説明

放射線源と蛍光物質を含む照明システム

【課題】放射線源としての電界発光半導体素子と、特定の白色光、又は黄色、琥珀色、及び赤色光を含む着色光の発生のための燐光体を含む蛍光物質とを含む照明システムを提供する。
【解決手段】本発明は、放射線源と、放射線源によって発せられた光の一部を吸収して吸収光とは異なる波長の光を放射することができる少なくとも1つの燐光体を含む蛍光物質とを含み、この少なくとも1つの燐光体が一般式(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnの琥珀色から赤色放射希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、REがユーロピウム(II)及びセリウム(III)から選択される、着色光、特に琥珀色又は赤色光を発生させるための照明システムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、放射線源と琥珀色から赤色の燐光体を含む蛍光物質とを含む照明システムに関する。本発明はまた、照明システムに使用するための琥珀色から赤色の燐光体に関する。より具体的には、本発明は、放射線源としての電界発光半導体素子と、特定の白色光、又は黄色、琥珀色、及び赤色光を含む着色光の発生のための燐光体を含む蛍光物質とを含む照明システムに関する。この照明システムにおいては、紫外線又は青色一次放射線に基づく発光周波数逓降変換と加法混色によって白色又は着色光を発生させる。特に考えられているのは、一次放射線の供給源としての半導体発光ダイオードである。
【背景技術】
【0002】
車両及び信号で使用される様々な照明システムが公知である。車両は、付随する照明器又はそれに関連する指示灯を有するいくつかの異なる構成要素及びアセンブリを含む。照明器及び指示灯としての半導体発光ダイオード(LED)のような電界発光半導体素子の使用には、それらが他の従来の低電圧光源に比べて多くの潜在的利点を提供するので大きな関心が寄せられている。他の光源は、従来のタングステン白熱灯の場合のように比較的非効率であることを含む欠陥、蛍光灯及びガス放電灯の場合のような高い作動電圧、及び白熱灯の場合のような損傷し易さといった欠点がある。
【0003】
従って、これらの代替光源は、制限された電力又は低い電圧のみが利用可能であるか又は高電圧が安全上の理由から許容不可能である車両用途に対して、又はかなりの衝撃又は振動が存在する用途においては最適ではない。一方、LEDは、耐衝撃性が高く、従って、機械的又は熱的衝撃を受けると粉々になる可能性がある白熱灯及び蛍光灯に優る有意な利点を提供する。LEDはまた、典型的な白熱灯の場合の1,000から2,000時間、又は蛍光灯の場合の5,000から10,000時間に比べて、200,000時間から1,000,000時間の作動寿命を有する。
【0004】
電界発光半導体素子を含む現行の黄色、琥珀色、又は赤色交通信号灯又は車両灯は、着色された黄色、琥珀色、又は赤色光の発生のためにリン化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInP)LEDチップの直接励起に依存している。
AlInGaPのLEDの欠点は、温度上昇に伴う発光の消滅である。室温から100℃に温度を上げた場合、その光出力の落ち幅は40%を超える。同時に、スペクトルは、例えば617nmから623nmに移動し、これによって発光効率が更に落ちる。従って、温度に対する光収率及び発光スペクトルの依存度が大幅に低減した黄色から赤色までのLEDに対する自動車業界による根強い要望が存在する。
【0005】
黄色、琥珀色、又は赤色光の発生に関して現在検討されている1つの解決策は、白色LEDに適用されたAlInGaNチップが遥かに小さい熱的消光を示すので、白色LEDと適切な色フィルタを適用することである。更に、温度による白色LEDのスペクトル移動は、YAG:Ce燐光体の適用によってそれほど深刻ではない。しかし、この概念の大きな欠点は、現在の白色LEDが僅かに数パーセントの橙色から赤色の光を発光し、白色LEDスペクトルの大半がカットオフされるという事実によって効率が低いことである。
【0006】
別の手法は、黄色から赤色発光燐光体を使用して黄色から赤色光を発生させるための光源が開示されている、例えば米国特許第6,649,946号から公知である。上述の燐光体は、ニトリドシリケート型MxSiyz:Euのホスト格子を有し、ここで、Mは、Ca、Sr、Ba、Znの群から選択したアルカリ土類金属の少なくとも1つであり、また、z=2/3x+4/3yである。この燐光体を使用して非常に安定な赤色又は橙色又は黄色放射LEDを作り出すことができ、このLEDは、Euでドープされた革新的な種類の希土類活性化窒化珪素の窒化燐光体によって光が完全に変換される、ピーク発光が約380から480nmの一次光源(好ましくは、InGaNチップ)に基づくことができる。これらのLEDは、黄色から赤色の直接励起を伴う公知の商用LEDに比較すると、効率が高く安定性が向上している。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,649,946号
【特許文献2】米国特許公開出願第2005/0269582号
【特許文献3】米国特許第6,696,703号
【特許文献4】米国特許第6,650,044号
【特許文献5】米国特許第6,576,488号
【特許文献6】米国特許公開出願第2005/0184638号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、交通標識に関する色度要件の最近の評価は、色覚不全運転者によって信号が確実に検知されるように、車両指示及び交通標識の赤色範囲がより長い波長カットオフを含むべきであることを示している。
従って、近UVから青色範囲の放射線源によって励起可能であり、かつ可視琥珀色から深紅色範囲で発光する燐光体を含む照明システムを提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、放射線源と、放射線源によって発せられた光の一部を吸収して吸収光とは異なる波長の光を放射することができる少なくとも1つの燐光体を含む蛍光物質とを含む照明システムを提供し、この少なくとも1つの燐光体は、一般式(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnの希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、REは、ユーロピウム(II)及びセリウム(III)から選択される。
【0010】
本発明による照明システムは、複合着色出力光、特に、高い耐温度性、カラーポイント安定性、及び高い効率を同時に有する琥珀色又は赤色光を提供することができる。
特に、複合出力光は、深紅色範囲において従来の照明器具よりも発光量が多く、再現することができる色の範囲を拡大する。この特性は、黄色、琥珀色、及び赤色交通信号灯、階段/出口傾斜路照明、装飾用照明、及び車両の指示灯のような用途に対して装置を理想的なものにする。
【0011】
本発明による照明システムはまた、色に関して十分に均衡の取れた複合白色出力光を提供することができる。特に、複合白色出力光は、赤色範囲において従来の照明器具よりも発光量が多い。この特性は、真の演色が必要な用途に対して装置を理想的なものにしている。本発明のこのような用途には、とりわけ、交通信号灯、街路照明、セキュリティ用照明、及び自動化工場の照明が含まれる。
放射線源として特に考えられているのは、半導体発光ダイオードである。本発明の第1の態様によれば、光照明システムは、放射線源としての420から495nmの範囲のピーク発光波長を有する青色発光ダイオードと、一般式(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnの希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREがユーロピウム(II)及びセリウム(III)から選択された少なくとも1つの燐光体を含む蛍光物質とを含む。
