説明

放電発生装置

【課題】放電容器材料として、耐熱材料を使用することもなく、かつ、放電容器内壁が空気中の水分や粉塵などに汚染された場合でも、沿面放電が発生し難く、異常放電により過電流となり電源がオーバーロードしてしまうことがない、低コストで高信頼性な放電発生装置を提供する。
【解決手段】放電容器18と、放電容器18内に対向して距離を置いて配置された第1電極19と第2電極20から成る一対の電極と、一対の電極19,20間に誘電体ペレット17を充填した放電発生装置であって、一対の電極19,20を結ぶ最短距離(電極間距離)21よりも前記電極間の放電容器18内壁面を介して結ぶ最短距離(沿面距離)22が長くなるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電により空気中からオゾンガスや二酸化窒素ガスを生成したり、ガスの結合、分解、殺菌などの化学反応処理を行う、放電発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放電により空気中からオゾンガスや二酸化窒素ガスを生成したり、ガスの結合、分解、殺菌などの化学反応処理を行う、放電発生装置の代表的なものとして、電極間に誘電体ペレットを充填し、電極間に電圧を印加することにより放電プラズマを発生させる放電発生装置が開示されている。(特許文献1、2)
【0003】
【特許文献1】特公平7−110332号公報
【特許文献2】特開2003−260329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された所謂平行電極型パックドベッド放電器では、放電容器内に誘電体ペレットを充填し、前記誘電体ペレットを2枚のメッシュ状電極で挟みこみ、前記電極間に高電圧を印加することにより、放電プラズマを発生させ、ガスの結合、分解、殺菌などの化学反応処理を行う。
ところが、放電プラズマ領域は高温になるにもかかわらず、放電容器内壁と接しているため、放電容器は、高価なフッ素樹脂やガラス材料、セラミックス材料などの耐熱材料を使用する必要があった。
さらに、電極間距離と沿面距離とが等しいため、放電容器内壁が空気中の水分や粉塵などに汚染された場合、沿面放電が発生し、異常放電により過電流となり電源がオーバーロードしてしまうことがあった。
また、特許文献2に記載された所謂円筒電極型パックドベッド放電器では、放電容器内に誘電体ペレットを充填し、放電容器中央に内電極と、放電容器の外壁に設けられた外電極とを有し、内電極と外電極との間に高電圧を印加することにより、放電プラズマを発生させ、ガスの結合、分解、殺菌などの化学反応処理を行う。
ところが、放電領域は高温になるにもかかわらず、放電容器内壁と接しているため、放電容器は、高価なガラスやセラミックスなどの耐熱材料を使用する必要があった。
さらに、電極間距離と沿面距離とが等しいため、放電容器内壁が空気中の水分や粉塵などに汚染された場合、沿面放電が発生し、異常放電により過電流となり電源がオーバーロードしてしまうことがあった。
従って、本発明は、電極間に誘電体ペレットを充填し、電極間に電圧を印加することにより放電プラズマを発生させ、ガスの結合、分解、殺菌などの化学反応処理を行う、放電発生装置において、放電容器材料として、高価なフッ素樹脂やガラス材料、セラミックス材料などの耐熱材料を使用することもなく、かつ、放電容器内壁が空気中の水分や粉塵などに汚染された場合でも、沿面放電が発生し難く、異常放電により過電流となり電源がオーバーロードしてしまうことがない、低コストで高信頼性な放電発生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
気体流入部と気体流出部とを有する放電容器と、
前記放電容器内に対向して距離を置いて配置された第1電極と第2電極から成る一対の電極と、
前記一対の電極間に電圧を印加するための電源と、
前記電源と前記第1電極とを接続する第1接続端子と、
前記電源と前記第2電極とを接続する第2接続端子と、
前記一対の電極間に誘電体ペレットが充填されて挟まれた誘電体充填部と、を備えた放電発生装置であって、
前記一対の電極を結ぶ最短距離よりも前記電極間の放電容器内壁面を介して結ぶ最短距離が長くなるように前記一対の電極を配置したことを特徴とする。
【0006】
本発明の一態様によれば、
気体流入部と気体流出部とを有する放電容器と、
前記放電容器内に対向して距離を置いて配置された第1電極と第2電極から成る一対の電極と、
前記一対の電極間に電圧を印加するための電源と、
前記電源と前記第1電極とを接続する第1接続端子と、
前記電源と前記第2電極とを接続する第2接続端子と、
前記一対の電極間に誘電体ペレットが充填されて挟まれた誘電体充填部と、を備えた放電発生装置であって、
前記第1接続端子および前記第2接続端子の前記一対の電極と接続される端部はそれぞれ前記放電容器内に配置され、
