説明

断熱二重管

【課題】ダクトの屈曲時や伸張時においても均一な結露防止性およびダクト送風温度維持性が得られ、さらに可撓性を有することにより自在な施工配管が容易であり、かつ収縮固定性を有することができる空調用ダクトを提供する。
【解決手段】金属箔または樹脂シートから構成される内管の外側に中間層として空気層を有し、さらにその外側に金属箔または樹脂シートから構成される外管が存在している断熱二重管であって、該中間層には、リング状の中間層間隔保持材が管の長さ方向にほぼ一定の間隔をおいて配置されており、そして該内管及び該外管が、金属箔または樹脂シートからなる帯状体を螺旋巻回させ、相隣接する該帯状体の側縁部を重ね合わされて融着または接着させ、補強用線材を帯状体の長さ方向に沿って帯状体に一体化させたことを特徴とする断熱二重管。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結露防止性および送風送液温度維持性が得られ、さらに可撓性を有することにより自在な施工配管が容易であり、かつ収縮固定性を有することにより、管の輸送および保管時の体積を減らしてコストを削減することができる二重管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、管を用いて送風あるいは送液する際に、気体あるいは液体の熱が管壁から移動することにより管を移動中の気体や液体の温度が変化することを防止するために、種々の提案がなされている。
例えば、特開2000−297960号公報には、内部に空気を有する断熱材と補強用線材とを螺旋巻回して管状体を構成し、その表面に断熱材の帯状体を螺旋状に巻き付けて断熱二重管を作製し、さらにその両面をシール材で覆ったものが記載されている(特許文献1)。また特開平8−14490号公報(特許文献2)には、樹脂フィルムまたは金属箔の片面または両面に不織布を重ね合わせ、この積層物を帯状にして螺旋巻回して管状にし、さらにその内部あるいは外部に管材を挿入または被覆した断熱二重管が記載されている。さらに、実開昭54−79053公報(特許文献3)には、口径が大きい管状体の内側に口径が小さい管状体を挿入し、両管の端末部を密閉し空気層を設けた二重管構造のものが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−297960号公報
【特許文献2】特開平8−14490号公報
【特許文献3】実開昭54−79053公報
【0004】
しかしながら、前述した管については、いずれも次のような問題点を有している。すなわち特許文献1の技術については、内層部および外層部がともに発泡体で構成されているため長さ方向に収縮固定出来ないため、輸送時の梱包において、大きな体積を要するため、持ち運びが悪く、輸送および保管時に多くのコストもかかる。また、上記特許文献2の技術については、不織布層の厚みが低い場合には、管屈曲時や製品長尺時の内管自重垂れ下がりにより内管と外管が接触し、断熱層の厚みが不均一となって部分結露の発生または管内送風温度維持性に問題があり、さらに断熱性を高めるために不織布層の厚みを増した場合には、長さ方向の収縮性が低くなり、輸送及び保管時にコストがかかることとなる。さらに、上記特許文献3の技術についても、管屈曲時や製品長尺時の内管自重垂れ下がりにより、内管と外管が接触し、断熱層の厚みが不均一となって部分結露の発生または管内送風温度維持性に問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した不都合をなくし、ダクトの屈曲時や伸張時においても優れた結露防止性およびダクト送風温度維持性が得られ、さらに可撓性を有することにより自在な施工配管が容易であり、かつ収縮固定性を有することにより輸送および保管時の体積を減らしてコストを削減することができる空調用ダクト構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、金属箔または樹脂シートから構成される内管の外側に中間層として空気層を有し、さらにその外側に金属箔または樹脂シートから構成される外管が存在している断熱二重管であって、該中間層には、リング状の中間層間隔保持材が管の長さ方向にほぼ一定の間隔をおいて配置されていることを特徴とする断熱二重管である。
【0007】
