説明

放射線検出素子、放射線画像検出パネル、及び放射線画像撮像装置

【課題】端部(胸壁側)においても解像度の高い画像を撮影できる放射線検出素子等を提供する。
【解決手段】平面視したとき長方形の放射線検出素子10にマトリックス配置された複数の画素20各々の形状を、胸壁側に平行する方向において長く、それと交差する方向である奥行き方向において短い画素形状(長方形)とする。また、放射線検出素子10の一方の長辺側にスキャン信号制御部、信号増幅部等の外部回路を設けず、その長辺側が被検者の胸壁側となるように構成することで、胸壁側での撮像欠損をなくすとともに、奥行き方向の分解能を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出素子、放射線画像検出パネル、及び放射線画像撮像装置に関し、特に乳房X線撮影(マンモグラフィ)に適した放射線検出素子、放射線画像検出パネル、及び放射線画像撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野では、放射線画像撮像装置の放射線検出素子として、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリックス基板上にX線感応層を配置し、X線情報を直接、デジタルデータに変換できるFPD(Flat Panel Detector)が使用されている。放射線検出素子は、例えば、複数の走査配線と複数の信号配線とが互いに交差して配設され、走査配線及び信号配線の各交差部に対応して画素がマトリクス状に設けられている。そして、これら複数の走査配線及び複数の信号配線は、放射線検出素子の周辺部において外部回路(例えば、アンプICやゲートIC)に接続される。
【0003】
一方、FPDの分解能を向上させるには、放射線検出素子の画素サイズを小さくすることが有効である。分解能及び感度の向上を実現するため、画素の配置をX・Y方向に半ピッチずらし、生成された画像情報に基づいて画素間補間処理を行う光検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、画素の形状を六角形にして、それらをハニカム状に配列することで、分解能の向上とS/Nを維持するとともに、光の利用率向上を図る装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−255049号公報
【特許文献2】特開2006−29839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療診断を目的とした画像撮影を行なう装置として、例えば、乳がんの早期発見のため、被検者(患者)の乳房のX線撮影を行う乳房X線撮影(マンモグラフィ)装置は、可能な限り被検者の胸壁側を撮影したいという要求があるので、放射線検出素子の胸壁側に上述した外部回路を配置することはできない、という問題がある。また、マンモグラフィ装置における乳房撮影の主たる目的は乳癌の発見であり、微小石灰化を描出するために画素形状を単に六角形にしたり、あるいは画素サイズを小さくしただけでは、外部回路と放射線検出素子との接続が困難になる、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、放射線検出素子等において、放射線検出素子の端部においても解像度の高い画像を撮影することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の放射線検出素子は、互いに隣接しながら2次元状に配列された同じ大きさの複数の画素からなり、被検者の撮影対象部位を透過した放射線を検出する放射線検出部と、前記複数の画素各々に設けられたスイッチ素子のスイッチング制御を行う信号を伝送する複数のスキャン配線と、前記スキャン配線と交差して配され、前記スイッチ素子によって読み出された電気信号を伝送する複数のデータ配線と、を備え、前記放射線検出部を、対向する一対の辺が対向する他の一対の辺よりも長い形状とし、前記複数の画素各々を該放射線検出部の短辺方向に短く該放射線検出部の長辺方向に長い形状としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の放射線画像検出素子によれば、上記放射線画像検出素子において、前記複数の画素各々が長方形であり、隣接する該画素の長辺どうしが前記放射線検出部の長辺方向において互いに接するとともに、隣接する該画素の短辺どうしが該放射線検出部の短辺方向において互いに接するように配置されている。
【0009】
また、請求項3に記載の放射線検出素子によれば、上記放射線画像検出素子において、前記複数の画素各々が長方形であり、隣接する該画素の長辺どうしが前記放射線検出部の長辺方向において互いに接し、隣接する該画素の短辺どうしが該放射線検出部の短辺方向において互いに接するように配列され、かつ、該放射線検出部の長辺に平行する方向の複数の画素からなる複数の画素行について、隣接する該画素行の各画素が該放射線検出部の短辺に平行する方向に交互に配列されるとともに該放射線検出部の長辺に平行する方向に互いに配列ピッチの1/2だけずれるように配置されている。
【0010】
また、請求項4に記載の放射線検出素子によれば、上記放射線画像検出素子において、前記複数の画素各々が、正六角形の6辺のうち対向する任意の2辺が前記放射線検出部の短辺方向に平行となった状態で該正六角形を該放射線検出部の短辺方向に潰した扁平六角形であり、隣接する該扁平六角形の画素の辺どうしが互いに接しながら該画素の画素幅の長い方が前記放射線検出部の長辺に平行し、画素幅の短い方が該放射線検出部の短辺に平行する方向にあり、かつ、該放射線検出部の長辺に平行する方向の複数の画素からなる複数の画素行について、隣接する該画素行の各画素が該放射線検出部の短辺に平行する方向に交互に配列されるとともに、隣接する画素間に対応させて互いに配列ピッチの1/2だけずれるように配置されている。
【0011】
さらに、請求項5に記載の放射線検出素子によれば、上記放射線画像検出素子において、前記複数の画素各々が、正六角形の6辺のうち対向する任意の2辺が前記放射線検出部の長辺方向に平行となった状態で該正六角形を該放射線検出部の短辺方向に潰した扁平六角形であり、隣接する該扁平六角形の画素の辺どうしが互いに接しながら該画素の画素幅の長い方が前記放射線検出部の長辺に平行し、画素幅の短い方が該放射線検出部の短辺に平行する方向にあり、かつ、該放射線検出部の短辺に平行する方向の複数の画素からなる複数の画素列について、隣接する該画素列の各画素が該放射線検出部の長辺に平行する方向に交互に配列されるとともに、隣接する画素間に対応させて互いに配列ピッチの1/2だけずれるように配置されている。
【0012】
また、請求項6に記載の放射線検出素子は、前記撮影対象部位が被検者の乳房であり、前記放射線検出部の短辺方向に平行する方向が該被検者の胸壁側から乳房先までの奥行き方向として該放射線検出部により乳房X線撮影を行う。
【0013】
