説明

攪拌容器及びこの攪拌容器を用いた化学分析装置

【課題】容器壁面におけるメニスカスの立ち上がりを抑え、保持した液体を均一に攪拌することが可能な攪拌容器及びこの攪拌容器を用いた分析装置を提供すること。
【解決手段】保持された微量の液体を音波を利用して攪拌すると共に、保持される微量の液体の特性に関する測定を行う化学分析装置のための攪拌容器7と攪拌容器を用いた分析装置。攪拌容器7は、液体の形状を規制して保持する凹部Pcと、所定の肉厚を有する側壁7b及び底壁7aを含む壁部Pwと、壁部の外側に設けられ、凹部に保持される液体を攪拌する表面弾性波を発生する表面弾性波素子21とを具備し、メニスカスが形成される部分における面積が最小の外接長方形と同一の断面形状を有し、壁部と同一組成の容器を仮定したとき、容器に保持された液体が形成するメニスカスの立ち上がりより、凹部に保持された液体が形成するメニスカスの立ち上がりが低くなるように、壁部が構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持した液体を音波によって非接触で攪拌する攪拌容器及びこの攪拌容器を用いた化学分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化学分析装置は、反応容器の小型化と検体間の汚染を回避するため、外部から反応容器に超音波を照射し、反応容器が保持している液体試料中に音響流を発生させることで液体試料を非接触で攪拌混合するものが知られている(特許文献1,2参照)。
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第10325307号明細書
【特許文献2】特許第3168886号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、微量試料、微量試薬の要請が強くなっており、数μLオーダーの液体をも対象とした反応容器の更なる小型化やそのための非接触攪拌手段として音波の高周波化がより一層必要となっている。これらの要請に応じるため、例えば、底面積をそのままにして、容器の深さを浅くすることによって容積を低減した場合、この容器に保持される液体の容積全体に対するメニスカス部分の容積の比率が相対的に高まることが予想される。このとき、このメニスカス部分の攪拌が行えない場合には、容器内に保持される実際の試料及び試薬の比率と、化学反応を起こす試料及び試薬の比率とが無視できない程相違するようになり、結果として正確な分析が困難になることがある。
【0005】
また、微量液体に対して非接触攪拌を行うために、より高周波である数十〜数百MHz以上の周波数の超音波を利用する場合、言い換えれば、上記メニスカスの最も低い所から上記メニスカスの上端迄の高さであるメニスカスの立ち上がりより液体中の波長が十分短いような超音波を利用する場合、液体内で発生する流れは音響流によるものが支配的となる。このため、上記超音波を利用する場合には、メニスカス部分の変形や当該部分への音響流の回り込みによるメニスカス部分の液体と他の部分の液体との十分な攪拌が期待できない。
【0006】
具体的には、図26に示すように、例えば、音波を発する表面弾性波素子Dsを直方体形状の容器Cの底壁Wbの外面に設けた場合、表面弾性波素子Dsが発生し、液体試料中に漏れ出した音波Waによって生じた音響流Fsが回り込まず、液体試料が十分に攪拌されない滞留部PsがメニスカスMと側壁とが接する部分に生じてしまう。このような滞留部Psは、表面弾性波素子Dsを側壁外面に設けた場合でも同様に生じ、液体試料が数μLオーダーのような微量な反応容器に滞留部Psが生ずると、滞留部Psにおける液体試料の攪拌が阻害される。このため、例えば、試薬の一部が検体と攪拌されずに残ってしまう等、検体の正確な測定を妨げる要因となる。特に、反応容器Cが直方体形状であると、90°で接する隣り合う側壁から作用する毛管圧によって、メニスカスMは、側壁同士が隣り合う四隅において急峻に立ち上がり、図26に示すように、液体試料と壁面となす接触角が非常に小さくなる。このため、特に数十μL〜数μL以下の液体を攪拌対象として扱う分析装置の反応容器においては、このような滞留部Psの発生又は発生した滞留部Psの大きさ(高さ)を抑制することが重要となる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、容器壁面におけるメニスカスの立ち上がりを抑え、保持した液体を均一に攪拌することが可能な攪拌容器及びこの攪拌容器を用いた化学分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る攪拌容器は、保持された微量の液体を音波を利用して攪拌すると共に、当該保持される微量の液体の特性に関する測定を行う化学分析装置のための攪拌容器であって、前記液体が気体に接触するメニスカスを形成するように、前記液体の形状を規制して保持する凹部と、前記凹部を規定し、所定の肉厚を有する側壁及び底壁を含む壁部と、前記壁部の外側に設けられ、前記凹部に保持される前記液体を攪拌するための表面弾性波を発生させる音波発生手段と、を具備し、前記メニスカスが形成される部分における前記凹部の深さ方向に直交する方向の断面に外接し、その面積が最小の外接長方形と同一である当該方向の断面を有し、かつ、前記メニスカスが形成される部分の前記壁部と同一の組成からなる容器を仮定したとき、当該容器に保持された前記液体が形成する前記メニスカスの立ち上がりより、前記凹部に保持された前記液体が形成する前記メニスカスの立ち上がりが低くなるように、前記壁部が構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記音波発生手段の発生する音波の前記液体中における波長は、前記仮定された容器において前記液体が形成する前記メニスカスの立ち上がりに対し実質的に十分短いことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記液体が形成する前記メニスカスの立ち上がりhは、前記液体中における前記音波の波長をλLとしたとき、h≧10・λLであることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記メニスカスが形成される部分における前記凹部の深さ方向に直交する方向の断面は、前記外接長方形よりも面積が小さく、かつ、当該断面に含まれる任意の二点を結ぶ全ての線分が当該断面内に含まれる凸形状であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記深さ方向は鉛直方向であり、前記深さ方向に直交する方向は水平方向であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記音波発生手段は、圧電基板と、該圧電基板上に形成される櫛型電極とを有する表面弾性波素子であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記音波発生手段の発生する音波が入射する前記壁部の外側の面は、平面で構成されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記音波発生手段は、前記壁部の前記側壁又は前記底壁の外側に接触して配置されることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記表面弾性波素子によって発生する前記液体中の流れは、音響流が支配的であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項10に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記凹部に保持される前記液体を注入するための開口を更に有し、当該開口の前記凹部の深さ方向への投影像は、前記メニスカスより前記底壁側における前記凹部の深さ方向に直交する方向の全ての断面を含むことを特徴とする。