前記一対の電極を結ぶ最短距離よりも、前記第1電極もしくは前記放電容器内に配置された前記第1接続端子の一部と、前記第2電極もしくは前記放電容器内に配置された前記第2接続端子の一部とを、放電容器内壁面を介して結ぶ最短距離が長くなるように前記一対の電極を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、放電容器材料として、高価なフッ素樹脂やガラス材料、セラミックス材料などの耐熱材料を使用することもなく、かつ、放電容器内壁が空気中の水分や粉塵などに汚染された場合でも、沿面放電が発生し難く、異常放電により過電流となり電源がオーバーロードしてしまうことがないので、低コストで高信頼性な放電発生装置を実現することが可能となり、産業上のメリットは多大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本実施例で使用する語句の説明を以下に行う。
(電極間距離)
対向して配置された第1電極と第2電極とを放電容器内壁を介さず直接結ぶ最短距離を示す。
(誘電体充填部)
放電容器内の第1電極と第2電極との間に挟まれた誘電体ペレットが充填された三次元領域を示す。但し、第1接続端子および第2接続端子の一対の電極と接続される接続端子(表面に絶縁処理をされていない)がそれぞれ放電容器内に配置されている場合に関しては、第1電極および放電容器内に配置された第1接続端子の一部と、第2電極および放電容器内に配置された第2接続端子の一部との間に挟まれた誘電体ペレットが充填された三次元領域を示す。
(放電領域)
放電容器内の第1電極と第2電極との間に挟まれた誘電体ペレットが充填された三次元領域で、基本的には誘電体充填部と同じ三次元領域であり、実際に放電プラズマが発生する三次元領域を示す。但し、第1接続端子および第2接続端子の一対の電極と接続される接続端子(表面に絶縁処理をされていない)がそれぞれ放電容器内に配置されている場合に関しては、第1電極および放電容器内に配置された第1接続端子の一部と、第2電極および放電容器内に配置された第2接続端子の一部との間に挟まれた誘電体ペレットが充填された三次元領域であり、実際に放電プラズマが発生する三次元領域を示す。
(沿面距離)
放電容器内の第1電極と、第2電極とを、放電容器内壁面を介して結ぶ最短距離を示す。
また、第1接続端子および第2接続端子の一対の電極と接続される接続端子(表面に絶縁処理をされていない)がそれぞれ放電容器内に配置されている実施例に関しては、第1電極もしくは放電容器内に配置された第1接続端子の一部と、第2電極もしくは放電容器内に配置された第2接続端子の一部とを、放電容器内壁面を介して結ぶ最短距離を示す。
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の正面模式図、図2は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の側面模式図、図3は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のB−B断面模式図、図4は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A断面模式図、図5は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A断面模式図の拡大図である。
まず、本実施例における構成要素について説明する。図1に示すように、本発明の放電発生装置は、高電圧を発生可能な高圧電源11と、ガスが流入する気体流入部14と、ガスが流出する気体流出部13と、を有する筐体である直方体形状の放電容器18と、貫通穴を数個開けた薄板状の第1電極19(陽電極)と、第1電極19と高圧電源11とを結ぶ第1接続端子15と、同じく貫通穴を数個開けた薄板状の第2電極20(陰電極)と、第2電極20と高圧電源11とを結ぶ第2接続端子16と、放電容器内全体に充填された誘電体ペレット17とを有する。
【0010】
次に、上記構成要素の位置関係について説明する。気体流入部14および気体流出部13は放電容器18のそれぞれ対向する面に配置されており、気体流入部14および気体流出部13と略鉛直になるように第1電極19と第2電極20はそれぞれ配置されている。第1電極19と第2電極20はそれぞれ略平行になるように対向して距離を置いて配置されており、略同形状である。誘電体ペレット17は第1電極19と第2電極20全体を取り囲むように放電容器18内全体に充填されている。第1電極19の一端部には第1接続端子15が接続されており、その接続部(表面に絶縁カバーなどを被覆しておらず導電性を有している)は放電容器18内に位置するようになっている。また、その接続部の第1接続端子15は薄板状に形成され、放電容器18内壁を突き抜けている。第1接続端子15の他端部は電源11に接続されている。
【0011】
同様に第2電極20の一端部には第2接続端子16が接続されており、その接続部の第2接続端子16は放電容器18内に位置するようになっている。また、その接続部の第2接続端子16は薄板状に形成され、放電容器18内壁を突き抜けるようになっている。第2接続端子16の他端部は電源11に接続されている。
第1電極19および第1接続端子15の接続部と、第2電極20および第2接続端子16の接続部はそれぞれ対角位置(最も離れた端部)になるように配置されており、第1接続端子15と第2接続端子16が放電容器18内壁を突き抜けている面はそれぞれ異なり、対向面になるように配置されている。尚、気体流入部14が形成されている面、気体流出部13が形成されている面、第1接続端子15と第2接続端子16が放電容器18内壁を突き抜けている面はそれぞれ異なる面になっている。
【0012】