請求項7に記載の放射線検出素子は、前記放射線検出部が前記放射線の照射を受けて電荷を発生する半導体膜を有し、該電荷が前記複数の画素各々に設けられた蓄積容量に蓄積されるとともに、前記スイッチ素子により該蓄積容量に蓄積された電荷が読み出される。
【0014】
また、請求項8に記載の放射線検出素子は、前記放射線検出部は照射された前記放射線を可視光に変換するシンチレータを有し、該変換された可視光が半導体層で電荷に変換された後、前記スイッチ素子により該電荷に応じた電気信号を出力する。
【0015】
また、請求項9に記載の放射線検出素子は、上記放射線検出素子において、前記複数のスキャン配線を介して、前記複数の画素各々に設けられたスイッチ素子のスイッチング制御を行う第1の外部回路と、前記複数のデータ配線を伝送された前記電気信号に対して所定の信号処理を施す第2の外部回路と、をさらに備え、前記第1の外部回路と前記第2の外部回路のうちいずれか一方の外部回路を、該放射線検出部の2つの短辺側に配置し、他方の外部回路を該放射線検出部の2つの長辺側のうち一方の長辺側に配置されている。
【0016】
請求項10に記載の放射線検出素子によれば、前記複数のスキャン配線又は前記複数のデータ配線が、前記放射線検出部の2つの短辺側に配置された前記第1の外部回路又は前記第2の外部回路と該放射線検出部との間を1本ずつ交互に配されている。
【0017】
また、請求項11に記載の放射線画像検出パネルは、互いに隣接しながら2次元状に配列された同じ大きさの複数の画素からなり、被検者の撮影対象部位を透過した放射線を検出する放射線検出部と、前記複数の画素各々に設けられたスイッチ素子のスイッチング制御を行う信号を伝送する複数のスキャン配線と、前記スキャン配線と交差して配され、前記スイッチ素子によって読み出された電気信号を伝送する複数のデータ配線と、を備え、前記放射線検出部を、対向する一対の辺が対向する他の一対の辺よりも長い形状とし、前記複数の画素各々を該放射線検出部の短辺方向に短く該放射線検出部の長辺方向に長い形状とした放射線検出素子を配したことを特徴とする。
【0018】
また、請求項12に記載の放射線画像検出パネルは、互いに隣接しながら2次元状に配列された同じ大きさの複数の画素からなり、被検者の撮影対象部位を透過した放射線を検出する放射線検出部と、前記複数の画素各々に設けられたスイッチ素子のスイッチング制御を行う第1の外部回路と、前記第1の外部回路からの前記スイッチング制御のための信号を伝送する複数のスキャン配線と、前記スキャン配線と交差して配され、前記スイッチ素子によって読み出された電気信号を伝送する複数のデータ配線と、前記複数のデータ配線を伝送された前記電気信号に対して所定の信号処理を施す第2の外部回路と、を備え、前記放射線検出部を、対向する一対の辺が対向する他の一対の辺よりも長い形状とし、前記複数の画素各々を該放射線検出部の短辺方向に短く該放射線検出部の長辺方向に長い形状とするとともに、前記第1の外部回路と前記第2の外部回路のうちいずれか一方の外部回路を、該放射線検出部の2つの短辺側に配置し、他方の外部回路を該放射線検出部の2つの長辺側のうち一方の長辺側に配置した放射線検出素子を配したことを特徴とする。
【0019】
また、請求項13に記載の放射線画像撮像装置は、互いに隣接しながら2次元状に配列された同じ大きさの複数の画素からなり、被検者の撮影対象部位を透過した放射線を検出する放射線検出部と、前記複数の画素各々に設けられたスイッチ素子のスイッチング制御を行う信号を伝送する複数のスキャン配線と、前記スキャン配線と交差して配され、前記スイッチ素子によって読み出された電気信号を伝送する複数のデータ配線と、を備え、前記放射線検出部を、対向する一対の辺が対向する他の一対の辺よりも長い形状とし、前記複数の画素各々を該放射線検出部の短辺方向に短く該放射線検出部の長辺方向に長い形状とした放射線検出素子を配した放射線画像検出パネルにより放射線画像を撮像することを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の放射線画像撮像装置は、互いに隣接しながら2次元状に配列された同じ大きさの複数の画素からなり、被検者の撮影対象部位を透過した放射線を検出する放射線検出部と、前記複数の画素各々に設けられたスイッチ素子のスイッチング制御を行う第1の外部回路と、前記第1の外部回路からの前記スイッチング制御のための信号を伝送する複数のスキャン配線と、前記スキャン配線と交差して配され、前記スイッチ素子によって読み出された電気信号を伝送する複数のデータ配線と、前記複数のデータ配線を伝送された前記電気信号に対して所定の信号処理を施す第2の外部回路と、を備え、前記複数の画素各々の形状を前記放射線検出部の短辺方向に短く、該放射線検出部の長辺方向に長い形状とするとともに、前記第1の外部回路と前記第2の外部回路のうちいずれか一方の外部回路を、該放射線検出部の2つの短辺側に配置し、他方の外部回路を該放射線検出部の2つの長辺側のうち一方の長辺側に配置した放射線検出素子を配した放射線画像検出パネルにより放射線画像を撮像することを特徴とする。
【0021】
このように、本発明によれば、放射線検出素子、放射線画像検出パネル、及び放射線画像撮像装置において、放射線検出素子の端部側においても解像度の高い画像を撮影でき、特にマンモグラフィ用途として、乳房の付根部分(胸壁側)までX線が到達するので、撮影画像に欠損が生じないという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮像装置の構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る放射線画像撮像装置の放射線検出素子の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮像装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る放射線画像撮像装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る放射線画像撮像装置の構成を示す図である。
【図6】変形例に係る放射線画像撮像装置の構成を示す図である。
【図7】乳房のX線診断装置(マンモグラフィ装置)の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、放射線画像撮像装置100は、乳房のX線診断装置であるマンモグラフィ用のFPD(Flat Panel Detector)である。また、以下の実施形態では、放射線を直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出素子に本発明を適用した場合について説明する。