【0018】
また、請求項11に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記メニスカスに接触する部分よりも前記底壁側の凹部である液体保持部の占める空間は、当該空間に含まれる任意の2点を結ぶ全ての線分を含む凸形状となることを特徴とする。
【0019】
また、請求項12に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記攪拌容器は、外形が直方体又は角柱になるように、前記壁部の肉厚の異なる部分が設けられていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項13に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記メニスカスが形成される部分より少なくとも前記開口側の前記側壁は、前記深さ方向に直交する方向の断面積が前記開口に向かって単調増加するように構成されている部分を有することを特徴とする。
【0021】
また、請求項14に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記断面積が前記開口に向かって単調増加するように構成されている部分よりも前記底壁側に設けられ、互いに平行な一組の側壁と、前記平行な一組の側壁の一部に設けられると共に、前記平行な一組の側壁に対して垂直な方向から前記凹部に保持された前記液体の特性を測定するための所定の波長の光が入射される測光部と、を更に有することを特徴とする。
【0022】
また、請求項15に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記メニスカスが形成される部分より前記底壁側に設けられ、互いに平行な一組の側壁と、前記平行な一組の側壁の一部に設けられると共に、前記平行な一組の側壁に対して垂直な方向から前記凹部に保持された前記液体の特性を測定するための所定の波長の光が入射される測光部と、を更に有することを特徴とする。
【0023】
また、請求項16に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記測光部が設けられた部分における前記凹部の深さ方向に直交する当該凹部の断面は、前記メニスカスが形成される部分における当該凹部の当該方向の断面より小さいことを特徴とする。
【0024】
また、請求項17に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記音波発生手段は、前記測光部を避けて配置されていることを特徴とする。
【0025】
また、請求項18に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記音波発生手段は、前記平行な一組の側壁の部分とは異なる前記側壁に配置されていることを特徴とする。
【0026】
また、請求項19に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記音波発生手段は、前記底壁に配置されていることを特徴とする。
【0027】
また、請求項20に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記液体のメニスカスが接触する前記側壁は疎水性であることを特徴とする。
【0028】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項21に係る攪拌容器は、保持された微量の液体を音波を利用して攪拌すると共に、当該保持される微量の液体の特性に関する測定を行う化学分析装置のための攪拌容器であって、前記液体が気体に接触するメニスカスを形成するように、前記液体の形状を規制して保持する凹部と、前記凹部を規定し、所定の肉厚を有する側壁及び底壁を含む壁部と、前記壁部の外側に設けられ、前記凹部に保持される前記液体を攪拌するための表面弾性波を発生させる音波発生手段と、を具備し、前記が形成するメニスカスを規制するように、前記液体のメニスカスが接触する前記側壁の部分は、疎水性であることを特徴とする。
【0029】
また、請求項22に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記音波発生手段は、圧電基板と、該圧電基板上に形成される櫛型電極とを有する表面弾性波素子であることを特徴とする。
【0030】
また、請求項23に係る攪拌容器は、上記の発明において、前記表面弾性波素子によって発生する前記液体中の流れは、音響流が支配的であることを特徴とする。
【0031】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項24に係る化学分析装置は、検体と試薬とを含む液体試料を攪拌して反応させ、当該液体試料を分析するために当該液体試料の特性に関する測定を行う化学分析装置であって、前記攪拌容器を用いて検体と試薬とを攪拌することを特徴とする。
【0032】
ここで、本明細書において、メニスカスが形成される部分における凹部の深さ方向に直交する方向の断面形状に外接する四角形は、例えば、図22及び図23に示すように、攪拌容器のメニスカスが形成される部分における凹部Pcの水平方向の断面の形状がSの場合、点線で示す四角形Qcと四角形Qminとがある。このため、面積が最小の外接長方形とは、断面形状Sに外接する四角形の中で、図23に示す面積が最小となる四角形Qminをいうものとする。
【0033】
また、本明細書において、攪拌容器におけるメニスカスの立ち上がりとは、保持した液体におけるメニスカスの最も低い所からメニスカス上端迄の高さを言うものとし、例えば、実施の形態1で説明する図24に示す反応容器7においては、液体LのメニスカスMの最も低い所からメニスカスMの上端迄の高さhをいう。従って、図24に示すメニスカスが下に凸の場合のみならず、メニスカスが上に凸の場合の双方をいう。
【発明の効果】
【0034】
本発明にかかる攪拌容器及びこの攪拌容器を用いた化学分析装置は、攪拌容器に保持される液体のメニスカスの立ち上がりを抑えるように構成され、メニスカスの立ち上がりによって音響流の滞留部となり得る部分の容積又は高さを抑制又は低減するため、より微量な液体に対しても均一な攪拌を期待することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(実施の形態1)
以下、本発明の攪拌容器及びこの攪拌容器を用いた化学分析装置にかかる実施の形態1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の化学分析装置の実施の形態1を示す自動分析装置の概略構成図である。図2は、図1の自動分析装置で用いる反応容器の容器のみを示す斜視図である。図3は、図2に示す反応容器の平面図である。図4は、図3のC−C線に沿って破断した反応容器を攪拌装置と共に示す概略構成図である。
【0036】
自動分析装置1は、図1に示すように、作業テーブル2上に検体テーブル3、反応テーブル6及び試薬テーブル15が互いに離間してそれぞれ周方向に沿って回転、かつ、位置決め自在に設けられている。また、自動分析装置1は、検体テーブル3と反応テーブル6との間に検体分注機構5が設けられ、反応テーブル6と試薬テーブル15との間には試薬分注機構13が設けられている。
【0037】
検体テーブル3は、図1に示すように、駆動手段(図示せず)によって矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室3aが複数設けられている。各収納室3aは、検体を収容した検体容器4が着脱自在に収納される。
【0038】
検体分注機構5は、検体を後述する反応容器7に分注する手段であり、検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次後述する反応容器7に分注する。
