説明

新規なテトラヒドロピリジン誘導体

【課題】一般式(I)の新規なテトラヒドロピリジン誘導体および医薬組成物の製造における活性成分としての上記誘導体の使用を提供する。
【解決手段】本発明は、一般式(I)の新規なテトラヒドロピリジン誘導体および医薬組成物の製造における活性成分としての上記誘導体の使用により達成される。本発明は、また、前記誘導体の製造方法、前記誘導体の一つまたは一つ以上を含む医薬組成物、特にレニン阻害剤としてのそれらの使用によっても達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)の新規な5員ヘテロアリール誘導体に関する。本発明は、また、該化合物の調製法、式(I)の化合物の1種または1種以上を含む医薬組成物、およびとりわけ心臓血管障害および腎不全におけるレニン阻害剤としてのそれらの使用を含む関連側面に関する。
【0002】
レニン・アンギオテンシン系(RAS)において、生理活性物質であるアンギオテンシンII(AngII)が、2段階機構によって生成される。特異性の高い酵素であるレニンがアンギオテンシノーゲンを切断して、アンギオテンシンI(AngI)にする。これがさらに、それほど特異的ではないアンギオテンシン変換酵素(ACE)によって処理されて、AngIIになる。AngIIは、ATおよびATと呼ばれる少なくとも2つの受容体サブタイプに作用することが知られている。ATは、AngIIの既知の機能のほとんどを伝達するようであるが、ATの役割はいまだ不明である。
【0003】
RASの調節は、心臓血管疾患の治療における大きい進歩を意味している。ACE阻害剤およびAT遮断剤は、高血圧の治療のためにすでに受入れられている(例えば、非特許文献1および2参照。)。さらに、ACE阻害剤は、腎保護のために(例えば、非特許文献3、4参照。)、うっ血性心不全の予防に(例えば、非特許文献5および6参照。)および心筋梗塞の予防に(例えば、非特許文献7参照。)使用されている。
【0004】
レニン阻害剤開発の理論的根拠は、レニンの特異性である(例えば、非特許文献8参照。)。レニンに対して既知の唯一の基質が、アンギオテンシノーゲンであり、これはレニンによって(生理的条件下で)作用を受けうるだけである。これに対し、ACEは、AngI以外にブラジキニンをも切断でき、セリンプロテアーゼであるキマーゼによって代替されうる(例えば、非特許文献9参照。)。かくして、患者でのACE阻害はブラジキニン蓄積に至らしめ、これが咳(5−20%)ならびに致命的となる可能性のある血管神経性浮腫(0.1−0.2%)の原因となる(例えば、非特許文献10参照。)。キマーゼはACE阻害剤によって阻害されない。それゆえ、ACE阻害剤処置患者において、AngIIの生成がなお可能である。他方、AT受容体の(例えば、ロサルタンによる)遮断は、AT受容体の遮断によってその濃度が劇的に上昇したAngIIに他のAT−受容体サブタイプを過剰暴露させることになる。要するに、レニン阻害剤は、RASのその安全性に関してACE阻害剤およびAT遮断剤と異なる薬理学的側面を示すことが期待されるだけでなく、より重要なことであるが、それらのRAS遮断効果についても異なると期待される。
【0005】
レニン阻害剤は、それらのペプチド擬似性のために経口活性が不十分であるので(例えば、非特許文献11参照。)、それらを用いたきわめて限られた臨床経験(例えば、非特許文献12および13参照。)が得られているだけである。数種の化合物の臨床開発が、この問題ならびに製品の高価格のゆえに中止されている。4つのキラル中心をもつ1種の化合物のみが、臨床試験に入っている(例えば、非特許文献14および15参照。)。このように、経口で生体利用率がよく、作用が長期間持続するレニン阻害剤が、要望されている。最近、高いガラス器内活性を示す最初の非ペプチドレニン阻害剤類が記載されている(例えば、非特許文献16、特許文献1および非特許文献17参照。)。しかしながら、これらの化合物の開発状況は不明である。
【0006】
【非特許文献1】W・H・ベルケンハーゲル(Berkenhager)、J・L・リード(Reid)(編):高血圧(Hypertension)、アムステルダム、エルセヴィア・サイエンス・パブリッシング・カンパニー(Elsevier Science Publishing Co)、1996、489−519のB・ウェーバー(Waeber)ら、「レニン・アンギオテンシン系:実験的およびヒトの高血圧における役割」
【非特許文献2】M・A・ウェーバー(Weber)、アメリカン・ジャーナル・オブ・ハイパーテンション(Am. J. Hypertens)、1992、5、247S
【非特許文献3】M・E・ローゼンベルク(Rosenberg)ら、キドニー・インタナショナル(Kidney International)、1994、45、403
【非特許文献4】J・A・ブライヤー(Breyer)ら、キドニー・インタナショナル、1994、45、S156
【非特許文献5】D・E・ヴォーン(Vaughan)ら、カーディオヴァスキュラー・リサーチ(Cardiovasc. Res.)、1994、28、159
【非特許文献6】F・フォウアド-タラジ(Fouad-Tarazi)ら、アメリカン・ジャーナル・オブ・メディシン(Am. J. Med.)、1988、84(補遺3A)、83
【非特許文献7】M・A・ファイファー(Pfeffer)ら、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(N. Eengl. J. Med.)、1992、327、669
【非特許文献8】H・D・クライネルト(Kleinert)、カーディオヴァスキュラー・ドラッグズ(Cardiovasc. Drugs)、1995、9、645
【非特許文献9】A・フサイン(Husain)、ジャーナル・オブ・ハイパテンション(J. Hypertens.)、1993、11、1155
【非特許文献10】Z・H・イズレイリ(Israili)ら、アナルズ・オブ・インターナル・メディシン(Annals of Internal Medicine)、1992,117,234
【非特許文献11】H・D・クライネルト(Kleinert)、カーディオヴァスキュラー・ドラッグズ、1995,9,645
【非特許文献12】M・アジジ(Azizi)ら、ジャーナル・オブ・ハイパテンション、1994,12,419
【非特許文献13】J・M・ニューテル(Neutel)ら、アメリカン・ハート(Am. Heart )、1991,122,1094
【非特許文献14】J.ラフエル(Rahuel)ら、ケミストリー・アンド・バイオロジー(Chem. Biol.)、2000、7、493
【非特許文献15】N・E・ミーリー(Mealy)、ドラッグズ・オブ・ザ・フューチャー(Drugs of the Future)、2001、26、1139
【非特許文献16】C・エフナー(Oefner)ら、ケミストリー・アンド・バイオロジー(Chem. Biol.)、1999、6,127
【特許文献1】国際公開第97/09311
【非特許文献17】H・P・メルキ(Marki)ら、イル・ファルマコ(Il Farmaco)、2001、56,21
【0007】
本発明は、非ペプチド性で、低分子量のレニン阻害剤の同定確認に関するものである。組織のレニン・キマーゼ系が活性化されて、腎、心臓および血管のリモデリング、アテローム性動脈硬化、あるいは再狭窄などの病的に変化した局所機能に至らしめる可能性のある血圧調節の範囲を超えた適応症において活性な持続性の経口活性レニン阻害剤を記述する。それで、本発明は非ペプチド性レニン阻害剤を記載する。
【0008】
以下の段落は、本発明に基く化合物を構成する各種の化学部分の定義を記載し、これらとは別の明白に表示された定義がより広義の定義を与えないかぎり、明細書および請求項を通じて一様に適用されるものである。
【0009】
用語の低級アルキルは、単独でまたは他の基と組み合わせて、1乃至7個、好ましくは1乃至4個の炭素原子をもつ飽和の直鎖および分岐鎖の基を意味し、これらはハロゲンによって任意に置換されていてもよい。低級アルキル基の例はメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルである。メチル、エチルおよびイソプロピル基が好ましい。
【0010】
用語の低級アルコキシは、R-O基で示され、Rは低級アルキルである。低級アルコキシ基の例はメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ-プロポキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシおよびtert-ブトキシである。
【0011】
用語の低級アルケニルは、単独であるいは他の基と共に、オレフィン結合を含み、2乃至7個、好ましくは2乃至4個の炭素原子からなる直鎖および分岐鎖の基を意味し、これらはハロゲンで任意に置換されていてもよい。低級アルケニルの例は、ビニル、プロペニルまたはブテニルである。
【0012】
用語の低級アルキニルは、単独でまたは他の基と共に、三重結合を含み、2乃至7個、好ましくは2乃至4個の炭素原子からなる直鎖および分岐鎖の基を意味し、これらはハロゲンで任意に置換されていてもよい。低級アルキニルの例は、エチニル、プロピニルまたはブチニルである。
【0013】
用語の低級アルキレンは、単独でまたは他の基と共に、1乃至7個、好ましくは1乃至4個の炭素原子の直鎖および分岐鎖の2価の基を意味し、これらはハロゲンで任意に置換されていてもよい。低級アルキレンの例はメチレン、エチレン、プロピレンまたはブチレンである。
【0014】
用語の低級アルケニレンは、単独でまたは他の基と共に、オレフィン結合を有し、2乃至7個、好ましくは2乃至4個の炭素原子からなる直鎖および分岐鎖の2価の基を意味し、ハロゲンで任意に置換されていてもよい。低級アルケニレンの例はビニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0015】
