説明

新規なテルペンおよび大員環

新規なテルペンおよび大員環は、TGR5のアクチベーターであり、2型糖尿病、肥満、神経障害および/または腎症を予防および/または処置するために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規な天然の生成物および関連する半合成誘導体、そのような化合物を含む医薬組成物、ならびに単独で、または他の抗糖尿病処置と組み合わせて、TGR5シグナリングによって媒介されるヒトおよび他の哺乳動物における疾患および状態を処置するための、当該化合物および/または組成物の使用に関する。
【0002】
本発明は、有用な特性、特に薬剤の調製のために用いることができる特性を有する新規な化合物を見出す目的を有していた。
【0003】
本発明は、GLP−1の不十分なレベルにより媒介された疾患、例えば真性糖尿病の処置および/または予防に有用な化合物ならびにかかる化合物を調製する方法に関する。また提供するのは、TGR5を活性化することにより処置することができる疾患および障害を処置する方法であって、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、前記方法である。
【0004】
したがって、TGR5のシグナル伝達を特異的に活性化、制御および/または調節する小化合物の同定が所望されており、これが本発明の1つの目的である。さらに、本発明の目的は、2型糖尿病、肥満、神経障害および/または腎症を予防および/または処置するための新規な化合物を調製することにあった。
【0005】
驚くべきことに、本発明者らは、天然ソースから単離される新規なテルペンおよび大員環ならびに半合成誘導体がTGR5を活性化することを見出した;したがって、これらの化合物は、2型糖尿病、肥満、神経障害および/または腎症を予防および処置するのに特に適する。本発明の化合物およびその塩は極めて有用な薬理学的特性を有し、同時に十分耐容されることが見出された。
【0006】
したがって、本発明は、前述の疾患の処置および/または予防における医薬および/または医薬活性成分としての本発明の化合物ならびに前述の疾患を処置および/または予防するための医薬を調製するための本発明の化合物の使用、ならびにまた前述の疾患の処置方法であって、そのような投与を必要とする患者に本発明の1種または2種以上の化合物を投与することを含む前記方法に関する。
【0007】
宿主または患者は、任意の哺乳類種、例えば霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含む齧歯動物;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属し得る。動物モデルは実験調査のために興味深く、そこでそれらはヒトの疾患を処置するためのモデルを提供する。
【背景技術】
【0008】
発明の背景
2型糖尿病は、グルコースに応答しての不完全なインスリン放出、肝臓、脂肪および筋細胞によるインスリンに対する不完全な応答、増強されたグルコース血中濃度、低下した糖耐性、増強されたインスリン血中濃度、増強されたトリグリセリドおよび増強された脂肪組織によって特徴づけられる。炎症性サイトカインは、糖尿病患者において増強される。過体重は、2型糖尿病についての主な重要な前兆の1種であり、肥満と異常な糖耐性との間の良好な相関関係は、いくつかの研究において記載されている。グルコースに応答しての不完全なインスリン放出は、2型糖尿病における主要な欠陥である。
【0009】
これは、ベータ細胞における変化した糖代謝、しかしまた促進因子、例えばGLP−1の低下した放出の結果である。GLP−1は、食事に応答して腸によって放出されるインクレチンホルモンである。その主要な活性は、グルコースに対するインスリン応答を増幅することにあるが、その他の作用の大部分は、2型糖尿病患者における血糖管理を改善することに寄与し得た:島細胞増殖および新生の刺激、ベータ細胞アポトーシスの阻害、グルカゴン分泌の阻害、胃排出の遅延、食物および水摂取の阻害、末梢組織におけるグルコース取り込みの増大。GLP−1は最近、神経保護/神経栄養因子であると確認され、学習および記憶の改善に関与していた。
【0010】
多数の研究により、2型糖尿病の動物モデルにおける血糖症、グルコースによって誘発されたインスリン分泌、ベータ細胞増殖および胃排出に対するGLP−1での処置の有効性が示された。2型糖尿病患者において、皮下もしくは静脈内GLP−1注射(1日あたり3回)または長期の注入により、血糖管理が強力に改善された。血糖管理のこの改善はまた、スルホニル尿素単独での処置と比較して、GLP−1をスルホニル尿素と同時投与した場合に観察される。
【0011】
過体重の低減は、達成可能である場合には糖尿病についての古典的な成功した処置である。胆汁酸を齧歯動物に供給して体重を減少させることならびにグルコースおよびトリグリセリド濃度を改善することは、かつて記載された(Watanabe et al. 2006, Nature 439: 484-489)。肝臓および筋肉におけるトリグリセリド蓄積は、CA供給によって防止され、筋肉におけるグルコース取り込みは増強された。T3およびT4濃度は、食事によって実質的に影響されなかった(Watanabe et al. 2006, Nature 439: 484-489)。
【0012】
最近、TGR5(Strausberg et al. 2002, PNAS 99: 16899-16903; Takeda et al. 2002, FEBS Lett. 520:97-101)、オーファンレセプターについてのヒトゲノムデータベースにおける検索によって2002年に最初に見出されたGs−タンパク質結合レセプター(GenBank Accession No. Q8TDU6; NM_170699)が、糖尿病において機能を有することが見出された。Katsuma et al.は、腸管内分泌細胞を発現するTGR5が胆汁酸での刺激(4〜5回より多く)の後にGLP−1を分泌することを示した(Katsuma et al. 2005, BBRC 329: 386-390)。GLP−1分泌は、TGR5 siRNAによって低減され、TGR5過剰発現によって増強された。
【0013】
ヒト、マウスおよびラットからのTGR5 cDNAは、82〜91%の相同性を示した。ヒトにおいて、TGR5は、胎盤、白血球、脾臓、腎臓、心臓および筋肉において、ならびに消化器系全体において発現されることが見出された(Maruyama et al. 2002, BBRC 298: 714-719)。TGR5の遺伝子は、イントロンを含まず、330 AAタンパク質をコード化する(Strausberg et al. 2002, PNAS 99: 16899-16903; Takeda et al. 2002, FEBS Lett. 520:97-101; Maruyama et al. 2002, BBRC 298: 714-719)。
【0014】
Maruyama et al.は2002年に、HEK293細胞において過剰発現され、かつ腸管内分泌細胞系において内因的に発現されたTGR5が、数種の胆汁酸に対してcAMP産生を伴って応答したことを記載した。それらは、TGR5 BG37と呼称された(Maruyama et al. 2002, BBRC 298: 714-719)。最も強力なリガンドは、35nMのEC50を有するリトコール酸(LCA)、続いて575nMのEC50を有するデオキシコール酸(DCA)であった。
【0015】
血清中の空腹時の胆汁酸濃度は5μMより低く、一方食後の濃度は15μMまで増大する。したがって、胆汁酸は、TGR5のための内因性リガンドの様相を呈する。2003年に、Kawamata et al.は、記載した発現パターンを有するヒト、ウシ、ウサギ、ラットおよびマウスのTGR5配列を刊行した。さらに、それらは、CD14+休止単球における高い発現を示した(Kawamata et al. 2002, JBC 278(11): 9435-9440)。
【0016】
ウサギ肺胞マクロファージおよびTHP−1細胞を過剰発現するTGR5において、胆汁酸での処置により、LPSによって誘発されたサイトカイン産生が抑制された(Kawamata et al. 2002, JBC 278(11): 9435-9440)。マクロファージの食作用は、同様に抑制された。LCAおよびタウリン抱合型LCA(TLCA)は、10μMのEC50を有する最も強力なリガンドであった。MAPキナーゼは、胆汁酸によって活性化された。胆汁酸濃度は、ウイルス性肝炎および胆汁性肝硬変によって100μMを超える。
【0017】
2006年1月に、Watanabe et alは、TGR5がマウスおよびヒトの最も発熱的に(thermogenically)重要な組織であるBATおよび骨格筋において、D2(2型ヨードチロニン脱ヨウ素酵素)、即ちT4のT3甲状腺ホルモンへの変換に合理的な酵素と共に発現されることを示した。コール酸(CA)をマウスに供給することにより、おそらくTGR5によって、増強されたエネルギー消費によって体重増加の逆転がもたらされる。CA供給下で、TGR5は過剰発現され、D2の活性は、TGR5によって増強される(Watanabe et al. 2006, Nature 439: 484-489)。BATおよびヒト骨格筋細胞において、cAMP濃度は、胆汁酸によって、およびTGR5についてのアゴニストによって誘発される。糖耐性およびインスリン耐性は、CA処置下で改善された。
【0018】
したがって、TGR5は、糖尿病に対していくつかの正の影響を有する標的である。それは、GLP−1の分泌を刺激し、炎症性サイトカインの量を減少させ、間接的な効果を介して、それは、筋細胞のエネルギー消費を増強する。
従来技術
【発明の概要】
【0019】
本発明は、以下の群から選択される化合物
a)式I
【化1】

