説明

支持体を有する現像媒体を使用した、感光性要素の熱現像方法

【課題】レリーフパターンが形成されるように、感光性要素を熱現像するための方法を提供すること。
【解決手段】この方法は、組成物層の一部を液化させるために感光性要素の組成物層を加熱するステップと、液化した組成物が吸収されるように、張力下で感光性要素に現像媒体を提供するステップとを含む。現像媒体は、吸収材料および支持体を含み、これらの組合せによって、吸収材料の延伸および変形が最小限に抑えられ、液化した組成物の吸収材料への移動を妨げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性要素を熱現像するための方法に関し、詳細には、感光性要素を加熱して組成物層の一部を液化させるステップと、感光性要素に接触させて支持体および吸収材料を含む現像媒体を提供することにより、液化した材料を除去するステップとを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷版は、例えば厚紙、プラスチックフィルム、アルミ箔のような包装材料など、軟質で変形が容易なものから比較的硬質なものにわたる印刷面に、使用されることが周知である。フレキソ印刷版は、特許文献1および2に記載されているような、光重合性組成物を含有する感光性要素から作製することができる。光重合性組成物は、一般に、エラストマー結合剤と、少なくとも1種のモノマーと、光開始剤とを含む。感光性要素は、一般に、支持体とカバーシートまたは多層カバー要素との間に介在された光重合層を有する。化学線で画像通りに露光すると、光重合層の光重合が露光領域で生じ、それによって、光重合層の露光領域を硬化し、不溶性にする。従来、感光性要素は、適切な溶液で処理されており、例えば溶媒または水性ベースの洗い出しが行われており、それによって、光重合層の非露光領域が除去され、フレキソ印刷に使用することのできる印刷レリーフが残る。しかし、溶液で感光性要素を処理する現像システムは、吸収された現像剤溶液を除去するのに長時間(0.5から24時間)の乾燥が必要であるので、時間がかかる。
【0003】
溶液現像の代替例として、後続の時間のかかる乾燥ステップを必要とすることなく、非露光領域を除去する「乾式」熱現像プロセスを、使用することができる。熱現像プロセスでは、化学線で画像通りに露光された感光層を、この感光層の非露光部分の組成物を軟化または融解させて吸収材料中に流入させるのに十分な温度で、吸収材料に接触させる。特許文献3(Burg他)、4(Cohen他)、5(Martens)、6(Martens)、7(Martens)、および8(Peterson他)を参照されたい。感光層の露光部分は硬質のままであり、非露光部分の軟化温度では軟化も融解もしない。吸収材料は、軟化した非照射材料を収集し、次いで感光層から除去される。感光層を加熱し接触させるサイクルは、非照射領域から流動性組成物を十分除去して、印刷に適したレリーフ構造を形成するために、数回繰り返す必要があると考えられる。そのような処理の後、照射され硬化した組成物であって照射画像を表す組成物の、隆起レリーフ構造が残る。
【0004】
特許文献3には、光重合画像支持要素からレセプタ表面に画像を転写するための、乾式熱画像再現プロセスが記載されている。レセプタ支持体のタイプは、転写画像の所望の用途、および画像とベースとの接着性に応じて異なる。開示されているレセプタ支持体には、紙;厚紙;金属シート、箔、およびメッシュ;木;ガラス;ナイロン;ゴム;ポリエチレン;ポリエステルなどの線状縮合ポリマーであって、例えばポリエチレンテレフタレート;絹、木綿、およびレーヨン織物またはスクリーンが含まれる。レセプタ支持体は、シート形態で使用した。このプロセスは、光重合層の非露光領域の熱転写によって、深さが数分の1ミルから10ミル(約0.0254mm)まで、またはそれ以上に及ぶレリーフ画像を作製するのに使用することができる。このプロセスの目的は、転写画像をレセプタ上に再現して、元の画像の少なくとも1つの複製を提供することである。実施例IVは、木製の枠に取り付けられかつ固いアルミニウムシートにより支持された、絹の微細なメッシュスクリーンで作製されたレセプタ支持体への、画像の転写について記述している。
【0005】
フレキソ印刷要素の熱現像のための処理装置が、知られている。特許文献8および9は、それぞれ、照射された印刷要素を取り扱いかつ加熱およびプレスの反復を実現して、吸収材料のウェブで非照射組成物を印刷要素から除去するための、自動化プロセスおよび装置について記述している。この装置は、吸収材料を感光性要素に送出するホットロールを含む。熱は、ホットロールからの伝導によって、ニップで接触したときに、吸収ウェブを通り感光性要素へと移動し、したがって、組成物層の温度は、この組成物層の非照射部分は液化可能であるように十分に上昇する。吸収ウェブを感光性要素に対し押圧して、液化した非照射組成物を吸収させ、次いでこの要素から引き離す。
【0006】
吸収材料が連続ウェブであり、特に不織材料のウェブである場合、熱現像中に問題が時々生ずる。吸収材料を感光性要素に接触させ、軟化した非照射材料を収集した後に、吸収材料のウェブを感光性要素から離す間、延伸しおよび/または変形する可能性がある。接着性、または吸収ウェブを感光性要素から離すことができる能力は、レリーフ画像形成に応じて異なる。重合し、したがって粘着性に乏しいレリーフ画像の一部は、ウェブが引き離されるにつれて容易に剥離する。それに対し、吸収ウェブは、ニップの後、重合されておらずしたがって粘着性がありまたは融解したポリマーであるレリーフ画像の一部で、接着し剥離する可能性がある。時には、ウェブは、感光性要素から分離しまたは剥離しながら延伸および/または変形することができる程度まで、感光性要素に接着する。この要素からのウェブの剥離に伴う力は、ウェブが延伸されおよび/または変形したときに変化し、それが、波、レリーフ形成の変化などの欠陥を要素に引き起こす。様々なレリーフを有する印刷フォームでの印刷は、特に、高品質の印刷で問題になる可能性があるが、それは、浅いレリーフ領域では、最終的に基板上に印刷される汚れが蓄積される可能性があるからであり、また深すぎるレリーフ領域では、ハイライトドットおよび微細な線などの微細な印刷要素を弱くする可能性があるからである。
【0007】
延伸および/または変形ウェブは、このウェブを感光性要素から分離しまたは剥離しながらこの要素をその支持体表面からさらに持ち上げることできるような程度にまで、感光性要素に接着させることができる。依然として温かい感光性要素からの吸収ウェブの除去は、得られるレリーフ要素に欠陥を引き起こす可能性がある。特に剥離しながらのウェブの延伸および/または変形と、感光要素がまだ熱い間にこの要素を持ち上げることによって、要素が屈曲し、要素の構造に歪みを引き起こし、それによって波と呼ばれる欠陥が、得られるレリーフ要素に生ずる可能性がある。支持体がガラス転移温度より高い温度である間に、この要素に与えられた不均一な歪みは、要素が冷却されまたは室温に戻った後にも残る変形をもたらす。変形は、局在化した歪みの波であり、感光性要素に非平面的形態をもたらすものである。従来技術の熱現像では、ウェブの性質を制御できないので、歪みの波は、処理される各要素の種々の位置に形成される可能性がある。
【0008】
波を有するレリーフ印刷フォームでは、印刷性能が乏しくなる。多色印刷では、レリーフ印刷フォームの1つまたは複数が波を有する場合、その印刷画像は、見当合わせが不十分になる。単色印刷においてさえ、レリーフ印刷フォームの波は、例えば直線を曲線に印刷するなどしてその原図を正確に再現したものではない画像を印刷し、いわゆる画像インフィデリティをもたらす可能性がある。さらに、波を有するレリーフ印刷フォームは、印刷フォームのインクの付いた表面と印刷基板との断続的接触が原因で、画像を不完全に印刷する可能性がある。
【0009】
さらにウェブは、融解ポリマーが冷却し始めるのに十分な時間、延伸しかつ感光性要素に接触させたままにすることができる。この要素を冷却しながらウェブを除去することにより、ウェブと感光性要素のレリーフ表面との間の凝集力および接着力を変化させることができる。したがって、直接ニップ中にまたはニップの直後に、この要素が熱い間にウェブを除去する場合とは異なって、レリーフ表面を一掃することができ、すなわち重合していないポリマーを除去することができる。要素を冷却しながらウェブを除去すると、レリーフ表面には、密度が様々なものとして印刷される、ドットサイズが様々なものまたはドット側壁の品質および清浄度が様々な、ストリップ状(ウェブの端から端まで)のアーチファクトが生ずる可能性がある。