【0024】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮像装置100の構成を示している。図1に示すように、本実施形態に係る放射線画像撮像装置100は、複数の画素20からなる放射線検出素子10と、各複数の画素内のTFTスイッチをON/OFFするためのスキャン信号をスキャン配線に出力するスキャン信号制御部(ゲートICともいう)35a,35bと、各複数の画素内の電荷蓄積容量に蓄積された電荷を読み出すためにデータ配線より伝送された電荷信号を増幅する信号増幅部45と、信号増幅部45で増幅された電荷信号を不図示のA/D変換器によってデジタル画像データに変換する等の信号処理を行う信号処理部25と、信号処理部25で変換されたデジタル画像データを記憶する画像メモリ90とを備える。
【0025】
本実施形態に係る放射線画像撮像装置100の放射線検出素子10は、平面視したとき各々が長方形の複数の画素20が、互いに隣接しながら2次元状にマトリックス配置され、図1において長辺A、及び短辺Bで示すように、全体として、例えば、長方形の画素領域15を構成している。放射線画像撮像装置100の分解能を向上させるには、放射線検出素子10を構成する画素のサイズを小さくすることが有効であり、特に、放射線を吸収して電荷に変換する光電変換層にセレン(Se)を使用した直接変換方式の放射線検出素子では、画素サイズを小さくすることがそのまま分解能の向上に寄与する。そこで、本実施形態では、複数の画素20の各々の形状が、正方形を図1の左右方向(放射線検出素子10の短辺方向)につぶした長方形、すなわち、放射線検出素子10の胸壁側に平行する方向において画素20の長さが長く、それと交差する方向において短い長方形となっている。
【0026】
具体的には、各画素20は、放射線検出素子10の長辺A側において、辺31の寸法aが、例えば75μmであり、短辺B側において、辺33の寸法bが、例えば50μmとなっていて、辺31が辺33よりも長い形状(長方形)を有している。また、ここでは、辺31の寸法aと辺33の寸法bが整数比となっている。なお、図示は省略するが、各画素20において電荷を収集する画素電極も、各画素と同じ形状である。
【0027】
ところで、乳房のX線診断装置(マンモグラフィ)では、放射線画像検出器が内蔵された撮影台に被検者の乳房を載置した状態で、圧迫板によって乳房を押圧し、圧迫板側から乳房に放射線(X線)を照射して、その乳房を透過した放射線を撮像媒体で受光することにより、乳房の放射線画像を撮影するのが一般的な方法である。
【0028】
図7は、乳房のX線診断装置(マンモグラフィ装置)の一例を示すブロック図である。図7に示すマンモグラフィ装置50は、装置全体を制御する制御部51と、放射線源54を制御する放射線源制御部52と、被写体である乳房60を押圧する圧迫板65を、図中の矢印方向に変位させる圧迫板駆動制御部53と、放射線検出器63を制御し、その放射線検出器63で検出された放射線画像を表示操作部57等に送信する検出器制御部55とを備える。
【0029】
圧迫板65は、撮影台61に対して乳房60を圧迫し、保持する。放射線源制御部52には、放射線源54より乳房60に照射する放射線の線量を規定する管電流、照射時間等の撮影条件が設定される。また、表示操作部57は、被写体(乳房60)の撮影部位、撮影方向等の撮影情報が設定可能であるとともに、これらの撮影情報を表示する。
【0030】
マンモグラフィー用途の放射線画像撮像装置の場合、微小石灰化を高精細に撮像したいという要求がある。等方的に高精細に撮像するのが望ましいが、一方向だけを高精細に撮像しても効果が認められる。胸壁側から、被写体である乳房の先までの奥行き方向を高精細に撮像することが可能であり、各画素20の上記奥行き方向の辺33を、胸壁側と平行する方向の辺31よりも短くすることで、胸壁側から乳房先までの奥行き方向を高解像度で余すことなく撮影できる。また、上記のように、辺の寸法aとbを整数比とすることで、得られた画像データを正方形マトリックスデータに画像変換することが容易になる。さらには、放射線画像の画素情報を2以上の画素ごとに1つの画素としてまとめる、つまり、複数画素を同時に読み込んで、それらの画素値を加算して処理する、いわゆるビニング処理が容易になる。
【0031】
本実施形態に係る放射線画像撮像装置100は、放射線画像撮像装置100をマンモグラフィ装置として使用するため、放射線検出素子10の一方の長辺側(図1では左側の一辺側A)には、スキャン信号制御部、信号増幅部等の外部回路を一切、設けず、長辺側Aが被検者の胸壁側となるように構成されている。すなわち、放射線検出素子10は、それを平面視したとき、長辺の一辺側(A側)の側面を胸壁端面とし、この胸壁端面を被検者の胸壁に当接して使用する。このように、外部回路を設けない一辺側において、検出領域15を放射線検出素子10の基板の端部に近づけることができる。その結果、放射線検出素子10の基板の端部間際まで検出領域15を持ってくることができ、マンモグラフィ用途の放射線画像撮像装置100によって、検出領域15が基板端部に近いほど乳房の付け根に近い部分まで撮影できる。
【0032】
放射線検出素子10の各画素20は、不図示の放射線源(X線源)より照射された放射線(X線)を受けて電荷を発生するセンサ部103と、そのセンサ部103で発生した電荷を蓄積する電荷蓄積容量5と、電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を読み出すための薄膜トランジスタ4(TFTスイッチともいう)とを含んで構成される。また、放射線検出素子10には、個々の画素のTFTスイッチ4をON/OFFするための信号経路である複数のスキャン配線101が一定方向(図1において縦方向)に延設され、電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を読み出すため信号経路である複数のデータ配線3が、スキャン配線101と直交するように横方向に延設されている。ここでは、検出領域15を上下方向から挟み込むようにスキャン信号制御部35a,35bが配され、複数のスキャン配線101が1本ずつ交互にスキャン信号制御部35aとスキャン信号制御部35bとに接続されている。
【0033】
さらに、電荷蓄積容量5の一方の電極には、図1において部分的に示すように、図中の左右方向に延設された蓄積容量配線(共通グランド配線ともいう)が接続されている。なお、放射線検出素子10は、後述するようにアモルファスセレン等の放射線−電荷変換材料を用いて、放射線を電荷へ直接変換する構成をとる。また、電荷蓄積容量5及びTFTスイッチ4を覆うように光電変換層6(図2参照)が設けられている。光電変換層6には、例えば半導体層を用いる。
【0034】
放射線画像撮像装置100では、個々のデータ配線3より伝送された電荷信号が、信号増幅部45内において個々のデータ配線3に対応して配された増幅器(アンプ)43a,43b…43gで増幅される。増幅された電荷信号は、信号処理部25へ入力される。信号処理部25では、各データ配線3を介して入力された電気信号を検出するため、上記のように増幅された電荷信号をサンプルホールド回路(不図示)に保持する。個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号は、順にマルチプレクサ(不図示)へ入力された後、不図示のA/D変換器(不図示)によってデジタル画像データに変換される。
