説明

新規な有機半導体材料およびそれを用いた電子デバイス

【課題】塗工や印刷あるいは蒸着等の簡便なプロセスで、二次元的に結晶成長することにより連続膜が成膜できる、特性の優れた有機半導体材料を提供すること。
【解決手段】下記一般式(I)で示される構造を有することを特徴とする有機半導体材料。


(上記一般式(I)中、R1乃至R6はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基等である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な有機半導体材料に関するものであり、得られる有機半導体材料は有機エレクトロニクス材料としてきわめて有用である。
【背景技術】
【0002】
近年、有機半導体材料を利用した有機薄膜トランジスタの研究開発が盛んである。有機半導体材料は、印刷法、スピンコート法等のウェットプロセスによる簡便な方法で薄膜形成できる可能性があり、従来の無機半導体材料を利用した薄膜トランジスタと比し、製造プロセス温度を低温化できるという利点がある。これにより、一般に耐熱性の低いプラスチック基板上への形成が可能となり、ディスプレイ等のエレクトロニクスデバイスの軽量化や低コスト化できるとともに、プラスチック基板のフレキシビリティーを活かした用途等、多様な展開が期待できる。
【0003】
これまでに、有機半導体材料として、ポリ(3−アルキルチオフェン)(非特許文献1のAppl.Phys.Lett.,69(26),4108(1996)参照)や、ジアルキルフルオレンとビチオフェンとの共重合体(非特許文献2のScience,290,2123(2000)参照)等が提案されている。
これらの有機半導体材料は、低いながらも溶解性を有するため、真空蒸着工程を経ず、
塗布や印刷で薄膜化が可能である。
しかしながら、これらの高分子材料は、精製方法に制約を受け、高純度の材料を得るのに非常に手間がかかったり、分子量や分子量分布が存在するために品質の安定性に欠けるということが問題になっている。
【0004】
また、これまでに、低分子誘導体の有機半導体材料として、ペンタセン等のアセン系材料が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
このペンタセンを有機半導体層として利用した有機薄膜トランジスタは、比較的高移動度であることが報告されているが、これらアセン系材料は汎用溶媒に対しきわめて溶解性が低く、それを有機薄膜トランジスタにおける有機半導体層として薄膜化する際には、真空蒸着工程を経る必要がある。ゆえに、前述したような塗布や印刷などの簡便なプロセスで薄膜を形成できるという有機半導体材料への期待に応えるものではない。
【0005】
また、これまで溶解性を有する低分子有機半導体材料も幾つか報告されているものの、湿式プロセスにより作製された膜はアモルファスであったり、また各材料由来の晶癖のために連続膜を得ることが困難であり、素子毎の特性が大きくばらついたり、良好な特性が得られない等の問題がある。例えば特許文献2のWO2010/000670号国際公開明細書、特許文献3の特開2009−054810号公報、非特許文献3のAdvanced Materials2009,21,213−216.に記載されているジチエノベンゾジチオフェン誘導体のように、結晶内で分子がπスタックした構造を有する場合、結晶形は針状となりやすく、連続した薄膜状態に製膜できなかったり、単一の結晶中でも電荷輸送特性の異方性が大きくなったり、素子毎の特性のばらつきが大きくなってしまい、実用には適さない。特に結晶の形状を含めた結晶構造は分子構造から予測することは困難であり、現在も更なる材料開発が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の問題を解決するため、塗工や印刷あるいは蒸着等の簡便なプロセスで、二次元的に結晶成長することにより連続膜が成膜できる、特性の優れた有機半導体材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ジチエノベンゾジチオフェン骨格の特定部位への特定の修飾基の導入により上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は以下により達成される。
(1) 「下記一般式(I)で示される構造を有することを特徴とする有機半導体材料。
【0008】
【化1】

【0009】
(上記一般式(I)中、R1乃至R6はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、次の一般式(II)で示される基、からなる群から選択される基である。ただし、R1乃至R6のうち少なくとも1つ以上は、一般式(II)で示される置換基である。一般式(II)中、Xはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子または置換基である。)」
【0010】
【化2】

【0011】
(2)「 前記R1乃至R4のいずれか1つ以上が、一般式(II)で示される基であることを特徴とする前記(1)項に記載の有機半導体材料。」
(3)「 前記R1およびR2又はR3およびR4が、少なくとも共に一般式(II)で示される基であることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の有機半導体材料。」
(4)「 前記一般式(II)中、Xが置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアリール基又は置換されていても良いヘテロアリール基であることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載の有機半導体材料。」
(5)「 前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載の有機半導体材料を含む電荷輸送性部材。」
(6)「 前記(5)項に記載の電荷輸送性部材を含むことを特徴とする有機電子デバイス。」
(7)「 前記(6)項に記載の有機電子デバイスが、有機半導体層を具備し、かつ互いに分離した対の第1の電極と第2の電極と、電圧を印加することにより、前記第1の電極と前記第2の電極との間を流れる電流をコントロールする機能を具備する第3の電極を具備する薄膜トランジスタであることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。」
(8)「前記第1の電極と第2の電極とが、前記有機半導体層を介して互いに分離し、前記第3の電極と該有機半導体層との間に、絶縁膜が設けられていることを特徴とする前記(7)項に記載の有機薄膜トランジスタ。」
(9)「前記(7)項又は(8)項に記載の有機薄膜トランジスタにより表示画素が駆動されることを特徴とするディスプレイ装置。」
(10)「前記表示画素は、液晶素子、エレクトロルミネッセンス素子、エレクトロクロミック素子、及び電気泳動素子で構成される群から選ばれたものであることを特徴とする前記(9)項に記載のディスプレイ装置。」
【発明の効果】
【0012】
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明は上述の問題を解決し、塗工や印刷等の簡便なプロセスで二次元的に結晶成長することにより連続膜が成膜でき、特性の優れた有機半導体材料を提供できるという極めて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】有機薄膜トランジスタの概略図である。
【図2】表示画像素子を駆動するためのトランジスタアレイの一例の断面図である。
【図3】表示画像素子を駆動するためのトランジスタアレイの一例を表す図である。
【図4】本発明の化合物(実1)のLC−MCスペクトルである。
【図5】本発明の化合物(実2)のLC−MCスペクトルである。
【図6】本発明の化合物(実3)のLC−MCスペクトルである。
【図7】比較例2で作製したトランジスタのSEM像である。
【図8】比較例3で作製したトランジスタのSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について実施の形態を示して、説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
【0015】
まず、本発明の有機半導体材料の構造について説明する。
本発明の有機半導体材料の構造は、前記のように、下記一般式(I)で示される。
【0016】
【化3】

