説明

新規のインドール誘導体

5-ビニル-インドール誘導体は、例えば肥満の治療に対して有用な、化学的脱共役剤である。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、ミトコンドリア呼吸を増加させるのに有効であって、それ故、肥満ならびに関連のある疾患および状態の治療において有用な可能性のある、新規の5-ビニル-インドール誘導体を提供する。
【発明の背景】
【0002】
肥満は、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病(NIDDM))、異脂肪血症、冠動脈心疾患、および変形性関節症、ならびに種々の悪性腫瘍のような多くのまさに生活習慣病の発症に対する周知の危険因子である。それはまた、運動性の低下および生活の質の低下により、かなりの問題を引き起こす。完全に近代化された世界の至る所で、肥満の人の発生率が増加し、その結果としてこれらの疾患が増加する。
【0003】
肥満という用語は、脂肪組織の過剰を意味する。この文脈において、肥満は、健康リスクを与える体脂肪蓄積の過剰度として最もよく表される。正常な個体および肥満の個体間のカットオフは近似にすぎず、肥満によって与えられる健康リスクは、おそらく体脂肪蓄積の増加との連続体である。本発明に関して、肥満度指数(BMI=体重(kg)を身長(m)の2乗で割る)が25以上の個体は肥満と見なされる。
【0004】
軽い肥満でも、早期の死ならびに糖尿病、異脂肪血症、高血圧症、アテローム性動脈硬化症、胆嚢疾患、および一定の型の癌のような状態に対するリスクを増加させる。近代化された西洋の世界において、肥満の蔓延が最近数十年で著しく増大している。肥満の高い蔓延およびその健康状態の結果のため、その予防および治療は、公衆衛生についての高い優先度を有するべきである。
【0005】
患者の多数にとって不可能である、運動、ダイエット、および食事制限を除いて、体重を効果的および満足に減少させる確かな治療は今のところ存在しない。しかしながら、上記で述べたような肥満に直接関連するかなりの問題の見地からのみならず、重大且つ致命的な生活習慣病の危険因子としての肥満の重要な影響のためにも、肥満の予防および/または治療において有用な医薬化合物を見出すことは重要である。
【0006】
摂取エネルギーが消費を上回る場合、過剰なカロリーは主に脂肪組織に蓄積されるが、この正味が正のバランスが長く続いた場合、肥満は、すなわち体重平衡のための2つの要素があり、それぞれの側(摂取または消費)における異常が肥満を導き得ることに帰着する。この過程は、エネルギー消費の増加(例えば運動による)またはエネルギー摂取の減少(例えばダイエットによる)によって対抗することができる。今日までに利用可能な薬理学的な治療は、シブトラミン(セロトニン作動性のメカニズムで作用する、アボット社製)およびオルリスタット(腸からの脂肪取り込みを減少させる、ロシュ社製)のみから成る。それ故、例えばエネルギー消費を増加させるまたはエネルギー摂取を減少させることによって、肥満の予防および/または治療において有用である医薬化合物に対する必要性がある。
【0007】
エネルギー消費を増加させる1つの方法は、代謝速度を増加させることによる。ミトコンドリアにおける酸化的リン酸化によって、グルコース代謝および遊離脂肪酸酸化からのエネルギーが、ADPからATPへのリン酸化を起こすために用いられる。TCAサイクルにおいて形成されるNADH および FADH2 が酸化され、それぞれ NAD+ および FAD に戻るときに、プロトンはミトコンドリアマトリックス外にくみ出される。結果のpH勾配(マトリックス pH〜8および外側 pH〜7)ならびに電位(〜−170mV,内部負)は、ミトコンドリア内膜を横切って、電気化学的なプロトン勾配を構成する。61.5mVの電位に相当する1単位のpHの違いの影響として、電気化学的なプロトン勾配は、ざっと−230mVのプロトン輸送力を発揮し、それはミトコンドリアでのATP合成に対する駆動力となる。
【0008】
ATP消費が増大した場合、細胞はATP合成の増加で応答し、結果としてATP合成を介したプロトンの内向きの流入が増加し、ATP合成に関わる酵素が増加し、それにより代謝速度が増大する。化学的脱共役剤は、膜を横切ってプロトンを輸送することができる化合物であり、プロトンがミトコンドリア内膜を横切って輸送される場合、ATP合成は阻害される。(アルカリ性の)マトリックス側にプロトンが放出され、脱プロトン化した脱共役剤は、他のプロトンを受け取る場所である内膜間腔へと戻る。脱共役剤(またはATP合成)のサイクリングおよび結果のプロトン輸送は、呼吸鎖によるNADH および FADH2 の酸化の増加によって、プロトンの外向きのくみ出しの増加を導く。マトリックス中のNADHの濃度は、結果として低下するであろう。NADHのフィードバックがTCAサイクルにおいて3つのステップを阻害するので(NADHはTCAサイクルの主要な制御因子である)、TCAサイクルによる流入が増加するであろう。それ故、代謝速度が増大する。
【0009】
化学的脱共役剤のように、代謝速度を増大させることによって作用する化合物は、肥満の治療だけでなく、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、糖尿病、特に2型糖尿病(NIDDM(インスリン非依存性糖尿病)、異脂肪血症、冠動脈心疾患、胆嚢疾患、変形性関節症、ならびに子宮体癌、乳癌、前立腺癌、および大腸がんのような種々の型の癌を含む他の状態の治療、さらに早死、肥満に密接に関連する疾患、ならびにミトコンドリアポテンシャルを低下させることによって改善される状態に対するリスクにとっても有用な可能性がある。
【0010】
さらに、化学的脱共役剤は、老化過程、心臓組織および神経細胞の障害に関与していると思われる(De Grey et al, Eur J. Biochem 269, 1995 ff (2002))活性酸素種(ROS)を減少させることができる。それ故、ROSによって影響を受ける状態を化学的脱共役剤の発明によって元に戻すまたは停止させることも可能である。
【0011】
最も知られている化学的脱共役剤は、2,4-ジニトロフェノール(DNP)であり、ヒトおよび動物においてエネルギー消費の増大を示す。より高い投与量における副作用には、発汗の増加、体温の上昇、血管拡張、発疹、白内障、神経炎、および死が含まれる。致死量になり得る最低の量が、基礎代謝速度において望ましい50%の増加を与える平均投与量の2倍にすぎず、非常に狭い安全域であるという事実を伴うDNPを用いて治療を受けた最初の人のうちの2人の死は、市場からのDNPの撤退を引き起こした。それ以来、肥満の治療のための脱共役剤を開発または販売することを試みるものはいなかった。
【0012】
DNPは、最もよく知られた化学的脱共役剤であるが;多くの他の化合物が脱共役を引き起こすことは周知である。4,6-ジニトロ-o-クレゾール(ビクトリアイエロー)および 2,4-ジニトロ-1-ナフトール(マルチウスイエロー)のようなDNP誘導体、ならびに2,6-ジ-t-ブチル-4-(2’,2’-ジシアノビニル)フェノール (SF6847) (2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジリデン)-マロンニトリルとしても知られている)、カルボニルシアニド m-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)、およびカルボニルシアニド p-トリフルオロメトキシ-フェニルヒドラゾン(FCCP) (Miyoshi H et al. Quantitative releationship between protenophoric and uncoupling activities of analogs of SF6847(2,6-di-t-butyl-4-(2',2'-dicyanovinyl)phenol), Biochimica et Biophysica Acta 891, 293-299 (1987))のような構造的に無関係の化合物が脱共役剤である。
【0013】
他の分類の化学的脱共役剤はサリチルアニリドであり、S-13が今までに発見された最も強力な化合物である(Terada H et al. Structural Requirements of Salicylanilides for Uncoupling Activity in Mitochondria Quantitative Analysis of Structure- Uncoupling Relationships, Biochimica et Biophysica Acta 936, 504-512 (1988))。
【0014】
テキサス製薬会社のWO00/06143は、2,4-ジニトロフェノールのようなミトコンドリア脱共役剤を投与するステップを含んでなる、細胞内の過温症を引き起こすための方法に関する。
【0015】
BachynskyのUS 4,673,691は、肥満を治療するための2,4-ジニトロフェノールの使用に関する。
【0016】
種々のインドールビニル誘導体は、文献において開示されている。1つの例として、WO 91/16305では式(R3)(W)C=C(R1)(R2)の化合物が開示されており、ここでのWはインドリニルを意味してよく、R1およびR3はアルキル、シアノ、アミド、チオアミド等を意味し、R2はシアノ、エステル、カルボキシ、アミド、チオアミド等を意味する。この化合物は、EGF受容体チロシンキナーゼの阻害剤であり、例えば乾癬およびアテローム性動脈硬化症の治療において有用である。Journal of Medicinal Chemistry, 34, 1896, 1991では、EGF受容体阻害作用も示す特異的な化合物である3-(5-1H-インドリル)-ジアクリロニトリルが開示されている。
【0017】
US 5,559,129では、ピロリジンまたはピペリジニルで置換されたメチルによって3位が置換され、次式で表される部分で5位が置換されたインドール誘導体が開示されており、
【化9】

【0018】
式中のyは0、1、または2であり、 R10 は S(O)2N(R5)(R6)であってよく、ここでのR5 および R6 は水素、アルキルを意味するか、または一緒になって環を形成してよい。この化合物は、効果的なセロトニン作動性受容体のアゴニストである。
【0019】
US 5,981,569、WO 95/24190 、および WO 96/40629の全てにおいてフェニルビニル誘導体が開示されており、ここでのビニルはシアノおよびスルホニル誘導体で置換されている。この化合物は、増殖性の障害の治療において有用なチロシンキナーゼ阻害剤である。
【発明の概要】
【0020】
本発明者は、驚くべきことに、以下の式Iの化合物が強力な化学的脱共役剤であることを見出した。従って、本発明は式Iによる化合物ならびに薬学的に許容可能なそれらの塩、溶媒和化合物、およびプロドラッグに関し、
【化10】

【0021】
式中のR6およびR7に対するくさび形の結合は、R6およびR7がR5に対してシスまたはトランスであってよいことを示し;
R1, R2, R3, R4 は独立に、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、 -C(O)OR9、 -C(O)NR9R10、 -S(O)2OR9、 -S(O)nR9、 -OC(O)R9、 -NHC(O)R9、もしくは-N(C(O)R9)2を意味するか、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールであって、それら全てが任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、オキソ、ハロアルキル、-O-R9、-S(O)nR9、-S(O)2OR9、-O-C(O)R9、-C(O)-O-R9、-C(O)-R9、-C(O)-N(R9)(R10)、-N(R9)(R10)、-(CH2)p-N(R10)-C(O)-R9、-(CH2)p-O-R9、-N(R9)-C(O)R10、NR9-S(O)nR10、-(CH2)p-N(R9)(R10)、およびアリールからなる群より選択される1以上の置換基で置換された基を意味し、前記アリールは、任意に、ハロゲン、ハロアルキル、または-O-R9で置換されてよく;
R5は、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、またはアルキルアミノを意味し;
R6は、アルキル、アルケニル、アルキニル、 -OC(O)R9、 -NHC(O)R9、 -S(O)2OR9、 -S(O)nR9、 -S(O)2N(R9R10)、 -P(O)(OR9)2 、もしくは -B(OR9)2、 または以下の式の4-ピリジニウム基を意味し、
【化11】

