説明

新規エストロゲン受容体リガンド

本発明は、式(I)の化合物、またはそのようなエステルもしくはアミドの塩、およびそのようなエステル、アミド、もしくは塩の溶媒和物を含む、医薬として許容可能なそのエステル、アミド、溶媒和物、もしくは塩を提供する。本発明はまた、エストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害に関連する状態の治療または予防における、そのような化合物の使用を提供する。式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は本明細書に定義したとおりである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エストロゲン受容体リガンドであり、好ましくはエストロゲン受容体βイソ型に対して選択的である化合物、そのような化合物の調製方法、および抑うつ障害、不安障害、アルツハイマー病、認知障害、骨粗鬆症、血中トリグリセリドレベル上昇、アテローム性動脈硬化、子宮内膜症、尿失禁、自己免疫疾患、ならびに肺、結腸、乳房、子宮、および前立腺の癌などのエストロゲン受容体に関連する疾患の治療においてそのような化合物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エストロゲン受容体(ER)は、遺伝子発現の上方および下方制御に関与するリガンド活性化哺乳動物転写因子である。エストロゲン受容体に関する天然ホルモンは、β−17−エストラジオール(E2)および密接に関連する代謝産物である。エストラジオールがエストロゲン受容体に結合することによって、受容体の二量体化が起こり、次いで二量体はDNA上のエストロゲン応答エレメント(ERE)に結合する。ER/DNA複合体は、EREより下流のDNAをmRNAへ転写に関与する他の転写因子を動員し、mRNAは最終的にタンパク質に翻訳される。あるいは、ERのDNAとの相互作用は、他の転写因子、もっとも顕著にはfosおよびjunの媒介によって間接的になる可能性がある。多数の遺伝子の発現がエストロゲン受容体によって制御され、エストロゲン受容体は多くの細胞型で発現するため、天然ホルモンまたは合成ERリガンドのいずれかの結合を介したエストロゲン受容体の調節は、生物体の生理および病態生理に甚大な影響を及ぼし得る。
【0003】
歴史的には、ただ1種のエストロゲン受容体が存在すると考えられてきた。しかし、第2の亜型(ER−β)が発見された。「古典的な」ER−α、より最近発見されたER−βは共に種々の組織に広く分布しているが、それにもかかわらずこれらは著しく異なる細胞型および組織分布を示す。したがって、ER−αまたはER−βいずれかに選択的である合成リガンドは、望ましくない副作用を低減しながら、エストロゲンの有益な効果を維持する可能性がある。
【0004】
エストロゲンは、雌の性的発育に重要である。さらにエストロゲンは、骨密度の維持、血中脂質レベルの制御において重要な役割を果たし、さらに神経保護効果を有すると考えられる。したがって、閉経後の女性におけるエストロゲン産生の減少は、骨粗鬆症、アテローム性動脈硬化、抑うつ、および認知障害などのいくつかの疾患に関連している。反対に、乳癌および子宮癌、ならびに子宮内膜症などのある種の増殖性疾患はエストロゲンに刺激され、したがって抗エストロゲン剤(すなわち、エストロゲンアンタゴニスト)は、これらの種類の障害の予防および治療において有用性がある。
【0005】
様々な形態の抑うつ病の治療における天然エストロゲン、17β−エストラジオールの有効性も実証されており、エストロゲンの抗うつ活性が、トリプトファンヒドロキシラーゼ活性の制御、およびそれに続くセロトニン合成によって媒介される可能性のあることが示されている(例えば、Lu N Z、Shlaes T A、Cundlah C、Dziennis S E、Lyle R E、Bethea C L、「Ovarian steroid action on tryptophan hydroxylase protein and serotonin compared to localization of ovarian steroid receptors in midbrain of guinea pigs.」Endocrine 11:257〜267、1999参照)。天然エストロゲンの多面的性質は、乳房、子宮、および卵巣組織への増殖作用のリスクが増大するため、その広範囲にわたる長期的な使用を排除している。エストロゲン受容体、ERβの同定により、ERαによって媒介される増殖作用なしに所望の抗うつ活性を有する、より選択的なエストロゲン剤を同定する手段が提供された。このように、ERβ選択性を有する治療剤は、抑うつの治療において潜在的に特に有効であることが示された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
負の副作用を伴わず、エストロゲン補充療法と同じ正の応答を生じることのできる化合物が当技術分野で求められている。身体の種々の組織で選択的効果を発揮するエストロゲン様化合物も求められている。
【0007】
WO2006/019831は、C型肝炎ウイルス感染の予防または治療に有用性を有するある種のインドール誘導体を開示している。WO2005/018636およびR.E.Mewshaw等、「ERβ ligands.Part5:Synthesis and structure−activity relationships of a series of 4’−hydroxyphenyl−aryl−carbaldehyde oxime derivatives」、Bioorg.Med.Chem.Lett.、17、2007、902〜906はいずれも、エストロゲン受容体モジュレータ活性を有するある種のインドール誘導体を開示しており、前記インドールはすべてオキシムである。
【0008】
本発明の化合物は、エストロゲン受容体のリガンドであり、それ自体が、骨減少、骨折、骨粗鬆症、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫疾患、のぼせ、LDLコレステロールレベル上昇、心血管疾患、認知機能障害、加齢性軽度認知障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、抑うつ、閉経期抑うつ、産後抑うつ、月経前症候群、躁うつ病、認知症、強迫行動、注意欠陥障害、注意欠陥過活動性障害、睡眠障害、過敏性(irritability)、衝動性、アンガーマネジメント(anger management)、聴覚障害、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄損傷、脳卒中、自己免疫疾患、炎症、IBD(炎症性腸疾患)、IBS(過敏性腸症候群)、性機能障害、高血圧、網膜変性、肺癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、前立腺癌、および胆管癌を含む、エストロゲン機能に関連する様々な状態の治療または予防に有用である可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は式(I)の化合物、またはそのようなエステルもしくはアミドの塩、およびそのようなエステル、アミド、もしくは塩の溶媒和物を含む、医薬として許容可能なそのエステル、アミド、溶媒和物、もしくは塩を提供し、
【化1】

