説明

放電処理装置および放電処理方法

【課題】簡単な構成で効率よく、被処理物の外面のプラズマ処理を行なうことができる、放電処理装置および放電処理方法を提供する。
【解決手段】両端が開口した貫通空間が形成された筒状の電極20を備える。被処理物1を、貫通空間の一端から進入させ、他端から退出させ、被処理物1が貫通空間を通過するときに、電極20に電圧を印加して、電極20と被処理物1との間で放電を発生させ、この放電によりプラズマ化したガスを被処理物1の外面2に接触させて、被処理物1の外面1をプラズマ処理する。被処理物1の内部にアース電極を設けることなく、プラズマ処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電処理装置および放電処理方法に関し、詳しくは、筒状の被処理物をプラズマ処理するための放電処理装置および放電処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大気圧近傍の圧力下で発生させたプラズマを利用して、被処理物の表面改質、薄膜形成、アッシング、洗浄などのプラズマ処理を行なう常圧プラズマ処理について、種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、プラスチックの容器内に棒状電極を配置し、容器の外側に円筒状のアース電極を配置し、容器内にガスを導入し、棒状電極に高周波電力を印加して電極の周囲にプラズマを発生させ、このプラズマにより媒質ガスを解離させて生成した成膜種を容器内面に堆積させて、容器内面に炭素被膜を形成することが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、樹脂製の管状体の管内部に棒状電極を配置し、管状体の外側に円筒状のアース電極を配置し、棒状電極と管内体の内面との間に無機ガスを滞在させた状態で、棒状電極に高周波電力を印加することによりプラズマを発生させて、管状体の内面をプラズマ処理することが開示されている。
【特許文献1】特開2001−310960号公報
【特許文献2】特開昭56−167733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2のように被処理物の内側と外側に電極を配置し、外側の電極と被処理物の外面との間にガスを導入した状態で電極に高周波電力を印加すれば、被処理物の外面をプラズマ処理することができる。
【0006】
しかし、被処理物の外面のみをプラズマ処理したい場合に、被処理物の内側にも電極を配置し、被処理物の内面もプラズマ処理可能なように構成するのは無駄である。
【0007】
また、導入するガスの量をできるだけ減らし、効率よくプラズマ処理することが望ましい。特に、管状体のように同一寸法・形状の断面が連続する被処理物の外面のみをプラズマ処理したい場合、ガス量削減による製造コスト低減の効果は大きい。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みて、簡単な構成で効率よく、被処理物の外面のプラズマ処理を行なうことができる、放電処理装置および放電処理方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した放電処理装置を提供する。
【0010】
放電処理装置は、両端が開口した貫通空間が形成された筒状の電極を備える。被処理物が前記電極の前記貫通空間の一端から進入し他端から退出するときに、前記電極に電圧が印加されて、前記電極と前記被処理物との間で放電が発生し、該放電によりプラズマ化したガスが前記被処理物の外面に接触して該外面がプラズマ処理される。
【0011】
上記構成において、電極に電圧を印加したとき、被処理物の電位は、電極の電位と比較すると実質的に一定であり、変動しない。つまり、被処理物はアース電極として機能する。そのため、被処理物の内部にアース電極を設けなくても、放電を発生させ、被処理物の外面をプラズマ処理することができる。
【0012】
上記構成によれば、被処理物の内部にアース電極を配置する必要がないため、装置の構成が簡単になる。また、被処理物の外面のみを効率よくプラズマ処理することができる。
【0013】
上記構成において、貫通空間に処理ガスを供給し、放電によりプラズマ化した処理ガスを被処理物の外面に接触させて該外面をプラズマ処理してもよい。この場合、例えば、処理ガスを流出させる開口を、貫通空間の中間位置に設けてもよい。
【0014】