用語の低級アルキレンジオキシは、低級アルキレンの両末端が酸素原子で置換されたものを意味する。低級アルキレンジオキシ基の例は、メチレンジオキシおよびエチレンジオキシが好ましい。
【0016】
用語の低級アルキレンオキシは、低級アルキレンの1末端が酸素原子で置換されているものを意味する。低級アルキレンオキシ基の例はメチレンオキシ、エチレンオキシおよびプロピレンオキシが好ましい。
【0017】
用語のハロゲンは、フッ素、塩素、臭素または沃素を意味し、好ましくはフッ素、塩素および臭素である。
【0018】
用語のシクロアルキルは、単独でまたは組み合わせて、3乃至7個の炭素原子をもつ飽和環式炭素環系を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルであり、これらは低級アルキル、低級アルケニル、低級アルケニレン、低級アルコキシ、低級アルキレンオキシ、低級アルキレンジオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、-CF、-NR、-NRC(O)R、-NRS(O)2、C(O)NR、低級アルキルカルボニル、-COOR、-SR、-SOR、-SO、SONRにより任意にモノ-、ジ-またはトリ置換されていてもよい。シクロプロピル基が好ましい基であり、ここで、RおよびRは以下の式(I)で定義される意味を有し、別のアリール、別のヘテロアリールまたは別のヘテロシクリルなどを有する。
【0019】
用語のアリールは、単独であるいは組み合わせて、フェニル、ナフチルまたはインダニル基、好ましくはフェニル基を言い、これらは、独立して、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール環とで5員または6員環を形成する低級アルケニレンまたは低級アルキレン、低級アルコキシ、低級アルキレンジオキシ、低級アルキレンオキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ-低級アルキル、ハロゲン、シアノ、-CF、-OCF、-NR、-低級アルキル-NR-、-NRC(O)R、-NRS(O)、-C(O)NR、-NO、低級アルキルカルボニル、-COOR、-SR、-S(O)R、-S(O)、-SONR、ベンジルオキシによって任意にモノ-、ジ-、トリ-、テトラ-またはペンタ-置換されていてもよい。好ましい置換基はハロゲン、低級アルコキシ、および低級アルキルである。置換基のRおよびRは下記の式(I)に記載する意味を有する。
【0020】
置換基Uについて、用語のアリールは例えばフェニル基を意味し、該基はフッ素または塩素で独立してモノ-、ジ-、トリ-、テトラ-または-ペンタ-置換され、例えば、2-クロロ-3,6-ジフルオロ-フェニルなどである。
【0021】
置換基Mについて、用語のアリールは例えばフィニル基を意味し、該基はフッ素または塩素で独立してモノ-、ジ-、トリ-、テトラ-または-ペンタ-置換され、例えば、3,6-ジクロロ-フェニルなどである。
【0022】
用語のアリールオキシはAr-O-基を言い、ここで、Arはアリールである。アリールオキシ基の例はフェノキシである。
【0023】
用語のヘテロシクリルは、単独でまたは組み合わせて、1個または2個の窒素、酸素または硫黄原子を含み、これらは同一または異なっていてもよい、飽和または不飽和(ただし、芳香族でない)の5、6または7員環を意味し、これらの環は、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシおよびハロゲンで任意に置換されてもよい。窒素原子は、もし存在するなら、-COOR基で置換されていてもよい。ここで、Rは下記式(I)に定義された意味を有する。このような環の例は、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、1,4-ジオキサニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピロリル、イミダゾリジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルである。
【0024】
用語のヘテロアリールは、単独でまたは組み合わせて、1個乃至4個の窒素原子を含む6員の芳香族環;1個乃至3個の窒素原子を含むベンゼン縮合6員芳香族環;1個の酸素、1個の窒素または1個の硫黄原子を含む5員芳香族環;1個の酸素、1個の窒素または1個の硫黄原子を含むベンゼン縮合5員芳香族環;1個の酸素および1個の窒素原子を含む5員芳香族環およびこれらのベンゼン縮合誘導体;硫黄および窒素または酸素原子を含む5員芳香族環およびこれらのベンゼン縮合誘導体;2個の窒素原子を含む5員芳香族環およびこれらのベンゼン縮合誘導体;3個の窒素原子を含む5員芳香族環およびこれらのベンゼン縮合誘導体、またはテトラゾリル環を意味する。このような環系の例は、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾリル、トリアジニル、チアジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、クマリニル、ベンゾチオフェニル、キナゾリニル、キノキサリニルである。これらの環は、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキレンジオキシ、低級アルキレンオキシ、ヒドロキシ-低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、-CF、-OCF、-NR、-NR-低級アルキル、-N(R)COR、-N(R)SO、-CONR、-NO、低級アルキルカルボニル、-COOR、-SR、-S(O)R、-S(O)、-SONR、ここで、RおよびRは下記一般式(I)に定義する意味を有し、別のアリールまたは別のヘテロアリールまたは別のヘテロシクリル等で適当に置換されていてもよい。別の具体例では、上記置換基に加え、ヘテロアリールはさらにヒドロキシ-低級アルキレン-オキシ基で置換されていてもよい。ここで、低級アルキレンは上記に定義したものと同義である(低級アルキレンについての好ましい例はエチレンである)。
【0025】
置換基Wについては、用語のヘテロアリールは例えばピリジニル、チアゾイル、オキサゾイルおよびイソキサゾイルを意味する。置換基Uについては、用語のヘテロアリールは例えばイソキサゾイル、ピラゾイルを意味する。置換基Mについては、用語のヘテロアリールは例えば低級アルキル、ヒドロキシ-低級アルキレン-オキシ、低級アルコキシで置換されたピリジニル、例えば2-メトキシ-3-メチルピリジン-4-イルを意味する。好ましい例は2-(3-ヒドロキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-4-イルメチルである。
【0026】
用語のヘテロアリールオキシはHet-O基を言い、ここで、Hetはヘテロアリールである。
【0027】
用語のヘテロアリール-低級アルキルは、上記で定義したと同じヘテロアリールが上記で定義したと同じ低級アルキル基に結合しているものを意味する。例としてはピリジニル-メチルである。 更なる例は、メチル基に結合した次のへテロアリール基である: フラニル、 チオフェニル、 ピロリル、 ピリミジニル、 インドリル、 キノリニル、 イソキノリニル、 イミダゾリル、 トリアジニル、 チアジニル、 チアゾリル、 イソチアゾリル、 ピリダジニル、 ピラゾリル、 オキサゾリル、イソキサゾリル、 クマリニル、 ベンゾチオフェニル、 キナゾリニルおよびキノキサリニル。
【0028】
用語のアリール-低級アルキルは、上記定義と同じアリールが上記定義と同じ低級アルキル基に結合したものを意味する。 例としてはフェニル-メチル (ベンジル)である。 更なる例としてはメチル基に結合した次のアリール基:ナフチルおよびインダニルである。
【0029】
用語のシクロアルキル-低級アルキルは上記で定義したと同じシクロアルキルが上記で定義したと同じ低級アルキル基に結合したものを意味する。 例としてはシクロプロピル-メチルである。 更なる例としてはメチル基に結合した次のシクロアルキル基: シクロブチル、 シクロペンチル、 シクロヘキシルおよびシクロヘプチルである。
【0030】
シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびアリールなる表現に関して略述した置換基は、一般式(I)の定義および請求項1乃至5における定義では、明瞭の理由で省略されているが、一般式(I)の定義や請求項1乃至5における定義は、そこに含まれているものと解すべきである。
【0031】
用語の医薬品として許容し得る塩は、塩酸または臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、マレイン酸、酒石酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等で、生きている生体に対して非毒性である無機酸または有機酸との塩、または一般式(I)の化合物が事実上酸性である場合、アルカリまたはアルカリ土類塩基などの無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等との塩のどちらかの塩を包含する。
【0032】
一般式(I)の化合物は、1個又は複数の不斉炭素原子を含み、光学的に純粋なエナンチオマー、ラセミ体等のエナンチオマーの混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体の混合物、およびそのメソ形および医薬品として許容可能な塩類の形態で製造できる。
【0033】
本発明は、これら全ての形態を包含する。混合物は、それ自体は、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーまたは結晶化等の既知の方法で分離可能である。
【発明の開示】
【0034】
本発明の第一の側面は、一般式(I)の新規なテトラヒドロピリジン誘導体にある。
【化2】

