放射線撮影装置
【課題】スイッチング素子部分に遮光部材を設けることなく、スイッチング素子でのノイズの発生を抑制しつつ、残像を消去できる放射線撮影装置を提供する。
【解決手段】光透過性を有する基板64の一方の面に、第1波長域の光に対して感度を有するセンサ部72、及び第1波長域よりも広い波長域の光に対してノイズが発生するTFT70が形成された画素が複数設けられた放射線検出器60の基板64の他方の面に対して主に第1波長域の光を照射する。
【解決手段】光透過性を有する基板64の一方の面に、第1波長域の光に対して感度を有するセンサ部72、及び第1波長域よりも広い波長域の光に対してノイズが発生するTFT70が形成された画素が複数設けられた放射線検出器60の基板64の他方の面に対して主に第1波長域の光を照射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影装置に係り、特に、放射線源から射出されて被検者を透過した放射線により示される放射線画像の撮影を行う放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、X線などの放射線を直接デジタルデータに変換できるFPD(Flat Panel Detector)等の放射線検出器が実用化されており、この放射線検出器を用いて、照射された放射線により表わされる放射線画像を撮影する放射線撮影装置が実用化されている。この放射線検出器を用いた放射線撮影装置は、従来のX線フィルムやイメージングプレートを用いた放射線撮影装置に比べて、即時に画像を確認でき、連続的に放射線画像の撮影を行う透視撮影(動画撮影)も行うことができるといったメリットがある。
【0003】
この種の放射線検出器は、種々のタイプのものが提案されており、例えば、放射線を一度CsI:Tl、GOS(Gd2O2S:Tb)などのシンチレータで光に変換し、変換した光をフォトダイオードなどのセンサ部で電荷に変換して蓄積する間接変換方式等がある。放射線撮影装置では、放射線検出器に蓄積された電荷を電気信号として読み出し、読み出した電気信号をアンプで増幅した後にA/D(アナログ/デジタル)変換部でデジタルデータに変換している。
【0004】
ところで、間接変換方式の放射線検出器は、フォトダイオードなどのセンサ部としてa−Si(アモルファスシリコン)などの半導体が一般的に使われているが、半導体の不純物準位に電荷が一旦トラップされ、トラップされた電荷が放出されることによって残像を生じる場合がある。また、TFT等のスイッチング素子も、半導体を用いて形成されるため、光キャリブレーションのために照射された光により、ノイズが発生する。
【0005】
そこで、スイッチング素子でのノイズの発生を抑制しつつ、残像を消去する技術として、特許文献1には、放射線検出器の基板を光透過性を有する材料で形成すると共に、基板のスイッチング素子部分に遮光部材を配置し、基板側に導光板を配置して基板側から光を照射することにより、放射線検出器の各センサ部の不純物電位を撮影前に埋める共に、遮光部材によりスイッチング素子への光の入射を抑制する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−35773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、ノイズの発生を抑制するためにスイッチング素子部分に遮光部材を設ける必要がある。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、スイッチング素子部分に遮光部材を設けることなく、スイッチング素子でのノイズの発生を抑制しつつ、残像を消去できる放射線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の放射線撮影装置は、光透過性を有する基板の一方の面に、第1波長域の光に対して感度を有し、前記第1波長域の光が照射されることにより電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部に発生した電荷を読み出すために設けられ、前記第1波長域よりも広い波長域の光に応じてノイズが発生するスイッチング素子が形成された画素が複数設けられた撮影パネルと、前記基板の他方の面に対して主に前記第1波長域の光を照射する照射手段と、を備えている。
【0010】
請求項1によれば、撮影パネルは、光透過性を有する基板の一方の面に、第1波長域の光に対して感度を有し、第1波長域の光が照射されることにより電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部に発生した電荷を読み出すために設けられ、第1波長域よりも広い波長域の光に対してノイズが発生するスイッチング素子が形成された画素が複数設けられている。
【0011】
そして、照射手段により、基板の他方の面に対して主に第1波長域の光が照射される。
【0012】
このように、請求項1に記載の発明によれば、光透過性を有する基板の一方の面に、第1波長域の光に対して感度を有するセンサ部、及び第1波長域よりも広い波長域の光に対してノイズが発生するスイッチング素子が形成された画素が複数設けられた撮影パネルの基板の他方の面に対して、残像を消去する際に、照射手段により主に第1波長域の光を照射することにより、スイッチング素子部分に遮光部材を設けることなく、スイッチング素子でのノイズの発生を抑制しつつ、残像を消去できる。
【0013】
なお、本発明は、請求項2記載の発明のように、前記第1波長域の光を、緑色光とし、前記センサ部を、キナクリドン系有機化合物を含んで構成してもよい。
【0014】
また、請求項1記載の発明は、請求項3記載の発明のように、前記撮影パネル上に設けられ、放射線を第2波長域の光に変換する波長変換層と、前記波長変換層と前記撮影パネルの間に形成され、前記第2波長域の光を前記第1波長域の光に変換する波長変換フィルタと、さらに備えてもよい。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、請求項4記載の発明のように、前記第1波長域の光を、赤色光とし、前記センサ部を、亜鉛フタロシアニンを含んで構成してもよい。
【0016】
また、請求項4記載の発明は、請求項5記載の発明のように、前記撮影パネルの各画素で前記センサ部及び前記スイッチング素子が別な層で少なくとも一部が重なるように形成されてもよい。
【0017】
また、本発明は、請求項6記載の発明のように、前記撮影パネルが、撮影対象物を透過した放射線が前記基板側から入射するように配置され、前記照射手段を、前記基板の他方の面に対向して配置され、前記第1波長域の光を発生する有機エレクトロルミネッセンス素子としてもよい。
【0018】
また、本発明は、請求項7記載の発明のように、前記照射手段を、主に前記第1波長域の光を発生する発光部が設けられた発光パネルとし、筐体の撮影対象物を透過した放射線が照射される撮影面が設けられた天板部分の前記放射線が入射する面の反対側の面に、発光パネル、撮影パネルの順に積層して取り付けてもよい。
【0019】
また、本発明は、請求項8記載の発明のように、前記照射手段を、主に前記第1波長域の光を発生する光源と、前記基板の他方の面に対向して配置され、前記光源で発生した光を前記基へ導光する導光板と、を含んで構成してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スイッチング素子部分に遮光部材を設けることなく、スイッチング素子でのノイズの発生を抑制しつつ、残像を消去できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態に係る電子カセッテの内部構成を示す透過斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る放射線検出器及び放射線検出部の構成を模式的に示した断面図である。
【図3】実施の形態に係る放射線検出器の薄膜トランジスタ及びコンデンサの構成を示した断面図である。
【図4】実施の形態に係るTFT基板の構成を示す平面図である。
【図5】実施の形態に係る電子カセッテ内部の構成を示す側面図である。
【図6】アモルファスシリコンとキナクリドンの波長に対する吸収特性を概略的に示すグラフである。
【図7】実施の形態に係る電子カセッテの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図8】放射線画像撮影時における電子カセッテの配置を示す概略図である。
【図9】第2の実施の形態に係る放射線検出器及び放射線検出部の構成を模式的に示した断面図である。
【図10】他の形態に係る電子カセッテ内部の構成を示す側面図である。
【図11】放射線検出器への放射線の表面読取方式と裏面読取方式を説明するための断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、可搬型の放射線撮影装置(以下「電子カセッテ」ともいう。)に適用した場合の形態例について説明する。
【0023】
[第1の実施の形態]
図1には、本実施の形態に係る電子カセッテ10の構成が示されている。
【0024】
同図に示すように、電子カセッテ10は、放射線Xを透過させる材料からなる筐体54を備えており、防水性、密閉性を有する構造とされている。電子カセッテ10は、手術室等で使用されるとき、血液やその他の雑菌が付着するおそれがある。そこで、電子カセッテ10を防水性、密閉性を有する構造として、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの電子カセッテ10を繰り返し続けて使用することができる。
【0025】
筐体54の内部には、撮影の際に被検者と透過した放射線Xが照射される筐体54の照射面56側から順に、被検者を透過した放射線Xによる放射線画像を撮影する放射線検出器60、放射線検出器60の残像を消去するための光を放射線検出器60へ導くための導光板61が配設されている。
【0026】
また、筐体54の内部の一端側には、マイクロコンピュータを含む電子回路及び充電可能で、かつ着脱可能なバッテリ96Aを収容するケース31が配置されている。放射線検出器60、及び電子回路は、ケース31に配置されたバッテリ96Aから供給される電力によって作動する。ケース31内部に収容された各種回路が放射線Xの照射に伴って損傷することを回避するため、ケース31の撮影面56側には鉛板等を配設しておくことが望ましい。なお、本実施の形態に係る電子カセッテ10は、撮影面56の形状が長方形とされた直方体とされており、その長手方向一端部にケース31が配置されている。
【0027】