式中、Rは、C3〜8シクロアルキル、フェニル、および5〜10員ヘテロシクリルからなる群から選択され、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、または1から3個の置換基で置換されていることができ、各置換基は、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−C(O)C1〜4アルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から選択され、
は、水素、C1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、ジハロC1〜4アルキル、トリハロC1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、およびC2〜4アルキニルからなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ、水素、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立して選択され、
各Rは、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、C6〜10アリール、およびC6〜10アリールC1〜6アルキルからなる群から独立して選択され、それぞれ1〜3個のハロゲン原子で場合により置換されており、
11は、水素およびメチルから選択され、
ただし、Rが5員ヘテロシクリルであり、R、R、R、R、およびR11がそれぞれ水素であるとき、Rはメトキシではない。
【0010】
本発明の化合物は驚いたことに、エストロゲン受容体のリガンドであることが見出された。したがって、これらの化合物は、エストロゲン受容体活性に関連する状態の治療または予防に使用される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の化合物は、キラル(不斉)中心を含有することができ、または分子は全体としてキラルであることができる。個々の立体異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)およびそれらの混合物は、本発明の範囲内である。
【0012】
本発明の化合物は、(E)または(Z)オキシム異性体として存在することのできるオキシム基を含有する。個々の(E)および(Z)オキシム異性体ならびにそれらの混合物は、本発明の範囲内である。本明細書を通じて、オキシム構造が波線結合を含む場合、単一異性体が存在するが、これはその立体化学が未知であるか、または両方の異性体の混合物が存在することを示す。
【0013】
本発明は、エストロゲン受容体リガンドである化合物を提供する。本明細書では、用語「エストロゲン受容体リガンド」は、エストロゲン受容体に結合する任意の部分を包含することが意図される。このリガンドは、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、または部分アンタゴニストとして作用することができる。このリガンドは、ERβ選択的であることができ、またはERαとERβの混合活性を示すことができる。例えば、このリガンドは、ERβのアゴニストまたは部分アゴニスト、およびERαのアンタゴニストまたは部分アンタゴニストの両方として作用することができる。
【0014】
が、ヘテロシクリル基を表すとき、この基は、飽和または不飽和であることができ、1つまたは複数、例えば2個のO、N、および/またはS原子を含有することができる。この基は、好ましくは、5または6員である。一態様において、Rは、ヘテロアリール基、例えば5員ヘテロアリール基を表す。適切なヘテロシクリル基には、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピリジル、モルホリニル、およびピペリジルが含まれ、イソオキサゾリルは特に好ましいヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基の好ましい置換基は、1から3個、例えば1または2個の置換基を含み、各置換基は、OR、ハロゲン、シアノ、−C(O)C1〜4アルキル、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、ハロC1〜4アルキル、ジハロC1〜4アルキル、およびトリハロC1〜4アルキルからなる群から独立して選択される。特に好ましい置換基は、ハロゲン、シアノ、C1〜4アルキル、−C(O)C1〜4アルキル、およびORから独立して選択され、Rは、好ましくは水素原子またはC1〜4アルキル基を表す。さらに特に好ましい置換基は、ハロゲン、シアノ、およびC1〜4アルキル(特にメチルまたはエチル)から選択される。
【0015】
フェニル基Rの好ましい置換基には、ヘテロシクリル基Rに関して上述したものが含まれる。好ましくは、フェニル基Rは、非置換である。
【0016】
別段の記載のないかぎり、各Rは、好ましくは水素、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜6シクロアルキル、フェニル、およびベンジルからなる群から独立して選択される。好ましくは、各Rは、独立して水素またはC1〜4アルキル、特にメチルを表す。
【0017】
好ましくは、Rは、フェニルおよび5〜6員ヘテロシクリルからなる群から選択され、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、または上記のとおり置換されていることができる。より好ましくは、Rは、フェニルおよび5員ヘテロシクリルからなる群から選択され、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、または上記のとおり置換されていることができる。一実施形態において、Rは、フェニル基、またはO、N、および/またはSから選択される1または2個のヘテロ原子を含有する5員ヘテロシクリル基を表し、前記フェニルまたは5員ヘテロシクリル基は、ハロゲン、シアノ、およびC1〜4アルキルから選択される1、2、または3個の置換基で場合により置換されている。さらなる実施形態において、Rは、非置換フェニル基、またはO、N、および/またはSから選択される1または2個のヘテロ原子を含有する5員ヘテロシクリル基を表し、前記ヘテロシクリル基は、シアノ、メチル、およびエチルから選択される1、2、または3個の置換基で場合により置換されている。
【0018】
好ましくは、Rは、水素、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、およびトリハロC1〜4アルキルからなる群から選択される。本発明の一態様において、Rは、水素、C1〜4アルキル、特にメチル、およびトリハロC1〜4アルキル、特にトリフルオロメチルから選択される群から選択される。本発明の別の態様において、Rは、水素、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、およびC2〜4アルキニルからなる群から選択される。より好ましくは、Rは、水素またはC1〜4アルキル、特にメチルである。もっとも好ましくは、Rは、水素である。
【0019】
好ましくは、R、R、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ、水素、OR、ハロゲン、シアノ、C1〜4アルキル、例えばメチル、ハロC1〜4アルキル、例えばクロロまたはフルオロメチル、ジハロC1〜4アルキル、例えばジクロロまたはジフルオロメチル、およびトリハロC1〜4アルキル、例えばトリクロロまたはトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される。本発明の一態様において、R、R、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ、水素、ハロゲン、シアノ、C1〜4アルキル、例えばメチル、ハロC1〜4アルキル、例えばクロロまたはフルオロメチル、ジハロC1〜4アルキル、例えばジクロロまたはジフルオロメチル、およびトリハロC1〜4アルキル、例えばトリクロロまたはトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される。好ましくは、R、R、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ、水素、OH、ハロゲン、シアノ、メチル、またはトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される。より好ましくは、R、R、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される。もっとも好ましくは、R、R、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ、独立して水素および/またはハロゲン、例えば塩素またはフッ素、特にフッ素を表す。
【0020】
本発明のさらなる実施形態において、R、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ、水素、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立して選択され、Rは、水素、OH、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から選択される。この実施形態において、Rは、好ましくは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から選択される。
【0021】
好ましくは、R11は、水素である。
【0022】
したがって、本発明の化合物の1つの好ましい群において、Rは、フェニルおよび5〜6員ヘテロシクリルからなる群から選択され、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、または上記のとおり置換されていることができ、より好ましくは、Rは、フェニルおよび5員ヘテロシクリルからなる群から選択され、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、または上記のとおり置換されていることができ、
は、水素、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、およびC2〜4アルキニルからなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ、水素、OR、ハロゲン、シアノ、C1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、ジハロC1〜4アルキル、およびトリハロC1〜4アルキル、特に水素、OH、ハロゲン、シアノ、メチル、またはトリフルオロメチルからなる群から独立して選択され、特にR、R、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ、独立して水素および/またはハロゲン、特にフッ素を表し、
各Rは、水素、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜6シクロアルキル、フェニル、およびベンジル、特に水素およびC1〜4アルキル、特にメチルからなる群から独立して選択され、R11は、水素である。
【0023】
本発明の化合物の別の好ましい群において、Rは、非置換フェニル基、またはO、N、および/またはSから選択される1または2個のヘテロ原子を含有する5員ヘテロシクリル基を表し、前記ヘテロシクリル基は、シアノ、メチル、またはエチルから選択される1、2、または3個の置換基で場合により置換されており、Rは、水素、メチル、およびトリフルオロメチルから選択される群から選択され、R、R、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される。
【0024】
式(I)の化合物には、これに限定されるものではないが、本明細書で実施例に具体的に挙げた化合物が含まれる。実施例において、化合物名は、ACD Labs 8.0/名称プログラム、バージョン8.05によるIUPACおよび/またはISIS DRAW Autonom2000に従って作成した。
【0025】
式Iの化合物に存在する置換基に応じて、化合物は、エステル、アミド、および/または塩を形成することができる。薬に用いるのに適した式(I)の化合物の塩および溶媒和物は、対イオンまたは関連溶媒が医薬として許容可能なものである。しかしながら、医薬として許容可能でない対イオンまたは関連溶媒を有する塩および溶媒和物も、例えば式(I)の化合物、ならびに医薬として許容可能なそれらの塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体の調製における中間体として用いるために、本発明の範囲内である。「生理学的機能性誘導体」という用語は、例えば体内で式(I)の遊離化合物に転換可能であることによって、式(I)の遊離化合物と同じ生理的機能を有する式(I)の化合物の化学誘導体を意味する。エステルおよびアミドは、生理的機能性誘導体の例である。
【0026】
本発明による適切な塩には、有機または無機の酸または塩基で形成されるものが含まれる。特に、本発明による酸で形成された適切な塩には、鉱酸、非置換であるか、もしくは例えばハロゲンで置換されている1から4個の炭素原子のアルカンカルボン酸などの強有機カルボン酸、例えば飽和もしくは不飽和ジカルボン酸など、例えばヒドロキシカルボン酸など、例えばアミノ酸など、または非置換であるか、もしくは例えばハロゲンで置換されている(C〜C)−アルキル−もしくはアリール−スルホン酸などの有機スルホン酸で形成されるものが含まれる。医薬として許容可能な酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、コハク酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、イセチオン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フタル酸、アスパラギン酸、およびグルタミン酸、リシン、およびアルギニンから形成されるものが含まれる。シュウ酸などの他の酸は、それら自体は医薬として許容可能ではないが、本発明の化合物および医薬として許容可能なそれらの酸付加塩を得るうえで中間体として有用である。
【0027】
医薬として許容可能な塩基塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばカリウムおよびナトリウムの塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムおよびマグネシウムの塩、ならびに有機塩基との塩、例えばジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルコミン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ−、ジ−、もしくはトリ−低級アルキルアミン、例えばエチル−、tert−ブチル−、ジエチル−、ジイソプロピル−、トリエチル−、トリブチル−、もしくはジメチル−プロピルアミン、またはモノ−、ジ−、もしくはトリヒドロキシ低級アルキルアミン、例えばモノ−、ジ−、もしくはトリエタノールアミンとの塩が含まれる。対応する内部塩をさらに形成することができる。
【0028】
式(I)の化合物は、エステルまたはアミドに転換された適切な基を有することができる。したがって、式(I)の化合物において−OH基から形成された典型的なエステルおよびアミド基には、−O.CO.R、−NR.CO.R、−O.SO、および−NR.SOが含まれ、各Rは、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、C6〜10アリール、およびC6〜10アリールC1〜6アルキルからなる群から独立して選択され、それぞれ1〜3個のハロゲン原子で場合により置換されている。好ましいR基は、水素およびC1〜4アルキルである。例えば、上記の式(I)の化合物において、ベンゼン環のヒドロキシ基は、エステル基に転換されていることができ、および/またはオキシムのヒドロキシ基は、エステル基に転換されていることができる。
【0029】
有機化学の当業者は、多くの有機化合物が、その中で反応する、またはそこから沈澱または結晶化する溶媒と複合体を形成できることを理解するであろう。これらの複合体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られている。
【0030】
レシピエントに投与されると、上記の式(I)の化合物、またはその活性代謝産物もしくは残留物に転換されることのできる化合物は、「プロドラッグ」として知られている。プロドラッグは例えば体内で、例えば血液中の加水分解によって、医療効果を有する活性形態に転換されることができる。医薬として許容可能なプロドラッグは、T.HiguchiおよびV.Stella、Prodrugs as Novel Delivery Systems、A.C.S.Symposium Series、Vol.14(1976);「Design of Prodrugs」H.Bundgaard編、Elsevier、1985;ならびにEdward B.Roche編、Bioreversible Carriers in Drug Design、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987に記載されており、これらを参照により本明細書に組み込む。
【0031】
特定の場合に別段の制限のないかぎり、以下の定義を、本明細書を通じて用いられる用語に適用する。
【0032】
本明細書では、用語「アルキル」は、直鎖および分岐鎖両方の飽和炭化水素基を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、およびヘキシル基が含まれる。非分岐アルキル基のなかで、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル基が好ましい。分岐アルキル基のなかで、t−ブチル、i−ブチル、1−エチルプロピル、および1−エチルブチル基を挙げることができる。
【0033】
本明細書では、用語「アルコキシ」は、基O−アルキルを意味し、ここで「アルキル」は上記のとおり用いられる。アルコキシ基の例には、メトキシおよびエトキシ基が含まれる。他の例には、プロポキシおよびブトキシが含まれる。
【0034】
本明細書では、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を有する直鎖および分岐鎖両方の不飽和炭化水素基を意味する。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニルが含まれる。好ましいアルキニル基には、エテニル、1−プロペニル、および2−プロペニルが含まれる。
【0035】
本明細書では、用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素炭素三重結合を有する直鎖および分岐鎖両方の不飽和炭化水素基を意味する。アルキニル基の例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニルが含まれる。好ましいアルケニル基には、エチニル1−プロピニルおよび2−プロピニルが含まれる。
【0036】
本明細書では、用語「シクロアルキル」は、環系の飽和基を意味する。シクロアルキル基は、単環式または二環式であることができる。二環式基は、例えば縮合または架橋していてよい。単環式シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、およびシクロペンチルが含まれる。単環式シクロアルキル基の他の例には、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが含まれる。二環式シクロアルキル基の例には、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルが含まれる。好ましくは、シクロアルキル基は単環式である。
【0037】
本明細書では、用語「アリール」は、単環式または二環式の芳香族炭素環基を意味する。アリール基の例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。ナフチル基は、1位または2位を介して結合していることができる。二環式芳香族基において、環の1つは、例えば部分的に飽和していることができる。そのような基の例には、インダニルおよびテトラヒドロナフチルが含まれる。具体的には、用語C5〜10アリールは、単環式または二環式芳香族基に5から10個の炭素原子を含む基を意味するために本明細書で用いられる。特に好ましいC5〜10アリール基はフェニルである。
【0038】
本明細書では、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素、および臭素が特に好ましい。
【0039】
本明細書では、用語「ハロアルキル」は、ハロゲン置換基を有するアルキル基を意味し、用語「アルキル」および「ハロゲン」は、上に概説した意味を有すると理解される。同様に、用語「ジハロアルキル」は、2個のハロゲン置換基を有するアルキル基を意味し、用語「トリハロアルキル」は、3個のハロゲン置換基を有するアルキル基を意味する。ハロアルキル基の例には、フルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、フルオロメチル、フルオロプロピル、およびフルオロブチル基が含まれ、ジハロアルキル基の例には、ジフルオロメチルおよびジフルオロエチル基が含まれ、トリハロアルキル基の例には、トリフルオロメチルおよびトリフルオロエチル基が含まれる。
【0040】
本明細書では、用語「ヘテロシクリル」は、1から3個の炭素原子が窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された1つまたは複数のヘテロ原子で置換されている、炭素原子の芳香族または非芳香族環式基を意味する。ヘテロシクリル基は、例えば単環式または二環式であることができる。二環式ヘテロシクリル基では、各環に、または環の1つのみに、1つまたは複数のヘテロ原子が存在できる。ヘテロ原子は、好ましくはO、N、またはSであり、例えばOまたはNである。適切な窒素原子を含有するヘテロシクリル基には、対応するN−オキシドが含まれる。
【0041】
単環式非芳香族へテロシクリル基(単環式ヘテロシクロアルキル環とも呼ぶ)の例には、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、およびアゼパニルが含まれる。
【0042】
環の1つが非芳香族である、二環式ヘテロシクリル基の例には、ジヒドロベンゾフラニル、インダニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリル、およびベンゾアゼパニルが含まれる。
【0043】
単環式芳香族ヘテロシクリル基(単環式ヘテロアリール基とも呼ぶ)の例には、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、トリアゾリル、トリアジニル、ピリダジル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、およびピリミジニルが含まれる。
【0044】
二環式芳香族ヘテロシクリル基(二環式ヘテロアリール基とも呼ぶ)の例には、キノキサリニル、キナゾリニル、ピリドピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ナフチリジニル、キノリニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル[4,5−b]ピリジイル、ピリドピリミジニル、イソキノリニル、およびベンゾドロキサゾールが含まれる。
【0045】
好ましいヘテロシクリル基の例には、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピリジル、ピリミジル、およびインドリルが含まれる。好ましいヘテロシクリル基には、チオフェニル、チアゾリル、フラニル、ピラゾリル、ピロリル、イソキサゾリル、およびイミダゾリルも含まれる。
