説明

新規なキノリン系ヘプシジン拮抗薬

本発明は、式(I)の新規なヘプシジン拮抗薬、それを含む医薬組成物、ならびに特には、鉄代謝障害、例えば鉄欠乏性疾患および貧血、特には慢性炎症性疾患に伴う貧血(ACD;慢性疾患の貧血およびAI:炎症の貧血)を治療するための医薬としてのそれらの使用に関するものである。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な一般式(I)のヘプシジン拮抗薬、それを含む医薬組成物および鉄代謝障害、特には慢性炎症性疾患関連の貧血(慢性疾患の貧血(ACD)および炎症の貧血(AI))または鉄欠乏症状および鉄欠乏性貧血の治療におけるそれらの使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄はほとんど全ての生命体にとって必須微量元素であり、特に成長および血液形成に関連している。鉄代謝のバランスは主として、老齢の赤血球からのヘモグロビンからの鉄回収レベルおよび食品に結合した鉄の十二指腸吸収で調節されている。放出された鉄は、腸を介して、特には固有の輸送系(DMT−1、フェロポーチン、トランスフェリン、トランスフェリン受容体)によって吸収され、血流に輸送され、それによって相当する組織および臓器に送られる。
【0003】
元素の鉄は、ヒト身体にとって非常に重要であり、特に酸素輸送、酸素取り込み、ミトコンドリア電子輸送などの細胞機能において、最終的にエネルギー代謝全体において非常に重要である。
【0004】
ヒト身体は、平均で4から5gの鉄を含み、それは酵素、ヘモグロビンおよびミオグロビンに存在し、フェリチンおよびヘモジデリンの形態での蓄積鉄または保存鉄として存在している。
【0005】
この鉄の約半量の約2gは、赤血球のヘモグロビンに結合したヘム鉄として存在する。これら赤血球は限られた寿命しか持たないことから(75から150日)、新たな赤血球を絶えず形成し、古いものは排除しなければならない(1秒あたり、200万個を超える新たな赤血球が形成される)。この高い再生能力は、マクロファージによって達成され、これらが食作用によって老齢赤血球を吸収し、それを溶解させ、そのようにして、それに含まれる鉄を鉄代謝用に再利用することができる。約25mgという1日に赤血球生成に必要な鉄の量が、このようにしてほぼ提供される。
【0006】
成人の1日鉄必要量は0.5から1.5mg/日であり、小児および妊婦の場合、鉄必要量は2から5mg/日である。例えば皮膚および上皮細胞の脱落による1日鉄損失は比較的低値であるが、例えば月経出血時の女性では鉄損失増加が起こる。血液2mL当たり約1mgの鉄が失われることから、概して血液喪失によって鉄代謝はかなり低下し得るものである。通常の1日鉄損失約1mgは通常、1日食物摂取を介して健常成人によって再度置き換えられる。鉄代謝は吸収によって調節され、食物中に存在する鉄の吸収速度は6から12%であり、鉄欠乏症の場合には吸収速度は25%までになる。その吸収速度は、鉄必要量および鉄保存の規模の関数として生命体によって調節される。これに関連して、ヒト生命体は、2価および3価の両方の鉄イオンを用いる。鉄(III)化合物は従来は、十分に酸性のpHで胃において溶解することから、吸収に利用可能となる。鉄の吸収は、上部小腸において粘膜細胞によって起こる。これに関連して、吸収においては、3価の非ヘム鉄が最初に、例えば3価鉄還元酵素(膜での十二指腸シトクロムb)により、腸細胞膜で還元されてFe2+となることから、それを輸送タンパク質DMT1(2価金属輸送体1)によって腸細胞中に輸送することができる。他方、ヘム鉄は、細胞膜を介して、変化を受けずに腸細胞中に進入する。腸細胞において鉄は、沈着鉄としてフェリチンで蓄えられるか、トランスフェリンに結合した輸送タンパク質フェロポーチンによって血液中に放出される。ヘプシジンは、鉄取り込みの必須の調節因子であることから、この作用において中心的な役割を演じる。フェロポーチンによって血液中に輸送された2価鉄は、オキシダーゼ(セルロプラスミン、ヘファエスチン)によって3価鉄に変換され、それは次にトランスフェリンによって生命体における関連する場所に輸送される(例えば″Balancing acts:molecular control of mammalian iron metabolism″ M. W. Hentze, Cell 117, 2004, 285−297参照)。
【0007】
鉄レベルの調節は、ヘプシジンによって制御または調節される。
【0008】
ヘプシジンは、肝臓で産生されるペプチドホルモンである。主要な活性形態は、25個のアミノ酸を有する(例えば″Hepcidin, a key regulator of iron metabolism and mediator of anaemia of inflammation″, T. Ganz Blood 102, 2003, 783−8を参照)が、アミノ末端で短くなった二つの形態ヘプシジン−22およびヘプシジン−20が認められている。ヘプシジンは、腸、胎盤を介した鉄取り込みならびに細網内皮系からの鉄の放出に対して作用する。身体において、ヘプシジンは、肝臓においていわゆるプロ−ヘプシジンから合成され、プロ−ヘプシジンはいわゆるHAMP遺伝子によってコードされている。生命体に十分鉄および酸素が供給されれば、形成されるヘプシジンが増える。小腸の粘膜細胞およびマクロファージにおいて、ヘプシジンは、フェロポーチンに結合することで、鉄は通常、細胞内部から血液中に輸送される。
【0009】
輸送タンパク質であるフェロポーチンは、571個のアミノ酸を含む膜輸送タンパク質であり、それは肝臓、脾臓、腎臓、心臓、腸および胎盤で形成され、局在する。特に、これに関連して、フェロポーチンは、腸上皮細胞の側底膜に局在している。この場合、このように結合しているフェロポーチンは、鉄の血液中への送出をもたらす。これに関連して、フェロポーチンは鉄をFe2+として輸送すること可能性が非常に高い。ヘプシジンがフェロポーチンに結合しているとすれば、フェロポーチンは細胞内部に輸送され、分解し、その結果として、細胞からの鉄放出はほぼ完全に遮断される。フェロポーチンがヘプシジンによって失活する場合、そのために粘膜細胞に蓄えられている鉄を運び出すことができず、その鉄は便を介した細胞の自然の脱落に伴って失われる。その結果、腸での鉄の吸収は、ヘプシジンによって減る。他方、血清中の鉄含有量が低下すると、肝臓の肝細胞でのヘプシジン産生が低下することから、ヘプシジンの放出が少なくなり、従って失活するフェロポーチンが減ることで、結果的に、より多量の鉄を血清に輸送することができる。
【0010】
さらに、フェロポーチンは細網内皮系(RES)に高度に局在しており、マクロファージもその系に属する。
【0011】
慢性炎症に関しての鉄代謝障害の場合には、ヘプシジンが重要な役割を果たすが、それは、特にそのような炎症があるとインターロイキン−6が増加して、ヘプシジンレベルが上昇するためである。これにより、マクロファージのフェロポーチンにより多くのヘプシジンが結合し、結果的にこの場合に鉄の放出が遮断され、それが最終的に炎症関連の貧血に至る(ACDまたはAI)。
【0012】
哺乳生物は鉄を能動的に排泄できないことから、鉄代謝は基本的に、ヘプシジンによるマクロファージ、肝細胞および腸細胞からの鉄の細胞放出を介して制御される。
【0013】
従って、ヘプシジンは機能性貧血において重要な役割を有する。この場合、鉄蓄積が十分であったとしても、赤血球生成のための骨髄の鉄必要量は十分に満足されない。この理由は、特にフェロポーチンを遮断することによってマクロファージからの鉄輸送を制限し、従って食作用によって再利用された鉄の放出を大きく低下させるヘプシジン濃度上昇であると仮定される。
【0014】
従って、ヘプシジン調節機序の障害がある場合、生命における鉄代謝に直接影響が生じる。例えば、例えば遺伝的欠陥のためにヘプシジン発現が防止される場合、それによって直接、鉄蓄積症である血色素症と称される鉄過剰に至る。
【0015】
他方、例えば慢性炎症での炎症プロセスのためのヘプシジンの過剰発現によって、直接、血清鉄レベル低下に至る。病的な場合、これによってヘモグロビン含有量の低下、赤血球産生の低下が生じ得ることから、貧血に至り得る。
【0016】
使用される化学療法薬によって生じる赤血球形成低下状態が、貧血が存在することでさらに増悪することから、癌治療における化学療法薬の処方期間は、貧血が存在することで大きく短縮され得る。
【0017】
貧血のさらなる症状には、疲労、蒼白および集中力低下などがある。貧血の臨床症状には、低血清鉄含有量(鉄欠乏性貧血)、低ヘモグロビン含有量、低ヘマトクリットレベルならびに低赤血球数、網赤血球減少、可溶性トランスフェリン受容体値上昇などがある。
【0018】
鉄欠乏性症状または鉄貧血は通常、鉄供給によって治療される。これに関連して、鉄を経口経路または静脈投与することで鉄置換が行われる。エリスロポエチンおよび他の赤血球生成刺激物質を貧血治に用いることで、赤血球形成を促進することもできる。
【0019】
慢性疾患、例えば慢性炎症性疾患によって引き起こされる貧血は、そのような従来の治療法によっては不十分にしか治療できない。特にサイトカイン類、例えば特に炎症性サイトカイン類は、慢性炎症プロセスに基づく貧血において特定の役割を果たす。ヘプシジン過剰発現は、特にそのような慢性炎症性疾患において起こり、赤血球形成のための鉄の利用性を低下させることが知られている。
【0020】
このために、ヘプシジン介在もしくはヘプシジン付与貧血、特には慢性炎症性疾患(ACDおよびAI)によって生じる貧血などの従来の鉄置換によって治療できない貧血の有効な治療方法が必要になっている。
【0021】
貧血はとりわけ、上記の慢性炎症性疾患および栄養不良または低鉄食もしくは不均衡な低鉄摂食習慣によるものである。貧血は、例えば胃切除術またはクローン病などの疾患による鉄吸収低下もしくは鉄吸収不良の結果としても起こる。鉄欠乏は、例えば怪我、多量月経出血または輸血による大幅な血液損失の結果としても起こり得る。青年および小児の成長期および妊婦で鉄必要量の増加が起こることも知られている。鉄欠乏は赤血球形成低下だけでなくそれによって生命体への酸素供給不足も生じ、それらは疲労、蒼白および集中力低下などの上記の症状、そして詳細には青年の間では認知発達に対して長期的な悪影響も起こし得ることから、従来の公知の置換療法に加えて特に有効な治療法も、この分野において特に興味深いものである。
【0022】
ヘプシジンまたはフェロポーチンに結合することから、ヘプシジンのフェロポーチンへの結合を阻害し、従って次にヘプシジンによるフェロポーチンの失活を妨げる化合物、またはヘプシジンがフェロポーチンに結合していなくともヘプシジン−フェロポーチン複合体の内部移行を妨げることから、ヘプシジンによるフェロポーチンの失活を妨げる化合物は、概括的な言葉でヘプシジン拮抗薬と称され得る。
【0023】
そのようなヘプシジン拮抗薬を用いることで、例えばヘプシジン発現を阻害するか、ヘプシジン−フェロポーチン相互作用を遮断することでヘプシジン調節機序に直接働きかけ、従ってこの経路を介して、輸送タンパク質フェロポーチンを介した組織マクロファージ、肝細胞および粘膜細胞から血清への鉄輸送経路の遮断を妨げることも可能となる。従って、そのようなヘプシジン拮抗薬またはヘプシジン発現阻害薬とともに、貧血、特には慢性炎症性疾患での貧血の治療での医薬組成物または医薬品の製造に好適な物質を利用することができる。これらの物質はマクロファージによる再利用ヘム鉄の放出増加に直接影響し、食物から腸管に放出される鉄の吸収を増加させることから、それらをそのような障害および結果的に生じる疾患の治療に用いることができる。従って、そのような物質、ヘプシジン発現阻害薬およびヘプシジン拮抗薬を、鉄欠乏性疾患、貧血および貧血関連疾患などの鉄代謝障害の治療に用いることができる。特に、これには例えばリウマチ様多発性関節炎などの骨関節疾患のような急性または慢性炎症性疾患または炎症性症候群関連の疾患によって引き起こされる貧血などもある。従って、そのような物質は、特に癌、特に結腸直腸癌、多発性骨髄腫、卵巣癌および子宮体癌および前立腺癌、CKD3−5(慢性腎疾患3から5期)、CHF(慢性心不全)、RA(関節リウマチ)、SLE(全身性紅斑性狼瘡)およびIBD(炎症性腸疾患)の適応症において特別に有用なものとなり得る。
【0024】
先行技術
ヘプシジン拮抗薬または鉄代謝における生化学的調節経路に対して阻害もしくは支援効果を有する化合物は基本的に先行技術から知られている。
【0025】
そこで例えば、WO2008/036933には、細胞でのヒトHAMP遺伝子の発現に対して阻害効果を有することから、鉄代謝シグナル経路における非常に初期でのHAMP遺伝子によってコードされたヘプシジンの形成をすでに抑制する二本鎖dsRNAが記載されている。結果的に、ヘプシジン形成が少なくなることから、ヘプシジンはフェロポーチンを阻害するのに使用することができず、そのために鉄をフェロポーチンによる細胞から血液中にスムーズに輸送することができる。
【0026】
ヘプシジン発現を低下させることを直接意図した別の化合物が、HIF−α安定化作用を有することから、ヘプシジン発現低下をもたらす化合物を記載するUS2005/020487から知られている。
【0027】
US2007/004618の主題は、ヘプシジンmRNA発現に対して直接の阻害作用を有するsiRNAである。
【0028】
従って、これらの化合物および方法はいずれも、ヘプシジンが形成される前の鉄代謝経路で始まるものであり、すでにそれの形成を低下させるものである。しかしながらさらに、身体ですでに形成されているヘプシジンに結合することから、それの膜輸送タンパク質フェロポーチンに対する結合作用を阻害することで、ヘプシジンによるフェロポーチンの失活がそれ以上できないようにする物質および化合物も知られており、先行技術に記載されている。従ってそのような化合物はいわゆるヘプシジン拮抗薬であり、特にこの群からはヘプシジン抗体に基づくものが知られている。例えばアンチセンスRNAまたはDNA分子、リボザイムおよび抗ヘプシジン抗体によってヘプシジン発現に作用する各種機序を記載した文書が、先行技術でさらに知られている。そのような機序は、例えばEP1392345に記載されている。
【0029】
WO09/058797にはさらに、抗ヘプシジン抗体ならびにヒトヘプシジン−25への特異的結合へのそれの使用、従って低鉄含有量、特には貧血の治療的処置のためのそれの使用が開示されている。
【0030】
ヘプシジン拮抗薬として作用し、ヘプシジン抗体の群から形成されるさらに別の化合物が、EP1578254、WO08/097461、US2006/019339、WO09/044284またはWO09/027752から知られている。
【0031】
さらに、フェロポーチン−1に結合することから、フェロポーチンを活性化して、それによって細胞から血清中への鉄の輸送を支援する抗体も知られている。そのようなフェロポーチン−1抗体は、例えばUS2007/218055から知られている。
【0032】
ヘプシジン拮抗薬として作用するか、ヘプシジン発現での阻害作用を示す前述の化合物はいずれも、比較的高分子量化合物であり、特には主として遺伝子工学プロセスによって取得可能なものである。
【0033】
さらに、鉄代謝において何らかの役割を果たし、阻害効果もしくは支援効果を有することができる低分子量化合物も知られている。
【0034】
そこで、WO08/109840には、特に、例えばフェロポーチン障害などの鉄代謝障害の治療に用いることができるある種の三環系化合物が開示されており、それらの化合物は阻害または活性化の形態でDMT−1を調節することができる。これに関連して、WO08/109840の化合物は特に、DMT−1阻害薬と記載されており、それによってそれら化合物は好ましくは鉄蓄積増加を伴う疾患または血色素症などの鉄蓄積症で用いることができる。
【0035】
WO08/121861には、DMT−1機序に対する調節作用を有する低分子量化合物も開示されている。この文書では、ある種のピラゾール系化合物およびピロール系化合物が扱われており、特には、例えばフェロポーチン障害に基づく鉄過剰障害の治療もこの文書に記載されている。
【0036】
さらに、US2008/234384の主題は、同様にDMT−1阻害薬として作用することで、特に鉄蓄積増加に基づく障害の治療に使用可能な、例えばフェロポーチン障害などの鉄代謝障害の治療用のある種のジアリール化合物およびジヘテロアリール化合物である。しかしながら、この文書では、鉄欠乏症状での使用に供することができる可能なDMT−1調節機序も、非常に一般的な形で言及されている。
【0037】
DMT−1調節に作用することから、鉄代謝障害の治療用であるある種の芳香族およびヘテロ芳香族化合物を記載したWO08/151288にも、同じことが当てはまる。
【0038】
従って、鉄代謝に対する作用を有する、先行技術に記載の低分子量化合物は、DMT−1調節機序に基づくものであり、特には血色素症などの鉄蓄積障害または鉄過剰症候群の治療用の薬剤としての使用に関して開示されている。
【0039】
″Hepcidin−Central−regulator of iron−metabolism″(Atanasiu Valeriu et al., European Journal of Haematology, 78(1), 2007)には、ヘプシジンおよびそれらの機能についての概論がある。しかしながら、低分子量拮抗薬、特にキノリン構造を有するものは、その文献では全く示されていない。
【0040】
従って、構造的にキノリンに基づく化合物については、鉄代謝における障害の治療に関連して記載されたことはこれまでにない。さらに、ヘプシジン拮抗薬としての作用を示し、その結果として鉄代謝における障害の治療に好適な低分子量化学構造は、これまでのところ記載されたことはない。
【0041】
本発明は、本発明による一般構造式(I)の新規なキノリン化合物も提供する。
【0042】
US2009/0053192A1には、組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNAP)活性化剤および骨石灰化における、特には低ホスファターゼ血症および骨粗鬆症の治療でのそれの使用が開示されている。そこに開示されているTNAP活性化剤の群には、特には、本発明の実施例化合物1に相当するキノリン化合物の7−(モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル−メチル)−キノリン−8−オールも含まれる。しかしながら、その文献には、鉄代謝障害の治療における作用については記載がない。
【0043】
"Identification and Biochemical Characterization of Small−Molecule Inhibitors ofClostridium botulinum Neurotoxin Serotype A"(Roxas−Duncan et al., Antimicrobial Agents and Chemotherapy;08/2009)にはさらに、特定の低分子量化合物が開示されており、それにはボツリヌス中毒症の治療用のいくつかの特定のキノリン化合物も含まれる。その文献からも、鉄代謝障害の治療におけるそのようなキノリン化合物の作用については全く示されていない。
【0044】
"The reaction of aldehydes and aromatic amines with 8−quinolinol″(Phillips et al.; Journal of the American Chemical Society, 75, 1953)では、8−キノリノールをアルデヒドおよび芳香族アミンと反応させて、特定のアリールアミン置換された8−キノリノールを形成することが記載されている。しかしながら、特に鉄代謝障害の治療での医学的用途についてのこの文献に開示の具体的なキノリン化合物の作用については、この文献では言及されていない。
【0045】
″Antiamebic Agents. III. Basic derivatives of Chloro−8−quinolinols (Burckhalter et al.;Journal of the American Chemical Society, 76, 1954)では、本発明の実施例化合物31も含まれる特定の具体的なキノリン化合物の抗アメーバ作用、ならびに駆虫剤としてのそれらの使用が記載されている。鉄代謝障害の治療におけるそのような特定のキノリン化合物の作用については、その文献からは全く示されていない。
【0046】
"Synthesis of some 7−substituted 8−hydroquinoline derivatives of thiazoles & oxazoles as potential pesticides″(Nath et al., Indian Journal of Chemistry, vol.20B, no.7, 1981)では、8−キノリノールをベンズアルデヒドおよび芳香族アミンと反応させて、具体的なチアゾール−およびオキサゾールアミン置換された8−キノリノール類を形成すること、および殺菌作用および殺細菌作用を有する農薬としてのそれらの作用が記載されている。その文献に開示されている具体的なキノリン化合物の医学的用途または鉄代謝障害の治療における作用については、その文献には記載がない。
【0047】
"High−throughput screen for novel antimicrobials using a whole animal infection model″(Moy et al., ACS Chemical Biology, 4(7), 06/2009)では、抗微菌作用を有する新規な化合物およびそれの医薬的使用について記載されており、活性物質の一つが5−クロロ−7−[3−フルオロフェニル−(ピリジン−2−イルアミノ)−メチル]−キノリン−8−オールである。鉄代謝障害の治療での作用は、その文献には示されていない。
【0048】
"Synthesis and cytotoxicity evaluation of some 8−hydroxyquinoline derivatives" (Shen AI−Yu et al., Journal of Pharmacy and Pharmacology, 51(5), 1999)では、8−ヒドロキシキノリンの2級アミン類およびホルムアルデヒドとの反応による7−ピロリジンメチル−8−ヒドロキシキノリン、7−モルホリンメチル−8−ヒドロキシキノリン(本発明の実施例化合物22に相当)、7−ピペリジンメチル−8−ヒドロキシキノリンおよび7−ジエチルアミノメチル−8−ヒドロキシキノリンの合成ならびにこれら化合物の抗癌剤としての作用について記載されている。鉄代謝障害の治療での作用については、この文献でも示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】
【特許文献1】WO2008/036933
【特許文献2】US2005/020487
【特許文献3】US2007/004618
【特許文献4】EP1392345
【特許文献5】WO09/058797
【特許文献6】EP1578254
【特許文献7】WO08/097461
【特許文献8】US2006/019339
【特許文献9】WO09/044284
【特許文献10】WO09/027752
【特許文献11】US2007/218055
【特許文献12】WO08/109840
【特許文献13】WO08/121861
【特許文献14】US2008/234384
【特許文献15】WO08/151288
【特許文献16】US2009/0053192A1
【非特許文献】
【0050】
【非特許文献1】″Balancing acts:molecular control of mammalianiron metabolism″ M. W. Hentze, Cell 117, 2004, 285−297.
【非特許文献2】″Hepcidin, a key regulator of iron metabolism and mediator of anaemia of inflammation″, T. Ganz Blood 102, 2003, 783−8.
【非特許文献3】″Hepcidin−Central−regulator of iron−metabolism″ (Atanasiu Valeriu et al., European Journal of Haematology, 78(1), 2007).
【非特許文献4】"Identification and Biochemical Characterization of Small−Molecule Inhibitors of Clostridium botulinum Neurotoxin Serotype A" (Roxas−Duncan et al.,Antimicrobial Agents and Chemotherapy; 08/2009).
【非特許文献5】"The reaction of aldehydes and aromatic amines with 8−quinolinol″(Phillips et al.;Journal of the American Chemical Society, 75, 1953).
【非特許文献6】″Antiamebic Agents. III. Basic derivatives of Chloro−8−quinolinols(Burckhalter et al.; Journal of the American Chemical Society, 76, 1954).
【非特許文献7】"Synthesis of some 7−substituted 8−hydroquinoline derivatives of thiazoles & oxazoles as potential pesticides″ (Nath et al., Indian Journal of Chemistry, vol. 20B, no.7, 1981.
【非特許文献8】"High−throughput screen for novel antimicrobials using a whole animal infection model″ (Moy et al., ACS Chemical Biology, 4(7), 06/2009).
【非特許文献9】"Synthesis and cytotoxicity evaluation of some 8−hydroxyquinoline derivatives" (Shen AI−Yu et al., Journal of Pharmacy and Pharmacology, 51(5), 1999).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0051】
本発明の目的は、具体的には、鉄欠乏性障害または貧血、特にはACDおよびAIの治療に使用可能であり、特にヘプシジン拮抗薬として鉄代謝で作用することから、鉄代謝におけるヘプシジン−フェロポーチン相互作用に拮抗性を示し、それによってそれを調節する作用を示す化合物を提供することにあった。本発明の別の目的は、具体的には、これに関連して、低分子量化合物の群から選択され、遺伝子工学的プロセスによって得ることができるRNA、DNAまたは抗体などの拮抗的またはヘプシジン阻害性化合物より簡単な合成によって製造することができるそのような化合物を提供することにあった。
【課題を解決するための手段】
【0052】
本発明者らは、キノリン類の群からのある種の化合物がヘプシジン拮抗薬としての作用を有することを見出した。
【0053】
本発明は、下記一般構造式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩を提供する。
【0054】
【化1】

