説明

撮像装置及びその制御方法及びプログラム

【課題】一眼レフタイプの撮像装置において、電子ビューファインダーを用いてストロボ撮影を行う場合でも、短時間で適切な測光を行えるようにする。
【解決手段】ライブビュー表示をしている状態から、被写体を照明するストロボ装置を用いて撮影を行う場合に、シャッター先幕を閉じるとともにクイックリターンミラーを撮影光路内に駆動して、光学ファインダ近傍の測光センサで一旦被写体からの反射光の測光を行った後に撮影を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子から得られる撮像対象物の画像をライブビュー表示可能な撮像装置における測光技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、CCD等の撮像素子を用いた一眼レフタイプのデジタルカメラでは、被写体像を観察するために、撮影レンズから撮像素子に至る撮影光路に反射ミラーを斜め上向きにに配置し、被写体からの光を光学ファインダーに導いている。そして、撮像素子により撮影を行う時点で、ミラーを回動させて光路から退避させ、被写体からの光を撮像素子に導く。即ち、撮影すなわち撮像素子の露光の直前まではミラーを光路上に位置させて被写体からの光をファインダー光学系に向けて反射させ、撮影時にはミラーを光路上から退避させて光を撮像素子に導き、撮影直後にミラーを光路上に戻す制御が行われる。この方式のミラーはクイックリターンミラーと呼ばれている。
【0003】
このような構成の一眼レフタイプのデジタルカメラでは、実際の撮影時以外ではクイックリターンミラーが撮影レンズの光路上に存在するため、撮像素子には被写体光が入射しない。そのため、撮像素子で受光した被写体像をリアルタイムにカメラの背面に配置された表示装置に表示するライブビュー表示動作を行うことができず、表示装置を電子ビューファインダーとして用いることができない。光学ファインダー以外に電子ビューファインダーを用いることができれば、撮影者にとって利便性が向上するため、以前から電子ビューファインダー機能も備えた一眼レフタイプのデジタルカメラが望まれていた。
【0004】
この要望にこたえるために、例えば特許文献1には、クイックリターンミラーとしてハーフミラーを備えたデジタルカメラが提案されている。この構成では、ハーフミラーが光路上に位置しているときも光が撮像素子に入射するため、撮像素子で画像を生成することが可能となり、ライブビューすなわち電子ビューファインダー機能を実現することができる。また、ハーフミラーで反射された被写体像がファインダー光学系にも入射するため、光学ファインダーを併用することもできる。また、記録用の画像を撮影する際には、ハーフミラーを光路から退避させることで、撮影レンズからの光を全て撮影に利用することが可能になる。
【0005】
しかしながら、この構成ではライブビュー表示を行うときに撮像素子に導かれる光は常に撮影レンズを透過した光の一部のみとなるため、暗い環境での撮影においては、良好なライブビュー画像を得ることができない。
【0006】
良好なライブビュー画像を得るためには、クイックリターンミラーを撮影レンズの光路上から退避させておき、撮影レンズからの光を全て撮像素子に導くのが理想的である。
【特許文献1】特開2005−295577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一眼レフタイプのデジタルカメラでは、被写界の光量を検出する測光センサーをファインダー光学系に内蔵し、撮影レンズからの光束をクイックリターンミラーやペンタプリズムを介して測光センサーに導き、被写界の測光を行っている。そのため、上記のように電子ビューファインダー機能を使用するためにクイックリターンミラーを撮影レンズの光路上から退避させているときには、測光センサーで被写界を測光することができない。
【0008】
そのため、電子ビューファインダー機能を使用している場合には、撮像素子で生成した画像信号を用いて被写界の測光を行うことになる。その場合、自然光を測光する場合では、電子ビューファインダー動作中は撮像素子が常に画像信号を生成して測光動作も行っているので、電子ビューファインダー動作から実際の撮影を行う動作に移行するまでのタイムラグは比較的少なくてすむ。
【0009】
ところが、ストロボ撮影を行う場合は、実際の撮影動作の前にストロボのプリ発光を行い、ストロボのプリ発光における発光光量と被写体からの反射光の光量分布を検出し、それに基づいてストロボの本発光の発光量を決定する必要がある。そのため、ライブビューモードにおけるストロボ撮影では、撮影前に、ストロボのプリ発光を行って撮像素子からプリ発光による画像を読み出して本発光の発光量を決定する動作が必要となり、プリ発光から本発光までのタイムラグが大きくなるという問題がある。特に、撮像素子は2次元状に多数の画素を有するため、その信号を読み出すのに時間がかかり、撮像素子を用いて測光を行うと通常の測光センサーを用いる場合よりも測光のための時間が長くかかり、タイムラグが大きくなる。また、撮像素子は通常の測光センサーと比較してダイナミックレンジが狭く、正確な測光値が得られにくいという問題もある。
