説明

整流ゴム固定構造

【課題】簡単な構造により、フロントピラー根元廻りの見栄え向上と、バラツキが少なくコスト低減を可能とした整流ゴム固定構造を提供する。
【解決手段】フロントピラー根元部におけるフロントフエンダ2、サイドメンバ3、カウルルーバ8に渡って取り付けられる風向の整流ゴム固定構造であって、整流ゴム5は、その一端には車両前後方向に凹溝6を設け、他端は角形の切欠7を形成してなり、凹溝6をフロントフェンダ2の端縁に形成されているのフランジ2aに係止し、切欠7をサイドメンバ3の端縁に形成されている段部に掛け止めした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前面のウィンドシールドガラス側部のフロントピラー下部におけるフロントフエンダ、サイドメンバ、カウルルーバに渡って取り付けられる整流ゴム固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体前面のウィンドシールドガラス側部のフロントピラー下部には図9で示すように風向を整流するための整流ゴム5がフロントフエンダ2、サイドメンバ3に渡って固定されている。この整流ゴム5の従来の固定構造は図7で示すように、サイドメンバ3の端部のL字状のフランジ3a、3bにシールドゴム4を介して当接しているウィンドシールドガラス1の側部に位置するフロントフェンダ2の端部のフランジ2aの内側に、剛性確保、ころび防止のため樹脂インサート10を設定した整流ゴム5の一端背部を掛け止めし、他端サイドメンバ3のフランジ3aに当接した構造や、図8で示すように、整流ゴム5の一端をフロントフェンダ2のフランジ2aの外側に両面接着テープ11にて接着し、他端をサイドメンバ3のフランジ3aに当接した構造である。
【0003】
この整流ゴム5はフロントピラー下部のフロントフエンダ2、サイドメンバ3の部位における風向を有効に整流する役割を有している他に、図9で示すように、フロントフェンダ2とサイドメンバ3との部材合わせのスキマGやサイドメンバ3のフランジ3a、3bの段部の寸法の差によるプレス成形時にフランジ3aに発生するシワWを隠蔽して見栄えを良くする利点を有しているが、上記従来の整流ゴム固定構造では、前者の場合は整流ゴム5に埋設する樹脂インサート10を必要とし、後者の場合は両面接着テープ11を必要とするため、何れもコスト高となっている問題があった。
【特許文献1】特開平10−194155公報
【特許文献1】特開平10−226358公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡単な構造により、フロントピラー根元廻りの見栄え向上と、バラツキが少なくコスト低減を可能とした整流ゴム固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、この目的を達成するために、請求項1に記載の通り、車体前面のウィンドシールドガラス側部のフロントピラー根元部におけるフロントフエンダ、サイドメンバ、カウルルーバに渡って取り付けられる風向の整流ゴム固定構造であって、前記整流ゴムは、その一端には車両前後方向に凹溝を設け、他端は角形の切欠を形成してなり、前記凹溝をフロントフェンダの端縁に形成されているフランジに係止し、前記切欠を前記サイドメンバの端縁に形成されている段部に掛け止めしたことを特徴とするものである。
【0006】
また、請求項2に記載の通り、前記整流ゴムのカウルルーバに対接する面に軸部の径より大径の頭部を持った茸形状の突起を前記カウルルーバへの取り付け面に対し直角な軸線方向に設け、カウルルーバには前記突起の位置と対応する位置に前記突起を係止する長孔を車幅方向に開設し、整流ゴムの一部をフード側面に位置する前記カウルルーバに開設した長孔に前記突起を係止して取り付けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構造の変更によりフロントピラー根元廻りの見栄え向上し、整流ゴムをバラツキが少なく固定することができ、従来のように整流ゴムに剛性確保、ころび防止のための樹脂インサートの設定を不要とし、また、両面接着テープによる固定を不要とし、コストの低減が図れる効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を実施するための最良の形態について図面に基づいて説明する。図1は車体前面のウィンドシールドガラス1(図2を参照)の側部のフロントピラー根元部のフロントフエンダ2、サイドメンバ3を示し、このフロントフエンダ2、サイドメンバ3、カウルルーバ8に渡って風向を整流するための整流ゴム5が取り付けられている。
【0009】
前記整流ゴム5は図5の裏面側斜視図で示すように、フロントフエンダ2及びサイドメンバ3への対接面側5aにおいてフロントフェンダ2と対接する部位の一端には車両前後方向Lに凹溝6を設け、他端は角形の切欠7が形成されている。
【0010】
