説明

整圧装置

【課題】起動および稼働停止を簡易に行いながらも、起動する際の安定挙動を実現する整圧装置を提供する。
【解決手段】パイロット通路5に開閉動作可能に設けられ、オキジャリボール14と下流側配管2との連通開度を可変させる電動弁30を設ける。電動弁30が閉弁してパイロット通路5が遮断されるとメインガバナ11が閉じられた状態で稼働を停止し、電動弁30が開弁すると、パイロット通路5が連通してメインガバナ11が稼働する。制御手段は、遠隔操作によってメインガバナ11を起動させる起動操作信号が出力すると、電動弁30の速度を規制して低速動作させることにより、パイロット通路5の連通開度を、稼働時の連通開度よりも小さい緩衝開度の範囲内で所定時間をかけて徐々に大きくしていく。そして、所定時間が経過したところで電動弁30を完全に開弁させて、前記パイロット通路5の連通開度を稼働時の連通開度にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の圧力を調整する整圧装置、特には上流側と下流側とを連通するパイロット通路の流量に応じてメインガバナを開閉させる整圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばガス用配管に設けられた整圧装置として、特許文献1に示すものが知られている。この整圧装置は、配管に接続されたメインガバナを有し、このメインガバナの開閉動作によって上流側から下流側への流体の流量を調整することにより、下流側の二次圧力を設定圧に維持している。このように、二次圧力を設定圧に維持するためのメインガバナの開閉動作は、上流側と下流側とを連通するパイロット通路に設けられたガバナ開閉手段(ベンチュリ・レストリクタ)によって制御される。
【0003】
このガバナ開閉手段は、メインガバナに接続されており、二次圧力が設定圧よりも低くなると、パイロット通路内のガスの流量増加にともなってメインガバナに作用する圧力を低下させる。その結果、メインガバナを開動作させて上流側から下流側へのガスの流量を増加させ、二次圧力を設定圧まで上昇させる。一方、二次圧力が設定圧よりも高くなると、パイロット通路内のガスの流量が減少するのにともなってメインガバナに作用する圧力を上昇させる。その結果、メインガバナを閉動作させて上流側から下流側へのガスの流量を減少させ、二次圧力を設定圧まで降下させる。
以上のように、メインガバナ(整圧装置)の稼働時においては、二次圧力の変化にともなって自動で圧力調整を行うことが可能となっている。
【0004】
ここで、上記のように整圧装置をガス用の配管に設けた場合には、例えば災害時やメンテナンス時などに、外部操作によってメインガバナよりも下流側へのガス供給を停止させるようにすることが望ましい。このように、下流側へのガス供給を停止させる簡易な方法として、例えば、パイロット通路に開閉弁を設けるとともに、外部操作によって開閉弁を制御してパイロット通路を強制的に遮断することが考えられる。この方法によれば、配管よりも小径のパイロット通路を遮断するだけでメインガバナ(整圧装置)の稼働を即座に停止させることができるため、装置の小型化や低コスト化ばかりか、ガス供給を停止させる際の省電力化をも図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−249300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようにパイロット通路の開閉によってメインガバナ(整圧装置)を稼働すると、メインガバナの挙動が不安定となり、二次圧力が設定圧に維持されるまでに長時間を要してしまう。その結果、需要家の使用環境に悪影響を与えたり、不安定な挙動によって不用意に安全装置が作動してしまい、意図せずにガスの供給が遮断されてしまったりするおそれがある。
具体的には、停止状態にある整圧装置を稼働する場合には、パイロット通路に設けられた開閉弁を開いて、パイロット通路の連通開度を稼働時の連通開度にする必要がある。ところが、開閉弁を開くと、パイロット通路内において、上流側から設定圧よりも低い圧力になっている下流側に向かって流れるガスの流量が瞬間的に大きくなることに起因して、メインガバナが一気に開かれてしまう。その結果、二次圧力が急激に上昇するとともに、この二次圧力の急激な変化にともなって、今度はパイロット通路内においてガスの流量が瞬間的に小さくなってしまい、上記とは逆にメインバルブが一気に閉じられてしまう。こうしたメインガバナの極端な開閉動作が短時間の間に繰り返されることにより、挙動が不安定となって二次圧力が設定圧になるまでに長時間を要し、需要家の使用環境に悪影響を与えたり、不安定な挙動によって不用意に安全装置が作動してしまい、意図せずにガスの供給が遮断されてしまったりするおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、起動および稼働停止を簡易に行いながらも、起動する際の安定挙動を実現する整圧装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前提として、流体が流通する配管に開閉動作可能に接続されたメインガバナと、前記メインガバナの上流側と下流側とを連通するパイロット通路と、前記パイロット通路内の流体の流量に応じて前記メインガバナの開閉量を制御するガバナ開閉手段と、を備えている。
本発明において、ガバナ開閉手段は、下流側の二次圧力が降下するとパイロット通路内の流体の流量増加にともなってメインガバナを開動作させ、二次圧力が上昇するとパイロット通路内の流体の流量減少にともなってメインガバナを閉動作させることにより、二次圧力を設定圧に調整する。
【0009】
上記のように、ガバナ開閉手段は、パイロット通路に導かれる二次圧力の上昇によってメインガバナを閉動作させ、二次圧力の降下によってメインガバナを開動作させる構成であれば、その具体的な構成は特に限定されない。
例えば、メインガバナとパイロット通路をベンチュリで接続するガバナ開閉手段を構成し、ベンチュリ効果によってメインガバナに作用する圧力を変化させることで、メインガバナを開閉動作させることが考えられる。
また、例えば、パイロット通路の流量や圧力を計測する計測手段(流量計や圧力計)を設け、この計測手段の計測結果に基づいてアクチュエータを駆動して、ガバナを開閉動作させることが考えられる。この場合には、計測手段とアクチュエータとによってガバナ開閉手段が構成される。
いずれにしても、本発明のガバナ開閉手段には、二次圧力の変化に起因するパイロット通路内の流体の流量変化に応じて、メインガバナを開閉させるものが広く含まれる。
また、本発明のメインガバナについても、上記のガバナ開閉手段の制御によって開閉動作を行い、この開閉動作によって下流側の二次圧力を調整することができれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0010】