【0010】
従って、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、一眼レフタイプの撮像装置において、電子ビューファインダーを用いてストロボ撮影を行う場合でも、短時間で適切な測光を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる撮像装置は、 撮影レンズを介して入射した被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮影レンズと前記撮像素子との間に配置され、前記撮像素子への露光を開始させるタイミングで開くシャッター先幕と、前記撮像素子への露光を終了させるタイミングで閉じるシャッター後幕とを有するシャッターと、前記撮影レンズからの光束を用いて被写体像を観察するための光学ファインダと、前記撮影レンズからの光束を前記光学ファインダに導くクイックリターンミラーと、前記クイックリターンミラーを撮影光路内に位置する状態と撮影光路内から退避した状態とに移動駆動するミラー駆動手段と、前記光学ファインダ近傍に配置され、前記撮影レンズから入射した被写体からの反射光を前記クイックリターンミラーを介して受光して測光を行う測光センサと、前記撮像素子から得られる被写体像を表示する表示手段と、前記シャッター先幕を予め開いた状態にさせるとともに前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内から退避させることにより前記撮像素子から得られる被写体像を前記表示手段に逐次表示するライブビュー表示をしている状態から、被写体を照明する閃光発光装置を用いて撮影を行う場合に、前記シャッター先幕を閉じるとともに前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内に駆動して、前記測光センサで、前記閃光発光装置による予備発光を行うことにより一旦被写体からの反射光の測光を行った後に、再び前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内から退避させて、前記閃光発光装置の本発光を伴う前記撮像素子への露光動作を行うように制御する制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係わる撮像装置は、撮影レンズを介して入射した被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮影レンズと前記撮像素子との間に配置され、前記撮像素子への露光を開始させるタイミングで開くシャッター先幕と、前記撮像素子への露光を終了させるタイミングで閉じるシャッター後幕とを有するシャッターと、前記撮影レンズからの光束を用いて被写体像を観察するための光学ファインダと、前記撮影レンズからの光束を前記光学ファインダに導くクイックリターンミラーと、前記クイックリターンミラーを撮影光路内に位置する状態と撮影光路内から退避した状態とに移動駆動するミラー駆動手段と、前記クイックリターンミラーの下方に配置され、前記撮影レンズから入射して前記シャッター先幕により反射される被写体からの光を受光して測光を行う測光センサと、前記撮像素子から得られる被写体像を表示する表示手段と、前記シャッター先幕を予め開いた状態にさせるとともに前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内から退避させることにより前記撮像素子から得られる被写体像を前記表示手段に逐次表示するライブビュー表示をしている状態から、被写体を照明する閃光発光装置を用いて撮影を行う場合に、前記シャッター先幕を閉じて、前記測光センサで、前記閃光発光装置による予備発光を行うことにより一旦前記シャッター先幕からの反射光の測光を行った後に、前記閃光発光装置の本発光を伴う前記撮像素子への露光動作を行うように制御する制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係わる撮像装置の制御方法は、撮影レンズを介して入射した被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮影レンズと前記撮像素子との間に配置され、前記撮像素子への露光を開始させるタイミングで開くシャッター先幕と、前記撮像素子への露光を終了させるタイミングで閉じるシャッター後幕とを有するシャッターと、前記撮影レンズからの光束を用いて被写体像を観察するための光学ファインダと、前記撮影レンズからの光束を前記光学ファインダに導くクイックリターンミラーと、前記クイックリターンミラーを撮影光路内に位置する状態と撮影光路内から退避した状態とに移動駆動するミラー駆動手段と、前記光学ファインダ近傍に配置され、前記撮影レンズから入射した被写体からの反射