説明

撮像のための方法及び装置

【課題】撮像のための組成物、方法、及び装置、特に、X線顕微鏡コンピュータ断層撮影法から得られた試料画像の調製、収集、及び処理の改善を提供する。
【解決手段】コンピュータ断層撮像を用いて表現型に関してエキソビボ胎芽を選別するための高速かつ廉価で高処理量の高解像度撮像の方法のための処理と共に、X線顕微鏡コンピュータ断層撮影法を用いて仮想組織像のためのマイクロCT画像を生成する方法を説明する。高品質画像生成及び解剖学的構造の識別、並びに分子ターゲットの位置確認に寄与する、試料の特定の構成要素を1つ又はそれよりも多くの染色剤で染色することを説明する。生成した画像の撮像後処理の低減を考慮する革新的な動物及び試料ホルダを詳細に説明する。特に、透過性の低い構造から動物又は試料を分離する透過性の高いベッド又はライナを含む動物及び試料ホルダを提供する。動物の身体に適合するベッドを含む、撮像手順又は複数の撮像手順の間に動物を望ましい位置に配置及び/又は維持するための更に別の動物ホルダを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、内容が引用により本明細書に組み込まれている、2006年1月26日出願の米国特許仮出願出願番号第60/762、327号の優先権の恩典を請求する非仮出願である。
本発明は、一般的に、撮像のための組成物、方法、及び装置に関し、より詳細には、試料画像、特にX線顕微鏡コンピュータ断層撮影法から得られたものの調製、収集、及び処理の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像技術の発展は、従来的に科学的理解の急速な進歩に寄与している。最も初期の撮像ツールは、主に、肉眼解剖学的構造を解像することに関するが、現代の撮像技術は、非常に微細な構造的詳細、並びに場合によっては分子情報の視覚化を可能にする。
いくつかの新しい撮像モダリティの開発、並びに分子及び細胞生物学技術の進化は、これらの技術によって得られる利点を最大にするための改良方法及び装置の必要性をもたらしている。例えば、遺伝子改変動物は、分子生物学的方法により容易に生成される。遺伝子改変動物の系統的な撮像は、特定の遺伝子の機能に対する理解を深める好機を提供する。更に、現在では、遺伝子改変動物、並びに他の動物及び試料から更に別の情報を集めるために、様々な撮像モダリティからのデータを空間的に相関させることも実現可能である。相関に適する撮像技術は、例示的に、共焦点光学顕微鏡法(COM)、ポジトロン放出断層撮影(PET)、核磁気共鳴画像法(MRI)、X線コンピュータ断層撮影法(CT)、及び単一光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)を含む。しかし、呈示された好機にも関わらず、撮像技術には限界が残っている。
【0003】
遺伝子標的法は、潜在的に、哺乳類の胎芽のパターン化における遺伝子の機能及びその役割の前例のない洞察を可能にするが(Capecchi、M.R.、「Nat Rev Genet」、第6巻、507〜12頁、2005年)、このようなプロジェクトにおいて撮像すべき動物の数は多い。〜25、000又はそれよりも多くのマウス遺伝子の各々に対して遺伝子標的法手法を用いるこの手段によって哺乳類の発現を完全に理解することは、手強いタスクのように思える場合がある。それにも関わらず、10パーセントを超える公知のマウス遺伝子が遺伝子標的法により既に破壊されており、一方、国立衛生研究所は、あらゆる公知の遺伝子が破壊されたマウス系統の集合を率先して作成している(Austin、CP.他、「Nat Genet」、第36巻、921〜4頁、2004年)。発生生物学者の前に敷かれた問題は、形態学的表現型を系統的に分析し、可能な場合には、胎芽のパターン化に対する各遺伝子の寄与を定量的に判断することになる。この種類の表現分析のための撮像ツールに関連する属性には、高解像度解剖学的撮像の高速の走査速度、低価格、及び利用し易い高処理方法、並びに突然変異体表現型から正常変異を識別するのに用いることができる発生時期特異的統計平均野生型形態アトラスが含まれる(Jacobs、R.E.他、「Comput Med Imaging Graph」、第23巻、15〜24頁、1999年)。胎芽動物又は他の試料を解剖学的及び/又は分子変異に関して選別する従来的な組織検査方法は、時間集約的であり、従って、多数の試料の処理及び分析は、ほぼ非現実的である。
【0004】
前臨床研究もまた、突然変異のような様々な侵襲要因からもたらされる表現型、腫瘍の大きさ及び成長速度、薬物又は他の治療の効果、及び薬物の局在性を正確に殆ど非侵襲的に判断し、及び/又はモニタすることを可能にするために、様々なパラメータを精巧に評価するための複数の撮像モダリティに益々依存してきている。この努力は、位置決めの不一致により画像レジストレーションを得ることが困難であるために、多重モード撮像によって妨げられている。現時点では、動物は、時間の経過と共にホルダ内で移動する傾向があり、多くの場合に、動物は、様々な撮像技術の特殊性に適合させるために異なるホルダに移動させる必要がある。
【0005】
既存の動物ホルダの限界は、動物と動物ホルダが、得られる画像内で近くに接触しているのが見え、画像後処理を面倒にすることである。ホルダに近接する動物組織の画像は、不明瞭で解像度が悪いことが多い。ホルダは、その後の画像処理で識別して差し引くことが必要であるために、画像品質及び効率には不利になる。今日まで、既存のホルダの欠点を緩和し、試料をホルダから明瞭に区別することができるマイクロCT画像を取得するための動物ホルダは見つかっていない。
【0006】
X線顕微鏡コンピュータ断層撮影法(マイクロCT)は、半自動又は全自動的に分析する方法の技術に適合性があるために、単独で又は撮像器具群の一部として撮像法の魅力的な選択肢である。この属性は、高処理表現研究又は臨床病理学的結果を達成するのに重要である。CT及び磁気共鳴方法、用途、及び費用を比較すると、マイクロCTに基づく仮想組織検査は、胎芽解剖学的構造の表現型を示す相応な方法よりも実施が簡単で比較的廉価であり、かつ迅速な形態測定の潜在的に高い解像モードを提供することを示している。
【0007】
マイクロCTの仮想組織検査は、試料の染色及び装着に関連する限界を克服することができれば、更に魅力的な撮像技術であろう。現在の染色処理は、M.D.Bentley他、「National Synchotron Light Source Activity Report 1998」、Beamline、X2Bに説明されているように、解剖学的構造を高解像度にする適切なSN比をもたらすのに苦労している。マイクロCT仮想組織検査処理機能は、複数の試料を収容することができる試料ホルダがないことによっても妨げられている。更に、全胎芽のマイクロCT仮想組織額検査では、多量のデータがもたらされる。このようなデータの真の価値は、データを検索可能に記憶して分析するためのシステム及び方法が開発される場合にだけ達成されることになる。
すなわち、これらの好機を利用するために、マイクロCT画像を生成するための染色方法、このような画像データを検索可能に記憶して分析するためのシステム及び方法、及び1つ又はそれよりも多くの撮像モダリティを用いて撮像される染色された試料又は生きている動物を保持するための特殊な装置の改良の必要性が依然として存在する。
【0008】
【特許文献1】米国特許仮出願出願番号第60/762、327号
【非特許文献1】Capecchi、M.R.、「Nat Rev Genet」、第6巻、507〜12頁、2005年
【非特許文献2】Austin、CP.他、「Nat Genet」、第36巻、921〜4頁、2004年
【非特許文献3】Jacobs、R.E.他、「Comput Med Imaging Graph」、第23巻、15〜24頁、1999年
【非特許文献4】M.D.Bentley他、「National Synchotron Light Source Activity Report 1998」、Beamline、X2B
【非特許文献5】Keller、C.他、「Genes Dev」、第18巻、2608〜13頁、2004年
【非特許文献6】Keller、C.他、「Genes Dev」、第18巻、2614〜26頁、2004年
【非特許文献7】Kindlmann、G.、「Teem.1.8.0版」、SourceForge.net、2005年
【非特許文献8】(SCI)、S.C.a.I.I.、「BioPSE:生物医学コンピュータ用途のモデル化、シミュレーション、画像処理、及び視覚化のための問題処理環境」、2002年
【非特許文献9】Mangan、A.P.及びWhitaker、R.T.、「IEEE Trans.Vis.Comput.Graph」、第5巻、308〜321頁、1999年、国立医学図書館、「Insight Toolkit」(ITK、www.itk.org)
【非特許文献10】Johnson、T.N.、(2005)Nenners Gonzalez、R.C.及びWoods、R.C.、「Digital Image Processing.」、第197巻、2002年
【非特許文献11】Kindlmann、G.L.、Whitaker、R.、Tasdizen、T.、及びMoeller、「Tの直接容積レンダリングのための曲率に基づく伝達関数:方法及び応用」、「Proceedings IEEE Visualization」、513〜520頁、2003年
【非特許文献12】Levoy、M.、「容積データからの表面の表示」、「IEEE Computer Graphics & Applications」、第8巻、29〜37頁、1988年
【非特許文献13】Kniss、J.M.、Kindlmann、G.L.、及びHansen、C.D.、「視覚化ハンドブック」、Hansen、C.D.及びJohnson、C.R.編、189〜210頁、Elsevier、2005年
【非特許文献14】Gooch、A.他、「自動テクニカルイラストレーションのための非写真的現実性照明モデル」、「Proceedings of ACM Siggraph」、447〜452頁、1998年
【発明の開示】
【0009】
選択的に染色されたサンプルの撮像を用いる仮想組織検査は、自然発生的及び定方向突然変異を含む組織の変化、突然変異、損傷、又は他の擾乱を検出するための従来の組織像の魅力的な代替物又は補足物を提供する。
本発明は、仮想組織像及び他の用途で画像取得するための試料、例えば生物学的試料を調製するための改良染色剤及び染色方法を提供する。更に、染色試料から得られる画像データを検索可能に記憶して分析するための改良システム及び方法も提供する。撮像される染色試料又は生きている動物を保持するための専用装置は、本発明の実施形態によって提供される。
【0010】
第1の染色剤を含有する第1の染色組成物中で試料を培養し、染色試料を生成する段階を含むマイクロCT画像を生成する方法を提供する。染色試料は、次に、X線コンピュータ断層撮影スキャナで走査し、マイクロCT画像を生成する。染色後、染色試料は、組織の密度よりも小さい密度の液体媒体中に移されることが一般的に好ましい。組織は、低密度の液体媒体により完全に又は部分的に取り囲まれ、任意的にこの媒体中に懸濁されている。
【0011】
革新的な方法は、任意的に、染色試料を第2の染色剤に露出し、二重染色試料を生成する段階を更に含む。第2の染色剤は、第1の染色組成物中に存在することも第2の染色組成物中に存在することもできる。
染色組成物は、任意的に、グルタルアルデヒド及びホルムアルデヒドのような有機固定剤及び/又は緩衝液を含む。
第1の染色剤又は第2の染色剤は、約0.1〜1.25重量パーセントの四酸化オスミウムを含むことが好ましい。更に、第1の又は第2の染色組成物の成分として大きな効果を与えるようにカコジラート緩衝液も用いる。別の例示的な染色剤には、エチジウムブロマイド酸、シスプラチン、酢酸ウラニル、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、銀塩、及びウラン酸ナトリウムが含まれる。
【0012】
染色剤は、細胞及び/又は細胞小器官膜のような様々な細胞及び/又は組織成分、核、レポーター遺伝子産物のような特定の分子、又はタンパク質、脂質又は炭水化物のような特定の分子の種類の1つ又はそれよりも多くを染色し、又はそれを示すものである。
詳細な方法では、走査される試料は、1回目に個々の動物から得られた試料である。後に、2回目に同じ個々の動物から第2の試料を得る。第1及び第2の試料の両方は、染色して走査し、マイクロCT画像を生成する。一般的に、1回目の試料を得た後で第2の試料を得る前にある一定の手順を行う。このようにして、この手順は、有効性又は他の効果に関して評価することができる。
【0013】
本発明により、エキソビボ胎芽を第1の染色組成物に入れて培養し、染色エキソビボ胎芽を生成する段階を含むエキソビボ胎芽の表現型を選別するための革新的な方法を説明する。染色エキソビボ胎芽は、X線コンピュータ断層撮影スキャナで走査し、染色エキソビボ胎芽のマイクロCT画像を生成する。染色エキソビボ胎芽の1つ又は複数のマイクロCT画像は、対照のエキソビボ胎芽の統計的に平均して年齢を適合させたアトラスの1つ又は複数のコンピュータ断層撮影画像に比較した画像間の差を判断し、エキソビボ胎芽の表現型を判断する。エキソビボ胎芽のマイクロCT画像は、エキソビボ胎芽をレンダリングする等値面を含むことができる。更に、エキソビボ胎芽のマイクロCT画像は、エキソビボ胎芽の仮想切片を含むことができる。
【0014】
複数の胎芽のような複数の試料は、革新的な方法で走査することができる。
エキソビボ胎仔の脱色、皮膚剥離、及び切開を含むエキソビボ胎仔の表現型を選別するための方法を提供する。処理した胎仔は、次に、第1の染色組成物に入れて培養し、染色エキソビボ胎仔を形成する。染色エキソビボ胎仔は、X線コンピュータ断層撮影スキャナで走査し、染色エキソビボ胎仔のマイクロCT画像を生成する。あらゆる下流の画像解析手順は、エキソビボ胎芽の選別の画像解析手順と同様である。
【0015】
本発明により、組織を正確に切断してある一定の厚みの組織切片を形成する段階を含む組織切片を選別するための革新的な方法を説明する。組織切片は、次に、組織切片の厚みに特別に合わせて作られた濃度の染色剤で染色される。この走査及び画像解析は、エキソビボ胎芽を選別するものに類似する。
各チャンバがチャンバに置いた試料を支持するための支持部分を有する壁を有する多重チャンバ試料ホルダを含む、X線コンピュータ断層撮影法に用いるための試料ホルダを詳細に説明する。試料に接触して試料が壁に接触するのを防ぐライナを設ける。少なくとも試料に接触するライナの部分は、マイクロCT画像を生成するのに用いられる電磁放射線に高度に透過性である。例示的な試料ホルダは、多重チャンバ試料ホルダである。
【0016】
チャンバの各々が壁により分離された多重チャンバ試料ホルダを含む複数の試料のマイクロCT画像を生成する方法に用いるための市販のパッケージを提供する。試料ホルダのチャンバに置かれた試料に接触し、試料がチャンバの壁に接触しないように分離するためのライナが設けられる。少なくとも試料に接触するライナの部分は、マイクロCT画像を生成するのに用いられる電磁放射線に高度に透過性である。
【0017】
デジタルマイクロCT画像を生成する段階と、コンピュータに付随する集中型データ記憶場所に画像を電子的に送信する段階と、要求に応答して記憶場所から画像を検索する段階と、要求に応答して画像を電子的に表示するか又は第2の場所に電子的に送信する段階とを含む、マイクロCT画像を収集し、記憶し、かつ検索するためのコンピュータに基づく方法を詳細に説明する。