式中、

XおよびYは、独立して、水素、フッ素またはメチル基を表し;XおよびYは、両方とも同時に水素を表すことはなく、またはXおよびYは、共にシクロプロピル環を形成することができる;

Wは、フェニルまたはヘテロアリール環を表し、該ヘテロアリール環は6員の非縮合環であり、該フェニル環および該ヘテロアリール環は、3位または4位がVで置換されている;

Vは、-(CH)-;-A-(CH)-;-CH-A-(CH)-;-(CH)-A-;-(CH)-A-(CH)-;-A-(CH)-B-;-CH-CH-CH-A-CH-;-A-CH-CH-B-CH-;-CH-A-CH-CH-B-;-CH-CH-CH-A-CH-CH2-;-CH-CH-CH-CH-A-CH-;-A-CH-CH-B-CH-CH-;-CH-A-CH-CH-B-CH-;-CH-A-CH-CH-CH-B-;-CH-CH-A-CH-CH-B-;-O-CH-CH(OCH)-CH-O;-O-CH-CH(CH)-CH-O-;-O-CH-CH(CF)-CH-O-;-O-CH-C(CH)-CH-O-;-O-CH-C(CH)-O-;-O-C(CH)-CH-O-;-O-CH-CH(CH)-O-;-O-CH(CH)-CH-O-;-O-CH-C(CHCH)-O-または-O-C(CHCH)-CH-O-を表す;

AおよびBは、独立して-O-;-S-;-SO-または-SO-を表す;

Uは、アリールまたはヘテロアリールを表す;

Tは、-CONR-;-(CH)OCO-;-(CH)N(R)CO-;-(CH)N(R)SO-;-COO-;-(CH)OCONR-または-(CH)N(R)CONR-を表す;

およびRは、独立して、水素;低級アルキル;低級アルケニル;低級アルキニル;シクロアルキル;アリール-低級アルキル、ヘテロアリール-低級アルキルまたはシクロアルキル-低級アルキルを表す;

Qは、低級アルキレンまたは低級アルケニレンを表す;

Mは、水素;シクロアルキル;アリール;ヘテロシクリルまたはヘテロアリールを表す;

pは、整数1、2、3または4である;
rは、整数3、4、5、または6である;
sは、整数2、3、4または5である;
tは、整数1、2、3または4である;
uは、整数1、2または3である;
vは、整数2、3または4である;
【0035】
本発明の具体例では、さらに、上記に記載したと同じ一般式(I)のテトラヒドロピリジン誘導体は、医薬品として許容可能な塩類、溶媒複合物および形態学的形状と同様に、光学的に純粋なエナンチオマー、ラセミ体等のエナンチオマー混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体混合物、およびそのメソ形をも包含する。
【0036】
一般式(I)の好ましい化合物のグループは、X、Y、V、WおよびUが、一般式(I)で定義したものと同義であり;Tが-CONR-を表し;Qが低級アルキレンを表し、Mが水素、アリールまたはヘテロアリールを表す化合物である。
【0037】
一般式(I)の好ましい化合物の別のグループは、X、Y、W、T、QおよびMが一般式(I)で定義したものと同義であり、Vが-CHCHO-;-CHCHCHO-;-OCHCHO-または-CHCHCHOCHO-を表し、Uが一般式(I)で定義したものと同義である化合物である。
【0038】
一般式(I)のさらに好ましい化合物のグループは、X、Y、V、U、T、QおよびMが一般式(I)で定義したものと同義であり、Wは4位がVで置換されたフェニルを表す化合物である。
【0039】
一般式(I)の化合物は、とりわけ、さらに好ましいものは、W、V、U、T、QおよびMが一般式(I)で定義したものと同義であり、XおよびYが共にシクロプロピル基を形成する化合物である。

本発明の別の具体例では、AおよびBは、独立して、-O-を表す。

本発明の別の具体例では、RおよびRは、独立して、シクロプロピルなどのシクロアルキルを表す。

-A-(CH)s-などの上記で定義したと同じ基Vは、一般式Iの化合物に組み入れられて、A はUに結合し、-A-(CH)s-のアルキレン部分はWに結合する。
【0040】
好ましい具体例では、pは整数1を表す。
好ましい具体例では、rは整数3または4を表す。
好ましい具体例では、sは整数2または3を表す。
好ましい具体例では、tは整数1または2を表す。
好ましい具体例では、uは整数1または2を表す。
好ましい具体例では、vは整数2または3を表す。さらに好ましい具体例では、vは整数2を表す。
【0041】
一般式(I)の最も好ましい化合物は下記からなるグループから選ばれる化合物である:

8-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5-アザ-スピロ[2.5]-7-オクテン-7-カルボン酸シクロプロピル-(2,3-ジクロロベンジル)アミド;

4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジメチル-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-カルボン酸シクロプロピル-(2,3-ジクロロベンジル)アミド;

4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジメチル-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-カルボン酸シクロプロピル-(2-メトキシ-3-メチルピリジン-4-イルメチル)アミド;

8-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5-アザ-スピロ[2.5]-7-オクテン-7-カルボン酸シクロプロピル-(2-メトキシ-3-メチルピリジン-4-イルメチル)-アミド;

8-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5-アザスピロ[2.5]-7-オクテン-7-カルボン酸シクロプロピル-[2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-4-イルメチル]アミド;

4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジメチル-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-カルボン酸シクロプロピル-[2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-4-イルメチル]アミド;

4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジフルオロ-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-カルボン酸シクロプロピル-(2,3-ジクロロベンジル)アミド。
【0042】
本発明は、高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、腎〔機能〕障害、腎虚血、腎不全、腎線維症、心不全、心臓肥大、心臓線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎疝痛、腎症などの糖尿病に由来する合併症、血管障害および神経障害、緑内障、眼内圧上昇、アテローム性動脈硬化、血管形成後の再狭窄、血管または心臓外科手術後の合併症、勃起障害、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安神経症、認知障害、免疫抑制剤治療の合併症に関連する疾患、およびレニン-アンギオテンシン系に関連する既知のその他の疾患の治療および/または予防のための方法であって、該方法はヒトまたは動物に上記に定義した化合物を投与することからなる。
【0043】
別の具体例では、本発明は、高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、腎〔機能〕障害、腎虚血、腎不全、腎線維症、心不全、心臓肥大、心臓線維症、心筋虚血、心筋症、腎症などの糖尿病に由来する合併症、血管障害および神経障害に関連する疾患の治療および/または予防のための方法である。
【0044】
別の具体例では、本発明は、上記の疾患の治療のためと同様にレニン-アンギオテンシン系(RAS)の調節不全と関連した疾患の治療および/または予防のための方法である。
【0045】
本発明は、また、上記した疾患の治療および/または予防のための薬剤を調製するため一般式(I)の化合物の使用に関する。
【0046】
本発明の側面は、さらに、一般式(I)に基く少なくとも一つの化合物および薬理学的に許容できる担体物質および補助剤を含む医薬組成物に関する。この医薬組成物は上記疾患の治療または予防のため、並びに上記疾患の治療および/または予防のための薬剤調製のために用いることができる。
【0047】
一般式(I)の誘導体または上記医薬組成物は、また、上記疾患の予防または治療のために、ACE阻害薬、中性エンドペプチダーゼ抑制剤、アンギオテンシンII受容体拮抗薬、エンドセリン受容体拮抗薬、血管拡張薬、カルシウム拮抗薬、カリウム活性化剤、利尿薬、交感神経遮断薬、β-アドレナリン拮抗薬、α-アドレナリン拮抗薬を含むその他の薬理学的に活性な化合物と組み合わせて、または上記疾患の予防または治療に有益なその他の薬剤と組み合わせても使用できる。
【0048】
好ましい具体例では、この用量は一日当り2mg〜1000mgである。

