説明

摩擦クラッチ

【課題】
CCコンポジットのような炭素/黒鉛材料を使用することによって摩擦クラッチの高温域や高回転域において高い伝達動力を達成すると共に、軽量化を図った上で、低温域での動力伝達特性をも改良することを課題とするものである。
【解決手段】
摩擦クラッチにおいて、摩擦ディスク組立をセンターハブ部と摩擦ディスクによって構成し、当該摩擦ディスクに第一の摩擦面と第二の摩擦面とを備えさせると共に、当該第一の摩擦面に対向したフライホイールに第三の摩擦面を備え、更に当該第二の摩擦面に対向したプレッシャープレートに第四の摩擦面を備え、これら第一乃至第四の摩擦面の少なくとも一つ以上が炭素/黒鉛材料と金属/セラミックス材料を組合せた異種材料によって構成し、炭素/黒鉛材料が炭素/黒鉛材料系摩擦面を、金属/セラミックス材料が金属・セラミックス材料系摩擦面を形成する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動側から従動側への動力伝達を断続するクラッチに関し、より詳細には、四輪自動車や二輪車(オートバイや原動機付自転車等)等の動力発生源を有する乗物等に好適に用いられる摩擦クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
クラッチは、自動車のエンジンのような動力発生源からの動力を機械的接触により断続するものとして多用されてきた。摩擦クラッチは、2面間の摩擦力によって動力を伝達するものであり、該2面間を接触させることで動力を伝達し、該2面間を切り離すことで動力の伝達を断絶する。この摩擦クラッチは、動力の断続を円滑に行うことができること等から自動車(四輪自動車や二輪車を含む。)等に多用されている。
【0003】
図1は、四輪自動車に用いられている従来の摩擦クラッチの断面図(センターハブの中心軸を含む一平面によって切断されたところを示している。)である。図1を参照して、従来の摩擦クラッチ101について説明する。なお、ここでは図示及び理解を容易にするために、レリーズベアリングやレリーズアーム等については図示を省略している。摩擦クラッチ101は、クラッチカバー107と、エンジンの出力軸(クランクシャフト)に取りつけられたフライホイール103と、摩擦ディスク組立113と、プレッシャープレート115と、ダイヤフラムスプリング117と、を備えてなる。
【0004】
そして、摩擦ディスク組立113は、センターハブ105(図示しないトランスミッションのメインシャフトが内挿固定される。トーションスプリング109を含む。)と、摩擦ディスク111と、センターハブ105と摩擦ディスク111とを連結するリベット119と、を有してなる。
【0005】
クラッチカバー107は、無底有蓋(下面は全て開放されており、上面は後述の開口を除き蓋をされた状態である。)の円筒形の容器を構成しており、上面には該円筒形の中心軸を中心とした円形の開口107hが設けられている。円形の開口107hの周囲に沿って短冊状の板ばねを構成するダイヤフラムスプリング117が複数取りつけられている(短冊状のダイヤフラムスプリング117それぞれは、ねじ部材118によってねじ部材118の中心軸を含む平面内において所定範囲内において回動可能に取りつけられている。)。
【0006】
ダイヤフラムスプリング117の一端117aはプレッシャープレート115の凸部115aに当接し、それによってプレッシャープレート115をフライホイール103の方向へ付勢している。この付勢力により摩擦ディスク111がフライホイール103に押しつけられ、フライホイール103から摩擦ディスク111へと動力が伝達される。即ち、この状態がクラッチがつながった状態であり、フライホイール103から摩擦ディスク111とリベット119とを経由してセンターハブ105に動力が伝達される。
【0007】
なお、摩擦ディスク111は、フライホイール103からの動力を滑りなくうまく受け取るために、摩擦ディスク111のうちフライホイール103及びプレッシャープレート115に接する部分にはクラッチフェーシングが貼着されている。
【0008】
一方、ダイヤフラムスプリング117の他端117bは、図示しないレリーズベアリングに当接しており、同じく図示しないレリーズアームによって該レリーズベアリングがフライホイール103の方向へ移動されることでダイヤフラムスプリング117の他端117bも該方向へ押され、それによってダイヤフラムスプリング117の一端117aがプレッシャープレート115の凸部115aから離れ、プレッシャープレート115が摩擦ディスク111をフライホイール103の方向へ付勢する付勢力がなくなる。
【0009】
これによって、摩擦ディスク111がフライホイール103に押しつけられなくなり、フライホイール103から摩擦ディスク111へと動力が伝達されなくなる。即ち、この状態がクラッチが切れた状態であり、センターハブ105へ動力が伝達されない。
【0010】
このような摩擦クラッチは、小型軽量で伝達可能な動力が大きいことが望まれ、とりわけ自動車のクラッチとして用いられる場合、最近のエンジンの高出力化、室内空間の大型化及び軽量化という要求によってこの傾向が大きい。このような傾向は、摩擦クラッチに対して高温域や高回転域における高伝達動力を要求するものであり、かかる要求に応えるべく様々な試みがなされてきた。
