説明

撮影装置

【課題】できるだけ多くのレンズに関する情報を取得してこの情報を利用する。
【解決手段】デジタルカメラ20は、撮影時に変化する設定値が表示されたレンズ筒の外観画像であるレンズ画像を取得し、レンズ画像を解析し、レンズ画像に含まれる指標と数字とを画像認識により認識し、この指標が指す数字を設定値として取得し、取得した設定値を表示出力する。この設定値には、レンズのF値、距離計値及び焦点距離のうち少なくとも1以上を含む。このように、例えば、電子接点を有さないレンズ筒が取り付けられたときでも外観画像からレンズ情報を取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影装置としては、レンズユニットの光軸の角度の変化量と2枚の画像の変化量とに基づいて焦点距離を算出し、この焦点距離を画像データのタグ情報として記録したり主点の算出やぶれ補正係数の算出に利用するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、レンズ側のメモリーやユーザー入力によらずに、交換型レンズユニットの焦点距離情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−283463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の装置では、電子的な接続等によるレンズユニットからの取得に限らずに、焦点距離を得ることができるが、レンズユニットを通して被写体を撮影した撮影画像データに基づくレンズユニットの設定値しか得られないなど、得られる情報に制限があった。このため、できるだけ多くのレンズに関する情報を取得することが望まれていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、できるだけ多くのレンズに関する情報を取得してこの情報を利用することができる撮影装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の撮影装置は、
レンズを有し撮影時に変化する設定値が表示されるレンズ筒を取り付ける取付部と、
前記設定値を含む前記取付部に取り付けられたレンズ筒の外観の画像であるレンズ画像を取得する画像取得部と、
前記レンズ画像を解析し前記設定値を取得する情報取得部と、
前記取得した設定値を出力する出力部と、
前記レンズを通った光により本撮影を行う本撮影部と、
を備えたものである。
【0008】
この撮影装置では、撮影時に変化する設定値が表示されたレンズ筒の外観画像であるレンズ画像を取得し、レンズ画像を解析し設定値を取得し、取得した設定値を出力する。このように、例えば、電子接点を有さないレンズ筒が取り付けられたときでも外観画像からレンズ情報(設定値)を取得することができる。したがって、できるだけ多くのレンズに関する情報を取得してこれを利用することができる。
【0009】
本発明の撮影装置において、前記情報取得部は、前記レンズ画像に含まれる指標と数字とを画像認識により認識し、該指標が指す数字を前記設定値として取得するものとしてもよい。
【0010】
本発明の撮影装置において、前記情報取得部は、前記設定値として、レンズのF値、T値、距離計値及び焦点距離のうち少なくとも1以上を取得するものとしてもよい。こうすれば、F値やT値、距離計の値、焦点距離などの情報をあとで利用することができる。
【0011】
本発明の撮影装置において、前記画像取得部は、前記撮影装置の筐体上における前記取付部の上方の領域に配設されているものとしてもよい。こうすれば、取付部に取り付けられたレンズ筒に表示された設定値を取得しやすい。
【0012】
本発明の撮影装置において、前記画像取得部は、前記レンズ画像を撮影する撮像素子と、前記取付部に取り付けられたレンズ筒と前記撮像素子との位置を相対的に変化させる位置可変部とを備えているものとしてもよい。こうすれば、撮像素子を移動させてレンズ筒に表示された設定値を取得することが可能であるため、より多種のレンズ筒のレンズに関する情報を得ることができる。このとき、前記位置可変部は、前記撮影装置の筐体側と前記取付部に取り付けられたレンズ筒の先端側との間を移動可能に前記撮像素子を支持する支持部材を備えているものとしてもよい。こうすれば、支持部材により支持することにより、撮像素子を移動しやすい。また、前記位置可変部は、前記撮像素子を移動させる駆動部を備え、前記駆動部は、前記情報取得部が前記レンズ画像から前記設定値を取得するまで前記撮像素子の位置を移動させるものとしてもよい。こうすれば、撮像素子を移動させてレンズ筒に表示された設定値を取得することが可能であるため、より確実にレンズに関する情報を得ることができる。
【0013】