【0010】
要素から分離中の連続ウェブの延伸または変形は、その他の問題をもたらす可能性がある。ウェブの張力は、ウェブが延伸するにつれて変化する。ウェブの速度は、このウェブの延伸が原因でプロセス全体を通して変化するので、ウェブの速度を制御することはより困難になる可能性がある。ウェブは、広範な延伸または変形により破断する可能性もある。この場合、ウェブは、粘着性ある融解ポリマーを、加熱された感光性要素から除去するようには存在しないと考えられ、このポリマーは、ホットロールおよびドラム支持ロールを含めた処理装置内の様々な面上に流れる可能性がある。したがって、ウェブを処理装置に通しながら、かつ粘着性ある融解ポリマーを様々な内面から除去しながら、かなりのダウンタイムで操作を中断する。融解ポリマーがホットロール上に残された場合、このポリマーはロール上に蓄積され硬化する傾向にあり、したがって、引き続き処理される印刷フォームの表面にパターンが刻印される可能性がある。
【0011】
【特許文献1】米国特許第4323637号明細書
【特許文献2】米国特許第4427759号明細書
【特許文献3】米国特許第3060023号明細書
【特許文献4】米国特許第3264103号明細書
【特許文献5】米国特許第5015556号明細書
【特許文献6】米国特許第5175072号明細書
【特許文献7】米国特許第5215859号明細書
【特許文献8】米国特許第5279697号明細書
【特許文献9】米国特許第6797454号明細書
【特許文献10】国際公開第98/13730号パンフレット
【特許文献11】米国特許第4323636号明細書
【特許文献12】米国特許第4753865号明細書
【特許文献13】米国特許第4726877号明細書
【特許文献14】米国特許第4460675号明細書
【特許文献15】米国特許第5262275号明細書
【特許文献16】米国特許第5719009号明細書
【特許文献17】米国特許第5607814号明細書
【特許文献18】米国特許第5506086号明細書
【特許文献19】米国特許第5766819号明細書
【特許文献20】米国特許第5840463号明細書
【特許文献21】欧州特許出願公開第0741330号明細書
【非特許文献1】Marks' Standard Handbook for Mechanical Engineers,eds. Avalone,E.およびBaumeister III,T., 9th edition, Chapter 5, McGraw Hill, 1987
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、延伸せず、変形せず、または破断しない現像媒体の連続ウェブを使用した、熱現像のための方法を提供することが望ましい。また、ウェブの比較的高い張力を可能にし、かつ感光性要素からのウェブの分離をより制御可能にする、現像媒体の連続ウェブを使用した、熱現像のための方法を提供することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、外面を有し、部分的に液化することが可能な組成物層を含有する感光性要素から、レリーフパターンを形成するための方法を提供する。この方法は、この外面を、組成物層の一部を液化させるのに十分な温度にまで加熱するステップと;この外面に接触し、張力下で外面と平行な方向にある吸収材料を含んだ現像媒体を外面に提供するステップと;現像媒体および外面を押圧して、液化した材料の少なくとも一部が吸収材料によって除去されるのに十分な圧力で接触させるステップとを含む。現像媒体はさらに、吸収材料に隣接しかつ外面とは反対側にある支持体を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、好ましくはフレキソ印刷版を形成するための感光性要素を、熱現像するための方法である。本発明は、部分的に液化することが可能な組成物の層を有する感光性要素を、任意の目的でこの層の少なくとも一部を融解しまたは軟化させまたは液化するのに十分な温度まで、加熱することが可能な方法を企図するものである。具体的には、本発明は、吸収材料およびこの吸収材料に隣接した支持体を有する現像媒体を使用して、感光性要素を熱現像する方法に関する。現像媒体中に支持体が存在することにより、特に吸収材料が張力下にある間、その吸収材料をその延伸および/または変形から安定化させる。また、現像媒体中に支持体が存在することにより、吸収材料内の液化組成物の移動を妨げることができる。
【0015】
熱現像は、組成物層の非硬化部分を液化し、すなわち融解しまたは軟化させまたは流動させ、かつ現像媒体の吸収材料に接触させることによって除去しまたは運び去ることができる現像温度にまで、感光性要素を加熱する。現像媒体を、本明細書では現像材料、現像ウェブ、およびウェブと呼んでもよい。吸収材料は、本明細書では吸収媒体、吸収ウェブ、および吸収層と呼んでもよい。感光層の硬化部分は、非硬化部分よりも高い融解または軟化または液化温度を有し、したがって、熱現像温度では融解せず、軟化せず、または流動しない。フレキソ印刷版を形成するための感光性要素の熱現像は、特許文献5、6、7、および10に記載されている。感光性要素は、基板と、少なくともこの基板に取り付けられた組成物層とを含む。組成物層は、部分的に液化することが可能である。
【0016】
「融解」という用語は、吸収材料によって吸収が可能になるように、軟化しかつ粘度を低下させる高温にかけられた、組成物層の非照射部分の挙動を記述するのに使用する。組成物層の融解可能な部分の材料は、通常、固体と液体との間で急な転移が行われない粘弾性材料であり、したがってこのプロセスは、現像媒体での吸収のための、いくらかの閾値よりも高い任意の温度で、加熱された組成物層を吸収するように機能する。したがって、組成物層の非照射部分は、高温にかけられると軟化しまたは液化する。しかし、この明細書全体を通して、「融解」、「軟化」、および「液化」という用語は、組成物が固体状態と液体状態との間で急峻な転移温度を有するか否かに関わらず、組成物層の加熱された非照射部分の挙動について記述するのに使用することができる。広い温度範囲は、本発明において、組成物層を「融解」するのに利用することができる。吸収は、このプロセスの首尾良い操作の間、より低い温度でより遅くなり、より高い温度でより速くなると考えられる。
【0017】
現像媒体の吸収材料と、融解した非硬化エラストマー組成物との相対的な物理的性質を定義する際の、吸収という用語の使用は、特定の吸収現象に限定しようとするものではない。融解組成物は、吸収材料に使用される繊維、フィラメント、または粒子の本体に浸透させる必要はない。吸収材料のバルクへの吸収は、内部バルクの表面湿潤によってのみ行うことができる。現像媒体の吸収領域に、融解エラストマー組成物を移動させるための推進力は、表面張力、電気的な力、極性求引力、あるいは、材料の配向性(すなわち親和性)、吸着、または吸収の促進を助けることが知られているその他の物理的な力の1つまたは複数でよい。この推進力には、多孔質媒体への圧力推進流を含めてもよい。
【0018】
現像媒体は、放射線硬化性組成物の非照射または非硬化部分の、融解または軟化または液化温度を超えた融解温度を有するように選択され、かつ同じ動作温度で良好な引裂き抵抗を有する吸収材料を含む。吸収材料は、加熱中の感光性要素の処理に必要とされる温度に、耐えることが好ましい。吸収材料は、不織材料、用紙、繊維性織布、連続気泡フォーム、その内包体積の一部または実質的に一部を空隙容量として含んだ多孔質材料から選択される。吸収材料は、典型的には連続ウェブであるが、シート形態にすることができる。吸収材料は、この吸収材料1平方ミリメートル当たりで吸収することのできるエラストマーのグラム数で測定したとき、融解エラストマー組成物に対して高い吸収力も有するべきである。また、繊維が、現像中に印刷フォーム内に堆積しないように、繊維を吸収材料に結合することも望ましい。吸収材料に好ましいものは、ナイロンまたはポリエステルの不織ウェブである。吸収材料は、2から25ミル(0.005から0.064cm)の間、好ましくは2から20ミル(0.005から0.051cm)の間、最も好ましくは4から15ミル(0.010から0.038cm)の間の厚さを有する。
【0019】