さらに本発明において、好ましくは、内管及び外管が、金属箔または樹脂シートからなる帯状体を螺旋巻回させ、相隣接する該帯状体の側縁部を重ね合わされて融着または接着させ、補強用線材を帯状体の長さ方向に沿って帯状体に一体化させたものである場合であり、また内管および外管が、補強用線材が存在する部分が山となり、その山と山の間が谷を形成しており、それにより蛇腹状の内管及び外管を構成している場合であり、また上記中間層間隔保持材が樹脂発泡材または繊維集合体の帯状物の場合であり、また中間層間隔保持材が内管の表面に融着または接着されている場合であり、さらに管端部の内管と外管との間に生ずる空壁を封止材によって密封した場合であり、内管が金属箔製で外管が樹脂シート製である場合である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、管の屈曲時や伸張時においても、均一で優れた結露防止性および送風送液温度維持性が得られ、さらに可撓性を有することにより自在な施工配管が容易である管である。また、収縮固定性を有することにより、コンパクトな梱包が可能であり、輸送および保管時の小スペース化による経費削減、さらには、施工現場での作業性を大いに改善するものである。したがって、本発明は、空調用ダクトとして極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明を図面により説明する。
図1は、本発明の一例である二重管の一部断面を含む平面図である。図1において、金属箔からなる内管1は、帯状体に裁断した金属箔2を2つ折りにし、その2つ折り部に補強用線体3を内蔵し蛇腹管の谷部〜山頂部にかけてオーバーラップさせながら順次重ねて螺旋巻回し、接着剤により重なり部を連続的に接着した。ローラーにより補強線体3の位置を山頂部とし、そのほぼ中央部が谷形状となるような蛇腹状金属箔製の内管1としたものである。この金属箔製内管1に、複数本の一定幅で裁断されたリング状の中間層間隔保持材(以下断熱材とも称す)4を、管長さ方向に一定の間隔をおいて配置させ、金属箔製の内管1の外周面に接着させており、リング状断熱材4が配置されていない部分については空気層5となる。
【0010】
リング状断熱材4上部に位置する外管6は、帯状体に裁断した樹脂シート7を重なり部を設けて螺旋巻回し、補強用線材8を重なり部内に位置させて接着し、補強用線材8の間をローラーで押さえつけて谷形状を形成させた蛇腹状樹脂外管6とする。両管端部には内管と外管との間に生ずる空壁を密閉するために封止材9によって接着し、気密をさせて二重管を形成している。
この図1の二重管のように、内管を金属箔製とすることにより高い温度の気体や液体が管を流れる場合であっても管の強度や形状を保ち、そして外管を樹脂シート製とすることにより外力により衝撃変形を防止することができるため、本発明の好ましい例である。内管が金属箔製の場合には、内管用の補強用線材も金属製とするのが好ましい。このように、本発明において、内管および外管が金属箔製の場合には、内管又は外管に内蔵させる補強用線材は、帯状体の2つ折り内部に内蔵するのが均一な曲がりによる伸縮屈曲性の点で好ましい。一方、内管および外管が樹脂製の場合には、内管又は外管に一体化させる補強用線材は、帯状体のほぼ中央部に一体化するのが外力による耐押し潰し力及び円形保持性の点で好ましい。
【0011】
図2において、樹脂シート製の内管10は、帯状体に裁断した樹脂シート11を重なり部を設けて螺旋巻回し、補強用線材を重なり部内に位置させて接着し、補強用線材12の間をローラーで押さえつけて谷形状を形成させ蛇腹状内管10とする。この内管10に、複数本の一定幅で裁断されたリング状の中間層間隔保持材(断熱材)4を管長さ方向に一定の間隔をおいて配置させ、内管10の外周面に接着されており、リング状断熱材4が配置されていない部分については空気層5となる。
リング状断熱材4上部の外管6は、帯状体に裁断した樹脂シート7を重なり部を設けて螺旋巻回し、補強用線材8を重なり部内に位置させて接着し、補強用線材8の間をローラーで押さえつけて谷形状を形成させた蛇腹状外管6とする。両管端部には内管と外管との間に生ずる空壁を密閉するために封止材9によって接着し、空気層を気密状態としてダクトを形成している。
【0012】
