説明

放射線画像生成システム及び放射線画像検出器

【課題】内部給電手段による駆動が可能な放射線画像検出器を用いて放射線画像撮影
を行う場合に、内部給電手段の消費電力を最小限に抑えつつ、診断に適した高精細な
画像を得ることのできる放射線画像生成システム及び放射線画像検出器を提供する。
【解決手段】バッテリ28を含み各機能部に対して電力を供給する電源手段と、電源
手段による電力供給を制御するカセッテ制御部30と、を有するFPDカセッテ2
と、撮影オーダ情報を送信する通信部55を有するコンソール5と、を備え、カセッ
テ制御部30は、一の撮影終了後、次の撮影に移行するまでの間、これらの撮影に対
応する撮影オーダ情報に基づいて、電源手段による各機能部に対する給電状態とし
て、撮影可能な撮影モードを維持するか、撮影を休止する撮影休止モードとするかを
決定し、決定したモードに応じた給電状態となるように電源手段による各機能部に対
する電力供給を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像生成システム及び放射線画像検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用の放射線画像を取得する手段として、いわゆるフラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector:FPD)と呼ばれる固体撮像素子を2次元的に配置した放射線画像検出器が知られている。このような放射線画像検出器には、放射線検出素子として、a−Se(アモルファスセレン)のような光導電物質を用いて放射線エネルギーを直接電荷に変換し、この電荷を2次元的に配置されたTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)等の信号読出し用のスイッチ素子によって画素単位に電気信号として読み出す直接方式のものや、放射線エネルギーをシンチレータ等で光に変換し、この光を2次元的に配置されたフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換してTFT等によって電気信号として読み出す間接方式のもの等があることが知られている。
【0003】
そして近年では、内部給電手段としてバッテリを内蔵し、ケーブルレスで駆動する可搬型の放射線画像検出器も開発されている。
【0004】
このような、バッテリで駆動する放射線画像検出器の場合、できるだけバッテリの消耗を防止して、充電サイクルを長期化し、長期間の撮影を可能とするため、一般的には、撮影に使用しない時は各機能部に電力を供給せず(いわゆる撮影休止モード)、使用時にのみ各機能部に給電して撮影モードとし、撮影を行うことが好ましい。
【0005】
この点、被写体像を撮影する撮像手段(放射線画像検出器)と、撮影を指示する指示手段(コンソール)とを備え、被写体の撮影部位情報等の撮影のために必要な情報を入力すると、所定の情報が入力されたことに応じて、撮像手段を駆動状態とする構成が開示されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0006】
また、医療用のネットワークに接続された撮影装置等について、その使用頻度等に応じて各撮影装置毎に撮影休止モードに遷移する遷移タイミングを設定することができるようにしたシステムが開示されている(例えば、特許文献2等参照)。
【特許文献1】特開2000−139889号公報
【特許文献2】米国特許第6879661号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、放射線画像検出器としてFPDを用いる場合、放射線画像検出器の特性は、画素を構成する放射線検出素子やTFT等の電子部品への給電状態・給電時間に応じて変化する。
すなわち、放射線画像検出器の特性は温度による影響を受けやすく、各機能部に給電して放射線画像検出器を撮影モードとすると放射線画像検出器内部の温度が上昇し、各機能部に対する給電を中止して放射線画像検出器を撮影休止モードとすると温度が下がる。このため、撮影の度に撮影モードと撮影休止モードとを繰り返すと、放射線画像検出器内部の温度が安定せず、撮影の度に放射線画像検出器の特性が変化することとなる。
【0008】
このような温度特性の変化を診断画像上影響が生じないように相殺して、高精細な画像を得るためには、撮影の際(撮影の直前又は直後)に複数回のダーク読取を行い、この平均値を算出してオフセット補正値とし、このオフセット補正値を用いて適宜オフセット補正を行うことが考えられる。
【0009】
しかし、オフセット補正値を得るためのダーク読取を撮影毎に行うと、その度に電力を消耗する。このため、放射線画像検出器をバッテリによって駆動させる場合、省電力のために撮影終了毎に撮影休止モードに遷移させても、適切な補正を行うための補正値を取得する回数が増えれば、その分バッテリの電力を消耗してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、内部給電手段による駆動が可能な放射線画像検出器を用いて放射線画像撮影を行う場合に、内部給電手段の消費電力を最小限に抑えつつ、診断に適した高精細な画像を得ることのできる放射線画像生成システム及び放射線画像検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、
画素単位に電気信号を取り出し可能に構成された複数の放射線検出素子が二次元状に配置された検出手段と、前記検出手段によって取得された信号を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られた画像信号に基づく画像データを外部機器に送信するとともに外部機器から撮影オーダ情報を受信する検出器通信手段と、前記撮影オーダ情報を記憶する記憶手段と、内部給電手段を含み前記検出手段及び前記読取手段を含む各機能部に対して電力を供給する電源手段と、前記電源手段による各機能部に対する電力供給を制御する給電制御手段と、を有する可搬型の放射線画像検出器と、
前記撮影オーダ情報を登録する登録手段と、外部機器から画像データを受信するとともに外部機器に対して前記登録手段により登録された前記撮影オーダ情報を送信するコンソール通信手段と、を有するコンソールと、を備え、
前記給電制御手段は、一の撮影終了後、次の撮影に移行するまでの間、これらの撮影に対応する撮影オーダ情報に基づいて、前記電源手段による各機能部に対する給電状態として、撮影可能な撮影モードを維持するか、撮影を休止する撮影休止モードとするかを決定し、決定したモードに応じた給電状態となるように前記電源手段による各機能部に対する電力供給を制御することを特徴としている。
【0012】
また、本発明の他の側面は、
画素単位に電気信号を取り出し可能に構成された複数の放射線検出素子が二次元状に配置された検出手段と、
前記検出手段によって取得された信号を読み取る読取手段と、
内部給電手段を含み、前記検出手段及び前記読取手段を含む各機能部に対して電力を供給する電源手段と、
一の撮影終了後、所定期間撮影が実行されない場合に、前記電源手段による各機能部に対する給電状態を、撮影可能な撮影モードから撮影を休止する撮影休止モードに遷移させるか、又は前記撮影モードを維持するかを選択するモード選択手段と、