【0012】
このような照明システムは、作動時に白色又は着色光、特に琥珀色又は赤色光を提供することになる。LEDによって発せれた青色光は、燐光体を励起し、燐光体に琥珀色又は赤色光を放出させる。LEDによって発せられた青色光は、燐光体を透過し、燐光体によって発せられた琥珀色又は赤色光と混合する。見る者は、蛍光物質に存在する燐光体の量によって青色及び琥珀色光の混合光を白色又は着色光として知覚する。
【0013】
一実施形態によれば、本発明は、放射線源としての420から495nmの範囲のピーク発光波長を有する青色発光ダイオードと、一般式(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnの希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートを含み、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREがユーロピウム(II)、セリウム(III)、及び少なくとも1つの第2の燐光体から選択された蛍光物質とを含む、白色又は着色光、特に琥珀色又は赤色光照明システムを提供する。
【0014】
蛍光物質が、希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート型の燐光体と少なくとも1つの第2の燐光体との燐光体配合物を含む時には、本発明による白色又は着色光照明システムの演色は、更に改善することができる。
特に、蛍光物質は、一般式が(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREがユーロピウム(II)、セリウム(III)、及び赤色燐光体から選択された希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートを含む燐光体配合物とすることができる。このような赤色燐光体は、0≦x≦1及び0<y≦0.2とした時のCa1-x-ySrxS:Euyと、0≦x≦1、0≦y≦1、及び0<z≦0.2とした時の(Sr1-x-yBaxCay2Si58Euzとの群から選択することができる。
【0015】
他の方法では、蛍光物質は、一般式が(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREがユーロピウム(II)、セリウム(III)、及び黄色から緑色の燐光体から選択された希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートを含む燐光体配合物とすることができる。このような黄色から緑色の燐光体は、0≦x≦1及び0<y≦0.2とした時の(CaxSr1-x-y2SiO4:Euy、0≦x≦1及び0<y≦0.2とした時の(SrxBa1-x-y2SiO4:Euy、0≦x≦1及び0<y≦0.2とした時の(Sr1-x-yBax)Ga24:Euy、0≦x≦1、0<y≦0.2、0≦z≦1、0≦a≦0.5とした時の(Y1-x-y-zGdxLuz3(Al1-aGaa512:Cey、ZnS:Cu、CaS:Ce、Cl、及びSrSi222:Euを含む群から選択することができる。
付加的な燐光体を含むこのような蛍光物質の発光スペクトルは、LEDの青色光と本発明による希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート型燐光体の琥珀色から赤色光と共に、必要な色温度での良好な演色を有する高品質着色光を取得するのに適切な波長を有する。
【0016】
本発明の別の態様によれば、白色又は着色光、特に琥珀色又は赤色光照明システムが提供され、放射線源は、ピーク発光波長が200から400nmのUV範囲にある発光を有する発光ダイオードから選択され、蛍光物質は、一般式が(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREがユーロピウム(II)及びセリウム(III)から選択された希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートである少なくとも1つ燐光体を含む。
【0017】
一実施形態によれば、本発明は、放射線源としての200から420nmのUV範囲のピーク発光波長を有する青色発光ダイオードと、一般式が(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREがユーロピウム(II)、セリウム(III)、及び少なくとも1つの第2の燐光体から選択された希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートを含む蛍光物質とを含む白色光照明システムを提供する。
【0018】
特に、蛍光物質は、一般式が(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREがユーロピウム(II)、セリウム(III)、及び青色燐光体から選択された希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートを含む燐光体配合物とすることができる。このような青色燐光体は、BaMgAl1017:Eu、Ba5SiO4(Cl、Br)6:Eu、CaLa24:Ce、(Sr、Ba、Ca)5(PO43Cl:Eu、及びLaSi35:Ceを含む群から選択することができる。
付加的な燐光体を含むこのような蛍光物質の発光スペクトルは、LEDの青色光と、本発明による希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート型燐光体の琥珀色から赤色光と共に、必要な色温度での良好な演色を有する高品質着色光を取得するための適切な波長を有する。
【0019】
本発明の別の態様は、放射線源によって発せられた光の一部を吸収して吸収光とは異なる波長の光を放射することができる燐光体を提供し、この燐光体は、一般式が(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREがユーロピウム(II)及びセリウム(III)から選択された希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートである。
【0020】
燐光体の化学組成を変えることにより、燐光体の色を琥珀色から深紅色に移動させることができる。発光スペクトルは、深紅色及び近赤外線を含むスペクトルの比較的アクセス不可能な領域に延びている。
蛍光物質は、300nmから400nmのような波長を有するUV−A輝線によって励起可能であるが、約400から495nmの波長を有する青色発光ダイオードによって発せられた青色光によっても高い効率で励起される。すなわち、蛍光物質は、窒化物半導体発光成分の着色光の白色又は着色光への変換のための理想的な特性を有する。これらの燐光体は、広帯域発光体であり、その可視発光は、可視発光が主として位置する80nm波長範囲が存在しないほど広い。総変換効率は、98%までとすることができる。
【0021】
希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート型燐光体の付加的な重要な特性には、1)典型的な装置作動温度(例えば、80℃)での30ルミネセンスの熱的消光に対する耐性、2)装置製造に使用されるカプセル封入樹脂との干渉反応性の欠如、3)可視スペクトル内の死の吸収を最小にするのに適切な吸収プロフィール、4)装置の作動寿命にわたる時間的に安定した発光出力、及び5)燐光体の励起及び発光特性の組成的に制御された調整が含まれる。これらの希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート型燐光体はまた、イッテルビウム、プラセオジム、サマリウム、及び共活性剤としての陽イオンの混合物を含む他の陽イオンを含むことができる。