式中、
は、OH、OA、OAr、OC(O)A、OC(O)Ar、NH、NHA、NA、NHAr、NHC(O)AまたはNHC(O)Arを示し、
は、O、OH、OA、OAr、OC(O)A、OC(O)Ar、NH、NHA、NA、NHAr、NHC(O)AまたはNHC(O)Arを示し、
はH、AまたはArを示し、
Xは、CHまたはCOを示し、
は、Hまたは1〜4個のC原子を有するアルキルを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
【0020】
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、
ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく、
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、その各々は、非置換であるか、またはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、COR、SON(R、S(O)A、[C(RCOORおよび/またはO[C(RCOORによって単置換、二置換もしくは三置換されており、
mは、0、1、2、3または4を示し、
nは、0、1または2を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示す、
で表される化合物;
【0021】
b)式II
【化2】

式中、
は、OH、OA、OAr、NH、NHA、NA、NHAr、NH(CHNH、NH(CHNHA、NH(CHNAを示し、
は、H、AまたはArを示し、
は、Hまたは1〜4個のC原子を有するアルキルを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく、
【0022】
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、COR、SON(R、S(O)A、[C(RCOORおよび/またはO[C(RCOORによって単置換、二置換もしくは三置換されており、
mは、0、1、2、3または4を示し、
nは、0、1または2を示し、
pは、1、2、3または4を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示す、
で表される化合物;
【0023】
c)式III
【化3】

式中、
は、O、OH、OA、OAr、OC(O)A、OC(O)Ar、NH、NHA、NA、NHAr、NHC(O)AまたはNHC(O)Arを示し、
は、O、OH、OA、OAr、OC(O)A、OC(O)Ar、NH、NHA、NA、NHAr、NHC(O)AまたはNHC(O)Arを示し、
は、H、AまたはArを示し、
は、Hまたは1〜4個のC原子を有するアルキルを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく、
【0024】
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、COR、SON(R、S(O)A、[C(RCOORおよび/またはO[C(RCOORによって単置換、二置換もしくは三置換されており、
mは、0、1、2、3または4を示し、
nは、0、1または2を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示す、
で表される化合物;
【0025】
d)式IV
【化4】

式中、
は、OH、OA、OAr、OC(O)A、OC(O)Ar、NH、NHA、NA、NHAr、NHC(O)AまたはNHC(O)Arを示し、
は、Hまたは1〜4個のC原子を有するアルキルを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく、
【0026】
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、COR、SON(R、S(O)A、[C(RCOORおよび/またはO[C(RCOORによって単置換、二置換もしくは三置換されており、
mは、0、1、2、3または4を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示す、
で表される化合物;
ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物に関する。
【0027】
本発明は、式I、II、IIIおよびIVで表される化合物ならびにそれらの塩、ならびに、式I、IIおよびIVで表される化合物ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体の調製方法であって、
ラジカルRを他のラジカルRに、水酸基またはアルコキシ基を任意に置換されたアミノ基に変換することによって変換し、
かつ/または
式I、IIまたはIVで表される塩基もしくは酸を、その塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
【0028】
本発明はさらに、式IIIで表される化合物ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体の調製方法であって、
カルボニル基を、還元的アミノ化によって任意に置換されたアミノ基に変換し、
かつ/または
式IIIで表される塩基もしくは酸をその塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
【0029】
式I、II、IIIおよびIVで表される化合物はまた、薬学的に使用可能な誘導体および溶媒和物を意味する。
本発明はまた、これらの化合物の立体異性体(E、Z異性体)ならびに水和物および溶媒和物に関する。化合物の溶媒和物は、それらの相互の引力のために生成する不活性溶媒分子の化合物上へのアダクション(adduction)を意味するものと解釈される。溶媒和物は、例えば一もしくは二水和物またはアルコラートである。
【0030】
薬学的に使用可能な誘導体は、例えば、本発明の化合物の塩、およびまたいわゆるプロドラッグ(prodrug)化合物を意味するものと解釈される。
プロドラッグ誘導体は、例えばアルキル基もしくはアシル基、糖またはオリゴペプチドで修飾されており、生物体中で迅速に切断されて本発明の活性化合物を生成する、式I、II、III、IVで表される化合物を意味するものと解釈される。
これらはまた、例えばInt. J. Pharm. 115, 61-67 (1995)に記載されているように、本発明の化合物の生分解性ポリマー誘導体を含む。
【0031】
「有効量」の表現は、例えば研究者または医師により組織、系、動物またはヒトにおいて求められているかまたは目的とされている生物学的または薬学的応答を生じる、医薬または薬学的に活性な成分の量を意味する。
さらに、「治療有効量」の表現は、この量を施与されていない対応する対象と比較して、以下の結果:
疾患、症候群、状態、愁訴、障害の改善された処置、治癒、予防もしくは解消、または副作用の予防、また疾患、状態、障害もしくは副作用の進行の低減
を有する量を示す。
「治療有効量」の表現はまた、正常な生理学的機能を増大させるのに有効である量を包含する。
【0032】
本発明はまた、本発明の式I、II、III、IVで表される化合物の混合物、例えば2種のジアステレオマーの、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比率での混合物に関する。
これらは、特に好ましくは立体異性体化合物の混合物である。
【0033】
1回よりも多く出現するすべてのラジカルについて、それらの意味は互いに独立している。
本明細書中で、ラジカルならびにパラメーターR、R、R、Rおよび…. (単結合または二重結合)は、他に明確に示さない限りは式I、II、III、IVについて示した意味を有する。
および/またはRが「O」を示す場合には、即ち=O(カルボニル基)。
【0034】
Aはアルキルを示し、非分枝状(直鎖状)であるかまたは分枝状であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。Aは、好ましくはメチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは例えばトリフルオロメチルを示す。
【0035】
Aは、極めて特に好ましくは1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを示す。
【0036】
Arは、例えばフェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−アセトアミドフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−(N−エチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホニル)フェニル、o−、m−またはp−シアノフェニル、o−、m−またはp−ウレイドフェニル、o−、m−またはp−ホルミルフェニル、o−、m−またはp−アセチルフェニル、o−、m−またはp−アミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−カルボキシフェニル、o−、m−またはp−カルボキシメチルフェニル、o−、m−またはp−カルボキシメトキシフェニル、さらに好ましくは 2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,4−もしくは2,5−ジニトロフェニル、2,5−もしくは3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、3−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−3−クロロ−、2−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−5−クロロ−もしくは2−アミノ−6−クロロフェニル、2−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノ−もしくは3−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノフェニル、2,3−ジアミノフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、3,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メチルフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを示す。
【0037】
式I、II、III、IVで表される化合物は、1つまたは2つ以上のキラル中心を有していてもよく、したがって種々の立体異性体形態で存在することができる。式Iは、すべてのこれらの形態を包含する。
【0038】
したがって、本発明は特に、式I、II、III、IVで表され、式中前述のラジカルの少なくとも1つが上記に示した好ましい意味の1つを有する化合物に関する。化合物のいくつかの好ましい群を、以下の従属式Ia、IIa、IIIaおよびIVにより表してもよく、それは式I、II、IIIおよびIVに適合し、ここでより詳細に指定されないラジカルは式I、II、IIIおよびIVについて示した意味を有するが、ここで
【0039】
Iaにおいて、
【化5】