【0046】
本明細書では、用語「シクロアルキルアルキル」は、アルキル基を介して結合した基シクロアルキル−アルキル−を意味し、「シクロアルキル」および「アルキル」は上に概説した意味を有すると理解される。
【0047】
上記のとおり、本発明の化合物は、エストロゲン受容体リガンドとしての活性を有する。本発明の化合物は、エストロゲン受容体モジュレータとしての活性を有し、エストロゲン受容体のアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、または部分アンタゴニストであることができる。本発明の特に好ましい化合物は、ERβのアゴニストまたは部分アゴニストとしての活性を有する。この種の好ましい化合物は、エストロゲン受容体−ベータ(ERβ)の選択的アゴニストである。
【0048】
したがって、本発明の化合物は、エストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害の治療に用いることができる。特に、エストロゲン受容体のアゴニストまたは部分アゴニストである本発明の化合物は、エストロゲン受容体の選択的アゴニストまたは部分アゴニストが必要とされる疾患または障害の治療に用いることができる。エストロゲン受容体のアンタゴニストまたは部分アンタゴニストである本発明の化合物は、エストロゲン受容体の選択的アンタゴニストまたは部分アンタゴニストが必要とされる疾患または障害の治療に用いることができる。
【0049】
アゴニストまたは部分アゴニストが必要とされる臨床状態には、これに限定されるものではないが、骨減少、骨折、骨粗鬆症、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫疾患、のぼせ、LDLコレステロールレベル上昇、心血管疾患、認知機能障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、抑うつ、自己免疫疾患、炎症、IBD、IBS、性機能障害、高血圧症、網膜変性、ならびに肺癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、および前立腺癌、ならびに/またはエストロゲン機能に関連する障害が含まれる。
【0050】
本発明の化合物は、以下の骨減少、骨折、骨粗鬆症、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫疾患、のぼせ、LDLコレステロールレベル上昇、心血管疾患、認知機能障害、加齢性軽度認知障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、抑うつ、閉経期抑うつ、産後抑うつ、月経前症候群、躁うつ病、認知症、強迫行動、注意欠陥障害、注意欠陥過活動性障害、睡眠障害、過敏性、衝動性、アンガーマネジメント、聴覚障害、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄損傷、脳卒中、自己免疫疾患、炎症、IBD、IBS、性機能障害、高血圧、網膜変性、肺癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、前立腺癌、および胆管癌(cholangiocarcinoma)と称される胆管の癌形態の治療または予防に特に適用される。
【0051】
本発明の一実施形態において、本化合物は、抑うつ、閉経期抑うつ、産後抑うつ、月経前症候群、および躁うつ病の治療または予防に特に適用される。
男性ののぼせ(または顔面紅潮)の治療または予防は、前立腺癌の治療のためにアンドロゲン除去された患者に好ましい。
【0052】
語句「抑うつ」には、これに限定されるものではないが、大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、気分循環性障害、全身病状による気分障害、物質誘発性気分障害、季節性感情障害(SAD)、産後抑うつ、および月経前不快気分障害が含まれる。
【0053】
本発明はまた、エストロゲン受容体によって媒介される哺乳動物の状態を治療または予防する方法を提供するものであり、本発明による化合物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む。本発明の方法によって治療することのできる、エストロゲン受容体によって媒介される臨床状態は好ましくは上記のものである。
【0054】
本発明はまた、エストロゲン受容体によって媒介される状態を治療または予防する薬剤を製造するために、本発明による化合物の使用を提供する。本発明の方法によって治療することのできる、エストロゲン受容体によって媒介される臨床状態は好ましくは上記のものである。
【0055】
治療効果を達成するために必要とされる活性成分の量は、当然ながら特定の化合物、投与経路、対象の種類、種、年齢、体重、性別、および医学的状態、ならびに対象の腎機能および肝機能を含む治療される対象、ならびに治療される特定の障害または疾患、ならびにその重症度によって変化することになる。普通に熟練した医師、獣医、または臨床医は、状態の進行を防ぐ、進行に対抗する、または進行を阻止するのに必要とされる薬物の有効量を容易に決定および処方できる。
指示した効果のために用いられるとき、本発明の経口投与量は、成人では、1日当たり、体重1kg当たり約0.01mg(mg/kg/日)から約100mg/kg/日、好ましくは、1日当たり、体重1kg当たり0.01mg(mg/kg/日)から10mg/kg/日、もっとも好ましくは、0.1から5.0mg/kg/日の範囲となる。経口投与の場合、組成物は、好ましくは治療される患者への投与量を対症的に調整するために、活性成分0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、および500ミリグラムを含有する個別単位で提供される錠剤形態、または他の提示形態で提供される。薬剤は典型的に、活性成分約0.01mgから約500mg、好ましくは活性成分約1mgから約100mgを含有する。静脈内投与では、もっとも好ましい用量は、定速注入の間、約0.1から約10mg/kg/分の範囲となる。有利には、本発明の化合物は、単回1日量で投与することができ、または全日投与量は、1日2、3、または4回の分割用量で投与することができる。さらに、本発明の好ましい化合物は、適当な鼻腔内ビヒクルの局所使用によって鼻腔内形態で、または当業者によく知られている経皮パッチの形態を用いる経皮経路によって投与することができる。経皮送達系の形態で投与されるために、投与量投与は、当然ながら投与計画を通じて断続的ではなく連続的となる。
【0056】
活性成分を単独で投与することが可能であるが、活性成分は医薬製剤または組成物中に存在することが好ましい。したがって、本発明は、本発明による化合物および医薬として許容可能な希釈剤、賦形剤、または担体(本明細書では集合的に「担体」材料と呼ぶ)を含む医薬製剤を提供する。本発明の医薬組成物は、下記の医薬製剤の形態をとることができる。
【0057】
本発明による医薬製剤には、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内(ボーラスまたは注入)、および関節内を含む)、吸入(様々な型の定量加圧エアロゾルによって発生させることのできる微粒子ダストまたはミストを含む)、噴霧器または注入器、直腸、腹腔内、および局所(皮膚、口腔内、舌下、および眼内を含む)投与に適したものが含まれるが、もっとも適切な経路は、例えばレシピエントの状態および障害によって決定することができる。
【0058】
製剤は、適宜単位剤形として存在することができ、薬学の分野でよく知られている任意の方法で調製することができる。すべての方法は、活性成分を1種または複数の副成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を均一かつ密接に液体担体もしくは微細固体担体、またはその両方と会合させ、その後、必要であれば生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。
【0059】
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれ所定量の活性成分を含有するカプセル剤、カシェ剤、丸剤、または錠剤などの個別単位として;粉末または顆粒剤として;水性液体または非水性液体の溶液または懸濁液、例えばエリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、またはシロップ剤として;あるいは水中油型液体エマルションまたは油中水型液体エマルションとして提供することができる。活性成分は、ボーラス、舐剤、またはペースト剤として提供することもできる。
【0060】
錠剤は、場合により1種または複数の副成分と共に、圧縮または成形することによって製造することができる。圧縮錠剤は、場合により結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、平滑剤、界面活性剤、または分散剤と混合した、粉末または顆粒などの易流動性形態の活性成分を適切な機械で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉状化合物の混合物を適切な機械で成形することによって製造することができる。錠剤は、場合により被覆または切れ目を入れることができ、錠剤中の活性成分を緩徐放出または制御放出するように製剤化することができる。本発明の化合物は、例えば即時放出または持続放出に適した形態で投与することができる。即時放出または持続放出は、本発明の化合物を含む適切な医薬組成物を使用することによって、または特に持続放出の場合には、皮下インプラントもしくは浸透圧ポンプなどのデバイスを用いることによって達成できる。本発明の化合物は、リポソームで投与することもできる。
【0061】
経口投与用の典型的な組成物には、例えば嵩を付与する微結晶性セルロース、懸濁化剤としてアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてメチルセルロース、および当分野で知られているものなどの甘味剤または香味剤を含有することができる懸濁剤、ならびに、例えば微結晶性セルロース、第二リン酸カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ソルビトール、グルコース、および/またはラクトース、および/または当分野で知られているものなどの他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤、および潤滑剤を含有することができる即時放出錠剤が含まれる。適切な結合剤には、デンプン、ゼラチン、グルコースまたはβ−ラクトースなどの天然糖、コーン甘味料、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウなどが含まれる。崩壊剤には非限定的に、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。式Iの化合物は、舌下および/または口腔内投与によって口腔から送達することもできる。成形錠剤、圧縮錠剤、または凍結乾燥錠剤は、用いることのできる典型的な形態である。典型的な組成物には、本発明の化合物を、マンニトール、ラクトース、スクロース、および/またはシクロデキストリンなどの速溶性希釈剤と共に製剤化しているものが含まれる。そのような製剤には、セルロース(アビセル)、またはポリエチレングリコール(PEG)などの高分子量賦形剤を含むこともできる。そのような製剤はまた、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、無水マレイン酸コポリマー(例えば、Gantrez)などの粘膜付着を補助する賦形剤、およびポリアクリル酸コポリマー(例えば、Carbopol934)などの放出制御剤を含むことができる。製造および使用を容易にするために、潤滑剤、流動促進剤、香味剤、着色剤、および安定剤も添加することができる。これらの剤形に用いられる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。液体形態での経口投与の場合、経口薬物成分は、エタノール、グリセロール、水などの、任意の経口、無毒性の医薬として許容可能な不活性担体と組み合わせることができる。
【0062】
本発明の化合物は、小単層ベシクル、大単層ベシクル、および多層ベシクルなどのリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、種々のリン脂質、1,2−ジパルミトイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン(セファリン)、またはホスファチジルコリン(レシチン)から形成することができる。
【0063】
非経口投与用の製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有することができる水性または非水性滅菌注射液、ならびに懸濁化剤および増粘剤を含むことができる水性または非水性滅菌懸濁液が含まれる。製剤は、単位用量または多回用量容器、例えば密封アンプルおよびバイアルで提供することができ、使用直前に、滅菌液体担体、例えば生理食塩水または注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥(freeze−dried(lyophilised))状態で保存することができる。即時注射液および懸濁液は、上に記載したような滅菌粉剤、顆粒剤、および錠剤から調製することができる。非経口投与用の典型的な組成物には、例えば、マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンガー溶液、生理食塩液などの非経口的に許容される適切な非毒性希釈剤または溶媒、あるいは合成モノグリセリドまたはジグリセリド、およびオレイン酸を含む脂肪酸、またはCremaphorを含む他の適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を含有することができる注射可能な溶液または懸濁液が含まれる。
【0064】
経鼻、エアロゾル、または吸入投与用の典型的な組成物には、例えばベンジルアルコール、または他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティを増強する吸収促進剤、および/または当分野で知られているものなどの他の可溶化剤または分散剤を含有することができる、生理食塩水の液剤が含まれる。
【0065】
直腸投与用の製剤は、カカオバター、合成グリセリドエステル、またはポリエチレングリコールなどの通常の担体を含む坐剤として提供することができる。そのような担体は典型的に、常温では固体であるが、直腸腔で液化および/または溶解して、薬物を放出する。
【0066】
例えば口腔または舌下投与による口中の局所投与用の製剤には、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントなどの香味をつけた基剤に活性成分を含むロゼンジ、ならびにゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの基剤に活性成分を含むトローチ剤が含まれる。局所投与用の典型的な組成物は、Plastibase(ポリエチレンでゲル化した鉱油)などの局所担体を含む。
【0067】
好ましい単位投与量製剤は、上に記載した有効用量、またはその適切な画分の活性成分を含有する。
【0068】
本発明の製剤は、特に上に挙げた成分に加えて、当該製剤の種類を考慮して、当分野で通常用いられる他の剤を含むことができ、例えば経口投与に適した製剤は、香味剤を含むことができることが理解されるべきである。
【0069】
本発明の化合物は、薬剤において単独の活性成分として用いることができるが、本化合物は1種または複数の追加の活性剤と組み合わせて用いることもできる。そのような追加の活性剤は、本発明によるさらなる化合物であってよく、あるいは異なる治療剤、例えば抗うつ剤、抗不安薬、抗精神病薬、または骨粗鬆症の予防もしくは治療に有用な薬剤、癌の予防もしくは治療に有用な薬剤、または他の医薬活性材料であることができる。例えば、本発明の化合物は、有効量の抗うつ剤、抗不安薬、抗精神病薬、有機ビスホスホナート、またはカテプシンK阻害剤などの他の薬剤と組み合わせて、有効に投与することができる。抗うつ剤の非限定的な例には、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(NRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、三環系抗うつ剤(TCA)、ドーパミン再取り込み阻害剤(DRI)、オピオイド、選択的セレトニン(seretonic)再取り込み促進剤、四環系抗うつ剤、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤、メラトニンアゴニスト、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、コルチコトロピン放出因子アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、5HT1α受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、リチウム、ならびに非定型抗精神病薬が含まれる。SSRI類の抗うつ剤の例には、フルオキセチンおよびセルトラリンが含まれ、SNRI類の抗うつ剤の例には、ベンラファキシン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、フルボキサミンが含まれ、SNRI類の抗うつ剤の例には、デュロキセチンが含まれ、DRIおよびNRI類の抗うつ剤の例には、ブプロピオンが含まれ、TCA類の抗うつ剤の例には、アミトリプチリンおよびドチエピン(ドスレピン)が含まれる。非定型抗精神病薬の例には、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、およびドーパミン部分アゴニストが含まれる。抗不安薬の非限定的な例には、ベンゾジアゼピンおよび非ベンゾジアザピン(non−benzodiazapine)が含まれる。ベンゾジアザピンの例には、ロラゼパム、アルプラゾラム、およびジアゼパムが含まれる。非ベンゾジアザピンの例には、ブスピロン(Buspar(登録商標))、バルビツレート類(barbiturates)、およびメプロバメートが含まれる。1種または複数のこれらの追加の抗うつ剤を組み合わせて用いることができる。
【0070】
抗癌剤の例には、乳癌の治療に用いられる、タモキシフェンまたはアロマターゼ阻害剤が含まれる。
【0071】
のぼせが特定の治療によって誘発される場合、本発明の化合物は、そのような治療の作用剤との併用療法において用いることができる。そのような併用治療療法の非限定的な例には、乳癌のタモキシフェン治療と併用される本発明の化合物、乳癌のアロマターゼ阻害剤治療と併用される本発明の化合物、または骨粗鬆症のラロキシフェン治療と併用される本発明の化合物が含まれる。
【0072】
前記有機ビスホスホネートの非限定的な例には、アデンドロネート(adendronate)、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、リセドロネート、ピリドロネート、パミドロネート、チルドロネート、ゾレドロネート、医薬として許容可能なそれらの塩またはエステル、およびそれらの混合物が含まれる。好ましい有機ビスホスホネートには、アレンドロネート、ならびに医薬として許容可能なその塩および混合物が含まれる。もっとも好ましいのはアレンドロン酸ナトリウム三水和物である。
【0073】
ビスホスホネートの正確な投与量は、投与スケジュール、選択した特定のビスホスホネート経口有効性、哺乳動物またはヒトの年齢、大きさ、性別、および状態、治療される障害の性質および重症度、ならびに他の関連する医学的要因および身体的要因によって変化することになる。したがって、正確な医薬有効量は前もって特定できないが、介護者または臨床医によって容易に決定され得る。適切な量は、動物モデルおよびヒトの臨床研究から通常の実験によって決定できる。一般に、ビスホスホネートの適切な量は、骨吸収阻害効果が得られるように選択され、すなわちビスホスホネート(bisphonsphonate)の骨吸収阻害量が投与される。ヒトの場合、ビスホスホネートの有効経口用量は、典型的に体重1kg当たり約1.5から約6000μg、好ましくは体重1kg当たり約10から約2000μgである。
【0074】
アレンドロネート、医薬として許容可能なその塩、または医薬として許容可能なその誘導体を含むヒトの経口組成物の場合、単位投与量は典型的に、アレンドロン酸活性重量に基づいて、すなわち対応する酸に基づいて、約8.75mgから約140mgのアレンドロネート化合物を含む。
【0075】
本発明の化合物は、エストロゲン媒介状態を治療するのに有用な他の薬剤と組み合わせて用いることができる。そのような組み合わせの個々の成分は、治療過程中の異なる時点で別々に投与することができ、または分割もしくは単一組み合わせ形態で同時に投与することができる。したがって、本発明はそのような同時または交互治療のすべての投与計画を包含するものであると理解され、用語「投与する」はそれに応じて解釈される。本発明の化合物とエストロゲン媒介状態を治療するのに有用な他の薬剤との組み合わせの範囲は、原理的にはエストロゲン機能に関連する障害を治療するのに有用な任意の医薬組成物との任意の組み合わせを含むことが理解されるであろう。
【0076】
本発明の化合物と組み合わせて用いられるとき、上記の他の治療剤は、例えば医家向け医薬品便覧(Physicians’Desk Reference(PDR))に指示された量、あるいは別に当業者によって決定された量で用いることができる。
【0077】
本発明の化合物を1種または複数の他の治療剤と組み合わせて、同時または連続して用いる場合、以下の組み合わせ比および投与量範囲が好ましい。
【0078】
抗うつ剤、抗不安薬、抗精神病薬、有機ビスホスホネート、またはカテプシンK阻害剤と組み合わせるとき、式(I)の化合物は、約10:1から約1:10の範囲内の追加薬剤との重量比で用いることができる。
【0079】
上記の本発明の化合物はまた、場合により標識された形態で、エストロゲン受容体に機能不全に関連する状態を診断するための診断薬としても使用される。例えば、そのような化合物は、放射性標識されていることができる。
【0080】
上記の本発明の化合物はまた、場合により標識された形態で、エストロゲン受容体の他のアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、または部分アンタゴニストを発見する方法において参照化合物としても使用される。したがって、本発明は、本発明の化合物、または標識された形態の本発明の化合物を参照化合物として用いることを含む、エストロゲン受容体のリガンドを発見する方法を提供する。例えば、そのような方法は、エストロゲン受容体結合特性、例えば当該本発明の化合物と比べて強いエストロゲン受容体結合特性を有するさらなる化合物の存在によって、本発明の化合物のエストロゲン受容体との結合が低減される競合的結合実験を含むことができる。
【0081】
本発明の化合物の多数の合成経路を当業者は考案することができ、以下に記載する可能な合成経路は本発明を限定するものではない。インドールの合成に関して文献に多くの方法が存在し、例えば、Indoles Part One、W.J.Houlihan(編)、1972;Indoles、Sundberg,R.J.、1996;Heterocyclic Chemistry、Joule,J.A.;Mills,K.2000;Chem.Rev.2005、105、2873〜2920;Org.Lett.、2006、8、5919〜5922、およびBioorg.Med.Chem.Lett.、2007、17、902〜906である。いくつかの可能な合成経路を以下に図式的に示す。適切な場合、最初に生成された本発明による任意の化合物を、既知の方法によって本発明による別の化合物に転換できる。
【0082】
一般的方法I
以下の一般的方法を用いて、Rが水素である式(I)の化合物を調製できる。
【化2】

