説明

撮像装置、顕微鏡システム、及びホワイトバランス調整方法

【課題】オートホワイトバランス調整の精度を向上させる。
【解決手段】領域分割部21は、撮像部1による撮像画像を複数の小領域に分割する。標準偏差算出部22及び平均値算出部23は、それぞれ、当該小領域の各々に含まれる画素についての、色成分毎の画素の画像信号の標準偏差及び平均値を小領域毎に算出する。平坦領域抽出部24は、当該画像信号の大きさと当該画像信号に対し重畳される撮像素子11が発生させるノイズの量との対応関係を示すノイズモデルに基づき、当該平均値に対する当該標準偏差が、当該ノイズモデルにおいて当該平均値を当該画像信号の大きさとみたときのノイズ量を基準として所定の範囲内である小領域を、平坦領域として抽出する。WB調整部5は、WBゲイン算出部25による当該平坦領域のホワイトバランスゲインの算出結果に基づき、撮像部1による撮像画像のホワイトバランスを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術に関し、特に、撮像した画像の画質を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在広く普及しているデジタルカメラやデジタルビデオカメラにおいては、撮影したカラー画像の色信号が一定の割合となるように調整するホワイトバランス調整機能を備えている。また、その多くは、使用者が高画質な画像を簡単に撮像できるように、このホワイトバランス調整をカメラ自らが行うオートホワイトバランス機能を備えているものが多い。
【0003】
オートホワイトバランスは、被写体の色信号を色毎に積算して各色の相関を求め、光源等の変化に対して各色成分が同一レベルとなるように各色成分のバランスを補正するものである。しかしながら、被写体の無彩色領域以外の色信号を積算した場合や、積算した色信号に白飛びなどのノイズが混ざっている場合には、ホワイトバランスの調整を適切に行うことができなくなる。そこで、被写体の無彩色領域以外の色信号を選択する技術や、ノイズの影響を抑制する技術が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、映像信号における輝度信号の高周波成分量を検出し、この高周波成分量が所定の閾値以下であるときの輝度信号に対応した色信号を用いて、ホワイトバランス調整を行う技術が開示されている。
【0005】
また、例えば特許文献2には、輝度値の大きさが所定範囲内である画素の数が所定範囲内に入るように輝度値の下限値を調整することで、ノイズを含む画素を含まない無彩色の画像信号が選択されるようにして、ホワイトバランス調整を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−75919号公報
【特許文献2】特開2001−313952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術は、撮像画像における高周波成分を多く含む領域は被写体部分であり、他の部分は無彩色領域であってそれは背景部分であるとの推定を根拠として、高周波成分量に基づいた無彩色領域の抽出を行うものである。しかし、実際には、撮像画像中で高周波成分が多くは含まれていない部分であるのに被写体部分である場合がある。このような場合には、ホワイトバランスの調整を適切に行うことはできない。
【0008】
また、特許文献2の技術では、例えば顕微鏡による標本の観察像の画像では、輝度値の許容範囲及び画素数の許容範囲の設定によっては、標本における厚みの薄い部分までも無彩色領域として抽出してしまう場合がある。このような場合には、ホワイトバランスの調整を適切に行うことはできない。
【0009】
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、オートホワイトバランス調整の精度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様のひとつである撮像装置は、被写体を撮像する撮像素子を備えており、複数の色成分の画像信号により色彩が画素毎に表現されている該被写体の撮像画像を生成する撮像手段と、該撮像画像を複数の小領域に分割する領域分割手段と、該撮像画像における該複数の小領域の各々に含まれる画素についての、色成分毎の画素の画像信号の標準偏差を該小領域毎に算出する標準偏差算出手段と、該撮像画像における該複数の小領域の各々に含まれる画素についての、色成分毎の画素の画像信号の平均値を該小領域毎に算出する平均値算出手段と、予め記憶部に記憶されており、該画像信号の大きさと該画像信号に対し重畳される該撮像素子が発生させるノイズの量との対応関係を示すノイズモデルに基づき、該撮像画像における該複数の小領域のうち、該平均値に対する該標準偏差が、該ノイズモデルにおいて該平均値を該画像信号の大きさとみたときのノイズ量を基準として所定の範囲内である小領域を、平坦領域として抽出する平坦領域抽出手段と、該撮像画像における該平坦領域のホワイトバランスゲインを算出するホワイトバランスゲイン算出手段と、該ホワイトバランスゲイン算出手段が算出した該平坦領域のホワイトバランスゲインに基づき、該撮像手段により生成される撮像画像のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段と、を有することを特徴とするものであり、この特徴によって前述した課題を解決する。
【0011】
なお、上述した撮像装置において、該ノイズモデルにより示されている該画像信号の大きさと該ノイズの量との対応関係は、無彩色領域のみの一様な画像の一部の範囲若しくは全範囲に含まれる色成分毎の画素の画像信号についての平均値と標準偏差との対応関係であるように構成することができる。
【0012】
また、前述した撮像装置において、平坦領域抽出手段が平坦領域として抽出した各小領域のうち、色成分毎の画像信号の平均値の全てが最大値となる小領域、若しくは、当該平均値が、当該色成分毎の平均値の最大値を基準にして設定した閾値以上である小領域を、ホワイトバランスゲイン算出最適領域として抽出するホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出手段を更に有し、該ホワイトバランスゲイン算出手段は、該撮像画像における該ホワイトバランスゲイン算出最適領域のホワイトバランスゲインを算出し、該ホワイトバランス調整手段は、該ホワイトバランスゲイン算出手段が算出した該ホワイトバランスゲイン算出最適領域のホワイトバランスゲインに基づき、該撮像手段により生成される撮像画像のホワイトバランスを調整する、ように構成することもできる。
【0013】
また、前述した撮像装置において、該平坦領域抽出手段が該平坦領域である小領域の抽出を行えたか否かを判定する平坦領域抽出判定手段と、該平坦領域である小領域の抽出を該平坦領域抽出手段が行えなかったと該平坦領域抽出判定手段が判定したときに、該平坦領域抽出手段による該平坦領域である小領域の再抽出を、該撮像手段が生成する該被写体についての別の撮像画像に対して行わせる平坦領域再抽出手段と、を更に有するように構成することもできる。
【0014】
なお、このとき、該平坦領域再抽出手段が該平坦領域抽出手段に行わせた該平坦領域である小領域の再抽出の回数が所定回数以上になったか否かを判定する平坦領域再抽出回数判定手段と、該平坦領域である小領域の再抽出の回数が所定回数以上になったと該平坦領域再抽出回数判定手段が判定したときに、オートホワイトバランス失敗の警告を出力する警告手段と、を更に有するように構成することもできる。
【0015】
また、前述した撮像装置において、該ホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出手段が該ホワイトバランスゲイン算出最適領域である小領域の抽出を行えたか否かを判定するホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出判定手段と、該ホワイトバランスゲイン算出最適領域である小領域の抽出を該ホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出手段が行えなかったと該ホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出判定手段が判定したときに、該ホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出手段による該ホワイトバランスゲイン算出最適領域である小領域の再抽出を、該撮像手段が生成する該被写体についての別の撮像画像に対して行わせるホワイトバランスゲイン算出最適領域再抽出手段と、を更に有するように構成することもできる。
【0016】
なお、このとき、該ホワイトバランスゲイン算出最適領域再抽出手段が該ホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出手段に行わせた該ホワイトバランスゲイン算出最適領域である小領域の再抽出の回数が所定回数以上になったか否かを判定するホワイトバランスゲイン算出最適領域再抽出回数判定手段と、該ホワイトバランスゲイン算出最適領域である小領域の再抽出の回数が所定回数以上になったと該ホワイトバランスゲイン算出最適領域再抽出回数判定手段が判定したときに、オートホワイトバランス失敗を表す警告を出力する警告手段と、を更に有するように構成することもできる。
【0017】
また、前述した撮像装置において、該領域分割手段が該撮像画像を該複数の小領域に分割するときの該小領域の大きさの指示を入力として取得する入力取得手段を更に有し、該領域分割手段は、該入力取得手段が取得した指示に係る小領域の大きさで、該撮像画像を分割する、ように構成することもできる。
【0018】
また、前述した撮像装置において、該撮像画像上に、該標準偏差及び該平均値を算出する対象とする小領域を得る範囲を選択する領域選択手段を更に有し、該領域分割手段は、該撮像画像のうち該領域選択手段により選択された範囲を、複数の小領域に分割する、ように構成することもできる。
【0019】