また、筐体54の外壁の所定位置には、‘レディ状態’,‘データ送信中’といった動作モード、バッテリ96Aの残容量の状態等の電子カセッテ10の動作状態を示す表示を行う表示部56Aが設けられている。なお、本実施の形態に係る電子カセッテ10では、表示部56Aとして、発光ダイオードを適用しているが、これに限らず、発光ダイオード以外の発光素子や、液晶ディスプレイ、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等の他の表示手段としてもよい。
【0028】
図2には、本実施形態に係る放射線検出器60の構成を模式的に示した断面図が示されている。
【0029】
放射線検出器60は、絶縁性基板64に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor、以下「TFT」という)70、及び蓄積容量68が形成されたTFTアクティブマトリクス基板(以下、「TFT基板」という)66を備えている。
【0030】
このTFT基板66上には、入射される放射線を光に変換するシンチレータ71が配置される。
【0031】
シンチレータ71としては、例えば、CsI:Tl、GOS(Gd2O2S:Tb)を用いることができる。なお、シンチレータ71は、これらの材料に限られるものではない。
【0032】
シンチレータ71としては、例えば、以下の表1に示すような組成の材料を用いることができる。表1には、各材料の組成と発光色、ピーク波長が示されている。
【0033】
【表1】
絶縁性基板64としては、光透過性を有し且つ放射線の吸収が少ないものであれば何れでもよく、例えば、ガラス基板、透明セラミック基板、光透過性の樹脂基板を用いることができる。なお、絶縁性基板64は、これらの材料に限られるものではない。
【0034】
TFT基板66には、シンチレータ71によって変換された光が入射されることにより電荷を発生するセンサ部72が形成されている。本実施形態に係るTFT基板66では、TFT70とセンサ部72を別な層で重なるように形成している。これにより、センサ部72でのシンチレータ71からの光の受光面積を大きくすることができる。また、TFT基板66には、TFT基板66上を平坦化するための平坦化層67が形成されている。また、TFT基板66とシンチレータ71との間であって、平坦化層67上には、シンチレータ71をTFT基板66に接着するための接着層69が形成されている。
【0035】
センサ部72は、上部電極72A、下部電極72B、及び該上下の電極間に配置された光電変換膜72Cを有している。
【0036】
上部電極72A、及び下部電極72BはITO(酸化インジウムスズ)やIZO(酸化亜鉛インジウム)などの光透過性の高い材料を用いて形成しており、光透過性を有する。
【0037】
光電変換膜72Cは、シンチレータ71から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。光電変換膜72Cは、光が照射されることにより電荷を発生する材料により形成すればよく、例えば、アモルファスシリコンや有機光電変換材料などにより形成することができる。アモルファスシリコンを含む光電変換膜72Cであれば、幅広い吸収スペクトルを持ち、シンチレータ71による発光を吸収することができる。有機光電変換材料を含む光電変換膜72Cであれば、可視域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ71による発光以外の電磁波が光電変換膜72Cに吸収されることがほとんどなく、X線等の放射線が光電変換膜72Cで吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。
【0038】
有機光電変換材料としては、例えば、キナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えば、キナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、シンチレータ71の材料としてCsI:Tlを用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜72Cで発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。この光電変換膜72Cとして適用可能な有機光電変換材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。なお、光電変換膜72Cは、さらにフラーレン若しくはカーボンナノチューブを含有させて形成してもよい。
【0039】
図3には、本実施の形態に係るTFT基板66に形成されたTFT70及び蓄積容量68の構成が概略的に示されている。
【0040】
絶縁性基板64上には、下部電極72Bに対応して、下部電極72Bに移動した電荷を蓄積する蓄積容量68と、蓄積容量68に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力するTFT70が形成されている。蓄積容量68及びTFT70の形成された領域は、平面視において下部電極72Bと重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素部における蓄積容量68及びTFT70とセンサ部72とが厚さ方向で重なりを有することとなり、少なく面積で蓄積容量68及びTFT70とセンサ部72を配置できる。
【0041】
蓄積容量68は、絶縁性基板64と下部電極72Bとの間に設けられた絶縁膜65Aを貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極72Bと電気的に接続されている。これにより、下部電極72Bで捕集された電荷を蓄積容量68に移動させることができる。
【0042】
TFT70は、ゲート電極70A、ゲート絶縁膜65B、及び活性層(チャネル層)70Bが積層され、さらに、活性層70B上にソース電極70Cとドレイン電極70Dが所定の間隔を開けて形成されている。活性層70Bは、例えば、アモルファスシリコンや非晶質酸化物などにより形成することができる。活性層70Bを構成する非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えば、In−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えば、In−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO3(ZnO)m(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnO4がより好ましい。
【0043】
TFT70の活性層70Bを非晶質酸化物で形成したものとすれば、X線等の放射線を吸収せず、あるいは吸収したとしても極めて微量に留まるため、ノイズの発生を効果的に抑制することができる。
【0044】
ここで、TFT70の活性層70Bを構成する非晶質酸化物や、光電変換膜72Cを構成する有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、絶縁性基板64としては、石英基板、及びガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の可撓性基板を用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば、持ち運び等に有利となる。なお、絶縁性基板64には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
【0045】
アラミドは、200度以上の高温プロセスを適用できるために、透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ITO(indium tin oxide)やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して絶縁性基板64を形成してもよい。
【0046】
バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、かつ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60−70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3−7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、かつフレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて薄く絶縁性基板64を形成できる。
【0047】
図4には、本実施の形態に係るTFT基板66の構成を示す平面図が示されている。
【0048】
TFT基板66には、上述のセンサ部72、蓄積容量68、TFT70と、を含んで構成される画素74が一定方向(図4の行方向)及び一定方向に対する交差方向(図4の列方向)に2次元状に複数設けられている。
【0049】
また、TFT基板66には、一定方向(行方向)に延設され各TFT70をオン・オフさせるための複数本のゲート配線76と、交差方向(列方向)に延設されオン状態のTFT70を介して電荷を読み出すための複数本のデータ配線78が設けられている。
【0050】
放射線検出器60は、平板状で平面視において外縁に4辺を有する四辺形状をしている。具体的には矩形状に形成されている。
【0051】
本実施形態に係る放射線検出器60は、図2に示すように、このようなTFT基板66の表面にシンチレータ71が貼り付けられて形成される。
【0052】
シンチレータ71は、例えば、CsI:Tl等の柱状結晶で形成しようとする場合、蒸着基板73への蒸着によって形成される。このように蒸着によってシンチレータ71を形成する場合、蒸着基板73は、X線の透過率、コストの面からAlの板がよく使用され、蒸着の際のハンドリング性、自重による反り防止、輻射熱による変形等からある程度(数mm程度)の厚みが必要となる。なお、シンチレータ71としてGOSを用いる場合、蒸着基板73を用いずにTFT基板66の表面にGOSを塗布することにより、シンチレータ71を形成してもよい。
【0053】
図5には、第1の実施形態に係る電子カセッテ10内部の構成を示す側面図が示されている。なお、図5では、TFT基板66の画素74が2次元状に複数設けられた撮影領域66Aを識別しやすくするため、撮影領域66Aを層として示している。
【0054】
電子カセッテ10内部には、シンチレータ71側が筐体54の撮影面56側と対向するように放射線検出器60が配置されている。
【0055】
また、放射線検出器60には、TFT基板66のシンチレータ71側と反対側の面に平板状の導光板61が配置されている。
【0056】
