説明

放射線画像撮影システム

【課題】放射線源の放射線の照射特性に応じて放射線の照射検出に関する各種パラメータを適切に変更して検出感度を向上させることが可能な放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】放射線画像撮影システム50は、放射線画像撮影装置1と、放射線源52と、コンソール58とを備え、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行わせ、読み出したリークデータdleakが閾値dleak_thを越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出するように構成されており、コンソール58は、撮影に用いられる放射線源52の放射線の照射特性に基づいて、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出処理に関する閾値dleak_th等のパラメータを決定し、放射線画像撮影装置1に決定したパラメータを設定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムに係り、特に、放射線画像撮影装置が自ら放射線の照射を検出して放射線画像撮影を行う放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号(すなわち画像データ)に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台(或いはブッキー装置)と一体的に形成された、いわゆる専用機型として構成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等をハウジングに収納し、持ち運び可能とした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0004】
このような放射線画像撮影装置では、例えば後述する図7等に示すように、通常、複数の放射線検出素子7が、検出部P上に二次元状(マトリクス状)に配列され、各放射線検出素子7にそれぞれ薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8で形成されたスイッチ手段が接続されて構成される。
【0005】
そして、通常、放射線画像撮影は、放射線発生装置55の放射線源52(後述する図11や図12参照)から放射線画像撮影装置に対して、被験者の身体等の所定の撮影部位(すなわち胸部正面や腰椎側面等)を介した状態で放射線が照射されて行われる。
【0006】
その際、放射線画像撮影装置の走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して全てのTFT8をオフ状態とした状態で放射線を照射することで、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷が、各放射線検出素子7内に的確に蓄積される。
【0007】
そして、放射線画像撮影の後、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各TFT8を順次オン状態として、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生して蓄積された電荷を各信号線6に順次放出させて、各読み出し回路17で画像データDとしてそれぞれ読み出すように構成される。
【0008】
ところで、上記のように、放射線画像撮影が的確に行われるためには、放射線画像撮影装置に放射線が照射される際に、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxに適切にオフ電圧が印加され、スイッチ手段である各TFT8がオフ状態になることが必要となる。
【0009】
そこで、例えば従来の専用機型の放射線画像撮影装置等では、放射線発生装置との間でインターフェースを構築し、互いに信号等をやり取りして、放射線画像撮影装置が走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して電荷蓄積状態になったことを確認したうえで、放射線画像撮影装置が放射線源から放射線を照射させるように構成される場合が多い。
【0010】
しかし、例えば、放射線画像撮影装置と放射線発生装置との製造メーカーが異なっているような場合には、両者の間でインターフェースを構築することが必ずしも容易でない場合があり、或いは、インターフェースを構築できない場合もある。
【0011】
このように放射線画像撮影装置と放射線発生装置との間でインターフェースが構築されない場合、放射線画像撮影装置側から見ると、放射線源からどのようなタイミングで放射線が照射されるかが分からない。そのため、放射線源から放射線が照射されたことを、放射線画像撮影装置が自ら検出しなければならなくなる。
【0012】
そこで、近年、このような放射線画像撮影装置と放射線発生装置との間のインターフェースによらずに、放射線が照射されたことを自ら検出するように構成された放射線画像撮影装置が種々開発されている。
【0013】
例えば、特許文献4や特許文献5に記載の発明では、放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始されて各放射線検出素子7内に電荷が発生すると、各放射線検出素子7から、各放射線検出素子7に接続されているバイアス線9(後述する図7等参照)に電荷が流れ出してバイアス線9を流れる電流が増加することを利用して、バイアス線9に電流検出手段を設けてバイアス線9内を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に基づいて放射線の照射の開始等を検出することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】米国特許第7211803号明細書
【特許文献5】特開2009−219538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、本発明者らの研究で、上記の手法は、バイアス線9が各放射線検出素子7の電極に接続されているため、電流検出手段で発生したノイズがバイアス線9を介して各放射線検出素子7に伝わり、放射線検出素子7から読み出される画像データDにノイズとして重畳される場合があるなど、必ずしも解決が容易でない問題があることが分かってきた。
【0016】
そして、本発明者らは、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを検出する別の手法について種々研究を重ねた結果、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを的確に検出することが可能ないくつかの手法を見出すことができた。
【0017】
ところで、放射線画像撮影装置自体で放射線照射を検出する場合、放射線画像撮影装置自体の各処理のパラメータを適切に調整して検出感度を上げることが必要になるが、本発明者らの研究では、検出感度は、放射線画像撮影装置に放射線を照射する放射線源側の放射線の照射特性にも依存して変わり得ることが分かってきた。
【0018】
そこで、放射線画像撮影装置自体の検出感度を上げることは当然であるが、さらに、放射線源側の放射線の照射特性にあわせて、放射線画像撮影装置の検出感度が上がるように放射線画像撮影装置側の各種パラメータを適切に変更することが必要になることも分かってきた。
【0019】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、放射線源の放射線の照射特性に応じて放射線の照射検出に関する各種パラメータを適切に変更して検出感度を向上させることが可能な放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【0020】
また、上記の本発明者らが見出した新たな検出手法を用いる場合、後述するように、読み出された画像データ(或いはそれに基づく放射線画像)中に、いわゆる線欠陥(例えば後述する図30参照)が現れることが分かっているが、放射線源側の放射線の照射特性によって、発生する線欠陥の数が増える場合があることが分かってきた(例えば後述する図32参照)。
【0021】
そこで、本発明は、新たな検出手法を採用する際に、放射線源の照射特性に応じて増減する、画像データや放射線画像中に現れる線欠陥の数を低減することが可能な放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影システムは、
放射線画像撮影により画像データを取得する放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置に放射線を照射する放射線源と、前記放射線画像撮影装置を制御するコンソールとを備える放射線画像撮影システムにおいて、
前記放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
前記コンソールとの間で信号を送受信する通信手段と、
を備えるとともに、
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で、前記読み出し回路に周期的に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータの読み出し処理を繰り返し行わせ、読み出した前記リークデータが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出するように構成されており、
前記コンソールは、放射線画像撮影に用いられる前記放射線源の放射線の照射特性に基づいて、前記放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出処理に関するパラメータを決定し、前記放射線画像撮影装置に前記パラメータを設定させることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の放射線画像撮影システムは、
放射線画像撮影により画像データを取得する放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置に放射線を照射する放射線源と、前記放射線画像撮影装置を制御するコンソールとを備える放射線画像撮影システムにおいて、
前記放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
前記コンソールとの間で信号を送受信する通信手段と、
を備えるとともに、
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して前記画像データの読み出し処理を繰り返し行わせ、読み出した前記画像データが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出するように構成されており、
前記コンソールは、放射線画像撮影に用いられる前記放射線源の放射線の照射特性に基づいて、前記放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出処理に関するパラメータを決定し、前記放射線画像撮影装置に前記パラメータを設定させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明のような方式の放射線画像撮影システムによれば、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出する検出方法として、後述する検出方法1や検出方法2が採用される。
【0025】
そして、検出方法1を採用する場合も検出方法2を採用する場合も、ともに放射線画像撮影前のリークデータの読み出し処理(検出方法1の場合)や画像データの読み出し処理(検出方法2の場合)で、通常の画像データの読み出し処理と同様に読み出し回路を駆動させてリークデータや画像データを読み出し、読み出したリークデータ等に基づいて放射線画像撮影装置自体で放射線の照射が開始されたか否かを判断する。
【0026】
そのため、前述した放射線画像撮影装置に電流検出手段を設けて放射線の照射が開始されたか否かを判断する場合のように、電流検出手段で発生したノイズが各放射線検出素子に伝わって放射線検出素子から読み出される画像データにノイズが重畳される等の問題が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0027】
また、検出方法1を採用する場合も検出方法2を採用する場合も、いずれの場合も、放射線画像撮影装置に放射線を照射する放射線源側の放射線の照射特性に対応して、放射線画像撮影装置における放射線の照射検出に関する各種パラメータを適切に変更することが可能となる。
【0028】
そのため、放射線源側の放射線の照射特性に応じて、放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出処理の検出感度を的確に向上させることが可能となる。また、放射線源側の放射線の照射特性に応じて、放射線画像撮影装置における放射線の照射検出に関する各種パラメータが適切に変更されるため、上記の検出方法1や検出方法2を採用する場合に、不可避的に発生する、画像データや放射線画像中に現れる線欠陥の数を的確に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線に沿う断面図である。