【0017】
上記一般式(I)中、R1乃至R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、下記一般式(II)で示される基、からなる群から選択される基である。ただし、R1乃至R6のうち少なくとも1つ以上は、一般式(II)で示される置換基である。一般式(II)中、Xはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子、または置換基である。
【0018】
【化4】

【0019】
また、本発明における置換基R1乃至R6およびXの例としては、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシル基、チオアルコキシル基、アリールオキシ基、チオアリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、チオヘテロアリールオキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、チオール基、アミノ基、シリル基、シリルエチニル基等が挙げられる。
【0020】
前記アルキル基としては、直鎖または分岐または環状の置換または無置換の炭素数1以上アルキル基を含む。これらの例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデカン基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロオクチル基、トリフルオロドデシル基、トリフルオロオクタデシル基、2−シアノエチル基、シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、ペンタフルオロシクロヘキシル基が含まれる。以下に説明する置換基においても、アルキル基は上記概念のアルキル基を示す。
【0021】
前記アルケニル基としては、直鎖または分岐または環状の置換または無置換のアルケニル基が含まれる。これらの例としては、上記した炭素数2以上のアルキル基の任意の炭素−炭素単結合を1つ以上二重結合としたものが挙げられる。例えばエテニル基(ビニル基)、プロペニル基(アリル基)、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、1−オクテニル基、2−オクテニル基、3−オクテニル基、4−オクテニル基、1, 1, 1−トリフルオロ−2−ブテニル基、1−シクロアリル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、1−シクロヘプテニル基、2−シクロヘプテニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロヘプテニル基、3−フルオロ−1−シクロヘキセニル基等が挙げられる。なお、該アルケニル基はトランス(E)体及びシス(Z)体等の立体異性体が存在する場合は、その何れであってもよく、またそれらの任意の割合の混合物であってもよい。
【0022】
前記アルキニル基としては、置換または無置換の炭素数2以上のアルキニル基が含まれ、上記した炭素数2以上のアルキル基の任意の炭素−炭素単結合を1つ以上三重結合としたものが挙げられる。例えば、エチニル基、プロパギル基、トリメチルシリルエチニル基、トリイソプロピルシリルエチニル基が挙げられる。
【0023】
前記アリール基としては、置換または無置換の炭素数6以上のアリール基が含まれる。例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−トリフルオロフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ピレニル基、ビフェニル基、4−メチルビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
【0024】
前記ヘテロアリール基としては、5または6員の置換または無置換の、芳香族性もしくは非芳香族性のヘテロ環化合物が含まれる。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−チエノチエニル基、2−ベンゾチエニル2−ピリミジル、ビチエニル基、ターチエニル基等が挙げられる。ピラジン環、トリアジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、セレノフェン環、シロール環から水素を一つ取り去り置換した基も上げられる。
【0025】
前記アルコキシル基およびチオアルコキシル基としては、置換または無置換のアルコキシル基およびチオアルコキシル基が含まれる。上記に例示したアルキル基およびアルケニル基およびアルキニル基の結合位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してアルコキシ基あるいはチオアルコキシ基としたものが具体例として挙げられる。
前記アリールオキシ基およびチオアリールオキシ基としては、置換または無置換のアリールオキシ基およびアリールチオオキシ基が含まれる。上記に例示したアリール基の結合部位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してアリールオキシ基あるいはチオアルコキシ基としたものが具体例として挙げられる。
【0026】
前記ヘテロアリールオキシ基およびヘテロチオアリールオキシ基としては、置換または無置換のヘテロアリールオキシ基およびヘテロアリールチオオキシ基が含まれる。上記に例示したヘテロアリール基の結合部位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してヘテロアリールオキシ基あるいはヘテロアリールチオアリールオキシ基としたものが具体例として挙げられる。
【0027】
前記アミノ基としては、アミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)等が挙げられる)が挙げられる。
【0028】
前記、シリル基としては、珪素原子1以上の置換または無置換のシリル基が含まれる。置換または無置換のシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基が挙げられる。また、これらシリル基に上記したアルケニル基を挿入したシリルエチニル基(トリメチルシリルエチニル基、トリエチルシリルエチニル基、トリイソプロピルシリルエチニル基、tert-ブチルジメチルシリルエチニル基、tert-ブチルジフェニルシリルエチニル基)も挙げられる。
【0029】
本発明の有機半導体材料の構造の第二の形態は、前記一般式(I)においてR1乃至R4のいずれか一つ以上が、一般式(II)で示される基であることである。即ち下記一般式(III)で示される構造である。
【0030】
【化5】