前記モード選択手段による選択結果に基づいて、前記一の撮影終了後における前記電源手段による各機能部に対する電力供給を制御する給電制御手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮影オーダ情報に基づいて一の撮影と次の撮影との関係を判断し、例えば複数の撮影が連続して行なわれるような場合には撮影モードを維持するように給電状態を制御する。
これにより、放射線画像検出器内の温度変化を最小限度に抑え、特性の変化を少なくすることができるため、各撮影毎にオフセット補正値(ダーク読取値)を取得しなくても適切な補正を行うことができる。このため、高精細な画像を得ることができるとともに、無駄な電力消費量を抑えることができ、内部給電手段によって駆動する場合でも放射線画像検出器の撮影可能時間を長く保つことが可能となるとの効果を奏する。
【0014】
また、モード選択手段を備える場合には、一の撮影後、撮影休止モードに遷移させるか、撮影モードを維持するかを操作者が選択することができるため、操作者の使用態様等に応じた柔軟な対応が可能となるとの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1から図5を参照しながら、本発明に係る放射線画像生成システム及び放射線画像検出器の好適な一実施形態について説明する。ただし、本発明を適用可能な実施形態は図示例のものに限定されるものではない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る放射線画像生成システムの要部構成を示す概略図である。
本実施形態において、放射線画像生成システム1は、可搬型とされた放射線画像検出器であるFPDカセッテ2と、FPDカセッテ2と通信可能なコンソール5とを備えている。
【0017】
図1に示すように、FPDカセッテ2は、例えば、放射線を照射して図示しない患者の一部である被写体(患者Mの撮影対象部位)の撮影を行う撮影室R1に設けられており、コンソール5は、この撮影室R1に対応して設けられている。
【0018】
なお、本実施形態においては、放射線画像生成システム内に1つの撮影室R1が設けられ、撮影室R1内に3つのFPDカセッテ2が配置されている場合を例として説明するが、撮影室の数、各撮影室に設けられるFPDカセッテ2の数は図示例に限定されない。
また、撮影室R1が複数ある場合に、コンソール5は各撮影室R1に対応して設けられていなくてもよく、複数の撮影室R1に対して1台のコンソール5が対応付けられていてもよい。
【0019】
撮影室R1内には、FPDカセッテ2を装填・保持可能なカセッテ保持部48を備えるブッキー装置3、被写体に放射線を照射するX線管球等の放射線源を備える放射線発生装置4が設けられている。カセッテ保持部48は、撮影時にFPDカセッテ2を装填するものである。
本実施形態において、FPDカセッテ2には後述するように各々固有の情報が記憶されたタグ(図示せず)が内蔵されており、ブッキー装置3のカセッテ保持部48近傍には、FPDカセッテ2に付されているタグを読み取るタグリーダ60が設けられている。タグリーダ60は、内蔵する図示しないアンテナを介して電波等に所定の指示情報を乗せて発信し、FPDカセッテ2に内蔵されているタグを読み取って、カセッテ保持部48に装填されるFPDカセッテ2を検出する。
タグリーダ60によって読み取られた情報は無線方式でFPDカセッテ2に送信されるようになっている。なお、タグリーダ60は、読み取った情報をFPDカセッテ2の他、操作装置7やコンソール5に送信するようになっていてもよい。
【0020】
なお、図1には撮影室R1内に臥位撮影用のブッキー装置3aと立位撮影用のブッキー装置3bとがそれぞれ1つずつ設けられている場合を例示しているが、撮影室R1内に設けられるブッキー装置3の数は特に限定されない。また、本実施形態では、各ブッキー装置3に対応して1つずつ放射線発生装置4が設けられている構成を例示しているが、例えば、撮影室R1内に放射線発生装置4を1つ備え、複数のブッキー装置3に対して1つの放射線発生装置4が対応し、適宜位置を移動させたり、放射線照射方向を変更する等して使用するようになっていてもよい。
【0021】
また、撮影室R1は、放射線を遮蔽する室であり、無線通信用の電波も遮断されるため、撮影室R1内には、FPDカセッテ2とコンソール5等の外部装置とが通信する際にこれらの通信を中継する無線アクセスポイント(基地局)6等が設けられている。
【0022】
また、本実施形態では、撮影室R1に隣接して前室R2が設けられている。前室R2には、放射線技師や医師等(以下「操作者」と称する。)が被写体に放射線を照射する放射線発生装置4の管電圧、管電流、照射野絞り等の制御を行ったり、ブッキー装置3の操作等を行う操作装置7が配置されている。
操作装置7にはコンソール5から放射線発生装置4の放射線照射条件を制御する制御信号が送信されるようになっており、放射線発生装置4の放射線照射条件は、操作装置7に送信されたコンソール5からの制御信号に応じて設定される。放射線照射条件としては、例えば、曝射開始/終了タイミング、放射線管電流の値、放射線管電圧の値、フィルタ種等がある。
放射線発生装置4には、操作装置7から放射線の曝射を指示する曝射指示信号が送信されるようになっており、放射線発生装置4は、曝射指示信号に従って所定の放射線を所定のタイミングで照射するようになっている。
【0023】
前室R2の図示しない入り口付近には、FPDカセッテ2のタグを読み取るタグリーダ61が設けられている。タグリーダ61の構成はブッキー装置3に設けられているものと同様であるため、その説明を省略する。
タグリーダ61は、FPDカセッテ2に内蔵されているタグを読み取って、前室R2に搬入或いは搬出されるFPDカセッテ2、すなわち撮影室R1や前室R2の所定範囲内に進入したFPDカセッテ2を検出する。タグリーダ60によって読み取られた情報は無線方式でFPDカセッテ2に送信されるようになっている。なお、タグリーダ60は、読み取った情報をFPDカセッテ2の他、操作装置7やコンソール5に送信するようになっていてもよい。
なお、撮影室R1と前室R2のレイアウトによっては(例えば、前室R2が各撮影室R1間で共通の場合)、タグリーダ60は各撮影室R1の入口近傍に設けることができる。
【0024】
FPDカセッテ2は、放射線画像データ(以下、単に「画像データ」と称する。)を得るカセッテ型(可搬型)の放射線画像検出器である。
前述のように、FPDカセッテ2内には、図示しないタグが内蔵されている。本実施形態では、タグとして、いわゆるRFID(Radio Frequency Identification)タグが用いられており、タグには、タグの各部を制御する制御回路やFPDカセッテ2の固有情報を記憶する記憶部(いずれも図示せず)がコンパクトに内蔵されている。なお、タグの記憶部に記憶されている固有情報には、例えば当該FPDカセッテ2に割り当てられた識別情報としてのカセッテIDやシンチレータの種類情報、サイズ情報、解像度等が含まれている。また、FPDカセッテ2に設けられるタグの種類、構成は特に限定されず、RFID以外のタグを用いてもよい。
【0025】
図2は、本実施形態におけるFPDカセッテ2の斜視図である。
FPDカセッテ2は、図2に示すように、内部を保護する筐体21を備えている。なお、図2では、筐体21がフロント部材21aとバック部材21bとで形成されている場合が示されているが、その形状、構成は特に限定されず、この他にも、筐体21を筒状のモノコック状に形成することも可能である。
【0026】
