説明

放熱ピン及びこの放熱ピンを含むパッケージ基板、並びにその製造方法

【課題】放熱性能に優れ、その製造工程が簡単である放熱ピン及びこの放熱ピンを含むパッケージ基板、並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】カーボン成分を含む焼成型ペーストをモールドに注入して放熱ピン100aを製造することにより、多様な形状を有する放熱ピン100aの製造が容易になり、このような放熱ピン100aによってパッケージ基板の放熱効率を向上させることができる。また、放熱ピン100aをカバー構造に形成することで、放熱性能を改善させるとともに、半導体チップだけでなくプリント基板を外部に対して密封させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放熱ピン及びこの放熱ピンを含むパッケージ基板、並びにその製造方法に関し、より詳しくは、放熱性能に優れ、その製造工程が簡単である放熱ピン及びこの放熱ピンを含むパッケージ基板、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子製品の薄型化及び機能化につれて、電子製品にはより多くの受動/能動素子及び半導体チップ(IC)が実装されている。しかし、実装される受動/能動素子、及びパッケージングされる半導体チップの個数が増えるほど、電力消耗が増大して熱が発生することになり、製品の信頼性の側面のみならず、消費者の製品選好度の側面でも大きな影響を及ぼしている。
【0003】
したがって、このような熱関連問題を解決するために、放熱ピンなどに関する研究が進んでおり、最近では、放熱ピンの素材の側面で、銅より熱伝導度が約10倍以上高いカーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube;CNT)を利用した放熱ピンに対する研究が活発に進んでいる。
【0004】
一般に、カーボンナノチューブは、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition;CVD)によって製造される。図1には、このような化学気相蒸着法によって形成されたカーボンナノチューブ13が示されている。
【0005】
図1を参照すれば、従来のカーボンナノチューブ13は、シリコン基板11上にナノサイズの触媒金属12粒子を形成した後、その上に高温工程合成方法(500℃〜1000℃)によって垂直方向に形成される。このように製造されたカーボンナノチューブ13を放熱のための部分に接合して放熱ピンとして使用する。
【0006】
しかし、このような化学気相蒸着法を用いる場合、カーボンナノチューブを垂直方向に成長させることはできるが、多様な形状を持たせるように成長させることができないため、表面積を増大させて放熱効率の高い放熱ピンを製造することに限界があった。
【0007】
また、化学気相蒸着法は、高温(約500℃〜約4000℃)の工程温度を伴うことより、カーボンナノチューブを成長させるための基材が、高温でも使用可能なもの、例えばシリコン基板11に制限される問題点があった。
【0008】
また、カーボンナノチューブを成長させるために、別の金属触媒12が必要であるだけでなく、シリコン基板11上にナノサイズの金属触媒12を形成するために、密閉性の高い特殊容器が必要であるため、装備の費用が上昇する問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたもので、カーボン成分を含む焼成体を利用することにより、多様な形状を有することができる放熱ピン及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【0010】
また、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバー(carbon nano fiber)を含む焼成型ペーストをモールドに注入させる簡単な工程で製造することができる放熱ピン及びその製造方法を提供することに他の目的がある。
【0011】
また、上記放熱ピンをパッケージ基板に付着して放熱性能を改善した、放熱ピンを含むパッケージ基板及びその製造方法を提供することにさらに他の目的がある。
【0012】
また、上記放熱ピンをカバー構造に形成することで、放熱性能を改善させるとともに、半導体チップだけでなくプリント基板を外部に対して密封させることにより、別の樹脂封止部が不要である放熱ピンを含むパッケージ基板及びその製造方法を提供することにさらに他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、カーボン成分を含む焼成体で形成される放熱ピンを提供する。
【0014】
上記焼成体は、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーと、金属微粒子とを含むことができる。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明は、半導体チップが実装されたプリント基板;及び前記半導体チップ上に付着される、カーボン成分を含む焼成体で形成された放熱ピン;を含む、放熱ピンを含むパッケージ基板を提供する。