上記一般式(III)中において、R5およびR6、Xの範囲は上記したものと同様である。
【0031】
本発明の有機半導体材料の構造の第三の形態は、前記R1およびR2又はR3およびR4が、少なくとも共に一般式(II)で示される基であることである。即ち下記一般式(IV)または一般式(V)で示される構造である。
【0032】
【化6】

【0033】
【化7】


上記一般式(IV)、(V)において、R5およびR6、Xの範囲は上記したものと同様である。
【0034】
ここで、置換基Xは、アルキル基、置換されていても良いアリール基、置換されていても良いヘテロアリール基であることが好ましい。より好ましくは、置換されていても良いアリール基、置換されていても良いヘテロアリール基であり、最も好ましくは置換されていても良いアリール基である。
特にR及びRまたはR3およびRの位置に上記アリール基またはヘテロアリール基を導入することにより、ジチエノベンゾジチオフェン部位の両端に位置するアルキン−アリール(またはヘテロアリール)部位が、結晶内で隣接分子とCH-π相互作用することにより、結晶が2次元的に成長しやすくなり、結晶性の連続膜が得られやすくなることがわかった。この効果は、ヘテロアリール基よりも、アリール基の方が分子短軸方向の水素原子数が多くなり得るため大きい。そのため、アリール基の置換位置は分子長軸方向であることがより好ましい。即ち2−トリル基よりも、4−トリル基の方が好ましい。
加えてアリール基またはヘテロアリールを導入した場合、分子の共役系が拡大し、材料のイオン化ポテンシャルが浅くなり、ホール輸送特性を向上させることが可能となる。
さらに上記アリール基およびヘテロアリール基が三重結合を会してジチエノベンゾジチオフェン部位に結合していることにより、上記アリール基およびヘテロアリール基に電子吸引性置換基を導入することにより、電子輸送特性を向上させることが可能となる。
【0035】
次に、本発明の有機半導体の製造方法について説明する。
本発明の有機半導体材料を合成する方法は特に限定されず、公知の種々の方法により合成することが可能である。本発明の有機半導体材料はジチエノベンゾジチオフェン骨格を構築した後、両端の三重重結合部位を導入してもよいし、二重結合部位を導入した後、ジチエノベンゾジチオフェン骨格を構築してもよい。
【0036】
ジチエノベンゾジチオフェン骨格を構築した後、両端の三重結合部位を導入する場合、例えばハロゲン化合物と末端水素を有するアルキニル化合物を用いたCastro-Stephensアセチレンカップリングおよび薗頭・萩原クロスカップリング反応、アルキニル錫化合物とハロゲン化合物を用いたStilleカップリング反応、アルキニルホウ素化合物とハロゲン化合物を用いた鈴木―宮浦カップリング反応、アルキニルグリニヤール試薬とハロゲン化合物を用いた熊田クロスカップリング、アルキニル亜鉛試薬とハロゲン化合物を用いた根岸クロスカップリング反応などの種々のクロスカップリング反応、α-ジアゾホスホネート化合物を用いてケトンあるいはアルデヒド誘導体から一炭素増炭し、アルキンに変換するセイファース・ギルバート アルキン合成が挙げられる。
中でも、薗頭・萩原クロスカップリング反応および根岸クロスカップリング反応が、中間体の調整の容易さ、他の官能基への制約の少なさ、反応性の高さ、収率の高さ、以上の観点から有効である。より好ましくは反応条件の温和さから、薗頭・萩原クロスカップリング反応が有効である。
一例として、薗頭・萩原クロスカップリング反応を用いた本発明の有機半導体材料の製造方法について説明する。
【0037】
本発明の有機半導体材料は、下の反応式に示すように、末端水素を有するアルキン化合物及びハロゲン化合物を、塩基、溶媒、触媒存在下で反応させることによって得られる。なお、下記AとBは逆であっても構わない。
【0038】
【化8】

【0039】
上記塩基としては特に限定されず、アミン類、金属アルコシド、金属ヒドリド、有機リチウム化合物等が挙げられ、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウムナフチリド、リチウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等を挙げることができる。中でも、比較的弱い塩基が、他の官能基への影響が少なく好ましい(たとえばアミン類であり、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジンなどである)。
【0040】
パラジウム触媒としては例えばパラジウムブロマイド、パラジウムクロライド、パラジウムヨージド、パラジウムシアニド、パラジウムアセテート、パラジウムトリフルオロアセテート、パラジウムアセチルアセトナト[Pd(acac)2 ]、ジアセテートビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(OAc)2 (PPh32 ]、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh34 ]、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム[Pd(CH3 CN)2 Cl2 ]、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム[Pd(PhCN)2 Cl2 ]、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム[Pd(dppe)Cl2 ]、ジクロロ[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム[Pd(dppf)Cl2]、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム〔Pd[P(C61132 Cl2 〕、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh32 Cl2 ]、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム[Pd2 (dba)3 ]、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム[Pd(dba)2 ]、等が挙げられるが、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh34 ]、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム[Pd(dppe)Cl2 ]、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh32 Cl2 ]等のホスフィン系触媒が好ましい。
【0041】
上記の他にパラジウム触媒として、反応系中においてパラジウム錯体と配位子の反応により合成されるパラジウム触媒を用いることができる。配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリス(n−ブチル)ホスフィン、トリス(tert−ブチル)ホスフィン、ビス(tert−ブチル)メチルホスフィン、トリス(i−プロピル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(2−フリル)ホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2‘−メチルビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4‘,6’−トリイソプロピル−1,1‘−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2‘,6’−ジメトキシ−1,1‘−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2‘−(N,N‘−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジフェニルホスフィノ−2’−(N,N’−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノ−2‘−(N,N‘−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノ−2’−メチルビフェニル、ジフェニルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノプロパン、ジフェニルホスフィノブタン、ジフェニルホスフィノエチレン、ジフェニルホスフィノフェロセン、エチレンジアミン、N,N‘,N'’,N'''−テトラメチルエチレンジアミン、2,2’−ビピリジル、1,3−ジフェニルジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ジメチルジヒドロイミダゾリリデン、ジエチルジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ジヒドロイミダゾリリデンが挙げられ、これらの配位子のいずれかが配位したパラジウム触媒をクロスカップリング触媒として用いることができる。
【0042】
反応溶媒としては、原料と反応し得るような官能基を有さず、かつ原料を適度に溶解させられることができるようなものが望ましく、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル等のアルコールおよびエーテル系、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系の他、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。またこれらの溶媒はあらかじめ乾燥、脱気処理を行うことが望ましい。
【0043】
上記反応の温度は、用いる原料の反応性、また、反応溶媒により適宜設定され、通常0℃〜200℃の範囲で行うことが可能であるが、いずれの場合も溶媒の沸点以下に抑えることが好ましい。加えて脱離反応が起こる温度以下に抑えることが収率の観点から好ましく、具体的には室温〜150℃の範囲が好ましく、特に好ましくは室温〜120℃の範囲が好ましく、もっとも好ましくは室温〜100℃の範囲である。
上記反応における反応時間は、用いる原料の反応性において適宜設定することができ、1〜72時間が好適であり、さらには、1〜24時間がより好ましい。
【0044】
上記アルケニル化合物は、種々の方法で合成が可能であるが、一例として、
下記、ハロゲン化合物と末端保護水素化アルキンとの薗頭・萩原クロスカップリング反応の後、脱保護を経る方法
【0045】
【化9】