現像媒体は、吸収材料に隣接しかつ感光性要素の外面の反対側に、支持体を含む。支持体は、引裂き抵抗および耐熱性があるように選択し、すなわち、放射線硬化性組成物の、非照射または非硬化部分の融解または軟化または液化温度を超える融解温度を有するように選択する。支持体は、吸収材料と組み合わせたときに、吸収材料のみの機械的性質よりも良好に熱処理の過酷さに耐えるように、その組合せが改善された機械的性質を有するように選択する。融解ポリマーが、吸収材料からその下にある構造、すなわち装置の接触部材まで移動するのを防ぐため、支持体は、非多孔質または少なくとも非吸収性であることも好ましい。ごくわずかだけ、または完全に多孔質であり、あるいはポリマー融解物を吸収する支持体は、本発明では、吸収材料の延伸および/または変形を安定化するのに依然として適していると考えられる。わずかにまたは完全に多孔質であり、あるいは吸収する支持体は、例えば繊維の密度、繊維の直径、孔径、支持体の厚さ、および耐熱性コーティングなど、支持体材料の特徴に応じて若干の障壁機能を、依然として現像媒体に提供することができる。支持体は、限定するものではなく、ポリマーフィルム、紙、金属、織布、不織布、およびこれらの組合せから選択することができる。適切な組合せの例には、金属化ポリマーフィルム、および不織布が含まれる。支持体は、非反応性であり処理条件全体を通して安定であり続けるフィルムを形成する、ほとんどすべてのポリマー材料にすることができる。適切なフィルム支持体の例には、セルロースフィルム、およびポリオレフィン、ポリカーボネートおよびポリエステルなどの熱可塑性材料が含まれる。ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートのフィルムが好ましい。支持体として適切な金属の例には、アルミニウム、ニッケル、および鋼が含まれる。吸収材料として、また支持体として機能するのに適した特徴を有することのできる、利用可能な材料が多量にあるので、吸収材料および支持体として好適な材料には、紙、織布、および不織布など、いくらか重なる部分がある。例えば、一部は吸収材料として機能するのに適切な多孔度を有し、その他は支持体として機能するのに適切な機械強度を有するように、種々の強度および多孔度を持つ様々な用紙が利用可能である。
【0020】
支持体は、シート形態または連続ウェブにすることができるが、吸収材料と同じ形態にすることが好ましい。支持体の厚さは、この支持体が吸収材料の延伸および/または変形を最小限に抑えまたは低減させるのに十分な強度を有し、接触部材、例えばホットロールから現像媒体に至る熱伝達に過度に影響を及ぼさないことを前提として、特に限定するものではない。支持体の好ましい厚さは、約0.01mmから約0.38mm(0.4〜15ミル)の間である。
【0021】
本発明の現像媒体中に、吸収材料を有する支持体が存在することにより、吸収材料単独での機械的性質、特に弾性率および降伏点が改善され、それによって、熱現像プロセスの性能および操作が高められ、得られる印刷要素の品質が高められる。弾性率は、応力の増分と歪みの増分との比である。本発明において、弾性率は、材料が応力および歪みから回復することができるように、低歪みでの応力と歪みとの関係が線形であるヤング率である。弾性率は、弾性係数、弾性モジュラス(elasticity modulusまたはelastic modulus)と呼ぶこともできる。降伏点は、加えられた応力と歪みとの関係が、ヤング率に関連した線形関係から逸脱する応力点である。降伏点で、材料は、誘発された応力および歪みからもはや回復せず、永久的な塑性変形を示す。降伏点は、降伏強さとも呼ぶことができる。本発明で使用される材料に関して典型的な場合、破断点は、降伏点を超える。弾性率および降伏点は、当業者に周知の機械的性質である。材料の、これらおよびその他の機械的性質と、その分析に関する記述は、非特許文献1に見出すことができる。現像媒体および吸収材料の弾性率および降伏点を決定するのに適切な方法は、標準的な試験方法ASTM D5035による。
【0022】
現像媒体は、吸収材料が緊張状態にある間、吸収材料の延伸および/または変形を最小限に抑えるのに十分な弾性率を有する。現像媒体としての、吸収材料と支持体との組合せの弾性率は、吸収材料単独での弾性率よりも大きい。支持体および吸収材料で使用される材料に何を選択するかに応じて、現像媒体は、吸収媒体単独での弾性率よりも少なくとも10%大きい弾性率を有することができる。室温で、現像媒体の弾性率は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは25%から、吸収材料単独での弾性率の2倍(2×)程度またはそれ以上にまで、増大させることができる。現像媒体に関する弾性率の改善の大きさは、熱現像に関連した温度では少なくなる可能性がある。しかし一般に、現像媒体に関する弾性率の改善(弾性率単独の場合を凌ぐ)は、熱現像温度でも依然として生ずるべきである。現像媒体の降伏点は、特に熱現像中に吸収材料が破断する傾向を低減させるのに、十分である。同様に、現像媒体としての、吸収材料と支持体との組合せの降伏点は、吸収材料単独での降伏点よりも大きい。支持体および吸収媒体に使用される材料に、何を選択するかに応じて、現像媒体は、吸収材料単独での降伏点よりも少なくとも10%大きい降伏点を有することができる。現像媒体に関する降伏点は、吸収材料単独での降伏点よりも、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは40%以上増大させることができる。
【0023】
本発明の一実施形態では、現像媒体は、吸収材料および支持体を含む。吸収材料および支持体は、熱現像プロセスの前またはこのプロセス中に、現像媒体が形成されるように、一緒にすることができる。吸収材料および支持体は、例えば、熱現像プロセスとは独立に、現像媒体が形成されるように、圧力および/または熱を加えた状態で積層することによって、モノリシック構造を形成することができる。あるいは、吸収材料および支持体は、例えば、超音波溶接または適切な接着剤を使用することによって、不織布吸収媒体の製造中に、一緒に結合することができる。さらに別の代替方法では、吸収材料および支持体は、例えば処理ステップの前または処理ステップ中、熱現像中に現像媒体が形成されるように組み立てることができる。熱現像中、吸収材料および支持体は、それぞれ独立に、現像媒体が感光性要素の外面に接触するニップに供給される。この場合、支持体および吸収材料は、少なくとも張力がかかっている吸収材料に最大応力が引き起こされている期間中、すなわち吸収材料と感光性要素が接触し現像媒体が感光性要素から分離される間、一緒になる。少なくともこの期間中に、吸収材料を有する支持体が存在することは、吸収材料の延伸または変形を最小限に抑えるのに十分である。事実上、吸収材料および支持体は、このように、要素の熱現像中にニップ内を移動させることにより、一緒に固定しまたは積層することができる。吸収材料によって除去された融解ポリマーは、特に除去された融解ポリマーを冷却させる場合、吸収材料および支持体を一緒に接着する接着剤のように機能することができる。あるいは、熱現像中に、吸収材料および支持体が一体になって現像媒体を形成するニップの前の位置まで、吸収材料および支持体をそれぞれ独立に供給することができる。現像媒体を感光性要素と接触させ分離させた後、吸収材料および支持体を1つのウェブとして、巻取りロール上に収集する。次いで吸収材料および支持体の独立のウェブは、感光性要素に接触させそこから分離する間は一緒になるが、その後それぞれの巻取りロールに分離して独立に収集できると考えられる。さらに別の実施形態では、支持体を、接触部材、例えばホットロールと第2のローラに巻き付く連続ベルトに形成し、吸収材料は、独立に外面に供給する。この実施形態では、支持体および吸収材料は、吸収材料で引き起こされた臨界応力/歪みの期間中、一緒になるが、支持体ベルトは吸収材料から分離され(吸収材料が要素から分離した後)、接触部材および第2のローラの周りをトラバースする。
【0024】
現像媒体の別の実施形態は、第1の吸収材料および第2の吸収材料を、これら第1および第2の吸収材料の間の支持体と共に含む。現像媒体のこの実施形態は、上述の実施形態と同様に形成することができる。特定の実施形態の利点は、第1の吸収材料が感光性要素から液化部分を除去するので、熱現像中に感光性要素を加熱することによって形成された縮合物を、第2の吸収材料に送り出すことができることである。
【0025】
吸収材料および/または支持体は、接着剤または接着層を含むことができ、あるいは、吸収材料と支持体との接着または結び付きが促進するように処理することができる。使用される接着剤のタイプは、接着剤が熱現像条件に耐えることができることを前提として、限定するものではない。例えば、2成分ポリウレタンが、接着剤として適切と考えられる。
【0026】
