説明

操作ボタンの取付構造、操作盤及びリモコン装置

【課題】スイッチを操作する操作ボタンの取付構造に関し、操作ボタンのがたつきを抑制する。
【解決手段】スイッチを操作する操作ボタンの取付構造であって、スイッチ(52)が設置される筐体(6)に設置する操作ボタン(通話ボタン10、追いだきボタン12、ふろ自動ボタン14、運転ボタン16)にヒンジ部(66)が設けられ、このヒンジ部と筐体との間に跨がるパネル(8)が設置され、このパネルに備えられた接着部(98)がヒンジ部と筐体との間に跨がらせて接着されるので、筐体と操作ボタンのヒンジ部とが接着部(98)を介して固定されるとともに、操作ボタンがヒンジ部によって進退可能に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧スイッチ等のスイッチを操作する操作ボタンの取付構造、特に、操作ボタンの取付構造を用いた操作盤及びリモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高温多湿の環境下にある浴室等にはその環境に耐えるリモコン装置が必要であり、このようなリモコン装置には、筐体内に感圧スイッチ等が内蔵され、その操作機構には筐体外から押しボタンによってスイッチを操作する構造が用いられている。
【0003】
このようなスイッチを操作する操作ボタンの取付構造に関し、特許文献1には、複数の操作ボタンを連結した、くしの歯状部材が外装カバーに熱溶着で加締め固定されることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、操作パネルのボタン孔にボタン本体を遊嵌させ、ボタン押え部材によってボタン本体を操作パネルに装着し、ボタン押え部材は透明樹脂によって一体成形され、樹脂の持つ弾性を利用してボタン本体を操作パネルに出没自在に支持し、ボタン本体の押圧操作によって感圧式スイッチを作動させることが開示されている。
【特許文献1】特開平11−173656号公報(要約、図1)
【特許文献2】特開2006−100151号公報(要約、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数の操作ボタンを備えるリモコン装置等の機器にあっては、操作ボタンが隣接して設置され、特定の機能を操作ボタンによって選択する場合では、各操作ボタンにがたつきがあると、1つの操作ボタンを押下した場合、他の操作ボタンも追従して動き、ユーザに不快感を与える。
【0006】
カバーとボタン押え部材とを溶着する構造では(特許文献1)、溶着処理に手間を要するだけでなく、製造コストを上昇させることになる。
【0007】
また、ボタンをはさむだけの構造では(特許文献2)、遊嵌している操作ボタンのがたつきを抑えることができない。
【0008】
このような課題について、特許文献1、2にはその開示はなく、その解決手段についても示唆されていない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、スイッチを操作する操作ボタンの取付構造に関し、操作ボタンのがたつきを抑制することにある。
【0010】
斯かる目的を詳細に述べれば、操作ボタンの取付けの安定化を図り、複数の操作ボタンが併設されても、操作ボタンの押下操作が他の操作ボタンを移動させないような取付構造を実現することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、スイッチを操作する操作ボタンの取付構造に関し、操作ボタンの取付構造及びその取付工程の簡略化にある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、上記操作ボタンの取付構造を用いた操作盤又はリモコン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、上記目的を達成するため、本発明は、スイッチを操作する操作ボタンの取付構造であって、スイッチが設置される筐体に設置する操作ボタンにヒンジ部が設けられ、このヒンジ部と筐体との間に跨がるパネルが設置され、このパネルに備えられた接着部がヒンジ部と筐体との間に跨がらせて接着されるので、筐体と操作ボタンのヒンジ部とが接着部を介して固定されるとともに、操作ボタンがヒンジ部によって進退可能に支持されている。斯かる構造によって、上記の目的が達成され、筐体に複数の操作ボタンを併設する場合であっても、操作ボタン間に応力が作用することなく、操作ボタンが連動的に移動するといった不都合が回避される。