【0022】
式中のR15は、アルキル、アルケニル、アルキニルであって、それら全てが任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、およびカルボキシから選択される1以上の置換基で置換されてよい基を意味し;また、式中の環Aは存在しないか、あるいは5または6員環を意味し、それは芳香族もしくは非芳香族であってよく、且つN、O、およびSから選択される1、2、もしくは3のへテロ原子を含んでよく;
R7は、シアノまたは水素を意味し、R7が水素を意味する場合はR6が4-ピリジニウム基を意味することを提供するか;
または、R6およびR7は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、次式で表される部分を形成してよく;
【化12】

【0023】
式中の*は、前記部分がR6およびR7が結合している二重結合に結合する位置を示し;
R8は、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、
-C(O)OR9、-C(O)NR9R10、 -S(O)2OR9、 -S(O)nR9、 -OC(O)R9、 -NHC(O)R9、 -N(C(O)R9)2を意味するか、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールであって、それら全てが任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、オキソ、ハロアルキル、 -O-R9、 -S(O)nR9、 -S(O)2OR9、 -O-C(O)R9、 -C(O)-O-R9、 -C(O)-R9、 -C(O)-N(R9)(R10)、 -N(R9)(R10)、 -(CH2)p-N(R10)-C(O)-R9、 -(CH2)p-O-R9、 -N(R9)-C(O)R10、 NR9-S(O)nR10、 -(CH2)p-N(R9)(R10)、およびアリールからなる群より選択される1以上の置換基で置換された基を意味し、前記アリールは、任意に、ハロゲン、ハロアルキル、または-O-R9で置換されてよく;
R9およびR10は、独立に、水素を意味するか、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、もしくはピリジニウムイオン基であって、それら全てが任意に、置換されうる水素原子の総数よりも少ない数の置換基で置換された基を意味し、前記置換基は、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、ハロアルキル、 -O-R11、 -S(O)nR11、 -O-C(O)R11、 -C(O)-O-R11、 -C(O)-R11、 -C(O)-N(R11)(R12)、 -N(R11)(R12)、 -(CH2)p-N(R12)-C(O)-R11、 -B(OR11)(OR12)、 -(CH2)p-O-R11、 -N(R11)-C(O)R12、 N(R11)-S(O)nR12、 -(CH2)p-N(R11)(R12)、およびフェニルからなる群より選択され、前記フェニルは、任意に、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、シアノ、ニトロ、 -O-R13、 -S(O)nR13、 -O-C(O)R13、 -C(O)-O-R13、 -C(O)-R13、 -C(O)-N(R13)(R14)、 -N(R13)(R14)、 -(CH2)p-N(R13)-C(O)-R14、 -B(OR13)(OR14)、 -(CH2)p-O-R13、および -(CH2)p-N(R13)(R14)からなる群より選択される1以上の置換基で置換されるか;
または、R9およびR10は、それらが結合している原子と一緒になって5、6、7、または8員環を構成し、それは部分的もしくは完全に飽和するか、または不飽和であってよく、前記環は、任意に、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、およびニトロからなる群より選択される1以上の置換基で置換され;
R11およびR12は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、もしくはシクロアルキルを意味するか;
または、R11およびR12は、それらが結合している原子と一緒になって、5、6、7、または8員環を構成し、それは部分的もしくは完全に飽和するか、または不飽和であってよく、前記環は、任意に、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、およびニトロからなる群より選択される1以上の置換基で置換され;
R13およびR14は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、またはシクロアルキルを意味し;
Pは、0、1、または2を意味し;
Nは、0、1、または2である。
【0024】
本発明はまた、治療における式Iの化合物の使用、特に、前記化合物を含んでなる医薬組成物に関する。
【0025】
もう1つの側面において、本発明は、式Iの化合物の治療上有効な量を、それを必要とする患者に対して投与することを含んでなる治療法に関する。
【0026】
さらなる側面において、本発明は、薬剤の製造における式Iの化合物の使用に関する。
【定義】
【0027】
本文脈において、「アルキル」という用語は、1〜12の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の、飽和した1価の炭化水素基を指すものであり、C1〜12-アルキルとも表記される。典型的なアルキル基は、1〜8または1〜6の炭素原子を有するアルキル基であり、それぞれC1〜8-アルキルおよび C1〜6-アルキルとも表記される。典型的なC1〜6-アルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、 n-ペンチル、 2-メチルブチル、 3-メチルブチル、 4-メチルペンチル、 n-ペンチル、 n-ヘキシル、 1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、 2,2-ジメチルプロピル (ネオペンチル)、1,2,2-トリメチルプロピル等が含まれ、一方、典型的なC1〜8-アルキル基には、同様の基、ならびにヘプチル、オクチル、2,2-ジメチルヘキシル等のような7または8の炭素原子を有するアルキル基が含まれる。ここで用いられる場合、「C1〜6-アルキル」という用語には、2級C3〜6-アルキルおよび3級 C4〜6-アルキルも含まれる。ここで用いられる場合、「C1〜8-アルキル」という用語には、2級C3〜8-アルキルおよび3級C4〜8-アルキルも含まれる。ここで用いられる場合、「C1〜12-アルキル」という用語には、2級 C3〜12-アルキルおよび3級 C4〜12-アルキルも含まれる。
【0028】
本文脈において、「アルケニル」という用語は、例えば、C3〜5-アルケニルのように、2〜6の炭素原子および少なくとも1の炭素-炭素二重結合を有する、直鎖または分枝状の1価の炭化水素基を指すものである。典型的なC3〜5-アルケニル基には、ビニル、アリル、1-プロペニル、1,3 ブタジエン-1-イル等が含まれる。ここで用いられる場合、「共役アルキル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、例えば1,3ブタジエン-1-イルのように、連続した二重結合を有するアルケニルを意味する。
【0029】
本文脈において、「アルキニル」という用語は、2〜6の炭素原子、ならびに少なくとも1の炭素-炭素三重結合および任意に1以上の炭素-炭素二重結合を有する、直鎖または分枝状の1価の炭化水素基を指すものである。例には、エチニル、プロピニル、および3,4-ペンタジエン-1-イニルが含まれる。
【0030】
「ハロゲン」という用語は、周期系の7番目の主要な群の要素、すなわちフルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指すものである。
【0031】
本文脈において、「アリール」という用語は、炭素環式の芳香族環基を指すものであり、任意に別の環に融合してよく、芳香族または非芳香族であってよい。典型的なアリール基には、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、フェニル、ビフェニリル、インデニル、フルオレニル、ナフチル(1-ナフチル、2-ナフチル)、アントラセニル (1-アントラセニル、2-アントラセニル、3-アントラセニル)等が含まれる。
【0032】
ここで用いられる場合、「ヘテロアリール」という用語は、単独でまたは組み合わせて、例えば5〜7員元素を有する芳香環基または例えば7〜18員元素を有する融合芳香環系基を意味し、ここで、少なくとも1の環が芳香族であり、且つ前記環は窒素、酸素、または硫黄へテロ原子から選択される1以上のへテロ原子を含み、ここでのN-オキシドならびに硫黄モノオキシドおよび硫黄ジオキシドは、ヘテロ芳香族の置換として許容される。ヘテロアリールの例には、チエニル(2-チエニル, 3-チエニル)、 フラニル (2-フラニル, 3-フラニル)、インドリル、 オキサジアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、オキサトリアゾリル、チアトリアゾリル、キナゾリニル、フルオレニル、キサンテニル、イソインダニル、ベンズヒドリル、アクリジニル、チアゾリル、ピロリル (1-ピロリル, 2-ピロリル, 3-ピロリル)、ピラゾリル (1-ピラゾリル, 3-ピラゾリル, 4-ピラゾリル, 5-ピラゾリル)、イミダゾリル(1-イミダゾリル, 2-イミダゾリル, 4-イミダゾリル, 5-イミダゾリル)、トリアゾリル (1,2,3-トリアゾール-1-イル, 1,2,3-トリアゾール-4-イル, 1,2,3-トリアゾール-5-イル, 1,2,4-トリアゾール-3-イル, 1,2,4-トリアゾール-5-イル), オキサゾリル (2-オキサゾリル, 4-オキサゾリル, 5-オキサゾリル), イソキサゾリル (イソキサゾ-3-イル, イソキサゾ-4-イル, イソキサゾ-5-イル)、イソチアゾリル (イソチアゾ-3-イル, イソチアゾ-4-イル, イソチアゾ-5-イル)、 チアゾリル (2-チアゾリル, 4-チアゾリル, 5-チアゾリル)、ピリジニル (2-ピリジニル, 3-ピリジニル, 4-ピリジニル)、ピリミジニル (2-ピリミジニル, 4-ピリミジニル, 5-ピリミジニル, 6-ピリミジニル)、ピラジニル、ピリダジニル(3- ピリダジニル, 4-ピリダジニル, 5-ピリダジニル)、キノリニル (2-キノリニル, 3-キノリニル, 4-キノリニル, 5-キノリニル, 6-キノリニル, 7-キノリニル, 8-キノリニル)、 イソキノリニル (1-イソキノリニル, 3-イソキノリニル, 4-イソキノリニル, 5-イソキノリニル, 6-イソ
キノリニル, 7-イソキノリニル, 8-イソキノリニル)、ベンゾ[b]フラニル (2-ベンゾ[b]フラニル, 3-ベンゾ[b]フラニル, 4-ベンゾ[b]フラニル, 5-ベンゾ[b]フラニル, 6-ベンゾ[b]フラニル, 7-ベンゾ[b]フラニル)、 2,3-ジヒドロベンゾ[b]フラニル (2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル), 3-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル), 4-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル), 5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル), 6-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル), 7-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル))、ベンゾ[b]チオフェニル (ベンゾ[b]チオフェン-2-イル, ベンゾ[b]チオフェン-3-イル, ベンゾ[b]チオフェン-4-イル, ベンゾ[b]チオフェン-5-イル, ベンゾ[b]チオフェン-6-イル, ベンゾ[b]チオフェン-7-イル)、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル (2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル, 2,3-ジヒドロベンゾ[b]チオフェン-3-イル, 2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-4-イル, 2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-5-イル, 2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-6-イル, 2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-7-イル)、インドリル (1-インドリル, 2-インドリル, 3-インドリル, 4-インドリル, 5-インドリル, 6-インドリル, 7-インドリル)、インダゾリル (1-インダゾリル, 3-インダゾリル, 4-インダゾリル, 5-インダゾリル, 6-インダゾリル, 7-インダゾリル)、ベンズイミダゾリル (1-ベンズイミダゾリル, 2-ベンズイミダゾリル, 4-ベンズイミダゾリル, 5-ベンズイミダゾリル, 6-ベンズイミダゾリル, 7-ベンズイミダゾリル, 8-ベンズイミダゾリル)、ベンズオキサゾリル(2-ベンズオキサゾリル, 3-ベンズオキサゾリル, 4-ベンズオキサゾリル, 5-ベンズオキサゾリル, 6-ベンズオキサゾリル, 7-ベンズオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル (2-ベンゾチアゾリル, 4-ベンゾチアゾリル, 5-ベンゾチアゾリル, 6-ベンゾチアゾリル, 7-ベンゾチアゾリル)、カルバゾリル (1-カルバゾリル, 2-カルバゾリル, 3-カルバゾリル, 4-カルバゾリル)、5H-ジベンズ[b,f]アゼピニル (5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-1-イル, 5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-2-イル, 5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-3-イル, 5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-4-イル, 5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-5-イル)、 10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピニル (10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-1-イル, 10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-2-イル, 10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-3-イル, 10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-4-イル, 10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-5-イル)、 ベンゾ[1,3]ジオキソール (2-ベンゾ[1,3]ジオキソール, 4-ベンゾ[1,3]ジオキソール, 5-ベンゾ[1,3]ジオキソール, 6-ベンゾ[1,3]ジオキソール, 7-ベンゾ[1,3]ジオキソール)、およびテトラゾリル (5-テトラゾリル, N-テトラゾリル)が含まれる。
【0033】
「融合環系」は、ここで用いられる場合、単独でまたは組み合わせて、別の炭素環または複素環基と融合した炭素環または複素環基を指し、2つの環は共同で2つの原子を有する。典型的な融合芳香環系には、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、インドール、およびイソインドールが含まれる。
【0034】
本文脈において、「シクロアルキル」という用語は、3、4、5、6、7、または8の環炭素原子を有する、環状の飽和した1価の炭化水素基を指すものである。
【0035】
本文脈において、「アルコキシ」という用語は、R’が上記で示したようなアルキルを意味する、式-OR’の基を指すものである。
【0036】
「ハロアルコキシ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードのような1以上のハロゲンで置換された、上記で定義したようなアルコキシを指すものである。
【0037】
本文脈において、「アルキルアミノ」という用語は、それぞれのR’が上記で示したようなアルキルを意味する、式 -NH-R’ または -N(R’)2の基を指すものである。
【0038】
「ニトロ」という用語は基 NO2を意味するべきである。
【0039】
「シアノ」という用語は基CNを意味するべきである。
【0040】
本文脈において、「ハロアルキル」という用語は、上記で定義したような1以上のハロゲンで置換された、上記で定義したようなアルキルを指すものである。例には、トリフルオロメチルおよびトリクロロメチルのようなトリハロメチル、ならびに2,2,2-トリクロロ-1-エチルが含まれる。
【0041】
本文脈において、「ヒドロキシアルキル」という用語は、1以上のヒドロキシル基で置換された、上記で定義したようなアルキル基を指すものである。例には、ヒドロキシメチル、1-ヒドロキシ-1-エチル、および2-ヒドロキシ-1-エチルが含まれる。
【0042】
ここで用いられる場合、「溶媒和化合物」という用語は、溶質(本発明による化合物のような)および溶媒によって形成される、定義された化学量論比の複合体である。溶媒は、例として、水、エタノール、または酢酸であってよい。
【0043】
ここで用いられる場合、「プロドラッグ」という用語には、生理的な加水分解が可能なアミドおよび生理的な加水分解が可能なエステルが含まれ、ならびにa)そのようなプロドラッグにおける生理的な加水分解を可能とする機能性が、本発明による化合物中に包含される化合物、およびb)本発明による薬物を得るために、与えられた官能基において生物学的に酸化または還元され得る化合物も包含される。これらの官能基には、1,4-ジヒドロピリジン、N-アルキルカルボニル-1,4-ジヒドロピリジン、1,4-シクロヘキサジエン、tert-ブチル等が含まれる。
【0044】
本文脈において、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、患者に対して有害でない塩を指すものである。このような塩には、薬学的に許容可能な酸付加塩、薬学的に許容可能な金属塩、アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩が含まれる。酸付加塩には、無機酸および有機酸の塩が含まれる。適切な無機酸の代表的な例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸等が含まれる。適切な有機酸の例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ケイ皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が含まれる。薬学的に許容可能な無機酸または有機酸付加塩のさらなる例には、本明細書の一部として援用するJ. Pharm. Sci. 1977, 66, 2において例示されている、薬学的に許容可能な塩が含まれる。金属塩の例には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等が含まれる。アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩の例には、アンモニウム塩、メチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、ヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩、ブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等が含まれる。
【0045】
ここで用いられる場合、化合物の「治療的に有効な量」は、与えられた疾患およびその合併症の臨床症状を治療、軽減、または部分的に抑止するために十分な量を意味する。これを達成するために適した量は、「治療的に有効な量」と定義される。それぞれの目的に対する有効量は、疾患または障害の重症度、ならびに患者の体重および全身の状態に依存してよい。適切な投与量の決定が、すべて訓練された医師または獣医師の通常の技術の範囲内である決まった実験法を用いて、値のマトリックスを作成することおよびマトリックス中の異なる点を試験することによってなされてよいことは理解されるであろう。
【0046】
ここで用いられる場合、「治療」および「治療すること」という用語は、疾患または障害のような状態と戦うことを目的とした患者の管理および看護を意味する。この用語は、症状または合併症を緩和するため、疾患、障害、または状態の進行を遅延させるため、症状および合併症を緩和または軽減するため、および/または疾患、障害、もしくは状態を治療または除去するため、ならびにその状態を予防するための活性化合物の投与のように、患者が患っている状態に対する治療の全範囲を含むものであり、ここでの予防は、疾患、状態、または障害と闘うことを目的とした患者の管理および看護として理解されるべきであり、症状または合併症の発症を予防するための活性化合物の投与が含まれる。治療されるべき患者は、好ましくは哺乳類、特にヒトであるが、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、およびブタのような動物も含まれてよい。
【発明の説明】
【0047】
1つの実施形態において、本発明は、Iaによる式を含む、式Iによる化合物に関する。
【化13】