【0083】
上記の反応スキームに示した一般的方法Iは、以下の実施例1、2、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、26、27、28、29、30、38、40、41、42、および43の合成に用いた。それらの実施例の最終化合物の合成に適用できる一般的方法の個々のステップの実験的全詳細は、実施例1(そのステップ(a)〜(f)は、上記のスキームに示した一般的方法Iのステップ(a)〜(d)、(f)、および(g)の実験的詳細を提供する)および2(そのステップ(a)〜(c)は、上記のスキームに示した一般的方法Iのステップ(e)〜(g)の実験的詳細を提供する)に記載される。
【0084】
一般的方法II
以下の一般的方法を用いて、Rが水素である式(I)の化合物を調製できる。
【化3】

【0085】
上記の反応スキームに示した一般的方法IIは、実施例3、4、および35の合成に用いたが、一般的方法の個々のステップの実験的全詳細は、それらの実施例に記載される。
【0086】
一般的方法III
以下の一般的方法を用いて、Rが水素であり、R11が水素である式(I)の化合物を調製できる。
【化4】

【0087】
上記の反応スキームに示した一般的方法IIIは、以下の実施例19、20、21、22、23、24、25、31、36、37、39、44、45、46、47、48、および49の合成に用いた。それらの実施例の最終化合物の合成に適用できる一般的方法の個々のステップの実験的全詳細は、実施例31に記載される。
【0088】
一般的方法IV
以下の一般的方法を用いて、Rがメチルであり、R11が水素である式(I)の化合物を調製できる。
【化5】

【0089】
上記の反応スキームに示した一般的方法IVは、実施例9および34の合成に用いたが、一般的方法の個々のステップの実験的全詳細は、それらの実施例に記載される。
【0090】
一般的方法V
以下の一般的方法を用いて、Rがトリフルオロメチルであり、R11が水素である式(I)の化合物を調製できる。
【化6】

【0091】
上記の反応スキームに示した一般的方法Vは、実施例32および33の合成に用いたが、一般的方法の個々のステップの実験的全詳細は、それらの実施例に記載される。
以下の実施例によって本発明を例示する。
【実施例】
【0092】
[実施例1]
1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−ピロール−1−イル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E1)
【化7】

【0093】
ステップ(a):3−シアノインドール1当量、4−ヨードアニソール2当量、リン酸カリウム2.1当量、N,N’−ジメチルエチレンジアミン4.5当量、およびヨウ化銅(I)0.2当量をオーブンで乾燥したバイアル中で混合し、トルエンを添加した。混合物をN雰囲気下、110℃で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、濾過し、真空で蒸発させた。移動相として4:1n−ヘプタン:EtOAcを用いて、粗生成物をシリカカラムで精製した。
【0094】
ステップ(b):1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルボニトリルを乾燥THFに溶解し、−78℃に冷却し、その後、t−BuLi1.1当量を滴加し、混合物を1時間撹拌した。1,2−ジブロモテトラクロロエタン1.3当量の乾燥THF溶液を添加し、ゆっくりと室温まで温めながら、混合物を4時間撹拌し、HOを添加してクエンチした。反応混合物をDCMで希釈し、相を分離し、有機相を真空で蒸発させた。移動相として1:1n−ヘプタン:DCMを用いて、粗生成物をシリカカラムで精製した。
【0095】
ステップ(c):2−ブロモ−1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルボニトリルを乾燥DCMに溶解し、0℃に冷却した。1.0Mヘキサン溶液としてBBr5当量を添加し、混合物を一晩撹拌した。0℃で静置し、MeOHを添加して、反応をクエンチした。混合物をHOで希釈し、相を分配した。有機相を濃縮し、移動相として4:1n−ヘプタン:EtOAcを用いて、粗生成物をシリカカラムで精製した。
【0096】
ステップ(d):2−ブロモ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルボニトリル、1H−ピロール1.4当量、炭酸セシウム2当量、およびヨウ化銅(I)20mol%をオーブンで乾燥したバイアル中で混合し、DMFを添加し、混合物に窒素を通した。バイアルを密封し、120℃で48時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、シリカで濾過した。粗混合物を蒸発乾固し、逆相分取HPLCに供した。適切な画分を合わせ、蒸発させ、1H−NMRおよびLC/MSで同定した。分析HPLCで、純度を求めた。
【0097】
ステップ(e):1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−ピロール−1−イル−1H−インドール−3−カルボニトリルの乾燥DCM撹拌溶液に、窒素雰囲気下、−78℃でDIBAL−H(3当量、ヘキサン中1M)を約2分間かけて滴加した。反応混合物を周囲温度で2.5時間撹拌し、その後、水を添加してクエンチし、1M HCl水溶液で酸性にし、相を分配した。有機相を蒸発乾固し、移動相としてDCM中1%MeOHを用いて、フラッシュクロマトグラフィに供した。
【0098】
ステップ(f):化合物1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−ピロール−1−イル−1H−インドール−3−カルバルデヒドをエタノール(95%)中、塩酸ヒドロキシルアミン(20当量)およびピリジン(20当量)と混合し、マイクロ波反応器において150℃で10分間加熱した。反応混合物を逆相分取HPLCに供した。適切な画分を合わせ、蒸発させ、表題化合物1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−ピロール−1−イル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシムを単離し、H−NMR(生成物は単一異性体であることが示されたが、(E)または(Z)異性体が得られたかどうかは確認されなかった)およびLC/MSで同定した。分析HPLCで、純度を求めた。ES/MS m/z: 317.9 (M+H), 316.3 (M-H); 1H NMR (アセトン-d6, 500MHz): 8.20 (m, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.30-7.23 (m, 2H), 7.20-7.15 (m, 3H), 6.91 (m, 2H), 6.88 (t, 2H, J=2.1Hz)および6.18 (t, 2H, J=2.1Hz).
【0099】
[実施例2]
2−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E2)
【化8】