更に、動物を支持するための支持部分を有する壁を含む撮像処理に用いるための動物ホルダを提供する。撮像される動物のためのベッドは、壁の支持部分に置かれる。少なくとも動物に接触するベッド表面の部分、及び任意的に動物に接触するベッド表面の部分に隣接する厚みの部分は、撮像処理に用いられる電磁放射線に高度に透過性で無反射性である。
【0018】
また、動物を支持し、かつ人間工学的で再現可能であって結果重視の位置に吸入麻酔下に動物を維持するための動物ホルダも提供する。このような動物ホルダは、動物を支持するための支持部分を有する壁を含む。壁の支持部分に置かれたベッドは、動物を支持して撮像手順の間に望ましい再現可能位置に動物を維持するために、少なくとも動物の一部に適合するようになった部分を含む。
好ましくは、少なくとも動物ホルダの一部分は、放射が最小限しか減衰されずにホルダを通過してホルダ自体の画像を最小限しか又は全く生成しないように、撮像処理で用いられる電磁放射線に実質的に透過性である。
本発明の他の目的、態様、及び利点は、以下の詳細説明から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、撮像のためのサンプルとそれらの試料の画像の取得とに用いる組成物、装置、処理、及び方法を提供する。例示的な試料は、生物学的試料(例えば、組織、胎芽)を含む。例示的な実施形態では、試料の画像は、X線撮像モダリティ、例えば、マイクロCTを用いて得られる。
一実施形態では、本発明の撮像モダリティ、例えば、マイクロCTは、様々な動物モデル及び疾病の状態での生物学的組織の状態、統合、及び発生の高解像度非破壊分析を可能にする。マイクロCTに基づく分析の感受性及び特異性により、疾病の状態及び動物モデルの巨視的変化及び微視的変化の両方が正確に検出して査定される。この新しい技術は、複雑で大域的な3次元組織の視覚化及び分析を改善する迅速で廉価な方法を提供する。細部まで正確にスライスし、個々に検査することが必要な従来的な組織検査と異なり、この新しい技術は、組織(例えば、無傷胎芽)を特定の色素で染色する段階と、それを微視的コンピュータ断層撮影法(マイクロCT)で走査する段階とを含む。
【0020】
本方法は、いくつかの測定値、例えば、距離、面積、及び容積を得ることができるデジタルで視覚化した全試料のデータセットを生成する。この本質的にデジタルな方法は、繁殖毒性学及び「ノックアウト」又は「遺伝子導入」動物表現型検査のような様々な分野で実用的なツールを提供する。
従って、本発明は、画像を取得するための試料の調製、及び試料画像の収集及び処理に有用性がある。より詳細には、画像は、X線顕微鏡コンピュータ断層撮影法(マイクロCT)で収集される。
【0021】
撮像する試料を処理するための改良染色及び染色処理を提供する。従って、本発明は、光電子密度染色剤を含み、任意的に緩衝液及び/又は固定剤及び/又は架橋剤及び/又はレポーター遺伝子産物のためのレポーター基質と組み合わせた染色組成物を提供する。
また、本発明の染剤及び他の染剤で試料を処理し、現在認知されている染剤及び/又は染色技術を用いて生成されたものよりも優れた試料の画像を生成する方法も提供する。
【0022】
本発明はまた、マイクロCT画像を生成する方法、このようなCT画像データを検索可能に記憶して分析するためのシステム及び方法も提供し、本発明の実施形態により、1つ又はそれよりも多くの撮像モダリティを用いて撮像される染色試料又は生きている動物を保持するための特殊な装置を提供する。
また、マイクロCTを用いて仮想組織像画像を得る方法も提供する。この技術により、試料、例えば、動物及び組織は、磁気共鳴顕微鏡の何分の1かの費用、かつ同程度以下の時間によって高解像度で走査することができる。高解像度画像は、マイクロCTに対して開示した方法を用いて得ることができる。例示的な実施形態では、本方法では、少なくとも約6〜200ミクロンの解像度が得られる。
【0023】
革新的な方法を用いて、動物全体及びこれらの動物から単離された組織を含む遺伝子導入又は他の種類の突然変異体試料の表現型を示すことができる。臨床応用には、生検試料の評価及び特定の医学的治療又はインターベンションの有効性の査定が含まれる。更に、革新的な方法は、提案されている新しい薬物又は他の物質の動物、特に胎芽動物に及ぼす毒性の査定にも用途が見出されている。更に、革新的な方法は、例えば、薬剤の催奇形性作用高処理評価、成体動物の組織の評価、及び抗血管形成療法を受けている患者の腫瘍生検のための新生毛細管マッピングにも有用とすることができる。
この種の研究の処理量の増大に対して、任意的に、複数の試料は、同じ視野で同時又はほぼ同時に走査される。
本発明により、試料を染色組成物に入れて培養し、染色試料を生成する段階と、X線コンピュータ断層撮影スキャナで試料を走査し、マイクロCT画像を生成する段階とを含むマイクロCT画像を生成する方法を提供する。
【0024】
染剤
例示的な実施形態では、本発明は、マイクロCT画像のような画像の取得の試料を調製するのに用いる染剤を提供する。例示的な染色組成物は、動物細胞又は組織の1つ又はそれよりも多くの構成要素を光電子密度染色する光電子密度染色剤を含む。現在好ましい光電子密度染色剤は、金属原子又はイオンを含む化学種である。
例示的な染色剤には、オスミウム(例えば、四酸化オスミウム)、タングステン(例えば、リンタングステン酸、タングステン酸ナトリウム)、モリブデン(例えば、モリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸)、貴金属、例えば、(プラチナ(例えば、シスプラチン)、金(例えば、塩化金酸ナトリウム))、ビスマス(例えば、次硝酸ビスマス)、カドミウム(例えば、ヨウ化カドミウム)、鉄(例えば、塩化第二鉄、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム)、インジウム(例えば、三塩化インジウム)、ランタン(例えば、三塩化ランタン)、鉛(例えば、酢酸鉛、クエン酸鉛、硝酸鉛)、ルテニウム(例えば、ルテニウムレッド)、銀(硝酸銀、銀タンパク質化合物、銀テトラフェニルポルフィリン)、タリウム(例えば、硝酸タリウム)、ウラニウム(例えば、酢酸ウラニル、硝酸ウラニル)、及びバナジウム(硫酸バナジル)のような金属が含まれる。革新的な方法に利用される他の適切な金属は、当業者には明らかであろう。
【0025】
また、有機染料も本発明の染色組成物に利用される。例示的な有機染料は、エチジウムブロマイドである。
染色剤は、試料の画像に望ましいレベルのコントラストを生成するのに有用な染色組成物中にあらゆる濃度で存在する。選択した染色剤の適切な濃度は、過度の実験に頼ることなく当業者は容易に決定可能である。例えば、単一の染色剤を含む一連の染色組成物を調製する。各組成物を用いて試料を染色する。各染色組成物による各試料の染色のレベルは、各染色試料のマイクロCT画像を取得することによって判断される。
【0026】
例示的な実施形態では、染色剤は、染色組成物中に約0.01重量パーセント〜約10重量パーセント、好ましくは約0.1重量パーセント〜約5重量パーセント、より好ましくは約1重量パーセント〜約3重量パーセントの量で存在する。
任意的に、染色剤は、染色組成物に含まれ、これは、更に、緩衝液を含む。緩衝液は、一実施形態では、染色組織のマイクロCT画像に望ましいレベルのコントラストを得ることからも明らかなように、試料を望ましいレベルで染色するのに有用なあらゆる濃度で存在する。染剤透過処理には、任意的に、組織と異なる浸透圧濃度を有する緩衝液を用い、染剤分子が組織、例えば、組織細胞の構成要素に移行するのを加速する。
【0027】
本発明の染色組成物に対する例示的な緩衝液濃度は、約0.01M〜約1Mの範囲である。一般的に、好ましい緩衝液濃度の範囲は、約0.1M〜約0.5Mである。
好ましい緩衝液は、カコジラート緩衝液、例えば、ナトリウム、カコジラート三水和物である。
更に任意的に、染色組成物は、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アルコール、又はその組合せのような固定剤又は架橋剤を含む。代表的な染色組成物では、固定剤又は架橋剤は、約0.05%〜約5%、好ましくは約0.1%〜約3%、及びより好ましくは約1%〜約1.5%の濃度範囲で存在する。
また、染色組成物は、組織透過促進剤を含むことができる。代表的な組織透過促進剤は、DMSOである。
【0028】
別の例示的な実施形態では、染色組成物は、レポーター遺伝子の存在をその遺伝子又はレポーター遺伝子の産物との直接相互作用により示すか又は確認する染色剤及び化学種の両方を含む。好ましい実施形態では、レポーター遺伝子産物は、上述の化学種及び染色剤と錯体を形成する。得られる試剤は、撮像モダリティ、例えば、マイクロCTのようなX線撮像モダリティで検出可能である。
好ましい実施形態では、染色剤は、四酸化オスミウムを含み、好ましくは約0.1〜4重量パーセントの四酸化オスミウムを含む。より好ましくは、約0.1から1.84重量パーセント四酸化オスミウムの濃度である。更に、約0.5〜1重量パーセント四酸化オスミウムの範囲の濃度も好ましい。好ましい濃度の四酸化オスミウムでは、少なくとも部分的に、背景が減少して信号強度の範囲が大きくなるために、高品質画像が生成される。
【0029】
染色剤が四酸化オスミウムである好ましい実施形態では、染色組成物は、固定剤又は架橋剤を更に含む。固定剤又は架橋剤の好ましい濃度は、約0.01%〜約3%、より好ましくは約0.1%〜約1%である。現在好ましい固定剤又は架橋剤は、グルタルアルデヒドである。この同じ好ましい実施形態は、約0.05M〜約0.5M、より好ましくは約0.08M〜約0.2Mの濃度で緩衝液を含む。現在好ましい緩衝液は、ヒ素、例えば、カコジラートを含む。
【0030】
別の好ましい染色剤は、リンタングステン酸(PTA)であり、好ましくは、約3〜約10重量パーセントのPTAを含む。より好ましくは、約4〜約6重量パーセントPTAの範囲の濃度である。更に、約4.8〜約5.2重量パーセントPTAの範囲の濃度も好ましい。PTAの好ましい濃度では、少なくとも部分的に、信号/背景比が増大し、従って、動的信号強度が大きくなるために、高品質画像が生成される。
【0031】
方法
上述のように、本発明は、試料を染色し、染色試料の画像を取得して処理する方法も提供する。以下の節は、本発明のこれらの方法の選択した例示的な実施形態を詳細に説明する。
例示的な実施形態では、試料は、任意的に本発明の染色組成物である染色組成物中で選択した期間培養する。試料を染色組成物で培養する期間は、当業者により容易に決定され、染色試料から得られる画像に望ましいコントラストのレベルにより通知される。
【0032】
一般的に、試料は、少なくとも約1時間染色組成物に接触したままであることが好ましい。更に、革新的な方法では、少なくとも約3時間、少なくとも約6時間、及び少なくとも約12時間も有用である。
染色組成物と接触させた後、試料(この時点では染色試料)は、任意的に、組織と異なる重量オスモル濃度の緩衝液と接触させ、染料分子を試料、例えば、組織細胞の構成要素に移行させるのを加速又はそうでなければ促進する。例示的な緩衝液は、緩衝生理食塩水、例えば、リン酸緩衝生理食塩水である。この事後の重量オスモル濃度差を適用する時、染色組成物は、染色試料が次に受ける緩衝液の重量オスモル濃度よりも大きいか又は小さくすることができる。
【0033】
更に別の好ましい実施形態では、染色試料は、有機溶媒又は有機溶媒を水に入れた混合物で更に処理される。例示的な有機溶媒は、少なくとも部分的に水に可溶なものであり、これには、例えば、アルコール、エーテル、エステル等が含まれる。試料を懸濁する媒体は、単一の段階で第1の混合物(例えば、染色組成物)から最終的な混合物(例えば、100%有機溶媒)に変化させることができ、又は試料環境の変化は、第1の混合物から最終的な混合物まで段階的又は連続的に移動する勾配のある媒体組成物を染色試料に受けさせることによって達成することができる。
【0034】
革新的な方法は、好ましくは、染色の密度が、本質的に試料の1つの境界から試料の正反対の境界まで不変である染色試料を提供する。本明細書で用いる場合、「本質的に不変」という用語は、試料の染色の均一性を意味する。好ましい実施形態では、本質的に不変の染色を示す試料の染色密度は、試料の1つの境界上の点から試料の対向する境界の対蹠点まで試料を通る線を横切って約20%を超えて変化することになり、より好ましくは約10%以下変化し、より好ましくは約5%を超えて変化する。
【0035】
本発明の例示的な方法では、「固形組織」が染色される。本明細書で用いる場合、「固形組織」とは、実質が少なくとも約50%の量で存在する組織を意味する。固形組織は、肺組織のような組織とは異なる。
特に好ましい実施形態では、革新的な方法は、染色の密度が本質的に不変な固形組織である染色試料を提供する。好ましい試料は、生物全体、例えば、胎芽又は胎仔である。
別の好ましい実施形態では、試料は、薄切されるか又はミクロトームで切断され、厚み約4mm〜約60mm、より好ましくは約7mm〜約40mmのスライスにされる。このような組織切片は、固形組織であることが一般的に好ましい。更に、このような試料の染色の密度は、本質的に不変量であることを特徴とすることが好ましい。
【0036】
別の例示的な実施形態では、染料の試料への透過は、試料を染料で処理する前又は処理中に高められる。例示的な方法では、試料の空隙率は、化学的又は物理的方法により高められる。例示的な化学的方法には、試料構造の一体性の浸透圧的破壊及び組織を透過促進物質、例えばDMSOで処理することが含まれる。物理的手段には、以下に限定されるものではないが、試料を穿刺して試料にチャンネルを形成し、それを通して染料が試料の対応する非破壊領域より容易に流れるようにすることが含まれる。チャンネルは、物体で穿孔することによるか又はレーザからの光のような集束させたエネルギを当てることによって試料に形成することができる。
【0037】
本発明の染色処理の一般的な例では、試料、例えば、細胞、組織、胎芽、又は胎仔は、0.1M緩衝液(pH7.2)、1%固定剤又は架橋剤、及び1%染色剤の溶液中で、室温で揺動させながら飽和するまで選択した期間染色する。染色試料は、次に、洗浄して脱水する。例えば、試料は、0.1M緩衝液中で30分間洗浄し、第2の緩衝液中で更に2回30分間洗浄し、染色溶液及び/又は染色溶液の後の洗浄緩衝液と異なる重量オスモル濃度の環境を生成する。次に、試料は、撮像する前に100%有機溶媒までの段階的な一連の有機溶媒濃度で培養される。有機溶媒は、懸濁液媒体と染色組織の間の明らかな密度差を増大させる媒体の例である。
【0038】
本発明の例示的な染色処理では、試料例えば、細胞、組織、胎芽、又は胎仔は、室温で揺動しながら0.1Mナトリウムカコジラート(pH7.2)、1%グルタルアルデヒド、及び1%四酸化オスミウム溶液中で飽和するまで一晩染色する。次に、試料である染色試料は、洗浄して脱水する。例えば、試料は、0.1Mナトリウムカコジラート緩衝液で30分間洗浄し、更に、リン酸緩衝生理食塩水で30分間2回洗浄する。次に、試料は、走査する前に、100%エタノールまでの段階的な一連のエタノール濃度中で培養する。エタノールは、懸濁液媒体と染色組織の間の明らかな密度差を増大させる媒体の例である。
【0039】
例示的な実施形態では、試料は、胎仔全体とされる。胎仔の染色では、胎仔は、任意的に、最初に脱色して皮をむいてから染色する。胎仔は、切開して羊膜及び内側の薄い漿膜を除去する。沸騰水で満たしたビーカーに切断胎仔を入れる前に、胎仔の腹面側及び背面側を浅く切断する。次に、脱色した胎仔の表皮/真皮を除去する。更に、皮を剥いた胎仔にいくつかの切開を行い、染料の透過を高める。切開は、好ましくは横方向、肋骨上、及び垂直方向に胎仔の外部に行う。切断する領域には、以下に限定されるものではないが、胸郭肋膜、腹膜、及び硬膜が含まれる。