導光板61の1つの側面には、光源95が配置されている。導光板61には、光源95からの光が入射する。導光板61は、TFT基板66の画素74が2次元状に複数設けられた矩形状の撮影領域66Aよりも大きいサイズで形成されており、撮影領域66Aを覆うように配置されている。導光板61は、撮影領域66Aの周縁部の画素74まで光源95からの光を導光できる。
【0057】
ここで、本実施の形態では、シンチレータ71の材料としてCsI:Tlを用い、また、センサ部72の光電変換膜72Cの材料としてキナクリドン系有機化合物を用いる。これにより、シンチレータ71で発光する光とセンサ部72の吸収ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜72Cで発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
【0058】
また、本実施の形態では、TFT70の活性層70Bの材料としてアモルファスシリコンを用いる。
【0059】
ところで、アモルファスシリコンは、キナクリドン系有機化合物よりも幅広い波長域の光に対して感度を有している。
【0060】
図6には、アモルファスシリコンとキナクリドンの波長に対する吸収特性が概略的に示されている。
【0061】
このように、アモルファスシリコンは、キナクリドンが感度を有する波長域よりも広い波長域の光に対して感度を有している。このため、センサ部72の光キャリブレーションのため、例えば、放射線検出器60に対して様々な波長の光を含んだ白色光を照射した場合、TFT70の活性層70Bが幅広い波長域の光に対して感度を有しているため、TFT70でノイズが多く発生する。
【0062】
このTFT70でのノイズの発生を抑えるため、本実施の形態では、光源95からキナクリドンが感度を有する波長域の光を照射するようにしている。具体的には、光源95で緑色の光(例えば、ピーク波長545nm)を発生させ、導光板61を介して放射線検出器60に緑色の光を照射する。この場合、光源95自体が緑色の光を発生するものとしてもよく、また、光源95は白色光を発生するがフィルタ等を用いて緑色の光のみを選択的に透過させてもよい。
【0063】
図7には、第1の実施の形態に係る電子カセッテ10の電気系の要部構成を示すブロック図が示されている。
【0064】
放射線検出器60は、上述したように、センサ部72、蓄積容量68、TFT70を備えた画素74がマトリクス状に多数個配置されており、電子カセッテ10への放射線Xの照射に伴ってセンサ部72で発生された電荷は、個々の画素74の蓄積容量68に蓄積される。これにより、電子カセッテ10に照射された放射線Xに担持されていた画像情報は電荷情報へ変換されて放射線検出器60に保持される。
【0065】
また、放射線検出器60の個々のゲート配線76はゲート線ドライバ80に接続されており、個々のデータ配線78は信号処理部82に接続されている。個々の画素74の蓄積容量68に電荷が蓄積されると、個々の画素74のTFT70は、ゲート線ドライバ80からゲート配線76を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、TFT70がオンされた画素74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は、アナログの電気信号としてデータ配線78を伝送されて信号処理部82に入力される。従って、個々の画素74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。
【0066】
信号処理部82は、個々のデータ配線78毎に設けられた増幅器及びサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線78を伝送された電気信号は増幅器で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D(アナログ/デジタル)変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルデータへ変換される。
【0067】
信号処理部82には画像メモリ90が接続されており、信号処理部82のA/D変換器から出力されたデジタルデータは画像メモリ90に順に記憶される。画像メモリ90は複数フレーム分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、放射線検出器60の各画素74のデジタルデータが画像データとして画像メモリ90に順次記憶される。
【0068】
画像メモリ90は電子カセッテ10全体の動作を制御するカセッテ制御部92と接続されている。カセッテ制御部92はマイクロコンピュータを含んで構成されており、CPU(中央処理装置)92A、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメモリ92B、HDD(ハードディスク・ドライブ)やフラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部92Cを備えている。
【0069】
カセッテ制御部92には、光源95が接続されている。カセッテ制御部92は光源95の発光を制御することができる。
【0070】
また、カセッテ制御部92には無線通信部94が接続されている。本実施の形態に係る無線通信部94は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間での各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部92は、無線通信部94を介して外部装置と無線通信が可能とされており、コンソールなどの制御装置との間で各種情報の送受信が可能とされている。
【0071】
また、電子カセッテ10には電源部96が設けられており、上述した各種回路や各素子(ゲート線ドライバ80、信号処理部82、画像メモリ90、無線通信部94、カセッテ制御部92、光源95等)は、電源部96から供給された電力によって作動する。電源部96は、電子カセッテ10の可搬性を損なわないように、前述したバッテリ(二次電池)96Aを内蔵しており、充電されたバッテリ96Aから各種回路や各素子へ電力を供給する。なお、図7では、電源部96と各種回路や各素子を接続する配線の図示を省略している。
【0072】
次に、本実施の形態に係る電子カセッテ10の作用を説明する。
【0073】
放射線画像を撮影する際、電子カセッテ10は、図8に示すように、放射線Xを発生させる放射線源としての放射線発生部12と間隔を空けて配置される。このときの放射線発生部12と電子カセッテ10との間は、被検者としての患者14が位置するための撮影位置とされており、放射線画像の撮影が指示されると、放射線発生部12は予め与えられた撮影条件等に応じた放射線量の放射線Xを射出する。放射線発生部12から射出された放射線Xは、撮影位置に位置している患者14を透過することで画像情報を担持した後に電子カセッテ10に照射される。
【0074】
放射線検出器60では、放射線Xの照射に伴って各画素74のセンサ部72に電荷が発生し、発生した電荷が蓄積容量68に蓄積される。これにより、電子カセッテ10に照射された放射線Xに担持されていた画像情報は電荷情報へ変換されて放射線検出器60に保持される。
【0075】
放射線Xが照射されると、電子カセッテ10のカセッテ制御部92は、ゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から1ラインずつ順に各ゲート配線76にオン信号を出力させ、各ゲート配線76に接続された各TFT70を1ラインずつ順にオンさせる。
【0076】
放射線検出器60は、各ゲート配線76に接続された各TFT70を1ラインずつ順にオンされると、1ラインずつ順に各蓄積容量68に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線78に流れ出す。各データ配線78に流れ出した電気信号は信号処理部82でデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ90に記憶される。
【0077】
カセッテ制御部92は、撮影終了後、画像メモリ90に記憶された画像情報を無線通信によりコンソールへ送信する。
【0078】
ところで、放射線検出器60は、各センサ部72の光電変換膜72Cにおいて、不純物準位に電荷が一旦トラップされ、トラップされた電荷が放出されることによって残像を生じる場合がある。そこで、カセッテ制御部92は、撮影を行う際に、光源95を発光させて導光板61を介してTFT基板66の各画素74に緑色の光を照射して放射線検出器60の各画素74のセンサ部72の不純物電位を撮影前に埋めておく光キャリブレーションを行う。
【0079】
ここで、本実施の形態では、残像を消去する際にセンサ部72が感度を有する緑色の光を光源95で発生させ、導光板61を介して放射線検出器60に緑光の光を照射している。このようにセンサ部72に対して緑光の光を照射することにより、光電変換膜72Cの不純物準位を電荷で埋めることができるため、残像を消去することができる。
【0080】
一方、本実施の形態では、導光板61を介して放射線検出器60に緑光の光が照射されることによりTFT70でノイズが発生するが、様々な波長の光を含んだ白色光が照射された場合と比較して、TFT70で発生するノイズ量を少なく抑えることができる。
【0081】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0082】
第2の実施の形態に係る電子カセッテ10の構成、TFT基板66の構成は、上記第1の実施の形態(図1、図3〜図5、図7参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。
【0083】
図9には、第2の実施形態に係る放射線検出器60の構成を模式的に示した断面図が示されている。なお、第1の実施の形態(図2)と同一部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
本実施の形態では、シンチレータ71の材料としてGOSを用い、また、センサ部72の光電変換膜72Cの材料として亜鉛フタロシアニンを用いる。また、本実施の形態では、TFT70の活性層70Bの材料としてアモルファスシリコンを用いる。
【0085】
シンチレータ71は、GOSを用いた場合、放射線が入射すると緑色の光が発生する。
【0086】
シンチレータ71とTFT基板66の間には波長変換フィルタ59が形成されている。波長変換フィルタ59は、TFT基板66の表面に形成されており、その上に接着層69を介してシンチレータ71が接着されている。
【0087】