式中、
、RおよびRは、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−ヒドロキシル、
−ハロゲン、
−シアノ、
−ニトロ、
−カルボキシル、
−スルホン酸基(−SOH)、
−置換されていても良いアミノカルボニル、
−置換されていても良いアミノスルホニル、
−置換されていても良いアミノ、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアシル、
−置換されていても良いアルコキシカルボニル、
−置換されていても良いアシルオキシ、
−置換されていても良いアルコキシ、
−置換されていても良いアルケニル、
−置換されていても良いアルキニル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
は、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルケニル、
−置換されていても良いアルキニル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
は、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルケニル、
−置換されていても良いアルキニル、
−置換されていても良いアシル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
およびRは、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルケニル、
−置換されていても良いアルキニル、
−置換されていても良いアシル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択されるか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い5から8員環を形成しており、その環はさらなるヘテロ原子を含んでいても良い。
【0055】
本発明全体に関して、上記の置換基は下記のように定義される。
好ましくは、 置換されていても良いアルキルには1から8個、好ましくは1から6個、特に好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル、3から8個、好ましくは5もしくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル(それは各場合で、好ましくは1から3個の同一もしくは異なる置換基を有していても良く、その置換基は、例えばヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、下記で定義のアルコキシ、カルボキシル、下記で定義のアシル、下記で定義のシクロアルキル、下記で定義のアリール、下記で定義のヘテロアリール、アミノ、およびメルカプトからなる群から選択される)などがある。これに関連して、この記載でおよび本発明との関連でのハロゲンには、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などがあり、好ましくはフッ素または塩素である。さらに、1以上の、より好ましくは1から3個の炭素原子が、窒素、酸素または硫黄を含むヘテロ同族性(hetero−analogous)基によって置き換わっていることができる。これは特には、例えばアルキル基における1以上のメチレン基がNH、OまたはSによって置き換わっていることができることを意味する。さらに、メチル基の1以上のH原子、好ましくは1から3個のH原子がフッ素によって置き換わっていることができる。
【0056】
1から8個の炭素原子を有するアルキル基の例には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−プロピルブチル基、n−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基などがある。1から6個の炭素原子を有するもの、特にメチル、エチル、n−プロピルおよびi−プロピルが好ましい。メチルが最も好ましい。
【0057】
−O−、−S−または−NH−などの1以上のヘテロ同族性基による置き換えによって生じるアルキル基の例は好ましくは、1以上のメチレン基が−O−によって置き換わっていることでメトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチレンなどのエーテル基を形成しているものである。本発明によれば、ポリエーテル基もアルキルの定義に含まれる。
【0058】
3から8個の炭素原子を有するシクロアルキル基には好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびシクロオクチル基などがある。シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基が好ましい。ヘテロ同族性基によるメチレンの置き換えによってシクロアルキルから形成される複素環アルキル基は、例えば5員もしくは6員の複素環基であり、例えばテトラヒドロフリル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニルまたはテトラヒドロピラニルであり、それらは芳香族環などと縮合していても良い。
【0059】
特に、1から8個の炭素原子を有し、ハロゲンによって置換された直鎖もしくは分岐のアルキルの例には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、1−フルオロエチル基、1−クロロエチル基、1−ブロモエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジブロモエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロエチル基、1−フルオロプロピル基、1−クロロプロピル基、1−ブロモプロピル基、2−フルオロプロピル基、2−クロロプロピル基、2−ブロモプロピル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3−ブロモプロピル基、1,2−ジフルオロプロピル基、1,2−ジクロロプロピル基、1,2−ジブロモプロピル基、2,3−ジフルオロプロピル基、2,3−ジクロロプロピル基、2,3−ジブロモプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2−フルオロブチル基、2−クロロブチル基、2−ブロモブチル基、4−フルオロブチル基、4−クロロブチル基、4−ブロモブチル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、パーフルオロブチル基、2−フルオロペンチル基、2−クロロペンチル基、2−ブロモペンチル基、5−フルオロペンチル基、5−クロロペンチル基、5−ブロモペンチル基、パーフルオロペンチル基、2−フルオロヘキシル基、2−クロロヘキシル基、2−ブロモヘキシル基、6−フルオロヘキシル基、6−クロロヘキシル基、6−ブロモヘキシル基、パーフルオロヘキシル基、2−フルオロヘプチル基、2−クロロヘプチル基、2−ブロモヘプチル基、7−フルオロヘプチル基、7−クロロヘプチル基、7−ブロモヘプチル基、パーフルオロヘプチル基などがある。フルオロアルキル、ジフルオロアルキルおよびトリフルオロアルキルが特に挙げられるものである。
【0060】
ヒドロキシルによって置換されたアルキル基の例には、1から3個のヒドロキシル基を含む上記のアルキル基などがあり、例えばヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピルなどである。
【0061】
シクロアルキルによって置換されたアルキル基の例には、1から3個、好ましくは1個の(置換されていても良い)シクロアルキルまたは複素環基を含む上記のアルキル基などがあり、例えばシクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、2−または3−シクロヘキシルプロピルなどであり、あるいは例えば2−モルホリニルエチル、モルホリニルメチルなどのモルホリニルアルキルなどである。モルホリニルメチルが好ましい。
【0062】
アリールまたはヘテロアリールによって置換されたアルキル基の例には好ましくは、下記に記載のように置換されていても良いアリールおよび/またはヘテロアリールによって置換された上記の1から8個、好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキルなどがある。好ましいアリールアルキルおよび/またはヘテロアリールアルキルはベンジル、アルコキシベンジルであり、特にはトリメトキシベンジル、ピリジルメチル、フリルメチル、ピリミジルメチルおよびピロリルメチルなどである。
【0063】
置換されていても良いアルコキシには、置換されていても良いアルキル−O基などがあり、置換されていても良いアルキル基に関しては上記の定義を参照することができる。好ましいアルコキシ基は、6個以下の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルコキシ基であり、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、i−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、i−ヘキシルオキシ基、t−ヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、1−エチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、1,1−ジメチルブチルオキシ基、2,2−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、1−エチル−1−メチルプロピルオキシ基などがある。メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、i−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基が好ましい。メトキシ基が特に好ましい。
【0064】
本発明全体に関連して、置換されていても良いアルケニルには好ましくは、2から8個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルケニルおよび3から8個の炭素原子を有するシクロアルケニルなどがあり、それらは好ましくは1から3個のヒドロキシル、ハロゲンまたはアルコキシなどの同一もしくは異なる置換基によって置換されていることができる。例としては、ビニル、1−メチルビニル、アリル、1−ブテニル、イソプロペニル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどがある。ビニルまたはアリルが好ましい。
【0065】
置換されていても良いアルキニルの定義に関しては、置換されていても良いアルキルについての上記定義を参照し、置換されていても良いアルキンは少なくとも1個のC≡C三重結合を含む。例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよび上記で定義のように置換されていても良いそれらの変形形態などがある。エチニルおよび置換されていても良いエチニルが好ましい。
【0066】
本発明全体に関連して置換されていても良いアリールには好ましくは、6から14個の炭素原子(可能な置換基の炭素原子は含まれない)を有する芳香族炭化水素などがあり、それは単環式または二環式であることができ、好ましくは1から3個のヒドロキシル、上記で定義のハロゲン、シアノ、アミノ、下記で定義のアミノカルボニル、メルカプト、上記で定義のアルキル、下記で定義のアシルおよび上記で定義のアルコキシから選択される同一もしくは異なる置換基によって置換されていることができる。6から14個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基には、例えばフェニル、ナフチル、フェナントレニルおよびアントラセニルなどがあり、それらは同一もしくは異なる基によって1箇所もしくは数箇所で置換されていることができる。フェニルが好ましい。
【0067】
本発明全体に関連して、置換されていても良いヘテロアリールには好ましくは、4から9個の炭素原子(可能な置換基の炭素原子は含まれない)を有するヘテロ芳香族炭化水素基などがあり、それは1から3個のS、O、Nのシリーズからの同一もしくは異なるヘテロ原子を含み、従って5から12員のヘテロ芳香族基を形成しており、それは単環式または二環式であることができ、好ましくは例えばヒドロキシル、上記で定義のハロゲン、シアノ、アミノ、メルカプト、上記で定義のアルキル、下記で定義のアシルおよび上記で定義のアルコキシから選択される1から3個の同一もしくは異なる置換基によって置換されていることができる。
【0068】
ヘテロアリールには、例えばピリジル、ピリジルN−オキサイド、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリルまたはイソオキサゾリル、インドリジニル、インドリル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾ[b]フリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、ナフチリジニル、キナゾリニルなどがある。例えばピリジル、ピリジルN−オキサイド、ピリミジル、ピリダジニル、フラニルおよびチエニルなどの5員もしくは6員の芳香族複素環が好ましい。ピリジル、ピリミジルおよびフラニルが好ましい。特に好ましいヘテロアリールには、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イルなどのピリジル、ピリミジン−2−イルおよびピリミジン−5−イルなどのピリミジニル、ピラジン−2−イル、およびイミダゾール−2−イルおよびイミダゾール−3−イルなどのイミダゾリル、フラン−2−イルおよびフラン−3−イルなどのフラニル、およびチエン−2−イルおよびチエン−3−イルなどのチエニルなどがある。
【0069】
ハロゲンによって置換されたアリール基の例には好ましくは、1から3個のハロゲン原子によって置換された上記のアリールなどがあり、例えば2−クロロ−またはフルオロフェニル、3−クロロ−またはフルオロフェニル、4−クロロ−またはフルオロフェニル、2,4−ジ−(クロロ−および/またはフルオロ)フェニル、2,5−ジ−(クロロ−および/またはフルオロ)フェニル、2,6−ジ−(クロロ−および/またはフルオロ)フェニル、3,5−ジ−(クロロ−および/またはフルオロ)フェニル、3,6−ジ−(クロロ−および/またはフルオロ)フェニル、2,4,6−トリ−(クロロ−および/またはフルオロ)フェニルなどである。2−クロロフェニル、4−クロロフェニルおよび4−フルオロフェニルが好ましい。
【0070】
アルキルによって置換されたアリールまたはヘテロアリール基の例には好ましくは、直鎖もしくは分岐の置換されていても良い上記の1から8個、好ましくは1から4個の炭素原子を有するアルキルによって置換された上記のアリールおよび/またはヘテロアリールなどがある。好ましいアルキルアリールおよび/またはアルキルヘテロアリールは、トルイル、メチルピリジル、メチルフリル、メチルピリミジルおよびメチルピロリルである。
【0071】
置換されたアルキルによって置換されたアリールまたはヘテロアリール基の例には好ましくは、上記の1から8個、好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐の置換されたアルキルによって置換された上記のアリールおよび/またはヘテロアリールなどがある。アルキル置換基の置換に関しては、上記の定義を参照する。好ましい置換されたアルキル置換基には、特にはアリールアルキルおよび/または特にはベンジルなどのヘテロアリールアルキル、特にはトリメトキシベンジルなどのアルコキシベンジル、ピリジルメチル、フリルメチル、ピリミジルメチルおよびピロリルメチルなどがある。好ましいアリールアルキル置換されたヘテロアリールには、ベンジルイミダゾリル、ベンジルピリジル、ベンジルフリル、ベンジルピリミジルおよびメチルピロリルなどがあり、ベンジルイミダゾリルが特に好ましい。
【0072】
アルコキシによって置換されたアリールおよび/またはヘテロアリール基の例には好ましくは、1から3個の上記のアルコキシ基によって置換された上記のアリールまたはヘテロアリールなどがあり、好ましくは、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−エトキシフェニル、2,4−ジ−メトキシフェニルなど、そして2−アルコキシピリジル、3−アルコキシピリジル、4−アルコキシピリジル、2−アルコキシフリル、3−アルコキシフリル、2−アルコキシピリミジル、4−アルコキシピリミジル、5−アルコキシピリミジル、2−アルコキシピロリル、3−アルコキシピロリル、3,5−ジ−アルコキシピリジン−2−イル、2,5−ジ−アルコキシピリミジルがあり、これらの中ではメトキシ基が特に好ましく、例えば2−メトキシピリジル、3−メトキシピリジル、4−メトキシピリジル、2−メトキシフリル、3−メトキシフリル、2−メトキシピリミジル、5−メトキシピリミジル、3−メトキシピロリル、3,5−ジ−メトキシピリジン−2−イル、2,5−ジ−メトキシピリミジルなどである。2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニルおよび2−メトキシピリジル、3−メトキシピリジルおよび4−メトキシピリジルが特に好ましい。
【0073】
アミノカルボニルによって置換されたアリールおよび/またはヘテロアリール基の例には好ましくは、下記に記載のように1から3個のアミノカルボニル基によって置換された上記のアリールまたはヘテロアリールなどがあり、好ましくはベンジルアミドなどである。
【0074】
シアノ置換されたアリールおよび/またはヘテロアリール基の例には好ましくは、1から3個のシアノ基によって置換された上記のアリールまたはヘテロアリールなどがあり、好ましくはベンゾニトリルなどである。
【0075】
本記載および下記において、置換されていても良いアシルには、置換されていても良い脂肪族アシル(アルカノイル=アルキル−CO−、アルキル基に関しては、置換されていても良いアルキルの上記の定義を参照することができる)、置換されていても良い芳香族またはヘテロ芳香族アシル(アロイルまたはヘタロイル=アリール−CO−またはヘテロアリール−CO−、アリールおよびヘテロアリールに関しては、置換されていても良いアリールおよび置換されていても良いヘテロアリールの上記定義を参照することができる)などがあり、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル等のCからCアルカノイル、、およびトリメトキシ置換されたベンゾイル等のベンゾイル、トルオイル、キシロイルなどのCからC10アロイル、フラノイル、ピリジノイルなどのCからC10ヘテロアロイルである。
【0076】
本発明全体に関連して置換されていても良いアミノには好ましくは、アミノ、モノもしくはジアルキルアミノ、モノもしくはジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、モノもしくはジアシルアミノなどがあり、アルキル、アリールおよびアシルに関して、置換されていても良いアルキル、置換されていても良いアリールおよび置換されていても良いアシルについての相当する上記定義を参照することができる。これに関連して、モノもしくはジアルキルアミノには、特には各アルキル基において上記のように置換されていても良い1から8個、好ましくは1から4個の飽和もしくは不飽和の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のモノもしくはジアルキルアミノなどがあり、特にはメチルアミン、ジメチルアミノである。
【0077】
本発明全体に関連して、置換されていても良いアミノカルボニルは好ましくは、カルバモイル(HNCO−)またはモノもしくはジアルキルアミノカルボニル(H(アルキル)N−CO−または(アルキル)N−CO−)を表し、アルキルの定義に関しては置換されていても良いアルキルについての上記説明を参照することができる。
【0078】
さらに、本発明全体に関連して、置換されていても良いアミノスルホニルは、特にスルファモイル(HN−SO−)またはモノもしくはジアルキルアミノスルホニル(アルキル)N−SOを表し、アルキルの定義に関しては置換されていても良いアルキルについての上記の説明を参照することができる。
【0079】
置換されていても良いアルコキシカルボニル(RO(O=)C−)には、アルコキシの定義に関して上記の置換されていても良いアルコキシのものなどがあり、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが好ましい。
【0080】
一般式(I)において、置換基Rについての記述形式:
【0081】
【化2】

