説明

撮像装置

【課題】 生産性の低下や製造コストの増大を来たすことなく可動部材の円滑な移動動作を確保する。
【解決手段】 導電性金属材料によって形成されると共に撮像光学系の光路となる透過孔32dを有し撮像光学系の光路を開閉する可動部材26、27を移動自在に支持するベース板32aと、駆動モーター14の回転に伴って回動され係合ピン35b、35bを有する回動アーム35とを設け、ベース板に導電性金属材料によって形成された案内ピン33、33、・・・を設け、可動部材を樹脂材料によって形成すると共に可動部材に回動アームの係合ピンが摺動自在に係合される摺動孔28b、31bとベース板に設けられた案内ピンが挿入される被案内孔28a、29a、29a、30a、30a、31aとを形成し、駆動モーターの回転に伴う回動アームの回動によって可動部材がベース板に対して移動して透過孔が開閉されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置についての技術分野に関する。詳しくは、アイリス又はシャッターを構成する可動部材を支持するベース板及び係合ピンを導電性金属材料によって形成し、可動部材の円滑な移動動作を確保する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラやスチルカメラ等の撮像装置には、フォーカス制御やズーミングのための各種のレンズを光軸方向へ移動させるレンズ移動機構と、光量調節用のアイリスとを備え、アイリスを構成する可動部材(絞り羽根)を撮像光学系の光軸に対して直交する面内において駆動モーターの駆動力によって移動させることにより光学系の光路を開閉し光量調節を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような撮像装置にあっては、例えば、可動部材が光学系の光路となる透過孔を有するベース板に移動自在に支持され、駆動モーターの駆動力を可動部材に伝達する回動アームを設け、該回動アームの一部を駆動モーターのシャフト(モーター軸)に固定し、回動アームの先端部に設けた係合ピンを可動部材に形成した摺動孔に摺動自在に係合し、駆動モーターの回転に伴って回動される回動アームの回動力を可動部材の並進移動力に変換して、ベース板に対して可動部材を移動させるようにしている。
【0004】
上記のような撮像装置にあっては、駆動モーターの回転時に発生し得るリップル状の電圧変化により可動部材の円滑な移動が妨げられるおそれがあるため、可動部材の移動時におけるベース板との間の摩擦力を低下させる必要がある。
【0005】
そこで、特許文献1に記載された撮像装置にあっては、樹脂材料によって形成されたベース板(特許文献1においては地板7)の表面に滑り性を有する導電性の被膜を施し、可動部材(特許文献1においては遮光羽根2、3)の帯電を防止してベース板への貼り付きを回避すると共にベース板との間の摩擦力を小さくし、可動部材のベース板に対する円滑な移動動作を確保するようにしている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−287203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載された従来の撮像装置にあっては、ベース板の表面に滑り性を有する導電性の被膜を施すため、この被膜を塗装によって形成する作業が必要となり、その分、製造工程が複雑化し生産性が低下するという問題がある。
【0008】
また、このような被膜を施した場合に、被膜の厚みが不均一であると、可動部材の円滑な移動が妨げられるおそれがあるため、被膜の厚みの管理が必要となるが、この管理が製造コストの増大を来たす要因となる。
【0009】
そこで、本発明は、上記した問題点を克服し、生産性の低下や製造コストの増大を来たすことなく可動部材の円滑な移動動作を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明撮像装置は、上記した課題を解決するために、導電性金属材料によって形成されると共に撮像光学系の光路となる透過孔を有し撮像光学系の光路を開閉する可動部材を移動自在に支持するベース板と、駆動モーターの回転に伴って回動され係合ピンを有する回動アームとを設け、ベース板に導電性金属材料によって形成された案内ピンを設け、可動部材を樹脂材料によって形成すると共に可動部材に回動アームの係合ピンが摺動自在に係合される摺動孔とベース板に設けられた案内ピンが挿入される被案内孔とを形成し、駆動モーターの回転に伴う回動アームの回動によって可動部材がベース板に対して移動して透過孔が開閉されるようにしたものである。