【0040】
例示的な実施形態では、胎芽又は胎仔以外の組織を染色するために、組織は、最初に確実にある一定の厚みになるように切断する。四酸化オスミウムを染色剤として用いる場合には、切片厚みに染料が透過する速度を速めるか又はそうでなければ促進するために、厚み<2mmの組織切片を染色するには、0.8〜1.5重量パーセントの範囲で四酸化オスミウムを含む染色溶液が好ましく、厚み>2mmの組織切片を染色するには、1.5〜2.2パーセント溶液重量の範囲で四酸化オスミウムを含む染色溶液が好ましい。
【0041】
本発明による方法は、試料を第2の染色剤に露出して二重染色試料を生成する段階を更に含むことができる。有利な態様においては、第2の染色剤は、第1の染色剤と異なる細胞又は組織構成要素を染色することができる。このような第2の染色剤は、染色組成物に第1の染色剤と共に含めることができ、又は第2の染色組成物に別に含めることもできる。第2の染色剤は、第1の染色剤と同じでも異なってもよい。
【0042】
第2の染色剤は、電子密度の高い生成物を生成する金属染料及び/又は非金属染料を含むことができる。従って、例示的な第2の染色剤は、一例として上述のあらゆる染色剤を含む。好ましい第2の染色剤は、エチジウムブロマイド及び/又はシスプラチンを含む。好ましい染色処理では、第1及び第2の染色剤は、異なる染色剤である。好ましくは、異なる染色剤を用いると、試料の構成要素を区別することができる。例示的な染色剤の組合せは、第1の染剤として四酸化オスミウム、及び第2の染剤としてシスプラチン又はエチジウムブロマイドを含み、それぞれ細胞膜及び核の染色を区別することを可能にするために、臓器及び組織の染色の特徴を更に区別することができる。
【0043】
染色剤は、細胞及び/又は細胞小器官膜マーカ、核マーカ、細胞質マーカ、生理学的血管又は間質腔の構成成分のためのマーカ、及び/又は特定の分子又は分子の種類のためのマーカとすることができる。
【0044】
第2の染剤を含むか又は含まない染色試料は、真の組織検査切片を切断することができる。例えば、オスミウム染色細胞、組織、及び/又は胎芽は、組織学的検査のために切断することができる。従って、本明細書に開示する方法は、胎芽の欠陥の選別(例えば、第1次選別)として有用であり、そこから、本明細書に開示する方法によって関連があると識別された領域に対して、研究者は、真のパラフィン切片組織検査を行うことができる。染色試料を複数回使用すると、マイクロCTに基づく選別から疑わしい形態学的表現型の組織学的検定に移行する速度が速くなる。
【0045】
染色試料は、任意的に、1つ又は一連の緩衝溶液に移し、組織から得られる画像で組織をその境界を接する環境から区別するのを容易にするように、余分な染色剤を除去して試料とその境界を接する環境との間に密度コントラストを生成する。緩衝溶液は、濃度が0.05M〜0.2Mの範囲のナトリウムカコジラート緩衝液、リン酸緩衝液生理食塩水、及び濃度が20%〜100%の範囲のエタノール溶液である。
【0046】
更に別の実施形態では、試料は、レポーター遺伝子産物を含み、染色剤と共に試料を培養すると、染色試料中にレポーター遺伝子産物が存在することを示す染色パターンが生じる。レポーター遺伝子、遺伝子の産物及びレポーター遺伝子の産物と検出可能に相互作用する薬剤は、当業技術で公知である。レポーター遺伝子(及びその産物)は、その野生型で試料に固有とすることができ、又は試料の1つ又はそれよりも多くの構成要素の化学的又は組換え突然変異により試料に導入することができる。レポーター遺伝子は、酵素、抗体、又は他の機能的又は構造的タンパク質、又は生物学的活性剤を符号化することができる。例示的なレポーター遺伝子(及びその産物)は、遺伝子導入哺乳類に見られる。
【0047】
例えば、試料中のレポーター遺伝子産物は、βガラクトシダーゼであり、これは、この酵素に対する基質、例えば、「S−Gal」(3、4−シクロヘキセノエスクレチン−β−D−ガラクトピラノシド)、及び染色剤、例えば、クエン酸第二鉄アンモニウムを含む染色剤と反応して試料中に電子密度の高い生成物を生成する。このような実施形態では、試料は、最初に、レポーター遺伝子産物、例えば、「S−Gal」(3、4−シクロヘキセノエスクレチン−β−D−ガラクトピラノシド)を生成する染色剤、及び染色剤、例えばクエン酸第二鉄アンモニウムと共に培養し、その後又は同時に第2の染色剤及び/又は第2の化学種と共に培養することができる。代替的に、試料は、最初に第1の染色剤で染色し、次に、レポーター遺伝子産物を示す産物を生成する第2の染色剤で染色することができる。
【0048】
例示的な実施形態では、レポーター遺伝子は、自動及び/又はアプリケーションを用いる色選択のための適切な基質である遺伝子産物を生成する。上述のように、例示的なレポーター遺伝子は、β−ガラクトシダーゼを符号化する。DNA断片をlacZ遺伝子のα−補体に組み込まれたベクターの複数のクローン化領域に挿入すると、宿主のβ−ガラクトシダーゼ活性が乱され、宿主細胞のβ−ガラクトシダーゼ活性が減少し、これらの細胞の染色レベルが、β−ガラクトシダーゼ活性が本質的に正常な宿主細胞に見られることになる染色レベルよりも低くなることになる。その結果、組換えを示す試料は、親ベクターを含むもの(例えば、野生型)から区別することができる。
【0049】
革新的な方法に含まれる試料は、細胞、臓器、組織、胎芽、動物、又はこれらのいずれかの一部とすることができる。試料は、あらゆる種類の生物から得ることができ、かつ培養細胞、臓器、又は組織とすることもできる。
上述のように、革新的な方法は、様々な臨床及び研究用途に有用である可能性がある。特定的な実施形態では、革新的な方法を用いて、毒素、薬物、及び/又は治療が動物に及ぼす影響をモニタすることができる。従って、一実施形態では、第1の試料は、1回目に個々の動物から得られ、第2の試料は、2回目に同じ動物から得られる。研究、治療、及び/又は研究手順は、第1の試料を得た後で第2の試料を得る前に行うことができる。例えば、薬物又は毒素を動物又は組織に投与し、その後、薬物(又は毒素)を投与する前に得られる試料及びそのような投与の後に得られた対応する試料を撮像することによってターゲット組織の変化を測定する。
【0050】
試料の環境因子(例えば、薬物、毒素)により引き起こされる変化又は遺伝子型又は表現型の変化を撮像するための例示的な方法は、第1の試料を染色組成物中で培養して第1の染色試料を生成する段階と、第1の染色試料を走査して第1の染色試料の画像を生成する段階と、第1の染色試料の画像を一般的に、組織学的に、形態学的に、遺伝子型的に、及び/又は表現型的に第1の染色試料に対応して染色、非染色、又は異なって染色した試料である第2の試料の基準走査に比較して、第1及び第2の染色試料間に異なる画像を生成する段階とを含む。
【0051】
好ましい実施形態では、試料は、エキソビボ胎芽である。革新的な方法は、天然由来及び/又はターゲット突然変異を有する胎芽の表現型を判断するのに用いられる。例えば、革新的な方法を用いて遺伝子導入胎芽の表現型を判断する。更に、革新的な方法の一実施形態では、子宮内で特定の薬物、毒素、又は他の化学又は生物製剤に露出された胎芽は、このような露出のあらゆる表現型に対する影響を判断するために選別することができる。
【0052】
本発明により、胎芽を染色組成物中で培養して染色胎芽を生成する段階と、染色胎芽を走査し、染色胎芽の画像を生成する段階と、染色胎芽の画像を染色、非染色、又は異なって染色した胎芽の基準走査と比較して異なる画像を生成する段階とを含む胎芽の表現型を選別するための方法を説明する。
例示的な実施形態では、X線コンピュータ断層撮影スキャナを用いて突然変異動物のマイクロCT画像を生成し、胎芽の画像を基準に比較して画像間の差を判断し、それによって胎芽の表現型を選別する。より詳細には、1つ又はそれよりも多くの無傷胎芽全体を撮像する。基準は、年齢適合対照胎芽の画像とすることができる。更に、基準は、ステージ適合統計平均対照画像とすることができる。突然変異体動物に対する対照は、典型的には、野生型胎芽画像又は野生型ステージ適合胎芽の統計平均画像とされることになる。薬物、治療、化学及び/又は生物製剤のような試剤に露出された胎芽に対する対照は、典型的には、露出されていない胎芽の画像又は未処理ステージ適合胎芽の統計平均画像である。
【0053】
一実施形態では、遺伝子導入哺乳類(例えば、マウス)胎芽の高解像度仮想組織像を得るための迅速で廉価な方法を提供する。染色組成物を用いて差次的に組織を染色し、次に、容積測定X線コンピュータ断層撮影法を行い、胎芽全体を撮像すると、高品質のデータが生成される。解像度3ミクロン又はそれよりも高い試料走査は、12時間未満で得られる。例えば、等尺解像度27ミクロン又は8ミクロンは、妊娠中期(E9.5〜E12.5)胎芽を用いると、それぞれ走査時間2時間又は12時間で達成される。更に、妊娠初期及び後期の胎芽を用いることができる。例えば、本発明によれば、マイクロCT処理でE7〜El9胎芽が用いられる。この技術は、天然由来及び遺伝子導入突然変異に起因する発生パターン欠陥の定量的な3次元分析に対して、解像度、時間、及び費用点で有意に改良されている。
【0054】
マイクロCTに基づく仮想組織像は、長時間で費用集約的な磁気共鳴顕微鏡法で達成される組織コントラストに一致するか又はそれを超え、一方、マイクロCTに対して2倍より高く8ミクロンまで(Jacobs、R.E.他、「Comput Med Imaging Graph」、第23巻、15〜24頁(1999))、又は場合によっては6ミクロンまでの解像度をもたらす。この種類の研究の処理量を増大させるために、任意的に、同じ視野で複数の試料を同時に走査する。例えば、低いマイクロCT解像度(27ミクロン)では、120ほどの試料、例えば胎芽、又は10の胎仔/新生児マウス又はラット又はそれよりも多くを巨視的及び微視的突然変異表現型を認識することができる後撮像分割分析に適切な品質でほぼ2時間で同時に走査することができる。低価格の27ミクロンの走査で疑われる異常の更なる詳細を得るために、同じ染色試料は、臓器のサブコンパートメント及び微細な組織構造の先例のない詳細を得るために8ミクロン解像度で後に走査することができる。
突然変異動物のコンピュータ断層撮影画像には、正常動物に比較した動物の外部の解剖学的又は分子的差を検査するために、突然変異動物を描画する等値面を含むことができる。
更に別の実施形態では、突然変異動物のコンピュータ断層撮影画像には、突然変異動物の仮想切片を含むことができる。
【0055】
試料及び/又は胎芽全体を撮像するためにマイクロコンピュータ断層撮影法を用いて多数の画像及び関連データを生成することができる。このような仮想組織検査データセットは、生体内遺伝子破壊又は過剰発現のような遺伝子操作の効果を調査するための貴重なリソースを意味する。しかし、特定の胎芽ステージでの1つの突然変異又は他の変異に関する生成されたデータセットは、第2のステージでの第2の突然変異に比較する時に更に有用とすることができる。本発明により、このような比較データへのアクセスを容易にし、それを生成するのを助けるために、マイクロコンピュータ断層撮影画像及び/又は画像データを収集し、記憶し、かつ検索するためのコンピュータに基づく方法を提供する。
【0056】
図1は、デジタルコンピュータ断層撮影画像を生成する段階12と、画像及び/又はデータをコンピュータに関連する集中型データ記憶場所に電子的に送信する段階14と、要求に応答して記憶場所から画像及び/又はデータを検索する段階16と、要求に応答して画像及び/又はデータ及び/又は画像及び/又はデータの分析を電子的に表示するか又は第2の場所に電子的に送信する段階18とを含む革新的な方法の実施形態を示している。
【0057】
コンピュータ断層撮影画像は、例えば、本明細書に説明する方法により生成される。試料の高解像度容積測定コンピュータ断層撮影法(CT)は、「eXplore Locus SP」マイクロCT試料スキャナ(オンタリオ州ロンドン所在の「GE Healthcare」)、又は「eXplore Locus RS」小動物マイクロCTスキャナ(オンタリオ州ロンドン所在の「GE Healthcare」)のような市販のスキャナを用いて行うことができる。更に迅速な試料の容積測定CT走査は、27ミクロン等尺ボクセル解像度のような低解像度で行うことができ、同時に、望ましい費用、時間の制約、及び必要な解像度に応じて、8ミクロン等尺ボクセル解像度のような長時間の高解像度走査も行うことができる。
【0058】
電流、電圧、及び露出時間のようなパラメータは、必要に応じて調節し、比較される画像に対して一定に保つ。各走査に対して、いくつかの均等に離間した図を平均することができる。例えば、走査は、検出器の飽和を避けるために、0.2mmアルミニウムのような適切なフィルタを用いてフィルタに掛けることができる。
画像は、「EVSBeam(C)」ソフトウエアのような適切なソフトウエアを用いて再構成される。予備的な視覚化及び仮想組織像断面は、公的に入手可能な「MicroView(C)」プログラムで生成することができる。例えば、CTデータセットの等値面描画及び容積描画は、実施例1に示すように画像として生成される。
【0059】
生成したコンピュータ断層撮影画像及び/又はそのような画像を生成するためのデータは、データベースのようなメモリ回路に、及び/又はコンピュータ可読保存媒体に電子的に記憶させることができる。生成したコンピュータ断層撮影画像は、コンピュータに関連するそのような画像の保管庫、中央集中型画像、及び/又は画像データ記憶場所と通信する。従って、例えば、遺伝子導入及び野生型マウス胎芽の3次元の再構成が生成され、画像及び/又は画像生成のためのデータは、コンピュータに付随する中央集中型記憶場所に送られる。このような画像及び画像を生成するためのデータは、中央集中型記憶装置の複数の場所から生成して通信することができる。
【0060】
生成した画像及び/又は画像データの通信は、複数の場所の複数の使用者がアクセス可能なサーバ又はコンピュータネットワークとして構成された装置又はシステムに有線又は無線で接続されることが好ましい。サーバ又はコンピュータネットワークは、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、又はメインフレームコンピュータのようなあらゆる種類の1つ又は複数のコンピュータ装置を含むことができる。
【0061】
処理及びメモリ回路は、画像及び/又は画像データをメモリ回路に通信して記憶することができるように、サーバ又はコンピュータネットワークに含めることができる。更に、記憶された情報は、メモリ回路から検索することができる。任意的に、撮像した試料の解剖学的及び/又は分子的差に関する画像間の差の特徴を示すために、1つの画像又は画像の組を別の組の画像と比較する回路により実行可能な比較プログラムが含まれる。このような比較プログラムは、記憶画像及び/又は画像データも含むサーバ又はコンピュータネットワークに記憶して実行することができる。更に、比較プログラムは、サーバ又はコンピュータネットワークのメモリ回路から検索された画像及び/又は画像データがダウンロードされる別々の装置に記憶して実行することができる。
【0062】
画像及び/又は画像を生成するためのデータは、要求に応答して中央集中型記憶場所から検索することができる。例えば、使用者は、画像及び/又は画像データをサーバ又はコンピュータネットワーク記憶場所から検索する要求を通信するために、データ入力及び出力機能を有する装置に情報を入力する。画像及び/又はデータは、使用者に表示することができ、及び/又は使用者の装置にダウンロードすることができる。更に、検索する画像及び/又はデータは、分析のために検索することができ、分析の結果は、使用者に表示するか又はダウンロードすることができる。