【0035】
さらに、信号処理部25は、スキャン信号制御部35a,35bに信号検出のタイミングを示す制御信号を出力する。その結果、スキャン信号制御装置35a,35bは、信号処理部25からの制御信号を受けて、スキャン配線101にTFTスイッチ4をON/OFFするための信号を出力する。なお、信号処理部25は、上述したビニング処理のために複数画素の信号電荷を積算して読み出す、不図示のビニング機能部を有する。
【0036】
また、図1に示すように、信号処理部25には画像メモリ90が接続されており、上述したA/D変換器から出力されたデジタル画像データは、この画像メモリ90に順に記憶される。画像メモリ90は、例えば、撮影された放射線画像を複数フレーム分のデジタル画像データとして記憶する。
【0037】
放射線検出素子10を用いて放射線画像撮像装置100で放射線画像を撮影する場合、放射線(X線)が照射される間、各スキャン配線101に対してOFF信号を出力して各TFTスイッチ4をオフにして、後述する半導体層に発生した電荷を各電荷蓄積容量5に蓄積する。そして、画像を読み出す場合には、各スキャン配線101に対して1ラインずつ順にON信号を出力して各TFTスイッチ4をオンにして、各電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を電気信号として読み出す。読み出された電気信号がデジタルデータに変換されることにより、撮像対象部位(マンモグラフィ装置の場合、被検者の乳房)の放射線画像を得る。
【0038】
図2は、放射線検出素子10の構造を示す断面図である。放射線検出素子10は、絶縁性の基板1上にゲート配線層として、ゲート電極2、スキャン配線101、蓄積容量下部電極14が形成された構造になっている。スキャン配線101は、各々が複数の画素からなる複数の画素列(図1に示すように、縦方向に連続する複数画素で構成される)に対して1本ずつ配され、各画素20に形成されたゲート電極2に接続されている。このゲート電極2のためのゲート配線層は、例えば、AlあるいはCu、又はAlあるいはCuを主体とした積層膜を用いて形成されている。
【0039】
また、ゲート配線層上には、一面に絶縁膜15Aが形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4におけるゲート絶縁膜として作用する。この絶縁膜15Aは、例えば、SiN等からなっており、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜法により形成される。さらに、絶縁膜15A上のゲート電極2の上には、半導体活性層8が島状に形成されている。この半導体活性層8は、TFTスイッチ4のチャネル部であり、例えば、アモルファスシリコン膜からなる。
【0040】
これらゲート電極2等の上層には、ソース電極9、及びドレイン電極13が形成されている。ソース電極9及びドレイン電極13が形成された配線層には、ソース電極9、ドレイン電極13とともに、データ配線3が形成されている。また、絶縁膜15A上の、蓄積容量下部電極14に対応する位置に蓄積容量上部電極16が形成されている。ドレイン電極13は蓄積容量上部電極16に接続されている。データ配線3は、各画素列の画素20に形成されたソース電極9に接続されている。
【0041】
図2に示すソース電極9、ドレイン電極13、信号配線3、及び蓄積容量上部電極16が形成された配線層(ソース配線層ともいう)は、例えば、AlあるいはCu、又はAlあるいはCuを主体とした積層膜を用いて形成される。ソース電極9及びドレイン電極13と半導体活性層8との間には、不純物添加アモルファスシリコン等による不純物添加半導体層(不図示)が形成されている。なお、TFTスイッチ4は、後述する下部電極11により収集、蓄積される電荷の極性によってソース電極9とドレイン電極13が逆になる。
【0042】
ソース配線層を覆い、基板1上の画素が設けられた領域のほぼ全面(ほぼ全領域)には、TFT保護膜層15Bが形成されている。このTFT保護膜層15Bは、例えば、SiN等からなり、例えば、CVD成膜法により形成される。そして、このTFT保護膜層15B上には、塗布型の層間絶縁膜12が形成されている。この層間絶縁膜12は、低誘電率(比誘電率ε=2〜4)の感光性の有機材料(例えば、ポジ型感光性アクリル系樹脂:メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるベースポリマーに、ナフトキノンジアジド系ポジ型感光剤を混合した材料等)により1〜4μmの膜厚で形成されている。
【0043】
本実施の形態に係る放射線画像撮像装置100の放射線検出素子10では、この層間絶縁膜12によって層間絶縁膜12上層と下層に配置される金属間の容量を低く抑えている。また、層間絶縁膜12を形成する上述した材料は、一般的に平坦化膜としての機能も有しており、下層の段差が平坦化される効果も有する。放射線検出素子10では、この層間絶縁膜12及びTFT保護膜層15Bの蓄積容量上部電極16と対向する位置にコンタクトホール17が形成されている。
【0044】
図2に示すように、層間絶縁膜12上には、各画素20毎に、各々コンタクトホール17を埋めつつ、画素領域を覆うようにセンサ部103の下部電極11が形成されている。この下部電極11は、非晶質透明導電酸化膜(ITO)からなり、コンタクトホール17を介して蓄積容量上部電極16と接続されている。その結果、下部電極11とTFTスイッチ4とが、蓄積容量上部電極16を介して電気的に接続されている。
【0045】
下部電極11上であって基板1上の画素20が設けられた画素領域のほぼ全面には、光電変換層6が一様に形成されている。この光電変換層6は、X線等の放射線が照射されることにより、内部に電荷(電子−正孔)を発生する。つまり、光電変換層6は導電性を有し、放射線による画像情報を電荷情報に変換するためのものであり、例えば、セレンを主成分とする膜厚100〜1000μmの非晶質のa−Se(アモルファスセレン)からなる。ここで、主成分とは、50%以上の含有率を有することを意味する。光電変換層6上には、上部電極7が形成されている。この上部電極7は、図示しないバイアス電源に接続されており、そのバイアス電源からバイアス電圧(例えば、数kV)が供給されている。上述した複数のスキャン配線101、複数のデータ配線3、及びスイッチ素子4は、光電変換層66からなるセンサ部103の下層側に配されている。
【0046】
次に、本実施形態に係る放射線画像撮像装置100の動作について説明する。上述した上部電極7と蓄積容量下部電極14との間にバイアス電圧を印加した状態で、光電変換層6にX線が照射されると、光電変換層6内に電荷(電子−正孔対)が発生する。光電変換層6と電荷蓄積容量5は、電気的に直列に接続された構造となっているため、光電変換層6内に発生した電子は+(プラス)電極側に、正孔は−(マイナス)電極側に移動する。画像検出時には、スキャン信号制御部35a,35bから全てのスキャン配線101に対してOFF信号(0V)が出力され、TFTスイッチ4のゲート電極2に負バイアスが印加される。これにより、各TFTスイッチ4がOFF状態に保持される。その結果、光電変換層6内に発生した電子は下部電極11により収集されて、電荷蓄積容量5に蓄積される。光電変換層6は、照射された放射線量に応じた電荷量を発生するので、その放射線が担持した画像情報に応じた電荷が各画素の電荷蓄積容量5に蓄積される。なお、上部電極7と蓄積容量下部電極14との間に上記数kVの電圧が印加されることとの関係から、光電変換層6で形成される容量に対して、電荷蓄積容量5を大きくとる必要がある。