【0011】
そのような試みの中で、フライホイール103及びプレッシャープレート115に接する摩擦ディスク111の部分の材質を、高温域や高回転域における高伝達動力が可能なものにすることも検討されてきている。
【0012】
特に、自動車レース等に用いるレース車両の摩擦クラッチは過酷な条件で使用されることから、とりわけ高温域や高回転域における高伝達動力を要求される。
【0013】
このような高温域や高回転域において高い伝達動力を達成する摩擦クラッチを提供するために、摩擦ディスクにCCコンポジットを使用したものがある (特許文献1)。このCCコンポジットは、摩擦面の温度が高くなるほど摩擦係数が上昇する傾向がある。従って、摩擦ディスクにCCコンポジットを使用することによって、高温域や高回転域において高い伝達動力を達成すると共に、軽量化を図ることができ慣性モーメントを小さくし回転数変化に摩擦ディスクが追従しやすくすることができるのである。
【特許文献1】特開2002-181072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、摩擦ディスクにCCコンポジットのような炭素/黒鉛材料を使用した場合、低温域における摩擦係数が低いという特性から、摩擦クラッチの低温域での動力伝達が十分でないという問題があった。また、摩擦ディスクにCCコンポジットのような炭素/黒鉛材料を使用した場合、かかる材料は比較的高価な材料であるため、摩擦クラッチのコストが大きく上昇してしまうという問題があった。
【0015】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、CCコンポジットのような炭素/黒鉛材料を使用することによって摩擦クラッチの高温域や高回転域において高い伝達動力を達成すると共に、軽量化を図った上で、低温域での動力伝達特性をも改良することを課題とするものである。
【0016】
更には、CCコンポジットのような炭素/黒鉛材料を使用した摩擦クラッチのコスト低減を図ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述したような課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、入力により回転されるフライホイールと、フライホイールに取り付けられたクラッチカバーと、フライホイールに圧接されることでフライホイールと共に回転する摩擦ディスク組立とからなる摩擦クラッチにおいて、クラッチカバーは、摩擦ディスク組立をフライホイールに押圧するためのプレッシャープレートと、プレッシャープレートを付勢するための付勢部材を備え、摩擦ディスク組立は、摩擦ディスク組立の中心部分に一体的に組み付けられ、伝達動力を出力するためのセンターハブ部と、フライホイールとプレッシャープレートの間に挟まれ、摩擦力により回転動力を伝達するための摩擦ディスクを備え、摩擦ディスクは、フライホイール側に面した第一の摩擦面と、プレッシャープレートに面した第二の摩擦面とを備え、フライホイールは、摩擦ディスクの第一の摩擦面に対向した第三の摩擦面を備え、プレッシャープレートは、摩擦ディスクの第二の摩擦面に対向した第四の摩擦面を備え、第一乃至第四の摩擦面の少なくとも一つ以上が炭素/黒鉛材料と金属/セラミックス材料を組合せた異種材料によって構成され、炭素/黒鉛材料が炭素/黒鉛材料系摩擦面を、金属/セラミックス材料が金属/セラミックス材料系摩擦面を形成する構成の摩擦クラッチとした。
【0018】
また、請求項2に記載された発明では、請求項1に記載された摩擦クラッチであって、第一の摩擦面と第二の摩擦面が、炭素/黒鉛材料と金属/セラミックス材料を組合せた異種材料によって構成され、炭素/黒鉛材料が炭素/黒鉛材料系摩擦面を、金属/セラミックス材料が金属/セラミックス材料系摩擦面を形成している構成の摩擦クラッチとした。
【0019】
また、請求項3に記載された発明では、請求項1又は2に記載された摩擦クラッチであって、炭素/黒鉛材料が、CCコンポジット材から構成されている摩擦クラッチとした。
【0020】
更に、請求項4に記載された発明では、請求項1乃至3のいずれかに記載された摩擦クラッチであって、金属/セラミックス材料が、鉄鋼、真鍮、銅、アルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、およびこれらの合金の内のいずれかの金属材料、あるいはアルミナ、ムライト、コーディエライト、ジルコニア、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、ホウ化チタン、およびサイアロンの内のいずれかのセラミックス材料から構成されている摩擦クラッチとした。
【0021】
また、請求項5に記載された発明では、請求項1乃至4のいずれかに記載された摩擦クラッチであって、摩擦ディスクは、第一の摩擦面を構成する第一の摩擦プレート、第二の摩擦面を構成する第二の摩擦プレート、および第一、第二の摩擦プレートを固定保持するためのセンタープレートからなる3層構造で構成されている摩擦クラッチとした。
