説明

操作マニュアル表示装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】ユーザの動作に連動して、操作マニュアルの電子データを、ユーザが理解し易いように、かつ、簡便に表示する。
【解決手段】この画像形成装置において、コピー機能を使用しているときにコピー倍率設定キーを押下すると、予め関連付けテーブルに記憶されたコピー倍率設定キーに関連付けされた操作マニュアルの電子データ(例えばpdfファイル)がハードディスクから読出される。この電子データを用いて、紙媒体に印刷された操作マニュアルそのもののイメージで取説表示エリアに操作情報が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式等により記録媒体(代表的には用紙)に画像を形成する画像形成装置に関し、特に、操作についての説明をユーザが理解し易いように、かつ、簡便に表示する操作マニュアル表示装置に関する。また、本発明は、操作マニュアル表示装置を備えた画像形成装置にも関係がある。
【背景技術】
【0002】
従来から、電化製品には、その製品の設置方法又は操作方法などをユーザに説明するために、取付説明書又は取扱説明書(以下、「操作マニュアル」又は「取説」と記載する場合がある。)を同梱し、その製品を購入したユーザは、取付説明書を読みながら装置をセッティングしたり、取扱説明書を読みながらユーザが要望する各種の操作を行なったりしている。
【0003】
近年では、コストダウン又は同梱物を少なくする観点から、操作マニュアルをCD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)に電子データとして記憶させて提供することがある。また、ユーザが使用しようとしている操作についての簡易な説明を装置の操作画面上に表示するヘルプ機能と、このヘルプ機能に関連したガイダンスの選択とが可能な装置が提案されている。このような装置として特開2007−140851号公報(特許文献1)に開示された電子装置がある。この特許文献1においては、以下のように述べられている。
【0004】
ヘルプ機能と操作マニュアルとを比較すると、ヘルプ機能の利点として、「ユーザが必要な情報を得るための労力が大変少なくて済む」という点を挙げることができる。すなわち、操作マニュアルは、必要な情報をユーザが検索する必要のあるものであるが、ヘルプ機能は、ユーザが現在行なっている操作に対する情報を装置が検索して提示してくれるものである。
【0005】
逆に、マニュアルの利点として、「量の多い情報に対する理解性が高い」という点を挙げることができる。この利点は、マニュアルの持つ特徴としての「表現面積が広く、柔軟な情報表現が可能」、「情報表現のために使えるツールが多彩」等が影響している。
【0006】
ヘルプ機能は、情報を表示する手段として装置上のディスプレイやディスプレイ付き操作パネルを使用するのが一般的である。これらの表示手段は、情報表示面積が小さく、情報表現力も低いものが多い。情報表示面積が小さいことは、量の多い情報を表示する際に、その情報を多数の部分に分けて順次連続して表示することを余儀なくさせる。この表示方法は、ユーザに対する情報の理解を困難にするため、ヘルプ機能においては表示する情報量をそれほど大きくすることはできない。また、この表示方法は、情報表現力も低いことも、ユーザに対する情報の理解を困難にしている。
【0007】
そのために、ユーザが現在行なっている操作に対する説明を得るために用いられている一般的な方法は、初めにヘルプ機能を利用し、そこで十分な説明が得られなかった場合(ユーザが理解できなかった場合)に、操作マニュアル上の詳細な説明を検索するというものである。このような方法は、ユーザの労力削減を目的にしたものである。
【0008】
特許文献1においては、このような背景の下で、ヘルプ機能で得られなかった説明を操作マニュアルから検索する作業を簡易化及び効率化するとともに、現在行なっている操作に対する説明をユーザがより小さな労力で取得することができるようにした電子装置を提供すると記載されている。
【0009】
この特許文献1に開示された電子装置は、ディスプレイを有する操作手段と、ヘルプ機能用データ、マニュアルデータ及びヘルプ機能用データとマニュアルデータとの関係を示すヘルプ−マニュアル間リンクデータを格納したメモリと、操作マニュアルの取得を制御する制御手段とを備え、制御手段は、操作手段からの指示によりディスプレイにヘルプ情報が表示されたとき、ヘルプ情報に関連する情報を得るための関連マニュアルの表示のリンク情報を表示し、リンク先の関連マニュアルの内容を取得することを特徴とする。さらに、この制御手段は、取得した関連マニュアルの内容が記載された紙文書によるマニュアルのページ番号をディスプレイに表示するように指示を行なうことを特徴とする。
【0010】