【0046】
(ここで、Pd触媒、塩基、溶媒は上記したものと同様である。二段階目の脱保護に用いる塩基は特に制限されないが、一段階目(カップリング反応)とは異なり、ある程度強塩基の方が良い結果を与える。たとえば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。)、
下記、水素化合物と末端保護アルキニルリチウム試薬との反応の後、脱保護を経る方法、
【0047】
【化10】

【0048】
等、を一例として挙げることができる。
上記式中、脱保護に用いる塩基および溶媒については前述のとおりであるが、一段階目に用いる溶媒については、リチウム試薬と反応せず、かつ溶媒中でリチウム試薬と錯体を形成するものが好ましい。それらの例としては、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。上記低温条件とは、副反応を防ぐ観点から0度以下が好ましく、特に-40度以下が好ましく、最も好ましくは−70℃以下である。
以上のように、水素化合物またはハロゲン化合物からの誘導が容易であり、これらの手法を用いて、所望のアルケニル化合物を得ることができる。
【0049】
上記ハロゲン化合物についても、従来公知の種々の方法で合成が可能であるが、一例として、直接ハロゲン化剤を反応させる方法、一旦リチオ化した後、ハロゲン化剤を反応させる方法、等を一例として挙げることができる。また、水酸基にトリフルオロメタンスルホン酸無水物を反応させることで生成するトリフラートもハロゲン化物と同様に用いることができる。中でも反応性の観点から、ヨウ素体、臭素体、トリフラート体が好ましい。
【0050】
また、三重結合部位を導入した後、ジチエノベンゾジチオフェン骨格を構築する場合には、以下のような方法で合成することができる。
【0051】
【化11】