【0039】
反応テーブル6は、図1に示すように、駆動手段(図示せず)によって矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室6aが複数設けられている。各収納室6aは、攪拌容器として検体を試薬と反応させる反応容器7が着脱自在に収納される。また、反応テーブル6には、光源8及び排出装置11が設けられている。光源8は、試薬と検体とが反応した反応容器7内の液体試料を分析するための分析光(340〜800nm)を出射する。光源8から出射された分析用の光ビームは、反応容器7内の液体試料を透過し、光源8と対向する位置に設けた受光素子9によって受光される。受光素子9は、判断部18を介して分析部19に接続されている。分析部19は、反応容器7内の液体試料の吸光度に基づいて検体の成分や濃度等を分析する。一方、排出装置11は、図示しない排出ノズルを備えており、反応容器7から反応終了後の液体試料を前記排出ノズルによって吸引し、排出容器(図示せず)に排出する。ここで、排出装置11を通過した反応容器7は、図示しない洗浄装置に移送されて洗浄された後、再度、新たな検体の分析に使用される。
【0040】
試薬分注機構13は、試薬を反応容器7に分注する手段であり、後述する試薬テーブル15の所定の試薬容器16から試薬を順次反応容器7に分注する。
【0041】
試薬テーブル15は、図1に示すように、図示しない駆動手段によって矢印で示す方向に回転され、扇形に成形された収納室15aが周方向に沿って複数設けられている。各収納室15aは、試薬容器16が着脱自在に収納される。複数の試薬容器16は、それぞれ検査項目に応じた所定の試薬が満たされ、外面には収容した試薬に関する情報を表示するバーコードラベル(図示せず)が貼付されている。
【0042】
ここで、試薬テーブル15の外周部には、試薬容器16に貼付した前記バーコードラベルに記録された試薬の種類,ロット及び有効期限等の情報を読み取り、判断部18へ出力する読取装置17が設置されている。判断部18は、受光素子9,排出装置11及び読取装置17と接続され、例えば、マイクロコンピュータ等が使用される。
【0043】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転する反応テーブル6によって周方向に沿って搬送されてくる反応容器7に検体分注機構5が検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次分注する。検体が分注された反応容器7は、反応テーブル6によって試薬分注機構13の近傍へ搬送されて所定の試薬容器16から試薬が分注される。そして、試薬が分注された反応容器7は、反応テーブル6によって周方向に沿って搬送される間に試薬と検体とが攪拌されて反応し、光源8と受光素子9との間を通過する。このとき、反応容器7内の液体試料は、受光素子9によって測光され、分析部19によって成分や濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器7は、排出装置11によって反応終了後の液体試料が排出されて図示しない洗浄装置によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0044】
このとき、自動分析装置1は、反応テーブル6によって周方向に沿って搬送される反応容器7内の液体試料を攪拌装置によって攪拌し、試薬と検体とを反応させる。この液体試料の攪拌に用いる反応容器7を攪拌装置と共に以下に説明する。
【0045】
反応容器7は、光源8から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過し、液体との親和性、例えば、親水性が高い素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラスが使用される。反応容器7は、表面弾性波素子21を備えており、図2に示すように、底壁7aと側壁7bとを含む壁部Pwによって水平断面の外形が四角形からなり、上部に液体注入用の開口7cを有する凹部Pcが鉛直方向に形成されている。凹部Pcは、液体の形状を規制して保持する。反応容器7は、壁部Pwによって囲まれる凹部Pcの内面上部に、所定量の液体試料によって下に凸のメニスカスMが接する液面接触領域AMが形成される。ここで、本明細書において、液体保持部PLとは、液体を保持する凹部PcのうちメニスカスMより下の部分をいうものとし、他の実施の形態においても同様である。
【0046】
このとき、壁部Pwは、メニスカスMが形成される液面接触領域AMにおける水平方向の断面形状に外接する最小面積の外接長方形と同一である水平方向の断面形状を有し、かつ、メニスカスMが形成される液面接触領域AMの壁部Pwと同一の組成からなる容器を仮定したとき、この仮定容器に保持された液体が形成するメニスカスの立ち上がりより、反応容器7に保持された液体が形成するメニスカスMの立ち上がりの方が低くなるように構成されている。即ち、側壁7bは、内面の液面接触領域AMが水平方向に湾曲する曲面FCと鉛直面FPからなり、曲面FCと鉛直面FPが交互に接している。このため、液面接触領域AMは、液体試料のメニスカスMが接する四隅の部分が水平方向に湾曲している。従って、側壁7bは、図2及び図3に示すように、肉厚の異なる部分が存在する。また、液体保持部PLは、液面接触領域AMの下部が底壁7aと側壁7bとによって直方体形状の凹部Pdに成形されている。ここで、互いに平行な一組の側壁7bは、液面接触領域AM下部の互いに対向する1点鎖線で示す部分が、光源8から出射された分析用の光ビームが透過し、液体試料を光学測定する測光部ALとして利用される。
【0047】
また、反応容器7は、保持した液体が形成するメニスカスMの立ち上がりが低くなるように、メニスカスが形成される液面接触領域AMにおける凹部Pdの深さ方向に直交する水平方向の断面は、前記外接長方形よりも面積が小さく、かつ、この水平断面に含まれる任意の二点を結ぶ全ての線分がこの水平断面内に含まれる凸形状とする。更に、反応容器7は、水平方向の断面積が鉛直方向に大きく変化することがないように、開口7cの水平面への投影像は、液体保持部PLの任意の水平断面を全て含むように成形する。このため、液体保持部PLは、液体保持部PL内の任意の二点を結ぶ線分を全て液体保持部PL内に含む凸形状となる。また、測光部ALは、水平方向の断面積が液面接触領域AM内の水平方向の断面積に比べて小さくなるように設定されている。そして、液面接触領域AMは、水平方向に湾曲する曲面FCの曲率が、測光部ALの水平方向の断面における曲率に比べて小さく設定されている。このため、液面接触領域AMは、側壁7bが90°で接する従来の反応容器(面積が最小の外接長方形Qminを有する仮定の容器に相当する)に比べ、液体試料のメニスカスMが接する四隅の部分が水平方向に湾曲していることから、この湾曲した曲面FCにおけるメニスカスMの急峻な立ち上がりが抑えられる。
【0048】
攪拌装置20は、試薬分注機構13が反応容器7に試薬を分注する位置と互いに対向配置される光源8,受光素子9との間の収納室6a下部に配置されており、図4に示すように、電源22、コントローラ23及び音響整合層24を有し、表面弾性波素子21を駆動することにより反応容器7が保持した液体を攪拌する。
【0049】
表面弾性波素子21は、表面弾性波である超音波を発生する音波発生手段であり、図4及び図5に示すように、ニオブ酸リチウム等の圧電基板21aの表面に金等の櫛型電極(IDT)からなる振動子21bが設けられている。振動子21bは、電源22から送電された電力を表面弾性波(音波)に変換し、図4に示すように、音響整合層24を介して底壁7aの下面に取り付けられている。このとき、表面弾性波素子21は、振動子21bが発生する音波の反応容器7に保持された液体中における波長が、前記容器において液体が形成するメニスカスの立ち上がり(図24参照)に対し実質的に十分短い。即ち、前記容器が保持した液体Lが形成するメニスカスの立ち上がりh(図24参照)は、前記液体中における前記音波の波長をλLとしたとき、h≧10・λLである。また、振動子21bは、図5に示すように、電気端子21cとの間が導体回路21dによって接続されている。表面弾性波素子21は、振動子21bとして櫛型電極(IDT)を使用するので、構造が簡単で小型な構成とすることができる。