【0016】
前記焼成体は、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバー、及び金属微粒子を含むことができる。
【0017】
前記放熱ピンは、前記半導体チップを含む、前記半導体チップが実装された前記プリント基板の表面を外部から密封するために、カバー構造を有することができる。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明は、(A)支持体の一面に放熱ピン製造用溝が形成された樹脂層を有するモールドを製造する段階;(B)前記放熱ピン製造用溝を含む前記モールドの一面に、カーボン成分を含む焼成型ペーストを印刷する段階;(C)前記支持体を除去して放熱部を形成する段階;及び(D)前記放熱部に焼成工程を行う段階;を含む、放熱ピンの製造方法を提供する。
【0019】
前記(A)段階は、(A1)支持体の一面に樹脂層を積層する段階;(A2)放熱ピン製造用溝に対応するパターンを有するスタンプで前記樹脂層をインプリンティング(imprinting)する段階;及び(A3)前記スタンプを除去する段階;を含むことができる。
【0020】
前記(B)段階の後、(B1)前記印刷された焼成型ペーストを乾燥させる段階をさらに含むことができる。
【0021】
前記焼成型ペーストは、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーと、金属微粒子と、バインダーとを含むことができる。
【0022】
前記(D)段階において、前記焼成工程で前記樹脂層及び前記バインダーが除去されることができる。
【0023】
前記(D)段階の後、(E)反応性イオンエッチング(Reactive ion etching;RIE)工程によって、前記焼成工程で除去されなかった前記樹脂層及び前記バインダーを除去する段階をさらに含むことができる。
【0024】
また、上記目的を達成するために、本発明は、(A)支持体の一面に放熱ピン製造用溝が形成された樹脂層を有するモールドを製造する段階;(B)前記放熱ピン製造用溝を含む前記モールドの一面に、カーボン成分を含む焼成型ペーストを印刷する段階;(C)前記支持体を除去して放熱部を形成する段階;(D)前記放熱部に焼成工程を行って放熱ピンを製造する段階;及び(E)前記放熱ピンを、プリント基板に実装された半導体チップ上に付着する段階;を含む、放熱ピンを含むパッケージ基板の製造方法を提供する。
【0025】
前記(A)段階は、(A1)支持体の一面に樹脂層を積層する段階;(A2)放熱ピン製造用溝に対応するパターンを有するスタンプで前記樹脂層をインプリンティングする段階;及び(A3)前記スタンプを除去する段階;を含むことができる。
【0026】
前記(B)段階の後、(B1)前記印刷された焼成型ペーストを乾燥させる段階をさらに含むことができる。
【0027】
前記焼成型ペーストは、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーと、金属微粒子と、バインダーとを含むことができる。
【0028】
前記(D)段階において、前記焼成工程で前記樹脂層及び前記バインダーが除去されることができる。
【0029】
前記(D)段階の後、(D1)反応性イオンエッチング(RIE)工程によって、前記焼成工程で除去されなかった前記樹脂層及び前記バインダーを除去する段階をさらに含むことができる。
【0030】
前記放熱ピンは、前記半導体チップを含む、前記半導体チップが実装された前記プリント基板の表面を外部から密封するために、カバー構造を有することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明による放熱ピンは、カーボン成分を含む焼成体で形成することにより、広い表面積を有する多様な形状に製造することができ、これにより放熱性能を一層改善することができる。
【0032】
また、本発明による放熱ピン及びその製造方法は、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーを含む焼成型ペーストをモールドに印刷する簡単な工程で多様な形状を有する放熱ピンを製造することができる。
【0033】
また、本発明による放熱ピンを含むパッケージ基板及びその製造方法は、放熱性能に優れた放熱ピンを付着して、パッケージ基板から発生する熱によって発生する信頼性低下の問題を改善することができる。
【0034】
また、本発明による放熱ピンを含むパッケージ基板及びその製造方法は、放熱ピンをカバー構造に形成し、半導体チップ及びプリント基板を外部から密封して、別の樹脂封止部の形成の必要なしに、半導体チップ及びプリント基板を保護する機能をするだけでなく、樹脂封止部を除去することで、放熱性能を一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0036】
図2は本発明の好適な実施例による放熱ピンを示す断面図、図3は本発明の好適な実施例による放熱ピンを含むパッケージ基板を示す断面図、図4は本発明の好適な他の実施例による放熱ピンを含むパッケージ基板を示す断面図、図5から図9は本発明の好適な実施例による放熱ピンを製造する方法を説明するための工程断面図である。
