用毎に同じ内容を入力しなくてはならなかったり、入力時間がかかり待ち行列ができたりするなど、不便な点が多く、改善が望まれている。もし、携帯電話機を用いて事前に取引内容を銀行のホストセンター等に入力できれば改善につながるが、上記したようにデータ内容が漏れてしまう恐れがある。
【0006】そこで、利用者が意識しなくても、自動的に送信データを暗号化することによってデータを保護することが望まれている。
【0007】本発明は、上記状況に鑑み、利用毎に同じ内容の入力が不要で、かつ入力時間がかかり待ち行列ができることを回避可能な携帯電話機利用における送信データ保護方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、〔1〕契約時の暗証番号や電話番号を記憶する記憶部と入力データの一時記憶部と利用者の入力データ記憶部と表示画面を持った携帯電話機利用における送信データ保護方法において、個人データを送信する場合に、前記契約時の暗証番号を用いて暗号化を行い、前記電話番号をキーとして認証局(携帯電話会社)から複合キーを入手して複合化することを特徴とする。
【0009】〔2〕契約時の暗証番号や電話番号を記憶する記憶部と入力データの一時記憶部と利用者の入力データ記憶部と表示画面を持った携帯電話機利用における送信データ保護システムにおいて、前記記憶部に利用者が携帯電話機の契約時に登録した暗証番号が記憶されている携帯電話機と、携帯電話センターと、インターネットを介して接続される認証局と、前記インターネットを介して接続される銀行のホストセンターと、この銀行のホストセンターに接続される現金自動預払機とを備え、個人データを送信する場合に、前記契約時の暗証番号を用いて暗号化する手段と、前記電話番号をキーとして前記認証局から複合キーを入手して複合化する手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】図1は本発明の携帯電話機利用における送信データ保護システム構成図である。
【0012】この図において、11は携帯電話機であり、その記憶部に利用者が携帯電話機11の契約時に登録した暗証番号が記憶されている。12は携帯電話センター(iモードセンター)である。13は認証局、例えば携帯電話会社、あるいは携帯電話会社から委託された局であり、携帯電話機の所有者の電話番号をキーとして携帯電話機11の暗証番号をデータベース(DB)131に保管している。14は銀行のホストセンターであり、口座番号や銀行キャッシュカードの暗証番号などの顧客情報をデータベース(DB)141に保管している。また、データベース(DB)142は、口座番号をキーに、事前入力取引の内容を記録しており、事前入力の内容の取引が成立したときや、あらかじめ設定した一定時間が経過したときにデータを破棄する仕組みになっている。15は現金自動預払機(ATM)である。
【0013】図2は本発明で用いる携帯電話機の構成図である。
【0014】この図において、2は携帯電話機本体、211は入力データの一時記憶部、212は暗証番号や電話番号などの契約時の登録情報を記憶する記憶部、213は短縮番号をキーとするアドレス帳などの利用者入力データの記録部、22は制御部、23は電文編集部、241はデータ発信部、242はアンテナなどデータ受信部、251は液晶画面などの表示出力部、252はテンキーなどの操作入力部である。
【0015】図3は本発明の実施例を示す送信データ保護システムの概念構成図である。
【0016】この図において、31は携帯電話機であり、その記憶部に携帯電話機の契約時に登録した暗証番号が記憶されている。32は携帯電話センター(iモードセンター)である。33は認証局、例えば携帯電話会社あるいは携帯電話会社から委託された局で、携帯電話機の所有者の電話番号をキーとして携帯電話機の暗証番号をデータベース(DB)331に保管している。34は銀行のホストセンターであり、データベース(DB)341,342に、口座番号や銀行の暗証番号等の顧客情報を保管している。また、35は現金自動預払機(ATM)、36はキャッシュカードである。
【0017】図4は本発明の携帯電話機で取引を行う際の画面イメージである。画面イメージ〔図4(a)〜図4(i−1)〕をここで用いる。