【0022】
また、請求項6に記載された発明では、請求項5に記載された摩擦クラッチであって、第一の摩擦プレート、第二の摩擦プレート、およびセンタープレートは円環状であり、第一の摩擦プレート、および第二の摩擦プレートはセンタープレートに機械的に結合され、センタープレートはセンターハブ部に機械的に結合されている構成の摩擦クラッチとした。
【0023】
更に、請求項7に記載された発明では、請求項6に記載された摩擦クラッチであって、第一の摩擦プレート、第二の摩擦プレート、およびセンタープレートは、各々複数の円周方向に分割されたブロックから構成されている摩擦クラッチとした。
【0024】
また、請求項8に記載された発明では、請求項5乃至7のいずれかに記載された摩擦クラッチであって、第一の摩擦プレート本体、および第二の摩擦プレート本体が炭素/黒鉛材料系摩擦面を形成する炭素/黒鉛材料であり、第一の摩擦プレート、および第二の摩擦プレートをセンタープレートに機械的に結合するためのフアスナーが金属/セラミックス材料系摩擦面を形成する金属/セラミックス材料である構成の摩擦クラッチとした。
【0025】
また、請求項9に記載された発明では、請求項1乃至8のいずれかに記載された摩擦クラッチであって、炭素/黒鉛材料系摩擦面と、金属/セラミックス材料系摩擦面とが同一平面を形成するように構成されている摩擦クラッチとした。
【0026】
更に、請求項10に記載された発明では、摩擦クラッチ用の摩擦ディスク組立では、摩擦ディスク組立の中心部分に一体的に組み付けられ、伝達動力を出力するためのセンターハブ部と、摩擦力により回転動力を伝達するための摩擦ディスクを備え、摩擦ディスクは、第一の摩擦面と第二の摩擦面とを備え、第一乃至第二の摩擦面の少なくとも一つ以上が炭素/黒鉛材料と金属/セラミックス材料を組合せた異種材料によって構成され、炭素/黒鉛材料が炭素/黒鉛材料系摩擦面を、金属/セラミックス材料が金属/セラミックス材料系摩擦面を形成している構成の摩擦ディスク組立とした。
【0027】
また、請求項11に記載された発明では、請求項10に記載された摩擦ディスク組立であって、炭素/黒鉛材料が、CCコンポジット材から構成されている摩擦ディスク組立とした。
【0028】
また、請求項12に記載された発明では、請求項10または11のいずれかに記載された摩擦ディスク組立であって、金属/セラミックス材料が、鉄鋼、真鍮、銅、アルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、およびこれらの合金の内のいずれかの金属材料、あるいはアルミナ、ムライト、コーディエライト、ジルコニア、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、ホウ化チタン、およびサイアロンの内のいずれかのセラミックス材料から構成されている摩擦ディスク組立とした。
【0029】
更に、請求項13に記載された発明では、請求項10乃至12のいずれかに記載された摩擦ディスク組立であって、摩擦ディスクは、第一の摩擦面を構成する第一の摩擦プレート、第二の摩擦面を構成する第二の摩擦プレート、および第一、第二の摩擦プレートを固定保持するためのセンタープレートからなる3層構造で構成されている摩擦ディスク組立とした。
【0030】
また、請求項14に記載された発明では、請求項13に記載された摩擦ディスク組立であって、第一の摩擦プレート、第二の摩擦プレート、およびセンタープレートは円環状であり、第一の摩擦プレート、および第二の摩擦プレートはセンタープレートに機械的に結合され、センタープレートはセンターハブ部に機械的に結合されている構成の摩擦ディスク組立とした。
【0031】
また、請求項15に記載された発明では、請求項14に記載された摩擦ディスク組立であって、第一の摩擦プレート、第二の摩擦プレート、およびセンタープレートは、各々複数の円周方向に分割されたブロックから構成されている摩擦ディスク組立とした。
【0032】
更に、請求項16に記載された発明では、請求項13乃至15のいずれかに記載された摩擦ディスク組立であって、第一の摩擦プレート本体、および第二の摩擦プレート本体が炭素/黒鉛材料系摩擦面を形成する炭素/黒鉛材料であり、第一の摩擦プレート、および第二の摩擦プレートをセンタープレートに機械的に結合するためのフアスナーが金属材料/セラミックス系摩擦面を形成する金属/セラミックス材料である構成の摩擦ディスク組立とした。
【0033】
また、請求項17に記載された発明では、請求項10乃至16のいずれかに記載された摩擦ディスク組立であって、炭素/黒鉛材料系摩擦面と、金属/セラミックス材料系摩擦面とが同一平面を形成するように構成されている摩擦ディスク組立とした。
【発明の効果】
【0034】
本発明においては、上述したように、摩擦クラッチ、あるいは摩擦ディスク組立のいずれかの摩擦面に炭素/黒鉛材料(例えば、CCコンポジット)と金属/セラミックス材料を組合せた異種材料からなる摩擦面を構成することにより、高温域や高回転域において高い動力伝達性能を達成すると共に、低温域や低回転域においても安定した、十分なレベルの動力伝達性能を発揮することができるようになった。
【0035】