【0037】
図2に基づいて、本発明の好適な実施例による放熱ピン100aを説明する。
【0038】
本発明の好適な実施例による放熱ピン100aは、カーボン成分を含む焼成体で形成されることを特徴とする。ここで、焼成体は、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーと、金属微粒子と、添加剤などとを含む。
【0039】
この際に、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーは、他の物質に比べて、優れた電気的特性を有する。例えば、下記の表1はカーボンナノチューブと他の物質の特性を比較している。
【表1】

【0040】
上記表1のように、カーボンナノチューブは、アルミニウム又は銅のように、比較的電気伝導度及び比抵抗の面で優れた性質を有する金属物質より良い電気的性質を有する。よって、このようなカーボン成分を含む焼成体で形成された放熱ピン100aは、放熱効果に優れて、プリント基板の内部の熱を効果的に外部に放出することができる。
【0041】
一方、カーボンナノチューブは、単一壁又は多重壁カーボンナノチューブを単独又は組合せで使用することができるが、伝導特性が直径に比例する多重壁カーボンナノチューブを使用することが好ましい。
【0042】
また、金属微粒子は高電導性金属でなるもので、銀(Ag)、銅(Cu)、又はこれらを適切に組み合わせて使用することができ、接着性及び伝導の効率を向上させる。
【0043】
また、添加剤は接着性及び印刷性を制御する要素であって、有機/無機充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、難燃剤、チキソトロープ剤、光沢剤、分子内で樹脂と結合可能な疎水性官能基と無機充填剤と結合可能な親水性官能基を同時に有するカップリング剤などを、必要に応じて、単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。ここで、無機充填剤は熱膨脹率を低める機能をするもので、球状/平板/非晶質などのシリカ、アルミナ、珪藻土などが使用される。一方、添加剤は、酸化物の除去のためにパインタール(pine tar)などのような酸化物添加剤を含むことができる。
【0044】
図2には、図示の便宜上、放熱ピン100aが特定の形状を有するものとして示されているが、本発明の好適な実施例による放熱ピン100aがこのような特定の形状に限定されるものではなく、放熱効率を高めるために、広い表面積を持たせるように、多様な形状を有することができることは明らかであろう。例えば、図4には、カバー構造の放熱ピン100bが示され。
【0045】
図3及び図4に基づいて、本発明の好適な実施例による放熱ピンを含むパッケージ基板150a、150bを説明する。
【0046】
本発明の好適な実施例による放熱ピンを含むパッケージ基板150a、150bは、半導体チップ152が実装されたプリント基板151の半導体チップ152上に、カーボン成分を含む焼成体で形成された放熱ピン100a、100bが付着されたことを特徴とする。参照として、放熱ピン100a、100bは上述したよう準備し、説明の便宜上、これについての詳細な説明は省略する。
【0047】
ここで、放熱ピン100a、100bは、接着剤153などによって半導体チップ152上に付着する。
【0048】
まず、図3を参照すれば、本発明の好適な実施例による放熱ピンを含むパッケージ基板150aは、放熱ピン100aが半導体チップ152の上端に接着剤153を介して直接付着されるため、半導体チップ152から発生する熱を放出する構造を有する。
【0049】
次いで、図4を参照すれば、本発明の好適な他の実施例による放熱ピンを含むパッケージ基板150bは、放熱ピン100bが、半導体チップ152、及び半導体チップ152が実装されたプリント基板151の表面が外部から密封されるようにするカバー構造を有する。実際、図3に示すような放熱ピンを含むパッケージ基板150aは、半導体チップ152及びプリント基板151を外部から保護するために、EMCモールディングのような樹脂封止部によって封止されて使用される。しかし、図4のようなカバー構造の放熱ピンを含むパッケージ基板150bは、放熱ピン100bが半導体チップ152及びプリント基板151を外部から密封する構造を有するので、樹脂封止部を別に形成する必要がないだけでなく、樹脂封止部による放熱効率の低下などの問題を解決することができる。すなわち、カバー構造の放熱ピン100bを採用することにより、密封の機能及び放熱の機能を同時に達成することができる。
【0050】
一方、図3及び図4には、半導体チップ152がワイヤボンディング方式でプリント基板151に実装されるものとして示されているが、これは一例に過ぎなく、半導体チップ152がフリップチップ方式でプリント基板151に実装されることができるだけでなく、多種のパッケージ基板及びメモリチップの分野にも適用可能である。
【0051】
図5から図9に基づいて、本発明の好適な実施例による放熱ピンを製造する方法を説明する。
【0052】