式中、
は、OH、OA、NH、NHAまたはNAを示し、
は、HまたはAを示し、
Xは、CHまたはCOを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく;
【0040】
IIaにおいて、
【化6】

式中、
は、OH、OA、NH、NHA、NA、NH(CHNH、NH(CHNHA、NH(CHNAを示し、
は、HまたはAを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく
pは、1、2、3または4を示し;
【0041】
IIIaにおいて、
【化7】

式中、
は、O、OH、OA、NH、NHAまたはNAを示し、
は、O、OHまたはOAを示し、
は、HまたはAを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく;
【0042】
IVaにおいて、式中、
は、OH、OA、NH、NHAまたはNAを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく;
ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体であり、すべての比率でのそれらの混合物を含む。
【0043】
本発明の化合物およびまたそれらの調製のための出発物質は、さらに、文献(例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的学術書)に記載されているような自体公知の方法により、正確には、公知であって前述の反応に適する反応条件の下で、調製される。また、ここで、ここではこれ以上詳細には述べない自体公知の変法を用いることができる。
【0044】
所望により、出発物質をまたインサイチュで生成して、それらを反応混合物から単離せず、代わりに直ちにさらに本発明の化合物に変換することができる。
出発化合物は一般的に知られている。しかし、それらが新規である場合には、それらを自体公知の方法により調製することができる。
【0045】
式I、IIおよびIVで表される化合物を、好ましくは、水酸基またはアルコキシ基を任意に置換されたアミノ基に変換することによって、ラジカルRを他のラジカルRに変換することによって得ることができる。
反応を、当業者に知られている方法によって行う。
反応を、一般的に不活性溶媒中で行う。
【0046】
好適な不活性溶媒の例は、例えば炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前述の溶媒の混合物である。
【0047】
用いる条件に依存して、反応時間は数分〜14日であり、反応温度は約−30°〜140°、通常−10°〜110°、特に約20°〜約100°である。
【0048】
さらに、遊離アミノ基を、有利には不活性溶媒、例えばジクロロメタンもしくはTHFなどにおいて、および/または塩基、例えばトリエチルアミンもしくはピリジンの存在下で、−60〜+30°の温度において、酸性塩化物もしくは無水物を用いて慣用的な方法でアシル化することができるか、または非置換もしくは置換ハロゲン化アルキルを用いてアルキル化することができる。
【0049】
エステル基を、例えば0〜100°の温度にて水、水/THFまたは水/ジオキサン中のNaOHまたはKOHを用いて鹸化することができる。カルボン酸を、例えば塩化チオニルを用いて対応するカルボン酸塩化物に変換することができ、後者をカルボキサミドに変換することができる。水をそれから既知の方法で除去することにより、カルボニトリル類が得られる。
【0050】
薬学的塩および他の形態
本発明の前述の化合物を、これらの最終的な非塩形態で用いることができる。一方、本発明はまた、これらの化合物を、当該分野において知られている手順により、種々の有機および無機酸類および塩基類から誘導し得るこれらの薬学的に許容し得る塩の形態で用いることを包含する。式I、II、IIIおよびIVで表される化合物の薬学的に許容し得る塩形態は、大部分、慣用的な方法により調製される。式I、II、IIIおよびIVで表される化合物がカルボキシル基を含む場合には、この好適な塩の1種を、当該化合物を好適な塩基と反応させて対応する塩基付加塩を得ることにより、生成することができる。このような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム;アルカリ金属アルコキシド類、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびに種々の有機塩基、例えばピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンである。
【0051】
式I、II、IIIおよびIVで表される化合物のアルミニウム塩は、同様に包含される。式I、II、IIIおよびIVで表される数種の化合物の場合において、これらの化合物を、薬学的に許容し得る有機および無機酸類、例えばハロゲン化水素、例えば塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素、他の鉱酸およびこれらの対応する塩、例えば硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩など、ならびにアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩類、例えばエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩、ならびに他の有機酸およびこれらの対応する塩、例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などで処理することにより、酸付加塩を生成することができる。
【0052】
したがって、式I、II、IIIおよびIVで表される化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩には、以下のものが含まれる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩、しかしこれは、限定を表すものではない。
【0053】
さらに、本発明の化合物の塩基性塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩が含まれるが、これは、限定を表すことを意図しない。前述の塩の中で、好ましいのは、アンモニウム;アルカリ金属塩、ナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩、カルシウムおよびマグネシウムである。
【0054】
薬学的に許容し得る有機無毒性塩基から誘導される、式I、II、IIIおよびIVで表される化合物の塩には、第一、第二および第三アミン類、また天然に存在する置換アミン類を含む置換アミン類、環状アミン類、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0055】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物を、剤、例えば(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C〜C)アルキル硫酸塩、例えば硫酸ジメチル、ジエチルおよびジアミル;(C10〜C18)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ならびにアリール(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルを用いて四級化することができる。本発明の水溶性および油溶性の化合物を共に、このような塩を用いて調製することができる。
【0056】
好ましい前述の薬学的塩には、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバリン酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンが含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0057】
式I、II、IIIおよびIVで表される塩基性化合物の酸付加塩を、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を生じることにより、調製する。塩形態を塩基と接触させ、慣用の方法で遊離塩基を単離することにより、遊離塩基を再生することができる。遊離塩基形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離塩基形態に相当する。
【0058】
述べたように、式I、II、IIIおよびIVで表される化合物の薬学的に許容し得る塩基付加塩は、金属またはアミン類、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミン類を用いて生成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミン類は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0059】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩を、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を生じることにより、調製する。塩形態を酸と接触させ、慣用的な方法で遊離酸を単離することにより、遊離酸を再生することができる。遊離酸形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離酸形態に相当する。
【0060】
本発明の化合物が、このタイプの薬学的に許容し得る塩を生成することができる1つよりも多い基を含む場合には、本発明はまた、多重塩(multiple salt)を包含する。典型的な多重塩形態には、例えば、重酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0061】