〔ATM事前入力の例〕以下、図2〜図4を用いて、引き出し取引を行う実施例について説明を行う。
【0018】■まず、利用者は、携帯電話機31を用いて、iモードセンター32を通じ、取引銀行にアクセスし、第1実施例(図1)と同様に、画面案内に従って必要事項の入力を行う。
(入力手順例:図4参照)
(1)まず、図4(a)画面で、サービス一覧から「1.先行入力」を選択し、「1」のキーを押す。
【0019】(2)次に、図4(b)画面に移行し、取引一覧から「1.引き出し」を選択し、「1」キーを押す。
【0020】(3)次いで、図4(c)画面に移行し、自分の口座の店番号をテンキーで押し、「♯」を押す。
【0021】(4)次に、図4(d)画面に移行し、自分の口座の口座番号をテンキーで押し、「♯」を押す。
【0022】(5)次に、図4(e)画面に移行し、暗証番号をテンキーで押す。
【0023】(6)次に、図4(f)画面に移行し、希望する金額をテンキーで押し、「♯」を押す。
【0024】(7)次に、図4(g)画面に移行し、金額を確認して「♯」を押す。
【0025】(8)次に、図4(h)画面「交信中」に移行する。
【0026】■入力内容は携帯電話機の一時記録部211に記録し、入力が済んだら口座番号や暗証番号など個人情報部分のデータを、携帯電話機の契約時に登録した暗証番号をキーとして暗号化し、携帯電話機の電話番号、携帯電話会社種別等を付加して、規定オブジェクト送信電文(引き出し事前入力取引要求電文)に編集し、銀行のホストセンター34に送信する。
【0027】■銀行のホストセンター34では、携帯電話機31からの取引要求電文を受信したら、携帯電話会社種別を判別し、携帯電話番号をキーとした、複合化キー要求電文を認証局33に送信する。認証局33では複合化キー要求電文を受信したら、登録された電話番号に対する複合キーを送信する。
【0028】■銀行のホストセンター34では、複合キーを使って上記■の電文中の個人情報部分のデータを複合化する。
【0029】■電文内容を確認し、OKならば取引内容を記録すると同時に規定の送信電文(引き出し事前入力取引許可電文)を編集し、携帯電話機31に送信する。携帯電話機31は、許可電文を受けたら、受信内容を表示する〔図4(i−1)を表示する〕。
【0030】■利用者は、最寄りのATM35に行き、メニューから事前入力取引を選択し、銀行キャッシュカード36を挿入する。
【0031】■挿入されたカードの記憶部(磁気ストライプ、ICチップなど)から、通常のATM取引同様に口座番号などを読み取り、銀行のホストセンター34に照合を行う。
【0032】■銀行のホストセンター34は、口座番号などから事前入力内容を照合し、規定の送信電文(取引許可電文)に編集し、ATM35に返信する。ATM35は受信電文の指示に従って処理を行う(指定の金額の排出を行う)。
【0033】以上のように、第1実施例によれば、携帯電話機の申込み時の暗証番号を使って、利用者が意識しなくても自動的に電文を暗号化するようにしたので、セキュリティの向上を図ることができる。
【0034】上記した第1実施例では、事前入力の例を説明したが、取引許可電文に予約番号を付加することによって、カードレス取引の例にも適用可能である。これを第2実施例として以下に説明する。
【0035】図5は本発明の第2実施例の送信データ保護システム構成図である。本実施例では図4における画面イメージ〔図4(a)〜図4(h)及び図4(i−2)〕をここで用いる。なお、531は認証局のデータベース、541,542は銀行のホストセンターのデータベースである。
【0036】引き出し取引の例の説明を行う。
【0037】■まず、利用者は、携帯電話機51を用いて、iモードセンター52を通じ、取引銀行にアクセスし、第1実施例(図1)と同様に、画面案内に従って必要事項の入力を行う。
【0038】■入力内容は携帯電話機の一時記録部211(図2)に記録し、入力が済んだら口座番号や暗証番号など個人情報部分のデータを、携帯電話機の契約時に登録した暗証番号をキーとして暗号化し、携帯電話機の電話番号、携帯電話会社種別等を付加して、規定オブジェクト送信電文(引き出し事前入力取引要求電文)に編集し、銀行のホストセンター54に送信する。