は、Rが矢印によって識別されるキノリン骨格の3つの置換基位置(2、3および4)を指すことを意味している。これに関連して、Rは水素であることができ、それは言及された位置でキノリンが置換されていないことを意味し、あるいは請求項1で示した定義に関連してRは言及された位置で1個、2個もしくは3個の同一もしくは異なる置換を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施例化合物1のHPLC−MSである。
【図2】実施例化合物2のHPLC−MSである。
【図3】実施例化合物3のHPLC−MSである。
【図4a】実施例化合物4のHPLC−MSである。
【図4b】実施例化合物4のHPLC−MSである。
【図5】実施例化合物5のHPLC−MSである。
【図6a】実施例化合物6のHPLC−MSである。
【図6b】実施例化合物6のHPLC−MSである。
【図7】実施例化合物7のHPLC−MSである。
【図8】実施例化合物8のHPLC−MSである。
【図9】実施例化合物9のHPLC−MSである。
【図10】実施例化合物10のHPLC−MSである。
【図11】実施例化合物11のHPLC−MSである。
【図12】実施例化合物12のHPLC−MSである。
【図13】実施例化合物13のHPLC−MSである。
【図14】実施例化合物14のHPLC−MSである。
【図15】実施例化合物15のHPLC−MSである。
【図16】実施例化合物16のHPLC−MSである。
【図17】実施例化合物17のHPLC−MSである。
【図18】実施例化合物18のHPLC−MSである。
【図19】実施例化合物19のHPLC−MSである。
【図20】実施例化合物20のHPLC−MSである。
【図21】実施例化合物21のHPLC−MSである。
【図22】実施例化合物22のHPLC−MSである。
【図23】実施例化合物23のHPLC−MSである。
【図24】実施例化合物24のHPLC−MSである。
【図25】実施例化合物25のHPLC−MSである。
【図26】実施例化合物26のHPLC−MSである。
【図27】実施例化合物27のHPLC−MSである。
【図28】実施例化合物28のHPLC−MSである。
【図29】実施例化合物29のHPLC−MSである。
【図30】実施例化合物30のHPLC−MSである。
【図31】実施例化合物31のHPLC−MSである。
【図32】実施例化合物32のHPLC−MSである。
【図33】実施例化合物33のHPLC−MSである。
【図34】実施例化合物34のHPLC−MSである。
【図35】実施例化合物35のHPLC−MSである。
【図36】実施例化合物36のHPLC−MSである。
【図37】実施例化合物37のHPLC−MSである。
【図38】実施例化合物38のHPLC−MSである。
【図39】実施例化合物39のHPLC−MSである。
【図40】実施例化合物40のHPLC−MSである。
【図41】実施例化合物41のHPLC−MSである。
【発明を実施するための形態】
【0083】
好ましい実施形態
好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、下記の置換基定義を有する。
【0084】
、RおよびRは、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−ヒドロキシル、
−ハロゲン、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルコキシ、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
は、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
は、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール、
−置換されていても良いアシル
からなる群から選択され;
およびRは、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択されるか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い5から8員環を形成しており、その環はさらなるヘテロ原子を含んでいても良い。
【0085】
別のより好ましい実施形態において、式(I)の化合物は下記の定義を有する。
【0086】
、RおよびRは、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−ヒドロキシル、
−ハロゲン、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルコキシ
からなる群から選択され;
は、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
は、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアシルからなる群から選択され;
およびRは、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択されるか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い5から6員環を形成しており、その環はさらなるヘテロ原子を含んでいても良い。
【0087】
別のより好ましい実施形態において、式(I)の化合物は下記の置換基定義を有する。
【0088】