図1において、金属箔製の内管1は幅10〜70mmの帯状体に裁断した金属箔2を2つ折りにし補強用線体3を内蔵し蛇腹管の谷部〜山頂部にかけてオーバーラップさせながら、ピッチ10〜40mm間隔に重ねて螺旋巻回し、接着剤により重なり部を連続的に接着した。ローラーにより補強線体の位置を山頂部とし、そのほぼ中央部が谷形状となるように補強用線材間を押さえ込んで深さ1〜15mmの谷部を形成したものである。このピッチと補強用線材3および谷深さは、金属箔製の内管1の内径と希望する管強度によって変更が可能であり、特に限定されるものではない。一般的には、内管の直径として25〜500mmが好ましい。なお、本発明で云う直径とは、山部と谷部の中間高さ部分の直径を意味する。
【0013】
金属箔2は、SUS箔、軟鉄箔、銅箔、アルミニウム箔などあらゆる金属箔があげられるが、可撓性、汎用性から厚さ0.01〜0.2mmのものが好ましく、特にアルミニウム箔でかつ厚さが0.01〜0.2mmのものが最適である。
【0014】
金属箔製内管の場合の補強用線材3としては、螺旋状の線状形態形成可能なあらゆる硬質材料、例えば鉄、鋼、ステンレス、アルミニウム、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ乳酸などの金属および樹脂が使用できるが、剛性、耐久性、経済性を併せて考えると、金属製のもの、特に防錆処理した芯径0.2〜3.0mmの硬鋼線が好適なものとして挙げられる。図1において、補強用線材3は金属箔2の重なり部内に位置していることが好適であるが、管内面に位置しても良いし、また管外面に位置しても良い。管内(外)に位置する場合は、補強用線材は管内(外)面に接着によって固定することが好ましい。
【0015】
図2は、内管が樹脂シート製の場合の好適な一例である。図2において、樹脂シート製の内管10は、幅5〜70mmの帯状体に裁断した樹脂シート11を2〜20mmの重なり幅で螺旋巻回し、その重なり部の間に補強用線材12を挟み込んで熱接着し、ピッチ10〜40mm間隔の螺旋状補強用線材を有し、補強用線材間を押さえ込んで深さ1〜15mmの谷部を形成したものである。また、その他の樹脂シート製内管10として、幅5〜40mmの帯状に樹脂を溶融押し出した軟質シート11に溶融押し出しした補強用線材12を溶融状態の段階で複合一体化し、軟質シート帯状体とし、これを重なり幅0.3〜10mmで螺旋巻回しながら熱融着し、ピッチ3〜40mm間隔で螺旋状に巻回しながら、補強用線材が位置する部分を山部として、補強用線材間に谷部の形状が癖付けされて形成されたものも挙げられる。前記に述べた2種類とも、ピッチと補強用線材12および谷深さは、樹脂シート製内管10の内径と希望する管強度によって変更が必要であり、特に限定されるものではない。
【0016】
樹脂シート11としては、塩化ビニル樹脂、ポリエステル、スチレン系エラストマー、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ乳酸などの熱可塑性樹脂製のシートが挙げられるが、屈曲性、伸縮固定性、汎用性から厚さ0.5〜5mmのポリプロピレン製シートが最適である。
【0017】
樹脂シートの場合の補強用線材12としては、螺旋状の形状形成可能な線状形態のあらゆる硬質材料、例えば鉄、鋼、ステンレス、アルミニウム、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ乳酸などの金属および樹脂等が使用できるが、樹脂シート11と同時に溶融押し出しして効率よく樹脂シート帯状体を得るためには、芯径が0.5〜30mmの熱可塑性樹脂製の線材、特にポリプロピレン製の線材が好適なものとして挙げられる。
もちろん、本発明において、外管を金属箔製とすることも可能であるが、前記したように、金属箔製のものは外力により容易に変形されたり破損され易いことから、金属箔製のものより樹脂シート製のものが好ましい。
【0018】
図1および図2において、金属箔製内管1また樹脂シート製内管10と樹脂シート製外管6の間に断熱材4と空気層5を一定の間隔をおいて配置させることにより、管を曲げた時や長尺になった場合でも断熱材4が金属箔製内管1また樹脂シート製内管10と樹脂シート製外管6の接触を防ぎ、一定の断熱効果を維持することができる。また、断熱材4が一定間隔のみの配置であるため、良好な可撓性と伸縮性を発揮することができる。
【0019】