【図3】放射線画像撮影装置のコネクタにケーブルのコネクタを接続した状態を表す斜視図である。
【図4】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図5】図4の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。
【図6】フレキシブル回路基板やPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図8】検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【図9】各放射線検出素子のリセット処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図10】画像データの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図11】撮影室等に構築された放射線画像撮影システムの構成を示す図である。
【図12】回診車上に構築された放射線画像撮影システムの構成を示す図である。
【図13】TFTを介して各放射線検出素子からリークした各電荷がリークデータとして読み出されることを説明する図である。
【図14】リークデータの読み出し処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図15】放射線画像撮影前にリークデータの読み出し処理と各放射線検出素子のリセット処理を交互に行うように構成した場合の電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図16】検出方法1において各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図17】読み出されるリークデータを時系列的にプロットしたグラフである。
【図18】検出方法2において放射線画像撮影前に画像データの読み出し処理が繰り返し行われる際の各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングを表すタイミングチャートである。
【図19】放射線画像撮影前に画像データの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングおよびオン時間ΔTを表すタイミングチャートである。
【図20】検出方法2において各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図21】図16において放射線の照射開始の検出後もリークデータの読み出し処理を続行するように構成した場合のタイミングチャートである。
【図22】放射線の照射が終了するとリークデータが減少することを示すグラフである。
【図23】放射線画像撮影装置に照射野が絞られた放射線が照射された場合を表す図である。
【図24】各読み出し回路で読み出されたリークデータの読み出しICごとの平均値の時間的推移の例を表すグラフである。
【図25】放射線源の放射線の照射特性としての立ち上がり時間Δtを説明するグラフである。
【図26】放射線源の放射線の照射特性としての放射線の強度の波形を示すグラフであり、(A)は直流状になる場合、(B)は交流状になる場合を表す。
【図27】放射線源の放射線の照射特性としての放射線の強度の波形を示すグラフであり、(A)は放射線源が外部から電力の供給を受ける場合、(B)はバッテリが内蔵されている場合を表す。
【図28】図15においてパルス信号の送信間隔を長くした場合の電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図29】図20においてオン時間を長くした場合に各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図30】画像データや放射線画像中に生じた線欠陥を表す図である。
【図31】照射開始の検出が遅れて複数の走査線にオン電圧が印加された後で放射線の照射開始が検出される場合の各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングの例を表すタイミングチャートである。
【図32】図30の線欠陥が連続して現れた状態を表す図である。
【図33】コンソール上に表示される放射線源の放射線の照射特性に関する選択画面を表す図である。
【図34】図33の選択画面で特定された照射特性の組み合わせに対応する各パラメータの値が表示された状態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0031】
なお、以下では、放射線画像撮影システムで用いられる放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0032】
[放射線画像撮影装置]
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影システムで用いられる放射線画像撮影装置1について説明する。
【0033】
図1は、放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等で構成されるセンサパネルSPが収納されている。
【0034】
本実施形態では、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、ハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。なお、筐体2をこのようないわゆるモノコック型として形成する代わりに、例えば、フロント板とバック板とで形成された、いわゆる弁当箱型とすることも可能である。
【0035】
また、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクタ39、バッテリ状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケータ40等が配置されている。
【0036】
本実施形態では、コネクタ39は、例えば図3に示すように、ケーブルCの先端に設けられたコネクタCが接続されることにより、例えば後述するコンソール58(図11や図12参照)等との間でケーブルCを介して信号等を送受信したりコンソール58に画像データD等を送信したりする際の有線方式の通信手段として機能するようになっている。なお、コネクタ39の設置位置は蓋部材2Bに限定されず、放射線画像撮影装置1の適宜の位置に設置することが可能である。
【0037】
また、図示を省略するが、例えば筐体2の反対側の蓋部材2C等に、アンテナ装置41(後述する図7参照)が例えば蓋部材2Cに埋め込む等して設けられており、本実施形態では、このアンテナ装置41が、放射線画像撮影装置1とコンソール58等との間で信号等の無線方式で送受信する場合の通信手段として機能するようになっている。
【0038】
なお、アンテナ装置41の設置位置は蓋部材2Cに限定されず、放射線画像撮影装置1の任意の位置にアンテナ装置41を設置することが可能である。また、設置するアンテナ装置41は1個に限らず、複数設けることも可能である。
【0039】
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリ24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレータ3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されている。また、本実施形態では、センサパネルSPと筐体2の側面との間に、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材35が設けられている。
【0040】
シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに対向する位置に設けられるようになっている。本実施形態では、シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0041】
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図4に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0042】
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0043】
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0044】
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレータ3で放射線から変換された可視光等の電磁波が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させる。放射線検出素子7は、このようにして、照射された放射線(本実施形態ではシンチレータ3で放射線から変換された電磁波)を電荷に変換するようになっている。
【0045】
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を蓄積させるようになっている。
【0046】
本実施形態では、図5に示すように、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、図4に示すように、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
【0047】
本実施形態では、図4に示すように、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう。)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、後述する走査駆動手段15のゲートドライバ15bを構成するゲートIC15c等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0048】
そして、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサパネルSPが形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0049】
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図8は検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【0050】
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極7bにそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれバイアス電圧を印加するようになっている。また、バイアス電源14は、後述する制御手段22に接続されており、制御手段22により、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧が制御されるようになっている。
【0051】
図7や図8に示すように、本実施形態では、バイアス電源14からは、放射線検出素子7の第2電極7bにバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極7a側にかかる電圧以下の電圧(すなわちいわゆる逆バイアス電圧)が印加されるようになっている。
【0052】
走査駆動手段15は、配線15dを介してゲートドライバ15bにオン電圧とオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバ15bとを備えている。本実施形態では、ゲートドライバ15bは、複数の前述したゲートIC15c(図6参照)が並設されて構成されている。
【0053】
なお、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理の際の、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxへのオン電圧の印加等については、後で説明する。
【0054】
図7や図8に示すように、各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサ21は省略されている。
【0055】
本実施形態では、増幅回路18は、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサ18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続され、オペアンプ18a等に電力を供給する電源供給部18dを備えたチャージアンプ回路で構成されている。増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位Vが印加されるようになっている。なお、基準電位Vは適宜の値に設定され、本実施形態では、例えば0[V]が印加されるようになっている。
【0056】
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっている。また、オペアンプ18aと相関二重サンプリング回路19との間には、電荷リセット用スイッチ18cと連動して開閉するスイッチ18eが設けられており、スイッチ18eは、電荷リセット用スイッチ18cがオン/オフ動作と連動してオフ/オン動作するようになっている。
【0057】