この電子装置によると、装置側がヘルプ機能の表示内容と関係するマニュアルデータのページへのリンク情報を記録しているため、ユーザがヘルプ機能の表示内容からそれと関係のあるマニュアルの内容を効率的に取得することができる。さらに、装置側がヘルプ機能の表示内容と関係するマニュアルページを検索してそのページ番号を自ら表示することができるため、ユーザがヘルプ機能の表示内容からそれと関係のあるマニュアル内容を、表示されたマニュアルページ番号に基づいて、効率的に取得することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−140851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に開示された電子装置においては、ヘルプ機能を表示するとともに、表示されたヘルプ情報に関連した操作マニュアルのページ番号を表示できたり、情報の表示エリアに表示可能な単位で区切って、操作マニュアルの情報を表示できたりする。
【0013】
しかしながら、特許文献1に開示された電子装置においては、マニュアルのページ番号を表示するものに過ぎない、又は、特許文献1の図6(b)に示すように、操作したキーに対応する操作マニュアルに記載された文字情報をモニタに表示するものに過ぎない。すなわち、操作したキーに対応する操作マニュアル自体を目視で直接的に確認することはできず、ユーザは操作マニュアルを取り出して、そのページを見なければならないという問題がある。
【0014】
したがって、本発明の目的は、紙に印刷された状態(人間の視覚にとってモニタに表示された操作マニュアルデータを見たときに紙に印刷された操作マニュアルと同じ状態)を表示できるように操作マニュアルが電子データ化されている場合において、ユーザの操作に関連した操作マニュアルの情報を、ユーザが理解し易いように、かつ、簡便に表示することができる、操作マニュアル表示装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のある局面に係る操作マニュアル表示装置は、操作マニュアルの電子データを取得するための取得手段と、操作キーの入力を検出するための検出手段と、操作キーと操作マニュアルの項目とを関連付けるための関連情報を記憶するための関連情報記憶手段と、電子データを用いて、操作についての情報を表示するための表示手段と、関連情報を用いて、取得された電子データの中から入力された操作キーに関連付けされた操作マニュアルの項目を読出して、読出した電子データを用いて、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージで操作に関する情報を表示するように、表示手段を制御するための制御手段とを含む。なお、この操作マニュアル表示装置は、操作マニュアルの電子データを記憶するための記憶手段をさらに含み、取得手段は、記憶手段に記憶された電子データを取得するための手段を含むように構成できる。さらに、この操作マニュアル表示装置は、外部機器と通信するための通信手段をさらに含み、取得手段は、通信手段を介して外部機器から操作マニュアルの電子データを取得するための手段を含むように構成できる。
【0016】
この操作マニュアル表示装置によると、操作キーをユーザが操作したことに連動させて、操作されたキーについて関連付けられた操作マニュアルの項目を、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージを維持して表示手段に表示する。すなわち、ユーザが行ないたい操作についての情報が、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージのままで表示される。この操作マニュアルのデータは、この操作マニュアル表示装置の記憶手段(例えばハードディスク装置)に記憶されていて取得手段により取得されるものであっても構わないし、この操作マニュアル表示装置の外部機器に記憶されていて通信手段(例えばインターネット)を介して取得手段により取得されるものであっても構わない。操作マニュアルは視覚的に見やすく作成されているために、操作マニュアルのイメージで表示すると、ユーザが操作に関する情報を理解し易い。さらに操作キーに関連付けされた操作マニュアルの項目が表示されるので、簡便に操作マニュアルを表示させることができる。その結果、ユーザの操作に関連した操作マニュアルの情報を、ユーザが理解し易いように、かつ、簡便に表示することができる、操作マニュアル表示装置を提供することができる。
【0017】
なお、表示手段をタッチパネルで構成することができ、この場合には、制御手段は、タッチパネルに入力された要求にしたがった表示態様を変更して、操作に関する情報を表示するように、表示手段を制御するための手段を含むように構成できる。この表示態様の変更は、表示手段に表示される操作マニュアルの位置が変更されるように構成できる。さらに、この表示態様の変更は、表示手段に表示される操作マニュアルが拡大又は縮小されるように構成できる。