【0063】
小動物の研究団体が直面する難問は、高解像度の解剖学的撮像データを高感受性の低解像度分子(生理学的)撮像情報と組み合わせることである。生きている動物のコンピュータ断層撮影法(マイクロCT)により、27μm等尺解像度ほどの低さの空間的解像度が得られるが、一般的に、このモダリティは、動物の生理機能に関する有用な情報を提供しない。これと対照的に、発光及び蛍光撮像は、細胞の移動を追跡し、並びに遺伝子発現及びタンパク質機能を問い合わせるが、空間的解像度が1mmであることによって制限される。小動物ポジトロン放出断層撮影(マイクロPET)の解像度は、光学的方法と同様であるが、マイクロPETは、高感受性で信号の深度が大きいことが有利である。小動物磁気共鳴(マイクロMRI)機器では、マイクロCTと同様の解剖学的撮像解像度が得られ、中等度感受性の分子的撮像のための技術としても浮上している。しかし、いずれの信号モダリティも、前臨床マウスモデルを研究するための必要事項を完全には満たさず、従って、2つ又はそれよりも多くのモダリティからのデータを組み合わせる必要があることが多い。
【0064】
解剖学的及び機能的画像の相互レジストレーションを行い、ヒト疾患のマウスモデルに対する解剖学的関連での病態生理を取り調べることができる。単純固定又は統計誘導相互レジストレーション法により、あらゆる単一のモダリティの限界を克服し、定性的及び定量的情報を改善する。更に近年の二重モダリティ機器は、マイクロPET及びマイクロCT、マイクロSPECT及びマイクロCT、又はマイクロPET及び小動物MRIを組み合わせる。しかし、更に一般的なパラダイムは、学問的医療センターが異なる部位に個々のモダリティの機器を有し、異なる機器から異なる時間に取ったデータセットの相互レジストレーションを行う方法を必要とすることである。
【0065】
解剖学的及び機能的画像の相互レジストレーションを容易にするために、広く入手可能なマイクロCT、小動物MRI、マイクロPET、及び光学撮像機器と共に用いることができるマルチモダリティ小動物チャンバを設計する。このチャンバの鍵になる特徴は、(1)X線、ルミネセンス、及び蛍光を最小限しか減衰しない非金属性材料での構成、(2)一連の研究のために動物を再位置決めする正確なシステム、(3)単純で廉価な認識マーカ、(4)吸入麻酔薬の利用を可能にする気密性密封、(5)健康/感染状態に関わりなく動物を走査することを可能にする吸気及び呼気のためのインラインマイクロフィルタ、及び(6)画像解析段階でホルダを「不可視」にする空気と同様に減衰する硬質発泡体マウスベッドを含む。
【0066】
本発明により、一般的に撮像方法、及び詳細には本明細書に記載の撮像方法(例えば、コンピュータ断層撮影法)に用いるための試料ホルダ、例えば、多重チャンバ試料ホルダを提供する。例示的な実施形態では、各チャンバが試料を収容するための内部空間を定める壁を有する複数のチャンバを含む革新的な多重チャンバ試料ホルダを提供する。革新的なホルダは、約2〜200の範囲の多数のチャンバを含む。好ましい実施形態では、革新的なホルダは、約50〜150の範囲の多数のチャンバを含む。含まれた試料チャンバは、側壁及び底壁を含み、底壁は、チャンバに入れた試料を支持するための支持部分を含む。一実施形態では、壁の少なくとも支持部分は、試料に行われる撮像手順に用いる放射線に高度に透過性である、試料に接触する表面を有する。別の実施形態では、壁の大部分又は全壁が、試料に行われる撮像手順に用いる放射線に高度に透過性である。
【0067】
チャンバは、一般的に、形状及び大きさがほぼ均一である。適切な形状は、矩形であるが、他の形状を用いることもできる。
革新的なホルダのチャンバは、単一の撮像視野にいくつかの試料が撮像されるように配列される。一実施形態では、チャンバは、その間の間隔が最小になるように配列される。例えば、チャンバの少なくとも一部は、複数の隣接して横方向に配列されたチャンバとして構成することができる。任意的に、チャンバの少なくとも一部は、側壁を共有するように構成することができる。
【0068】
更に別の実施形態では、革新的なホルダは、2つ又はそれよりも多くの複数の隣接して横方向に配列されたチャンバを含むように構成することができる。2つ又はそれよりも多くの複数のチャンバを互いに関して積層するように配列することもできる。
複数の隣接して横方向に配列されたチャンバは、底面を共有するように構成することができる。このような底面は、チャンバの側壁に接触し、チャンバの支持部分を形成する連続部分とすることができる。このような構成では、複数のチャンバ及び底面は、単一のユニットとして移動することができる層状構成要素を形成する。一実施形態では、複数の層状構成要素が革新的なホルダに含まれる。
【0069】
好ましいオプションでは、撮像手順の間に1つ又はそれよりも多くの層状構成要素の配列を支持して維持するための1つ又はそれよりも多くの層状構成要素のためのレセプタクルが設けられる。好ましい実施形態では、設けられたレセプタクルは、レセプタクルの形状が円筒形又は実質的に円筒形であり、1つ又はそれよりも多くの層状構成要素を収容するための内部容積を定めるように形成された壁を有する。内部容積に1つ又はそれよりも多くの層状構成要素を更に収容するために、1つ又は2つの端部構成要素が任意的に設けられる。端部構成要素は、レセプタクルと一体化させることができ、レセプタクルに可逆的に取り付けることができ、又はレセプタクルに固定的に取り付けることができる。2つの端部構成要素が設けられる場合には、端部構成要素の少なくとも一方は、1つ又はそれよりも多くの層状構成要素が撮像のためのレセプタクルに挿入して取り除くことができるように構成される。
【0070】
設けられたレセプタクルは、好ましくは、撮像視野に存在するレセプタクルの少なくとも一部がそれに収容された試料を撮像するのに用いられる撮像処理に用いる放射線に実質的に透過性であるように構成される。「実質的に透過性」という用語は、撮像手順で画像を生成するのに用いられる電磁放射線の大部分が、減衰されずにレセプタクルを通過することを意味するものとする。好ましい実施形態では、画像を得るのに用いられる電磁放射線の約85〜100%が、実質的に透過性のレセプタクル又はその実質的に透過性の部分により減衰されない。別の好ましい実施形態では、画像を得るのに用いられる電磁放射線の約90%〜100%が、レセプタクル又はその実質的に透過性の部分により減衰されない。一実施形態では、レセプタクルは、撮像中に撮像処理に用いられる放射線に実質的に透過性の撮像視野に存在するレセプタクル壁を含む。
【0071】
革新的なホルダのレセプタクル又は他の部分に用いるための実質的に透過性の壁又は他の構成要素を形成するのに用いられる材料には、壁又は他の構成要素の望ましい厚みで撮像に用いる放射線に実質的に透過性のプラスチック、エーロゲル、及びガラスが含まれる。一般的に、レセプタクル壁の厚みは、包含的に約0.1ミリメートルと10センチメートルの間の範囲である。適切なプラスチックには、例示的に、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルスルホン、又はこれらのいずれかの組合せが含まれる。
【0072】
本発明の好ましい実施形態によるホルダに含まれるチャンバの壁又は壁の一部は、チャンバ内の試料を撮像するのに用いる放射線に高度に透過性である。従って、撮像視野に存在する壁又はその一部は、好ましくは、チャンバ内の試料を撮像するのに用いる放射線に高度に透過性である。「高度に透過性」という用語は、壁又は壁の一部を放射線の90%を超える部分が減衰せずに通過することを意味するものとする。好ましい実施形態では、画像を得るのに用いる電磁放射線の約98%〜100%の流れは、高度に透過性の壁又はその一部により減衰されない。別の好ましい実施形態では、画像を得るのに用いられる電磁放射線の少なくとも約99%が、高度に透過性の壁又はその一部により減衰されない。高度に透過性の壁又はその一部を形成するのに用いられる材料には、チャンバ壁の望ましい厚みで撮像に用いられる放射線に実質的に透過性のプラスチック、エーロゲル、及びガラスが含まれる。一般的に、チャンバ壁の厚みは、包含的に約0.1ミリメートルと1センチメートルの間の範囲である。チャンバ壁又はその一部を形成するのに好ましい材料は、(フロリダ州ウエストパームビーチ所在の「U.S.Composites」)から市販されているような独立気泡ポリウレタン発泡体である。革新的な多重チャンバホルダを形成するのに用いるのに特に適切な発泡体は、硬化されると密度が約2ポンド/立方フィートの発泡体である。代替的な鋳造ポリウレタン発泡体は、コンピュータ切断(CNC)「Styrofoam」である。
一実施形態では、複数のチャンバは、成形鋳造のような鋳造工程によって形成される。
【0073】
図2は、革新的な装置の一実施形態の多重チャンバ試料ホルダ200のアセンブリを示している。ホルダ200は、複数のチャンバ202を含み、各チャンバは、チャンバを別のチャンバから分離する壁204を有する。チャンバに含まれた壁の支持部分206が示されている。
図2は、複数の隣接して横方向に配列されたチャンバ208を示している。層状構成要素212を定める複数の隣接して横方向に配列されたチャンバ208に付随する底面210が示されている。図示の一実施形態では、底面210は、チャンバ壁の支持部分も形成する。更に、層状構成要素212を収容するためのレセプタクル213と共に、いくつかの層状構成要素212が含まれた実施形態が示されている。
【0074】
特定的な実施形態に200で示されるような革新的なホルダにより、使用者は、円筒形の内部容積を利用することができる。従って、図示の実施形態では、層状構成要素214の1つは、層状構成要素214のチャンバの壁の「上部」部分216がレセプタクル218の「上部」の方向に向くように最初にレセプタクル213に挿入される。レセプタクルは、次に、「上部」部分216及びレセプタクルの壁218の「上部」が下向きに位置決めされるように回転し、チャンバ内のあらゆる試料がレセプタクルの壁218に向って落ちるようにする。このような一実施形態では、チャンバ216の上部部分は、レセプタクルの壁に接触するように構成され、試料が乱れないようになっている。他の層状構成要素212は、試料が撮像処理中にチャンバ壁の支持部分206により支持される方向にレセプタクル内に配置することができる。
【0075】
レセプタクルの壁が撮像処理に用いる放射線を減衰し、壁の画像が生じる実施形態では、ライナ220を用いることができる。ライナ220は、層状構成要素214の「上部」部分216とレセプタクルの壁218の「上部」との間に挟み、試料の画像を撮像処理中に生じることがあるレセプタクルの壁のあらゆる画像から分離することができる。ライナ220は、上部側230、底部側234、及びその間の厚み222を有する。典型的には、底部側234は、レセプタクルの壁218の「上部」と接触する。好ましい実施形態では、試料に接触する上部側230の少なくとも一部及び上部側230に隣接する厚み222の部分238は、画像を得るのに用いられる電磁放射線に高度に透過性である。この部分238の厚みは、約0.1ミリメートル〜約5センチメートルの範囲である。このような実施形態によるホルダは、従って、ライナに隣接する画像が減少するか又は存在しない状態で動物の画像を生成し、従って、分離された動物の画像を得るための画像の処理を回避又は低減することができる。
【0076】
適切なライナは、例示的には、密度が約2ポンド/立方フィートの1つのポリウレタン発泡体である。このようなライナは、層状構成要素214の「上部」部分216とレセプタクルの壁218の「上部」との間に適合するように形成することができ、更に、湾曲するレセプタクルの壁218の湾曲に適合するように形成することができる。望ましい厚みで高度に透過性のプラスチック、エーロゲル、及びガラスを含む他の材料を用いて、望ましい程度の透過性を達成することができる。
【0077】
マイクロCT撮像により、染色試料及びエキソビボ胎芽の高解像度撮像が可能になるが、生きている動物を撮像するのに用いることを対象にした用途に大きな関心が寄せられており、それは益々大きくなっている。例えば、薬物の安全性及び有効性に対する前臨床モデルの分析は、特定の実験から得られる情報を最大にするために複数の撮像方式を用いることから利益を得ることができる。例えば、研究に用いる動物の数を低減することができるように、PET、MRI、CT、光学撮像、及びSPECTのような2つ又はそれよりも多くの撮像技術を用いて動物を調べることができる。
【0078】
しかし、マルチモダリティ撮像の利点を達成するためには、動物の位置決めの一貫性が重要である。更に、撮像手順で動物の画像に非常に近く可視的部分を含む動物ホルダは、次の画像処理でホルダを識別して差し引く必要があるために望ましくない。従って、一実施形態では、本発明により、動物を支持して再現可能に位置決めすることができ、単一のセッションで及び/又は異なる時間に1つ又はそれよりも多くの撮像方式で撮像を行うことができるようにした撮像に用いるための動物ホルダを提供する。更に別の実施形態では、ホルダの少なくとも動物に接触する表面が画像生成信号に透過性又はほぼ透過性であり、動物又は試料の画像にぴったり近接するホルダの画像を除去するための次の画像処理が軽減されるか又は排除されるようにした動物又は試料ホルダを提供する。
【0079】
本発明によれば、動物を支持するための支持部分と、内部容積と、装置の外面とを定める壁を有するホルダ本体を含む撮像手順に用いるための動物ホルダを提供する。壁は、更に、撮像される動物を装置の外部から装置の内部容積まで移動するための通路も含む。
革新的なホルダの壁は、好ましくは、撮像する動物を収容するのに適切な大きさの内部容積を定める形状にされる。更に、革新的なホルダの全体的な形状は、撮像装置のガントリに適合するように構成される。好ましい実施形態では、革新的なホルダの全体的な形状は、2つ又はそれよりも多くの撮像モダリティを用いることができるように2つ又はそれよりも多くの撮像装置のガントリに適合するように構成される。
【0080】
一実施形態では、革新的なホルダは、本体に対して実質的に円筒形の形状である。円筒形の形状は、図5〜図7に示すように一実施形態では、縦方向に先端を切り取ることができる。
ホルダ本体は、単一の壁又はホルダの壁を形成するように取り付けられた複数の壁構成要素で形成することができる。
革新的な装置は、通路を閉鎖するために直接的又は間接的に壁に接触し、それによって内部容積を外部から分離する蓋を更に含むことができる。蓋は、任意的に、本体に取り付けられる。更に、本発明の装置は、動きアーチファクトを避けるために2つのガスポートを通して供給される吸入麻酔下に動物を維持することにより、生きている動物の撮像に用いることができる。更に、付加的なポートを用いて動物にアクセスし、任意的なモニタリング、ゲート開閉、及び挿管の要件を達成することができる。
【0081】
好ましい実施形態は、実質的に平坦な表面を含む。このような平坦な表面は、発光及び/又は蛍光撮像のような光学撮像に役立つ。このような実質的に平坦な表面は、動物の位置に対して革新的なホルダのあらゆる位置に含めることができる。例えば、平坦な表面は、縦方向で先を切り落とした円筒形の切頭部分に含まれる。含まれた平坦な表面は、オプションの1つではホルダの蓋を形成するので有利である。このような平坦な表面は、MRI表面コイルに適合するという点で更に有利である。
また、内部容積を定める壁は、内部容積と外部の間に1つ又はそれよりも多くのガスの通路を定めるガスポートを含むこともできる。
【0082】
図3は、壁302及び蓋304を有する革新的なホルダ300の上面図を示している。この実施形態では、蓋が透過性であり、蓋を通して内部容積308を見ることができる。ガスポートは、306で示している。