まず、図5に示すように、支持体101の一面に樹脂層102を形成し、スタンプ103でインプリンティングする。
【0053】
ここで、支持体101は樹脂層102を支持するためのもので、支持手段としての一定強度以上を有するものが好ましく、例えば金属又は重合体、特に剥離性重合体から構成される材料のいずれも使用可能であり、一例として銅箔を挙げることができる。
【0054】
また、樹脂層102は、インプリンティング工程が実施できるように、半硬化状態で、支持体101の一面に、例えばスピンコーティング、液滴塗布、又は噴射方式を用いて形成することができる。もちろん、他の公知方法で樹脂層102を支持体101に形成することも本発明の範囲内に含まれる。
【0055】
この樹脂層102は熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂のいずれも使用可能であり、例えば、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド(maleimide)樹脂、ポリシアネート(polycyanate)樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル化合物などの熱硬化性樹脂、又はポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン(polyether sulfone)、ジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene)系樹脂などの熱可塑性樹脂が使用可能である。
【0056】
一方、スタンプ103は、半硬化状態の樹脂層102をインプリンティングして、樹脂層102に所望形状の放熱ピン製造用溝104を形成するためのもので、放熱ピン製造用溝104に対応するパターンを有し、このパターンは、放熱ピンの表面積を増大させるために、多様な形態を有するか、あるいは数μm程度の放熱ピン製造用溝104を形成するために、微細な構造を有することが好ましい。
【0057】
次いで、図6に示すように、樹脂層102をインプリンティングした後、スタンプ103を除去してモールド105を製造する。この際に、スタンプ103が除去されれば、樹脂層102はスタンプ103の形状に対応する放熱ピン製造用溝104を有することになる。
【0058】
一方、この段階では、スタンプ103の除去の後、半硬化状態の樹脂層102を硬化状態に乾燥する段階を含むことが好ましい。
【0059】
次いで、図7に示すように、放熱ピン製造用溝104を含む支持体101の一面にカーボン成分を含む焼成型ペースト106を印刷する。
【0060】
この際に、カーボン成分を含む焼成型ペースト106は、バインダー成分内に粉末状態のカーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーパウダーが混合された物質で、金属微粒子、添加剤などをさらに含むことができる。
【0061】
ここで、焼成型ペースト106は、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーが約75〜85%、バインダーが約5〜10%、添加剤が約5%の重量比を有することが好ましい。参照として、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバー、金属微粒子、添加剤についての説明は上述したとおりであるため、ここでは省略する。
【0062】
一方、バインダーは、焼成型ペースト106の弾性及び接着力を制御するためのもので、必要に応じて重量部を調節して使用可能である。例えば、バインダーは、エポキシ(epoxy)樹脂、シアン酸エステル(cyanic acid ester)樹脂、ビスマレイミド(bismaleimide;BMI)樹脂、ポリイミド(polyimide)樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂(benzocyclobutene;BCB)、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、又はポリウレタン(polyurethane)樹脂、ポリアミドイミド(Polyamideimide)樹脂、ポリフェニレンエーテル(Polyphenyleneether)樹脂などの熱可塑性樹脂、又はUV硬化樹脂などを単独で又は2種以上を混合して使用することができる。さらに、バインダーは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンカーボネート及びこれらの混合物でなる群より選んで使用することができる。これは、より低い温度範囲で焼成が可能であるだけでなく、焼成工程でバインダーがうまく分解して、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーの劣化を防止することにより、熱伝導度を大きく向上させることができる。
【0063】
次いで、図8に示すように、支持体101を除去して放熱部107を形成する。
【0064】