本発明の撮影装置は、画像を表示する表示部、を備え、前記出力手段は、前記取得した設定値を前記表示部へ出力するものとしてもよい。こうすれば、レンズ筒を見て設定値を確認しファインダーを見て被写体を確認する、などする必要がないため、撮影しやすい。このとき、前記出力手段は、前記設定値を被写体の画像と共に前記表示部に表示させるものとしてもよい。こうすれば、被写体から目を離して現在のレンズの設定を確認する必要が無く、より撮影しやすい。
【0014】
本発明の撮影装置は、前記本撮影の画像データを記憶する記憶部、を備え、前記出力手段は、前記本撮影の画像データに対応付け、前記取得した設定値を前記記憶部へ出力するものとしてもよい。こうすれば、画像データの撮影条件があとで確認可能であり、この撮影条件を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】デジタルカメラ20の構成の概略を示す構成図。
【図2】デジタルカメラ20の断面図。
【図3】レンズ情報取得処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図4】レンズユニット21Aの情報を取得する説明図。
【図5】レンズユニット21Bの情報を取得する説明図。
【図6】EVF26の表示画面80の説明図。
【図7】画像データ90及び撮影情報92の説明図。
【図8】レンズユニット正面に表示された情報の説明図。
【図9】デジタルカメラ20B〜20Dの説明図。
【図10】デジタルカメラ20Eの説明図。
【図11】表示画面81の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態であるデジタルカメラ20の構成の概略を示す構成図、図2はデジタルカメラ20の図1のA−A断面図である。本実施形態のデジタルカメラ20は、図1に示すように、被写体からの光を入射するレンズユニット21と、画像を表示する表示部25と、ユーザーからの入力を受け付ける操作部30と、メモリーカードMCとのデータのやりとりを行うメモリーカードコントローラー36と、装置全体を制御するメインコントローラー40と、撮影を実行する撮像部50と、レンズユニット21の撮影に関する設定情報をレンズユニット21の外観から取得する設定取得ユニット60とを備えている。
【0017】
レンズユニット21は、レンズマウントである取付部56を介して装着及び取外し可能にデジタルカメラ20の筐体11に取り付けられている。このレンズユニット21は、凸レンズと凹レンズとを組み合わせて構成され、その一部がレンズ筒の内部を軸方向に移動可能に構成されたレンズ群22と、光量を調節する絞り機構23と、レンズ筐体(レンズ筒)の上部に撮影時に変化する設定値が表示される設定表示部24とを備えている。レンズ群22は、レンズユニット21のレンズ筒の前方側に固定された固定レンズと、レンズ筒の後方側(取付部56側)に支持された移動レンズとを有している。このレンズユニット21は、筐体11側に電子接続されない、いわゆるオールドレンズユニットとして構成されている。このレンズユニット21は、レンズ筒の外周に配設された1以上のリングを回転させることにより、絞り値、F値、T値、距離計値及び焦点距離などの設定値を変更することができる。このレンズユニット21では、リングやレンズ筒に設けられた、設定表示部24の指標(○や△や|など)と数字との位置関係で、現在の各設定値を把握することができる。
【0018】
表示部25は、ファインダー画像撮像部54のイメージセンサーで得られたファインダー画像を表示するEVF(Electronic View Finder)26と、各種設定画面や、レンズユニット21から得られる撮影画像を表示するモニター28とを備えている。
【0019】
操作部30は、デジタルカメラ20を起動、終了する際に押下される電源キー32や、ユーザーの操作によって押下されるとレンズユニット21を通じてイメージセンサー51上に結像した画像を取り込むタイミングをメインコントローラー40へ出力するシャッターキー34などを含む。シャッターキー34は、ユーザーの操作によって半押しや全押しが可能であり、半押し状態では半押し信号をメインコントローラー40へ出力し、半押し状態後に全押しすることにより全押し信号をメインコントローラー40へ出力する。なお、図示しないが、操作部30には、撮影モードを設定可能なダイヤルスイッチ、シャッタスピードを設定するボタン、ホワイトバランスを設定するためのボタンなど撮影に必要な一連の設定を行うためのボタンが配設されている。
【0020】
メモリーカードコントローラー36は、メモリーカードMCに記憶された画像データを読み出したり、撮像部50で生成された画像データをメモリーカードMCに書き込む処理などを実行する。デジタルカメラ20では、F値、焦点距離、シャッタースピードなど撮影条件を含む撮影情報を格納して画像データを保存する。
【0021】