また、炭素/黒鉛材料(例えば、CCコンポジット)のような比重の小さい材料を使用しているため、摩擦クラッチ、あるいは摩擦ディスク組立の軽量化を図ることができた。
【0036】
更に、回転体の慣性モーメントを小さくすることができることから、回転数変化に摩擦ディスクが追従しやすくなり、レスポンスの良い回転動力の接続/切断が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、ここで説明する本発明の実施の形態は、本発明を例示するものであって、これらによって限定されるものではない。
【0038】
また、本明細書において「炭素/黒鉛材料」とは「炭素材料または黒鉛材料から成る材料」を意味し、「金属/セラミックス材料」とは「金属材料またはセラミックス材料から成る材料」を意味するものとする。
【0039】
図2は、本発明にかかる摩擦クラッチを示したものであり、センターハブの中心軸を含む一平面によって切断された摩擦クラッチの断面図を示したものである。なお、図2には、説明を容易にするために、レリーズベアリングやレリーズアーム等については図示を省略している。
【0040】
本発明にかかる摩擦クラッチ201は、クラッチカバー207と、エンジンの出力軸(クランクシャフト)に取りつけられたフライホイール203と、摩擦ディスク組立213と、プレッシャープレート215と、ダイヤフラムスプリング217とを備えている。
【0041】
摩擦ディスク組立213は、センターハブ205(図示しないトランスミッションのメインシャフトが内挿固定される部分であり、この部分にはトーションスプリング209も含まれる。)と、摩擦ディスク211と、センターハブ205と摩擦ディスク211とを連結するリベット219とを有している。
【0042】
クラッチカバー207は、無底有蓋(下面は全て開放されており、上面は後述の開口を除き蓋をされた状態である。)の円筒形の容器を構成しており、上面には該円筒形の中心軸を中心とした円形の開口207hが設けられている。円形の開口207hの周囲に沿って短冊状の板ばねを構成するダイヤフラムスプリング217が複数取りつけられている(短冊状のダイヤフラムスプリング217それぞれは、ねじ部材218によってねじ部材218の中心軸を含む平面内において所定範囲内において回動可能に取りつけられている。)。
【0043】
ダイヤフラムスプリング217の一端217aはプレッシャープレート215の凸部215aに当接し、それによってプレッシャープレート215をフライホイール203の方向へ付勢している。この付勢力により摩擦ディスク211がフライホイール203に押しつけられ、フライホイール203から摩擦ディスク211へと動力が伝達される。即ち、この状態がクラッチがつながった状態であり、フライホイール203から摩擦ディスク211とリベット219とを経由してセンターハブ205に動力が伝達される。
【0044】
ダイヤフラムスプリング217の他端217bは、図示しないレリーズベアリングに当接しており、同じく図示しないレリーズアームによって該レリーズベアリングがフライホイール203の方向へ移動されることでダイヤフラムスプリング217の他端217bも該方向へ押され、それによってダイヤフラムスプリング217の一端217aがプレッシャープレート215の凸部215aから離れ、プレッシャープレート215が摩擦ディスク211をフライホイール203の方向へ付勢する付勢力がなくなる。
【0045】
これによって、摩擦ディスク211がフライホイール203に押しつけられなくなり、フライホイール203から摩擦ディスク211へと動力が伝達されなくなる。即ち、この状態がクラッチが切れた状態であり、センターハブ205へ動力が伝達されない。
【0046】
図3は、図2における摩擦ディスク211の部分(A部)の断面図を拡大して示したものである。
【0047】
図2、3に示す実施の形態においては、摩擦ディスク211は、第一の摩擦プレート221、第二の摩擦プレート222、センタープレート223、第一の摩擦ブッシュ224、第二の摩擦ブッシュ225から構成されている。この第一の摩擦プレート221と第一の摩擦ブッシュ224は第一の摩擦面を形成し、第二の摩擦プレート222と第二の摩擦ブッシュ225は第二の摩擦面を形成するものであって、当該クラッチの動力伝達特性を決定づける摩擦面を構成するものである。
【0048】
この第一の摩擦プレート221および第二の摩擦プレート222と、第一の摩擦ブッシュ224および第二の摩擦ブッシュ225とは異種材料で構成されており、第一の摩擦プレート221および第二の摩擦プレート222を炭素/黒鉛材料で構成し、第一の摩擦ブッシュ224および第二の摩擦ブッシュ225を金属/セラミックス材料で構成するようにしても良いし、第一の摩擦プレート221および第二の摩擦プレート222を金属/セラミックス材料で構成し、第一の摩擦ブッシュ224および第二の摩擦ブッシュ225を炭素/黒鉛材料で構成するようにしても良い。
【0049】
そして、第一の摩擦プレート221と第一の摩擦ブッシュ224、第二の摩擦プレート222と第二の摩擦ブッシュ225がそれぞれ一つの摩擦面を形成するようにするため、第一の摩擦プレート221と第一の摩擦ブッシュ224、第二の摩擦プレート222と第二の摩擦ブッシュ225の表面はそれぞれ同一平面を形成するように加工されている。