また、前述した撮像装置において、該撮像手段は、顕微鏡により得られた観察標本の顕微鏡画像を該撮像素子で撮像して、該観察標本の撮像画像を生成し、該観察標本の顕微鏡画像を撮像するときの該顕微鏡の観察条件の情報を取得する観察条件取得手段を更に有し、該観察条件の情報には、該顕微鏡の観察倍率の情報が含まれており、該領域分割手段は、観察条件取得手段が取得した観察条件に含まれている該観察倍率の情報に応じて変更した小領域の大きさで、該撮像画像を分割する、ように構成することもできる。
【0020】
また、本発明の別の態様のひとつである顕微鏡システムは、観察標本の顕微鏡画像を得る顕微鏡と、該顕微鏡により得られる該顕微鏡画像を撮像する撮像素子を備えており、複数の色成分の画像信号により色彩が画素毎に表現されている該観察標本の撮像画像を生成する撮像手段と、該撮像画像を複数の小領域に分割する領域分割手段と、該撮像画像における該複数の小領域の各々に含まれる画素についての、色成分毎の画素の画像信号の標準偏差を該小領域毎に算出する標準偏差算出手段と、該撮像画像における該複数の小領域の各々に含まれる画素についての、色成分毎の画素の画像信号の平均値を該小領域毎に算出する平均値算出手段と、予め記憶部に記憶されており、該画像信号の大きさと該画像信号に対し重畳される該撮像素子が発生させるノイズの量との対応関係を示すノイズモデルに基づき、該撮像画像における該複数の小領域のうち、該平均値に対する該標準偏差が、該ノイズモデルにおいて該平均値を該画像信号の大きさとみたときのノイズ量を基準として所定の範囲内である小領域を、平坦領域として抽出する平坦領域抽出手段と、該撮像画像における該平坦領域のホワイトバランスゲインを算出するホワイトバランスゲイン算出手段と、該ホワイトバランスゲイン算出手段が算出した該平坦領域のホワイトバランスゲインに基づき、該撮像手段により生成される撮像画像のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段と、該観察標本の顕微鏡画像を撮像するときの該顕微鏡の観察条件の情報を取得する観察条件取得手段と、を有し、該観察条件の情報には、該顕微鏡の観察倍率の情報が含まれており、該領域分割手段は、観察条件取得手段が取得した観察条件に含まれている該観察倍率の情報に応じて変更した小領域の大きさで、該撮像画像を分割する、ことを特徴とするものであり、この特徴によって前述した課題を解決する。
【0021】
また、本発明の更なる別の態様のひとつであるホワイトバランス調整方法は、被写体を撮像する撮像素子を備えており、複数の色成分の画像信号により色彩が画素毎に表現されている該被写体の撮像画像を生成する撮像手段を有する撮像装置により得られる該撮像画像のホワイトバランスを調整する方法であって、該撮像画像を複数の小領域に分割し、該撮像画像における該複数の小領域の各々に含まれる画素についての、色成分毎の画素の画像信号の標準偏差を該小領域毎に算出し、該撮像画像における該複数の小領域の各々に含まれる画素についての、色成分毎の画素の画像信号の平均値を該小領域毎に算出し、予め記憶部に記憶されており、該画像信号の大きさと該画像信号に対し重畳される該撮像素子が発生させるノイズの量との対応関係を示すノイズモデルに基づき、該撮像画像における該複数の小領域のうち、該平均値に対する該標準偏差が、該ノイズモデルにおいて該平均値を該画像信号の大きさとみたときのノイズ量を基準として所定の範囲内である小領域を、平坦領域として抽出し、該撮像画像における該平坦領域のホワイトバランスゲインを算出し、該平坦領域のホワイトバランスゲインの算出結果に基づき、該撮像手段により生成される撮像画像のホワイトバランスを調整する、ことを特徴とするものであり、この特徴によって前述した課題を解決する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、以上のようにすることにより、高い精度でのオートホワイトバランス調整を可能にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る撮像装置の構成図である。
【図2】ノイズモデルの例を示すグラフである。
【図3】撮像画像の例を示す図である。
【図4】図3の撮像画像を小領域に分割した様子の第一の例を表した図である。
【図5】WBゲイン算出領域の抽出例を示す図である。
【図6】本発明の第一の実施形態に係るオートバランス処理の処理内容を表したフローチャートである。
【図7】本発明の第二の実施形態に係る撮像装置の構成図である。
【図8】WBゲイン算出最適領域の抽出例を示す図である。
【図9】各小領域のR色の画像信号平均値を表したグラフの例である。
【図10】各小領域のG色の画像信号平均値を表したグラフの例である。
【図11】各小領域のB色の画像信号平均値を表したグラフの例である。
【図12】本発明の第二の実施形態に係るオートバランス処理の処理内容を表したフローチャートである。
【図13】本発明の第三及び第四の実施形態に係る撮像装置の構成図である。
【図14】本発明の第三の実施形態に係るオートバランス処理の処理内容を表したフローチャートである。
【図15】本発明の第四の実施形態に係るオートバランス処理の処理内容を表したフローチャートである。
【図16】図3の撮像画像を小領域に分割した様子の第二の例を表した図である。
【図17】図3の撮像画像から標準偏差及び平均値の算出対象範囲が選択された様子を示す図である。
【図18】高倍率の対物レンズを用いた撮像画像の例を示す図である。
【図19】本発明の第五の実施形態に係る撮像装置を含む顕微鏡システムの構成図である。
【図20】本発明の第五の実施形態に係るオートバランス処理の処理内容を表したフローチャートである。
【図21】図18の撮像画像を小領域に分割した様子を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
[第一の実施形態]
【0026】
図1は本実施形態に係る撮像装置の構成図である。この撮像装置は、撮像部1、制御部2、ホワイトバランス調整部(以降、「WB調整部」と記す)5、画像処理部6、操作部7、及び表示部8を備えている。ここで、撮像部1、制御部2、WB調整部5、及び画像処理部6はいずれもデータバス9に接続されており、各種のデータを制御部2の管理の下で相互に授受することができる。
【0027】
撮像部1は、撮像素子11、撮像素子駆動部12、前置処理部13、増幅部14、及びA/D変換部15を備えている。
【0028】
撮像素子11は、例えばCCD(電荷結合素子:Charge Coupled Device)であり、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の光の三原色の各色の輝度を検出する画素がベイヤ配列(Bayer array)を成しており、各画素単位の受光量に応じた信号を出力する。撮像素子11は、撮像素子駆動部12からの駆動信号に基づいた露出時間で駆動され、その出力信号は前置処理部13に入力される。
【0029】
前置処理部13は、撮像素子駆動部12から与えられる制御パルスに従い、撮像素子11からの出力信号を、撮像画像を構成する各画素の画像信号として増幅部14へ出力する。
【0030】
増幅部14は、前置処理部13から出力される画像信号を、制御部2によって設定される利得で増幅する。
【0031】
A/D変換部15は、増幅部14で増幅された、アナログ信号である画像信号を、撮像素子駆動部12からのクロック信号に従ってアナログ−デジタル変換して、撮像画像を表現しているデジタルデータを出力する。A/D変換部15から出力される、デジタルデータである撮像画像は、WB調整部5に入力されると共にデータバス9を介して制御部2にも入力される。制御部2内では、この撮像画像はメモリ3に記憶される。
【0032】
撮像部1は、以上のように構成されており、被写体を撮像して、複数の色成分の画像信号により色彩が画素毎に表現されている当該被写体の撮像画像を生成する。
【0033】
なお、撮像部1は、画像の撮像を所定の時間間隔で順次行って撮像画像を順次出力する。従って、メモリ3における撮像画像の記憶は順次更新される。
【0034】
制御部2はメモリ3及びCPU4を備えている。
【0035】
メモリ3は、各種のデータを記憶しておく記憶部である。メモリ3は、例えば、撮像部1から出力される撮像画像や、領域分割部21により設定される小領域の大きさに関する情報を記憶しておく。メモリ3は、更に、ホワイトバランスゲイン(以降、「WBゲイン」と記す)を算出する対象の領域の抽出に用いるノイズモデルや、WBゲイン算出部25において算出されWB調整部5に設定されるWBゲインなども記憶しておく。
【0036】
CPU4は、撮像素子駆動部12、増幅部14、WB調整部5、及び画像処理部6とはデータバス9を介して接続されており、また、操作部7とも接続されている。CPU4は、これらの各部の動作の制御を行う中央演算装置である。CPU4は、例えば、不図示の読み出し専用メモリに予め格納させておいた所定の制御プログラムを読み出して実行することにより、これらの各部の動作の制御を行う。
【0037】
なお、制御部2は、この他にも、領域分割部21、標準偏差算出部22、平均値算出部23、平坦領域抽出部24、及びホワイトバランスゲイン算出部(以降、「WBゲイン算出部」と記す)25を備えている。次に、これらの各部の動作について説明する。
【0038】
図1の撮像装置では、撮像画像を小領域に分割し、分割した小領域毎且つ色成分毎の各画素の画像信号の標準偏差を算出し、WBゲインの算出を行う撮像画像上の領域を、算出された標準偏差とノイズモデルとの比較結果に基づいて抽出する。
【0039】
まず、上述した抽出に用いるノイズモデルについて説明する。
【0040】
ノイズモデルの一例を図2に示す。図2に例示するように、このノイズモデルは、画像信号の大きさと画像信号に重畳されるノイズの量との対応関係を示す複数の座標点データで構成されているものである。これはすなわち、撮像素子11の露光量と画像信号上に重畳されると予想されるノイズとの関係を定量化したものである。
【0041】