【0052】
目的の位置にアルキニル基が置換されたチオフェン誘導体を用いることで、選択的に2位または3位、あるいは両方の位にアルキニル基が導入された有機半導体材料を効率的に製造することができる。
【0053】
以上のようにして得られる本発明の有機半導体材料は反応に使用した触媒、未反応の原料、又塩等の不純物を除去して使用される。これらの精製は再沈澱法、カラムクロマト法、吸着法、抽出法(ソックスレー抽出法を含む)、限外濾過法、透析法、触媒を除くためのスカベンジャーの使用等をはじめとする従来公知の方法を使用できる。不純物の混入は半導体特性に悪影響を及ぼすため、可能な限り高純度にすることが望ましい。溶解性に優れた材料では、これら精製方法の制約が少なくなり、結果的にデバイス特性にも好影響を与える。
【0054】
上記製造方法により得られた本発明の半導体材料は、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、トルエン、ジクロロベンゼン及びキシレン等の溶剤に溶解する場合、支持体上に塗布することによって薄膜を形成することができる。
成膜方法の一例を挙げると、スピンコート法、キャスト法、ディップ法、インクジェッ
ト法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、ディスペンス法等が挙げられ、公知の湿
式成膜方法により薄膜を作製することが可能である。
また、キャスト法などによっては平板状結晶や厚膜状態の形態をとることも可能である。作製するデバイスに応じて、上記の中から適した製膜方法あるいは溶媒から、適切な組み合わせが選択される。
また当然のことながら、真空蒸着法などのドライプロセスによっても成膜は可能である。
【0055】
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、有機半導体層の膜厚としては、特に制限はないが、均一な薄膜(即ち、有機半導体層のキャリア輸送特性に悪影響を及ぼすギャップやホールがない)が形成されるような厚みに選択される。有機半導体薄膜の厚みは、一般に1μm以下、特に5〜100nmが好ましい。本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、上記化合物を成分として形成される有機半導体層は、ソース電極、ドレイン電極及び絶縁膜に接して形成される。
【0056】
これらの薄膜、厚膜、或いは結晶は、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の機能素子の電荷輸送性部材として機能し、本半導体材料を用いて多様な電子デバイスを作製することが可能である。
電子デバイスの例を挙げると、2個以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気、又は化学物質等により制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場を発生させる装置などが挙げられる。また、例えば、電圧や電流の印加により電流や電圧を制御する素子、磁場の印加による電圧や電流を制御する素子、化学物質を作用させて電圧や電流を制御する素子などが挙げられる。この制御としては、整流、スイッチング、増幅、発振等が挙げられる。
現在シリコン等の無機半導体で実現されている対応するデバイスとしては、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、化学センサー等、あるいはこれらの素子の組み合わせや集積化したデバイスが挙げられる。また、光により起電力を生じる太陽電池や、光電流を生じるフォトダイオード、ホトトランジスタ等の光素子も挙げることができる。
【0057】
本発明の有機半導体材料を適用するのに好適な電子デバイスの一例としては、有機薄膜トランジスタすなわち、有機電界効果トランジスタ(OFET)が挙げられる。以下、このFETについて詳細に説明する。
【0058】
図1に概略構造図を示して説明する。図中、(A)〜(D)は本発明に係わる有機薄膜トランジスタの概略構造である。本発明に係わる有機薄膜トランジスタの有機半導体層(1)は、本発明の有機半導体化合物を含有する。本発明の有機薄膜トランジスタには、空間的に分離された第一の電極(ソース電極(2))、第二の電極(ドレイン電極(3))および図示しない支持体(基質)上に第三の電極(ゲート電極(4))が設けられており、ゲート電極(4)と有機半導体層(1)の間には絶縁膜(5)が設けられていてもよい。有機薄膜トランジスタはゲート電極への電圧の印加により、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間の有機半導体層(1)内を流れる電流がコントロールされるが、スイッチング素子としては、ゲート電極(4)による電圧の印加状態により、ソース電極(2)とドレイン電極(3)との間に流れる電流量が大きく変調できることが重要である。これはトランジスタの駆動状態で大きな電流が流れ、非駆動状態では、電流が流れないことを意味する。
本発明の有機薄膜トランジスタは、支持体上に設けることができ、例えば、ガラス、シリコン、プラスチック等の一般に用いられる基板を利用できる。また、導電性基板を用いることにより、ゲート電極と兼ねること、さらにはゲート電極と導電性基板とを積層した構造にすることもできるが、本発明の有機薄膜トランジスタが応用されるデバイスのフレキシビリティー、軽量化、安価、耐衝撃性等の特性が所望される場合、プラスチックシートを支持体とすることが好ましい。
プラスチックシートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等からなるフィルム等が挙げられる。
また、本発明の有機薄膜トランジスタは、必要に応じて各電極からの引出し電極を設けることができる。
【0059】
次に、図1の有機薄膜トランジスタにおける、上記有機半導体層以外の構成要素について説明する。
有機半導体層(1)は、第1の電極(ソース電極)、第2の電極(ドレイン電極)、及び必要に応じて絶縁膜(5)に接して形成されている。
絶縁膜(5)について説明する。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて用いられる絶縁膜には、種々の絶縁膜材料を用いることができる。例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコウム酸化チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等の無機系絶縁材料が挙げられる。
【0060】
また、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリエステル、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、無置換またはハロゲン原子置換ポリパラキシリレン、ポリアクリロニトリル、シアノエチルプルラン等の高分子材料を用いることができる。
さらに、上記絶縁材料を2種以上合わせて用いても良い。特に材料は限定されないが、中でも、導電率が低いものが好ましい。
【0061】
上記材料を用いた絶縁膜層の作製方法としては、例えば、CVD法、プラズマCVD法、プラズマ重合法、蒸着法のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法、キャスト法、ブレードコート法、バーコート法等の塗布によるウェットプロセスが挙げられる。
【0062】
次に、有機半導体層(1)と絶縁膜(5)との界面修飾について説明する。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、絶縁膜および電極と有機半導体層の接着性を向上、ゲート電圧の低減、リーク電流低減等の目的で、これら層間に有機薄膜を設けても良い。有機薄膜は有機半導体層に対し、化学的影響を与えなければ、特に限定されないが、例えば、有機分子膜や高分子薄膜が利用できる。
【0063】
有機分子膜としては、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ヘキサメチレンジシラザン、フェニルトリクロロシランや、ベンゼンチオール、トリフルオロベンゼンチオール、パーフルオロベンゼンチオール、パーフルオロデカンチオールなどを具体的な例としたカップリング剤が挙げられる。また、高分子薄膜としては、上述の高分子絶縁膜材料を利用することができ、これらが絶縁膜の一種として機能していても良い。また、この有機薄膜をラビング等により、異方性処理を施していても良い。
【0064】
次に、有機薄膜トランジスタを構成する電極について説明する。
本発明の有機薄膜トランジスタに用いられるゲート電極、ソース電極、ゲート電極としては、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等、及びこれらの合金やインジウム・錫酸化物等の導電性金属酸化物、あるいはドーピング等で導電率を向上させた無機及び有機半導体、例えば、シリコン単結晶、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ゲルマニウム、グラファイト、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチエニレンビニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等が挙げられる。
【0065】
ソース電極及びドレイン電極は、上記導電性の中でも半導体層との接触面において、電気抵抗が少ないものが好ましい。
電極の形成方法としては、上記材料を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしても良いし、塗工膜からリソグラフィーやレーザーアブレーション等により形成しても良い。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
【0066】
本発明の有機薄膜トランジスタは、必要に応じて各電極からの引出し電極を設けてもよい。
本発明の有機薄膜トランジスタは、大気中でも安定に駆動するものであるが、機械的破壊からの保護、水分やガスからの保護、またはデバイスの集積の都合上の保護等のため必要に応じて保護層を設けることもできる。
【0067】
上述した本発明の有機薄膜トランジスタは、液晶、エレクトロルミネッセンス、エレクトロクロミック、電気泳動等の、従来公知の各種表示画像素子を駆動するための素子として好適に利用でき、これらの集積化により、いわゆる「電子ペーパー」と呼ばれるディスプレイを製造することが可能である。
本発明のディスプレイ装置は、例えば、液晶表示装置では液晶表示素子、EL表示装置では有機若しくは無機のエレクトロルミネッセンス表示素子、電気泳動表示装置では電気泳動表示素子などの表示素子を1表示画素として、該表示素子をX方向及びY方向にマトリックス状に複数配列して構成される。
前記表示素子は、該表示素子に対して電圧の印加又は電流の供給を行なうためのスイッチング素子として、図2に示されるように本発明の有機薄膜トランジスタを備えている。本発明のディスプレイ装置としては、前記スイッチング素子が前記表示素子の数、即ち表示画素数に対応して複数備えられる。
前記表示素子は、前記スイッチング素子の他に、例えば、基板、透明電極等の電極、偏光板、カラーフィルタなどの構成部材を備えるが、これらの構成部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、従来から公知のものを使用することができる。
【0068】
前記ディスプレイ装置が、所定の画像を形成する場合には、例えば、図3に示すようにマトリックス状に配置されたスイッチング素子の中から任意に選択された前記スイッチング素子が、対応する前記表示素子に電圧の印加又は電流を供給するときのみスイッチがON又はOFFとなり、その他の時間はOFF又はONとなるように構成することにより、高速、高コントラストで、前記ディスプレイ装置の表示を行なうことができる。
なお、前記ディスプレイ装置における画像の表示動作としては、従来から公知の表示動作により画像等が表示される。
例えば、前記液晶表示素子の場合には、液晶に対して電圧を印加することにより、該液晶の分子配列を制御して画像等の表示が行なわれる。
また、前記有機若しくは無機のエレクトロルミネッセンス表示素子の場合には、有機若しくは無機膜で形成された発光ダイオードに電流を供給して該有機若しくは無機膜を発光させることにより画像等の表示が行なわれる。
また、前記電気泳動表示素子の場合には、例えば、異なる極性に帯電された白及び黒色の着色粒子に電圧を印加して、電極間で前記粒子を所定方向に電気的に泳動させて画像等の表示が行なわれる。
【0069】
前記ディスプレイ装置は、前記スイッチング素子を塗工、印刷等の簡易なプロセスにより作製可能であり、プラスチック基板、紙等の高温処理に耐えない基板を用いることができるとともに、大面積のディスプレイであっても、省エネルギー、低コストで前記スイッチング素子を作製可能となる。
また、ICタグ等のデバイスとして、本発明の有機薄膜トランジスタを集積化したICを利用することが可能である。
【実施例】
【0070】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これら実施例によって制限されるものではない。
【0071】
下記、実施例における化合物の同定は、NMRスペクトル(JNM-ECX(商品名) 500MHz、日本電子製), 質量分析 (GC-MS、GCMS-QP2010 Plus(商品名)、島津製作所製)、質量分析(LC-TofMS、Alliance-LCT Premier(商品名)、Waters社製,ASAPプローブ使用)、元素分析 (CHN) (CHNレコーダーMT-2、柳本製作所製)、元素分析(S) (イオンクロマトグラフィー→・アニオン分析システムDX320(商品名)、ダイオネクス社製)を用いて行った。
【0072】
以下、実施例に用いる中間体の合成例を示す。
【0073】
〔合成例1〕
(下記化合物2の合成)
【0074】
【化12】