【0018】
操作に関する情報であって、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージのままで、タッチパネルに表示された操作マニュアルの特定の部分を、指で触れたり、指で触れたまま指を移動させたり、複数の指で触れたまま指を広げたりすると、拡大されたり縮小されたりスクロールされたりするように表示態様を変更できる。操作マニュアルの1ページの全体を表示しておいて拡大させたり、操作マニュアルの1ページの一部を表示しておいてスクロールさせたりして、表示面積の小さい表示手段であっても、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージのまま表示できるので、操作に関する情報をユーザにわかりやすく提供できる。
【0019】
さらに、制御手段は、表示される操作マニュアルの情報がユーザの視覚により認識可能な態様で表示するように、表示手段を制御するための手段を含むように構成できる。また、制御手段は、表示される操作マニュアルの文字又は図形がユーザの視覚により認識可能な大きさで表示するように、表示手段を制御するための手段を含むように構成できる。
【0020】
表示手段には、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージであって、操作マニュアルの文字又は図形がユーザの視覚により認識可能な大きさで表示される。紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージのまま、ユーザが視覚により認識可能な態様で、操作に関する情報を提供できる。
【0021】
表示手段は、操作についての情報を表示するとともに、操作キーを表示するための手段を含むように構成できる。
【0022】
表示手段には、操作キーが表示されるとともに、操作についての情報(操作マニュアル)が表示される。このため、ユーザが操作キーを入力するとユーザが操作した操作キーに関連する操作についての情報を、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージで表示できる。
【0023】
さらに、制御手段は、操作キーが入力されたことに連動して、操作についての情報を切替えて表示するように、表示手段を制御するための手段を含むように構成できる。
【0024】
例えば、コピー基本機能の操作キーが表示されているときに、拡大縮小キーを操作すると、コピーについての基本操作についての情報が、コピーの拡大縮小操作についての情報に切替わる。このため、ユーザの操作に関連した操作マニュアルの情報を簡便に表示することができる。
【0025】
本発明の別の局面に係る画像形成装置は、上述したいずれかの操作マニュアル表示装置を備えた画像形成装置である。
【0026】
この画像形成装置が備える操作マニュアル表示装置によると、操作キーをユーザが操作したことに連動させて、操作された画像形成に関するキーについて関連付けられた操作マニュアルの項目を、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージを維持して表示手段に表示する。すなわち、ユーザが行ないたい画像形成操作についての情報が、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージのままで表示される。このため、ユーザの画像形成操作に関連した操作マニュアルの情報を、ユーザが理解し易いように、かつ、簡便に表示することができる、操作マニュアル表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、ユーザにより操作されたキーについて関連付けられた操作マニュアルの項目が、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージを維持して表示手段に表示される。すなわち、ユーザの操作についての情報が、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージのままで表示される。操作マニュアルは視覚的に見やすく作成されているために、操作マニュアルのイメージで表示することにより、ユーザが操作に関する情報を理解し易く表示させることができる。さらに操作キーに関連付けされた操作マニュアルの項目が表示されるので、簡便に操作マニュアルを表示させることができる。その結果、ユーザの操作に関連した操作マニュアルの情報を、ユーザが理解し易いように、かつ、簡便に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置150の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す画像形成装置150の内部構成を簡略化して示す図である。