燐光体は、アルミニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ガドリニウム、及びルテチウム元素のフッ化物及び正燐酸塩と、アルミニウム、イットリウム、シリコン、及びランタンの酸化物と、アルミニウムの窒化物との群から選択されたコーティングを有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体
本発明は、以下に限定されるものではないが、放電灯、蛍光灯、LED、LD、及びX線管を含む放射線源を収容する照明システムのあらゆる構成における燐光体としての希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートに焦点を当てたものである。本明細書で使用される時の「放射線」という用語は、電磁スペクトルのUV、IR、及び可視領域における放射線を包含する。
本発明の燐光体の使用は、広範な照射に対して考えられているが、本発明は、放射線源として特にUV及び青色発光ダイオードを含む燐光体変換発光ダイオードを特に参照して説明し、それに対する特定の用途を見出すものである。
【0023】
燐光体は、一般式(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnに従うものであり、ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREは、ユーロピウム(II)及びセリウム(III)から選択される。
この部類の燐光体材料は、アルミニウム置換オキソニトリドシリケートの希土類金属活性化発光に基づくものである。燐光体は、主成分がシリコン、アルミニウム、窒素、及び酸素であるホスト格子を含む。ホスト格子はまた、硼素を含むことができる。ホスト層は、[(Al、Si)26/3(N、O)2/2]の層のスタックを含む構造を有し、シリコン及びアルミニウムは、図2に示すように酸素及び窒素によって四面体的に取り囲まれている。
【0024】
2つのシリコン又はアルミニウム原子を結合するN原子は、システムMAlSiN3−MAI22O内の荷電平衡及び固溶体を維持するためにアルミニウム/シリコン比を同時に変える場合には、酸素で置換することができる。すなわち、前駆体物質又は焼成雰囲気によって燐光体材料に組み込まれる酸素欠損は、前駆体混合物内のAl/Si比を変えることによって補償することができる。蛍光物質内の欠損密度が低くなると、効率が高くなり、光化学的安定性が向上する。層内には、土類アルカリ金属のような金属陽イオン、並びにユーロピウム(II)、セリウム(III)、及び最終的には共活性剤が組み込まれる。これらは、主として、2つのアルミニウム又はシリコン原子を結合するN原子又は置換型酸素原子によって調整される。好ましくは、土類アルカリ金属は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選択される。
【0025】
希土類金属の割合nは、0.002≦n≦0.2の範囲であることが好ましい。割合nがこれよりも小さい時には、希土類金属陽イオンによる光ルミネセンスの励起発光中心の数が少なくなるので、発光が少なくなり、nが0.2よりも大きい時には、濃度消光が発生する。濃度消光は、蛍光物質の発光を増大させるために追加された活性剤の濃度が最適レベルを超えて増加した時に起こる発光強度の減少を意味する。
【0026】
本発明の微結晶性燐光体粉末を生成する方法は、特に制限されておらず、それは、本発明による燐光体をもたらすことになるあらゆる方法によって生成することができる。一般式がRE3-xAl2Al3-ySiy12-yy:Cexであり、Reがイットリウム、ガドリニウム、ルテチウム、テルビウム、スカンジウム、及びランタンの群から選択された希土類金属であり、0.002≦x≦0.2及び0≦y≦3である一般式の一連の組成を製造することができ、これは、0.002≦x≦0.2及び0≦y≦3の範囲に対して完全な固溶体を形成する。
【0027】
本発明による燐光体を生成するための好ましい工程は、固相法と呼ばれる。この工程においては、燐光体前駆体物質を固相で混合させ、前駆体が反応して燐光体材料の粉末を形成するように加熱する。
アルカリ土類金属の窒化物が、非晶質窒化ケイ素Si34、窒化アルミニウムAlN粉末、ユーロピウム及び/又はセリウムのフッ化物、及び最終的には溶剤と所定の比率で混合される。混合物を高純度モリブデンるつぼに入れる。るつぼを管状炉に装填し、数時間にわたって流動窒素/水素でパージする。炉のパラメータは、1450℃まで10℃/分であり、次に、1450℃で4時間の滞留時間があり、その後、炉を室温までゆっくり冷却する。サンプルをもう一度細かく粉砕した後に、1400℃での第2の焼き鈍し段階を実行する。流動アルゴン中の若干低い25種類の温度での付加的な第3の焼き鈍しを通じて発光出力を改善することができる。焼成後に、粉末は、粉体X線回折(Cu、Kα線)によって特徴付けられ、これは、望ましい相が形成されたことを示すものであった。琥珀色から赤色の粉末が得られ、これは、UV及び青色励起の下で効率的に発光する。
【0028】
好ましくは、本発明によるユーロピウム活性化オキソニトリドアルモシリケート型燐光体は、アルミニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ガドリニウム、及びルテチウム元素のフッ化物及び正燐酸塩と、アルミニウム、イットリウム、シリコン、及びランタンの酸化物と、アルミニウムの窒化物とによって形成された群から選択された1つ又はそれよりも多くの化合物の薄い均一な保護層で被覆することができる。
保護層の厚みは、通例、0.001から0.2μmの範囲であり、従って、非常に薄いのでエネルギの実質的な損失なしに放射線源の放射線が貫通することができる。燐光体粒子上のこれらの材料のコーティングは、例えば、気相からの堆積又は湿式コーティング工程によって付加することができる。
【0029】
本発明による燐光体は、そのオキソニトリドアルモシリケート15構造のために熱、光、及び湿気に対する耐性がある。
これらの希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体は、電磁スペクトルのUVA又は青色の範囲の放射によって励起された時に、ピーク波長が琥珀色から深紅色の範囲で赤外線までのテール発光を有する広帯域発光を与えることが見出されている。
【0030】
ユーロピウム(II)を活性剤として使用することが好ましい。表1は、一部のユーロピウム(II)活性化燐光体のスペクトルデータを示している。
【0031】
(表1)

【0032】
ユーロピウム活性化オキソニトリドアルモシリケート内のユーロピウムの一部又は全てをセリウムと入れ替えることは、セリウムが、一般的に可視スペクトルの深紅色領域に中心があるユーロピウム(II)活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体からの典型的な広帯域二次発光ではなく、可視スペクトルの黄色から琥珀色の領域に集中している二次発光を生成するという効果がある。また、イッテルビウム、プラセオジム、サマリウム、テルビウム、ツリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、及びエルビウムのような共活性剤を使用することもできる。荷電補償に対しては、存在するCe(III)の量に合った又はその量よりも少ない量でアルカリ金属のような一価陽イオンをホスト格子内に組み込むことができる。
表2は、一部のセリウム(III)活性化化合物のスペクトルデータを示している。
【0033】
(表2)

【0034】
照明システム
