説明

操作つまみ

【課題】水の侵入を容易に防止することができるコストの低い操作つまみを提供する。
【解決手段】取付穴に挿入される柱部3と取付穴の径よりも太径に形成されたつまみ部2とを有し、柱部3が気密用Oリング6取付用の、外周を一周するOリング取付溝31と、柱部3を取付穴に挿入された状態に保持する抜止め部材4嵌め込み用の抜止部材嵌込溝32と、機器に設けられた第1の検出スイッチ70につまみ部2の回転操作に応じて係合する係合凹部33とを有するものであるつまみ本体1と、Oリング取付溝31に取り付けられて柱部外周と取付穴内壁との間を気密に保つ気密用Oリング6と、抜止部材嵌込溝32に嵌め込まれる抜止め部材4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器筐体に取り付けられる操作つまみに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の科学技術の進歩に伴い、高度な性能を持つ様々な電子機器が登場し、日々その種類と数を増してきている。こうした電子機器には、電源の切り替え、あるいは感度や機能の選択を行うために、スイッチやつまみなど様々な操作部をその機体表面に備えているものが多いが、電子機器が使用される状況によってこのような操作部をそのまま使用するのは困難な場合がある。
【0003】
例えば、水中写真をとるために水中でカメラを使用する場合、カメラを防水構造を持つ防水ケースにカメラを収納して使用すればよいが、このような防水ケースにカメラを入れたままカメラの操作つまみを操作すると、操作つまみの損傷や、操作つまみ付近のカメラと防水ケースの連結部分から水が侵入したり、操作つまみが操作不能になることが知られている。こうした事態を防ぐために、カメラの操作つまみの操作と同期して操作される操作装置を付加的に取り付けることによってカメラの操作つまみの操作を容易なものにすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−107570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている操作つまみの場合、操作つまみを構成する部品の数が多く構造が複雑なため、取り付けが煩雑な上、外部から水が入り込む可能性がある隙間が複数箇所存在するため、防水性に問題がある。また、構成要素となる部品の数が多いことは、コスト高につながる。
【0005】
以上述べた問題は、カメラの操作つまみの操作を容易にするとともに防水性を保つ必要のある操作つまみについての問題であるが、この種の問題は、カメラの操作つまみ以外の機器の操作つまみについても生じる問題である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、水の侵入を容易に防止することができるコストの低い操作つまみを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の操作つまみは、
機器筐体に設けられた取付穴に挿入された状態に取り付けられる操作つまみにおいて、
上記取付穴に挿入される柱部と該取付穴の径よりも太径に形成されたつまみ部とを有し、上記柱部が気密用Oリング取付用の、外周を一周するOリング取付溝と、該柱部を該取付穴に挿入された状態に保持する抜止め部材嵌め込み用の抜止部材嵌込溝と、上記機器に設けられた第1の検出スイッチに上記つまみ部の回転操作に応じて係合する係合凹部とを有するものであるつまみ本体と、
上記Oリング取付溝に取り付けられて上記柱部外周と上記取付穴内壁との間を気密に保つ気密用Oリングと、
上記抜止部材嵌込溝に嵌め込まれる抜止め部材とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の操作つまみでは、操作つまみを構成する部品がつまみ本体、気密用Oリングおよび抜止め部材の3点さえあればよく、しかも構造が単純であるため、コストを低く抑えながら第1の検出スイッチのスイッチ切り替え操作をつまみ部の回転操作によって行うことができる。また、抜止め部材と、抜止め部材を嵌め込むためにつまみ本体の柱部に設けられた抜止部材嵌込溝とを備えることにより、操作つまみ取り付けのために機器筐体に設けるべき穴が、柱部が挿入される取付穴だけでよいため、外部から水が入り込む可能性がある隙間を最小限に抑えることができる。さらにつまみ本体の柱部上には気密用Oリングを取付けるためのOリング取付溝を備えているため、Oリング取付溝に気密用Oリングを嵌め込みことによって気密性を高め、取付穴からの水の侵入を防ぐことができる。
【0009】