図5の断面模式図の拡大図に示すように、誘電体充填部である放電領域が、放電容器18の内壁に接していなく(離れている)、かつ電極間距離21より沿面距離22の方が長く構成されている。つまり、一対の電極19、20を結ぶ最短距離(電極間距離21)よりも、第1電極19もしくは放電容器18内に配置された第1接続端子15の一部と、第2電極20もしくは放電容器18内に配置された第2接続端子16の一部とを、放電容器18内壁面を介して結ぶ最短距離(沿面距離22)が長くなるように一対の電極19、20を配置されている。
【0013】
また、第1接続端子15と第2接続端子16と高圧電源11との間には、高電圧投入スイッチ12が直列に配列されている。つまり、高電圧投入スイッチ12をONにすると電極間に高電圧が印加され、高電圧投入スイッチ12をOFFにすると電極間に電圧は印加されない構造となっている。
【0014】
第1電極19と第2電極20は、2ミリメーター厚みのSUS板に、直径4ミリメーターの穴を、6つ開けたものを使用した。
【0015】
放電容器18内に設置した第1電極19と第2電極20との間に充填した誘電体ペレット17としては、直径1ミリメーター程度の球状に加工した、比誘電率約10,000のチタン酸バリウム(BaTiO3)を用いた。
【0016】
また、放電容器18は、材料コストと加工容易性を考慮し、アクリル樹脂材料で形成した。
【0017】
ここで、第1電極19と第2電極20との電極間距離21を6ミリメータにし、比誘電率が約10,000、直径1ミリメータ程度のチタン酸バリウム製球状誘電体ペレット17を充填し、気体流入部14から毎分3リットルの空気導入しながら、周波数1キロヘルツで、第1電極19と第2電極20との間に印加する電圧を変化させながら、気体流出部13から放出される放電生成物の濃度を評価した。
【0018】
結果を図21に示す。印加電圧が、1.5キロボルトメーターから2.1キロボルトメーターの範囲では、O2ガスリッチなガスが生成された。
また、印加電圧が、2.2キロボルトメーターから2.5キロボルトメーターの範囲では、NOxガスリッチなガスが生成された。
【0019】
これは、N2ガスの解離エネルギーとO2ガスとの解離エネルギーが異なるからであり、放電により与えるエネルギーが高いとNOxガスリッチな混合ガスが得られ、放電により与えるエネルギーが低いとO3ガスリッチな混合ガスが生成されたものと考えられる。
【0020】
また、第1電極19と第2電極20との電極間距離21を6ミリメータにし、比誘電率が10,000、直径1ミリメータ程度のチタン酸バリウム製球状誘電体ペレット17を充填し、気体流入部14から毎分3リットルの空気導入しながら、周波数1キロヘルツで、第1電極19と第2電極20との間に3.0キロボルトメーターの電圧を印加しながら、60分間動作させた場合の、気体流出部13から放出される放電生成物の濃度を評価した。
【0021】
結果を図22に示す。グラフからも明らかなように、放電生成物の濃度は非常に安定しており、熱による放電容器18の溶解も無く、かつ沿面放電による異常放電も起こらなかった。
本実験結果から見ても、本発明の効果は明らかである。
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい別の実施形態を説明する。
図6は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の正面模式図、図7は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の側面模式図、図8は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のB−B断面模式図、図9は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A断面模式図、図10は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A断面模式図の拡大図である。
図6に示すように、本発明の放電発生装置は、高電圧を発生可能な高圧電源11と、ガスが流入する気体流入部14と、ガスが流出する気体流出部13と、筐体である放電容器18と、板状の第1電極19と、第1電極19と高圧電源11とを結ぶ第1接続端子15と、同じく板状の第2電極20と、第2電極20と高圧電源11とを結ぶ第2接続端子16と、放電容器内全体に充填された誘電体ペレット17とを有する。
図10の断面模式図の拡大図に示すように、誘電体充填部である放電領域が、放電容器18の内壁に接していなく(離れている)、かつ電極間距離21より沿面距離22の方が長く構成されている。つまり、一対の電極19、20を結ぶ最短距離(電極間距離21)よりも、第1電極19もしくは放電容器18内に配置された第1接続端子15の一部と、第2電極20もしくは放電容器18内に配置された第2接続端子16の一部とを、放電容器18内壁面を介して結ぶ最短距離(沿面距離22)が長くなるように一対の電極19、20を配置されている。
よって図1から図5を元に説明した実施の形態の効果同様に、安定した放電状態を維持することが期待できる。
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい別の実施形態を説明する。