図4は、壁402、蓋404、及び2つのガスポート406を有する本体を示す革新的なホルダ400の切取内部図を示している。蓋404は、蝶番410により本体に取り付けられて示されている。壁402と蓋404の間に位置決めされてガスケット412が示されている。
【0083】
図5は、壁502及び蓋504を有するホルダ本体を示す革新的なホルダ500の第1の端面図を示している。壁の端部部分508を通るポートを定める2つのガスポート506が示されている。革新的なホルダの内部容積を定める壁は、単一の部分とすることができ、又はこの図に示すように複数の取り付けられた部分で構成することができる。ここでは、壁の端部部分508は、壁502によって形成される中空の切頭円筒形中心本体に取り付けられる。第2の端部部分は、壁502によって形成される切頭円筒形中心本体の対向する端部で壁502に取り付けられる。
図6は、革新的なホルダ600の実施形態の第2の端面図を示している。壁602及び蓋604を有するホルダ本体が示されている。任意的な蝶番610は、蓋604を本体の壁608の端部部分に取り付けられて示されている。
【0084】
本発明によるホルダは、最高の画像品質を得るために、MRI、CT、PET、SPECT、及び光学撮像のような1つ又はそれよりも多くの撮像モダリティに適合する材料を含むように構成された壁及び/又は蓋のような構成要素を含む。特定的な実施形態では、革新的なホルダは、X線、ルミネセンス、及び/又は蛍光に減衰が限られるか又は減衰しないことを特徴とする材料から成る構成要素を含む。特定的な実施形態では、非金属性材料を用いて、MRIのようなある一定の撮像モダリティに干渉しないようにする。
【0085】
革新的なホルダの好ましい実施形態は、1つ又はそれよりも多くの撮像モダリティの画像を得るのに用いられる電磁放射線に望ましい厚みで実質的に透過性である材料で作られた構成要素を含む。「実質的に透過性」という用語は、1つ又はそれよりも多くの撮像モダリティの画像を得るのに用いる電磁放射線の大部分の流れが減衰せずに構成要素を通過することを意味するものとする。好ましい実施形態では、1つ又はそれよりも多くの撮像モダリティの画像を得るのに用いられる電磁放射線の約85〜100%は、ホルダの実質的に透過性の構成要素により減衰されない。別の好ましい実施形態では、空気伝染性細菌又は他の感染性微生物は、撮像分析のために動物試料を閉じ込めた革新的なホルダに入らないようになっている。その結果、動物組織の劣化又はそれに伴う2次感染が減少及び/又は排除される。別の好ましい実施形態では、1つ又はそれよりも多くの撮像モダリティの画像を得るのに用いる電磁放射線の約90〜100%が、ホルダの実質的に透過性の構成要素により減衰されない。任意的に、2つが酸素及び吸入麻酔薬の吸気口/排気口であり、1つが挿管又は他のモニタリング装置アクセスのためである3つのホースバーブ1/4”〜5/16”(ペンシルベニア州ウエストチェスター所在の「VWR International Inc.」)がチャンバの端部に固定される。
【0086】
MRI、CT、PET、SPECT、及び光学撮像を含む撮像モダリティに用いるために実質的に透過性である壁、蓋、及び/又は他の構成要素を形成するのに用いられる材料には、プラスチック、エーロゲル、及びガラスが含まれる。一般的に、壁又は他の構成要素の厚みは、包含的に約0.1ミリメートルと10センチメートルとの間である。適切なプラスチックは、例示的に、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルスルホン、及びこれらのいずれかの組合せを含む。
【0087】
好ましい実施形態では、革新的なホルダには、動物を支持するためのベッドが含まれる。図7は、壁702、蓋704、及び内部容積708を有する本体を含む革新的なホルダ700の実施形態を示している。内部容積には、壁の支持部分714に配置されたベッド712が示されている。ベッド712は、マウスの身体に適合する形状にされた部分716を含む。ガスポート706も示されている。
図示のようなベッドは、動物に接触する領域716を有する上部側715及び底部側719を有する。典型的には、底部側は、壁714の支持部分に接触する。一部の実施形態では、ベッドは、絶縁層又は他の要素が壁714の支持部分とベッド719の底部側との間に位置決めされる場合のように、支持部分と間接的に接触することができる。厚み721は、ベッドの上部側715と底部側719の間に延びている。好ましい実施形態では、ベッドの上部側の動物接触領域716の少なくとも一部及び上部側715に隣接する厚みの部分723は、1つ又はそれよりも多くの撮像モダリティの画像を得るのに用いられる電磁放射線に高度に透過性である。「高度に透過性」という用語は、1つ又はそれよりも多くの撮像モダリティの画像を得るのに用いられる電磁放射線の90%を超える流れが、減衰することなくベッドの上部側の動物接触領域の部分及び上部側に隣接する厚みの部分を通過することを意味するものとする。好ましい実施形態では、1つ又はそれよりも多くの撮像モダリティの画像を得るのに用いられる電磁放射線の約98〜100%は、高度に透過性の部分により減衰されない。別の好ましい実施形態では、1つ又はそれよりも多くの撮像モダリティの画像を得るのに用いられる電磁放射線の少なくとも約99%が、高度に透過性の部分により減衰されない。この部分723の厚みは、約0.1ミリメートル〜約5センチメートルの範囲である。それによって隣接するベッドの画像を軽減するか又は排除し、隔離した動物の画像を得るための画像の処理が回避又は軽減された動物画像を生成することができる。
【0088】
一実施形態では、動物接触領域の高度に透過性の部分及び隣接するベッド厚みの高度に透過性の部分は、画像後処理を容易に行うことを可能にするように、撮像に用いる電磁放射線を空気と同様の範囲まで減衰させる。例えば、独立気泡ポリウレタン発泡体は、革新的な装置に含まれるベッドの動物接触領域に用いることができる電磁放射線を空気と同様の範囲まで減衰させることを特徴とする材料である。
【0089】
更に別の実施形態では、革新的なホルダに動物を位置決めする正確なシステムが含まれる。好ましい実施形態では、動物位置決めシステムは、動物を支持し、その位置を維持するために壁の支持部分に配置されたベッドを含む。図7は、ベッド712がマウスのような動物の身体に適合する形状にした部分716を含む革新的なホルダの実施形態を示している。ベッドは、撮像される動物の少なくとも一部に適合する形状にされた部分を含む。好ましい実施形態では、ベッドは、ベッドに接触する動物の一部に適合する。例えば、ベッドは、動物が仰向けに配置される場合には、背部、頭、四肢、及び足を含む動物の背側部分に適合し、動物がうつ伏せに寝かされる場合には、腹部、胸部、頭、四肢、及び足を含む動物の腹側部分に適合する。このようなベッドにより、腹部の運動よりも胸部の運動を最大にすることができる。革新的なホルダに含まれるベッドは、撮像される動物の少なくとも一部に適合する形状にされた予備成形部分を含む。例えば、ベッドは、動物の身体の全体的な形状を有する部分を含むように成形することができる。更に、ベッドは、使い捨て及び/又は容易に殺菌される材料で作られる。
【0090】
任意的に、革新的なホルダに含まれる壁は、モニタリング装置又はその一部のためのポートを有し、これは、壁の中に及び/又はそれを通って延び、動物又はホルダの内部容積をモニタする。別のオプションでは、モニタリング装置ポートは、ベッドに含まれ、モニタリング装置が動物に接触することを可能にする。例えば、好ましい実施形態では、動物の身体状態と最適な画像記録条件を調和させるために動物呼吸モニタが用いられる。例えば、圧力変換器は、呼吸ゲート開閉を可能にすることができ、それによってコンピュータ断層撮影スキャナがトリガされて呼吸サイクルの単一の相の間のみ画像を摂り、動きアーチファクトを最小限にする。従って、革新的なホルダの任意的な特徴は、圧力変換器のようなモニタリング装置のためのポートである。
【0091】
図7は、壁702及び動物モニタリング装置720のための壁702のポート718を有する本発明によるホルダ700を示している。図示のベッド712は、動物モニタリング装置720のためのポート722を更に含み、装置が、動物の身体に適合する形状にされた部分716に位置決めされた動物に接触することを可能にする。
任意的に、ベッド表面の少なくとも一部は、光学撮像システムを用いる間に表面反射又は蛍光を避けるために着色される。例えば、ベッドの少なくとも一部は、表面反射を避けるために黒又は青に着色される。
【0092】
更に別の実施形態では、革新的なホルダに付随して、特定の手順で用いられる撮像モダリティで見える1つ又はそれよりも多くの基準マーカが存在し、相互レジストレーション工程を助ける。例えば、発光性アクリル(オレゴン州ビーバートン所在の「ProArt」)は、CT及び蛍光光学撮像の基準マーカとして用いられる例示的な材料である。トリチウムビーズ(ジョージア州アトランタ所在の「AmeriGlo」)は、発光光学撮像の基準マーカとして用いられる例示的な材料である。脱イオン水は、MRIの基準マーカとして用いられる例示的な材料であり、FDG([2−18F]2−デオキシ−2−フルオロ−D−グルコース)は、PET撮像の基準マーカとして用いられる例示的な材料である。基準マーカは、動物撮像中に撮像視野に入ることになるホルダの構成要素に配置するか又は取り付けることができる。例えば、基準マーカは、ホルダの壁、蓋、及び/又はベッドに取り付けることができる。任意的に、望ましいこれらの溶液を容積に貯留して送出するように特注の毛細管が設計される。基準マーカの濃度は、その信号が画像に干渉するのを軽減及び回避するように調節される。
【0093】
好ましい実施形態では、革新的なホルダは、動物又は撮像機器を汚染することなく研究を行うのを助けるために、ホルダの内部容積とホルダの外部環境との間の空気又は他の材料を交換するのを制御するように構成されたガス制御装置を含む。例えば、ガス交換を阻害し、ホルダ内部の環境を制御するために、特に接続部で、かつ可動部品に付随してシールを用いることができる。図5は、512で例示的なガスケットを示している。ガス流のこのような制御装置により、例えば、ガスポートを通してホルダに導入される吸入麻酔薬の利用が可能になる。
【0094】
1つ又はそれよりも多くのガスポートを通して交換されるガスは、動物が健康/感染状況に関わりなく撮像されるように、吸入及び排出ガスのHEPA濾過などにより精製することができる。
すなわち、ガス制御システムは、例示的に、ガスの通路を定める壁の閉鎖可能ポート、ガスケット、フィルタ、ガスポンプ、麻酔送出装置、又はその組合せから成る群から選択される構成要素を含む。
革新的な組成物及び方法の実施形態を以下の実施例に示す。これらの実施例は、説明のために挙げたものであり、革新的な組成物及び方法の範囲を制限するとは見なされない。
【実施例1】
【0095】
本発明によれば、マイクロCT画像を生成するのに用いられる染色方法は、マウス胎芽を用いて従来の組織切片生成及び染色に比較される。
試料調製
革新的な方法の例では、Pax3:Fkhr遺伝子導入マウス(Keller、C.他、「Genes Dev」、第18巻、2608〜13頁、2004年;Keller、C.他、「Genes Dev」、第18巻、2614〜26頁、2004年)、並びに野生型マウスを用いる。胎芽は、E9.5〜E12.5在胎齢で採取し、その後、4℃の10%緩衝ホルマリンに一晩入れて固定する。確立した方法(Keller、C.他、「Genes Dev」、第18巻、2608〜13頁、2004年)を用いてヘマトキシリン及びエオシン染色パラフィン切片を調製し、その後、「Nikon Eclipse 80i」顕微鏡で2x倍率で視覚化する。上述のように(Keller、C.他、前出)、Pax7モノクローナル抗体(アイオワ州アイオワシティ所在の「Developmental Hybridoma Studies Bank」)を用いる免疫編成学検査を行う。マイクロCTに基づく仮想組織像では、胎芽は、次に、革新的な方法により染色される。胎芽は、0.1Mナトリウムカコジラート(pH7.2)、1%グルタルアルデヒド、及び1%四酸化オスミウム溶液に入れ、室温で揺動しながら飽和するまで一晩染色する。次に、胎芽は、0.1Mナトリウムカコジラート緩衝液に入れて30分間洗浄し、リン酸緩衝生理食塩水で更に2回30分間洗浄する。試料は、走査する前に、100%エタノールまでの段階的な一連のエタノール濃度で培養する。
【0096】
撮像
胎芽の高解像度容積測定コンピュータ断層撮影法(CT)は、SPマイクロCT試料スキャナ(オンタリオ州ロンドン所在の「GE Healthcare」)を用い、8ミクロン等尺ボクセル解像度で行う。この容積測定スキャナは、「Feldkamp」円錐ビーム再構成のために3500x1750のCCD検出装置を用いており、その性能は、地域コア施設として一般的に作動される$300、000未満の他の市販のインビトロスキャナに類似する(http://virtualhistology.com)。この研究では、電流、電圧、及び露出時間のプラットフォームに無関係なパラメータは、それぞれ、100μA、80kVP、及び4000ミリ秒で一定に保たれる。各走査で、900の均等に離間した視野を8フレーム/視野から平均し、0.2mmアルミニウムでフィルタリングする。8ミクロンの解像度では、この計器の視野は、15x15x15mmである。各走査には、ほぼ12時間かかった。本方法の費用は、ほぼ$40/時($480/走査)である。画像は、製造業者の所有権付きの「EVSBeam(C)」ソフトウエアで再構成される。胎芽の更に急速な容積測定CT走査は、「eXplore Locus RS」小動物マイクロCTスキャナ(オンタリオ州ロンドン所在の「GE Healthcare」)を用い、27ミクロン等尺ボクセル解像度で行った。試料スキャナのように、この生きている動物の容積測定スキャナは、「Feldkamp」円錐ビームを再構成するために3500x1750のCCD検出装置を用い、その性能は、地域コア施設として一般的に作動される$300、000未満の他の市販のインビボスキャナと同様である(http://ccri.uthscsa.edu)。この研究では、電流、電圧、及び露出時間のプラットフォームに無関係なパラメータは、それぞれ、450mA、80kVP、及び2000ミリ秒で一定に保たれる。各走査で、450の均等に離間した視野を6フレーム/視野から平均した。8ミクロンの解像度では、この計器の視野は、45x45x45mmである。各走査には、ほぼ2時間4分かかった。本方法の費用も、ほぼ$40/時($80/走査)である。画像は、製造業者の所有権付きの「EVSBeam(C)」ソフトウエアで再構成される。市販の「MicroView(C)」プログラム(http://microview.sf.net)で予備視覚化及び仮想組織像切片が生成される。
【0097】
等値面生成