上記の構成を前提として請求項1に記載の発明は、前記パイロット通路に開閉動作可能に設けられ、前記ガバナ開閉手段と前記メインガバナの下流側との連通開度を可変させるパイロット通路開閉手段と、前記パイロット通路開閉手段によって前記パイロット通路が遮断されてメインガバナの稼働が停止しているときに、前記メインガバナを起動させるための起動操作信号を出力する起動操作信号出力手段と、前記起動操作信号出力手段によって起動操作信号が出力されたとき、前記パイロット通路開閉手段を開弁して、前記パイロット通路の連通開度をメインガバナの稼働時の連通開度に制御する制御手段と、を備える。
そして、前記制御手段は、前記起動操作信号が出力されてから所定時間が経過するまでは、前記パイロット通路の連通開度を前記稼働時の連通開度よりも小さい緩衝開度に制御するとともに、前記所定時間が経過したところで前記パイロット通路の連通開度を前記稼働時の連通開度にすることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明において、パイロット通路開閉手段の具体的な構成は特に限定されない。例えば、パイロット通路開閉手段は、請求項3に記載の発明のように、パイロット通路の連通開度を無段階で可変する電動弁によって構成することとしてもよいし、あるいは請求項4に記載の発明のように電磁弁によって構成することとしてもよく、また、これらとはさらに別の構成としてもよい。いずれにしても、パイロット通路開閉手段は、パイロット通路の連通開度を、整圧装置によって二次圧力を設定圧に調整する際に要求される連通開度(稼働時の連通開度)にしたり、整圧装置を停止させるためにパイロット通路を遮断したりすることができればよい。
請求項1に記載の発明において、起動操作信号出力手段は、メインガバナの稼働が停止しているときに、メインガバナすなわち整圧装置を稼働するための信号(起動操作信号)を出力するものである。起動操作信号出力手段は、例えば、スイッチ等が人為的に操作されたときに信号を出力するものや、タイマが所定の時間を計時したときに信号を出力するものなど、所定の条件が満たされることによって信号を出力するものを広く含むものである。
【0012】
請求項1に記載の発明において、制御手段は、起動操作信号の出力を契機として、パイロット通路開閉手段を制御してパイロット通路の連通開度を可変させるものである。この制御手段は、起動操作信号が出力されてから所定時間経過したときに、パイロット通路の連通開度が、メインガバナの稼働時に必要となる予め設定された連通開度すなわち本発明でいう稼働時の連通開度となるように、パイロット通路開閉手段を制御する。このとき、制御手段は、所定時間が経過したところでパイロット通路の連通開度が稼働時の連通開度になるようにし、所定時間が経過するまでは、パイロット通路の連通開度が、稼働時の連通開度よりも小さい緩衝開度に保持されるようにパイロット通路開閉手段を制御する。
ここでいう緩衝開度というのは、予め設定された一の開度に特定されるものであってもよいし、稼働時の連通開度よりも小さい範囲で幅を有するものであってもよい。具体的には、緩衝開度を稼働時の連通開度の半分として特定し、パイロット通路の連通開度を所定時間にわたって緩衝開度に一定に保持した後に、所定時間が経過したところでパイロット通路の連通開度を稼働時の連通開度にするようにしてもよい。一方で、パイロット通路の連通開度を所定時間かけて徐々に稼働時の連通開度に近づけるようにしてもよく、この場合には、緩衝開度が一定の幅を有するものとなる。
【0013】
上記請求項1に記載の発明を前提として、請求項2に記載の発明は、前記メインガバナが稼働しているときに、前記メインガバナの稼働を停止させるための停止操作信号を出力する停止操作信号出力手段を備え、前記制御手段は、前記停止操作信号出力手段によって停止操作信号が出力されたとき、前記パイロット通路開閉手段を閉弁してパイロット通路を遮断するとともに、所定の停止操作信号が出力されてから前記パイロット通路が遮断されるまでに要する時間は、前記起動操作信号が出力されてから前記パイロット通路が前記稼働時の連通開度になるまでに要する時間よりも短時間であることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明において、停止操作信号出力手段は、メインガバナが稼働しているときに、メインガバナすなわち整圧装置の稼働を停止させるための信号(停止操作信号)を出力するものである。停止操作信号出力手段は、起動操作信号出力手段と同様に、例えば、スイッチ等が人為的に操作されたときに信号を出力するものや、タイマが所定の時間を計時したときに信号を出力するもの、さらには感震センサや温度センサ、圧力センサなどの異常を検知する異常検知手段など、所定の条件が満たされることによって信号を出力するものを広く含むものである。したがって、常に「遮断時間<連通時間」となるように制御手段が制御してもよいし、通常は遮断時間と連通時間とが等しく制御されるが、所定の信号が出力された場合に限って、「遮断時間<連通時間」となるように制御手段が制御するものであってもよい。
請求項2に記載の発明によれば、メインガバナ(整圧装置)を稼働状態から停止状態にするまでに要する時間を、メインガバナ(整圧装置)を停止状態から稼働状態にするまでに要する時間に比べて短時間にすることができる。
【0015】
請求項1または2に記載の発明を前提として、請求項3に記載の発明は、前記パイロット通路開閉手段は、前記パイロット通路の連通開度を無段階で可変する電動弁によって構成され、前記制御手段は、前記起動操作信号出力手段によって起動操作信号が出力されたとき、所定時間にわたって前記緩衝開度が前記稼働時の連通開度に近づくように前記電動弁の開動作速度を規制することを特徴とする。
請求項3に記載の発明において、パイロット通路の連通開度を無段階で可変する電動弁には、例えばステッピングモータのような電動モータを駆動源とし、通電を停止するタイミングに応じて全閉および全開以外の連通開度を保持するものが広く含まれる。
【0016】
請求項1または2に記載の発明を前提として、請求項4に記載の発明は、前記ガバナ開閉手段とメインガバナの下流側とを連通する複数のパイロット通路が設けられ、前記パイロット通路開閉手段は、前記複数のパイロット通路のそれぞれに互いに並行して設けられ、各パイロット通路を連通状態または遮断状態のいずれかの状態にする第1電磁弁および第2電磁弁によって構成され、前記制御手段は、前記起動操作信号が出力されたとき、前記第2電磁弁を開弁して前記パイロット通路の連通開度を前記緩衝開度に制御するとともに、前記所定時間が経過したところで前記第1電磁弁を開弁して前記パイロット通路の連通開度を前記稼働時の連通開度に制御することを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明において、各パイロット通路は、第2電磁弁を開弁したときに緩衝開度に制御され、第1電磁弁を開弁したときに稼働時の連通開度に制御されるものであれば、個々のパイロット通路の管の径は特に限定されない。例えば、全てのパイロット通路の開口断面を同じにして同一の連通開度としてもよいし、パイロット通路ごとに異なる連通開度としてもよい。