【0075】
2リットル丸底フラスコに、前記非特許文献3のAdvanced Materials,2009,21,213-216.記載の方法で合成した化合物1(12.7 g, 42m mol)を入れ、アルゴンガスで置換を行った後、脱水クロロホルム(600ml)、酢酸(600ml)を入れ、氷浴を用いて容器内温を0-3 ℃に保った。次に、遮光下、N-ヨードスクシンイミド(20.8 g, 92.4 mmol)を徐々に加えた。1時間攪拌後、氷浴を外し、室温に戻し、そのまま一晩攪拌を続けた。沈殿を濾取し、沈殿を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液、続けてエタノール、トルエン、エタノールの順で洗浄した。沈殿を真空下乾燥させ、淡黄色の固体を得た。これには、2置換体である化合物2の他に、1置換体が僅かに含まれていたが、この段階では分離せず以下の反応で精製せずそのまま用いた。
収量21.5 g, 収率92.3 %
質量分析:GC-MS m/z = 554 (M+),428 (M+ -I)
【0076】
(下記化合物3の合成)
【0077】
【化13】

【0078】
300 mL丸底フラスコに、化合物2(2.55g,4.60m mol)、ヨウ化銅(43.7 mg, 0.23m mol)を入れ、アルゴンガスで置換を行った後、テトラヒドロフラン(以下THF、100 mL)、ジイソプロピルエチルアミン(6.5 mL)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) (以下、PdCl2(PPh3)2)97.2 mg, 0.138 mmol)を加え、十分に攪拌しながら、トリメチルシリルアセチレン (1.4 mL, 10.12 m mol)を徐々に加えた。そのまま、室温で一晩攪拌し、赤色の均一溶液を得た。水(200 mL)およびトルエン(100 mL)を加え、有機層を分離した。水層をトルエン(50 mL)で3回抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水(100 mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾液を濃縮し、カラム精製(固定相ト:シリカゲル、移動相:トルエン)に付し、赤色の固体を得た。これをトルエン/アセトニトリルより再結晶することで、黄色の針状結晶として化合物3を得た。
収量:1.35 g、収率:59.1 %
以下に化合物3の分析結果を示す。
質量分析:LC-MS m/z =(C2422Si) 494.0(実測値);494.0(理論値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物3の構造と矛盾が無いことを確認した。
【0079】
(下記化合物4の合成)
【0080】
【化14】