【0039】■銀行のホストセンター54では、携帯電話機51からの取引要求電文を受信したら、携帯電話会社種別を判別し、携帯電話番号をキーとした、複合化キー要求電文を認証局53に送信する。認証局53では複合化キー要求電文を受信したら、登録された電話番号に対する複合キーを送信する。
【0040】■銀行のホストセンター54では、複合キーを使って上記■の電文中の個人情報部分のデータを複合化する。
【0041】上記した■〜■は第1実施例と同様である。
【0042】■電文内容を確認し、OKならば取引内容を記録すると同時に、予約番号を付加した規定の送信電文(引き出し事前入力取引許可電文)に編集し、携帯電話機51に送信する。携帯電話機51は、許可電文を受けたら受信内容を表示する〔図4(i−2)を表示する〕。
【0043】■利用者は、最寄りのATM55に行き、メニューから事前入力取引を選択し、予約番号を入力する。
【0044】■通常のATM取引同様に、銀行のホストセンター54に照合を行う。
【0045】■第1実施例と同じ。
【0046】以上のように、第2実施例によれば、第1実施例をカードレスで行うことが可能であり、利用者の利便性の向上になる。
【0047】上記した第1、第2実施例では、取引の都度、口座番号などを入力する例を説明したが、送信先電話番号など利用者の入力データの記録部に、口座番号などの入力内容を記録しておけば、その都度入力する手間が省ける。これを第3実施例として、第1実施例における例を用いて以下に説明する。
【0048】本実施例では図3と図6を用いて説明を行う。
【0049】■まず、利用者は携帯電話機31を用いて、iモードセンター32を通じ、取引銀行にアクセスし、第1実施例と同様に画面案内にしたがって必要事項の入力を行う。
(入力手順例1)
(1)まず、図6(a)画面に示すようにサービス一覧から「1.先行入力」を選択し、「1」のキーを押す。
【0050】(2)次に、図6(b)画面に移行し、取引一覧から「1.引き出し」を選択し、「1」のキーを押す。
【0051】(3)次に、図6(c)画面に移行し、「登録してある口座番号での取引の有無」として、「1.はい」を選択し、「1」のキーを押す。
【0052】(4)次に、図6(d−1)画面に移行し、該当する口座番号のときは「♯」キーを、他の口座番号のときは「*」キーを、入力しなおすときは「9」を押す(この例の場合は*を押した)。
【0053】(5)次に、図6(d−2)画面に移行し、該当する口座番号であることを確認して、「♯」キーを押す。
【0054】(6)次に、図6(e)画面に移行し、暗証番号をテンキーで押す。
【0055】(7)次に、図6(f)画面に移行し、希望する金額をテンキーで押し、「♯」を押す。
【0056】(8)次に、図6(g−1)画面に移行し、金額を確認して「♯」を押す。
(入力手順例2)
(1)まず、図6(a)画面に示すように、サービス一覧から「先行入力」を選択し、「1」キーを押す。
【0057】(2)次に、図6(b)画面に移行し、取引一覧から「1.引き出し」を選択し、「1」キーを押す。
【0058】(3)次に、図6(c)画面に移行し、「登録してある口座番号での取引の有無」として「1.はい」を選択し、「1」キーを押す。
【0059】(4)次に、図6(d−1)画面に移行し、該当する口座番号のときは「♯」キーを、他の口座番号のときは「*」キーを、入力し直すときは「9」を押す(この例の場合は「9」を押した)。
【0060】(5)次に、図6(d−2)画面に移行し、口座番号を入力し直すことにして、「9」キーを押す。
【0061】(6)次に、図6(d−3)画面に移行し、自分の口座の店番号をテンキーで押し、「♯」を押す。
【0062】(7)次に、図6(d−4)画面に移行し、自分の口座の口座番号をテンキーで押し、「♯」を押す。
【0063】(8)次に、図6(e)画面に移行し、暗証番号をテンキーで押す。
【0064】(9)次に、図6(f)画面に移行し、希望する金額をテンキーで押し、「♯」を押す。
【0065】(10)次に、図6(g−1)画面に移行し、金額を確認して♯を押す。