本発明はまた、放射線源と、一般式が(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREがユーロピウム(II)及びセリウム(III)から選択された少なくとも1つの希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートを含む蛍光物質とを含む照明システムに関する。
【0035】
放射線源としては、半導体光放射発光体と、電気励起に応答して光放射を発する他の装置とがある。半導体光放射発光体としては、発光ダイオードLEDチップ、発光ポリマー(LEP)、有機発光素子(OLED)、及びポリマー発光素子(PLED)などがある。
更に、水銀低及び高圧放電灯、硫黄放電灯、及び分子放射体に基づく放電灯のような放電灯及び蛍光灯に見られるもののような発光成分も、本発明の革新的燐光体組成を有する放射線源して使用されるように考えられている。
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、放射線源は、半導体発光ダイオードである。
半導体LED及び希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体組成を含む照明システムのあらゆる構成は、好ましくは、上述のように一次UV又は青色放射を発するLEDによって照射された時に特定の着色された琥珀色、赤色、又は白色の光を達成するために結合することができる他の公知の燐光体を追加することによって本発明において考えられている。
【0037】
ここで、図1示す放射線源と蛍光物質とを含むこのような照明システムの一実施形態の詳細な構成を説明する。
図1は、蛍光物質を含むコーティングを有するチップ型発光ダイオードの概略図を示している。装置は、放射線源としてチップ型発光ダイオード(LED)1を含む。発光ダイオードダイを反射体カップリードフレーム2内に位置決めする。ダイ1を結合ワイヤ7を通じて第1の端子6に、及び直接に第2の電気端子6に接続する。本発明による蛍光物質4及び5を含むコーティング材料を反射体カップの窪みに充填し、反射体カップ内に組み込まれるコーティング層を形成する。燐光体を別々に又は混合物の形で付加する。
【0038】
コーティング材料は、一般的に、燐光体又は燐光体配合物をカプセル封入するポリマー3を含む。これらの実施形態では、燐光体又は燐光体配合物は、封入材に対して高い安定性を示すべきである。ポリマーは、有意な光の散乱を防止するために光学的に透明であることが好ましい。LEDランプを作る上で様々なポリマーがLED業界で公知である。
一実施形態では、ポリマーをエポキシ樹脂及びシリコーン樹脂から成る群から選択する。燐光体混合物をポリマー前駆体である液体に追加すると、カプセル封入を実行することができる。例えば、燐光体混合物は、粒状粉末とすることができる。燐光体粒子をポリマー前駆体液体に導入すると、結果的にスラリ(すなわち、粒子の懸濁液)が形成される。重合すると、燐光体混合物は、カプセル封入によって所定の位置に固く固定される。一実施形態では、蛍光物質及びLEDダイの両方は、ポリマー内にカプセル封入される。
【0039】
透明コーティング材料は、有利な態様では、光拡散粒子、いわゆる拡散体を含むことができる。このような拡散体の例は、鉱物充填剤、特に、CaF2、TiO2、SiO2、CaCO3、又はBaSO4、又は他の有機顔料である。これらの材料は、単純な方法で上述の樹脂に添加することができる。
作動時に、電力をダイに供給してダイを活性化する。ダイは、活性化されると一次光、例えば、青色光を放射する。発せられた一次光の一部分は、コーティング層内の蛍光物質によって完全に又は部分的に吸収される。その後、蛍光物質は、二次光、すなわち、一次光の吸収に応答して十分な広帯域において主として琥珀色から赤色(具体的には深紅色がかなりの部分を占める)のより長いピーク波長を有する変換光を放射する。発せられた一次光の残りの未吸収部分は、二次光と共に蛍光層を透過する。カプセル封入により、未吸収一次光及び二次光は、出力光としての一般的な方向に導かれる。従って、出力光は、ダイから発せられた一次光と蛍光層から発せられた二次光から成る複合光である。
【0040】
本発明による照明システムの出力光の色温度又はカラーポイントは、一次光と比較した二次光のスペクトル分布及び強度によって変わることになる。
第1に、一次光の色温度又はカラーポイントは、発光ダイオードの適切な選択によって変えることができる。
第2に、二次光の色温度又はカラーポイントは、蛍光物質内の燐光体、燐光体粒の粒径、及び付加された燐光体の量の適切な選択によって変えることができる。更に、これらの構成はまた、有利な態様では、蛍光物質内で燐光体配合物を使用する可能性を提供し、その結果、有利な態様では、望ましい色合いをより一層正確に設定することができる。
【0041】
白色燐光体変換発光素子
本発明の1つの態様によれば、照明システムの出力光は、それが「白色」光に見えるようなスペクトル分布を有することができる。最も一般的な白色LEDは、青色放射線の一部を補色、例えば、黄色から琥珀色の発光に変換する燐光体で被覆された青色放射LEDチップから成る。青色及び黄色の発光が一緒に白色光を生成する。また、UV放射チップとUV放射線を可視光に変換するように設計された燐光体とを利用する白色LEDがある。典型的には、2つ又はそれよりも多くの燐光体発光バンドが必要である。
【0042】
青色/燐光体白色LED(青色放射発光ダイオードを用いる2色性白色光燐光体変換発光素子)
第1の実施形態では、本発明による白色光放射照明システムは、有利な態様では、青色発光ダイオードによって発せられた青色放射線を補色主波長範囲に変換して2色性白色光を形成するような蛍光物質を選択することによって生成することができる。この場合、希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体を含む蛍光物質によって琥珀色から赤色の光が生成される。更に、この照明システムの演色を改善するために、第2の蛍光物質を使用することもできる。
【0043】
発光最大値が400から490nmにある青色LEDを使用すると、特に良好な結果が達成される。特に希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートの励起スペクトルを考慮すると、最適値は440nmにあることが見出されている。
従来技術のLEDによって生成された白色出力光のスペクトル分布と比較すると、スペクトル分布の明らかな相違は、可視スペクトルの赤色範囲内であるピーク波長の移動である。すなわち、照明システムによって生成された白色出力光は、従来技術LEDによって生成された出力光と比較すると赤色の有意な追加量を有する。
【0044】
(青色放射発光ダイオードを用いる多色性白色光燐光体変換発光素子)
第2の実施形態では、本発明による白色光放射照明システムは、有利な態様では、青色発光ダイオードによって発せられた青色放射線を補色主波長範囲に変換して多色性白色光を形成するような蛍光物質を選択することによって生成することができる。この場合、希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体と第2の燐光体とを含む燐光体の配合物を含む蛍光物質により、琥珀色から赤色の光が生成される。
【0045】
更に高度な演色を有する白色発光をもたらすことは、青色放射LEDと琥珀色から赤色発光希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体と共に、スペクトル範囲全体を網羅する付加的な赤色及び緑色広帯域発光燐光体を使用することによって可能である。
有用な第2の燐光体及びその光学特性を下表3にまとめている。
【0046】
(表3)

【0047】
蛍光物質は、2つの燐光体、つまり、琥珀色から赤色の希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体と、0≦x≦1とした時の(Ca1-xSrx)S:Eu、及び、0≦a≦5、0≦x≦l、及び0≦y≦lとした時の(Sr1-x-yBaxCay2Si5-aAla8-aa:Euの群から選択された赤色燐光体との配合物とすることができる。