また、FPDカセッテ2の厚みは特に限定されないが、CRカセッテとの互換性を有する厚み、すなわち、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおける規格であるJIS Z 4905(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠する寸法(FPDカセッテ2の放射線入射方向の厚さは15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内)で構成されていることが好ましい。FPDカセッテ2をこのように構成した場合には、FPDカセッテ2を用いた撮影にもCRカセッテ用に設置されている各種ブッキー装置3等、既存の設備をそのまま利用することができ、便宜である。
また、FPDカセッテ2のサイズとしては、例えば、8インチ×10インチ、10インチ×12インチ、11インチ×14インチ、14インチ×14インチ、14インチ×17インチ、17インチ×17インチ等のサイズのものが用意されているが、サイズはここに挙げたものに限定されない。
【0027】
図2に示すように、本実施形態において、FPDカセッテ2の側面部分には、電源スイッチ22、モード選択ボタン29、インジケータ25、コネクタ部26等が配置されている。
【0028】
電源スイッチ22は、FPDカセッテ2の電源のON/OFFを切り替えるものであり、電源スイッチ22を操作することにより、後述するバッテリ28(図4参照)等から構成される電源手段によるFPDカセッテ2の各機能部に対する電力供給の開始及び停止を指示する信号が後述するカセッテ制御部30(図3及び図4参照)に出力される。FPDカセッテ2を撮影に使用しないときには、電源をOFF(すなわち、電源手段による各機能部に対する電力供給を停止)にしておくことにより、バッテリ28の消費を抑えることができる。
【0029】
モード選択ボタン29は、一の撮影終了後、所定期間撮影が実行されない場合に、電源手段による各機能部に対する給電状態を、撮影可能な撮影モードから撮影を休止する撮影休止モードに遷移させるか、又は撮影モードを維持するかを選択するモード選択手段である。モード選択ボタン29は、例えば1回押下することにより撮影モードを維持するモードが選択され、所定間隔で2回押下することにより撮影モードから撮影休止モードに自動的に遷移するモードが選択されるように構成されており、モード選択ボタン29が押下されると、それに対応する信号がカセッテ制御部30に送られるようになっている。なお、モード選択ボタン29の構成はここに例示したものに限定されない。
【0030】
ここで、撮影モードとは、少なくとも後述するバイアス電源36(図3及び図4参照)と、信号読出し回路40に対してバッテリ28又は外部電源から電力が供給され、光電変換素子(フォトダイオード)23に対してバイアス電源36からバイアス電圧が印加され、TFT41に接続された信号線と接続されTFT41から信号を読み出す信号読出し回路40に電圧が印加され続ける給電状態をいう。また、撮影休止モードとは、光電変換素子23に対するバイアス電圧の印加及び信号読出し回路40に対する電圧の印加を停止している給電状態をいう。なお、撮影休止モードの際は、外部からの信号を受けるための通信部35に対してだけ電力を供給し、全ての機能部に対する電力供給を停止させる場合には、電源スイッチ22をOFFとなるようにする。
なお、モード選択ボタン29により選択可能なモードはこれに限定されず、さらに複数段階のモードを選択できるようにしてもよい。また、撮影モードにおいて、バッテリ28から電力が供給されるのはバイアス電源36と、信号読出し回路40に限定されない。また、撮影休止モードにおいて電圧の印加が停止される機能部はバイアス電源36及び信号読出し回路40に限定されない。
【0031】
電源手段による各機能部に対する給電状態は、一の撮影終了後、所定期間撮影が実行されない場合には、撮影モードから撮影休止モードに自動的に遷移するようにデフォルト設定されているが、モード選択ボタン29によって撮影状態を維持するモードが選択されると、所定時間が経過しても撮影モードが維持される。例えば、一の撮影終了後、2分間撮影が実行されない場合には電源が自動的に撮影休止モードに遷移するようにデフォルト設定されている場合に、モード選択ボタン29の操作により、所定時間経過後も撮影モードを維持するように設定がなされると、一の撮影終了後、2分以上の時間が経過してもバイアス電源36と信号読出し回路40に対してバッテリ28から電力が供給される給電状態が維持される。
【0032】
なお、モード選択ボタン29の操作により、所定時間経過後も撮影モードを維持するように設定がなされた場合でも、一の撮影終了後、一定の長時間が経過した場合には、自動的に撮影休止モードに遷移するように設定されてもよい。例えば、一の撮影終了後、10分間撮影が実行されない場合には、モード選択ボタン29による選択結果にかかわらず自動的に撮影休止モードに遷移するになるように設定した場合には、モード選択ボタン29の操作により、所定時間経過後も撮影モードを維持するように設定がなされていても、一の撮影終了後、10分間撮影が実行されない場合には、自動的に撮影休止モードに遷移する。なお、このように自動的に撮影休止モードに遷移した状態から再度、撮影を開始する場合には、長時間の連続通電による内部素子の特性変化が生じている可能性があるため、撮影時にダーク読取を行って、オフセット補正値を更新することが好ましい。
【0033】
また、モード選択ボタン29による操作によって選択されたモードは、電源スイッチ22の操作が行われる毎にリセットされるようになっている。例えば、モード選択ボタン29の操作により、所定時間経過後も撮影モードを維持するように設定がなされていても、操作者が電源スイッチ22の操作を行って一旦電源をOFFにすると、次回電源をONとした際には、一の撮影終了後、2分間撮影が実行されない場合には自動的に撮影休止モードに遷移するデフォルトのモード設定に戻るようになっている。
なお、モード選択ボタン29の操作により、所定時間経過後も撮影モードを維持するように設定がなされている場合に、このモード選択が一定の時間経過や、電源スイッチ22の操作等により解除され、デフォルト設定に戻った場合には、インジケータ25を点滅させる等により、操作者に報知するように構成してもよい。
【0034】
インジケータ25は、例えばLED等で構成されバッテリ28の充電残量や各種の操作状況等を表示するものである。
本実施形態においては、後述するように、FPDカセッテ2の給電状態のモードが切り替わったときや、一旦設定されたモードがデフォルト設定に戻ったとき(リセットされたとき)に、点滅等によりその旨を放置するようになっている。
【0035】
コネクタ部26は、外部電源PW(図4参照)と接続されるケーブル49を接続可能となっている。コネクタ部26には、外部電源PWから供給される電力を受電してFPDカセッテ2の各機能部に電力を供給するための外部給電端子27(図4参照)が接続されており、コネクタ部26にケーブル49が接続されることにより外部電源PWからの給電が可能となる。
なお、コネクタ部26を介して外部給電端子27にケーブル49が接続されることによりバッテリ28の充電が行われるようにしてもよい。
【0036】
また、FPDカセッテ2の側面部分には、筐体21内に内蔵されたバッテリ28の交換のために開閉される蓋部材47が設けられており、蓋部材47の側面部には、FPDカセッテ2が無線アクセスポイント6を介して外部と無線方式で情報の送受信を行うためのアンテナ装置46が埋め込まれている。