CTデータセットの等値面描画は、オープンソースの「Teem」ユーティリティ(Kindlmann、G.、「Teem.1.8.0版」、SourceForge.net、2005年)及びオープンソースでプラットフォームに無関係の「BioImage」描画プログラム((SCI)、S.C.a.I.I.、「BioPSE:生物医学コンピュータ用途のモデル化、シミュレーション、画像処理、及び視覚化のための問題処理環境」、2002年)の組合せを用いて生成される。両方の組のソフトウエアは、オンラインで入手可能である(http://software.sci.utah.edu)。更に、「Teem」ライブラリを用いて、現在のグラフィックカードの利用可能なメモリよりも相当大きいマイクロCT容積の二段抽出も行われる。最終的な二段抽出容積は、255x255x255であり、最近傍手法を用いて等しく離間している。更に、「Teem」ライブラリを用いて勾配及びヘッシアンデータの事前計算も行われる。2次抽出と、勾配及びヘッシアンデータの生成とを組み合わせた処理は、2つのデータ容積を生成し、これは、元のCT値と共に「VGH」容積に記憶される(値、勾配、ヘッシアン)。次に、VGH容積を用い、「BioImage」ソフトウエアパッケージにより実時間で等値面を生成する。分割画像容積の分割は、国立医学図書館の「Insight Toolkit」(ITK、www.itk.org)で得られる「Watershed」アルゴリズム(Mangan、A.P.及びWhitaker、R.T.、「IEEE Trans.Vis.Comput.Graph」、第5巻、308〜321頁、1999年)を用いて行われる。流域分割は、使用者が定めたシード点が関連の領域に位置決めされ、局所近傍の勾配のマグニチュードの統計的分析を行い、標準偏差を判断する領域拡張アルゴリズムである。次に、その構造は、勾配のマグニチュードが平均の1標準偏差を超える点を交差することなく、シード点の周囲が連続周囲領域を通って延びる時に見出される。得られる構造は、別々の容積としてディスクに保存される。分割は、2.5GHzの「Intel Pentium(登録商標) III」プロセッサ及び2GBのRAMを搭載したコンピュータで行われる。得られる容積は、次に、各分割に固有の値として印を付け、次に、分割が存在するところは、その元の値が新しく印を付けられた値で上書きされるように、それを再び元の容積に併合することによって1つの容積に組み合わせる。
【0098】
容積レンダリング
内部ソフトウエアパッケージ「Nenners」(Johnson、T.N.、(2005)Nenners)を用いる直接容積レンダリング技術を用いて野生型及びPax3:Fkhr突然変異胎芽データセットの容積レンダリングを生成する。「Nenners」は、容積を読み、容積を通して幾何学的光線を放つ。幾何学的光線は、全てのピクセルから放たれ、ボクセル間で2度抽出され、従って、x/2又はそれ未満である(式中xは、試料を走査する単位である)。試料は、分離可能カーネルを用いる畳み込みによって得られる(Gonzalez、R.C.及びWoods、R.C.、「Digital Image Processing.」、第197巻、2002年)。3次式Bスプラインを用いてCT値及び勾配の両方を内挿する(Kindlmann、G.L.、Whitaker、R.、Tasdizen、T.、及びMoeller、「Tの直接容積レンダリングのための曲率に基づく伝達関数:方法及び応用」、「Proceedings IEEE Visualization」、513〜520頁、2003年)。色及び不透明度は、領域を定める2次元伝達関数、勾配のマグニチュード、及びX線密度を用いて各試料点で定められる(Levoy、M.、「容積データからの表面の表示」、「IEEE Computer Graphics & Applications」、第8巻、29〜37頁、1988年;Kniss、J.M.、Kindlmann、G.L.、及びHansen、C.D.、「視覚化ハンドブック」、Hansen、C.D.及びJohnson、C.R.編、189〜210頁、Elsevier、2005年)。これは、光線の不透明度が1に等しいか又はそれよりも大きくなると、光線が早期に中止され、次の光線が計算されるように、前から後に向う方式で行われる。更に、境界容積を用いて、この容積にまだ衝突しないか又は衝突しない光線が抽出されないようにこの処理を高速化する。更に、勾配を用いて、用いる「Phong」陰影モデルを近似する(Gooch、A.他、「自動テクニカルイラストレーションのための非写真的現実性照明モデル」、「Proceedings of ACM Siggraph」、447〜452頁、1998年)。更に、容積レンダリングには、曲率に基づく伝達関数(Gooch、A.他、前出)及びデプスキューイングを用いることもできる。伝達関数は、入射光線の角度と表面法線とのドット積に基づいている。ドット積が、何らかの定数k(0<k<1)よりも小さい場合には、表面は、黒色で印を付け、視線方向に垂直な表面を強調する。更に、内挿試料に陰影を付けるためのデプスキューを用いて、深さの感覚を大きくし、前景を背景から分離する。更に、試料に比較したカメラ位置、視線方向、及び照明のパラメータも渡され、描画の視野を定める。ソフトウエアを「SGI Onyx 3800」で80秒/描画で行い、ピクセルの各列は、速く結果を得るためにハイパースレデッド又は複数の処理装置にわたって分配することができる。
【0099】
上述の処理を用いて、細胞膜を四酸化オスミウムの1%溶液で染色したホルマリン固定野生型E11.5胎芽は、8ミクロン等尺解像度で容積測定コンピュータ断層撮影法により撮像される。走査した胎芽の外面の特徴は、解剖顕微鏡に同等のレベルの詳細を示す等値面で表すことができる。内部構造は、胎芽全体の半透明「最大強度投影(MIP)」により視覚化される。
従来的な光学組織像の空間解像度をマイクロCTに基づく仮想組織像に比較するために、パラフィン包埋4.5ミクロン切片をヘマトキシリン及びエオシンで染色し、2x倍率で視覚化する。マイクロCTに基づく仮想組織像による矢状方向、冠状、及び軸線方向切片は、内部特徴(臓器及び組織)の描写を同じ倍率のパラフィン切片に比較可能である。後根神経節、神経管、及び前主静脈ほどの小ささの解剖学的目印は、容易に識別することができる。オスミウム染色は、組織の脂質含量に伴い改善するために、この例では、最も染色されていない組織から最も染色されている組織まで密度に6倍の差が見られる。組織のCT密度値は、5785〜32767ハウンスフィールド単位の範囲であった。
【実施例2】
【0100】
革新的な方法の特定の実施例では、表皮層が限定された在胎月齢の全胎芽を用いる。例えば、有意に表皮が発達していない妊娠中期全胎芽(E8−E13.5)を用いることができ、E19までの除膜胎芽も満足に染色することができる。胎芽は、実施例1に説明するように染色される。時系列のE9.5、E10.5、E11.5、及びE12.5の胎芽の等値面及び矢状横断面を設け、8ミクロン等尺解像度で走査する。これらの解像度では、発達している脳胞、神経管、心室、及び肝臓のような特徴を明確に描写することができる。肝臓の脂質含量が増大するために、オスミウム染色肝組織が希薄化し、不透明度及び輝度が最高になる。
【実施例3】
【0101】
高速27ミクロン解像度走査
「GE eXplore RS」小動物スキャナを用いて、27ミクロン等尺解像度でほぼ2時間で野生型E12.5胎芽の走査を行う。胎芽は、実施例1に説明されているように染色する。同じ胎芽の8ミクロン及び27ミクロン走査を比較すると、8ミクロン切片は、大幅に空間解像度が高いが、それにも関わらず、27ミクロン切片は、半規管、神経管中心管、及び心室のような特徴を区別するのに適切である。高処理表現型検査の観点からすれば、これらの27ミクロンマイクロCT走査の解像度は、磁気共鳴顕微鏡法の範囲であるが、ほぼ6倍の時間の節約である。更に、これらの2時間で27ミクロン解像度の走査は、主要臓器区画の高品質分割分析を行うのに適切であり、コンピュータに基づく自動表現型検査に有利である。注意すべきことは、右心房のような一部の臓器内の小管腔は、高解像度走査よりも分割が不良であることである。しかし、27ミクロン解像度で走査された同じオスミウム染色胎芽は、小さな構造の鮮明度を改善することが望ましい場合は8ミクロン解像度で走査することができる。
【実施例4】
【0102】
幼弱胎芽の主要臓器区間及び組織構造の高処理表現型検査のためのマイクロCT仮想組織像の値を試験するために、複雑な吻側神経管形成異常を有することが公知のPax3:Fkhr遺伝子導入マウス胎芽が用いられる(Keller、C.他、「Genes Dev」、第18巻、2608〜13頁、2004年、Keller、C.他、「Genes Dev」、第18巻、2614〜26頁、2004年)。これらの胎芽は、背側神経管及び皮筋板にPax3遺伝子の代わりにPax3:Fkhr融合ガン遺伝子を発現し、神経管閉鎖が部分的に不全になることになる。野生型及びPax3:Fkhr突然変異体E11.5胎芽は、実施例1のように染色され、27ミクロン解像度で走査され、次に、分割を伴うレンダリングを行い、頭部前脳、中脳、及び後脳胞、心臓壁及び心室、及び肝臓を視覚化する。このようなレンダリングを行うと、後脳及び中脳レベルの神経管閉鎖の不全、中脳間葉組織の過成長以外に、終脳小胞の発育不全を識別することができる。これらの所見は、パラフィン包埋試料からの実際の組織像で明らかになるが、突然変異前脳、中脳、及び後脳の複雑な大域的な3次元構成は、明らかとならないことになる。心室壁は、本質的に、野生型及びこの月齢での突然変異体で同じであり、共通心室の容積又はパターン化に感知することができる差がない。更に、肝臓も野生型及び突然変異体の両方で正常にパターン化されるように見える。個々の27ミクロン平面を用い、背側神経管の重篤な平滑末端化及び組織崩壊を伴う後肢レベルでの付加的な微細欠損が神経管に検出される。発生に関するパターン形成異常に対する半又は完全自動高処理選別の観点から、高速27ミクロン走査は、複雑で全体的な特徴及び微細な特徴の両方を形態学的に分類する実行可能な方法を示している。
【実施例5】
【0103】
マウス胎芽を用いてマイクロCT走査に用いるための染色方法を比較する。
胎芽収集:胎芽は、妊娠12日目(E12.5)に収集し、その後、4℃の10%緩衝配合剤に一晩入れて固定する。
室温で揺動しながら0.1Mリン酸緩衝液(pH7.2)に2%四酸化オスミウムを加えた溶液中で1時間胎芽を染色する第1の染色方法を行う。胎芽は、次に、0.1Mリン酸緩衝液で30分間洗浄し、リン酸緩衝生理食塩水で更に2回30分間洗浄する。次に、試料は、走査の前に一連の勾配で100%エタノールまで移行させる。
【0104】
本発明による好ましい染色方法を上述の「第1の染色方法」に比較する。革新的な方法では、胎芽は、室温で揺動しながら、0.1Mナトリウムカコジラート(pH7.2)、1%グルタルアルデヒド、及び1%四酸化オスミウムの溶液中で飽和するまで一晩染色される。胎芽は、次に、0.1Mナトリウムカコジラート緩衝液で30分間洗浄し、リン酸緩衝生理食塩水で更に2回30分間洗浄する。次に、試料は、走査の前に一連の勾配で100%エタノールまで移行させる。
【0105】
同じ走査方法を用いて、第1の方法及び革新的な方法で処理された試料を比較する。2つの異なる方法で染色されたE12.5胎芽を同じ管に入れて共に同時に走査する。胎芽のCT走査は、「eXplore Locus RS」小動物マイクロCTスキャナ(オンタリオ州ロンドン所在の「GE Healthcare」)を用いて27ミクロン等尺ボクセル解像度で行った。この生きている動物容積測定スキャナは、「Feldkamp」円錐ビーム再構成のための3500x1750のCCD検出装置を用いており、その性能は、地域コア施設として一般的に作動される$300、000未満の他の市販のインビボスキャナに類似する。この研究では、電流、電圧、及び露出時間のプラットフォームに無関係なパラメータは、それぞれ、450mA、80kVP、及び2000ミリ秒で一定に保たれる。各走査で、450の均等に離間した視野を6フレーム/視野から平均する。走査には、ほぼ2時間4分かかった。本方法の費用は、ほぼ$40/時($480/走査)である。3次元容積は、製造業者の所有権付きの「EVSBeam(C)」ソフトウエアで再構成される。視覚化は、製造業者の「MicroView(C)」プログラムで行われる。
【0106】
この研究の結果は、「第1の方法」により処理された材料の信号範囲と重なるエタノールによる背景ノイズを示している。これと対照的に、上述の革新的な方法で処理した組織の信号の範囲は、エタノールによる背景ノイズの範囲から良好に隔離されている。更に、革新的な方法により染色された組織は、上述の「第1の方法」により染色した組織に比較して、広い範囲の「Ct値」を有する信号を生成する。従って、革新的な方法を用いて生成された画像は、上述の「第1の方法」により生成した画像よりも広い範囲の信号強度及び良好なSN比を示している。
【実施例6】
【0107】
胎仔は、最初にメスで臍帯をきれいに切断した後に(ハサミも用いず、引き裂くこともしない。これは、血管の撮像を最適にするのに重要である)、冷PBS中で解剖する。次に、羊膜及び内側の薄い漿膜(できるだけ余分な胎芽/余分な胎生組織を持たない)の両方を注意深く除去する。清浄にした胎仔を氷上のPBSに入れる。遺伝子導入動物からの胎仔に対しては、羊膜又は内膜の小片(1.5x1.5mm)を1.5ml管に入れる。管は、胎仔に対する固有の識別番号でラベル付けする。解剖顕微鏡下で胎仔の写真を撮る。全ての胎芽/胎仔は、固有の識別番号で個々にラベル付けされる。0.1NのHClで予め酸処理し、その後、大量のddHOで洗浄した各胎仔は、予めラベル付けしたガラスネジ固定式管に貯蔵する。胎仔/仔に対しては、固定及び染色する前に皮膚を除去すべきである。皮膚の除去を容易に除去されるように皮膚を緩めるために、皮膚を剥ぐ前に脱色する。これを行うために、小さなビーカーを水で満たし、ホットプレート上で水を沸騰させる。水を沸騰させる間に、マイクロシザーを用いてマウス胎仔/仔の腹側部及び背側部に小さく浅く「X」を切断する。図8は、上述のように、新しく安楽死させた直後(A)、次に脱色した後(B)、次に皮膚を剥いだ後(C)の胎仔の形態学的変化を示している。
【実施例7】
【0108】
脱色する段階及び皮膚を剥ぐ段階の後、胎仔に切開を行って胸郭肋膜、腹部腹膜、及び硬膜を開き、染色液の透過が更に改善するようにする。
胸郭肋膜を開くために、図9Aに示すように.身体の左側方部の第10肋骨の上にメスで小さな肋骨上切開を行う。神経及び血管は各肋骨の下を延びるために、肋骨の上を切開しても、望まない大出血に到る可能性がある血管への損傷が起きにくいことになる。更に、第10肋骨は、肺と隔膜の間の間隙の前側方に位置するために、第10肋骨上を切開しても、内部構造に損傷を引き起こす可能性は小さい。次に、繊細なハサミを先端を上に向けて用い、肺及び心臓のような内部構造に損傷を与えることなく、長さほぼ2〜4mmまで第10肋骨の上部縁に沿って切開を延ばす。次に、図9Bに示すように、身体の右側方部の肋骨上切開/切断を繰り返す。切断は、胸郭肋膜のみを開け、内部臓器を損傷しないように表面から1mmよりも深くない。
【0109】
同様に、腹膜を開けるために、臍の1mm上を腹腔の正中線に沿ってメスで小さな垂直切開を行い、次に、先端を上にして微細なハサミを用い、図9Cに示すように、剣状突起の方向にほぼ長さ1.3mmまで切断を延ばし、内部臓器に損傷を与えることなく腹膜のみを切断する。切開の長さを1.3mm未満にすると、切断が肝臓よりも確実に下になり、それによって肝臓に損傷を与える可能性が少なくなる。切断は、腸に損傷を与えないように、表面から0.3mmよりも深くない。
【0110】
硬膜を開けるために、図9Dに示すように、頭蓋骨の縫合に沿って2〜3mm長さの切開をメスで行う。切断は、硬膜のみを開け、脳の他の構造に損傷を与えないように、表面から0.5mmより深くしないことが必要であることに注意されたい。
切開後、各胎仔は、固定する前に、50ml円錐形管に移して2〜10分間3回PBSで揺動することによって洗浄し、全てのアーチファクトを防ぐために全ての付着した膜及び組織小片を除去する。胎仔は、胎仔自体の容積の約10倍の固定剤容積を用い、10%緩衝ホルマリン又は固定溶液のいずれかで室温で一晩揺動しながら培養する。固定溶液は、0.1Mカコジラート緩衝液及び1〜3重量%のグルタルアルデヒドを含有する。胎仔は、最低、室温で一晩(12時間)固定する。このような良好に固定された胎仔は、次の染色方法に悪影響を及ぼすことなく6ヶ月歩存される。