【図3】図1に示す画像形成装置150のハードウェア構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図3に示すHDDで記憶される関連付けテーブルの構成を示す図である。
【図5】図1に示す画像形成装置150の表示パネル172の画面構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像形成装置で実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図7】図3に示す表示パネル172に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの機能及び名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。なお、以下においては、電子写真方式の画像形成装置(複合機)について説明するが、本発明はこれに限定されず、操作マニュアルが表示できる横幅を備えた表示パネルを搭載した装置であれば好ましいが、後述するように拡大機能を備えれば横幅について制限されなくても構わない。
【0030】
[画像形成装置]
図1は、画像形成装置150の外観構成を示す図である。図2は、画像形成装置150の内部構成を簡略化して示す図である。図3は、画像形成装置150の機能ブロック図である。
【0031】
図1及び図2を参照して、画像形成装置150は、原稿読取部152、画像形成部154、給紙部156、及び排紙処理装置158を備える。
【0032】
ここで、コピーモードでの動作説明を行なうことによって、画像形成装置150の内部構成の説明とする。
【0033】
画像形成装置150においては、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部152により画像データとして読取られ、読取られた画像データが図3に示すマイクロコンピュータ等から構成されるCPU(Central Processing Unit)300に入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施され、この画像データが画像形成部154へと出力される。
【0034】
画像形成部154は、画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に印刷するものであって、感光体ドラム222、帯電装置224、レーザスキャンユニット(以下、「LSU」と称する。)226、現像装置228、転写装置230、クリーニング装置232、定着装置234、及び図示しない除電装置等を備えている。
【0035】
画像形成部154には、主搬送路236及び反転搬送路238が設けられており、給紙部156から給紙されてきた記録用紙が主搬送路236に沿って搬送される。給紙部156は、用紙カセット240に収納された記録用紙、又は手差トレイ242に載置された記録用紙を1枚ずつ引出して記録用紙を画像形成部154の主搬送路236へと送り出す。
【0036】
画像形成部154の主搬送路236に沿って記録用紙が搬送されている途中で、記録用紙が感光体ドラム222と転写装置230との間を通過し、更に定着装置234を通過して、記録用紙に対する印刷が行なわれる。
【0037】
感光体ドラム222は、一方向に回転し、その表面は、クリーニング装置232と除電装置によりクリーニングされた後、帯電装置224により均一に帯電される。
【0038】
LSU226は、印刷対象の画像データに基づいてレーザ光を変調し、このレーザ光によって感光体ドラム222の表面を主走査方向に繰返し走査して、静電潜像を感光体ドラム222の表面に形成する。
【0039】
現像装置228は、トナーを感光体ドラム222の表面に供給して静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム222の表面に形成する。
【0040】
転写装置230は、当該転写装置230と感光体ドラム222との間を通過していく記録用紙に感光体ドラム222の表面のトナー像を転写する。
【0041】
定着装置234は、記録用紙を加熱するための加熱ローラ248と、記録用紙を加圧するための加圧ローラ250とを含む。記録用紙は、加熱ローラ248によって加熱され、かつ、加圧ローラ250によって加圧されることによって、記録用紙上に転写されたトナー像が記録用紙に定着される。
【0042】
主搬送路236と反転搬送路238との接続位置には、分岐爪244が配設されている。記録用紙の片面のみに印刷が行なわれる場合は、分岐爪244が位置決めされ、この分岐爪244により定着装置234からの記録用紙が排紙トレイ246又は排紙処理装置158の方へと導かれる。
【0043】