特に好ましい具体例では、この用量は一日当り1mg〜500mgである。

もっと好ましい具体例では、この用量は一日当り5mg〜200mgである。

上記一般式(I)によって含まれる活性成分をもたらすあらゆる形のプロドラッグは本発明に含まれる。
【0049】
式(I)の化合物および医薬品として許容可能な同化合物の酸付加塩を、例えば式(I)の少なくとも一つの化合物および薬理学的に許容可能な不活性な担体物質または補助剤を含む医薬組成物の形で薬剤として使用できる。これらの医薬組成物は、経腸投与、非経口投与、あるいは局所投与の医薬品の形で用いることができる。例えば、これらは、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬ゼラチンカプセルおよび軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤または懸濁剤等の形で経口的に、坐薬等の形で直腸から、注射液や輸液の形で非経口的に、あるいは軟膏、クリームまたはオイル等の形で局所的に投与(塗布)できる。
【0050】
医薬品の製造は、説明している式(I)の化合物および医薬品として許容可能な同化合物の酸付加塩を、任意で他の治療的に有用な物質と組合わせて、当該技術に熟練した者によく知られている方法で、適切で、無毒性で、不活性な治療的に適合性のある固形または液体のキャリアー物質とともに、もし必要な場合は、通常の製薬補助剤を加えて、製剤形態にして、達成できる。
【0051】
適しているキャリアー物質としては、無機キャリアー物質だけではなく、有機キャリアー物質もある。したがって、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠および硬ゼラチンカプセルのキャリアー物質として、ラクトース、コーンスターチまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩を用いることができる。軟ゼラチンカプセルに適したキャリアー物質には、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固形ポリオールおよび液体ポリオールがある(ただし、軟ゼラチンカプセルでは、有効成分の性質によってはキャリアーが不要の場合がある)。液剤およびシロップの製造に適したキャリアー物質は、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖などである。注射液に適するキャリアー物質は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロールおよび植物油などである。適当な坐薬に適したキャリアー物質は、例えば、天然油および硬化油、ワックス、脂肪および半固形または液体ポリオールである。局所用製剤に適したキャリアー物質は、グリセリド、半合成グリセリドおよび合成グリセリド、硬化油、液体ワックス、液体パラフィン、液体脂肪アルコール、ステロール、ポリエチレングリコールおよびセルロース誘導体である。
【0052】
製薬補助剤として考慮対象となるのは、通常の安定剤、保存料、湿潤剤および乳化剤、コンシステンシー改善剤、フレーバー改善剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝物質、可溶化剤、着色剤、マスキング剤および酸化防止剤である。
【0053】
式(I)の化合物の用量は、コントロールの対象となる疾患、患者の年齢および個人的な条件、投与方法に応じて幅広い範囲内で変化し、もちろん、個々の具体的な事例の個別要件に合わせることになる。
【0054】
本発明の別の側面は、一般式(I)の誘導体を含む医薬組成物の調製のための方法に関する。当該方法に基いて、一般式(I)の一つまたは複数の活性成分をそれ自体既知の方法により不活性な賦形剤と混合する。
【0055】
一般式(I)の化合物は、以下に記載される方法、実施例に記載する方法または類似方法によって製造できる。
【0056】
本発明に例示されたテトラヒドロピリジン誘導体は、次の一般方法および手順を用いて、容易に入手できる出発物質から調製できる。最適な反応条件は特定の反応または使用する溶媒により変化しうるが、このような条件は決まりきった最適手順によって当該技術に熟練した者により決められる。
【0057】
前駆体の調製:

前駆体は主要中間体および/または構成要素として調製される化合物であり、同時実行化学でのさらなる転換に適する。
【0058】
例えば、タイプAの化合物は既知の4-オキソピペリジン誘導体(スキーム1)から調製され、ここで、PGは適当な保護基である。それに続くアシル化はタイプBの化合物に導き(M Majewskiら; J. Org. Chem., 1995, 60, 5825)、ここで、Rは適当なエステル(例えば、エチル、メチルおよびベンジル)である。
【化3】

【0059】
ピペリジニルの5-位にあるシクロプロピル基の代わりに1個または2個のメチル基で置換された式Bの化合物は、既知の出発物質から類似方法、あるいは既知の次の文献(特許出願WO2001000577)によって調製できる。ビニルトリフラートCの生成、その後に続くPd(O)錯体の触媒作用によるカップリングでタイプDのテトラヒドロピリジン誘導体に至る。ここで、Rは一般式(I)で定義したと同じ任意のU-V基か、あるいはこのような基の化学前駆体を任意に表す(スキーム2)。
【化4】

【0060】
タイプDの化合物は、タイプEの化合物にトランス保護され、次いで、ミツノブ反応を用いてフェノールまたは芳香族アルコールにカップリングしてタイプFの誘導体に導く。ここで、該誘導体のVおよびUは上述の一般式Iで定義した意味を有する。エステルFは前駆体Gを導くために任意の適当な方法で任意に切断される(スキーム3)。
【化5】

【0061】
また、タイプDの化合物はタイプMの化合物に還元でき、次いでタイプNの化合物に酸化されうる(スキーム4)。アルデヒドNは次いで還元的アミノ化反応によってタイプOの化合物に変換でき、さらにタイプQ'の誘導体にアシル化できる。ここで、該誘導体中のQおよびMは上述した一般式(I)で定義した意味を有する。他方、タイプMの化合物は次に示す標準的な方法でエステルまたはタイプPのカルバメートにし、その後アシル化することができる。
【化6】

【0062】
モノフッ素化誘導体の調製は市販から入手できる窒素原子が保護されたピペリジン-4-オンSから出発できる(スキーム5)。DASTまたはSelectfluor(登録商標)のようなF+-合成素子を与える試薬によるフッ素化はタイプS’の誘導体を導くことができる。ニトリロ酢酸メチルエステルによるアシル化は例えばタイプT’を導くことができる。次に類似の化学を上記したと同様に用いることができる(スキーム2-4)。
【化7】

【0063】
タイプT”のジフッ素化誘導体は別の方法によって調製しなければならない(スキーム6)。ホルムアルデヒドおよびベンゾトリアゾールを用いたN-ベンジル-b-アラニンエチルエステルの縮合は化合物Vを生成する。化合物Wはリフォマトスキー(Reformatsky)型試薬を用いた以下の反応によって得られる。その後、ディークマン(Dieckmann)環化により化合物C(スキーム2)の構造的に似ている化合物T”に導く。
【化8】

【0064】
ブロモアリール誘導体の調製
タイプDのテトラヒドロピリジン誘導体へのタイプCの化合物のカップリング反応に対して(スキーム2参照)、スキーム7に示した如く、必要とされるブロモアリール成分を調製することが必要である。タイプHの化合物を導く光延(Mitsunobu)カップリングまたはタイプJの化合物を導く塩化(または臭化)ベンジルを用いたアルコールのアルキル化反応は、しばしば最も便利な方法である。誘導体Kは、1-(3-クロロプロポキシメチル)-2-メトキシベンゼンから4-ブロモフェノールとの反応により1段階で生成できる[Vieira,E.ら、バイオオーガニック・アンド・メディシナル・ケミストリー・レターズ(Bioorg. Med. Chem. Letters)、第9巻、第1397頁(1999年)]。ウィリアムソン(Williamson)合成の様な、エーテルまたはチオエーテルを調製するための他の方法が同様に使用できる[March, J、”Advanced Organic Chemistry”、第5版、John Wiley and sons出版社(2001年)を参照]。
【0065】
【化9】

【0066】
最終化合物の調製
タイプG化合物は、V、UおよびMが上述された一般式(I)で示された意義をもつタイプLのアミドを生成するため、アミンとカップリングできる。N-保護基(PG)を除去し、タイプRの最終化合物を得る。最終化合物中のV、U、QおよびMは、上述された一般式(I)で示された意義を有する(スキーム8)。
【化10】

【0067】
タイプPまたはQ’化合物(スキーム4)は、また、スキーム3で示されるように、更に処理でき、スキーム8で示されるように脱保護され、一般式(I)で定義した最終化合物に至る。アミドカップリングの一般的方法およびBoc保護基の除去には次の2つの一般的方法が用いられる。
【0068】
一般的見解