現像媒体は、熱現像装置内で、吸収材料が感光性要素の外面に接触するように、かつ支持体が、感光性要素の外面とは反対側で吸収材料に隣接するように、向きが定められている。好ましい実施形態では、支持体は、吸収材料と、感光性要素に接触している現像媒体を支持しおよび/またはプレスする接触部材との間になる。この実施形態では、吸収材料とは反対側の支持体の面が、接触部材上に存在することになる。吸収材料は、感光性要素の外面に平行なまたは実質的に平行な方向で引っ張られた状態にあり、組成物層の液化材料の少なくとも一部が除去されるように、感光性要素の外面に接触する。吸収材料および支持体が、非直結式に一体化して現像媒体を形成する場合、吸収材料と支持体の両方、すなわち現像媒体は、外面に平行なまたは実質的に平行な方向に、張力がかけられている。
【0027】
本発明は、感光性要素からレリーフパターンを形成するための方法であり、この場合、現像媒体は、吸収材料が感光性要素の外面に接触している間、吸収材料の延伸または変形を最小限に抑えまたは低減させる支持体を含んでいる。吸収媒体を備えた支持体が存在することによって、接触後の現像媒体のより均一な分離が可能になることが有利であり、それによって、得られる印刷フォームの波形変形が低減される。さらに、吸収材料を備えた支持体が存在することによって、過剰に延伸または破断しない現像媒体が形成され、したがって、改善された生産性が熱現像装置にもたらされる。さらに、吸収媒体を備えた支持体が存在することによって、粘着性ある融解ポリマーが吸収材料内を移動しないように、かつ接触部材、例えばホットロールの表面が汚染されないようにすることができる。驚くべきことに、また意外にも、吸収媒体を備えた支持体が存在することによって、改善されたレリーフ構造を、得られる印刷フォームに提供することもできる。本発明により作製された印刷フォームは、より深いレリーフを有し、場合によっては、開床領域とより重要なまたは遮断された領域との間でそれほど相違はない。
【0028】
感光性要素を熱現像するのに適切な装置は、Peterson他の特許文献8およびJohnson他の特許文献9に記載されている。すべての実施形態における感光性要素は、プレートの形をしている。円筒形状の感光性要素を熱現像するのに適切な別の装置は、文献(例えば、2004年11月12日出願の米国特許仮出願第60/627222号明細書(代理人整理番号GP−1212)参照)に記載されている。しかし当業者なら、吸収材料および支持体を含む現像媒体を使用してレリーフパターンを形成するための本発明の方法を適応させるように、上述の装置のそれぞれを修正することができることを、理解すべきである。
【0029】
本発明では、熱現像は、感光性要素の組成物層の外面を、この層の一部が液化するのに十分な温度にまで加熱することを含む。少なくとも1つの感光層(および、存在する場合には1つまたは複数の追加の層)は、伝導、対流、放射、または、非硬化部分を融解させるのに十分な温度であるがこの層の硬化部分が変形するほど高くはない温度まで加熱する、その他の方法によって、加熱することができる。組成物層の上に配置された、1つまたは複数の追加の層は、軟化しまたは融解しまたは流動することができ、現像媒体の吸収材料によって除去することもできる。組成物層の非硬化部分を融解し、または流動させるため、感光性要素を、約40℃よりも高い表面温度、好ましくは約40℃から約230℃(104〜446°F)の表面温度に加熱する。感光性要素を加熱し、現像媒体の吸収材料を感光性要素の外面に接触させる熱処理ステップは、光重合層の非硬化部分が現像媒体と接触したときに、依然として軟らかくまたは融解状態あることを前提として、同時にまたは順次行うことができる。現像媒体と、非硬化領域が融解している組成物層との、多少緊密な接触を維持することによって、光重合層、すなわち部分的に液化した部分から現像媒体の吸収材料への、非硬化感光性材料の移動が生じる。現像媒体と光重合層との緊密な接触は、この層と現像媒体とを一緒にプレスすることによって、維持することができる。
【0030】
感光性要素の外面は、熱現像装置内の1つまたは複数の熱源によって、加熱することができる。熱源は、独立にまたは任意の組合せで、組成物層の一部、すなわち非照射部分を、少なくとも部分的に液化するのに十分な温度にまで、感光性要素の外面を加熱することができる。熱源のそれぞれを加熱するための方法は、限定するものではなく、例えば、電気コアヒータ、電気加熱ブランケット、水蒸気、油、温風、および組成物層の一部が融解するように外面の温度を維持しまたは上昇させるのに十分な温度を提供することができる、その他の加熱源を含めることができる。
【0031】
好ましい加熱源は、現像媒体を要素に供給しながら組成物層の外面を加熱する接触部材である。熱は、接触したときに、接触部材から現像媒体を経て要素の外面まで、伝導によって移動し、要素の温度を上昇させ、この要素の組成物層の非硬化部分を融解し、軟化し、または現像媒体の吸収材料へと流動させる。
【0032】
処理装置は、感光性要素の外面に向けられた、1つまたは複数の集束放射加熱器である別の加熱源を含むことができる。放射加熱器は、組成物層の非照射部分を融解してこの層の一部を液化するのに十分な、組成物層の外面温度を上昇させるため、組成物層の外面に必要とされる熱のすべてまたは一部を利用することができる。加熱器は、1つまたは複数の管状赤外線加熱バルブとの電気接続ももたらす端面支持体に取り付けられた、1つまたは複数の管状赤外線加熱バルブを含むことができる。この加熱器は、要素の外面に赤外線の焦点を合わせ、この外面に方向を定める働きをする、1つまたは複数のバルブに隣接した反射器を含むこともできる。
【0033】
装置は、熱現像中に感光性要素を支持するドラム、多重ロール(すなわち2本以上のロール)、弓状プラットフォーム、および平面などの、ベース部材(第2の部材とも呼ぶことができる)を含む。好ましいベース部材は、ドラムである。ベース部材は、ベース部材の外面の温度を制御する手段を含むことができ、この手段によって、感光性要素が受ける熱条件を管理するのを助ける。特に、温度を制御する手段は、感光性要素の支持体側の温度を維持するのに使用することができる。ベース部材の温度を制御する手段は、加熱手段、冷却手段、およびこれらの組合せを含むことができる。ベース部材は、周囲環境とは無関係に、感光性要素を安定な出発温度に保持するように設けられた、ヒータを備えることができる。ベース部材を加熱する任意の手段は、ヒータの電力が、正しく一定に選択された表面温度をベース部材の外面で維持するのに十分である限り、受け入れられる。この実施形態では、ベース部材を加熱する熱源は、組成物層の非照射部分を融解してこの層の一部を液化させるのに十分になるように、組成物層の外面の温度を上昇させるため、ある量の熱を供給することが可能である。通常の動作環境が、一定の温度になるように慎重に制御される場合、ヒータを停止させまたは装置からヒータを省くことができる。特許文献9に開示されるように、ベース部材を、空気流を感光性要素およびドラムの表面に送り出す送風器などの冷却手段によって、および/または感光性要素が冷却されるようにベース部材の表面下に冷却流体を循環させることによって、冷却することも可能である。また、感光性要素が加熱および/または冷却されるように、水などの流体をベース部材の表面下に循環させることができることも、考えられる。ベース部材の外面の温度は、約50から150°F(10から65.6℃)、好ましくは75から95°F(23.9から35℃)である。
【0034】
現像媒体は、接触部材(第1の部材と呼ぶこともできる)で、感光性要素の外面に供給される。接触部材は、例えば、円形、半円形、楕円形、放物線形、凸状および凹状表面を含む弓形、楔形、三角形、長方形、およびその他の多角形状を含めることができるがこれらに限定することのない、断面形状を有する。接触部材の形状は、対称または非対称にすることができる。円筒形状のロールが、好ましい接触部材である。典型的な場合、接触部材は加熱され、したがってホットロールまたはホットローラと呼ぶことができる。接触部材は、ベース部材、例えばドラムによって支持される感光性要素に隣接して、位置決めされる。現像媒体を、感光性要素の外面に接触させて提供する場合、ホットロールによって供給される現像媒体と、ドラムによって支持される感光性要素との間に、ニップが形成される。
【0035】
ほとんどの実施形態では、感光性要素および現像媒体は、熱現像を実現するために、同じかまたは実質的に同じ線形速度で移動すべきである。現像媒体と感光性要素の外面との間でこの運動レベルを維持するには、接触部材と現像媒体との間でかなりの相対運動がなければならない。相対運動は、現像媒体を移動させることによって、または接触部材を移動させることによって、または現像媒体および接触部材の両方を移動させることによって、もたらすことができる。一実施形態では、現像媒体は、熱現像のため感光性要素の外面に対して固定された位置にある、接触部材の表面を、横断する連続ウェブである。別の実施形態では、現像媒体は、熱現像の接触ステップ中に1つまたは複数の向きに進む、接触部材の表面を、横断する連続ウェブである。