記録用紙の両面に印刷が行なわれる場合は、分岐爪244が所定方向に回動されて記録用紙が反転搬送路238の方へと導かれる。記録用紙は、反転搬送路238を通過して、その表裏を反転されて主搬送路236へと再び搬送され、主搬送路236の再度の搬送途中で、その裏面への印刷が行なわれて排紙トレイ246又は排紙処理装置158の方へと導かれる。
【0044】
上記のようにして印刷された記録用紙は、排紙トレイ246又は排紙処理装置158の方へと導かれて排紙トレイ246に排出され、又は排紙処理装置158の各排紙トレイ168の何れかに排出される。
【0045】
排紙処理装置158では、複数の記録用紙を各排紙トレイ168に仕分けして排出する処理、各記録用紙にパンチングする処理、及び各記録用紙にステープルする処理を施す。例えば、複数部の印刷物を作成する場合は、各排紙トレイ168に印刷物の一部ずつが割り当てられるように、各記録用紙を各排紙トレイ168に仕分けして排出し、排紙トレイ168毎に、排紙トレイ168上の各記録用紙にパンチング処理又はステープル処理を施して印刷物を作成する。
【0046】
[ハードウェアブロック]
図3を参照して、画像形成装置150はさらに、画像形成処理に関する各機能の設定が可能な操作装置166と、プログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)306と、通電が遮断された場合であってもプログラム及びデータ等を記憶可能な不揮発性記憶領域であるHDD(Hard Disk Drive)302と、プログラムを実行する際の記憶領域を提供するためのRAM(Random Access Memory)308とを含む。なお、画像形成装置150はさらに、原稿読取部152、画像形成部154、操作装置166、ROM306、HDD302、及びRAM308に接続されるバス310と、バス310に接続された、画像形成装置としての一般的機能を実現するためのCPU300とを含む。
【0047】
ROM306には、画像形成装置150の動作を制御するのに必要なプログラム及びデータ等が記憶されている。CPU300は、ROM306に格納されているプログラム及びデータに従って画像形成装置150の制御を行なうと共に画像形成装置150の各機能に関する制御を実行する。
【0048】
RAM308は、CPU300による演算及び処理の結果を一時的に記憶するワーキングメモリとしての機能と、画像データを記憶するフレームメモリとしての機能とを提供する。
【0049】
原稿読取部152、画像形成部154、操作装置166の板状の操作パネル170及び表示パネル172、並びにROM306、HDD302、及びRAM308に対する制御は、CPU300が所定のプログラムを実行することにより行なわれる。
【0050】
操作装置166は、操作装置166の表面の右端の領域に配置された、スタートキー及びその他の操作ボタンであるハードキーが備えられている板状の操作パネル170と、操作装置166の大部分の領域に配置された、タッチパネル一体型液晶表示装置から構成されている表示パネル172とを含む。操作パネル170と表示パネル172とは一つの筐体に保持され、操作装置166は全体として一体となるように構成されている。
【0051】
この操作装置166においては、表示パネル172に、この画像形成装置150の状態、宛先指定状況、ジョブの処理状況等が表示される。表示パネル172の液晶表示装置の表示領域上には選択ボタンが表示され、この選択ボタンの表示されている領域を指で押すと、タッチパネルがその押された位置を検出する。プログラム上で選択ボタンの表示位置とタッチパネルが押された位置とを照合することにより、画像形成装置150の機能設定及び動作指示等が行なわれる。
【0052】
この画像形成装置150においては、電子データに変換された操作マニュアルがドキュメントデータとしてHDD302に記憶されている。このような操作マニュアルの記憶形式としてpdf(Portable Document Format)ファイル形式がある。pdfファイル形式は、電子データ化された文書に関するファイルフォーマットであって、特定の環境に左右されずに全ての環境でほぼ同様の状態で文章や画像等を閲覧できる特性を持っている。なお、このようなファイル形式に限定されるものではなく、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージそのものを表示パネル172に表示できるものであれば、特に限定されない。
【0053】
また、この画像形成装置150においては、ユーザが操作したキーに対応する操作マニュアルを、HDD302から読出すために用いられる関連付けテーブルがHDD302に記憶されている。この関連付けテーブルは、図4に示すフィールドを備える。
【0054】
図4に示すように、この関連付けテーブルは、ユーザにより操作される表示パネル172に表示されて押下されるキー(選択ボタン)の名称を記憶するフィールドと、そのキーに関連する操作マニュアル(取扱説明書)の種類を記憶するフィールドと、操作マニュアルのそのキーに関連するページを記憶するフィールドと、表示させる章の名称を記憶するフィールドとを備える。