光を前記クイックリターンミラーを介して受光して測光を行う測光センサと、前記撮像素子から得られる被写体像を表示する表示手段と、を備える撮像装置を制御する方法であって、前記シャッター先幕を予め開いた状態にさせるとともに前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内から退避させることにより前記撮像素子から得られる被写体像を前記表示手段に逐次表示するライブビュー表示をしている状態から、被写体を照明する閃光発光装置を用いて撮影を行う場合に、前記シャッター先幕を閉じるとともに前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内に駆動して、前記測光センサで、前記閃光発光装置による予備発光を行うことにより一旦被写体からの反射光の測光を行った後に、再び前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内から退避させて、前記閃光発光装置の本発光を伴う前記撮像素子への露光動作を行うように制御する工程を具備することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係わる撮像装置の制御方法は、撮影レンズを介して入射した被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮影レンズと前記撮像素子との間に配置され、前記撮像素子への露光を開始させるタイミングで開くシャッター先幕と、前記撮像素子への露光を終了させるタイミングで閉じるシャッター後幕とを有するシャッターと、前記撮影レンズからの光束を用いて被写体像を観察するための光学ファインダと、前記撮影レンズからの光束を前記光学ファインダに導くクイックリターンミラーと、前記クイックリターンミラーを撮影光路内に位置する状態と撮影光路内から退避した状態とに移動駆動するミラー駆動手段と、前記クイックリターンミラーの下方に配置され、前記撮影レンズから入射して前記シャッター先幕により反射される被写体からの光を受光して測光を行う測光センサと、前記撮像素子から得られる被写体像を表示する表示手段と、を備える撮像装置を制御する方法であって、前記シャッター先幕を予め開いた状態にさせるとともに前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内から退避させることにより前記撮像素子から得られる被写体像を前記表示手段に逐次表示するライブビュー表示をしている状態から、被写体を照明する閃光発光装置を用いて撮影を行う場合に、前記シャッター先幕を閉じて、前記測光センサで、前記閃光発光装置による予備発光を行うことにより一旦前記シャッター先幕からの反射光の測光を行った後に、前記閃光発光装置の本発光を伴う前記撮像素子への露光動作を行うように制御する工程を具備することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係わるプログラムは、上記の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一眼レフタイプの撮像装置において、電子ビューファインダーを用いてストロボ撮影を行う場合でも、短時間で適切な測光を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係わる一眼レフデジタルカメラの光学的配置を示した図である。
【0019】
図1及び図2において、カメラ本体1に対して着脱可能な撮影レンズ2は、マウント部3によりカメラ本体1に固定される。カメラ本体1には、取り外し可能なストロボ装置4が接続可能である。なお、ストロボ装置4は、カメラ本体1に内蔵される形式のものでもよい。撮影レンズ2は、ズーミングのためのレンズ5と、ピント合わせのためのレンズ6と、絞り7とを備えている。
【0020】
撮影レンズ2を通ってきた被写体からの光束は、クイックリターンミラー8により上方に反射され、ピント板9とコンデンサレンズ10で結像された後、拡散され、ペンタプリズム11及びアイピースレンズ12を通って被写界像として撮影者により観察される。
【0021】
またペンタプリズム11を通った光束の一部は測光用のレンズ13を介して測光用センサ14に導かれる。
【0022】
撮影時およびライブビューモード(電子ビューファインダーモード)時においては、図2に示すようにクイックリターンミラー8はピント板9側にはね上げられる。そして、撮影レンズ2を通ってきた被写体からの光束が、シャッター先幕15の直後に配置された撮像素子16に入射し、画像信号に変換され、所定の画像処理を施されて表示器17に表示される。または不図示の記録媒体に画像データとして記録される。
【0023】