【0100】
ステップ(a):2−ブロモ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルボニトリル(実施例1の合成のステップ(c)の中間生成物)に、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−ボロン酸2当量、炭酸カリウム2.1当量、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム10mol%を添加した。THF:EtOH:HO(4:1:0.5)を添加し、バイアルに窒素を通し、密封し、100℃で48時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、HOで希釈し、EtOAcで抽出し、シリカで濾過した。有機相を蒸発乾固し、逆相分取HPLCに供した。適切な画分を合わせ、蒸発させ、H−NMRおよびLC/MSで同定した。分析HPLCで、純度を求めた。
【0101】
ステップ(b):1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−ピロール−1−イル−1H−インドール−3−カルボニトリルの乾燥DCM撹拌溶液に、窒素雰囲気下、−78℃でDIBAL−H(3当量、ヘキサン中1M)を約2分間かけて滴加した。反応混合物を周囲温度で2.5時間撹拌し、その後、水を添加してクエンチし、1M HCl水溶液で酸性にし、相を分配した。有機相を蒸発乾固し、移動相としてDCM中1%MeOHを用いて、フラッシュクロマトグラフィに供した。
【0102】
ステップ(c):1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−ピロール−1−イル−1H−インドール−3−カルバルデヒドをエタノール(95%)中、塩酸ヒドロキシルアミン(20当量)およびピリジン(20当量)と混合し、マイクロ波反応器において150℃で10分間加熱した。反応混合物を逆相分取HPLCに供した。適切な画分を合わせ、蒸発させ、表題化合物を単離し、H−NMR(生成物は単一異性体であることが示されたが、(E)または(Z)異性体が得られたかどうかは確認されなかった)およびLC/MSで同定した。分析HPLCで、純度を求めた。ES/MS m/z: 348.19 (M+H), 346.2 (M-H); 1H NMR (アセトン-d6, 500MHz): 8.23 (m, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.28-7.20 (m, 3H), 7.17 (m, 2H), 6.95 (m, 2H), 2.27 (s, 3H)および1.96 (s, 3H).
【0103】
[実施例3]
1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(1H−ピラゾール−3−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E3)
【化9】

【0104】
ステップ(a):2−ブロモ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルボニトリル(実施例1の合成のステップ(c)の中間生成物、1g、3.19mmol)のCHCl(乾燥、30ml)撹拌溶液に、−78℃で水素化ジイソブチルアルミニウム(ヘキサン中25%、16ml)を10分間かけて滴加した。混合物を一晩で室温に到達させ、その後、冷凍庫に24時間保管した。冷却した混合物に水を添加し、続いてpHが酸性になるまで、HCl(6M)を添加した。揮発物を真空で除去し、残留物をCHOHに溶解した。フラッシュクロマトグラフィ[シリカ、勾配、CHCl100%からCHCl:CHOH(95:5)]で精製して、585mg(58%)の所望の2−ブロモ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドを得た。
【0105】
ステップ(b):マイクロ波バイアル中の2−ブロモ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒド(30mg、0.09mmol)に、1H−ピラゾール−3−ボロン酸1.5当量(0.14mmol)、ヨウ化ナトリウム2当量(28mg、0.19mmol)、炭酸ナトリウム4当量(40mg、0.38mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム10mol%(11mg、0.01mmol)を添加した。DME(1ml)およびHO(0.4ml)を添加し、反応混合物を窒素で脱気し、マイクロ波反応器において150℃で2.3時間照射した。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、濃縮乾固した。残留物をアセトニトリルに溶解し、逆相分取HPLCで精製した。適切な画分を合わせ、蒸発させ、H−NMRおよびLC/MSで同定した。分析HPLCで、純度を求めた。
【0106】
ステップ(c):1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(1H−ピラゾール−3−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドをエタノール(95%)中、塩酸ヒドロキシルアミン(20当量)およびピリジン(20当量)と混合し、マイクロ波反応器において150℃で10分間加熱した。反応混合物を逆相分取HPLCに供した。適切な画分を合わせ、蒸発させ、表題化合物をLC/MSおよびH−NMRで同定し、生成物は(E)および(Z)異性体の約1:1混合物であることが示された。分析HPLCで、純度を求めた。ES/MS m/z: 319.21 (M+H), 317.25 (M-H); 1H NMR (アセトン-d6, 500MHz): 8.78 (br s, 1H), 8.27 (m, 1H), 7.66 (d, 1H, J=2.0Hz), 7.22-7.16 (m, 4H), 7.09 (m, 1H), 6.98 (m, 2H)および5.88 (br s, 1H).
【0107】
[実施例4]
1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(3−メチル−3H−イミダゾール−4−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E4)
【化10】

【0108】
ステップ(a):マイクロ波バイアル中の2−ブロモ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒド(実施例3の合成のステップ(a)の中間生成物、30mg、0.09mmol)に、1−メチル−5−トリブチルスタンナニル−1H−イミダゾール1.3当量(0.12mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)ジクロリド10mol%(7mg、0.01mmol)を添加した。ジオキサン(0.5ml)およびDME(0.5ml)を添加し、反応混合物を窒素で脱気し、マイクロ波反応器において150℃で20分間照射した。反応混合物を室温に冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液で希釈し、ジクロロメタンで3回抽出した。ジクロロメタン相を濃縮乾固し、ヘプタン:酢酸エチル勾配を用いて、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィでクロマトグラフィを行った。適切な画分を合わせ、蒸発乾固させた。残留物をアセトニトリルに溶解し、逆相分取HPLCで精製した。適切な画分を合わせ、蒸発させ、H−NMRおよびLC/MSで同定した。分析HPLCで、純度を求めた。
【0109】
ステップ(c):1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(3−メチル−3H−イミダゾール−4−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドをエタノール(95%)中、塩酸ヒドロキシルアミン(20当量)およびピリジン(20当量)と混合し、マイクロ波反応器において150℃で10分間加熱した。反応混合物を逆相分取HPLCに供した。適切な画分を合わせ、蒸発させ、表題化合物を単離し、H−NMR(生成物は単一異性体であることが示されたが、(E)または(Z)異性体が得られたかどうかは確認されなかった)およびLC/MSで同定した。分析HPLCで、純度を求めた。ES/MS m/z: 333.5 (M+H), 331.3 (M-H); 1H NMR (アセトン-d6, 500MHz): 8.25 (m, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.30-7.18 (m, 5H), 7.12 (d, 1H, J=1.1Hz), 6.92 (m, 2H)および3.35 (s, 3H).
【0110】
[実施例5〜8]
上記の一般的方法Iに従って、以下の化合物を調製した。一般的方法の個々のステップの実験的全詳細は、上記の実施例1および2に記載される。実施例5〜8のそれぞれに関して、表題化合物をH−NMRで同定し、生成物は単一異性体であることが示されたが、(E)または(Z)異性体が得られたかどうかは確認されなかった。
【化11】

【0111】

【0112】
[実施例9]
1−[1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−フェニル−1H−インドール−3−イル]−エタノンオキシム(E9)
【化12】

【0113】
ステップ(a):2−フェニルインドール(2.90g、15.0mmol、1当量)、4−ヨードアニソール(4.21g、18.0mmol、1.2当量)、ヨウ化第一銅(144mg、0.76mmol、0.05当量)、およびリン酸三カリウム(6.69g、31.5mmol、2当量)の混合物を含むフラスコを排気し、3回アルゴンを再充填した。この脱気した固体混合物に、アルゴン下、乾燥トルエン15mLを添加した。アルゴンをこの懸濁液に通気し、アルゴン下、ニート液としてN,N’−エチレンジアミン(0.32mL、3.0mmol、0.2当量)を添加した。フラスコを還流冷却器およびアルゴン注入口で密閉し、緑色懸濁液を110℃に加熱すると、懸濁液は赤色に変化した。赤色懸濁液を撹拌しながら、110℃で一晩加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル30mLを添加した。この混合物をショートシリカカラムで濾過し、TLCで生成物が現れなくなるまで、カラムを酢酸エチルで洗い流し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物を酢酸エチルから再結晶した。母液を濃縮し、残留物質を酢酸エチルから再結晶した。このようにして3回の収穫物を集めた。それらを混合し、均質にした。淡いオレンジ色の結晶性物質として、1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルインドール3.96g(88%)を得る。これをそのまま次のステップに用いた。
【0114】
ステップ(b):1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1H−インドール(3.82g、12.8mmol、1当量)のCCl15mL撹拌懸濁液に、N−ブロモスクシンイミド(2.28g、12.8mmol、1当量)を添加し、得られた赤色懸濁液を0℃で撹拌した。その後、過酸化ベンゾイル50mgを添加し、0℃で20分間、撹拌を続けた。暗赤色懸濁液を撹拌しながら、室温まで温めた。室温で15分後、赤色懸濁液を濾過し、N−スクシンイミド沈殿物をフィルタにおいてCClで洗浄し、合わせた濾液を蒸発させた。粗製3−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルインドールを、9:1から6:1石油エーテル/酢酸エチルで溶離してシリカカラムで精製した。カラムから生じた物質を酢酸エチル/石油エーテルから再結晶して、ピンク色の結晶として、3−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1H−インドール(3.13g、65%)を得た。さらなる再結晶によって、黄色がかった結晶を得た。2ステップで収率55%。
【0115】
ステップ(c)および(d):3−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1H−インドール(100mg、0.26mmol)、2−(ビニルオキシ)エタノール(116mg、1.32mmol)、酢酸パラジウム(3mg、0.01mmol)、KCO(48mg、0.34mmol)、およびテトラブチルアンモニウムブロミド(4mg、0.01mmol)を、窒素下、マイクロ波バイアル中でトルエン(0.5ml)および水(0.5ml)と混合した。150℃で20分間、反応を行った。3M HCl2mlを添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。水およびDCMを添加し、相を分離した。溶媒を蒸発させた後、溶離液としてヘプタン/EtOAc9:1を用いて、フラッシュクロマトグラフィで残留物を精製して、50mg(55%)の1−(1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)エタノンを得た。
【0116】
ステップ(e):BBrの1M DCM溶液0.11mlを、窒素下、冷却(−78℃)した1−(1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)エタノン(12mg、0.04mmol)のDCM溶液に添加した。温度を室温にし、混合物を2時間撹拌した。水で反応をクエンチし、相を分離した。溶媒を蒸発させた後、分取HPLCで残留物を精製して、6.5mg(56%)の1−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)エタノンを得た。
【0117】
ステップ(f):1−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)エタノン(10mg、0.03mmol)、塩酸ヒドロキシルアミン(42mg、0.61mmol)、およびピリジン(20μl)をEtOH(99.7%)中で混合した。150℃で10分間、反応を行った。生成物を分取HPLCで精製して、1mg(10%)の表題化合物1−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)−エタノンオキシムを得た。H−NMRによる同定によって、生成物は単一異性体であることが示されたが、(E)または(Z)異性体が得られたかどうかは確認されなかった。ES/MS m/z: 343.18 (pos. M + H), 341.19 (neg. M - H); 1H NMR (アセトン-d6, 500MHz): 7.54 (m, 1H), 7.33-7.22 (m, 5H), 7.17-7.14 (m, 2H), 7.12 (m, 1H), 7.08 (m, 2H), 6.88 (m, 2H)および2.10 (s, 3H).
【0118】
[実施例10〜18]
上記の一般的方法Iに従って、以下の化合物を調製した。一般的方法の個々のステップの実験的全詳細は、上記の実施例1および2に記載される。実施例10〜18のそれぞれに関して、表題化合物をH−NMRで同定し、生成物は単一異性体であることが示されたが、(E)または(Z)異性体が得られたかどうかは確認されなかった。
【化13】