【0037】
筐体21の放射線入射面X(図2参照)の内側には、照射された放射線を光に変換するシンチレータにより構成される図示しないシンチレータ層が形成されている。シンチレータ層は、例えばCsI:TlやGd22S:Tb、ZnS:Ag等の母体内に発光中心物質が付活された蛍光体を用いて形成されたものを用いることができる。
【0038】
シンチレータ層の放射線が入射する側の面とは反対側の面側には、シンチレータ層から出力された光を電気信号に変換する複数の光電変換素子23(図3参照)が2次元状に複数配列された検出手段としてのセンサパネル部24が設けられている。光電変換素子23は、例えばフォトダイオード等であり、シンチレータと共に、被写体を透過した放射線を電気信号に変換する放射線検出素子を構成する。なお、放射線検出素子の構成は光電変換素子とシンチレータとの構成に限定されない。
また、本実施形態においては、カセッテ制御部30、走査駆動回路32、信号読出し部33等により、このセンサパネル部24の各光電変換素子23の出力値を読み取る読取手段である読取部45(図3参照)が構成されている。
【0039】
センサパネル部24及び読取部45の構成について、図3の等価回路図を参照しつつ、さらに説明する。
図3に示すように、センサパネル部24の各光電変換素子23の一方の電極にはそれぞれ信号読出し用のスイッチ素子であるTFT41のソース電極が接続されている。また、各光電変換素子23の他方の電極にはバイアス線Lbが接続されており、バイアス線Lbはバイアス電源36に接続されていて、バイアス電源36から各光電変換素子23にバイアス電圧が印加されるようになっている。
【0040】
各TFT41のゲート電極はそれぞれ走査駆動回路32から延びる走査線Llに接続されており、各TFT41のドレイン電極はそれぞれ信号線Lrに接続されている。各信号線Lrは、それぞれ信号読出し回路40内の増幅回路37に接続されており、各増幅回路37の出力線はそれぞれサンプルホールド回路38を経てアナログマルチプレクサ39に接続されている。また、アナログマルチプレクサ39にはA/D変換器42が接続されており、A/D変換器42により信号がアナログ信号からデジタル信号に変換され、変換後の信号は画像データメモリ43に記憶される。画像データメモリ43は、伝送回路44を介してカセッテ制御部30に接続されている。本実施形態では、増幅回路37、サンプルホールド回路38、アナログマルチプレクサ39を備える信号読出し回路40と、A/D変換器42と、画像データメモリ43と、伝送回路44とにより信号読出し部33が構成されている。
画像データメモリ43に記憶されたデジタル画像信号は、適宜カセッテ制御部30に送信されるようになっている。カセッテ制御部30には、記憶部31が接続されている。カセッテ制御部30は、送信されたデジタル画像信号を画像データとして記憶部31に記憶させる。
【0041】
図4は、FPDカセッテ2の機能的構成及び給電回路の構成を示す要部ブロック図である。
図4に示すように、FPDカセッテ2は、カセッテ制御部30、記憶部31、走査駆動回路32、信号読出し回路40を備える信号読出し部33、計時手段34、通信部35、バイアス電源36、外部給電端子27、バッテリ28等を備えている。
【0042】
カセッテ制御部30は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random・Access Memory)等を備えるコンピュータである。
ROMには、画像データ生成処理等、FPDカセッテ2において各種の処理を行うためのプログラム、各種の制御プログラムやパラメータ等が記憶されている。
カセッテ制御部30は、ROMに格納された所定のプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開し、当該プログラムに従ってCPUが各種処理を実行するようになっている。
【0043】
記憶部31は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等で構成されており、記憶部31には、読取部45により生成される画像データや、コンソール5から送信される撮影オーダ情報等が記憶されるようになっている。
なお、記憶部31は内蔵型のメモリでもよいし、メモリカード等の着脱可能なメモリでもよい。また、その容量は特に限定されないが、複数枚分の画像データを保存可能な容量を有することが好ましい。このような記憶手段を備えることによって、被写体に対して連続して放射線を照射し、その度ごとに画像データを記録し蓄積していくことができ、連続撮影や動画撮影を行うことが可能となる。
【0044】
計時手段34は、FPDカセッテ2による撮影が終了してからの経過時間を計時するものである。計時手段34は、撮影が終了してからの経過時間の情報を、カセッテ制御部30に出力するようになっている。なお、計時手段34は、カセッテ制御部30内でソフト的に実現されるものであってもよい。
【0045】
通信部35は、アンテナ装置46と接続されており、カセッテ制御部30の制御に従って、コンソール5等の外部装置との間で各種信号の送受信を行う通信手段である。通信部35は、無線アクセスポイント6を介して無線方式でコンソール5等の外部装置との通信を行う。
本実施形態において、通信部35は、読取部45によって読み取られた画像信号に基づく画像データを外部機器であるコンソール5に送信するとともにコンソール5等から撮影オーダ情報を受信する検出器通信手段として機能する。
また、通信部35は、タグリーダ60,61から送信されるFPDカセッテ2のタグ情報を受信するようになっている。
【0046】
また、FPDカセッテ2は、FPDカセッテ2の各機能部に電力を供給する内部給電手段として、バッテリ28を備えている。
図4に示すように、バッテリ28は、給電回路C上に配置されており、FPDカセッテ2の各機能部に電力を供給する内部給電手段である。なお、図4においては、図示の便宜上、電力供給先として各機能部のうち、通信部35、走査駆動回路32、信号読出し回路40、バイアス電源36のみを示している。
バッテリ28としては、例えばニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、小型シール鉛電池、鉛蓄電池、電気二重層コンデンサ等の充電自在な電池を適用することができる。なお、内部給電手段はバッテリ28に限定されず、バッテリ28に代えて、燃料電池等を適用してもよい。
【0047】
外部給電端子27は、コネクタ部26と接続されており、コネクタ部26に外部電源と接続されるケーブル49が接続されることにより、コネクタ部26を介して外部給電端子27にケーブル49が接続される。外部給電端子27は、コネクタ部26にケーブル49が接続されると、外部電源PWから供給される電力を受電してFPDカセッテ2の各機能部に電力を供給する。
【0048】
FPDカセッテ2の給電回路C上には、各機能部に電力を供給する電力供給源をバッテリ28とするか外部電源PWとするかを切り替えるための切替スイッチSW1が設けられている。本実施形態では、カセッテ制御部30は、コネクタ部26にケーブル49が接続されているか否かを判断し、接続されている場合には、コネクタ部26を介して外部電源PWから電力供給を行い、コネクタ部26にケーブル49が接続されていない場合には、内部給電手段としてのバッテリ28から電力供給を行うように、適宜切替スイッチSW1を切り替える制御信号S1を出力する。これにより、各機能部に電力を供給する電力供給源を切り替えられるようになっている。