画像信号に重畳されるノイズとは、撮像素子11の特性により発生する、各画素の画像信号のばらつきである。このノイズを定量的に表したノイズ量は、各画素の画像信号の標準偏差を算出することで求めることができる。なお、撮像素子11の特性により発生するノイズには、光ショットノイズ、暗電流によるノイズ、読み出しノイズがあるが、入射光量が多い場合は、このうちの光ショットノイズが支配的である。従って、この場合のノイズ量は、撮像素子11への入射光量に依存する。
【0042】
このノイズモデルで表される、画像信号の大きさに応じて発生するノイズの量は、実測により、若しくは光ショットノイズの算出式を用いることにより、求めることができる。
【0043】
実測によるノイズ量の算出では、無彩色領域のみの一様な画像の一部の範囲若しくは全範囲を指定し、指定した範囲に含まれるR、G、Bそれぞれの画素について実測された画像信号の標準偏差を算出し、この算出結果をノイズ量とする。
【0044】
例えば、指定した範囲のR、G、B各々の画素数をNr 、Ng 、Nb とし、R、G、B各々の画素の画像信号の大きさをXri、Xgi、Xbiとし、指定した範囲に含まれるR、G、B各々の画素の画像信号の大きさの平均値をXrAve、XgAve、XbAveとする。このとき、R、G、B各色成分の画像信号の大きさに対するノイズ量σr、σg、σbは、それぞれ下記の[数1]式の計算を行うことにより算出される。
【0045】
【数1】

【0046】
つまり、[数1]式で表されるノイズモデルにより示される画像信号の大きさとノイズの量との対応関係は、無彩色領域のみの一様な画像の一部の範囲若しくは全範囲に含まれる色成分毎の画素の画像信号についての平均値と標準偏差との対応関係である。
【0047】
一方、画像信号の大きさに応じて発生するノイズの量を、光ショットノイズの算出式を用いて求める場合には、以下のようにする。
【0048】
撮像素子11の受光面への入射光量をPとし、撮像素子11の量子効率をQとする。このとき、光ショットノイズの量σSは、下記の[数2]式の計算を行うことにより算出される。
【0049】
【数2】

【0050】
R、G、Bの各色成分について、上記の[数2]式により光ショットノイズを求める。
【0051】
輝度が異なる無彩色領域のみの複数画像について、上記の[数1]式若しくは[数2]式によりノイズ量を求め、画像信号の大きさとノイズ量との関係をグラフ化する。こうすることで、ノイズモデルが得られる。このノイズモデルに相当するデータテーブルを、メモリ3に予め記憶させておく。
【0052】
なお、ノイズモデルは、図2に例示するように、ISO(国際標準化機構)で策定されたISO感度毎に用意しておくようにする。そして、小領域毎の標準偏差と比較するノイズモデルとしては、図1の撮像装置に画像の撮像時に設定していたISO感度のものを使用する。なお、ISO感度とは、撮像部1に入射する光に対する感度を表す数値であり、制御部2は、設定されたISO感度に対応する利得を、増幅部14に設定する。
【0053】
次に、このノイズモデルと比較される、分割した小領域毎且つ色成分毎の標準偏差の算出について説明する。
【0054】
例えば、画像を分割した小領域内のR、G、B各々の画素数をNR 、NG 、NB とし、R、G、B各々の画素の画像信号をXRi、XGi、XBiとし、当該小領域内のR、G、B各々の画素の画像信号の大きさの平均値をXRAve、XGAve、XBAveとする。このとき、当該小領域内のR、G、B各々の画素についての画像信号の標準偏差σR 、σG 、σB は、それぞれ下記の[数3]式の計算を行うことにより算出される。
【0055】
【数3】

【0056】
図1の説明に戻る。領域分割部21は、操作部7に対する操作によって指定されてメモリ3に記憶された画像サイズの情報と、メモリ3に予め記憶されている小領域の大きさとに基づいて、撮像画像を複数の小領域に分割し、当該分割後の各小領域を特定する座標データを算出する。領域分割部21からは、各小領域についての、座標データと水平方向及び垂直方向の大きさとが出力されて、標準偏差算出部22及び平均値算出部23に入力される。
【0057】
領域分割部21により行われる小領域の座標データの算出を、図3及び図4を用いて説明する。
【0058】
図3は、撮像部1で撮像されてメモリ3に記憶された撮像画像の一例であり、図4は、図3の撮像画像が小領域に分割された様子を表している。
【0059】
領域分割部21は、まず、操作部7に対する操作によって指定された図3の撮像画像の画像サイズと、予め記憶されている小領域の大きさとをメモリ3から読み出す。そして、読み出した値に基づき、この撮像画像を図4に示すように小領域に分割したときの各小領域の座標データを算出する。
【0060】
なお、画像サイズは、撮像画像の水平方向及び垂直方向の画素数を表したものであり、図4に示されているW(水平方向の画素数)及びH(垂直方向の画素数)である。
【0061】
また、小領域の座標データとは、矩形である当該小領域の左上の頂点の水平方向と垂直方向の座標とし、この座標で当該小領域を特定するものとする。この座標データを、(水平方向の座標,垂直方向の座標)形式で表記するものとすると、例えば、図4において、小領域501の座標データは(X0,Y0)で表され、小領域502の座標データは(X1,Y1)で表される。
【0062】
また、領域分割部21がメモリ3から読み出して出力する小領域の水平方向及び垂直方向の大きさは、例えば図4においては、それぞれw0及びh0である。従って、図4において、矩形である撮像画像の左上の頂点が(0,0)であるとすると、小領域501の座標データは(0,0)となり、小領域502の座標データは(w0,h0)となる。
【0063】
標準偏差算出部22は、まず、領域分割部21から出力された座標データに基づき、撮像画像から各小領域に含まれる画素の画像信号を抽出する。そして、その色成分毎の画素信号の標準偏差を小領域毎に算出し、その算出結果を、小領域を特定する座標データに対応付けて出力する。
【0064】
平均値算出部23は、領域分割部21から出力された座標データに基づき、撮像画像から各小領域に含まれる画素の画像信号を抽出し、その色成分毎の画素信号の平均値を小領域毎に算出し、その算出結果を、小領域を特定する座標データに対応付けて出力する。
【0065】
平坦領域抽出部24は、まず、メモリ3に予め記憶させておいたノイズモデルと、標準偏差算出部22により算出された標準偏差とを小領域毎に比較する。そして、平均値算出部23により算出された各小領域の色成分毎の画像信号の平均値に対し、当該標準偏差が、ノイズモデルを基準とした所望の範囲内にある小領域を抽出し、抽出された小領域を特定する座標データを、平坦領域として出力する。なお、本実施形態では、この平坦領域をWBゲイン算出領域とする。
【0066】
平坦領域抽出部24による平坦領域(本実施形態においてはWBゲイン算出領域)の抽出について、更に説明する。
【0067】
例えば、図2において、撮像装置に画像の撮像時に設定していたISO感度が「ISO(1)」であった場合を考える。このときに、図2の「ISO(1)」のノイズモデルにおいての各小領域の色成分毎の平均値Lに対する標準偏差σを基準とし、このσに対し上下a%(1±a/100)の範囲内の標準偏差を持つ小領域を抽出する。この抽出結果に係る小領域が、各小領域の色成分毎の画像信号の平均値に対し、標準偏差が、ノイズモデルを基準とした所望の範囲内にある小領域、すなわち平坦領域である。
【0068】
平坦領域抽出部24による平坦領域の抽出例を図5に示す。
【0069】
図5において、小領域101〜103は無彩色領域である背景部分である。この小領域101〜103は、各々の色成分毎の画像信号の平均値に対し、その標準偏差が、ノイズモデルを基準とした所望の範囲内にある平坦領域である。従って、本実施形態では、この平坦領域が、WBゲインの算出対象の領域として抽出される。
【0070】
一方、図5において、小領域104も背景部分ではあるが、領域内に異物が存在しているため、その画像信号は、構造部及び構造部上のノイズを含んでいる。このため、小領域104の画像信号の標準偏差は、各々の色成分毎の画像信号の平均値に対し、ノイズモデルを基準とした所望の範囲内にはない。従って、平坦領域ではないこの小領域104は、WBゲイン算出領域として平坦領域抽出部24が抽出することはない。
【0071】
図1の説明に戻る。WBゲイン算出部25は、メモリ3より撮像画像を読み出し、平坦領域抽出部24により出力された座標データに基づき、WBゲインを算出する対象とする小領域を特定し、その特定した小領域の画素の画像信号を用いてWBゲインを算出する。
【0072】
なお、上述した領域分割部21、標準偏差算出部22、平均値算出部23、平坦領域抽出部24、及びWBゲイン算出部25の各部の機能をCPU4が提供するように構成することもできる。このためには、例えば、この各部の機能をCPU4に行わせるための制御プログラムを作成して不図示の読み出し専用メモリに格納しておき、CPU4が、この撮像装置の起動時にこの制御プログラムを読み出して実行するようにしておけばよい。
【0073】
操作部7は、制御部2と接続されており、所定の操作に対応付けられている、撮像部1による撮像の開始の指示の入力を取得する。取得した撮像開始指示は、CPU4により制御部2からデータバス9へと送出される。
【0074】
WB調整部5は、撮像部1より出力された画像信号に対し、制御部2により設定されたWBゲインを用いてホワイトバランスの調整(以降、「WB調整」と記す)を行う。
【0075】
画像処理部6には、WB調整部5と、データバス9を介して制御部2とが接続されている。画像処理部6は、WB調整部5によりWB調整された画像信号において、色配列における欠落した色画素を補う色補間処理や、輪郭補正処理、フォーマット変換等の各種の画像処理を行う。また、画像処理部6は、表示部8にて画像を表示することを可能にする画像信号を生成して表示部8へ出力する。
【0076】
表示部8は、この画像信号で表現されている画像の表示を行う。
【0077】
次に、図1の撮像装置で行われる制御処理について説明する。図6は、図1の制御部2により行われる、本実施形態に係るオートホワイトバランス処理の処理内容を表したフローチャートである。
【0078】