【0050】
図3は、摩擦プレートと摩擦ブッシュをそれぞれ炭素/黒鉛材料と金属/セラミックス材料で構成することによって一つの摩擦面が異種材料から構成された摩擦面を備えた摩擦ディスク211の一の実施の形態を示したものである。
【0051】
この実施の形態においては、摩擦プレートが炭素/黒鉛材料で作られ、摩擦ブッシュが金属/セラミックス材料で作られているため、摩擦プレートが炭素/黒鉛材料系摩擦面を構成し、摩擦ブッシュが金属/セラミックス材料系摩擦面を構成する。
【0052】
この摩擦ブッシュは摩擦プレートの中に入れ子状に挿入され、これを機械的に摩擦プレートに固定するようにしても良いが、第一の摩擦ブッシュ224と第二の摩擦ブッシュ225にそれぞれメネジとオネジを設けておき、第一の摩擦プレート221、第二の摩擦プレート222、およびセンタープレート223に設けられた貫通孔にこれらを挿入、嵌合させ、当該メネジとオネジを螺合させることによってセンタープレート223に第一の摩擦プレート221と第二の摩擦プレート222を固定するようにしても良い。
【0053】
ここでは、第一、第二の摩擦プレートを炭素/黒鉛材料で構成し、第一、第二の摩擦ブッシュを金属/セラミックス材料で構成する実施の形態について説明したが、これに限定されるものではなく、第一、第二の摩擦プレートを金属/セラミックス材料で構成し、第一、第二の摩擦ブッシュを炭素/黒鉛材料で構成するようにすることもできる。
【0054】
また、摩擦プレートおよび摩擦ブッシュから構成される炭素/黒鉛材料系摩擦面および金属/セラミックス材料系摩擦面の形状、およびその大きさの比については、特に限定されるものではない。
【0055】
ここで、炭素/黒鉛材料系摩擦面を構成する炭素/黒鉛材料としては、一般に広く使用されている工業用炭素材料や多結晶グラファイト、あるいは熱分解グラファイト等を使用することができる。
【0056】
更に、炭素/黒鉛材料として炭素繊維で強化した複合材料である、CCコンポジット(Carbon Fiber Carbon Composite)を使用することは強度、耐磨耗性の観点から、より望ましい。
【0057】
CCコンポジットは、強化繊維としての炭素繊維またはグラファイト繊維と、強化繊維を固めるためのマトリックスとしての炭素または黒鉛材料から構成される。ここで使用されるCCコンポジットとしては、ピッチ充填と焼成を繰り返して炭化、黒鉛化を行ないつつ充分な密度と強度を持たせるようにしたり、予め立体的に配置された炭素繊維またはグラファイト繊維の周りに熱分解炭素またはグラファイトを蒸着させるなど様々な方法によって製造されたものを使用することができる。
【0058】
また、ここで使用するCCコンポジットには、以下に示すような金属、セラミックスを含有させるようにしても良い。
【0059】
チタン、ケイ素、鉄、タングステン、モリブデン、銅、アルミニウム、錫、鉛、亜鉛、マグネシウム、鉄系合金、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金、アルミナ、ムライト、コーディエライト、ジルコニア、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、ホウ化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化クロム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等である。
【0060】
また、金属/セラミックス材料系摩擦面を構成する金属/セラミックス材料としては、例えば、クロムモリブデン鋼(種類記号:SCM)のような鉄鋼、真鍮、銅、アルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、およびこれらの合金の内のいずれかの金属材料、あるいはアルミナ、ムライト、コーディエライト、ジルコニア、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、ホウ化チタン、およびサイアロンの内のいずれかのセラミックス材料等の材料を使用することができる。
【0061】
以上説明したように、第一の摩擦面および第二の摩擦面を炭素/黒鉛材料と金属/セラミック材料を組み合わせた異種材料で形成することによって、第三の摩擦面(フライホイール側摩擦面)や第四の摩擦面(プレッシャープレート側摩擦面)は、上述したような金属材料あるいはセラミックス材料で構成することができる。
【0062】
一般的に、CCコンポジットと金属/セラミックス材料との組み合わせによる摩擦面の摩擦係数は、CCコンポジットの摩擦面の温度が高くなるほど上昇する傾向があるため、
CCコンポジットの摩擦面の温度が比較的低い段階においては、摩擦面の摩擦係数がひくく、大きな動力を伝達できない。
【0063】