【0047】
一方、画像の読出時には、スキャン信号制御部35a,35bより各スキャン配線101に対して1本ずつ、順にON信号が出力され、TFTスイッチ4のゲート電極2に、スキャン配線101を介して順次、ON信号(例えば、電圧が+10〜20Vの信号)が印加される。これにより、スキャン配線方向の各画素列の各画素20のTFTスイッチ4が1列ずつ順次、ONとなり、1列ずつ、各画素20の電荷蓄積容量5に蓄積された電荷量に応じた電気信号がデータ配線3に流れ出す。各データ配線3に流れた電気信号は、信号増幅部45で増幅される。そして、信号処理部25は、増幅された電気信号に基づいて、電荷蓄積容量5に蓄積された電荷量を、撮像対象部位の画像を構成する画素の情報として検出する。これにより、放射線検出素子10に照射された放射線により示される画像に対する画像情報を得ることができる。
【0048】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、マンモグラフィ用途の放射線画像撮像装置において、平面視長方形の放射線検出素子にマトリックス配置された複数の画素各々の形状を、胸壁側に平行する方向において、それと交差する方向である奥行き方向よりも長い画素形状(長方形)とするとともに、放射線検出素子の一方の長辺側に外部回路を一切、設けず、その長辺側が被検者の胸壁側となるように構成されている。こうすることで、外部回路を設けない一辺側において、被写体の検出領域を放射線検出素子の基板の端部に近づけることができ、マンモグラフィ用途として、乳房の付根にX線が到達せず撮影画像に欠損が発生するといった問題も生じない。
【0049】
また、放射線検出素子の各画素の形状を、胸壁側に平行する方向に長く、放射線検出素子の奥行き方向に短い形状(長方形)としたことで、マンモグラフィ用途として有効な奥行き方向の分解能、及び解像度を向上できると同時に、データ配線と信号増幅部との距離が短くなるので、データ配線を流れる、画素内の電荷蓄積容量に蓄積された電荷量に応じた電気信号という微小信号に対するノイズの影響を小さくすることができる。
【0050】
さらに、放射線検出素子において複数の長方形画素を互いに隣接させながら2次元状にマトリックス配置したので、所定の複数画素を同時に読み込んで、それらの画素値を加算するビニング処理も容易に行える。
【0051】
<第2の実施形態>
図3は、本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮像装置の構成を示している。なお、図3に示す第2の実施形態に係る放射線画像撮像装置200において、上述した第1の実施形態に係る放射線画像撮像装置100と同一構成要素には同一の符号を付すことで、ここでは、適宜、それらの説明を省略する。
【0052】
図3に示すように、第2の実施形態に係る放射線画像撮像装置200の放射線検出素子110は、平面視長方形の複数の画素21が互いに隣接しながら2次元状に配置される。さらに、放射線検出素子110は、図3において上下方向に配された画素群を「画素行」と称呼すると、同じ大きさの長方形の画素21を所定方向(図3において上下方向)に複数配列した第1の画素行21aと、その第1の画素行21aの画素21と同じ大きさの長方形の画素21を、第1の画素行21aと同様に上下方向に複数配列した第2の画素行21bとを、上下方向と交差する方向(すなわち、水平方向)に交互に配列するとともに、隣接するこれらの画素行の画素について、互いに配列ピッチの1/2(半画素)だけずれるように配置されている。他の画素行についても同様であり、相互に画素が半画素ずれた配列状態になっている。
【0053】
第2の実施形態に係る放射線画像撮像装置200は、上述した第1の実施形態に係る放射線画像撮像装置100と同様、放射線検出素子110の一方の長辺側(図3では左側の一辺側)には、スキャン信号制御部、信号増幅部等の外部回路を一切、設けず、この長辺側が、マンモグラフィ用途における被検者の胸壁側となるように構成されている。また、放射線検出素子110では、長方形の画素21各々の長辺が胸壁側と平行する方向となり、短辺が奥行き方向となるように画素21が配されている。
【0054】
このように配された複数の画素21からなる放射線検出素子110の検出領域115を、上下方向から挟み込むようにスキャン信号制御部(ゲートIC)35a,35bが配置され、複数のスキャン配線101が1本ずつ交互に放射線検出素子110とスキャン信号制御部35a間、及び放射線検出素子110とスキャン信号制御部35b間に接続されている。なお、図3において、放射線検出素子110における画素21の内部回路構成、その内部回路素子とデータ配線3及びスキャン配線101との接続等は、基本的に図1に示す第1の実施形態に係る放射線画像撮像装置100の放射線検出素子100と同じであるため、それらの図示及び説明を省略する。
【0055】
第2の実施形態に係る放射線画像撮像装置によれば、放射線検出素子の外部回路を設けない一辺側において、被写体の検出領域を放射線検出素子の基板の端部に近づけることができ、マンモグラフィ用途として、乳房の付根まで画像撮影ができる。加えて、長方形の画素を所定方向に複数配列した複数の画素行について、画素が互いに配列ピッチの1/2(半画素)だけずれるように配置したことで、配列ピッチをずらさないで画素を配置した放射線検出素子と対比した場合、サンプリング点が変わるので、長辺方向の中間位置のデータ補間を精度良くできるという特徴がある。
【0056】
また、画素形状を放射線検出素子の胸壁側に平行する方向に長く、奥行き方向に短い形状(長方形)としたので、奥行き方向の分解能の向上のみならず、データ配線と信号増幅部との距離が近くなりデータ配線を短くすることができるので、データ配線を流れる微小電気信号に対するノイズの影響を小さくできる。
【0057】
<第3の実施形態>
図4は、本発明の第3の実施形態に係る放射線画像撮像装置の構成を示している。なお、図4に示す第3の実施形態に係る放射線画像撮像装置300において、上述した第1の実施形態に係る放射線画像撮像装置100と同一構成要素には同一の符号を付すことで、ここでは、適宜、それらの説明を省略する。
【0058】