本実施の形態に係る放射線検出器60では、シンチレータ71で発生した緑色の光を波長変換フィルタ59により赤色の光に変換する。なお、波長変換フィルタ59は、散乱による画質の低下を抑制するため、厚さが50μm未満であることが好ましい。
【0088】
センサ部72は、光電変換膜72Cの材料として亜鉛フタロシアニンを用いた場合、赤色の光に対して感度を有する。
【0089】
すなわち、第2の実施形態に係る放射線検出器60は、シンチレータ71で発生した緑色の光を波長変換フィルタ59により赤色の光に変換してセンサ部72で検出する。
【0090】
また、本実施の形態では、光源95から亜鉛フタロシアニンが感度を有する波長域の光を照射するようにしている。具体的には、光源95で赤色を発生させ、導光板61を介して放射線検出器60に緑色の光を照射する。この場合、光源95自体が赤色の光を発生するものとしてもよく、また、光源95は白色光を発生するがフィルタ等を用いて赤色の光のみを選択的に透過させてもよい。
【0091】
ここで、アモルファスシリコンは、図6に示されるように、緑色の波長域(波長545nm付近)よりも赤色の波長域(波長700nm付近)に対して感度が低くなっている。
【0092】
放射線検出器60では、放射線Xが照射された場合、放射線Xが照射されたことによりシンチレータ71で発生した緑色の光が波長変換フィルタ59により赤色の光に変換されてTFT基板66に照射される。これにより、TFT基板66の各センサ部72は、赤色の光が照射されることにより電荷が発生する。また、TFT基板66は、赤色の波長域に対してアモルファスシリコンの感度が低いため、TFT70で発生するノイズ量を少なく抑えることができる。
【0093】
また、本実施の形態に係る電子カセッテ10は、撮影を行う際に、光源95を発光させて導光板61を介してTFT基板66の各画素74に赤色の光を照射して放射線検出器60の各画素74のセンサ部72の不純物電位を撮影前に埋めておく光キャリブレーションを行う。このようにセンサ部72に対して赤色の光を照射することにより、光電変換膜72Cの不純物準位を電荷で埋めることができるため、残像を消去することができる。
【0094】
一方、本実施の形態では、導光板61を介して放射線検出器60に赤色の光が照射されることによりTFT70でノイズが発生するが、赤色の波長域に対してアモルファスシリコンの感度が低いため、TFT70で発生するノイズ量を少なく抑えることができる。
【0095】
以上、本発明を第1及び第2の実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0096】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0097】
例えば、上記各実施の形態では、可搬型の放射線撮影装置である電子カセッテ10に本発明を適応した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、据置型の放射線撮影装置に適用してもよい。
【0098】
また、上記各実施の形態では、撮影を行う際に、光源95で発生したセンサ部72が感度を有する波長域の光を導光板61を介してTFT基板66の各画素74に照射する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、発光ダイオードや有機EL素子などの発光素子を放射線検出器60のTFT基板66側に対向して配置し、発光素子からセンサ部72が感度を有する波長域の光を直接照射するようにしてもよい。
【0099】
また、上記各実施の形態では、図5に示すように、電子カセッテ10内部にシンチレータ71側が筐体54の撮影面56側と対向するように放射線検出器60を配置した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電子カセッテ10内部にTFT基板66側が筐体54の撮影面56側と対向するように放射線検出器60を配置してもよい。
【0100】
図10には、電子カセッテ10内部にTFT基板66側が筐体54の撮影面56側と対向するように放射線検出器60を配置した場合が示されている。また、図10では、導光板61の代わりに、放射線検出器60のTFT基板66側の面に、放射線の透過率が高く、薄い基板上に有機EL素子などの発光部が設けられた発光パネル120を配置し、発光部からセンサ部72が感度を有する波長域の光を直接照射する。なお、図10では、基板120上の発光部が設けられた領域を識別しやすくするため、層122として示している。
【0101】
ここで、放射線検出器60は、図11に示すように、シンチレータ71が形成された側から放射線が照射されて、当該放射線の入射面の裏面側に設けられたTFT基板66により放射線画像を読み取る、いわゆる裏面読取方式(所謂PSS(Penetration Side Sampling)方式)とされた場合、シンチレータ71の同図上面側(TFT基板66の反対側)でより強く発光し、TFT基板66側から放射線が照射されて、当該放射線の入射面の表面側に設けられたTFT基板66により放射線画像を読み取る、いわゆる表面読取方式(所謂ISS(Irradiation Side Sampling)方式)とされた場合、TFT基板66を透過した放射線がシンチレータ71に入射してシンチレータ71のTFT基板66側がより強く発光する。TFT基板66に設けられた各センサ部72には、シンチレータ71で発生した光により電荷が発生する。このため、放射線検出器60は、表面読取方式とされた場合の方が裏面読取方式とされた場合よりもTFT基板66に対するシンチレータ71の発光位置が近いため、撮影によって得られる放射線画像の分解能が高い。
【0102】
また、光キャリブレーションのために光を照射する照射手段を有機EL素子により構成した場合、有機EL素子では放射線がほとんど吸収されない。このため、本実施の形態に係る放射線検出器60は、表面読取方式により放射線がTFT基板66を透過する場合でも有機EL素子による放射線の吸収量が少ないため、放射線に対する感度の低下を抑えることができる。また、表面読取方式では、放射線がTFT基板66を透過してシンチレータ71に到達するが、TFT基板66の光電変換膜72Cを有機光電変換材料により構成した場合、光電変換膜72Cでの放射線の吸収が殆どなく放射線の減衰を少なく抑えることができるため、表面読取方式に適している。
【0103】
放射線検出器60は、光電変換膜72Cを有機光電変換材料により形成する場合、低温で光電変換膜72Cの成膜が可能であるため、絶縁性基板64としてプラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。これにより、放射線検出器60を、耐荷重性を有しつつ薄く形成できる。これにより、図10に示すように、筐体54の撮影対象物を透過した放射線が照射される撮影面56が設けられた天板部分の放射線が入射する面の反対側の面に、発光パネル120、放射線検出器60の順に積層して取り付けられた場合、筐体54の撮影面56が設けられた天板部分と放射線検出器60との距離を小さく抑えることができる。また、放射線検出器60に耐荷重性を持たせることができるため、放射線検出器60が天板部分からの荷重に耐えられる。
【0104】
また、上記各実施の形態では、放射線としてX線を検出することにより放射線画像を撮影する放射線撮影装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、検出対象とする放射線は、X線の他、ガンマ線、粒子線等いずれであってもよい。
【0105】
その他、上記各実施の形態で説明した構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したり、接続状態等を変更したりすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0106】
10 電子カセッテ(放射線撮影装置)
59 波長変換フィルタ(波長変換層)
60 放射線検出器(撮影パネル)
61 導光板(照射手段)
64 絶縁性基板
71 シンチレータ(波長変換層)
72 センサ部
74 画素
95 光源(照射手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影装置に係り、特に、放射線源から射出されて被検者を透過した放射線により示される放射線画像の撮影を行う放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、X線などの放射線を直接デジタルデータに変換できるFPD(Flat Panel Detector)等の放射線検出器が実用化されており、この放射線検出器を用いて、照射された放射線により表わされる放射線画像を撮影する放射線撮影装置が実用化されている。この放射線検出器を用いた放射線撮影装置は、従来のX線フィルムやイメージングプレートを用いた放射線撮影装置に比べて、即時に画像を確認でき、連続的に放射線画像の撮影を行う透視撮影(動画撮影)も行うことができるといったメリットがある。
【0003】
この種の放射線検出器は、種々のタイプのものが提案されており、例えば、放射線を一度CsI:Tl、GOS(Gd2O2S:Tb)などのシンチレータで光に変換し、変換した光をフォトダイオードなどのセンサ部で電荷に変換して蓄積する間接変換方式等がある。放射線撮影装置では、放射線検出器に蓄積された電荷を電気信号として読み出し、読み出した電気信号をアンプで増幅した後にA/D(アナログ/デジタル)変換部でデジタルデータに変換している。
【0004】
ところで、間接変換方式の放射線検出器は、フォトダイオードなどのセンサ部としてa−Si(アモルファスシリコン)などの半導体が一般的に使われているが、半導体の不純物準位に電荷が一旦トラップされ、トラップされた電荷が放出されることによって残像を生じる場合がある。また、TFT等のスイッチング素子も、半導体を用いて形成されるため、光キャリブレーションのために照射された光により、ノイズが発生する。
【0005】