放射線画像撮影装置1で、各放射線検出素子7内に残存する電荷を除去するための各放射線検出素子7のリセット処理を行う際には、図9に示すように、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態(およびスイッチ18eがオフ状態)とされた状態で、各TFT8がオン状態とされる。
【0058】
すると、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出され、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを通過して、オペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出す。このようにして、各放射線検出素子7のリセット処理が行われるようになっている。
【0059】
一方、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理の際には、図10に示すように、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態(およびスイッチ18eがオン状態)とされた状態で、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出されると、電荷が増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積される。
【0060】
そして、増幅回路18では、コンデンサ18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるようになっており、増幅回路18により、各放射線検出素子7から流出した電荷が電荷電圧変換されるようになっている。
【0061】
そして、増幅回路18の出力側に設けられた相関二重サンプリング回路(CDS)19は、各放射線検出素子7から電荷が流出する前に制御手段22からパルス信号Sp1(図10参照)が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持し、上記のように各放射線検出素子7から流出した電荷が増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積された後に制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0062】
そして、相関二重サンプリング回路19は、2回目のパルス信号Sp2で電圧値Vfiを保持すると、電圧値の差分Vfi−Vinを算出し、算出した差分Vfi−Vinをアナログ値の画像データDとして下流側に出力するようになっている。そして、相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データDは、アナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換されて記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
【0063】
なお、1回の画像データDの読み出し処理が終了すると、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされ(図10参照)、コンデンサ18bに蓄積された電荷が放電されて、上記と同様に、放電された電荷がオペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出す等して、増幅回路18がリセットされる。
【0064】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、図7等に示すように、制御手段22には、DRAM(Dynamic RAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。
【0065】
また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するためのバッテリ24が接続されている。また、バッテリ24には、図示しない充電装置からバッテリ24に電力を供給してバッテリ24を充電する際の接続端子25が取り付けられている。
【0066】
前述したように、制御手段22は、バイアス電源14を制御してバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を設定したり可変させたりするなど、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作を制御するようになっている。
【0067】
なお、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出等については、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50について説明した後で説明する。
【0068】
[放射線画像撮影システム]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影システムについて説明する。図11や図12は、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成を示す図である。
【0069】
図11は、病院等の撮影室R1や前室(操作室等ともいう。)R2等に放射線画像撮影システム50が構築された場合を示す図であり、図12は、放射線画像撮影システム50が病室R3に搬入される回診車71上に構築された場合を示す図である。なお、図12において、Hは被写体である被験者を表し、Bは被験者が横臥するベッドBを表す。
【0070】
以下、図11に示すように、放射線画像撮影システム50が、撮影室R1等に構築された場合について主に説明するが、図12に示した回診車71上に構築された場合についても同様に説明される。
【0071】
図11に示すように、撮影室R1には、ブッキー装置51が設置されており、ブッキー装置51は、そのカセッテ保持部(カセッテホルダともいう。)51aに上記の放射線画像撮影装置1を装填して用いることができるようになっている。
【0072】
なお、図11では、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bが設置されている場合が示されているが、例えば、立位撮影用のブッキー装置51Aのみ、或いは、臥位撮影用のブッキー装置51Bのみが設けられていてもよい。
【0073】
放射線画像撮影装置1をブッキー装置51に装填する際に、例えば前述した図3に示したように、放射線画像撮影装置1のコネクタ39に、ブッキー装置51から延設されたケーブルCaの先端に設けられたコネクタCを接続した状態で装填するように構成することが可能である。
【0074】
なお、この場合、放射線画像撮影装置1は、コネクタ39やケーブルCaを介してコンソール58との間で有線方式で信号の送受信等を行ったりコンソール58への画像データDの送信等を行うことが可能となることは前述した通りである。
【0075】
また、図12に示したように、放射線画像撮影システム50を回診車71上に構築した場合、図18に示したように放射線画像撮影装置1にケーブルCaを接続した状態で撮影を行ってもよいが、ケーブルCaが放射線技師等の撮影動作の邪魔になるような場合には、放射線画像撮影装置1にケーブルCaを接続しない状態で撮影が行われる。
【0076】
撮影室R1には、図11に示すように、被写体を介してブッキー装置51に装填された放射線画像撮影装置1に放射線を照射する放射線源52が少なくとも1つ設けられている。本実施形態では、放射線源52の位置を移動させたり、放射線の照射方向を変えることで、1つの放射線源52で、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bのいずれにも放射線を照射することができるようになっている。
【0077】
一方、回診車71上に構築された放射線画像撮影システム50では、図12に示すように、放射線画像撮影装置1はブッキー装置51には装填されず、いわば単独の状態で用いられる。そして、例えば、患者Hが病室R3のベッドBから起き上がれず、撮影室R1に行くことができないような場合に、図12に示すように放射線画像撮影装置1をベッドBと患者の身体との間に差し込んだり患者の身体にあてがったりして用いることができるようになっている。
【0078】
また、放射線画像撮影装置1を病室R3等で用いる場合、前述した撮影室R1に据え付けられた放射線発生装置55や放射線源52を病室R3に持ち込むことができないため、図12に示すように、放射線発生装置55が例えば回診車71に搭載される等して病室R3に持ち込まれる。
【0079】
そして、この場合、放射線源52Pは任意の方向に放射線を照射できるように構成される。そして、ベッドBと患者の身体との間に差し込まれたり患者の身体にあてがわれたりした放射線画像撮影装置1に対して、適切な距離や方向から放射線を照射するように調整される。
【0080】
なお、図11に示したように、撮影室R1内においても、放射線画像撮影装置1を、例えば臥位撮影用のブッキー装置51B上に横臥した患者の身体と臥位撮影用のブッキー装置51Bとの間に差し込んだり、臥位撮影用のブッキー装置51B上で患者の身体にあてがったりして用いることも可能である。そして、この場合、放射線源52としては、ポータブルの放射線源を用いることも可能であり、また、撮影室R1に据え付けられた放射線源52を用いることも可能である。
【0081】
図11に示すように、撮影室R1には、撮影室R1内の各装置等や撮影室R1外の各装置等の間の通信等を中継するための中継器(基地局等ともいう。)54が設けられている。なお、本実施形態では、中継器54には、放射線画像撮影装置1が無線方式で画像データDや信号等の送受信を行うことができるように、無線アンテナ(アクセスポイント等ともいう。)53が設けられている。
【0082】
また、中継器54は、放射線発生装置55やコンソール58と接続されており、中継器54には、放射線画像撮影装置1やコンソール58等から放射線発生装置55に送信するLAN通信用の信号等を放射線発生装置55用の信号等に変換し、また、その逆の変換も行う図示しない変換器が内蔵されている。
【0083】
なお、図12に示した回診車71上に構築された放射線画像撮影システム50では、放射線発生装置55内に、或いは外付けで、LAN通信用の信号等を放射線発生装置55用の信号等に変換し、その逆の変換も行う図示しない変換器が設けられており、この変換器に無線アンテナ53が取り付けられている。
【0084】
前室(操作室ともいう。)R2には、本実施形態では、放射線発生装置55の操作卓57が設けられており、操作卓57には、放射線技師等が操作して放射線発生装置55に対して放射線の照射開始等を指示するための曝射スイッチ56が設けられている。そして、本実施形態では、放射線技師等が曝射スイッチ56を操作することで放射線源52から放射線が照射されるようになっている。
【0085】
図12に示した回診車71上に構築された放射線画像撮影システム50では、回診車71に搭載された放射線発生装置55が操作卓57の役割も果たしており、放射線発生装置55に、図12では図示を省略した曝射スイッチ56が取り付けられている。
【0086】
放射線発生装置55は、このほか、放射線源52から適切な線量の放射線が照射されるように、放射線源52に所定の管電流や管電圧を供給したり放射線源52からの放射線の照射時間を調整する等して、放射線源52を制御するようになっている。
【0087】
本実施形態では、コンピュータ等で構成されたコンソール58が、図11の場合には前室R2に設けられており、図12の場合には、回診車71に搭載されている。なお、図11の場合に、コンソール58を撮影室R1や前室R2の外側や別室等に設けるように構成することも可能であり、コンソール58の設置場所は適宜決められる。
【0088】
本実施形態では、コンソール58には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成される表示部58a(図12では図示省略)が設けられており、また、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶手段59(図12では図示省略)が接続、或いは内蔵されている。
【0089】
コンソール58は、放射線画像撮影装置1から画像データD等が送信されてくると、それに基づいて表示部58a上にプレビュー画像を表示するようになっている。そして、放射線技師等は、表示されたプレビュー画像を見て、画像中に被写体が撮影されているかや画像中での被写体の撮影位置が適切であるか等を確認して、再撮影の要否等を判断するようになっている。
【0090】
また、コンソール58は、放射線技師等により再撮影の必要がないと判断された場合には、画像データDにオフセット補正やゲイン補正、欠陥画素補正、階調処理等の所定の画像処理を行って放射線画像を生成するようになっている。
【0091】
なお、本実施形態では、コンソール58は、放射線画像撮影装置1が施設に導入された際や、各放射線画像撮影の開始前に、コンソール58で放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出処理に関する各パラメータを決定して放射線画像撮影装置1に設定するようになっているが、この点については、後で詳しく説明する。
【0092】