また、ストロボ撮影時の測光手段として、調光用測光センサ18、測光用の集光レンズ19が、クイックリターンミラー8の下方に配置されている。ストロボ撮影時には、ストロボ装置4のプリ発光動作によりストロボ装置4から投射されて被写体で反射された光をフォーカルプレーンシャッター15aのシャッター先幕15で反射させ、その光を調光用測光センサ18で受光して測光を行う。そのため、シャッター先幕15で反射された光を調光用測光センサ18の受光面上に導くよう、集光レンズ19が位置決めされている。これは撮像素子16の前面に配置された図示しないローパスフィルターやカバーガラス等の反射の影響により、撮像素子面のダイレクト測光ができないためであり、その代わりにシャッター幕面反射を用いて測光を行う。
【0024】
なお、この第1の実施形態では、第2の実施形態の説明を行う便宜上、カメラ本体1が後述する測光用センサ14と、上記の調光用測光センサ18の両方を持つように説明している。しかし、この第1の実施形態では、後述するように、ストロボ撮影時の測光も測光用センサ14で行っているため、調光用測光センサ18は必ずしも必要ではない。
【0025】
図3は、第1の実施形態に係わる一眼レフデジタルカメラのブロック構成を示す図である。
【0026】
図1及び図2の説明と一部重複するが、図3において、2は被写体像を結像させるための撮影レンズ、7は撮影レンズ2中に備えられ、撮像素子16に入射する光量を調節するための絞り、16は被写体像を光電変換するための撮像素子である。撮像素子16の前方には、フォーカルプレーンシャッター15aが配置されている。また、43は撮像素子16から出力されるアナログ画像信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ、44はA/Dコンバータ43から出力されるデジタル画像信号を処理する画像処理装置である。また、45は撮影レンズ2のレンズ位置や絞りの開度を制御するレンズ系制御部、47はデジタルカメラ全体の動作を制御するカメラ制御部、48はレリーズスイッチ22、表示器17、ライブビュー操作スイッチ21などとのI/O、49は撮影画像や種々の情報を記憶するメモリである。また、14は被写界を測光する測光用センサ、4は被写体を照明するためのストロボ装置、18はストロボ装置4により照明された被写界を測光する調光用測光センサ、20はクイックリターンミラー8を駆動するミラー駆動装置である。また、21は撮像素子16で得られた画像をリアルタイムでスルー表示するライブビュー表示を行うか否かを切り替えるライブビュー操作スイッチである。また、22は半押しでスイッチSW1がONして撮影準備動作を行い、全押しでスイッチSW2がONして撮影動作を行う、2段階構成のレリーズスイッチである。また、23はフォーカルプレーンシャッター15aを制御するシャッター制御装置である。
【0027】
ユーザーの操作はI/O48を介して取得され、ユーザーの指示によって電源ON/OFF、撮影動作などが行われる。撮影動作が指示された場合、測光用センサ14、調光用測光センサ18や撮像素子16から得られる情報に基づいてカメラ制御部47は適切な撮影条件を決定し、レンズ系制御部45を介して適切なレンズ位置などを設定する。露光後に撮像素子16の出力信号をA/Dコンバータ43を介してデジタル化したのち、画像処理装置44で適切な画像処理を施してメモリ49に保存する。また必要な場合には、I/O48を介して表示器17に画像を表示する。
【0028】
画像処理装置44は、一般的には、ホワイトバランス調整、RGB現像、圧縮符号化等の処理を行う。
【0029】
図4は、第1の実施形態の一眼レフデジタルカメラにおける、ライブビューモードで撮影を行う場合の動作を示すフローチャートである。
【0030】
まず、ライブビューモードでの撮影開始までのミラーアップシーケンスについて説明する。
【0031】
まず、撮影者により、カメラ本体1に設けられたライブビュー操作スイッチ21が操作され、ライブビュー撮影モードが起動される。ライブビュー撮影モードが起動されると、ステップS101では、ミラー駆動装置20によりクイックリターンミラー8が撮像光学系から退避(ミラーアップ)される。
【0032】
ステップS102では、シャッター制御装置23によりシャッター先幕15が開く方向に走行駆動されることにより、撮像素子16は撮影レンズ2からの光束を受光することが可能となる。撮像素子16に入射した被写体光は光電変換された後に画像処理され、ステップS103で表示器17に表示されライブビュー表示状態となる。
【0033】
次にライブビューモードでの撮影シーケンスについて説明する。
【0034】
ステップS104ではレリーズスイッチ22の半押しでONとなりオートフォーカス処理等の撮影準備を行うシャッタースイッチ(SW1)が押下されたか否かを判別し、押下されたらステップS105へ進む。
【0035】
ステップS105では、撮像素子16からの画像信号を用いてコントラスト検出方式による焦点検出動作が行われ、レンズ6により被写体にピントが合わされる。
【0036】
ステップS106では、さらにレリーズスイッチ22の全押しでONとなり、撮像素子16での露光、撮像信号の読み出し等の一連の撮影動作を開始するシャッタースイッチ(SW2)が押下されたか否かを判別し、押下されたらステップS107へ進む。
