説明

携帯電話認証用プラグイン・クレジットカード読取りモジュール

【課題】 本発明は、携帯電話に取付けるクレジットカード読取りモジュールに係わる。
【解決手段】 携帯電話の底部又は外部RS−232ポートのデータポートにプラグインする取付けモジュールを使用して、標準携帯電話を携帯用販売時点(POS)クレジットカード端末に切り替える方法。前記モジュールは、携帯電話の外形に合わせて成形された補強されたプラスチック筐体と、マイクロプロセッサ、メモリ、赤外線インターフェース、及び赤外線ダイオードを搭載した内部プリント回路基板と、読取りヘッドの厚みを減らすよう改良したクレジットカード読取りヘッドと、バーコード読取り器と、電子指紋読取りインターフェースと、暗号化モジュールとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用現場におけるクレジットカード決済処理に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、クレジットカードは、機械装置の中に保持された状態でカードに対して手動でクレジットカード読取り器をスライドさせ、次に読み取ったクレジットカード情報を処理センタにいる顧客サービス者に電話で伝え、電話により口頭で自身に伝えられた認証コードを手動で記録することによってのみ、処理できる。この手順は、不便で時間がかかるだけでなく、クレジットカード会社にとって、詐欺行為による損失の増加を招き、使用現場で支払いを受ける商人には詐欺行為の増加から想定されるリスクによる追加の料金がかかる。カードがスライドされて電気的に読み取られる時、多くのデパートやレストランでそうであるように、カードを使って買い物をする人は、通常、カードの読取りに立ち会うために、詐欺行為は少ない。クレジットカード番号を書き留めるだけで、電気的には読み取らない詐欺行為は、カードを受け入れる商人とそのカードの認証を与える処理者の両方にとって計算されたリスクである。カードが請求額に対して有効である場合でも、カード番号を使って買い物をしようとする人は、その購入を認証されない場合がある。その場合、その商人にとって引落とし不能となり、最後には、争いとなったカードによる購入を処理する人に費用が発生し、争いとなった請求を解決するための労力コストがかかる。
【0003】
この問題を解決するための以前の方法は、良く言って複雑で不可解であり、ハードウェアの点で高価な複数の技術の単なる組合せを含んでいた。Hypercom社によって開発されたそのような解決法の1つは、小さなブリーフケースに収納されバッテリ駆動の、既製のヴェリフォン・クレジットカード読取り器と従来の携帯電話との組合せを含む。
【0004】
このシステムは、1台あたり約1500ドルであり、ユーザの利便性の観点から携帯にあまり向いていない。必要に応じて携帯電話の外部データポートにプラグインするだけで使用可能で、クレジットカード決済を処理していない時は取り外すことができる拡張モジュールを提供する会社はない。
【0005】
クレジットカード・データは、無線伝送中においてコピーまたは読み取られるかもしれないリスクがあると考えられる。Hypercom社の場合は、その装置による伝送を政府認可の暗号化規格を用いて暗号化することを現時点ではしていないし、無線によるクレジットカード決済実行のための顧客安全保障を提供していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、いずれも国家安全保障局の規格に準拠する、デジタル署名キー・ハンドシェイクと結合された政府認可の3重デジタルアルゴリズム暗号化を用いて無線安全保障の必要性に対処する。本明細書に開示する方法は、無線伝送実行に関して、米政府国防総省において物理安全保障レベル2及びソフトウェア暗号化レベル3として知られているセキュリティレベルを達成した。これは、銀行間及び銀行内転送を実行する大多数の銀行のコンピュータと同じくらい安全であり、ATM機と同じセキュリティレベルである。
【0007】
現在のテンポの速い世界において、コンピュータプロセスの効率とスピードは、金融に関するまたはユーザ又は顧客に時間節約の利便を提供するいかなる取引においても重要なファクタである。Hypercom社等の以前の組合せた技術を使用した決済処理に要する時間は、通常、決済を処理するためにほぼ1分を必要とする。本明細書に開示する技術を使用することにより各決済の処理時間が数秒に短縮され、これにより顧客満足度が増加し、全体としてはるかに望ましい装置ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