図11は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の正面模式図、図12は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の側面模式図、図13は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のB−B断面模式図、図14は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A断面模式図、図15は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A断面模式図の拡大図である。
図11に示すように、本発明の放電発生装置は、高電圧を発生可能な高圧電源11と、ガスが流入する気体流入部14と、ガスが流出する気体流出部13と、を有する筐体である円柱状の放電容器18と、放電容器18の略中央に配置された棒状の第1電極19と、第1電極19と高圧電源11とを結ぶ第1接続端子15と、第1電極19を囲むように配置された同心円筒形状の第2電極20と、第2電極20と高圧電源11とを結ぶ第2接続端子16と、放電容器内全体に充填された誘電体ペレット17とを有する。
【0024】
第1電極19および第2電極20は全体が誘電体ペレットに囲まれている。ここで、第1電極19の一端部には第1接続端子15が接続されており、その接続部(表面に絶縁カバーなどを被覆しておらず導電性を有している)は放電容器18内に位置するようになっている。また、その接続部の第1接続端子15は第1電極19の断面と同面積の棒状に形成され、放電容器18内壁を突き抜けるようになっている。第1電極19の他端部は電源11に接続されている。同様に第2電極20の一端部には第2接続端子16が接続されており、その接続部の第2接続端子16は放電容器18内に位置するようになっている。また、その接続部の第2接続端子16は棒状に形成され、放電容器11内壁を突き抜けるようになっている。第2電極20の他端部は電源11に接続されている。第1電極19および第1接続端子15の接続部と、第2電極20および第2接続端子16の接続部はそれぞれ対角位置(最も離れた端部)になるように配置されており、第1接続端子15と第2接続端子16が放電容器18内壁を突き抜けている面はそれぞれ異なり、対向面になるように配置されている。
【0025】
図15の断面模式図の拡大図に示すように、誘電体充填部である放電領域が、放電容器18の内壁に接していなく(離れている)、かつ電極間距離21より沿面距離22の方が長く構成されている。つまり、一対の電極19、20を結ぶ最短距離(電極間距離)よりも、第1電極19もしくは放電容器18内に配置された第1接続端子15の一部と、第2電極20もしくは放電容器18内に配置された第2接続端子16の一部とを、放電容器18内壁面を介して結ぶ最短距離(沿面距離)が長くなるように一対の電極19、20を配置されている。
よって図1から図5を元に説明した実施の形態の効果同様に、安定した放電状態を維持することが期待できる。
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい別の実施形態を説明する。
図16は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の正面模式図、図17は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の側面模式図、図18は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のB−B断面模式図、図19は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A断面模式図、図20は、本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A断面模式図の拡大図である。
図16に示すように、本発明の放電発生装置は、高電圧を発生可能な高圧電源11と、ガスが流入する気体流入部14と、ガスが流出する気体流出部13と、筐体である放電容器18と、微細孔が形成されているメッシュ状の第1電極19と、第1電極19と高圧電源11とを結ぶ第1接続端子15と、同じく微細孔が形成されているメッシュ状の第2電極20と、第2電極20と高圧電源11とを結ぶ第2接続端子16と、放電容器内全体に充填された誘電体ペレット17とを有する。
図20の断面模式図の拡大図に示すように、誘電体充填部である放電領域が、放電容器18の内壁に接していなく(離れている)、かつ電極間距離21より沿面距離22の方が長く構成されている。つまり、一対の電極19、20を結ぶ最短距離(電極間距離)よりも、第1電極19もしくは放電容器18内に配置された第1接続端子15の一部と、第2電極20もしくは放電容器18内に配置された第2接続端子16の一部とを、放電容器18内壁面を介して結ぶ最短距離(沿面距離)が長くなるように一対の電極19、20を配置されている。
よって図1から図5を元に説明した実施の形態の効果同様に、安定した放電状態を維持することが期待できる。
【0027】