メインコントローラー40は、CPU42を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムや各種テーブルを記憶するフラッシュメモリー43と、データを一時的に記憶するRAM44と、外部機器とのデータのやりとりを行うインターフェイス(I/F)45とを備えている。メインコントローラー40には、操作部30からの各種の入力信号や、メモリーカードMCから読み出した各種データ、撮像部50からの各種信号などが入力される。また、メインコントローラー40からは、メモリーカードMCへ書き込む各種データ、表示部25への信号などが出力される。
【0022】
撮像部50は、レンズユニット21を通った光により撮影を行うイメージセンサー51や、電気信号から画像データを生成する画像生成部52、レンズユニット21を制御するレンズ制御部53、ファインダー画像を生成するファインダー画像撮像部54、画像撮影に用いられる構造などを含む撮像機構55などを備えている。イメージセンサー51は、光を光電変換によって電気信号に変換するセンサーである。このイメージセンサー51は、マトリックス状に配置された複数のフォトダイオードと、各フォトダイオードごとに形成されフォトダイオードから受け取った電荷を転送するCCDとを備えている。なお、イメージセンサーとしては、CMOS型のイメージセンサーを採用してもよい。画像生成部52は、イメージセンサー51から出力された電気信号をデジタル信号に変換するアナログフロントエンド(AFE)や、ホワイトバランス処理やシャープネス処理やガンマ補正処理などを行いデジタル信号から画像データを生成する処理実行部などを備えている。ファインダー画像撮像部54は、ファインダー用イメージセンサーを備え、ファインダー用の画像を生成する。撮像機構55は、例えばレンズユニット21を筐体11へ装着する取付部56や、レンズユニット21とイメージセンサー51との間に配置されたシャッター57などを含んでいる。取付部56は、電子接点を有しF値などの設定値を電気的に取得及び指示可能なレンズユニットのほか、電子接点を有さず設定値を電気的に取得不能なレンズユニットを装着、取り外し可能に構成されている。
【0023】
設定取得ユニット60は、図1,2に示すように、デジタルカメラ20の筐体11上における取付部56の上方の領域に配設されている。この設定取得ユニット60は、レンズユニット21の画像(レンズ画像)を撮影する撮像装置61と、撮像装置61を支持する支持部材62と、支持部材62を移動させる駆動部63と、撮影したレンズ画像を解析してレンズの設定値を取得する画像認識部64と、取得した設定値を出力する出力部65とを備えている。撮像装置61は、設定表示部24に表示された設定値を含むレンズユニット21のレンズ筒の外観の画像であるレンズ画像を撮影により取得するものである。この撮像装置61は、レンズとレンズを通過した光を光電変換によって電気信号に変換する撮像センサーとレンズユニット21を照らす光源とを備えた機構であり、デジタルカメラ20の正面、取付部56の上部にレンズユニット21を見下ろすように配置されている。
【0024】
支持部材62は、デジタルカメラ20の筐体11側と取付部56に取り付けられたレンズ筒の先端側との間を移動可能に撮像装置61を支持する棒状部材である。この支持部材62は、複数の棒状部材がスライドすることにより、伸長、収縮可能に構成されている。駆動部63は、図示しないモーターによって、支持部材62を伸長、収縮させ、撮像装置61を移動させるものである。設定取得ユニット60では、取付部56に装着可能なオールドレンズユニットの種類は予めわかっていることから、この取付部56に装着されるレンズユニットの設定表示部24を撮影する複数の位置(筐体11からの距離)が予め定められており、駆動部63は、この定められた位置に撮像装置61が位置するように支持部材62の長さを調節する。この支持部材62と駆動部63とにより、取付部56に取り付けられたレンズ筒と撮像装置61との位置を相対的に変化させる位置可変部が構成されている。
【0025】
画像認識部64は、レンズ画像を解析し、設定表示部24に表示されている設定値を取得するものである。この画像認識部64は、レンズ画像に含まれる指標と数字とを画像認識により認識し、この指標が指す数字を設定値として取得する機能を有している。画像認識部64は、設定値として、レンズのF値、T値、距離計の値及び焦点距離のうち少なくとも1以上を取得する機能を有している。具体的には、上述のように、取付部56へ装着可能なレンズユニットの指標位置や指標形状、文字などを予め指標データとして記憶させておき、撮像装置61の位置に応じて、記憶したデータの中から指標形状や指標位置、文字などを選択し、撮像装置61により撮影された画像と照らし合わせることにより、画像認識を行うものとした。出力部65は、画像認識部64で取得した設定値をコントローラー40や表示部25、メモリーカードコントローラー36へ出力する機能を有している。
