説明

撮像装置

【課題】EVF中に被写界深度の状態や背景のぼけ具合を確認するために実絞りが絞り込まれた場合に、良好な本画像を得ることを可能にした撮像装置を提供する。
【解決手段】撮影レンズを介して結像する光学像を電気信号に変換する撮像素子と、撮像素子から取得した第1の画像情報を記憶する記憶手段と、その後に撮影される第2の画像を得て、第1の画像情報を利用して第2の画像の処理を画像処理手段で行い、これをその後のEVF画像や、静止画像の画像処理に利用する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に電子ビューファインダを用いて被写体像を確認することができる撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、動画モニタ機能を有する電子スチルカメラ、すなわちモニタ等に撮影前画像を出力する電子ビューファインダ機能(EVF機能)を有する電子スチルカメラが知られている。近年、一眼レフカメラにおいてもこのEVF機能を有するものが一般的になってきている。EVF表示においては、絞りを滑らかに変化させることが困難なことやフレームレートを確保する必要があることから、通常、撮影光学系の絞りは開放に固定される。そのため、本撮影画像とEVF画像では、被写界深度や背景のぼけ具合が大きく異なることがあった。
【0003】
これに対し、例えば、特許文献1では、EVF中に絞り込みスイッチを押した時に絞りを本撮影時の絞り値とし、シャッタースピードとゲインをコントロールして本撮影時と同じ露出にするデジタルカメラが開示されている。特許文献2では、光学ファインダ(OVF)によるプレビューとEVFによるプレビューの双方が可能で、それぞれのプレビュー状態に瞬時に切り替えられるデジタル一眼レフカメラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−169154号公報
【特許文献2】特開2003−060943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献に開示された従来技術では、絞り込みスイッチを押した時に本撮影用とほぼ同等のプレビュー画像を得ることはできるものの、その後の本撮影時の処理方法については特に言及されていなかった。そのため、プレビュー画像で確認した結果と異なる本画像結果が得られることがあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、EVF中に被写界深度の状態や背景のぼけ具合を確認するために実絞りが絞り込まれた場合に、良好な本画像を得ることを可能にした撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る撮像装置の構成は、撮影レンズ(11)を介して結像する光学像を電気信号に変換する撮像素子(17)と、前記撮影レンズの絞りを所定の範囲内の任意の絞り値に絞り込むための絞り込み操作部材(28)と、撮影後の画像を表示するための、もしくは撮影前の画像を電子ビューファインダとして表示するための画像表示手段(22)と、前記撮像素子からの画像を処理する画像処理手段(25)とを備え、前記絞り込み操作部材が操作された場合、前記記憶手段に前記撮像素子から取得した第1の画像から得られる第1の画像情報を記憶する記憶手段(33)と、その後に撮影される第2の画像から得られる第2の画像情報と前記第1の画像情報を利用して前記第2の画像処理を前記画像処理手段で行う撮像装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、EVF中に被写界深度の状態や背景のぼけ具合を確認するために実絞りが絞り込まれた場合に、良好な本画像を得ることを可能にした撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態における本撮影画像の処理フロー
【図2】本実施形態の撮像装置の構成図
【図3】本実施形態の撮像装置の撮影における処理フロー
【図4】本実施形態の撮像装置のEVF処理の処理フロー
【図5】本実施形態の撮像装置のEVF現像処理の処理フロー
【図6】絞り値による顔検出結果の違いを示した図
【図7】絞り値による像面光量の違いを示した図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態にかかわる撮像装置の構成を示す図である。
【0011】
[実施例1]
以下、図2を参照して、本発明の第1の実施例による撮像装置について説明する。
【0012】
同図において100は撮像装置本体である。本実施形態では、撮像装置はデジタル一眼レフカメラとして具現化される。16は撮像素子17への露光量を制御するためのシャッターである。17は光学像を電気信号に変換する撮像素子であり、画素はR、G、Bのフィルタが市松状に配置されたベイヤー配列の構成となっている。撮影レンズ11に入射した光線は、一眼レフ方式によって絞り12、ミラー13、シャッター16を介して導かれ、光学像として撮像素子17に結像する。