−水素;

−水素または
−ハロゲン;

水素、置換されていても良いアシル、特に置換されていても良いアロイルまたは置換されていても良いヘテロアロイル;

およびRは同一であるか異なっており、
−水素、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
を示すか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い6員環を形成しており、その環はさらなるヘテロ原子を含むことができる。。
【0089】

−水素、
−置換されていても良いアリール、または
−置換されていても良いヘテロアリール;および

−水素。
【0090】
別のより好ましい実施形態において、式(I)の化合物は下記の置換基定義を有する。
【0091】
は水素であり、

−水素または
−塩素
から選択され、

−水素、置換されていても良いフロイルまたは置換されていても良いベンゾイルから選択され;
およびRは同一であるか異なっており、
−水素、
−置換されていても良いヘテロアリール
を示すか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、別のヘテロ原子を含む飽和の置換されていても良い6員環を形成しており;

−水素、
−ハロゲン置換されていても良いフェニルまたは
−ピリジニル
を示し;
は水素である。
【0092】
別の好ましい実施形態において、式(I)の化合物の置換基R、R、R、R、R、RおよびRのうちの少なくとも一つが、上記で最後に言及した二つの別のより好ましい実施形態でのものと同じ定義を有する。
【0093】
別のより好ましい実施形態は、下記の置換基定義を有する式(I)の化合物に関するものである。
【0094】
、RおよびRは、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−ヒドロキシル、
−ハロゲン、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルコキシ
からなる群から選択され;
は、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
は、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアシル
からなる群から選択され;
およびRは、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
またはRおよびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い5から6員環を形成しており、その環はさらなるヘテロ原子を含んでいても良い。
【0095】
別のより好ましい実施形態において、式(I)の化合物は下記の置換基定義を有する。
【0096】

−水素;

−水素、
−ハロゲンまたは
−置換されていても良いアルキル、特にシクロアルキル置換されたアルキル;

−水素、
−置換されていても良いアルキル、特に置換されていても良いアリールアルキルまたは置換されていても良いヘテロアリールアルキル、または
−置換されていても良いアシル、特に置換されていても良いアロイルまたは置換されていても良いヘテロアロイル;
およびRは同一であるか異なっており、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いヘテロアリール
を示すか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い別のヘテロ原子を含んでいることができる6員環を形成している。
【0097】

−水素、
−置換されていても良いアリール、または
−置換されていても良いヘテロアリール;

−水素である。
【0098】
別のより好ましい実施形態において、式(I)の化合物は下記の置換基定義を有する。
【0099】
は水素であり、
は、
−水素、
−塩素または
−モルホリニルメチルなどのモルホリニルアルキル
から選択され;
は、
−水素、
−置換されていても良いベンジルまたは
−置換されていても良いフロイルまたは置換されていても良いベンゾイル
から選択され;
およびRは同一であるか異なっており、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いヘテロアリール
を示すか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、1個もしくは0個の別のヘテロ原子を含む飽和の置換されていても良い6員環を形成しており;
は、
−水素、
−ハロゲン−、アルキル−、アルコキシ−、アミノカルボニル−またはシアノで置換されていても良いフェニルまたは
−置換されていても良いピリジニル、ピラジニル、イミダゾリルまたはチエニル
を示し;
は水素である。
【0100】
一般式(I)の好ましい実施形態において、個々の置換基はそれぞれ下記の定義を有する。
【0101】
は好ましくは水素である(上記で説明の通り、3つの位置全てで)。
【0102】
は、水素またはハロゲン、好ましくは塩素である。
【0103】
は、水素または置換されていても良いアシル、特に置換されていても良いアロイルまたは置換されていても良いヘテロアロイルであり;好ましくは(置換されていても良い)フロイルまたは置換されていても良いベンゾイルであり;好ましくはアルコキシ置換されたベンゾイル、より好ましくはメトキシ置換されたベンゾイル、例えばトリメトキシベンゾイルである。
【0104】
およびRは同一であるか異なっており、
−水素、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール、好ましくはピリジニル、例えばピリジン−2−イルまたはピリジン−3−イル
を示すか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良いO、N、S、好ましくはOから選択される別のヘテロ原子を含むことができる6員環を形成しており、好ましくはモルホリノを形成している。
【0105】
は、水素、置換されていても良いアリール、例えばハロゲン置換されたフェニル、例えばクロロフェニル、例えば4−クロロフェニル、または置換されていても良いヘテロアリール、例えばピリジン−2−イルまたはピリジン−3−イルである。
【0106】
は水素である。
【0107】
一般式(I)のより好ましい実施形態において、個々の置換基はそれぞれ下記の定義を有する。
【0108】
は好ましくは水素である(上記で説明の通り、3つの位置全てで)。
【0109】
は、水素またはハロゲン、例えば好ましくは塩素、またはモルホリニルアルキル、例えば好ましくはモルホリニルメチルである。
【0110】
は、水素または置換されていても良いアルキル、特には置換されていても良いアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり;好ましくは(置換されていても良い)ベンジル、好ましくはアルコキシ置換されたベンジル、より好ましくはメトキシ置換されたベンジル、例えばトリメトキシベンジルであり、またはRは置換されていても良いアシル、特には置換されていても良いアロイルまたは置換されていても良いヘテロアロイルであり;好ましくは(置換されていても良い)フロイルまたは置換されていても良いベンゾイルであり;好ましくはアルコキシ置換されたベンゾイル、より好ましくはメトキシ置換されたベンゾイル、例えばトリメトキシベンゾイルである。
【0111】
およびRは同一であるか異なっており、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール、好ましくはピリジニル、例えばピリジン−2−イルまたはピリジン−3−イル
を示すか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良いO、N、S、好ましくはOから選択される別のヘテロ原子を含むことができる6員環、好ましくは同一もしくは異なる置換基によって1回もしくは数回置換されていても良いモルホリノ、ピペリジンまたはピペラジンを形成しており、RおよびRによって形成される複素環の可能な置換基に関して、上記の置換基定義を参照することができ、(置換されていても良い)アルキル、アルコキシカルボニル、アリールおよび/またはヘテロアリール置換基が特に好ましい。好ましいアルキル置換基は、特には1以上のメチルまたはエチル基、ヒドロキシアルキル、例えば特にはヒドロキシエチル、アリールアルキル、例えば特にはベンジルであり;好ましいアルコキシカルボニル置換基はメトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルであり;好ましいアリール置換基はハロゲン置換されていても良いフェニル、好ましくはクロロ−またはフルオロフェニルであり;好ましいヘテロアリール置換基はピリジルまたはピリジニルである。
【0112】
特に好ましい実施形態において、RおよびRが、それらが結合している窒素原子とともに、モルホリノ、2,4−ジメチルモルホリノ、ピペリジン、ベンジルピペリジン、フルオロフェニルピペリジン、N−メチルピペラジン、N−ヒドロキシエチルピペラジン、N−ベンジルピペラジン、N−エトキシカルボニルピペラジンまたはN−ピリジニルピペラジンを形成している。
【0113】
は、水素、置換されていても良いアリール、例えばハロゲン置換されたフェニル、例えばフルオロフェニル、例えば4−フルオロフェニル、またはクロロフェニル、例えば2−クロロフェニルまたは4−クロロフェニル、アルキル置換されたフェニル、例えばトルイル、例えば2−トルイルまたは4−トルイル、アルコキシ置換されたフェニル、例えばメトキシフェニル、例えば2−メトキシフェニルまたは4−メトキシフェニル、アミノカルボニル置換されたフェニル、例えば4−ベンズアミド、またはシアノ置換されたフェニル、例えば4−ベンゾニトリル、または置換されていても良いヘテロアリール、例えば(置換されていても良い)ピリジン−2−イルまたはピリジン−3−イルまたはピリジン−4−イル、例えばアルコキシ置換されたピリジニル、例えばメトキシピリジニル、例えば6−メトキシピリジン−3−イル、または(置換されていても良い)ピラジニルまたは置換されていても良いイミダゾリル、例えばイミダゾール−2−イルまたはイミダゾール−3−イル、例えばアルキル置換されたイミダゾリル、例えばアリールアルキル置換されたイミダゾリル、例えば1−ベンジル−イミダゾール−2−イル、または(置換されていても良い)チエニル、例えばチエン−2−イルである。
【0114】
は水素である。
【0115】
一般式(I)の特に好ましい化合物を下記の表に示してある。
【0116】
【表1】


















これらの製薬上許容される塩も含まれる。
【0117】
特に、本発明は、上記のような置換基の意味を有する一般式(I)の新規な化合物に関するものでもあるが、下記の化合物は除外される。
【0118】
【化3】






基本的に、本発明に関連して、置換基RからRについての個々の好ましい、より好ましい、または特に好ましい意味を互いに組み合わせることが可能である。すなわち、本発明は、例えば置換基Rおよび/または置換基RおよびRが好ましいかより好ましい意味を有し、置換基R、Rおよび/またはRが一般的意味を有するか、置換基Rおよび/または置換基RおよびRが一般的意味を有し、置換基R、Rおよび/またはRが好ましいかより好ましい意味を有する等の一般式(I)の化合物を含む。
【0119】
構造に応じて、不斉炭素原子が存在する場合、本発明による化合物は、立体異性体型(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って本発明には、そのエナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの特定の混合物の使用が含まれる。エナンチオマー的に純粋な形は、光学活性化合物との反応によるそれからのジアステレオマーの分別結晶などの従来の光学分割法によって得ても良い。本発明による化合物が互変異型で生じ得る場合、本発明は全ての互変異型の使用を含むものである。
【0120】
例えば、下記の印を付けた位置に、不斉炭素原子が存在し得る。
【0121】
【化4】

本発明に従って提供される化合物は、各種可能な異性体型、特には例えばEおよびZ、シンおよびアンチなどの立体異性体ならびに光学異性体の混合物として存在し得る。E異性体とZ異性体および光学異性体の両方、そしてこれら異性体のあらゆる所望の混合物が特許請求される。
【0122】
一般構造式(I)の本発明による化合物は、基本的に、下記で説明する方法によって得ることができる。
【0123】
が水素である一般式(I)の化合物の合成のための出発物質は、市販の8−ヒドロキシキノリン(II)である。その合成では、例えばアミノアルキル化の意味において、当業者であれば熟知している反応条件下にマンニッヒ反応で、(II)を一般式(III)の好適なアルデヒドおよび一般式(IV)のアミンと反応させて[Phillips, JACS, 75, 1953, 3768;Tripathy, JICSAH, 35, 1958, 407−409;Banerjee, JICSAH, 66, 1989, 319−321]、一般式(I′)の生成物を得る。次に、生成物(I′)を当業者であれば熟知している方法によって誘導体化して、Rが水素である一般式(I)の化合物を得ても良い。この場合、R−Xとの反応は、例えば水素化ナトリウム(NaH)の存在下に行うことができる。
【0124】
合成経路(マンニッヒ反応)
【0125】
【化5】

式中、R、RおよびR=H。
【0126】
ここで例によって示した合成経路では、一般式(I)の置換基RおよびRは同様に水素である。RおよびRが水素とは異なる置換基である式(I)の相当する化合物の製造の場合、Rおよび/またはR上ですでに同様に置換された8−ヒドロキシキノリン(II)を出発化合物として用いるか、記載の合成経路によって得ることができる化合物を、当業者に公知の好適な方法によってさらに反応させて、同様にR置換および/またはR置換された化合物(I)を得る。
【0127】
が水素とは異なる置換基である本発明による式(I)の化合物を得るには、R置換基の所望の位置に応じて、各種製造方法が利用可能である。
【0128】
そこで、Rがキノリン基本骨格の窒素原子に対してオルト位置での置換基である一般構造式(I)の化合物は、下記式(Ia)によって表される。
【0129】
【化6】

(R≠H)によってこのように置換された化合物(Ia)は、例えばドーブナー・フォン・ミラーのキナルジン合成および上記で示した合成経路1からのマンニッヒの組み合わせによって得ることができ、その場合にドーブナー・フォン・ミラーのキナルジン合成の方をマンニッヒ反応より先に行って、マンニッヒ反応のための出発物質を提供する。
【0130】
ドーブナー・フォン・ミラーのキナルジン合成では、当業者であれば熟知している反応条件下に、市販の2−ヒドロキシアニリン(VI)を出発物質として、一般式(VII)のα,β−不飽和アルデヒドと反応させて、一般式(VIIIa)の相当するヒドロキシキノリンを得る。
【0131】
合成経路経路2(ドーブナー・フォン・ミラーのキナルジン合成)
【0132】
【化7】

式中、RおよびR=H。
【0133】
次に、式(III)および(IV)の生成物との反応によるマンニッヒ反応によって、合成経路I下に記載の方法と同様にして、一般式(VIIIa)の物質を一般式(Ia)の生成物に変換して、同様に置換された化合物(Va)を得ることができ、次にR置換基によって誘導体化しても良い。
【0134】
【化8】

式中、RおよびR=HおよびR≠H。
【0135】
がキノリン窒素に対してオルト位の置換ではなくメタ位もしくはパラ位での置換基である一般構造式(I)の化合物は、下記式(Ib)および(Ic)によって表される。
【0136】
【化9】

これらは、ドーブナー・フォン・ミラーのキナルジン合成とそれに続くマンニッヒ反応を介して好適な一般式(VII)の置換されたアルデヒドによって同様にして、あるいは好適な場合には、上記で示した合成経路1からのマンニッヒ反応とフリードランダー合成の組み合わせによっても製造することができ、その場合にフリードランダー合成をマンニッヒ反応より先に行って、マンニッヒ反応のための出発物質を提供する[M. Phillips, JACS, 70, 1947, 410]。
【0137】
フリードランダー合成は、下記の反応式で示したように、一般構造式(X)を有するo−アミノベンズアルデヒドとケト基に対して隣接する位置に活性なCH基を有するアルデヒド類またはケトン類(XI)とのアルカリ性縮合に基づくものである[C. C. Cheng, Org Rxs, 28, 1982, 37]。フリードランダー合成は、酸触媒作用下で実施することもできる。これは多くの場合、詳細には立体障害の大きい系において所望の生成物を得る上で、より良好な経路である。
【0138】
合成経路3(フリードランダー合成)
【0139】
【化10】