【0011】
従って、本発明撮像装置にあっては、導電性金属材料によって形成されたベース板に対して樹脂材料によって形成された可動部材が移動される。
【発明の効果】
【0012】
本発明撮像装置は、内部に撮像光学系が配置されたレンズ鏡筒とアイリス又はシャッターを構成し撮像光学系の光路を開閉する可動部材を有する移動機構と該移動機構の駆動源となる駆動モーターとを備えた撮像装置であって、導電性金属材料によって形成されると共に撮像光学系の光路となる透過孔を有し上記可動部材を移動自在に支持するベース板と、上記駆動モーターの回転に伴って回動され係合ピンを有する回動アームとを備え、上記ベース板に導電性金属材料によって形成された案内ピンを設け、上記可動部材は樹脂材料によって形成されると共に回動アームの係合ピンが摺動自在に係合される摺動孔とベース板に設けられた案内ピンが挿入される被案内孔とを有し、駆動モーターの回転に伴う回動アームの回動によって可動部材がベース板に対して移動して透過孔が開閉されるようにしたことを特徴とする。
【0013】
従って、可動部材の帯電を防止することができると共に生産性の低下や製造コストの増大を来たすことなく可動部材のベース板に対する円滑な移動動作を確保することができる。
【0014】
請求項2に記載した発明にあっては、上記ベース板に、導電性金属材料によって形成され可動部材が移動時に摺接される摺接突部を設けたので、可動部材の移動時におけるベース板との接触面積が小さく、可動部材の動作の円滑化を図ることができる。
【0015】
請求項3に記載した発明にあっては、上記ベース板に支持された可動部材を閉塞するカバー体を設け、該カバー体を導電性金属材料によって形成したので、可動部材の帯電の防止及び動作の円滑化を図ることができる。
【0016】
請求項4に記載した発明にあっては、上記回動アームの係合ピンを導電性金属材料によって形成したので、可動部材の一層の帯電の防止及び動作の円滑化を図ることができる。
【0017】
請求項5に記載した発明にあっては、上記ベース板と係合ピンを一体に形成したので、製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明撮像装置を実施するための最良の形態を添付図面に従って説明する。以下に示す最良の形態は、本発明撮像装置をビデオカメラに適用したものである。尚、本発明の適用範囲はビデオカメラに限られることはなく、本発明は、スチルカメラの他、動画撮影又は静止画撮影の機能を有する各種の撮像装置に適用することができる。
【0019】
先ず、撮像装置(ビデオカメラ)の基本構成を説明する(図1参照)。
【0020】
撮像装置1は、外筐として設けられたレンズ鏡筒2に所要の各部が配置されて成り、レンズ鏡筒2には、レンズ又はレンズ群3(図には単レンズとして簡略化して示す。)と、固体撮像素子等の撮像手段4と、アイリス若しくはシャッター又はこれらの双方の機能を兼用する移動機構5とが設けられている。
【0021】
移動機構5を構成する一対の可動部材6、6は駆動モーター7の駆動力によって移動され、可動部材6、6が移動されることにより光学系の光路が開閉される。駆動モーター7としては、例えば、ローターがステーターの内側に配置された所謂インナーローター型のモーターが用いられ、駆動モーター7の駆動力が可動部材6、6に伝達されて該可動部材6、6が移動される。
【0022】
被写体からレンズ又はレンズ群3を通った光は、一対の可動部材6、6として設けられた絞り羽根やシャッター部材によって形成される開口を通して撮像手段4に入射される。尚、光量調節時には、可動部材6、6が光軸OLに直交する面内で並進移動されるが、本発明の適用においては、可動部材の数や形状等の如何は問わず、1つ又は複数の可動部材を用いた各種形態での実施が可能である。
【0023】
駆動モーター7としては、発生トルクを十分に確保すること及びシャッタースピードの高速化への対応等を考慮した場合に、ボイスコイル型を用いることが好ましいが、必要に応じてリニアモーター等を用いることも可能である。
【0024】
次に、撮像装置の具体的な構成例について説明する(図2乃至図17参照)。
【0025】
撮像装置8のレンズ鏡筒9には、図2に示すように、被写体側から順に、対物レンズ10、変倍レンズ11、レンズ12、移動機構13、駆動モーター14、フォーカスレンズ15及び固体撮像素子16が配置されている。移動機構13はアイリス若しくはシャッター又はこれらの双方の機能を有しているが、以下には移動機構13がアイリスとシャッターの双方の機能を有している場合について説明する。