【0026】
次に、こうして構成された本実施形態のデジタルカメラ20の動作について説明する。図3は、設定取得ユニット60により実行されるレンズ情報取得処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、電源キー32がオンにされたあと、取付部56に装着されたレンズユニット21から設定値を電気的に得られなかったあと、即ち、取付部56にオールドレンズユニットが装着されているときに実行される。このルーチンが開始されると、設定取得ユニット60は、取付部56に装着されているレンズユニット21の外観画像であるレンズ画像を撮像装置61により撮影する(ステップS100)。電源オンの直後では、撮像装置61は、最も筐体11側に配置されているものとした。
【0027】
次に、画像認識部64がこのレンズ画像の画像認識処理を実行する(ステップS110)。画像認識処理では、画像認識部64は、撮像装置61の位置に応じた指標データを読み出し、レンズ画像と照らし合わせる処理を行う。この画像認識処理により設定値が認識されたか否かを判定し(ステップS120)、設定値が認識されなかったときには、駆動部63が次の所定位置に撮像装置61が配置されるよう、支持部材62を伸長し(ステップS130)、ステップS100以降の処理を行う。即ち、設定値が認識されるまでステップS100〜S130の処理を繰り返す。
【0028】
ここで、ステップS100〜S130の処理を具体的に説明する。図4は、レンズユニット21Aの情報を取得する説明図であり、図5は、レンズユニット21Bの情報を取得する説明図である。設定取得ユニット60の初期位置(図1参照)での撮影によってレンズの設定値が認識されないときは、支持部材62を伸長する(図4参照)。図4に示すように、伸長した撮像装置61の位置に合うレンズユニット21Aが取付部56に装着されているときには、撮像装置61で撮影したレンズ画像70には、設定表示部24の数字や指標(●)が含まれる。また、レンズユニット21Bが取り付けられていて現在の位置でもレンズの設定値が認識されないときには、更に支持部材62を伸長する(図5参照)。図5に示すように、伸長した撮像装置61の位置に合うレンズユニット21Bが取付部56に装着されているときには、撮像装置61で撮影したレンズ画像71には、設定表示部24の数字や指標(○)が含まれる。このようにして、レンズ画像から設定表示部24の数字や指標が認識できるようになる位置へ支持部材62を伸長する。その後、例えば、図5において、画像認識部64は、レンズ画像71から、文字認識を行い文字を抜き出す。文字近傍の指標(○)を認識すると共に、「2.8」、「1.5」といった文字を認識することができる。この中から√2の倍数である「2.8」はF値であると認識しF値を得る。一方、文字認識した数字には「50」などの大きな値はないことから、焦点距離が一定の単焦点レンズであることなどが推測できる。更には、下部の文字群には縦線を境に「2,2」や「4,4」など同じ数字のペアが並ぶ。このため、これらの数字は、距離計の値を示していることが推測できる。指標(○)が近くにあることから、被写体が1.5にある設定になっていることが推測できる。また、読み取ったF値「2.8」という情報から下部の距離計の範囲を参照し、「1.5」の両隣の「1.2」、「2」という文字から、1.2〜2の範囲にフォーカスが大体合うことが推測できる。このように、デジタルカメラ20では、電子接点を有さないレンズユニット21における、F値や距離計の値など、設定表示部24に表されているレンズに関する設定情報を、外観の撮影画像から取得するのである。なお、設定表示部24が暗くなっておりレンズ画像71の認識が困難である場合には、撮像機構の光源から光を設定表示部24に照射することで、レンズ画像71の認識が容易になるようにしてもよい。また、図示しないが、支持部材62の長さをどのようにしても設定値が認識されないときには、メッセージをモニター28に表示してこのルーチンを終了するものとしてもよい。
【0029】
さて、ステップS120で設定値が認識されたあと、設定取得ユニット60は、駆動部63により支持部材62を固定する(ステップS140)。続いて、ユーザーによるレンズユニット21の設定の変更を把握するべく、上記ステップS100,S110と同様に、レンズユニット21を撮影し(ステップS150)、画像認識処理を実行し(ステップS160)、認識した設定値の表示出力を行う(ステップS170)。この表示出力は、出力部65が設定値を表示部25に表示させるものとした。図6は、EVF26の表示画面80の一例の説明図である。ここでは、EVF26へ設定値を表示する例を示した。図6に示すように、EVF26に表示された表示画面80は、ファインダー画像撮像部54で撮影したファインダー画像上に、シャッタースピードや設定値としてのF値などを含む情報表示部82を重ね合わせた画面として構成されている。ここでは、距離計の値から推測されたフォーカス範囲(1.2〜2)をも表示するため、フォーカスアシストの役目も果たすことができる。ユーザーは、このような表示画面80を見ながら写真撮影を行う。