【0013】
19はA/D変換器であり、撮像素子17のアナログ信号出力をデジタル信号に変換する。20は撮像素子17、A/D変換器19、D/A変換器21にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路23及びシステム制御回路31により制御される。
【0014】
25は画像処理回路であり、A/D変換器19からのデータ或いはメモリ制御回路23からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。また、画像処理回路においては、必要に応じて撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御回路31がシャッター制御回路18に対して制御を行うTTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAE(自動露出)処理を行う。さらに、画像処理回路25は、ホワイトバランス処理回路25a、顔処理回路25b、ヒストグラム処理回路25cを備えている。
【0015】
ホワイトバランス処理回路25aは、撮像素子17から取得され、A/D変換器19を介してメモリ33上に置かれたRAWデータからホワイトバランス処理を行う。顔処理回路25bは、RAWデータ又は画像処理回路25によって現像処理されメモリ33上に置かれたYUVデータを基に顔検出を行い、顔の位置、個数、明度、彩度に関する情報を出力する。ヒストグラム処理回路25cは、RAWデータ又は画像処理回路25によって現像処理されメモリ33上に置かれたYUVデータのヒストグラム検出を行う。画像処理回路25は、これらのホワイトバランス処理回路25a、顔処理回路25b、ヒストグラム処理回路25cからの出力に基づいて、階調(コントラスト)補正や彩度補正等の画像補正を行う。
【0016】
23はメモリ制御回路であり、A/D変換器19、タイミング発生回路20、画像処理回路25、画像表示メモリ24、D/A変換器21、メモリ33、圧縮・伸長回路34を制御する。A/D変換器19のデータが画像処理回路25、メモリ制御回路23を介して、或いは、A/D変換器19のデータが直接メモリ制御回路23を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ33に書き込まれる。
【0017】
24は画像表示メモリであり、21はD/A変換器である。22はTFT等からなる画像表示装置であり、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用画像データはD/A変換器21を介して画像表示装置22により表示される。EVFの場合は、画像表示装置22を用いて撮像した画像データを逐次表示してEVF機能を実現している。画像表示装置22は、OVF/EVFスイッチ27によって任意にON/OFFすることが可能である。
【0018】
33は撮影した静止画像や動画像のデータを格納するためのメモリであり、所定枚数の静止画像のデータや所定時間の動画像のデータを格納するのに十分な記憶量を備えている。また、メモリ33はシステム制御回路31の作業領域としても使用することが可能である。34は適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸長する圧縮・伸長回路であり、メモリ33に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータをメモリ33に書き込む。
【0019】
18はシャッター制御部であり、測光部30からの測光情報に基づいて絞り12を制御する絞り制御部32と連携しながらシャッター16を制御する。30はAE(自動露出)処理を行うための測光部であり、撮影レンズ11に入射した光線を一眼レフ方式によって絞り12、ミラー13及び14、そして不図示の測光用レンズを介して測光部30に入射させることにより、光学像として結像された画像の露出状態を測定することができる。
【0020】
EVFでは、撮像素子17によって撮像した画像データを画像処理回路25によって演算した演算結果に基づき、システム制御回路31がシャッター制御部18、絞り制御部32に対して制御を行う、ビデオTTL方式を用いて露出制御をおこなう。このとき、測光部30による想定結果と、撮像素子17によって撮像した画像データを画像処理回路25によって演算した演算結果とを共に用いて露出制御を行ってもよい。
【0021】
31は撮像装置全体を制御するシステム制御部である。29はシステム制御回路31の動作用の定数、変数、プログラムなどを記憶するための電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリである。
【0022】