プラグイン・モジュールは、世界中の市場において普及している大多数の携帯電話の外部ポートにプラグインできるように設計されている。主にプラスチック成形体から成る筐体又は外部容器が、使用する特定のモデル及びブランドの携帯電話に合った外形とするために特定の携帯電話の製造元に関して変わる以外は、内部回路基板、部品、構成、ファームウェア、ソフトウェア、動作特徴は、ユーザから見て携帯電話の製造元によってはあまり変わらない。クレジットカード読取りモジュールの種々の構成要素は、暗号化モジュールと、クレジットカード読取りヘッドと、レシートをプリントするためのプリンタ又はPCへの通信用の赤外線ポートと、雑誌、パンフレット、パッケージ等の印刷物からバーコードを読み取るためのバーコード読取り器と、携帯電話のユーザ又はクレジットカード読取りモジュールの読取りスロットで読み取られているクレジットカードのユーザを電子的に特定するための指紋読取り器とを含む。
【0009】
携帯電話が正常に使用されている時、クレジットカード読取りモジュールは常時、携帯電話の外部データポートに取付けたままでもよいが、携帯電話の消費電力を減らすために、クレジットカードがクレジットカード読取りモジュールのスロット内をスライドしこのモジュールが動作状態とされる時等まで、このモジュールは、待機モードになる。クレジットカードがクレジットカード読取りモジュールにより読み取られると、クレジットカード読取りモジュール内の回路基板上の電子部品は、フル動作モードとなり、次のようにクレジットカード・データを処理する。
【0010】
1)磁気的に記録されたクレジットカード・データが、クレジットカード磁気ストライプ・トラック1、2、3から読み出され、内部メモリに格納される。
2)格納されたクレジットカード・データが、マイクロプロセッサ内で、米政府認可のT−DESアルゴリズムを用いて暗号化される。
【0011】
3)暗号化されたクレジットカード・データが、携帯電話のLCD表示器に表示される。
4)LCD表示器は、ユーザに決済の金額を入力し、SENDキーを押すよう促す。
【0012】
5)携帯電話内のWAPアプリケーションは、クレジットカード処理センタとのインターネットプロトコルセッション(IPセッション)を確立し、暗号化されたクレジットカード・データを無線で携帯電話スイッチ局(MTSO)に転送し、次にMTSOから処理者施設までのプライベート・フレームリレー・リンクにより処理者に転送する。
【0013】
6)処理センタは、プラグイン・モジュールの製造元が所有し、運営するサーバコンピュータを使用して当該データを復号化する。
7)復号化されたデータは、クレジットカードが有効期限切れでないか、盗まれたものでないか、又は限度額を超えていないかの判定において通常の方法で処理され、処理中の現購入の金額に関して決済額が承認または拒否される。
【0014】
8)承認か拒否かの結果が、IPセッションプロトコルを使用する実行中のWAPアプリケーションによって携帯電話モジュールに転送される。
9)処理者からの結果が、WAPアプリケーションによって携帯電話のLCD画面上に表示される。
【0015】
10)クレジットカード承認セッションが終了し、クレジットカード・モジュール回路は、この後の別のクレジットカード決済に備えてスリープモードに戻る。
【0016】
11)クレジットカード読取りモジュールの赤外線の出力窓を携帯用のプリンタに向け、このモジュールのPRINTキーを押すことによって、ユーザ又は顧客にレシートを発行するために直前の決済に関する格納された情報が赤外線伝送によってプリンタに転送される。
【0017】
12)航空会社の機内雑誌等の販売する衣類又は商品アイテムを掲載した雑誌の場合、ユーザ又は顧客は、そのアイテムのバーコードをスキャンし、このモジュールの内部メモリに記録した後、クレジットカードを読取らせ決済を完了することで、この記録情報を使って無線で購入することができる。
【0018】
13)クレジットカードのユーザの身元が記録されていない場合は、顧客は、磁気ストライプ運転免許証をクレジットカードスロットに通すか又は自身の指を本モジュールの側面にある指紋読取りレンズの前を通過させることで、自身を特定することができる。
【0019】
運転免許証又は指紋データが読込まれ格納された後、そのデータは、クレジットカード・データの読取りのための上記の暗号化アルゴリズムと同じ暗号化アルゴリズムを使用して暗号化される。これにより、電子メールメッセージと、クレジットカード、デビットカード、小切手、又は他の種類の支払方法を使った金融決済及び購入と、道路上での交通違反切符の支払いと、その他とを含む全ての種類の取引のための安全な端末が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】プラグイン・モジュールの外観と取付ける携帯電話に合わせたその外形を示す図である。
【図2】回路基板上の部品配置とモジュールの内部の各部を示す図である。
【図3】プラグイン・モジュールによるカード読取りから認証及び完了までのステップ単位のフローチャートである。
【図4】カード読取りから、IPセッションを経てMTSOへ、安全保障されたゲートウェイを経てプライベート・フレームリレーによりカード処理者へ、そしてクレジットカードの承認又は拒否及び決済の完了までの商取引決済例を示す図である。