【0030】
そして、シャッターキー34が押下され本撮影が行われたか否かを判定し(ステップS180)、本撮影が行われたときには、設定値の記憶出力を実行する(ステップS190)。この記憶出力は、コントローラー40からシャッターキー34の押下信号が入力されたあと、設定値をメモリーカードコントローラー36へ出力するものとした。これを受けたコントローラー40がメモリーカードコントローラー36を介して本撮影の画像データ及びこの撮影時の設定値をメモリーカードMCへ保存する。図7は、画像データ90及び撮影情報92の説明図である。図7に示すように、撮影情報92には、撮像部50から得られた撮影モードや撮影日時、シャッタースピードなどの情報のほか、設定取得ユニット60で得られたF値、距離計の値、焦点距離などが含まれている。なお、図8に示すように、レンズユニット21の正面画像を、事前に別のレンズを用いて撮影し、画像認識部64により文字認識することによって、焦点距離を取得するものとしてもよい。例えば、35mmやF1.2という文字を認識し、焦点距離などの情報を取得することができる。
【0031】
ステップS190のあと、又は、ステップS180で本撮影が行われていないときには、撮影が終了したか否かを電源キー32のオフ操作が行われたか否かに基づいて判定し、(ステップS200)、撮影が終了していないときには、ステップS150以降の処理を実行する。一方、撮影が終了したときには、支持部材62を縮め、撮像機構を待機位置に移動させてから(ステップS210)、このルーチンを終了する。このように、デジタルカメラ20の取付部56に電子接点を有さないオールドタイプのレンズユニット21が装着されているときには、設定取得ユニット60により、レンズユニット21の外観画像を取得し、設定値を表示出力したり、記憶出力したりするのである。
【0032】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の取付部56が本発明の取付部に相当し、撮像装置61、支持部材62及び駆動部63が画像取得部に相当し、撮像装置61が撮像素子に相当し、支持部材62及び駆動部63が位置可変部に相当し、支持部材62が支持部材に相当し、駆動部63が駆動部に相当し、画像認識部64が情報取得部に相当し、出力部65が出力部に相当し、撮像部50が本撮影部に相当し、表示部25が表示部に相当し、メモリーカードコントローラー36が記憶部に相当する。
【0033】
以上詳述した本実施形態のデジタルカメラ20によれば、撮影時に変化する設定値が表示されたレンズ筒の外観画像であるレンズ画像を取得し、レンズ画像を解析し、レンズ画像に含まれる指標と数字とを画像認識により認識し、この指標が指す数字を設定値として取得し、取得した設定値を出力する。このように、例えば、電子接点を有さないレンズ筒が取り付けられたときでも外観画像からレンズ情報を取得することができる。したがって、できるだけ多くのレンズに関する情報を取得してこれを利用することができる。また、設定値として、レンズのF値、距離計値及び焦点距離のうち少なくとも1以上を取得するため、これらの情報をあとで利用することができる。更に、設定取得ユニット60は、デジタルカメラ20の筐体11上における取付部56の上方の領域に配設されているため、取付部56に取り付けられたレンズ筒に表示された設定値を取得しやすい。更にまた、撮像装置61と支持部材62、駆動部63を備えるため、撮像素子を支持部材により支持して移動させ、レンズ筒に表示された設定値を取得することが可能であり、より多種のレンズ筒のレンズに関する情報をより確実に得ることができる。そして、ファインダー画像に設定値を重ねた画面を表示部25に表示するため、ユーザーは被写体から目を離して現在のレンズの設定を確認する必要が無く、より撮影しやすい。画像データ90の撮影情報92に設定値を格納するため、画像データの撮影条件があとで確認可能であり、この撮影条件を利用することができる。
【0034】
また、設定値を用いて、自動露出などの精度を向上することができる。更に、撮像装置61で実現可能であるため、安価に且つ簡便に実現することができる。更にまた、画像認識のアルゴリズムを変更するだけで多種多様な交換レンズに対応することができる。そして、EVF26へファインダー画像と共に設定値を表示するため、ファインダーを覗いたまま現在の設定を確認することができるため、撮影に集中することができる。そしてまた、シャッターチャンスを逃しにくいという利点がある。