【0050】
電源22は、図4に示すように、電気端子21cとの間が配線25によって接続され、数MHz〜数百MHz程度の高周波の交流を表面弾性波素子21に供給する。コントローラ23は、電源22を制御して表面弾性波素子21が発する音波の特性(周波数,強度,位相,波の特性)、波形(正弦波,三角波,矩形波,バースト波等)或いは変調(振幅変調,周波数変調)等を制御する。音響整合層24は、反応容器7と表面弾性波素子21との間の音響インピーダンスを最適化する手段で、エポキシ樹脂等の接着剤やシェラック等の他、ジェルや液体等を使用することができる。音響整合層24は、音波の伝達効率を上げるため、表面弾性波素子21が発する周波数の波長λに対して厚みがn・λ/4(nは奇数)となるように調整する。もしくは、音響整合層24は、できるだけ薄くなるように調整する。
【0051】
従って、反応容器7は、保持した液体試料が攪拌装置20によって以下のように攪拌される。先ず、攪拌装置20は、コントローラ23による制御の下に電源22から供給される電力によって表面弾性波素子21を駆動する。これにより、表面弾性波素子21は、図5に示す振動子21bが音波を誘起する。誘起された音波は、圧電基板21a内部及び音響整合層24を通って反応容器7の底壁7aへと伝搬し、図4に示すように、音響インピーダンスが近い液体試料Ls中へ矢印で示す音波Waが底壁7aの内面から斜め上方に漏れ出してゆく。
【0052】
この結果、液体試料Lsには、図4に示すように、音波WaによってメニスカスMまで到達する反時計方向の音響流Fccと時計方向の音響流Fcwとが生じ、液体試料Ls中の流れは音響流Fcc,Fcwが支配的である。このとき、反応容器7は、内面の液面接触領域AMがメニスカスMにおいて水平方向に湾曲する曲面FCと鉛直面FPとを有し、曲面FCと鉛直面FPが交互に接している。このため、液体試料Lsは、図4に示すように、曲面FCの部分で接するメニスカスMの急峻な立ち上がりが抑えられ、実線で示すように平坦に近くなる。ここで、図4において、破線は従来の反応容器におけるメニスカスMを示しており、以下の説明においても同様とする。
【0053】
従って、図4に示すように、曲面FCに接する部分でメニスカスMが平らに近くなるので、音響流Fcc,Fcwが液面接触領域AMとメニスカスMとが接する部分に入り込み易くなる。この結果、反応容器7及び攪拌装置20を用いた自動分析装置1は、これら2つの音響流Fcc,Fcwによって液体試料Lsを底部からメニスカスMに至る広範囲に亘って非接触で均一に攪拌することができる。また、反応容器7は、反応テーブル6に設けた収納室6aに収納して使用されるので、従来の自動分析装置にもそのまま使用することができる。
【0054】
但し、反応容器7は、所定量の液体試料が接する液面接触領域AMをフッ素樹脂等の撥水処理剤をコーティング或いはスパッタすることによって予め撥水処理を施しておいてもよい。このような撥水処理をすると、反応容器7は、保持する液体試料のメニスカスMが上に凸の形状となる。この結果、反応容器7は、音響流Fcc,Fcwが液面接触領域AMと上に凸のメニスカスMとが接する部分に入り込み易くなり、攪拌装置20による攪拌を均一に行うことができる。
【0055】
ここで、反応容器7は、図6に示すように、液面接触領域AMの下部に形成される凹部Pdの内底面7dを測光部ALを透過する分析用の光ビームの断面形状に対応した形に湾曲させてもよい。このようにすると、反応容器7は、測光精度を確保しつつ、図7に示すように、側壁7bの外面に取り付けた表面弾性波素子21から出射された音波Waによって生ずる2方向の音響流Fcc,Fcwのうち、下側に生ずる時計方向の音響流Fcwが内底面7dの湾曲に沿って円滑に流れるので滞留部を生ずることがなく、攪拌効率を向上させることができる。このとき、反応容器7は、側壁7bと対向する側壁7bの外面(点線参照)、或いは底壁7aの外面(点線参照)に表面弾性波素子21を取り付けてもよい。また、反応容器7は、側壁7bの他、底壁7aに肉厚の異なる部分が存在することになる。
【0056】
また、反応容器7は、図8に示すように、測光部ALが形成された側壁7bと隣り合う側壁7b内面に、凹部Pdの内底面Fbに対して鈍角となる角度θで接する傾斜面7eを設けても、音響流を傾斜面7eによって案内して、攪拌効率を向上させることができる。更に、図9に示す反応容器7のように、液面接触領域AMを構成する各曲面FCと各鉛直面FPを下方へ延長すると共に、内底面Fbを測光部ALを透過する分析用の光ビームの断面の半径と略同じ球面からなる湾曲面としても、同様の効果が得られる。従って、図10に示す反応容器28のように、液面接触領域AMを鉛直面FPと反応容器7の曲面FCよりも大きい曲面FBCとによって構成してもよい。このとき、反応容器28は、測光部ALが形成された側壁28bに隣接する側壁28c側から対向する側壁28cに向かって内底面Fbが下に凸の湾曲面に成形されている。
【0057】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2を図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の反応容器は、液面接触領域が水平方向に湾曲する曲面と鉛直面とを有していたのに対し、実施の形態2の反応容器は、液面接触領域が水平方向に隣り合う平面が鈍角で接する鉛直面からなる。ここで、以下に説明する各実施の形態では、自動分析装置1は実施の形態1と同じものを使用し、実施の形態1と構成が同一の部材には同一の符号を使用する。従って、反応容器について以下に説明する。図11は、表面弾性波素子を除いた実施の形態2に係る反応容器を示す斜視図である。図12は、図11に示す反応容器の平面図である。図13は、反応容器と表面弾性波素子とを有する本発明の反応容器を示す縦断面図である。
【0058】
反応容器30は、反応容器7と同様に、光源8から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラスが使用される。反応容器30は、反応テーブル6に設けた収納室6aに収納して使用される。反応容器30は、表面弾性波素子21を備えており、図11に示すように、底壁30aと側壁30bとを含む壁部Pwによって水平断面の外形が四角形からなり、上部に液体注入用の開口30cを有する凹部Pcが鉛直方向に形成されている。凹部Pcは、液体の形状を規制して保持する。反応容器30は、壁部Pwによって囲まれる凹部Pcの内面上部に、所定量の液体試料によって下に凸のメニスカスMが接する液面接触領域AMが形成されている。液面接触領域AMは、図11に示すように、表面にフッ素樹脂等の撥水処理剤をコーティング或いはスパッタすることによって撥水処理を施した疎水部Phpが形成されている。また、反応容器30は、図12に示すように、内面の液面接触領域AMが水平方向に隣り合う面が鈍角となる角度θMで接する鉛直面FPからなる。このため、側壁30bは、図11及び図12に示すように、肉厚の異なる部分が存在する。更に、液体保持部PLは、液面接触領域AMの下部が底壁30aの内面と側壁30bの鉛直面FPとによって直方体形状の凹部Pdに成形されている。ここで、互いに平行な一組の側壁30bは、液面接触領域AM下部の互いに対向する1点鎖線で示す部分が、光源8から出射された分析用の光ビームが透過し、液体試料を光学測定する測光部ALとして利用される。
【0059】