【0037】
ステップS107では、ストロボ装置4による閃光発光を行うか否かを判別し、閃光発光を行う場合はステップS108へ進み、閃光発光を行わない場合はステップS124へ進む。
【0038】
ステップS108では、シャッター制御装置23によりすでに走行されたシャッター先幕15をチャージすると同時にステップS109でミラー駆動装置20によりクイックリターンミラー8を再び撮像光学系内に戻す(ミラーダウン)。
【0039】
ステップS110では、ストロボ装置4により本発光に先立ち、調光のための閃光発光(プリ発光又は予備発光と言う)を行う。
【0040】
ステップS111では、被写体からの反射光束を測光センサ14で測光し、その測光結果に基づいて、本撮影時のストロボ装置4による閃光発光量を決定する。
【0041】
ステップS111で測光が完了した後、ステップS112でミラー駆動装置20によりクイックリターンミラー8を再び撮像光学系から退避させる。
【0042】
その後、カメラ制御部47によりステップS113で撮像素子16の電荷クリアを行った後に、ステップS114で撮像素子16の電荷蓄積を開始させる。そして、シャッター制御装置23によってステップS115でシャッター先幕15を走行させ、ステップS116で撮像素子16の露光を開始させる。
【0043】
ここでステップS117ではステップS111で決定された閃光発光量にしたがって、ストロボ装置4による本撮影のための閃光発光(本発光)を行う。
【0044】
ステップS118では、カメラ制御部47はステップS111(又はステップS126)で得られた測光データにしたがって撮像素子16の露光終了を待つ。そして、ステップS119でシャッター制御装置23により図示しないシャッター後幕を走行させ、シャッターを閉じる。
【0045】
その後、ステップS120で撮像素子16の電荷蓄積を終了した後、ステップS121で撮像素子16から電荷信号を読み出し、撮影画像データとするための所定の処理が行われる。
【0046】
一連の処理を終えたならば、シャッター制御装置23によりステップS122でシャッター先幕15、シャッター後幕がチャージされる。
【0047】
そして、次の撮影のためステップS123でシャッター先幕15が走行し、再びライブビュー撮影開始の準備がなされる。
【0048】
一方、ステップS107でストロボ装置4による閃光発光を行わない場合はステップS124へ進む。
【0049】
ステップS124では、ライブビュー表示状態で被写体像を取り込むのと同様に、撮像素子16で取り込んだ被写体像を用いて測光を行う。具体的には、取得された画像の輝度分布から、適正な露光量となる値を算出する。
【0050】
そして、ステップS125で、シャッター制御装置23によりすでに走行されたシャッター先幕15をチャージする。
【0051】
次に、ステップS126でミラー駆動装置20によりクイックリターンミラー8を撮像光学系から退避させる。
【0052】
その後、ステップS127でカメラ制御部47により撮像素子16の電荷クリアを行った後に、ステップS128で撮像素子16の電荷蓄積を開始させる。さらに、ステップS129でシャッター制御装置23によってシャッター先幕15を走行させ、ステップS130で撮像素子16の露光を開始しステップS118へ進む。
【0053】
このように、本実施形態では、ライブビュー撮影シーケンスにおいて一度走行したシャッター先幕15をチャージし、さらにクイックリターンミラー8を介して測光用センサ14によって測光を行う。これにより、レリーズシーケンス中の極めて短い時間内に測光を行うことができると共に、ダイナミックレンジの広い測光用センサ14を用いるために適切な測光値を精度よく得ることが可能となる。すなわち、ストロボ装置のプリ発光による測光を極めて短い時間で正確に行うことができ、プリ発光から本発光までのタイムラグを小さくすることができる。一方で、ストロボを用いずに撮影する場合には、ライブビュー表示の状態から継続して撮像素子を用いて測光まで行うので、いち早く本撮影に移行することが可能である。したがって、撮影指示であるSW2から撮影画像取得開始までのタイムラグを小さくすることができる。
【0054】
(第2の実施形態)
次に図5を参照して本発明の第2の実施形態の撮影動作について詳細に説明する。
【0055】
第2の実施形態のデジタルカメラの構成は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。また、動作については、前述の図4と共通する部分は同じ記号で示している。
【0056】
まず、ライブビューモードでの撮影開始までのミラーアップシーケンスは第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0057】
次にライブビューモードでの撮影シーケンスについて説明する。
【0058】