【0049】
また、給電回路C上には、電力供給源(バッテリ28又は外部電源PW)から各機能部に対する電力供給のON/OFFを切り替えるON/OFFスイッチSW2が設けられており、カセッテ制御部30がこのON/OFFスイッチSW2を制御することにより、電力供給源から各機能部に対する電力供給を制御することができるようになっている。具体的には、カセッテ制御部30は、電力供給を行う機能部については、ON/OFFスイッチSW2をONとし、電力供給を停止する機能部については、ON/OFFスイッチSW2をOFFとするように制御信号S2を出力する。これにより、適宜ON/OFFスイッチSW2が切り替えられて、電力供給源から各機能部に対する電力供給が制御されるようになっている。
【0050】
本実施形態においては、バッテリ28、外部給電端子27、給電回路C、切替スイッチSW1、ON/OFFスイッチSW2等により、バイアス電源36及び読取部45を含むFPDカセッテ2の各機能部に対して電力を供給する電源手段が構成されている。
【0051】
本実施形態において、カセッテ制御部30は、この電源手段による各機能部に対する電力供給を制御する給電制御手段として機能する。
例えば、カセッテ制御部30のROM又は記憶部31には各機能部に対する電力供給の仕方について定められたルールがテーブルとして記憶されており、カセッテ制御部30は、このルールにしたがって、電力供給を制御する。なお、電力供給の仕方についてのルールは、テーブルとして記憶されている場合に限定されない。
【0052】
ここで、本実施形態におけるカセッテ制御部30による電力供給制御について具体的に説明する。
【0053】
本実施形態では、前述のように、一の撮影終了後、2分間撮影が実行されない場合には電源が自動的に撮影休止モードに遷移するようにデフォルト設定されており、何ら設定等がされていないとき、又は電源スイッチ22が操作されて各種の設定がリセットされたときは、このルール(第1ルール)が適用される。カセッテ制御部30には、撮影が終了してからの経過時間の情報が計時手段34から送信されるようになっており、カセッテ制御部30はこの情報を参照して、一の撮影終了後、2分間が経過したか否かを判断する。なお、このように、予めデフォルト値が記憶されている場合でも、操作者の設定等により、その時間を任意に延長・短縮できるようにしてもよい。
【0054】
また、コンソール5から撮影オーダ情報が送信されたときは、一の撮影終了後、次の撮影に移行するまでの間、これらの撮影に対応する撮影オーダ情報に基づいて、電源手段による各機能部に対する給電状態として、撮影可能な撮影モードを維持するか、撮影を休止する撮影休止モードとするかを決定し、決定したモードに応じた給電状態となるように電源手段による各機能部に対する電力供給を制御する。
撮影オーダ情報には、撮影対象となる患者に関する情報である患者識別情報、撮影に使用するモダリティに関する情報(例えば撮影に使用するブッキー装置3が臥位撮影用のブッキー装置3aであるか立位撮影用のブッキー装置3bであるか等)であるモダリティ種別情報、撮影対象となる部位に関する情報である撮影部位情報のうち少なくとも1つが含まれており、このような撮影オーダ情報に基づいた給電状態の制御としては、例えば以下のようなルールが定められている。
【0055】
カセッテ制御部30は、撮影オーダ情報に含まれる患者識別情報から一の撮影と次の撮影との撮影対象となる患者が同一であると判断される場合には、撮影モードに応じた給電状態、すなわち、少なくともバイアス電源36と信号読出し回路40に電圧を印加している状態を維持するように電源手段による各機能部に対する電力供給を制御する(第2ルール)。
例えば撮影オーダ情報として同一患者について複数回の撮影(例えば患者Aに対する胸部正面、胸部側面、腹部の3撮影)が予定されている場合には、カセッテ制御部30は、予定された撮影が終了するまでは撮影モードを維持するように、各機能部に対する電力供給を制御する。
【0056】
モダリティ種別情報から一の撮影と次の撮影とに使用されるモダリティ種別が同一であると判断される場合(例えば、立位撮影用のブッキー装置3bによる胸部正面および側面撮影)にも、撮影モードに応じた給電状態を維持するように電源手段による各機能部に対する電力供給を制御する(第3ルール)。
【0057】
撮影部位情報から一の撮影と次の撮影との撮影部位が同一であると判断される場合(例えば、左または右乳房に於けるCC及びMLO撮影)にも、撮影モードに応じた給電状態を維持するように電源手段による各機能部に対する電力供給を制御する(第4ルール)。
【0058】
また、モード選択ボタン29により、撮影状態を維持するモードが選択された場合には、一の撮影と次の撮影との間に時間が空く場合でも撮影モードを維持するように電源手段による各機能部に対する電力供給を制御する(第5ルール)。
【0059】
ただし、患者識別情報、モダリティ種別情報、撮影部位情報といった撮影オーダ情報に基づいて撮影モードを維持するとされた場合やモード選択ボタン29により、撮影状態を維持するモードが選択された場合でも、一の撮影終了後、一定の長時間次の撮影が開始されなかった場合には、自動的に撮影休止モードに遷移する(第6ルール)。なお、この「一定の長時間」については、デフォルトとして一定の値(例えば10分間)が設定されているが、操作者の設定等により、その時間を任意に延長・短縮できるようにしてもよい。カセッテ制御部30は、計時手段34から送信される撮影が終了してからの経過時間の情報を参照して、一の撮影終了後、「一定の長時間」(例えば10分間)が経過したか否かを判断する。
【0060】
撮影室R1が複数ある場合等に、ある撮影室R1で一の撮影が開始されてから当該撮影室R1内での撮影が継続される限り撮影モード維持し、当該撮影室R1から搬出されたら撮影休止モードに遷移する(第7ルール)。
【0061】
また、外部給電端子27にケーブル49等が接続されて外部電源PWから電力が供給される場合には、一の撮影と次の撮影との間に時間が空く場合でも撮影モードを維持する(第8ルール)。なお、このケースにおいては、各撮影毎にダーク読取を行って、オフセット補正値を随時更新する。
【0062】
FPDカセッテ2が、ブッキー装置3に装填されて使用されている場合には、一の撮影と次の撮影との間に時間が空く場合でもブッキー装置3から取り出されるまでは撮影モードを維持する(第9ルール)。
【0063】
また、撮影オーダ情報において予定されている撮影がマンモグラフィ(mammography)撮影である場合には、一の撮影と次の撮影との間に時間が空く場合でも撮影オーダ情報において予定されている一連の撮影を終了するまで撮影モードを維持する(第10ルール)。なお、第10ルール場合においては、バッテリ28の節約よりも、診断対象となる微小石灰化病変部の検出精度向上(診断対象の病変サイズが100μm前後で、個々の検出素子サイズと近似しており、検出素子単位での適正なオフセット補正が必要)を優先し、撮影毎にダーク読取を行い、オフセット補正値を随時更新することがより好ましい。
【0064】
なお、カセッテ制御部30が電源手段による給電状態を制御する際のルールは、ここに例示したものに限定されない。また、これら全てのルールが適用されることは必須ではなく、ここに挙げたルールのいずれか一又は複数の組み合わせが適用されるものであってもよい。
【0065】
