説明

携帯電話端末

【課題】携帯電話端末に関し、無線公衆通信網の圏外で新しく基地局などの再設置を必要とすることなく、緊急通報等の音声信号による通信を確実に行うことを可能にする。
【解決手段】携帯電話端末内に、無線公衆網を介して音声信号を送受する機能を有する無線公衆網通信部100と、無線公衆網を介することなく音声信号を他の携帯電話端末と直接送受する機能を有する個別通信部200とを備える。発信モードの携帯電話端末は、マイク1−7から入力される音声信号を個別通信部200の送信部1−16に出力し、個別通信部200の受信部1−17に入力される音声信号をスピーカ1−7へ出力する。中継モードの携帯電話端末は、個別通信部200の受信部1−17に入力される音声信号を、無線公衆網通信部100へ出力して無線公衆網へ送信し、無線公衆網から無線公衆網通信部100に入力される音声信号を個別通信部200の送信部1−16へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話端末に関し、無線公衆網エリア外(圏外)から緊急通報等の通信を行いたい場合などに好適に使用することができる携帯電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話の普及により、無線公衆網を介する通信が可能なエリアは拡大しているが、人口が多い地区を対象に優先的に拡大しているため、山間部や海岸部など人口が少ないエリアは、未だ通信が不能な圏外のエリアとして多数残っている。特に山岳部地帯は、登山客やスキー客などが多く訪れ、遭難などの事故に遭遇する可能性がある。
【0003】
このようなエリアで携帯電話による緊急通報が必要となった場合、携帯電話による通信が圏外のため不可能となり、事故等の発生を知らせる方法が無く、遭難者や事故者の発見が遅れ、被害がより大きくなる可能性が高い。このような事態の発生を防ぐため、圏外での通信を可能にする様々な方法が提案されている。
【0004】
例えば、移動局が基地局と直接通信するモードと、他の移動局の通信を中継するモードとを備え、固定ネットワークに接続する認証に必要な利用者情報(ID)を備えたSIM(加入者識別モジュール)カードを装着することができる通信システムが下記の特許文献1等により提案されている。また、移動中継局が移動局に割り当てられたSIMのIDに基づき、移動局の通信をネットワークにログオンさせる呼設定方法が特許文献2等により提案されている。
【0005】
また、携帯電話に対し無線公衆網の電波が届きにくい室内では、自営基地局(親機)との間に親子関係を持たせることで、緊急通報や位置検索を行うことを可能にした自営基地局が特許文献3等により提案されている。また、電源接続手段を有する通信装置が、携帯電話と基地局の無線通信を中継し、圏外にある携帯電話からの発着信を可能とするものが特許文献4等により提案されている。
【0006】
また、通常の通信手段を使用することができなくなったときに、衛星との通信に切り替え、衛星を介して事前に設定された通知先と通信を可能にする携帯端末が特許文献5等により提案されている。また、超小型基地局から携帯電話網に有線公衆網(固定電話網)を介して通信を行う超小型無線基地局が特許文献6等により提案されている。
【0007】
また、携帯電話に中継局としての機能を持たせて、携帯電話の使用範囲を拡大しようとする通信方法等が特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12等により提案されている。
【0008】
また、緊急通報装置同士で蓄積中継による通信を行うようにし、緊急通報連絡手段が無線基地局と通信を行うことができない場合に、緊急通報の中継を要求する中継要求信号を発し、中継要求信号を受信した緊急通報装置は、緊急通報の情報を蓄積し、無線基地局との通信が可能となったときに情報を送信する緊急通報装置が特許文献13により提案されている。
【0009】
また近年、携帯電話が普及し、初めて携帯電話端末を所有する人は少なく、古い機種から新しい機種への買い替え需要が多くなっている。そのため、以前に使用していた携帯電話端末は、買い替えにより使用できなくなり、ゴミとして廃棄されてしまうことが多い。
【0010】