また、第1電磁弁が設けられたパイロット通路と、第2電磁弁が設けられたパイロット通路とが少なくとも1つずつあればよく、第1電磁弁が設けられたパイロット通路や第2電磁弁が設けられたパイロット通路がそれぞれ複数設けられていてもよい。
また、請求項4に記載の発明においては、第1電磁弁を開弁した後に第2電磁弁を開弁したままでもよく、この場合には、全てのパイロット通路の連通開度の合計が稼働時の連通開度となる。一方で、請求項8に記載の発明のように、第1電磁弁を開弁した後に、第2電磁弁を閉弁させることとしてもよい。この場合には、第1電磁弁が設けられたパイロット通路によって稼働時の連通開度が特定され、第2電磁弁が設けられたパイロット通路によって緩衝開度が特定されることとなる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明において、第2電磁弁を複数設けることとした場合には、第2電磁弁を一斉に開弁することとしてもよいし、第2電磁弁を所定の間隔で順次開弁していくようにしても構わない。
また、請求項4に記載の発明において、各パイロット通路は、ガバナ開閉手段とメインガバナの下流側とを連通するものであれば、その接続方法は特に限定されない。例えば、全てのパイロット通路が、それぞれガバナ開閉手段とメインガバナの下流側とを連通するものであってもよいし、請求項7に記載の発明のように、いずれかのパイロット通路から他のパイロット通路が分岐するように接続されていてもよい。
【0019】
請求項4に記載の発明を前提として、請求項5に記載の発明は、前記複数のパイロット通路は、前記第1電磁弁が設けられた第1パイロット通路と、前記第1パイロット通路よりも流量が制限されるとともに前記第2電磁弁が設けられた第2パイロット通路と、からなることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明を前提として、請求項6に記載の発明は、前記第2パイロット通路には、前記第1パイロット通路よりも流量を制限する絞りが設けられたことを特徴とする。
【0021】
請求項5または6に記載の発明を前提として、請求項7に記載の発明は、前記第2パイロット通路が、前記第1パイロット通路であって前記第1電磁弁の上流と下流とに分岐接続されてなることを特徴とする。
【0022】
請求項4または7に記載の発明を前提として、請求項8に記載の発明は、前記制御手段が、前記第1電磁弁を開弁するとともに前記第2電磁弁を閉弁することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、パイロット通路開閉手段を制御するだけで容易にメインガバナすなわち整圧装置の起動および稼働停止を行うことができるので、整圧装置の停止機能を、小型化や低コスト化さらには省電力化を実現しつつ備えることができる。しかも、整圧装置を停止状態から起動する際には、パイロット通路の連通開度が稼働時の連通開度になる前に緩衝開度に保たれるので、メインガバナの急激な開閉動作を抑制することができる。このように、メインガバナの急激な開閉動作が抑制されれば、二次圧力の急激な変化によって生じるメインガバナの不安定挙動が抑制される。したがって、需要家の使用環境に悪影響を与えたり、不安定な挙動によって不用意に安全装置が作動してしまい、意図せずにガスの供給が遮断されてしまったりすることなく、速やかに二次圧力を設定圧に調整することが可能となる。
【0024】
特に請求項2に記載の発明によれば、メインガバナを起動する場合に比べて短時間でメインガバナの稼働を停止させることができるので、災害が発生した場合などの緊急時に即座にガスの供給を停止させることができる。
【0025】
特に請求項3に記載の発明によれば、ガバナ開閉手段とメインガバナの下流側との連通量を電動弁によって可変させるので、メインガバナ(整圧装置)の起動時に、パイロット通路の連通開度を稼働時の連通開度まで徐々に近づけることができる。これにより、メインガバナに作用する圧力の変化を緩やかにすることが可能となり、メインガバナの起動時における挙動を一層安定させることができる。
特に請求項4〜8に記載の発明によれば、パイロット通路の連通開度を電磁弁によって可変させることとしたので、装置を一層小型化および低コスト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態の整圧装置の構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態の制御装置の処理機構を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態の整圧装置を起動または停止する処理を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態の整圧装置の構成を示す模式図である。
【図5】第3実施形態の整圧装置の構成を簡略して示す回路図である。
【図6】第3実施形態の制御装置の処理機構を示すブロック図である。
【図7】第3実施形態の整圧装置を起動または停止する処理を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態のさらなる変形例を示す図である。
【図9】第4実施形態の整圧装置の構成を簡略して示す回路図である。
【図10】各パイロット通路の開閉状態を示す図である。
【図11】第4実施形態の制御装置の処理機構を示すブロック図である。
【図12】第4実施形態の整圧装置を起動または停止する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の整圧装置をガス用の配管に適用した第1実施形態について図1〜図3を用いて説明する。
図1は、上流側配管1から下流側配管2へ流れるガスGの圧力を調整する整圧装置10の概略構成を模式的に示した図である。この整圧装置10は、上流側配管1と下流側配管2との間に接続されたメインガバナ11と、調整管3(第1調整管3aおよび第2調整管3b)を介して互いに連結された中圧補助ガバナ12、低圧補助ガバナ13およびオキジャリボール14と、を備えている。
なお、中圧補助ガバナ12は、一次圧調整管4を介して上流側配管1に接続され、低圧補助ガバナ13は、二次圧調整管5を介して下流側配管2に接続されている。
【0028】
メインガバナ11は、上流側配管1と下流側配管2とを連通したり、あるいはその連通を遮断したりするメインバルブ11Vを備えている。このメインバルブ11Vは、開閉動作によって上流側配管1から下流側配管2へ流れるガスGの流量を調整することにより、そのガスGの圧力を調整するものである。
中圧補助ガバナ12は、圧力調整用の設定スプリング12aおよびトックルバルブ12bを備えており、後述するニードルバルブ22よりも上流側の第1調整管3aを流れるガスGの中間圧力PMを所定の圧力に維持する。