または
【0140】
【化11】

次に、これによって得ることができる置換されたキノリン基本骨格を、当業者に公知の好適な置換反応によって一般構造式(I)または(Ia)、(Ib)および(Ic)の化合物に変換することができる。
【0141】
本発明に関連して、化合物R−X、例えば特にはR−X、しかし適宜にR−X、R−XまたはR−Xおよび下記で定義のR−C(=O)−Xも、R、R、RおよびRが上記で定義の意味を有し、Xが例えばハロゲンなどの通常の脱離基であるものである。
【0142】
がアシル基を表す一般式(I)の化合物を得るには、上記の方法によって得ることができる式(I)の化合物を、下記の反応式に従って、一般式(I″)の化合物に変換することができる。
【0143】
【化12】

特に、置換基RからRの意味が上記の定義に相当するものであり、使用される略称が特に下記の製造例で定義の意味を有する下記で詳細に説明する合成経路による方法が好ましい。
【0144】
【化13】

本発明に関連して、これら化合物において、Rは、本発明に関連して定義されている本発明に従って好適であって好ましい本発明による置換されていても良いアシル基Rの置換基である。従って、Rは上記で定義の意味を有し、特にはRは好ましくは、(置換されていても良い)アルキル、アリールまたはヘテロアリールの意味を有する。
【0145】
本明細書に示した反応経路は、自体公知であり、自体公知の方法で実施することができる種類の反応を表す。製薬上許容される塩基または酸との反応によって、相当する塩が得られる。
【0146】
各種反応相手の反応は、各種溶媒中で行うことができ、この点に関して特に制限はない。従って、好適な溶媒の相当する例には、水、ジクロロエタン、メチレンクロライド、ジメトキシエタン、ジグライム、アセトニトリル、ブチロニトリル、THF、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルアセトアミド、トルエンおよびクロロベンゼンがある。さらに、有機溶媒が水と混和性である場合、水および溶媒の実質的に均質な混合物中で反応を行うことも可能である。
【0147】
反応相手の本発明による反応は、例えば室温で行う。しかしながら、室温より高い温度、例えば50℃までの温度、および室温より低い温度、例えば−20℃以下の温度も使用可能である。
【0148】
反応相手の本発明による反応をドーブナー・フォン・ミラーのキナルジン合成で行う場合のpHは好適に調節する。
【0149】
ドーブナー・フォン・ミラーのキナルジン合成におけるpHは、好ましくは酸を加えることで調節する。基本的に、有機酸および無機酸の両方を酸として用いることができる。好ましくは、例えばHCl、HBr、HF、HSO、HPOなどの無機酸、またはCFCOOH、CHCOOH、p−トルエンスルホン酸などの有機酸を用いる。特に好ましくは、無機酸、非常に好ましくはHClおよびHSOを用いる。
【0150】
フリードランダー合成におけるpHは、好ましくは塩基を加えることで都合良く調節される。基本的に、有機塩基および無機塩基の両方を塩基として用いることができる。好ましくは、例えばLiOH、NaOH、KOH、Ca(OH)、Ba(OH)、LiCO、KCO、NaCO、NaHCO、NaHなどの無機塩基、またはアミン類(例えば好ましくはトリエチルアミン(TEA)、ジエチルイソプロピルアミンなど)、BuNOH、ピペリジン、モルホリン、アルキルピリジンなどの有機塩基を使用する。特に好ましくは、無機塩基、非常に好ましくはLiOH、NaOHおよびKOHを用いる。
【0151】
フリードランダー合成を酸触媒作用下で行う場合、pHは好ましくは酸を加えることで調節し、その酸は例えば好ましくは、ドーブナー・フォン・ミラーのキナルジン合成について上記で言及したものである。
【0152】
この場合、当業者であれば、相当する合成経路に、最も好適な溶媒および至適な反応条件、特には温度、pHおよび溶媒に関しての条件を選択できる。
【0153】
好ましくは、上記の反応相手の反応後に、中性条件下での分取HPLCによって、および/またはカラムクロマトグラフィーによって、得られた粗生成物から、本発明による最終生成物を得る。
【0154】
本発明者らは驚くべきことに、本発明によって提供され、一般構造式(I)によって表される化合物がヘプシジン拮抗薬としての作用を示し、従ってヘプシジン介在疾患ならびにそれの関連症状または関連症状の治療用の薬剤としての使用に好適であることを見出した。特に、本発明による化合物は、鉄代謝障害の治療における使用で好適であり、鉄欠乏疾患および/または貧血、特にはACDおよびAIの治療に好適である。
【0155】
これに関連して、一般構造式(I)の化合物を含む薬剤は、ヒト医薬および動物薬での使用に好適である。
【0156】
そこで本発明は、医薬として使用される本発明による一般構造式(I)の化合物をも提供する。
【0157】
一般構造式(I)の化合物は医薬としての使用に好ましいが、下記の化合物は除外される。
【0158】
【化14】



医薬として使用される一般構造式(I)の化合物の別のより好ましい実施形態において、下記の化合物もさらに除外される。
【0159】
【化15】

従って、本発明による化合物は、例えば疲労、倦怠感、集中力低下、認識効率低下、正しい言葉を見出す上での困難、健忘症、異常蒼白、興奮性、心拍数増加(頻脈)、舌痛または腫れ上がった舌、脾腫、妊娠時渇望(異食症)、頭痛、食欲低下、感染への感受性上昇、憂鬱気分などの鉄欠乏性貧血の症状を患うか、ACDもしくはALを患う患者の治療用の医薬製造に好適でもある。
【0160】
従って、本発明による化合物は、鉄欠乏性貧血の症状を患う患者の治療用の医薬製造にも好適である。
【0161】
投与は数ヶ月の期間にわたって行う場合があり、例えば患者のヘモグロビン値、トランスフェリン飽和およびフェリチン値によって反映される鉄レベル改善が生じるまで、または鉄欠乏性貧血またはACDもしくはAIによって生じる健康状態の障害に所望の改善が達成されるまで行うことができる。
【0162】
本発明による製剤は、小児、青年および成人が摂取することができる。
【0163】
本発明の化合物はさらに、鉄代謝障害の治療において公知の別の活性化合物または薬剤および/または鉄代謝障害、特には鉄欠乏および/または貧血に関連する疾患の治療用の薬剤と併用で投与される活性化合物または薬剤と組み合わせて用いることもできる。併用可能である鉄代謝障害および鉄欠乏および/または貧血に関連する別の疾患の治療用のそのような薬剤の例には、例えば鉄塩などの鉄含有化合物、鉄−マルトースまたは鉄−デキストリン錯化合物などの鉄−炭水化物錯体、ビタミンDおよび/またはそれらの誘導体などがあり得る。
【0164】
本発明による化合物と併用される化合物は、これに関連しては、経口および非経口のいずれかで投与可能であるか、本発明による化合物および併用される化合物の投与を、前記可能な併用投与の組み合わせによって行うことができる。
【0165】
本発明による化合物ならびに別の活性化合物もしくは薬剤と本発明による化合物の前記組み合わせは、特には鉄欠乏性疾患などの鉄代謝障害および/または貧血、特には癌に伴う貧血、化学療法によって誘発される貧血、炎症(AI)によって誘発される貧血、鬱血性心臓機能不全(CHF;鬱血性心不全)に伴う貧血、慢性腎臓機能不全段階3から5(CKD3から5;慢性腎臓病段階3から5)に伴う貧血、慢性炎症(ACD)によって誘発される貧血、関節リウマチ(RA)に伴う貧血、全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う貧血および炎症性腸疾患(IBD;炎症性腸疾患)に伴う貧血の治療において用いることができ、またはこれら疾患の治療のための医薬製造に用いることができる。
【0166】
本発明による化合物ならびに別の活性化合物もしくは薬剤と本発明による化合物の前記組み合わせは特に、妊婦における鉄欠乏性貧血、小児および青年での潜在性鉄欠乏性貧血、胃腸異常の結果としての鉄欠乏性貧血、血液喪失の結果としての(例えば消化管出血(例えば、潰瘍、癌、痔核、炎症障害、アセチルサリチル酸摂取によるもの)、月経、怪我による)鉄欠乏性貧血、脱毛(スプルー)の結果としての鉄欠乏性貧血、特に選択的食事を行う小児および青年の場合での食品からの鉄取り込み減少の結果としての鉄欠乏性貧血、鉄欠乏性貧血によって生じる免疫系の弱体化、鉄欠乏性貧血によって生じる脳機能障害、下肢静止不能症候群などの鉄欠乏性貧血の治療用の医薬製造に用いることができる。
【0167】
本発明による使用によって、鉄、ヘモグロビン、フェリチンおよびトランスフェリンの値に改善が生じ、それに伴って、特に青年および小児において、しかし成人においても、短期記憶試験(STM)、長期記憶試験(LTM)、レーヴン漸進的マトリックス試験、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)および/または感情係数(Baron EQ−i、YV試験;青年版)における改善、または好中球レベル、抗体レベルおよび/またはリンパ球機能に改善がある。
【0168】
本発明はさらに、本発明による1以上の式(I)の化合物、および適宜に1以上の別の医薬活性化合物および適宜に1以上の薬理的に許容される担体および/または補助物質および/または溶媒を含む医薬組成物に関するものである。
【0169】
これに関連して、医薬担体、補助物質または溶媒は従来の物質である。前記医薬組成物は、例えば静脈投与、腹腔内投与、筋肉投与、膣内投与、口腔内投与、経皮的投与、皮下投与、粘膜皮膚投与、経口投与、直腸投与、経皮投与、局所投与、皮内投与、胃内投与または皮内投与に好適であり、例えば丸薬、錠剤、胃液に対して耐性の錠剤、フィルムコート錠、層錠、経口投与、皮下投与もしくは皮膚投与用徐放製剤(特に、硬膏剤として)、デポー製剤、糖衣錠、小坐剤、ゲル、軟膏、シロップ、粒剤、坐剤、乳濁液、分散液、マイクロカプセル、マイクロ製剤、ナノ製剤、リポソーム製剤、カプセル、胃液に対して耐性のカプセル、粉剤、吸入粉末、微結晶製剤、吸入用噴霧剤、粉剤、滴剤、点鼻薬、鼻腔用スプレー、エアロゾル、アンプル、液剤、ジュース、懸濁液、注入液または注射液などの形態で存在する。
【0170】
好ましくは、本発明による化合物およびそのような化合物を含む医薬組成物は、経口投与および/または非経口投与され、特には静脈投与される。
【0171】
これに関して、本発明による化合物は、好ましくは丸薬、錠剤、胃液に対して耐性の錠剤、フィルムコート錠、層錠、経口投与用徐放製剤、デポー製剤、糖衣錠、粒剤、乳濁液、分散液、マイクロカプセル、マイクロ製剤、ナノ製剤、リポソーム製剤、カプセル、胃液に対して耐性のカプセル、粉剤、微結晶製剤、粉剤、滴剤、アンプル、液剤、懸濁液、注入液または注射液の形態で医薬組成物中に存在する。
【0172】
本発明による化合物は、医薬的目的、特に固体医薬製剤に従来使用されるような各種有機または無機担体および/または補助材料、例えば賦形剤(ショ糖、デンプン、マンニトール、ソルビトール、乳糖、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムなど)、結合剤(セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルピロリジン、ゼラチン、アラビアガム、ポリエチレングリコール、ショ糖、デンプンなど)、崩壊剤(デンプン、加水分解デンプン)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのカルシウム塩、ヒドロキシプロピルデンプン、ナトリウムグリコールデンプン、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウムなど)、潤滑剤または平滑剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、香味剤(クエン酸、メントール、グリシン、オレンジ粉末など)、保存剤(安息香酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、安定剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸など)および例えばジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)などのチトリプレックスシリーズからの多価カルボン酸、懸濁剤(メチルセルロース、ポリビニルピロリジン、ステアリン酸アルミニウムなど)、分散剤、希釈剤(水、有機溶媒など)、蜜ロウ、カカオバター、ポリエチレングリコール、白色ワセリンなどを含むことができる医薬組成物で投与することができる。
【0173】
液剤、懸濁液およびゲルなどの液体薬剤製剤は、従来においては水および/または製薬上許容される有機溶媒などの液体担体を含む。さらに、そのような液体製剤は、pH調節剤、乳化剤もしくは分散剤、緩衝剤、保存剤、湿展剤、ゲル化剤(例えばメチルセルロース)、着色剤および/または芳香物質を含むこともできる。その組成物は等張性であることができ、すなわちそれらは血液と同じ浸透圧を有することができる。組成物の等張性は、塩化ナトリウムまたは例えばブドウ糖、マルトース、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコールまたは他の無機もしくは有機可溶性物質などの他の製薬上許容される薬剤を用いて調節することができる。液体組成物の粘度は、メチルセルロースなどの製薬上許容される増粘剤を用いて調節することができる。他の好適な増粘剤には、例えばキサンタン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマーなどがある。増粘剤の好ましい濃度は、選択される薬剤によって決まる。製薬上許容される保存剤を用いて、液体組成物の寿命を延ばすことができる。ベンジルアルコールが好適であり得るが、例えばパラベン、チメロサール、クロロブタノールまたは塩化ベンザルコニウムなどの非常に多くの保存剤も同様に使用可能である。
【0174】
活性化合物は例えば、1から4回/日以内にて0.001mg/kgから500mg/kgの単位用量などで投与することができる。しかしながら、用量は、患者の年齢、体重、状態、疾患の重度または投与の性質に応じて増減させることができる。
【0175】
本発明の特定の実施形態は、下記に関するものである。
【0176】
1.下記一般式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩。
【0177】
【化16】

式中、
、RおよびRは、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−ヒドロキシル、
−ハロゲン、
−シアノ、
−ニトロ、
−カルボキシル、
−スルホン酸基(−SOH)、
−置換されていても良いアミノカルボニル、
−置換されていても良いアミノスルホニル、
−置換されていても良いアミノ、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアシル、
−置換されていても良いアルコキシカルボニル、
−置換されていても良いアシルオキシ、
−置換されていても良いアルコキシ、
−置換されていても良いアルケニル、
−置換されていても良いアルキニル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
は、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルケニル、
−置換されていても良いアルキニル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
は、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルケニル、
−置換されていても良いアルキニル、
−置換されていても良いアシル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
およびRは、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルケニル、
−置換されていても良いアルキニル、
−置換されていても良いアシル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択されるか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い5から8員環を形成しており、その環はさらなるヘテロ原子を含んでいても良い。
【0178】
2.
、RおよびRが、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−ヒドロキシル、
−ハロゲン、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルコキシ、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
が、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
が、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール;
−置換されていても良いアシル
からなる群から選択され;
およびRが、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択されるか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い5から8員環を形成しており、その環がさらなるヘテロ原子を含んでいても良い実施形態1による化合物またはそれの製薬上許容される塩。
【0179】
3.
、RおよびRが、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−ヒドロキシル、
−ハロゲン、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルコキシ
からなる群から選択され;
が、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
が、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアシル
からなる群から選択され;
およびRが、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択されるか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い5から6員環を形成しており、その環がさらなるヘテロ原子を含んでいても良い実施形態1または2による化合物またはそれの製薬上許容される塩。
【0180】
4.