蛍光物質は、2つの燐光体、例えば、琥珀色から赤色の希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体と、0≦x≦1とした時の(Ba1-xSrx2SiO4:Eu、SrGa24:Eu、及びSrSi222:Euを含む群から選択された緑色燐光体との配合物とすることができる。
それによって生成された白色光の色合い(CIE色度図のカラーポイント)は、この場合、混合物及び濃度に関する燐光体の適切な選択によって変えることができる。
【0048】
UV/燐光体白色LED(UV放射を用いる2色性白色燐光体変換発光素子)
更に別の実施形態では、本発明による白色光放射照明システムは、有利な態様では、UV放射ダイオードによって発せられたUV放射線を補色主波長範囲に変換して2色性白色光を形成するような蛍光物質を選択することによって生成することができる。この場合、蛍光物質によって琥珀色及び青色光が生成される。琥珀色光は、希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体を含む蛍光物質によって生成される。青色光は、BaMgAl1017:Eu、Ba5SiO4(Cl、Br)6:Eu、CaLa24:Ce、及び(Sr、Ba、Ca)5(PO43Cl:Euを含む群から選択された青色燐光体を含む蛍光物質によって生成される。特に良好な結果は、発光最大値が200から400nmにあるUVA発光ダイオードと共に達成される。特に希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートの励起スペクトルを考慮すると、最適値は、365nmにあることが見出されている。
【0049】
UV放射LEDを用いる多色性白色燐光体変換発光素子
更に別の実施形態では、本発明による白色光放射照明システムは、有利な態様では、UV放射ダイオードによって発せられたUV放射線を補色主波長範囲に変換し、例えば青色、緑色、及び赤色の例えば加色三つ組によって多色性白色光を形成するような蛍光物質を選択することによって生成することができる。
この場合、琥珀色から赤色、緑色、及び青色の光が蛍光物質によって生成される。
更に、この照明システムの演色を改善するために、第2の赤色蛍光物質を使用することもできる。
【0050】
更に高い演色も伴った白色発光をもたらすことは、UV放射LED及び琥珀色から赤色放射希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体と共に、スペクトル範囲全体を網羅する青色及び緑色広帯域発光燐光体を用いることによって可能である。
それによって生成された白色光の色合い(CIE色度図のカラーポイント)は、この場合、混合物及び濃度に関する燐光体の適切な選択によって変えることができる。
【0051】
琥珀色から赤色燐光体変換発光素子
本発明の1つの好ましい態様によれば、琥珀色又は赤色光に見えるようなスペクトル分布を有する出力光を放射する照明システムが提供される。
燐光体として本発明による希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートを含む蛍光物質は、例えばUVA放射LED又は青色放射LEDのような一次UVA又は青色放射線源による刺激に対する琥珀色又は赤色成分として特に十分に適するものである。
それによって、電磁スペクトルの琥珀色から赤色領域で発光する照明システムを実施することが可能である。
【0052】
第1の実施形態では、本発明による琥珀色から赤色光放射照明システムは、有利な態様では、青色発光ダイオードによって発せられた青色放射線を琥珀色又は赤色光に変換するような蛍光物質を選択することによって生成することができる。
この場合、着色光は、本発明による希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体を含む蛍光物質によって生成される。
特に良好な結果は、発光最大値が400から495nmにある青色LEDで達成される。特にオキソニトリドアルモシリケート燐光体の励起スペクトルを考慮すると、最適値は、445から465nmにあることが見出されている。
【0053】
LED−燐光体システムの色出力は、燐光体層の厚みに非常に敏感である。燐光体層が厚く、かつ過剰の琥珀色又は赤色放射希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体を含む場合には、厚い燐光体層を貫通することになる青色LED光の量は少なくなる。複合LED−燐光体システムは、燐光体の琥珀色から赤色の二次光が優勢なので、こうして琥珀色から赤色に見えることになる。従って、燐光体層の厚みは、システムの色出力に影響を与える極めて重要な変数である。
それによって生成された琥珀色から赤色光の色合い(CIE色度図のカラーポイント)は、この場合、混合物及び濃度に関する燐光体の適切な選択によって変えることができる。
この実施形態による照明システムのカラーポイントは、「Commission internationale de l’eclairage(CIE)」の色度図において琥珀色から赤色の範囲にある。
【0054】
本発明による赤色光放射照明システムは、特に好ましくは、過剰な無機蛍光物質(Ca0.95Sr0.050.98Al1.04Si0.962.960.04:Eu0.02をルミネセンス変換封入材料又は層を生成するのに使用されるシリコン樹脂と混合することによって実現することができる。462nmのInGaN発光ダイオードによって発せられた青色放射線の大半は、無機蛍光物質(Ca0.95Sr0.050.98Al1.04Si0.962.960.04:Eu0.02によって赤色スペクトル領域の中に移動される。見る者は、燐光体の残りの青色一次光と余分な二次光との組合せを赤色光として知覚する。
図3に示すように、式(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnによる組成の適切なメンバを選択した場合には、カラーポイントがx=0.58、y=0.42、及びx=0.69、y=0.31を結ぶ線上にある琥珀色から赤色LEDは、この単純な燐光体2色性概念によって実現することができる。
【0055】
第2の実施形態では、本発明による着色光放射照明システムは、有利な態様では、青色発光ダイオードによって発せられた青色放射線を補色主波長範囲に変換して多色性琥珀色又は赤色光を形成するような蛍光物質を選択することによって生成することができる。この場合、着色光は、希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体と第2の燐光体とを含む燐光体の配合物を含む蛍光物質によって生成される。
有用な第2の燐光体及びその光学特性を下表4にまとめている。
【0056】
(表4)

【0057】
本発明の更に別の態様では、本発明による琥珀色又は赤色光放射照明システムは、有利な態様では、UV放射ダイオードによって発せられたUV放射線を全体的に単色性琥珀色から赤色光に変換するような蛍光物質を選択することによって生成することができる。この場合、琥珀色から赤色光は、蛍光物質によって生成される。
第1の実施形態では、本発明による琥珀色から赤色光放射照明システムは、有利な態様では、UV光放射ダイオードによって発せられた青色放射線を補色主波長範囲に変換して2色性着色光、特に琥珀色又は赤色光を形成するような蛍光物質を選択することによって生成することができる。
この場合、着色光は、希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケート燐光体を含む蛍光物質によって生成される。
特に良好な結果は、発光最大値が370から430nmの近UVにあるUV−LEDで達成される。
【0058】