次の化合物が、一般式(I)で包含される化合物の合成に対して、記述された方法に従って調製された。全化合物は、H-核磁気共鳴スペクトル分析法(300 MHz)および時には13C-核磁気共鳴スペクトル分析法(75 MHz)(バリアン オックスフォ−ド、300 MHz)により、そして高速液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS)により:A:2分<t<10分;(ウォーターズ マイクロマス;Alliance 2790 HTを持つESIプローブを装備したZMDプラットフォーム;カラム:2×30mm、グロムシルODS4、3μM、120A;グラディエント:0-100%アセトニトリル水溶液、6分、0.05%ギ酸、流速:0.45mL/分;t単位は分)、B:0.1分<t<2分;(HP110DADとHP110バイナリーポンプを持つESIプローブを装備したフィニガンAQA;カラム:ディベロシルRP-AQUEOUS、5μM、4.6mm×50mm;グラディエント:5-95%メタノール水溶液、(0.04%TFA)、1分、95%メタノール水溶液、(0.04%TFA)、0.4分、4.5mL/分)、それからTLC(メルク社製TLCプレート、シリカゲル60F254)により特徴付けられた。
【0069】
略語

ACE アンギオテンシン変換酵素
Ang アンギオテンシン
aq. 水性、水溶液
9-BBN 9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン
Bn ベンジル
Boc 第三級ブチルオキシカルボニル
BSA 牛血清アルブミン
BuLi n-ブチルリチウム
conc. 濃縮
DAST ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド
DIBAL 水素化ジイソブチルアルミニウム
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-N,N-ジメチルアミノピリジン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC・HCL エチル-N,N-ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩
EIA 酵素免疫測定法
eq. 当量(化学当量)
Et エチル
EtOAc 酢酸エチル
FC フラッシュクロマトグラフィー
HOBt 水酸化ベンゾトリアゾール
MeOH メタノール
org. 有機の
PBS リン酸緩衝溶液
PG 保護基
Ph フェニル
RAS レニン−アンギオテンシン系
RP18 C18炭化水素充填逆相カラム
rt 室温
Selectfluor(登録商標)
sol 溶液
TBAF テトラブチルアンモニウムフルオリド
TBDMS 第三級ブチルジメチルシリル
BuOH 第3級ブタノール
BuOK カリウム第三級ブチレート
Tf トリフルオロメチルスルホニル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
TMAD N,N,N',N'-テトラメチルアゾジカルボキシアミド
【0070】
一般的方法

一般的方法 A
ジクロロメタン(20mL/g酸)中の所望のカルボン酸(1.00eq)、所望のアミン(2.00eq)、EDC.HCl(1.10eq.)、HOBt(触媒量)、DMAP(触媒量)およびDIPEA(2.00eq.)の溶液を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を二価土類金属酸化物(Isolute Sorbent Technology, Johnson, C. R.ら, Tetrahedron, 1998, 54, 4097)で洗浄し、有機抽出物を減圧下で蒸発させた。残留物をそれ以上精製すること無く使用した。
【0071】
一般的方法B
出発物質をジクロロメタン(10mL/g出発物質)中に溶解し、この溶液を0℃に冷却した。ジオキサン中の4M塩酸(ジクロロメタンと同量)を加え、この反応混合物を室温で90分放置した。溶媒を減圧下で除去した。残渣をHPLCで精製して目的の化合物を得た。
【0072】
{2-[2-(第三級ブチルジメチルシラニルオキシ)プロポキシ]-3-メチルピリジン-4-イルメチル}シクロプロピル-アミン

2-クロロ-N-フェニルイソニコチンアミド:
1,2-ジクロロエタン(100 mL)中の2-クロロイソニコチノイルクロリド(Anderson, W. K., Dean, D. C., Endo, T., J. Med. Chem., 1990, 33, 1667, 10 g, 56.8 mmol)の溶液に、1,2-ジクロロエタン(10 ml)中のアニリン(5.70mL, 62.5 mmol)およびDIPEA(10.2 ml,59.6 mmol)の溶液を0℃で約30分間にわたり添加した。この反応混合物を0℃で約30分間、続いて95℃で1時間撹拌した。水(30 mL)を室温で添加し、混合物を濾取する。濾液ジクロロメタン(200 mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をMeOH/水1:10(110 mL)から結晶化し、表題化合物(12.12 g,92%)を得た。LC-MS:R=0.87min;ES+=233.1。
【0073】
2-クロロ-3-N-ジメチル-N-フェニルイソニコチンアミド:
THF(90mL)中の化合物N(8.79 g,37.8 mmol)の溶液に、BuLi(ヘキサン中に1.6M,52mL,83.2mmol)を-78℃で添加した。30分後にMeI(7.70mL,124mmol)を同一温度で滴下した。この混合物を-78℃で1時間撹拌し、33℃にまで温めた。この混合物を33℃で30分間撹拌した。10%のNHOH水溶液を室温で滴下し、この混合物をEtOで抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。FCによる精製で表題化合物(8.67g,88%)を得た。LC-MS:R=0.85min;ES+=261.2。
【0074】
2-クロロ-3-メチルピリジン-4-カルバルデヒド:
ジクロロメタン(190mL)中のピリジン誘導体(9.58g,36.7mmol)の溶液に-78℃でDIBAL(ジクロロメタン中に1M,55.1mL,55.1mmol)を添加し、この混合物を-78℃で1.5時間撹拌した。水(20ml)中の酒石酸飽和水溶液モノナトリウムモノカリウム塩を添加し、この混合物を室温に温まるまで放置した。水を添加し混合物をジクロロメタンで抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFCで精製して表題化合物を得た(4.4g,77%)。LC-MS:R=0.76min;ES+=156.1。
【0075】
(2-クロロ-3-メチルピリジン-4-イルメチル)-シクロプロピルアミン:
MeOH(65mL)中のアルデヒドP(4.70g,30.2mmol)およびシクロプロピルアミン(4.20ml,60.4mmol)の溶液を室温で4時間撹拌した。 NaBH (1.55 g,39.2mmol)を添加し、混合物を室温で12時間撹拌した。水、続いて1MのNaOH水溶液を添加し、減圧下で溶媒を一部除去した。水相をジクロロメタン(2×)で抽出した。一緒に合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をFCで精製して表題化合物を得た(4.66g,79%)。LC-MS:R=0.43min;ES+=197.1。
【0076】
{2-[2-(第三級ブチルジメチルシラニルオキシ)プロポキシ]-3-メチルピリジン-4-イルメチル}シクロプロピルアミン:
ジオキサン(5ml)中のアミンQ(1.30g,6.61mmol)および2-(第三級ブチルジメチルシラニルオキシ)プロパノール(433mg,10.58mmol)の溶液を115℃で12時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、水を添加して、この混合物をEtO(2×)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をFCで精製して表題化合物を得た(926mg,42%)。LC-MS:R=0.79min;ES+=337.3。
【0077】
前駆体

8-オキソ-5-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボン酸第三級ブチルエステル(A1)

BuOH(4 mL)中のBuOK(0.28g, 2.5 mmol)の溶液に1-Boc-4-ピペリドン(0.50g, 2.5mmol)を添加した。5分間撹拌後に、2-クロロエチルジメチルスルホニウムヨウ化物(0.57 g, 2.25 mmol, P. Kraft, Synthesis, 1999, 4, 695)を15分間にわたり少量ずつ添加した。2時間撹拌後、BuOH(4mL)中のBuOK(0.28 g, 2.5 mmol)の溶液を再び添加し、一晩撹拌を続けた。反応混合物を水に注ぎ、EtOAc(3×)で抽出した。一緒に合わせた有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFC(EA/ヘプタン, 1/9, 3/7, 1/1)で精製して表題化合物を得た(0.22 g, 40 %)。
【0078】
3,3-ジメチル-4-オキソピペリジン-1-カルボン酸第三級ブチルエステル(A2)

NaH(油中の60%縣濁物,5.71g,143 mmol)をTHF(350 mL)中のN-Boc-4-ピペリドン(13.6 g,68.0 mmol)の溶液に0℃で添加した。MeI(10.6 mL, 170 mmol)を添加した。この混合物を0℃で30分撹拌し、放置して室温にまで温めた。 NHCl飽和水溶液を添加し、この混合物をEtOAcで抽出した。有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。FC(EtOAc/ヘプタン8:2)で精製し、次いでヘプタンから結晶化して表題化合物を得た(11.0g,73%)。
【0079】
8-オキソ-5-アザ-スピロ[2.5]オクタン-5,7-ジカルボン酸5-第三級ブチルエステル7-メチルエステル(B1)