また、本発明の操作つまみは、上記抜止め部材が、機器筐体に設けられた、凹凸を繰り返して上記取付穴の周囲を一周するクリック受部に弾性的に接して上記つまみ部の回転操作にクリック感を与えるクリック用腕を有するものであってもよい。
【0010】
このようなクリック用腕を抜止め部材が備えることにより、本発明の操作つまみは、つまみ部の回転停止位置が第1の検出スイッチのスイッチ切り替えに応じた位置を含む所定の複数位置に制限されるため、操作つまみの操作感が良い。
【0011】
また、本発明の操作つまみは、上記つまみ本体が前記機器筐体に出入りする方向に遊装されたものであってそのつまみ本体を、つまみ本体が上記取付穴から抜け出る方向にばね付勢するばね部材を備えるとともに、上記つまみ本体が、上記取付穴に挿入された柱部の先端に、つまみ部の押圧操作に応じて、上記機器に設けられた第2の検出スイッチを操作する操作凸部を有するものであってもよい。
【0012】
このようなばね部材を備えることによりつまみ本体が機器筐体側に動かされる余地が与えられ、回転つまみが機器筐体側に動かされた際に操作凸部により第2の検出スイッチが押圧されるため、本発明の操作つまみは、回転操作の機能に加え押圧操作の機能も備えることができる。
【0013】
また、回転操作の機能および押圧操作の機能を備えた操作つまみは、上記操作凸部が、上記つまみ部を回転操作したときの回転軸から外れた部分に設けられ、上記機器に設けられた複数の第2の検出スイッチのうちの、上記つまみ部の押圧操作したときの該つまみ部の回転位置に応じた第2の検出スイッチを操作するものであってもよい。
【0014】
このような操作凸部がつまみ部の回転軸から外れた部分に設けられることにより、回転操作に伴い操作凸部を移動できるため、操作凸部によって押圧する位置を変化させることができる。そのため、機器に複数の第2の検出スイッチが設けられている場合でもそれぞれの第2の検出スイッチに対して押圧操作を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の操作つまみによれば、操作つまみ付近からの水の侵入を防ぐとともにコストを低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第一実施形態]
以下、本発明の操作つまみの一実施形態である第一の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態の操作つまみの構成要素を明示するために、操作つまみを構成要素に分解して表した図である。
【0018】
本実施形態の操作つまみAの回転操作によって、基盤7を覆っている機器筐体5の外部から基盤7上に備えられている検出スイッチ70のスイッチの切り替えが行われる。この検出スイッチ70が本発明にいう第1の検出スイッチの一例に相当する。機器筐体5には、この操作つまみAを取り付けるための円形の取付穴が備えられている。
【0019】
以下この操作つまみAを構成する構成要素について説明する。この操作つまみAは、つまみ本体1、気密用Oリング6、およびつまみ本体1が機器筐体5の円形の取付穴から抜け出さないよう拘束するための抜止め部材4とから構成されている。
【0020】
つまみ本体1は、回転操作を行うためのつまみ部2と、つまみ部2の裏側に固定され、つまみ部2と一体化している柱部3とからなる。柱部3は機器筐体5の取付穴に挿入され、つまみ部2は取付穴の径よりも太径に形成されているため、機器筐体5外部には、つまみ部2だけが現れる。
【0021】
柱部3の側面上には、気密用Oリング6を取り付けるための、外周を一周するOリング取付溝31と、柱部を取付穴に挿入された状態に保持するために抜止め部材の一部が嵌め込まれる、2つの抜止め部材嵌込溝32が設けられている。また、柱部3の末端部には、基盤上に設けられたスイッチ切り替えレバー71を有するスイッチ70に、つまみ部2の回転操作に応じて係合する係合凹部33が備えられている。
【0022】
抜止め部材4には、2本の突出部41が備えられており、この2本の突出部41が柱部3の側面上の2つの抜止め部材嵌込溝32にそれぞれ嵌め込まれる。また抜止め部材4には、先端が丸く湾曲しているクリック用腕42が備えられており、このクリック用腕42が機器筐体5に設けられた、凹凸を繰り返して取付穴の周囲を一周するクリック受部51に弾性的に接してつまみ部2の回転操作にクリック感を与える。
【0023】
気密用Oリング6は、Oリング取付溝31に嵌め込まれ、柱部3外周と取付穴内壁との間の気密性を高めることによって機器筐体5の取付穴からの水の侵入を防いでいる。
【0024】
このようにこの操作つまみAは、構成要素となる部品の数が少なく、単純な構造となっている。
【0025】
図2は、本実施形態の操作つまみの構造を表した断面図である。
【0026】