そこで、スイッチング素子でのノイズの発生を抑制しつつ、残像を消去する技術として、特許文献1には、放射線検出器の基板を光透過性を有する材料で形成すると共に、基板のスイッチング素子部分に遮光部材を配置し、基板側に導光板を配置して基板側から光を照射することにより、放射線検出器の各センサ部の不純物電位を撮影前に埋める共に、遮光部材によりスイッチング素子への光の入射を抑制する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−35773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、ノイズの発生を抑制するためにスイッチング素子部分に遮光部材を設ける必要がある。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、スイッチング素子部分に遮光部材を設けることなく、スイッチング素子でのノイズの発生を抑制しつつ、残像を消去できる放射線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の放射線撮影装置は、光透過性を有する基板の一方の面に、第1波長域の光に対して感度を有し、前記第1波長域の光が照射されることにより電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部に発生した電荷を読み出すために設けられ、前記第1波長域よりも広い波長域の光に応じてノイズが発生するスイッチング素子が形成された画素が複数設けられた撮影パネルと、前記基板の他方の面に対して主に前記第1波長域の光を照射する照射手段と、を備えている。
【0010】
請求項1によれば、撮影パネルは、光透過性を有する基板の一方の面に、第1波長域の光に対して感度を有し、第1波長域の光が照射されることにより電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部に発生した電荷を読み出すために設けられ、第1波長域よりも広い波長域の光に対してノイズが発生するスイッチング素子が形成された画素が複数設けられている。
【0011】
そして、照射手段により、基板の他方の面に対して主に第1波長域の光が照射される。
【0012】
このように、請求項1に記載の発明によれば、光透過性を有する基板の一方の面に、第1波長域の光に対して感度を有するセンサ部、及び第1波長域よりも広い波長域の光に対してノイズが発生するスイッチング素子が形成された画素が複数設けられた撮影パネルの基板の他方の面に対して、残像を消去する際に、照射手段により主に第1波長域の光を照射することにより、スイッチング素子部分に遮光部材を設けることなく、スイッチング素子でのノイズの発生を抑制しつつ、残像を消去できる。
【0013】
なお、本発明は、請求項2記載の発明のように、前記第1波長域の光を、緑色光とし、前記センサ部を、キナクリドン系有機化合物を含んで構成してもよい。
【0014】
また、請求項1記載の発明は、請求項3記載の発明のように、前記撮影パネル上に設けられ、放射線を第2波長域の光に変換する波長変換層と、前記波長変換層と前記撮影パネルの間に形成され、前記第2波長域の光を前記第1波長域の光に変換する波長変換フィルタと、さらに備えてもよい。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、請求項4記載の発明のように、前記第1波長域の光を、赤色光とし、前記センサ部を、亜鉛フタロシアニンを含んで構成してもよい。
【0016】
また、請求項4記載の発明は、請求項5記載の発明のように、前記撮影パネルの各画素で前記センサ部及び前記スイッチング素子が別な層で少なくとも一部が重なるように形成されてもよい。
【0017】
また、本発明は、請求項6記載の発明のように、前記撮影パネルが、撮影対象物を透過した放射線が前記基板側から入射するように配置され、前記照射手段を、前記基板の他方の面に対向して配置され、前記第1波長域の光を発生する有機エレクトロルミネッセンス素子としてもよい。
【0018】
また、本発明は、請求項7記載の発明のように、前記照射手段を、主に前記第1波長域の光を発生する発光部が設けられた発光パネルとし、筐体の撮影対象物を透過した放射線が照射される撮影面が設けられた天板部分の前記放射線が入射する面の反対側の面に、発光パネル、撮影パネルの順に積層して取り付けてもよい。
【0019】
また、本発明は、請求項8記載の発明のように、前記照射手段を、主に前記第1波長域の光を発生する光源と、前記基板の他方の面に対向して配置され、前記光源で発生した光を前記基へ導光する導光板と、を含んで構成してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スイッチング素子部分に遮光部材を設けることなく、スイッチング素子でのノイズの発生を抑制しつつ、残像を消去できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態に係る電子カセッテの内部構成を示す透過斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る放射線検出器及び放射線検出部の構成を模式的に示した断面図である。
【図3】実施の形態に係る放射線検出器の薄膜トランジスタ及びコンデンサの構成を示した断面図である。
【図4】実施の形態に係るTFT基板の構成を示す平面図である。
【図5】実施の形態に係る電子カセッテ内部の構成を示す側面図である。
【図6】アモルファスシリコンとキナクリドンの波長に対する吸収特性を概略的に示すグラフである。
【図7】実施の形態に係る電子カセッテの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図8】放射線画像撮影時における電子カセッテの配置を示す概略図である。
【図9】第2の実施の形態に係る放射線検出器及び放射線検出部の構成を模式的に示した断面図である。
【図10】他の形態に係る電子カセッテ内部の構成を示す側面図である。
【図11】放射線検出器への放射線の表面読取方式と裏面読取方式を説明するための断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、可搬型の放射線撮影装置(以下「電子カセッテ」ともいう。)に適用した場合の形態例について説明する。
【0023】
[第1の実施の形態]
図1には、本実施の形態に係る電子カセッテ10の構成が示されている。
【0024】
同図に示すように、電子カセッテ10は、放射線Xを透過させる材料からなる筐体54を備えており、防水性、密閉性を有する構造とされている。電子カセッテ10は、手術室等で使用されるとき、血液やその他の雑菌が付着するおそれがある。そこで、電子カセッテ10を防水性、密閉性を有する構造として、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの電子カセッテ10を繰り返し続けて使用することができる。
【0025】
筐体54の内部には、撮影の際に被検者と透過した放射線Xが照射される筐体54の照射面56側から順に、被検者を透過した放射線Xによる放射線画像を撮影する放射線検出器60、放射線検出器60の残像を消去するための光を放射線検出器60へ導くための導光板61が配設されている。
【0026】
また、筐体54の内部の一端側には、マイクロコンピュータを含む電子回路及び充電可能で、かつ着脱可能なバッテリ96Aを収容するケース31が配置されている。放射線検出器60、及び電子回路は、ケース31に配置されたバッテリ96Aから供給される電力によって作動する。ケース31内部に収容された各種回路が放射線Xの照射に伴って損傷することを回避するため、ケース31の撮影面56側には鉛板等を配設しておくことが望ましい。なお、本実施の形態に係る電子カセッテ10は、撮影面56の形状が長方形とされた直方体とされており、その長手方向一端部にケース31が配置されている。
【0027】
また、筐体54の外壁の所定位置には、‘レディ状態’,‘データ送信中’といった動作モード、バッテリ96Aの残容量の状態等の電子カセッテ10の動作状態を示す表示を行う表示部56Aが設けられている。なお、本実施の形態に係る電子カセッテ10では、表示部56Aとして、発光ダイオードを適用しているが、これに限らず、発光ダイオード以外の発光素子や、液晶ディスプレイ、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等の他の表示手段としてもよい。
【0028】
図2には、本実施形態に係る放射線検出器60の構成を模式的に示した断面図が示されている。
【0029】
放射線検出器60は、絶縁性基板64に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor、以下「TFT」という)70、及び蓄積容量68が形成されたTFTアクティブマトリクス基板(以下、「TFT基板」という)66を備えている。
【0030】
このTFT基板66上には、入射される放射線を光に変換するシンチレータ71が配置される。
【0031】
シンチレータ71としては、例えば、CsI:Tl、GOS(Gd2O2S:Tb)を用いることができる。なお、シンチレータ71は、これらの材料に限られるものではない。
【0032】
シンチレータ71としては、例えば、以下の表1に示すような組成の材料を用いることができる。表1には、各材料の組成と発光色、ピーク波長が示されている。
【0033】
【表1】
絶縁性基板64としては、光透過性を有し且つ放射線の吸収が少ないものであれば何れでもよく、例えば、ガラス基板、透明セラミック基板、光透過性の樹脂基板を用いることができる。なお、絶縁性基板64は、これらの材料に限られるものではない。
【0034】
TFT基板66には、シンチレータ71によって変換された光が入射されることにより電荷を発生するセンサ部72が形成されている。本実施形態に係るTFT基板66では、TFT70とセンサ部72を別な層で重なるように形成している。これにより、センサ部72でのシンチレータ71からの光の受光面積を大きくすることができる。また、TFT基板66には、TFT基板66上を平坦化するための平坦化層67が形成されている。また、TFT基板66とシンチレータ71との間であって、平坦化層67上には、シンチレータ71をTFT基板66に接着するための接着層69が形成されている。
【0035】
センサ部72は、上部電極72A、下部電極72B、及び該上下の電極間に配置された光電変換膜72Cを有している。
【0036】
上部電極72A、及び下部電極72BはITO(酸化インジウムスズ)やIZO(酸化亜鉛インジウム)などの光透過性の高い材料を用いて形成しており、光透過性を有する。
【0037】
光電変換膜72Cは、シンチレータ71から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。光電変換膜72Cは、光が照射されることにより電荷を発生する材料により形成すればよく、例えば、アモルファスシリコンや有機光電変換材料などにより形成することができる。アモルファスシリコンを含む光電変換膜72Cであれば、幅広い吸収スペクトルを持ち、シンチレータ71による発光を吸収することができる。有機光電変換材料を含む光電変換膜72Cであれば、可視域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ71による発光以外の電磁波が光電変換膜72Cに吸収されることがほとんどなく、X線等の放射線が光電変換膜72Cで吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。