【0048】
1つの実施形態において、本発明は、式IまたはIaによる化合物に関し、式中のR2およびR4は水素である。
【0049】
1つの実施形態において、R1およびR8は、独立に、水素、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロアルキル、-C(O)NR9R10、-S(O)2OR9、 -S(O)nR9を意味し、前記アリールおよびヘテロアリールは、任意に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロアルキル、 -O-R9、 -S(O)nR9、-C(O)-R9、-C(O)-N(R9)(R10)、-N(R9)(R10)、-(CH2)p-O-R9、および -(CH2)p-N(R9)(R10)からなる群より選択される1以上の置換基で置換される。1つの実施形態において、R3は上記と同じ群から選択される。
【0050】
1つの実施形態において、R5は水素を意味する。
【0051】
1つの実施形態において、R7はシアノを意味し、且つR6は-S(O)nR9、 -S(O)2N(R9R10)、または -P(O)(OR9)2であって、特に-S(O)nR9を意味する。
【0052】
1つの実施形態において、R2、R3、およびR4は水素を意味し、特に、R1およびR8は独立に、水素、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロアルキル、-C(O)NR9R10、 -S(O)2OR9、 -S(O)nR9を意味し、ここでのアリールおよびヘテロアリールは、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロアルキル、 -O-R9、 -S(O)nR9、-C(O)-R9、-C(O)-N(R9)(R10)、-N(R9)(R10)、-(CH2)p-O-R9、および -(CH2)p-N(R9)(R10)からなる群より選択される1以上の置換基で置換される。特に、R5は水素であり、特に言及すべきは、R7がシアノを意味し、且つR6が-S(O)nR9, -S(O)2N(R9R10), -P(O)(OR9)2であって、特に-S(O)nR9を意味することである。
【0053】
1つの実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5、およびR8は水素であり、R7はシアノであり、且つR6は、1-メチル-ピリジニウムのような任意に置換されたピリジニウムイオン基またはS(O2)R9を意味する。この実施形態において、R9は特に、メチルのようなC1〜4アルキル;フェニルおよび任意に置換されたフェニルのようなアリールを意味してよく、前記置換基は、クロロのようなハロゲン;ニトロ;および-CF3のようなC1〜4ハロアルキルから選択される。
【0054】
1つの実施形態において、R6は以下の式の4-ピリジニウム基を意味し、
【化14】

【0055】
式中のR15は、アルキル、アルケニル、アルキニルを意味し、これら全ては任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、およびカルボキシから選択される1以上の置換基で置換されてよい。
【0056】
1つの実施形態において、R2およびR4は水素を意味し、R5は水素を意味し、且つR6は以下の式の4-ピリジニウム基を意味し、
【化15】

【0057】
式中のR15はアルキル、アルケニル、アルキニルを意味し、これら全ては任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、およびカルボキシから選択される1以上の置換基で置換されてよい。
【0058】
1つの実施形態において、R1、R3、およびR8は、独立に、水素、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロアルキル、-C(O)NR9R10、-S(O)2OR9、-S(O)nR9を意味し、前記アリールおよびヘテロアリールは、任意に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロアルキル、-O-R9、 -S(O)nR9、 -C(O)-R9、 -C(O)-N(R9)(R10)、 -N(R9)(R10)、 -(CH2)p-O-R9、および -(CH2)p-N(R9)(R10)からなる群より選択される1以上の置換基で置換され、且つR5は水素を意味し;且つR6は、以下の式の4-ピリジニウム基を意味し、
【化16】

【0059】
式中のR15はアルキル、アルケニル、アルキニルを意味し、これら全ては任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、およびカルボキシから選択される1以上の置換基で置換されてよく;且つ、ここでのR7は水素またはシアノを意味する。
【0060】
1つの実施形態において、R6およびR7は一緒になって次式で表される部分を形成する。
【化17】

【0061】
1つの実施形態において、R2およびR4は水素を意味し、且つR6およびR7は一緒になって次式で表される部分を形成する。
【化18】

【0062】
1つの実施形態において、R1、R3、およびR8は、独立に、水素、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロアルキル、-C(O)NR9R10、 -S(O)2OR9、 -S(O)nR9を意味し、前記アリールおよびヘテロアリールは、任意に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロアルキル、-O-R9、 -S(O)nR9、 -C(O)-R9、 -C(O)-N(R9)(R10)、 -N(R9)(R10)、 -(CH2)p-O-R9、および -(CH2)p-N(R9)(R10)から成る群より選択される1以上の置換基で置換され、且つR6およびR7は、一緒になって次式で表される部分を形成する。
【化19】

【0063】
1つの実施形態において、R8は水素、アルキル、アルケニル、アルキニルを意味し、これら全ては任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロアルキル、-O-R9、 -S(O)nR9、 -C(O)-R9、 -C(O)-N(R9)(R10)、 -N(R9)(R10)、 -(CH2)p-O-R9 、および -(CH2)p-N(R9)(R10)から選択される置換基で置換される。特に、R8は水素を意味する。
【0064】
1つの実施形態において、R8はアリールを意味し、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、オキソ、ハロアルキル、-O-R9、 -S(O)nR9、 -S(O)2OR9、 -O-C(O)R9、 -C(O)-O-R9、 -C(O)-R9、 -C(O)-N(R9)(R10)、 -N(R9)(R10)、 -(CH2)p-N(R10)-C(O)-R9、 -(CH2)p-O-R9、 -N(R9)-C(O)R10、 NR9-S(O)nR10、 -(CH2)p-N(R9)(R10)、およびアリールからなる群より選択される1以上の置換基で置換され、前記アリールは、任意に、ハロゲン、ハロアルキル、または-O-R9で置換されてよい。特に言及すべきは、以下の構造を有する基から成り、
【化20】

【0065】
式中のRは水素、メチル、CF3、Cl、Br、F、メトキシ、エトキシ、メチルカルボニル、ニトロ、シアノ、およびフェニルからなる群より選択され、前記フェニルは、任意に、Cl、Br、F、CF3、またはメトキシで置換されてもよい。
【0066】
もう1つの実施形態において、R8は、任意に置換されたヘテロアリールを意味し、特にR8は、
【化21】