【0036】
少なくとも現像媒体の吸収材料は、感光性要素の外面の進行方向に平行な、または実質的に平行な方向の、張力下にある。現像媒体の支持体には、吸収材料が受ける張力と同じかまたは異なるものでよい張力が、かけられてもよい。ほとんどの実施形態では、吸収材料および支持体は、組合せ構造に加えられる単一の張力を有することになる。現像媒体は、処理装置内で移送される際、張力制御下、速度制御下、またはこれらの組合せの下にあってよいが、張力は、少なくともニップ(現像媒体が外面に接触する)から現像媒体と感光性材料との分離に至るまで、現像媒体の吸収材料に依然として加えられることを、理解すべきである。一実施形態では、ブレーキなどの引張り手段が、ニップの供給側にあるローラ上に含まれる。ブレーキは、現像媒体が駆動ローラによって処理装置内を移送されるとき、現像媒体上に張力をもたらす。張力は、特に供給ローラの直径が変化するとき、わずかに変わる可能性がある。別の実施形態(図示せず)では、供給ロールの外径を検出するために、センサを設けることができる。センサは、回転軸の位置によって変わる電圧を有するポテンショメータである。電圧出力は、シャフトのトルク出力を変化させる、供給ロールのシャフト上に取り付けられた磁性粒子ブレーキに送られる。磁性粒子ブレーキおよびセンサは、一緒になって、現像媒体に対して実質的に一定な張力を維持する。現像媒体の張力は、少なくとも0.1lbs/in(0.2ニュートン/cm)であり、好ましくは少なくとも0.3lbs/in(0.5ニュートン/cm)である。現像媒体の張力は、張力が現像媒体の引張り強さよりも小さいことを条件として、望み通りに高くすることができるが、張力をその降伏点より低く保つことによって、現像媒体の歪みを最小限に抑えることが非常に望ましい。現像媒体が、吸収材料と支持体との両方の連続ウェブである一実施形態では、張力の適切な範囲が、約0.1から10lbs/in(0.2から17.5ニュートン/cm)であり、好ましくは0.3から5lbs/in(0.5から8.8ニュートン/cm)であり、別の実施形態では、0.5から1.0lbs/in(0.875から1.75ニュートン/cm)である。
【0037】
一実施形態では、現像媒体は、熱現像装置におけるその経路の実質的に全体を通して、張力がかけられた状態で保持される、連続ウェブである。現像媒体の連続ウェブは、供給ロールから解かれ、接触部材に向かいかつその表面へと案内され、巻取りロールに巻き上げられる。ウェブは、供給ロールから接触部材、例えばホットロールまで、1つまたは複数の追加のロール上を通過することができ、ホットロールから巻取りロールまで、1つまたは複数の追加のロール上を通過することができる。追加のロールの1つまたは複数は、処理装置内でウェブを案内し、空転させ、および/または推進させることができる。ウェブが滑らないように研磨外面を有する駆動ロールの周りに、ウェブが移送されるとき、現像媒体のウェブには、その経路内でニップから巻取りロールまで、張力が加えられる。トルクモータは、一定のまたは実質的に一定の張力が現像媒体ウェブに加えられるように、一定のトルクを駆動ロールに提供する。ウェブは、駆動ロールの研磨外面に接触し、1つまたは複数の遊びロールに巻き付いて、ホットロールの後に実質的に均一な張力をウェブに提供するのを助けることができる。感光性要素からウェブを除去するのに必要な張力は、所与の感光性要素に関する除去の各サイクルごとにまたは後続のサイクルごとに、変えることができる。したがって、トルクモータ用の制御器は、ウェブの張力が相応に変化するように、トルクを調節することができる。一実施形態では、トルクモータは、特定の要素に関する後のウェブ除去サイクルで、感光性要素からウェブを除去するのに必要な張力を増大させるため、トルクを調節することになる。
【0038】
ウェブに張力を加える追加の方法は、その移送経路全体を通してウェブに張力が維持されるように、必要に応じて含めることができる。駆動ロールの下流では、ウェブの張力を、その移送経路内で駆動ロールから巻取りロールに至るまで維持するブレーキ機構を含む、追加のロールの1つまたは複数に、巻き付けることができる。同様に、供給側では、追加のロールの1つまたは複数は、ウェブの張力をその移送経路内で供給ロールからニップに至るまで維持する、ブレーキ機構を含んでもよい。ブレーキ機構は、処理中にウェブが過剰に送り出されないように、供給ロールに抵抗(すなわち張力)をもたらす。代替の実施形態では、ブレーキ機構および/または張力を加えるためのその他の追加の方法を、供給ロールおよび/または巻取りロールと共に含めることができる。ウェブの、一定のまたは実質的に一定の張力を実現する、その他の実施形態は、当業者なら考えることができる。
【0039】
ウェブの経路に沿ったウェブの張力は、処理装置内の各領域で、同じかまたは異ならせることができる。特に、供給ロールからニップまでのウェブの張力、すなわち供給張力は、ニップ後の駆動ロールによってウェブで維持される張力、すなわち巻上げ張力と異ならせることができる。一実施形態では、現像媒体および感光性要素がニップに接触するとき、ウェブの供給張力はウェブの巻上げ張力よりも高く、好ましくは、供給張力は、巻上げ張力よりも1.5倍大きく、最も好ましくは、供給張力が巻上げ張力の2倍である。
【0040】
速度制御の際、好ましい実施形態ではモータによって駆動するベルトである駆動ローラ上を、現像媒体が通過する。一実施形態では、モータは、変速モータである。モータは、ドラム上の感光性要素およびホットローラの外面の線形速度に同調する線形速度で、現像媒体を処理装置内に通すサイズのものである。
【0041】
感光性要素
本発明は、熱処理されるタイプの要素に限定するものではない。一実施形態では、感光性要素は、柔軟な基板と、この基板に取り付けられた組成物層とを含む。組成物層は、部分的に液化することが可能な、基板上の少なくとも1つの層である。感光性要素は、フレキソ印刷フォームとしての使用に適したエラストマー性印刷要素であることが好ましい。基板上の少なくとも1つの層は、好ましくは感光層であり、最も好ましくはエラストマー組成物の光重合層であり、この感光層は、化学線によって選択的に硬化できるものである。本明細書で使用する「光重合性」という用語は、光重合可能な系、または光架橋可能な系、またはこれら両方の系を包含する。組成物層が、柔軟な基板上に複数の感光層を含む場合、感光層のそれぞれの組成物は、その他の感光層のいずれかと同じか、または異なるものとすることができる。
【0042】
感光性組成物の層は、熱現像によって、部分的に液化することが可能である。すなわち、熱現像中に、非硬化組成物は、妥当な処理または現像温度で軟化しまたは融解しなければならない。組成物層の少なくとも外面は、この層の一部を液化させ、軟化させ、または融解させるのに十分な温度にまで加熱する。
【0043】
感光層は、少なくとも1種のモノマー、および光開始剤、および任意選択で結合剤を含む。少なくとも1種のモノマーは、少なくとも1つの末端エチレン基を有する、付加重合性エチレン系不飽和化合物である。感光層に使用することができるモノマーは、当技術分野で周知であり、単官能アクリレートおよびメタクリレート、多官能アクリレートおよびメタクリレート、ならびにポリアクリロイルオリゴマーを含む。モノマーのその他の例は、特許文献11、12、および13に見出すことができる。モノマーの混合物を使用することができる。
【0044】
光開始剤は、化学線で露光したとき、フリーラジカルを発生させる化合物である。光開始剤の既知の種類のいずれか、特にフリーラジカル光開始剤を、使用することができる。あるいは光開始剤は、化合物の混合物でよく、すなわちこの化合物の1種が、放射線で活性化された増感剤によってフリーラジカルを発生させるときに、そのような現象をもたらす化合物の混合物でよい。
【0045】
任意選択の結合剤は、露光前にモノマーおよび光開始剤のマトリックスとして働く予め形成されたポリマーであり、露光の前と後の両方で、フォトポリマーの物理的性質に寄与する物質である。一実施形態では、任意選択の結合剤はエラストマー性である。エラストマー結合剤の非限定的な例は、A−B−Aタイプのブロックコポリマーである(Aは非エラストマーブロックを表し、好ましくはビニルポリマーであり、最も好ましくはポリスチレンであり、Bはエラストマーブロックを表し、好ましくはポリブタジエンまたはポリイソプレンである)。使用することができるその他の適切な感光性エラストマーには、特許文献5および6に記載されているような、ポリウレタンエラストマーが含まれる。モノマー、またはモノマーの混合物は、透明で曇りのない感光層が生成される程度まで、結合剤に対して相容性がなければならない。