【0026】
レンズ鏡筒9の内部には、移動機構13を挟んで光軸OL方向における互いに反対側の位置に、それぞれ光軸OLに対して平行なガイドバー17、17とガイドバー18、18が配置されている。
【0027】
変倍レンズ11はホルダー19に保持されており、該ホルダー19がガイドバー17、17に摺動自在に支持されている。ホルダー19に保持された変倍レンズ11は、変倍レンズ用駆動部20の駆動力がホルダー19に伝達されることにより光軸OLに沿う方向へ移動される。
【0028】
フォーカスレンズ15はホルダー21に保持されており、該ホルダー21がガイドバー18、18に摺動自在に支持されている。ホルダー21に保持されたフォーカスレンズ15は、フォーカスレンズ用駆動部22の駆動力がホルダー21に伝達されることにより光軸OLに沿う方向へ移動される。
【0029】
固体撮像素子16によって得られる画像出力は画像処理部23に送出されて所定の処理が行われる。画像処理部23は、制御等に必要な情報を演算処理部24に送出したり、撮影画像をビユーファインダーやモニター等に送って表示させ、或いは、ユーザーの操作指示に従って画像情報等を記録媒体に記録させる。マイクロコンピュータ等を有する演算処理部24は、制御部25に制御指令信号を送出し、該制御部25から駆動モーター14、変倍レンズ用駆動部20及びフォーカスレンズ用駆動部22等に制御信号が入力されることによって各部が制御される。
【0030】
移動機構13は、図3に示すように、可動部材26、27として機能する一対の絞り羽根を有しており、可動部材26、27を移動させることにより、入射光量の調節機能及びシャッター機能を兼用している。移動機構13はレンズ鏡筒9の外周面から突出されることなく、レンズ鏡筒9の内部に組み込まれているため、他の部品との干渉の問題に煩わされることがなく、小型化やコンパクト化に好適である。
【0031】
可動部材26、27は樹脂材料の表面に、例えば、カーボンコーティングが施されることにより形成されている。
【0032】
可動部材26は主部28と該主部28の左右両端部からそれぞれ下方へ突出された突部29、29とが一体に形成されて成る。可動部材26には下方に開口された開口用切欠26aが形成されている。
【0033】
主部28には、一方の側縁に上下に長い被案内孔28aが形成され、上端部に左右に長い摺動孔28bが形成されている。
【0034】
突部29、29にはそれぞれ上下に長い被案内孔29a、29aが形成されている。
【0035】
可動部材27は主部30と該主部30の一方の側縁部から上方へ突出された突部31とが一体に形成されて成る。可動部材27には上方に開口された開口用切欠27aが形成されている。主部30には、左右両側縁にそれぞれ上下に長い被案内孔30a、30aが形成されている。
【0036】
突部31には上下に長い被案内孔31aが形成されている。突部31の上端部には左右に長い摺動孔31bが形成されている。
【0037】
可動部材26、27はそれぞれベース体32に上下方向へ移動自在に支持される(図4及び図5参照)。
【0038】
ベース体32は導電性金属材料、例えば、アルミニウム、SUS(ステンレス鋼)、SPCC(鉄板)、SECC(めっき鋼板)等によって形成され、可動部材26、27を移動自在に支持する役割を果たす。尚、ベース体32はアルミニウム、マグネシウム、亜鉛等によるダイカスト法によって形成されていてもよい。ダイカスト法によって形成することにより、ベース体32が複雑な形状である場合にも対応することができる。
【0039】
ベース体32は縦長の略矩形状に形成され、ベース板32aと該ベース板32aの外周縁に設けられ前方へ突出された補強リブ32bとが、例えば、一体に形成されている。ベース体32には上下左右に離隔して前方へ突出された4つの案内ピン33、33、・・・が設けられている。案内ピン33、33、・・・はベース体32に一体に設けられていてもよく、また、別体で設けられていてもよい。
【0040】
案内ピン33、33、・・・がベース体32に一体に設けられた場合には、製造コストの低減を図ることができる。
【0041】