【0055】
HDD302にドキュメントデータとして記憶された操作マニュアルは、操作マニュアル(取扱説明書)の種類と、操作マニュアルのページと、操作マニュアルの章とを検索キーにして、操作マニュアルの電子データをHDD302からCPU300が読出すことができる。
【0056】
さらに、上記した表示パネル172は、図5に示すように、操作エリアと、操作マニュアルを表示する取説表示エリアとで構成される。少なくとも操作エリアはタッチパネルで構成される。取説表示エリアは、操作マニュアルが紙媒体で提供された場合にその紙媒体の横幅程度の幅(例えばA4用紙の横幅又はB5用紙の横幅)を備える。このため、取説表示エリアにおいては操作マニュアルを横方向にスクロールしなくても、操作マニュアルをユーザが視認可能である。
【0057】
さらに、このように操作マニュアルそのままのイメージで、電子データを使用して表示パネル172に操作マニュアル表示させた場合、ユーザの視覚により十分に認識可能な文字の大きさ及び図の大きさで表示する必要がある。このように表示できるものであれば、取説表示エリアの横幅は、紙媒体に印刷された操作マニュアルの横幅よりも小さいものであっても構わない。なお、取説表示エリアの大きさが、紙媒体に印刷された操作マニュアルの大きさ(例えばA4用紙の大きさ又はB5用紙の大きさ)であれば、縦スクロールも不要となる。
【0058】
また、取説表示エリアに、紙媒体に印刷された操作マニュアルの1ページ分(又は見開き1ページ分)を表示しておいて(これでは文字又は図がユーザの視覚により認識不可能な大きさと仮定する。)、その表示を押下したり、2本の指で押下してそれらの指を広げたりすると、押下した場所の文字又は図がユーザの視覚により認識可能な程度まで拡大表示されるようにしても構わない。
【0059】
また、取説表示エリアに、紙媒体に印刷された操作マニュアルの1ページ分(又は見開き1ページ分)を、文字又は図がユーザの視覚により認識可能な程度で表示しておいて、その表示を押下したまま下方向(又は上方向、左方向、右方向)に指を移動させると、操作マニュアルが下方向に(又は上方向、左方向、右方向)スクロールされるようにしても構わない。
【0060】
上記したいずれの場合であっても、取説表示エリアには、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージ通りに表示されている。この表示態様のままの状態であっても構わないし、拡大させたり移動させたり(スクロールさせたり)しても構わない。さらに、拡大又は縮小と移動とを適宜組合わせても構わない。
【0061】
本実施の形態に係る画像形成装置150は、このように、取説表示エリアに紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージ通りに表示することを特徴としている。この特徴は以下に説明するソフトウェアにより実現される。
【0062】
[ソフトウェア構成]
図6は、画像形成装置150で実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。なお、画像形成装置150のCPU300は、取説表示エリアに紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージ通りに表示するプログラムと並行して、コンピュータ又は画像形成装置としての一般的機能を実現するプログラムを実行する。しかし、そのプログラムは、本発明の本質的部分とは直接関係するものではないので、その詳細についてはここでは説明しない。
【0063】
図6を参照して、ステップ(以下、ステップをSと記載する。)100にて、画像形成装置150のCPU300(以下、単にCPU300と記載する。)は、初期画面を表示パネル172に表示する。S110にて、CPU300は、キーが選択されたか否かを判定する。このとき、CPU300は、表示パネル172のタッチパネルからユーザにより入力された情報に基づいて、キー(タッチパネルにより形成される押下可能な選択ボタン)が選択されたか否かを判定する。キーが選択されたと判定されると(S110にてYES)、処理はS120へ移される。もしそうでないと(S110にてNO)、この処理はS100へ戻されてキーが選択されたと判定されるまで初期画面を表示する。
【0064】
S120にて、CPU300は、表示パネル172を操作エリアと取説表示エリア(取扱説明書表示エリア)とに分割して表示できるようにする。S130にて、CPU300は、関連付けテーブルをHDD302から読込む。なお、既にHDD302からRAM308に読込まれて処理可能である場合には、関連付けテーブルをHDD302から読込む必要はない。
【0065】