【0066】(11)次に、図6(h)画面「交信中」に移行する。
【0067】■〜■は第1実施例と同じである。
【0068】以上のように、第3実施例によれば、一度店番号や口座番号を入力し、登録すれば、何度も入力する手間が省け、利用者の利便性の向上になる。
【0069】なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0070】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0071】(A)携帯電話機の申込み時の暗証番号を使って、利用者が意識しなくても、自動的に電文を暗号化するようにしたので、セキュリティの向上を図ることができる。
【0072】(B)上記(A)をカードレスでも行うことが可能であり、利用者の利便性の向上になる。
【0073】(C)一度店番号や口座番号を入力し、登録すれば、何度も入力する手間が省け、利用者の利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の携帯電話機利用における送信データ保護システムの構成図である。
【図2】本発明で用いる携帯電話機の構成図である。
【図3】本発明の第1実施例の概念を示すシステム構成図である。
【図4】本発明の携帯電話で取引を行う際の画面イメージ(その1)である。
【図5】本発明の第2実施例の概念を示すシステム構成図である。
【図6】本発明の携帯電話で取引を行う際の画面イメージ(その2)である。
【符号の説明】
2 携帯電話機本体
11,31,51 携帯電話機(iモード)
12,32,52 携帯電話センター(iモードセンター)
13,33,53 認証局(携帯電話会社)
14,34,54 銀行のホストセンター
15,35,55 現金自動預払機(ATM)
22 制御部
23 電文編集部
36 キャッシュカード
131,141,142,331,341,342,531,541,542データベース(DB)
211 入力データの一時記憶部
212 暗証番号や電話番号などの契約時の登録情報を記憶する記憶部
213 短縮番号をキーとするアドレス帳などの利用者入力データの記録部
241 データ発信部
242 データ受信部
251 表示出力部
252 操作入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 契約時の暗証番号や電話番号を記憶する記憶部と入力データの一時記憶部と利用者の入力データ記憶部と表示画面を持った携帯電話機利用における送信データ保護方法において、(a)個人データを送信する場合に、前記契約時の暗証番号を用いて暗号化を行い、(b)前記電話番号をキーとして認証局から複合キーを入手して複合化することを特徴とする携帯電話機利用における送信データ保護方法。
【請求項2】 契約時の暗証番号や電話番号を記憶する記憶部と入力データの一時記憶部と利用者の入力データ記憶部と表示画面を持った携帯電話機利用における送信データ保護システムにおいて、(a)前記記憶部に利用者が携帯電話機の契約時に登録した暗証番号が記憶されている携帯電話機と、(b)携帯電話センターと、(c)インターネットを介して接続される認証局と、(d)前記インターネットを介して接続される銀行のホストセンターと、(e)該銀行のホストセンターに接続される現金自動預払機とを備え、(f)個人データを送信する場合に、前記契約時の暗証番号を用いて暗号化する手段と、(g)前記電話番号をキーとして前記認証局から複合キーを入手して複合化する手段とを具備することを特徴とする携帯電話機利用における送信データ保護システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2002−288425(P2002−288425A)
【公開日】平成14年10月4日(2002.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−89317(P2001−89317)
【出願日】平成13年3月27日(2001.3.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】