このとき、反応容器30は、水平方向の断面積が鉛直方向に大きく変化することがないように、開口30cの水平面への投影像は、液体保持部PLの任意の水平断面における水平面への投影像を含むように成形されている。このため、液体保持部PLは、液体保持部PL内の任意の二点を結ぶ線分を全て液体保持部PL内に含む凸形状となる。また、測光部ALは、水平方向の断面積が液面接触領域AM内の水平方向の断面積に比べて小さくなるように設定されている。そして、液面接触領域AMは、水平方向に隣り合う鉛直面FPが接する角度θMが、測光部ALの水平方向に隣り合う鉛直面FPが接する角度θL(=90°)よりも大きく設定されている(θM>θL)。このため、液面接触領域AMは、側壁30bが90°で接する従来の反応容器に比べ、液体試料のメニスカスMが接する四隅の部分において水平方向に隣り合う鉛直面FPが鈍角で接するうえ、疎水部Phpによって液体試料のメニスカスMが、図13に示すように、上に凸の形状となる。
【0060】
以上のように構成される反応容器30は、図13に示すように、底壁30aの外面に音響整合層24を介して取り付けられる表面弾性波素子21を攪拌装置20によって駆動し、液体保持部PLに保持した液体試料が以下のように攪拌される。先ず、攪拌装置20は、コントローラ23による制御の下に電源22から供給する電力によって表面弾性波素子21を駆動する。これにより、表面弾性波素子21は、図5に示す振動子21bが音波を誘起する。誘起された音波は、音響整合層24を通って反応容器30の底壁30aへと伝搬し、図13に示すように、音響インピーダンスが近い液体試料Ls中へ矢印で示す音波Waが底壁30aの内面から斜め上方に漏れ出してゆく。
【0061】
この結果、液体試料Lsには、音波WaによってメニスカスMまで到達する反時計方向の音響流Fccと時計方向の音響流Fcwとが生じる。このとき、反応容器30は、液面接触領域AMの表面に疎水部Phpが形成されていることから、保持する液体試料のメニスカスMが上に凸の形状となる。この結果、反応容器30は、液面接触領域AMの水平方向に隣り合う平面が鈍角となる角度θMで接する鉛直面FPとした以上に音響流Fcc,Fcwが液面接触領域AMと上に凸のメニスカスMとが接する部分に入り込み易くなり、攪拌装置20による攪拌を均一に行うことができる。この場合、液体試料Ls中の流れは音響流Fcc,Fcwが支配的である。このため、反応容器30を用いた自動分析装置1は、これら2つの音響流Fcc,Fcwによって液体試料Lsを底部からメニスカスMに至る広範囲に亘って非接触で均一に攪拌することができる。また、反応容器30は、反応テーブル6に設けた収納室6aに収納して使用されるので、従来の自動分析装置にもそのまま使用することができる。
【0062】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る攪拌容器を図14及び図15を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の反応容器は、液面接触領域が水平方向に湾曲する曲面と鉛直面とを有していたのに対し、実施の形態3の反応容器は、液面接触領域が水平方向に湾曲する曲面を有している。図14は、表面弾性波素子を除いた実施の形態3に係る反応容器を示す斜視図である。図15は、表面弾性波素子を設けた本発明の反応容器を示す縦断面図である。
【0063】
反応容器32は、表面弾性波素子21を備えており、図14に示すように、底壁32aと側壁32bとを含む壁部Pwによって水平断面の外形が円形からなり、上部に液体注入用の開口32cを有する凹部Pcが鉛直方向に形成されている。凹部Pcは、液体の形状を規制して保持する。反応容器32は、壁部Pwによって囲まれる凹部Pcの内面上部に、所定量の液体試料によって下に凸のメニスカスMが接する液面接触領域AMが形成されている。底壁32aは、図14及び図15に示すように、内底面Fbの中央が下に凸の球面状に窪んでいる。このため、底壁32aは、肉厚の異なる部分が存在する。一方、側壁32bは、図14に示すように、内面の液面接触領域AMが水平方向に湾曲する曲面である。
【0064】
このとき、壁部Pwは、メニスカスMが形成される部分における水平方向の断面形状に外接する最小面積の外接長方形と同一である水平方向の断面形状を有し、かつ、メニスカスMが形成される部分の壁部Pwと同一の組成からなる容器を仮定したとき、この仮定容器に保持された液体が形成するメニスカスの立ち上がりより、反応容器7に保持された液体が形成するメニスカスMの立ち上がりの方が低くなるように構成されている。即ち、側壁32bは、図14に示すように、内面が水平方向に湾曲する曲面に成形されている。このため、液面接触領域AMは、液体試料のメニスカスMが接する部分が水平方向に湾曲しているので、側壁が90°で接する従来の四角柱形状の反応容器に比べ、図15に示すように、液体試料のメニスカスMの急峻な立ち上がりが抑えられる。
【0065】
また、反応容器32は、保持した液体が形成するメニスカスMの立ち上がりが低くなるように、メニスカスが形成される液面接触領域AMにおける凹部Pdの深さ方向に直交する水平方向の断面は、前記外接長方形よりも面積が小さく、かつ、この水平断面に含まれる任意の二点を結ぶ全ての線分がこの水平断面内に含まれる凸形状とする。更に、反応容器7は、水平方向の断面積が鉛直方向に大きく変化することがないように、開口7cの水平面への投影像は、液体保持部PLの任意の水平断面を全て含むように成形する。このため、液体保持部PLは、液体保持部PL内の任意の二点を結ぶ線分を全て液体保持部PL内に含む凸形状となる。
【0066】
このため、反応容器32は、攪拌装置20によって表面弾性波素子21を駆動すると、振動子21bに誘起された音波が圧電基板21a内部及び音響整合層24を通って反応容器32の底壁32aへと伝搬し、図15に示すように、音響インピーダンスが近い液体試料Ls中へ矢印で示す音波Waが底壁32aの内底面Fbから斜め上方に漏れ出してゆく。
【0067】
この結果、液体試料Lsには、図15に示すように、音波WaによってメニスカスMまで到達する反時計方向の音響流Fccと時計方向の音響流Fcwとが生じ、液体試料Ls中の流れは音響流Fcc,Fcwが支配的である。このとき、反応容器32は、図15に示すように、図2,図4に示す反応容器7と同様に、液面接触領域AMにおけるメニスカスMの急峻な立ち上がりが抑えられ、実線で示すように平坦に近くなるうえ、内底面Fbの中央が下に凸の球面状に窪んでいる。
【0068】
従って、図15に示すように、これら2つの音響流Fcc,Fcwによって、反応容器32及び攪拌装置20を用いた自動分析装置1は、2つの音響流Fcc,Fcwが液面接触領域AMとメニスカスMとが接する部分に入り込み易くなると共に、音響流Fcc,Fcwが円滑に流れるので滞留部を生ずることがなく、液体試料Lsを底部からメニスカスMに至る広範囲に亘って非接触で均一に攪拌することができる。また、反応容器32は、反応テーブル6に設けた収納室6aに収納できるので、従来の自動分析装置のキュベットを収納する収納室にも配置してそのまま使用することができる。
【0069】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る反応容器を図16及び図17を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の反応容器は、液面接触領域が水平方向に湾曲する曲面と鉛直面とを有していたのに対し、実施の形態4の反応容器は、液面接触領域が上方に向かって外方に開く一組の開き側壁を有している。図16は、実施の形態4に係る反応容器の容器のみを示す斜視図である。図17は、反応容器と表面弾性波素子とを有する本発明の反応容器を示す縦断面図である。
【0070】