【0119】


【0120】
[実施例19〜25]
上記の一般的方法IIIに従って、以下の化合物を調製した。一般的方法の個々のステップの実験的全詳細は、下の実施例31に記載される(別段の記載のない場合、R、R、R、およびRは水素である)。実施例20〜24のそれぞれに関して、表題化合物をH−NMRで同定し、生成物は単一異性体であることが示されたが、(E)または(Z)異性体が得られたかどうかは確認されなかった。実施例25に関して、表題化合物をH−NMRで同定し、生成物は(E)および(Z)異性体の約1:1混合物であることが示された。実施例19に関して、生成物が単一異性体であるか、または(E)および(Z)異性体の混合物であるか、H−NMRで不明確であった。
【化14】

【0121】

【0122】
[実施例26〜30]
上記の一般的方法Iに従って、以下の化合物を調製した。一般的方法の個々のステップの実験的全詳細は、上記の実施例1および2に記載される(別段の記載のない場合、R、R、R、およびR10は水素である)。実施例26、29、および30のそれぞれに関して、表題化合物をH−NMRで同定し、生成物は単一異性体であることが示されたが、(E)または(Z)異性体が得られたかどうかは確認されなかった。実施例27および28に関して、表題化合物をH−NMRで同定し、生成物は(E)および(Z)異性体の約1:1混合物であることが示された。
【化15】

【0123】

【0124】
[実施例31]
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−5,6−ジフルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E31)
【化16】

【0125】
ステップ(a):5,6−ジフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール(実施例1のステップ(a)に記載したものと類似の手順を用いて、5,6−ジフルオロ−1H−インドールおよびp−ヨードアニソールから合成)(360mg、1.39mmol)の1,2−ジクロロエタン7ml撹拌溶液に、室温でイソシアン酸クロロスルホニル(145μl、1.67mmol)を添加し、混合物をこの温度で2時間撹拌した。水を添加し、2M NaOH水溶液でpHを8に調節した。混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空で濃縮した。LC/MSは、所望の生成物5,6−ジフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−3−カルボキサミドが形成されたことを示した。この生成物をさらに精製することなく、そのまま次のステップで用いた。
【0126】
ステップ(b):5,6−ジフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−3−カルボキサミド(420mg、1.39mmol)をホスホリルトリクロリド15mlに溶解し、65℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで冷まし、トルエンで希釈した。真空で濃縮し、さらに1度トルエンと同時蒸発させた。残留物をDCMに溶解し、NaHCO飽和水溶液で洗浄した。揮発物を真空で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィ[シリカ、勾配、n−ヘプタン100%からn−ヘプタン−AcEt(6:1)]で精製した。132mgの所望の生成物5,6−ジフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−3−カルボニトリルを得た(2ステップで33%)。
【0127】
ステップ(c):5,6−ジフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−3−カルボニトリル(132mg、0.46mmol)を乾燥THF8mlに溶解し、−78℃で撹拌した。この溶液に、t−ブチルリチウム(ペンタン中1.7mmol、0.99mmol)をゆっくりと添加した。混合物を−50℃に到達させ、その温度で30分間撹拌した。乾燥THF3mlに溶解した1,1’,2,2’−テトラクロロ−1,2−ジブロモ−エタン(242mg、0.74mmol)を添加し、混合物を−78℃で1時間、次いで室温で3時間撹拌した。NHCl飽和水溶液を添加し、揮発物を真空で除去した。残留物を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空で濃縮した。得られた残留物をそのまま次のステップで用いた。
【0128】
ステップ(d):前のステップで得られた混合物170mgを乾燥DCM8mlに溶解し、−78℃に冷却した。この撹拌混合物に、BBr(DCM中1M、1.87mmol)をゆっくりと添加した。反応物を一晩(O.N.)、冷蔵庫に放置した。数滴のMeOHを添加し、続いてブラインを添加した。相を分配し、次いで真空で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ[シリカ;n−ヘプタン−EtOAc(4:1)]で精製して、123mgの所望の2−ブロモ−5,6−ジフルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルボニトリルを得た。収率=2ステップで76%。
【0129】
ステップ(e):2−ブロモ−6−フルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルボニトリル(123mg、0.35mmol)、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イルボロン酸(99mg、0.70mmol)、KCO(243mg、1.76mmol)、NaI(199mg、0.70mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)Pd(0)(20mg、0.02mmol)をマイクロ波バイアル中で混合し、DME/水(1:1)3mlに懸濁し、マイクロ波において150℃で15分間加熱した。混合物を充填シリカカラムで濾過し、真空で蒸発させた。反応物をフラッシュクロマトグラフィ[シリカ;n−ヘプタン−EtOAc(4:1)]で精製して、56mgの所望の2−(3,5ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−5,6−ジフルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルボニトリル(43%)を得た。
【0130】
ステップ(f):2−(3,5ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−5,6−ジフルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルボニトリル(28mg、0.08mmol)を乾燥DCM3mlに溶解し、−78℃に冷却した。この撹拌溶液に、DIBAL−H(ヘキサン中1M、0.38mmol)をゆっくりと添加した。混合物を室温に到達させ、その温度で24時間撹拌した。水を混合物に添加し、その後、HCl(2M)で酸性にした。混合物を真空で蒸発させた。残留物をアセトンに溶解し、シリカプラグで濾過した。セミ分取HPLCで精製して、11mg(39%)の所望の2−(3,5ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−5,6−ジフルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドを得た。
【0131】
ステップ(g):2−(3,5ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−5,6−ジフルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒド(11mg、0.03mmol)、塩酸ヒドロキシルアミン(69.5mg、0.60mmol)、およびピリジン50μlをEtOH(95%)2mlに懸濁した。混合物をマイクロ波において150℃で5分間加熱した。反応物を濾過し、セミ分取で精製して、3mg(26%)の所望の2−(3,5ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−5,6−ジフルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシムを得た。H−NMRによる同定によって、生成物は単一異性体であることが示されたが、(E)または(Z)異性体が得られたかどうかは確認されなかった。ES/MS m/z: 384.1 (pos. M + H), 382.1 (neg. M - H); 1H NMR (アセトン-d6, 500MHz): 8.03 (dd, 1H, J=11.2, 8.1Hz), 7.95 (s, 1H), 7.19 (m, 2H), 7.13 (dd, 1H, J=11.2, 7.0Hz), 6.96 (m, 2H), 2.28 (s, 3H)および1.95 (s, 3H).
【0132】
[実施例32および33]
(E)−1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノンオキシム(E32)および(Z)−1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノンオキシム(E33)
【化17】

【0133】
ステップ(a):1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール(J.Org.Chem.2008、73(14)、5529〜5535に記載の合成を用いて調製)(1.0g、4.48mmol)、2−(メチルチオ)イソインドリン−1,3−ジオン(0.95g、4.93mmol)、および臭化マグネシウム(8mg、0.045mmol)を脱気DMA中で混合し、窒素雰囲気下、90℃で90分間撹拌した。1M NaOHおよびEtOAcを添加した。相を分離し、有機溶媒を蒸発させた。ヘプタン/EtOAc20:1を用いて、残留物をフラッシュクロマトグラフィで精製して、収率80%で1−(4−メトキシフェニル)−3−(メチルチオ)−1H−インドールを得た。ES/MS m/z:270.11(M+H)。
【0134】
ステップ(b):冷却した(0℃)1−(4−メトキシフェニル)−3−(メチルチオ)−1H−インドール(800mg、2.97mmol)のDMF10ml溶液に、NBS(529mg、2.97mmol)を添加した。温度を室温にし、混合物を室温で30分間撹拌した。水およびDCMを添加し、相を分離した。溶媒を蒸発させた後、ヘプタン/EtOAc20:1を用いて、残留物をフラッシュクロマトグラフィで精製して、収率66%で2−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)−3−(メチルチオ)−1H−インドールを得た。ES/MS m/z:348.04、350.01(M+H)。
【0135】
ステップ(c):実施例2のステップ(a)に記載したものと類似の手順を用いて、2−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)−3−(メチルチオ)−1H−インドールから、4−(1−(4−メトキシフェニル)−3−(メチルチオ)−1H−インドール−2−イル)−3,5−ジメチルイソオキサゾールを合成した。
【0136】
ステップ(d):4−(1−(4−メトキシフェニル)−3−(メチルチオ)−1H−インドール−2−イル)−3,5−ジメチルイソオキサゾール(140mg、0.38mmol)および2−メルカプト安息香酸(118mg、0.77mmol)を、室温でトリフルオロ酢酸5mlに添加した。混合物を窒素雰囲気下、室温で一晩、スラリーとして撹拌した。2M NaOHおよびEtOAcを添加し、相を分離した。溶媒を蒸発させ、溶離液としてヘプタン/EtOAc4:1を用いて、残留物をフラッシュクロマトグラフィで精製して、収率86%で4−(1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−2−イル)−3,5−ジメチルイソオキサゾールを得た。ES/MS m/z:319.1(M+H)。
【0137】
ステップ(e):冷却した(0℃)4−(1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−2−イル)−3,5−ジメチルイソオキサゾール(105mg、0.33mmol)のDMF5ml溶液に、NBS(59mg、0.33mmol)を添加した。温度を室温にし、混合物を室温で30分間撹拌した。DMFを蒸発させた。DCMおよび水を添加し、相を分離した。溶媒を蒸発させた後、ヘプタン/EtOAc9:1を用いて、残留物をフラッシュクロマトグラフィで精製して、収率98%で4−(3−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−2−イル)−3,5−ジメチルイソオキサゾールを得た。ES/MS m/z:365.14(M+H)、363.30(M−H)。
【0138】
ステップ(f):冷却した(−78℃)4−(3−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−2−イル)−3,5−ジメチルイソオキサゾール(10mg、0.03mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、n−BuLi(10μl、0.03mmol)を添加した。5分後、2,2,2−トリフルオロ酢酸無水物(7μl、0.05mmol)を添加した。温度を室温にし、混合物を一晩撹拌した。1M NaHCOおよびDCMを添加し、相を分離し、溶媒を蒸発させた。
【0139】
ステップ(g):1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノンを乾燥DCMに溶解し、混合物を窒素雰囲気下、氷浴上で冷却した。BBr(17μl、0.1mmol)を添加し、温度を室温にし、混合物を一晩撹拌した。水、DCM、およびいくらかのジオキサンを添加し、相を分離し、溶媒を蒸発させた。溶離液としてEtOACを用いて、残留物をシリカショートプラグに通した。残留物を分取HPLCで精製して、収率46%で1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノンを得た。
【0140】
ステップ(h):1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノン(65mg、0.16mmol)、塩酸ヒドロキシルアミン(226mg、3.25mmol)、およびピリジン(262μl、3.25)をEtOH(99.7%)5ml中で混合した。100℃で20分間、反応を行った。生成物を分取HPLCで精製して、16mg(24%)の1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノンオキシムの(E)および(Z)各異性体を得た。標準的な分光法(質量分析およびH NMR)によって、異性体A(E32)および異性体B(E33)のいずれが(E)または(Z)異性体であるか確認されなかった。
1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノンオキシム(E32)の異性体A:ES/MS m/z: 416.23 (pos. M + H), 414.28 (neg. M - H); 1H NMR (MeOD, 500MHz): 7.44 (m, 1H), 7.26-7.17 (m, 3H), 7.08 (br s, 2H), 6.86 (m, 2H), 2.21 (s, 3H)および1.89 (s, 3H).
1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノンオキシム(E33)の異性体B:ES/MS m/z: 416.24 (pos. M + H), 414.27 (neg. M - H); 1H NMR (MeOD, 500MHz): 7.57 (m, 1H), 7.26-7.19 (m, 3H), 7.07 (br s, 2H), 6.86 (m, 2H), 2.20 (s, 3H)および1.92 (s, 3H).
【0141】
[実施例34]
1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)エタノンオキシム(E34)
【化18】