しかし、例えば、第一、第二の摩擦プレートをCCコンポジットで構成し、第一、第二の摩擦ブッシュを金属/セラミックス材料で構成することによって、摩擦面の温度が低い段階においては、金属/セラミックス面-金属/セラミックス面による摩擦により、安定したトルクを伝達することが可能となり、摩擦面の温度が高くなってくるとCCコンポジット(又は、炭素/黒鉛材料)のもつ高い摩擦係数が寄与して、大きな動力伝達が可能になる。
【0064】
即ち、上述したような摩擦面の構成を採用することにより、CCコンポジット(又は、炭素/黒鉛材料)が持つ摩擦特性の欠点(摩擦面の温度が低いと十分な動力伝達が実現できないという問題)を補うことが可能となるのである。
【0065】
以上の実施の形態では、摩擦ディスクの第一摩擦面と第二摩擦面にCCコンポジット(又は、炭素/黒鉛材料)と金属/セラミックス材料を組合せた摩擦面を形成するものとして説明してきたが、これに限定されるものではない。摩擦ディスクの第一摩擦面と第二摩擦面、フライホイールの摩擦ディスクに対向した第三の摩擦面、あるいはプレッシャープレートの摩擦ディスクに対向した第四の摩擦面のいずれか一つ以上の面に、CCコンポジット(又は、炭素/黒鉛材料)と金属/セラミックス材料を組合せた摩擦面を形成するようにすることもできる。
【0066】
図4は、図2、3に示す摩擦ディスク組立213の正面図を示したものである。この実施の形態では、摩擦ディスク211は円環状をなしており、摩擦ディスク211のセンタープレート223を介してセンターハブ205へ機械的に結合されている。センタープレート223をセンターハブ205へ機械的に固定する方法としては、複数個のリベット219を利用して固定する方法を採用しているが、ネジ結合、あるいは溶接による接合であってもよい。
【0067】
また、この実施の形態においては、摩擦ディスク組立213の摩擦ディスク211は、センターハブ205と別々に製作し、後で機械的に一体化する製造方法を採用しているが、センターハブ205と摩擦ディスク211のセンタープレート223を連続体として一体的に製造する方法を採用することもできる。
【0068】
図4に示す実施の形態では、複数の摩擦ブッシュが円周上等間隔に配置されているが、必ずしも円周上等間隔に配置する必要はない。
【0069】
図5は更に別の実施の形態にかかる摩擦ディスク組立213の正面図を示したものである。この実施の形態では、摩擦ディスク211は円環状のディスクを円周方向において切断した扇形の形状を成しており、このような複数個の扇形摩擦ディスク211を、扇形のセンタープレート223を介してセンターハブ205へ機械的に結合するようにしている。センタープレート223をセンターハブ205へ機械的に固定する方法としては、図4に示す実施の形態と同様、複数個のリベット219を利用して固定する方法を採用しているが、ネジ結合、あるいは溶接による接合であってもよい。
【0070】
また、この実施の形態においても、摩擦ディスク組立213の摩擦ディスク211は、センターハブ205と別々に製作し、後で機械的に一体化する製造方法を採用しているが、センターハブ205と摩擦ディスク211の扇形をしたセンタープレート223を連続体として一体的に製造する方法を採用することもできる。
【0071】
このように、第一の摩擦プレートおよび第二の摩擦プレートを円環状にしたり、あるいは扇形の形状にすることにより、高価なCCコンポジットの使用量が少なくなり大幅なコスト低減を実現することができる。更に、扇形の形状をした第一の摩擦プレートおよび第二の摩擦プレートを採用することにより、これらの部品をCCコンポジットの大きな板材から、歩留まりよく切り出すことができるようになり、更にコスト低減に寄与することができるようになる。
【0072】
なお、摩擦プレートをセンタープレートに固定する方法として、第一の摩擦ブッシュ224と第二の摩擦ブッシュ225にそれぞれメネジとオネジを設けておき、第一の摩擦プレート221、第二の摩擦プレート222、およびセンタープレート223に設けられた貫通孔にこれらを挿入、嵌合させ、当該メネジとオネジを螺合させることによってセンタープレート223に第一の摩擦プレート221と第二の摩擦プレート222を固定する方法について説明したが、これに限定されるものではない。
【0073】
摩擦ディスクの第一摩擦面と第二摩擦面においてCCコンポジット(又は、炭素/黒鉛材料)と金属/セラミックス材料を組合せた異種材料で構成された摩擦面を形成する方法のその他の実施例として、第一の摩擦プレートと第一の摩擦ブッシュ、第二の摩擦プレートと第二の摩擦ブッシュを図5−2の221−2、224−2および222−2,225−2で示すような位置、形状で形成するようにしても良いし、図5−3の221−3、224−3および222−3,225−3で示すような位置、形状で形成するようにしても良い。
【0074】
例えば、図6に示すように第一の摩擦ブッシュ224および第二の摩擦ブッシュ225に加えて、せん断ピン226を併用することによって第一の摩擦プレート221および第二の摩擦プレート222をセンタープレート223に堅固に固着することが可能となる。この場合、第一の摩擦ブッシュ224と第二の摩擦ブッシュ225に設けたメネジとオネジの螺合力によって、第一の摩擦プレート221と第二の摩擦プレート222をセンタープレート223に所定の面圧で押し付ける。そして、センタープレート223を貫通して嵌合配置されたせん断ピン226に嵌合する窪み状孔を第一の摩擦プレート221および第二の摩擦プレート222に予め設けておき、この窪み状孔とせん断ピン226とを嵌合させて組み立てることにより、せん断ピン226によってクラッチの動力伝達時に生じる、第一の摩擦プレート221および第二の摩擦プレート222とセンタープレート223の間のせん断力を伝達させるようにすることができる。