【0014】
そこで、上記目的を達成するため、本発明の第1の側面は、スイッチを操作する操作ボタンの取付構造であって、前記スイッチが設置される筐体と、前記筐体に進退可能に支持させるヒンジ部を備える操作ボタンと、前記筐体に設置されるパネルに備えられ、前記筐体に設置された前記操作ボタンの前記ヒンジ部の少なくとも一部と前記筐体とに跨がって接着して前記パネルを固定する接着部とを備える構成である。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0015】
上記目的を達成するためには、上記操作ボタンの取付構造において、好ましくは、前記筐体に前記ヒンジ部の一部をはめ込み、前記操作ボタンを位置決めする凹部を備える構成としてもよいし、前記筐体は、進退させる前記操作ボタンを支持するとともに、前記操作ボタンの押下によって移動し、前記操作ボタンの押下を解除した際に前記操作ボタンを押下前の位置に復帰させる作動アーム部を備える構成としてもよいし、前記筐体は、進退させる前記操作ボタンの押下位置に前記操作ボタンの押下を阻止するストッパを備える構成としてもよいし、前記筐体と前記操作ボタンとを噛み合わせる嵌合部を備え、前記筐体に対する前記操作ボタンの配置位置を特定する構成としてもよいし、前記操作ボタンは、透明又は半透明のボタン本体を備えるとともに、前記ボタン本体の裏面部又は内面部に表示部を備える構成としてもよいし、前記パネルは、透明部又は半透明部を備え、前記筐体側にある光源の光を前記透明部又は半透明部から拡散させる構成としてもよいし、前記作動アーム部は、前記操作ボタンの押下により前記スイッチを押下する突部を備える構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的を達成することができる。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明の第2の側面は、スイッチを操作する操作ボタンを備える操作盤であって、上記操作ボタンの取付構造を備える構成である。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0017】
また、上記目的を達成するため、本発明の第3の側面は、スイッチを操作する操作ボタンを備えるリモコン装置であって、上記操作ボタンの取付構造を備える構成である。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0019】
a.スイッチを操作する操作ボタンにヒンジ部を備え、このヒンジ部の一部と、操作ボタンを設置する筐体とを、パネルの接着部により接着して固定したので、操作ボタンがヒンジ部によって筐体に固定され、操作ボタンのがたつきを抑制することができる。
【0020】
b.このような固定構造であるので、複数の操作ボタンが併設されても、操作ボタンの押下操作が他の操作ボタンを移動させることがなく、各操作ボタンが安定した固定状態に維持される。
【0021】
c.操作ボタンの取付構造及びその取付工程の簡略化を図ることができる。
【0022】
d.筐体に操作ボタンのヒンジ部の一部をはめ込み、操作ボタンを位置決めする凹部を備えれば、凹部によって操作ボタンの配置位置が決定され、その位置精度を高めることができる。
【0023】
e.筐体に操作ボタンを進退自在に支持する作動アーム部を備える構成とすれば、操作ボタンが作動アーム部によって支持され、操作ボタンの押下及び自動復帰を行うことができる。
【0024】
f.筐体に操作ボタンの押下位置に押下を阻止するストッパを備える構成とすれば、操作ボタンを過剰に押下させることを防止できる。
【0025】
g.筐体と操作ボタンとを噛み合わせる嵌合部を備え、筐体に対する操作ボタンの配置位置を特定する構成とすれば、複数の操作ボタンを配置する場合に、操作ボタンの配置位置が容易に決定され、配置位置の間違いを防止できる。
【0026】
h.操作ボタンに透明又は半透明のボタン本体を備え、ボタン本体の裏面部又は内面部に表示部を備える構成とすれば、表示部の内容を操作ボタン上から視認することができる。
【0027】
i.パネルは透明部又は半透明部を備え、筐体側にある光源の光を透明部又は半透明部から拡散させる構成とすれば、パネル面を背面の光源によって照光することができる。
【0028】