上記特許文献1〜13を以下に列記する。
【特許文献1】特開2005−341290号公報
【特許文献2】特開平8−47040号公報
【特許文献3】特開2002−112312号公報
【特許文献4】特開平8−331043号公報
【特許文献5】特開2006−279712号公報
【特許文献6】特開2006−261722号公報
【特許文献7】特開2005ー33397号公報
【特許文献8】特開2003−61136号公報
【特許文献9】特開2002−290312号公報
【特許文献10】特開2001−186076号公報
【特許文献11】WO2003/015445号国際公開パンフレット
【特許文献12】特開平7−38492号公報
【特許文献13】特開2001ー357480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した従来のものは、移動局をTCP/IPを基盤とするIPネットワークに中継するものであったり、自営基地局が存在する室内での使用に限られてしまうものであったり、超小型基地局の設置及び有線公衆網を必要としたりするものである。本願発明は、屋外の無線公衆通信網の圏外で、新しく基地局などの再設置を必要とすることなく、緊急通報等の音声信号による通信を確実に行うことができる携帯電話端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この携帯電話端末は、無線公衆網を介して音声信号を送受する機能を有する無線公衆網通信部と、前記無線公衆網を介することなく音声信号を他の携帯電話端末と直接送受する機能を有する個別通信部とを有する携帯電話端末であって、前記携帯電話端末を、中継モード及び発信モードの何れかのモードに設定する制御部を備え、前記携帯電話端末を発信モードに設定した場合、前記制御部は、該携帯電話端末のマイクから入力される音声信号を前記個別通信部の送信部に出力して他の携帯電話端末へ送信するように制御し、かつ、他の携帯電話端末から前記個別通信部の受信部に入力される音声信号を該携帯電話端末のスピーカへ出力するように制御し、前記携帯電話端末を中継モードに設定した場合、前記制御部は、他の携帯電話端末から前記個別通信部の受信部を通して入力される音声信号を、前記無線公衆網通信部へ出力して前記無線公衆網を介して送信するように制御し、かつ、前記無線公衆網から前記無線公衆網通信部を通して入力される音声信号を、前記個別通信部の送信部へ出力して前記他の携帯電話端末へ送信するように制御するものである。
【発明の効果】
【0013】
この携帯電話端末によれば、中継モードに設定し無線公衆網の圏内に置いた携帯電話端末と、発信モードに設定した携帯電話端末とを用いることにより、発信モードの携帯電話が無線公衆網の圏外であっても、中継モードの携帯電話端末を通して無線公衆網を介する緊急通報等の通信が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1はこの携帯電話端末の第1の構成例を示す。この携帯電話端末は同図に示すように、無線公衆網用アンテナ1−1、無線(RF)部1−2、復調/変調部1−3、復号/符号部1−4、音声制御部1−5、スピーカ1−6及びマイク1−7を備える。上記無線(RF)部1−2、復調/変調部1−3及び復号/符号部1−4により、無線公衆網通信部100を構成し、無線公衆網エリア内(圏内)での移動体通信サービスをユーザに提供する。
【0015】
また、この携帯電話端末内は、USIMカード1−8が接続されるUSIMカードインタフェース部1−9、ディスプレイ部1−10、キー入力部1−11、制御部1−12、周辺部1−13及びメモリ部1−14を備え、それらにより無線公衆網を介する移動体通信機能の制御を含む種々の制御、設定及び表示等を行う。
【0016】
また、この携帯電話端末は、個別通信用アンテナ1−15、送信部1−16及び受信部1−17を備える。送信部1−16及び受信部1−17は、個別通信部200を構成する。個別通信部200による通信は、例えば、トランシーバ等のように無線公衆網を介することなく、対向し合う携帯電話端末の個別通信部200を介して、通信相手との間に直接かつ個別の通信を可能にする。
【0017】