例えば、支持体101が銅箔の場合、塩化鉄(FeCl)腐食液、5塩化銅腐食液(CuCl)、アルカリ腐食液、及び過酸化水素/硫酸系(H/HSO)腐食液のようなエッチング液で除去することができる。この際に、焼成型ペースト106はこのエッチング液によって腐食されない。
【0065】
次いで、図9に示すように、放熱部107に焼成工程を行ってバインダーと樹脂層102を除去することで、図2に示すような放熱ピン100aを製造する。
【0066】
この際に、焼成型ペースト106は、約500℃以上の温度で加熱処理される焼成工程によって、内部に存在するバインダーがカーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーを互いに接続させ、熱分解して除去される。また、放熱部107に存在する樹脂層102も300℃以上の温度で熱分解し、焼成工程を経った後には除去される。すなわち、放熱ピン100aは、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバー、金属微粒子及び添加剤を含む焼成体でなる。
【0067】
一方、図4に示すカバー構造の放熱ピン100bも上記と同様の工程で製造されるため、これについての詳細な説明は省略する。
【0068】
しかし、焼成工程の後にもバインダー及び樹脂層が残存する場合、放熱性能の向上のために、反応性イオンエッチング(RIE)工程でバインダー及び樹脂層を除去する工程をさらに行うことが好ましい。反応性イオンエッチング技術は、反応性ガスのプラズマに存在する活性種をエッチング材料の表面原子と反応させて揮発性の反応生成物を生成させ、これを材料表面から離脱させてエッチングする技術である。本発明では、アルゴン(Ar)又はヘリウム(He)のような不活性気体を利用した誘電体障壁放電(Dielectric Barrier Discharge;DBD)を利用して実施することができる。
【0069】
一方、本発明の好適な実施例による放熱ピンを含む放熱パッケージ150a、150bは、上記と同様に製造された放熱ピン100a、100bを半導体チップ152の実装されたプリント基板151に付着することで製造することができる。これについての説明は、図3及び図4に基づいて説明する。
【0070】
まず、本発明の好適な実施例による放熱ピンを含むパッケージ基板150aは、図3に示すように、プリント基板151に実装された半導体チップ152上に接着剤153を塗布した後、図5から図9の製造工程によって製造された放熱ピン100aを付着することで製造することができる。
【0071】
次いで、本発明の好適な他の実施例による放熱ピンを含むパッケージ基板150bは、図4に示すように、カバー構造の放熱ピン100bを、半導体チップ152及びプリント基板151の全部を密封するように付着するため、半導体チップ152の上部及びプリント基板151の一側に接着剤を塗布して付着することで製造することができる。
【0072】
一方、放熱ピン100a、100bは、ラウター(router)工程によって、半導体チップ152及びプリント基板151のサイズに応じて加工して半導体チップ152に付着することが好ましい。ここで、ラウター工程は、ラウタービット(router bit)という工具を利用して機械的に放熱ピン100a、100bを切断/裁断する工程である。
【0073】
また、プリント基板151に実装された半導体チップ152上に対する放熱ピン100a、100bの実装は、例えば既存のチップマウンター装備を利用することができる。
【0074】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのもので、本発明による放熱ピン及びこの放熱ピンを含むパッケージ基板、並びにその製造方法はこれに限定されず、本発明の技術的思想内で、当該分野の通常の知識を有する者によってその変形又は改良が可能であることは言うまでもない。本発明の単純な変形ないし変更はいずれも本発明の範疇に属するもので、本発明の具体的な保護範囲は特許請求範囲によって決まるものである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、放熱性能に優れ、その製造工程が簡単である放熱ピン及びこの放熱ピンを含むパッケージ基板に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】従来例による化学気相蒸着法によって形成されたカーボンナノチューブを示す断面図である。
【図2】本発明の好適な実施例による放熱ピンを示す断面図である。
【図3】本発明の好適な実施例による放熱ピンを含むパッケージ基板を示す断面図である。
【図4】本発明の好適な他の実施例による放熱ピンを含むパッケージ基板を示す断面図である。
【図5】本発明の好適な実施例による放熱ピンを製造する方法を説明するための工程断面図である。
【図6】本発明の好適な実施例による放熱ピンを製造する方法を説明するための工程断面図である。
【図7】本発明の好適な実施例による放熱ピンを製造する方法を説明するための工程断面図である。
【図8】本発明の好適な実施例による放熱ピンを製造する方法を説明するための工程断面図である。
【図9】本発明の好適な実施例による放熱ピンを製造する方法を説明するための工程断面図である。
【符号の説明】
【0077】
100a、100b 放熱ピン