【0035】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0036】
例えば、上述した実施形態では、棒状部材の支持部材62を伸長して設定表示部24を撮影する設定取得ユニット60を備えたデジタルカメラ20としたが、設定取得ユニット60の構造はこれに限られない。具体的には、以下の態様としてもよい。図9は、デジタルカメラ20B〜20Dの説明図であり、図10は、デジタルカメラ20Eの説明図である。例えば、図9(a)に示すように、筐体11の上部に固定された設定取得ユニット60Bを備えたデジタルカメラ20Bとしてもよい。即ち、支持部材62や駆動部63を省略してもよい。こうすれば、より構成を簡略化しつつ、できるだけ多くのレンズに関する情報を取得することができる。また、図9(b)に示すように、筐体11の上部に固定された支持部材62Cの先端に、上下方向に回動可能に撮像装置61を支持する設定取得ユニット60Cを備えたデジタルカメラ20Cとしてもよい。即ち、支持部材62が取付部56側とレンズユニット21の先端側とに撮像装置61を移動可能に支持するものとしなくてもよい。こうしても、できるだけ多くのレンズに関する情報を取得することができる。なお、撮像装置61の回動は、モーターで制御して行ってもよいし、ユーザーが手動で行ってもよい。また、図9(c)に示すように、レンズユニット21の先端に撮像装置61を固定し、無線通信又は図示しないケーブルを用いた有線通信でレンズ画像を画像認識部64へ送信する設定取得ユニット60Dを備えたデジタルカメラ20Dとしてもよい。こうしても、できるだけ多くのレンズに関する情報を取得することができる。
【0037】
あるいは、図10に示すように、一端が回動可能に筐体11へ軸支されると共に、他端が自由端でありレンズユニット21に対して平行に撮像装置61が回動移動する伸縮可能な支持部材62Eを有する設定取得ユニット60Eを備えたデジタルカメラ20Eとしてもよい。こうしても、できるだけ多くのレンズに関する情報を取得することができる。
【0038】
上述した実施形態では、駆動部63により駆動されて撮像装置61が移動するものとしたが、特にこれに限定されず、駆動部63を省略してもよい。このとき、ユーザーが手動で撮像装置61を移動させるものとしてもよい。また、上述した実施形態では、駆動部63を備え、画像認識部64で設定値が認識されるまで、支持部材62を伸長するものとしたが、特にこれに限定されない。
【0039】
上述した実施形態では、画像認識部64は、レンズ画像に含まれる指標と数字とを画像認識により認識し、この指標が指す数字を設定値として取得するものとしたが、レンズ画像を解析し設定値を取得するものとすれば、特にこれに限定されない。また、上述した実施形態では、オールドレンズユニットに関するデータとして予め指標データを記憶しておき、これとレンズ画像とを照合して各設定値を取得するものとしたが、特にこれに限定されず、指標の形状と文字形状のパターンのみを記憶し、指標データを用いずに画像認識のみで設定値を取得するものとしてもよい。こうすれば、メーカーで把握していないレンズユニットにも対応可能であり、より多くのレンズに関する情報を取得することができる。
【0040】
上述した実施形態では、設定取得ユニット60は、デジタルカメラ20の筐体11上における取付部56の上方の領域に配設されているものとしたが特にこれ印限定されない。
【0041】
上述した実施形態では、情報表示部82を表示した表示画面80をEVF26に表示するものとしたが、表示方法はこれに限られない。例えば、表示画面80をモニター28に表示してもよい。また、情報表示部82をオーバーレイした表示画面80としたが、情報表示部82をミニウインドウとして表示させてもよい。また、設定値を情報表示部82に数字として表示するものとしたが、図11に示すように、レンズ画像を表示する情報画像表示部84を設けた表示画面81をEVF26に表示するものとしてもよい。こうしても、F値などを確認しやすい。
【0042】
上述した実施形態では、設定取得ユニット60で取得した設定値を表示部25に表示出力したり、メモリーカードMCへ記憶出力するものとしたが、取得した設定値を出力するものとすれば特に限定されず、いずれか一方を省略してもよいし、新たな出力、例えば印刷出力や音声出力などを加えるものとしてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、電源操作に応じてルーチンの開始や終了を行ったが、撮影モードと再生モードなどの撮影以外のモードがある場合に、撮影モードと撮影以外のモードとの間のモード切り換え操作にも応じてルーチンの開始や終了を行うものとしてもよい。また、最初に撮影と画像認識とを行うことで支持部材の伸長をするかを判断するものとしたが、最初に前回の支持部材の長さまで支持部材の伸長をし、その後に撮影と画像認識とを行うことで支持部材の伸縮をするかを判断してもよい。さらに、画像認識で取得した設定値をそのまま出力することに限られず、画像認識で取得した設定値に基づいて変換を行ったものを設定値として間接的に出力してもよい。