【0038】
有機光電変換材料としては、例えば、キナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えば、キナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、シンチレータ71の材料としてCsI:Tlを用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜72Cで発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。この光電変換膜72Cとして適用可能な有機光電変換材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。なお、光電変換膜72Cは、さらにフラーレン若しくはカーボンナノチューブを含有させて形成してもよい。
【0039】
図3には、本実施の形態に係るTFT基板66に形成されたTFT70及び蓄積容量68の構成が概略的に示されている。
【0040】
絶縁性基板64上には、下部電極72Bに対応して、下部電極72Bに移動した電荷を蓄積する蓄積容量68と、蓄積容量68に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力するTFT70が形成されている。蓄積容量68及びTFT70の形成された領域は、平面視において下部電極72Bと重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素部における蓄積容量68及びTFT70とセンサ部72とが厚さ方向で重なりを有することとなり、少なく面積で蓄積容量68及びTFT70とセンサ部72を配置できる。
【0041】
蓄積容量68は、絶縁性基板64と下部電極72Bとの間に設けられた絶縁膜65Aを貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極72Bと電気的に接続されている。これにより、下部電極72Bで捕集された電荷を蓄積容量68に移動させることができる。
【0042】
TFT70は、ゲート電極70A、ゲート絶縁膜65B、及び活性層(チャネル層)70Bが積層され、さらに、活性層70B上にソース電極70Cとドレイン電極70Dが所定の間隔を開けて形成されている。活性層70Bは、例えば、アモルファスシリコンや非晶質酸化物などにより形成することができる。活性層70Bを構成する非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えば、In−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えば、In−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO3(ZnO)m(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnO4がより好ましい。
【0043】
TFT70の活性層70Bを非晶質酸化物で形成したものとすれば、X線等の放射線を吸収せず、あるいは吸収したとしても極めて微量に留まるため、ノイズの発生を効果的に抑制することができる。
【0044】
ここで、TFT70の活性層70Bを構成する非晶質酸化物や、光電変換膜72Cを構成する有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、絶縁性基板64としては、石英基板、及びガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の可撓性基板を用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば、持ち運び等に有利となる。なお、絶縁性基板64には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
【0045】
アラミドは、200度以上の高温プロセスを適用できるために、透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ITO(indium tin oxide)やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して絶縁性基板64を形成してもよい。
【0046】
バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、かつ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60−70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3−7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、かつフレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて薄く絶縁性基板64を形成できる。
【0047】
図4には、本実施の形態に係るTFT基板66の構成を示す平面図が示されている。
【0048】
TFT基板66には、上述のセンサ部72、蓄積容量68、TFT70と、を含んで構成される画素74が一定方向(図4の行方向)及び一定方向に対する交差方向(図4の列方向)に2次元状に複数設けられている。
【0049】
また、TFT基板66には、一定方向(行方向)に延設され各TFT70をオン・オフさせるための複数本のゲート配線76と、交差方向(列方向)に延設されオン状態のTFT70を介して電荷を読み出すための複数本のデータ配線78が設けられている。
【0050】
放射線検出器60は、平板状で平面視において外縁に4辺を有する四辺形状をしている。具体的には矩形状に形成されている。
【0051】
本実施形態に係る放射線検出器60は、図2に示すように、このようなTFT基板66の表面にシンチレータ71が貼り付けられて形成される。
【0052】
シンチレータ71は、例えば、CsI:Tl等の柱状結晶で形成しようとする場合、蒸着基板73への蒸着によって形成される。このように蒸着によってシンチレータ71を形成する場合、蒸着基板73は、X線の透過率、コストの面からAlの板がよく使用され、蒸着の際のハンドリング性、自重による反り防止、輻射熱による変形等からある程度(数mm程度)の厚みが必要となる。なお、シンチレータ71としてGOSを用いる場合、蒸着基板73を用いずにTFT基板66の表面にGOSを塗布することにより、シンチレータ71を形成してもよい。
【0053】
図5には、第1の実施形態に係る電子カセッテ10内部の構成を示す側面図が示されている。なお、図5では、TFT基板66の画素74が2次元状に複数設けられた撮影領域66Aを識別しやすくするため、撮影領域66Aを層として示している。
【0054】
電子カセッテ10内部には、シンチレータ71側が筐体54の撮影面56側と対向するように放射線検出器60が配置されている。
【0055】
また、放射線検出器60には、TFT基板66のシンチレータ71側と反対側の面に平板状の導光板61が配置されている。
【0056】
導光板61の1つの側面には、光源95が配置されている。導光板61には、光源95からの光が入射する。導光板61は、TFT基板66の画素74が2次元状に複数設けられた矩形状の撮影領域66Aよりも大きいサイズで形成されており、撮影領域66Aを覆うように配置されている。導光板61は、撮影領域66Aの周縁部の画素74まで光源95からの光を導光できる。
【0057】
ここで、本実施の形態では、シンチレータ71の材料としてCsI:Tlを用い、また、センサ部72の光電変換膜72Cの材料としてキナクリドン系有機化合物を用いる。これにより、シンチレータ71で発光する光とセンサ部72の吸収ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜72Cで発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
【0058】
また、本実施の形態では、TFT70の活性層70Bの材料としてアモルファスシリコンを用いる。
【0059】
ところで、アモルファスシリコンは、キナクリドン系有機化合物よりも幅広い波長域の光に対して感度を有している。
【0060】
図6には、アモルファスシリコンとキナクリドンの波長に対する吸収特性が概略的に示されている。
【0061】
このように、アモルファスシリコンは、キナクリドンが感度を有する波長域よりも広い波長域の光に対して感度を有している。このため、センサ部72の光キャリブレーションのため、例えば、放射線検出器60に対して様々な波長の光を含んだ白色光を照射した場合、TFT70の活性層70Bが幅広い波長域の光に対して感度を有しているため、TFT70でノイズが多く発生する。
【0062】
このTFT70でのノイズの発生を抑えるため、本実施の形態では、光源95からキナクリドンが感度を有する波長域の光を照射するようにしている。具体的には、光源95で緑色の光(例えば、ピーク波長545nm)を発生させ、導光板61を介して放射線検出器60に緑色の光を照射する。この場合、光源95自体が緑色の光を発生するものとしてもよく、また、光源95は白色光を発生するがフィルタ等を用いて緑色の光のみを選択的に透過させてもよい。
【0063】
図7には、第1の実施の形態に係る電子カセッテ10の電気系の要部構成を示すブロック図が示されている。
【0064】
放射線検出器60は、上述したように、センサ部72、蓄積容量68、TFT70を備えた画素74がマトリクス状に多数個配置されており、電子カセッテ10への放射線Xの照射に伴ってセンサ部72で発生された電荷は、個々の画素74の蓄積容量68に蓄積される。これにより、電子カセッテ10に照射された放射線Xに担持されていた画像情報は電荷情報へ変換されて放射線検出器60に保持される。
【0065】
また、放射線検出器60の個々のゲート配線76はゲート線ドライバ80に接続されており、個々のデータ配線78は信号処理部82に接続されている。個々の画素74の蓄積容量68に電荷が蓄積されると、個々の画素74のTFT70は、ゲート線ドライバ80からゲート配線76を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、TFT70がオンされた画素74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は、アナログの電気信号としてデータ配線78を伝送されて信号処理部82に入力される。従って、個々の画素74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。