撮像装置のユーザが操作部7を操作して撮像開始の指示を入力すると、CPU4は、この入力された撮像開始の指示を操作部7から取得する。すると、CPU4は、この撮像開始の指示を、データバス9を介して撮像素子駆動部12に転送する処理を行う。撮像素子駆動部12は、この撮像開始指示を取得すると、撮像素子11を駆動して撮像を開始させる。すると、撮像された画像を表現しているデータ(撮像画像)が撮像部1より出力されて制御部2及びWB調整部5に入力される。制御部2では、CPU4が、入力された撮像画像をメモリ3に記憶させると共に、図6の制御処理を開始する。
【0079】
図6において、S1では領域分割処理が行われる。この処理は、領域分割部21を機能させて、画像サイズと小領域の大きさとをメモリ3から読み出させ、読み出した値に基づき、この撮像画像を小領域に分割したときの各小領域の座標データを算出する処理であり、図3及び図4を用いて既に説明した処理である。
【0080】
次に、S2において、標準偏差算出処理が行われる。この処理は、標準偏差算出部22を機能させて、領域分割部21から出力された座標データに基づき、撮像画像から各小領域の画素の画像信号を抽出し、その色成分毎の標準偏差を小領域毎に算出する処理である。この算出結果は、小領域を特定する座標データに対応付けられて標準偏差算出部22から出力される。
【0081】
次に、S3において、平均値算出処理が行われる。この処理は、平均値算出部23を機能させて、領域分割部21から出力された座標データに基づき、撮像画像から各小領域の画素の画像信号を抽出し、その色成分毎の平均値を小領域毎に算出する処理である。この算出結果は、小領域を特定する座標データに対応付けられて平均値算出部23から出力される。
【0082】
次に、S4において、WBゲイン算出領域抽出処理が行われる。この処理は、平坦領域抽出部24を機能させる処理である。前述したように、平坦領域抽出部24は、まず、メモリ3に予め記憶させておいたノイズモデルと、標準偏差算出部22により算出された標準偏差とを小領域毎に比較する。次に、平均値算出部23により算出された各小領域の色成分毎の画像信号の平均値に対し、当該標準偏差が、ノイズモデルを基準とした所望の範囲内にある小領域を抽出する。そして、この抽出された小領域を特定する座標データを、WBゲイン算出領域の抽出結果として出力する。
【0083】
次に、S5において、WBゲイン算出処理が行われる。この処理は、WBゲイン算出部25を機能させる処理である。前述したように、WBゲイン算出部25は、まず、メモリ3より撮像画像を読み出し、当該撮像画像に対し、平坦領域抽出部24より出力された座標データに基づいて、WBゲインを算出する対象とする小領域を特定する。そして、その特定した小領域内の画素の画像信号を用いてWBゲインを算出する。なお、WBゲインの算出は、抽出したWBゲイン算出領域の色成分毎に画像信号の平均値を求め、G色の平均値に対するR色の平均値の比とB色の平均値の比とを取ることで算出する。WBゲイン算出部25は、このようにして算出されたWBゲインを、メモリ3に一旦格納する。
【0084】
S6では、WB調整処理が行われる。この処理は、CPU4が、WBゲイン算出部25により格納されたWBゲインをメモリ3から読み出してWB調整部5に設定し、WB調整をWB調整部5に行わせる。WB調整部5は、WB調整を行ってWBゲイン算出領域におけるR、G、B各色の画像信号の平均値を一致させるようにする。このWB調整処理が完了するとオートホワイトバランス処理が終了する。
【0085】
以上までの処理が図6のオートホワイトバランス処理である。この処理を図1の制御部2に行わせることで、図1の撮像装置でのオートホワイトバランス機能の提供が可能になる。
【0086】
なお、本実施形態に係る撮像装置では、撮像素子11として、単板カラーのベイヤ型のものを用いたが、ベイヤ型以外の単板カラーの撮像素子を用いてもよく、また、単色の撮像素子を3つ用いて撮像装置を構成してもよい。
【0087】
また、本実施形態に係る撮像装置では、WBゲイン算出領域の抽出のためにISO感度毎に1つのノイズモデルを使用するようにしたが、ISO感度毎に画像信号を構成する各色成分のノイズモデルを用意し、各色成分に対応したノイズモデルを使用してもよい。また、本実施形態に係る撮像装置では、ノイズモデルをデータテーブルとしてメモリ3に記憶させているが、これを例えばグラフ化したノイズモデルを表す式をメモリ3に記憶させ、平坦領域抽出部24では、そのノイズモデルを表す式より求めたノイズ量を用いて、平坦領域の抽出を行ってもよい。
【0088】
また、制御部2が有する領域分割部21、標準偏差算出部22、平均値算出部23、及び平坦領域抽出部24は、座標データと小領域のサイズ(水平方向および垂直方向の大きさ)を出力するだけでなく、分割された各小領域の画素の画像信号を出力してもよい。
【0089】
また、制御部2、WB調整部5、及び画像処理部6の機能を、例えばパーソナルコンピュータに行わせるようにしてもよい。なお、このようにするには、これらの各部の機能をコンピュータに行わせるための制御プログラムを作成し、この制御プログラムをパーソナルコンピュータに読み込ませて実行させるようにすればよい。
【0090】
以上のように、本実施形態では、画像を分割した小領域の画素の画像信号の色成分毎の標準偏差とノイズモデルとを比較し、この比較結果に基づいてWBゲイン算出領域を抽出する。本実施形態では、このようにすることで、被写体やゴミなどの構造部や白飛びや黒つぶれなどのノイズが存在しない領域を、WBゲイン算出領域として抽出することができる。つまり、無彩色領域である背景部分をWBゲイン算出領域として高精度に抽出することができるので、WBゲインの算出が高精度に行える結果、オートホワイトバランス調整の精度が向上する。
【0091】
[第二の実施形態]
【0092】
図7は本実施形態に係る撮像装置の構成図である。なお、図7において、図1に示した第一の実施形態に係るものと同一の機能を有する構成要素には同一の参照符号を付している。これらの構成要素については既述したので、ここでの詳しい説明を省略する。
【0093】
図7の構成は、制御部2がWBゲイン算出最適領域抽出部26、平坦領域再抽出部27、及び警告部28を備えている点において、図1の構成と相違している。
【0094】
WBゲイン算出最適領域抽出部26は、平坦領域抽出部24が平坦領域として抽出した各小領域から、次の2つの条件の少なくともどちらか一方に合致する小領域を、WBゲイン算出最適領域として抽出する。その第一の条件は、平坦領域抽出部24が平坦領域として抽出した各小領域の色成分毎の画像信号の平均値の全てが最大値となる小領域である。また、その第二の条件は、平坦領域抽出部24が平坦領域として抽出した各小領域の色成分毎の画像信号の平均値が、その色成分毎の平均値の最大値を基準にして設定した閾値以上である小領域である。
【0095】
WBゲイン算出最適領域抽出部26によりこのようにしてWBゲイン算出最適領域の抽出を行うのは、平坦領域抽出部24が抽出する平坦領域は、必ずしも無彩色領域である背景部分のみに限られるものではないからである。つまり、平坦領域として抽出された各小領域の色成分毎の画像信号の平均値を用いて小領域の更なる抽出を行うことで、無彩色領域の抽出がより高精度なものになるからである。
【0096】
なお、各小領域の色成分毎の画像信号の平均値の最大値を基準にして設定した閾値とは、ここでは、平坦領域抽出部24が平坦領域として抽出した小領域の色成分毎の平均値のうちの最大値を基準にして、その値からb%の範囲内の値とする。
【0097】
平坦領域抽出部24とWBゲイン算出最適領域抽出部26とにより行われるWBゲイン算出最適領域の抽出について、図8を用いて更に説明する。
【0098】
図8は、顕微鏡で観察した標本を撮像した画像の例を示している。図8において、分割した小領域201〜203は無彩色領域である背景部分であり、小領域204及び205は標本の厚みが薄い領域(背景部分ではない領域)である。
【0099】
このとき、平坦領域抽出部24は、小領域201〜205の全てを平坦領域として抽出してしまうことがある。ここで、平坦領域抽出部24が小領域204及び205を抽出してしまうのは、顕微鏡で観察した標本を撮像した場合において、標本の厚みが薄い領域は背景部分と同程度の標準偏差を有していることがあるためである。しかしながら、小領域204及び205は、背景部分ではなく、標本の存在している領域であるため、これらをWBゲインの算出に用いることは適切とはいえない。
【0100】
一方、WBゲイン算出最適領域抽出部26は、平坦領域抽出部24が平坦領域として抽出した各小領域から、前述した2つの条件の少なくともどちらか一方に合致する小領域を、WBゲイン算出最適領域として抽出する。WBゲイン算出最適領域抽出部26による小領域の抽出について、図9、図10、及び図11を用いて更に説明する。
【0101】
図9、図10、及び図11は、それぞれ、各小領域の、R色、G色、及びB色それぞれの色成分毎の画像信号の平均値を表しているグラフの例である。
【0102】
図9において、R色成分の画像信号の平均値の最大値をRmaxとすると、この最大値Rmaxを基準にして設定した閾値は、Rmax×(b/100)となる。また、図10において、G色成分の画像信号の平均値の最大値をGmaxとすると、この最大値Gmaxを基準にして設定した閾値は、Gmax×(b/100)となる。更に、図11において、B色成分の画像信号の平均値の最大値をBmaxとすると、この最大値Bmaxを基準にして設定した閾値は、Bmax×(b/100)となる。
【0103】
図9、図10、及び図11を参照すると、前述した第一及び第二の条件の少なくともどちらか一方に合致するのは、小領域201〜203であり、小領域204及び205は、この条件をどちらも満たしていない。従って、WBゲイン算出最適領域抽出部26は、小領域201〜203を抽出する。こうして、小領域201〜205のうち、背景部分である小領域201〜203のみが、WBゲイン算出最適領域として抽出される。
【0104】
平坦領域再抽出部27は、平坦領域部24において平坦領域の抽出に失敗した場合(すなわち、平坦領域が全く抽出されなかった場合)に、所定の条件の下で、撮像部1が新たに撮像した画像を用いて平坦領域部24に平坦領域の抽出を再度行わせるものである。