好ましくは、放電処理装置は、前記電極の前記貫通空間の前記一端に隣接して配置された処理ガス供給部を備える。該処理ガス供給部には、(a)両端が開口し、その一端が前記電極の前記貫通空間に連通する貫通穴と、(b)供給された処理ガスを蓄える処理ガス拡散室と、(c)前記処理ガス拡散室と前記貫通穴との間をつなぐ供給路とが形成されている。被処理物が前記処理ガス供給部の前記貫通穴の他端から進入し、前記処理ガス供給部の前記貫通穴と前記電極の貫通空間とを通過するときに、前記ガス供給部の前記供給路から前記貫通穴に前記処理ガスが供給された状態で、前記電極に電圧が印加されて、前記電極と前記被処理物との間で放電が発生し、該放電によりプラズマ化した前記処理ガスが前記被処理物の前記外面に接触して該外面がプラズマ処理される。
【0015】
この場合、処理ガスの供給が少なくても、処理ガスは処理ガス拡散室で均一化された後、電極と被処理物との間の放電空間に供給され、しかも、処理ガスが放電空間を流れる距離をできるだけ長くすることができる。したがって、被処理物の外面を効率よくプラズマ処理することができる。
【0016】
好ましくは、前記供給路は、前記処理ガス拡散室に連通する一端と、前記貫通穴に連通する他端とを有する。前記貫通穴の前記中心軸に垂直な方向から見たときに、前記供給路は、該中心軸に対して斜めに延在し、かつ、前記供給路の前記他端は、前記供給路前記一端よりも前記電極側に配置されている。
【0017】
この場合、供給路の他端から電極に向けて処理ガスが流れ出るようにし、処理ガスの全部が放電空間に確実に流れ込むようにすることができる。被処理物の移動方向と、処理ガスの流れ方向とが略一致するので、処理ガスの流れの乱れが少なくなり、より効率よくプラズマ処理することができる。
【0018】
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した放電処理方法を提供する。
【0019】
放電処理方法は、(1)被処理物を、両端が開口した貫通空間を有する筒状の電極の前記貫通空間の一端から進入させ、他端から退出させる第1のステップと、(2)前記被処理物が前記電極の前記貫通空間を通過するときに、前記電極に電圧を印加して、前記電極と前記被処理物との間で放電を発生させ、該放電によりプラズマ化したガスを前記被処理物の外面に接触させて該外面をプラズマ処理する第2のステップとを備える。
【0020】
上記第2のステップにおいて、電極に電圧を印加したとき、被処理物の電位は、電極の電位と比較すると実質的に一定であり、変動しない。つまり、被処理物はアース電極として機能する。そのため、被処理物の内部にアース電極を設けなくても、放電を発生させ、被処理物の外面をプラズマ処理することができる。
【0021】
上記方法によれば、被処理物の内部にアース電極を配置する必要がないため、装置の構成が簡単になる。また、被処理物の外面のみを効率よくプラズマ処理することができる。
【0022】
好ましくは、前記電極の前記貫通空間の前記一端に隣接して配置された処理ガス供給部を備える。該処理ガス供給部には、(a)両端が開口し、その一端が前記電極の前記貫通空間に連通する貫通穴と、(b)供給された処理ガスを蓄える処理ガス拡散室と、(c)前記処理ガス拡散室と前記貫通穴との間をつなぐ供給路とが形成されている。前記第1のステップにおいて、被処理物を、前記処理ガス供給部の前記貫通穴の他端から進入させ、前記処理ガス供給部の前記貫通穴と前記電極の貫通空間とを通過させる。前記第2のステップにおいて、前記被処理物が前記処理ガス供給部の前記貫通穴と前記電極の前記貫通空間とを通過するときに、前記ガス供給部の前記供給路から前記貫通穴に前記処理ガスを供給した状態で、前記電極に電圧を印加して、前記電極と前記被処理物との間で放電を発生させ、該放電によりプラズマ化した前記処理ガスを前記被処理物の前記外面に接触させて該外面をプラズマ処理する。
【0023】
この場合、処理ガスの供給が少なくても、処理ガスは処理ガス拡散室で均一化された後、電極と被処理物との間の放電空間に供給され、しかも、処理ガスが放電空間を流れる距離をできるだけ長くすることができる。したがって、被処理物の外面を効率よくプラズマ処理することができる。
【0024】
好ましくは、前記供給路は、前記処理ガス拡散室に連通する一端と、前記貫通穴に連通する他端とを有する。前記貫通穴の前記中心軸に垂直な方向から見たときに、前記供給路は、該中心軸に対して斜めに延在し、かつ、前記供給路の前記他端は、前記供給路前記一端よりも前記電極側に配置されている。
【0025】
この場合、供給路の他端から電極に向けて処理ガスが流れ出るようにし、処理ガスの全部が放電空間に確実に流れ込むようにすることができる。被処理物の移動方向と、処理ガスの流れ方向とが略一致するので、処理ガスの流れの乱れが少なくなり、より効率よくプラズマ処理することができる。
【0026】