27、28、40、41は、システム制御回路31の各種の動作指示を入力するための操作手段であり、スイッチやダイアル、タッチパネル等で構成される。40はシャッタースイッチSW1であり、不図示のシャッター釦の操作途中でONとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュ調光)処理等の動作開始を支持する。41はシャッタースイッチSW2であり、不図示のシャッター釦の操作完了でONとなり、撮像素子17から読み出した信号をA/D変換器19、メモリ制御回路23を介してメモリ33に画像データを書き込む露光処理、画像処理回路25やメモリ制御回路23での演算を用いた現像処理、メモリ33から画像データを読み出し、圧縮・伸長回路34で圧縮を行い、記録媒体26に画像データを書き込む記録処理という一連の処理動作開始を指示する。
【0023】
27はOVF/EVF切り替えスイッチであり、OVFとEVFとの切り替え設定を行うことができる。OVF/EVF切り替えスイッチ27を切り替えることにより、被写体を光学ファインダ15で確認しながら撮影するのと、被写体を撮像素子17によって撮像した画像データを前述の所定の処理を行って画像表示装置22に画像表示するのとを選択できる。EVFで画像を表示する場合には、所定間隔(フレームレート)で撮像素子17で画像を撮像し、画像表示装置22で表示する画像を切り替える。
【0024】
42は各種釦やタッチパネル等からなる操作部であり、メニュー釦、セット釦、シャッター速度設定手段、絞り値設定手段、ISO感度設定手段、撮影及び再生を実行する際に各種機能の選択及び切り替えを設定する選択/切り替え釦、撮影及び再生を実行する際に各種機能の決定及び実行を設定する決定/実行釦等を備える。
【0025】
28は絞り込みスイッチである。絞り込みスイッチ28を操作すると、所定の絞り値になるように絞り12が絞られる。所定の絞り値とは、操作部42によって決定された絞り値または測光部30によって演算された絞り値である。絞り値は連続的に調整できるものであっても、段階的に調整できるものであってもよい。また、本実施形態では絞り込みスイッチを例にしたが、レンズ鏡筒に配置された絞りリングをユーザが回転することによって直接絞りを調整するようなものであってもよい。絞り込みスイッチを押下することで、本撮影と同じ絞り値になり、被写界深度の確認や背景のぼけ具合を本撮影前にEVFによって確認することができる。
【0026】
15は光学ファインダであり、撮影レンズ11に入射した光線を一眼レフ方式によって、絞り12、ミラー13及び14を介して導き、光学像として結像表示することができる。これにより、画像表示装置22によるEVF機能を使用すること無しに、光学ファインダ15のみを用いて撮影を行うことが可能である。
【0027】
13、14はミラーであり、撮影レンズ11に入射した光線を一眼レフ方式によって光学ファインダ15に導くことができる。なお、本実施形態においてはミラー13はクイックリターンミラーの構成としたが、ハーフミラーの構成としても勿論構わない。
【0028】
26はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。撮影された静止画像や動画像は、システム制御回路31によって記録媒体26に記録される。
【0029】
11は撮影レンズであり、12は絞りである。32は絞り制御部であり、測光部30からの測光情報又は撮像素子17によって撮像した画像データを画像処理回路25によって演算した演算結果に基づいて、シャッター16を制御するシャッター制御部18と連携しながら、絞り12を制御する。
【0030】
次に、上記構成を有する本実施形態の撮像装置の動作について図1〜図7を参照しながら説明する。
【0031】
図3は、撮像装置の撮影動作の主ルーチンを示すフローチャートである。
【0032】
システム制御回路31は、使用者によりシャッタースイッチSW1が押下されたか否か(ON/OFF)を判断する(ステップS301)。シャッタースイッチSW1が押下されていないならば、ステップS301に戻る。シャッタースイッチSW1が押下されたならば、システム制御回路31は、測光部30により測光処理を行うことで絞り値、シャッター時間及びISO感度を決定する(ステップS302)。
【0033】
次に、システム制御回路31は、OVFフラグ/EVFフラグの状態を判断する(ステップS303)。OVFフラグが設定されているならば、ステップS305に進む。EVFフラグが設定されているならば、システム制御回路31は、撮像素子17より被写体像を撮像し画像表示装置22に画像を所定間隔で更新しながら表示するためのEVF表示処理を行い(ステップS304)、ステップS306に進む。ステップS306のEVF表示処理の詳細については図4を用いて後述する。
【0034】
上記のようにステップS303においてEVFフラグが設定されていると判断した場合は、ステップS306においてEVF表示処理を行う。これにより、ステップS307において使用者によりシャッタースイッチSW2が押下されて撮影が行われた際に、撮影した画像の確認を容易に行うことが可能となる。