低圧補助ガバナ13は、圧力調整用の設定ウエイト13aおよびトックルバルブ13bを備えており、下流側配管2の二次圧力P2が低下した際に、ガスGを、第2調整管3bを介して下流側配管2に供給するものである。なお、低圧補助ガバナ13の供給量に応じて、第2調整管3bの圧力は変動する。
オキジャリボール14は、上記した第2調整管3bの圧力変化に応じて作動するダイヤフラム14aを備えており、図示のように吊棒15および揺動部材16を介してメインガバナ11に連結されている。
【0029】
具体的には、吊棒15は、その一端がダイヤフラム14aに連結され、ダイヤフラム14aに連動して軸方向に進退するように設けられている。また、揺動部材16は、その一端が支持軸17aを介してメインガバナ11に固定され、他端が連結部17bを介して上記の吊棒15に連結されており、さらに連結部17cを介してメインバルブ11Vに連結されている。
そして、オキジャリボール14のダイヤフラム14aが第2調整管3bの圧力変動により作動すると、当該ダイヤフラム14aに連動して吊棒15が軸方向に進退する。吊棒15が軸方向に進退すると、この吊棒15の動作に連動して揺動部材16が支持軸17aを支点として揺動するとともに、この揺動部材16の揺動によってメインバルブ11Vが開閉動作することとなる。
なお、吊棒15および揺動部材16には、主ウエイト18および補助ウエイト19がそれぞれ設けられており、吊棒15の進退や揺動部材16の揺動動作が安定するようにしている。
【0030】
上記の整圧装置10によれば、下流側配管2から供給されるガスGが消費されていない場合には、中圧補助ガバナ12および低圧補助ガバナ13の全てが停止して、図1に示すようにメインガバナ11のメインバルブ11Vが閉じる。したがって、上流側配管1と下流側配管2との連通が遮断され、上流側配管1から下流側配管2へのガスGの供給が停止されることとなる。
一方、ガスGが消費されて二次圧力P2が低下すると、中圧補助ガバナ12および低圧補助ガバナ13が稼働するとともに、二次圧調整管5を介して調整管3から下流側配管2へとガスGが流通してオキジャリボール14内の圧力が低下する。オキジャリボール14内の圧力が低下すると、ダイヤフラム14aが作動して吊棒15が図中下方に移動するとともに、この吊棒15の移動にともなって揺動部材16が下方に押し下げられ、この揺動部材16の揺動によってメインバルブ11Vが開かれる。このようにしてメインバルブ11Vが開かれると、上流側配管1から下流側配管2へガスGが供給され、下流側配管2内の二次圧力P2が調整されることとなる。
【0031】
なお、図中符号20は、吊棒15の移動量を検出することによりメインバルブ11Vの開度を計測する開度計測装置である。また、図中符号21は、一次圧調整管4に設けられた中圧補助ガバナ取り出しコック、符号22は、上記したように、中圧補助ガバナ12近傍の調整管3に設けられ、中圧補助ガバナ12により圧力調整されたガスGの流量を絞るニードルバルブを示している。
また、符号24は、上流側配管1内のガスGの一次圧力P1を検出する一次圧力計、符号25は、下流側配管2内のガスGの二次圧力P2を検出する二次圧力計を示している。
【0032】
そして、第1実施形態においては、電動モータMを駆動源とするとともに、当該電動モータMの駆動によって二次圧調整管5の連通開度を無段階で変位可能な電動弁からなる開閉手段30が設けられている。この開閉手段30は、整圧装置10を停止状態から起動したり、あるいは稼働状態から停止させたりするためのものである。
具体的には、整圧装置10が稼働しているときに、整圧装置10の稼働を停止して下流側配管2へのガスGの供給を停止する場合には、開閉手段30を閉弁させて二次圧調整管5を遮断する。二次圧調整管5が遮断されると、調整管3から二次圧調整管5および下流側配管2へのガスGの流通が停止する結果、調整管3内の圧力が高まるとともに、メインバルブ11Vを閉動作させるようにオキジャリボール14が作動する。これにより、整圧装置10は、メインバルブ11Vによって上流側配管1と下流側配管2との連通を遮断した状態で稼働を停止することとなる。
【0033】
一方、整圧装置10の稼働停止状態から、整圧装置10を起動して下流側配管2へのガスGの供給を開始する場合には、開閉手段30を開弁させればよい。開閉手段30が開弁すれば、以後、上記したとおりに整圧装置30が二次圧力P2を設定圧に調整するように稼働することとなる。
このように、整圧装置10を起動したりあるいは稼働を停止したりするにあたって、開閉手段30を開閉制御するのが制御装置101であるが、この制御装置101の構成および処理について以下に説明する。
【0034】
図2は、制御装置101の処理機構を示すブロック図である。この図に示すように、制御装置101は、プログラムを読み出して各種の演算処理を実行するCPU101a、各種のプログラムが記憶されたROM101b、および演算処理を実行する際にデータの処理量域として機能するRAM101cを備えている。
この制御装置101の入力側には、開度計測装置20、一次圧力計24および二次圧力計25が接続されている。制御装置101は、一次圧力計24から出力される圧力信号に基づいてガスGの一次圧力P1を検出し、二次圧力計25から出力される圧力信号に基づいて二次圧力P2を検出する。
【0035】
また、制御装置101の入力側には、通信ケーブルを介して遠隔制御装置102が接続されている。この遠隔制御装置102は、例えばガスGの供給状況などを監視する監視センターに設けられるものであり、整圧装置10の状態を監視したり、遠隔操作によって制御したりするものである。この遠隔制御装置102には、人為的に操作が可能な起動操作スイッチ40および停止操作スイッチ41が設けられており、これらスイッチ40,41が操作されると、制御装置101に対して操作信号が出力される。
一方、制御装置101の出力側には、開閉手段30の駆動源である電動モータMが接続されている。
【0036】
以下に、制御装置101によって実行される処理のうち、起動操作スイッチ40から起動操作信号が出力されたときの処理、および停止操作スイッチ41から停止操作信号が出力されたときの処理について図3を用いて説明する。
【0037】
(ステップS1)
起動操作スイッチ40または停止操作スイッチ41から出力される起動操作信号または停止操作信号が制御装置101に入力すると、CPU101aは、入力した操作信号が停止操作信号であるかを判断する。その結果、入力した操作信号が停止操作信号であると判断した場合にはステップS2に処理を移し、入力した操作信号が停止操作信号ではなく起動操作信号であると判断した場合にはステップS5に処理を移す。
【0038】
(ステップS2)
上記ステップS1において、停止操作信号が入力したと判断した場合には、CPU101aは、電動モータMを正転方向に回転させるように通電し、開閉手段30を閉弁方向に動作させる。
【0039】
(ステップS3)