なお、本発明の放電処理装置および放電処理方法は、1Pa以上、特に略常圧(大気圧近傍)の開放系、あるいは低気密系の場合に特に好適であるが、これに限るものではない。本発明において、略常圧とは、1.013×10〜50.663×10Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡略化を考慮すると、1.333×10〜10.664×10Paが好ましく、9.331×10〜10.397×10Paがより好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、簡単な構成で効率よく、被処理物の外面のプラズマ処理を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照しながら説明する。
【0029】
図1に示すように、放電処理装置10は、大略、円柱形状の貫通空間11を有する円筒状の本体12を備える。本体12は絶縁性の材料(例えば、樹脂)からなり、本体12の内部には、貫通穴を有する円筒状の電極20が配置されている。電極20の貫通穴は、本体12の貫通空間11の一部となり、電極20の径方向外側および軸方向両側は本体12で覆われている。被処理物1は、略同一寸法形状の断面(例えば円形断面)が連続する。被処理物1は、その断面が貫通空間11の断面よりも小さく、矢印4で示すように図において右から左に搬送され、貫通空間11の一端11aから進入し他端11bから退出する。被処理物1が貫通空間11を通過するときに、被処理物1の外面2がプラズマ処理される。
【0030】
電極20は、金属材料からなり、電源22に接続され、電圧が印加される。すなわち、電源22の一方のアース端子が接地され、他方の高圧側端子が電極20に電気的に接続されている。電極20の内部には、図示していないが冷却水が流れる流路が形成され、矢印26で模式的に示すように冷却水が供給され、矢印28で模式的に示すように冷却水が回収されるようになっている。
【0031】
電極20の貫通穴の内面と、電極20の軸方向両側に延在する本体12の内面とは、誘電体30で覆われ、後述する放電による損傷から電極20および本体12が保護されるようになっている。
【0032】
本体12の一方の端部、すなわち、貫通空間11に被処理物1が進入する一端11a側(図において右側)は、ガス供給部として構成されており、貫通空間11の一部となる貫通穴13と、処理ガス拡散室14と、供給路16とが形成されている。
【0033】
処理ガス拡散室14は、本体12の一方の端部の内部に形成され、貫通空間11のまわりにリング状又はドーナツ状に延在する空間であり、矢印15で模式的に示すように処理ガスが供給される。
【0034】
供給路16は、処理ガス拡散室14と貫通空間11とを接続する。すなわち、供給路16の一端16aは処理ガス拡散室14に開口して連通し、他端16bは貫通空間11に開口して連通している。貫通穴13の中心軸に対して垂直方向から見ると、供給路16は貫通穴13の中心軸に対して斜め(非平行かつ非直角)に延在しており、供給路16の他端16bは、供給路16の一端16aよりも電極20側に配置されている。そのため、供給路16の他端16bからは、矢印18で示すように、処理ガスが電極20側に向けて流れ出るようになっている。
【0035】
被処理物1の外面2を全周に渡ってプラズマ処理する場合には、複数の供給路16の他端16bを等ピッチで設けることが好ましい。被処理物1の外面2の一部分のみプラズマ処理する場合には、プラズマ処理する部分に対応して供給路16の他端16bを設ければよい。供給路は、分岐したり合流したりするようにしてもよい。
【0036】
本体12や電極20は、それぞれ1部材で構成しても、適宜に分割した複数の部品を結合することにより構成してもよい。
【0037】
本体12は、例えば図1に示したように、プッシュ蓋12a、プッシュボディ12b、電極ケース12cの3部品に分割される。図において左向きに略凸状のプッシュ蓋12aと、外周部分が図において右向きに略凹状のプッシュボディ12bとが結合し、外周部において軸直角面同士が密着し、中心部において円錐面同士が密着し、プッシュ蓋12aとプッシュボディ12bの間に、処理ガス拡散室14が形成される。
【0038】
プッシュ蓋12aの円錐面には、供給路16となる複数の溝16が放射状に形成されている。各溝16は、すぐばかさ歯車のように、円錐面の中心軸と同一面内に含まれるように直線状に形成しても、まがりばかさ歯車やハイポイドギヤのように、円錐面の中心軸を通る面と交差するように形成したり、曲線状に形成したりしてもよい。前者の場合、製作が容易である。後者の場合、処理ガスが供給路に沿って円錐面の中心軸の周りを回転しながら流れ、処理ガスが供給路から流れ出た後、被処理物の外面に沿って略螺旋状に流れるようにして、被処理物の外面を周方向により均一に処理することができる。
【0039】
溝は、プッシュボディ12b側に設けても、プッシュ蓋12aとプッシュボディ12bとの両方に設けてもよい。各溝16の断面形状は任意であり、例えば矩形や円形などである。
【0040】