【0066】
信号処理部82は、個々のデータ配線78毎に設けられた増幅器及びサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線78を伝送された電気信号は増幅器で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D(アナログ/デジタル)変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルデータへ変換される。
【0067】
信号処理部82には画像メモリ90が接続されており、信号処理部82のA/D変換器から出力されたデジタルデータは画像メモリ90に順に記憶される。画像メモリ90は複数フレーム分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、放射線検出器60の各画素74のデジタルデータが画像データとして画像メモリ90に順次記憶される。
【0068】
画像メモリ90は電子カセッテ10全体の動作を制御するカセッテ制御部92と接続されている。カセッテ制御部92はマイクロコンピュータを含んで構成されており、CPU(中央処理装置)92A、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメモリ92B、HDD(ハードディスク・ドライブ)やフラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部92Cを備えている。
【0069】
カセッテ制御部92には、光源95が接続されている。カセッテ制御部92は光源95の発光を制御することができる。
【0070】
また、カセッテ制御部92には無線通信部94が接続されている。本実施の形態に係る無線通信部94は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間での各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部92は、無線通信部94を介して外部装置と無線通信が可能とされており、コンソールなどの制御装置との間で各種情報の送受信が可能とされている。
【0071】
また、電子カセッテ10には電源部96が設けられており、上述した各種回路や各素子(ゲート線ドライバ80、信号処理部82、画像メモリ90、無線通信部94、カセッテ制御部92、光源95等)は、電源部96から供給された電力によって作動する。電源部96は、電子カセッテ10の可搬性を損なわないように、前述したバッテリ(二次電池)96Aを内蔵しており、充電されたバッテリ96Aから各種回路や各素子へ電力を供給する。なお、図7では、電源部96と各種回路や各素子を接続する配線の図示を省略している。
【0072】
次に、本実施の形態に係る電子カセッテ10の作用を説明する。
【0073】
放射線画像を撮影する際、電子カセッテ10は、図8に示すように、放射線Xを発生させる放射線源としての放射線発生部12と間隔を空けて配置される。このときの放射線発生部12と電子カセッテ10との間は、被検者としての患者14が位置するための撮影位置とされており、放射線画像の撮影が指示されると、放射線発生部12は予め与えられた撮影条件等に応じた放射線量の放射線Xを射出する。放射線発生部12から射出された放射線Xは、撮影位置に位置している患者14を透過することで画像情報を担持した後に電子カセッテ10に照射される。
【0074】
放射線検出器60では、放射線Xの照射に伴って各画素74のセンサ部72に電荷が発生し、発生した電荷が蓄積容量68に蓄積される。これにより、電子カセッテ10に照射された放射線Xに担持されていた画像情報は電荷情報へ変換されて放射線検出器60に保持される。
【0075】
放射線Xが照射されると、電子カセッテ10のカセッテ制御部92は、ゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から1ラインずつ順に各ゲート配線76にオン信号を出力させ、各ゲート配線76に接続された各TFT70を1ラインずつ順にオンさせる。
【0076】
放射線検出器60は、各ゲート配線76に接続された各TFT70を1ラインずつ順にオンされると、1ラインずつ順に各蓄積容量68に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線78に流れ出す。各データ配線78に流れ出した電気信号は信号処理部82でデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ90に記憶される。
【0077】
カセッテ制御部92は、撮影終了後、画像メモリ90に記憶された画像情報を無線通信によりコンソールへ送信する。
【0078】
ところで、放射線検出器60は、各センサ部72の光電変換膜72Cにおいて、不純物準位に電荷が一旦トラップされ、トラップされた電荷が放出されることによって残像を生じる場合がある。そこで、カセッテ制御部92は、撮影を行う際に、光源95を発光させて導光板61を介してTFT基板66の各画素74に緑色の光を照射して放射線検出器60の各画素74のセンサ部72の不純物電位を撮影前に埋めておく光キャリブレーションを行う。
【0079】
ここで、本実施の形態では、残像を消去する際にセンサ部72が感度を有する緑色の光を光源95で発生させ、導光板61を介して放射線検出器60に緑光の光を照射している。このようにセンサ部72に対して緑光の光を照射することにより、光電変換膜72Cの不純物準位を電荷で埋めることができるため、残像を消去することができる。
【0080】
一方、本実施の形態では、導光板61を介して放射線検出器60に緑光の光が照射されることによりTFT70でノイズが発生するが、様々な波長の光を含んだ白色光が照射された場合と比較して、TFT70で発生するノイズ量を少なく抑えることができる。
【0081】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0082】
第2の実施の形態に係る電子カセッテ10の構成、TFT基板66の構成は、上記第1の実施の形態(図1、図3〜図5、図7参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。
【0083】
図9には、第2の実施形態に係る放射線検出器60の構成を模式的に示した断面図が示されている。なお、第1の実施の形態(図2)と同一部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
本実施の形態では、シンチレータ71の材料としてGOSを用い、また、センサ部72の光電変換膜72Cの材料として亜鉛フタロシアニンを用いる。また、本実施の形態では、TFT70の活性層70Bの材料としてアモルファスシリコンを用いる。
【0085】
シンチレータ71は、GOSを用いた場合、放射線が入射すると緑色の光が発生する。
【0086】
シンチレータ71とTFT基板66の間には波長変換フィルタ59が形成されている。波長変換フィルタ59は、TFT基板66の表面に形成されており、その上に接着層69を介してシンチレータ71が接着されている。
【0087】
本実施の形態に係る放射線検出器60では、シンチレータ71で発生した緑色の光を波長変換フィルタ59により赤色の光に変換する。なお、波長変換フィルタ59は、散乱による画質の低下を抑制するため、厚さが50μm未満であることが好ましい。
【0088】
センサ部72は、光電変換膜72Cの材料として亜鉛フタロシアニンを用いた場合、赤色の光に対して感度を有する。
【0089】
すなわち、第2の実施形態に係る放射線検出器60は、シンチレータ71で発生した緑色の光を波長変換フィルタ59により赤色の光に変換してセンサ部72で検出する。
【0090】
また、本実施の形態では、光源95から亜鉛フタロシアニンが感度を有する波長域の光を照射するようにしている。具体的には、光源95で赤色を発生させ、導光板61を介して放射線検出器60に緑色の光を照射する。この場合、光源95自体が赤色の光を発生するものとしてもよく、また、光源95は白色光を発生するがフィルタ等を用いて赤色の光のみを選択的に透過させてもよい。
【0091】
ここで、アモルファスシリコンは、図6に示されるように、緑色の波長域(波長545nm付近)よりも赤色の波長域(波長700nm付近)に対して感度が低くなっている。
【0092】
放射線検出器60では、放射線Xが照射された場合、放射線Xが照射されたことによりシンチレータ71で発生した緑色の光が波長変換フィルタ59により赤色の光に変換されてTFT基板66に照射される。これにより、TFT基板66の各センサ部72は、赤色の光が照射されることにより電荷が発生する。また、TFT基板66は、赤色の波長域に対してアモルファスシリコンの感度が低いため、TFT70で発生するノイズ量を少なく抑えることができる。
【0093】
また、本実施の形態に係る電子カセッテ10は、撮影を行う際に、光源95を発光させて導光板61を介してTFT基板66の各画素74に赤色の光を照射して放射線検出器60の各画素74のセンサ部72の不純物電位を撮影前に埋めておく光キャリブレーションを行う。このようにセンサ部72に対して赤色の光を照射することにより、光電変換膜72Cの不純物準位を電荷で埋めることができるため、残像を消去することができる。
【0094】
一方、本実施の形態では、導光板61を介して放射線検出器60に赤色の光が照射されることによりTFT70でノイズが発生するが、赤色の波長域に対してアモルファスシリコンの感度が低いため、TFT70で発生するノイズ量を少なく抑えることができる。
【0095】
以上、本発明を第1及び第2の実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0096】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0097】
例えば、上記各実施の形態では、可搬型の放射線撮影装置である電子カセッテ10に本発明を適応した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、据置型の放射線撮影装置に適用してもよい。
【0098】
また、上記各実施の形態では、撮影を行う際に、光源95で発生したセンサ部72が感度を有する波長域の光を導光板61を介してTFT基板66の各画素74に照射する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、発光ダイオードや有機EL素子などの発光素子を放射線検出器60のTFT基板66側に対向して配置し、発光素子からセンサ部72が感度を有する波長域の光を直接照射するようにしてもよい。