[放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出について]
本実施形態では、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55との間でインターフェースが構築されず、放射線画像撮影装置1自体で放射線源52から放射線が照射されたことを検出するようになっている。以下、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1で行われる放射線の照射開始の検出の仕方について説明する。
【0093】
なお、本実施形態に係る検出方法は、本発明者らの研究により新たに見出された検出方法であり、前述した特許文献4や特許文献5に記載されているように、装置内に電流検出手段を設けて電流検出手段からの出力値に基づいて放射線の照射開始等を検出する手法は採用されず、例えば、下記の2つの検出方法のいずれかが採用されるようになっている。
【0094】
[検出方法1]
例えば、放射線画像撮影において放射線画像撮影装置1に放射線が照射される前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成することも可能である。
【0095】
ここで、リークデータdleakとは、図13に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で、オフ状態になっている各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qの信号線6ごとの合計値に相当するデータである。
【0096】
そして、リークデータdleakの読み出し処理では、図14に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で、制御手段22から各読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19(図7、8のCDS参照)にパルス信号Sp1、Sp2を送信する。
【0097】
相関二重サンプリング回路19は、制御手段22からパルス信号Sp1が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する。そして、増幅回路18のコンデンサ18bに各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qが蓄積されて増幅回路18から出力される電圧値が上昇し、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、相関二重サンプリング回路19は、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0098】
そして、相関二重サンプリング回路19が電圧値の差分Vfi−Vinを算出して出力した値が、リークデータdleakとなる。リークデータdleakが、その後、A/D変換器20でデジタル値に変換されることは、前述した画像データDの読み出し処理の場合と同様である。
【0099】
しかし、リークデータdleakの読み出し処理のみを繰り返し行うように構成すると、各TFT8がオフ状態のままとなってしまい、各放射線検出素子7内で発生した暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積され続ける状態になってしまう。
【0100】
そのため、上記のように、放射線画像撮影前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成する場合には、図15に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で行うリークデータdleakの読み出し処理と、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行うように構成することが望ましい。なお、図15や後述する図16等のTやτについては後で説明する。
【0101】
このように放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返して行うように構成した場合、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷q(図13参照)がそれぞれ増加する。
【0102】
そのため、例えば図16に示すように、その時点で読み出されたリークデータdleak(図16では走査線5のラインL4にオン電圧が印加されてリセット処理が行われた後の4回目の読み出し処理で読み出されたリークデータdleak)が、図17に示すように、それ以前に読み出されたリークデータdleakよりも格段に大きな値になる(図17の時刻t1参照)。なお、図16において「R」は各放射線検出素子7のリセット処理を表し、「L」はリークデータdleakの読み出し処理を表す。
【0103】
そこで、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されたリークデータdleakを監視するように構成し、読み出されたリークデータdleakが、例えば予め設定された所定の閾値dleak_th(図17参照)を越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。
【0104】
そして、この場合、制御手段22は、上記のようにして、放射線の照射が開始されたことを検出すると、図16に示したように、その時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して、ゲートドライバ15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にして、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
【0105】
そして、例えば放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後、制御手段22は、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点またはその直前にオン電圧が印加された走査線5(図16の場合は走査線5のラインL4)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図16の場合は走査線5のラインL5)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、本画像としての画像データDの読み出し処理を行うように構成される。
【0106】
なお、図16では、本画像としての画像データDの読み出し処理を、放射線の照射開始を検出した時点でオン電圧が印加された走査線5のラインLnの次にラインLn+1からオン電圧の印加を開始して行う場合を示したが、例えば、走査線5の最初のラインL1等からオン電圧の印加を開始して画像データDの読み出し処理を行うように構成することも可能である。
【0107】
[検出方法2]
また、上記の検出方法1のように、放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理を行うように構成する代わりに、放射線画像撮影前に、図18に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7からの画像データdの読み出し処理を繰り返し行うように構成することも可能である。
【0108】
なお、撮影直後に行われる上記の本画像としての画像データDと区別して、以下、この放射線画像撮影前に放射線の照射開始の検出用に読み出される画像データを画像データdという。また、図18中において、1フレームとは、検出部P(図4や図7参照)上に二次元状に配列された1面分の各放射線検出素子7から画像データdの読み出し処理を行う期間をいう。
【0109】
また、画像データdの読み出し処理における読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフや、相関二重サンプリング回路19へのパルス信号Sp1、Sp2の送信等は、図19に示すように、図10に示した画像データDの読み出し処理における処理と同様に行われる。なお、図19におけるΔTについては後で説明する。
【0110】
上記のように放射線画像撮影前に画像データdの読み出し処理を行うように構成した場合、図20に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、その時点で読み出された画像データd(図20では走査線5のラインLnにオン電圧が印加されて読み出された画像データd)が、前述した図17に示したリークデータdleakの場合と同様に、それ以前に読み出された画像データdよりも格段に大きな値になる。
【0111】
そこで、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線画像撮影前の読み出し処理で読み出された画像データdを監視するように構成し、読み出された画像データdが予め設定された所定の閾値dthを越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。
【0112】
そして、この場合、制御手段22は、上記のようにして、放射線の照射が開始されたことを検出すると、図20に示すように、その時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して、ゲートドライバ15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にして、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
【0113】
そして、例えば放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後、制御手段22は、放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点またはその直前にオン電圧が印加された走査線5(図20の場合は走査線5のラインLn)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図20の場合は走査線5のラインLn+1)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、本画像としての画像データDの読み出し処理を行うように構成される。
【0114】
なお、図20に示した場合においても、本画像としての画像データDの読み出し処理を、例えば走査線5の最初のラインL1等からオン電圧の印加を開始して行うように構成することが可能である。
【0115】
[放射線の照射終了の検出について]
例えば、上記の検出方法1において、図16に示したように、放射線の照射が開始されたことを検出した後、各走査線5にオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理は停止して電荷蓄積状態に移行するが、その際、例えば図21に示すように、電荷蓄積状態で、各走査線5にオフ電圧を印加して行うリークデータdleakの読み出し処理を続行するように構成して、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射の終了を検出するように構成することも可能である。
【0116】
放射線の照射開始検出後、リークデータdleakの読み出し処理を続行するように構成すると、電荷蓄積状態では既に放射線の照射が開始されているため、図22に示すように、読み出されるリークデータdleakは大きな値になっているが、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が終了すると、リークデータdleakは元の小さな値に戻る。
【0117】
そのため、例えば時刻t2でリークデータdleakが閾値dleak_th以下の値になったことをもって放射線の照射が終了したことを検出することが可能となる。なお、この場合の閾値dleak_thは、上記の検出方法1で放射線の照射開始を検出する際の閾値と同じ値dleak_thであってもよく、別の値として設定することも可能であるが、この点については後で説明する。
【0118】
また、図22では、時刻t2で放射線の照射の終了を検出した後もリークデータdleakの読み出し処理を引き続き行ってリークデータdleakを読み出す場合が示されているが、実際には、下記のように、放射線の照射の終了を検出するとリークデータdleakの読み出し処理は停止される。
【0119】
図22に示したように、リークデータdleakが閾値dleak_th以下の値になり、放射線の照射が終了したことが検出された時点(図21では「A」参照。図22の時刻t2に対応する。)で、各走査線5へのオン電圧の順次の印加を開始して本画像としての画像データDの読み出し処理を開始するように構成することが可能となる。
【0120】
このように構成すれば、図21に示したように、放射線の照射の終了を検出した後、すぐに画像データDの読み出し処理を開始することが可能となり、画像データDの読み出し処理以降の処理を早期に行うことが可能となるといった利点がある。
【0121】
なお、この電荷蓄積状態においてリークデータdleakの読み出し処理を行って放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射の終了を検出する手法を、上記の検出方法2で行うように構成することも可能である。