j.作動アーム部は、操作ボタンの押下によりスイッチを押下する突部を備える構成とすれば、操作ボタンの押下によりスイッチに突部から応力を集中させることができ、スイッチの操作精度が高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の操作ボタンの取付構造を適用したリモコン装置について、図1を参照する。図1は、全自動風呂給湯器のリモコン装置の一例を示す斜視図である。
【0030】
このリモコン装置2は、本発明の操作ボタンの取付構造、操作盤又はリモコン装置の一例である。このリモコン装置2は、浴室内に設置されるいわゆる浴室リモコンであって、浴室の壁面4に設置されている。
【0031】
このリモコン装置2には、筐体6の前面部にパネル、化粧部材又は指示部材としてパネル8が設置され、本発明に係る操作ボタンが適用された通話ボタン10、追いだきボタン12、ふろ自動ボタン14、運転ボタン16が設置されている。また、パネル8の中央には、画面表示部18、予約表示部20、燃焼表示部22、高温注意表示部24、メニューボタン26、放音孔28、ぬるく指示ボタン30、たし湯指示ボタン32、予約指示ボタン34、給湯上ボタン36、給湯下ボタン38、優先ボタン40が配置されている。
【0032】
次に、リモコン装置2の筐体6、パネル8及びその内部構造について、図2、図3及び図4を参照する。図2は、図1のII−II線断面図、図3は、筐体6の分解斜視図、図4は、筐体6の分解断面図である。図2、図3及び図4において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0033】
筐体6には、図2、図3及び図4に示すように、第1の筐体部として前面筐体部42、第2の筐体部として中間筐体部44、第3の筐体部として背面筐体部46を備えている。前面筐体部42は、通話ボタン10、追いだきボタン12、ふろ自動ボタン14、運転ボタン16等を固定する固定部材を構成する。中間筐体部44は背面筐体部46に固定されるとともに、前面筐体部42の内部に挿入される。中間筐体部44と前面筐体部42との間には防水シート47(図2)が設置されている。筐体6は、合成樹脂で形成されている。筐体6は背面筐体部46を壁面4にねじ等で固定することにより、壁面4に取り付けられる。
【0034】
中間筐体部44と背面筐体部46とで構成される密閉空間部48(図2)には、回路基板50が設置されているとともに、回路基板50には操作ボタンである追いだきボタン12で操作されるスイッチ52、LCD(Liquid Crystal Display)54等が設置されている。スイッチ52は例えば、感圧スイッチで構成される。回路基板50には図示しないが、通話ボタン10、ふろ自動ボタン14、運転ボタン16で操作される同様のスイッチが設置されている。
【0035】
パネル8には、通話ボタン10、追いだきボタン12、ふろ自動ボタン14を露出させる第1の窓部56、運転ボタン16を露出させる第2の窓部58等が形成され、画面表示部18に対応する透明な表示窓部60が形成されている。パネル8は例えば、アクリル板で形成されている。
【0036】
次に、操作ボタンの固定及び作動アームについて、図5、図6及び図7を参照する。図5は、通話ボタン10、追いだきボタン12、ふろ自動ボタン14及び前面筐体部42の作動アーム部を示す分解斜視図、図6は、作動アーム部を背面側から見て示した斜視図、図7は、操作ボタンの縦断面図である。図5、図6及び図7において、図1ないし図4と同一部分には同一符号を付してある。
【0037】
通話ボタン10、追いだきボタン12又はふろ自動ボタン14は操作ボタンの一例であって、透明なアクリル樹脂等で形成されたボタン本体62を備えており、このボタン本体62は偏平な直方体に形成され、その背面側の縁部にはフランジ部64が形成されている。このフランジ部64によってパネル8の窓部56からの飛び出しが防止される。
【0038】
また、ボタン本体62の背面には印刷によって表示部63(図7)が形成され、この表示部63の内面側に形成された文字がボタン本体62の上面側から視認可能である。この表示部63により、操作ボタンが通話ボタン10、追いだきボタン12又はふろ自動ボタン14として峻別される。
【0039】