電極ケース12cは、一端側から電極20を挿入できるように大径部が形成され、この大径部に、プッシュボディ12bの中心部が嵌合するようになっている。
【0041】
電極20は、例えば図1に示したように、筒状の本体20bと、その両端に結合される筒状の端部20a,20cとに分割する。この場合、本体20bの内部を軸方向に貫通する貫通孔(図示せず)を形成し、端部20a,20cの一方の端面に周方向に延在する溝(図示せず)を形成し、本体20bの貫通孔と端部20a,20cの溝とが連通するようにして、電極20の内部に冷却水が通る流路を形成することができる。
【0042】
被処理物1は、誘電体、絶縁体であっても、導電体であってもよい。被処理物1は、例えばプラスチック管である。被処理物1は、金属やカーボンなどの導電物質を含んでいてもよい。あるいは、非導電性の基材中に導電物質が分散されているものや、導電性を有する複合材料からなるものであってもよい。分散層やメタル板層やメタル織物層(TV)のように、導電物質を基材厚みの層間に挿入したものであってもよい。被処理物1の誘電特性や導電性に応じて、電極20に印加する電圧を調整することにより、後述する放電を発生させることが可能である。
【0043】
放電処理装置10は、例えば、1Pa以上、特に略常圧(大気圧近傍)の開放系、あるいは低気密系に配置される。
【0044】
次に、放電処理装置10の動作について説明する。
【0045】
被処理物1を、本体12の貫通空間11の一端11a(図において右端側)から入り、他端12b(図において左端側)から出るように搬送する。被処理物1の外面2は、供給路16の他端16b近傍を通り、図において左側の電極20に向けて移動する。供給路16の他端16bからは、処理ガス拡散室14内で均一化された処理ガスが、図において左側の電極20に向けて流れ出る。
【0046】
図1において破線の斜線で示した領域24では、電極20と被処理物1とが、誘電体30を介して対向する。この領域24において誘電体30の内面と被処理物1の外面2との間の空間(以下、「放電空間」という。)に、供給路16の他端16bから流れ出た処理ガスが供給され、本体12の貫通空間11の他端11b(図において左端)から排出される。
【0047】
このようにして放電空間に処理ガスが供給された状態で、電源22によって電極20に、例えば交流電圧やパルス電圧を印加して、放電空間内で放電を発生させる。すなわち、被処理物1の表面2の電位はゼロ又はその近傍である。電源22により電極20に電圧が印加されると、電極20と被処理物1の表面2との間の電位差が大きくなり、放電空間で放電が発生する。
【0048】
放電の形態は、グロー放電が均一処理のために好ましいが、コロナ放電や誘電体バリア放電や沿面放電であってもよい。
【0049】
放電空間内の処理ガスは、放電空間での放電によってプラズマ化され、プラズマ化した処理ガス(現にプラズマ化している処理ガスであっても、プラズマを経て活性化した処理ガスであってもよい。)は、被処理物1の表面2に接触する。これにより、被処理物1の表面2に対して、放電によるプラズマ(活性種、イオンなど)を用いて、表面改質、薄膜形成、アッシング、洗浄などのプラズマ処理を行なう。
【0050】
例えば、被処理物1がプラスチック管であり、表面に印刷を行なうための親水化処理を行なう場合、公知の処理ガス、例えば酸素、フッ素系ガスを用いる。表面化改質(親水化)に限らず、他の表面改質(撥水など)やエッチング(洗浄を含む)、CVD処理を行ってもよい。
【0051】
処理ガスは、プラズマ処理の目的に応じて選択すればよい。例えば、酸化処理には、窒素と酸素の混合ガスを用いる。還元処理には、窒素と水素を用いる。表面改質(撥水化)やエッチング(洗浄を含む)には、フルオロカーボンを用いる。処理ガスは、窒素、アルゴン等の不活性ガスで希釈してもよい。
【0052】
被処理物1は、プラズマ処理中に接地されていなくてもよいが、プラズマ処理後には、安全のため接地されることが好ましい。例えば、プラズマ処理後に被処理物を治具で把持するときに、治具を介して接地し、除電する。
【0053】
例えば、放電処理装置10には、被処理物1として、押し出し成形装置から出てきたプラスチック管を通し、放電処理装置10でプラスチック管の外面の親水処理を行う。放電処理装置10の後段に印刷装置を配置し、この印刷装置で、放電処理装置10から出てきたプラスチック管の外面に、そのプラスチック管に関する情報を印刷する。なお、このような一連の処理を連続的に処理するようにしても、バッチ処理するようにしてもよい。
【0054】
以上に説明した放電処理装置10は、簡単な構成で効率よく、被処理物1の外面2のプラズマ処理を行なうことができる。
【0055】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施可能である。
【0056】