【実施例8】
【0111】
以下に、肝臓、心臓、肺のような非胎芽組織を調製して固定する方法を提供する。
ガラスバイアルを0.1NのHClで酸処理し、その後、大量のddHOで濯ぐ。組織を測定して切断し、処理したガラスバイアルに入れる。次に、組織は、室温で一晩、10%緩衝ホルマリン又は固定溶液のいずれかで培養する。固定剤の容積は、組織自体の容積の10倍であることが好ましい。
【0112】
固定後、固定液は、組織から除去する。次に、組織は、0.1Mカコジラート緩衝液及び1重量%グルタルアルデヒドも含有する0.8〜2%のOsO染色溶液で染色する。薄い組織切片<2mmに対しては、4mlの酸洗浄したガラスバイアルに入れた1%OsO染色溶液を用い、厚い組織切片>2mmに対しては、4mlの酸洗浄したガラスバイアルに入れた1.84%OsO染色溶液を用いる。組織切片は、揺動することによって4℃で6〜12時間培養する。この染色及び培養する段階は、新しく調製したOsO染色溶液を用いて繰り返すことができる。
四酸化オスミウム及びその溶液は、固定の目的には無効な黒色化合物である二酸化オスミウムの生成を防止するために、光、熱、又は有機材料に露出しないで貯蔵することに注意されたい。
【実施例9】
【0113】
組織をリンタングステン酸(PTA)で染色する方法を以下に明らかにする。
組織は、室温で揺動することによって10%緩衝ホルマリンで一晩固定する。組織は、1xPBSで3回、各々1時間濯ぐ。次に、組織は、室温で揺動することによって5%リンタングステン酸(Electron Microscopy Sciences)で一晩染色する。組織は、再び、各々1時間揺動することによって1xPBSで3回濯ぐ。次に、組織は、段階的エタノール、より詳細には、25%エタノールの1xPBS溶液に入れて15〜30分間、50%エタノールの1xPBS溶液に入れて15〜30分間、75%エタノールの1xPBS溶液に入れて15〜30分間、100%エタノールの1xPBS溶液に入れて15〜30分間、かつ別の100%エタノールの1xPBS溶液に入れて15〜30分間揺動することによって脱水する。脱水後、組織は、微小遠心管に入れた100%エタノール中の粗スポンジに包装されると、走査の準備ができる。
【実施例10】
【0114】
一例では、革新的なホルダ本体は、壁厚みが3mmのプレキシガラス(テキサス州サンアントニオ所在の「Plastic Supply of San Antonio Inc」)製の3”ODシリンダから構成される。
この実施形態の円筒形デザインは、多くのCT/MRI/PET機械のガントリで利用可能な空間を最大にする。シリンダの上面は、ホルダの蓋に対する接触点を設けるために外面から1cm切断される。蓋は、3mm厚の平坦なセル注型「Acrylite(登録商標)FF」シート(ペンシルベニア州フィラデルフィア所在の「Atoglas」)で作られる。このシートは、任意的に透明で90%の可視光を透過させると考えられている。シリンダ壁の一端に2つの穴が切断され、酸素/イソフルランの吸気及び廃棄のために穴に2つのホースバーブ1/4”〜5/16”(テキサス州サンアントニオ所在の「Plastic Supply of San Antonio Inc」)を入れ、吸入麻酔及び/又は空気交換を可能にする。ホルダ蓋とホルダ本体の間の接合部は、正確に機械加工して接合部を気密性にする。任意的に、この処理は、接合部でホルダ蓋及びホルダ本体の両方に接触するように置かれた独立気泡スポンジゴムガスケット(カリフォルニア州サンタアナ所在の「Rubber Cal」)を更に利用することができる。蓋は、透明なプラスチック蝶番及び留め金(カリフォルニア州サンタローザ所在の「Tap plastic」)で本体に固定される。
【実施例11】
【0115】
「Xenogen IVIS−200」計器で「Acrylite FF」蓋を含む本発明によるホルダのルミネセンス及び蛍光透過性試験を行う。FITC及びCy5.5の10マイクロモル溶液を用いて蛍光の透過性を検査し、トリチウムガン照準材料を用いてルミネセンスの透過性を検査する。組織内の信号減衰の効果を検査するために、マウス腹部内部にトリチウム源を配置し、「Acrylite FF」蓋がある場合とない場合の信号を記録する。結果は、ホルダの蓋があると93%の透過性を示している。このホルダ蓋表面による光学信号の減衰は、最小であることが観察される。蛍光及びルミネセンス透過性試験は、溶液を用いるか又は動物内で、蓋がある場合及びない場合で行う。FITCは、ホルダを通る透過性が89%である。Cy5.5のホルダを通る透過性も89%である。トリチウムルミネセンスは、ホルダを通る透過性が高く、92%である。マウス腹部内のトリチウムのホルダを通る透過性は、93%である。
【実施例12】
【0116】
トリチウム源をマウス腹部内に置き、発光画像を位置合わせする。この実施例で生成される強度マップ内で可視であるように、基準点も発光する。マウスは、マイクロCTで走査し、相互レジストレーションのために、その「2D最大強度投影(MIP)」画像を用いる。基準点は、画像を重ねるための基準マーカとして用いられる。重ねた画像から、トリチウム活性がCT画像内の解剖学的位置に対応することが明確に見える。
【0117】
マイクロCTと発光光学撮像データベースの良好な相互レジストレーションは、本発明による動物ホルダを用いて達成される。マイクロCT/光学及びマイクロPET/MRIの相互レジストレーションの結果は、2つの位置合わせした画像の相関関係が良好であることを示している。これらの試験では、マウスは、イソフルランを用いて麻酔し、トリチウム源をその腹部内に入れる。この動物は、いくつかの基準点マーカを含む革新的なホルダの内部の特注の発泡体ベッドに位置決めされる。基準点は、二重蒸留HOで希釈することによって望ましい濃度まで下げ、鉛粒子汚染を避ける。「Acrylite FF」で作られたホルダの蓋は、ゴムガスケットを用いてホルダの本体に対して密封し、蓋とホルダ本体との接合部でのガス交換を阻害する。発光画像は、4秒の露出時間、高解像度、12.7cm視野、f/ストップが2/8、及び3cm試料高さで得られる。次に、ホルダは、マイクロCT機器まで移され、93ミクロン解像度、平均に4フレーム、720視野、100ミリ秒露出時間、80kVp X線源力、及び25分以内で450uA線源電流でCT画像が得られる。画像は、補正して再構成し、軸線方向、矢状方向、及び冠状平面のスライスの3D画像を得る。2DのMIP画像を生成し、「Microview」を用いる相互レジストレーションに使用する。このモダリティの画像は、「Power Point」を用いて互いに融合される。腹部内のトリチウム源の高さは、両方のモダリティで測定され、CTの軸線方向像から得られる測定値は、5.15±0.5mmであり、光学撮像の3D再構成から得られる測定値は、5.00±0.5mmである。
【0118】
更に別の実施例では、革新的なホルダは、小動物MR及びマイクロPETデータセットの良好な相互レジストレーションを行うのに用いられる。
この実施例に用いたマイクロCT撮像パラメータは、本明細書に説明されている。この研究に用いた全ての動物は、IACUC承認プロトコルに従って処理される。マウスは、2.5リットル/分の流れで、100%酸素中の1%イソフルランを用いて麻酔する。発光アクリル(オレゴン州ビーバートン所在の「ProArt」)を基準マーカとして用い、これは、その発光特性のために光学/PET撮像で見ることができ、そのアクリル特性のためにCT/MRIで見ることができる。液体の濃度は、マウスからの実際の信号に影響を及ぼさないように望ましいレベルまで下げ、試料の周りの3つの部位の単一ストリップの管に入れる。麻酔マウスの容積測定コンピュータ断層撮影法(CT)は、「eXplore Locus RS」小動物マイクロCTスキャナ(オンタリオ州ロンドン所在の「GE Healthcare」)を用いて93umボクセル解像度で行う。この容積測定スキャナは、「Feldkamp」円錐ビーム再構成のために3500x1750のCCD検出装置を用いており、そのデザインは、地域コア施設(http://ccri.uthscsa.edu)として一般的に作動される$300、000未満の他の市販のインビボスキャナに類似する。この研究では、電流、電圧、及び露出時間のプラットフォームに無関係なパラメータは、それぞれ、450μA、80kVP、及び100ミリ秒で一定に保たれる。720の均等に離間した視野角及び4フレームを含む走査パラメータは、視野毎に平均する。画像は、製造業者の所有権付きの「EVSBeam(C)」ソフトウエアで再構成され、視覚化は、オープンソース「MicroView(C)」プログラムで行われる。
【0119】
この実施例の発光及び蛍光撮像は、「Xenogen IVIS 200」システム(カリフォルニア州アラメダ所在の「Xenogen Corp.」)を用いて行われる。この撮像装置は、低ノイズ16ビットデジタル電子読み出しを有する科学等級の極低温冷却CCDカメラを用いる。この研究では、用いるパラメータは、4秒の露出時間、高解像度ビニング、12.6cm視野、及びf/ストップ2/4である。データは、製造業者の所有権付きの「Living Image 2.5(C)」ソフトウエアを用いて得られ、3D画像は、「Living Image 3D(C)」ソフトウエアを用いて再構成される。
【実施例13】
【0120】
マイクロCT及び発光光学撮像データセットの良好な相互レジストレーションを以下に明らかにする。
マイクロCT及び光学撮像の相互レジストレーションのためにチャンバを有効に利用することを明らかにするために、2組の走査を行う。マイクロCT/発光に対しては、右大腿部から発現されるルシフェラーゼレポーター遺伝子を有する動物を用いる。ルシフェラーゼを発現する動物は、イソフルランを用いて麻酔にかけられ、ルシフェリンを注入され、特注の発泡体ベッドに位置決めされる。3つの基準マーカ(短い毛細管)を発泡体ベッドのマウスの側部に沿って置き、これを、次に、マルチモダリティチャンバの内部に入れる。光学及びマイクロCT画像の取得、再構成、及び相互レジストレーションは、上に詳細に説明したように行う。図1OAに示すような相互レジストレーション画像から、動物の右大腿部に信号が局在化しているのを認めることができる。総計信号強度は、1.38x107p/sであった。
【実施例14】
【0121】
マイクロCT及び発光光学撮像データセットの別の良好な相互レジストレーションを以下に明らかにする。マイクロCT及び光学撮像の相互レジストレーションに対してチャンバを有効に利用することを明らかにするために、2組の走査を行う。マイクロCT/近赤外線蛍光に対しては、腫瘍選択的近赤外線コントラスト剤を投与した腫瘍を有する動物を用いる。同様に、改質インドシアニングリーンコントラスト剤を尾静脈注入後、子宮に自然発生的平滑筋腫を有するマウスを撮像する。注入して15分後に近赤外線撮像を行う。腫瘍領域からの信号は、4.149x1010パルス/秒であると定量される。動物は、次に、マイクロCTに移されて、93立方ミクロン走査を行う。図10Bに示すような基準マーカの助けを借りて、光学(2D)データのマイクロCT(3D)データとの相互レジストレーションを行う。次に、動物を剖検する(差込図)。相互レジストレーションデータセットから、信号は、明瞭な境界を有し、信号の大部分は、生存可能な固体腫瘍領域に集中することが認められる。これらの2つのデータセットは、チャンバとCT及び光学システムが適合すること、及び2つのモダリティからのデータセットに容易に相互レジストレーションを行うことができることを明らかにしている。
【実施例15】
【0122】
小動物MR及びマイクロPETデータセットの良好な相互レジストレーションを以下に示す。
MRI及びPETシステムと共に用いる実現可能性を明らかにするために、健康な野生型マウスを撮像し、解剖学的構造及び正常グルコース代謝の相互レジストレーションを行う。マウスは、その基準マーカと共に発泡体ベッドに位置決めされ、マルチモダリティチャンバ内部に入れる。3DMRI画像は、0.38mm等方ボクセル解像度及び総取得時間20分で得られる。MRI撮像セッションの直後に、マウスは、隣接する部屋のマイクロPETスキャナに運ばれる。0.25mCi18FのFDGを腹腔内注射(i.p.)で動物に投与し、その後、動物は、チャンバに戻す。特注の発泡体ベッドにより、マウスは、i.p.注射後に再現可能に位置決めすることができる。15分血液循環時間を取った後に、25分にわたって一連のマイクロPET画像を取得する。マイクロPET画像の3D再構成により、マウスの中枢神経系でのグルコース代謝活性が示される。データは、図10C、D、Eに示すようなマイクロMRIにより生成された3D最大強度投影画像との相互レジストレーションが行われる。相互レジストレーションデータは、心筋、中枢神経系、及び唾液腺のグルコース代謝を解剖学的に位置確認するのに役立ち、嗅球から最も強い信号が出される。
このデータは、チャンバがマイクロMRI及びマイクロPETシステムに適合性があり、発泡体ベッドへの位置決めが再現可能であることを明らかにしている。
【実施例16】
【0123】
位置決めシステムとして用いられる発泡体成形ベッドを作る例示的なプロトコルを詳細に説明する。発泡体ベッドは、発泡ウレタン(フロリダ州ウエストパームビーチ所在の「U.S.Composites」)で成形され、これは、組み合わされると膨脹して硬質の独立気泡ポリウレタン発泡体になることになる2部構成の所定位置注入液体である。本明細書で用いる発泡体は、1.8〜8ポンド/立方フィートの密度であり、これは、空気と同様の密度である。
【0124】
発泡体の2つの部分は、最初に計量し、プラスチック容器に入れて互いに混合する。液体は、25秒間激しく混合し、次に、マウスの身体の型穴を有する特別なプラスチック鋳型に移す。小、中、及び大の大きさのマウスを収容するために3つの異なる大きさを有するいくつかのプラスチック鋳型を作る。更に、プラスチック鋳型は、発泡体が容易に外れるのを助け、プラスチック鋳型の損傷を避ける市販の離型ワックス(フロリダ州ウエストパームビーチ所在の「U.S.Composites」)でも覆う。45秒以内に発泡工程が始まり、発泡体は、5分以内に完全に発泡し、15分以内にほぼ完全に固まることになる。低密度であるが、この発泡体は、非常に硬質であり、動物を拘束し、走査の時系列にわたって動物を再現可能に位置決めするための良好な「ポケット」として働く。
【実施例17】
【0125】
多重チャンバ胎芽ホルダを作るためのプロトコル
この実施形態では、胎芽ホルダは、発泡ウレタン(フロリダ州ウエストパームビーチ所在の「U.S.Composites」)で作られ、これは、組み合わされると膨脹して硬質の独立気泡ポリウレタン発泡体になることになる2部構成の「所定位置注入」液体である。この実施形態に用いられる発泡体の密度は、硬化すると2ポンド/立方フィートであり、これは、この種では最も軽い。発泡体の密度とは、硬化時の発泡体の重量/立方フィートを意味する。密度が高ければ重くて高強度の発泡体になるが、本発明の用途では、硬化時に密度が2ポンド/立方フィートの発泡体が適切である。
【0126】
発泡体の2つの部分は、最初に計量し、プラスチック容器に入れて互いに混合する。液体は、25秒間激しく混合し、次に、特別なプラスチック鋳型に移す。更に、プラスチック鋳型は、発泡体が容易に外れるのを助け、プラスチック鋳型の損傷を避ける市販の離型ワックス(フロリダ州ウエストパームビーチ所在の「U.S.Composites」)でも覆う。45秒以内に発泡工程が始まり、発泡体は、5分以内に完全に発泡し、15分以内にかなり固くなることになる。
【0127】