この整流ゴム5の取り付け固定は、図2で示すように、前記凹溝6をフロントフェンダ2の端縁に形成されているフランジ2aに係止し、前記他端の角形の切欠7切欠を前記サイドメンバの端縁に形成されているフランジ3a、3b部位の段部に掛け止めした構造である。尚、図2において、符号1はウィンドシールドガラス、4はシールドゴムを示す。
【0011】
また、カウルルーバ8に対接する面5bはフロントフエンダ2及びサイドメンバ3への対接面側5aの一部を車幅方向Wに曲げて延長し、この延長部のカウルルーバ8に対接する面5bに図5で示すように軸部の径より大径の頭部を持った茸形状の突起9を前記カウルルーバ8への取り付け面5bに対し直角な軸線方向に設け、図6で示すようにカウルルーバ8には前記突起9の位置と対応する位置に前記突起9を係止する長孔8aを車幅方向Wに開設し、整流ゴム5の一部をフード側面に位置する前記カウルルーバ8に前記突起9を長孔8aに係止して取り付けた構造である。
【0012】
尚、整流ゴム5の表面側は屈曲した整流面を形成している。
【0013】
本発明は上記の通りの構造であるから、整流ゴム5の一端は整流ゴム5に設けた凹溝6によりフロントフェンダ2のフランジ2aに直接引っかけるように係止したものであるから、剛性確保、ころび防止が確保され、図7で示す従来の整流ゴム5のようにに剛性確保、ころび防止のため樹脂インサート10を設定する必要がない。また、図8で示す従来の整流ゴム5の固定に両面接着テープ11を用いることがない。従って、コストの低減が図れる。
【0014】
また、図3で示すように、整流ゴム5はフロントフェンダ2のフランジ2bによって車両前後方向Lが位置決めされる。さらに、図4で示すように、整流ゴム5の一端イ部及び他端のロ部にて車両上下方向Hのバラツキがあっても縦壁のため目立つことがなく、b部の車幅方向Wは凹溝6の斜面にて吸収し、c部を干渉設計することにより見栄えを向上する。
【0015】
さらに、カウルルーバ8に対接している整流ゴム5の一部は、前記整流ゴム5のカウルルーバ8に対接する面5bに軸部の径より大径の頭部を持った茸形状の突起9を前記カウルルーバへの取り付け面に対し直角な軸線方向に設け、突起9をカウルルーバ8の長孔8aに係止して取り付けた構造であるから、前記長孔8aの長手方向の融通性により車幅方向Wのバラツキを吸収する。
【0016】
このように本発明は、簡単な構造により、バラツキを吸収し、フロントピラー根元部の見栄え良くし、かつ低コストで整流ゴム5を固定することができる利点を有しているものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明における整流ゴム固定部の斜視図
【図2】本発明における整流ゴム固定構造を示す断面図
【図3】図1のB−B断面図
【図4】図1のC−C断面図
【図5】本発明の整流ゴムの裏面側を示す斜視図
【図6】カウルルーバの斜視図
【図7】従来の整流ゴム固定構造を示す図1C−C断面図相当図(面一タイプ)
【図8】従来の整流ゴム固定構造を示す図1C−C断面図相当図(被せタイプ)
【図9】サイドメンバのシワとフロントフェンダとサイドメンバとの部材合わせのスキマを示す斜視図
【符号の説明】
【0018】
1 ウィンドシールドガラス
2 フロントフェンダ
2a フランジ
3 サイドメンバ
3a フランジ
3b フランジ
4 シールドゴム
5 整流ゴム
5a フロントフエンダ及びサイドメンバへの対接面側
5b カウルルーバに対接する面
6 凹溝
7 整流ゴムの他端
8 カウルルーバ
8a 長孔
9 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前面のウィンドシールドガラス側部のフロントピラー根元部におけるフロントフエンダ、サイドメンバ、カウルルーバに渡って取り付けられる風向の整流ゴム固定構造であって、前記整流ゴムは、その一端には車両前後方向に凹溝を設け、他端は角形の切欠を形成してなり、前記凹溝をフロントフェンダの端縁に形成されているフランジに係止し、前記切欠を前記サイドメンバの端縁に形成されている段部に掛け止めしたことを特徴とする整流ゴム固定構造。
【請求項2】
整流ゴムのカウルルーバに対接する面に軸部の径より大径の頭部を持った茸形状の突起を前記カウルルーバへの取り付け面に対し直角な軸線方向に設け、カウルルーバには前記突起の位置と対応する位置に前記突起を係止する長孔を車幅方向に開設し、整流ゴムの一部をフード側面に位置する前記カウルルーバに開設した長孔に前記突起を係止して取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の整流ゴム固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−210479(P2007−210479A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33136(P2006−33136)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】