THF(50mL)中のジイソプロピルアミン(1.4mL,9.9mmol)の溶液に-78℃でn-BuLi(ヘキサン中に1.6M,6.6mL,9.9mmol)を滴下した。この溶液を-78℃で1時間撹拌した。THF(20mL)中の化合物A1(2.03g,9mmol)の溶液を滴下した。この反応混合物を-78℃で3時間撹拌し、次いでシアノギ酸メチル(0.93mL,11.7mmol)を添加した。この反応混合物-78℃で30分間撹拌し、HO/THF(1:1,20mL)中のAgNO(2.2g,12.9mmol)の溶液を添加した。10分後に、HO(15mL)およびAcOH(15mL)を添加し、この反応混合物を放置し室温に温めた。Ag塩が完全に溶解するまで25%のNH水溶液を添加した。この反応混合物をEtOAc(1×)およびジクロロメタン(2×)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン1:9)で精製して表題化合物を得た(1.32g,52%)。LC-MS:t=1.03min;ES+:284.10。
【0080】
5,5-ジメチル-4-オキソ-ピペリジン-1,3-ジカルボン酸1-第三級ブチルエステル3-メチルエステル(B2)

THF(90mL)中のジイソプロピルアミン(4.20mL,29.7mmol)の溶液を-78℃に冷却した。BuLi(ヘキサン中に1.6M,19.8mL,29.7mmol)を添加し、この溶液を-78℃で1時間撹拌した。THF(60mL)中の化合物A2(6.14g,27mmol)を添加し、この混合物を-78℃で3時間撹拌した。シアノギ酸メチル(2.79mL,35.1mmol)を添加し、この混合物を-78℃で30分間撹拌した。HO/THF(1:1,60mL)中のAgNOの溶液(6.56g,38.6mmol)を添加した。10分後に、HO(45mL)およびAcOH(45mL)を添加し、反応混合物を室温にまで放置して温めた。Ag塩が完全に溶解するまでアンモニアック(水中25%)を添加した。この反応混合物をEtOAc(1×)およびジクロロメタン(2×)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン1:19→1:9)で精製し、表題化合物を得た(6.01g,78%)。LC-MS:t=1.03min。
【0081】
8-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-5-アザ-スピロ[2.5]-7-オクテン-5,7-ジカルボン酸5-第三級ブチルエステル7-メチルエステル(C1)

THF(60mL)中のNaH(油中,55-65%,0.72g,約18mmol)の縣濁物に、THF(20mL)中の化合物B1(2.55g,9.00mmol)の溶液を0℃で添加した。この縣濁物を0℃で30分間撹拌した。TfNPh(4.8g,13.5mmol)を室温で添加し、この反応混合物を50℃で18時間撹拌した。この混合物を放置して室温にまで冷却し、氷を添加し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をEtOAcで稀釈し、10%のNaCO水溶液で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン1:4)で精製して表題化合物(2.10g,56%)を得た。LC-MS:t=1.08min;ES+:416.03。
【0082】
5,5-ジメチル-4-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-5,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1,3-ジカルボン酸1-第三級ブチルエステル3-メチルエステル(C2)

化合物C1の調製に類似の方法で、化合物B2から調製した。残留物をFC(MeOH/ジクロロメタン1:19→1:9)で精製して表題化合物(2.15g,80%)を得た。LC-MS:t=1.09min。
【0083】
1-ベンジル-5,5-ジフルオロ-4-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-カルボン酸エチルエステル(C3)

THF(20mL)中のNaH(油中約60%,0.27g,約6.8mmol)の縣濁物にTHF(15mL)中の化合物T”(1.01g,3.4mmol)を0℃で添加した。30分後に氷浴を除き、TfNPh(1.82g,5.1mmol)を添加した。この混合物を45℃で72時間加熱した。この混合物を放置して室温に冷却し、氷を添加し、THFを減圧下で蒸発した。EtOAcを添加し、相を分離し、有機相を10%のNaCO水溶液(1×)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン5:95→1:9)で精製して表題化合物(1.46g,定量的収量)を得た。LC-MS:Rt=1.13min,ES+:430.13。
【0084】
8-{4-[3-(第三級ブチルジメチルシラニルオキシ)プロピル]フェニル}-5-アザ-スピロ[2.5]-7-オクテン-5,7-ジカルボン酸5-第三級ブチルエステル7-メチルエステル(D1)

THF(10mL)中の[3-(4-ブロモフェニル)プロポキシ]-第三級ブチルジメチルシラン(Kiesewetter D. O., Tetrahedron Asymmetry, 1993, 4, 2183; 0.82 g, 2.5 mmol)の溶液に-78℃でBuLi(ヘキサン中1.5M,1.7mL,2.56mmol)を添加した。この溶液を-78℃で30分間撹拌し、ZnCl(THF中に1M,3mL,3mmol)を添加した。その結果得られた溶液を放置して室温に温め、化合物C1(0.41g,1mmol)およびPd(PPh)(23mg,0.02mmol)を添加した。20分後に室温で氷を反応混合物に添加した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOAcで希釈した。この混合物を1MのNaOH水溶液で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン1:9)で精製して表題化合物(0.75g,56%)を得た。LC-MS:t=1.28min;ES+:516.42。
【0085】
4-{4-[3-(第三級ブチルジメチルシラニルオキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジメチル-5,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1,3-ジカルボン酸1-第三級ブチルエステル3-メチルエステル(D2)

化合物D1の調製に類似の方法で、化合物C2から調製した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン1:9)で精製して表題化合物(832mg,40%)を得た。LC-MS:t=1.29min;ES+:518.28。
【0086】
1-ベンジル-4-{4-[3-(第三級ブチルジメチルシラニルオキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジフルオロ-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-カルボン酸エチルエステル(D3)

THF(15mL)中の[3-(4-ブロモフェニル)プロポキシ]-第三級ブチルジメチルシラン(Kiesewetter D. O., Tetrahedron Asymmetry, 1993, 4, 2183; 1.69 g, 5.1 mmol)の溶液に-78℃でBuLi (ヘキサン中に1.6M, 3.4mL,5.4mmol)を添加した。この溶液を-78℃で30分間撹拌し、ZnCl(THF中に1M,5.78mL,5.78mmol)を添加した。得られた溶液を放置し室温にまで温め、THF(10mL)中の化合物C3(1.46g,3.4mmol)およびPd(PPh)(98mg,0.08mmol)を添加した。この反応混合物を45℃で18時間加熱した。氷を加え、溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOAcで希釈した。この混合物を1MのNaOH水溶液で洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン5:95→1:9)で精製して表題化合物(1.25g,69%)を得た。LC-MS:Rt=1.28min,ES+=530.39。
【0087】
8-[4-(3-ヒドロキシプロピル)フェニル]-5-アザ-スピロ[2.5]-7-オクテン-5,7-ジカルボン酸5-第三級ブチルエステル7-メチルエステル(E1)

TBAF(1.90g,6.00mmol)をTHF(13mL)中の化合物D1(0.94g,1.82mmol)の溶液に添加した。この反応混合物を6時間室温で撹拌し、EtOAcで希釈した。得られた混合物を水および塩水で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン2:3)で精製して表題化合物(0.58g,80%)を得た。LC-MS:t=1.01min; ES+: 402.21。
【0088】
4-[4-(3-ヒドロキシプロピル)フェニル]-5,5-ジメチル-5,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1,3-ジカルボン酸1-第三級ブチル エステル 3-メチル エステル (E2)

化合物E1に類似の方法で、化合物D2から調製した。 残留物をFC(EtOAc/ヘプタン 1:1)で精製して表題化合物(0.41g, 64%)を得た。 LC-MS:t=1.02min;ES+:404.16,弱い。
【0089】
5,5-ジフルオロ-4-[4-(3-ヒドロキシプロピル)フェニル]-5,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1,3-ジカルボン酸1-第三級ブチル エステル 3-エチル エステル (E3)