コンソール5は、図5に示すように、CPU(Central Processing Unit)等で構成される制御部51、記憶部52、入力部53、表示部54、通信部55、ネットワーク通信部56、等を備えて構成されており、各部はバス57により接続されている。
【0066】
記憶部52は、図示しないROM(read only memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成されている。
ROMは、例えばHDD(Hard Disk Drive)や半導体の不揮発性メモリ等で構成されており、ROMには、患部を検出するための自動部位認識に基づく階調処理・周波数処理等の画像処理を行うためのプログラム等、各種のプログラムが記憶されているほか、撮影画像の画像データを診断に適した画質に調整するための画像処理パラメータ(階調処理に用いる階調曲線を定義したルックアップテーブル、周波数処理の強調度等)等が記憶されている。
RAMは、制御部51により実行制御される各種処理において、ROMから読み出されて制御部51で実行可能な各種プログラム、入力若しくは出力データ、及びパラメータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
本実施形態では、記憶部52は、患者情報、撮影オーダ情報等を記憶している。また、記憶部52は、FPDカセッテ2から送信された画像データやこれに付帯する情報を一時的に記憶するようになっている。
【0067】
制御部51は、ROMに記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行するコンソール5の制御手段である。
【0068】
制御部51は、被写体を提供する患者の患者情報、撮影オーダ情報を登録するオーダ情報登録手段として機能するとともに、取得した患者情報・撮影オーダ情報とFPDカセッテ2で生成されコンソール5に送信された画像データとを対応付ける対応付け手段として機能する。なお、撮影オーダ情報等は、入力部53から入力され記憶部52等に記憶されているものであってもよいし、HIS/RIS8等に予め登録されている撮影オーダ情報を制御部51が取得するようになっていてもよい。
【0069】
また、制御部51は、FPDカセッテ2から送信された被写体の画像データに対して、予め取得した、又は、撮影時に取得した補正データに基づき、オフセット補正・ゲイン補正を行い、さらに補正後の画像データに対して、撮影部位に応じた階調処理・周波数処理等の画像処理を行って、診断用の確定画像データを生成する。
【0070】
入力部53は、文字入力キー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号として制御部51に出力する。
【0071】
表示部54は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタを備えて構成されており、制御部51から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
なお、表示部54の画面上に、透明電極を格子状に配置した感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネル(図示せず)を形成し、表示部54と入力部53とが一体に構成されるタッチスクリーンとしてもよい。この場合、タッチパネルは、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号が操作信号として制御部51に出力されるように構成される。なお、表示部54は、一般的なPC(Personal Computer)に用いられるモニタよりも高精細のものであってもよい。
【0072】
通信部55は、無線アクセスポイント6を介してFPDカセッテ2等との間で無線方式により情報の送受信を行うコンソール通信手段である。
なお、通信部54は、制御部51によって登録された撮影オーダ情報をFPDカセッテ2に送信するとともに、FPDカセッテ2等の外部機器から画像データを受信する。
【0073】
ネットワーク通信部56は、ネットワークインターフェース等により構成され、スイッチングハブを介してネットワークNに接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
本実施形態において、ネットワークNを介してコンソール5のネットワーク通信部56と接続される外部装置としては、HIS/RIS8、PACSサーバ9、イメージャ10等があるが、ネットワークNに接続される外部装置はここに例示したものに限定されない。
【0074】
HIS/RIS8は、撮影に関する被写体の撮影オーダ情報をコンソール5に提供する。撮影オーダ情報は、例えば検査対象を提供する患者の氏名等の患者識別情報や、撮影部位情報、撮影方法に関する情報(例えばマンモグラフィ撮影か否か等)、モダリティ種別情報(例えば撮影に使用するブッキー装置3が臥位用のブッキー装置3aか立位用のブッキー装置3bか等)等、撮影予約に関する情報等を含んでいる。なお、撮影オーダ情報はここに例示したものに限定されず、これ以外の情報を含んでいてもよいし、上記に例示した情報のうちの一部でもよい。
【0075】
PACSサーバ9は、コンソール5から出力された診断用の確定画像データを保存するものである。
また、イメージャ10は、コンソール5から出力された確定画像データに基づいて放射線画像をフィルムなどの画像記録媒体に記録し、出力する。
【0076】
次に、本実施形態における放射線画像生成システム1の作用について説明する。
【0077】
本実施形態において、カセッテ制御部30は、コネクタ部26にケーブル49が接続されているか否かを判断し、ケーブルが接続されている場合には、外部給電端子27を介して外部電源PWから各機能部に電力供給を行うように切替スイッチSW1を制御する。また、ケーブル49が接続されていない場合には、バッテリ28から各機能部に電力供給を行うように切替スイッチSW1を制御する。
一の撮影が終了すると、カセッテ制御部30は、外部電源PWから電力供給が行われているか否かを判断し、外部電源PWから電力供給されている場合には、第8ルールを適用して、一の撮影と次の撮影との間の時間経過にかかわりなく撮影モードを維持する。
【0078】
他方、バッテリ28から電力供給されている場合には、カセッテ制御部30は、原則として第1のルールを適用し、一の撮影終了後、デフォルト設定されている時間(例えば2分間)が経過したら撮影休止モードに遷移するように給電状態を制御する。
また、カセッテ制御部30は、撮影オーダ情報に含まれている患者識別情報、モダリティ種別情報、撮影部位情報を参照して、一の撮影と次の撮影との患者識別情報、モダリティ種別情報、撮影部位情報のいずれかが一致する場合には、撮影モードを維持するように給電状態を制御する(第2ルールから第4ルール)。
また、モード選択ボタン29から撮影状態を維持するモードが選択された場合には、第5ルールを適用して撮影モードを維持するように給電状態を制御する。
さらに、ブッキー装置3にFPDカセッテ2が装填されるとブッキー装置に設けられているタグリーダ60がFPDカセッテ2のタグを読み取り、このタグリーダ60によって読み取られた情報がカセッテ制御部30に送られる。カセッテ制御部30はタグリーダ60から送られた情報に基づいてFPDカセッテ2がブッキー装置3に装填されて使用されていると判断した場合には、第9ルールを適用して、ブッキー装置3から取り出されるまでは撮影モードを維持するように給電状態を制御する。