【0142】
ステップ(a):DCMに溶解した4−(1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−2−イル)−3,5−ジメチルイソオキサゾール(実施例32および33の合成のステップ(d)の中間生成物)を0℃に冷却した。ジエチルアルミニウムクロリド1.5当量を添加し、反応物を0℃で40分間撹拌した。塩化アセチル21当量を5分間かけて添加し、反応物を0℃で2.5時間撹拌した。HOをゆっくりと添加して反応をクエンチし、その後、DCMで希釈した。混合物をHOで洗浄し、次いで合わせた水層をDCMで抽出した。合わせた有機相を真空で蒸発乾固した。移動相として80:20n−ヘプタン:EtOAcを用いて、中間体をシリカカラムで精製した。
【0143】
ステップ(b):1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)エタノンをDCMに溶解し、0℃に冷却し、ボルトリブロミド(bortribromide)10当量を添加した。混合物を5℃で一晩撹拌した。MeOHを添加して反応をクエンチし、次いでDCMで希釈した。反応混合物をブラインで洗浄し、その後、合わせた水層をDCMで抽出した。合わせた有機相を真空で蒸発乾固した。粗生成物をさらに精製することなく用いた。
【0144】
ステップ(c):EtOHに溶解した1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)エタノンに、塩酸ヒドロキシルアミン10当量およびピリジン10当量を添加した。混合物を100℃で30分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗生成物をTHF/水混合物に溶解し、逆相分取HPLCで精製した。適切な画分を合わせ、蒸発させた。分析HPLCで、純度を求めた。表題化合物をH−NMRで同定し、生成物は単一異性体であることが示されたが、(E)または(Z)異性体が得られたかどうかは確認されなかった。ES/MS m/z: 362.25 (M+H), 360.32 (M-H); 1H NMR (メタノール-d4, 500MHz): 7.93 (m, 1H), 7-23-7.14 (m, 3H), 7.03 (m, 2H), 6.85 (m, 2H), 2.16 (s, 3H), 2.05 (s, 3H)および1.96 (s, 3H).
【0145】
[実施例35]
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドO−メチルオキシム(E35)
【化19】

【0146】
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒド(実施例2の合成のステップ(b)の中間生成物)をエタノール中、ヒドロキシルアミンおよびピリジンと混合し、マイクロ波において150℃で10分間加熱した。反応混合物を分取HPLCで精製して、表題化合物を得た。H−NMRによる同定によって、生成物は単一異性体であることが示されたが、(E)または(Z)異性体が得られたかどうかは確認されなかった。ES/MS m/z: 362.2 (M+H), 360.3 (M-H); 1H NMR (アセトン-d6, 500MHz): 8.27 (m, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.30-7.26 (m, 2H), 7.22 (m, H), 7.18 (br s, 2H), 6.96 (m, 2H), 3.93 (s, 3H), 2.28 (s, 3H)および1.95 (s, 3H).
【0147】
[実施例36〜49]
上記の一般的方法Iに従って、以下の化合物38、40、および41〜43を調製した。一般的方法の個々のステップの実験的全詳細は、上記の実施例1および2に記載される。上記の一般的方法IIIに従って、以下の化合物36、37、および39、ならびに44〜49を調製したが、その個々のステップの実験的全詳細は、上記の実施例31に記載される。別段の記載のない場合、R、R、R、R、R、R、R、およびR10は水素である。
【0148】
実施例37、40〜42、45、47、および48のそれぞれに関して、表題化合物をH−NMRで同定し、生成物は単一異性体であることが示されたが、(E)または(Z)異性体が得られたかどうかは確認されなかった。実施例38、39、43、および44のそれぞれに関して、表題化合物をH−NMRで同定し、生成物は(E)および(Z)異性体の約1:1混合物であることが示された。実施例36および46のそれぞれに関して、表題化合物をH−NMRで同定し、生成物は(E)および(Z)異性体の約9:1混合物であることが示された。実施例49に関して、生成物が単一異性体であるか、または(E)および(Z)異性体の混合物であるか、H−NMRで不明確であった。
【化20】