EtOH(10mL)中の化合物D3(1.11g, 2.1mmol)およびBocO(0.5g, 2.3mmol)の溶液をNでパージした。 Pd/C(10%, 0.1g)を添加し、縣濁物をHでパージした。 この反応混合物をH雰囲気下で24時間撹拌し、次にセライトで濾過した。 濾液を減圧下で蒸発した。 残留物をFC (EtOAc/ヘプタン1:1)で精製して表題化合物(0.8 g, 90%)を得た。 LC-MS: Rt=1.02min,ES+=426.24。
【0090】
8-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5-アザ-スピロ[2.5]-7-オクテン-5,7-ジカルボン酸5-第三級ブチルエステル7-メチルエステル(F1)

トルエン(14mL)中の化合物E1(580mg,1.45mmol)、2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノール(280mg,1.74mmol)、アゾジカルボキシルジピペリジド(550mg,2.17mmol)およびトリブチルホスフィン(0.71mL,2.9mmol)の溶液を1時間室温で、次いで1時間80℃で撹拌した。この反応混合物を放置し室温にまで冷却し、EtOAcで稀釈し、水で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン1:19→1:9→1:4)で精製し、表題化合物(0.71g,89%)を得た。LC-MS:t=1.23min;ES+:548.23。
【0091】
4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジメチル-5,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1,3-ジカルボン酸1-第三級ブチルエステル3-メチルエステル(F2)

化合物F1の調製に類似の方法で、化合物E2から調製した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン1:19→1:9→2:8)で精製し表題化合物(0.31g,57%)を得た。LC-MS:t=1.25min。
【0092】
4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジフルオロ-5,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1,3-ジカルボン酸1-第三級ブチルエステル3-エチルエステル(F3)

トルエン(20mL)中の化合物E3(0.79g,1.92mmol)、2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノール(0.38g,2.30mmol)、アゾジカルボキシルジピペリジド(0.73g,2.88mmol)、およびトリブチルホスフィン(0.95mL,3.84mmol)の溶液を30分間室温で、次に1時間65℃で撹拌した。この反応混合物を室温に冷却するまで放置し、EtOAcで稀釈し、水で洗浄した。有機抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン1:9→2:8)で精製して表題化合物(1.1g,定量的収量)を得た。LC-MS:Rt=1.22min,ES+=572.36,516.24。
【0093】
8-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5-アザ-スピロ[2.5]-7-オクテン-5,7-ジカルボン酸5-第三級ブチルエステル(G1)

EtOH(13mL)中の化合物F1(712mg,1.30mmol)の溶液に1MのNaOH水溶液(13mL)を添加した。得られた混合物を90分間80℃で撹拌し、次に室温に冷却するまで放置した。1MのHCl水溶液(13mL)を添加し、得られた混合物をEtOAc(3×)で抽出した。一緒に合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン3:7→1:1)で精製し、表題化合物(0.70g,定量的収量)を得た。LC-MS:t=1.15min;ES+:534.16。
【0094】
4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジメチル-5,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1,3-ジカルボン酸1-第三級ブチルエステル(G2)

化合物G1の調製に類似の方法で、化合物F2から調製した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン2:3→1:1)で精製して表題化合物(0.27g,89%)を得た。LC-MS:t=1.16min.
【0095】
4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジフルオロ-5,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1,3-ジカルボン酸1-第三級ブチルエステル(G3)

EtOH(19mL)中の化合物F3(1.09g,1.90mmol)の溶液に1MのNaOH水溶液(19mL)を添加した。得られた混合物を4時間室温で撹拌し、次に1MのHCl水溶液(20mL)を添加し、得られた混合物をEtOAc(3×)で抽出した。一緒に合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。表題化合物をさらに精製しなかった。LC-MS:Rt=1.22min,ES+=544.18。
【0096】
3-(ベンゾトリアゾール-1-イルメチルベンジルアミノ)プロピオン酸エチルエステル(V)

N-ベンジル-β-アラニンエチルエステル(2.07g,10mmol)、続いて37%のホルムアルデヒド水溶液(0.99mL,12mmol)をMeOH(7mL)中のベンゾトリアゾール(1.19g,10mmol)の溶液に添加した。この溶液を一晩撹拌し、次に溶媒を減圧下で蒸発した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン3:7)で精製して表題化合物(3.24g,96%)を得た。
【0097】
3-[ベンジル-(2-エトキシカルボニルエチル)アミノ]-2,2-ジフルオロプロピオン酸エチルエステル(W)

無水THF(15mL)中の亜鉛末(1.25g,19.2mmol)の縣濁物に、窒素下で、TMS-Cl(1.27ml,10.1mmol)を添加した。10分後にブロモジフルオロ酢酸エチル(1.36mL,10.6mmol)をゆっくり添加し、続いて10分遅れてTHF(6mL)中の化合物V(3.24g,9.6mmol)の溶液を添加した。その後、18時間室温で撹拌し、この混合物を5%のNaHCO水溶液(20mL)に注ぎ、セライトで濾過した。層を分離し、水相をEtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を1MのHCl(40mL)で洗浄し、次にMgSOで乾燥した。減圧下で溶媒を蒸発した後、残留物をエーテルで希釈した。生成した固体を濾過して除き、エーテルを蒸発させた。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン2:8)で精製して表題化合物(3.07g,93%)を得た。LC-MS:Rt=1.06min,ES+=344.26。
【0098】
1-ベンジル-5,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-カルボン酸エチルエステル(T”)

THF(150mL)中のジイソプロピルアミン(2.08mL,14.9mmol)の溶液に、窒素下-78℃で、BuLi(ヘキサン中に1.6M,8.52mL,13.64mmol)を添加し、続いて45分遅れてTHF(50mL)中の化合物W(2.13g,6.2mmol)を添加した。冷却浴を取り除き、この反応混合物を一晩ゆっくり温めた。NHCl飽和水溶液(200mL)を添加し、層を分離した。水相をEtOAc(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン1:9)で精製して表題化合物(1.5g,81%)を得た。LC-MS:Rt=1.04min,ES+=298.22。
【0099】
実施例

実施例1
8-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5-アザスピロ[2.5]-7-オクテン-7-カルボン酸シクロプロピル-[2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-4-イルメチル]アミド

一般的方法AおよびBに従い、化合物G1(0.1mmol)および{2-[2-(第三級ブチルジメチルシラニルオキシ)プロポキシ]-3-メチルピリジン-4-イルメチル}シクロプロピルアミンから出発した。
【0100】
実施例2
4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジメチル-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-カルボン酸シクロプロピル-[2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-4-イルメチル]アミド

一般的方法AおよびBに従い、化合物G2(0.1mmol)および{2-[2-(第三級ブチルジメチルシラニルオキシ)プロポキシ]-3-メチルピリジン-4-イルメチル}シクロプロピルアミンから出発した。LC-MS:Rt=0.89min,ES+:654.32。
【0101】
実施例3
4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジフルオロ-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-カルボン酸シクロプロピル(2,3-ジクロロベンジル)アミド

ジクロロメタン(20mL)中の化合物G3(0.52g,0.95mmol)、(2,3-ジクロロベンジル)シクロプロピルアミン(0.61g,2.85mmol)、DMAP(0.03g,0.24mmol)、DIPEA(0.66mL,3.8mmol)、HOBt(0.18g,1.19mmol)およびEDC.HCl(0.27g,1.42mmol)の溶液を72時間撹拌した。この混合物をジクロロメタンで稀釈し1MのHCl水溶液(2×)および塩水(1×)で洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除いた。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン1:9→2:8→4:6)で精製し、表題化合物(0.38g,二工程:54%)を得た。LC-MS:Rt=1.29min,ES+=743.37。前者の化合物をジクロロメタン(5mL)に溶解し、この溶液を0℃に冷却した。ジオキサン(5mL)中の4MのHClを添加し、この反応混合物を90分間室温で撹拌した。この溶媒を減圧下で除去した。残留物をEtOAcに溶解し、1NのNaOH水溶液(2×)で洗浄した。残留物をFC(EtOAc/ヘプタン1:1→1:0)で精製して表題化合物(0.23g,71%)を得た。LC-MS:Rt=1.00min,ES+=643.24。
【0102】
生物学的アッセイ:
一般式(I)の化合物およびそれらの塩の活性を決定するために次の試験法を実施した。