【0081】
300mLの丸底フラスコに化合物3 (2.3 g, 4.65m mol)、THF(100 mL)、メタノール (20 mL)を入れ、水酸化カリウム溶液(1.2 gを水 15 mLに溶解)を加えた。そのまま3時間攪拌し、水(100 mL)、メタノール(100 mL)を加え、析出した沈殿を濾取した。沈殿を、水、メタノールの順で洗浄し、真空下で乾燥させることで、褐色の固体として化合物4を得た。収量1.62 g, 99.5 %
以下に化合物4の分析結果を示す。
質量分析:LC-MS m/z =(C18) 349.9(実測値);349.9(理論値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物4の構造と矛盾が無いことを確認した。
【0082】
〔実施例1〕
<下記化合物(実1)の合成>
【0083】
【化15】

【0084】
100 mLの丸底フラスコに化合物4(600 mg,1.71m mol)、ヨウ化銅(16.2 mg)を入れ、アルゴンガスで置換を行った後、テトラヒドロフラン(以下THF、50 mL)、ジイソプロピルエチルアミン(3.0 mL)、PdCl2(PPh3)2 ( 36.1 mgl)を加え、十分に攪拌しながら、ヨードベンゼン (421 μLl)を徐々に加えた。そのまま、室温で72時間攪拌した。1N塩酸(100 mL)を加え、沈殿を濾取した。
沈殿を、水、酢酸エチル、トルエン、メタノールの順で洗浄し、真空下乾燥させることで褐色の固体を得た(800 mg)。
これをソックスレー抽出(クロロベンゼン)することで、淡黄色の固体を得た。(収量700 mg, 収率81.4 %)
続けて、温度勾配昇華精製を行い、黄色の結晶として化合物(実1)を得た。(収量300 mg, 収率34.9 %)
以下に化合物(実1)の分析結果を示す。図1に化合物(実1)の飛行時間質量分析(以下Tof-MS)スペクトルを示す。また、そのスペクトルから得られた実測値と組成式から求めた理論値を合わせて示した。
質量分析結果:LC-TofMS m/z = (C30144) 501.9 (100%),502.9, 503.9 (実測値);502.0 (100%),503.0, 504.0(理論値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物(実1)の構造と矛盾が無いことを確認した。
【0085】
〔実施例2〕
<下記化合物(実2)の合成>
【0086】
【化16】

【0087】
実施例1において、ヨードベンゼンの代わりに4−ヨードトルエンを用いた以外は同様にして、化合物(実2)を合成した。ソックスレー抽出後、淡黄色の固体を得た。(収量700 mg, 収率82.5 %)
続けて、温度勾配昇華精製を行い、黄色の結晶として化合物(実2)を得た。(収量280 mg, 収率33.0 %)
以下に化合物(実2)の分析結果を示す。図2に化合物(実2)のTof-MSスペクトルを示す。
また、そのスペクトルから得られた実測値と組成式から求めた理論値を合わせて示した。
質量分析結果:LC-TofMS m/z = (C32H18S4) 530.2(100 %),531.2 , 532.2(実測値); 530.0, 531.0, 532.0 (理論値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物(実2)の構造と矛盾が無いことを確認した。
【0088】
〔実施例3〕
<下記化合物(実3)の合成>
【0089】
【化17】