反応容器34は、表面弾性波素子21を備えており、図16に示すように、底壁34aと、互いに平行な一組の平行側壁34bと、平行側壁34bに隣り合う少なくとも一組の開き側壁34cとを含む壁部Pwによって水平断面の外形が四角形からなり、上部に液体注入用の開口34cを有する凹部Pcが鉛直方向に形成されている。凹部Pcは、液体の形状を規制して保持する。反応容器34は、壁部Pwによって囲まれる凹部Pcの内面上部に、所定量の液体試料によって下に凸のメニスカスMが接する液面接触領域AMが形成される。
【0071】
底壁34aは、外面に表面弾性波素子21が取り付けられている。互いに平行な一組の平行側壁34bは、液面接触領域AM下部の互いに対向する1点鎖線で示す部分が、光源8から出射された分析用の光ビームが透過し、液体試料を光学測定する測光部ALとして利用される。
【0072】
このとき、壁部Pwは、メニスカスMが形成される部分における水平方向の断面形状に外接する最小面積の外接長方形と同一である水平方向の断面形状を有し、かつ、メニスカスMが形成される部分の壁部Pwと同一の組成からなる容器を仮定したとき、この仮定容器に保持された液体が形成するメニスカスの立ち上がりより、反応容器34に保持された液体が形成するメニスカスMの立ち上がりの方が低くなるように構成されている。即ち、一組の開き側壁34cは、水平方向の断面積が開口34cに向かって単調増加するように構成され、図17に示すように、底壁34aの内面に対して鈍角となる角度θ傾斜させて平行側壁34bに隣り合い、鉛直面に対して傾斜することにより内面の液面接触領域AMが上方に向かって外方に開いている。このため、反応容器34は、開き側壁34cと接する液体試料LsのメニスカスMが、側壁が鉛直である従来の反応容器に比べて平坦になる。ここで、表面弾性波素子21は、図17に点線で示すように開き側壁34cに設けてもよい。
【0073】
このとき、反応容器34は、保持した液体が形成するメニスカスMの立ち上がりが低くなるように、メニスカスが形成される液面接触領域AMにおける凹部Pdの深さ方向に直交する水平方向の断面は、前記外接長方形よりも面積が小さく、かつ、この水平断面に含まれる任意の二点を結ぶ全ての線分がこの水平断面内に含まれる凸形状とする。更に、反応容器34は、水平方向の断面積が鉛直方向に大きく変化することがないように、開口34cの水平面への投影像は、液体保持部PLの任意の水平断面を全て含むように成形する。このため、液体保持部PLは、液体保持部PL内の任意の二点を結ぶ線分を全て液体保持部PL内に含む凸形状となる。
【0074】
従って、反応容器34は、攪拌装置20によって表面弾性波素子21を駆動すると、振動子21bに誘起された音波が圧電基板21a内部及び音響整合層24を通って反応容器34の底壁34aへと伝搬し、図17に示すように、音響インピーダンスが近い液体試料Ls中へ矢印で示す音波Waが底壁34aの内底面から斜め上方に漏れ出してゆく。
【0075】
この結果、液体試料Lsには、図17に示すように、音波WaによってメニスカスMまで到達する反時計方向の音響流Fccと時計方向の音響流Fcwとが生じ、液体試料Ls中の流れは音響流Fcc,Fcwが支配的である。このとき、液体試料Lsは、図17に示すように、開き側壁34cと接する液体試料LsのメニスカスMが実線で示すように平坦に近くなり、液面接触領域AMとメニスカスMとが接する部分に音響流Fcc,Fcwが入り込み易くなる。また、開き側壁34cは、図17に示すように、底壁34aの内面に対して鈍角となる角度θ傾斜している。このため、反応容器34は、生じた音響流Fcc,Fcwが底壁34aと開き側壁34cとがなす鈍角の内面に案内されて流れるので滞留部を生ずることがない。
【0076】
従って、図17に示すように、反応容器34を用いた自動分析装置1は、これら2つの音響流Fcc,Fcwによって液体試料Lsを底部からメニスカスMに至る広範囲に亘って非接触で均一に攪拌することができる。また、反応容器34は、反応テーブル6に設けた収納室6aに収納できるので、従来の自動分析装置のキュベットを収納する収納室にも配置してそのまま使用することができる。
【0077】
ここで、実施の形態4の反応容器は、液面接触領域が上方に向かって外方に開く少なくとも一組の開き側壁を有し、表面弾性波素子21を備えていれば、図18に示す反応容器36であってもよい。反応容器36は、反応容器7と同様の素材から成形され、壁部Pwとして、底壁36aと、外方に開く一組の開き側壁36bと、開き側壁36bに隣り合う一組の隣接側壁36cとを備えており、上部に液体注入用の開口36dを有している。
【0078】
底壁36aは、外面に表面弾性波素子21が取り付けられている。一組の開き側壁36b及び一組の隣接側壁36cは、所定量の液体試料によって下に凸のメニスカスMが接する液面接触領域AMを内面に形成し、液面接触領域AMの下部に互いに平行な鉛直壁36e,36fを有している。一組の開き側壁36b及び一組の隣接側壁36cは、鉛直面に対して傾斜することにより内面の液面接触領域AMが上方に向かって外方に開いている。このため、反応容器36は、開き側壁36b及び隣接側壁36cと接する液体試料LsのメニスカスMが、図19に示すように、側壁が鉛直である従来の反応容器に比べて平坦になる。一方、鉛直壁36eは、1点鎖線で示す部分が光源8から出射された分析用の光ビームが透過し、液体試料を光学測定する測光部ALとして利用される。反応容器36は、底壁36a、一組の開き側壁36b、一組の隣接側壁36c及び鉛直壁36e,36fによって液体保持部PLを形成している。
【0079】
このとき、反応容器36は、保持した液体が形成するメニスカスMの立ち上がりが低くなるように、メニスカスが形成される液面接触領域AMにおける凹部Pdの深さ方向に直交する水平方向の断面は、前記外接長方形よりも面積が小さく、かつ、この水平断面に含まれる任意の二点を結ぶ全ての線分がこの水平断面内に含まれる凸形状とする。更に反応容器36は、水平方向の断面積が鉛直方向に大きく変化することがないように、開口36dの水平面への投影像は、液体保持部PLの任意の水平断面を全て含むように成形する。このため、液体保持部PLは、液体保持部PL内の任意の二点を結ぶ線分を全て液体保持部PL内に含む凸形状となる。
【0080】
従って、反応容器36は、攪拌装置20によって表面弾性波素子21を駆動すると、振動子21bに誘起された音波が圧電基板21a内部及び音響整合層24を通って反応容器36の底壁36aへと伝搬し、図19に示すように、音響インピーダンスが近い液体試料Ls中へ矢印で示す音波Waが底壁36aの内底面から斜め上方に漏れ出してゆく。
【0081】
この結果、液体試料Lsには、図19に示すように、音波WaによってメニスカスMまで到達する反時計方向の音響流Fccと時計方向の音響流Fcwとが生じ、液体試料Ls中の流れは音響流Fcc,Fcwが支配的である。このとき、液体試料Lsは、図19に示すように、開き側壁36cと接する液体試料LsのメニスカスMが実線で示すように平坦に近くなり、液面接触領域AMとメニスカスMとが接する部分に音響流Fcc,Fcwが入り込み易くなる。
【0082】
従って、図19に示すように、反応容器36を用いた自動分析装置1は、これら2つの音響流Fcc,Fcwによって液体試料Lsを底部からメニスカスMに至る広範囲に亘って非接触で均一に攪拌することができる。また、反応容器36は、外形を反応テーブル6に設けた収納室6aに収納できるように設計しておけば、従来の自動分析装置でも使用することができる。
【0083】
ここで、実施の形態4の反応容器34,36は、上方に向かって外方に開く一組の側壁として開き側壁34c,36bと隣接側壁36cとを用いたが、上方に向かって外方に開いていれば、これらの側壁34c,36b,36cは傾斜壁ではなく湾曲壁であってもよい。
【0084】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5に係る反応容器を図20及び図21を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1〜4の反応容器は、保持した液体試料を攪拌する音波発生手段を反応容器に接して設けていたのに対し、実施の形態5の反応容器は、音波発生手段が離れた位置に設けられている。図20は、実施の形態5に係る反応容器を示す縦断面図である。図21は、実施の形態5に係る反応容器の他の例を示す縦断面図である。