【0067】
から選択され、
式中のRは、水素、メチル、CF3、Cl、Br、F、メトキシ、エトキシ、メチルカルボニル、ニトロ、シアノ、およびフェニルからなる群より選択され、前記フェニルは、任意に、Cl、Br、F、CF3、またはメトキシで置換されてもよい。
【0068】
1つの実施形態において、R9またはR10は、独立に、水素、アルキル、またはアリールを意味し、前記アルキルまたはアリールは、任意に、置換され得る水素の総数よりも少ない数の置換基で置換されてよく、前記置換基は、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、またはハロアルキルから選択される。
【0069】
1つの実施形態において、R11およびR12は、独立に、水素またはアルキルを意味する。
【0070】
1つの実施形態において、R13およびR14は、独立に、水素またはアルキルを意味する。
【0071】
1つの実施形態において、nは2を意味する。
【0072】
1つの実施形態において、本発明は、
2-(4-クロロベンゼンスルホニル)-3-(1H-インドール-5-イル)アクリロニトリル;
3-(1H-インドール-5-イル)-2-(4-ニトロベンゼンスルホニル)アクリロニトリル;
3-(1H-インドール-5-イル)-2-メタンスルホニルアクリロニトリル;
3-(1H-インドール-5-イル)-2-(4-トリフルオロメトキシベンゼンスルホニル)アクリロニトリル;
(E) 4-[2-(1H-インドール-5-イル)ビニル]-1-メチルピリジニウム;ヨウ化物;
(E) 4-[2-(1H-インドール-5-イル)ビニル]-1-ブチルピリジニウムトリフルオロアセテート;
4-[2-(1H-インドール-5-イル)ビニル]-1-エチルキノリニウムヨウ化物;
4-[2-(1H-インドール-5-イル)ビニル]-1-メチルキノリニウムヨウ化物;
1-ブチル-4-[2-(3-メチル-1H-インドール-5-イル)ビニル]-ピリジニウムヨウ化物;および
4-[2-(7-クロロ-1H-インドール-5-イル)ビニル]-1-エチルピリジニウムヨウ化物
からなる群より選択される化合物に関する。
【0073】
式Iによる化合物は、例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何異性体のような立体異性体を生じ得る、キラル炭素原子または炭素-炭素二重結合を含んでもよい。本発明は、純粋な形態またはそれらの混合物としての、そのような異性体全てに関する。純粋な異性体は、それら自体が純粋な異性体である中間体から調製されるか、合成後、異性体の混合物の精製によって調製されるか、または2つの方法の組み合わせによって調製されてよい。異性体の精製は、例えばJaques in Enantiomers, Racemates and Resolution, Wiley, 1981で述べられているように、当該分野において周知である。
【0074】
本発明の化合物は、ミトコンドリア呼吸における増加が有益である疾患または状態の治療において有用である。
【0075】
本発明の化合物は、肥満それ自体の治療または体重増加の予防に対して、および肥満が原因として含まれる疾患もしくは障害の治療に対して特によく適合すると考えられる。1つの実施形態において、本発明は、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、異脂肪血症、高血圧、肥満、2型糖尿病、1型糖尿病、ならびに循環器病、循環器障害、脂質代謝の障害、神経変性および精神医学的な障害、緑内障を含む眼圧の調節不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、冠動脈心疾患、胆嚢疾患、変形性関節症、および癌を含む糖尿病性の遅発性合併症の治療法を提供する。
【0076】
さらに具体的に言うと、このような状態には、メタボリックシンドローム、2型糖尿病(特に肥満の患者)、肥満の結果としての糖尿病、インスリン抵抗性、過血糖症、食後過血糖症、高インスリン血症、グルコース寛容減損(IGT)、空腹時高血糖(IFG)、肝のグルコース産生の増大、1型糖尿病、 LADA、小児糖尿病、異脂肪血症(特に肥満患者)、糖尿病性異脂肪血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高リポタンパク血症、ミクロ-/マクロアルブミン尿症、腎障害、網膜症、神経障害、糖尿病性潰瘍、循環器病、動脈硬化症、冠動脈疾患、心肥大、心筋虚血、心不全、うっ血性心不全、脳卒中、心筋梗塞、不整脈、血流の減少、勃起機能不全(男性または女性)、筋疾患、筋組織の減少、筋萎縮症、筋異化、骨粗しょう症、直線的な成長の減少、神経変性および精神医学的な障害、アルツハイマー病、神経細胞死、認知機能の障害、うつ病、不安、摂食障害、食欲調節、片頭痛、てんかん、化学物質に対する嗜癖、眼圧の障害、細菌性感染、ミコバクテリア感染が含まれる。本文脈において、癌には、白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、脊髄形成異常、多発性骨髄腫、ホジキン病のような血液学的な癌の形態、または繊維肉腫、小細胞もしくは非小細胞肺癌、胃、腸、もしくは結腸直腸の癌、前立腺、子宮、卵巣、もしくは乳房の癌、脳、頭、もしくは頚部の癌、腎臓もしくは膀胱の癌のような尿路における癌、悪性黒色腫、肝臓癌、子宮および膵臓の癌のような固形腫瘍の形態が含まれるものである。
【0077】
もう1つの実施形態において、本発明は、体重減少を維持するための、本発明による化学的脱共役剤の使用に関する。
【0078】
肥満の治療における本発明による化合物の使用は、DNPおよび安全域の狭い他の化学的脱共役剤を用いた肥満の治療において知られる、肌の刺激、緑内障等のような副作用を軽減または除去する可能性が高い。
【0079】
脱共役剤は、β-細胞からのインスリンの放出を減少させる可能性もあり、そのため、β-細胞に休息を提供することにおいて有用な可能性がある。β-細胞の休息を誘導することは、β-細胞移植に関して有用である可能性があり、β-細胞の休息を誘導することは、糖尿病の予防において有用な可能性があるとも述べられている。
【0080】
食欲を調節し、食物の摂取を減少させる肥満に対する薬剤は、体が治療に応じて代謝速度を低下させるため、体重減少に関して長期的な効果が欠如していることが問題である。これと対照的に、本発明の化合物は代謝を増加させ、それ故、体重減少を維持するのに特に適していると考えられる。
【0081】
本発明の化合物は、原因に活性酸素種が含まれる疾患または障害の治療に対して特によく適合するとも考えられ、ここでの活性酸素種の量の減少は有益である。1つの実施形態において、本発明はそれ故、治療方法と特に心臓、内皮細胞、および神経組織に対する老化ならびに障害、網膜、腎糸球体、および末梢神経細胞における糖尿病性の微小血管障害を予防する方法であって、本発明の1以上の化合物の治療的に有効な量を、それらを必要とする患者に対して投与することを含んでなる方法を提供する。
【0082】
前記患者は、ミトコンドリアの呼吸の増加が有益である状態を患っている哺乳類であってよい。このような哺乳類には、例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、ラット、イヌ、ネコ、およびチンパンジー、ゴリラ、アカゲザルのような霊長類が含まれてよく、最も好ましくはヒトである。
【0083】
昆虫および寄生虫を駆除するために用いられる多くの化合物、すなわち殺虫剤および駆虫剤が、化学的脱共役剤であるということは周知である。それ故、本発明による脱共役剤は、殺虫剤または駆虫剤として用いることができると考えられる。
【0084】
本発明の方法において、本発明の化合物は、単独でまたは他の治療的に活性のある化合物と組み合わせて、同時または経時的に、且つ適切な割合で投与されてよい。このようなさらに活性のある化合物は、抗糖尿病薬、抗高脂血症薬、抗肥満薬、降圧薬、および糖尿病の結果としてまたは付随して生じる合併症の治療のための薬剤から選択されてよい。
【0085】
適切な抗糖尿病薬には、本明細書の一部として援用されるWO 98/08871 (ノボノルディスク A/S)において開示されているインスリン、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)誘導体、ならびに経口的に活性を有する血糖降下薬が含まれる。
【0086】
経口的に活性のある適切な血糖降下薬には、好ましくは、イミダゾリン、スルホニルウレア、ビグアナイド、メグリチニド、オキサジアゾリジンジオン、チアゾリジンジオン、インスリン感作物質、α-グルコシダーゼ阻害薬、例えば、本明細書の一部として援用されるWO 97/26265、WO 99/03861、および WO 00/37474 (ノボノルディスク A/S)において開示されているカリウムチャネルオープナーのような、膵β-細胞のATP依存性カリウムチャネルにおいて作用する薬剤、オルミチグリニド(ormitiglinide)のようなカリウムチャネルオープナー、ナテグリニドまたはBTS-67582のようなカリウムチャネルブロッカー、本明細書の一部として援用されるWO 99/01423 および WO 00/39088 (ノボノルディスク A/S および アグロン社)において開示されているグルカゴンアンタゴニスト、本明細書の一部として援用されるWO 00/42026 (ノボノルディスク A/S および アグロン社)において開示されているGLP-1アゴニスト、 DPP-IV (ジペプチジルペプチダーゼ-IV)阻害剤、 PTPase (プロテインチロシンホスファターゼ)阻害剤、WO 02/08209 to Hoffmann La Rocheにおいて開示されているようなグルコキナーゼ活性化剤、糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝臓酵素の阻害剤、グルコース取り込み調節因子、GSK-3 (グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3)阻害剤、抗高脂血症薬のような脂質代謝を調節する化合物、食物摂取を減少させる化合物、ならびにALRT-268、 LG-1268 、もしくはLG-1069のようなPPAR (ペルオキシソーム増殖因子-活性化受容体)および RXR (レチノイドX受容体)アゴニストが含まれる。
【0087】
この方法の1つの実施形態において、本発明の化合物は、インスリンまたはインスリン類似体と組み合わせて投与されてもよい。
【0088】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリメピリド、グリクラジド、またはグリブリドのようなスルホニルウレアと組み合わせて投与されてもよい。
【0089】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、メトホルミンのようなビグアナイドと組み合わせて投与されてもよい。
【0090】
本発明の方法の1つの実施形態において、本発明の化合物は、レパグリニドまたはセナグリニド/ナテグリニドのようなメグリチナイドと組み合わせて投与されてもよい。
【0091】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、例えばトログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、イサグリタゾン(isaglitazone)、ダルグリタゾン(darglitazone)、 エングリタゾン、 CS-011/CI-1037 、もしくは T 174 、または本明細書の一部として援用する、WO 97/41097 (例えば 5-[[4-[3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロ-2-キナゾリニル]メトキシ]フェニルメチル]チアゾリジン-2,4-ジオン)、 WO 97/41119、 WO 97/41120、 WO 00/41121、および WO 98/45292において開示されている化合物のようなチアゾリジンジオンインスリン感作物質と組み合わせて投与されてもよい。
【0092】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、例えばGI 262570, YM-440, MCC-555, JTT-501, AR-H039242, KRP-297, GW-409544, CRE-16336, AR-H049020, LY510929, MBX-102, CLX-0940, GW-501516 、または本明細書の一部として採用されるWO 99/19313 (NN622/DRF-2725), WO 00/50414, WO 00/63191, WO 00/63192, WO 00/63193 およびWO 00/23425, WO 00/23415, WO 00/23451, WO 00/23445, WO 00/23417, WO 00/23416, WO 00/63153, WO 00/63196, WO 00/63209, WO 00/63190 、ならびに WO 00/63189において開示されている化合物のようなインスリン感作物質と組み合わせて投与されてもよい。
【0093】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、例えばボグリボース、エミグリタート、ミグリトール、またはアカルボースのようなα-グルコシダーゼ阻害剤と組み合わせて投与されてもよい。
【0094】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、例えばWO 97/09040において開示されている化合物のようなグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤と組み合わせて投与されてもよい。
【0095】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、グルコキナーゼ活性化因子と組み合わせて投与されてもよい。
【0096】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、 BTS-67582、またはレパグリニドのように、膵β細胞のATP依存性カリウムチャネルにおいて作用する薬剤と組み合わせて投与されてもよい。
【0097】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、ナテグリニドと組み合わせて投与されてもよい。
【0098】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、例えばコレスチラミン、コレスチポール、クロフィブラート、ジェムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、プロブコール、またはデキストロチロキシンのような抗高脂血症薬と組み合わせて投与されてもよい。
【0099】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、例えばメトホルミンおよびグリブリドのようなスルホニルウレア;スルホニルウレアおよびアカルボース;ナテグリニドおよびメトホルミン;アカルボースおよびメトホルミン;スルホニルウレア、メトホルミン、およびトログリタゾン;インスリンおよびスルホニルウレア;インスリンおよびメトホルミン;インスリン、メトホルミン、およびスルホニルウレア;インスリンおよびトログリタゾン;
インスリンおよびロバスタチン等のように、2以上の上記で述べた化合物と組み合わせて投与されてもよい。
【0100】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、1以上の抗肥満薬または食欲調節薬と組み合わせて投与されてもよい。
【0101】
そのような薬剤は、CART (コカインアンフェタミン制御転写物)アゴニスト、NPY (神経ペプチドY)アンタゴニスト、MC3 (メラノコルチン 3) アゴニスト、 MC4 (メラノコルチン 4) アゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、 TNF (腫瘍壊死因子) アゴニスト、 CRF (コルチコトロピン放出因子) アゴニスト、 CRF BP (コルチコトロピン放出因子結合タンパク質) アンタゴニスト、 ウロコルチン(urocortin) アゴニスト、CL-316243, AJ-9677, GW-0604, LY362884, LY377267 、または AZ-40140のようなβ3 アドレナリン作動性アゴニスト、MSH (メラニン細胞刺激ホルモン) アゴニスト、 MCH (メラニン細胞濃縮ホルモン) アンタゴニスト、 CCK (コレシストキニン) アゴニスト、セロトニン再取り込み阻害剤 (フルオキセチン、セロザット、またはシタロプラム)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤 (例えばシブトラミン)、 5HT (セロトニン) アゴニスト、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、プロラクチンまたは胎盤ラクトゲンのような成長因子、成長ホルモン放出化合物、TRH (甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン) アゴニスト、 UCP 2 または3 (脱共役タンパク質 2 または3) 修飾因子、レプチンアゴニスト、 DA (ドパミン) アゴニスト (ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、 PPAR 修飾因子、RXR 修飾因子、TR βアゴニスト、アドレナリン作動性 CNS 刺激剤、 AGRP (アグーチ関連タンパク質) 阻害剤、 本明細書の一部として援用するWO 00/42023、 WO 00/63208 、および WO 00/64884で開示されているようなH3 ヒスタミンアンタゴニスト、 エキセンディン-4、 GLP-1 アゴニスト、ならびに毛様体神経栄養因子から成る群より選択されてよい。さらなる抗肥満剤は、ブプロピオン(抗うつ薬)、トピラメート (抗痙攣薬)、エコピパム(ecopipam (ドパミン D1/D5 アンタゴニスト))、ナルトレキソン (オピオイドアンタゴニスト)、およびペプチド YY3〜36 (Batterham et al, N
ature 418, 650-654 (2002))である。
【0102】
1つの実施形態において、抗肥満薬はレプチンである。
【0103】
1つの実施形態において、抗肥満薬は、例えばオルリスタットのようなリパーゼ阻害剤である。
【0104】
1つの実施形態において、抗肥満薬は、例えばデキサンフェタミン、アンフェタミン、フェンテルミン、マジンドールフェンジメトラジン、ジエチルプロピオン、フェンフルラミン、またはデックスフェンフルラミンのようなアドレナリン作動性CNS刺激剤である。
【0105】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、1以上の降圧剤と組み合わせて投与されてもよい。降圧剤の例は、アルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロール、およびメトプロロールのようなβ-遮断薬;ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、およびラミプリルのようなACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害薬;ニフェジピン、フェロジピン、二カルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼム、およびベラパミルのようなカルシウム拮抗薬;ドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシン;およびテラゾシンのようなα-遮断薬である。
【0106】
本発明による化合物を、ダイエットおよび/または運動、1以上の上記で述べた化合物、および任意に1以上の他の活性物質と適切に組み合わせることは、本発明の範囲内としてみなされると理解されるべきである。
【0107】
本発明の化合物は、活性成分として、少なくとも1の本発明の化合物であって、好ましくは治療的に有効な量の、本発明によるいずれの方法にも適した化合物を含み、1以上の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を一緒に含む医薬組成物も提供する。前記医薬組成物は、上記で示したような何れのさらなる活性化合物を含んでもよい。
【0108】
前記医薬組成物は、好ましくは単位剤形であって、約0.05mg〜約1000mg、好ましくは約0.1mg〜約500mg、特に好ましくは約0.5mg〜約200mgの上記で示した何れの方法にも適する化合物を含んでなる。
【0109】
本発明は、上記で例示したようなミトコンドリアにおける代謝の増大または活性酸素種の量の減少が有益である疾患の治療のための薬剤の製造において、式Iによる化合物を使用することにも関する。
【医薬組成物】
【0110】
本発明の化合物は、単独でまたは薬学的に許容可能な担体もしくは賦形剤と組み合わせて、単一または複数用量で投与されてよい。本発明による医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体または希釈剤、ならびに他の既知のアジュバントおよび賦形剤が、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 2000に開示されているような通常の技術を用いて配合されてよい。
【0111】
前記医薬組成物は、具体的に言うと、経口、直腸、鼻腔、肺、局所(頬および舌下を含む)、経皮、槽内、腹腔内、膣、ならびに非経口的な(皮下、筋肉内、くも膜下腔内、静脈内、および皮内を含む)経路のような適切な経路によって投与するために配合されてよく、経口的な経路が好ましい。好ましい経路は、治療されるべき患者の全身の状態および年齢、治療されるべき状態の性質、および選択された活性成分に依存することが理解されるであろう。
【0112】
経口投与のための医薬組成物には、硬カプセルまたは軟カプセル、錠剤、トローチ、糖剤、丸剤、ロゼンジ、散剤、および顆粒剤のような固体の剤形が含まれる。適切な場合、これらは腸溶コーティングのようなコーティングと共に調製することができ、または、当該分野において既知の方法に従って、持続性または遅延性の放出のような活性成分の徐放性を提供するように配合されてもよい。
【0113】
経口投与のための液体剤形には、溶液、乳濁液、水性または油性懸濁液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。
【0114】
非経口的な投与のための医薬組成物には、無菌の水性および非水性の注射用溶液、分散剤、懸濁液、または乳濁液、ならびに使用前に無菌の注射用溶液または懸濁液中に再構成させる無菌散剤が含まれる。蓄積注射製剤もまた、本発明の範囲内であると考えられる。
【0115】
他の適切な剤形には、坐剤、スプレー、軟膏、クリーム、ゲル、吸入剤、経皮パッチ、インプラント等が含まれる。
【0116】
典型的な経口投与量は、1日に体重当り約0.001〜約 100 mg/kg 、好ましくは1日に体重当り約0.01 〜約 50 mg/kg、さらに好ましくは1日に体重当り 約0.05〜約 10 mg/kg の範囲で、1〜3回の投与のように1回以上投与される。正確な投与量は、投与の回数および方法、治療される患者の性別、年齢、体重、および全身の状態、治療される状態および治療されるべき随伴する疾患の性質および重症度、ならびに当業者にとって明白な他の因子に依存するであろう。
【0117】
製剤は、当業者に既知の方法によって、単位剤形として示されてよい。1日に1〜3回のように、1日に1回以上経口投与をするための典型的な単位剤形には、0.05 〜約 1000 mg、好ましくは約 0.1〜約 500 mg、さらに好ましくは約 0.5 mg 〜約 200 mg含まれてよい。
【0118】
静脈内、くも膜下内、筋肉内、および同様の投与のような非経口的な投与に対する典型的な投与量は、経口投与のために用いる量の約半分のオーダーである。
【0119】
本発明による使用のための化合物は、一般的に、遊離物質または薬学的に許容可能なそれらの塩として利用される。例は、遊離塩基の有益性を有する化合物の酸付加塩および遊離酸の有益性を有する化合物の塩基付加塩である。「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本発明による使用のための化合物の無毒の塩を意味し、その塩は一般的に、遊離塩基を適切な有機酸または無機酸と反応させることにより、または酸を適切な有機塩基または無機塩基と反応させることによって調製される。本発明による使用のための化合物が遊離塩基を含む場合、このような塩は、該化合物の溶液または懸濁液を薬学的に許容可能な酸の化学当量で処理することにより、通常の方法で調製される。本発明に従った使用のための化合物が遊離酸を含む場合、このような塩は、該化合物の溶液または懸濁液を薬学的に許容可能な塩基の化学当量で処理することにより、通常の方法で調製される。ヒドロキシル基を有する化合物の生理的に許容可能な塩には、ナトリウムまたはアンモニウムイオンのような適切なカチオンと組み合わせた前記化合物のアニオンが含まれる。薬学的に許容可能でない他の塩は、本発明の化合物の調製において有用な可能性があり、これらは本発明のさらなる側面を形成する。
【0120】
非経口的な投与のために、無菌の水溶液、水性プロピレングリコール、またはゴマ油もしくはピーナッツオイル中における、本発明による使用のための前記化合物の溶液が用いられてよい。必要な場合、このような水溶液は適切に緩衝されるべきであり、液体希釈剤は始めに、十分な生理食塩水またはグルコースで等張性を与えられる。前記水溶液は、特に、静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内の投与に適している。用いられる無菌の水性媒質は、当業者に既知の標準技術によって容易に入手可能である。
【0121】
適切な薬学的担体には、不活性な固体希釈剤または賦形剤、無菌水溶液、および種々の有機溶媒が含まれる。固体の担体の例は、ラクトース、白土、ショ糖、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびセルロースの低級アルキルエーテルである。液体の担体の例は、シロップ、ピーナッツオイル、オリーブオイル、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン、および水である。同様に、担体または希釈剤には、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートのように、当該分野において既知の徐放物質が単独で、またはワックスとの混合物として含まれてよい。本発明による使用のための化合物と薬学的に許容可能な担体を合わせることによって形成される医薬組成物は、この場合、開示された投与経路に適した種々の剤形で容易に投与される。前記製剤は、都合よく、薬学の分野において既知の方法によって、単位剤形で表されてよい。