【0035】
次に、システム制御回路31は、使用者によりシャッタースイッチSW2が押下されたか否か(ON/OFF)を判断する(ステップS307)。シャッタースイッチSW2が押下されていないならば、システム制御回路31は、シャッタースイッチSW1が放されるまで(ステップS309でON)、現在の処理を繰り返す。シャッタースイッチSW1が放されたならば(ステップS309でOFF)、ステップS301に戻る。シャッタースイッチSW2が押下されたならば、システム制御回路31は撮像素子17において撮像により所定時間蓄積した撮像信号を撮像素子17から読み出す。更に、システム制御回路31は、メモリ33の画像記憶バッファ領域に撮像した画像データを書き込む本画像撮影処理を実行する(ステップS308)。メモリ33に対する画像データ書き込みは、A/D変換器19、画像処理回路25、メモリ制御回路23を介して、或いはA/D変換器19から直接メモリ制御回路23を介して行う。ステップS308の本画像撮影処理を終えたならば、AWB処理、ヒストグラム検出処理、ガンマ変換処理、色変換処理、顔検出処理などを含む各種の本画像現像処理を行う(ステップS310)。ステップS310の本画像現像処理の詳細については図1を用いて後述する。
【0036】
一連の撮影の実行に伴い、システム制御回路31は、メモリ33の画像記憶バッファ領域に記憶した画像データを読み出し、記録媒体26に書き込む記録処理を行う(ステップS311)。記録処理は、メモリ33の画像記憶バッファ領域の空き画像部分に、撮影に伴い一連の処理を終えた画像データの書き込みが新たに行われる度に、その画像データに対して実行される。
【0037】
図4は、撮像装置の撮影動作におけるEVF表示処理(図3のステップS306)の詳細を示すフローチャートである。図4において、システム制御回路31は不図示のミラー駆動部によりミラー13をミラーアップする(ステップS401)。次に、システム制御回路31は、絞り込みスイッチ28が操作されているか否か(ON/OFF)をチェックする(ステップS402)。絞り込みスイッチ28がOFFであるならば、ステップS404に進む。絞り込みスイッチ28がONであるならば絞り12を所定の絞り値まで絞り駆動する(ステップS403)。絞り12を所定の絞り値まで絞り駆動し、光線をシャッター16へ入射させ、撮像素子17における電荷の蓄積を開始する(ステップS404)。更にシステム制御回路31は、シャッター制御部18により直ちにシャッター16を開くことで(ステップS405)、撮像素子17への露光を行う(ステップS406)。撮像素子17への露光に伴い撮像素子17において電荷が蓄積される。尚、撮像素子17への露光を行う際の露光時間の上限は、撮像素子17に結像した光学像を基に画像表示装置22に動画として表示するため、フレームレートにより決定される。
【0038】
システム制御回路31は、撮像素子17における電荷の蓄積を終了した後(ステップS407)、撮像素子17から撮像信号を読み出す(ステップS408)。更に、システム制御回路31は、画像処理装置25により、測光値(露光量)の演算を行うと共に(ステップS409)、AWB処理、ヒストグラム検出処理、ガンマ変換処理、色変換処理、顔検出処理等を含む各種のEVF現像処理を行う(ステップS410)。更に、システム制御回路31は、画像表示装置22に動画を表示する(ステップS411)。尚、撮像素子17に結像した光学像を動画として表示するためのフレームレートで、画像表示装置22に動画を表示する。
【0039】
ここで、ステップS410のEVF現像処理の詳細を図5に示す。
【0040】
まず、A/D変換器19から画像処理回路25に送られてきたR、G、Bの画像データはホワイトバランス処理回路25aによってAWB処理が行われる(ステップS501)。AWB処理は、ホワイトバランス処理回路25aに送られてきたR、G、Bの色比情報やステップS409で演算された測光値、過去のフレームにおいて同様の方法を用いて演算されたAWB処理結果などに基づき演算される。次に、画像処理回路25によって、リニアマトリクスによる色変換処理(ステップS502)、ガンマ変換処理(ステップS503)が行われ、YUVデータに変換される。次に、このYUVデータに対してヒストグラム検出処理(ステップS504)及び顔検出処理(ステップS505)を行う。ステップS504では、ヒストグラム処理回路25cによりYUVデータを256階調に分類する。ステップS505では、顔処理回路25bによりYUVデータに存在する顔の位置、個数、明度、彩度に関する情報を取得する。さらに、ステップS504及びステップS505で取得したデータに基づき、画像処理回路25が公知の手法によって階調補正処理を行う(ステップS506)。ここで、システム制御回路31は、絞り込みスイッチ28が操作されているか否か(ON/OFF)をチェックする(ステップS507)。絞り込みスイッチ28がOFFである場合には、EVF現像処理を終了しS411に進む。絞り込みスイッチ28がONである場合には、ステップS501のAWB処理結果、ステップS504のヒストグラム検出結果、ステップS505の顔検出結果を画像処理回路25がメモリ33に記憶させ、EVF現像処理を終了させる(ステップS508)。