【0105】
平坦領域再抽出部27は、まず、メモリ3に記憶してある平坦領域再抽出回数を読み出し、カウントアップする。そして、このカウントアップした平坦領域再抽出回数と予めメモリ3に記憶されていた平坦領域再抽出設定回数とを比較する。
【0106】
ここで、カウントアップした平坦領域再抽出回数が、平坦領域再抽出設定回数未満であれば、平坦領域再抽出部27は、平坦領域の抽出を再度試みるための制御を行う。すなわち、このとき、平坦領域再抽出部27は、領域分割部21へ座標データの再算出の指示を与え、以降の標準偏差算出部22、平均値算出部23、及び平坦領域抽出部24の再動作を開始させる。こうして、撮像部1が新たに撮像した画像を用いた平坦領域の抽出が再度行われる。
【0107】
一方、カウントアップした平坦領域再抽出回数が、平坦領域再抽出設定回数以上であれば、この画像に対するオートホワイトバランス処理動作は不可能との判定を下し、警告部28に対しユーザへの警告を報知させる指示を与える。その上で、平坦領域再抽出部27は、領域分割部21へ座標データの再算出の指示を与え、以降の標準偏差算出部22、平均値算出部23、及び平坦領域抽出部24の再動作を開始させ、撮像部1が新たに撮像した画像に対する平坦領域の抽出が再度行われる。
【0108】
警告部28は、平坦領域再抽出部27からの指示に応じて、オートホワイトバランス失敗を表す警告を表示部8に表示出力させてユーザへ報知する。
【0109】
次に、図7の撮像装置で行われる制御処理について説明する。図12は、図7の制御部2により行われる、本実施形態に係るオートホワイトバランス処理の処理内容を表したフローチャートである。
【0110】
図12において、図6に示した第一の実施形態に係るものと同一の処理ステップには同一の参照符号を付している。これらの処理ステップについては既述したので、ここでの詳しい説明を省略する。
【0111】
図12のフローチャートは、S7からS11及びS18の処理ステップが追加され、代わりにS4の処理ステップが削除されている点において、図6のフローチャートと相違している。
【0112】
図12において、S3の平均値算出処理に続くS7において、平坦領域抽出処理が行われる。この判定処理では、平坦領域抽出部24を機能させ、まず、メモリ3に予め記憶させておいたノイズモデルと、標準偏差算出部22により算出された標準偏差とを小領域毎に比較する。そして、平均値算出部23により算出された各小領域の色成分毎の画像信号の平均値に対し、当該標準偏差が、ノイズモデルを基準とした所望の範囲内にある小領域の抽出を試みて、小領域の抽出ができたか否かを判定する。ここで、小領域の抽出ができたと判定したとき(判定結果がYesのとき)には、平坦領域抽出部24に、抽出された小領域を特定する座標データを、平坦領域の抽出結果として出力させ、処理をS18に進める。この平坦領域の抽出結果は、WBゲイン算出最適領域抽出部26に入力される。一方、小領域の抽出ができなかったと判定したとき(判定結果がNoのとき)には、平坦領域抽出部24に、平坦領域再抽出信号を出力させ、処理をS9に進める。この平坦領域再抽出信号は、平坦領域再抽出部27に入力される。
【0113】
S18では、平坦領域再抽出回数リセット処理が行われる。この処理は、平坦領域である小領域の抽出ができたので、メモリ3に記憶されている、平坦領域再抽出回数をリセットして初期値「0」とする処理である。そして、続くS8において、WBゲイン算出最適領域抽出処理が行われる。
【0114】
このWBゲイン算出最適領域抽出処理は、WBゲイン算出最適領域抽出部26を機能させる処理である。前述したように、WBゲイン算出最適領域抽出部26は、平坦領域抽出部24が平坦領域として抽出した各小領域から、前述した第一及び第二の条件の少なくともどちらか一方に合致する小領域を、WBゲイン算出最適領域として抽出する。WBゲイン算出最適領域抽出部26は、こうして抽出された小領域を特定する座標データを、WBゲイン算出最適領域の抽出結果として出力する。
【0115】
このS8の処理に続いて行われるS5のWBゲイン算出処理では、メモリ3より読み出した撮像画像に対し、このWBゲイン算出最適領域抽出部26から出力された座標データに基づいて、WBゲインを算出する対象とする小領域を特定する。そして、その特定した小領域の画素の画像信号を用いてWBゲインを算出し、算出したWBゲインをメモリ3に一旦格納する。そして、続くS6のWB調整処理において、CPU4が、WBゲイン算出部25により格納されたWBゲインをメモリ3から読み出してWB調整部5に設定し、WB調整をWB調整部5に行わせる。
【0116】
一方、S9では、平坦領域再抽出回数カウント処理が行われる。前述したように、この処理は、平坦領域部24による小領域の抽出ができず、平坦領域の抽出に失敗したとS7の処理で判定された場合に行う処理である。この処理では、平坦領域再抽出部27を機能させて、メモリ3に記憶してある平坦領域再抽出回数を読み出して、「1」だけカウントアップさせ、カウントアップ後の平坦領域再抽出回数をメモリ3に記憶させてその値を更新させる。
【0117】
次に、S10では、平坦領域再抽出回数判定処理が行われる。この処理は、平坦領域再抽出部27を機能させて、予めメモリ3に記憶させていた平坦領域再抽出設定回数を読み出させ、この設定回数とS9の処理によるカウントアップ後の平坦領域再抽出回数との大小比較を行わせる。ここで、カウントアップ後の平坦領域再抽出回数が、平坦領域再抽出設定回数未満であると判定したとき(判定結果がNoのとき)には、S1へ処理を戻し、平坦領域抽出のためのS1からS3及びS7の処理を再度開始させる。一方、カウントアップ後の平坦領域再抽出回数が、平坦領域再抽出設定回数以上であると判定したとき(判定結果がYesのとき)には、S11に処理を進める。
【0118】
S11では、オートホワイトバランス失敗警告処理が行われる。この処理は警告部28を機能させる処理であり、オートホワイトバランス失敗を表す警告を表示部8に表示出力させて、その警告をユーザへ報知する処理である。その後、このS11の処理を終えたときには、S1へ処理を戻し、平坦領域抽出のためのS1からS3及びS7の処理を再度開始させる。
【0119】
以上までの処理が図12のオートホワイトバランス処理である。この処理を図7の制御部2に行わせることで、図7の撮像装置でのオートホワイトバランス機能の提供が可能になる。
【0120】
なお、上述した本実施形態の説明では、画像内に無彩色領域である背景部分が必ず存在することを想定しているが、このような背景部分が存在しない場合も考えられる。そこで、図7の撮像装置を以下のように動作させるようにしてもよい。
【0121】
すなわち、まず、撮像開始時にオートホワイトバランス処理を初めて行ったときにWBゲイン算出最適領域として抽出された各小領域の色成分毎の画像信号の平均値の最大値をメモリ3に記憶させておく。その後、オートホワイトバランス処理を実行する度に、その実行により得られた各小領域の色成分毎の画像信号の平均値の最大値と、記憶させておいた最大値を比較して、この値の大きい方を最大値としてメモリ3の記憶内容を更新する。そして、その後のWBゲイン算出最適領域の抽出時において、色成分毎の画像信号の平均値の最大値を基準にして設定する閾値以上の平均値を持つ小領域を抽出するときに、代わりに、メモリ3に記憶されている当該最大値を、当該閾値の設定の基準として用いる。
【0122】
図7の撮像装置を以上のように動作させるようにしても、無彩色領域である背景部分の抽出を、高精度に行うことができる。
【0123】
また、図12に示したオートホワイトバランス処理におけるS11の処理において、オートホワイトバランス処理に失敗したと判定された場合(判定結果がYesの場合)に、最後にWB調整処理が実施されたときのWBゲインを用いてWB調整を行うようにしてもよい。また、このとき、撮像を開始して最初のオートホワイトバランス処理において処理に失敗したと判定された場合には、メモリ3に予め記憶させておいたWBゲインの初期設定値を使用してWB調整を行うようにしてもよい。
【0124】
以上のように、本実施形態では、WBゲイン算出最適領域の抽出を、各小領域の色成分毎の画像信号の標準偏差とノイズモデルとの比較結果に基づいて行うだけでなく、当該標準偏差を用いて抽出した各小領域の色成分毎の画像信号の平均値にも基づいて行う。本実施形態では、このようにすることで、より高精度に無彩色領域である背景部分の抽出がより高精度に抽出することができるので、WBゲインの算出が更に高精度に行える結果、オートホワイトバランス調整の精度が更に向上する。
【0125】
また、本実施形態では、平坦領域の抽出に失敗した場合に、平坦領域の再抽出を試みることで、ユーザの作業負担を軽減することができる。ここで、平坦領域の再抽出を、予め設定しておいた回数失敗した場合は、オートホワイトバランス処理に失敗したことがユーザに警告されるので、WB調整が実施されていないことをユーザに認識させることができる。この結果、WB調整のミスによる撮像の失敗を減らすことができる。
【0126】
[第三の実施形態]
【0127】
図13は、本実施形態に係る撮像装置の構成図である。なお、図13において、図1に示した第一の実施形態に係るもの、若しくは図7に示した第二の実施形態に係るものと同一の機能を有する構成要素には同一の参照符号を付している。これらの構成要素については既述したので、ここでの詳しい説明を省略する。
【0128】
図13の構成は、制御部2がWBゲイン算出最適領域再抽出部29を備えている点において、図7の構成と相違している。
【0129】
WBゲイン算出最適領域再抽出部29は、WBゲイン算出最適領域の抽出に失敗したと判定された場合に、所定の条件の下で、撮像部1が新たに撮像した画像を用いてWBゲイン算出最適領域抽出部26にWBゲイン算出最適領域の抽出を再度行わせるものである。
【0130】
WBゲイン算出最適領域再抽出部29は、まず、メモリ3に記憶してあるWBゲイン算出最適領域再抽出回数を読み出し、カウントアップする。そして、このカウントアップしたWBゲイン算出最適領域再抽出回数と予めメモリ3に記憶されていたWBゲイン算出最適領域再抽出設定回数とを比較する。