【0099】
また、上記各実施の形態では、図5に示すように、電子カセッテ10内部にシンチレータ71側が筐体54の撮影面56側と対向するように放射線検出器60を配置した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電子カセッテ10内部にTFT基板66側が筐体54の撮影面56側と対向するように放射線検出器60を配置してもよい。
【0100】
図10には、電子カセッテ10内部にTFT基板66側が筐体54の撮影面56側と対向するように放射線検出器60を配置した場合が示されている。また、図10では、導光板61の代わりに、放射線検出器60のTFT基板66側の面に、放射線の透過率が高く、薄い基板上に有機EL素子などの発光部が設けられた発光パネル120を配置し、発光部からセンサ部72が感度を有する波長域の光を直接照射する。なお、図10では、基板120上の発光部が設けられた領域を識別しやすくするため、層122として示している。
【0101】
ここで、放射線検出器60は、図11に示すように、シンチレータ71が形成された側から放射線が照射されて、当該放射線の入射面の裏面側に設けられたTFT基板66により放射線画像を読み取る、いわゆる裏面読取方式(所謂PSS(Penetration Side Sampling)方式)とされた場合、シンチレータ71の同図上面側(TFT基板66の反対側)でより強く発光し、TFT基板66側から放射線が照射されて、当該放射線の入射面の表面側に設けられたTFT基板66により放射線画像を読み取る、いわゆる表面読取方式(所謂ISS(Irradiation Side Sampling)方式)とされた場合、TFT基板66を透過した放射線がシンチレータ71に入射してシンチレータ71のTFT基板66側がより強く発光する。TFT基板66に設けられた各センサ部72には、シンチレータ71で発生した光により電荷が発生する。このため、放射線検出器60は、表面読取方式とされた場合の方が裏面読取方式とされた場合よりもTFT基板66に対するシンチレータ71の発光位置が近いため、撮影によって得られる放射線画像の分解能が高い。
【0102】
また、光キャリブレーションのために光を照射する照射手段を有機EL素子により構成した場合、有機EL素子では放射線がほとんど吸収されない。このため、本実施の形態に係る放射線検出器60は、表面読取方式により放射線がTFT基板66を透過する場合でも有機EL素子による放射線の吸収量が少ないため、放射線に対する感度の低下を抑えることができる。また、表面読取方式では、放射線がTFT基板66を透過してシンチレータ71に到達するが、TFT基板66の光電変換膜72Cを有機光電変換材料により構成した場合、光電変換膜72Cでの放射線の吸収が殆どなく放射線の減衰を少なく抑えることができるため、表面読取方式に適している。
【0103】
放射線検出器60は、光電変換膜72Cを有機光電変換材料により形成する場合、低温で光電変換膜72Cの成膜が可能であるため、絶縁性基板64としてプラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。これにより、放射線検出器60を、耐荷重性を有しつつ薄く形成できる。これにより、図10に示すように、筐体54の撮影対象物を透過した放射線が照射される撮影面56が設けられた天板部分の放射線が入射する面の反対側の面に、発光パネル120、放射線検出器60の順に積層して取り付けられた場合、筐体54の撮影面56が設けられた天板部分と放射線検出器60との距離を小さく抑えることができる。また、放射線検出器60に耐荷重性を持たせることができるため、放射線検出器60が天板部分からの荷重に耐えられる。
【0104】
また、上記各実施の形態では、放射線としてX線を検出することにより放射線画像を撮影する放射線撮影装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、検出対象とする放射線は、X線の他、ガンマ線、粒子線等いずれであってもよい。
【0105】
その他、上記各実施の形態で説明した構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したり、接続状態等を変更したりすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0106】
10 電子カセッテ(放射線撮影装置)
59 波長変換フィルタ(波長変換層)
60 放射線検出器(撮影パネル)
61 導光板(照射手段)
64 絶縁性基板
71 シンチレータ(波長変換層)
72 センサ部
74 画素
95 光源(照射手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する基板の一方の面に、第1波長域の光に対して感度を有し、前記第1波長域の光が照射されることにより電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部に発生した電荷を読み出すために設けられ、前記第1波長域よりも広い波長域の光に応じてノイズが発生するスイッチング素子が形成された画素が複数設けられた撮影パネルと、
前記基板の他方の面に対して主に前記第1波長域の光を照射する照射手段と、
を備えた放射線撮影装置。
【請求項2】
前記第1波長域の光を、緑色光とし、
前記センサ部は、キナクリドン系有機化合物を含んで構成された
請求項1記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記撮影パネル上に設けられ、放射線を第2波長域の光に変換する波長変換層と、
前記波長変換層と前記撮影パネルの間に形成され、前記第2波長域の光を前記第1波長域の光に変換する波長変換フィルタと、
をさらに備えた請求項1記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記第1波長域の光を、赤色光とし、
前記センサ部は、亜鉛フタロシアニンを含んで構成された
請求項3記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記撮影パネルは、各画素で前記センサ部及び前記スイッチング素子が別な層で少なくとも一部が重なるように形成された
請求項1〜請求項4の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記撮影パネルは、撮影対象物を透過した放射線が前記基板側から入射するように配置され、
前記照射手段を、前記基板の他方の面に対向して配置され、前記第1波長域の光を発生する有機エレクトロルミネッセンス素子とした
請求項1〜請求項5の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記照射手段は、主に前記第1波長域の光を発生する発光部が設けられた発光パネルとし、
筐体の撮影対象物を透過した放射線が照射される撮影面が設けられた天板部分の前記放射線が入射する面の反対側の面に、発光パネル、撮影パネルの順に積層して取り付けられた
請求項1〜請求項6の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記照射手段は、
主に前記第1波長域の光を発生する光源と、
前記基板の他方の面に対向して配置され、前記光源で発生した光を前記基へ導光する導光板と、
を含んで構成された請求項1〜請求項6の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項1】
光透過性を有する基板の一方の面に、第1波長域の光に対して感度を有し、前記第1波長域の光が照射されることにより電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部に発生した電荷を読み出すために設けられ、前記第1波長域よりも広い波長域の光に応じてノイズが発生するスイッチング素子が形成された画素が複数設けられた撮影パネルと、
前記基板の他方の面に対して主に前記第1波長域の光を照射する照射手段と、
を備えた放射線撮影装置。
【請求項2】
前記第1波長域の光を、緑色光とし、
前記センサ部は、キナクリドン系有機化合物を含んで構成された
請求項1記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記撮影パネル上に設けられ、放射線を第2波長域の光に変換する波長変換層と、
前記波長変換層と前記撮影パネルの間に形成され、前記第2波長域の光を前記第1波長域の光に変換する波長変換フィルタと、
をさらに備えた請求項1記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記第1波長域の光を、赤色光とし、
前記センサ部は、亜鉛フタロシアニンを含んで構成された
請求項3記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記撮影パネルは、各画素で前記センサ部及び前記スイッチング素子が別な層で少なくとも一部が重なるように形成された
請求項1〜請求項4の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記撮影パネルは、撮影対象物を透過した放射線が前記基板側から入射するように配置され、
前記照射手段を、前記基板の他方の面に対向して配置され、前記第1波長域の光を発生する有機エレクトロルミネッセンス素子とした
請求項1〜請求項5の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記照射手段は、主に前記第1波長域の光を発生する発光部が設けられた発光パネルとし、
筐体の撮影対象物を透過した放射線が照射される撮影面が設けられた天板部分の前記放射線が入射する面の反対側の面に、発光パネル、撮影パネルの順に積層して取り付けられた
請求項1〜請求項6の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記照射手段は、
主に前記第1波長域の光を発生する光源と、
前記基板の他方の面に対向して配置され、前記光源で発生した光を前記基へ導光する導光板と、
を含んで構成された請求項1〜請求項6の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−93259(P2012−93259A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241346(P2010−241346)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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