図4に示すように、第3の実施形態に係る放射線画像撮像装置300の放射線検出素子210は、複数の扁平六角形の画素22が互いに隣接しながら2次元状に配置され、全体として平面視長方形の画素領域215を構成している。各画素22は、正六角形の6辺のうち、対向する任意の2辺が放射線検出素子210の短辺方向に平行となった状態に正六角形を維持しながら、その正六角形を放射線検出素子210の短辺方向につぶした扁平六角形の形状を有している(六角形の1本の対角線を他の2本の対角線より短くし、これら他の2本の対角線が等しい長さとなるようにした扁平とも言える)。また、放射線検出素子210では、このような扁平六角形状の画素22各々の同一方向に連続する2辺が、胸壁側と平行する方向となるように画素22が配されている。
【0059】
より具体的には、放射線検出素子210において、同じ大きさの隣接する扁平六角形状の画素22の辺どうしが互いに接しながら、その画素22の画素幅の長い方が放射線検出素子210の長辺に平行し、画素幅の短い方が放射線検出素子210の短辺に平行する方向に配列されている。さらに、これらの画素22について、放射線検出素子210の長辺に平行する方向(図4において縦方向)に連続する画素群を「画素行」とした場合、図4に示す第1の画素行22aの画素と、この第1の画素行22aと縦方向に隣接する第2の画素行22bの画素とを、放射線検出素子210の短辺に平行する方向に交互に配列するとともに、第2の画素行22bの画素22を第1の画素行22aの隣接する画素間に対応させて(別の言い方をすれば、第1の画素行22aの画素22を第2の画素行22bの隣接する画素間に対応させて)、画素どうしが互いに配列ピッチの1/2だけずれるように配置されている。他の画素行についても同様であり、相互に画素が半画素ずれた配列状態になっている。
【0060】
第3の実施形態に係る放射線画像撮像装置300も、上述した第1の実施形態に係る放射線画像撮像装置100と同様に、放射線検出素子210の一方の長辺側(図4では左側の一辺側)には、スキャン信号制御部、信号増幅部等の外部回路を一切、設けない構成となっており、この長辺側が、マンモグラフィ用途における被検者の胸壁側となる。
【0061】
また、第3の実施形態に係る放射線画像撮像装置300において、上記のように配された複数の画素22からなる検出領域215を上下方向から挟み込むようにスキャン信号制御部(ゲートIC)35a,35bが配置され、複数のスキャン配線101が1本ずつ交互に放射線検出素子210とスキャン信号制御部35aとの間、及び放射線検出素子210とスキャン信号制御部35bとの間に接続されている。なお、図4の放射線検出素子210における画素22の内部回路構成、その内部回路素子とデータ配線3及びスキャン配線101との接続等は、基本的に図1に示す第1の実施形態に係る放射線画像撮像装置100の放射線検出素子100と同じであるため、それらの図示及び説明を省略する。
【0062】
このように、第3の実施形態に係る放射線画像撮像装置によれば、放射線検出素子の外部回路を設けない一辺側において、被写体の検出領域を放射線検出パネルの基板の端部に近づけることができ、マンモグラフィ用途として、乳房の付根まで画像撮影ができるうえ、扁平六角形状の画素を、放射線検出素子210の長辺に平行する方向に複数配列した複数の画素行を、互いに配列ピッチの1/2(半画素)だけずれるように配置することによって、放射線検出素子における画素の最密充填が実現でき、放射線検出素子そのものの解像度を上げることができる。
【0063】
また、画素形状を放射線検出素子の奥行き方向に扁平な六角形状としたので、奥行き方向の分解能が向上し、さらには、データ配線と信号増幅部間の距離を近くして、データ配線を短くすることができるので、データ配線を流れる微小電気信号に対するノイズの影響を小さくできる。
【0064】
また、放射線検出素子を構成する各画素が、正六角形の6辺のうち、対向する任意の2辺が放射線検出素子の短辺方向に平行となるように正六角形を維持しながら、その正六角形を放射線検出素子の短辺方向につぶした扁平六角形の形状を有するので、後述する第4の実施形態に係る放射線画像撮像装置に比べて、放射線検出素子の胸壁側に位置する画素の凹凸を少なくすることができる。
【0065】
さらに、第3の実施形態に係る放射線画像撮像装置では、放射線検出素子の長辺方向(マンモグラフィの場合、胸壁側から乳房先までの奥行き方向に交差する方向)の画素の配列ピッチ(図4においてPP1として示す)が、後述する第4の実施形態における放射線検出素子の画素の配列ピッチ(図5においてPP2として示す)よりも短い。従って、第3の実施形態に係る放射線画像撮像装置におけるが画素配置の方が、後述する第4の実施形態に係る放射線画像撮像装置の画素配置よりも、画素領域の長辺方向において高い解像度を確保できる。その結果、マンモグラフィにおいては、胸壁側から乳房先までの奥行き方向のみならず、それと交差する方向においても高精細の放射線画像を撮影できる。
【0066】
<第4の実施形態>
図5は、本発明の第4の実施形態に係る放射線画像撮像装置の構成を示している。なお、図5に示す第4の実施形態に係る放射線画像撮像装置400において、上述した第1の実施形態に係る放射線画像撮像装置100と同一構成要素には同一の符号を付すことで、ここでは、適宜、それらの説明を省略する。
【0067】
図5に示す第4の実施形態に係る放射線画像撮像装置400の放射線検出素子310は、複数の扁平六角形の画素23が互いに隣接しながら2次元状に配置され、平面視したとき全体として長方形の画素領域315を構成している。各画素23は、正六角形の6辺のうち、対向する任意の2辺が放射線検出素子310の長辺方向に平行となるように正六角形を維持しながら、その正六角形を放射線検出素子310の短辺方向に潰した扁平六角形の形状を有している(画素の中心を通る3本の対角線のうち、1本の対角線を他の2本の対角線より長くし、これら他の2本の対角線が等しい長さとなるようした扁平とも言える)。また、放射線検出素子310では、上記のような扁平六角形状の画素23各々の6辺のうち、水平方向に対向する2辺が胸壁側と平行する方向となるように各画素23が配されている。
【0068】
より具体的に説明すると、放射線検出素子310において、同じ大きさの隣接する扁平六角形状の画素23の辺どうしが互いに接しながら、その画素23の画素幅の長い方が放射線検出素子310の長辺に平行し、画素幅の短い方が放射線検出素子310の短辺に平行する方向に配列されている。さらに、これらの画素23について、放射線検出素子310の短辺に平行する方向(図5において横方向)に連続する画素群を「画素列」とした場合、図5の第1の画素列23aの画素と、この第1の画素列23aと横方向に隣接する第2の画素列23bの画素とを、放射線検出素子310の長辺に平行する方向に交互に配列するとともに、第2の画素列23bの画素23を、第1の画素列23aの隣接する画素間に対応させて(別言すれば、第1の画素列23aの画素23を第2の画素列23bの隣接する画素間に対応させて)、画素どうしが互いに配列ピッチの1/2だけずれるように配置されている。他の画素列についても同様であり、相互に画素が半画素ずれた配列状態になっている。
【0069】