【0085】
実施の形態5の反応容器は、実施の形態1の第1の変形例に係る図6及び図7に示す反応容器7を使用したものであり、反応容器7は、ホルダ37に収容されている。ホルダ37は、反応テーブル6に設けた収納室6aに収納され、内側壁37aには表面弾性波素子21が設けられている。また、ホルダ37は、水や恒温液等の音響整合材38を介して反応容器7を収容している。従って、反応容器7は、表面弾性波素子21が接触することなく離れた位置に設けられている。
【0086】
従って、実施の形態5の反応容器7は、コントローラ23による制御の下に攪拌装置20によって表面弾性波素子21を駆動すると、表面弾性波素子21に誘起された音波は、音響整合材38を伝搬して反応容器7の外面から側壁7bに入射する。側壁7bに入射した音波は、側壁7b内を伝搬した後、図20に示すように、側壁7bから音響インピーダンスが近い液体試料Ls中へ矢印で示す音波Waが水平方向に漏れ出す。
【0087】
この結果、反応容器7は、音波WaによってメニスカスMまで到達する時計方向に流れる音響流Fcwと、内底面7dの湾曲に沿って流れる反時計方向の音響流Fccとが液体試料Ls中に生じ、液体試料Ls中の流れは音響流Fcc,Fcwが支配的である。このとき、反応容器7は、図20に示すように、液面接触領域AMにおけるメニスカスMの急峻な立ち上がりが抑えられ、メニスカスMが実線で示すように平らに近くなっている。
【0088】
従って、反応容器7は、図20に示すように、液体試料LsのメニスカスMが平坦になるので、音響流Fcc,Fcwが液面接触領域AMとメニスカスMとが接する部分に入り込み易くなる。また、音響流Fccは、内底面7dの湾曲に案内されて円滑に流れるので滞留部を生ずることがなく、攪拌効率を向上させることができる。このため、実施の形態5の反応容器7を用いた自動分析装置1は、これら2つの音響流Fcc,Fcwによって液体試料Lsを底部からメニスカスMに至る広範囲に亘って非接触で均一に攪拌することができる。
【0089】
このように、実施の形態5の反応容器は、表面弾性波素子21を反応容器7から離れた位置に設けるので、図21に示すように、実施の形態4の反応容器34を用いることもできる。このとき、ホルダ37は、図21に示すように、内底壁37bに表面弾性波素子21を設ける。
【0090】
実施の形態5の反応容器を図21に示す構成にすると、反応容器34は、攪拌装置20によってコントローラ23による制御の下に表面弾性波素子21を駆動した場合、表面弾性波素子21に誘起された音波は、音響整合材38を伝搬して反応容器34の外面から底壁34aに入射する。底壁34aに入射した音波は、底壁34a内を伝搬した後、図21に示すように、底壁34aから音響インピーダンスが近い液体試料Ls中へ矢印で示す音波Waが上方に漏れ出す。
【0091】
この結果、反応容器34は、音波WaによってメニスカスMまで到達する時計方向に流れる音響流Fcwと反時計方向の音響流Fccとが液体試料Ls中に生じ、液体試料Ls中の流れは音響流Fcc,Fcwが支配的である。このとき、反応容器34は、図21に示すように、液面接触領域AMにおけるメニスカスMの急峻な立ち上がりが抑えられ、メニスカスMが実線で示すように平らに近くなっている。また、開き側壁34cは、図21に示すように、底壁34aの内面に対して鈍角で傾斜している。
【0092】
従って、図21に示すように、メニスカスMが平坦になるので、音響流Fcc,Fcwが液面接触領域AMとメニスカスMとが接する部分に入り込み易くなる。また、反応容器34は、生じた音響流Fcc,Fcwが底壁34aと開き側壁34cとがなす鈍角の内面に案内されて流れるので滞留部を生ずることがない。このため、実施の形態5の反応容器34及び攪拌装置20を用いた自動分析装置1は、これら2つの音響流Fcc,Fcwによって液体試料Lsを底部からメニスカスMに至る広範囲に亘って非接触で均一に攪拌することができる。また、ホルダ37は、反応テーブル6に設けた収納室6aに収納できるので、実施の形態5の反応容器7,34は、従来の自動分析装置でも使用することができる。
【0093】
このように、実施の形態5の反応容器7,34を用いた自動分析装置1は、表面弾性波素子21を反応容器7,34から離れた位置に設けるので、攪拌装置20や自動分析装置1の機械的な設計上の自由度が増すという利点がある。
【0094】
尚、実施の形態1〜5は、攪拌容器として反応容器について説明したが、保持したμLオーダーの微量な液体を攪拌する容器であれば、反応容器に限定されるものではなく、試薬容器その他の容器として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の分析装置の実施の形態1を示す自動分析装置の概略構成図である。
【図2】図1の自動分析装置で用いる反応容器の容器のみを示す斜視図である。
【図3】図2に示す反応容器の平面図である。
【図4】図3のC−C線に沿って破断した反応容器を攪拌装置と共に示す概略構成図である。
【図5】実施の形態1に係る反応容器が有する音波発生手段を示す斜視図である。
【図6】実施の形態1に係る反応容器の第1の変形例を示す斜視図である。
【図7】実施の形態1に係る反応容器の第2の変形例を示す縦断面図である。
【図8】実施の形態1に係る反応容器の第3の変形例を示す斜視図である。
【図9】実施の形態1に係る反応容器の第4の変形例を示す斜視図である。
【図10】実施の形態1に係る反応容器の第5の変形例を示す斜視図である。
【図11】表面弾性波素子を除いた実施の形態2に係る反応容器を示す斜視図である。
【図12】図11に示す反応容器の平面図である。
【図13】反応容器と表面弾性波素子とを有する実施の形態2の反応容器を示す縦断面図である。
【図14】表面弾性波素子を除いた実施の形態3に係る反応容器を示す斜視図である。
【図15】表面弾性波素子を設けた本発明の反応容器を示す縦断面図である。
【図16】実施の形態4に係る反応容器の容器のみを示す斜視図である。
【図17】反応容器と表面弾性波素子とを有する本発明の反応容器を示す縦断面図である。
【図18】実施の形態4に係る反応容器の変形例を示す斜視図である。
【図19】図18に示す反応容器の縦断面図である。
【図20】実施の形態5に係る反応容器を示す縦断面図である。
【図21】実施の形態5の変形例を示す縦断面図である。
【図22】本発明の攪拌容器におけるメニスカスが形成される部分における凹部の深さ方向に直交する方向の断面に外接する外接長方形の定義を説明する説明図である。
【図23】図22で説明した外接長方形のうち、面積が最小の外接長方形の定義を説明する説明図である。
【図24】本発明の攪拌容器におけるメニスカスの立ち上がりの定義を説明する説明図である。
【図25】従来の攪拌容器として用いられている反応容器の斜視図である。
【図26】図25の反応容器の縦断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1 自動分析装置
2 作業テーブル
3 検体テーブル
3a 収納室
4 検体容器
5 検体分注機構
6 反応テーブル
6a 収納室
7 反応容器
7a 底壁
7b 側壁
8 光源
9 受光素子
11 排出装置
13 試薬分注機構
15 試薬テーブル
16 試薬容器
17 読取装置
18 判断部
19 分析部
20 攪拌装置
21 表面弾性波素子
21a 圧電基板
21b 振動子
22 電源
23 コントローラ
24 音響整合層
28,30 反応容器
28a,30a 底壁
28b,30b 側壁
28c 側壁
32 反応容器
32a 底壁
32b 側壁
34 反応容器
34a 底壁
34b 平行側壁
34c 開き側壁
36 反応容器