【0075】
摩擦プレートをセンタープレートに固定する方法として、ここで述べたような方法を採用することによって、より確実な動力の伝達が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、先行技術にかかる摩擦クラッチの断面図を示したものである。
【図2】図2は、本発明にかかる摩擦クラッチの断面図を示したものである。
【図3】図3は、本発明にかかる摩擦クラッチの摩擦ディスクの断面(図2に示すA部)を拡大して示したものである。
【図4】図4は、本発明にかかる、一つの実施の形態としての摩擦ディスク組立の正面図を示したものである。
【図5】図5は、本発明にかかる、別の実施の形態としての摩擦ディスク組立の正面図を示したものである。
【図5−2】図5-2は、本発明にかかる、更に別の実施の形態としての摩擦ディスク組立の正面図を示したものである。
【図5−3】図5-3は、本発明にかかる、更に別の実施の形態としての摩擦ディスク組立の正面図を示したものである。
【図6】図6は、摩擦ディスクの拡大断面であって、摩擦プレートをセンタープレートに固定する別の実施の形態を示したものである。
【符号の説明】
【0077】
201 摩擦クラッチ
203 フライホイール
205 センターハブ
207 クラッチカバー
211 摩擦ディスク
213 摩擦ディスク組立
215 プレッシャープレート
217 ダイヤフラムスプリング
219 リベット
221 第一の摩擦プレート
222 第二の摩擦プレート
223 センタープレート
224 第一の摩擦ブッシュ
225 第二の摩擦ブッシュ
226 せん断ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力により回転されるフライホイールと、
当該フライホイールに取り付けられたクラッチカバーと、
当該フライホイールに圧接されることで当該フライホイールと共に回転する摩擦ディスク組立と、からなる摩擦クラッチであって、
当該クラッチカバーは、摩擦ディスク組立を当該フライホイールに押圧するためのプレッシャープレートと、当該プレッシャープレートを付勢するための付勢部材を備え、
当該摩擦ディスク組立は、当該摩擦ディスク組立の中心部分に一体的に組み付けられ、伝達動力を出力するためのセンターハブ部と、当該フライホイールと当該プレッシャープレートの間に挟まれ、摩擦力により回転動力を伝達するための摩擦ディスクを備え、
当該摩擦ディスクは、当該フライホイール側に面した第一の摩擦面と、当該プレッシャープレートに面した第二の摩擦面とを備え、
当該フライホイールは、当該摩擦ディスクの第一の摩擦面に対向した第三の摩擦面を備え、
当該プレッシャープレートは、当該摩擦ディスクの第二の摩擦面に対向した第四の摩擦面を備え、
当該第一乃至第四の摩擦面の少なくとも一つ以上が炭素/黒鉛材料と金属/セラミックス材料を組合せた異種材料によって構成され、当該炭素/黒鉛材料が炭素/黒鉛材料系摩擦面を、当該金属/セラミックス材料が金属/セラミックス材料系摩擦面を形成していることを特徴とする摩擦クラッチ。
【請求項2】
請求項1に記載された摩擦クラッチにおいて、前記第一の摩擦面と第二の摩擦面が、炭素/黒鉛材料と金属材料/セラミックスを組合せた異種材料によって構成され、当該炭素/黒鉛材料が炭素/黒鉛材料系摩擦面を、当該金属/セラミックス材料が金属/セラミックス材料系摩擦面を形成していることを特徴とする摩擦クラッチ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された摩擦クラッチにおいて、前記炭素/黒鉛材料が、CCコンポジット材から構成されていることを特徴とする摩擦クラッチ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された摩擦クラッチにおいて、前記金属/セラミックス材料が、鉄鋼、真鍮、銅、アルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、およびこれらの合金の内のいずれかの金属材料、あるいはアルミナ、ムライト、コーディエライト、ジルコニア、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、ホウ化チタン、およびサイアロンの内のいずれかのセラミックス材料から構成されていることを特徴とする摩擦クラッチ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載された摩擦クラッチにおいて、前記摩擦ディスクは、第一の摩擦面を構成する第一の摩擦プレート、第二の摩擦面を構成する第二の摩擦プレート、および第一、第二の摩擦プレートを固定保持するためのセンタープレートからなる3層構造で構成されていることを特徴とする摩擦クラッチ。