S130にて、CPU300は、ユーザにより選択されたキーに関連付けされた取扱説明書の項目があるか否かを判定する。このとき、図4に示す関連付けテーブルのキーの名称を記憶するフィールドに、ユーザにより選択されたキーがあるか否かが判定される。ユーザにより選択されたキーに関連付けされた取扱説明書の項目があると判定されると(S140にてYES)、処理はS150へ移される。もしそうでないと(S140にてNO)、この処理はS170へ移される。
【0066】
S150にて、CPU300は、ユーザにより選択されたキーに関連付けされた取扱説明書のドキュメントデータをHDD302から読出す。このとき、取扱説明書の所定のページの所定の章の部分のドキュメントデータがHDD302から読出される。なお、所定のページ及び所定の章とは、図4に規定されたページ及び章である。
【0067】
S160にて、CPU300は、取説表示エリアにドキュメント(紙媒体に印刷された取扱説明書のイメージ通りのドキュメント)を表示する。S170にて、CPU300は、操作エリアに選択されたキーに対応する操作画面を表示する。
【0068】
[動作]
以上のような構造及びフローチャートに基づく、本実施の形態に係る画像形成装置150の動作について、図7を用いて説明する。
【0069】
図7(A)に示すように、画像形成装置150の表示パネル172の操作表示エリアに初期画面が表示されている状態で(S100)、左上端の「コピー」キーを押下すると(S110にてYES)、図4に示す関連付けテーブルが読出されて(S130)、コピーキーに関連付けされた「取扱説明書(コピー編)5ページの「コピーする」の章」が、取説表示エリアに、表示される(S160)。これが図7(A)の状態である。
【0070】
さらに、図7(A)に示すように、コピー機能の倍率キーを押下すると、コピー倍率設定を選択したと判定される(S110にてYES)。図4に示す関連付けテーブルが読出されて(S130)、倍率キーに関連付けされた「取扱説明書(コピー編)12ページの「手動で倍率を選択する(固定倍率/ズーム)」の章」が、取説表示エリアに、表示される(S160)。これが図7(B)の状態である。
【0071】
さらに、図7(B)に示す、コピー機能の倍率自動選択キーを押下すると、倍率自動選択キーに関連付けされた取扱説明書(コピー編)の「自動で倍率を選択するの章」が、取説表示エリアに、表示される(S160)。
【0072】
また、図7(A)から図7(B)へ操作エリアの表示内容が変更されている。コピー機能の倍率キーを押下したことに応答して、コピー基本画面からコピー倍率設定画面へ変更されて(切替えられて)表示されている(S170)。
【0073】
図7(A)及び図7(B)に示すように、取説表示エリアに表示されるのは、紙媒体に印刷された操作マニュアルそのもののイメージの操作に関する情報である。取説表示エリアは、操作マニュアルが紙媒体で提供された場合の紙媒体の横幅程度の幅(例えばA4用紙の横幅又はB5用紙の横幅)を備えるため、取説表示エリアにおいては操作マニュアルを横方向にスクロールしなくても、操作マニュアルをユーザが視認可能である。しかも、ユーザの視覚により十分に操作マニュアルの内容が認識可能な文字の大きさ及び図の大きさで表示されている。このため、ユーザは紙媒体に印刷された操作マニュアルを取り出して、その紙媒体に印刷された操作マニュアルをわざわざ参照する必要がない。
【0074】
以上のようにして、本実施の形態に係る画像形成装置によると、キーを操作したことに連動させて、操作されたキーについて説明されている操作マニュアルの部分(章、項目)を表示パネルにそのイメージを維持して表示する。すなわち、今まさにユーザが行ないたい操作についての情報が、取扱説明書のイメージそのままで表示される。取扱説明書は視覚的に見やすく作成されている。これは、取扱説明書は少なくともA4〜B5程度の大きさがあるので、多くの情報量であっても一見してわかりやすいように(図を挿入したりして)作成されていることに起因する。本実施の形態に係る画像形成装置においては、表示パネルの取説表示エリアに縦スクロールする必要なく、操作マニュアルの特定のページ又は章をそのままのイメージで表示させている。以上より、視覚的にわかりやすい取扱説明書のイメージを、ユーザが操作しやすく(簡便に)、かつ、ユーザが理解し易いように、表示することができる。
【0075】
なお、上述した実施の形態においては、紙媒体の操作マニュアルが電子データ(例えばpdfファイル形式の電子データ)に変換されてHDD302に記憶されている。しかしながら、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、この画像形成装置150がインターネット通信部を備え、画像形成装置150が、インターネット通信部を介して、外部機器(例えばこの画像形成装置150の製造メーカ又はその関連会社が運営するサーバ装置)に接続されるように構成する。この外部機器に、紙媒体の操作マニュアルを電子データ(例えばpdfファイル形式の電子データ)に変換して記憶しておく。画像形成装置150は、HDD302にこのような電子データを記憶するのではなく、必要に応じて電子データを外部機器からダウンロードするようにしても構わない。さらに、画像形成装置150は、操作された状況に応じて、必要な電子データのみを(必要なマニュアル部分のみを)外部機器からダウンロードするようにしても構わない。すなわち、画像形成装置150において表示される電子データ(操作マニュアル)は、画像形成装置150の記憶部であるHDD302に記憶されていても構わないし、インターネット通信により取得されるものであっても構わない。