−水素;

−水素または
−ハロゲン;

−水素または
−置換されていても良いアシル、特には置換されていても良いアロイルまたは置換されていても良いヘテロアロイル;
およびRが同一であるか異なっており、
−水素、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
を示すか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い6員環を形成しており、それがさらなるヘテロ原子を含んでいることができ;

−水素、
−置換されていても良いアリール、または
−置換されていても良いヘテロアリール;

−水素
の意味を有する、実施形態1から3のうちの1以上による化合物またはそれの製薬上許容される塩。
【0181】
5.
が水素であり、
が、
−水素または
−塩素
から選択され;
が、
−水素または
−置換されていても良いフロイルまたは置換されていても良いベンゾイル
から選択され;
およびRが同一であるか異なっており、
−水素、
−置換されていても良いヘテロアリール
を示すか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和の置換されていても良いさらなるヘテロ原子を含む6員環を形成しており;
が、
−水素、
−ハロゲン置換されていても良いフェニルまたは
−ピリジニル
を示し;
が水素である実施形態1から4のうちの1以上による化合物またはそれの製薬上許容される塩。
【0182】
6.前記置換基R、R、R、R、R、RおよびRのうちの少なくとも一つが実施形態4または5で定義の通りである実施形態1、2または3のうちの1以上による化合物。
【0183】
7.下記のものから選択される実施形態1から6のうちの1以上による化合物またはそれの製薬上許容される塩。
【0184】
【化17】


8.
a)アミノアルキル化として、式(II)の化合物:
【0185】
【化18】

[R、RおよびRは上記の定義を有する。]を式(III)および(IV)の化合物:
【0186】
【化19】

[R、RおよびRは上記の定義を有する。]と反応させて、式(I′)の化合物:
【0187】
【化20】

を得る段階;および
(b)式(I′)の化合物を式R−Xの化合物[Rは上記で定義の通りであり、Xはハロゲンなどの通常の脱離基である。]と反応させて、式(I)の化合物を得る段階を含む、実施形態1から7のうちの1以上による化合物の製造方法。
【0188】
9.医薬として使用される実施形態1から7のうちの1以上による化合物。
【0189】
10.鉄代謝障害の治療に用いられる、特には鉄欠乏性疾患および/または貧血、特には癌に伴う貧血、化学療法によって誘発される貧血、炎症によって誘発される貧血(AI)、鬱血性心臓機能不全(CHF;鬱血性心不全)に伴う貧血、慢性腎不全段階3から5(CKD3−5;慢性腎臓病段階3から5)に伴う貧血、慢性炎症によって誘発される貧血(ACD)、リウマチ性関節炎(RA;関節リウマチ)に伴う貧血、全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う貧血および炎症性腸疾患(IBD;炎症性腸疾患)に伴う貧血に用いられる実施形態1から7のうちの1以上による化合物。
【0190】
11.実施形態1から7のうちの1以上による化合物のうちの1以上および1以上の医薬担体および/または補助物質および/または溶媒を含む組成物。
【0191】
12.実施形態1から7のうちの1以上による化合物のうちの1以上および少なくとも一つの更なる医薬活性化合物、特には鉄代謝障害および関連症状の治療用の化合物、好ましくは鉄含有化合物を含む組み合わせ製剤。
【0192】
13.ヘプシジン介在疾患および関連症状の治療用の医薬製造における実施形態1から7のうちの1以上による化合物、実施形態11による組成物および実施形態12による組み合わせ製剤の使用。
【0193】
14.鉄代謝障害、特には鉄欠乏性疾患および/または貧血、特にはACDおよびAIそして関連症状の治療のための医薬製造における、実施形態1から7のうちの1以上による化合物、実施形態11による組成物および実施形態12による組み合わせ製剤の使用。
【0194】
15.経口投与もしくは非経口投与用の医薬製造における、実施形態1から7のうちの1以上による化合物、実施形態11による組成物および実施形態12による組み合わせ製剤の使用。
【実施例】
【0195】
下記の実施例により、本発明についてより詳細に説明する。これら実施例は単に例として提供されるものであり、当業者であれば、具体的な実施例を特許請求されている別の化合物に拡大することができるものである。
【0196】
実施例
薬理作用試験
下記の材料を用いた。
【0197】
【表2】

本発明のキノリン化合物のヘプシジン拮抗作用を、下記に記載の「フェロポーチン内部移行アッセイ」によって測定した。
【0198】
フェロポーチン内部移行アッセイの原理
受容体に対するヘプシジンの生理効果を妨害する低分子量有機化合物である鉄輸送体フェロポーチン(Fpn)を、生存細胞でのFpnのヘプシジン誘発内部移行を阻害する能力に基づいて確認した。これに関しては、C末端で蛍光レポータータンパク質(HaloTag(登録商標)、Promega社)と組換え的に融合したヒトフェロポーチンを構成的に発現する安定な細胞系(Madin−Darbyイヌ腎臓、MDCK)を製造した。Fpnの内部移行は、Fpnと融合したHaloTagレポーター遺伝子に共有結合的に結合した蛍光リガンド(HaloTag(登録商標)TMR、テトラメチルローダミン)で、これらの細胞を標識することによってモニタリングした。共焦点蛍光顕微鏡による撮像で、ヘプシジン非存在下でのFpnの細胞表面局在化とヘプシジン存在下でのFpn着色がないことが示された。至適画像解析アルゴリズムを用いて、細胞表面を確認し、Fpn−HaloTag融合タンパク質関連の相当する膜蛍光を定量した。このアッセイによって、Fpnのヘプシジン誘発内部移行を遮断することができる化合物を迅速に評価するための定量的画像解析が可能となる。このアッセイは、候補薬剤に提起されているイン・ビボ作用機序にイン・ビトロで直接相当するものであることから、受容体であるフェロポーチンに対するヘプシジンの効果を妨害する化合物を確認するための高処理能力を有する初期アッセイとして好適である。
【0199】
詳細なアッセイ手順
・細胞7500個/ウェル(MDCK−FPN−HaloTag)を、384ウェルを有するマイクロタイタープレート(384細胞担体プレート、Perkin Elmer、カタログ番号6007430)で、DMEM培地50μL(1%ペニシリン、1%ストレプトマイシンおよび450μg/mLG−418を含む10%ウシ胎仔血清(FBS)の入ったダルベッコ変法イーグル培地)に移動・接種し、37℃/5%COで終夜インキュベートした。
【0200】
・培地の容量を10μLに減らし、5μM HaloTag−TMRリガンド(Promega、カタログ番号G8251)10μLをDMEM培地に加えて、Fpn−HaloTag融合タンパク質を染色した。
【0201】
・37℃/5%COで15分間インキュベートした。
【0202】
・HaloTag−TMRリガンドを除去し、細胞を新鮮なDMEM培地で洗浄し、体積を減らしてDMEM培地20mLとした。
【0203】
・ウェル当たり、試験化合物の溶液(DMSOに溶かしたもの)3μLを加えた(最終容量10μL)。
【0204】
・ウェル当たり、43μMヘプシジン(Peptides International、カタログ番号PLP−4392−s、DMEM培地で希釈した100μM原液(水溶液))7μLを加えて、最終ヘプシジン濃度を100nMとした。
【0205】
・細胞を37℃/5%COで終夜インキュベートした。
【0206】
・パラホルムアルデヒド(PFA、Electron Microscopy Sciences、カタログ番号15710−S)を細胞に直接加えることで細胞を固定して最終濃度4%とし、次に室温で15から20分間インキュベートした。
【0207】
・PFA溶液を除去し、細胞をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄して、30μLが各場合でプレートに残った。
【0208】
・Draq5(Biostatus、カタログ番号DR51000)20μLを加えて最終濃度2.5μMとして細胞核を染色し、プレートをホイルプレートシールで密閉した。
【0209】
・Operaプレート撮像装置(Opera共焦点プレート撮像装置、Perkin Elmer)を用いてプレートを分析し、ウェル当たり7個の画像を得て、画像当たりの露光時間440ms、1μM焦点高さであった。
【0210】
データの解析
・至適アルゴリズムを画像解析に用いて、Fpn−HaloTagの細胞表面局在化の尺度として細胞表面関連の蛍光を確認および定量した。
【0211】
・最終表示は、膜蛍光を示した細胞のパーセントに相当するものであった。1000nMヘプシジンで処理したウェルは最低値を与え(陰性対照表示=Fpn内部移行の0%阻害)、ヘプシジンで処理しなかったウェルでは膜蛍光を有する細胞のパーセント含有率が最大であった(陽性対照表示=Fpn内部移行の100%阻害)。
【0212】
・各プレートに関して、6個の陽性対照値および6個の陰性対照値の中央値を用いて、下記式に従って、試験化合物の阻害パーセントを計算した。
【0213】
【数1】

式中、
posは、陽性対照表示値(中央値)であり;
negは、陰性対照表示値(中央値)であり;
compoundは、調べた化合物の表示値であり;
Iは、特定の化合物による阻害パーセントである。
【0214】
・用量/効果試験で、化合物の連続希釈(11種類の濃度、1:2希釈段階)の試験を行い(濃度範囲は0.04から40μM)および反復試験の標準化シグナル値(独立のプレートで平均6回の力価測定)を用いて、4パラメータ(下側漸近線、上側漸近線、IC50、勾配)を用いるロバスト標準用量/効果モデルによって曲線の適合を行った。
【0215】
下記の結果が得られた。
【0216】
【表3】










製造例
A)分取HPLCおよびカラムクロマトグラフィーによる精製
下記の製造実施例を本発明による製造方法に従って実施し、その後、下記の条件下での分取HPLCによる精製および/またはカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。
【0217】
分取HPLC(中性条件)
方法:119UV検出器および5.11Unipoint制御ソフトウェア搭載のGilson半分取HPLC
固定相/カラム:Waters SunFire Prep C18 OBD(5μm、19×100mm)、室温
移動相:
A−水
B−アセトニトリル
流量:20mL/分
注入容量:1000μL
検出:UV
溶離液:
【0218】
【表4】

カラムクロマトグラフィー
「フラッシュ」シリカゲルクロマトグラフィーは、シリカゲル230−400メッシュまたはプレパックシリカゲルカラムによって実施した。
【0219】
B)分析HPLC
化合物の検出および純度決定は各場合で、HPLC MS(高速液体クロマトグラフィー+質量分析(MS))またはUV検出を行うHPLC(PDA;光ダイオードアレイ)によって実施した。
【0220】
この場合、下記の方法を用いた。
【0221】
方法:MS19_7MIN_HIRES_POS/高分解能法
固定相/カラム:Waters Atlantis dC18 100×2.1mm、3μmカラム、40℃;
移動相:A−0.1%ギ酸(水)
B−0.1%ギ酸(アセトニトリル)
流量:0.6mL/分
注入容量:3μL
UV検出器:215nm(公称)
または
MS検出:TIC(総イオンカウント)。
【0222】
【表5】

【0223】
【表6】

HPLC−MSシステム:島津LCMS 2010EVシステム
質量範囲:100から1000m/z
走査速度:2000amu/秒。
【0224】
実施例1による化合物
7−(モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル−メチル)−キノリン−8−オール
【0225】
【化21】

EOAI3333419 VIT−1197/1003
MW:321.38
製造者:Enamine
HPLC MS:[m/z]:322。
【0226】
図1に結果を示してある。
【0227】
実施例2による化合物
5−クロロ−7−[(4−クロロ−フェニル)−モルホリン−4−イル−メチル]−キノリン−8−オール
【0228】
【化22】

EOAI3333421 VIT−1005
MW:389.2
製造者:Enamine
HPLC MS:[m/z]:389。
【0229】
図2に結果を示してある。
【0230】
実施例3による化合物
フラン−2−カルボン酸5−クロロ−7−モルホリン−4−イルメチル−キノリン−8−イルエステル
【0231】
【化23】

EOAI3333420 VIT−1004
MW:372.8
製造者:Enamine
HPLC MS:[m/z]:372.9。
【0232】
図3に結果を示してある。
【0233】
実施例4による化合物
3,4,5−トリメトキシ−安息香酸5−クロロ−7−モルホリン−4−イルメチル−キノリン−8−イルエステル
【0234】
【化24】

EOAI3325565 VIT−1028
MW:472.93
製造者:Enamine
HPLC MS:[m/z]:473。
【0235】
図4aに結果を示してある。
【0236】
さらに、実施例化合物4は、市販化合物として分析HPLCによって同様に分析した。
【0237】
HP−AH002047−G10
MW:472.92
製造者:ENAMINE
UVスペクトラム:λmax[ηm]:213、283
HPLC MS:[m/z]:473
HPLC MS:[m/z]:537。
【0238】
このMS−クロマトグラムは、MW537に約10から13%の不純物を示している。
【0239】
図4bに結果を示してある。
【0240】
実施例5による化合物
安息香酸5−クロロ−7−モルホリン−4−イルメチル−キノリン−8−イルエステル
【0241】
【化25】