ガラス器内酵素アッセイ:
本発明の化合物によるヒト組換えレニンの阻害

ガラス器内酵素アッセイを、384ウエルのポリプロピレン製プレート(ヌンク社)を用いて実施した。アッセイ用緩衝液は、1mMのEDTAと0.1%のBSAを含有する10mMのPBS(ギブコBRL社)からなっていた。培養物は、各ウエル当り50μLの酵素含有混合物および2.5μLのレニン阻害剤のDMSO溶液からなっていた。酵素含有混合物を4℃で予備混合した。それは次の成分からなる:
・ヒト組換えレニン(0.16ng/mL)
・合成ヒトアンギオテンシン(1−14)(0.5μM)
・ヒドロキシキノリン硫酸塩(1mM)。
次に、それらの混合物を37℃で3時間インキュベートした。
【0103】
酵素活性およびその阻害率を求めるために、384ウエルのプレート(ヌンク)での酵素免疫アッセイ(EIA)によって、蓄積AngIを検出した。5μLの培養物または標準を、事前にAngIとウシ血清アルブミンとの共有結合複合体(AngI−BSA)でコーティングした免疫プレートに移した。0.01%のトゥイーン(Tween)20を含有する上記アッセイ緩衝液中のAngI抗体溶液75μLを加え、4℃で一夜一次インキュベーションを行った。プレートを0.01%トゥイーン20含有PBSで3回洗い、次に、抗ウサギペルオキシダーゼ結合抗体(WA934、アマーシャム社)とともに室温で2時間インキュベートした。プレートを3回洗浄後、ペルオキシダーゼ基質ABTS(2,2’−アジノ-ジ‐(3−エチルベンズチアゾリンスルホネート)を加え、プレートを室温で60分間インキュベートした。0.1Mクエン酸(pH4.3)で反応を停止させたのち、マイクロプレートリーダーを用い、405nmでプレートを評価した。各濃度点について阻害百分率を計算し、酵素活性を50%阻害するレニン阻害濃度(IC50)を求めた。
【0104】
生体内アッセイ:

本発明の化合物はSchnellら(Am. J. Physiol.264 (Heart Circ. Physiol.33), 1993, H1509-H1516)により記載された方法に基いて試験できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の新規なテトラヒドロピリジン誘導体
【化1】

式中、

XおよびYは、独立して、水素、フッ素またはメチル基を表し;XおよびYは、両方とも同時に水素を表すことはなく、またはXおよびYは、共にシクロプロピル環を形成することができる;

Wは、フェニルまたはヘテロアリール環を表し、該ヘテロアリール環は6員の非縮合環であり、該フェニル環および該ヘテロアリール環は、3位または4位がVで置換されている;

Vは、-(CH)-;-A-(CH)-;-CH-A-(CH)-;-(CH)-A-;-(CH)-A-(CH)-;-A-(CH)-B-;-CH-CH-CH-A-CH-;-A-CH-CH-B-CH-;-CH-A-CH-CH-B-;-CH-CH-CH-A-CH-CH2-;-CH-CH-CH-CH-A-CH-;-A-CH-CH-B-CH-CH-;-CH-A-CH-CH-B-CH-;-CH-A-CH-CH-CH-B-;-CH-CH-A-CH-CH-B-;-O-CH-CH(OCH)-CH-O;-O-CH-CH(CH)-CH-O-;-O-CH-CH(CF)-CH-O-;-O-CH-C(CH)-CH-O-;-O-CH-C(CH)-O-;-O-C(CH)-CH-O-;-O-CH-CH(CH)-O-;-O-CH(CH)-CH-O-;-O-CH-C(CHCH)-O-または-O-C(CHCH)-CH-O-を表す;

AおよびBは、独立して-O-;-S-;-SO-または-SO-を表す;
Uは、アリールまたはヘテロアリールを表す;

Tは、-CONR-;-(CH)OCO-;-(CH)N(R)CO-;-(CH)N(R)SO-;-COO-;-(CH)OCONR-または-(CH)N(R)CONR-を表す;

およびRは、独立して、水素;低級アルキル;低級アルケニル;低級アルキニル;シクロアルキル;アリール-低級アルキル、ヘテロアリール-低級アルキルまたはシクロアルキル-低級アルキルを表す;

Qは、低級アルキレンまたは低級アルケニレンを表す;

Mは、水素;シクロアルキル;アリール;ヘテロシクリルまたはヘテロアリールを表す;

pは、整数1、2、3または4である;
rは、整数3、4、5、または6である;
sは、整数2、3、4または5である;
tは、整数1、2、3または4である;
uは、整数1、2または3である;
vは、整数2、3または4である;

および、医薬品として許容可能な塩類、溶媒複合物及び形態学的形状と同様に、光学的に純粋なエナンチオマー、ラセミ体等のエナンチオマー混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体混合物、及びそのメソ形。
【請求項2】
請求項1に記載のテトラヒドロピリジン誘導体、ここで、X、Y、V、WおよびUは、一般式(I)で定義したものと同義であり;Tは、-CONR-を表し;Qは、低級アルキレンを表し、Mは水素、アリールまたはヘテロアリールを表す。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載のテトラヒドロピリジン誘導体、ここで、X、Y、W、T、QおよびMは、一般式(I)で定義したものと同義であり、Vは-CHCHO-;-CHCHCHO-;-OCHCHO-または-CHCHCHOCHO-を表し、Uは一般式(I)で定義したものと同義である。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のテトラヒドロピリジン誘導体、ここで、X、Y、V、U、T、QおよびMは一般式(I)で定義したものと同義であり、Wは-4位がVで置換されたフェニルを表す。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のテトラヒドロピリジン誘導体、ここで、W、V、U、T、QおよびMは一般式(I)で定義したものと同義であり、XおよびYは共にシクロプロピル基を形成することができる。
【請求項6】
下記の化合物からなるグループから選ばれる請求項1〜5のいずれかに記載の化合物:

8-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5-アザ-スピロ[2.5]-7-オクテン-7-カルボン酸シクロプロピル-(2,3-ジクロロベンジル)アミド;

4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジメチル-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-カルボン酸シクロプロピル-(2,3-ジクロロベンジル)アミド;

4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリジン-3-カルボン酸シクロプロピル-(2-メトキシ-3-メチルピリジン-4-イルメチル)アミド;

8-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5-アザ-スピロ[2.5]-7-オクテン-7-カルボン酸シクロプロピル-(2-メトキシ-3-メチルピリジン-4-イル-メチル)-アミド;

8-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5-アザスピロ[2.5]-7-オクテン-7-カルボン酸シクロプロピル-[2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-4-イルメチル]アミド

4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリジン-3-カルボン酸シクロプロピル-[2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-4-イルメチル]アミド

4-{4-[3-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェノキシ)プロピル]フェニル}-5,5-ジフルオロ-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-カルボン酸シクロプロピル-(2,3-ジクロロベンジル)アミド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の少なくとも一つの化合物および薬理学的に許容できる不活性担体または補助剤を含む医薬組成物。
【請求項8】
高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、腎〔機能〕障害、腎虚血、腎不全、腎線維症、心不全、心臓肥大、心臓線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎疝痛、腎症などの糖尿病に由来する合併症、血管障害および神経障害、緑内障、眼内圧上昇、アテローム性動脈硬化、血管形成後の再狭窄、血管または心臓外科手術後の合併症、勃起障害、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安神経症、認知障害、免疫抑制剤治療の合併症に関連する疾患、およびレニン-アンギオテンシン系に関連する既知のその他の疾患の治療または予防のための薬剤の製造のための請求項1〜6のいずれかに記載の化合物、または請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、腎〔機能〕障害、腎虚血、腎不全、腎線維症、心不全、心臓肥大、心臓線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎疝痛、腎症などの糖尿病に由来する合併症、血管障害および神経障害、緑内障、眼内圧上昇、アテローム性動脈硬化、血管形成後の再狭窄、血管または心臓外科手術後の合併症、勃起障害、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安神経症、認知障害、免疫抑制剤治療の合併症に関連する疾患、およびレニン-アンギオテンシン系に関連する既知のその他の疾患の治療または予防のため、請求項1〜7のいずれかに記載の5員のヘテロアリール誘導体の薬理学的活性量を患者に投与することからなる方法。
【請求項10】
上記に記載の発明。

【公表番号】特表2007−508260(P2007−508260A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530088(P2006−530088)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011088
【国際公開番号】WO2005/040120
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(500226786)アクテリオン ファマシューティカルズ リミテッド (151)
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH−4123 Allschwil,Switzerland
【Fターム(参考)】