【0122】
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれが予め決められた量の活性成分を含有するカプセルまたは錠剤のように、個別の単位として表されてよく、適切な賦形剤が含まれてもよい。さらに、経口的に利用可能な製剤は、散剤もしくは顆粒剤、水性もしくは非水性の液体における溶液もしくは懸濁液、または水中油形もしくは油中水形液体エマルションの形態であってよい。
【0123】
経口的な使用に向けられた組成物は、既知の方法に従って調製されてよく、そのような組成物は、薬学的に上品かつ味のよい製剤を提供するために、甘味料、矯味料、着色料、および保存料からなる群より選択される1以上の薬剤を含んでよい。錠剤には、錠剤の製造に適した無毒の薬学的に許容可能な賦形剤との混合物として、活性成分がふくまれてよい。このような賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウムのような不活性な希釈剤;例えばコーンスターチまたはアルギン酸のような造粒剤および崩壊剤;例えばデンプン、ゼラチン、またはアラビアゴムのような結合剤;ならびに例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクのような滑沢剤であってよい。錠剤はコーティングされなくてもよく、また消化管における崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長い間にわたって作用を維持させることを提供するために、既知の技術によってコーティングされてもよい。例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートのような時間遅延物質が用いられてよい。それらは、本明細書の一部として援用されている米国特許第 4,356,108号; 4,166,452号; および 4,265,874号において開示されている技術によって、徐放のための浸透圧性の治療的錠剤を形成するためにコーティングされてもよい。
【0124】
経口投与のための製剤は、活性成分が、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはカオリンのような不活性な固体の希釈剤と混合された硬カプセルとして、または活性成分が、例えばピーナッツオイル、液体パラフィン、もしくはオリーブオイルのような水または油の媒質と混合された軟カプセルとして表されてもよい。
【0125】
水性懸濁液には、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物として、本発明による使用のための化合物が含まれてよい。このような賦形剤は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアラビアゴムのような懸濁剤であってよく;分散剤または湿潤剤は、レシチンのような天然リン脂質、あるいは例えばポリオキシエチレンステアレートのようなアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、もしくは例えばヘプタデカエチル-エンオキシセタノールのようなエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物、もしくはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのような、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合物、もしくは例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートのような、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合物であってよい。水性懸濁液には、1以上の着色料、1以上の矯味料、およびショ糖またはサッカリンのような1以上の甘味料が含まれてもよい。
【0126】
油性懸濁液は、例えばピーナッツオイル、オリーブオイル、ゴマ油、もしくはココナッツオイルのような植物油、または液体パラフィンのような鉱油中に活性成分を懸濁することによって配合されてよい。油性懸濁液には、例えばみつろう、固形パラフィン、またはセチルアルコールのような増粘剤が含まれてよい。上記で示したような甘味料および矯味料は、味のよい経口製剤を提供するために加えられてよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保護されてよい。
【0127】
水の添加による水性懸濁液の調製のための分散性の粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、および1以上の保存剤との混合物として、活性化合物を提供する。適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤は、上記で既に述べたものによって例示されている。例えば甘味料、矯味料、および着色料のような付加的な賦形剤が含まれてもよい。
【0128】
本発明による使用のための化合物を含んでなる医薬組成物は、水中油形の乳濁液の形態であってもよい。油層は、例えばオリーブオイルもしくはピーナッツオイルのような植物油、例えば液体パラフィンのような鉱油、またはそれらの混合物であってよい。適切な乳化剤は、例えばアラビアゴム、トラガカントゴムのような天然ゴム、例えば大豆、レシチンのような天然リン脂質、例えばソルビタンモノオレエートのような脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル、およびたとえばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートのような前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物であってよい。乳濁液には甘味料および矯味料も含まれてよい。
【0129】
シロップおよびエリキシルは、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、またはショ糖のような甘味料と共に配合されてよい。このような製剤には、粘滑剤、保存料、矯味料、および着色料も含まれてよい。前記医薬組成物は、無菌の注射用の水性または油性懸濁液の形態であってよい。この懸濁液は、上記に記載した適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤を用いて、既知の方法に従って配合されてよい。無菌の注射用製剤は、例えば1,3-ブタノール中における溶液のように、無毒の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中における無菌の注射用溶液または懸濁液であってもよい。用いられてよい許容可能な媒体および溶媒は、水、リンゲル液、および等張の塩化ナトリウム溶液である。加えて、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒として都合よく用いられる。この目的のために、無刺激の不揮発性油が、合成モノ-またはジグリセリドを用いて使用されてよい。加えて、オレイン酸のような脂肪酸が注射液の調製において用いられる。
【0130】
前記組成物は、本発明の化合物の直腸投与のための坐剤の形態であってもよい。これらの組成物は、薬剤を、通常の温度では固体であるが、直腸温度では液体であり、その結果として直腸で溶解して薬剤を放出するような適切な非刺激性の賦形剤と混合することによって調製されてよい。このような物質には、例えばココアバターおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0131】
局所的な使用のために、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゲル、懸濁剤の溶液等が考えられる。この適用を目的として、局所的な適用には洗口およびうがい薬が含まれるべきである。
【0132】
本発明の化合物は、スモールユニラメラベシクル、ラージユニラメラベシクル、およびマルチラメラベシクルのようなリポソームデリバリーシステムの形態で投与されてもよい。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンのような種々のリン脂質から形成されてよい。
【0133】
加えて、本発明のいくつかの化合物は、水または通常の有機溶媒との溶媒和化合物を形成してもよい。そのような溶媒和化合物も、本発明の範囲内に包含される。
【0134】
それ故、さらなる実施形態において、本発明による使用のための化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩、溶媒和化合物、もしくはプロドラッグ、および1以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、もしくは希釈剤を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0135】
固体の担体が経口投与のために用いられる場合、製剤は、打錠されるか、粉末またはペレットの形態で硬カプセル中に含まれるか、またはトローチまたはロゼンジの形態であってよい。固体の担体の量は広範に変化し得るが、通常は約25mg〜約1gであろう。液体の担体が用いられる場合、製剤は、シロップ、乳濁液、軟カプセル、または水性または非水性の液体懸濁液もしくは溶液のような無菌の注射用溶液の形態であってよい。
【0136】
通常の打錠技術によって調製される典型的な錠剤には:
コア:
活性化合物 (遊離化合物またはそれらの塩として) 5.0 mg
Lactosum Ph. Eur. 67.8 mg
微結晶性セルロース (アビセル(Avicel)) 31.4 mg
アンバライト(Amberlite:登録商標)IRP88* 1.0 mg
Magnesii stearas Ph. Eur. q.s.
コーティング:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 約9 mg
Mywacett 9-40 T** 約0.9 mg
* Polacrillin カリウム NF, 錠剤崩壊剤, Rohm および Haas.
** フィルムコーティングのための可塑剤として用いられるアシル化モノグリセリド
が含まれてよい。
【0137】
所望の場合、本発明による使用のための化合物を含んでなる医薬組成物は、本発明による使用のための化合物を、上記で述べたようなさらなる活性物質との組み合わせとして含んでよい。
【0138】
本発明は、本発明による使用のための化合物の調製方法も提供する。前記化合物は、容易に入手可能な出発物質、試薬、および通常の合成方法を用いて、以下の一般的な方法に従って容易に調製することができる(そのように特定されない限り、全ての変数は上記で定義した通りである)。これらの反応において、それ自体が当業者に既知である変種を利用することも可能であるが、より詳細には言及しない。
【実施例】
【0139】
HPLC-MS(方法A)
以下の機器を用いる:
ヒューレットパッカードシリーズ 1100 G1312A ビンポンプ
ヒューレットパッカードシリーズ 1100 カラムコンパートメント
ヒューレットパッカードシリーズ 1100 G1315A DAD ダイオードアレイ検出器
ヒューレットパッカードシリーズ 1100 MSD
Sedere 75 蒸発散乱光検出器
上記機器は、HPケムステーション(Chemstation)ソフトウェアによって制御される。
【0140】
HPLCポンプは、2つの溶出液の貯蔵器と連結される:
A: 水中における0.01% TFA
B: アセトニトリル中における0.01% TFA
分析は40℃で、適切な量の試料(好ましくは1μg)をアセトニトリルの勾配を用いて溶出されるカラムに注入することにより行われる。
【0141】
使用されるHPLC条件、検出器の設定、および質量分析計は、以下の表に示されている。
【0142】
カラム: ウォーターズ製 エクステラ(Xterra) MS C-18 X 3 mm id 5 m
勾配: 5%〜100% の線形勾配のアセトニトリルを、1.5ml/min で7.5分間
検出: 210 nm ( DAD (ダイオードアレイ検出器)からのアナログ出力)
ELS (ELSからのアナログ出力)
MS イオン化モード API-ES
走査 0.1 amu ごとに100〜1000 amu
DADの後、流れは約1ml/minでELSに、約0.5ml/minでMSに流れるように分けられる。
[実施例]
【0143】
例1
2-(4-クロロベンゼンスルホニル)-3-(1H-インドール-5-イル)アクリロニトリル
5-ホルミルインドール (250 mg, 1.72 mmol)をエタノール3 ml中に溶解し、 4-クロロフェニルスルホニルアセトニトリル (557 mg, 2.58 mmol)およびピペリジン (0.009 ml, 0.09 mmol)を加えた。この混合物を80℃で12時間撹拌した。その反応混合物を室温まで冷却し、ろ過によって黄色の粉末を回収した。その粉末を冷却エタノールで洗浄し、乾燥して、88%の収率で標題化合物を523mg得た。
【0144】
1H NMR (DMSO-d6): δ ppm: 6.66 (s, 1 H) 7.54 (dd, 1 H) 7.60 (d, 1 H) 7.82 (d, 2 H) 7.86 (dd, 1 H) 8.03 (d, 2 H) 8.37 (s, 1 H) 8.55 (s, 1 H) 11.79 (br s, 1 H); HPLC-MS (方法 A): m/z = 343 (M+1), 365 (M+23); Rt = 4.322 min.
例2
3-(1H-インドール-5-イル)-2-(4-ニトロベンゼンスルホニル)アクリロニトリル
ステップA: (4-ニトロフェニルスルファニル)アセトニトリル (2A)
p-ニトロチオフェノール (2.48 g, 16 mmol) の一部をエタノール40ml中に溶解し、水酸化ナトリウム 1N (16 ml, 16 mmol)、水 30 ml、およびクロロアセトニトリル (1.69 g, 22 mmol) を加えた。この混合物を室温で2時間撹拌し、ろ過することによって沈殿物を回収し、茶色の結晶として(2A)を 2.3 g (74%)得た。
【0145】
Mp: 77-79°C; 1H NMR (DMSO-d6): δ ppm: 4.50 (s, 2 H) 7.68 (d, 2 H) 8.25 (d, 2 H); HPLC-MS (方法 A): m/z = 195 (M+1); Rt = 2.832 min.
ステップB: (4-ニトロベンゼンスルホニル)アセトニトリル (2B)
(4-ニトロフェニルスルファニル)アセトニトリル (2A) (1.94 g, 10 mmol)、過酸化水素 35% (3.5 ml, 116 mmol)、および酢酸 (15 ml, 263 mmol)を100℃まで6時間加熱した。その混合物を室温まで冷却し、その後、蒸発乾固させた。残ったものを水中に懸濁して撹拌し、白色粉末をろ取し、(2B)を 1.98 g (88%)得た。
【0146】
Mp: 166-168°C; 1H NMR (DMSO-d6): δ ppm: 5.47 (s, 2 H) 8.28 (d, 2 H) 8.56 (d, 2 H)
ステップC: 3-(1H-インドール-5-イル)-2-(4-ニトロベンゼンスルホニル)アクリロニトリル (2)
5-ホルミルインドール (16 mg, 0.11 mmol) をエタノール 2 mlに溶解し、 (4-ニトロベンゼンスルホニル)アセトニトリル (2B) (29 mg, 0.13 mmol)、およびピペリジン(0.001 ml, 0.006 mmol)を加えた。その混合物を80℃で5時間撹拌した。その反応混合物を室温まで冷却し、ろ過によって黄色の粉末を回収した。その粉末を冷却エタノールで洗浄し、乾燥させ、標題化合物を62%の収率で24mg得た。
Mp: 219-221°C; 1H NMR (DMSO-d6): δ ppm: 6.68 (s, 1 H) 7.56 (s, 1 H) 7.62 (d, 1 H) 7.90 (d, 1 H) 8.30 (d, 2 H) 8.40 (s, 1 H) 8.51 (d, 2 H) 8.63 (s, 1 H) 11.82 (br s, 1 H); HPLC-MS (方法 A): m/z = 354 (M+1), 376 (M+23); Rt = 3.994 min.
例3
3-(1H-インドール-5-イル)-2-メタンスルホニルアクリロニトリル
標題化合物は、クネーベナーゲル剤としてメチルスルホニルアセトニトリルを用いて、例1で述べたように調製した。
【0147】
収率 49%; Mp: 184-185°C; 1H NMR (DMSO-d6): δ ppm: 3.37 (s, 3 H) 6.66 (d, 1 H) 7.55 (dd, 1 H) 7.62 (d, 1 H) 7.90 (dd, 1 H) 8.31 (s, 1 H) 8.35 (d, 1 H) 11.76 (br s, 1 H); HPLC-MS (方法 A): m/z = 247 (M+1), 269 (M+23); Rt = 2.824 min.
例4
3-(1H-インドール-5-イル)-2-(4-トリフルオロメトキシベンゼンスルホニル)アクリロニトリル
標題化合物は、クネーベナーゲルとして4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホニルアセトニトリルを用いて、例1で述べたように調製した。
【0148】
収率 34%; Mp: 171-175°C; 1H NMR (DMSO-d6): δ ppm: 6.66 (s, 1 H) 7.55 (dd, 1 H) 7.60 (d, 1 H) 7.73 (d, 2 H) 7.89 (dd, 1 H) 8.17 (d, 2 H) 8.37 (s, 1 H) 8.57 (s, 1 H) 11.79 (br s, 1 H); HPLC-MS (方法 A): m/z = 393 (M+1), 415 (M+23); Rt = 4.451 min.
例5
(E) 4-[2-(1H-インドール-5-イル)ビニル]-1-メチルピリジニウム; ヨウ化物
ステップA: 1,4-ジメチルピリジニウム; ヨウ化物 (5A)
4-ピコリン (2.1 ml, 21.6 mmol) を窒素気圧下で乾燥アセトン20mlに溶解した。その混合物を0℃まで冷却し、ヨードメタン (2.7 ml, 43.2 mmol) をゆっくり加えた。その反応混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、1時間室温に置いた。溶媒の半分を蒸発させ、沈殿物をろ過によって回収し、白色結晶として(5A)を2.7 g (27%)得た。
【0149】
1H NMR (D2O): δ ppm: 2.65 (s, 3 H) 4.31 (s, 3 H) 7.85 (d, 2 H) 8.58 (d, 2 H); HPLC-MS (方法 A): m/z = 108 (M-126 (ヨウ化物)); Rt = 0.313 min.
ステップB: (E) 4-[2-(1H-インドール-5-イル)ビニル]-1-メチルピリジニウム; ヨウ化物 (5)
5-ホルミルインドール (151 mg, 1.04 mmol)をピペリジン (1.13 ml, 11.44 mmol)に溶解し、 エタノール4ml中における1,4-ジメチルピリジニウム; ヨウ化物 (5A) (245 mg, 1.04 mmol)の溶液をゆっくり加えた。その反応混合物を室温で17時間撹拌し、ろ過によって沈殿物を回収した。その結晶をエタノールから再結晶させ、標題化合物を172 mg (46%)得た。
Mp: 271°C; 1H NMR (DMSO-d6): δ ppm: 4.23 (s, 3 H) 6.55 (d, 1 H) 7.40 (d, J= 16.17 Hz, 1 H) 7.44 (dd, 1 H) 7.50 (d, 1H) 7.58 (d, 1H) 7.95 (s, 1 H) 8.12 (d, J= 16.17 Hz, 1 H) 8.17 (d, 2 H) 8.78 (d, 2 H) 11.41 (d, 1 H); HPLC-MS (方法 A): m/z = 235 (M-126 (ヨウ化物)); Rt = 2.303 min.
例6 化合物を例5の方法に従って調製した。
【0150】
(E) 4-[2-(1H-インドール-5-イル)ビニル]-1-ブチルピリジニウムトリフルオロアセテート
1H NMR (400 MHz, MeOD) δppm 1.01 (t, J=7.33 Hz, 3 H), 1.42 (m, 2 H), 1.95 (m, 2 H), 4.44 (t, J=7.58 Hz, 2 H), 6.54 (d, J=3.03 Hz, 1 H), 7.30 (m, 2 H), 7.46 (d, J=8.59 Hz, 1 H), 7.58 (d, J=8.59 Hz, 1 H), 7.93 (s, 1 H), 8.04 (m, 3 H), 8.64 (d, J=7.07 Hz, 2 H)
【薬理学的方法】
【0151】
試験(I):ヒト上皮細胞株(FSK-4細胞)におけるグルコースの利用
試験の説明:
この試験は、D-(6-3H(N))-グルコースを用いることによってFSK-4細胞における呼吸鎖の活性を間接的に測定する。3H-プロトンは最初にTCA回路中に放出され、呼吸鎖に輸送され、水の中に取り込まれるであろう。水はその後、蒸発によってD-(6-3H(N))-グルコースから分離される。最後に、水中における放射能をトップカウンターを用いて測定する。
【0152】
方法:
ATCC(メリーランド、USA)から得られたFSK-4細胞を、培養培地(100 ユニット/ml のペニシリン、ストレプトマイシン、および 10% FCS (ウシ胎児血清)を添加したMcCoy´s培地 )中で、37℃、5% CO2で培養する。全ての培地は、別に言及しない限りギブコ社 (ライフテクノロジーズ(Life Technologies),メリーランド, USA)によって得られる。
【0153】
0日目、トリプシン-EDTAを用いて細胞を収集し、遠心分離を用いて試験用培地(1x 可欠アミノ酸 (M7145, 2 mM グルタミン), 100 ユニット/ml ペニシリンおよびストレプトマイシン、 0.0075% 炭酸水素ナトリウム, 1 mM ピルビン酸ナトリウム(sodium pyrovate)、ならびに 2%ウマ血清を添加したMEM培地 )中で洗浄する。その細胞を、1,5x104 細胞/100 μl 試験培地/ウェルの濃度で、24-ウェルプレート中に設置されたシングルストリッププレートウェル(コーニング B.V.ライフサイエンス社製, オランダ)に蒔く。その細胞を、その後、37℃および5% CO2下で一晩インキュベートする。
【0154】
次の日、試験される化合物をDMSO(シグマ, ミズーリ, USA)中に異なる濃度で、最終濃度の100倍まで希釈する。それらをその後、10 μCi/ml D-(6-3H(N))-グルコース (パーキンエルマーライフサイエンス社, ボストン, USA)を含有する試験培地中で最終濃度まで希釈する。前記培地を細胞から除去し、200μlの化合物希釈液を2回ずつ加える。細胞を37°C および 5% CO2でさらに24時間インキュベートする。最後に、50μlの 10% TCA (トリクロロアセテート)を加えることにより細胞を溶解する。その後、ストリッププレートウェルを囲む24ウェルに300μlの滅菌水を加える。前記プレートをトップシールテープ(パッカード, パーキンエルマーライフサイエンス社,ボストン, USA)で密封し、呼吸鎖において形成される放射性の水を蒸発によって24ウェルプレートの水中へ平衡化するために、そのプレートを加熱乾燥器中、50℃でインキュベートする。プレートを8時間インキュベートし、加熱乾燥器を消す。試料が室温になった時にトップシールを除去する。1mlのシンチレーション液(パッカード マイクロサイエント(Microscient), パーキンエルマーライフサイエンス社, ボストン, USA)を全ての試料に加え、トップカウンター(パッカード, パーキンエルマーライフサイエンス社, ボストン, USA)を用いて放射能を測定する。非特異的な活性は、D-(6-3H(N))-グルコースを含む希釈培地200μlを300μl滅菌水中に蒸発させることによって決定され、全体の放射能は、10 μCi/ml D-(6-3H(N))-グルコースを含む試験培地5μlを測定することにより決定される。
【0155】
計算
最大半減濃度(EC50)および最大効力(Emax)は、グラフパッドプリズム3.0(グラフパッドソフトウェア社製)におけるヒル式を用いて計算される。直線範囲が決定される研究において、以下の化合物の濃度が用いられる;5x, 3x, 2x, 1,5x, 1,25x, 1x, 0.85x, 0.7x, 0.5x, 0.3x, 0.2x 、および 0x EC50。グルコースの利用における増加の百分率から、ミカエリス-メンテンの式を用いて直線範囲が計算される。
【0156】
試験(II):単離されたミトコンドリアを用いた、ミトコンドリア呼吸における化学的脱共役剤の効果。
【0157】
この試験は、グルコース利用試験において観察される、試験化合物によって引き起こされるグルコース利用の増加が、ミトコンドリアの呼吸の増加によるものである場合に検討するために用いられる。これは、単離されたラットの肝臓のミトコンドリアにおける酸素消費を測定することによりなされる。
【0158】
酸素消費を測定するために、クラーク酸素電極が用いられる。単離されたミトコンドリアをロテノン(clomplex 1の阻害剤) および オリゴミオシン(oligomyocin ( ATP-シンターゼの阻害剤 ))を含有する試験培地(D-マンニトール 220mM, 塩化マグネシウム 5mM, ヘペス 2 mM 、および リン酸カリウム 5mM, pH = 7,4)に加え、酸素消費速度を測定し、安定化したら、栄養分(例えばコハク酸)を加え、酸素消費速度の増加を測定する。酸素消費速度が再び安定化したら、試験化合物を加え、酸素消費を測定する。試験化合物が酸素消費速度を刺激した場合、それは化学的脱共役剤とみなされる。
【0159】
試験(III):インビボにおいてエネルギー消費を増大させる化学的脱共役剤の同定
インビボでのエネルギー消費(酸素消費)における化学的脱共役剤の効果は、間接的な熱量測定によって決定される。簡単に言うと、動物を機密容器に入れる。空気を継続的に容器へ導き、容器から出す。容器へ導き、容器から出す空気(入り口および出口の空気)中の酸素(O2)および二酸化炭素 (CO2)の気体濃度を記録し、O2の消費およびCO2の産生を算出する。消費されたO2および産生されたCO2の量を基にして、エネルギー消費を計算する。投与された量において、明らかな有害作用なく全身のエネルギー消費を増加させる化合物は、エネルギー消費を増加させる化学的脱共役剤であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iによる化合物、ならびに薬学的に許容可能なそれらの塩、溶媒和化合物、およびプロドラッグ:
【化1】