【0079】
ただし、患者識別情報、モダリティ種別情報、撮影部位情報といった撮影オーダ情報に基づいて撮影モードを維持するとされた場合やモード選択スイッチ29により、撮影状態を維持するモードが選択された場合でも、一の撮影終了後、一定の長時間(例えば10分間)次の撮影が開始されなかった場合には、カセッテ制御部30は第6ルールを適用して撮影休止モードとなるように給電状態を制御する。
【0080】
また、FPDカセッテ2が撮影室R1から搬出されたときは、撮影室R1の入り口に設けられたタグリーダ61によってFPDカセッテ2のタグを読み取られ、読み取られた情報がカセッテ制御部30に送られる。カセッテ制御部30はタグリーダ61から送られた情報に基づいてFPDカセッテ2が撮影室R1から搬出されたと判断すると、第7ルールを適用して撮影休止モードとなるように給電状態を制御する。この場合には、技師がFPDカセッテ2と共に移動中であり、この期間には撮影が行われることは無いと判断できるためである。
【0081】
なお、撮影オーダ情報から、予定されている撮影がマンモグラフィ撮影であると判断されるときは、カセッテ制御部30は、第10ルールを適用して、上記各設定、ルールにかかわらず、撮影オーダ情報において予定されている一連の撮影を終了するまでは、撮影モード(但し、他の部位撮影とは異なり、撮影毎にダーク読取を行うモード)を維持するように給電状態を制御する。
【0082】
以上のように、本実施形態によれば、バッテリ28により電力が供給されているときは、デフォルトとして、一の撮影後2分間経過しても次の撮影が行われない場合には、撮影休止モードに遷移するように設定されているとともに、撮影オーダ情報に基づいて一の撮影と次の撮影との関係を判断し、同一の患者について複数回の撮影が予定されている場合や、同一の撮影部位を連続して撮影する場合、同一のモダリティを用いた撮影が連続する場合には、カセッテ制御部30が撮影モード(すなわち、少なくともバイアス電源36と信号読出し回路40に電力が供給されている状態)を維持するように給電状態を制御する。
これにより、FPDカセッテ2内の温度変化を少なくして温度特性の変化を最小限に抑えることができる。このため、1回オフセット補正値を取得すれば、複数回の撮影について同じオフセット補正値を用いて高精度の補正を行うことができるとともに、オフセット補正値の更新回数を減らすことができるため、バッテリ28から電力が供給されている場合に、無駄な電力消費量を抑えて、FPDカセッテ2の撮影可能時間を長く保つことが可能となる。
【0083】
すなわち、FPDカセッテ2内の温度が変化すると検出手段、読取手段の特性が変化する。特に、バイアス電源36及び信号読出し回路40は、電力供給を停止させると温度が下がり、給電を行うと温度が上昇するので、撮影の度にON/OFFを繰り返すと温度が安定せず、温度特性が変化しやすい。
高精細な画像を得るためには、この温度特性の変化の影響を画像データから除去するためのオフセット補正を行う必要があるが、温度が安定しない状態で撮影を行う場合には撮影毎にオフセット補正値を得るためのダーク読取を行ってオフセット補正値を更新することが望ましい。
この点、本実施形態では、ある程度撮影が連続的に行われることが予想される場合には、少なくともバイアス電源36及び信号読出し回路40に対する給電状態を維持しておくため、FPDカセッテ2内の温度変化を最小限度に抑えて、温度特性の変化を少なくすることができ、撮影毎にオフセット補正値を取得しなくても精度の高いオフセット補正を行うことができる。
【0084】
また、モード選択ボタン29を操作することによって一の撮影後、撮影休止モードに遷移させるか、撮影モードを維持するかを操作者が選択することができるため、操作者の使用態様等に応じた柔軟な対応が可能である。
【0085】
また、外部電源PWから各機能部に電力が供給される場合には、一の撮影と次の撮影との間に時間が空く場合でも撮影モードを維持する(第8ルール)。このため、バッテリ28の電力消耗を考慮する必要のない場合には、撮影毎にオフセット補正値を取得しなくても精度の高いオフセット補正を行うことができる。
【0086】
また、撮影がマンモグラフィ撮影である場合、撮影された画像から医師が微小石灰化や腫瘤の有無を判断・検出することになるが、微小石灰化は、100μ〜200μ程度の極微小なものである。このため、正確な診断を行うためには特に高精細な画像であることが求められ、オフセット補正についても精度の高さが要求される。この点、本実施形態では、マンモグラフィ撮影の場合には撮影モードを維持するという第10ルールを他のルールに優先して適用するようになっているので、FPDカセッテ2内の温度変化を抑えて、精度の高いオフセット補正を行うことができる。
【0087】
また、モード選択ボタン29による選択等によって撮影モードを維持する設定がされても、電源スイッチ22の操作が行われる毎に、設定されたモードがリセットされる。このため、例えば撮影モードを維持する設定がされていることを操作者が忘れていても、デフォルトで設定されている時間が経過すると撮影休止モードに遷移し、バッテリ28が無駄に消耗するのを防止することができる。
【0088】
また、FPDカセッテ2の通信部35とコンソール5の通信部55とは、無線方式で通信を行うため、バッテリ28で駆動させる場合には完全にケーブルレスの状態で使用することができ、撮影の自由度が向上する。
【0089】
なお、本実施形態では、FPDカセッテ2が計時手段34を備え、この計時手段34により撮影が終了してからの経過時間を計時して、カセッテ制御部30がこの計時手段34による計時結果を取得して、撮影モードを維持するか否かの判断の際に参照するようにしたが、撮影が終了してからの経過時間をカセッテ制御部30が取得する手法はこれに限定されない。例えば、撮影終了からの経過時間をコンソール5からFPDカセッテ2に送信し、カセッテ制御部30は、これに基づいて撮影モードを維持するか否かを判断してもよい。このように構成した場合には、FPDカセッテ2側に計時手段を設ける必要がない。
【0090】
また、本実施形態では、FPDカセッテ2の給電状態を一旦モード選択ボタン29の操作等により設定した後にデフォルト設定に戻った場合には、インジケータ25が点滅することにより操作者にその旨を報知するようにしたが、報知の手法はこれに限定されず、音声等により報知してもよい。
【0091】
また、本実施形態においては、前室R2に、操作装置7を備え、これとは別個に放射線画像生成システム1全体の制御を行うコンソール5が設けられる構成としたが、各前室R2に操作装置7に代えてコンソール5を備える構成としてもよい。この場合、コンソール5は、放射線画像生成システム1全体の制御を行うとともに、放射線発生装置4の制御や、ブッキー装置3の操作等も適宜行う。
【0092】
また、本実施形態においては、撮影オーダ情報は、コンソール5の制御部51が、記憶部52に予め保存してあるものを読み出したり、HIS/RIS8等に予め登録されている撮影オーダ情報をネットワークNを介して取得するものとしたが、撮影オーダ情報は、必ずしも放射線画像撮影前に作成されている必要はなく、放射線画像撮影後に、取得された画像データと対応付けるようにして撮影オーダ情報を作成するように構成することも可能である。
【0093】