また、ボタン本体62の長辺側の縁部には前面筐体部42にボタン本体62を支持させるためのヒンジ部66が形成されている。この実施の形態のヒンジ部66は、ボタン本体62の長辺側の縁部に形成されて平行に突出するアーム部68、70と、アーム部68、70間を橋絡する固定部72とで構成され、アーム部68、70及び固定部72で包囲された係合孔74とを備えている。固定部72は、アーム部68、70の先端側にボタン本体62の長辺と平行に形成されている。ボタン本体62の背面は平坦面であり、アーム部68、70はボタン本体62の背面を延長した同一幅の平板状であって、固定部72もボタン本体62の背面と同一面からなる平坦面部を備えている。この実施の形態では、ボタン本体62とアーム部68、70とを同一面としているが、異なる面に形成してもよい。この場合、固定部72はアーム部68、70の取付け幅より長く形成されている。
【0040】
前面筐体部42には通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14を前面筐体部42の厚み方向に進退可能に設置するための窓部76が形成され、この実施の形態では、窓部76は通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14に対応して単一である。前面筐体部42の窓部76の下側の縁部にはボタン本体62の押下限界を表すとともに押下を阻止するストッパ77が形成され、また、窓部76の上側の縁部にはボタン本体62のヒンジ部66の固定部72が挿入される凹部78が形成されているとともに、この凹部78に隣接してヒンジ部66の係合孔74に挿入される係合突部80が形成されている。この凹部78は固定部72より僅かに大きい相似形であり、また、係合突部80は、係合孔74より小さく形成されており、凹部78に固定部72を嵌合させれば、ボタン本体62が固定位置に位置決めされる。
【0041】
前面筐体部42の窓部76には、係合突部80を包囲するように窓部76の縁部から突出させたコ字形の作動アーム部82が形成され、この作動アーム部82はボタン本体62の背面部に当たってボタン本体62を支持する。この作動アーム部82にはボタン本体62の背面に当接させる突部86が形成されている。作動アーム部82は例えば、合成樹脂により、前面筐体部42と一体に形成されて弾性を備えており、前面筐体部42にボタン本体62を支持するとともに、前記操作ボタンの押下によって移動し、前記操作ボタンの押下を解除した際にボタン本体62を押下前の位置に復帰させる。
【0042】
また、この実施の形態では、通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14の位置が決められており、斯かる位置を機械的に選定可能にするため、前面筐体部42の各凹部78には嵌合部88の嵌合突部90が形成され、この嵌合突部90が挿入可能な嵌合部88の嵌合孔92を通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14の固定部72に備え、嵌合突部90と嵌合孔92とを以て固定位置を識別可能に構成しているので、通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14の固定位置が決められている。このため、通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14を間違えて装着することがない。この場合、嵌合部88は、固定部72側に嵌合突部90、凹部78側に嵌合凹部を形成してもよい。
【0043】
また、作動アーム部82の背面側には図6に示すように、中間筐体部44にある操作子94(図4、図10)に対応する位置に突部96が突設され、この突部96がボタン本体62の押下に応じて作動アーム部82とともに移動し、操作子94を押下させ、これによりスイッチ52が操作される。
【0044】
次に、パネル8及びその接着構造について、図8及び図9を参照する。図8は、パネル8の裏面(接着面)側に形成された接着部を示す図、図9は、パネル8の接着構造を示し、Aは、操作ボタン部分から示した部分斜視図、Bは、AのIXB −IXB 線断面図である。図8及び図9において、図1ないし図7と同一部分には同一符号を付してある。
【0045】
パネル8は、前面筐体部42の前面に設置され、通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14を前面筐体部42に固定する固定手段であって、このパネル8の裏面側には、前面筐体部42に設置された通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14のヒンジ部66の少なくとも一部、この実施の形態では、図8及び図9に示すように、固定部72と前面筐体部42とに跨がって接着される部分を含む接着部98が形成されている。接着部98は接着剤として例えば、両面接着シート100が形成され、図8において、斜線部が両面接着シート100を示している。