ここで、式中のR6およびR7に対するくさび形の結合は、R6およびR7がR5に対してシスまたはトランスであってよいことを示し;
R1, R2, R3, R4 は、独立に、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、 -C(O)OR9、 -C(O)NR9R10、 -S(O)2OR9、 -S(O)nR9、 -OC(O)R9、 -NHC(O)R9、もしくは-N(C(O)R9)2を意味するか、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールであって、それら全てが任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、オキソ、ハロアルキル、-O-R9、-S(O)nR9、-S(O)2OR9、-O-C(O)R9、-C(O)-O-R9、-C(O)-R9、-C(O)-N(R9)(R10)、-N(R9)(R10)、-(CH2)p-N(R10)-C(O)-R9、-(CH2)p-O-R9、-N(R9)-C(O)R10、NR9-S(O)nR10、-(CH2)p-N(R9)(R10)、およびアリールからなる群より選択される1以上の置換基で置換された基を意味し、前記アリールは、任意に、ハロゲン、ハロアルキル、または-O-R9で置換されてよく;
R5は、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、またはアルキルアミノを意味し;
R6は、アルキル、アルケニル、アルキニル、 -OC(O)R9、 -NHC(O)R9、 -S(O)2OR9、 -S(O)nR9、 -S(O)2N(R9R10)、 -P(O)(OR9)2 、もしくは -B(OR9)2、 または以下の式で表される4-ピリジニウム基を意味し、
【化2】