気密用Oリング6が図1に示されているOリング取付溝31にぴったりはまっており、柱部3外周と取付穴内壁との間の気密性を高め外部からの水の侵入を防いでいる。また抜止め部材4に備えられた2本の突出部41が柱部3の側面上の、図1に示されている2つの抜止め部材嵌込溝32にはまっているため、柱部3の回転とともに抜止め部材4もいっしょに回転する。この抜止め部材4が、機器筐体5に引っかかるため、つまみ本体は、図2において矢印で示されているように回転はできるが、機器筐体5上の円形の取付穴から抜け出さない構造になっている。
【0027】
図3は、本実施形態の操作つまみを操作つまみの回転軸に垂直な断面の中で操作つまみの構造を表した図である。
【0028】
柱部3の末端部に備えられている図1に示されている係合凹部33に検出スイッチ70のスイッチ切り替えレバー71がはめ込まれ、図3に点線で示すように、つまみ本体の回転とともにスイッチ切り替えレバー71が切り替わる構造となっている。
[第二実施形態]
以下、本発明の操作つまみの一実施形態である第二の実施形態について説明する。
【0029】
以下、第一実施形態で説明した操作つまみAの構成要素にさらにばねを加え、さらに柱部3が底面に操作凸部を備えることによって回転操作の機能に加え押圧操作の機能を有する操作つまみAについて説明する。
【0030】
図4は、上述のばねの位置を明示するために、操作つまみを構成要素に分解して表した構造図の中でばねを表した図である。
【0031】
図4の操作つまみAの構成要素において、図1に示されている操作つまみAの構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して示し、同一の構成要素についての重複説明は省略する。本実施形態におけるつまみ本体1は、機器筐体5に出入りする方向に遊装されおり、つまみ本体1を、つまみ本体1が取付穴から抜け出る方向にばね付勢するばね8が、柱部3に巻きつきながら、つまみ部2と機器筐体5の間にはさまれる形で取り付けられている。また基盤7上には検出スイッチ70に加え、押圧することによって操作されるタクトスイッチ90が備えられている。このタクトスイッチ90が本発明にいう第2の検出スイッチの一例に相当する。
【0032】
図5は、ばねの位置を明示するために操作つまみの断面の中でばねを表した図である。
【0033】
つまみ本体1が機器筐体5に出入りする方向に遊装され、さらにつまみ部2と機器筐体5の間にばね8を備えているため、図5で矢印で示されているように操作つまみAが機器筐体5を押す方向に動く余地が与えられている。この余地を利用して、柱部3の底面に備えた操作凸部34aによりタクトスイッチ90を押圧することができる。この操作凸部34aは、操作つまみAの回転軸上にあるため、操作つまみAの回転とともに操作凸部34aの位置が変化することはない。
【0034】
図6は、タクトスイッチと操作凸部との位置関係を明示するために、操作つまみの回転軸に垂直な断面の中でタクトスイッチおよび操作凸部を表した図である。
【0035】
操作凸部34aが操作つまみAの回転軸上にあるため、タクトスイッチ90の基盤7上での位置が、図6において黒く塗りつぶされている操作凸部34aの位置と重なっている。
[第三実施形態]
以下、本発明の操作つまみの一実施形態である第三の実施形態について説明する。
【0036】
第三の実施形態では、タクトスイッチが基盤7上で複数個存在する場合に、回転軸から偏芯された位置に設けられた操作凸部を備えることによってこうした複数個のタクトスイッチに対しても押圧操作の機能を有する操作つまみAについて説明する。
【0037】
図7は、3個のタクトスイッチと操作つまみとの位置関係を明示するために、操作つまみを分解して表した構造図の中で3個のタクトスイッチを表した図である。
【0038】
図7の操作つまみAの構成要素において、図4に示されている操作つまみAの構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して示し、同一の構成要素についての重複説明は省略する。図7に示すように基盤上には、検出スイッチ70に加え、押圧することによって操作されるタクトスイッチ91、92、93が備えられている。
【0039】
図8は、回転軸から偏芯された位置に設けられた操作凸部を明示するために操作つまみの断面の中で操作凸部を表した図である。
【0040】
図5に示されている操作つまみAと同様、図8に示されている操作つまみAも機器筐体5を押す方向に動く余地を持っている。さらに図8に示されている操作つまみAでは、操作つまみAの回転軸上にないこの操作凸部34bを備えているため、操作つまみAの回転とともに操作凸部34bの位置が変化する。
【0041】