例えば、被処理物の断面形状は任意であり、本体の貫通空間は、被処理物の断面形状に対応する断面形状にすればよい。すなわち、本体の貫通空間の内面と被処理物の外面との間に、処理ガスが供給される隙間が形成されるようにすればよい。
【0057】
また、放電空間に処理ガスを供給しない状態でも、放電空間で発生したプラズマによって、被処理物の外面に対して表面処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】放電処理装置の要部構成図である。(実施例)
【符号の説明】
【0059】
1 被処理物
2 外面
10 放電処理装置
11 貫通空間(貫通穴)
14 処理ガス拡散室(ガス供給部)
16 供給路(ガス供給部)
16a 一端
16b 他端
20 電極
22 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が開口した貫通空間が形成された筒状の電極を備え、
被処理物が前記電極の前記貫通空間の一端から進入し他端から退出するときに、前記電極に電圧が印加されて、前記電極と前記被処理物との間で放電が発生し、該放電によりプラズマ化したガスが前記被処理物の外面に接触して該外面がプラズマ処理されることを特徴とする、放電処理装置。
【請求項2】
前記電極の前記貫通空間の前記一端に隣接して配置された処理ガス供給部を備え、
該処理ガス供給部には、
両端が開口し、その一端が前記電極の前記貫通空間に連通する貫通穴と、
供給された処理ガスを蓄える処理ガス拡散室と、
前記処理ガス拡散室と前記貫通穴との間をつなぐ供給路と、
が形成され、
被処理物が前記処理ガス供給部の前記貫通穴の他端から進入し、前記処理ガス供給部の前記貫通穴と前記電極の貫通空間とを通過するときに、前記ガス供給部の前記供給路から前記貫通穴に前記処理ガスが供給された状態で、前記電極に電圧が印加されて、前記電極と前記被処理物との間で放電が発生し、該放電によりプラズマ化した前記処理ガスが前記被処理物の前記外面に接触して該外面がプラズマ処理されることを特徴とする、請求項1に記載の放電処理装置。
【請求項3】
前記供給路は、前記処理ガス拡散室に連通する一端と、前記貫通穴に連通する他端とを有し、
前記貫通穴の前記中心軸に垂直な方向から見たときに、前記供給路は、該中心軸に対して斜めに延在し、かつ、前記供給路の前記他端は、前記供給路前記一端よりも前記電極側に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の放電処理装置。
【請求項4】
被処理物を、両端が開口した貫通空間を有する筒状の電極の前記貫通空間の一端から進入させ、他端から退出させる第1のステップと、
前記被処理物が前記電極の前記貫通空間を通過するときに、前記電極に電圧を印加して、前記電極と前記被処理物との間で放電を発生させ、該放電によりプラズマ化したガスを前記被処理物の外面に接触させて該外面をプラズマ処理する第2のステップと、
を備えたことを特徴とする、放電処理方法。
【請求項5】
前記電極の前記貫通空間の前記一端に隣接して配置された処理ガス供給部を備え、
該処理ガス供給部には、
両端が開口し、その一端が前記電極の前記貫通空間に連通する貫通穴と、
供給された処理ガスを蓄える処理ガス拡散室と、
前記処理ガス拡散室と前記貫通穴との間をつなぐ供給路と、
が形成され、
前記第1のステップにおいて、被処理物を、前記処理ガス供給部の前記貫通穴の他端から進入させ、前記処理ガス供給部の前記貫通穴と前記電極の貫通空間とを通過させ、
前記第2のステップにおいて、前記被処理物が前記処理ガス供給部の前記貫通穴と前記電極の前記貫通空間とを通過するときに、前記ガス供給部の前記供給路から前記貫通穴に前記処理ガスを供給した状態で、前記電極に電圧を印加して、前記電極と前記被処理物との間で放電を発生させ、該放電によりプラズマ化した前記処理ガスを前記被処理物の前記外面に接触させて該外面をプラズマ処理することを特徴とする、請求項4に記載の放電処理方法。
【請求項6】
前記供給路は、前記処理ガス拡散室に連通する一端と、前記貫通穴に連通する他端とを有し、
前記貫通穴の前記中心軸に垂直な方向から見たときに、前記供給路は、該中心軸に対して斜めに延在し、かつ、前記供給路の前記他端は、前記供給路前記一端よりも前記電極側に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の放電処理方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−257962(P2007−257962A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79753(P2006−79753)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】