【0046】
両面接着シート100により、パネル8は、前面筐体部42の前面に貼着されて固定されるが、その際、通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14のヒンジ部66の固定部72と、固定部72がはめ込まれた凹部78の周囲部とに接着固定されるので、通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14のヒンジ部66と前面筐体部42との間にパネル8が跨がって固定される。即ち、通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14のヒンジ部66にパネル8が固定されるとともに、図9のBに示すように、両面接着シート100及びパネル8を介して前面筐体部42に各ヒンジ部66の固定部72が固定されている。
【0047】
次に、運転ボタン16の取付構造について、図10を参照する。図10は、運転ボタン16の取付構造の一例を示す分解斜視図である。図10において、図1ないし図9と同一部分には同一符号を付してある。
【0048】
運転ボタン16は、通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14と同様の取付構造であって、ボタン本体62が備えられ、ヒンジ部66が形成されているとともに、係合孔74が形成されている。通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14の場合と異なるのは、作動アーム部82が単一のアームシャフト102で構成されている。パネル8には窓部58が形成され、ボタン本体62に形成されているフランジ部64によって窓部58からのボタン本体62の離脱が防止されている。中間筐体部44にはスイッチを操作するための操作子94が形成され、この操作子94のボス部104に突部86が当接されている。その他の構成は、通話ボタン10、追いだきボタン12及びふろ自動ボタン14と同様であるので、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
上記の通り構成されたリモコン装置2のスイッチ操作について、図11を参照する。図11は、リモコン装置2のスイッチ操作を示す図であり、Aは、操作ボタンの押下前又は押下解除状態を示す図、Bは、その押下状態を示す図である。図11において、図1ないし図9と同一部分には同一符号を付してある。
【0050】
図11のAに示すように、通話ボタン10、追いだきボタン12、ふろ自動ボタン14又は運転ボタン16は、押下前、垂直状態に維持されるが、図11のBに示すように、指により押下されると、ボタン本体62のヒンジ部66が合成樹脂が持つ柔軟性によって撓み、ボタン本体62の中心部が前面筐体部42の作動アーム部82を押し、柔軟性を持つ防水シート47を介して中間筐体部44の操作子94が押され、スイッチ52が操作される。
【0051】
また、指をボタン本体62から離し又は押下を解除すると、ボタン本体62のヒンジ部66の合成樹脂が持つ剛性により、図11のAに示すように、押下前の位置に復帰させることができる。この場合、防水シート47及び操作子94も、押下の解除により、素材が持つ柔軟性により、押下前の位置に復元する。
【0052】
以上述べた実施の形態について、特徴事項や利点等を列挙して説明する。
【0053】
(1) リモコン装置2では、ボタン本体62は、前面筐体部42の窓部76及びパネル8の窓部56に進退可能に嵌め込まれ、そのヒンジ部66は前面筐体部42の凹部78に嵌合されてパネル8の接着部98を以て固定されているのでがたつきがなく、複数の操作ボタンとして通話ボタン10、追いだきボタン12、ふろ自動ボタン14が隣接して配置されていても、1つの押下が他のものに波及することがない。安定した固定状態が維持できる。
【0054】
(2) ボタン本体62は透明又は半透明の樹脂材で形成でき、ボタン本体62の操作面の裏面には一部分を半透明としたボタン照光部として銘板等の表示部63を印刷によって形成でき、ボタン本体62の機能や操作を明示することができる。
【0055】
(3) パネル8の半透明部は、回路基板50に設置する光源の光を散光させることができる。
【0056】