【0122】
[改良された放射線の照射開始の検出方法について]
ところで、上記の検出方法1、2は、以下のように改良することができる。なお、以下では、前述した検出方法1、すなわち放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理を行い、読み出したリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始を検出する場合について説明するが、上記の検出方法2についても同様にあてはまる。
【0123】
上記の検出方法1を採用して放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始を検出するように構成する場合、放射線画像撮影装置1の検出部P(図4や図7等参照)には、通常、数千本から数万本の信号線6が配線されており、各信号線6にそれぞれ読み出し回路17が設けられているため、1回のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されるリークデータdleakの数は、数千個から数万個の数になる。
【0124】
そして、それらの全てのリークデータdleakについて、上記のように閾値を越えたか否かを判断する処理を各読み出し処理ごとに行うように構成すると、処理が重くなり、リアルタイムで放射線の照射開始を検出することができなくなる虞れがある。そこで、以下のような検出手法を採用することが可能である。
【0125】
[検出手法A]
読み出しIC16(図7参照)内には、例えば、128個や256個の読み出し回路17が形成されている。すなわち、1個の読み出しIC16には、128本や256本の信号線6が接続されている。そして、1回のリークデータdleakの読み出し処理で、1個の読み出しIC16から各信号線6ごとに128個や256個のリークデータdleakが読み出される。
【0126】
いま、仮に信号線6が4096本設けられており、1個の読み出しIC16に256個の読み出し回路17が設けられている(すなわち256本の信号線6が接続されている)とすると、読み出しIC16の数は、全部で4096÷256=16個になる。
【0127】
そこで、例えば、1回のリークデータdleakの読み出し処理で1つの読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの合計値や平均値、中間値、最大値等(以下、これらを代表して平均値という。)を算出し、各読み出しIC16について算出したリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)が、それぞれ閾値を越えたか否かを判断するように構成することが可能である。
【0128】
なお、平均値dleak_ave(z)中のzは、読み出しIC16の番号であり、上記の例では、読み出しIC16は16個設けられているため、zは1から16までの値をとる。
【0129】
この検出手法Aのように構成すれば、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記の例で言えば、1回のリークデータdleakの読み出し処理で読み出される4096個のリークデータdleakについて各々閾値を越えたか否かを判断する必要がなくなり、各読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの16個の平均値dleak_ave(z)について閾値を越えたか否かを判断するだけで済む。そのため、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始の判断処理が軽くなる。
【0130】
[検出手法B]
また、さらに判断処理を軽くするために、制御手段22で、1回のリークデータdleakの読み出し処理で1つの読み出しIC16から出力されたリークデータdleakから算出した16個の平均値dleak_ave(z)の中から最大値を抽出し、リークデータdleakの平均値dleak_ave(z)の最大値が閾値を越えたか否かを判断するように構成することも可能である。
【0131】
しかし、この場合、各読み出しIC16内の各読み出し回路17におけるデータの読み出し効率が問題になる場合がある。
【0132】
すなわち、各読み出し回路17(図7等参照)のデータの読み出し効率は、通常、各読み出し回路17ごとに異なり、各放射線検出素子7から信号線6にリークする電荷qの合計値(図13参照)が信号線6ごとに同じであったとしても、他の読み出し回路17よりも常に大きな値のリークデータdleakを読み出す読み出し回路17もあれば、他の読み出し回路17よりも常に小さな値のリークデータdleakを読み出す読み出し回路17もある。
【0133】
このような状況において、例えば図23に示すように、放射線画像撮影装置1に対して照射野Fが絞られた状態で放射線が照射され、他の読み出し回路17よりも常に大きな値のリークデータdleakを読み出す読み出し回路17に接続されている信号線6aが照射野F外に存在する場合を考える。
【0134】
このような場合、図24に示すように、照射野F内に存在する信号線6に接続されている読み出し回路17を含む読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)(図中のγ参照)が放射線の照射により上昇しても、照射野F外に存在する信号線6aに接続されている読み出し回路17を含む読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)(図中のδ参照)を越えない場合が生じ得る。
【0135】
そして、このような場合、1回のリークデータdleakの読み出し処理で1つの読み出しIC16から出力されたリークデータdleakから算出した16個の平均値dleak_ave(z)の中から最大値を抽出すると、図中δで示されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)が抽出されるが、抽出されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)は放射線の照射によっても変動しないため、結局、閾値を越えなくなり、放射線の照射を検出することができなくなる。
【0136】
そこで、このような問題を回避するために、例えば、各読み出し処理ごとに各読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)の移動平均を、読み出しIC16ごとに算出するように構成することが可能である。
【0137】
すなわち、1回のリークデータdleakの読み出し処理ごとに読み出しIC16から出力されるリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)を算出するごとに、当該読み出し処理の直前の読み出し処理を含む所定回数分の過去の各読み出し処理の際に算出された、読み出しIC16ごとのリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)の平均(すなわち移動平均)を算出するように構成する。
【0138】
そして、読み出しIC16ごとに、今回の読み出し処理で算出したリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)と、算出した移動平均との差分Δdを算出するように構成することが可能である。
【0139】
そして、制御手段22で、1回のリークデータdleakの読み出し処理で読み出しIC16から出力されたリークデータdleakから算出した平均値dleak_ave(z)と、それぞれに対応する移動平均との差分Δdを、各読み出しIC16ごとにそれぞれ算出し、算出した差分Δd(上記の例では16個の差分Δd)の中から最大値を抽出し、差分Δdの最大値が閾値を越えたか否かを判断するように構成することが可能である。
【0140】
このように構成すれば、読み出しIC16内に設けられた読み出し回路17ごとに読み出し効率にばらつきがあったとしても、同じ読み出し効率で読み出されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)と移動平均との差分Δdを算出することで、読み出し効率によるばらつきが相殺される。
【0141】
そのため、上記差分Δdが、読み出しIC16ごとに、純粋にリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)が過去のデータから増加したか否かのみを反映する値になり、それに基づいて放射線の照射開始を検出するように構成することで、図24に示したような問題が発生することを的確に防止することが可能となる。
【0142】
[検出手法C]
また、制御手段22で、1回のリークデータdleakの読み出し処理で1つの読み出しIC16から出力されたリークデータdleakから算出した16個の平均値dleak_ave(z)と、それぞれに対応する移動平均との差分Δdをそれぞれ算出するが、算出した差分Δdの中から最大値だけでなく最小値も抽出し、差分Δdの最大値と最小値との差が、閾値を越えたか否かを判断するように構成することも可能である。
【0143】
[検出手法D]
また、放射線源52(図11や図12参照)から照射される放射線の線量が非常に小さい場合、上記の検出手法A〜Cに従って算出する読み出しIC16ごとのリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)(検出手法A)や、読み出しIC16ごとのリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)と移動平均との差分Δd(検出手法B)、或いは差分Δdの最大値と最小値との差(検出手法C)が小さく、放射線が照射されてもそれらの値が閾値を越えない場合があり得る。
【0144】
そこで、例えば、読み出しIC16ごとに、リークデータdleakの平均値dleak_ave(z)と移動平均との差分Δdの時間的な積分値(すなわち積算値)を算出し、この積分値が閾値を越えたか否かを判断するように構成することも可能である。
【0145】
このように構成すると、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されないうちは、リークデータdleakの平均値dleak_ave(z)がゆらいで移動平均よりも大きくなったり小さくなったりするため、それらの差分Δdの積分値は0に近い値で推移する。しかし、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、リークデータdleakの平均値dleak_ave(z)は移動平均よりも大きな値になるため、それらの差分Δdは、正の値になる場合が多くなる。
【0146】
そのため、上記のように構成すれば、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されないうちは積分値が閾値を越えることはないが、放射線の照射が開始されると、積分値が増加していき、閾値を越えるようになる。そのため、上記のように構成することで、放射線源52から放射線画像撮影装置1に照射される放射線の線量が非常に小さい場合でも、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始を的確に検出することが可能となる。
【0147】
なお、上記の検出手法A〜Dのいずれか1つの検出手法を採用するように構成することも可能である。また、例えば、検出手法A〜Dのうちの複数の手法或いは全ての手法を併用して行うように構成し、いずれか1つの検出手法で放射線の照射開始が検出された場合に、制御手段22が放射線の照射が開始されたと判断するように構成することも可能である。
【0148】
[放射線源の放射線の照射特性について]
本実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、上記のようにして、装置自体で放射線の照射が開始されたこと(および放射線の照射が終了したこと)を検出するようになっている。
【0149】
一方、前述したように、本発明者らの研究によれば、このような検出方法を採用する場合、検出感度が、放射線画像撮影装置1に放射線を照射する放射線源52(図11や図12参照)側の放射線の照射特性にも依存して変わり得る。また、本実施形態に係る検出方法を採用する場合、読み出された画像データD(或いはそれに基づく放射線画像)中に、いわゆる線欠陥(例えば後述する図30参照)が現れるが、放射線源52の照射特性によって、発生する線欠陥の数が増える場合があることも分かってきた(例えば後述する図32参照)。
【0150】
そこで、本発明者らが研究した結果、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出方法の検出感度や、線欠陥の発生数に影響し得る放射線源52の照射特性として、(A)放射線源52から照射される放射線の強度I(或いは単位時間当たりの照射線量(線量率ともいう。)。以下同じ)が所定の値になるまでの立ち上がり時間、(B)放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形、(C)放射線源52に供給し得る最大管電流が挙げられることが分かった。
【0151】