この携帯電話端末は、通常の携帯電話端末として使用する設定のほかに、ユーザがキー入力によって発信モード又は中継モードの何れにも設定される。ユーザによって発信モードに設定された場合、マイク1−7から入力される音声信号を音声制御部1−5により個別通信部200の送信部1−16へ出力するように制御し、また、個別通信部200の受信部1−17から入力された音声信号を音声制御部1−5によりスピーカ1−6へ出力するように制御する。
【0018】
また、ユーザによって中継モードに設定された場合、個別通信部200の受信部1−17から入力された音声信号を音声制御部1−5にて無線公衆網通信部100の復号/符号部1−4へ出力するように制御し、また、無線公衆網通信部100の復号/符号部1−4から入力された音声信号を音声制御部1−5にて個別通信部200の送信部1−16へ出力するように制御する。
【0019】
中継モードの携帯電話端末では、発信モードの携帯電話端末から個別通信用アンテナ1−15を介して受信部1−17で音声信号を受信すると、制御部1−12の制御により、予め設定された電話番号又は発信モードの携帯電話端末から送出された電話番号への発呼を、無線公衆網を介して行う。
【0020】
通信先の相手と無線公衆網を介した通信路が確立すると、発信モードの携帯電話端末からの緊急通報等の音声信号は、中継モードの携帯電話端末を経由して通信相手へ伝えることが可能になり、また、無線公衆網を介した通信相手の音声信号は、中継モードの携帯電話端末を経由して発信モードの携帯電話端末に伝達される。
【0021】
図2はこの携帯電話端末の利用例を示している。同図に示すように、中継モードに設定した携帯電話端末2−1と発信モードに設定した携帯電話端末2−2との間で、個別通信による通信路により、発信モードの携帯電話端末2−2の音声信号が送受される。
【0022】
無線公衆網エリアの圏外に移動することが予想されるユーザは、USIMカードを装着し、中継モードに設定した携帯電話端末2−1を無線公衆網エリアの圏内に配置し、発信モードに設定した携帯電話端末2−2を所持して移動する。緊急通報等の通信を行う場合には、発信モードに設定した圏外の携帯電話端末2−2から発信を行うと、該携帯電話端末2−2の音声信号は、中継モードの携帯電話端末2−1で受信される。
【0023】
中継モードに設定された携帯電話端末2−1では、上記音声信号を受信すると、予め設定した電話番号に対して無線公衆網を介した発呼処理を開始する。無線公衆網を介した通信路が確立すると、緊急通報等を行ったユーザの音声は、発信モードの携帯電話端末2−2から、中継モードに設定した携帯電話端末2−1を経由し、無線公衆網を介した通信相手へ伝えることが可能になり、また、該通信相手の音声は中継モードの携帯電話端末2−1を経由し、発信モードの携帯電話端末2−2へ伝えられる。これにより、圏外での緊急通報等が可能となる。
【0024】
図3はこの携帯電話端末の動作フローを示す。同図に示すように、第1の携帯電話端末に対して中継モードに設定し(3−1)、第2の携帯電話端末に対して発信モードに設定する(3−2)。中継モードに設定に設定された第1の携帯電話端末では、該携帯電話端末にUSIMカードが装着されているか否かを判定する(3−3)。
【0025】
また、第1の携帯電話端末は、無線公衆網エリア内(圏内)に存在しているか否かを判定する(3−4)。USIMカードが装着され、かつ、無線公衆網エリア内(圏内)に存在している場合に、第1の携帯電話端末は中継モードに移行する(3−5)。
【0026】
一方、第2の携帯電話端末は、発信モードに設定されると、発信モードに移行する(3−6)。第2の携帯電話端末を所持するユーザは、第1の携帯電話端末との個別通信が可能な範囲内で移動し、第2の携帯電話端末で緊急通報等を行うと(3−7)、第2の携帯電話端末から緊急通報等の信号が第1の携帯電話端末に個別通信によって送信される。
【0027】
第1の携帯電話端末は、第2の携帯電話端末から緊急通報等の信号を受信すると、無線公衆網への発呼処理を開始し(3−8)、無線公衆網を介した通信路が形成されると、第2の携帯電話端末は、第1の携帯電話端末を経由して無線公衆網を介した通話が可能となる(3−10)。
【0028】