図1および図2において、断熱材4は、幅5〜300mmの帯状体に裁断した断熱材4をピッチ(隣り合う断熱材の間隔)5〜1000mmの間隔でリング状に内管1、10の外表面に接着し固定したものであり、断熱材材質としては、可塑性のあらゆる発泡体樹脂や繊維集合体が挙げられる。例えば、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、PVC発泡体、ポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体などの樹脂製の独立発泡体、連続発泡体、嵩高繊維を束ね接着剤を含浸または構成繊維の少なくとも一部を接着剤として機能させて帯状としたもの、織編物や不織布等を重ね合わせ必要に裁断して帯状にしたもの等が挙げられるが、特に軽量で柔軟性および伸縮性に富む連続気泡の発泡体で、且つ発泡倍率が20〜80倍、厚さ1〜50mmのポリウレタン発泡体が好適である。断熱材のピッチのより好ましい間隔は100〜1000mmである。また隣り合う断熱材の間隔として、補強用線材が1〜50回転する空気層を隔てて断熱材が存在する程度が好ましい。
【0020】
また、断熱層4の幅または空気層5の空隙幅(管の径方向の幅)として、1〜50mm程度が考えられるが、さらに好適には5〜30mmである。なお、断熱層と外管とは接着されていてもよいが、二重管を屈曲した場合の屈曲しやすさの点で、断熱層と外管は接着固定されていない方が好ましい。特に好ましくは、図1や図2に示すように、断熱材と外管との間にはわずかな空気層の隙間が存在している場合であり、このような場合には二重管を曲げても歪みが特定場所に集中せず、構造破壊を来たさない。
【0021】
さらに、内管表面の10〜50%が断熱材で覆われているのが好ましい。もちろん断熱材は内管外壁に固定されていても、外管内壁に固定されていてもどちらでも良いが、製造しやすさの点からは、内管外壁に固定されているのが好ましい。また断熱材の一面が全面的に内管外壁または外管内壁に固定されている必要はない。
【0022】
さらに本発明において、断熱材は内管の外周をリング状に覆っているが、断熱材は内管の長さ方向に対して直角な面に平行に存在していてもよいし、さらには螺旋状に内管外壁に沿って存在していてもよい。さらに、リング状に連続していても、あるいは断続的に存在していてもよい。作りやすさの点からは連続して存在している場合である。
本発明のおいて、好ましくは、内管の補強用線材が存在している部分に断熱材を載せ、かつ補強用線材の存在している部分の上には外管の補強用線材が存在しているように補強用線材の位置決めをするのが好ましい。
本発明において、外管の直径としては、内径の直径よりも10〜100mm太いのが好ましい。なお、本発明で云う直径とは、山部と谷部の中間高さ部分の直径を意味する。
【0023】
二重管の端部を覆う封止材9としては、空気を完全に封止できるものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、PVC発泡体、ポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体などの独立発泡体が挙げられる。好ましくは、柔軟性に富み容易に位置固定ができる、発泡倍率が20〜40倍、厚さ1〜50mmの独立気泡のポリエチレン発泡体である。また、ポリエチレン発泡体に片面粘着加工を施することにより加工性が向上され、断熱性能としての気密性も向上できる。
なお、本発明において断熱材が存在している部分を端部とし、かつこの部分の断熱材と外管との間を樹脂等により、あるいは外管を絞め付けることにより、断熱材と外管との間をなくすることにより、断熱材を封止材として使用することもできる。
【0024】
図1および図2において、樹脂シート製外管6は、幅5〜70mmの帯状体に裁断した樹脂シート7を2〜20mmの重なり幅で螺旋巻回し、その重なり部に補強用線材8を挟み込んで熱接着し、ピッチ10〜40mm間隔の螺旋状補強用線材を有し、補強用線材間を押さえ込んで深さ1〜15mmの谷部を形成したものである。また、その他の樹脂シート製外管6として、幅5〜40mmの帯状に溶融押し出した軟質シート7に補強用線材8を溶融押し出しして複合一体化し、軟質シート帯状体とし、これを重なり幅0.3〜10mmで螺旋巻回しながら熱融着し、ピッチ3〜40mm間隔で螺旋状に巻回しながら、補強用線材が位置する部分を山部として、補強用線材間に谷部の形状が癖付けされて形成されたものも挙げられる。前記に述べた2種類とも、ピッチと補強用線材8および谷深さは、樹脂シート製外管6の内径と希望する管強度によって変更が必要であり、特に限定されるものではない。