(A)の立ち上がり時間とは、例えば図25に示すように、放射線技師等により曝射スイッチ56(図11等参照)が操作されて放射線発生装置55から放射線源52に照射開始が指示された時刻t3から、放射線源52から照射される放射線の強度Iが増加して当該撮影について設定された所定の強度Iになる時刻t4までの時間Δtをいう。
【0152】
この立ち上がり時間Δtは放射線源52によって異なり、個々の放射線源52ごとに予め立ち上がり時間Δtが分かっている。そして、放射線源52によっては、1[ms]以下で立ち上がるものや、2〜5[ms]で立ち上がるものもあり、放射線源52によっては、立ち上がり時間Δtが10[ms]以上になるものもある。
【0153】
(B)の放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形には、少なくとも2つの意味があり、1つめの意味として、例えば図26(A)、(B)に示すように、放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形が、直流状になるもの(図26(A)参照)と、交流状になるもの(図26(B)参照)とで分けることができる。
【0154】
同じ所定の強度Iの放射線を照射する場合、図26(A)と図26(B)とを見比べて分かるように、放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形が直流状になる場合(図26(A)参照)の方が、強度Iの波形が交流状になる場合(図26(B)参照)に比べて、放射線源52から放射線画像撮影装置1に照射される放射線のエネルギが大きくなる。
【0155】
そのため、同じ所定の強度Iの放射線を照射する場合でも、放射線画像撮影前に読み出されるリークデータdleak(検出方法1の場合)や画像データd(検出方法2の場合)は、放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形が直流状になる場合(図26(A)参照)の方が大きくなる。
【0156】
(B)の放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形に関する2つめの意味として、放射線源52が、外部から電力の供給を受ける場合と、バッテリが内蔵されている場合とで分けることも可能である。
【0157】
放射線源52が外部から電力の供給を受ける場合には、放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形は、通常、図27(A)に示すように、照射終了までほぼ一定の強度すなわち上記の所定の強度Iを保つが、バッテリが内蔵されている放射線源52の場合には、放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形が、図27(B)に示すように、一旦所定の強度Iまで上昇した後、下降していくような波形になる場合がある。
【0158】
(C)の放射線源52に供給し得る最大管電流は、改めて図示するまでもなく、最大管電流が大きくなるほど放射線源52から照射される放射線の所定の強度Iが大きくなり、最大管電流が小さくなれば、放射線源52から照射される放射線の所定の強度Iは小さくなる。
【0159】
[検出感度を上げるためのパラメータの設定処理等について]
このように、放射線源52は、種々の照射特性を有するものであり、その照射特性に応じて、放射線画像撮影装置1での上記の放射線の照射開始の検出処理における検出感度が変わる。
【0160】
そのため、本実施形態では、コンソール58は、放射線画像撮影に用いられる放射線源52の放射線の照射特性に基づいて、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出処理に関するパラメータを決定し、放射線画像撮影装置1におけるパラメータを、コンソール58が決定したパラメータに設定させるようになっている。
【0161】
この処理は、例えば、放射線画像撮影装置1が、図11に示した撮影室R1に構築された放射線画像撮影システム50のみで使用され、或いは図12に示した回診車71上に構築された放射線画像撮影システム50のみで使用される場合のように、放射線画像撮影装置1に放射線を照射する放射線源52が、特定の放射線源52に限られる場合には、用いられる放射線源52に応じて、予め放射線画像撮影装置1に、コンソール58が決定したパラメータに設定する。
【0162】
また、例えば、図11に示した放射線画像撮影システム50と図12に示した放射線画像撮影システム50との両方で用いられる場合や、或いは、施設に複数の撮影室R1が設けられている場合に、各撮影室R1のいずれでも用いられる場合のように、放射線画像撮影装置1に放射線を照射する放射線源52が替わる場合には、コンソール58は、放射線画像撮影ごとに、当該撮影に用いられる放射線源52に応じてパラメータを決定して、放射線画像撮影装置1に設定するように運用される。
【0163】
なお、上記の運用は、後述する線欠陥処理のためのパラメータの設定処理においても同様である。
【0164】
検出感度の向上に関するパラメータとしては、例えば、前述した放射線の照射開始の検出の際の閾値dleak_th(検出方法1の場合)や閾値dth(検出方法2の場合)、或いは、後述するパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔T(検出方法1の場合)やTFT8のオン時間ΔT(検出方法2の場合)を挙げることができる。
【0165】
なお、これらのパラメータについては、放射線画像撮影装置1に対して予め初期値が設定されているが、本実施形態では、コンソール58が、それらのパラメータを放射線源52の放射線の照射特性に応じて決定し、放射線画像撮影装置1に設定されている各パラメータの値を変更して設定し直すようになっている。
【0166】
[パラメータとしての閾値の設定等について]
まず、閾値dleak_thや閾値dthについて説明すると、上記の放射線源52の照射特性のうち、(A)立ち上がり時間Δt(図25参照)については、立ち上がり時間Δtが長い場合(すなわち図25における放射線の強度Iの立ち上がり時の傾斜が緩やかな場合)、実際に放射線の照射が開始された当初(図25の時刻t3参照)では、読み出されるリークデータdleakや画像データdの値が小さい。
【0167】
そのため、閾値dleak_thや閾値dthが大きいと、実際に放射線の照射が開始されてから(図25の時刻t3参照)、放射線の照射が開始されたことが検出されるまでの時間が長くなり、検出感度が低下する。そこで、放射線源52の照射特性として、立ち上がり時間Δtが長いほど閾値dleak_thや閾値dthをより小さな値に設定する方が、検出感度が向上すると言える。
【0168】
また、(B)放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形については、放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形が直流状になる場合(図26(A)参照)の方が、強度Iの波形が交流状になる場合(図26(B)参照)よりも、放射線源52から放射線画像撮影装置1に照射される放射線のエネルギが大きくなる。
【0169】
そのため、放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形が直流状になる場合には、読み出されるリークデータdleakや画像データdの値が大きくなるため、閾値dleak_thや閾値dthが大きな値でもよいが、放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形が交流状になる場合には、読み出されるリークデータdleakや画像データdの値が小さくなり、閾値dleak_thや閾値dthを下げた方が、検出感度が向上する場合がある。
【0170】
さらに、(C)放射線源52に供給し得る最大管電流については、前述したように、最大管電流が大きくなるほど放射線源52から照射される放射線の所定の強度Iが大きくなり、最大管電流が小さくなれば、放射線源52から照射される放射線の所定の強度Iは小さくなる。
【0171】
そのため、最大管電流が小さい場合には、読み出されるリークデータdleakや画像データdの値が小さくなるため、閾値dleak_thや閾値dthを下げる方が、検出感度が向上すると言える。
【0172】
なお、(B)放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形について、放射線源52が外部から電力の供給を受ける場合(図27(A)参照)と、バッテリが内蔵されている場合(図27(B)参照)とでは、放射線の照射開始の検出に関する検出感度の向上の点から言えば、閾値dleak_thや閾値dthについては必ずしも変更する必要はない。
【0173】
しかし、特に、バッテリが内蔵されている放射線源52の場合(図27(B)参照)には、前述したように、放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形が、図27(B)に示すように、一旦所定の強度Iまで上昇した後、下降していくような波形になる場合がある。
【0174】
そして、この場合に、前述した放射線の照射終了の検出を行うように構成されている場合には(図21参照)、実際には放射線の照射が終了していないにもかかわらず、読み出されるリークデータdleakや画像データdが、放射線の照射終了の検出用の閾値dleak_th等(図22参照)以下の値になってしまい、誤って放射線の照射が終了したと検出されてしまう場合が生じ得る。
【0175】
このような事態が生じると、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されている状態で各放射線検出素子7から本画像としての画像データDの読み出し処理が行われる状態になり、読み出される画像データDの値が異常な値になる等の不具合が発生し得る。
【0176】
そこで、放射線源52が、バッテリを内蔵するタイプのものである場合(図27(B)参照)には、パラメータとして、放射線の照射終了の検出用の閾値dleak_th等を変更して放射線画像撮影装置1に設定するように構成することが望ましい。
【0177】
[パラメータとしての送信間隔T等の設定について]
次に、放射線の照射開始の検出処理における検出感度を向上させるためのパラメータとしてのパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔T(検出方法1の場合)やTFT8のオン時間ΔT(検出方法2の場合)等について説明する。
【0178】
例えば、前述した検出方法1(図15や図16等参照)において、放射線の照射開始の検出処理における検出感度を向上させるためには、放射線画像撮影前に繰り返し行われるリークデータdleakの読み出し処理において、1回の読み出し処理で読み出されるリークデータdleakの値を大きくすれば、検出感度を上げることができる。
【0179】
その際、図28に示すように、1回のリークデータdleakの読み出し処理において、制御手段22から読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19(図7等参照)に1回目のパルス信号Sp1を送信してから2回目のパルス信号Sp2を送信するまでの時間間隔T(以下、送信間隔Tという。)を長くして、読み出し処理においてTFT8を介して放射線検出素子7からリークした電荷q(図13参照)の読み出し回路17への蓄積時間を長くすることで、1回の読み出し処理で読み出されるリークデータdleakの値を大きくすることが可能となる。
【0180】
そして、上記の閾値dleak_th、dthの変更の場合と同様に、上記の放射線源52の照射特性のうち、(A)立ち上がり時間Δt(図25参照)については立ち上がり時間Δtが長い場合、(B)放射線の強度Iの波形については、放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形が交流状になる場合(図26(B)参照)、(C)最大管電流については最大管電流が小さい場合には、いずれの場合も、1回の読み出し処理で読み出されるリークデータdleakの値が他の場合よりも小さくなる可能性がある。
【0181】
そこで、これらの場合には、上記の送信時間Tを長くして、読み出し処理においてTFT8を介して放射線検出素子7からリークした電荷q(図13参照)の読み出し回路17への蓄積時間を長くすることで、1回の読み出し処理で読み出されるリークデータdleakの値が大きくなり、検出感度が向上する。
【0182】
なお、図28に示すように、送信時間Tを長くすると、必然的に、リークデータdleakの読み出し処理と交互に行われる各放射線検出素子7のリセット処理において、ある走査線5に対するオン電圧の印加を開始してから次の走査線5に対するオン電圧の印加を開始するまでの周期(すなわち後述するゲート周期τ)も長くなる。そのため、後述するように、発生する線欠陥の数を低減することが可能となるといった効果も得ることが可能となる。
【0183】
一方、例えば、前述した検出方法2(図19や図20等参照)において、放射線の照射開始の検出処理における検出感度を向上させるためには、放射線画像撮影前に繰り返し行われる画像データdの読み出し処理において、1回の読み出し処理で読み出される画像データdの値を大きくすれば、検出感度を上げることができる。
【0184】