ステップS104ではレリーズスイッチ22の半押しでONとなりオートフォーカス処理等の撮影準備を行うシャッタースイッチ(SW1)が押下されたか否かを判別し、押下されたらステップS105へ進む。
【0059】
ステップS105では、撮像素子16からの画像信号を用いてコントラスト検出方式による焦点検出動作が行われ、レンズ6により被写体にピントが合わされる。
【0060】
ステップS106では、さらにレリーズスイッチ22の全押しでONとなり、撮像素子16での露光、撮像信号の読み出し等の一連の撮影動作を開始するシャッタースイッチ(SW2)が押下されたか否かを判別し、押下されたらステップS107へ進む。
【0061】
ステップS107では、ストロボ装置4による閃光発光を行うか否かを判別し、閃光発光を行う場合はステップS108aへ進み、閃光発光を行わない場合はステップS124aへ進む。
【0062】
ステップS108aでは、シャッター制御装置23によりすでに走行されたシャッター先幕15をチャージする。
【0063】
ステップS110では、ストロボ装置4により本発光に先立ち、調光のための閃光発光(プリ発光)を行う。
【0064】
ステップS111aでは、被写体で反射されさらにシャッター先幕15で反射された光束を調光用測光センサ18で測光し、その測光結果に基づいて、本撮影時のストロボ装置4による閃光発光量を決定する。
【0065】
その後、カメラ制御部47によりステップS113で撮像素子16の電荷クリアを行った後に、ステップS114で撮像素子16の電荷蓄積を開始させる。そして、シャッター制御装置23によってステップS115でシャッター先幕15を走行させ、ステップS116で撮像素子16の露光を開始させる。
【0066】
ここでステップS117ではステップS111で決定された閃光発光量にしたがって、ストロボ装置4による本撮影のための閃光発光(本発光)を行う。
【0067】
ステップS118では、カメラ制御部47はステップS111(又はステップS126)で得られた測光データにしたがって撮像素子16の露光終了を待つ。そして、ステップS119でシャッター制御装置23により図示しないシャッター後幕を走行させ、シャッターを閉じる。
【0068】
その後、ステップS120で撮像素子16の電荷蓄積を終了した後、ステップS121で撮像素子16から電荷信号を読み出し、撮影画像データとするための所定の処理が行われる。
【0069】
一連の処理を終えたならば、シャッター制御装置23によりステップS122でシャッター先幕15、シャッター後幕がチャージされる。
【0070】
そして、次の撮影のためステップS123でシャッター先幕15が走行し、再びライブビュー撮影開始の準備がなされる。
【0071】
一方、ステップS107でストロボ装置4による閃光発光を行わない場合はステップS124aへ進む。
【0072】
ステップS124aでは、ライブビュー表示状態で被写体像を取り込むのと同様に、撮像素子16で取り込んだ被写体像を用いて測光を行う。具体的には、取得された画像の輝度分布から、適正な露光量となる値を算出する。次に、ステップS125aで、シャッター制御装置23によりすでに走行されたシャッター先幕15をチャージして閉じた状態とする。
【0073】
その後、ステップS128でカメラ制御部47により撮像素子16の電荷クリアを行った後に、ステップS129で撮像素子16の電荷蓄積を開始させる。さらに、ステップS130でシャッター制御装置23によってシャッター先幕15を走行させ、ステップS131で撮像素子16の露光を開始しステップS118へ進む。
【0074】
このように、本実施形態では、ライブビュー撮影シーケンスにおいて一度走行したシャッター先幕15をチャージし、調光用に設けられた調光用測光センサ18によって測光を行う。これにより、レリーズシーケンス中の極めて短い時間内に測光を行うことができると共に、ダイナミックレンジの広い調光用測光センサ18を用いるために適切な測光値を精度よく得ることが可能となる。すなわち、ストロボ装置のプリ発光による測光を極めて短い時間で正確に行うことができ、プリ発光から本発光までのタイムラグを小さくすることができる。さらに、測光時にクイックリターンミラーを駆動させることがないため省エネルギー化も可能となる。一方で、ストロボを用いずに撮影する場合には、ライブビュー表示の状態から継続して撮像素子を用いて測光まで行うので、いち早く本撮影に移行することが可能である。したがって、撮影指示であるSW2から撮影画像取得開始までのタイムラグを小さくすることができる。
【0075】
(他の実施形態)
また、各実施形態の目的は、次のような方法によっても達成される。すなわち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、本発明には次のような場合も含まれる。すなわち、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0076】