案内ピン33、33、・・・をベース体32に一体に設ける方法としては、例えば、図6に示すように、絞り加工により形成する方法がある。この場合には、案内ピン33、33、・・・を前後に延びる円筒部33a、33a、・・・と半球状の先端部33b、33b、・・・とによって構成し、円筒部33a、33a、・・・に可動部材26、27が支持されるようにする。また、案内ピン33、33、・・・をベース体32に一体に設ける方法として、例えば、図7に示すように、半抜き加工により形成する方法がある。
【0042】
ベース体32には前方へ突出された打出状の摺接突部32c、32c、・・・が設けられている(図4参照)。摺接突部32c、32c、・・・は表面が曲面状に形成されている(図8参照)。ベース体32に対する可動部材26、27の移動時には、該可動部材26、27が摺接突部32c、32c、・・・と線接触され、ベース体32との間の摩擦力が小さくなるようにされている。
【0043】
ベース体32の略中央部には撮像光学系の光路となる透過孔32dが形成され(図4参照)、光学系の光軸OLが透過孔32dの中心を通る位置に設定されている。
【0044】
ベース体32には円弧状を為す挿通孔32e、32eが形成されている。
【0045】
ベース体32の3つの案内ピン33、33、33は、それぞれ可動部材26の被案内孔28a、29a、29aに挿入されて摺動自在に係合される。また、ベース体32の3つの案内ピン33、33、33は、それぞれ可動部材27の被案内孔30a、30a、31aに挿入されて摺動自在に係合される。即ち、2つの案内ピン33、33は可動部材26の被案内孔29a、29aと可動部材27の被案内孔30a、30aとに係合され、別の案内ピン33は可動部材26の被案内孔28aのみに係合され、また別の案内ピン33は可動部材27の被案内孔31aのみに係合される。
【0046】
ベース体32に可動部材26、27が支持された状態において、可動部材26、27を閉塞するカバー体34がベース体32に取り付けられる(図4参照)。カバー体34は導電性金属材料によって縦長の形状に形成され、カバー体34の中央部には大きな開口部34aが形成されている。
【0047】
カバー体34はベース体32に接着、ネジ止め等の適宜の方法によって取り付けられる。カバー体34がベース体32に取り付けられた状態において、カバー体34の開口部34aの中心とベース体32の透過孔32dの中心とが光軸OL方向において一致される。
【0048】
ベース体32の後方には駆動モーター14が配置される(図4及び図5参照)。駆動モーター14はモーター軸14aが前後に延びる向きで配置されている。駆動モーター14のモーター軸14aには回動アーム35が固定されている。
【0049】
回動アーム35はアーム部35aと該アーム部35aの両端部に設けられた係合ピン35b、35bとから成る。アーム部35aは、長手方向における中央部がモーター軸14aに固定され、該モーター軸14aの軸方向と直交する方向へ延びるように設けられている。係合ピン35b、35bはアーム部35aから前方へ突出するように設けられている。
【0050】
駆動モーター14がベース体32の後側に配置された状態においては、回動アーム35の係合ピン35b、35bがそれぞれベース体32の挿通孔32e、32eに挿通されて可動部材26、27の摺動孔28b、31bにそれぞれ摺動自在に係合される。
【0051】
以下に、駆動モーター14の回転に伴う可動部材26、27の動作について説明する(図9及び図10参照)。
【0052】
回動アーム35の係合ピン35b、35bがそれぞれ可動部材26、27の摺動孔28b、31bに係合されることにより、駆動モーター14の回転に伴って回動アーム35が回動されると、可動部材26、27が案内ピン33、33、・・・に案内されて互いに離接する方向(上下方向)へ並進移動される。可動部材26、27はベース体32に設けられた摺接突部32c、32c、・・・と線接触された状態で移動される。
【0053】
このとき駆動モーター14が一方の方向へ回転されると、図9に示すように、可動部材26、27が互いに離れる方向へ移動され、可動部材26、27の開口用切欠26a、27aによって形成される開口36の面積が大きくなり透過孔32dが開放されていくことにより入射光量が増加する。逆に、回動アーム35が、他方の方向へ回転されると、図10に示すように、可動部材26、27が互いに近づく方向へ移動され、可動部材26、27の開口用切欠26a、27aによって形成される開口36の面積が小さくなり透過孔32dが閉塞されていくことにより入射光量が減少する。
【0054】
従って、ベース体32の透過孔32dを透過する光については、可動部材26、27による開口36の大きさによって光量調節が行われる。