次に、CPU101aは、開閉手段30が二次圧調整管5を完全に遮断する閉弁位置に移動したかを判断する。なお、開閉手段30には、不図示の位置検出センサが設けられている。この位置検出センサは、開閉手段30が、二次圧調整管5を完全に遮断する位置(閉弁位置)に移動したとき、および、二次圧調整管5が整圧装置10の稼働時の連通開度になる位置(開弁位置)に移動したときに、それぞれ位置検出信号を出力するものである。
CPU101aは、位置検出センサによって開閉手段30の閉弁位置への移動が検出されるまで、当該ステップS3の判定処理を繰り返して待機し、開閉手段30の閉弁位置への移動が検出された場合にはステップS4に処理を移す。
【0040】
(ステップS4)
次に、CPU101aは、電動モータMの通電を停止して当該処理を終了する。これにより、開閉手段30によって二次圧調整管5が遮断され、整圧装置10の稼働が停止することとなる。
【0041】
(ステップS5)
また、上記ステップS1において、入力した操作信号が起動操作信号であると判断した場合には、CPU101aは、開閉手段30の開弁速度を規制する処理を行う。ここで、例えば、開閉手段30の開弁速度は、閉弁速度の10分の1程度に規制される。具体的には、開閉手段30を閉弁して整圧装置10の稼働を停止する場合に、開閉手段30が開弁位置から閉弁位置まで1秒で到達するとする。このとき、開閉手段30を開弁して整圧装置10を起動する場合には、閉弁位置から開弁位置に到達するまで10秒を要することとなる。
【0042】
なお、開閉手段30の開弁速度を規制する方法はさまざまであるが、一例として、電動モータMを逆転方向に回転させる場合に、回路上の抵抗値を大きくして、電動モータMを低速回転させることが考えられる。この場合の開弁速度規制処理は、CPU101aが抵抗値の大きい回路にスイッチングする処理となる。
また、他の一例としては、電動モータMが正転方向に回転する場合には、所定の減速比の減速機によって出力を減速し、電動モータMが逆転方向に回転する場合には、正転方向に回転するときの減速機よりも減速比の大きい減速機によって出力を減速することが考えられる。
【0043】
(ステップS6)
次に、CPU101aは、電動モータMを逆転方向に回転させるように通電し、開閉手段30を開弁方向に動作させる。
【0044】
(ステップS7)
次に、CPU101aは、開閉手段30が開弁位置に到達したか、言い換えれば、二次圧調整管5が整圧装置10の稼働時の連通開度になったかを判断する。なお、開閉手段30が開弁位置に到達したか否かは、位置検出センサから位置検出信号が出力されたか否かによって判断される。
CPU101aは、位置検出センサによって開閉手段30の開弁位置への移動が検出されるまで、当該ステップS7の判定処理を繰り返して待機し、開閉手段30の開弁位置への移動が検出された場合にはステップS4に処理を移して、電動モータMの通電を停止する。これにより、二次圧調整管5が整圧装置10の稼働時の連通開度となり、整圧装置10が稼働して二次圧力P2が設定圧に調整されることとなる。
なお、開閉手段30が開弁位置または閉弁位置まで移動したか否かは、位置検出センサによる検出に限られるものではない。例えば、開弁動作または閉弁動作が開始してから、開閉手段30が完全に開弁または閉弁するまでに要する時間を予め記憶しておき、この時間が経過したか否かをタイマで計測することも可能である。
【0045】
以上のように、第1実施形態によれば、整圧装置10の稼働を停止する場合には、電動モータMによって開閉手段30が即座に閉弁するので、速やかに下流側配管2へのガスの供給を停止することができる。
また、整圧装置10を停止状態から稼働する場合には、電動モータMの回転速度が規制され、二次圧調整管5が徐々に開弁していく。これにより、二次圧調整管5は、整圧装置10の稼働時の連通開度に到達するまでの間、所定時間にわたって、当該稼働時の連通開度よりも小さい緩衝開度に制御される。このように、二次圧調整管5が、所定時間にわたって緩衝開度に制御された後に、稼働時の連通開度に到達するので、メインバルブ11Vの急激な開閉動作が抑制されて、メインガバナ11すなわち整圧装置10の安定挙動を実現することができる。
【0046】
なお、第1実施形態においては、二次圧力P2の変化に起因する調整管3内の圧力変化をオキジャリボール14に作用させるとともに、オキジャリボール14を介してメインガバナ11を開閉動作させることとした。つまり、第1実施形態においては、メインガバナ11を開閉動作させる構成、すなわち本発明のガバナ開閉手段をオキジャリボール14等によって構成したが、ガバナ開閉手段は上記の構成に限らず、例えば、図4に示す第2実施形態のように構成してもよい。
以下に第2実施形態の整圧装置50について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、上記第1実施形態と同一の符号を付するとともに、ここでは第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0047】
この第2実施形態の整圧装置50は、ゴムスリーブ51aによって二次圧力P2を調整するメインガバナ51を備えている。ゴムスリーブ51aの外側には調整管52が接続されており、調整管52内の圧力がゴムスリーブ51aに作用するようになっている。
また、一次圧調整管4と二次圧調整管5との間には、ベンチュリ・レストリクタ53が設けられており、このベンチュリ・レストリクタ53に上記の調整管52が接続されている。
なお、ベンチュリ・レストリクタ53よりも下流側、すなわち二次圧調整管5には、開閉手段30および二次圧力P2の設定圧を決定するパイロットガバナ54が設けられている。詳細な説明は省略するが、パイロットガバナ54には二次圧力P2の設定圧を決定する設定スプリングが設けられており、この設定スプリングと二次圧力P2とをバランスさせるようにしている。
【0048】
この整圧装置50によれば、二次圧力P2が設定圧に維持されている場合には、パイロットガバナ54に設けられた設定スプリングのバネ力と二次圧力P2とがバランスして、一次圧調整管4から二次圧調整管5に所定量のガスGが流れる。これのガスGの流れによって調整管52内の制御圧力すなわちゴムスリーブ51aの外側に負荷される制御圧力が、ゴムスリーブ51aの内側の圧力とバランスする。これにより、ゴムスリーブ51aと不図示の弁体との間を流れるガスGすなわち二次圧力P2が設定圧に調整される。
また、二次圧力P2が設定圧以上に上昇すると、パイロットガバナ54に作用する二次圧力P2が設定スプリングのバネ力に打ち勝って閉弁動作し、一次圧調整管4から二次圧調整管5へのガスGの流量を制限する。これにより、ゴムスリーブ51aに負荷される制御圧力が上昇するとともに、ゴムスリーブ51aが上記弁体に密着して上流側配管1から下流側配管2へのガスGの供給を停止する。
一方、二次圧力P2が設定圧よりも低くなると、パイロットガバナ54が開弁動作し、一次圧調整管4から二次圧調整管5へのガスGの流量が増加する。これにより、ゴムスリーブ51aに負荷される制御圧力が降下するとともに、ゴムスリーブ51aが弁体から離れる方向に伸長して上流側配管1から下流側配管2へのガスGの流量が増大する。