図4はこの携帯電話端末の第2の構成例を示す。この構成例は、中継モードに設定された携帯電話端末からの間違い電話の発呼を防ぐために、発信モードの携帯電話端末で、何桁かのキー入力信号(英数字等)を識別番号(ID)として送信するID付加部4−1と、中継モードの携帯電話端末で、受信した識別番号(ID)を解析するID解析部4−2とを備えたものである。
【0029】
発信モードの携帯電話端末のID付加部4−1から送出された識別番号(ID)を、中継モードの携帯電話端末のID解析部4−2で解析し、解析結果が予め設定した識別番号(ID)と一致した場合のみ、中継モードの携帯電話端末の制御部1−12は発呼処理を開始する。これにより、発信モードに設定した携帯電話端末以外の装置からの誤った信号を受信して無線公衆網へ発呼処理を開始することを防ぐことができる。
【0030】
上記識別番号(ID)として、ID付加部4−1はキー入力部1−11から入力された英数字等のキーの入力信号を音声信号に変換し、該音声信号を送信部1−16に送出して送信する構成とすることができる。この場合、中継モードの携帯電話端末は、ID解析部4−2に代えて図5に示すように、受信した音声信号を識別番号(ID)として認識する音声認識部5−1を備える構成とする。
【0031】
携帯電話端末には、予めキー毎に異なる音や音域を設定しておく。例えば、キー[1]はド、キー[2]はレ、キー[3]はミ、・・・などのように異なる音階又は音程を設定しておく。発信モードの携帯電話端末は、この各キーに設定した異なる音階又は音程等の音信号を、キー入力時に音声信号と同様の通信可能な信号で個別通信部200から送信する。
【0032】
中継モードの携帯電話端末の個別通信部200の音声認識部5−1は、上記の音信号から数桁のキーの番号情報に復元し、該番号情報が予めユーザが設定した数桁の識別番号(ID)と一致するか否かの比較判定を行う。なお、各キーに複数の音を組み合わせて設定するなどの変形を加えることもできる。
【0033】
図6は、識別番号(ID)解析を行う携帯電話端末の動作フローを示す。ユーザは、USIMカードが装着されている1台の携帯電話端末に対して中継モードに設定する(6−1)。中継モードに設定された携帯電話端末(中継機)は、USIMカードが装着されていることと、無線公衆網の圏内であることを確認する(6−2,6−3)。
【0034】
次にユーザはキーで何桁かの識別番号(ID)を設定する(6−4)。中継モードに設定された携帯電話端末(中継機)は、該識別番号(ID)を記憶しておく。また、ユーザは緊急連絡先等の通信相手の電話番号を設定する。中継モードに設定された携帯電話端末(中継機)は、この電話番号を記憶しておき、緊急連絡等の際には無線公衆網を介してこの電話番号に発呼する。上記の設定が終わると携帯電話端末は中継モードに移行する(6−7)。
【0035】
ユーザは中継モードの設定を行った携帯電話端末以外の携帯電話端末に対し、発信モードの設定を行う(6−8)。発信モードの設定が行われた携帯電話端末は、発信モードに移行し(6−9)、個別通信部を使用した通信が可能になる。
【0036】
上記2つのモード設定を終えた後、ユーザは無線公衆網の圏内に中継モードの携帯電話端末(中継機)を置いたまま、発信モードの携帯電話端末(発信機)を携えて圏外に移動する(6−10)。ユーザは緊急通報等の通信を行う必要が生じると、発信モードの携帯電話端末(発信機)を使用し、緊急通報等の発信を行い(6−11)、識別番号(ID)のキーを入力する(6−12)。
【0037】
発信モードの携帯電話端末(発信機)は、該識別番号(ID)を個別通信用アンテナから発信する(6−13)。中継モードの携帯電話端末(中継機)は、個別通信用アンテナで受信した信号に対し、個別通信部のID解析部で識別番号(ID)の解析を行う(6−14)。
【0038】
中継モードの携帯電話端末(中継機)は、個別通信用アンテナで受信した識別番号(ID)が、予めユーザが中継モードの設定時に設定した識別番号(ID)と一致するか比較判定を行う(6−15)。両者が一致した場合、中継モードの携帯電話端末(中継機)は、中継モードの設定時に設定された電話番号へ発呼する(6−16)。
【0039】