第4の実施形態に係る放射線画像撮像装置400も、上述した第1の実施形態に係る放射線画像撮像装置100と同様に、放射線検出素子310の一方の長辺側(図5では左側の一辺側)には、スキャン信号制御部、信号増幅部等の外部回路を一切、設けない構成となっている。そして、この長辺側がマンモグラフィ用途における被検者の胸壁側となる。
【0070】
また、第4の実施形態に係る放射線画像撮像装置400においても、複数の画素23からなる検出領域315を上下方向から挟み込むようにスキャン信号制御部(ゲートIC)35a,35bが配置され、複数のスキャン配線101が1本ずつ交互にスキャン信号制御部35aとスキャン信号制御部35bとに接続されている。なお、図5の放射線検出素子310における画素23の内部回路構成、その内部回路素子とデータ配線3及びスキャン配線101との接続等は、基本的に図1に示す第1の実施形態に係る放射線画像撮像装置100の放射線検出素子100と同じであるため、それらの図示及び説明を省略する。
【0071】
以上説明したように、第4の実施形態に係る放射線画像撮像装置は、放射線検出素子の外部回路を設けない一辺側において、被写体の検出領域を放射線検出パネルの基板の端部に近づけることができ、マンモグラフィ用途として、乳房の付根まで画像撮影ができる。
【0072】
また、画素形状をパネルの奥行き方向に扁平な六角形状としたので、奥行き方向の分解能が向上し、加えて、データ配線と信号増幅部間の距離が近くなるので、結果としてデータ配線を短くすることができ、データ配線を流れる微小電気信号に対するノイズの影響を小さくすることができる。
【0073】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。上記第1〜第4の実施形態では、放射線検出素子(検出領域)の短辺側に、その放射線検出素子を上下方向から挟み込むようにスキャン信号制御部を配しているが、マンモグラフィ用途として、放射線検出素子の一方の長辺側に外部回路を一切、設けずに、その長辺側が被検者の胸壁側となるよう構成し、胸壁側から乳房先までの奥行き方向の解像を上げるという目的が達成できれば、上記第1〜第4の実施形態に限定されない。
【0074】
例えば、図6に示すように、放射線画像撮像装置500の放射線検出素子510を構成する複数の画素各々の形状を、胸壁側(図6の左側の一辺側)に平行する方向において、奥行き方向よりも長い形状(長方形)とするとともに、放射線検出素子510の胸壁側には外部回路を設けず、その長辺側が被検者の胸壁側となるようにする。また、放射線検出素子510を上下方向から挟み込むように信号増幅部545a,545bと信号処理部525a,525bとを配し、スキャン信号制御部(ゲートIC)535を放射線検出素子510の他方の長辺側に配置する構成としてもよい。
【0075】
なお、ここでは、放射線検出素子510から信号増幅部545aへのデータ配線503と、放射線検出素子510から信号増幅部545bへのデータ配線503とが、1本ずつ交互に配置されている。
【0076】
このように、図6に示す放射線画像撮像装置において、放射線検出素子510の基板の端部ぎりぎりまで検出領域を持ってくることができるので、マンモグラフィ用途として放射線画像撮像装置500により、放射線検出素子510の検出領域が基板端部に近いほど、乳房の付け根に近い部分まで撮影できる。
【0077】
また、上記実施形態では、放射線画像撮像装置の放射線検出素子について説明したが、放射線検出素子の適用範囲はこれに限定されない。例えば、この放射線検出素子を放射線画像検出パネルに適用してもよいし、さらに、この放射線検出素子を有する放射線画像検出パネルを撮像に使用する放射線画像撮像装置としての適用も可能である。
【0078】
さらに、上記実施形態では、直接変換方式の放射線検出素子に本発明を適用した場合について説明したが、照射された放射線を可視光に変換するシンチレータを備え、変換された可視光がフォトダイオード等の半導体層で電荷に変換された後、スイッチング素子によって電荷に応じた電気信号を出力する間接変換方式の放射線検出素子に本発明を適用してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、放射線検出部の形状を長方形としたが、これに限定されない。例えば、対向する一対の辺が対向する他の一対の辺よりも長い形状、換言すれば、対向する一対の長辺と対向する一対の短辺とを備えた四辺形、あるいは台形とすることができる。
【符号の説明】
【0080】
2 ゲート電極
3 データ配線
4 薄膜トランジスタ(TFTスイッチ)
5 電荷蓄積容量
6 光電変換層
9 ソース電極
10,110,210,310 放射線検出素子
11 下部電極
12 層間絶縁膜
13 ドレイン電極
15 画素領域
17 コンタクトホール
20,21,22,23 画素
21a,21b,22a,22b 画素行
23a,23b 画素列
30 蓄積容量配線(共通グランド配線)
35a,35b スキャン信号制御部(ゲートIC)
45 信号増幅部
50 マンモグラフィ装置
51 制御部
52 放射線源制御部
53 圧迫板駆動制御部
54 放射線源
55 検出器制御部
57 表示操作部
61 撮影台
63 放射線検出器
65 圧迫板
90 画像メモリ
100,200,300,400 放射線画像撮像装置
101 スキャン配線
103 センサ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接しながら2次元状に配列された同じ大きさの複数の画素からなり、被検者の撮影対象部位を透過した放射線を検出する放射線検出部と、
前記複数の画素各々に設けられたスイッチ素子のスイッチング制御を行う信号を伝送する複数のスキャン配線と、
前記スキャン配線と交差して配され、前記スイッチ素子によって読み出された電気信号を伝送する複数のデータ配線と、を備え、
前記放射線検出部を、対向する一対の辺が対向する他の一対の辺よりも長い形状とし、前記複数の画素各々を該放射線検出部の短辺方向に短く該放射線検出部の長辺方向に長い形状とした
放射線検出素子。
【請求項2】
前記複数の画素各々が長方形であり、隣接する該画素の長辺どうしが前記放射線検出部の長辺方向において互いに接するとともに、隣接する該画素の短辺どうしが該放射線検出部の短辺方向において互いに接するように配置された
請求項1記載の放射線検出素子。
【請求項3】
前記複数の画素各々が長方形であり、隣接する該画素の長辺どうしが前記放射線検出部の長辺方向において互いに接し、隣接する該画素の短辺どうしが該放射線検出部の短辺方向において互いに接するように配列され、かつ、該放射線検出部の長辺に平行する方向の複数の画素からなる複数の画素行について、隣接する該画素行の各画素が該放射線検出部の短辺に平行する方向に交互に配列されるとともに該放射線検出部の長辺に平行する方向に互いに配列ピッチの1/2だけずれるように配置された
請求項1記載の放射線検出素子。
【請求項4】