【0041】
ここで、何故絞り込みスイッチ28が操作されているか否か(ON/OFF)によって処理手順を変えるのかについて図6、図7を用いて説明する。ステップS508において各種検出結果を記憶するのは後の本撮影画像の処理に利用するためである。通常、EVF表示においては、絞りを高速に変化させることが困難なことやフレームレートを確保する必要があることから、撮影光学系の絞りは開放に固定している。つまり、EVF表示時の絞り値と本画像撮影時の絞り値は通常は異なる。図6は、EVF表示画像と本画像の違いを示した図である。図6a1はEVF表示画像であり、絞り値がf1.2で撮影された画像である。図6b1は本画像であり、絞り値がf5.6で撮影された画像である。図6b2、図6a2は、それぞれ図6a1、図6b1の画像に対する顔処理回路25bの顔検出結果を示したもので、顔検出された領域に対して矩形の枠を表示したものである。図6に示すようにEVF表示時の絞り値と本画像撮影時の絞り値が大きく異なる場合、被写界深度の違いにより顔検出結果が異なってしまう。また、像高と像面光量の関係(所謂、周辺光量落ち)は絞り値と密接な関係がある。図7に示すように絞り値が開放に近いほど像面光量が少なくなるのが一般的である。これは、絞り値によってヒストグラム処理回路25cからの出力や顔処理回路25bからの出力が大きく変化することを意味する。本撮影画像では、EVF表示画像から取得された検出結果と本撮影画像から取得された検出結果の両方を処理に利用することでより好ましい画像を得ることができる。しかし、絞り値が大きく異なる画像から得られた各種検出結果を利用した場合、好ましくない処理をしてしまう可能性がある。そこで、本画像撮影時と同じ絞り値で撮影したEVF表示画像から得られた検出結果を本画像の処理に利用することでより好ましい本画像が得られると考えられる。ステップS508において記憶した各種検出結果をどのように本画像の処理に利用するかは図1を用いて後述する。
【0042】
図4に戻り、システム制御回路31はステップS409で求めた測光値及びステップS410で求めた各種処理結果に基づき、撮像素子17の撮像面上の露光量が適正範囲内となっているか否かをチェックする(ステップS412)。
【0043】
撮像素子17の撮像面上の露光量が適正範囲外となっていたならば、システム制御回路31は、画像表示装置22に表示する画像が適正な画像と成るように適正画像出力条件を変更する(ステップS413)。適正画像出力条件とは、撮像素子17における電荷蓄積を制御するための絞り12の絞り制御、撮像素子17の電荷蓄積時間(電子シャッター)の切り替え、撮像素子17からの撮像信号の出力を増幅/減衰するためのゲインの切り替え、を含む。
【0044】
撮像素子17の撮像面上の露光量が適正範囲内となっていたならば、画像表示装置22での被写体表示を継続するか否かのチェック処理(ステップS414)へと進む。ステップS414でEVF表示を終了する場合は、シャッター16を閉じ(ステップS415)、ミラー13を下ろして(ステップS416)、撮像素子17の電荷蓄積を終了して(ステップS417)、EVFでの表示を終了する。
【0045】
次に、図1を用いてS310における本画像現像処理について説明する。まず、システム制御回路31が前回絞り込みスイッチ28を操作した時刻と本撮影動作を行った時刻のずれtが所定時間t1以上であるかどうか判断する(ステップS101)。tが所定時間t1以下である場合は、十分短い時間であるため絞り込みスイッチ28をONしたときに取得した各種検出結果を利用して画像処理回路25が本画像の処理を行う(ステップS102)。このようにすることで、本画像処理にかかる処理時間が短縮されるため、本画像撮影後のEVF表示画像の復帰時間を短縮することができる。
【0046】
tが所定時間t1以上である場合、ステップS103へ進み、システム制御回路31がtが所定時間t2以上であるかどうか判断する。tが所定時間t2以下である場合は、ステップS105へ進む。tが所定時間t2以上である場合は、ステップS104へ進む。ステップS104では前回絞り込みスイッチ28をONした時と本画像を撮影した時でシーンが変化したかどうかを画像処理回路25が判定する(ステップS104)。シーン変化の判定には、ホワイトバランス処理回路25a、顔検出回路25b、ヒストグラム処理回路25cの出力結果の一つ乃至は複数の出力結果を使用する。より具体的には、ホワイトバランス処理回路25の場合は出力された色温度情報を基にシーン変化があったかどうか画像処理回路25が判定する。顔検出回路25bの場合は、検出された顔の個数や輝度情報などを基にシーン変化があったかどうか画像処理回路25が判定する。ヒストグラム処理回路25cの場合は、ヒストグラムの平均値や形状の類似度等を基にシーン変化があったかどうか画像処理回路25が判定する。シーン変化がなかった場合にはステップS105へと進む。シーン変化があった場合は、EVF画像から取得した検出結果は使用せずに本画像から取得した検出結果のみを利用し画像処理回路25が本画像の処理を行う(ステップS106)。このようにすることで、誤った検出結果によって本画像に対して好ましくない処理がされることを防ぐことができる。