【0049】
以上の構成からなる整圧装置50においても、上記第1実施形態の整圧装置10と同様に、二次圧力P2の変化に応じてメインガバナ51が開閉動作し、二次圧力P2を設定圧に調整することができる。そして、この整圧装置50において、上記第1実施形態と同様の開閉手段30および制御装置101を設けることにより、第1実施形態と同様の作用効果を実現可能である。
なお、上記第2実施形態においては、ベンチュリ・レストリクタ53を設けることとしたが、ベンチュリ・レストリクタ53の代わりに固定絞りを設けることも可能である。
【0050】
次に、図5〜図7を用いて本発明の整圧装置の第3実施形態について説明する。
なお、この第3実施形態の整圧装置60は、メインガバナ51およびベンチュリ・レストリクタ53を備える点において上記第2実施形態と共通し、開閉手段30と二次圧調整管5の構成のみを上記第2実施形態と異にする。したがって、ここでは上記第2実施形態と異なる構成について説明することとする。
整圧装置60は、ベンチュリ・レストリクタ53と下流側配管2とを連通する第1パイロット通路61と、この第1パイロット通路61から分岐する第2パイロット通路62とによって二次圧調整管5を構成している。
第1パイロット通路61および第2パイロット通路62には、それぞれ第1電磁弁63および第2電磁弁64が並行して設けられており、これら両電磁弁63,64によって開閉手段30が構成されている。これら両電磁弁63,64は、通常、第1パイロット通路61および第2パイロット通路62を連通状態に維持しており、通電されることによって、第1パイロット通路61および第2パイロット通路62を遮断状態に切り換えるものである。
なお、第2パイロット通路62には、第1パイロット通路61よりも流量を制限するための絞り65が設けられている。
【0051】
上記の第1電磁弁63および第2電磁弁64は、図6に示すように、制御装置101の出力側に接続されている。そして、制御装置101は、起動操作スイッチ40および停止操作スイッチ41から信号が出力されると、第1電磁弁63および第2電磁弁64を通電制御して、整圧装置60を起動したりあるいは稼働を停止させたりする。この制御装置101の処理について図7を用いて説明する。
【0052】
(ステップS11)
起動操作スイッチ40または停止操作スイッチ41から出力される起動操作信号または停止操作信号が制御装置101に入力すると、CPU101aは、入力した操作信号が停止操作信号であるかを判断する。その結果、入力した操作信号が停止操作信号であると判断した場合にはステップS12に処理を移し、入力した操作信号が停止操作信号ではなく起動操作信号であると判断した場合にはステップS14に処理を移す。
【0053】
(ステップS12)
上記ステップS11において、停止操作信号が入力したと判断した場合には、CPU101aは、第1電磁弁63を通電して、第1パイロット通路61を遮断状態にする。
【0054】
(ステップS13)
次に、CPU101aは、第2電磁弁64を通電して、第2パイロット通路62を遮断状態にする。
このように、停止操作信号が入力すると、制御装置101によって二次圧調整管5が遮断されるので、ベンチュリ・レストリクタ53によってメインガバナ51が閉じられて整圧装置60の稼働が停止することとなる。
【0055】
(ステップS14)
また、上記ステップS11において、入力した操作信号が起動操作信号であると判断した場合には、CPU101aは、第2電磁弁64の通電を停止して、第2パイロット通路62を連通状態とする。整圧装置60の稼働が停止している状態では、両電磁弁63,64が通電されて閉弁しているが、当該ステップS14の処理によって、ベンチュリ・レストリクタ53と下流側配管2とが第2パイロット通路62を介して連通することとなる。なお、この状態では、ベンチュリ・レストリクタ53と下流側配管2との連通開度が、絞り65によって設定される緩衝開度に維持されるため、一次圧調整管4から二次圧調整管5へと流通するガスGの流量が制限されている。
【0056】
(ステップS15)
次に、CPU101aは、第1電磁弁63を開弁するまでの時間をタイマにセットする。
【0057】
(ステップS16)
次に、CPU101aは、上記ステップS15でセットした時間が経過したか否かを判定する。その結果、セットした時間が経過するまで当該ステップS16の判定処理を繰り返して待機するとともに、セットした時間が経過したと判断した場合には、ステップS17に処理を移す。
【0058】
(ステップS17)
上記ステップS16において、セットした時間が経過したと判定した場合には、CPU101aは、第1電磁弁63の通電を停止して第1パイロット通路61を連通状態にする。
【0059】
(ステップS18)
次に、CPU101aは、第2電磁弁64の通電を停止させて、再び第2パイロット通路62を遮断する。これにより、ベンチュリ・レストリクタ53と下流側配管2とが第1パイロット通路61のみを介して連通することとなり、第1パイロット通路61によって稼働時の連通開度が設定されることとなる。
【0060】
以上のように、この第3実施形態によれば、第1電磁弁63および第2電磁弁64を段階的に通電制御するだけで、整圧装置60の起動時に、緩衝開度および稼働時の連通開度に制御することができるので、上記各実施形態と同様に安定挙動を実現しながらも、装置の低コスト化および小型化をも実現することができる。
なお、この第3実施形態においては、第2電磁弁64を開弁してから所定時間経過後に第1電磁弁63を開弁することとした。しかしながら、例えば、二次圧力を検出するセンサを設けるとともに、二次圧力が所定圧力まで上昇したときに第1電磁弁63を開弁することも可能である。
【0061】
なお、この第3実施形態においては、メインガバナおよびガバナ開閉手段を第2実施形態と同様の構成としたが、これらは第1実施形態と同様の構成であってもよいし、さらには他の構成であっても構わない。
また、さらには、図8に示す変形例のように、複数のパイロット通路は、それぞれベンチュリ・レストリクタ53(ガバナ開閉手段)と下流側配管2とを直接接続するものであってもよい。
【0062】
また、図8に示すように、第2パイロット通路62を複数設ける(図では62a,62bの2つ)とともに、これらの第2パイロット通路62のそれぞれに第2電磁弁64a,64bを設け、整圧装置60の起動時に、各第2電磁弁64a,64bを順次開弁させるようにしてもよい。このようにすれば、整圧装置60の起動時の緩衝開度を徐々に稼働時の連通開度に近づけることができ、整圧装置60の挙動を一層安定化させることができる。
なお、整圧装置60の稼働時においては、第1パイロット通路61のみを連通させてもよいし、第1パイロット通路61と第2パイロット通路62との双方を連通させることとしてもよい。
【0063】
次に、図9〜図12を用いて本発明の整圧装置の第4実施形態について説明する。