【図5】暗号化処理とその後の復号化処理との最初から最後までを示す図である。
【図6】処理センタ、銀行、携帯電話接続業者、携帯電話製造元(在庫管理のため)、モジュール製造元、及びクレジットカード発行者を含む各種組織が紛失、顧客苦情又は問合せ、及び顧客サポート係に対するサポートの場合に共通のデータベースを共有する仕方を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RS−232又はUSBの標準外部データポートを介して変更を加えることなく既存の携帯電話に取付ける後付装置としての任意の携帯電話用プラグイン取付けモジュールであって、
クレジットカード磁気ストライプ読取りヘッドと、
スマートカード挿入スロットと、
バーコード読取り器と、
指紋読取り器と、
赤外線無線プリンタインターフェースと、
認可されたAES型暗号化モジュールと、
データ保持用メモリ記憶装置と、
マイクロプロセッサと
を備え、
携帯電話通信網上で、IPセッションと、ダイアルアップセッション又はオーバーヘッド信号と、メッセージセッションとにより安全な接続が確立され、インターネット又は私用通信網を介してクレジットカード処理センタ、小売販売組織、料金支払いセンタ、又はインターネット販売組織に接続され、購入と、料金支払いと、清算と、金融決済のための安全な伝送とを行う安全な端末としてのプラグイン取付けモジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データポートプラグイン接続部を有し、携帯電話のデータポートに接続されるように適合しているコネクタを備えた本体格納ハウジングと、
前記本体格納ハウジングに形成されており、カードのストライプに保持されている情報を読取るために適合しているカード読取り部と、
前記カード読取り部からクレジットカード情報を受け取り、
前記本体格納ハウジング内の回路から、そのクレジットカードに関連付けられている人が実在することを確認するための追加情報を要求し、
情報を暗号化して、その暗号化した情報を携帯電話のデータポートから処理センタへ向けて送る
ための回路を制御する、プロセッサ及び通信制御部と
を備えている携帯電話用モジュール。
【請求項2】
前記カード読取り部を通じて運転免許証情報を入力するようユーザに要求するプロンプトを与える請求項1に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項3】
指紋読取り器をさらに備え、前記プロンプトには前記追加情報として前記指紋読取り器に指紋を置くようユーザに要求することが含まれる請求項1に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項4】
スマートカード読取り器をさらに備える請求項1に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項5】
取引情報と関連付けられた情報を印刷させるための無線印刷機構をさらに備える請求項1に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項6】
前記本体格納ハウジングは、前記データポートを携帯電話の内部に直接プラグインすることができる位置で、携帯電話の外表面に対して押し付けられるようになっている内表面を有する請求項1に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項7】
前記データポートは、コネクタと、前記ハウジングにつながれた電線とを備えてなる請求項1に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項8】
前記プロセッサ及び通信制御部が前記カード読取り部から取得した情報に基づいてIPセッションを開始すべく、前記携帯電話を制御する請求項1に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項9】
前記プロセッサ及び通信制御部が創出する情報を暗号化するための暗号化回路を有する請求項8に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項10】
前記カード読取り部と、前記プロセッサ及び通信制御部とが携帯電話に内蔵されている電池から電力を供給される請求項2に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項11】
使用後に前記カード読取り部と、前記プロセッサ及び通信制御部の電源をオフし、ユーザ使用時に前記カード読取り部と、前記プロセッサ及び通信制御部の電源を再度オンするスリープ回路をさらに備える請求項10に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項12】