(4) ヒンジ部66に対応し、各種制御や起動・停止等に用いるスイッチ52を押圧する作動アーム部82が設けられ、この作動アーム部82は、通話ボタン10、追いだきボタン12、ふろ自動ボタン14の場合、弾性を有する程度の幅を持たせたコの字形状に形成したので、ボタン本体62の支持面積を大きく取ることができ、支持精度を高めることができる。
【0057】
(5) スイッチ52が設置された回路基板50は背面筐体部46に設置され、この背面筐体部46には中間筐体部44が被せられて密封されるとともに、この中間筐体部44には前面筐体部42が被せられており、しかも、前面筐体部42と背面筐体部46は中間筐体部44を内包するように包囲しているので、図2に示すように、気密性の高い外装構造が実現され、防水構造となっている。
【0058】
(6) 回路基板50には複数の光源を設置し、中間筐体部44の内部から前面筐体部42側のパネル8に向けて光を照射し、光による表示を行っており、表示の視認性が高められている。
【0059】
(7) 予約表示部20、燃焼表示部22、高温注意表示部24は、パネル8に選択的に透光部を形成したものであり、回路基板50に設置された予約表示用のランプ、燃焼表示用のランプ、高温注意表示用のランプの光照射により、必要な表示を行うことができる。
【0060】
(8) 画面表示部18には、メニューボタン26の1回の押下又は繰り返しの押下により、予め設定されているふろ温度、保温時間、ふろ水位、現在時刻、音量、給湯温度等を表示させることができる。
【0061】
(9) 操作状態は、スピーカを駆動し、放音孔28より音声ガイダンスを出力させることができる。
【0062】
(10) また、このリモコン装置2では、パネル8と前面筐体部42との間にボタン本体62を挟み込んで装着する構造であるため、背面筐体部46にスイッチ52、LCD54を実装した回路基板50をビス止めし、背面筐体部46と中間筐体部44とを合わせ、ワイヤーを溶着する。浴室リモコンの場合には防水性を高めるため、中間筐体部44の上に防水シート47を設置しているが、要求される防水性が低い場合には不要である。そして、中間筐体部44に被せた前面筐体部42を背面筐体部46に固定して組立品となる。
【0063】
(11) パネル8は光透過性の樹脂に部分的に光遮蔽部を形成し、その裏面に予約、燃焼、高温注意、設定、ぬるく、たし湯、優先、上、下、ふろ、給湯、ふろ温度、保温時間、ふろ水位、現在時刻、音量等の表示文字が印刷されており、これらは裏面に印刷しているため、直接触れることがなく、文字が消えることがない。
【0064】
(12) 組立てについては、ボタン本体62のヒンジ部66を前面筐体部42の凹部78に合わせて載せ、ボタン本体62のボタン中心部と前面筐体部42の作動アーム部82の突部86との位置を合わせ、その上からパネル8の窓部56をボタン本体62を潜らせて前面筐体部42に載せる。パネル8の裏面は粘着剤付となっているので、パネル8の裏面と前面筐体部42とを接着して組み立てる。ボタン本体62のヒンジ部66をパネル8の裏面に接着固定することで、位置ずれや、がたつきを防止できる。
【0065】
(13) 操作ボタン毎に違う位置に位置決め孔として嵌合孔92が設置されており、その位置に所定のボタン本体62が設置されるので、通話ボタン10、追いだきボタン12又はふろ自動ボタン14の位置の取り違いを防止できる。
【0066】
(14) ボタン本体62の表示部は、ボタン本体内部に形成してもよい。
【0067】
(15) 上記実施の形態では、リモコン装置2について説明したが、各種スイッチを備える操作盤であってもよく、本発明は、上記実施の形態のリモコン装置2に限定されるものではない。
【0068】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、感圧スイッチ等のスイッチを操作する操作ボタンの取付構造、特に、操作ボタンの取付構造を用いた操作盤及びリモコン装置に関し、スイッチを操作する操作ボタンにヒンジ部を備え、このヒンジ部の一部と、操作ボタンを設置する筐体とを、パネルの接着部により接着して固定したので、操作ボタンがヒンジ部によって筐体に固定され、操作ボタンのがたつきを抑制することができ、複数の操作ボタンが併設されても、操作ボタンの押下操作が他の操作ボタンを移動させることがなく、各操作ボタンが安定した固定状態に維持される等、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】全自動風呂給湯器のリモコン装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】リモコン装置を示す分解斜視図である。