第1電極19と第2電極20の材料は、コストを優先するのであれば、アルミニウム合金や、SUS、Ni等の安価な金属材料を用い、耐久性を優先させるのであれば、Pt、Auなど貴金属材料や、導電性セラミックス材料、貴金属材料や誘電体を膜状にコーティングした金属材料などを用いることが出来る。
【0028】
誘電体ペレット17の材料としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)以外に、例えばアルミナ(AL2O3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の誘電体材料を用いることができる。
【0029】
誘電体ペレット17の形状は、球以外に、立方体、直方体、円柱形状など特に限定されない。
【0030】
放電容器は、アクリル材料以外に、例えば、ABS、塩化ビニル、ポリカーボネートなどの、樹脂材料を用いることが出来る。
【0031】
また、上述した実施形態においては、電極19、20の一端部には、ぞれぞれ接続端子15、16が接続されており、その接続部は放電容器18内に位置するようになっており、その接続部の接続端子15、16は放電容器18内壁を突き抜けるようになっていたが、本発明においては、電極19、20と接続端子15、16とを接続する部分を放電容器18外に位置するようにしても良い。つまり、電極19、20が放電容器18内壁を突き抜けるように外部に露出していても、前記一対の電極19、20を結ぶ最短距離(電極間距離21)よりも前記電極19、20間の放電容器18内壁面を介して結ぶ最短距離(沿面距離22)が長くなるように前記一対の電極19、20を配置していれば良い。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、電極間に誘電体ペレットを充填し、電極間に電圧を印加することによりプラズマを発生させ、ガスの結合、分解、殺菌などの化学反応処理を行う、放電発生装置において、放電容器材料として、高価なフッ素樹脂やガラス材料、セラミックス材料などの耐熱材料を使用することもなく、かつ、放電容器内壁が空気中の水分や粉塵などに汚染された場合でも、沿面放電が発生し難く、異常放電により過電流となり電源がオーバーロードしてしまうことがない、低コストで高信頼性な放電発生装置を提供することが可能となる。
【0033】
図23は、所謂平行電極型パックドベッド放電器の従来技術にかかる放電発生装置の拡大断面概要図である。
放電容器18内に誘電体ペレット17を充填し、前記誘電体ペレット17を微細孔が形成されているメッシュ状第1電極19と微細孔が形成されているメッシュ状第2電極20で挟みこみ、前記電極間に高電圧を印加することにより、放電プラズマを発生させ、ガスの結合、分解、殺菌などの化学反応処理を行う。
ところが、放電領域は高温になるにもかかわらず、放電容器18内壁と接しているため、放電容器18は、高価なフッ素樹脂やガラス材料、セラミックス材料などの耐熱材料を使用する必要があった。
さらに、電極間距離21と沿面距離22とが等しいため、放電容器内壁が空気中の水分や粉塵などに汚染された場合、沿面放電が発生し、異常放電により過電流となり電源がオーバーロードしてしまうことがあった。
【0034】
図24は、所謂円筒電極型パックドベッド放電器の従来技術にかかる放電発生装置の拡大断面概要図である。
放電容18器内に誘電体ペレット17を充填し、放電容器中央に棒形状の第1電極19と、放電容器18の外壁に設けられた筒形状の第2電極20とを有し、棒状第1電極19と円筒状第2電極20との間に高電圧を印加することにより、放電プラズマを発生させ、ガスの結合、分解、殺菌などの化学反応処理を行う。
ところが、放電領域は高温になるにもかかわらず、放電容器18内壁と接しているため、放電容器18は、高価なガラスやセラミックスなどの耐熱材料を使用する必要があった。
さらに、電極間距離21と沿面距離22とが等しいため、放電容器18内壁が空気中の水分や粉塵などに汚染された場合、沿面放電が発生し、異常放電により過電流となり電源がオーバーロードしてしまうことがあった。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の正面概要図。
【図2】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の側面概要図。
【図3】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のB−B断面概要図。
【図4】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A断面概要図。
【図5】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A拡大断面概要図。
【図6】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の正面概要図。
【図7】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の側面概要図。
【図8】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のB−B断面概要図。
【図9】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A断面概要図。