なお、この第4実施形態の整圧装置70は、二次圧調整管5の構成および二次圧調整官5に設けられる開閉手段30の構成のみを上記第3実施形態と異にし、その他の構成は上記第3実施形態と同様である。したがって、ここでは上記第3実施形態と異なる構成について説明することとする。
整圧装置70は、ベンチュリ・レストリクタ53と下流側配管2とを第1パイロット通路71によって接続するとともに、この第1パイロット通路71から第2パイロット通路72および第3パイロット通路73を並列的に分岐させている。したがって、この第4実施形態においては、第1パイロット通路71〜第3パイロット通路73によって二次圧調整管5が構成されることとなる。
なお、第1パイロット通路71および第3パイロット通路73は開口径が等しく設定されている。
【0064】
第1パイロット通路71には、第1の電磁弁74が設けられている。この第1の電磁弁74は、通常、未通電状態で開弁しており、第1パイロット通路71を連通状態に維持している。一方で、第1の電磁弁74は、通電によって閉弁して第1パイロット通路71の連通を遮断する。ただし、第1の電磁弁74は、ひとたび通電されて閉弁すると、以後は手動によってのみ開弁可能となるように構成されている。
【0065】
また、第2パイロット通路72には、絞り65、第2の電磁弁75および第3の電磁弁76が直列的に接続されている。第2の電磁弁75は、通常、未通電状態で閉弁しており、第2パイロット通路72の連通を遮断している。一方で、第2の電磁弁75は、通電によって開弁することとなるが、ひとたび通電されて開弁すると、以後は手動によってのみ閉弁可能となるように構成されている。
第3の電磁弁76は、通常、未通電状態で開弁している。一方で、第3の電磁弁76は、通電によって閉弁して第2パイロット通路72の連通を遮断するように構成されている。
【0066】
第4の電磁弁77は、通常、未通電状態で閉弁しており、第3パイロット通路73の連通を遮断している。一方で、第4の電磁弁77は、通電によって開弁して第3パイロット通路77を連通させる。ただし、第4の電磁弁77は、ひとたび通電されて開弁すると、以後は手動によってのみ閉弁可能となるように構成されている。
【0067】
図10を用いて、各電磁弁74〜77の開閉状態と、整圧装置70の稼働状態との関係について説明する。
図10(a)は、整圧装置70の通常の稼働時における各電磁弁74〜77の開閉状態を示している。図10(a)からも明らかなように、整圧装置70は、通常、各電磁弁74〜77の全てが未通電状態となっており、第1の電磁弁74と第3の電磁弁76とが開弁するとともに、第2の電磁弁75と第4の電磁弁77とが閉弁している。したがって、整圧装置70の通常の稼働時には、ベンチュリ・レストリクタ53と下流側配管2とが、第1パイロット通路71によって連通することとなる。
【0068】
この状態から、整圧装置70の稼働を停止させる場合には、第1の電磁弁74のみを通電する。すると、図10(b)に示すように、第1の電磁弁74が閉弁して第1パイロット通路71の連通が遮断されることによって、ベンチュリ・レストリクタ53と下流側配管2との連通が遮断されることとなる。
そして、上記の稼働停止状態から整圧装置70を再稼働する場合には、まず、第2の電磁弁75を通電する。これにより、図10(c)に示すように、ベンチュリ・レストリクタ53と下流側配管2との連通開度が、絞り65によって設定される緩衝開度に維持されることとなる。
【0069】
次に、ベンチュリ・レストリクタ53と下流側配管2との連通開度が緩衝開度に維持された後、所定時間が経過したところで、図10(d)に示すように、第4の電磁弁77を通電して開弁した後に,第3の電磁弁76を通電して閉弁する。これにより、第3パイロット通路73が連通状態となるとともに、第2パイロット通路72の連通が遮断され、図10(a)と同様に整圧装置70が再稼働することとなる。
なお、各電磁弁74〜77は、図11に示すように、制御装置101に接続されており、制御装置101によって通電または未通電状態に切り換え制御されることとなる。
【0070】
そして、制御装置101は、起動操作スイッチ40および停止操作スイッチ41から信号が出力されると、上記のように各電磁弁74〜77を通電制御して、整圧装置70を起動したりあるいは稼働を停止させたりする。この制御装置101の処理について図12を用いて説明する。
【0071】
(ステップS21)
起動操作スイッチ40または停止操作スイッチ41から出力される起動操作信号または停止操作信号が制御装置101に入力すると、CPU101aは、入力した操作信号が停止操作信号であるかを判断する。その結果、入力した操作信号が停止操作信号であると判断した場合にはステップS22に処理を移し、入力した操作信号が停止操作信号ではなく起動操作信号であると判断した場合にはステップS23に処理を移す。
【0072】
(ステップS22)
上記ステップS21において、停止操作信号が入力したと判断した場合には、CPU101aは、第1の電磁弁74を通電して、第1パイロット通路71の連通を遮断する。これにより、整圧装置70は、図10(a)に示す状態に維持されて、稼働が停止することとなる。
【0073】
(ステップS23)
また、上記ステップS21において、入力した操作信号が起動操作信号であると判断した場合には、CPU101aは、第2の電磁弁75を通電して、第2パイロット通路72を連通状態とする。なお、この状態では、ベンチュリ・レストリクタ53と下流側配管2との連通開度が、絞り65によって設定される緩衝開度に維持されるため、一次圧調整管4から二次圧調整管5へと流通するガスGの流量が制限されている。
【0074】
(ステップS24)
次に、CPU101aは、第4の電磁弁77を通電するまでの時間をタイマにセットする。
【0075】
(ステップS25)
次に、CPU101aは、上記ステップS24でセットした時間が経過したか否かを判定する。その結果、セットした時間が経過するまで当該ステップS25の判定処理を繰り返して待機するとともに、セットした時間が経過したと判断した場合には、ステップS26に処理を移す。
【0076】
(ステップS26)
上記ステップS25において、セットした時間が経過したと判定した場合には、CPU101aは、第4の電磁弁77を通電して開弁させ、第3パイロット通路73を連通させる。
【0077】
(ステップS27)
次に、CPU101aは、第3の電磁弁76を通電して閉弁し、第2パイロット通路72の連通を遮断する。これにより、ベンチュリ・レストリクタ53と下流側配管2とが第3パイロット通路73のみを介して連通することとなり、稼働停止前と同じ連通開度に設定されることとなる。
【0078】
この第4実施形態によっても、上記第3実施形態と同様に、安定挙動を実現しながらも、装置の低コスト化および小型化をも実現することができる。
しかも、停電やバッテリ切れが生じた場合にも稼働状況が維持されるので、停電などによって不意にガスGの供給ができなくなってしまったり、あるいはガスGの供給が開始されてしまったりすることがない。