【0090】
実施例1でヨードベンゼンの代わりに、2−ブロモナフタレンを用い、THFの代わりにトルエンを用い、反応温度を室温から110 ℃に変更した以外は同様にして、化合物(実3)の合成を行った。ソックスレー抽出後、淡黄色の固体を得た。(収量940 mg, 収率70.0 %)
続けて、温度勾配昇華精製を行い、黄色の結晶として化合物(実3)を得た。(収量310 mg, 収率23.0 %)
以下に化合物(実3)の分析結果を示す。
質量分析:LC−TofMS(m/z) = (C38H18S4) 602.2(100 %),603.30, 604.2(実測値) ;602.0, 603.0, 604.0 (理論値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物(実3)の構造と矛盾が無いことを確認した。
【0091】
〔実施例4〕
<有機薄膜トランジスタの作製>
実施例1で合成した化合物(実1)を用いて、以下の手順で、図1−(D)の構造の電界効果型トランジスタを作製した。
膜厚300nmの熱酸化膜を有するNドープシリコン基板を濃硫酸に24時間浸漬し洗浄した。
洗浄済みのシリコン基板をシランカップリング剤(n−オクチルトリクロロシラン)のトルエン溶液(1mM)に浸漬させ、5分間超音波処理を行い、シリコン酸化膜表面に単分子膜を形成させた。
上記で作製した基板に対して、実施例1で得られた化合物(実1)(使用前に昇華精製を行った)を真空蒸着(背圧〜10−4Pa、蒸着レート0.1Å/s、基板温度100℃、半導体膜厚:〜50nm)することにより、有機半導体層を形成した。
【0092】
この有機半導体層上部にシャドウマスクを用いて金を真空蒸着(背圧〜10−4Pa、蒸着レート1〜2Å/s、膜厚:50nm)することによりソース、ドレイン電極を形成した(チャネル長50μm、チャネル幅2mm)。電極とは異なる部位の有機半導体層およびシリコン酸化膜を削り取り、その部分に導電性ペースト(導電性ペースト、藤倉化成製)を付け溶媒を乾燥させた。この部分を用いて、ゲート電極としてのシリコン基板に電圧を印加した。
こうして得られたFET(電界効果型トランジスタ)素子の電気特性をAgilent社製半導体パラメーターアナライザー4156Cを用いて大気下で評価した結果、p型のトランジスタ素子としての特性を示した。
なお、有機薄膜トランジスタの電界効果移動度の算出には、以下の式を用いた。
【0093】
[数1]
Ids=μCinW(Vg−Vth)/2L
(ただし、Cinはゲート絶縁膜の単位面積あたりのキャパシタンス、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、Vgはゲート電圧、Idsはソースドレイン電流、μは移動度、Vthはチャネルが形成し始めるゲートの閾値電圧である。)
【0094】
作製した薄膜トランジスタの特性を評価したところ、p型のトランジスタ駆動を示した。
また、作製したトランジスタをSEMで分析した結果、化合物(実1)の薄膜は二次元の面内に密に成長した膜構造であった。
【0095】
〔実施例5〕
実施例4において、有機半導体材料として、化合物(実1)を用いる代わりに、化合物(実2)を用いた以外は、同様にして有機薄膜トランジスタの作製および特性評価を行った。
その結果、作製した薄膜トランジスタの特性を評価したところ、p型のトランジスタ駆動を示した。SEM像より、実施例4と同様に化合物(実2)の薄膜は二次元の面内に密に成長した膜構造であった。
【0096】
〔実施例6〕
実施例4において、有機半導体材料として、化合物(実1)を用いる代わりに、化合物(実3)を用いた以外は、同様にして有機薄膜トランジスタの作製および特性評価を行った。
その結果、作製した薄膜トランジスタの特性を評価したところ、p型のトランジスタ駆動を示した。SEM像より、実施例4と同様に化合物(実3)の薄膜は二次元の面内に密に成長した膜構造であった。
【0097】
〔比較例1〕
前記合成例1に記載の化合物1(ジチエノベンゾチオフエン)をTHFに溶解し、その溶液をシリコンウェーハ上にキャスト成膜した。溶媒の乾燥と共に化合物1は針状晶として析出し、電荷輸送部材として使用可能な連続的な膜を得ることはできなかった。
【0098】
〔比較例2〕
化合物1を用いた以外は実施例4と同様の方法により有機薄膜トランジスタを作製した。特性を評価したが、トランジスタとして動作しなかった。
SEMで観察したところ、針状の結晶が成長し、比較例1同様、電荷輸送部材として使用可能な連続的な膜を得ることはできなかった。図7にSEMの結果を示す。
【0099】
〔比較例3〕
非特許文献3のAdvanced Materials,2009,21,213-216.記載の方法を参考に、下記経路で化合物(比1)を合成した。無色針状晶。融点184℃。
【0100】
【化18】

【0101】
厚さ300nmの熱酸化膜を有するシリコンウェーハに金電極がパターニングされた基板上に、化合物(比1)の0.5wt%メシチレン溶液をキャスト成膜することにより、図1−(B)に示される薄膜トランジスタを作製した。トランジスタの特性を評価したが、トランジスタとして動作しないものから、1E−5程度の移動度の素子しか得られなかった。
SEMで観察したところ、針状の結晶が成長し、比較例1同様、薄膜形状の電荷輸送部材としての使用に適した連続的な膜を得ることはできなかった。図8にSEMの結果を示す。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は上述の問題を解決するため、塗工や印刷あるいは蒸着の簡便なプロセスで、二次元的に結晶成長する事ことにより連続膜が成膜できる、特性の優れた有機半導体材料を提供することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 有機半導体層
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 ゲート絶縁膜
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開平5―055568号公報
【特許文献2】WO2010/000670号公開明細書
【特許文献3】特開2009−054810号公報
【0105】
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.,69(26),4108(1996).
【非特許文献2】Science,290,2123(2000).
【非特許文献3】Advanced Materials,2009,21,213-216

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で示される構造を有することを特徴とする有機半導体材料。
【化1】


(上記一般式(I)中、R1乃至R6はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、次の一般式(II)で示される基、からなる群から選択される基である。ただし、R1乃至R6のうち少なくとも1つ以上は、一般式(II)で示される置換基である。一般式(II)中、Xはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子または置換基である。)
【化2】

【請求項2】
前記R1乃至R4のいずれか1つ以上が、前記一般式(II)で示される基であることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体材料。
【請求項3】
前記R1およびR2又はR3およびR4が、少なくとも共に一般式(II)で示される基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機半導体材料。
【請求項4】
前記一般式(II)中、Xが置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアリール基又は置換されていても良いヘテロアリール基であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機半導体材料。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の有機半導体材料を含む電荷輸送性部材。
【請求項6】
請求項5に記載の電荷輸送性部材を含むことを特徴とする有機電子デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の有機電子デバイスが、有機半導体層を具備し、かつ互いに分離した
対の第1の電極と第2の電極と、電圧を印加することにより、前記第1の電極と前記第2の電極との間を流れる電流をコントロールする機能を具備する第3の電極を具備する薄膜トランジスタであることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【請求項8】
前記第1の電極と第2の電極とが、前記有機半導体層を介して互いに分離し、前記第3の電極と該有機半導体層との間に、絶縁膜が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の有機薄膜トランジスタにより表示画素が駆動されることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項10】
前記表示画素は、液晶素子、エレクトロルミネッセンス素子、エレクトロクロミック素子、及び電気泳動素子で構成される群から選ばれたものであることを特徴とする請求項9に記載のディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−35814(P2013−35814A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175627(P2011−175627)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】