5−クロロキノリン−8−オール(899mg、5.0mmol)、ホルムアルデヒド(37%水溶液、580μL)およびモルホリン(437μL、5.0mmol)をエタノール(30mL)に溶かし、混合物を室温で24時間撹拌した。混合物を80℃で6.5時間加熱した。冷却後、混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。このようにして得ることができる粗取得物を、溶離液としてメタノール/メチレンクロライド(0%から20%)を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製して、5−クロロ−7−モルホリン−4−イルメチル−キノリン−8−オールを得た(1.02g、73%)。
【0242】
5−クロロ−7−モルホリン−4−イルメチル−キノリン−8−オール(278mg、1.0mmol)、ベンゾイルクロライド(115μL、1.0mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(140μL、1.0mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(5mL)に溶かし、混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を減圧下に濃縮し、生成物を水/メチレンクロライドによって抽出した。相を分離し、有機相を減圧下に濃縮した。このようにして得ることができる生成物を、溶離液として酢酸エチル/ヘプタン(0%から20%)を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製して、実施例化合物5を得た(298mg、78%)。
【0243】
EOAI3328875 VIT−1075
MW:382.85
HPLC MS:[m/z]:383。
【0244】
図5に結果を示してある。
【0245】
実施例6による化合物
5−クロロ−7−[ピリジン−3−イル−(ピリジン−2−イルアミノ)−メチル]−キノリン−8−オール
【0246】
【化26】

1,5−クロロキノリン−8−オール(180mg、1.0mmol)、2−ピリジンカルボキシアルデヒド(189μL、2.0mmol)および2−アミノピリジン(85mg、0.9mmol)をジオキサン(2mL)に溶かし、混合物をマイクロ波オーブン中118℃で10分間加熱した。冷却後、混合物を減圧下に濃縮した。
【0247】
溶離液として2Mメタノール性アンモニア/メチレンクロライド(0%から20%)を用いるカラムクロマトグラフィー(3回)と、次にアセトンからの磨砕による精製を実施して、実施例化合物6を得た(16mg、5%)。
【0248】
EOAI3284909 VIT−1039
MW:362.82
HPLC MS:[m/z]:362。
【0249】
図6aに結果を示してある。
【0250】
さらに、実施例化合物6を、市販の化合物として分析HPLCによって同様に分析した。
【0251】
HP−AT003015−E05
MW:362.81
製造者:CHEMBRIDGE
UVスペクトラム:λmax[ηm]:197、248、309
HPLC MS:[m/z]:362。
【0252】
図6bに結果を示してある。
【0253】
実施例7による化合物
7−[(4−ベンジル−ピペリジン−1−イル)−ピリジン−2−イル−メチル]−キノリン−8−オール
【0254】
【化27】

イソ−プロピルアルコール(2mL)中、
8−ヒドロキシキノリン(145mg、1.0mmol)
2−ピリジンカルボキシアルデヒド(95μL、1.0mmol)および
4−ベンジルピペリジン(176μL、1.0mmol)
を用いて、実施例化合物6についての記載の方法と同様にして、製造を行った。
【0255】
分取HPLCによって精製を実施して、実施例化合物7を得た(18mg、11%)。
【0256】
EOAI3330062 VIT−1082
MW:409.53
HPLC MS:[m/z]:410。
【0257】
図7に結果を示してある。
【0258】
実施例8による化合物
7−{[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−ピリジン−2−イル−メチル}−キノリン−8−オール
【0259】
【化28】

イソ−プロピルアルコール(2mL)中、
8−ヒドロキシキノリン(145mg、1.0mmol)
2−ピリジンカルボキシアルデヒド(95μL、1.0mmol)および
2−(ピペリジン−4−イル)エタノール(123μL、1.0mmol)
を用い、実施例化合物6に記載の方法と同様にして製造を行った。
【0260】
分取HPLCによって精製を実施して、実施例化合物8を得た(27mg、19%)。
【0261】
EOAI3330063 VIT−1083
MW:364.45
HPLC MS:[m/z]:365。
【0262】
図8に結果を示してある。
【0263】
実施例9による化合物
7−(モルホリン−4−イル−p−トリル−メチル)−キノリン−8−オール
【0264】
【化29】

ジオキサン(2mL)中、
8−ヒドロキシキノリン(290mg、2.0mmol)
4−メチルベンズアルデヒド(474μL、4.0mmol)および
モルホリン(157μL、1.8mmol)
を用い、実施例化合物6に記載の方法と同様にして製造を行った。
【0265】
溶離液として7Mメタノール性アンモニア/メチレンクロライド(0%から5%)を用いるカラムクロマトグラフィーと、次に分取HPLCによって精製を実施して、実施例化合物9を得た(18mg、3%)。
【0266】
EOAI3333335 VIT−1182
MW:334.42
HPLC MS:[m/z]:335。
【0267】
図9に結果を示してある。
【0268】
実施例10による化合物
4−[(8−ヒドロキシ−キノリン−7−イル)−モルホリン−4−イル−メチル]−ベンゾニトリル
【0269】
【化30】

ジオキサン(2mL)中、
8−ヒドロキシキノリン(290mg、2.0mmol)、
4−シアノベンズアルデヒド(525μL、4.0mmol)および
モルホリン(157μL、1.8mmol)
を用い、実施例化合物6に記載の方法と同様にして製造を行った。
【0270】
溶離液として7Mメタノール性アンモニア/メチレンクロライド(0%から20%)を用いるカラムクロマトグラフィーと、次に分取HPLCによって精製を実施して、実施例化合物10を得た(100mg、16%)。
【0271】
EOAI3333336 VIT−1181
MW:345.40
HPLC MS:[m/z]:345.9。
【0272】
図10に結果を示してある。
【0273】
実施例11による化合物
7−[(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−モルホリン−4−イル−メチル]−キノリン−8−オール
【0274】
【化31】

ジオキサン(2mL)中、
8−ヒドロキシキノリン(290mg、2.0mmol)
6−メトキシピリジン−3−カルボアルデヒド(549μL、4.0mmol)および
モルホリン(157μL、1.8mmol)
を用い、実施例化合物6に記載の方法と同様にして製造を行った。
【0275】
分取HPLCによって精製を実施して、実施例化合物11を得た(64mg、10%)。
【0276】
EOAI3333471 VIT−1192
MW:351.41
HPLC MS:[m/z]:352。
【0277】
図11に結果を示してある。
【0278】
実施例12による化合物
7−(モルホリン−4−イル−o−トリル−メチル)−キノリン−8−オール
【0279】
【化32】

ジオキサン(2mL)中、
8−ヒドロキシキノリン(290mg、2.0mmol)
2−メチルベンズアルデヒド(463μL、4.0mmol)および
モルホリン(157μL、1.8mmol)
を用い、実施例化合物6に記載の方法と同様にして製造を行った。
【0280】
分取HPLCによって精製を実施して、実施例化合物12を得た(77mg、13%)。
【0281】
EOAI3333472 VIT−1193
MW:334.42
HPLC MS:[m/z]:335。
【0282】
図12に結果を示してある。
【0283】
実施例13による化合物
7−[(2−クロロ−フェニル)−モルホリン−4−イル−メチル]−キノリン−8−オール
【0284】
【化33】

ジオキサン(2mL)中、
8−ヒドロキシキノリン(290mg、2.0mmol)
2−クロロベンズアルデヒド(563μL、4.0mmol)および
モルホリン(157μL、1.8mmol)
を用い、実施例化合物6に記載の方法と同様にして製造を行った。
【0285】
分取HPLCによって精製を実施して、実施例化合物13を得た(18mg、2%)。
【0286】
EOAI3333474 VIT−1195
MW:354.84
HPLC MS:[m/z]:355。
【0287】
図13に結果を示してある。
【0288】
実施例14による化合物
7−[(2−メトキシ−フェニル)−モルホリン−4−イル−メチル]−キノリン−8−オール
【0289】
【化34】

ジオキサン(2mL)中、
8−ヒドロキシキノリン(290mg、2.0mmol)
2−メトキシベンズアルデヒド(544μL、4.0mmol)および
モルホリン(157μL、1.8mmol)
を用い、実施例化合物6に記載の方法と同様にして製造を行った。
【0290】
分取HPLCによって精製を実施して、実施例化合物14を得た(49mg、8%)。
【0291】
EOAI3333574 VIT−1206
MW:350.42
HPLC MS:[m/z]:351。
【0292】
図14に結果を示してある。
【0293】
実施例15による化合物
7−(モルホリン−4−イル−ピラジン−2−イル−メチル)−キノリン−8−オール
【0294】
【化35】

ジオキサン(2mL)中、
8−ヒドロキシキノリン(145mg、1.0mmol)
ピラジン−2−カルボアルデヒド(108mg、1.0mmol)および
モルホリン(79μL、0.9mmol)
を用い、実施例化合物6に記載の方法と同様にして製造を行った。
【0295】
分取HPLCによって精製を実施して、実施例化合物15を得た(91mg、28%)。
【0296】
EOAI3333578 VIT−1207
MW:322.37
HPLC MS:[m/z]:323。
【0297】
図15に結果を示してある。
【0298】
実施例16による化合物
【0299】
【化36】

ジオキサン(3mL)中、
8−ヒドロキシキノリン(251mg、1.72mmol)
1−ベンジル−1H−イミダゾール−2−カルボアルデヒド(644mg、3.45mmol)および
モルホリン(136μL、1.56mmol)
を用い、実施例化合物6に記載の方法と同様にして製造を行った。
【0300】
分取HPLCによって精製を実施して、実施例化合物16を得た(270mg、43%)。
【0301】
EOAI3334110 VIT−1242
MW:400.48
HPLC MS:[m/z]:401。
【0302】
図16に結果を示してある。
【0303】
実施例17による化合物
7−(ベンジルアミノ−ピリジン−4−イル−メチル)−キノリン−8−オール
【0304】
【化37】

8−ヒドロキシキノリン(150mg、1.0mmol)、4−ピリジンカルボキシアルデヒド(116mg、1.0mmol)およびベンジルアミン(199mg、2.0mmol)をエタノール(5mL)に溶かし、混合物を還流下に18時間加熱した。冷却後、混合物を減圧下に濃縮して、粗生成物を得た。
【0305】
分取HPLCによって精製を実施して、実施例化合物17を得た(62mg、18%)。
【0306】
EOAI3333571 VIT−1205
MW:341.42
HPLC MS:[m/z]:342。
【0307】
図17に結果を示してある。
【0308】
実施例18による化合物
7−[(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−4−イル−メチル]−キノリン−8−オール
【0309】
【化38】

8−ヒドロキシキノリン(250mg、2.0mmol)
4−ピリジンカルボキシアルデヒド(194mg、2.0mmol)および
2,6−ジメチルモルホリン(357mg、3.0mmol)
を用い、実施例化合物17について記載の方法と同様にして、製造を実施した。
【0310】
分取HPLCによって精製を実施して、実施例化合物18を得た(60mg、10%)。
【0311】
EOAI3333999 VIT−1239
MW:349.44
HPLC MS:[m/z]:350。
【0312】
図18に結果を示してある。
【0313】
実施例19による化合物
7−[(ベンジル−メチル−アミノ)−ピリジン−4−イル−メチル]−キノリン−8−オール
【0314】
【化39】

8−ヒドロキシキノリン(250mg、2.0mmol)
4−ピリジンカルボキシアルデヒド(194mg、2.0mmol)および
N−メチルベンジルアミン(376mg、3.0mmol)
を用い、実施例化合物17について記載の方法と同様にして、製造を実施した。
【0315】
メタノールからの再結晶によって精製を実施して、実施例化合物19を得た(200mg、33%)。
【0316】
EOAI3333816 VIT−1229
MW:355.44
HPLC MS:[m/z]:356。
【0317】
図19に結果を示してある。
【0318】
実施例20による化合物
7−[(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−(4−フルオロ−フェニル)−メチル]−キノリン−8−オール
【0319】
【化40】

8−ヒドロキシキノリン(250mg、2.0mmol)
4−フルオロベンズアルデヒド(224mg、2.0mmol)および
2,6−ジメチルモルホリン(357mg、3.0mmol)
を用い、実施例化合物17について記載の方法と同様にして、製造を実施した。
【0320】
分取HPLCによって精製を実施して、実施例化合物20を得た(15mg、2%)。
【0321】
EOAI3334000 VIT−1238
MW:366.44
HPLC MS:[m/z]:367。
【0322】
図20に結果を示してある。
【0323】
実施例21による化合物
7−(モルホリン−4−イル−チオフェン−2−イル−メチル)−キノリン−8−オール
【0324】
【化41】

8−ヒドロキシキノリン(259mg、1.78mmol)、2−チオフェンカルボキシアルデヒド(200mg、1.78mmol)およびモルホリン(155mg、1.78mmol)を、窒素雰囲気下に脱水トルエン(5mL)に溶かした。混合物を110℃で18時間加熱した。冷却後、混合物を減圧下に濃縮し、このようにして得た粗取得物をMC(メチレンクロライド)に溶かし、水およびブラインで洗浄した。有機相をNaSOによって脱水し、減圧下に濃縮した。
【0325】
溶離液としてメタノール/MC(2%)を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製を実施して、実施例化合物21を得た(40mg、6%)。
【0326】
EOAI3330057 VIT−1087
MW:326.42
HPLC:[m/z]:239.95(M+−モルホリン)、構造はNMRによって確認した。
【0327】
図21に結果を示してある。
【0328】
実施例22による化合物
7−モルホリン−4−イル−メチル−キノリン−8−オール
【0329】
【化42】

8−ヒドロキシキノリン(3.0g、20.7mmol)、ホルムアルデヒド(37%水溶液、2.4mL)およびモルホリン(1.8mL、20.7mmol)をエタノール(35mL)に溶かした。混合物を室温で24時間撹拌した。混合物を減圧下に濃縮した。
【0330】
溶離液としてメタノール/MC(0%から10%)を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製を実施して、実施例化合物22を得た(237mg、5%)。
【0331】
EOAI3327182 VIT−1040
MW:244.29
HPLC MS:[m/z]:245。
【0332】
図22に結果を示してある。
【0333】
実施例23による化合物
7−モルホリン−4−イルメチル−8−(3,4,5−トリメトキシベンジルオキシ)−キノリン
【0334】
【化43】