【0044】
上述した実施形態では、画像認識部64は、設定値としてレンズの絞り値、F値、T値、距離計の値及び焦点距離のうち少なくとも1以上を取得する機能を有しているものとしたが、これらのうち1以上の値の取得機能を省略してもよいし、これら以外の値を取得可能に構成してもよい。
【0045】
上述した実施形態では、本発明をデジタルカメラ20に適用して説明したが、デジタルビデオカメラに適用してもよいし、デジタルカメラの制御方法としてもよいし、このプログラムとしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
11 筐体、20,20B〜20E デジタルカメラ、21,21A,21B レンズユニット、22 レンズ群、23 絞り機構、24 設定表示部、25 表示部、26 EVF、28 モニター、30 操作部、32 電源キー、34 シャッターキー、36 メモリーカードコントローラー、40 メインコントローラー、42 CPU、43 フラッシュメモリー、44 RAM、45 I/F、50 撮像部、51 イメージセンサー、52 画像生成部、54 ファインダー画像撮像部、55 撮像機構、56 取付部、57 シャッター、60 設定取得ユニット、61 撮像装置、62 支持部材、63 駆動部、64 画像認識部、65 出力部、70,71 レンズ画像、80,81 表示画面、82 情報表示部、84 情報画像表示部、90 画像データ、92 撮影情報、MC メモリーカード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを有し撮影時に変化する設定値が表示されるレンズ筒を取り付ける取付部と、
前記設定値を含む前記取付部に取り付けられたレンズ筒の外観の画像であるレンズ画像を取得する画像取得部と、
前記レンズ画像を解析し前記設定値を取得する情報取得部と、
前記取得した設定値を出力する出力部と、
前記レンズを通った光により本撮影を行う本撮影部と、
を備えた撮影装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記レンズ画像に含まれる指標と数字とを画像認識により認識し、該指標が指す数字を前記設定値として取得する、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、前記設定値として、レンズのF値、T値、距離計値及び焦点距離のうち少なくとも1以上を取得する、請求項1又は2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記画像取得部は、前記撮影装置の筐体上における前記取付部の上方の領域に配設されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記画像取得部は、前記レンズ画像を撮影する撮像素子と、前記取付部に取り付けられたレンズ筒と前記撮像素子との位置を相対的に変化させる位置可変部とを備えている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記位置可変部は、前記撮影装置の筐体側と前記取付部に取り付けられたレンズ筒の先端側との間を移動可能に前記撮像素子を支持する支持部材を備えている、請求項5に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記位置可変部は、前記撮像素子を移動させる駆動部を備え、
前記駆動部は、前記情報取得部が前記レンズ画像から前記設定値を取得するまで前記撮像素子の位置を移動させる、請求項5又は6に記載の撮影装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮影装置であって、
画像を表示する表示部、を備え、
前記出力手段は、前記取得した設定値を前記表示部へ出力する、撮影装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の撮影装置であって、
前記本撮影の画像データを記憶する記憶部、を備え、
前記出力手段は、前記本撮影の画像データに対応付け、前記取得した設定値を前記記憶部へ出力する、撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−186726(P2012−186726A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49442(P2011−49442)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】