式中のR15は、アルキル、アルケニル、アルキニルであって、それら全てが任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、およびカルボキシから選択される1以上の置換基で置換されてよい基を意味し;また、式中の環Aは存在しないか、あるいは5または6員環を意味し、それは芳香族もしくは非芳香族であってよく、且つN、O、およびSから選択される1、2、もしくは3のへテロ原子を含んでよく;
R7は、シアノまたは水素を意味し、R7が水素を意味する場合はR6が4-ピリジニウム基を意味することを提供するか;
または、R6およびR7は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、次式で表される部分を形成し;
【化3】

式中の*は、前記部分が、R6およびR7が結合している二重結合に結合する位置を示し;
R8は、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、 -C(O)OR9、-C(O)NR9R10、 -S(O)2OR9、 -S(O)nR9、 -OC(O)R9、 -NHC(O)R9、 -N(C(O)R9)2、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、もしくはヘテロアリールを意味し、それら全ては、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、オキソ、ハロアルキル、 -O-R9、 -S(O)nR9、 -S(O)2OR9、 -O-C(O)R9、 -C(O)-O-R9、 -C(O)-R9、 -C(O)-N(R9)(R10)、 -N(R9)(R10)、 -(CH2)p-N(R10)-C(O)-R9、 -(CH2)p-O-R9、 -N(R9)-C(O)R10、 NR9-S(O)nR10、 -(CH2)p-N(R9)(R10)、およびアリールからなる群より選択される1以上の置換基で置換され、前記アリールは、任意に、ハロゲン、ハロアルキル、もしくは-O-R9で置換されてよく;
R9およびR10はそれぞれ、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびピリジニウムイオン基によって表される基から独立に選択され、それらの全ては任意に、置換されうる水素原子の総数よりも少ない数の置換基で置換され、前記置換基は、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、ハロアルキル、 -O-R11、 -S(O)nR11、 -O-C(O)R11、 -C(O)-O-R11、 -C(O)-R11、 -C(O)-N(R11)(R12)、 -N(R11)(R12)、 -(CH2)p-N(R12)-C(O)-R11、 -B(OR11)(OR12)、 -(CH2)p-O-R11、 -N(R11)-C(O)R12、 N(R11)-S(O)nR12、 -(CH2)p-N(R11)(R12)、およびフェニルからなる群より選択され、前記フェニルは、任意に、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、シアノ、ニトロ、 -O-R13、 -S(O)nR13、 -O-C(O)R13、 -C(O)-O-R13、 -C(O)-R13、 -C(O)-N(R13)(R14)、 -N(R13)(R14)、 -(CH2)p-N(R13)-C(O)-R14、 -B(OR13)(OR14)、 -(CH2)p-O-R13、および -(CH2)p-N(R13)(R14)からなる群より選択される1以上の置換基で置換されるか;
または、R9およびR10は、それらが結合している原子と一緒になって5、6、7、もしくは8員環を構成し、それは部分的もしくは完全に飽和するか、または不飽和であってよく、前記環は、任意に、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、およびニトロからなる群より選択される1以上の置換基で置換され;
R11およびR12はそれぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、もしくはシクロアルキルによって表される基から選択されるか、;
または、R11およびR12は、それらが結合している原子と一緒になって、5、6、7、もしくは8員環を構成し、それは部分的もしくは完全に飽和するか、または不飽和であってよく、前記環は、任意に、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、およびニトロからなる群より選択される1以上の置換基で置換され;
R13およびR14はそれぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、またはシクロアルキルによって表される基から選択され;
Pは、0、1、または2を意味し;
Nは、0、1、または2である。
【請求項2】
式中のR1〜R8は請求項1で定義した通りであって、Iaによる式を有する、請求項1に記載の化合物。
【化4】