【0131】
ここで、カウントアップしたWBゲイン算出最適領域再抽出回数が、WBゲイン算出最適領域再抽出設定回数未満であれば、WBゲイン算出最適領域再抽出部29は、WBゲイン算出最適領域の抽出を再度試みるための制御を行う。すなわち、このとき、WBゲイン算出最適領域再抽出部29は、領域分割部21へ座標データの再算出の指示を与える。これにより、以降の標準偏差算出部22、平均値算出部23、平坦領域抽出部24、及びWBゲイン算出最適領域抽出部26の再動作を開始させる。こうして、撮像部1が新たに撮像した画像を用いたWBゲイン算出最適領域の抽出が再度行われる。
【0132】
一方、カウントアップしたWBゲイン算出最適領域再抽出回数が、WBゲイン算出最適領域再抽出設定回数以上であれば、この画像に対するオートバランス処理動作は不可能との判定を下し、警告部28に対しユーザへの警告を報知させる指示を与える。その上で、WBゲイン算出最適領域再抽出部29は、領域分割部21へ座標データの再算出の指示を与える。これにより、以降の標準偏差算出部22、平均値算出部23、平坦領域抽出部24、及びWBゲイン算出最適領域抽出部26の再動作を開始させ、撮像部1が新たに撮像した画像を用いたWBゲイン算出最適領域の抽出が再度行われる。
【0133】
次に、図13の撮像装置で行われる本実施形態に係る制御処理について説明する。図14は、図13の制御部2により行われる、本実施形態に係るオートホワイトバランス処理の処理内容を表したフローチャートである。
【0134】
図14において、図6に示した第一の実施形態に係るもの若しくは図12に示した第二の実施形態に係るものと同一の処理ステップには同一の参照符号を付している。これらの処理ステップについては既述したので、ここでの詳しい説明を省略する。
【0135】
図14のフローチャートは、S12からS14及びS19の処理ステップが追加され、代わりにS8の処理ステップが削除されている点において、図12のフローチャートと相違している。
【0136】
図14において、S18の平坦領域再抽出回数リセット処理に続くS12の処理として、WBゲイン算出最適領域抽出処理が行われる。この処理は、WBゲイン算出最適領域抽出部26を機能させる処理である。
【0137】
WBゲイン算出最適領域抽出部26は、まず、図12のS8と同様にして、平坦領域抽出部24が平坦領域として抽出した各小領域から、前述した第一及び第二の条件の少なくともどちらか一方に合致する小領域の抽出を試みる。そして、この小領域の抽出ができたか否かを判定する。ここで、小領域の抽出ができたと判定したとき(判定結果がYesのとき)には、抽出された小領域を特定する座標データを、WBゲイン算出最適領域の抽出結果として出力させ、処理をS19に進める。このWBゲイン算出最適領域の抽出結果は、WBゲイン算出最適領域抽出部26に入力される。一方、小領域の抽出ができなかったと判定したとき(判定結果がNoのとき)には、WBゲイン算出最適領域抽出部26にWBゲイン算出最適領域再抽出信号を出力させ、処理をS9に進める。このWBゲイン算出最適領域再抽出信号は、WBゲイン算出最適領域再抽出部29に入力される。
【0138】
S19では、WBゲイン算出最適領域再抽出回数リセット処理が行われる。この処理は、WBゲイン算出最適領域である小領域の抽出ができたので、メモリ3に記憶されている、WBゲイン算出最適領域再抽出回数をリセットして初期値「0」とする処理である。
【0139】
このS19の処理に続いて行われるS5のWBゲイン算出処理では、メモリ3より読み出した撮像画像に対し、このWBゲイン算出最適領域抽出部26から出力された座標データに基づいて、WBゲインを算出する対象とする小領域を特定する。そして、その特定した小領域の画素の画像信号を用いてWBゲインを算出し、算出したWBゲインをメモリ3に一旦格納する。そして、続くS6のWB調整処理において、CPU4が、WBゲイン算出部25により格納されたWBゲインをメモリ3から読み出してWB調整部5に設定し、WB調整をWB調整部5に行わせる。
【0140】
一方、S13では、WBゲイン算出最適領域再抽出回数カウント処理が行われる。前述したように、この処理は、WBゲイン算出最適領域抽出部26による小領域の抽出ができず、WBゲイン算出最適領域の抽出に失敗したとS7の処理で判定された場合に行う処理である。この処理では、WBゲイン算出最適領域再抽出部29を機能させて、まず、メモリ3に記憶してあるWBゲイン算出最適領域再抽出回数を読み出して、「1」だけカウントアップさせる。そして、カウントアップ後のWBゲイン算出最適領域再抽出回数をメモリ3に記憶させてその値を更新させる。
【0141】
次に、S14では、WBゲイン算出最適領域再抽出回数判定処理が行われる。この処理は、WBゲイン算出最適領域再抽出部29を機能させて、まず、予めメモリ3に記憶させていたWBゲイン算出最適領域再抽出設定回数を読み出させる。そして、この設定回数とS13の処理によるカウントアップ後のWBゲイン算出最適領域再抽出回数との大小比較を行わせる。ここで、カウントアップ後のWBゲイン算出最適領域再抽出回数が、WBゲイン算出最適領域再抽出設定回数未満であると判定したとき(判定結果がNoのとき)には、S1へ処理を戻す。そして、WBゲイン算出最適領域抽出のためのS1からS3、S7、S18、及びS12の処理を再度開始させる。一方、カウントアップ後のWBゲイン算出最適領域再抽出回数が、WBゲイン算出最適領域再抽出設定回数以上であると判定したとき(判定結果がYesのとき)には、S11に処理を進める。
【0142】
S11のオートホワイトバランス失敗警告処理は、図12に示したものと同様であり、警告部28を機能させてオートホワイトバランス失敗を表す警告を表示部8に表示させて、その警告をユーザへ報知する処理である。その後、このS11の処理を終えたときには、S1へ処理を戻し、WBゲイン算出最適領域抽出のためのS1からS3、S7、S18、及びS12の処理を再度開始させる。
【0143】
以上までの処理が図14のオートホワイトバランス処理である。この処理を図13の制御部2に行わせることで、図13の撮像装置でのオートホワイトバランス機能の提供が可能になる。
【0144】
以上のように、本実施形態では、WBゲイン算出最適領域の抽出ができなかった場合に、WBゲイン算出最適領域の再抽出を試みることで、無彩色領域以外の部分を精度良く抽出できるようになり、WBゲイン算出最適領域の抽出が更に高精度に行えるようになる。また、本実施形態では、平坦領域として抽出した小領域に無彩色領域(すなわちWBゲイン算出最適領域)がない場合に、オートホワイトバランス処理に失敗したことをユーザに警告するので、WB調整が正しく行われていないことをユーザが正確に認識できる。この結果、WB調整のミスによる撮像の失敗を更に軽減させることができる。
【0145】
[第四の実施形態]
【0146】
今までに説明した各実施形態では、領域分割部21が画像の領域を分割するときの小領域の大きさを固定値としていた。しかし、撮像する被写体の形状や背景部分の大きさは様々である。そこで、本実施形態では、領域分割部21が画像の領域を分割するときの小領域の大きさを可変とし、その大きさをユーザが設定できるようにする。
【0147】
本実施形態に係る撮像装置の構成は、図13に示した第三の実施形態に係るものと同一である。従って、本実施形態に係る撮像装置における各構成要素については既述したので、ここでの詳しい説明を省略する。
【0148】
図13の撮像装置で行われる本実施形態に係る制御処理について説明する。図15は、図13の制御部2により行われる、本実施形態に係るオートホワイトバランス処理の処理内容を表したフローチャートである。
【0149】
図15において、図6、図12、若しくは図14に示したフローチャートに含まれているものと同一の処理ステップには同一の参照符号を付している。これらの処理ステップについては既述したので、ここでの詳しい説明を省略する。
【0150】
図15のフローチャートは、処理の最初にS15及びS16の処理ステップが追加されている点において、図14のフローチャートと相違している。
【0151】
図15の処理が開始される前に、メモリ3には、領域分割部21が画像の領域を分割するときの小領域の大きさの初期値を予め記憶させておく。
【0152】
図15の処理が開始されると、まず、S15において、分割領域の大きさを設定する処理が行われる。
【0153】
この処理では、まず、ユーザが操作部7を操作して行った、小領域の水平方向及び垂直方向の大きさの指示の入力をCPU4が取得する。すると、CPU4は、この指示に係る大きさのデータをメモリ3に転送して記憶させ、そこに記憶されていた小領域の大きさに係るデータを更新する。
【0154】
このS15の処理の後に最初に実行されるS1の領域分割処理では、領域分割部21を機能させて、この更新後のデータをメモリ3から読み出させ、このデータに基づき、撮像画像を小領域に分割したときの各小領域の座標データを算出する処理が行われる。この撮像画像の小領域への分割を、図16を参照しながら説明する。
【0155】
図16は、図3に例示した撮像画像を小領域へ分割した様子の第二の例である。この図16では、小領域の水平方向の大きさX及び垂直方向の大きさYを、ユーザが、それぞれX=w1及びY=h1に設定した場合を表しており、撮像画像が水平方向及び垂直方向に、それぞれX=w1、Y=h1の小領域に分割されていること示している。
【0156】
S15の処理に続き、S16では、S2の標準偏差算出処理及びS3の平均値算出処理による算出の対象とする小領域を得る撮像画像上の範囲を選択する処理が行われる。
【0157】
この処理では、まず、ユーザが操作部7を操作して行った、撮像画像上の範囲の指示をCPU4が取得する。すると、CPU4は、この指示に係る範囲のデータをメモリ3に転送して記憶させる。
【0158】
このS16の処理の後に最初に実行されるS1の領域分割処理では、領域分割部21を機能させて、まず、このデータをメモリ3から読み出させる。そして、このデータに基づき、撮像画像からこの指示に係る範囲の画像を選択し、選択された範囲内の画像を小領域に分割したときの各小領域の座標データを算出する処理が行われる。この標準偏差及び平均値の算出対象範囲の選択について、図17を参照しながら説明する。