さらに、次のような場合も本発明に含まれる。すなわち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0077】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した手順に対応するプログラムコードが格納されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる一眼レフデジタルカメラの光学的配置を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係わる一眼レフデジタルカメラの光学的配置を示した図である。
【図3】第1の実施形態に係わる一眼レフデジタルカメラのブロック構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態の一眼レフデジタルカメラにおける、ライブビューモードで撮影を行う場合の動作を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態の一眼レフデジタルカメラにおける、ライブビューモードで撮影を行う場合の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
1 カメラ本体
2 撮影レンズ
3 マウント部
4 ストロボ装置
5 レンズ
6 レンズ
7 絞り
8 クイックリターンミラー
9 ピント板
10 コンデンサレンズ
11 ペンタプリズム
12 アイピースレンズ
13 測光用レンズ
14 測光用センサ
15 シャッター先幕
16 撮像素子
17 表示器
18 調光用測光センサ
19 測光用集光レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズを介して入射した被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記撮影レンズと前記撮像素子との間に配置され、前記撮像素子への露光を開始させるタイミングで開くシャッター先幕と、前記撮像素子への露光を終了させるタイミングで閉じるシャッター後幕とを有するシャッターと、
前記撮影レンズからの光束を用いて被写体像を観察するための光学ファインダと、
前記撮影レンズからの光束を前記光学ファインダに導くクイックリターンミラーと、
前記クイックリターンミラーを撮影光路内に位置する状態と撮影光路内から退避した状態とに移動駆動するミラー駆動手段と、
前記光学ファインダ近傍に配置され、前記撮影レンズから入射した被写体からの反射光を前記クイックリターンミラーを介して受光して測光を行う測光センサと、
前記撮像素子から得られる被写体像を表示する表示手段と、
前記シャッター先幕を予め開いた状態にさせるとともに前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内から退避させることにより前記撮像素子から得られる被写体像を前記表示手段に逐次表示するライブビュー表示をしている状態から、被写体を照明する閃光発光装置を用いて撮影を行う場合に、前記シャッター先幕を閉じるとともに前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内に駆動して、前記測光センサで、前記閃光発光装置による予備発光を行うことにより一旦被写体からの反射光の測光を行った後に、再び前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内から退避させて、前記閃光発光装置の本発光を伴う前記撮像素子への露光動作を行うように制御する制御手段と、
を具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記閃光発光装置を用いずに被写体を撮影する場合には、前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内に駆動することなく、前記撮像素子により測光を行った後に撮影を行うように制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
撮影レンズを介して入射した被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記撮影レンズと前記撮像素子との間に配置され、前記撮像素子への露光を開始させるタイミングで開くシャッター先幕と、前記撮像素子への露光を終了させるタイミングで閉じるシャッター後幕とを有するシャッターと、
前記撮影レンズからの光束を用いて被写体像を観察するための光学ファインダと、
前記撮影レンズからの光束を前記光学ファインダに導くクイックリターンミラーと、
前記クイックリターンミラーを撮影光路内に位置する状態と撮影光路内から退避した状態とに移動駆動するミラー駆動手段と、
前記クイックリターンミラーの下方に配置され、前記撮影レンズから入射して前記シャッター先幕により反射される被写体からの光を受光して測光を行う測光センサと、
前記撮像素子から得られる被写体像を表示する表示手段と、