前記複数の画素各々が、正六角形の6辺のうち対向する任意の2辺が前記放射線検出部の短辺方向に平行となった状態で該正六角形を該放射線検出部の短辺方向に潰した扁平六角形であり、隣接する該扁平六角形の画素の辺どうしが互いに接しながら該画素の画素幅の長い方が前記放射線検出部の長辺に平行し、画素幅の短い方が該放射線検出部の短辺に平行する方向にあり、かつ、該放射線検出部の長辺に平行する方向の複数の画素からなる複数の画素行について、隣接する該画素行の各画素が該放射線検出部の短辺に平行する方向に交互に配列されるとともに、隣接する画素間に対応させて互いに配列ピッチの1/2だけずれるように配置された
請求項1記載の放射線検出素子。
【請求項5】
前記複数の画素各々が、正六角形の6辺のうち対向する任意の2辺が前記放射線検出部の長辺方向に平行となった状態で該正六角形を該放射線検出部の短辺方向に潰した扁平六角形であり、隣接する該扁平六角形の画素の辺どうしが互いに接しながら該画素の画素幅の長い方が前記放射線検出部の長辺に平行し、画素幅の短い方が該放射線検出部の短辺に平行する方向にあり、かつ、該放射線検出部の短辺に平行する方向の複数の画素からなる複数の画素列について、隣接する該画素列の各画素が該放射線検出部の長辺に平行する方向に交互に配列されるとともに、隣接する画素間に対応させて互いに配列ピッチの1/2だけずれるように配置された
請求項1記載の放射線検出素子。
【請求項6】
前記撮影対象部位が被検者の乳房であり、前記放射線検出部の短辺方向に平行する方向が該被検者の胸壁側から乳房先までの奥行き方向として該放射線検出部により乳房X線撮影を行う
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線検出素子。
【請求項7】
前記放射線検出部は前記放射線の照射を受けて電荷を発生する半導体膜を有し、該電荷が前記複数の画素各々に設けられた蓄積容量に蓄積されるとともに、前記スイッチ素子により該蓄積容量に蓄積された電荷が読み出される
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の放射線検出素子。
【請求項8】
前記放射線検出部は照射された前記放射線を可視光に変換するシンチレータを有し、該変換された可視光が半導体層で電荷に変換された後、前記スイッチ素子により該電荷に応じた電気信号を出力する
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の放射線検出素子。
【請求項9】
前記複数のスキャン配線を介して、前記複数の画素各々に設けられたスイッチ素子のスイッチング制御を行う第1の外部回路と、
前記複数のデータ配線を伝送された前記電気信号に対して所定の信号処理を施す第2の外部回路と、をさらに備え、
前記第1の外部回路と前記第2の外部回路のうちいずれか一方の外部回路を、該放射線検出部の2つの短辺側に配置し、他方の外部回路を該放射線検出部の2つの長辺側のうち一方の長辺側に配置した
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の放射線検出素子。
【請求項10】
前記複数のスキャン配線又は前記複数のデータ配線が、前記放射線検出部の2つの短辺側に配置された前記第1の外部回路又は前記第2の外部回路と該放射線検出部との間を1本ずつ交互に配された
請求項9記載の放射線検出素子。
【請求項11】
互いに隣接しながら2次元状に配列された同じ大きさの複数の画素からなり、被検者の撮影対象部位を透過した放射線を検出する放射線検出部と、前記複数の画素各々に設けられたスイッチ素子のスイッチング制御を行う信号を伝送する複数のスキャン配線と、前記スキャン配線と交差して配され、前記スイッチ素子によって読み出された電気信号を伝送する複数のデータ配線と、を備え、前記放射線検出部を、対向する一対の辺が対向する他の一対の辺よりも長い形状とし、前記複数の画素各々を該放射線検出部の短辺方向に短く該放射線検出部の長辺方向に長い形状とした放射線検出素子を配した
放射線画像検出パネル。
【請求項12】
互いに隣接しながら2次元状に配列された同じ大きさの複数の画素からなり、被検者の撮影対象部位を透過した放射線を検出する放射線検出部と、前記複数の画素各々に設けられたスイッチ素子のスイッチング制御を行う第1の外部回路と、前記第1の外部回路からの前記スイッチング制御のための信号を伝送する複数のスキャン配線と、前記スキャン配線と交差して配され、前記スイッチ素子によって読み出された電気信号を伝送する複数のデータ配線と、前記複数のデータ配線を伝送された前記電気信号に対して所定の信号処理を施す第2の外部回路と、を備え、前記放射線検出部を、対向する一対の辺が対向する他の一対の辺よりも長い形状とし、前記複数の画素各々を該放射線検出部の短辺方向に短く該放射線検出部の長辺方向に長い形状とするとともに、前記第1の外部回路と前記第2の外部回路のうちいずれか一方の外部回路を、該放射線検出部の2つの短辺側に配置し、他方の外部回路を該放射線検出部の2つの長辺側のうち一方の長辺側に配置した放射線検出素子を配した
放射線画像検出パネル。
【請求項13】
互いに隣接しながら2次元状に配列された同じ大きさの複数の画素からなり、被検者の撮影対象部位を透過した放射線を検出する放射線検出部と、前記複数の画素各々に設けられたスイッチ素子のスイッチング制御を行う信号を伝送する複数のスキャン配線と、前記スキャン配線と交差して配され、前記スイッチ素子によって読み出された電気信号を伝送する複数のデータ配線と、を備え、前記放射線検出部を、対向する一対の辺が対向する他の一対の辺よりも長い形状とし、前記複数の画素各々を該放射線検出部の短辺方向に短く該放射線検出部の長辺方向に長い形状とした放射線検出素子を配した放射線画像検出パネルにより放射線画像を撮像する
放射線画像撮像装置。
【請求項14】
互いに隣接しながら2次元状に配列された同じ大きさの複数の画素からなり、被検者の撮影対象部位を透過した放射線を検出する放射線検出部と、前記複数の画素各々に設けられたスイッチ素子のスイッチング制御を行う第1の外部回路と、前記第1の外部回路からの前記スイッチング制御のための信号を伝送する複数のスキャン配線と、前記スキャン配線と交差して配され、前記スイッチ素子によって読み出された電気信号を伝送する複数のデータ配線と、前記複数のデータ配線を伝送された前記電気信号に対して所定の信号処理を施す第2の外部回路と、を備え、前記複数の画素各々の形状を前記放射線検出部の短辺方向に短く、該放射線検出部の長辺方向に長い形状とするとともに、前記第1の外部回路と前記第2の外部回路のうちいずれか一方の外部回路を、該放射線検出部の2つの短辺側に配置し、他方の外部回路を該放射線検出部の2つの長辺側のうち一方の長辺側に配置した放射線検出素子を配した放射線画像検出パネルにより放射線画像を撮像する
放射線画像撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−68472(P2013−68472A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206130(P2011−206130)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】