【0046】
感光層への追加の添加剤には、着色剤、加工助剤、酸化防止剤、およびオゾン劣化防止剤が含まれる。加工助剤は、エラストマーブロックコポリマーに対して相容性のある、低分子量ポリマーのようなものである。オゾン劣化防止剤には、炭化水素ワックス、ノルボルネン、および植物油が含まれる。適切な酸化防止剤には、アルキル化フェノール、アルキル化ビスフェノール、重合トリメチルジヒドロキノン、およびジラウリルチオプロピノエートが含まれる。
【0047】
感光性要素は、基板とは反対側の感光層の面に、1つまたは複数の追加の層を含むことができる。追加の層の例には、剥離層、キャップ層、エラストマー層、レーザ光線感受性層、化学線不透過層、障壁層、およびこれらの組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。1つまたは複数の追加の層は、その全体または一部が、使用される感光性要素に許容される現像温度範囲内での現像媒体との接触によって、除去可能であることが好ましい。追加のその他の層の1つまたは複数は、感光性組成物層を覆い、または一部のみ覆うことができる。感光性組成物層の一部のみ覆う、追加の層の例は、化学線遮断材料またはインクを画像通りに付着させることによって、例えばインクジェットで付着させることによって形成される、マスク層である。
【0048】
剥離層は、組成物層の表面を保護し、感光性要素の画像通りの露光に使用されるマスクを、容易に除去することが可能になる。剥離層として適切な材料は、当技術分野で周知である。キャップ層に適した組成物、およびこの層を感光性要素上に形成する方法は、Gruetzmacher他の特許文献2および14に記載されている多層カバー要素のエラストマー組成物として、開示されている。エラストマーキャップ層は、画像通りに露光した後、使用される感光性要素に許容される温度範囲内で吸収材料に接触させることにより、少なくとも部分的に除去可能である点が、感光層と類似している。
【0049】
一実施形態では、レーザ光線感受性層は、赤外レーザ光線に対して感受性があり、したがって赤外線感受性層として識別することができる。レーザ光線感受性層は、感光層の上、または感光層上にある障壁層の上、または感光性要素と一緒になって集合体を形成する一時的な支持体の上に、存在することができる。赤外線感受性層、および化学線不透過層は、当技術分野で周知である。赤外線感受性層は、赤外レーザ光線で露光することにより、柔軟な基板とは反対側の感光層の面から、アブレーションを行う(すなわち、溶解または除去する)ことができる。あるいは感光性要素が、赤外線感受性層を支持する支持体と共に集合体を形成する場合、赤外線感受性層は、赤外レーザ光線で露光することによって、一時的な支持体から感光層の外面(柔軟な基板とは反対側)に移ることができる。赤外線感受性層は、単独で、またはその他の層と共に、例えば突出層、加熱層などと共に、使用することができる。
【0050】
赤外線感受性層は、一般に、赤外線吸収材料、放射線不透過材料、および任意選択の結合剤を含む。カーボンブラックおよび黒鉛などの暗色無機顔料は、一般に、赤外線感受性材料として、かつ放射線不透過層として機能する。赤外線感受性層の厚さは、化学線に対する感受性および不透過性の両方を最適化する範囲内にあるべきである(例えば、≧2.5の光学密度を有する)。そのような赤外線感受性の光アブレーティブなまたは光転写可能な層は、感光性要素上にin−situマスクが形成されるように、レーザ光線での露光によって赤外線感受性層が除去されまたは転写される、デジタル式ダイレクト刷版画像技術に用いることができる。適切な赤外線感受性組成物、要素、およびこれらの調製は、特許文献15、16、17、18、19、20、および21に開示されている。赤外線感受性層は、使用される感光性要素に許容される現像温度範囲内で、吸収剤材料と接触させることにより、除去可能であることが好ましい。
【0051】
本発明の感光性要素は、さらに、感光性要素の最上層の上面に、一時的なカバーシートを含むことができる、カバーシートの1つの目的は、貯蔵および取扱い中に、感光性要素の最上層を保護することである。最終用途に応じて、画像形成前にカバーシートを除去しても除去しなくてもよいが、現像前には除去される。カバーシートに適した材料は、当技術分野で周知である。
【0052】
基板は、引裂き抵抗性があるように選択され、かなり高い融点、例えば、基板上に形成される組成物層の液化温度よりも高い融点を持たなければならない。基板用の材料は、限定するものではないが、ポリマーフィルム、フォーム、織布、ならびにアルミニウムおよび鋼などの金属から選択することができる。基板は、非反応性で処理条件の全体を通して安定であり続けるフィルムを形成する、ほとんどすべてのポリマー材料にすることができる。適切なフィルム支持体の例には、セルロースフィルムと、ポリオレフィン、ポリカーボネートおよびポリエステルなどの熱可塑性材料が含まれる。支持体の形状は限定されない。支持体は、シート形態、またはスリーブなどの円筒形態にすることができる。スリーブは、柔軟な材料の単層または多層から形成することができる。ポリマーフィルム製の柔軟なスリーブは、典型的には紫外線を通し、それによって、円筒状印刷要素内に床面を構築するようにバックフラッシュ露光を適応させるので好ましい。多層化したスリーブも許容され、このスリーブは、柔軟な材料の層の間に、接着層またはテープを含むことができる。スリーブは、ニッケルまたはガラスエポキシなど、不透明な化学線遮断材料で作製してもよい。スリーブは、典型的には10から80ミル(0.025から0.203cm)以上の肉厚を有する。円筒形態に好ましい肉厚は、10から40ミル(0.025から0.10cm)である。
【0053】
感光性要素の基板は、約0.01mmから約0.38mmの間の厚さを有する。放射線硬化性の組成物層は、約0.35mmから約7.6mmの間の厚さであり、好ましい厚さは約0.5mmから3.9mm(20から155ミル)である。
【0054】
感光性要素は、この要素を化学線で画像通りに露光することによる熱現像に向けて、作製する。画像通りに露光した後、感光性要素は、放射線硬化性組成物層の露光領域に硬化部分を含み、放射線硬化性組成物層の非露光領域には非硬化部分を含む。画像通りの露光は、画像支持マスクを通して感光性要素を露光することにより実施する。画像支持マスクは、印刷すべき対象を含む黒白トランスペアレンシーまたはネガでよく、あるいは、組成物層上にレーザ光線感受性層で形成されたin−situマスクでよく、あるいは、当技術分野で知られているその他の手段でよい。画像通りの露光は、真空フレーム内で実施することができ、または大気中の酸素の存在下で実施することができる。露光により、マスクの透明領域で付加重合または架橋を生じさせることが可能になり、一方、化学線不透過領域は、架橋しないままである。露光は、露光領域を支持体までまたは背面露光層(床面)まで架橋するのに十分な所要時間を持つものである。画像通りに露光する時間は、典型的にはバックフラッシュ時間よりも非常に長く、2〜3分から数十分に及ぶ。
【0055】
特許文献15、16、17、18、19、20、および21に開示されているダイレクト刷版画像形成の場合、画像支持マスクは、赤外線レーザ露光エンジンを使用して、レーザ光線感受性層によりその場で形成する。画像通りのレーザ露光は、750から20000nmの範囲内、好ましくは780から2000nmの範囲内で放出される様々なタイプの赤外線レーザを使用して実施することができる。ダイオードレーザを使用することができるが、1060nmで放出されるNd:YAGレーザが好ましい。
【0056】
化学線源は、紫外線、可視光線、および赤外線の波長領域を包含する。特定の化学線源が適切かどうかは、開始剤と、感光性要素からフレキソ印刷版を調製するのに使用される少なくとも1種のモノマーとの感光性によって決定される。ほとんどの一般的なフレキソ印刷版は、より良好な室内照明安定性をもたらすので、その好ましい感光性は、スペクトルのUVおよび深い可視領域内にある。放射線で露光された部分の組成物層は、化学的に架橋し、硬化する。組成物層の非照射(非露光)部分は硬化せず、硬化した照射部分よりも低い融解温度または液化温度を有する。次いで画像通りに露光された感光性要素は、レリーフパターンが形成されるように吸収材料で熱現像できる状態になる。
【0057】