また、中継モードの携帯電話端末(中継機)は、音声制御部にて、個別通信部の受信部から入力された音声信号を無線公衆網通信部へ出力するように制御し、無線公衆網通信部から入力された音声信号を個別通信部の送信部へ出力するように制御する。
【0040】
また、発信モードの携帯電話端末(発信機)は、音声制御部にてマイクから入力される音声信号を個別通信部の送信部へ出力するように制御し、個別通信部の受信部から入力された音声信号をスピーカへ出力するように制御する。これによりユーザは通話が可能となる(6−17)。
【0041】
なお、中継モードの携帯電話端末(中継機)において、受信した識別番号(ID)と予め設定された識別番号(ID)との不一致を検出した場合、識別番号(ID)不一致の旨を、個別通信部を介してユーザに通知する(6−18)。ユーザは識別番号(ID)不一致の通知を受けると、前述の緊急通報等の発信の操作フロー(6−11)に戻り、操作をやり直すことができる。
【0042】
ここで図1に示したUSIMカード1−8について説明する。USIMは、Universal Subscriber Identity Module(汎用加入者識別モジュール)の略で、USIMカード内にはユーザの電話番号や契約している携帯電話事業者の情報などが記録されている。USIMカード1−8を携帯電話端末に装着することで、その端末をUSIMカード内に記録されている電話番号で使用することができる。
【0043】
携帯電話端末は、USIMカード1−8が装着された状態で、且つ、無線公衆網エリア内(圏内)に所在するとき、ユーザのキー操作による発呼又は基地局からの着呼に対し、制御部1−12の制御によって無線公衆網通信部100が作動し、通常の移動体通信を実現する。しかし、携帯電話端末が無線公衆網エリア内(圏内)に所在しても、USIMカード1−8が未装着のときには、制御部1−12によって無線公衆網通信部100が作動しないように制御され、通信は制限される。
【0044】
図7にUSIMカードが未装着の状態の携帯電話端末の有効機能部を示す。同図に示すように、USIMカードが未装着の状態の携帯電話端末の有効機能部は、無線公衆網通信部100以外の、音声制御部1−5、スピーカ1−6、マイク1−7、ディスプレイ部1−10、キー入力部1−11、制御部1−12、周辺部1−13、メモリ部1−14、個別通信用アンテナ1−15、送信部1−16及び受信部1−17である。
【0045】
この携帯電話端末の個別通信は、USIMカード1−8を装着しなくても可能である。USIMカード対応の携帯電話端末を購入すれば、ユーザはUSIMカードを入れ替えるだけで、同じ電話番号をほかの携帯電話端末で使用したり、或いは逆に同じ携帯電話端末をほかの電話番号で使用したりすることができる。
【0046】
そのため、ユーザが携帯電話端末を新機種に変更した場合等、ユーザが2台の携帯電話端末を保有する場合、1台の携帯電話端末にUSIMカードを装着して中継モードに設定し、他の1台の携帯電話端末をUSIMカード未装着の状態で発信モードの携帯電話端末として使用することができる。従って、携帯電話端末の買い替え等に伴う古い機種の携帯電話端末を、廃棄することなく有効に再利用することが可能となる。
【0047】
なお、前述の実施形態において、発信モードに設定した携帯電話端末から、任意の電話番号に対して発呼することを可能にするために、通信相手先の電話番号をキー入力部1−11から入力し、該電話番号を送信部1−16から送信し、中継モードに設定した携帯電話端末では、受信した該電話番号を被呼者番号とする発呼処理を行う構成とすることができる。これにより、発信モードの携帯電話端末から任意の電話番号に対して発呼を行うことが可能となる。
【0048】
また、上記電話番号として、発信モードの携帯電話端末では、入力された数字のキー信号を音声信号に変換して送信し、中継モードの携帯電話端末では、該音声信号を音声認識部5−1で電話番号として認識し、該電話番号先に発呼処理を行う構成とすることができる。
【0049】
なお、発信モードに設定する携帯電話端末は、複数台で有っても良く、その複数台の中の1台の携帯電話端末から個別通信の信号を受信した中継モードの携帯電話端末は、無線公衆網を介した発呼処理を開始する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】携帯電話端末の第1の構成例を示す図である。