前記シャッター先幕を予め開いた状態にさせるとともに前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内から退避させることにより前記撮像素子から得られる被写体像を前記表示手段に逐次表示するライブビュー表示をしている状態から、被写体を照明する閃光発光装置を用いて撮影を行う場合に、前記シャッター先幕を閉じて、前記測光センサで、前記閃光発光装置による予備発光を行うことにより一旦前記シャッター先幕からの反射光の測光を行った後に、前記閃光発光装置の本発光を伴う前記撮像素子への露光動作を行うように制御する制御手段と、
を具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記閃光発光装置を用いずに被写体を撮影する場合には、前記シャッター先幕を閉じる前に前記撮像素子により測光を行い、その後撮影を行うように制御することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮影レンズを介して入射した被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮影レンズと前記撮像素子との間に配置され、前記撮像素子への露光を開始させるタイミングで開くシャッター先幕と、前記撮像素子への露光を終了させるタイミングで閉じるシャッター後幕とを有するシャッターと、前記撮影レンズからの光束を用いて被写体像を観察するための光学ファインダと、前記撮影レンズからの光束を前記光学ファインダに導くクイックリターンミラーと、前記クイックリターンミラーを撮影光路内に位置する状態と撮影光路内から退避した状態とに移動駆動するミラー駆動手段と、前記光学ファインダ近傍に配置され、前記撮影レンズから入射した被写体からの反射光を前記クイックリターンミラーを介して受光して測光を行う測光センサと、前記撮像素子から得られる被写体像を表示する表示手段と、を備える撮像装置を制御する方法であって、
前記シャッター先幕を予め開いた状態にさせるとともに前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内から退避させることにより前記撮像素子から得られる被写体像を前記表示手段に逐次表示するライブビュー表示をしている状態から、被写体を照明する閃光発光装置を用いて撮影を行う場合に、前記シャッター先幕を閉じるとともに前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内に駆動して、前記測光センサで、前記閃光発光装置による予備発光を行うことにより一旦被写体からの反射光の測光を行った後に、再び前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内から退避させて、前記閃光発光装置の本発光を伴う前記撮像素子への露光動作を行うように制御する工程を具備することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項6】
撮影レンズを介して入射した被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮影レンズと前記撮像素子との間に配置され、前記撮像素子への露光を開始させるタイミングで開くシャッター先幕と、前記撮像素子への露光を終了させるタイミングで閉じるシャッター後幕とを有するシャッターと、前記撮影レンズからの光束を用いて被写体像を観察するための光学ファインダと、前記撮影レンズからの光束を前記光学ファインダに導くクイックリターンミラーと、前記クイックリターンミラーを撮影光路内に位置する状態と撮影光路内から退避した状態とに移動駆動するミラー駆動手段と、前記クイックリターンミラーの下方に配置され、前記撮影レンズから入射して前記シャッター先幕により反射される被写体からの光を受光して測光を行う測光センサと、前記撮像素子から得られる被写体像を表示する表示手段と、を備える撮像装置を制御する方法であって、
前記シャッター先幕を予め開いた状態にさせるとともに前記クイックリターンミラーを前記撮影光路内から退避させることにより前記撮像素子から得られる被写体像を前記表示手段に逐次表示するライブビュー表示をしている状態から、被写体を照明する閃光発光装置を用いて撮影を行う場合に、前記シャッター先幕を閉じて、前記測光センサで、前記閃光発光装置による予備発光を行うことにより一旦前記シャッター先幕からの反射光の測光を行った後に、前記閃光発光装置の本発光を伴う前記撮像素子への露光動作を行うように制御する工程を具備することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−122534(P2008−122534A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304410(P2006−304410)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】