【0025】
樹脂シート7としては、塩化ビニル樹脂、スチレン系エラストマー、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ乳酸などの熱可塑性樹脂製のものが挙げられるが、屈曲性、伸縮固定性、汎用性から厚さ0.5〜5mmのポリプロピレンシートが最適である。
【0026】
補強用線材8は、螺旋状またはリング状で線状形態のあらゆる硬質材料、例えば鉄、鋼、ステンレス、アルミニウム、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミドなどの金属および樹脂が使用できるが、樹脂シート7と同時に押し出しして効率よく樹脂シート帯状体を得るためには樹脂製のものが好ましく、特に芯径が0.5〜30mmのポリプロピレン製のものが好適なものとして挙げられる。
【0027】
本発明において、内管の山と谷を外管と山と谷とを一致させる必要はないが、好ましくは、内管の山部と外管の山部を一致させ、また内管の谷部と外管の谷部を一致させることであり、これによりホースの長手方向において均一な断熱性が得られる。本発明において、内管と外管との間の空気層としては、厚さ10〜100mmが好ましい。なお、本発明で云う空気層の厚みとは、山と谷を有する内管の中間部と山と谷を有する外管の中間部の距離である。
【0028】
上記したとおり、本発明の断熱二重管は、金属箔または樹脂シートから構成される内管の外側に中間層として空気層を有し、さらにその外側に金属箔または樹脂シートから構成される外管からなり、かつ該中間層には、リング状の中間層間隔保持材(断熱材)が管の長さ方向にほぼ一定の間隔をおいて配置されていることを特徴とするものであり、図3のように二重管を屈曲した場合、二重管の中間層として存在する断熱層5の厚みを維持でき、また図4のように製品長尺時の内管自重垂れ下がり防止効果により、均一な断熱効果が得られる。上述したような均一な結露防止性および送風温度維持性が得られることと、さらに可撓性を有することにより自在な施工配管が容易であり、かつ収縮固定性を有することにより輸送および保管時の体積を減らしてコストを削減することができる。
本発明の二重管は、気体の移送管として、また液体の移送管として使用でき、特に冷却風あるいは温風を送るダクトして優れている。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
実施例1
図1に示す伸縮性断熱フレキシブルダクトを次の方法により得た。金属箔製の内管1は厚さ0.025mm、幅50mmのアルミニウム箔帯状体に芯径2.0mmの防錆処理をした硬鋼線を2つ折り内部に内蔵し、製管機によって幅15mmの重なり部を設け螺旋巻回し、重なり部においてはホットメルト接着剤によって接着し製管した。この製管されたものをローラーにより補強線体の位置を山頂部とし、そのほぼ中央部が谷形状となるように補強用線材間を押さえ込んで深さ6mmの谷部を形成し、内径250mm、外径262mmの蛇腹状アルミ内管を作成した。
このアルミ内管の外周部に、20mm幅に裁断された、厚み20mmの発泡倍率50倍の片面粘着加工ポリウレタン発泡体(連続気泡)を500mmピッチにリング状に巻き付けた。
【0030】
その外層部には、樹脂製の外管として、2台の押し出し機を用いて、それぞれ肉厚1.1mm、幅25mmのポリプロピレンシートと芯径3mmのポリプロピレンを押し出し、ポリプロピレンシートの幅中央部に芯材を位置させたテープを製管機によって、重なり幅2.5mmで螺旋巻回しながら重なり部を熱融着して製管した。この製管されたものを重なり部と重なり部の間を螺旋形状に沿って深さ5mmで押さえつけ内径325mm、外径335mmの蛇腹状樹脂製外管を得た。両管端部には内管と外管との間に生ずる空壁を片面粘着加工を施した、発泡倍率30倍、厚さ30mmのポリエチレン発泡体によって密封し、伸縮性断熱フレキシブル二重管を得た。
【0031】
実施例2