【0076】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0077】
150 画像形成装置
166 操作装置
170 操作パネル
172 表示パネル
300 CPU
302 HDD
304 不揮発性メモリ
306 ROM
308 RAM
310 バス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作マニュアルの表示が可能な装置であって、
操作マニュアルの電子データを取得するための取得手段と、
操作キーの入力を検出するための検出手段と、
操作キーと操作マニュアルの項目とを関連付けるための関連情報を記憶するための関連情報記憶手段と、
前記電子データを用いて、操作についての情報を表示するための表示手段と、
前記関連情報を用いて、前記取得された電子データの中から前記入力された操作キーに関連付けされた操作マニュアルの項目を読出して、前記読出した電子データを用いて、紙媒体に印刷された操作マニュアルのイメージで操作に関する情報を表示するように、前記表示手段を制御するための制御手段とを含む、操作マニュアル表示装置。
【請求項2】
前記操作マニュアル表示装置は、操作マニュアルの電子データを記憶するための記憶手段をさらに含み、
前記取得手段は、前記記憶手段に記憶された電子データを取得するための手段を含む、請求項1に記載の操作マニュアル表示装置。
【請求項3】
前記操作マニュアル表示装置は、外部機器と通信するための通信手段をさらに含み、
前記取得手段は、前記通信手段を介して前記外部機器から操作マニュアルの電子データを取得するための手段を含む、請求項1に記載の操作マニュアル表示装置。
【請求項4】
前記表示手段は、タッチパネルで構成され、
前記制御手段は、前記タッチパネルに入力された要求にしたがった表示態様を変更して、前記操作に関する情報を表示するように、前記表示手段を制御するための手段を含む、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の操作マニュアル表示装置。
【請求項5】
前記表示態様の変更は、前記表示手段に表示される操作マニュアルの位置が変更されることである、請求項4に記載の操作マニュアル表示装置。
【請求項6】
前記表示態様の変更は、前記表示手段に表示される操作マニュアルが拡大又は縮小されることである、請求項4に記載の操作マニュアル表示装置。
【請求項7】
前記制御手段は、表示される操作マニュアルの情報がユーザの視覚により認識可能な態様で表示するように、前記表示手段を制御するための手段を含む、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の操作マニュアル表示装置。
【請求項8】
前記制御手段は、表示される操作マニュアルの文字又は図形がユーザの視覚により認識可能な大きさで表示するように、前記表示手段を制御するための手段を含む、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の操作マニュアル表示装置。
【請求項9】
前記表示手段は、前記操作についての情報を表示するとともに、前記操作キーを表示するための手段を含む、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の操作マニュアル表示装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記操作キーが入力されたことに連動して、前記操作についての情報を切替えて表示するように、前記表示手段を制御するための手段を含む、請求項9に記載の操作マニュアル表示装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の操作マニュアル表示装置を備えた画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−185994(P2010−185994A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29314(P2009−29314)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】