その際、1回の画像データdの読み出し処理においてゲートドライバ15bから各走査線5にオン電圧を印加する時間(以下、オン時間ΔTという。図19や図20参照)を、図29に示すように長くして、読み出し処理においてTFT8をオン状態とする時間を長くし、TFT8を介して放射線検出素子7から信号線6に放出された電荷の読み出し回路17への蓄積時間を長くすることで、1回の読み出し処理で読み出される画像データdの値を大きくすることが可能となる。
【0185】
そして、上記の閾値dleak_th、dthの変更の場合と同様に、上記の放射線源52の照射特性のうち、(A)立ち上がり時間Δt(図25参照)については立ち上がり時間Δtが長い場合、(B)放射線の強度Iの波形については、放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形が交流状になる場合(図26(B)参照)、(C)最大管電流については最大管電流が小さい場合には、いずれの場合も、1回の読み出し処理で読み出される画像データdの値が他の場合よりも小さくなる可能性がある。
【0186】
そこで、それらの場合には、図29に示したように上記のオン時間ΔTを長くして、読み出し処理において各放射線検出素子7から放出された電荷の読み出し回路17への蓄積時間を長くすることで、1回の読み出し処理で読み出される画像データdの値が大きくなり、検出感度が向上する。
【0187】
[線欠陥処理のためのパラメータの設定等について]
また、前述したように、放射線源52の照射特性によって、放射線画像撮影装置1で読み出された画像データD(或いはそれに基づく放射線画像)中に発生する線欠陥の数も変わる。なお、この線欠陥の発生数は、上記の検出感度にも依存する。
【0188】
ここで、画像データD中に発生する線欠陥について簡単に説明する。以下では、上記の検出方法2(図20等参照)すなわち放射線画像撮影前に画像データdの読み出し処理を行う場合について説明する。
【0189】
検出方法2では、上記のように、読み出した画像データdが増加することに基づいて放射線の照射開始を検出するが、読み出した画像データdが増加するということは、結局、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した有用な電荷の一部、すなわち本画像としての画像データDとして読み出されるべき電荷の一部が、放射線画像撮影前に画像データdとして各放射線検出素子7内から失われてしまうことを意味する。
【0190】
すなわち、図20に示した例で言えば、走査線5のラインLnにオン電圧を印加した時点で放射線の照射開始が検出されているが、これは、走査線5のラインLnに接続されている各放射線検出素子7からは、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した有用な電荷の一部が失われたことを意味する。
【0191】
そのため、この場合は、後の本画像としての画像データDの読み出し処理で、走査線5のラインLnに接続されている各放射線検出素子7から読み出された各画像データDには欠陥が生じていることになり、図30に示すように、画像データD中(或いはそれらに基づいて生成された放射線画像中)の走査線5のラインLnに対応する部分に線状の欠陥、すなわち線欠陥が現れることになる。
【0192】
この線欠陥が現れる現象は、上記の検出方法1を採用した場合でも同様であり、例えば図16に示したタイミングで放射線の照射開始が検出された場合、4回目のリークデータdleakの読み出し処理の直前に各放射線検出素子7のリセット処理が行われた走査線5のラインL4では、この走査線5に接続されている各放射線検出素子7からは、リセット処理により、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した有用な電荷の一部が放射線検出素子7内から失われてしまっている可能性がある。
【0193】
そのため、上記の検出方法1を採用した場合でも、放射線の照射開始を検出したリークデータdleakの読み出し処理の直前にリセット処理でオン電圧が印加された走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データDについて、やはり線欠陥が生じ得る。
【0194】
このような線欠陥に対する処理としては、例えば、当該線欠陥(すなわちこの場合は走査線5のラインLnに接続されている各放射線検出素子7から読み出された各画像データD)を無効として破棄し、例えばそれに隣接する走査線5のラインLn-1とラインLn+1にそれぞれ接続されている各放射線検出素子7から読み出された各画像データDを用いて線形補間する等して補間するように構成される場合がある。
【0195】
また、線欠陥である走査線5のラインLnに接続されている各放射線検出素子7から読み出された各画像データDを、所定の倍率で値を増加させて、元の画像データDを復元するように構成される場合もある。
【0196】
いずれにせよ、上記の検出方法1や検出方法2を採用する限り、放射線の照射開始を検出した時点で画像データdの読み出し処理が行われた走査線5に接続されている各放射線検出素子7や、放射線の照射開始が検出されたリークデータdleakの読み出し処理の直前にリセット処理が行われた走査線5に接続されている各放射線検出素子7の部分で、図30に示したような線欠陥が生じることは避けられない。
【0197】
一方、放射線源52の照射特性としての立ち上がり時間Δt(図25参照)が長い場合や、放射線画像撮影装置1側の検出感度が低い場合には、例えば検出方法2を採用した場合の図31に示すように、実際に放射線源52からの放射線の照射が開始されてから、放射線画像撮影装置1で放射線の照射が開始されたことを検出するまでに時間がかかり、その間に何回か画像データdの読み出し処理が行われてしまう場合がある。
【0198】
また、図示を省略するが、検出方法2を採用した場合も同様であり、実際に放射線源52からの放射線の照射が開始されてから、放射線画像撮影装置1で放射線の照射が開始されたことを検出するまでに時間がかかり、その間に、何回か、リークデータdleakの読み出し処理と交互に行う各放射線検出素子7のリセット処理が行われてしまう場合がある。
【0199】
そして、例えば図31に示したように、放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理で、走査線5のラインLnにオン電圧を印加して画像データdの読み出し処理が行われた時点で既に放射線源52からの放射線の照射が開始され、走査線5のラインLn+2にオン電圧を印加して行われた画像データdの読み出し処理で初めて放射線の照射開始が検出された場合には、図32に示すように、走査線5のラインLn〜Ln+2に接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データDの部分に線欠陥が生じる。
【0200】
このように線欠陥が連続して発生した場合、上記のように、例えばこれらの線欠陥の部分の画像データDが全て無効として破棄され、例えば走査線5のラインLn-1とラインLn+3にそれぞれ接続されている各放射線検出素子7から読み出された各画像データDを用いて線形補間する等して走査線5のラインLn〜Ln+2の部分の画像データDが復元されることになる。
【0201】
しかし、このように処理されると、例えば、走査線5のラインLn〜Ln+2の部分の画像データDに小さな病変部が撮影されている場合に、この部分の画像データDが破棄され、病変部が撮影されていない走査線5のラインLn-1とラインLn+3にそれぞれ接続されている各放射線検出素子7から読み出された各画像データDで走査線5のラインLn〜Ln+2の部分の画像データDを復元すると、走査線5のラインLn〜Ln+2の部分に撮影されていたはずの病変部が復元された画像データD中やそれに基づいて生成された放射線画像中から消えてしまうことになる。
【0202】
そこで、検出方法1や検出方法2を採用した場合に発生する線欠陥の数をできるだけ減らすことが必要となる。
【0203】
線欠陥の数が増加することに影響する放射線源52の照射特性としては、上記のように(A)立ち上がり時間Δt(図25参照)が強く影響するが、(B)放射線の強度Iの波形や(C)最大管電流についても、線欠陥の数の増加に影響する可能性がある。
【0204】
また、線欠陥の数が増加することに関係する放射線画像撮影装置1側のパラメータとしては、前述した検出方法1における制御手段22から相関二重サンプリング回路19へのパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔T(図15や図16等参照)や、検出方法2におけるオン時間ΔT(図19や図20等参照)も関係するが、ゲート周期τも関係する。
【0205】
ゲート周期τとは、検出方法1では、図15や図16に示すように、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理と交互に行われる各放射線検出素子7のリセット処理において、ある走査線5に対するオン電圧の印加を開始してから次の走査線5に対するオン電圧の印加を開始するまでの周期τを表す。
【0206】
また、検出方法2では、図20に示すように、放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理において、ある走査線5に対するオン電圧の印加を開始してから次の走査線5に対するオン電圧の印加を開始するまでの周期τを表す。
【0207】
例えば、放射線源52の照射特性として(A)立ち上がり時間Δtが長い場合、上記のゲート周期τが短いと、実際に放射線源52からの放射線の照射が開始されてから放射線画像撮影装置1で放射線の照射開始が検出されるまでに、各放射線検出素子7のリセット処理や画像データdの読み出し処理で、多くの走査線5にオン電圧が印加されて、生じる線欠陥の数が増える。
【0208】
しかし、上記のような場合には、ゲート周期τを長くするように構成すれば、実際に放射線源52からの放射線の照射が開始されてから放射線画像撮影装置1で放射線の照射開始が検出されるまでに、各放射線検出素子7のリセット処理や画像データdの読み出し処理でオン電圧が印加される走査線5の数を減らすことができる。そのため、生じる線欠陥の数を低減することが可能となる。
【0209】
[パラメータの決定処理および設定処理について]
本実施形態では、前述したように、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出処理に関するパラメータの決定処理および放射線画像撮影装置1に対するパラメータの変更設定処理は、放射線画像撮影装置1が施設に導入された時点や放射線画像撮影ごとにコンソール58で行われる。
【0210】
その際、本実施形態では、コンソール58の表示部58a上に、例えば図33に示すような放射線源52の放射線の照射特性に関する選択画面H1が表示されるようになっている。
【0211】
なお、図33の選択画面H1において、「DC」は、照射特性として(B)放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形が直流状になる場合(図26(A)参照)を表し、「AC」は交流状になる場合(図26(B)参照)を表す。また、「分類」とは、照射特性としての(B)放射線源52から照射される放射線の強度Iの波形において、放射線源52が外部から電力の供給を受ける場合(図27(A)参照)とバッテリが内蔵されている場合(図27(B)参照)とを区別する分類をいう。
【0212】
そして、「据え付け」は、図11に示したように撮影室R1に据え付けられた放射線源52である場合をいい、この場合は、放射線源52が外部から電力の供給を受ける場合に相当する。また、「回診」は、図12に示したように放射線源52が回診車71に搭載されている場合をいい、この場合は、放射線源52にバッテリが内蔵されている場合に相当する。
【0213】
また、「ポータブル」は、いわゆる可搬型の放射線源52をいい、この場合は、放射線源52が外部から電力の供給を受ける場合もあれば、バッテリが内蔵されている場合もある。そのため、本実施形態では、下記のように放射線技師等により「ポータブル」がクリックされて選択されると、表示部52a上に別のウインドウが開き、放射線技師等に、放射線源52が外部から電力の供給を受けるものか、バッテリが内蔵されているものかを選択させるようになっている。
【0214】
そして、放射線技師等が、放射線源52の照射特性の各項目の各選択肢の中からそれぞれ1つずつ選択してクリックして、放射線源52の照射特性を特定するようになっている。
【0215】
本実施形態では、放射線源52の照射特性の各項目の各選択肢の各組み合わせには、前述したパラメータとしての閾値dleak_thまたは閾値dth、送信間隔T、オン時間ΔT、ゲート周期τの値が、組み合わせごとに、予めそれぞれ割り当てられている。
【0216】
その際、上記のような放射線源52の放射線の照射特性と、放射線画像撮影装置1の検出感度や生じる線欠陥の増減との関係を考慮して、放射線源52の照射特性に応じて検出感度を向上させ、線欠陥の数が低減されるように、組み合わせごとに、パラメータとしての閾値dleak_th等の値が割り当てられている。
【0217】
ところで、前述した線欠陥については、放射線画像撮影装置1ではいつ放射線源52から実際に放射線の照射が開始されたか(すなわち例えば図31では走査線5のラインLnにオン電圧が印加されて画像データdの読み出し処理が行われた時点で放射線の照射が開始されたこと)が分からないため、放射線画像撮影装置1では発生した線欠陥の数については認識し得ない。
【0218】