【図4】リモコン装置を示す分解断面図である。
【図5】操作ボタン及び筐体の固定部分を示す斜視図である。
【図6】作動アーム部を背面側から見て示した図である。
【図7】操作ボタンの一部を切り欠いて示した図である。
【図8】パネルの裏面側に形成された接着部を示す図である。
【図9】パネルの接着構造を示す図である。
【図10】運転ボタンの取付構造部分を示す分解斜視図である。
【図11】操作ボタンの押下及びその解除を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
2 リモコン装置
6 筐体
8 パネル
10 通話ボタン(操作ボタン)
12 追いだきボタン(操作ボタン)
14 ふろ自動ボタン(操作ボタン)
16 運転ボタン(操作ボタン)
42 前面筐体部
44 中間筐体部
46 背面筐体部
52 スイッチ
62 ボタン本体
66 ヒンジ部
77 ストッパ
78 凹部
82 作動アーム部
88 嵌合部
98 接着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチを操作する操作ボタンの取付構造であって、
前記スイッチが設置される筐体と、
前記筐体に進退可能に支持させるヒンジ部を備える操作ボタンと、
前記筐体に設置されるパネルに備えられ、前記筐体に設置された前記操作ボタンの前記ヒンジ部の少なくとも一部と前記筐体とに跨がって接着して前記パネルを固定する接着部と、
を備えることを特徴とする、操作ボタンの取付構造。
【請求項2】
請求項1記載の操作ボタンの取付構造において、
前記筐体に前記ヒンジ部の一部をはめ込み、前記操作ボタンを位置決めする凹部を備えることを特徴とする、操作ボタンの取付構造。
【請求項3】
請求項1記載の操作ボタンの取付構造において、
前記筐体は、進退させる前記操作ボタンを支持するとともに、前記操作ボタンの押下によって移動し、前記操作ボタンの押下を解除した際に前記操作ボタンを押下前の位置に復帰させる作動アーム部を備えることを特徴とする、操作ボタンの取付構造。
【請求項4】
請求項1記載の操作ボタンの取付構造において、
前記筐体は、進退させる前記操作ボタンの押下位置に前記操作ボタンの押下を阻止するストッパを備えることを特徴とする、操作ボタンの取付構造。
【請求項5】
請求項1記載の操作ボタンの取付構造において、
前記筐体と前記操作ボタンとを噛み合わせる嵌合部を備え、前記筐体に対する前記操作ボタンの配置位置を特定することを特徴とする、操作ボタンの取付構造。
【請求項6】
請求項1記載の操作ボタンの取付構造において、
前記操作ボタンは、透明又は半透明のボタン本体を備えるとともに、前記ボタン本体の裏面部又は内面部に表示部を備えることを特徴とする、操作ボタンの取付構造。
【請求項7】
請求項1記載の操作ボタンの取付構造において、
前記パネルは、透明部又は半透明部を備え、前記筐体側にある光源の光を前記透明部又は半透明部から拡散させることを特徴とする、操作ボタンの取付構造。
【請求項8】
請求項3記載の操作ボタンの取付構造において、
前記作動アーム部は、前記操作ボタンの押下により前記スイッチを押下する突部を備えることを特徴とする、操作ボタンの取付構造。
【請求項9】
スイッチを操作する操作ボタンを備える操作盤であって、
請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の操作ボタンの取付構造を備えることを特徴とする操作盤。
【請求項10】
スイッチを操作する操作ボタンを備えるリモコン装置であって、
請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の操作ボタンの取付構造を備えることを特徴とするリモコン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−288053(P2008−288053A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132377(P2007−132377)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000170130)高木産業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】