【0159】
図17は、図3に例示した撮像画像から標準偏差及び平均値の算出対象範囲が選択された様子を示している。この図17では、標準偏差及び平均値の算出対象範囲である小領域範囲301をユーザが指示した場合を表している。この場合、領域分割部21は、この小領域範囲301内に存在する各小領域の座標データを出力する。
【0160】
以上のS15及びS16の処理の完了後は、前述した図14の処理と同様の処理が行われる。この図15のオートホワイトバランス処理を図14の制御部2に行わせることで、図14の撮像装置でのオートホワイトバランス機能の提供が可能になる。
【0161】
以上のように、本実施形態では、例えば、被写体の占める割合が多く無彩色領域である背景部分が少ない撮像画像の場合に、小領域の大きさを変更することで、少ない背景部分を効率的に抽出することができる。
【0162】
また、小領域の大きさが小さいために小領域の数が増大した場合には、各小領域の標準偏差や平均値の算出、平坦領域抽出やWBゲイン算出最適領域抽出に長い時間を要することとなる。このような場合に、本実施形態によれば、標準偏差及び平均値の算出の対象とする小領域を予め選択しておくことで、これらの処理時間を短縮できる。
【0163】
なお、本実施形態においては、分割する小領域の形状を、図17のように矩形としているが、この形状は、円や楕円など、どのような形状でもよい。また、撮像画像の分割方法も、格子状とする代わりに所望の領域となるように分割してもよい。また、領域分割された画像を、表示部8で表示し、ユーザが、この表示部8での表示を参照しながら操作部7を操作して、例えば無彩色領域に合わせた領域に小領域の大きさを指定すると、その指定された大きさで画像を分割するようにしてもよい。また、ユーザが表示部8に表示された、領域分割された画像を見ながら、操作部7を操作して、標準偏差及び平均値算出の対象となる領域の選択を行えるようにしてもよい。
【0164】
[第五の実施形態]
【0165】
顕微鏡を用いて観察した観察標本の顕微鏡画像を撮像する場合を想定する。図18は、図3に例示した画像に表されている標本を、高倍率の対物レンズを用いて撮像して得た画像の例である。
【0166】
この図18の撮像画像を図3の画像と対比しても分かるように、被写体を、高倍率の対物レンズを用いて撮像すると、その撮像画像における被写体の占める割合は、対物レンズの倍率に応じて変化する。
【0167】
そこで、本実施形態では、被写体の観察に使用する対物レンズの倍率に応じて、分割する小領域の水平方向と垂直方向の大きさを変化させるようにする。
【0168】
図19は、本実施形態に係る撮像装置を含む顕微鏡システムの構成図である。なお、図19において、図1、図7、若しくは図13に示した撮像装置におけるものと同一の機能を有する構成要素には同一の参照符号を付している。これらの構成要素については既述したので、ここでの詳しい説明を省略する。
【0169】
図19の構成は、対物レンズ32が装備されている顕微鏡33に撮像部1が設置されている点と、観察条件取得部34が追加されている点とにおいて、図13の構成と相違している。なお、顕微鏡33には観察標本31が載置されており、観察標本31の顕微鏡画像を得る。また、撮像部1の構成要素である撮像素子11、撮像素子駆動部12、前置処理部13、増幅部14、及びA/D変換部15は、図19においては記載を省略している。
【0170】
図19において、観察標本31の観察像は、対物レンズ32を通して撮像部1により撮像される。対物レンズ32は、観察標本31を観察する際にユーザにより切り替えて使用される。
【0171】
観察条件取得部34は、観察標本31の観察時における顕微鏡33の設定を、顕微鏡33と観察条件取得部34とを接続する信号線を介して観察条件として取得する。観察条件取得部34は、制御部2内のCPU4の指示に従い、取得した観察条件をデータバス9へ送出する。送出された観察条件は制御部2に転送される。
【0172】
なお、本実施形態では、観察条件取得部34は、観察標本31の観察に使用している対物レンズ32を特定する情報と、その倍率(すなわち観察倍率)の情報とを含む対物レンズ倍率情報を、観察条件として取得するものとする。この対物レンズ倍率情報は、領域分割部21が撮像画像を小領域に分割する際の小領域の大きさの設定に使用される。
【0173】
次に、図19の撮像装置で行われる本実施形態に係る制御処理について説明する。図20は、図19の制御部2により行われる、本実施形態に係るオートホワイトバランス処理の処理内容を表したフローチャートである。
【0174】
図20において、図6、図12、図14、若しくは図15に示したフローチャートに含まれているものと同一の処理ステップには同一の参照符号を付している。これらの処理ステップについては既述したので、ここでの詳しい説明を省略する。
【0175】
図20のフローチャートは、処理の最初にS17の処理ステップが追加されている点において、図15のフローチャートと相違している。
【0176】
図17の処理が開始されると、まず、S17において、顕微鏡情報取得処理が行われる。この処理では、まず、観察条件取得部34を機能させて、前述した対物レンズ倍率情報を観察条件として取得し、制御部2に転送させる処理が行われる。制御部2では、この対物レンズ倍率情報を取得し、撮像画像を分割する際の小領域の水平方向及び垂直方向の大きさを、この対物レンズ倍率情報に基づき算出してメモリ3に記憶する処理がCPU4により行われる。この小領域の水平方向及び垂直方向の大きさの算出は、例えば以下のようにしてCPU4により行われる。
【0177】
まず、顕微鏡33に装備される対物レンズ32のうち最低倍率のものを使用したときに最適な小領域の水平方向及び垂直方向の大きさを、予めメモリ3に記憶させておく。ここで、対物レンズ倍率情報がこの最低倍率のもの以外の対物レンズ32を使用していることを示していた場合には、この倍率についての最低倍率に対する比を求める。そして、メモリ3に記憶させておいた小領域の水平方向及び垂直方向の大きさを、この比に従って変更する。
【0178】
例えば、予めメモリ3に記憶させておいた、最低倍率であるM倍の対物レンズ32を使用したときに最適な小領域の水平方向及び垂直方向の大きさを、それぞれx及びyとする。このときに、観察条件取得部34が取得した対物レンズ倍率情報が、N倍の倍率である対物レンズ32の使用を示していた場合には、小領域の水平方向及び垂直方向の大きさを、それぞれ、k×(M/N)×x及びk×(M/N)×yに変更する。ここで、kは所定の定数とする。
【0179】
以上のS17の処理の完了後は、前述した図15の処理と同様の処理が行われる。この図20のオートバランス処理を図19の制御部2に行わせることで、図19の撮像装置でのオートバランス機能の提供が可能になる。
【0180】
図21は、本実施形態に係る顕微鏡システムにより、図18の撮像画像が小領域に分割された様子を表している。図21の画像を図4の画像と対比すると、図21の画像は、図4の画像を撮像したときに使用したものよりも高倍率の対物レンズ32を使用したことにより、小領域の水平方向及び垂直方向の大きさが図4の画像よりも小さくなっていることが分かる。
【0181】
対物レンズ32の倍率を高めたときの撮像画像は、その画像の大部分を観察標本31が占め、無彩色領域である背景部分が少なくなるため、WBゲイン算出最適領域の抽出に失敗しやすくなってしまう。そこで、本実施形態では、このような場合に、小領域の水平方向及び垂直方向の大きさを小さくすることで、WBゲイン算出最適領域が抽出できる可能性を高めているのである。図21の画像例では、小領域401〜407が、WBゲイン算出最適領域として抽出できることが分かる。
【0182】
以上のように、本実施形態では、使用する対物レンズ32を変更した際に、小領域の水平方向及び垂直方向の大きさを対物レンズ32の倍率に応じて変更する。本実施形態によれば、このようにすることで、撮像画像に占める割合が少なくなってしまう無彩色領域である背景部分を効率よく抽出することができる。
【0183】
なお、本実施形態においては、分割する小領域の形状を、図21のように矩形としているが、この形状は、円や楕円など、どのような形状でもよい。
【0184】
また、本実施形態においては、画像の撮像に使用する対物レンズ32の倍率の比に基づき小領域の大きさを算出している。この代わりに、その倍率に応じた最適な小領域の大きさが予め設定されているテーブルを用意し、取得した観察条件に基づく小領域の大きさの決定を、このテーブルを参照して行うようにしてもよい。
【0185】
なお、標準偏差及び平均値の算出対象範囲である小領域の範囲を、図17に示したようにユーザの指示に基づき選択する代わりに、この小領域の範囲を、観察条件(対物レンズ倍率情報)に基づき、撮像装置が自動的に選択するように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0186】
1 撮像部
2 制御部
3 メモリ
4 CPU
5 WB調整部
6 画像処理部
7 操作部
8 表示部
9 データバス
11 撮像素子
12 撮像素子駆動部
13 前置処理部
14 増幅部
15 A/D変換部
21 領域分割部
22 標準偏差算出部
23 平均値算出部
24 平坦領域抽出部
25 WBゲイン算出部
26 WBゲイン算出最適領域抽出部
27 平坦領域再抽出部
28 警告部
29 WBゲイン算出最適領域再抽出部
31 観察標本
32 対物レンズ
33 顕微鏡
34 観察条件取得部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像素子を備えており、複数の色成分の画像信号により色彩が画素毎に表現されている該被写体の撮像画像を生成する撮像手段と、
該撮像画像を複数の小領域に分割する領域分割手段と、
該撮像画像における該複数の小領域の各々に含まれる画素についての、色成分毎の画素の画像信号の標準偏差を該小領域毎に算出する標準偏差算出手段と、
該撮像画像における該複数の小領域の各々に含まれる画素についての、色成分毎の画素の画像信号の平均値を該小領域毎に算出する平均値算出手段と、