【図10】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A拡大断面概要図。
【図11】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の正面概要図。
【図12】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の側面概要図。
【図13】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のB−B断面概要図。
【図14】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A断面概要図。
【図15】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A拡大断面概要図。
【図16】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の正面概要図。
【図17】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の側面概要図。
【図18】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のB−B断面概要図。
【図19】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A断面概要図。
【図20】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置のA−A拡大断面概要図。
【図21】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の印加電圧と放電生成物との関係。
【図22】本発明の実施の形態にかかる放電発生装置の放電生成物の時間変化。
【図23】従来技術にかかる放電発生装置の拡大断面概要図。
【図24】従来技術にかかる放電発生装置の拡大断面概要図。
【符号の説明】
【0036】
11 高圧電源
12 高圧投入スイッチ
13 気体流出部
14 気体流入部
15 第1電極接続端子
16 第2電極接続端子
17 誘電体ペレット
18 放電容器
19 第1電極
20 第2電極
21 電極間距離
22 沿面距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体流入部と気体流出部とを有する放電容器と、
前記放電容器内に対向して距離を置いて配置された第1電極と第2電極から成る一対の電極と、
前記一対の電極間に電圧を印加するための電源と、
前記電源と前記第1電極とを接続する第1接続端子と、
前記電源と前記第2電極とを接続する第2接続端子と、
前記一対の電極間に誘電体ペレットが充填されて挟まれた誘電体充填部と、を備えた放電発生装置であって、
前記一対の電極を結ぶ最短距離よりも前記電極間の放電容器内壁面を介して結ぶ最短距離が長くなるように前記一対の電極を配置したことを特徴とする
放電発生装置。
【請求項2】
気体流入部と気体流出部とを有する放電容器と、
前記放電容器内に対向して距離を置いて配置された第1電極と第2電極から成る一対の電極と、
前記一対の電極間に電圧を印加するための電源と、
前記電源と前記第1電極とを接続する第1接続端子と、
前記電源と前記第2電極とを接続する第2接続端子と、
前記一対の電極間に誘電体ペレットが充填されて挟まれた誘電体充填部と、を備えた放電発生装置であって、
前記第1接続端子および前記第2接続端子の前記一対の電極と接続される端部はそれぞれ前記放電容器内に配置され、
前記一対の電極を結ぶ最短距離よりも、前記第1電極もしくは前記放電容器内に配置された前記第1接続端子の一部と、前記第2電極もしくは前記放電容器内に配置された前記第2接続端子の一部とを、放電容器内壁面を介して結ぶ最短距離が長くなるように前記一対の電極を配置したことを特徴とする
放電発生装置。
【請求項3】
前記一対の電極は略平行に配置されており、それぞれ板状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の放電発生装置。
【請求項4】
前記一対の電極は同軸円に配置されており、一方が棒状、他方が円筒状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の放電発生装置。
【請求項5】
前記一対の電極は、それぞれ微細孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の放電発生装置。
【請求項6】
前記誘電体充填部の前記誘電体ペレットは前記放電容器内全体に充填されていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の放電発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−273328(P2007−273328A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98927(P2006−98927)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】