放射線源としてUV−LEDを含む照明システムの色出力は、燐光体層の厚みにあまり敏感ではない。従って、燐光体層の厚みは、システムの色出力に影響を与える極めて重要な変数ではなく、小さくすることもできる。
それによって生成された琥珀色又は赤色光の色合い(CIE色度図のカラーポイント)は、この場合、混合物及び濃度に関する燐光体の適切な選択によって変えることができる。
この実施形態による照明システムのカラーポイントは、「Commission internationale de l’eclairage(CIE)」の色度図において琥珀色から赤色のスペクトル範囲にある。
【0059】
上述の例の多くにおいては、単一の照明システムに複数の燐光体が含まれている。一部の燐光体を互いに混合させた時には、混合した燐光体間の相互作用が、装置の効率及びスペクトルに悪影響を与える場合がある。例えば、琥珀色から赤色放射燐光体は、黄色から緑色放射燐光体によって発せられた光の多くを吸収する場合がある。従って、組合せ内の燐光体に依存して、燐光体は、別々の個別の層として形成されるか、又は単一層として混合及び形成することができる。好ましい燐光体構成は、燐光体の励起及び発光スペクトル及びその用途に依存するであろう。また、燐光体構成は、例えば、CRI又はRaとして与えられる演色評価数、色域、又は発光当量のような結合スペクトルの特定の性質を最大にするように選択することができる。発光当量は、所定のスペクトルに対して可能な最大効率であり、ルーメン/Wで表される。
【0060】
図1に示す装置の変形においては、複数の燐光体は、反射体カップ内に互いに隣り合って配置された個別の層として形成することができる。例えば、黄色から緑色放射燐光体を含有するスラリが、琥珀色から赤色放射燐光体を含有するスラリと感知できるほどには混合しないように、黄色から緑色放射燐光体は、樹脂、シリコーン、又は他の透明材料と混合させて反射体カップの一方の側に配置することができ、同時に琥珀色から赤色放射燐光体を含むいずれの他の燐光体も、樹脂、シリコーン、又は他の透明材料と別々に混合して反射体カップの他方の側に配置することができる。スラリを形成する透明材料の粘性は、2つのスラリを混合させないように選択することができる。黄色から緑色放射燐光体及びいずれの他の燐光体も、同じスラリに混合されるのではなく互いに隣接しているので、黄色から緑色放射燐光体によって発せられた光は、他方のスラリ内のいずれの琥珀色から赤色放射燐光体によっても吸収される可能性は低い。
【0061】
図5は、異なる燐光体が個別の層としてLEDの上に配置された複数の燐光体を有する照明システムの代替的な実施形態を示している。いずれかの琥珀色から赤色放射燐光体を含む燐光体層40は、LED10に最も近くに配置される。黄色から緑色放射燐光体50が、次に、燐光体層40の上に配置される。燐光体層40及び50は、任意的な透明層60によって分離させることができる。燐光体層40及び50は、設計上の考慮のために又は燐光体層を形成するのに使用される技術に依存してLED10の側面を覆うように示されているが、燐光体層40及び50の一方又は両方は、LED10の上面全体を覆わなくてもよく、及び/又はLED10の側面の上に延びなくてもよい。
【0062】
燐光体層40及び50は、米国特許公開出願第2005/0269582号で説明されているようにセラミックとして形成するか、樹脂又は他の透明材料内にスラリとして堆積させるか、例えば、電子ビーム蒸発、熱的蒸発、rfスパッタリング、化学気相堆積、又は原子層エピタキシによって薄膜として堆積させるか、又は、例えば、スクリーン印刷、米国特許第6,650,044号で説明されているようなステンシル処理、又は米国特許第6,576,488号で説明されているような電気泳動堆積によってLED10の上に絶縁保護層として堆積させることができる。薄膜は、米国特許第6,696,703号でより詳細に説明されている。米国特許公開出願第2005/0269582号、米国特許第6,696,703号、米国特許第6,650,044号、及び米国特許第6,576,488号の各々は、本明細書において引用により組み込まれている。典型的に単一の大きな燐光体粒子として挙動する薄膜とは対照的に、絶縁保護層内の燐光体は、一般的に、複数の燐光体粒子として挙動する。更に、薄膜は、一般的に燐光体以外の材料を含有しない。絶縁保護層は、例えばシリカのような燐光体以外の材料を含むことが多い。燐光体層40及び50は、同じ技術で形成しなくてもよい。例えば、第1の燐光体は、LED上に配置されたセラミック層又は絶縁保護層として形成することができ、これは、次に第2の燐光体を含むスラリで被覆される。
【0063】
1つ又はそれよりも多くの2色性フィルタを装置内に含めることができる。例えば、LED10によって発せられた光を伝達するが、燐光体層40及び50によって発せられた光を反射するように設計された2色性フィルタをLED10と燐光体層40の間に含めることができる。黄色から緑色放射燐光体50と琥珀色から赤色放射燐光体40との間の層60は、琥珀色から赤色放射燐光体40によって発せられた光を伝達して黄色から緑色放射燐光体50によって発せられた光を反射するように設計された2色性フィルタとすることができる。2色性フィルタは、燐光体層40及び50によって後方散乱してそれを吸収することができるLED10に入る放射線量を少なくすることができる。
【0064】
図5の装置の代案として、チェッカーボードパターンのようなパターンを形成することができるLED上の複数の小さな領域に、黄色から緑色放射燐光体及び他の燐光体を堆積させることができる。電気泳動堆積によって燐光体の第1の層を堆積し、従来のリソグラフィ及びエッチング技術を用いてその層をパターン化し、次に電気泳動堆積によって第2の燐光体層を堆積することにより、異なる燐光体層のパターンを形成することができる。代替的に、スクリーン印刷又はインクジェット印刷によって燐光体層のパターンを堆積させることもできる。一部の実施形態では、個々の燐光体混合物を微生物学で使用される透明プラスチックマイクロプレートの井戸の中にピペットで分注して燐光体層のパターンを形成することができる。その後、燐光体充填マイクロプレートはLED上に置かれる。燐光体充填マイクロプレートは、LEDとは別に形成することができる。代替的に、1つの燐光体の複数の小さな領域をLEDの表面上に形成することができ、その後、第1の燐光体の複数の領域の上に第2の燐光体の層を堆積させることができる。
個別の層として形成した複数の燐光体を含む装置は、本明細書において引用により組み込まれている米国特許公開出願第2005/0184638号により詳細に説明されている。
【実施例】
【0065】
一実施例においては、一般式が(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREがユーロピウム(II)及びセリウム(III)から選択された希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートは、赤色光を放射するように構成され、例えば約450nmのピーク波長で青色光を放射するように構成されたLEDと、黄色光を放射するように構成されたY3Al512:Ce3+燐光体と組み合わされる。発光ダイオードからの未変換青色光は、複合光が白色に見えるように、2つの燐光体によって発せられた光と混合する。このような白色光装置は、いくつかの恩典を提供する。
【0066】
第1に、赤色放射(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnは、湿度の高い環境で使用した時にたとえ湿気対策のコーティングなしでも劣化しない。他の赤色放射燐光体は、コーティングなしの状態にされて湿度の高い環境で使用した時に量子効率が落ちる。