上記で述べたことに関して、本文脈における表現「薬学的に許容し得る塩」は、式Iで表される化合物をこの塩の1種の形態で含む活性成分を意味するものと解釈されることが明らかであり、特に、この塩形態が、活性成分に対して、前に用いられていた活性成分の遊離形態または活性成分のすべての他の塩形態と比較して改善された薬物動態学的特性を付与する場合には、このように解釈されることが明らかである。活性成分の薬学的に許容し得る塩形態はまた、活性成分に前には有していなかった所望の薬物動態学的特性を初めて付与することができ、さらに、活性成分の薬力学に対して身体における治療的有効性に関する正の影響を有することができる。
【0062】
本発明の式I、II、IIIおよびIVで表される化合物は、それらの分子構造のためにキラルであってもよく、したがって種々の鏡像異性体形態で存在してもよい。したがって、それらは、ラセミ体または光学的に活性な形態で存在することができる。
【0063】
本発明の化合物のラセミ化合物または立体異性体の薬学的活性が異なり得るため、鏡像異性体を用いることが所望され得る。これらの場合において、最終生成物またはさらに中間体を、当業者に知られている化学的または物理的手段により鏡像異性体化合物に分離するか、またはさらに合成においてそれ自体で用いることができる。
【0064】
ラセミ体アミンの場合において、ジアステレオマーを、光学的に活性な分割剤との反応により混合物から生成する。好適な分割剤の例は、光学的に活性な酸、例えば、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、好適にN保護されたアミノ酸(例えばN−ベンゾイルプロリンもしくはN−ベンゼンスルホニルプロリン)または種々の光学的に活性な樟脳スルホン酸などのRおよびS体である。また有利なのは、光学的に活性な分割剤(例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロースもしくは炭水化物の他の誘導体またはシリカゲル上に固定されたキラル的に誘導体化されたメタクリレートポリマー)の補助によるクロマトグラフィー的鏡像異性体分割である。この目的に適する溶離剤は、水性またはアルコール性溶媒混合物、例えば82:15:3の比率での例えばヘキサン/イソプロパノール/アセトニトリルなどである。
【0065】
本発明はさらに、当該化合物および/またはそれらの生理学的に許容し得る塩の、特に非化学的方法により医薬(医薬組成物)を調製するための使用に関する。それらを、少なくとも1種の固体、液体および/または半液体賦形剤またはアジュバントと共に、および所望により1種または2種以上のさらなる活性成分と組み合わせて、ここでの好適な投与形態に変換することができる。
【0066】
本発明はさらに、本発明の少なくとも1種の化合物および/または薬学的に使用可能な塩およびそれらの立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物、ならびに任意に賦形剤および/またはアジュバントを含む医薬に関する。
【0067】
医薬製剤を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投与単位の形態で投与することができる。そのような単位は、例えば処置する疾患状態、投与の方法および年齢、体重および患者の状態に依存して0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含むことができ、または医薬製剤を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投与単位の形態で投与することができる。好ましい投与単位製剤は、活性成分の上記に示した通りの1日の用量もしくは部分的用量、またはそれらの対応する画分を含むものである。さらに、このタイプの医薬製剤を、薬学的分野において一般的に知られているプロセスを用いて調製することができる。
【0068】
医薬製剤を、任意の所望の好適な方法、例えば経口(頬側もしくは舌下を含む)、直腸、鼻、局所的(頬側、舌下もしくは経皮を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)方法による投与に適合させることができる。そのような製剤を、例えば活性成分を賦形剤(1種もしくは2種以上)またはアジュバント(1種もしくは2種以上)と組み合わせることにより、薬学分野において知られているすべてのプロセスを用いて調製することができる。
【0069】
経口投与に適合された医薬製剤を、別個の単位、例えばカプセルもしくは錠剤;散剤もしくは顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用の発泡体もしくは発泡体食品;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンなどとして投与することができる。
【0070】
したがって、例えば錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合において、活性成分要素を、経口の、無毒性でありかつ薬学的に許容し得る不活性賦形剤、例えばエタノール、グリセロール、水などと組み合わせることができる。散剤を、好適な微細な大きさに化合物を粉砕し、それを同様の方法で粉砕した薬学的賦形剤、例えば食用の炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールと混合することにより調製する。フレーバー、防腐剤、分散剤および染料が、同様に存在してもよい。
【0071】
カプセルを、上記のように散剤混合物を調製し、成形したゼラチン殻にそれを充填することにより製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば固体形態での高分散性のケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはポリエチレングリコールなどを、充填操作の前に散剤混合物に加えることができる。崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどを、カプセルを服用した後の医薬の有効性を改善するために、同様に加えてもよい。
【0072】
さらに、所望により、または所要に応じて、好適な結合剤、潤滑剤および崩壊剤ならびに染料を、同様に混合物中に包含させることができる。好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えばグルコースまたはベータ−ラクトース、トウモロコシから製造された甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどが含まれる。これらの投与形態において用いられる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、それらに限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどが含まれる。錠剤を、例えば散剤混合物を調製し、混合物を顆粒化または乾燥圧縮し、潤滑剤および崩壊剤を加え、混合物全体を圧縮して錠剤を得ることにより処方する。
【0073】
散剤混合物を、好適な方法で粉砕した化合物を上記のように希釈剤または塩基と、および任意に結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンもしくはポリビニルピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラフィン、吸収促進剤、例えば第四級塩および/または吸収剤、例えばベントナイト、カオリンもしくはリン酸二カルシウムと混合することにより調製する。散剤混合物を、これを結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アラビアゴム漿またはセルロースの溶液またはポリマー材料で湿潤させ、これをふるいを通して押圧することにより顆粒化することができる。顆粒化の代替として、散剤混合物を打錠機に通し、不均一な形状の塊を得、それを崩壊させて、顆粒を形成することができる。
【0074】
顆粒を、錠剤成形型への付着を防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を加えることにより潤滑化することができる。次に、潤滑化した混合物を圧縮して錠剤を得る。本発明の化合物をまた、自由流動の不活性賦形剤と混ぜ合わせ(combined)、次に直接圧縮して、顆粒化または乾燥圧縮工程を行わずに錠剤を得ることができる。セラック密封層、糖またはポリマー材料の層およびろうの光沢層からなる透明な、または不透明な保護層が、存在してもよい。染料を、異なる投与単位同士を区別することができるように、これらのコーティングに加えることができる。
【0075】
経口液体、例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤などを、投与単位の形態で調製し、したがって所定量が予め特定された量の化合物を含むようにすることができる。シロップを、化合物を水性溶液に好適なフレーバーと共に溶解することにより調製することができ、一方エリキシル剤を、無毒性アルコール性ビヒクルを用いて調製する。懸濁液を、化合物を無毒性ビヒクル中に分散させることにより処方することができる。可溶化剤および乳化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類、防腐剤、フレーバー添加剤、例えばペパーミント油もしくは天然甘味剤もしくはサッカリン、または他の人工甘味料などを、同様に加えることができる。
【0076】
経口投与用の投与単位製剤を、所望によりマイクロカプセル中にカプセル封入することができる。製剤をまた、放出が延長されるかまたは遅延されるように、例えば粒子状材料をポリマー、ろうなどの中にコーティングするかまたは包埋することにより、調製することができる。
【0077】
本発明の化合物および塩、溶媒和物およびそれらの生理学的な機能性誘導体をまた、リポソーム送達系、例えば小型単層小胞、大型単層小胞および多層小胞の形態で投与することができる。リポソームを、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン類から生成させることができる。
【0078】