【図2】携帯電話端末の利用例を示す図である。
【図3】携帯電話端末の動作フローを示す図である。
【図4】携帯電話端末の第2の構成例を示す図である。
【図5】音声認識部を備えた携帯電話端末の構成例を示す図である。
【図6】識別番号(ID)解析を行う携帯電話端末の動作フローを示す図である。
【図7】USIMカードが未装着の携帯電話端末の有効機能部を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1−1 無線公衆網用アンテナ
1−2 無線(RF)部
1−3 復調/変調部
1−4 復号/符号部
1−5 音声制御部
1−6 スピーカ
1−7 マイク
1−8 USIMカード
1−9 USIMカードインタフェース部
1−10 ディスプレイ部
1−11 キー入力部
1−12 制御部
1−13 周辺部
1−14 メモリ部
1−15 個別通信用アンテナ
1−16 送信部
1−17 受信部
100 無線公衆網通信部
200 個別通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線公衆網を介して音声信号を送受する機能を有する無線公衆網通信部と、前記無線公衆網を介することなく音声信号を他の携帯電話端末と直接送受する機能を有する個別通信部とを有する携帯電話端末であって、
前記携帯電話端末を、中継モード及び発信モードの何れかのモードに設定する制御部を備え、
前記携帯電話端末を発信モードに設定した場合、前記制御部は、該携帯電話端末のマイクから入力される音声信号を前記個別通信部の送信部に出力して他の携帯電話端末へ送信するように制御し、かつ、他の携帯電話端末から前記個別通信部の受信部に入力される音声信号を該携帯電話端末のスピーカへ出力するように制御し、
前記携帯電話端末を中継モードに設定した場合、前記制御部は、他の携帯電話端末から前記個別通信部の受信部を通して入力される音声信号を、前記無線公衆網通信部へ出力して前記無線公衆網を介して送信するように制御し、かつ、前記無線公衆網から前記無線公衆網通信部を通して入力される音声信号を、前記個別通信部の送信部へ出力して前記他の携帯電話端末へ送信するように制御することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項2】
前記携帯電話端末のキー操作によって入力された複数桁の識別番号を、前記個別通信部を通して他の携帯電話端末へ送信する識別番号付加部と、
他の携帯電話端末から送信され前記個別通信部を通して受信した識別番号を解析し、該識別番号が予め設定された識別番号と一致するか否かを比較判定する識別番号解析部と、を備え、
前記制御部は、前記識別番号解析部による前記比較判定で一致が検出された場合に、前記無線公衆通信網を介する音声信号の送受のための発呼処理を開始することを特徴とする請求項1項に記載の携帯電話端末。
【請求項3】
前記識別番号付加部は、前記識別番号を音信号に変換して送信する機能を有し、前記識別番号解析部は、前記音信号から前記識別番号を認識する音声認識機能を有することを特徴とする請求項2に記載の携帯電話端末。
【請求項4】
前記携帯電話端末を発信モードに設定した場合、前記制御部は、該携帯電話端末のキー操作によって入力された電話番号を、前記個別通信部を通して前記他の携帯電話端末に送信するよう制御し、
前記携帯電話端末を中継モードに設定した場合、前記制御部は、他の携帯電話端末から前記個別通信部を通して電話番号を受信し、該電話番号の通信先に対して前記無線公衆網を介して発呼するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の携帯電話端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−10875(P2010−10875A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165529(P2008−165529)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】