【0055】
可動部材26、27の移動時には、該可動部材26、27がベース体32及び案内ピン33、33、・・・と摺接されるが、ベース体32及び案内ピン33、33、・・・が金属材料によって形成されているため、滑り性が良好であり、可動部材26、27がベース体32及び案内ピン33、33、・・・に対して円滑に摺動される。
【0056】
以上に記載した通り、撮像装置1にあっては、ベース体32と案内ピン33、33、・・・とを導電性金属材料によって形成したので、可動部材26、27の帯電を防止することができると共に生産性の低下や製造コストの増大を来たすことなく可動部材26、27のベース体32に対する円滑な移動動作を確保することができる。
【0057】
また、ベース体32に摺接突部32c、32c、・・・を形成したので、可動部材26、27の移動時におけるベース体32との接触面積が小さく、可動部材26、27の動作の円滑化を図ることができる。
【0058】
さらに、可動部材26、27の移動時には、該可動部材26、27がベース体32の反対側に位置されたカバー体34と接触することもあるが、この場合にも、カバー体34が導電性金属材料によって形成されているので、可動部材26、27の帯電の防止及び動作の円滑化を図ることができる。
【0059】
尚、撮像装置1にあっては、回動アーム35の係合ピン35b、35bを導電性金属材料によって形成することも可能である。また、図11に示すように、係合ピン35b、35bに、導電性金属材料によって形成されたスリーブ37、37を外嵌状に取り付けて、該スリーブ37、37を可動部材26、27の摺動孔28b、31bに摺動自在に係合するようにしてもよい。
【0060】
このように係合ピン35b、35bを導電性金属材料によって形成し、又は、導電性金属材料によって形成されたスリーブ37、37を係合ピン35b、35bに取り付けることにより、可動部材26、27の移動時に摺動孔28b、31bが導電性金属材料と摺接され、可動部材26、27の一層の帯電の防止及び動作の円滑化を図ることができる。
【0061】
ベース体32は、例えば、以下のような手順により成形される。
【0062】
先ず、一枚の金属材料から成る板材を所定の外形状となるように打ち抜き、絞り加工によって外周縁に補強リブ32bを形成する。次に、補強リブ32bの内側の部分の平面度を保持するためにプレスを行ってベース板32aを形成する。次いで、透過孔32d及び挿通孔32e、32eを形成するために打ち抜き加工を行い、最後に、摺接突部32c、32c、・・・を絞り加工又は半抜き加工によって形成し、案内ピン33、33、・・・を一体に形成する場合には絞り加工によって行い、ベース体32の成形を完了する。
【0063】
上記には、導電性金属材料によってベース体32を一体に形成した例を示したが、以下のように、ベース板32aを導電性金属材料によって形成し、補強リブ32bを樹脂材料によって形成してもよい。
【0064】
このような方法としては、例えば、図12に示すように、ベース板32aと補強リブ32bをインサート成形によって一体に形成する方法、図13に示すように、ベース板32aに取付孔38を形成し補強リブ32bに取付孔38に挿入されるカシメボス39を設けてカシメによりベース板32aと補強リブ32bを結合して形成する方法、図14に示すように、接着剤40を用いてベース板32aと補強リブ32bを接着して形成する方法、図15に示すように、ベース板32aに螺孔41を形成し補強リブ32bにネジ挿通孔42を形成し取付ネジ43をネジ挿通孔42に挿通して螺孔41に螺合してベース板32aと補強リブ32bを結合して形成する方法、図16に示すように、ベース板32aに係合孔44を形成し補強リブ32bに係合爪45、45を設けて該係合爪45、45を係合孔44の開口縁に係合しベース板32aと補強リブ32bを結合して形成する方法等がある。
【0065】
このようにベース板32aを導電性金属材料によって形成し、補強リブ32bを樹脂材料によって形成することにより、ベース体32を複雑な形状に形成する場合にも対応することができる。
【0066】
また、上記には、絞り加工によって円筒部33aと先端部33bとから成る案内ピン33を形成した例を示したが、図17に示すように、案内ピン33Aとして絞り加工により外径の異なる大径部33cと小径部33dとを形成し、一方の可動部材26(可動部材27)を大径部33cに係合し、他方の可動部材27(可動部材26)を小径部33dに係合するようにしてもよい。
【0067】