図2に示す伸縮性断熱フレキシブルダクトを次の方法により得た。樹脂シート製の内管10は、2台の押し出し機を用いて、それぞれ肉厚0.9mm、幅20mmのポリプロピレンシートと芯径2.5mmのポリプロピレンを押し出し、ポリプロピレンシートの幅中央部に芯材を位置させたテープを製管機によって、重なり幅2.0mmで螺旋巻回しながら重なり部を熱融着して製管した。この製管されたものを重なり部と重なり部の間を螺旋形状にそって深さ6mmで押さえつけ内径250mm、外径262mmの蛇腹状樹脂内管を得た。
この樹脂シート製の内管の外周部に、20mm幅に裁断された、厚み20mmの発泡倍率50倍の片面粘着加工ポリウレタン発泡体(連続気泡)を500mmピッチにリング状に巻き付けた。
【0032】
その外層部には、樹脂シート製外管として、2台の押し出し機を用いて、それぞれ肉厚1.1mm、幅25mmのポリプロピレンシートと芯径3mmのポリプロピレンを押し出し、ポリプロピレンシートの幅中央部に芯材を位置させたテープを製管機によって、重なり幅2.5mmで螺旋巻回しながら重なり部を熱融着して製管した。この製管されたものを重なり部と重なり部の間を螺旋形状に沿って深さ5mmで押さえつけ内径325mm、外径335mmの蛇腹状樹脂シート外管を得た。両管端部には内管と外管との間に生ずる空壁を片面粘着加工を施した、発泡倍率30倍、厚さ30mmのポリエチレン発泡体によって密封し、伸縮性断熱フレキシブルダクトを得た。
【0033】
比較例1
厚さ0.025mm、幅50mmのアルミニウム箔帯状体に芯径2.0mmの防錆処理をした硬鋼線を2つ折り内部に内蔵し、製管機によって幅15mmの重なり部を設け螺旋巻回し、重なり部においてはホットメルト接着剤によって接着し製管した。この製管されたものをローラーにより補強線体の位置を山頂部とし、そのほぼ中央部が谷形状となるように補強用線材間を押さえ込んで深さ6mmの谷部を形成し、内径250mm、外径262mmの蛇腹状アルミ管を得た。
【0034】
比較例2
金属箔製内管1は厚さ0.025mm、幅50mmのアルミニウム箔帯状体に芯径2.0mmの防錆処理をした硬鋼線を2つ折り内部に内蔵し、製管機によって幅15mmの重なり部を設け螺旋巻回し、重なり部においてはホットメルト接着剤によって接着し製管した。この製管されたものをローラーにより補強線体の位置を山頂部とし、そのほぼ中央部が谷形状となるように補強用線材間を押さえ込んで深さ6mmの谷部を形成し、内径250mm、外径262mmの蛇腹状アルミ内管を作成した。このアルミ内管上部に、樹脂シート製外管として、2台の押し出し機を用いて、それぞれ肉厚1.1mm、幅25mmのポリプロピレンシートと芯径3mmのポリプロピレンを押し出し、ポリプロピレンシートの幅中央部に芯材を位置させたテープを製管機によって、重なり幅2.5mmで螺旋巻回しながら重なり部を熱融着して製管した。この製管されたものを重なり部と重なり部の間を螺旋形状に沿って深さ5mmで押さえつけ、内径325mm、外径335mmの蛇腹状樹脂製外管を得た。両管端部には内管と外管との間に生ずる空壁を片面粘着加工を施した、発泡倍率30倍、厚さ30mmのポリエチレン発泡体によって密封し、断熱ダクトを得た。
【0035】
比較例3
金属箔製の内管1は、厚さ0.025mm、幅50mmのアルミニウム箔帯状体に芯径2.0mmの防錆処理をした硬鋼線を2つ折り内部に内蔵し、製管機によって幅15mmの重なり部を設け螺旋巻回し、重なり部においてはホットメルト接着剤によって接着し製管した。この製管されたものをローラーにより補強線体の位置を山頂部とし、そのほぼ中央部が谷形状となるように補強用線材間を押さえ込んで深さ6mmの谷部を形成し、内径250mm、外径262mmの蛇腹状アルミ内管を作成した。
【0036】
この内管に幅1080mmの帯状体に裁断した厚さ20mm、発泡倍率50倍のポリウレタン発泡体(連続気泡)の長辺二辺を突き合わせ筒状被覆し、発泡体付け合わせを粘着テープにて固定した。この断熱材上部に樹脂シート製外管として、2台の押し出し機を用いて、それぞれ肉厚1.1mm、幅25mmのポリプロピレンシートと芯径3mmのポリプロピレンを押し出し、ポリプロピレンシートの幅中央部に芯材を位置させたテープを製管機によって、重なり幅2.5mmで螺旋巻回しながら重なり部を熱融着して製管した。この製管されたものを重なり部と重なり部の間を螺旋形状に沿って深さ5mmで押さえつけ内径325mm、外径335mmの蛇腹状樹脂シート製外管を得た。両管端部には内管と外管との間に生ずる空壁を片面粘着加工を施した、発泡倍率30倍、厚さ30mmのポリエチレン発泡体によって密封し、断熱ダクトを得た。