36a 底壁
36b 開き側壁
36c 隣接側壁
37 ホルダ
38 音響整合材
40 攪拌装置
41 厚み縦振動子
41a 圧電基板
41b 電極
41c 引出し電極
42 電源
43 コントローラ
45 音響整合層
AL 測光部
AM 液面接触領域
FBC 曲面
Fb 内底面
FC 曲面
Fcc,Fcw 音響流
FP 鉛直面
Ls 液体試料
M メニスカス
Pc 凹部
PL 液体保持部
Pw 壁部
Wa 音波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持された微量の液体を音波を利用して攪拌すると共に、当該保持される微量の液体の特性に関する測定を行う化学分析装置のための攪拌容器であって、
前記液体が気体に接触するメニスカスを形成するように、前記液体の形状を規制して保持する凹部と、
前記凹部を規定し、所定の肉厚を有する側壁及び底壁を含む壁部と、
前記壁部の外側に設けられ、前記凹部に保持される前記液体を攪拌するための表面弾性波を発生させる音波発生手段と、
を具備し、
前記メニスカスが形成される部分における前記凹部の深さ方向に直交する方向の断面形状に外接し、その面積が最小の外接長方形と同一である当該方向の断面形状を有し、かつ、前記メニスカスが形成される部分の前記壁部と同一の組成からなる容器を仮定したとき、
当該容器に保持された前記液体が形成する前記メニスカスの立ち上がりより、前記凹部に保持された前記液体が形成する前記メニスカスの立ち上がりが低くなるように、前記壁部が構成されていることを特徴とする攪拌容器。
【請求項2】
前記音波発生手段の発生する音波の前記液体中における波長は、前記仮定された容器において前記液体が形成する前記メニスカスの立ち上がりに対し実質的に十分短いことを特徴とする請求項1に記載の攪拌容器。
【請求項3】
前記液体が形成する前記メニスカスの立ち上がりhは、前記液体中における前記音波の波長をλLとしたとき、h≧10・λLであることを特徴とする請求項2に記載の攪拌容器。
【請求項4】
前記メニスカスが形成される部分における前記凹部の深さ方向に直交する方向の断面は、前記外接長方形よりも面積が小さく、かつ、当該断面に含まれる任意の二点を結ぶ全ての線分が当該断面内に含まれる凸形状であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌容器。
【請求項5】
前記深さ方向は鉛直方向であり、前記深さ方向に直交する方向は水平方向であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌容器。
【請求項6】
前記音波発生手段は、圧電基板と、該圧電基板上に形成される櫛型電極とを有する表面弾性波素子であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌容器。
【請求項7】
前記音波発生手段の発生する音波が入射する前記壁部の外側の面は、平面で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の攪拌容器。
【請求項8】
前記音波発生手段は、前記壁部の前記側壁又は前記底壁の外側に接触して配置されることを特徴とする請求項7に記載の攪拌容器。
【請求項9】
前記表面弾性波素子によって発生する前記液体中の流れは、音響流が支配的であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌容器。
【請求項10】
前記凹部に保持される前記液体を注入するための開口を更に有し、当該開口の前記凹部の深さ方向への投影像は、前記メニスカスより前記底壁側における前記凹部の深さ方向に直交する方向の全ての断面を含むことを特徴とする請求項1に記載の攪拌容器。
【請求項11】
前記メニスカスに接触する部分よりも前記底壁側の凹部である液体保持部の占める空間は、当該空間に含まれる任意の2点を結ぶ全ての線分を含む凸形状となることを特徴とする請求項10に記載の攪拌容器。
【請求項12】
前記攪拌容器は、外形が直方体又は角柱になるように、前記壁部の肉厚の異なる部分が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の攪拌容器。
【請求項13】
前記メニスカスが形成される部分より少なくとも前記開口側の前記側壁は、前記深さ方向に直交する方向の断面積が前記開口に向かって単調増加するように構成されている部分を有することを特徴とする請求項10に記載の攪拌容器。
【請求項14】
前記断面積が前記開口に向かって単調増加するように構成されている部分よりも前記底壁側に設けられ、互いに平行な一組の側壁と、
前記平行な一組の側壁の一部に設けられると共に、前記平行な一組の側壁に対して垂直な方向から前記凹部に保持された前記液体の特性を測定するための所定の波長の光が入射される測光部と、
を更に有することを特徴とする請求項13に記載の攪拌容器。
【請求項15】
前記メニスカスが形成される部分より前記底壁側に設けられ、互いに平行な一組の側壁と、
前記平行な一組の側壁の一部に設けられると共に、前記平行な一組の側壁に対して垂直な方向から前記凹部に保持された前記液体の特性を測定するための所定の波長の光が入射される測光部と、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の攪拌容器。
【請求項16】
前記測光部が設けられた部分における前記凹部の深さ方向に直交する当該凹部の断面は、前記メニスカスが形成される部分における当該凹部の当該方向の断面より小さいことを特徴とする請求項15に記載の攪拌容器。
【請求項17】
前記音波発生手段は、前記測光部を避けて配置されていることを特徴とする請求項15に記載の攪拌容器。
【請求項18】
前記音波発生手段は、前記平行な一組の側壁の部分とは異なる前記側壁に配置されていることを特徴とする請求項17に記載の攪拌容器。
【請求項19】
前記音波発生手段は、前記底壁に配置されていることを特徴とする請求項17に記載の攪拌容器。
【請求項20】
前記液体のメニスカスが接触する前記側壁は疎水性であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌容器。
【請求項21】
保持された微量の液体を音波を利用して攪拌すると共に、当該保持される微量の液体の特性に関する測定を行う化学分析装置のための攪拌容器であって、
前記液体が気体に接触するメニスカスを形成するように、前記液体の形状を規制して保持する凹部と、
前記凹部を規定し、所定の肉厚を有する側壁及び底壁を含む壁部と、
前記壁部の外側に設けられ、前記凹部に保持される前記液体を攪拌するための表面弾性波を発生させる音波発生手段と、
を具備し、前記が形成するメニスカスを規制するように、前記液体のメニスカスが接触する前記側壁の部分は、疎水性であることを特徴とする攪拌容器。
【請求項22】
前記音波発生手段は、圧電基板と、該圧電基板上に形成される櫛型電極とを有する表面弾性波素子であることを特徴とする請求項21に記載の攪拌容器。
【請求項23】
前記表面弾性波素子によって発生する前記液体中の流れは、音響流が支配的であることを特徴とする請求項21に記載の攪拌容器。
【請求項24】
検体と試薬とを含む液体試料を攪拌して反応させ、当該液体試料を分析するために当該液体試料の特性に関する測定を行う化学分析装置であって、請求項1〜23のいずれか一つに記載の攪拌容器を用いて検体と試薬とを攪拌することを特徴とする化学分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2006−349582(P2006−349582A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−178384(P2005−178384)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】