なお、この第4実施形態においては、第2の電磁弁75を開弁してから所定時間経過後に第4の電磁弁77を開弁することとしたが、上記と同様に、二次圧力を検出するセンサを設けるとともに、二次圧力が所定圧力まで上昇したときに第4の電磁弁77を開弁することも可能である。
【0079】
以上、上記各実施形態においては、ガス用の配管に本発明の整圧装置を適用する場合について説明したが、本発明が適用可能な配管すなわち流体は必ずしもこれに限られるものではなく、ガス以外の他の流体、例えば水道用の配管等にも適用可能である。
【0080】
なお、上記実施形態における上流側配管1および下流側配管2が本発明の配管に相当する。
また、上記実施形態における一次圧調整管4および二次圧調整管5が本発明のパイロット通路に相当する。
また、上記第1実施形態におけるオキジャリボール14、第2実施形態および第3実施形態におけるベンチュリ・レストリクタ53が本発明のガバナ開閉手段に相当する。
また、上記実施形態における開閉手段30、より具体的には第1実施形態の電動弁、第2実施形態および第3実施形態の第1電磁弁63、第2電磁弁64、第4実施形態の第1の電磁弁74〜第4の電磁弁77が本発明のパイロット通路開閉手段に相当する。
また、上記実施形態における起動操作スイッチ40が本発明の起動操作信号出力手段に相当する。
また、上記実施形態における停止操作スイッチ41が本発明の停止操作信号出力手段に相当する。
【符号の説明】
【0081】
1 上流側配管
2 下流側配管
3,52 調整管
4 一次圧調整管
5 二次圧調整管
10,50,60 整圧装置
11,51 メインガバナ
14 オキジャリボール
30 開閉手段
40 起動操作スイッチ
41 停止操作スイッチ
53 ベンチュリ・レストリクタ
61 第1パイロット通路
62 第2パイロット通路
63 第1電磁弁
64 第2電磁弁
65 絞り
71 第1パイロット通路
72 第2パイロット通路
73 第3パイロット通路
74 第1の電磁弁
75 第2の電磁弁
76 第3の電磁弁
77 第4の電磁弁
101 制御装置
101a CPU
101b ROM
101c RAM


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流通する配管に開閉動作可能に接続されたメインガバナと、
前記メインガバナの上流側と下流側とを連通するパイロット通路と、
前記パイロット通路内の流体の流量に応じて前記メインガバナの開閉量を制御するガバナ開閉手段と、を備え、
前記ガバナ開閉手段は、
前記下流側の二次圧力が降下すると前記パイロット通路内の流体の流量増加にともなって前記メインガバナを開動作させ、前記二次圧力が上昇すると前記パイロット通路内の流体の流量減少にともなって前記メインガバナを閉動作させて、前記二次圧力を設定圧に調整する整圧装置において、
前記パイロット通路に開閉動作可能に設けられ、前記ガバナ開閉手段と前記メインガバナの下流側との連通開度を可変させるパイロット通路開閉手段と、
前記パイロット通路開閉手段によって前記パイロット通路が遮断されてメインガバナの稼働が停止しているときに、前記メインガバナを起動させるための起動操作信号を出力する起動操作信号出力手段と、
前記起動操作信号出力手段によって起動操作信号が出力されたとき、前記パイロット通路開閉手段を開弁して、前記パイロット通路の連通開度をメインガバナの稼働時の連通開度に制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記起動操作信号が出力されてから所定時間が経過するまでは、前記パイロット通路の連通開度を前記稼働時の連通開度よりも小さい緩衝開度に制御するとともに、前記所定時間が経過したところで前記パイロット通路の連通開度を前記稼働時の連通開度にすることを特徴とする整圧装置。
【請求項2】
前記メインガバナが稼働しているときに、前記メインガバナの稼働を停止させるための停止操作信号を出力する停止操作信号出力手段を備え、
前記制御手段は、
前記停止操作信号出力手段によって停止操作信号が出力されたとき、前記パイロット通路開閉手段を閉弁してパイロット通路を遮断するとともに、
所定の停止操作信号が出力されてから前記パイロット通路が遮断されるまでに要する時間は、前記起動操作信号が出力されてから前記パイロット通路が前記稼働時の連通開度になるまでに要する時間よりも短時間であることを特徴とする請求項1記載の整圧装置。
【請求項3】
前記パイロット通路開閉手段は、前記パイロット通路の連通開度を無段階で可変する電動弁によって構成され、
前記制御手段は、
前記起動操作信号出力手段によって起動操作信号が出力されたとき、所定時間にわたって前記緩衝開度が前記稼働時の連通開度に近づくように前記電動弁の開動作速度を規制することを特徴とする請求項1または2記載の整圧装置。
【請求項4】
前記ガバナ開閉手段とメインガバナの下流側とを連通する複数のパイロット通路が設けられ、
前記パイロット通路開閉手段は、前記複数のパイロット通路のそれぞれに互いに並行して設けられ、各パイロット通路を連通状態または遮断状態のいずれかの状態にする第1電磁弁および第2電磁弁によって構成され、
前記制御手段は、
前記起動操作信号が出力されたとき、前記第2電磁弁を開弁して前記パイロット通路の連通開度を前記緩衝開度に制御するとともに、前記所定時間が経過したところで前記第1電磁弁を開弁して前記パイロット通路の連通開度を前記稼働時の連通開度に制御することを特徴とする請求項1または2記載の整圧装置。
【請求項5】
前記複数のパイロット通路は、
前記第1電磁弁が設けられた第1パイロット通路と、
前記第1パイロット通路よりも流量が制限されるとともに前記第2電磁弁が設けられた第2パイロット通路と、からなることを特徴とする請求項4記載の整圧装置。
【請求項6】
前記第2パイロット通路には、前記第1パイロット通路よりも流量を制限する絞りが設けられたことを特徴とする請求項5記載の整圧装置。
【請求項7】
前記第2パイロット通路は、前記第1パイロット通路であって前記第1電磁弁の上流と下流とに分岐接続されてなることを特徴とする請求項5または6記載の整圧装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記第1電磁弁を開弁するとともに前記第2電磁弁を閉弁することを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の整圧装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−38208(P2012−38208A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179682(P2010−179682)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】