全背面露光、いわゆるバックフラッシュ露光は、支持体に隣接するフォトポリマーの所定厚さが重合するように、画像通りに露光する前または露光した後に実施することができる。フォトポリマー層のこの重合部分を、床面と呼ぶ。床面の厚さは、露光時間、露光光源などに応じて変化する。この露光は、拡散または指向的に行うことができる。画像通りの露光に適したすべての放射線源を使用することができる。露光は、一般に、10秒から30分間である。
【0058】
マスクを通してUV放射線で全面露光した後、感光性印刷要素を上述のように熱現像して、光重合層内の非重合領域を除去し、それによってレリーフ画像を形成する。熱現像ステップは、少なくとも化学線で露光されていない領域の光重合層、すなわち光重合層の非露光領域または非硬化領域を除去する。エラストマーキャップ層を除き、典型的には光重合層上に存在する可能性のある追加の層を、光重合層の重合領域から除去し、または実質的に除去する。
【0059】
熱現像後、フレキソ印刷フォーム表面の粘着性をなくすため、任意の順序で、フレキソ印刷フォームをポスト露光し、および/または化学的にもしくは物理的に後処理することができる。
【実施例】
【0060】
以下の実施例では、CYREL(登録商標)FAST熱処理装置およびCYREL(登録商標)フレキソ印刷版を、DuPont社(Willmington,DE)からすべて入手することができる。
【0061】
以下の実施例で試験される感光性要素は、以下に述べるように露光され熱処理されるCYREL(登録商標)フレキソ印刷版またはフォームであった。この印刷版またはフォームは、CYREL(登録商標)露光ユニット上で紫外線により、支持体を通してブランケット露光し(背面露光)かつマスク画像を有するフォトツールを通して画像通りに露光し、その後、熱現像した。使用される現像媒体については、以下の実施例で述べる。
【0062】
(実施例1)
以下の実施例は、張力下で現像媒体の連続ウェブを使用する、熱現像の方法について実証する。現像媒体は、吸収材料の延伸を最小限に抑えまたは低下させるのに十分な支持体を含む。支持体は、熱現像の前にオフラインで吸収材料に積層することができ、または熱現像中に吸収材料に接触させることができる。
【0063】
使用する感光性要素は、480mmの反復長さを有する、スリーブ支持体上の、円筒形状のフォトポリマーブランクであった。円筒形感光性要素を、デジタルマスクを通して化学線(UV)で12分間露光した後、熱現像した。
【0064】
ポリエステル不織布を、吸収材料として使用した。厚さ12ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を、支持体として使用した。ある実験では、ポリエステル不織布とPETフィルムとを、70℃の2つのロール間で、オフラインで一緒に積層した。2成分ポリウレタン接着剤(Henkel Corp.製;硬質タイプ6067、接着剤タイプ7768)を、積層直前に不織布とポリエステルフィルムとの間に付着させた。第2の実験では、ポリエステル不織布とポリエステルフィルムとを別々に装置に取り付け、その結果、転写された非硬化フォトポリマーをグルーとして利用して、この不織布とフィルムとが一緒になり一体化して現像媒体がニップに形成されるようにした。
【0065】
ホットローラ、赤外線ヒータ、および2004年11月12日の米国特許仮出願第60/627222号明細書(代理人整理番号GP−1212)に記載される円筒形状の感光性要素を支持するための2つの手段を有する熱現像処理装置を使用して、感光性要素を熱処理した。円筒形状の要素を支持するための手段は、ローラと、弓形の外面を提供する断面が弓形のプラットフォーム部材とを含んでいた。最初に、ローラの外面に空気が供給されるように空気を放出し、ローラ表面にアダプタスリーブを滑らせ、空気の供給を止めることによって、圧縮性アダプタスリーブをローラに取り付けた。使用した圧縮性アダプタスリーブはRotec社から提供された330mmの繰返しを有する、軟質フォームスリップフィットアダプタであった。円筒形状の感光性要素は、この要素がローラとプラットフォーム部材との間に1つまたは複数の非支持部分を有するように、この要素をプラットフォーム部材およびローラの表面に滑らせることによって取り付けた。アクチュエータは、円筒形要素がプラットフォーム部材とローラとの間で引っ張られるようになるまで、プラットフォーム部材をローラから移動させた。張力がかかった位置では、円筒形要素が延び、比較的ピンと張られた状態に保持されて、プラットフォーム部材の外面およびプラットフォーム部材とは反対側のローラの外面に接触するようにした。水を、プラットフォーム部材およびロールのキャビティ内に通すことにより、円筒形支持体の表面温度を予熱し制御した。放射加熱器をオンにして、円筒形感光性要素の外面を加熱した。放射加熱器は、この要素が加熱器に近付く前にバルブを予熱することができ、次いでこの要素上の組成物層を融解させるのに望ましい温度が実現されるように、操作設定を切り換えることができる。ホットロール内の加熱器をオンにして、所望の現像温度にまでホットロールの外面を温めた。キャリッジアセンブリのモータをオンにして、キャリッジを移動させ、要素の外面が、ホットローラ上に存在する現像媒体に圧力で接触するように位置決めした。ローラとホットロールの両方のサーボモータをオンにした。円筒形感光性要素は、プラットフォーム部材およびローラを中心に回転し始め、連続ウェブは、感光性要素と同じかまたは実質的に同じ線形速度で、ホットロールと共に回転するニップ内を移送された。感光性要素の組成物層を、現像媒体に接触させながら、指示される温度にまで加熱した。現像媒体の張力は、ニップの直後にウェブが感光性要素の外面から離れるように調節した。現像媒体の吸収材料を、加熱した感光性要素の組成物層の外面に接触させ、エラストマーポリマーの液化部分を、組成物層の非照射(非硬化)部分から除去し、一部が除去されてレリーフパターンまたは表面が形成されている、フレキソ印刷フォームを形成した。現像媒体と、非硬化領域で融解している組成物層との多少なりとも密接な接触を維持することにより、硬化していない感光性材料の、光重合層から現像媒体への転写が起こった。現像媒体と光重合層との密接な接触は、この層と現像媒体とを一緒に押圧することによって維持した。現像媒体は、ニップ領域を通過した直後に除去した。円筒形感光性要素は、熱現像中にプラットフォーム部材およびローラの周りを連続的に回転し、その結果、この要素を加熱し、ウェブを要素に接触させ、ウェブを要素から除去するという連続的なサイクル動作を行った。組成物層を加熱し、融解(部分)層を現像媒体に接触させ、現像媒体を除去するステップのサイクルを、8回繰り返して、非硬化材料を組成物層から適正に除去し、十分なレリーフ深さを生成した。
【0066】
実施例1でのすべての試験は、加熱したローラの表面温度を165℃、および圧縮性スリップフィットアダプタならびにプラットフォーム部材の表面温度を40℃にして実施した。感光性要素と現像媒体との間の接触、ならびに熱入力は、感光性要素の直線力(line force)(N)および表面温度に関して与えられた曲線に従うように、8回の個々のサイクルごとに、接触圧、速度、およびIR出力の設定によって調節した。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
試験は、下記の通り実施した。
試験 現像媒体
1 事前に積層した、不織布とPETのウェブ(オフライン)
対照 不織布吸収ウェブのみ
2 不織布とPETとをそれぞれ独立に供給
【0070】
試験1では、一緒に積層された不織布とPETの現像媒体を、上述の装置内に装着した。現像媒体の張力は、ニップ後にフォトポリマー表面からすぐに離れるように調節した。この試験中、吸収媒体は延伸もくびれもせず、また吸収材料はある程度までスリーブと共に移動せず、ニップ後にうまく分離した。
【0071】
対照として、ウェブの張力の設定を変化させずに、不織ポリエステルウェブだけを上述の装置に装着した。熱現像プロセスの開始時に、不織ウェブはすぐに、非常に強くくびれ(片面で3cmよりも大きい)、最終的には破断した。ウェブを再装着し、片面のくびれが約0.5〜1cmの範囲になるまでウェブの初期張力を著しく低下させることによって、プロセスを再開した。熱現像プロセスは終了したが、時折ウェブが粘着し、分離する前に、スリーブと共にある程度まで移動した。
【0072】