本発明の化合物および塩、溶媒和物およびそれらの生理学的な機能性誘導体をまた、化合物分子が結合した個別の担体としてモノクローナル抗体を用いて送達することができる。当該化合物をまた、標的化された医薬担体としての可溶性ポリマーに結合させることができる。そのようなポリマーは、パルミトイルラジカルにより置換されたポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール(polyhydroxyethylaspartamidophenol)またはポリエチレンオキシドポリリジンを包含してもよい。当該化合物をさらに、医薬の制御された放出を達成するのに適する生分解性ポリマーの群、例えばポリ乳酸、ポリ−エプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロキシピラン類、ポリシアノアクリレート類およびヒドロゲルの架橋ブロックコポリマーまたは両親媒性のブロックコポリマーに結合させることができる。
【0079】
経皮的投与用に適合された医薬製剤を、レシピエントの表皮との長期間の、密接な接触のための独立した硬膏剤として投与することができる。したがって、例えば、活性成分を、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)中に一般論として記載されているように、イオン泳動により硬膏剤から送達することができる。
局所的投与用に適合された医薬化合物を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾールまたは油として処方することができる。
【0080】
目または他の外部組織、例えば口および皮膚を処置するために、製剤を、好ましくは局所的軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を施与するための製剤の場合において、活性成分を、パラフィン系または水混和性クリームベースのいずれかと共に用いることができる。あるいはまた、活性成分を処方して、水中油型クリームベースまたは油中水型ベースを有するクリームを得ることができる。
【0081】
目への局所的適用のために適合された医薬製剤には、点眼剤が含まれ、ここで活性成分を好適な担体、特に水性溶媒中に溶解させるかまたは懸濁させる。
口における局所的適用のために適合された医薬製剤は、薬用キャンデー、トローチおよび洗口剤を包含する。
直腸内投与のために適合された医薬製剤を、坐剤または浣腸剤の形態で投与することができる。
【0082】
担体物質が固体である鼻腔内投与のために適合された医薬製剤は、例えば20〜500ミクロンの範囲内の粒子サイズを有する粗粉末を含み、それを、嗅ぎタバコを服用する方法で、即ち鼻に近接して保持した散剤を含む容器からの鼻の経路を介しての迅速な吸入により投与する。担体物質としての液体を有する鼻腔内スプレーまたは点鼻剤としての投与に適する製剤は、水中または油中の活性成分溶液を包含する。
【0083】
吸入による投与のために適合された医薬製剤は、微細な粒子状ダストまたはミストを包含し、それをエアゾール、噴霧器または吸入器を有する種々のタイプの加圧ディスペンサーにより発生させることができる。
膣内投与のために適合された医薬製剤を、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体またはスプレー製剤として投与することができる。
【0084】
非経口投与のために適合された医薬製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含む水性および非水性の無菌注射溶液であって、それにより製剤が処置されるべきレシピエントの血液と等張になるもの;ならびに水性の、および非水性の無菌懸濁液であって、懸濁媒体および増粘剤を含んでいてもよいもの、が含まれる。製剤を、単一用量または複数用量の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルにおいて投与することができ、使用の直前に無菌の担体液体、例えば注射目的のための水を添加することしか必要としないようにフリーズドライした(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilised))状態において貯蔵することができる。
処方箋に従って調製される注射溶液および懸濁液を、無菌の散剤、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0085】
上記で特定的に述べた構成成分に加えて、製剤はまた、製剤の特定のタイプに関して当該分野において通常である他の剤を含んでいてもよいことは、言うまでもない;したがって、例えば、経口投与に適する製剤は、フレーバーを含んでいてもよい。
【0086】
本発明の化合物の治療有効量は、例えばヒトまたは動物の年齢および体重、処置が必要である正確な疾患状態およびその重篤度、製剤の性質および投与の方法を含む多数の要因に依存し、最終的には処置する医師または獣医師により決定される。しかし、本発明の化合物の有効量は、一般的に1日あたり0.1〜100mg/レシピエント(哺乳動物)の体重1kgの範囲内、特に典型的には1日あたり1〜10mg/体重1kgの範囲内である。したがって、体重が70kgである成体の哺乳動物についての1日あたりの実際の量は、通常70〜700mgであり、ここでこの量を、1日あたり個別の用量として、または通常1日あたり一連の部分用量(例えば2回分、3回分、4回分、5回分もしくは6回分など)において投与し、したがって合計の日用量が同一であるようにすることができる。塩もしくは溶媒和物の、またはその生理学的な機能的誘導体の有効量を、本発明の化合物自体の有効量の比として決定することができる。同様の用量が、前述の他の状態を処置するのに適すると、推測することができる。
【0087】
本発明はさらに、本発明の少なくとも1種の化合物および/またはその薬学的に使用可能な塩およびその立体異性体(すべての比率でのその混合物を含む)ならびに少なくとも1種の他の医薬活性成分を含む医薬に関する。
【0088】
本発明はまた、
(a)本発明の化合物および/またはその薬学的に使用可能な塩および立体異性体(すべての比率でのその混合物を含む)の有効量、
ならびに
(b)他の医薬活性成分の有効量
の個別のパックからなるセット(キット)に関する。
【0089】
当該セットは、好適な容器、例えば箱、個別のビン、袋またはアンプルを含む。当該セットは、例えば個別のアンプルを含んでいてもよく、各々は、本発明の化合物および/またはその薬学的に使用可能な塩および立体異性体(すべての比率でのその混合物を含む)の有効量、
ならびに他の医薬活性成分の有効量を、溶解されたかまたは凍結乾燥された形態で含む。
【0090】
使用
本発明の化合物は、哺乳動物のための、特にヒトのための、1型および2型糖尿病、肥満、神経障害および/または腎症の処置における医薬活性成分として適する。
【0091】
したがって、本発明は、請求項1に記載の化合物ならびに薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体(すべての比率でのその混合物を含む)の、2型糖尿病、肥満、神経障害および/または腎症を処置するための医薬を調製するための使用に関する。
【0092】
本発明の化合物を、GLP−1活性の不十分なレベルにより媒介されるかまたはTGR5を活性化することにより処置することができる疾患または障害(真性糖尿病、耐糖能障害、IFG(空腹時血糖異常)およびIFG(空腹時高血糖)ならびに以下に記載するような他の疾患および障害が含まれるがこれらには限定されない)を処置するための予防薬または治療薬として用いることができる。
【0093】
さらに、本発明の化合物をまた、境界タイプ、耐糖能障害、IFG(空腹時血糖異常)またはIFG(空腹時高血糖)の真性糖尿病への進行を防止するために用いることができる。
【0094】
本発明の化合物をまた、糖尿病性合併症(例えば、これらに限定されないが、神経障害、腎症、網膜症、白内障、大血管障害、骨減少症、糖尿病性高浸透圧性昏睡など)、感染症(例えば呼吸器感染症、尿路感染症、消化管感染症、皮膚軟部組織感染症、下肢感染症など)、糖尿病性壊疽、口内乾燥、低下した聴覚、脳血管疾患、末梢循環障害など)の予防薬または治療薬として用いることができる。
【0095】
本発明の化合物をまた、疾患および障害、例えば、これらに限定されないが、肥満、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、高インスリン血症、高インスリン血症により誘発された感覚障害、糖尿病性脂質異常症を含む異常リポタンパク血症(血中の異常なリポタンパク質)、高脂血症、I型、II−a型(高コレステロール血症)、II−b型、III型、IV型(高トリグリセリド血症)およびV型(高トリグリセリド血症)を含む高リポタンパク血症(血中の過剰のリポタンパク質)、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、神経変性疾患、抑うつ症、CNS障害、脂肪肝、骨粗鬆症、高血圧、腎臓疾患(例えば糖尿病性腎症、糸球体腎炎、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、高血圧性腎硬化症、末期の腎臓障害など)、心筋梗塞、狭心症および脳血管疾患(例えば脳梗塞、脳卒中)の処置における予防薬または治療薬として用いることができる。
【0096】
本発明の化合物をまた、疾患および障害、例えば、これらに限定されないが、骨粗鬆症、脂肪肝、高血圧、インスリン抵抗性症候群、炎症性疾患(例えば慢性関節リウマチ、変形性脊椎炎、骨関節炎、腰痛、痛風、術後のまたは外傷性炎症、腫脹の寛解、神経痛、咽頭喉頭炎、膀胱炎、肝炎(非アルコール性脂肪性肝炎を含む)、肺炎、炎症性大腸炎、潰瘍性大腸炎)、膵炎、内臓肥満症候群、悪液質(例えば癌性悪液質、結核性悪液質、糖尿病性悪液質、血液疾患性(hemopathic)悪液質、内分泌障害(endocrinopathic)悪液質、感染性悪液質、後天性免疫不全症候群により誘発される悪液質)、多嚢胞性卵巣症候群、筋ジストロフィー、腫瘍(例えば白血病、乳癌、前立腺癌、皮膚癌など)、過敏性腸症候群、急性または慢性下痢、変形性脊椎炎、骨関節炎、腫脹の寛解、神経痛、咽頭喉頭炎、膀胱炎、SIDSなどの処置における予防薬または治療薬として用いることができる。
【0097】
本発明の化合物を、以下に記載するような1種または2種以上の追加の薬物と組み合わせて用いることができる。第2の薬物の用量を、臨床的に用いる用量を基準にして適切に選択することができる。式I、II、IIIおよびIVで表される化合物と第2の薬物との比率を、投与対象、投与経路、標的疾患、臨床状態、組み合わせおよび他の要因に従って適切に決定することができる。投与対象がヒトである場合において、例えば第2の薬物を、式I、II、IIIおよびIVで表される化合物の1重量部あたり0.01〜100重量部の量で用いてもよい。