第2に、赤色放射(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnは、高電流で駆動されるか又は高温で作動した時に安定である。CaSのような他の赤色放射燐光体を含む装置において駆動電流が大きくなると、赤色ピークに対するスペクトル内の青色ピークの高さが高くなり、駆動電流が大きくなると燐光体の光子吸収量が少なくなり、従ってその効率が落ちることを示している。これとは対照的に、赤色放射(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnを含む白色光装置においては、赤色及び青色ピークの相対的サイズは、200℃よりも低い温度の時に1mm2装置において駆動電流が4Aまで増大する時に大きく変化しない。
【0067】
第3に、赤色放射(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnは、他の赤色放射燐光体よりも深い赤色光を放射するように構成することができ、これによって青色放射LED、赤色放射(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REn、及びY3Al512:Ce3+のような黄色放射燐光体を含む装置の演色を改善することができる。例えば、青色放射LED、赤色放射(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REn、及びY3Al512:Ce3+を含む装置は、85よりも大きい演色評価数Raと値R9とを有する光を放射し、これは、3000と3500Kの間の色温度CCTで40よりも大きい深紅色放射の量を示している。より高いRa及びR9値は、演色が優れていることを示している。これとは対照的に、「Nichia Corporaion」から販売されている「Warm White LED」は、2800Kよりも低い色温度で僅か74という演色評価数Ra及びゼロのR9値を有する光を放射し、これは、演色が不良であり、深紅色放射がほとんどないことを示している。従って、赤色放射(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REn燐光体を使用して、少なくとも80のRa及び少なくとも20のR9を有する複合光を放射する装置を作ることができる。
【0068】
第4に、赤色放射(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnは、他の燐光体と白色光放射素子に効率的に組み合わせることができる。例えば、赤色放射(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnをY3Al512:Ce3+及び青色放射LEDと組み合わせる装置は、LEDと2つの燐光体との個々のスペクトルの重ね合わせを仮定して単純なシミュレーションによって予想されものよりも高い発光当量で複合スペクトルを放射する。従って、赤色放射(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REn及びY3Al512:Ce3+の間の相互作用は、装置の予想効率を下げるものではなく、それを高める場合もある。
【0069】
一部の実施形態では、(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REn燐光体は、以下に説明する要領で合成することができる。溶剤、すなわち、合成中に高い温度で液相を形成する添加剤の使用は、合成温度を低くして粒子形態及び結晶化度を改善するための固相合成における方法である。一般的に、適切な溶剤の選択は、合成混合物から蒸発するか又は目標燐光体の結晶格子に組み込むことができる合成温度近くの融点を有する化合物に限定される。CaAlSiN3:Eu燐光体の場合は、CaF2又はSrF2の融点がそれぞれ1402℃及び1463℃であり、かつCa、Sr、及びFが容易にCaAlSiN3結晶構造に組み込まれるので、CaF2又はSrF2のような塩を使用することができる。溶剤使用に対する潜在的な欠点としては、燐光体によって発せられるスペクトルのカラーポイント変化の可能性、並びにホスト格子のフッ化物摂取による欠損の形成が含まれる。
【0070】
驚くべきことに、本発明者は、CaF2又はSrF2に加えて、それぞれ300℃及び800℃で溶融するNH4CIとNaClも溶剤として良好に機能することを発見した。両方の化合物は、CaAlSiN3の合成温度で高い蒸気圧を有するので、それらは、目標化合物の結晶格子に組み込まれず、従ってCaF2及びSrF2の潜在的な欠点を回避することができる。
例えば、(Ca0.95Sr0.05)AlSiN3:Eu(2%)は、以下のように合成された。全ての作業は、乾燥不活性ガス雰囲気内で実行される。4.099gAIN(トクヤマ、東京、日本)、4.942gCa32(ESPI、米国オレゴン州アシュランド)、0.352gEu23(「Alfa Aesar」、ドイツ、カールシュルッヒ)、4.732gSi34(「UBE Europe GmbH、ドイツ、デュッセルドルフ)、及び0.448gSrH2(「Alfa Aesar」、ドイツ、カールシュルッヒ)を秤量して瑪瑙粉砕ジャーに入れる。35mlテトラヒドロフラン(「Aldrich」、ドイツ、タウフキルヘン)及び20個の瑪瑙粉砕ボール(直径5mm)を加える。粉体は、200rpmで20分にわたって遊星ボールミルで粉砕される。乾燥混合物は、蓋付きSiCるつぼ内に移され、1300℃で4時間にわたって焼成される。予備反応粉末を回収し、1%w/w溶剤を添加し、ボール粉砕を繰り返す。溶剤を有する混合物を蓋付きSiCるつぼ内に再度移し、もう一度1600℃で4時間にわたって焼成する。最終反応生成物は、薄赤色であり、周囲空気中で安定である。それは、遊星ボールミルを使用して凝集分離され、次に、酢酸、水、及びエタノールで洗浄される。
【0071】
この調製法を使用して、A:NH4Cl、B:CaF2、C:SrF2、D:NaCl、及びE:溶剤なしの5種類の粉末が異なる溶剤を使用して得られた。表5は、5つの例に対して取得したスペクトル特性を示している。表5においては、QE450は、450nm励起時の量子効率を意味し、RQ450は、450nmでの反射率を意味し、x及びyは、「1931 CIE」色度図上の座標を意味し、LEは、ルーメン当量を意味している。特に好ましい特性(低RQ450、高QE450、高いx及び低いy色度座標など)が、サンプルA、D、及びEに認められる。例Aの良好な吸収率及び深紅色カラーポイントは、上述の実施例及び実施形態の一部に対して好ましいものである。
【0072】
(表5)
異なる溶剤を用いて調製した(Ca0.95,Sr0.05)AlSiN3:Eu(2%)粉末のスペクトル特性

【0073】
CaAlSiN3:Euに対する上述の合成技術は、高温時の化合物からのCaの損失に起因する他の技術の問題を回避することができる。Caの損失は、ホスト格子内の欠損により、得られる材料の光学特性を損なう場合がある。気体Caはまた、炉の機器を腐食する場合がある。上述の合成技術は、共に欠点を有する場合がある望ましくないほどに焼成温度を低下させず、かつ加圧炉内での合成を必要とせずに気体Caの形成を回避する。例えば、焼成温度が下がると、通常は励起波長での吸収の低下及び最終装置における光収率の低下を有する結晶性が小さくより細かい粒子をもたらす場合があり、加圧炉の機器を使用すると、一般的に生産の困難性、並びに生産及びエネルギコストが増大する。
本発明を詳細に説明したが、当業者は、本発明の開示に鑑みて本明細書で説明した革新的概念の精神から逸脱することなく本発明に対して修正を行うことができることを認めるであろう。従って、本発明の範囲は、図示して説明した特定的な実施形態に限定されることを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】LED構造体によって発せられた光の通路内に位置決めされた本発明の燐光体を含む2色性白色LEDランプの概略図である。
【図2】(Ca、RE)Al1-x+yxSil-y3-yyの結晶構造の一部分を概略で示す図である。
【図3】本発明による蛍光物質のカラーポイントと蛍光物質のカラーポイントとを有する「C.I.E.」色度図である。