【0047】
ステップS105では、EVF画像から取得した検出結果と本画像から取得した検出結果の両方を用いて画像処理回路25が本画像の処理を行う。それぞれの検出結果の利用方法については様々な方法が考えられる。例えば、シーンの類似度に応じて検出結果に対して重み付けを行ってもよいし、前回絞り込みスイッチ28を操作した時刻と本撮影動作を行った時刻のずれtに応じて検出結果に対して重み付けを行ってもよい。
【0048】
更には、検出結果毎に重み付けを変更する構成としてもよい。顔検出結果は人物の顔の向きに大きく影響を受けるため、EVF表示画像の取得時の顔検出結果と本画像取得時の顔検出結果が異なる可能性は十分に考えられる。この時、本画像取得時の画像からは顔検出できなかったとしてEVF表示画像からは顔検出が行えた場合、EVF表示画像の顔検出情報を利用することで、より好ましい本画像を生成することができる。それに対して、ホワイトバランス検出結果の場合は本撮影画像からの検出結果を利用する方がより好ましい本画像を生成することができると考えられるからである。
【0049】
本実施例においてはEVF中の絞り値と本画像取得時の絞り値が大きく異なる場合について述べてきたが、これらの2つの絞り値の差分によって処理を変更する構成としてもよい。例えば、絞り値の差分が小さい場合には、本画像の処理時には絞り込みスイッチを押したときの検出情報ではなく、直近のEVF表示画像から取得した検出情報を利用する。このような構成とすることで、より現在に近い被写体情報を取得できる可能性が高いので、より好ましい本画像が生成できる可能性が高いと考えられる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
100 撮像装置
11 撮影レンズ
12 絞り
13 ミラー
14 ミラー
15 光学ファインダ
16 シャッター
17 撮像素子
18 シャッター制御回路
19 A/D変換器
20 タイミング発生回路
21 D/A変換器
22 画像表示装置
23 メモリ制御回路
24 画像表示メモリ
25 画像処理回路
25a ホワイトバランス処理回路
25b 顔処理回路
25c ヒストグラム処理回路
26 記録媒体
27 OVF/EVFスイッチ
28 絞り込みスイッチ
29 不揮発性メモリ
30 測光部
31 システム制御回路
32 絞り制御部
33 メモリ
34 圧縮伸長回路
40 シャッタースイッチSW1
41 シャッタースイッチSW2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズ(11)を介して結像する光学像を電気信号に変換する撮像素子(17)と、
前記撮影レンズの絞りを所定の範囲内の任意の絞り値に絞り込むための絞り込み操作部材(28)と、
撮影後の画像を表示するための、もしくは撮影前の画像を電子ビューファインダとして表示するための画像表示手段(22)と、
前記撮像素子からの画像を処理する画像処理手段(25)
と、を備え、
前記絞り込み操作部材が操作された場合、前記記憶手段に前記撮像素子から取得した第1の画像から得られる第1の画像情報を記憶する記憶手段(33)と、
その後に撮影される第2の画像から得られる第2の画像情報と前記第1の画像情報を利用して前記第2の画像処理を前記画像処理手段で行う
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の画像情報を取得した時刻と、前記第2の画像情報を取得した時刻の差分に応じて前記第1の画像情報と前記第2の画像情報に対して重み付けを行う
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の画像情報を取得した時の絞り値と、前記第2の画像情報を取得した時の絞り値の差分に応じて前記第1の画像情報と前記第2の画像情報に対して重み付けを行う
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記画像情報は、ホワイトバランス情報、ヒストグラム情報、顔情報のいずれか1つ乃至は複数である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−156887(P2012−156887A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15603(P2011−15603)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】