7−モルホリン−4−イルメチルキノリン−8−オール(53mg、0.21mmol;例えば製造実施例22に従って得ることができる)のDMF(1mL)中溶液を炭酸カリウム(58mg、0.42mmol)および3,4,5−トリメトキシベンジルクロライド(69mg、0.32mmol)で処理した。混合物を室温で18時間撹拌した。溶液を酢酸エチル(5mL)で希釈し、水およびブラインで洗浄した。得られた有機相をMgSOによって脱水し、減圧下に濃縮した。
【0335】
溶離液としてメタノール/MC(2%)を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製を実施して、実施例化合物23を得た(40mg、43%)。
【0336】
EOAI3332897 VIT−1171
MW:424.50
HPLC MS:[m/z]:425。
【0337】
図23に結果を示してある。
【0338】
実施例24による化合物
4−[(8−ヒドロキシ−キノリン−7−イル)−モルホリン−4−イル−メチル]−ベンズアミド
【0339】
【化44】

4−[(8−ヒドロキシ−キノリン−7−イル)−モルホリン−4−イル−メチル]−ベンゾニトリル(40mg、0.12mmol;例えば製造実施例10に従って得ることができる)をTEA(トリエチルアミン)(1.6mL)および濃硫酸(0.4mL)に溶かし、混合物を2日間撹拌した。氷を加えることで反応を停止した。このようにして得られた混合物を飽和NaHCOで中和し、水相をMCで抽出した。得られた有機相をMgSOによって脱水し、減圧下に濃縮した。
【0340】
このようにして得られた粗取得物を、40℃の真空乾燥機で乾燥させて、実施例化合物24を得た(24mg、57%)。
【0341】
EOAI3333473 VIT−1194
MW:363.41
HPLC MS:[m/z]:364。
【0342】
図24に結果を示してある。
【0343】
実施例25による化合物
5−クロロ−7−(モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル−メチル)−キノリン−8−オール
【0344】
【化45】

EOAI3327176 VIT−1045
MW:355.83
製造者:Life Chemicals
HPLC MS:[m/z]:356。
【0345】
図25に結果を示してある。
【0346】
実施例26による化合物
4−[(8−ヒドロキシ−キノリン−7−イル)−ピリジン−2−イル−メチル]−ピペラジン−1−カルボン酸エチルエステル
【0347】
【化46】

EOAI3327177 VIT−1046
MW:392.46
製造者:Life Chemicals
HPLC MS:[m/z]:393。
【0348】
図26に結果を示してある。
【0349】
実施例27による化合物
7−(ピペリジン−1−イル−ピリジン−2−イル−メチル)−キノリン−8−オール
【0350】
【化47】

EOAI3327178 VIT−1047
MW:319.41
製造者:Life Chemicals
HPLC MS:[m/z]:320。
【0351】
図27に結果を示してある。
【0352】
実施例28による化合物
7−[(4−フルオロ−フェニル)−モルホリン−4−イルメチル−キノリン−8−オール
【0353】
【化48】

EOAI3327179 VIT−1048
MW:338.39
製造者:Life Chemicals
HPLC MS:[m/z]:339。
【0354】
図28に結果を示してある。
【0355】
実施例29による化合物
7−(モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル−メチル)−キノリン−8−オール
【0356】
【化49】

EOAI3327242 VIT−1055
MW:321.38
製造者:Life Chemicals
HPLC MS:[m/z]:322。
【0357】
図29に結果を示してある。
【0358】
実施例30による化合物
7−(モルホリン−4−イル−ピリジン−4−イル−メチル)−キノリン−8−オール
【0359】
【化50】

EOAI3327243:VIT−1056
MW:321.38
製造者:Life Chemicals
HPLC MS:[m/z]:322。
【0360】
図30に結果を示してある。
【0361】
実施例31による化合物
5−クロロ−7−モルホリン−4−イルメチル−キノリン−8−オール
【0362】
【化51】

EOAI3284741 VIT−1057
MW:278.74
製造者:Life Chemicals
HPLC MS:[m/z]:279。
【0363】
図31に結果を示してある。
【0364】
実施例32による化合物
5−クロロ−7−(ピペリジン−1−イル−ピリジン−2−イル−メチル)−キノリン−8−オール
【0365】
【化52】

EOAI3327244 VIT−1058
MW:353.85
製造者:Life Chemicals
HPLC MS:[m/z]:354。
【0366】
図32に結果を示してある。
【0367】
実施例33による化合物
5−クロロ−7−[(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル−メチル]−キノリン−8−オール
【0368】
【化53】

EOAI3327245 VIT−1059
MW:383.88
製造者:Enamine
HPLC MS:[m/z]:383。
【0369】
図33に結果を示してある。
【0370】
実施例34による化合物
7−[(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル−メチル]−キノリン−8−オール
【0371】
【化54】

EOAI3327246 VIT−1060
MW:410.52
製造者:Enamine
HPLC MS:[m/z]:411。
【0372】
図34に結果を示してある。
【0373】
実施例35による化合物
7−[(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル−メチル]−キノリン−8−オール
【0374】
【化55】

EOAI3328311 VIT−1064
MW:334.42
製造者:Enamine
HPLC MS:[m/z]:335。
【0375】
図35に結果を示してある。
【0376】
実施例36による化合物
7−{[4−(2−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−ピリジン−2−イル−メチル}−キノリン−8−オール
【0377】
【化56】

EOAI3328312 VIT−1065
MW:413.5
製造者:Enamine
HPLC MS:[m/z]:415。
【0378】
図36に結果を示してある。
【0379】
実施例37による化合物
7−[ピリジン−2−イル−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−メチル]−キノリン−8−オール
【0380】
【化57】

EOAI3328313 VIT−1066
MW:397.48
製造者:Enamine
HPLC MS:[m/z]:398。
【0381】
図37に結果を示してある。
【0382】
実施例38による化合物
5,7−ビス−モルホリン−4−イルメチル−キノリン−8−オール
【0383】
【化58】

EOAI3328314 VIT−1067
MW:343.43
製造者:ChemBridge
HPLC MS:[m/z]:344。
【0384】
図38に結果を示してある。
【0385】
実施例39による化合物
5−クロロ−7−(モルホリン−4−イル−チオフェン−2−イル−メチル)−キノリン−8−オール
【0386】
【化59】

EOAI3328315 VIT−1063
MW:360.87
製造者:Enamine
HPLC MS:[m/z]:291(構造なNMRによって確認した)。
【0387】
図39に結果を示してある。
【0388】
実施例40による化合物
7−[(4−クロロ−フェニル)−モルホリン−4−イル−メチル]−キノリン−8−オール
【0389】
【化60】

EOAI3328316 VIT−1062
MW:354.84
製造者:Enamine
HPLC MS:[m/z]:355。
【0390】
図40に結果を示してある。
【0391】
実施例41による化合物
7−[(4−メトキシ−フェニル)−モルホリン−4−イル−メチル]−キノリン−8−オール
【0392】
【化61】

EOAI3328317 VIT−1061
MW:350.42
製造者:Enamine
HPLC MS:[m/z]:351。
【0393】
図41に結果を示してある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化1】

[式中、
、RおよびRは、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−ヒドロキシル、
−ハロゲン、
−シアノ、
−ニトロ、
−カルボキシル、
−スルホン酸基(−SOH)、
−置換されていても良いアミノカルボニル、
−置換されていても良いアミノスルホニル、
−置換されていても良いアミノ、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアシル、
−置換されていても良いアルコキシカルボニル、
−置換されていても良いアシルオキシ、
−置換されていても良いアルコキシ、
−置換されていても良いアルケニル、
−置換されていても良いアルキニル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
は、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルケニル、
−置換されていても良いアルキニル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
は、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルケニル、
−置換されていても良いアルキニル、
−置換されていても良いアシル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
およびRは、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルケニル、
−置換されていても良いアルキニル、
−置換されていても良いアシル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択されるか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い5から8員環を形成しており、その環はさらなるヘテロ原子を含んでいても良い。]
【請求項2】
、RおよびRが、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−ヒドロキシル、
−ハロゲン、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルコキシ、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
が、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
が、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール;
−置換されていても良いアシル
からなる群から選択され;
およびRが、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択されるか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い5から8員環を形成しており、その環がさらなるヘテロ原子を含んでいても良い、請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項3】
、RおよびRが、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−ヒドロキシル、
−ハロゲン、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルコキシ
からなる群から選択され;
が、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
が、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアシル
からなる群から選択され;
およびRが、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択されるか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い5から6員環を形成しており、その環がさらなるヘテロ原子を含んでいても良い、請求項1または2に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項4】
、RおよびRが、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−ヒドロキシル、
−ハロゲン、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアルコキシ
からなる群から選択され;
が、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択され;
が、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアシル
からなる群から選択され;
およびRが、同一であるか異なっており、それぞれ
−水素、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
からなる群から選択されるか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い5から6員環を形成しており、その環はさらなるヘテロ原子を含んでいても良い、請求項1から3のうちの1以上に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項5】
下記:

−水素;

−水素、
−ハロゲンまたは
−置換されていても良いアルキル、特にはシクロアルキル置換されたアルキル;

−水素、
−置換されていても良いアルキル、特には置換されていても良いアリールアルキルまたは置換されていても良いヘテロアリールアルキル、または
−置換されていても良いアシル、特には置換されていても良いアロイルまたは置換されていても良いヘテロアロイル;
およびRが同一であるか異なっており、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
を示すか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い6員環を形成しており、その環はさらなるヘテロ原子を含むことができ;

−水素、
−置換されていても良いアリールまたは
−置換されていても良いヘテロアリール;ならびに

−水素
を有する、請求項1から4のうちの1以上に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項6】
下記:

−水素;

−水素または
−ハロゲン;

−水素、または
−置換されていても良いアシル、特には置換されていても良いアロイルまたは置換されていても良いヘテロアロイル;
およびRは同一であるか異なっており、
−水素、
−置換されていても良いアリール、
−置換されていても良いヘテロアリール
を示すか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和もしくは不飽和の置換されていても良い6員環を形成しており、その環はさらなるヘテロ原子を含むことができ;

−水素、
−置換されていても良いアリール、または
−置換されていても良いヘテロアリール;ならびに

−水素;
を有する、請求項1から5のうちの1以上に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項7】
が水素であり、
が、
−水素、
−塩素または
−モルホリニルメチルなどのモルホリニルアルキル
から選択され;
が、
−水素、
−置換されていても良いベンジルまたは
−置換されていても良いフロイルまたは置換されていても良いベンゾイル
から選択され;
およびRが同一であるか異なっており、
−水素、
−置換されていても良いアルキル、
−置換されていても良いヘテロアリール
を示すか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和の置換されていても良い6員環を形成しており、該環は1個もしくは0個のさらなるヘテロ原子を含み;
が、
−水素、
−ハロゲン−、アルキル−、アルコキシ−、アミノカルボニル−もしくはシアノ置換されていても良いフェニルまたは
−置換されていても良いピリジニル、ピラジニル、イミダゾリルもしくはチエニル
を示し;
が水素である、
請求項1から6のうちの1以上に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項8】
が水素であり、
が、
−水素または
−塩素
から選択され;
が、
−水素、または
−置換されていても良いフロイルまたは置換されていても良いベンゾイル
から選択され;
およびRが同一であるか異なっており、
−水素、
−置換されていても良いヘテロアリール
を示すか、
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、飽和の置換されていても良い6員環を形成しており、該環がさらなるヘテロ原子を含み;
が、
−水素、
−ハロゲン置換されていても良いフェニルまたは
−ピリジニル
を示し;
が水素である、
請求項1から7のうちの1以上に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項9】
前記置換基R、R、R、R、R、RおよびRのうちの少なくとも一つが請求項5から8のうちのいずれか1項で定義の通りである請求項1、2、3または4のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
下記のものから選択される請求項1から9のうちの1以上に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化2】





【請求項11】
下記の化合物が除外される請求項1から10のうちの1項以上に記載の化合物。
【化3】






【請求項12】
請求項1から11のうちの1以上に記載の化合物の製造方法であって、
a)アミノアルキル化として、式(II)の化合物:
【化4】

[R、RおよびRは上記の定義を有する。]を式(III)および(IV)の化合物:
【化5】

[R、RおよびRは上記の定義を有する。]と反応させて、式(I′)の化合物:
【化6】

を得る段階;および
(b)式(I′)の化合物を式R−Xの化合物[Rは上記で定義の通りであり、Xはハロゲンなどの通常の脱離基である。]と反応させて、式(I)の化合物を得る段階を含む、製造方法。
【請求項13】
医薬として使用される請求項1から11のうちの1以上に記載の化合物。
【請求項14】
下記の化合物を除く、医薬として使用される請求項1から11のうちの1以上に記載の化合物。
【化7】



【請求項15】
鉄代謝障害の治療に用いられる、特には鉄欠乏性疾患および/または貧血、特に癌に伴う貧血、化学療法によって誘発される貧血、炎症によって誘発される貧血(AI)、鬱血性心臓機能不全(CHF;鬱血性心不全)に伴う貧血、慢性腎不全段階3から5(CKD3−5;慢性腎臓病段階3から5)に伴う貧血、慢性炎症によって誘発される貧血(ACD)、リウマチ性関節炎(RA;関節リウマチ)に伴う貧血、全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う貧血および炎症性腸疾患(IBD;炎症性腸疾患)に伴う貧血に用いられる請求項1から11のうちの1以上に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1から11のうちの1以上に記載の化合物のうちの1以上、および1以上の医薬担体および/または補助物質および/または溶媒を含む組成物。
【請求項17】
請求項1から11のうちの1以上に記載の化合物のうちの1以上および少なくとも一つの更なる医薬活性化合物、特には鉄代謝障害および関連症状の治療用の化合物、好ましくは鉄含有化合物を含む組み合わせ製剤。
【請求項18】
ヘプシジン介在疾患および関連症状の治療用の医薬製造における請求項1から11のうちの1以上に記載の化合物、請求項16に記載の組成物および請求項17に記載の組み合わせ製剤の使用。
【請求項19】
鉄代謝障害、特には鉄欠乏性疾患および/または貧血、特にはACDおよびAI並びにそれらの随伴症状の治療のための医薬製造における、請求項1から11のうちの1以上に記載の化合物、請求項16に記載の組成物および請求項17に記載の組み合わせ製剤の使用。
【請求項20】
経口投与もしくは非経口投与用の医薬製造における、請求項1から11のうちの1以上に記載の化合物、請求項16に記載の組成物および請求項16に記載の組み合わせ製剤の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公表番号】特表2013−502399(P2013−502399A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525174(P2012−525174)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062117
【国際公開番号】WO2011/020886
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(509203050)ヴィフォール (インターナショナル) アクチェンゲゼルシャフト (8)
【氏名又は名称原語表記】Vifor (International) AG
【Fターム(参考)】