【0098】
薬学的組み合わせ製剤の第2の化合物または投与計画は、好ましくは式I、II、IIIおよびIVで表される化合物に対する補完的な活性を有し、したがってそれらは互いに悪影響を及ぼさない。そのような薬物は、意図される目的のために有効な量で組み合わせて好適に存在する。したがって、本発明の他の観点は、式I、II、IIIおよびIVで表される化合物またはその溶媒和物、代謝物または薬学的に許容し得る塩またはプロドラッグを、本明細書中に記載したもののような第2の薬剤と組み合わせて含む組成物を提供する。
【0099】
式I、II、IIIおよびIVで表される化合物および追加の薬学的に活性な剤(1種または2種以上)を、単一の医薬組成物中で一緒に、または別個に投与することができ、別個に投与する場合には、これは同時に、または任意の順序で連続して発生し得る。そのような連続的な投与は、時間的に接近していても時間的に離れていてもよい。式I、II、IIIおよびIVで表される化合物および第2の剤(1種または2種以上)の量ならびに投与の相対的なタイミングを、所望の組み合わせた治療的効果を達成するように選択する。
【0100】
併用療法により「相乗効果」が得られ、「相乗的である」ことが明らかになり得る。即ち、一緒に用いる活性成分が化合物を別個に用いることから生じる効果の総計よりも大きい場合に、当該効果が達成される。活性成分が:(1)同時処方され(co-formulated)、組み合わせた単位投与製剤において同時に投与もしくは送達され;(2)別個の製剤として交代により、もしくは平行して送達され;または(3)数種の他の計画による場合に、相乗効果は達成され得る。交代処置において送達される場合には、相乗効果を、当該化合物を例えば別個のシリンジにおける異なる注射により連続して投与または送達する際に達成することができる。一般的に、交代療法の間に、有効投与量の各々の活性成分は連続して、即ち連続的に投与され、一方併用療法において、有効投与量の2種または3種以上の活性成分を一緒に投与する。
【0101】
本発明の化合物を、上記で定義したように、例えば追加の薬物(1種または2種以上)、例えば真性糖尿病のための治療薬および/または糖尿病性合併症のための治療薬と組み合わせて用いることができる。
【0102】
式I、II、IIIおよびIVで表される化合物と組み合わせて用いることができる真性糖尿病のための既知の治療薬の例には、インスリン調製物(例えばウシまたはブタ膵臓から抽出した動物性インスリン調製物;大腸菌または酵母を用いた遺伝子工学手法により合成されたヒトインスリン調製物)、インスリンまたはその誘導体の断片(例えばINS−i)、インスリン抵抗性を改善するための剤(例えばピオグリタゾン塩酸塩、トログリタゾン、ロシグリタゾンまたはそのマレイン酸塩、GI−262570、JTT−50 1、MCC−555、YM−440、KRP−297、CS−Oil、FK−614)、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(例えばボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート)、ビグアナイド(例えばフェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン)、インスリン分泌促進物質[スルホニル尿素(例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピジド、グリブゾール)、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物、GLP−1J、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例えばNVP−DPP−278、PT−100)、ベータ−3アゴニスト(例えばCL−3 16243、SR−58611−A、UL−TG−307、SB−226552、AJ−9677、BMS−l96085、AZ−40140など)、アミリンアゴニスト(例えばプラムリンチド)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例えばバナジウム酸)、糖新生阻害剤(例えばグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴンアンタゴニスト)、SGLT(ナトリウム−グルコース共輸送体)阻害剤(例えばT−1095)などが含まれる。
【0103】
糖尿病性合併症のための既知の治療薬の例には、アルドース還元酵素阻害剤(例えばトルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット(SNK−860)、CT−i 12)、神経栄養因子(例えばNGF、NT−3、BDNF)、神経栄養因子産生分泌促進剤、PKC阻害剤(例えばLY−333531)、AGE阻害剤(例えばALT946、ピマゲジン、ピラトキサチン、臭化N−フェナシルチアゾリウム(ALT766)、EXO−226)、活性酸素スカベンジャー(例えばチオクト酸)および脳血管拡張薬(例えばチアプリド、メキシレチン)が含まれる。
【0104】
本発明の化合物をまた、例えば抗脂質異常症薬と組み合わせて用いることができる。疫学的証拠により、高脂血症がアテローム性動脈硬化症により心血管疾患(CVD)を生じるにあたっての主要な危険因子であると確固として確立された。近年、CVDの防止における必須の段階として、血漿コレステロールレベルを低下することに対して、および特に低密度リポタンパク質コレステロールに対して強調がなされた。
【0105】
心血管疾患は、少なくとも部分的にこの集団において複数の独立した危険因子が存在するため、糖尿病の対象の中で特に一般的である。したがって、一般的な集団の、および特に糖尿病の対象の高脂血症の成功した処置は、特別に医学的に重要である。抗脂質異常症薬の例には、コレステロール合成阻害剤であるスタチン化合物(例えばセリバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フラバスタチン、ピタバスタチンもしくはそれらの塩など)、スクアレンシンターゼ阻害剤またはトリグリセリド低下作用を有するフィブラート化合物(例えばベザフィブラート、クロフィブラート、シンフィブラート、クリノフィブラート)などが含まれる。
【0106】
本発明の化合物をまた、例えば降圧薬と組み合わせて用いることができる。高血圧は、上昇した血中インスリン濃度、即ち高インスリン血症として知られている状態と関連している。インスリン、即ち主な作用がグルコース利用、タンパク質合成ならびに中性脂肪の生成および貯蔵を促進することであるペプチドホルモンはまた、血管細胞増殖を促進し、とりわけ腎臓ナトリウム保持を増大させる作用を奏する。これらの後者の機能は、グルコースレベルに影響を及ぼさずに達成され得、高血圧の既知の原因である。末梢血管系の発達により、例えば末梢の毛細管の狭窄が生じ得、一方ナトリウム保持により血液の容量が増大する。
【0107】
したがって、高インスリン血症患者におけるインスリンレベルの低下により、高いインスリンレベルにより生じる異常な血管成長および腎臓ナトリウム保持が防止され得、それにより高血圧が軽減される。降圧薬の例には、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えばカプトプリル、エナラプリル、デラプリル)、アンジオテンシンIIアンタゴニスト(例えばカンデサルタンシレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン)、カルシウムアンタゴニスト(例えばマニジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン、エホニジピン)およびクロニジンが含まれる。
【0108】
本発明の化合物を、抗肥満薬と組み合わせて用いることができる。用語「肥満」は、脂肪組織の過剰を暗示する。肥満は、多くの極めて一般的な疾患、例えば糖尿病、アテローム性動脈硬化症および高血圧の発生についての十分知られている危険因子である。ある程度は、食欲は視床下部中の別々の領域:視床下部(VLH)の腹外側核中の摂食中枢および視床下部腹内側核(VMH)中の満腹中枢により制御される。大脳皮質は、摂食することを刺激する摂食中枢から正の信号を受け、満腹中枢は、抑制活動電位を摂食中枢に伝送することによりこのプロセスを調節する。いくつかの調節プロセスにより、これらの視床下部中枢に影響が及び得る。満腹中枢は、食事に続く血漿グルコースおよび/またはインスリンの増大により活性化され得る。
【0109】
抗肥満薬の例には、中枢神経系に対して作用する抗肥満薬(例えばデクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキストロアンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス)、膵臓リパーゼ阻害剤(例えばオルリスタット)、ベータ−3アゴニスト(例えばCL−3 16243、SR−5861 1−A、UL−TG−307、SB−226552、AJ−9677、BMS−196085、AZ−40l40)、食欲抑制ペプチド(例えばレプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)およびコレシストキニンアゴニスト(例えばリンチトリプト、FPL−1 5849)が含まれる。
【0110】
本明細書中、すべての温度を℃で示す。以下の例において、「慣用の精製操作」は、以下のことを意味する:所要に応じて水を加え、pHを、最終生成物の構成に依存して所要に応じて2〜10に調整し、混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させ、生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、および/または結晶化により精製する。シリカゲル上のRf値;溶離剤:酢酸エチル/メタノール9:1。
質量分析法(MS):
EI(電子衝撃イオン化)M
FAB(高速原子衝撃)(M+H)
ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)(他に示さない限り)
【0111】
方法および材料
【表1】