試験2では、不織ウェブとPETウェブが別々にニップに送出されるように、現像媒体を装置内に装着し、ニップで2つのウェブを一緒に積層し、次いで一緒に巻取りロールまで移送した。不織ウェブは、対照試験で使用したものと同じであった。ウェブの進路を調節し、ウェブの張力を、試験1で使用したものと同じレベルにまで再び上昇させた。スリーブの熱現像は、ウェブの延伸またはくびれが生じない状態で、うまく進行した。ウェブとフォトポリマー要素の表面との分離は、ニップの直後にうまく行われた。プロセス終了後、不織布とPETとの間の接着をチェックした。最後のサイクルの後であっても、2つのウェブは、実に高い力で互いに粘着しており、これは、スリーブ要素から除去されたポリマーが実際にグルーとして機能して、2つのウェブを一緒に積層することを示していた。
【0073】
(実施例2)
以下の実施例は、積層された現像媒体が、フレキソ印刷フォームのレリーフ面の形成に及ぼす効果を実証している。
【0074】
3つのCYREL(登録商標)フレキソ印刷版、タイプ67 FD1を、以下の条件、すなわち背面露光(支持体を通す)120秒(2.6J/cm)、およびマスクを通した主露光8分(10.4J/cm)という条件で、CYREL(登録商標)2001露光ユニット上で露光した。これらの印刷版を、67 FD1印刷版に標準的な処理条件を使用し、しかし異なる現像媒体を使用して、商用のCyrel(登録商標)FAST TD1000熱現像装置で処理した。現像媒体を、325°F(約163℃)に加熱したホットローラと接触させた。印刷版の1つを、標準的なCYREL(登録商標)FAST現像器ロール、Cerex(登録商標)ナイロン不織布(Cerex Advanced Fabrics製、Pensacola、フロリダ)を使用して現像し、これを対照印刷版とした。残りの2つの印刷版は、CYREL(登録商標)FAST現像器ロール不織布と12ミクロン(約0.5ミル)のポリエステルフィルムとの積層体を使用して熱現像した。不織布およびポリエステルフィルムは、70℃の2つのローラ間で、オフラインで一緒に積層した。2成分ポリウレタン接着剤(Henkel Corp.製;硬質タイプ6067、接着剤タイプ7768)を、積層直前に不織布とポリエステルフィルムとの間に付着させた。
【0075】
積層した現像媒体は、その不織布側が印刷版の外面に接触するように、またポリエステルフィルム側が上記外面とは反対側になるように、処理装置内に供給した。現像媒体のポリエステルフィルム側は、ホットロールに接触させた。
【0076】
印刷版に露光されたマスク画像は、床面領域から1インチ(2.54cm)だけ離れた、幅1インチ×長さ5インチ(2.54cm×12.7cm)の一連の実線の長方形の画素からなるものであった。30インチ(76.2cm)の印刷版のそれぞれの端から端まで、14本の中実なバーが存在し、それらの間には床面領域があり、各縁部に沿ってわずかに広い床面バンドが存在した。この画素の組の前、および後には、印刷版の幅の端から端まで画像が存在しない領域があった。印刷版を現像した後、各長方形の間でレリーフを測定した。さらに、非画像領域において、印刷版の幅の端から端までレリーフを測定した。床面領域内およびブロック間での、レリーフに関する測定値の平均(単位:インチ)は、下記の通りであった。
【0077】
【表3】

【0078】
積層材料と共に現像した印刷版は、全体的にわずかに高いレリーフを示したが、より著しい改善点は、ブロック間のレリーフ領域に見出された。レリーフの均一性(床面領域のレリーフ間、および画素間の偏差)は、積層現像媒体を使用することによって改善され、ばらつきが8.5%を示したのに対し、対照サンプルでは12.7%を示していた。
【0079】
(実施例2A)
現像媒体のサンプルを、室温および150℃で、ASTM D5035による負荷の下、弾性率および降伏点に関して試験した。試験をした現像媒体のサンプルは、実施例2に関して既に述べたものと同じロールからのものではなく、現像媒体の代表的なものであった。試験をした現像媒体は、実施例2で記載したように調製した、標準的なCYREL(登録商標)FAST現像器ロール、Cerex(登録商標)ナイロン不織布(Cerex Advanced Fabrics製、Pensacola、フロリダ)と、CYREL(登録商標)FAST現像器ロール不織布および12ミクロン(約0.5ミル)のポリエステルフィルムの積層体であった。
【0080】
これらのサンプルを、Instron引張試験機で試験した(試験フレーム:Instronモデル#1125、シリアル#6571 Canton、MA;ロードセル:Instronカタログ#2511−105シリアル#580(2000lb引張りロードセル);グリップ:標準Instron高温グリップ;オーブン:United Calibration Corp.Huntington Beach、CA、モデル#UEC.3.5−1000、シリアル#18701)。試験条件は、ASTM D5035に従い、3インチ(約7.62cm)のサンプル、1インチ(約2.54cm)の幅で、処理速度は12インチ(約30.5cm)/分であった。高温での試験は、Instron装置のオーブンを使用して行った。各現像媒体ごとに5つのサンプルを試験し、その平均を、以下の表に報告する。弾性率は、1000psi(ksi)として報告し、負荷時の降伏点は、インチ当たりのポンド力(lbf/in)として報告する。
【0081】
【表4】

【0082】
この結果は、弾性率および降伏点により決定されたように、吸収材料(すなわち不織布)と支持体(すなわちポリエステルフィルム)との組合せによって、吸収材料だけの場合に比べ、改善された機械的強度が提供されたことを実証している。吸収材料と支持体との組合せによる機械的強度の改善は、熱現像中に経験したように、室温および高温で観察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面を有し、部分的に液化することが可能な組成物層を含有する感光性要素から、レリーフパターンを形成するための方法であって、
前記外面を、前記層の一部を液化させるのに十分な温度にまで加熱するステップと、
前記外面に接触し、張力下で前記外面に平行な方向にある吸収材料を含んだ現像媒体を、前記外面に提供するステップと、
前記現像媒体および前記外面を押圧して、液化した材料の少なくとも一部が前記吸収材料によって除去されるのに十分な圧力で接触させるステップと
を含み、
前記現像媒体が、前記吸収材料に隣接しかつ前記外面とは反対側にある支持体をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記現像媒体と前記感光性要素との間に相対運動をもたらすステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現像媒体と、前記現像媒体を支持する接触部材との間に、相対運動をもたらすステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接触部材は、楕円形、放物線状、弓形、円形、半円形、楔形、三角形、長方形、および多角形からなる群から選択された断面形状を有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記現像媒体を提供するステップは、押圧前に現像媒体のウェブを形成するために、第1のウェブとして吸収材料を供給すること、および第2のウェブとして支持体を供給することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記支持体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびポリエチレンナフタレートからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記吸収材料は、不織材料、繊維織布材料、用紙、多孔質材料、連続気泡フォーム、およびこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記吸収材料は弾性率を有し、前記現像媒体は、前記吸収材料の弾性率よりも大きい弾性率を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱するステップの前に、前記感光性要素を化学線で画像通りに露光するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法により作製されたことを特徴とするフレキソ印刷フォーム。

【公開番号】特開2007−86781(P2007−86781A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−251511(P2006−251511)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】