図9は、3個のタクトスイッチと操作凸部との位置関係を明示するために、操作つまみの回転軸に垂直な断面の中で3個のタクトスイッチと操作凸部を表した図である。
【0042】
図9において黒く塗りつぶされている操作凸部34bの位置はタクトスイッチ92の位置と重なっているが、操作つまみAの回転によって、操作凸部34bの位置を変化させることができる。そのため、タクトスイッチ91、92、93のいずれを押圧するか選択する自由度があり、図4〜図6の操作つまみAよりも多機能なスイッチとなっている。
【0043】
以上が本実施形態における操作つまみAの構造と機能の説明である。
【0044】
なお本実施形態では、主につまみ本体1の形状に関する特徴について説明してきたが、形状以外でも例えば、つまみ部2を透明な材質で構成し、つまみ部2の回転、あるいは押圧によって選択された状態に応じて、つまみ部2が異なる色を発光するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】操作つまみを構成要素に分解して表した図である。
【図2】本実施形態の操作つまみの構造を表した断面図である。
【図3】本実施形態の操作つまみを操作つまみの回転軸に垂直な断面の中で操作つまみの構造を表した図である。
【図4】本実施形態の操作つまみを構成要素に分解して表した操作つまみの構造図の中でばねを表した図である。
【図5】ばねの位置を明示するために操作つまみの断面の中でばねを表した図である。
【図6】タクトスイッチと操作凸部との位置関係を明示するために、操作つまみの回転軸に垂直な断面の中でタクトスイッチおよび操作凸部を表した図である。
【図7】操作つまみを分解して表した構造図の中で3個のタクトスイッチを表した図である。
【図8】回転軸から偏芯された位置に設けられた操作凸部を明示するために操作つまみの断面の中で操作凸部を表した図である。
【図9】3個のタクトスイッチと操作凸部との位置関係を明示するために、操作つまみの回転軸に垂直な断面の中で3個のタクトスイッチと操作凸部を表した図である。
【符号の説明】
【0046】
A 操作つまみ
1 つまみ本体
2 つまみ部
3 柱部
31 Oリング取付溝
32 抜止め部材嵌込溝
33 係合凹部
34a、34b 操作凸部
4 抜止め部材
41 突出部
42 クリック用腕
5 機器筐体
51 クリック受部
6 気密用Oリング
7 基盤
70 検出スイッチ
71 スイッチ切り替えレバー
8 ばね
90、91,92,93 タクトスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器筐体に設けられた取付穴に挿入された状態に取り付けられる操作つまみにおいて、
前記取付穴に挿入される柱部と該取付穴の径よりも太径に形成されたつまみ部とを有し、前記柱部が気密用Oリング取付用の、外周を一周するOリング取付溝と、該柱部を該取付穴に挿入された状態に保持する抜止め部材嵌め込み用の抜止部材嵌込溝と、前記機器に設けられた第1の検出スイッチに前記つまみ部の回転操作に応じて係合する係合凹部とを有するものであるつまみ本体と、
前記Oリング取付溝に取り付けられて前記柱部外周と前記取付穴内壁との間を気密に保つ気密用Oリングと、
前記抜止部材嵌込溝に嵌め込まれる抜止め部材とを備えたことを特徴とする操作つまみ。
【請求項2】
前記抜止め部材が、機器筐体に設けられた、凹凸を繰り返して前記取付穴の周囲を一周するクリック受部に弾性的に接して前記つまみ部の回転操作にクリック感を与えるクリック用腕を有することを特徴とする請求項1記載の操作つまみ。
【請求項3】
前記つまみ本体が前記機器筐体に出入りする方向に遊装されたものであって該つまみ本体を、該つまみ本体が前記取付穴から抜け出る方向にばね付勢するばね部材を備え、
前記つまみ本体が、前記取付穴に挿入された柱部の先端に、つまみ部の押圧操作に応じて、前記機器に設けられた第2の検出スイッチを操作する操作凸部を有することを特徴とする請求項1記載の操作つまみ。
【請求項4】
前記操作凸部が、前記つまみ部を回転操作したときの回転軸から外れた部分に設けられ、前記機器に設けられた複数の第2の検出スイッチのうちの、前記つまみ部の押圧操作したときの該つまみ部の回転位置に応じた第2の検出スイッチを操作するものであることを特徴とする請求項3記載の操作つまみ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−24424(P2006−24424A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200635(P2004−200635)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】