また、本実施形態では、コネクタ部26に直接ケーブル49が接続される構成を例として説明したが、コネクタ部26にケーブル49が接続される構成はこれに限定されない。例えば、FPDカセッテ2をクレードル等に載置したり、ブッキー装置3に装填したりすると、外部電源PW等に接続されているケーブル49が、クレードルやブッキー装置3を介してFPDカセッテ2のコネクタ部26に間接的に接続される構成としてもよい。
【0094】
また、本実施形態においては、FPDカセッテ2は、アンテナ装置を介して、無線方式でコンソール3等の外部と通信を行うように構成したが、FPDカセッテ2に、通信部35と接続された通信用コネクタ部を設けて、この通信用コネクタ部に図示しないケーブル等が接続されることにより、有線方式で外部との通信が行われるように構成してもよい。この場合、通信用コネクタ部は、例えば、図2においてアンテナ装置46が設けられた筐体21の反対側の側面部分等に配置されることが好ましい。
なお、コネクタ部26が、通信部35とも接続され、通信用コネクタ部を兼用するように構成してもよい。この場合、コネクタ部26にケーブル49が接続されることにより外部との有線通信が行われる。なお、この場合には、コネクタ部26を、図2においてアンテナ装置46が設けられた筐体21の反対側の側面部分等に配置することが好ましい。
【0095】
その他、本発明が本実施の形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明に係る放射線画像生成システムの一実施形態のシステム構成を示す概略図である。
【図2】図1の放射線画像生成システムに適用されるFPDカセッテを示す斜視図である。
【図3】図2に示すFPDカセッテのセンサパネル部及び読取部等の構成を示す等価回路図である。
【図4】図2に示すFPDカセッテの機能的構成及び給電回路の概略構成を示す要部ブロック図である。
【図5】図1に示す放射線画像生成システムに適用されるコンソールの機能的構成を示す要部ブロック図である。
【符号の説明】
【0097】
1 放射線画像生成システム
2 FPDカセッテ(放射線画像検出器)
5 コンソール
7 操作装置
22 電源スイッチ
46 アンテナ装置
27 外部給電端子
28 バッテリ
30 カセッテ制御部
35 通信部
51 制御部
55 通信部
N ネットワーク
R1 撮影室
R2 前室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素単位に電気信号を取り出し可能に構成された複数の放射線検出素子が二次元状に配置された検出手段と、前記検出手段によって取得された信号を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られた画像信号に基づく画像データを外部機器に送信するとともに外部機器から撮影オーダ情報を受信する検出器通信手段と、前記撮影オーダ情報を記憶する記憶手段と、内部給電手段を含み前記検出手段及び前記読取手段を含む各機能部に対して電力を供給する電源手段と、前記電源手段による各機能部に対する電力供給を制御する給電制御手段と、を有する可搬型の放射線画像検出器と、
前記撮影オーダ情報を登録する登録手段と、外部機器から画像データを受信するとともに外部機器に対して前記登録手段により登録された前記撮影オーダ情報を送信するコンソール通信手段と、を有するコンソールと、を備え、
前記給電制御手段は、一の撮影終了後、次の撮影に移行するまでの間、これらの撮影に対応する撮影オーダ情報に基づいて、前記電源手段による各機能部に対する給電状態として、撮影可能な撮影モードを維持するか、撮影を休止する撮影休止モードとするかを決定し、決定したモードに応じた給電状態となるように前記電源手段による各機能部に対する電力供給を制御することを特徴とする放射線画像生成システム。
【請求項2】
前記撮影オーダ情報には撮影対象となる患者に関する患者識別情報が含まれ、
前記給電制御手段は、前記一の撮影と前記次の撮影との撮影対象となる患者が同一である場合には、前記撮影モードに応じた給電状態を維持するように前記電源手段による各機能部に対する電力供給を制御することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像生成システム。
【請求項3】
前記撮影オーダ情報には当該撮影に使用されるモダリティ種別に関するモダリティ種別情報が含まれ、
前記給電制御手段は、前記一の撮影と前記次の撮影とに使用されるモダリティ種別が同一である場合には、前記撮影モードに応じた給電状態を維持するように前記電源手段による各機能部に対する電力供給を制御することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像生成システム。
【請求項4】
前記撮影オーダ情報には当該撮影の対象となる部位に関する撮影部位情報が含まれ、
前記給電制御手段は、前記一の撮影と前記次の撮影との撮影部位情報が同一である場合には、前記撮影モードに応じた給電状態を維持するように前記電源手段による各機能部に対する電力供給を制御することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像生成システム。
【請求項5】
前記検出器通信手段及び前記コンソール通信手段は、無線方式で通信を行う無線通信手段であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射線画像生成システム。
【請求項6】
画素単位に電気信号を取り出し可能に構成された複数の放射線検出素子が二次元状に配置された検出手段と、
前記検出手段によって取得された信号を読み取る読取手段と、
内部給電手段を含み、前記検出手段及び前記読取手段を含む各機能部に対して電力を供給する電源手段と、
一の撮影終了後、所定期間撮影が実行されない場合に、前記電源手段による各機能部に対する給電状態を、撮影可能な撮影モードから撮影を休止する撮影休止モードに遷移させるか、又は前記撮影モードを維持するかを選択するモード選択手段と、
前記モード選択手段による選択結果に基づいて、前記一の撮影終了後における前記電源手段による各機能部に対する電力供給を制御する給電制御手段と、
を備えることを特徴とする放射線画像検出器。
【請求項7】
前記電源手段は、外部電源から供給される電力を受電して各機能部に電力を供給するための外部給電端子をさらに含み、前記内部給電手段に替えて、前記外部給電端子を介して前記外部電源から各機能部に電力供給することが可能であり、
前記給電制御手段は、各機能部に前記外部電源から電力供給しているときは、前記撮影モードに応じた給電状態を維持するように前記電源手段による各機能部に対する電力供給を制御することを特徴とする請求項6に記載の放射線画像検出器。
【請求項8】
前記電源手段による各機能部に対する電力供給開始を指示する電源スイッチをさらに備え、
前記電源スイッチの操作が行われる毎に、前記モード選択手段によって選択されたモードがリセットされることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の放射線画像検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−46315(P2010−46315A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213701(P2008−213701)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】