【図4】(Ca0.95Sr0.050.98A11.04Si0.962.960.04:Eu0.02の励起、発光、及び反射スペクトルを示す図である。
【図5】LEDとこのLEDによって発せられた光の通路内に位置決めされた燐光体とを含む照明システムの代替的実施形態の断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 チップ型発光ダイオード
4、5 蛍光物質
6 電気端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源と、
前記放射線源が放射した光の一部を吸収して該吸収光とは異なる波長の光を放射することができる少なくとも1つの燐光体を含む蛍光物質と、
を含み、
前記少なくとも1つの燐光体は、一般式が(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREがユーロピウム(II)及びセリウム(III)から選択された希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートである、
ことを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記放射線源は、半導体発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記放射線源は、ピーク発光波長が400から495nmの範囲の発光を有する前記発光ダイオードから選択されることを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項4】
前記蛍光物質は、第2の燐光体を含むことを特徴とする請求項3に記載の照明システム。
【請求項5】
前記第2の燐光体は、0≦x≦1及び0<y≦0.2とした時のCa1-x-ySrxS:Euy、及び、0≦x≦1、0≦y≦1、及び0<z≦0.2とした時の(Sr1-x-yBaxCay2Si58:Euzの群から選択された赤色燐光体であることを特徴とする請求項4に記載の照明システム。
【請求項6】
前記第2の燐光体は、0≦x≦1及び0<y≦0.2とした時の(CaxSr1-x-y2SiO4:Euy、0≦x≦1及び0<y≦0.2とした時の(SrxBa1-x-y2SiO4:Euy、0≦x≦1及び0<y≦0.2とした時の(Sr1-x-yBax)Ga24:Euy、0≦x≦1、0<y≦0.2、0≦z≦1、及び0≦a≦0.5とした時の(Y1-x-y-zGdxLuz3(Al1-aGaa512:Cey、ZnS:Cu、CaS:Ce、Cl、及びSrSi222:Euを含む群から選択された黄色から緑色燐光体であることを特徴とする請求項4に記載の照明システム。
【請求項7】
前記放射線源は、ピーク発光波長が200から420nmのUV範囲の発光を有する前記発光ダイオードから選択されることを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項8】
前記蛍光物質は、第2の燐光体を含むことを特徴とする請求項7に記載の照明システム。
【請求項9】
前記第2の燐光体は、BaMgAl1017:Eu、Ba5SiO4(Cl、Br)6:Eu、CaLa24:Ce、(Sr、Ba、Ca)5(PO43Cl:Eu、及びLaSi35:Ceの群から選択された青色燐光体であることを特徴とする請求項8に記載の照明システム。
【請求項10】
放射線源が放射した光の一部を吸収して該吸収光とは異なる波長の光を放射することができる燐光体であって、
一般式が(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREがユーロピウム(II)及びセリウム(III)から選択された希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートである、
ことを特徴とする燐光体。
【請求項11】
イッテルビウム、プラセオジム、及びサマリウムを含む群から選択された共活性剤を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の燐光体。
【請求項12】
アルミニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ガドリニウム、及びルテチウム元素のフッ化物及び正燐酸塩と、シリコン、アルミニウム、イットリウム、及びランタンの酸化物と、アルミニウムの窒化物との群から選択されたコーティングを有することを特徴とする請求項10に記載の燐光体。
【請求項13】
第1のピーク波長を有する光を放射するように構成された半導体発光ダイオードと、
一般式が(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、REがユーロピウム(II)及びセリウム(III)から選択され、かつ前記第1のピーク波長の光を吸収して第2のピーク波長の光を放射するように構成された希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートと、
前記第1のピーク波長の光を吸収して第3のピーク波長の光を放射するように構成された燐光体と、
を含み、
前記第2のピーク波長及び前記第3のピーク波長は、前記第1のピーク波長よりも長い、
ことを特徴とする構造体。
【請求項14】
前記第1のピーク波長は、青色であり、前記第2のピーク波長は、赤色であることを特徴とする請求項13に記載の構造体。
【請求項15】
前記燐光体は、Y3Al512:Ce3+であることを特徴とする請求項13に記載の構造体。
【請求項16】
前記第1のピーク波長の光、前記第2のピーク波長の光、及び前記第3のピーク波長の光を含み、少なくとも80の演色評価数Raを有する複合光を放射することを特徴とする請求項13に記載の構造体。
【請求項17】
前記第1のピーク波長の光、前記第2のピーク波長の光、及び前記第3のピーク波長の光を含み、少なくとも20の演色評価数R9を有する複合光を放射することを特徴とする請求項13に記載の構造体。
【請求項18】
一般式が(Ca1-x-y-zSrxBayMgz1-n(Al1-a+ba)Si1-b3-bb:REnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0<b≦1、及び0.002≦n≦0.2であり、かつREがユーロピウム(II)及びセリウム(III)から選択された希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートを含む燐光体を形成する方法であって、
少なくとも1つの前駆体物質を溶剤と共に粉砕する段階と、
前記少なくとも1つの前駆体物質と前記溶剤を第1の温度で焼成する段階と、
を含み、
前記第1の温度は、室温よりも高く、
前記溶剤は、前記第1の温度で液相を形成する、
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記溶剤は、NH4Clを含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記溶剤は、CaF2、SrF2、及びNaClを含む群から選択されることを特徴とする請求項18に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−274265(P2006−274265A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−105667(P2006−105667)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(500507009)フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (197)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】