101 支持体
102 樹脂層
103 スタンプ
104 放熱ピン製造用溝
105 モールド
106 焼成型ペースト
107 放熱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボン成分を含む焼成体で形成される、放熱ピン。
【請求項2】
前記焼成体は、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーと、金属微粒子とを含む、請求項1に記載の放熱ピン。
【請求項3】
半導体チップが実装されたプリント基板;及び
前記半導体チップ上に付着される、カーボン成分を含む焼成体で形成された放熱ピン;
を含む、放熱ピンを含むパッケージ基板。
【請求項4】
前記焼成体は、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーと、金属微粒子とを含む、請求項3に記載の放熱ピンを含むパッケージ基板。
【請求項5】
前記放熱ピンは、前記半導体チップを含む、前記半導体チップが実装された前記プリント基板の表面を外部から密封するために、カバー構造を有する、請求項3又は4に記載の放熱ピンを含むパッケージ基板。
【請求項6】
(A)支持体の一面に放熱ピン製造用溝が形成された樹脂層を有するモールドを製造する段階;
(B)前記放熱ピン製造用溝を含む前記モールドの一面に、カーボン成分を含む焼成型ペーストを印刷する段階;
(C)前記支持体を除去して放熱部を形成する段階;及び
(D)前記放熱部に焼成工程を行う段階;
を含む、放熱ピンの製造方法。
【請求項7】
前記(A)段階は、
(A1)支持体の一面に樹脂層を積層する段階;
(A2)放熱ピン製造用溝に対応するパターンを有するスタンプで前記樹脂層をインプリンティングする段階;及び
(A3)前記スタンプを除去する段階;
を含む、請求項6に記載の放熱ピンの製造方法。
【請求項8】
前記(B)段階の後、
(B1)前記印刷された焼成型ペーストを乾燥させる段階をさらに含む、請求項6又は7に記載の放熱ピンの製造方法。
【請求項9】
前記焼成型ペーストは、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーと、金属微粒子と、バインダーとを含む、請求項6から8のいずれか1項に記載の放熱ピンの製造方法。
【請求項10】
前記(D)段階において、
前記焼成工程で前記樹脂層及び前記バインダーが除去される、請求項9に記載の放熱ピンの製造方法。
【請求項11】
前記(D)段階の後、
(E)反応性イオンエッチング(RIE)工程によって、前記焼成工程で除去されなかった前記樹脂層及び前記バインダーを除去する段階をさらに含む、請求項10に記載の放熱ピンの製造方法。
【請求項12】
(A)支持体の一面に放熱ピン製造用溝が形成された樹脂層を有するモールドを製造する段階;
(B)前記放熱ピン製造用溝を含む前記モールドの一面に、カーボン成分を含む焼成型ペーストを印刷する段階;
(C)前記支持体を除去して放熱部を形成する段階;
(D)前記放熱部に焼成工程を行って放熱ピンを製造する段階;及び
(E)前記放熱ピンを、プリント基板に実装された半導体チップ上に付着する段階;
を含む、放熱ピンを含むパッケージ基板の製造方法。
【請求項13】
前記(A)段階は、
(A1)支持体の一面に樹脂層を積層する段階;
(A2)放熱ピン製造用溝に対応するパターンを有するスタンプで前記樹脂層をインプリンティングする段階;及び
(A3)前記スタンプを除去する段階;
を含む、請求項12に記載の放熱ピンを含むパッケージ基板の製造方法。
【請求項14】
前記(B)段階の後、
(B1)前記印刷された焼成型ペーストを乾燥させる段階をさらに含む、請求項12又は13に記載の放熱ピンを含むパッケージ基板の製造方法。
【請求項15】
前記焼成型ペーストは、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーと、金属微粒子と、バインダーとを含む、請求項12から14のいずれか1項に記載の放熱ピンを含むパッケージ基板の製造方法。
【請求項16】
前記(D)段階において、
前記焼成工程で前記樹脂層及び前記バインダーが除去される、請求項15に記載の放熱ピンを含むパッケージ基板の製造方法。
【請求項17】
前記(D)段階の後、
(D1)反応性イオンエッチング(RIE)工程によって、前記焼成工程で除去されなかった前記樹脂層及び前記バインダーを除去する段階をさらに含む、請求項16に記載の放熱ピンを含むパッケージ基板の製造方法。
【請求項18】
前記放熱ピンは、前記半導体チップを含む、前記半導体チップが実装された前記プリント基板の表面を外部から密封するために、カバー構造を有する、請求項12から17のいずれか1項に記載の放熱ピンを含むパッケージ基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−290185(P2009−290185A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211566(P2008−211566)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】