【請求項6】
請求項5に記載された摩擦クラッチにおいて、前記第一の摩擦プレート、第二の摩擦プレート、およびセンタープレートは円環状であり、当該第一の摩擦プレート、および第二の摩擦プレートはセンタープレートに機械的に結合され、当該センタープレートはセンターハブ部に機械的に結合されていることを特徴とする摩擦クラッチ。
【請求項7】
請求項6に記載された摩擦クラッチにおいて、前記第一の摩擦プレート、第二の摩擦プレート、およびセンタープレートは、各々複数の円周方向に分割されたブロックから構成されていることを特徴とする摩擦クラッチ。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載された摩擦クラッチにおいて、前記第一の摩擦プレート本体、および第二の摩擦プレート本体が炭素/黒鉛材料系摩擦面を形成する炭素/黒鉛材料であり、前記第一の摩擦プレート、および第二の摩擦プレートをセンタープレートに機械的に結合するためのフアスナーが金属材料/セラミックス系摩擦面を形成する金属/セラミックス材料であることを特徴とする摩擦クラッチ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載された摩擦クラッチにおいて、前記炭素/黒鉛材料系摩擦面と、金属/セラミックス材料系摩擦面とが同一平面を形成するように構成されていることを特徴とする摩擦クラッチ。
【請求項10】
摩擦クラッチ用の摩擦ディスク組立であって、
当該摩擦ディスク組立は、当該摩擦ディスク組立の中心部分に一体的に組み付けられ、伝達動力を出力するためのセンターハブ部と、摩擦力により回転動力を伝達するための摩擦ディスクを備え、
当該摩擦ディスクは、第一の摩擦面と第二の摩擦面とを備え、
当該第一乃至第二の摩擦面の少なくとも一つ以上が炭素/黒鉛材料と金属/セラミックス材料を組合せた異種材料によって構成され、当該炭素/黒鉛材料が炭素/黒鉛材料系摩擦面を、当該金属/セラミックス材料が金属/セラミックス材料系摩擦面を形成していることを特徴とする摩擦ディスク組立。
【請求項11】
請求項10に記載された摩擦ディスク組立において、前記炭素/黒鉛材料が、CCコンポジット材から構成されていることを特徴とする摩擦ディスク組立。
【請求項12】
請求項10または11のいずれかに記載された摩擦ディスク組立において、前記金属/セラミックス材料が、鉄鋼、真鍮、銅、アルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、およびこれらの合金の内のいずれかの金属材料、あるいはアルミナ、ムライト、コーディエライト、ジルコニア、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、ホウ化チタン、およびサイアロンの内のいずれかのセラミックス材料から構成されていることを特徴とする摩擦ディスク組立。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれかに記載された摩擦ディスク組立において、前記摩擦ディスクは、第一の摩擦面を構成する第一の摩擦プレート、第二の摩擦面を構成する第二の摩擦プレート、および第一、第二の摩擦プレートを固定保持するためのセンタープレートからなる3層構造で構成されていることを特徴とする摩擦ディスク組立。
【請求項14】
請求項13に記載された摩擦ディスク組立において、前記第一の摩擦プレート、第二の摩擦プレート、およびセンタープレートは円環状であり、当該第一の摩擦プレート、および第二の摩擦プレートはセンタープレートに機械的に結合され、当該センタープレートはセンターハブ部に機械的に結合されていることを特徴とする摩擦ディスク組立。
【請求項15】
請求項14に記載された摩擦ディスク組立において、前記第一の摩擦プレート、第二の摩擦プレート、およびセンタープレートは、各々複数の円周方向に分割されたブロックから構成されていることを特徴とする摩擦ディスク組立。
【請求項16】
請求項13乃至15のいずれかに記載された摩擦ディスク組立において、前記第一の摩擦プレート本体、および第二の摩擦プレート本体が炭素/黒鉛材料系摩擦面を形成する炭素/黒鉛材料であり、前記第一の摩擦プレート、および第二の摩擦プレートをセンタープレートに機械的に結合するためのフアスナーが金属材料/セラミックス系摩擦面を形成する金属/セラミックス材料であることを特徴とする摩擦ディスク組立。
【請求項17】
請求項10乃至16のいずれかに記載された摩擦ディスク組立において、前記炭素/黒鉛材料系摩擦面と、金属/セラミックス材料系摩擦面とが同一平面を形成するように構成されていることを特徴とする摩擦ディスク組立。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−97690(P2009−97690A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272154(P2007−272154)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(390021717)株式会社アクロス (11)
【Fターム(参考)】