【0112】
【表2】

【0113】
【表3】

【0114】
【表4】

【0115】
【表5】

【0116】
【表6】

【0117】
【表7】

【0118】
例1
17−ヒドロキシ−12,15−クライスタンタジエン(cleistanthadiene)−3−オン(「A1」)
【化8】

518,5gの粉砕した乾燥植物材料(Tiliaceae Berrya mollisの根から)を、メタノールおよびMTBEの混合物(1:1、v/v、3500ml)で抽出し、真空で濾過し(ブフナー漏斗)、続いてメタノール(3500ml)で抽出し、真空で濾過した(ブフナー漏斗)。両方の抽出物を混ぜ合わせ(合計容積6650ml)、ロータリーエバポレーターでの蒸発(減少する減圧:250mbarから50mbar)によって2倍量のCelite上をカバーし、38,1gの粗製の抽出物を得た。
【0119】
粗製の抽出物を、方法1に従ってRP−MPLCによって分別した。33〜40.5分の保持時間のウィンドウを有するフラクションD(方法2で分析した)を蒸発させて、0,5gの予め精製した抽出物を得た。フラクションDを、方法3に従ってRP−HPLCによってさらに精製した。
フラクション38および39は、8,3mgの「A1」を、無定形固体として99,8%純度において生成した(方法6)。Rt(方法6)=14,31分;
【0120】
【数1】

【0121】
【表8】

【0122】
例2
15−エン−3−ヒドロキシ−2−オキソ−クライスタンタン(cleistanthan)−17−酸メチルエステル(「A2」)
【化9】

518,5gの粉砕した乾燥植物材料(Tiliaceae Berrya mollisの根から)を、メタノールおよびMTBEの混合物(1:1、v/v、3500ml)で抽出し、真空で濾過し(ブフナー漏斗)、続いてメタノール(3500ml)で抽出し、真空で濾過した(ブフナー漏斗)。両方の抽出物を混ぜ合わせ(合計容積6650ml)、ロータリーエバポレーターでの蒸発(減少する減圧:250mbarから50mbar)によって2倍量のCelite上をカバーし、38,1gの粗製の抽出物を得た。
【0123】
粗製の抽出物を、方法1に従ってRP−MPLCによって分別した。33〜40.5分の保持時間のウィンドウを有するフラクションD(方法2で分析した)を蒸発させて、0,5gの予め精製した抽出物を得た。フラクションDを、方法3に従ってRP−HPLCによってさらに精製した。
フラクション61および62は、2,1mgの「A2」を、無定形固体として91,1%純度において生成した(方法6)。Rt(方法6)=14,45分;
HR−ESI−MS:C2133についての計算値348,2300、観測値349,2365[M+H]
【0124】
【数2】

【0125】
【表9】

【0126】
例3
7−ヒドロキシ−8−オキソ−11(1−10)−アベオ(abeo)−1−パチョレン−12−アール(「A3」)
【化10】

260,5gの粉砕した乾燥植物材料(Compositae Cynara humilisの根)を、メタノールおよびMTBEの混合物(1:1、v/v、2200ml)で抽出し、真空で濾過し(ブフナー漏斗)、続いてメタノール(2200ml)で抽出し、真空で濾過した(ブフナー漏斗)。両方の抽出物を混ぜ合わせ(合計容積3800ml)、ロータリーエバポレーターでの蒸発(減少する減圧:250mbarから50mbar)によって2倍量のCelite上をカバーし、34,6gの粗製の抽出物を得た。
【0127】
粗製の抽出物を、方法1に従ってRP−MPLCによって分別した。25.5〜33分の保持時間のウィンドウを有するフラクションC(方法2で分析した)を蒸発させて、11,0gの予め精製した抽出物を得た。フラクションCを、方法4に従ってRP−HPLCによってさらに精製した。
フラクション31および32は、19,5mgの「A3」を、無定形固体として77,9%純度において生成した(方法6)。Rt(方法6)=11,51分;
HR−ESI−MS:C1521についての計算値248,1412、観測値249,1498[M+H]
【0128】
【数3】

【0129】
【表10】

【0130】
例4
(8E,12E)−3−ベンジル−15−sec−ブチル−11−ヒドロキシ−6,8,10,12,14−ペンタメチル−1−オキサ−4−アザシクロペンタデカ−8,12−ジエン−2,5−ジオン(「A4」)
【化11】

菌株ACD01185fxxx000011を、段階希釈法によって草入り土壌試料から単離した。菌株を、麦芽エキス寒天上で増殖させ、20%グリセロールと共に−80℃にて保存した。
【0131】
菌株ACD01185fxxx000011は、麦芽エキス寒天上で25℃にてインキュベートして蘇生した。500mlのエルレンマイヤーフラスコ中の100mlのMAT2培地(表1を参照)の種培養を、5日間30℃にて、160rpmで軌道のシェーカー上で5cmの振盪直径で振盪した。
種培養を用いて、19gの固体基質培地HiR2(表2を参照)をジャーあたり950μlの種の比率にて含むガラスジャーに接種した。容器を、25℃にて湿潤雰囲気中で19日間インキュベートした。
【0132】
【表11】

【0133】
約750gの接種したHiR2培地からの固体基質培養物を、−20℃にて凍結することによって収穫した。抽出のために、培養物を、メタノール(100ml)で覆い、均質化し、メタノール(各々1500ml)で3回抽出した。33.9gの乾燥重量の抽出物を、2倍量のCeliteと共に蒸発乾固させた。
【0134】
粗製の抽出物を、方法1に従ってRP−MPLCによって分別した。25.5〜33分の保持時間のウィンドウを有するフラクションC(方法2で分析した)を蒸発させて、1,3gの予め精製した抽出物を得た。フラクションCを、方法5に従ってRP−HPLCによってさらに精製した。
フラクション30、31および32は、18,8mgの「A4」を、無定形固体として89,3%純度において生成した(方法6)。Rt(方法6)=15,28分;
【0135】
【数4】

【0136】
【表12】

【0137】
新規な天然の生成物の生物学的活性:
天然の生成物の活性を、それらのTGR5活性化能力に関して、以下のように分析した:
ヒトTGR5を発現するBHK細胞を、384ウェルプレート中に播種し、一晩増殖させた。翌日、天然の試験化合物(および正の対照としてのLCA)を、細胞上で30分間インキュベートした。TGR5がGiタンパク質に結合するに伴って、細胞のcAMP産生の増大を、TGR5活性についての尺度として、商業的に入手できるcAMPキット(CisBio international)を用いることによって分析した。cAMP産生を、キット製造者のプロトコルに従って測定した。データを、LCAによって誘発されるcAMP産生を100%の活性に設定することによって正常化した。EC50値を、GraphPad PrismSoftware (Graph Pad Software Inc.)を用いることによって測定した。
【0138】
【表13】