予め記憶部に記憶されており、該画像信号の大きさと該画像信号に対し重畳される該撮像素子が発生させるノイズの量との対応関係を示すノイズモデルに基づき、該撮像画像における該複数の小領域のうち、該平均値に対する該標準偏差が、該ノイズモデルにおいて該平均値を該画像信号の大きさとみたときのノイズ量を基準として所定の範囲内である小領域を、平坦領域として抽出する平坦領域抽出手段と、
該撮像画像における該平坦領域のホワイトバランスゲインを算出するホワイトバランスゲイン算出手段と、
該ホワイトバランスゲイン算出手段が算出した該平坦領域のホワイトバランスゲインに基づき、該撮像手段により生成される撮像画像のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
該ノイズモデルにより示されている該画像信号の大きさと該ノイズの量との対応関係は、無彩色領域のみの一様な画像の一部の範囲若しくは全範囲に含まれる色成分毎の画素の画像信号についての平均値と標準偏差との対応関係であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
平坦領域抽出手段が平坦領域として抽出した各小領域のうち、色成分毎の画像信号の平均値の全てが最大値となる小領域、若しくは、当該平均値が、当該色成分毎の平均値の最大値を基準にして設定した閾値以上である小領域を、ホワイトバランスゲイン算出最適領域として抽出するホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出手段を更に有し、
該ホワイトバランスゲイン算出手段は、該撮像画像における該ホワイトバランスゲイン算出最適領域のホワイトバランスゲインを算出し、
該ホワイトバランス調整手段は、該ホワイトバランスゲイン算出手段が算出した該ホワイトバランスゲイン算出最適領域のホワイトバランスゲインに基づき、該撮像手段により生成される撮像画像のホワイトバランスを調整する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
該平坦領域抽出手段が該平坦領域である小領域の抽出を行えたか否かを判定する平坦領域抽出判定手段と、
該平坦領域である小領域の抽出を該平坦領域抽出手段が行えなかったと該平坦領域抽出判定手段が判定したときに、該平坦領域抽出手段による該平坦領域である小領域の再抽出を、該撮像手段が生成する該被写体についての別の撮像画像に対して行わせる平坦領域再抽出手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
該平坦領域再抽出手段が該平坦領域抽出手段に行わせた該平坦領域である小領域の再抽出の回数が所定回数以上になったか否かを判定する平坦領域再抽出回数判定手段と、
該平坦領域である小領域の再抽出の回数が所定回数以上になったと該平坦領域再抽出回数判定手段が判定したときに、オートホワイトバランス失敗の警告を出力する警告手段と、
を更に有することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
該ホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出手段が該ホワイトバランスゲイン算出最適領域である小領域の抽出を行えたか否かを判定するホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出判定手段と、
該ホワイトバランスゲイン算出最適領域である小領域の抽出を該ホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出手段が行えなかったと該ホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出判定手段が判定したときに、該ホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出手段による該ホワイトバランスゲイン算出最適領域である小領域の再抽出を、該撮像手段が生成する該被写体についての別の撮像画像に対して行わせるホワイトバランスゲイン算出最適領域再抽出手段と、
を更に有することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項7】
該ホワイトバランスゲイン算出最適領域再抽出手段が該ホワイトバランスゲイン算出最適領域抽出手段に行わせた該ホワイトバランスゲイン算出最適領域である小領域の再抽出の回数が所定回数以上になったか否かを判定するホワイトバランスゲイン算出最適領域再抽出回数判定手段と、
該ホワイトバランスゲイン算出最適領域である小領域の再抽出の回数が所定回数以上になったと該ホワイトバランスゲイン算出最適領域再抽出回数判定手段が判定したときに、オートホワイトバランス失敗を表す警告を出力する警告手段と、
を更に有することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
該領域分割手段が該撮像画像を該複数の小領域に分割するときの該小領域の大きさの指示を入力として取得する入力取得手段を更に有し、
該領域分割手段は、該入力取得手段が取得した指示に係る小領域の大きさで、該撮像画像を分割する、
ことを特徴とする請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
該撮像画像上に、該標準偏差及び該平均値を算出する対象とする小領域を得る範囲を選択する領域選択手段を更に有し、
該領域分割手段は、該撮像画像のうち該領域選択手段により選択された範囲を、複数の小領域に分割する、
ことを特徴とする請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
該撮像手段は、顕微鏡により得られた観察標本の顕微鏡画像を該撮像素子で撮像して、該観察標本の撮像画像を生成し、
該観察標本の顕微鏡画像を撮像するときの該顕微鏡の観察条件の情報を取得する観察条件取得手段を更に有し、
該観察条件の情報には、該顕微鏡の観察倍率の情報が含まれており、
該領域分割手段は、観察条件取得手段が取得した観察条件に含まれている該観察倍率の情報に応じて変更した小領域の大きさで、該撮像画像を分割する、
ことを特徴とする請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項11】
観察標本の顕微鏡画像を得る顕微鏡と、
該顕微鏡により得られる該顕微鏡画像を撮像する撮像素子を備えており、複数の色成分の画像信号により色彩が画素毎に表現されている該観察標本の撮像画像を生成する撮像手段と、
該撮像画像を複数の小領域に分割する領域分割手段と、
該撮像画像における該複数の小領域の各々に含まれる画素についての、色成分毎の画素の画像信号の標準偏差を該小領域毎に算出する標準偏差算出手段と、
該撮像画像における該複数の小領域の各々に含まれる画素についての、色成分毎の画素の画像信号の平均値を該小領域毎に算出する平均値算出手段と、
予め記憶部に記憶されており、該画像信号の大きさと該画像信号に対し重畳される該撮像素子が発生させるノイズの量との対応関係を示すノイズモデルに基づき、該撮像画像における該複数の小領域のうち、該平均値に対する該標準偏差が、該ノイズモデルにおいて該平均値を該画像信号の大きさとみたときのノイズ量を基準として所定の範囲内である小領域を、平坦領域として抽出する平坦領域抽出手段と、
該撮像画像における該平坦領域のホワイトバランスゲインを算出するホワイトバランスゲイン算出手段と、
該ホワイトバランスゲイン算出手段が算出した該平坦領域のホワイトバランスゲインに基づき、該撮像手段により生成される撮像画像のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段と、
該観察標本の顕微鏡画像を撮像するときの該顕微鏡の観察条件の情報を取得する観察条件取得手段と、
を有し、
該観察条件の情報には、該顕微鏡の観察倍率の情報が含まれており、
該領域分割手段は、観察条件取得手段が取得した観察条件に含まれている該観察倍率の情報に応じて変更した小領域の大きさで、該撮像画像を分割する、
ことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項12】
被写体を撮像する撮像素子を備えており、複数の色成分の画像信号により色彩が画素毎に表現されている該被写体の撮像画像を生成する撮像手段を有する撮像装置により得られる該撮像画像のホワイトバランスを調整する方法であって、
該撮像画像を複数の小領域に分割し、
該撮像画像における該複数の小領域の各々に含まれる画素についての、色成分毎の画素の画像信号の標準偏差を該小領域毎に算出し、
該撮像画像における該複数の小領域の各々に含まれる画素についての、色成分毎の画素の画像信号の平均値を該小領域毎に算出し、
予め記憶部に記憶されており、該画像信号の大きさと該画像信号に対し重畳される該撮像素子が発生させるノイズの量との対応関係を示すノイズモデルに基づき、該撮像画像における該複数の小領域のうち、該平均値に対する該標準偏差が、該ノイズモデルにおいて該平均値を該画像信号の大きさとみたときのノイズ量を基準として所定の範囲内である小領域を、平坦領域として抽出し、
該撮像画像における該平坦領域のホワイトバランスゲインを算出し、
該平坦領域のホワイトバランスゲインの算出結果に基づき、該撮像手段により生成される撮像画像のホワイトバランスを調整する、
ことを特徴とするホワイトバランス調整方法。

【図6】
image rotate

【図12】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図13】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2010−273319(P2010−273319A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9461(P2010−9461)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】