【0037】
上記実施例および比較例で得られた断熱ダクトを結露防止性能テストおよび圧縮性能テストに供した。
結露防止性能は、それぞれが独立した温湿度調整ができる2室の恒温恒湿室に試験を実施した。試験条件として、ダクト長2mを管外雰囲気温度20℃、60%の環境下に放置し、ダクト管内に温度−10℃の空気を送風機にて風量15m/minを送風し6時間放置する。ダクト外表面の結露発生の判定を確実に行えるように、ダクト表面温度を熱電対で測定し、露点温度との温度比較により、ダクト表面温度が露点温度を下回った時点で結露発生と判断した。尚、均一な断熱効果が得られているかを調査するため、ダクト外周の上部、横部、下部の外表面温度を測定し、最も低い温度を採用した。
【0038】
実施例1〜2と比較例1〜3の結露防止性能は表1の通りである。
【0039】
【表1】

【0040】
ダクト送風温度維持性は上述した同じ試験装置を用い実施した。試験条件として、ダクト長2mを管外雰囲気温度26℃の環境下に放置し、ダクト管内に温度24℃の空気を送風機にて風量15m/minを送風する。6時間放置した後、送風機送風温度とダクト吹出温度測定し、その温度差により送風温度の維持性の評価結果とした。
【0041】
実施例1〜2と比較例1〜3のダクト送風温度維持性は表2の通りである。
【0042】
【表2】

【0043】
伸縮性能は、ダクト長2mを直管状態に設置し長さ方向に圧縮させて、圧力を解放した時の圧縮長さと収縮率にて伸縮性を判定した。
【0044】
実施例1〜2と比較例1〜3の伸縮性は表3の通りである。
【0045】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一例を示す二重管の一部断面を含む側面図である。
【図2】本発明の他の例を示す二重管の一部断面を含む側面図である。
【図3】本発明の一例を示す二重管を屈曲した場合の屈曲部の一部断面を含む側面図である。
【図4】本発明の一例を示す二重管の断面を含む側面図である。
【符号の説明】
【0047】
1:金属箔製内管
2:金属箔
3:補強用線材
4:リング状断熱材
5:空気層
6:樹脂シート製外管
7:樹脂シート
8:補強用線材
9:封止材
10:樹脂シート製内管
11:樹脂シート
12:補強用線材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔または樹脂シートから構成される内管の外側に中間層として空気層を有し、さらにその外側に金属箔または樹脂シートから構成される外管が存在している断熱二重管であって、該中間層には、リング状の中間層間隔保持材が管の長さ方向にほぼ一定の間隔をおいて配置されていることを特徴とする断熱二重管。
【請求項2】
内管及び外管が、金属箔または樹脂シートからなる帯状体を螺旋巻回させ、相隣接する該帯状体の側縁部を重ね合わせて融着または接着させ、補強用線材を帯状体の長さ方向に沿って帯状体に一体化させたものである請求項1記載の断熱二重管。
【請求項3】
内管および外管が、補強用線材が存在する部分が山となり、その山と山の間が谷を形成しており、それにより蛇腹状の内管及び外管を構成している請求項2に記載の断熱二重管。
【請求項4】
中間層間隔保持材が、樹脂発泡材または繊維集合体の帯状物である請求項1〜3のいずれかに記載の断熱二重管。
【請求項5】
中間層間隔保持材が、内管の外壁表面に融着または接着されている請求項1〜4のいずれかに記載の断熱二重管。
【請求項6】
二重管端部の内管と外管との間に生ずる空隙を封止材によって密封した請求項1〜5のいずれかに記載の断熱二重管。
【請求項7】
内管が金属箔製で外管が樹脂シート製である請求項1〜6のいずれかに記載の断熱二重管。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−205503(P2007−205503A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26617(P2006−26617)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000104906)クラレプラスチックス株式会社 (52)
【Fターム(参考)】