そこで、例えば放射線画像撮影装置1から画像データDを受信したコンソール58で、画像データDの値を解析し、放射線画像撮影装置1にどのタイミングで放射線源52からの放射線の照射が開始されたか、すなわちどの範囲の画像データDを線欠陥とすべきかを割り出して、割り出した線欠陥の範囲の画像データDを補間するように構成することも可能である。
【0219】
しかし、この処理は必ずしも容易に行うことができず、しかも、確実に上記の範囲が特定できるとも限らない。そこで、放射線源52の照射特性に応じて線欠陥とし補間すべき範囲すなわち走査線5の本数(以下、補間ライン数という。)を、予め人為的に割り当てておくことが可能である。
【0220】
そして、その場合には、図33に示した放射線源52の照射特性の各項目の各選択肢の組み合わせごとに、補間ライン数も予めそれぞれ割り当てられる。
【0221】
本実施形態では、コンソール58は、上記のように放射線技師等が各選択肢をクリックして放射線源52の照射特性の組み合わせが特定されると、図34に示すように、特定された組み合わせに対応する各パラメータの値を表示部58a上に表示するようになっている。
【0222】
また、本実施形態では、図34に示した各パラメータの値は、放射線技師等がマニュアルで変更することができるようにもなっており、変更したいパラメータの値の部分をクリックすることで、放射線技師等がパラメータの値を入力して変更することができるようになっている。
【0223】
そして、コンソール58は、上記のようにして、放射線画像撮影に用いられる放射線源52の放射線の照射特性に基づいて、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出処理に関する各パラメータが決定され確定されると、決定された各パラメータの情報を放射線画像撮影装置1に送信するようになっている。そして、放射線画像撮影装置1は、送信されてきた各パラメータの情報に基づいて、各パラメータを変更して設定するようになっている。
【0224】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、上記の検出方法1を採用する場合も検出方法2を採用する場合も、いずれの場合も、放射線画像撮影装置1に放射線を照射する放射線源52側の放射線の照射特性に対応して、放射線画像撮影装置1における放射線の照射検出に関する各種パラメータを適切に変更することが可能となる。
【0225】
そのため、放射線源52側の放射線の照射特性に応じて、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出処理の検出感度を的確に向上させることが可能となる。
【0226】
また、放射線源52側の放射線の照射特性に応じて、放射線画像撮影装置1における放射線の照射検出に関する各種パラメータが適切に変更されるため、上記の検出方法1や検出方法2を採用する場合に、不可避的に発生する、画像データや放射線画像中に現れる線欠陥の数を的確に低減することが可能となる。
【0227】
また、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、上記の検出方法1を採用する場合も検出方法2を採用する場合も、ともに放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理や画像データdの読み出し処理で、通常の画像データDの読み出し処理と同様に読み出し回路17を駆動させてリークデータdleakや画像データdを読み出し、読み出したリークデータdleakや画像データdに基づいて放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射が開始されたか否かを判断する。
【0228】
そのため、前述した放射線画像撮影装置1に電流検出手段を設けて放射線の照射が開始されたか否かを判断する場合のように、電流検出手段で発生したノイズが各放射線検出素子7に伝わって放射線検出素子7から読み出される画像データDにノイズが重畳される等の問題が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0229】
なお、上記の実施形態では、上記のように、放射線画像撮影装置1が施設に導入された時点で、或いは放射線画像撮影ごとに、図33や図34に示したように、コンソール58上で放射線源52の照射特性を選択する等して、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出処理に関する各パラメータを決定する場合について説明した。
【0230】
しかし、放射線画像撮影システム50で使用される放射線源52の数が少ないような場合には、例えば、放射線源52ごとの照射特性としての立ち上がり時間Δt等(図33参照)に応じて、パラメータとしての閾値dleak_th等の値を、放射線源52ごとに予め割り当てておき、コンソール58上で放射線源52を指定すると、図34に示したような各パラメータが表示されるように構成することも可能である。
【0231】
また、図34に示したように、放射線技師等が各パラメータの微調整を行う必要がない場合には、コンソール58上で放射線源52を指定した時点で、すぐにコンソール58が各パラメータの値を割り出して決定し、放射線画像撮影装置1に送信して、放射線画像撮影装置1に各パラメータを設定させるように構成することも可能である。
【0232】
また、上記の実施形態では、放射線源52側の放射線の照射特性に応じて変更するパラメータとして、閾値dleak_thまたは閾値dth、送信間隔T、オン時間ΔT、ゲート周期τ、補間ライン数を挙げたが、その他にも変更すべきパラメータがあれば、それらのパラメータも適宜変更されることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0233】
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ手段)
15 走査駆動手段
17 読み出し回路
22 制御手段
39 コネクタ(通信手段)
41 アンテナ装置(通信手段)
50 放射線画像撮影システム
52 放射線源
58 コンソール
D 画像データ
d 放射線画像撮影前に読み出される画像データ
dleak リークデータ
dleak_th 閾値(パラメータ)
dth 閾値(パラメータ)
I 放射線の強度
P 検出部
q 電荷
r 領域
T 送信間隔(蓄積時間、パラメータ)
ΔT オン時間(蓄積時間、パラメータ)
Δt 立ち上がり時間
τ ゲート周期(周期、パラメータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像撮影により画像データを取得する放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置に放射線を照射する放射線源と、前記放射線画像撮影装置を制御するコンソールとを備える放射線画像撮影システムにおいて、
前記放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
前記コンソールとの間で信号を送受信する通信手段と、
を備えるとともに、
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で、前記読み出し回路に周期的に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータの読み出し処理を繰り返し行わせ、読み出した前記リークデータが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出するように構成されており、
前記コンソールは、放射線画像撮影に用いられる前記放射線源の放射線の照射特性に基づいて、前記放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出処理に関するパラメータを決定し、前記放射線画像撮影装置に前記パラメータを設定させることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記放射線源の放射線の照射特性は、前記放射線源から照射される放射線の強度が所定の値になるまでの立ち上がり時間、前記放射線源から照射される放射線の強度の波形、または前記放射線源に供給し得る最大管電流で規定され、
前記コンソールは、前記放射線源の前記照射特性に基づいて、前記放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出処理に関するパラメータとして、前記閾値、または前記リークデータの読み出し処理において前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷の前記読み出し回路への蓄積時間の少なくとも一方を決定し、前記放射線画像撮影装置に前記閾値または前記蓄積時間の少なくとも一方を設定させることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記放射線源の放射線の照射特性は、前記放射線源から照射される放射線の強度が所定の値になるまでの立ち上がり時間、前記放射線源から照射される放射線の強度の波形、または前記放射線源に供給し得る最大管電流で規定され、
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、放射線画像撮影前に繰り返し行う前記リークデータの読み出し処理において、前記リークデータの読み出し処理と次の前記リークデータの読み出し処理との間で、前記走査駆動手段から前記走査線にオン電圧を印加して前記各放射線検出素子のリセット処理を行うように構成されており、
前記コンソールは、前記放射線源の前記照射特性に基づいて、前記放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出処理に関するパラメータとして、前記各放射線検出素子のリセット処理において、前記走査線に対するオン電圧の印加を開始してから次の前記走査線に対するオン電圧の印加を開始するまでの周期を決定し、前記放射線画像撮影装置に前記周期を設定させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
放射線画像撮影により画像データを取得する放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置に放射線を照射する放射線源と、前記放射線画像撮影装置を制御するコンソールとを備える放射線画像撮影システムにおいて、
前記放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
前記コンソールとの間で信号を送受信する通信手段と、
を備えるとともに、
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して前記画像データの読み出し処理を繰り返し行わせ、読み出した前記画像データが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出するように構成されており、
前記コンソールは、放射線画像撮影に用いられる前記放射線源の放射線の照射特性に基づいて、前記放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出処理に関するパラメータを決定し、前記放射線画像撮影装置に前記パラメータを設定させることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記放射線源の放射線の照射特性は、前記放射線源から照射される放射線の強度が所定の値になるまでの立ち上がり時間、前記放射線源から照射される放射線の強度の波形、または前記放射線源に供給し得る最大管電流で規定され、
前記コンソールは、前記放射線源の前記照射特性に基づいて、前記放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出処理に関するパラメータとして、前記閾値、または放射線画像撮影前の前記画像データの読み出し処理において前記各放射線検出素子から放出された電荷の前記読み出し回路への蓄積時間の少なくとも一方を決定し、前記放射線画像撮影装置に前記閾値または前記蓄積時間の少なくとも一方を設定させることを特徴とする請求項4に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記放射線源の放射線の照射特性は、前記放射線源から照射される放射線の強度が所定の値になるまでの立ち上がり時間、前記放射線源から照射される放射線の強度の波形、または前記放射線源に供給し得る最大管電流で規定され、
前記コンソールは、前記放射線源の前記照射特性に基づいて、前記放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出処理に関するパラメータとして、放射線画像撮影前の前記画像データの読み出し処理において、前記走査線に対するオン電圧の印加を開始してから次の前記走査線に対するオン電圧の印加を開始するまでの周期を決定し、前記放射線画像撮影装置に前記周期を設定させることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2012−143472(P2012−143472A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5476(P2011−5476)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】