このように大径部33cと小径部33dを形成することにより、可動部材26と可動部材27の移動時における接触頻度を少なくすることが可能であり、可動部材26、27の円滑な動作を確保することができる。
【0068】
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図2乃至図17と共に本発明撮像装置の最良の形態を示すものであり、本図は、撮像装置の基本構成を示す概念図である。
【図2】撮像装置の構成例を示す断面図である。
【図3】可動部材の拡大正面図である。
【図4】撮像装置の分解斜視図である。
【図5】カバー体を取り外した状態で示す撮像装置の斜視図である。
【図6】絞り加工によって形成された案内ピンに可動部材が支持された状態を示す拡大断面図である。
【図7】半抜き加工によって形成された案内ピンに可動部材が支持された状態を示す拡大断面図である。
【図8】摺接突部に可動部材が接している状態を示す拡大断面図である。
【図9】図10と共に可動部材の動作を示すものであり、本図は透過孔が開放された状態を示す拡大正面図である。
【図10】透過孔が閉塞された状態を示す拡大正面図である。
【図11】回動アームの別の例を一部を断面にして示す拡大平面図である。
【図12】図13乃至図16と共にベース体の一部を樹脂材料によって形成した例を示すものであり、本図はインサート成形によって形成した例を示す断面図である。
【図13】カシメによって形成した例を示す拡大断面図である。
【図14】接着によって形成した例を示す拡大断面図である。
【図15】ネジ止めによって形成した例を示す拡大断面図である。
【図16】係合爪を係合させることによって形成した例を示す拡大断面図である。
【図17】段付形状の案内ピンに可動部材が支持された状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1…撮像装置、2…レンズ鏡筒、5…移動機構、6…可動部材、7…駆動モーター、8…撮像装置、9…レンズ鏡筒、13…移動機構、14…駆動モーター、26…可動部材、27…可動部材、28a…被案内孔、28b…摺動孔、29a…被案内孔、30a…被案内孔、31a…被案内孔、31b…摺動孔、32a…ベース板、32c…摺接突部、32d…透過孔、33…案内ピン、34…カバー体、35…回動アーム、35b…係合ピン、33A…案内ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に撮像光学系が配置されたレンズ鏡筒とアイリス又はシャッターを構成し撮像光学系の光路を開閉する可動部材を有する移動機構と該移動機構の駆動源となる駆動モーターとを備えた撮像装置であって、
導電性金属材料によって形成されると共に撮像光学系の光路となる透過孔を有し上記可動部材を移動自在に支持するベース板と、
上記駆動モーターの回転に伴って回動され係合ピンを有する回動アームとを備え、
上記ベース板に導電性金属材料によって形成された案内ピンを設け、
上記可動部材は樹脂材料によって形成されると共に回動アームの係合ピンが摺動自在に係合される摺動孔とベース板に設けられた案内ピンが挿入される被案内孔とを有し、
駆動モーターの回転に伴う回動アームの回動によって可動部材がベース板に対して移動して透過孔が開閉されるようにした
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記ベース板に、導電性金属材料によって形成され可動部材が移動時に摺接される摺接突部を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記ベース板に支持された可動部材を閉塞するカバー体を設け、
該カバー体を導電性金属材料によって形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
上記回動アームの係合ピンを導電性金属材料によって形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
上記ベース板と係合ピンを一体に形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−119261(P2006−119261A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305438(P2004−305438)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】