【0139】
例5
1−エチル−4b,8,8−トリメチル−7−オキソ−テトラデカヒドロ−フェナントレン−2−カルボン酸ジメチルアミド(「A5」)
【化12】

【0140】
例6
7−ヒドロキシ−4b,8,8−トリメチル−6−オキソ−1−ビニル−テトラデカヒドロ−フェナントレン−2−カルボン酸(2−アミノ−エチル)−アミド(「A6」)
【化13】

【0141】
例7
1,4,9−トリメチル−9−メチルアミノメチル−2,4,5,6,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−4,7−メタノ−アズレン−6,7−ジオール(「A7」)
【化14】

【0142】
例8
11−アミノ−3−ベンジル−15−sec−ブチル−6,8,10,12,14−ペンタメチル−1−オキサ−4−アザ−シクロペンタデカン−2,5−ジオン(「A8」)
【化15】

【0143】
以下の例は、医薬製剤に関する:
例A:注射バイアル
100gの本発明の活性成分および5gのリン酸水素二ナトリウムを3lの再蒸留水(bidistilled water)に溶解した溶液を、2N塩酸を用いてpH6.5に調整し、滅菌濾過し、注射バイアル中に移し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々の注射バイアルは、5mgの活性成分を含む。
【0144】
例B:座剤
20gの本発明の活性成分の100gの大豆レシチンおよび1400gのココアバターとの混合物を、溶融し、型中に注入し、放冷する。各々の座剤は、20mgの活性成分を含む。
【0145】
例C:溶液
1gの本発明の活性成分、9.38gのNaHPO・2HO、28.48gのNaHPO・12HOおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから、940mlの再蒸留水中に溶液を調製する。pHを6.8に調整し、溶液を1lにし、放射線により滅菌する。この溶液を、点眼剤の形態で用いることができる。
【0146】
例D:軟膏
500mgの本発明の活性成分を、99.5gのワセリンと、無菌条件下で混合する。
【0147】
例E:錠剤
1kgの本発明の活性成分、4kgのラクトース、1.2kgのジャガイモデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、慣用の方法で圧縮して、錠剤を得、各々の錠剤が10mgの活性成分を含むようにする。
【0148】
例F:糖衣錠
例Eと同様にして錠剤を圧縮し、その後慣用の方法で、スクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび染料の被膜で被覆する。
【0149】
例G:カプセル
2kgの本発明の活性成分を、硬質ゼラチンカプセル中に慣用の方法で導入して、各々のカプセルが20mgの活性成分を含むようにする。
【0150】
例H:アンプル
1kgの本発明の活性成分を60lの再蒸留水に溶解した溶液を、滅菌濾過し、アンプル中に移し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々のアンプルは10mgの活性成分を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の群から選択される化合物
a)式I
【化1】

式中、
は、OH、OA、OAr、OC(O)A、OC(O)Ar、NH、NHA、NA、NHAr、NHC(O)AまたはNHC(O)Arを示し、
は、O、OH、OA、OAr、OC(O)A、OC(O)Ar、NH、NHA、NA、NHAr、NHC(O)AまたはNHC(O)Arを示し、
はH、AまたはArを示し、
Xは、CHまたはCOを示し、
は、Hまたは1〜4個のC原子を有するアルキルを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、
ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく、
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、その各々は、非置換であるか、またはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、COR、SON(R、S(O)A、[C(RCOORおよび/またはO[C(RCOORによって単置換、二置換もしくは三置換されており、
mは、0、1、2、3または4を示し、
nは、0、1または2を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示す、
で表される化合物;
b)式II
【化2】

式中、
は、OH、OA、OAr、NH、NHA、NA、NHAr、NH(CHNH、NH(CHNHA、NH(CHNAを示し、
は、H、AまたはArを示し、
は、Hまたは1〜4個のC原子を有するアルキルを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく、
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、COR、SON(R、S(O)A、[C(RCOORおよび/またはO[C(RCOORによって単置換、二置換もしくは三置換されており、
mは、0、1、2、3または4を示し、
nは、0、1または2を示し、
pは、1、2、3または4を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示す、
で表される化合物;
c)式III
【化3】

式中、
は、O、OH、OA、OAr、OC(O)A、OC(O)Ar、NH、NHA、NA、NHAr、NHC(O)AまたはNHC(O)Arを示し、
は、O、OH、OA、OAr、OC(O)A、OC(O)Ar、NH、NHA、NA、NHAr、NHC(O)AまたはNHC(O)Arを示し、
は、H、AまたはArを示し、
は、Hまたは1〜4個のC原子を有するアルキルを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく、
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、COR、SON(R、S(O)A、[C(RCOORおよび/またはO[C(RCOORによって単置換、二置換もしくは三置換されており、
mは、0、1、2、3または4を示し、
nは、0、1または2を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示す、
で表される化合物;
d)式IV
【化4】

式中、
は、OH、OA、OAr、OC(O)A、OC(O)Ar、NH、NHA、NA、NHAr、NHC(O)AまたはNHC(O)Arを示し、
は、Hまたは1〜4個のC原子を有するアルキルを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく、
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、COR、SON(R、S(O)A、[C(RCOORおよび/またはO[C(RCOORによって単置換、二置換もしくは三置換されており、
mは、0、1、2、3または4を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示す、
で表される化合物;
ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項2】
以下の群
a)式Ia
【化5】

式中、
は、OH、OA、NH、NHAまたはNAを示し、
は、HまたはAを示し、
Xは、CHまたはCOを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよい、
で表される化合物;
b)式IIa
【化6】

式中、
は、OH、OA、NH、NHA、NA、NH(CHNH、NH(CHNHA、NH(CHNAを示し、
は、HまたはAを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく
pは、1、2、3または4を示す、
で表される化合物;
c)式IIIa
【化7】

式中、
は、O、OH、OA、NH、NHAまたはNAを示し、
は、O、OHまたはOAを示し、
は、HまたはAを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよい
で表される化合物;
d)式IV
【化8】

式中、
は、OH、OA、NH、NHAまたはNAを示し、
.....は、単結合または二重結合を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよい
で表される化合物;
ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の群
【表1】

【表2】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式I、IIおよびIVで表される化合物ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体の調製方法であって、
ラジカルRを他のラジカルRに、水酸基またはアルコキシ基を任意に置換されたアミノ基に変換することによって変換し、
かつ/または
式I、IIまたはIVで表される塩基もしくは酸を、その塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項5】
式IIIで表される化合物ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体の調製方法であって、
カルボニル基を、還元的アミノ化によって任意に置換されたアミノ基に変換し、
かつ/または
式IIIで表される塩基もしくは酸をその塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物および/またはそれらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物、ならびに任意に賦形剤および/またはアジュバントを含む、薬剤。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物の、疾患または状態を処置するための医薬の調製のための使用であって、前記疾患または状態がインスリン依存性真性糖尿病、非インスリン依存性真性糖尿病、肥満、神経障害および/または腎症である、前記使用。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物および/またはその薬学的に使用可能な塩もしくは立体異性体、またはすべての比率でのそれらの混合物、ならびに少なくとも1種のさらなる医薬活性成分を含む、医薬。
【請求項9】
(a)請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物および/またはその薬学的に使用可能な塩もしくは立体異性体(すべての比率でのその混合物を含む)の有効量、
ならびに
(b)他の医薬活性成分の有効量
の個別のパックからなる、セット(キット)。

【公表番号】特表2011−522807(P2011−522807A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511993(P2011−511993)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003286
【国際公開番号】WO2009/146772
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】