前記追加情報が前記カード読取り部を通されているカードの検出を含む請求項11に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項13】
スタンドアローンの可搬モジュールを携帯電話のデータポートに取り付けることと、
取引に関連付けられて送るべきクレジットカード情報を取得するために、前記スタンドアローン可搬モジュールを使用することと、
前記スタンドアローン可搬モジュールを用いて、ユーザに当該ユーザが実在することを示すIDの提示を要求することと、
クレジットカード会社に前記取引を示す情報を送り、それに基づいて取引承認又は取引非承認を受け取るために、取得された情報に基づいて携帯電話を制御することと
を含む方法。
【請求項14】
携帯電話の電池から、前記スタンドアローン可搬モジュールのカード読取り部及び処理回路に電源を供給することをさらに含む請求項13に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項15】
前記取り付けることが、携帯電話にデータポートをプラグインするために、可搬モジュールの表面を携帯電話の対応する外表面の上にスライドさせることを含む請求項13に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項16】
前記取り付けることが、前記モジュールから前記携帯電話内へ電線を差し込むことを含む請求項13に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項17】
前記ユーザにIDの提示を要求することが、ユーザにIDカードを前記カード読取り部にかけることを要求することを含む請求項13に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項18】
前記ユーザにIDの提示を要求することが、前記ユーザから指紋情報を読み取るために内蔵指紋読取り器を使用することを含む請求項13に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項19】
バーコードをスキャンして、そのバーコードから得られる情報を取引に関連付けた情報として利用するために、前記モジュールにスキャナを使用することを含む請求項13に記載の携帯電話用モジュール。
【請求項20】
取り付けモジュールの内表面を携帯電話の外表面に対して押し付けることによって、携帯電話のデータポートにプラグイン取り付けモジュールを取り付け、取り付けモジュールのコネクタを、携帯電話のリソースに電力及びデータの接続能力を与えている携帯電話の対応コネクタに差し込むことと、
前記プラグイン取り付けモジュールのカード読取り部にカードをスワイプさせてカードを読取り、そのカードのスワイプによってそのカードからクレジットカード情報を取得することと、
そのカードのスワイプを受信したことに基づいて、ユーザに取引に関連付けられた情報を提示するように促すことと、
クレジットカード以外の追加ID情報がプラグイン取り付けモジュールの回路で受信された場合に、ユーザにその追加ID情報を提示するように促すことと、
前記クレジットカード情報に基づいて、IPセッションを確立し、前記クレジットカード情報を前記取引に関連付けられた情報とともに遠隔したクレジットカード処理センタに送ることと、
前記遠隔したクレジットカード処理センタからその取引の承認又は非承認のいずれかを受け取ることと
を含む方法。
【請求項21】
前記ユーザに取引に関連付けられた情報を提示するように促すことが、ユーザに前記カード読取り部を介して運転免許証情報を入力するのを促すことを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ユーザに取引に関連付けられた情報を提示するように促すことが、ユーザに前記プラグイン取り付けモジュールに設けられている指紋読取り器を用いて指紋を入力するのを促すことを含む請求項20に記載の方法。
【請求項23】
バーコードをスキャンするために、プラグイン取り付けモジュールにスキャナを使用し、前記取引の一部として前記バーコードからの情報を利用することを含む請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−514767(P2006−514767A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−571155(P2004−571155)
【出願日】平成15年7月24日(2003.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/023196
【国際公開番号】WO2004/095355
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505038003)
【Fターム(参考)】