例示的な胎芽ホルダは、直径40mm、長さ40mmのシリンダに含まれることになる4つの層を含み、一度に90までの胎芽を保持することができる。例えば、上部及び底部層は、各々15のチャンバを含むことができ、中間層は、各々寸法が5x6x8mmの30のチャンバを含み、総計で90チャンバを含むことができる。他の構成では、同じか又は異なる寸法のこれよりも多いか又は少ないチャンバ及び/又は層を用いることができる。
【0128】
本明細書で言及したあらゆる特許又は文献は、各個々の文献が、引用により組み込まれることが具体的かつ個々に示される場合と同じ程度まで引用により本明細書に組み込まれている。
本明細書に説明した方法、装置、システム、及び組成物は、現在の代表的な好ましい実施形態であり、例示的なものであり、かつ本発明の範囲を制限することを意図しない。当業者は、本発明の変更及び他の使用を想起するであろう。このような変更及び他の使用は、特許請求の範囲で示した本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】マイクロCT画像を収集、記憶、かつ検索するための革新的なコンピュータに基づく方法を示す図である。
【図2】多重チャンバ試料ホルダの革新的なアセンブリを示す図である。
【図3】革新的な動物ホルダを示す上面図である。
【図4】図3の革新的な動物ホルダを示す切取内部図である。
【図5】図3の革新的な動物ホルダを示す第1の端面図である。
【図6】図3の革新的な動物ホルダを示す第2の端面図である。
【図7】撮像に最適な特徴を有するベッドと、動物モニタリング計器のためのポートとを含む革新的なホルダを示す図である。
【図8A】本発明により新しく安楽死させた直後の胎仔の形態学的変化を示す図である。
【図8B】本発明により新しく安楽死させ、次に脱色した後の胎仔の形態学的変化を示す図である。
【図8C】本発明により新しく安楽死させ、次に脱色し、次に皮膚を剥いた後の胎仔の形態学的変化を示す図である。
【図9A】染色の透過を改善するために切開が行われる胎仔の身体の部位を示す、胸郭肋膜が交互に切開される図の一方である。
【図9B】染色の透過を改善するために切開が行われる胎仔の身体の部位を示す、胸郭肋膜が交互に切開される図の一方である。
【図9C】染色の透過を改善するために切開が行われる胎仔の身体の部位を示す、腹膜が切開された図である。
【図9D】染色の透過を改善するために切開が行われる胎仔の身体の部位を示す、硬膜が切開された図である。
【図10A】マイクロCT及び発光光学撮像データセットという2つのデータセットの例示的な良好な相互レジストレーションを示す図である。
【図10B】マイクロCT及び近赤外線蛍光光学撮像データセットという2つのデータセットの例示的な良好な相互レジストレーションを示す図である。
【図10C】MRI及びPETシステムという2つのデータセットの例示的な良好な相互レジストレーションを示す図である。
【図11A】3つのホースバーブ(1/4”〜5/16”)を備える革新的な動物ホルダを示す正投影図の上面図である。
【図11B】3つのホースバーブ(1/4”〜5/16”)を備える革新的な動物ホルダを示す正投影図の側面図である。
【図11C】3つのホースバーブ(1/4”〜5/16”)を備える革新的な動物ホルダを示す正投影図の正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染色された試料のマイクロCT画像を生成する方法であって、
(a)第1の染色剤を含む第1の染色組成物中で試料を培養し、染色された試料を生成する段階、
(b)前記染色された試料を該染色された試料よりも電子密度が低い液体に懸濁する段階、及び
(c)前記染色された試料をX線コンピュータ断層撮影スキャナで走査し、該染色された試料のマイクロCT画像を生成する段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記試料は、エキソビボ胎芽、エキソビボ胎仔、及び組織切片から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料を第2の染色剤に露出して二重染色試料を生成する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の染色剤は、前記第1の染色組成物中に存在することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の染色剤は、第2の染色組成物中に存在することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の染色剤は、0.1から1.84重量パーセントの四酸化オスミウム、又は4.5から5.5重量パーセントのリンタングステン酸を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1又は第2の染色組成物は、カコジラート緩衝液を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の染色組成物又は第2の染色組成物は、有機固定剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記有機固定剤は、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、及びその組合せから成る群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の染色剤は、エチジウムブロマイド、シスプラチン、及びその組合せから成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の染色剤は、細胞又は細胞小器官膜マーカであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の染色剤は、核マーカであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記試料は、レポーター遺伝子産物を含み、前記第1の染色組成物中で試料を培養する段階は、該レポーター遺伝子産物の存在を示す染色を生成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記レポーター遺伝子産物は、ベータ−ガラクトシダーゼであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記試料は、個々の動物から1回目に得られる試料であり、
前記個々の動物から2回目に第2の試料を得る段階と、
前記第2の試料を染色組成物中で培養し、染色した第2の試料を生成する段階と、
前記染色した第2の試料をX線コンピュータ断層撮影スキャナで走査し、マイクロCT画像を生成する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
治療的又は調査的手順が、前記1回目の後でかつ前記2回目の前に実行されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
表現型に関してエキソビボ胎芽を選別する方法であって、
エキソビボ胎芽を第1の染色組成物中で培養し、染色エキソビボ胎芽を生成する段階と、
前記染色エキソビボ胎芽をX線コンピュータ断層撮影スキャナで走査し、該染色エキソビボ胎芽のマイクロCT画像を生成する段階と、
前記染色エキソビボ胎芽の前記画像を対照エキソビボ胎芽の統計的平均かつ年齢適合アトラスと比較して該画像間の差を判断し、それによって表現型に関して前記エキソビボ胎芽を選別する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記エキソビボ胎芽の前記コンピュータ断層撮影画像は、該エキソビボ胎芽の等値面又は半透明レンダリングを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記エキソビボ胎芽の前記コンピュータ断層撮影画像は、該エキソビボ胎芽の仮想切片を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
複数の試料のマイクロCT画像を生成する方法に用いるための市販パッケージであって、
各チャンバが壁を有する多重チャンバ試料ホルダと、
前記試料ホルダのチャンバに置かれた試料に接触し、チャンバの前記壁に接触しないように該試料を分離し、かつマイクロCT画像を生成するのに用いられる電磁放射線に対して該試料に接触する少なくとも一部分が高度に透過性であるライナと、
を含むことを特徴とするパッケージ。
【請求項21】
コンピュータ断層撮影法に用いるための多重チャンバ試料ホルダであって、
各チャンバが該チャンバに置かれた試料の支持のための支持部分を有する壁を有する多重チャンバ試料ホルダと、
前記試料と接触して該試料が前記壁に接触することを防ぎ、かつマイクロCT画像を生成するのに用いられる電磁放射線に対して該試料に接触する少なくとも一部分が高度に透過性であるライナと、
を含むことを特徴とするホルダ。
【請求項22】
前記壁の少なくとも一部分は、マイクロCT画像を生成するのに用いられる電磁放射線に対して実質的に透過性であることを特徴とする請求項20に記載の多重チャンバ試料ホルダ。
【請求項23】
マイクロコンピュータ断層撮影画像を収集し、記憶し、かつ検索するためのコンピュータベースの方法であって、
デジタルコンピュータ断層撮影画像を生成する段階と、
コンピュータに付随する集中型データ記憶場所に前記画像を電子的に送信する段階と、
要求に応答して前記画像を前記記憶場所から検索する段階と、
前記要求に応答して前記画像を電子的に表示するか又は第2の場所に電子的に送信する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
撮像処理に用いるための動物ホルダであって、
支持部分を有する壁と、
前記壁の前記支持部分上に配置され、動物接触部分を有する上部側と、底部側と、該上部側と該底部側の間に延びる厚みとを有し、かつ該上部側の該動物接触部分及び該上部側に隣接する該厚みの部分が、撮像処理に用いる電磁放射線に対して高度に透過性である、撮像される動物のためのベッドと、
を含むことを特徴とするホルダ。
【請求項25】
前記壁は、内部容積及び外部を形成し、かつ動物を該外部から該内部容積に入れるための通路を有することを特徴とする請求項24に記載の動物ホルダ。
【請求項26】
前記通路を閉鎖するために前記壁に接触する蓋を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の動物ホルダ。
【請求項27】
ガス制御システムを更に含むことを特徴とする請求項24に記載の動物ホルダ。
【請求項28】
前記壁の少なくとも一部分は、前記撮像処理に用いる電磁放射線に対して実質的に透過性であることを特徴とする請求項24に記載の動物ホルダ。
【請求項29】
前記ガス制御システムは、ガスのための通路を形成する前記壁内の閉鎖可能ポート、ガスケット、フィルタ、ガスポンプ、麻酔送出装置、及びその組合せから成る群から選択された構成要素を含むことを特徴とする請求項28に記載の動物ホルダ。
【請求項30】
撮像装置内の所定位置に置かれた時に撮像視野に存在する動物ホルダの構成要素と接触する基準又は相互レジストレーションマーカを更に含むことを特徴とする請求項24に記載の動物ホルダ。
【請求項31】
前記ベッドの密度は、立方フィートあたり1.8から8ポンドの範囲内であることを特徴とする請求項24に記載の動物ホルダ。
【請求項32】
動物を支持し、かつ撮像手順の間に該動物を望ましい位置に維持するための動物ホルダであって、
支持部分を有する壁と、
前記壁の前記支持部分上に配置され、かつ前記動物の少なくとも一部に適合するようになったベッドと、
を含むことを特徴とするホルダ。
【請求項33】
試料からの複数の撮像データセットを組み合わせる方法であって、
ある一定の位置に固定された試料から撮像データセット1を生成する段階と、
前記位置に再現可能に固定された前記試料から前記撮像データセット1と異なる撮像データセット2を生成する段階と、
前記撮像データセット1及び前記撮像データセット2の相互レジストレーションを行う段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
前記撮像データセット1又は前記撮像データセット2は、マイクロMRI、マイクロCT、マイクロPET、マイクロSPECT、発光光学撮像、及び蛍光光学撮像から成る群から生成されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の方法によって取得可能なマイクロCT走査。
【請求項36】
活性原料として請求項1に記載の染剤を、マイクロCT撮像のための試料染剤としてそれを使用するための指示書と共に含むことを特徴とする市販パッケージ。
【請求項37】
動物を支持し、かつ撮像手順の間に該動物を望ましい位置に維持するための動物ホルダであって、
支持部分を有する壁と、
前記壁の前記支持部分上に配置され、かつ前記動物の少なくとも一部に適合するようになったベッドと、
を含むことを特徴とするホルダ。
【請求項38】
実質的に実施例のいずれかにおいて本明細書に説明するような請求項1に記載の方法。
【請求項39】
実質的に添付図面を参照して本明細書に説明し、及び/又は添付図面に例示するような請求項24に記載の動物ホルダ。

【図11A】3つのホースバーブ(1/4”〜5/16”)を備える革新的な動物ホルダを示す正投影図の後面図である。
【図12A】撮像手順の間に動物を再現可能に位置決めするのを助ける低密度であるが硬質の形態で作られた特注の使い捨てベッドを示す図である。
【図12B】異なるモダリティからのデータの相互レジストレーションのための基準点として用いられるマイクロPET/マイクロMRI/マイクロCT/光学モダリティで見える基準マーカの図である。
【図12C】本発明による革新的な動物ホルダと共に位置決めされた発泡体ベッドの図である。
【図12D】ベッド及びホルダを分離することができない従来の動物ホルダの図である。
【図12E】ベッド及びホルダを分離することができない従来のホルダに比べて、動物ベッドがホルダから取外し可能であり、これがベッド及びホルダの分離を可能にする革新的なホルダの図である。
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8(A−C)】
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【図9(A−B)】
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【図9(C−D)】
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【図10(A−E)】
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【図11(A−D)】
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【図12(A−E)】
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【公表番号】特表2009−524826(P2009−524826A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552464(P2008−552464)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/002264
【国際公開番号】WO2007/089641
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(508227042)ザ ユニヴァーシティー オブ テキサス (1)
【Fターム(参考)】