【請求項3】
R2およびR4が水素である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R5が水素である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物であって、ここでのR1およびR8は、独立に、水素、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロアルキル、-C(O)NR9R10、 -S(O)2OR9、 -S(O)nR9を意味し、前記アリールおよびヘテロアリールは、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロアルキル、-O-R9、 -S(O)nR9、 -C(O)-R9、-C(O)-N(R9)(R10)、-N(R9)(R10)、 -(CH2)p-O-R9、および -(CH2)p-N(R9)(R10)からなる群より選択される1以上の基で置換される化合物。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物であって、ここでのR1、R8、およびR3は、独立に、水素、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロアルキル、-C(O)NR9R10、 -S(O)2OR9、 -S(O)nR9を意味し、前記アリールおよびヘテロアリールは、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロアルキル、-O-R9、 -S(O)nR9、 -C(O)-R9、 -C(O)-N(R9)(R10)、 -N(R9)(R10)、 -(CH2)p-O-R9、および -(CH2)p-N(R9)(R10)からなる群より選択される1以上の基で置換される化合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物であって、ここでのR7はシアノを意味し、且つR6が-S(O)nR9、 -S(O)2N(R9R10) 、または -P(O)(OR9)2を意味する化合物。
【請求項8】
R6が-S(O)nR9を意味する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物であって、ここでのR6は、以下の式の4-ピリジニウム基を意味し、
【化5】

式中のR15は、アルキル、アルケニル、アルキニルを意味し、これらの全てが任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、およびカルボキシから選択される1以上の置換基で置換されてもよい化合物。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物であって、ここでのR6およびR7が一緒になって、次式で表される部分を形成する化合物。
【化6】

【請求項11】
請求項1〜4および7〜10のいずれか1項に記載の化合物であって、ここでのR8は、アルキル、アルケニル、アルキニルを意味し、これらの全てが、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロアルキル、-O-R9、 -S(O)nR9、 -C(O)-R9、 -C(O)-N(R9)(R10)、 -N(R9)(R10)、 -(CH2)p-O-R9 、および -(CH2)p-N(R9)(R10)から選択される置換基で置換される化合物。
【請求項12】
請求項1〜4および7〜10のいずれか1項に記載の化合物であって、ここでのR8はアリール基であって、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、オキソ、ハロアルキル、-O-R9、 -S(O)nR9、 -S(O)2OR9、 -O-C(O)R9、 -C(O)-O-R9、 -C(O)-R9、 -C(O)-N(R9)(R10)、 -N(R9)(R10)、 -(CH2)p-N(R10)-C(O)-R9、 -(CH2)p-O-R9、 -N(R9)-C(O)R10、 NR9-S(O)nR10、 -(CH2)p-N(R9)(R10) 、およびアリールから選択される1以上の置換基で置換される基を意味し、前記アリールは、任意に、ハロゲン、ハロアルキル、または -O-R9で置換されてもよい化合物。
【請求項13】
請求項12に記載の化合物であって、ここでのR8は以下の構造を有する基から選択され、
【化7】

式中のRは、水素、メチル、CF3、Cl、Br、F、メトキシ、エトキシ、メチルカルボニル、ニトロ、シアノ、およびフェニルからなる群より選択され、前記フェニルは、任意に、Cl、Br、F、CF3、またはメトキシで置換されてもよい化合物。
【請求項14】
R8が、任意に置換されたヘテロアリールを意味する、請求項1〜4および7〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
請求項14に記載の化合物であって、ここでのR8は、以下の式から選択され、
【化8】

式中のRは、水素、メチル、CF3、Cl、Br、F、メトキシ、エトキシ、メチルカルボニル、ニトロ、シアノ、およびフェニルからなる群より選択され、前記フェニルは、任意に、Cl、Br、F、CF3、またはメトキシで置換されてもよい化合物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物であって、ここでのR9またはR10は、独立に、水素、アルキル、またはアリールを意味し、前記アルキルまたはアリールは、任意に、置換されうる水素の総数よりも少ない数の置換基で置換されてよく、その置換基は、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、またはハロアルキルから選択される化合物。
【請求項17】
R11およびR12が、独立に、水素またはアルキルを意味する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
R13およびR14が、独立に、水素またはアルキルを意味する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
nが2を意味する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
請求項1または2に記載の化合物であって、ここでのR1、R2、R3、R4、R5、およびR8は水素を意味し、R7はシアノを意味し、且つR6はピリジニウムイオン基または-S(O2)R9を意味し、ここでのR9はC1〜4アルキル、フェニル、または置換フェニルを意味し、前記置換基はハロゲン、ニトロ、およびC1〜4ハロアルキルから選択される化合物。
【請求項21】
以下の群から選択される、請求項1に記載の化合物:
22-(4-クロロベンゼンスルホニル)-3-(1H-インドール-5-イル)アクリロニトリル;
3-(1H-インドール-5-イル)-2-(4-ニトロベンゼンスルホニル)アクリロニトリル;
3-(1H-インドール-5-イル)-2-メタンスルホニルアクリロニトリル;
3-(1H-インドール-5-イル)-2-(4-トリフルオロメトキシベンゼンスルホニル)アクリロニトリル;
(E) 4-[2-(1H-インドール-5-イル)ビニル]-1-メチルピリジニウム; ヨウ化物;
(E) 4-[2-(1H-インドール-5-イル)ビニル]-1-ブチルピリジニウムトリフルオロアセテート;
4-[2-(1H-インドール-5-イル)ビニル]-1-エチルキノリニウムヨウ化物;
4-[2-(1H-インドール-5-イル)ビニル]-1-メチルキノリニウムヨウ化物;
1-ブチル-4-[2-(3-メチル-1H-インドール-5-イル)ビニル]-ピリジニウムヨウ化物;および
4-[2-(7-クロロ-1H-インドール-5-イル)ビニル]-1-エチルピリジニウムヨウ化物。
【請求項22】
治療において使用するための、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物を含んでなる医薬組成物。
【請求項24】
ミトコンドリア呼吸の増加が有益である疾患の治療方法であって、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物を、任意に、他の治療的に活性を有する化合物と組み合わせて、その有効量を、それらを必要とする患者に対して投与することを含む方法。
【請求項25】
肥満、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、2型糖尿病、異脂肪血症、冠動脈心疾患、変形性関節炎、胆嚢疾患、子宮体癌、乳癌、前立腺癌、もしくは大腸癌の治療、体重増加の予防もしくは体重減少の維持、または糖尿病性の網膜、腎糸球体における微小血管疾患もしくは末梢神経細胞の壊死の治療のための方法であって、前記方法は、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物を、任意に他の治療的に活性のある化合物と組み合わせて、その治療的に有効な量を、それらを必要とする患者に対して投与することを含み、前記他の化合物が、同時または経時的に投与されてよい方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、ここでの疾患がアテローム性動脈硬化症、高血圧症、2型糖尿病、異脂肪血症から選択され、且つここでの患者が肥満である方法。
【請求項27】
体重増加の予防または体重減少の維持のための、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記疾患が肥満症である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物の使用であって、ミトコンドリア呼吸の増加が有益である疾患の治療において使用するための薬剤の製造における使用。
【請求項30】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物の使用であって、肥満、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、2型糖尿病、異脂肪血症、冠動脈心疾患、変形性関節炎、胆嚢疾患、子宮体癌、乳癌、前立腺癌、もしくは大腸癌の治療、体重増加の予防もしくは体重減少の維持、または糖尿病性の網膜、腎糸球体における微小血管疾患もしくは末梢神経細胞の壊死の治療に用いる薬剤の製造のための使用。
【請求項31】
患者においてミトコンドリア呼吸を増加させる方法であって、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物を、任意に、1以上の他の治療的に活性のある化合物と組み合わせて、その有効量を前記患者に対して投与することを含む方法であり、前記他の化合物が同時または経時的に投与されてよい方法。
【請求項32】
患者において活性酸素種の量を減少させる方法であって、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物を、任意に、1以上の他の治療的に活性のある化合物と組み合わせて、その有効量を前記患者に対して投与することを含む方法であり、前記他の化合物が同時または経時的に投与されてよい方法。

【公表番号】特表2007−536344(P2007−536344A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512190(P2007−512190)
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052017
【国際公開番号】WO2005/105785
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(391032071)ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (148)
【氏名又は名称原語表記】NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB
【Fターム(参考)】