【0149】



【0150】
エストロゲン受容体結合アッセイの説明
エストロゲン受容体リガンド結合アッセイは、トリチウム化エストラジオール(H−E2)および組換え発現ビオチン化エストロゲン受容体結合ドメインの使用を利用する、シンチレーション近接アッセイ(SPA)として設計した。ヒトERα(ERα−LBD、pET−N−AT#1、aa301−595)およびヒトERβ(ERβ−LBD、pET−N−AT#1、aa255−530)タンパク質の結合ドメインを、50μMのビオチンを添加した2×LB培地中、22℃で大腸菌(E.coli)((BL21、(DE3)、pBirA))に産生させた。IPTG誘導(0.55mM)の3時間後、7300×gで15分間遠心することによって細胞を採取し、細胞ペレットを−20℃で凍結保存した。抽出緩衝液(50mM Tris、pH8.0、100mM KCl、4mM EDTA、4mM DDT、および0.1mM PMSF)50mLに懸濁した細胞5gを用いて、ERα−LBDおよびERβ−LBDタンパク質の抽出を行った。細胞懸濁液をMicrofluidizerM−110L(Microfluidics)に2回通し、15000×gで60分間遠心した。上清をアリコートし、−70℃で保存した。
【0151】
ERα−LBDまたはERβ−LBD抽出物を、アッセイ緩衝液(18mM KHPO、2mM KHPO、20mM NaMoO、1mM EDTA、1mM TCEP)で、αおよびβそれぞれに関して1:676および1:517に希釈した。希釈した受容体抽出物は、濃度約900fmol/Lを有した。その後、これらの抽出物を室温で1時間、濃度0.43mg/mLでストレプトアビジン被覆ポリビニルトルエンSPAビーズ(RPNQ0007、GE Healthcare)と共にプレインキュベートした。
【0152】
ある範囲の濃度、典型的には157μMから37.5pMにわたって、試験化合物を評価した。試験化合物原液を、アッセイの試験で用いられる最終濃度の5倍で、100%DMSOに調製した。したがって、384ウェルプレートの試験ウェル中のDMSOの量は20%であった。試験化合物のアリコート(18μl/ウェル)をアッセイプレートに移し、その後、プレインキュベートした受容体/SPAビーズ混合物35μl/ウェル、最後に3nM H−E2 35μl/ウェルを移した。プレートをプラスチックシーラーで覆い、1000rpmで1分間遠心し、振盪機において室温で一晩平衡化した。最後に、プレートを2000rpmで5分間遠心し、プレートシンチレーションカウンタ(例えば、PerkinElmer Microbeta 1450 Trilux)で分析した。
【0153】
受容体のH−E2を置き換えることのできる化合物に関して、IC50値(H−E2の結合の50%を阻害するのに必要とされる濃度)を、非線形4パラメータロジスティックモデル;b=((bmax−bmin)/(1+(I/IC50)S))+bminによって求めた。ここで、bmaxおよびbminは適合させた曲線の最大および最小プラトーであり、Iは結合阻害剤の濃度であり、IC50は50%最大結合での阻害剤の濃度であり、Sはスロープ係数である。これらの実験に用いたMicrobeta計器は検出器間の個々の変動を補正し、したがって補正されたカウント毎分(ccpm)としてシグナルを示した。
【0154】
トランス活性化アッセイ1:pERE−ALPおよびヒトエストロゲン受容体アルファを安定にトランスフェクトしたヒト胎児腎臓293細胞におけるトランス活性化アッセイ
発現ベクターpMThERαは、リーダーの欠失した野生型ヒトエストロゲン受容体アルファの挿入物を含有する。pERE−ALPレポーター構築物は、分泌型の胎盤性アルカリホスファターゼ(ALP)およびビテロゲニンエストロゲン応答配列(ERE)の遺伝子を含有する。ヒト胎児腎臓293細胞を2つのステップでトランスフェクトする。最初に、選択のためのpERE−ALPレポーター遺伝子構築物およびpSV2−Neoをトランスフェクトした安定クローンミックスを作成する。次に、安定クローンミックスに、選択のためのpMThERαおよびpKSV−Hyg耐性ベクターをトランスフェクトする。トランスフェクションはすべて、供給業者の推奨に従ってリポフェクタミン(Invitrogen)を用いて行う。トランス活性化アッセイには、pERE−ALPおよびpMThERaの両方を含む選択されたクローンを用いる。
【0155】
10%デキストラン被覆活性炭処理(DCC)ウシ胎児血清(FBS)、2mM L−グルタミン、および50μg/ml ゲンタマイシンを含むHam F12 Coon改変培地中(フェノールレッドを含まない)、ウェル当たり細胞12500個で、細胞を384ウェルプレートに播種する。24時間インキュベートした後(37℃、5%CO)、播種培地を捨て、1.5%DCC−FCS、2mM L−グルタミンを含み、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを添加したHam F12 Coon改変培地(フェノールレッドを含まない)20μlと交換する。3.3pMから33μMの範囲の12種の濃度で、選択した化合物をウェルに加える。化合物は100%ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、このアッセイでDMSOの最終濃度は0.1%である。72時間インキュベートした後(37℃、5%CO)、培地を化学発光アッセイによってALP活性に関して分析する。細胞培養培地のアリコート10μlを、アッセイ緩衝液(0.1Mジエタノールアミン、1mM MgCl)100μlおよび0.5mMの二ナトリウム3−(4−メトキシスピロ1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−イル)フェニルホスフェート(CSPD)(Tropix、Applied Biosysmtems)と混合し、37℃で20分間、室温で15分間インキュベートし、その後、Wallac Microbeta Trilux 1450−028(PerkinElmer)で化学発光光シグナル(ウェル当たり1秒)を測定する。XLfitソフトウェア、バージョン2.0以降(IDBS)で4パラメータロジスティックモデルを用いて、濃度−反応データに適合させた曲線から50%最大有効濃度(EC50)を算出する。
【0156】
トランス活性化アッセイ2:pERE−ALPおよびヒトエストロゲン受容体ベータを安定にトランスフェクトしたヒト胎児腎臓293細胞におけるトランス活性化アッセイ
レポーターベクターpERE2−ALPおよびヒトエストロゲン受容体ベータ(hERβ530)を発現する安定HEK293細胞株(CRL−1573:American Type Culture Collection)の作製は記載されている(Mol Pharmacol 1998、54、105〜112;Endocrinology 2002、143、1558〜1561)。
【0157】
10%デキストラン被覆活性炭処理(DCC)ウシ胎児血清(FBS)、2mM L−グルタミン、および50μg/mlゲンタマイシンを含むHam F12 Coon改変培地中(フェノールレッドを含まない)、ウェル当たり細胞12500個で、細胞を384ウェルプレートに播種した。24時間インキュベートした後(37℃、5%CO)、播種培地を捨て、1.5%DCC−FCS、2mM L−グルタミンを含み、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを添加したHam F12 Coon改変培地(フェノールレッドを含まない)20μlと交換した。3.3pMから33μMの範囲の12種の濃度で、選択した化合物をウェルに加えた。化合物は100%ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、このアッセイでDMSOの最終濃度は0.1%であった。72時間インキュベートした後(37℃、5%CO)、培地を化学発光アッセイによってALP活性に関して分析した。条件培地のアリコート10μlを、アッセイ緩衝液(0.1Mジエタノールアミン、1mM MgCl)100μlおよび0.5mMの二ナトリウム3−(4−メトキシスピロ1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−イル)フェニルホスフェート(CSPD)(Tropix、Applied Biosysmtems)と混合し、37℃で20分間、室温で15分間インキュベートし、その後、Wallac Microbeta Trilux 1450−028(PerkinElmer)で化学発光シグナル(ウェル当たり1秒)を測定した。LCPSで発現するALP活性は、細胞によって発現するALPのレベルに正比例する。XLfitソフトウェア、バージョン2.0以降(IDBS)で4パラメータロジスティックモデルを用いて、濃度−反応データに適合させた曲線から試験化合物の50%最大有効濃度(EC50)を算出した。
【0158】
実施例1〜49の化合物は、IC501から10000nMの範囲のエストロゲン受容体α亜型に対する結合親和性、またはIC501から10000nMの範囲のエストロゲン受容体β亜型に対する結合親和性を示す。
【0159】
実施例1〜49の化合物は、トランス活性化アッセイ1において、エストロゲン受容体αサブタイプでEC501から10000nMの範囲で効力を示し、トランス活性化アッセイ2において、エストロゲン受容体βサブタイプでEC501から10000nMの範囲で効力を示す。
【0160】
本発明の好ましい実施例化合物は、上に示したIC50範囲内のより低い濃度で、エストロゲン受容体βサブタイプに対する結合親和性を示す化合物である。例えば、実施例1、2、5〜8、10、13、16、19、21〜24、27〜29、31、33、40、41、および46〜49の化合物は、結合アッセイにおいて、IC501から50nMの範囲でエストロゲン受容体βサブタイプに対する結合親和性を示す。
【0161】
本発明の好ましい実施例化合物は、結合アッセイにおいて、エストロゲン受容体αサブタイプよりエストロゲン受容体βサブタイプに対して選択的である化合物である。例えば、実施例2、13、16、21、22、25、28、29、34、38、43、44、および46〜49の化合物は、結合アッセイにおいて、50以上高いエストロゲン受容体βサブタイプに対する選択性を示す。
【0162】
本発明の好ましい実施例化合物は、上に示したEC50範囲内のより低い濃度で、エストロゲン受容体βサブタイプで効力を示す化合物である。例えば、実施例1、2、5〜8、10、13、16、21、22、24、27〜30、31、38、40、41、43、46、および47の化合物は、トランス活性化アッセイ2において、エストロゲン受容体βサブタイプでEC501から10nMの範囲で効力を示す。
【0163】
本発明の好ましい実施例化合物は、トランス活性化アッセイ1および2において、エストロゲン受容体αサブタイプよりエストロゲン受容体βサブタイプに対して選択的である化合物である。例えば、実施例2、15、16、21、27、34、43、および47の化合物は、トランス活性化アッセイにおいて、50以上高いエストロゲン受容体βサブタイプに対する選択性を示す。
【0164】
本発明の特に好ましい実施例化合物は、上に示したIC50範囲内のより低い濃度で、エストロゲン受容体βサブタイプに対する結合親和性を示し、また上に示したEC50範囲内のより低い濃度で、エストロゲン受容体βサブタイプで効力を示す化合物である。例えば、実施例1、2、5〜8、10、13、16、21、22、24、27〜29、31、38、40、41、46、および47の化合物は、結合アッセイ1において、IC501から50nMの範囲でエストロゲン受容体βサブタイプに対する結合親和性を示し、トランス活性化アッセイ2において、エストロゲン受容体βサブタイプでEC501から10nMの範囲で効力を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはそのようなエステルもしくはアミドの塩、およびそのようなエステル、アミド、もしくは塩の溶媒和物を含む、医薬として許容可能なそのエステル、アミド、溶媒和物、もしくは塩
【化1】

[式中、Rは、C3〜8シクロアルキル、フェニル、および5〜10員ヘテロシクリルからなる群から選択され、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、または1から3個の置換基で置換されていることができ、各置換基は、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−C(O)C1〜4アルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から選択され、
は、水素、C1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、ジハロC1〜4アルキル、トリハロC1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、およびC2〜4アルキニルからなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ、水素、OR、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロC1〜6アルキル、ジハロC1〜6アルキル、およびトリハロC1〜6アルキルからなる群から独立して選択され、
各Rは、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、C6〜10アリール、およびC6〜10アリールC1〜6アルキルからなる群から独立して選択され、それぞれ1〜3個のハロゲン原子で場合により置換されており、
11は、水素およびメチルから選択され、
ただし、Rが5員ヘテロシクリルであり、R、R、R、R、およびR11がそれぞれ水素であるとき、Rはメトキシではない]。
【請求項2】
各Rが、水素、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜6シクロアルキル、フェニル、およびベンジルからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
各Rが、独立して水素またはC1〜4アルキルを表す、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、フェニルおよび5〜6員ヘテロシクリルからなる群から選択され、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、またはOR、ハロゲン、シアノ、−C(O)C1〜4アルキル、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、ハロC1〜4アルキル、ジハロC1〜4アルキル、およびトリハロC1〜4アルキルからなる群から選択される1から3個の置換基で置換されていることができる、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が、フェニルおよび5員ヘテロシクリルからなる群から選択され、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、またはハロゲン、シアノ、C1〜4アルキル、−C(O)C1〜4アルキル、およびORから選択される1から3個の置換基で置換されていることができ、Rは、水素またはC1〜4アルキルを表す、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、水素、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、およびトリハロC1〜4アルキルからなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が、水素およびC1〜4アルキルからなる群から選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
、R、R、R、R、R、R、およびR10がそれぞれ、水素、OR、ハロゲン、シアノ、C1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、ジハロC1〜4アルキル、およびトリハロC1〜4アルキルからなる群から独立して選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
、R、R、R、R、R、R、およびR10がそれぞれ、水素、OH、ハロゲン、シアノ、メチル、およびトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が、フェニルおよび5〜6員ヘテロシクリルからなる群から選択され、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、またはOR、ハロゲン、シアノ、−C(O)C1〜4アルキル、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、ハロC1〜4アルキル、ジハロC1〜4アルキル、およびトリハロC1〜4アルキルからなる群から選択される1から3個の置換基で置換されていることができ、
は、水素、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、およびトリハロC1〜4アルキルからなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ、水素、OR、ハロゲン、シアノ、C1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、ジハロC1〜4アルキル、およびトリハロC1〜4アルキルからなる群から独立して選択され、
各Rは、水素、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜6シクロアルキル、フェニル、およびベンジルからなる群から独立して選択され、
11は、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が、フェニルおよび5員ヘテロシクリルからなる群から選択され、前記フェニルまたはヘテロシクリル基は、非置換であるか、またはハロゲン、シアノ、C1〜4アルキル、−C(O)C1〜4アルキル、およびORから選択される1から3個の置換基で置換されていることができ、各Rは、独立して水素またはC1〜4アルキルを表す、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、水素、C1〜4アルキル、およびトリハロC1〜4アルキルからなる群から選択される、請求項10または11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
、R、R、R、R、R、R、およびR10がそれぞれ、水素、OH、ハロゲン、シアノ、メチル、またはトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される、請求項10から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
以下の化合物
1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−ピロール−1−イル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E1);
2−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E2);
1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(1H−ピラゾール−3−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E3);
1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(3−メチル−3H−イミダゾール−4−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E4);
1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−フェニル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E5);
1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルボニトリル(E6);
1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−チオフェン−3−イル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E7);
1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(3−メチル−チオフェン−2−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E8);
1−[1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−フェニル−1H−インドール−3−イル]−エタノンオキシム(E9);
1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(4−メチル−チオフェン−3−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E10);
2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E11);
1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(5−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E12);
1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E13);
2−[3−(ヒドロキシイミノ−メチル)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−2−イル]−フラン−3−カルボニトリル(E14);
2−[3−(ヒドロキシイミノ−メチル)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−2−イル]−チオフェン−3−カルボニトリル(E15);
5−[3−(ヒドロキシイミノ−メチル)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−2−イル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(E16);
2−[3−(ヒドロキシイミノ−メチル)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−2−イル]−ベンゾニトリル(E17);
1−エチル−2−[3−(ヒドロキシイミノ−メチル)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−2−イル]−1H−ピロール−3−カルボニトリル(E18);
4−フルオロ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−ピロール−1−イル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E19);
4−フルオロ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−フェニル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E20);
2−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−7−フルオロ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E21);
2−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−5−フルオロ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E22);
5−フルオロ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−フェニル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E23);
5−フルオロ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−ピロール−1−イル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E24);
2−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−4−フルオロ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E25);
1−(3−クロロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E26);
2−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E27);
1−(2,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E28);
2−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−1−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E29);
1−(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E30);
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−5,6−ジフルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E31),
(E)−1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノンオキシム(E32);
(Z)−1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノンオキシム(E33);
1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−イル)エタノンオキシム(E34),
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒド O−メチルオキシム(E35);
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−4,7−ジフルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E36);
5−(4−フルオロ−3−((ヒドロキシイミノ)メチル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−2−イル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(E37);
1−(2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E38);
4−クロロ−2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E39);
1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E40);
1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メチルチオフェン−2−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E41);
2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E42);
1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(1,3,5−トリメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E43);
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−4−フルオロ−1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E44);
5−(4−フルオロ−1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−3−((ヒドロキシイミノ)メチル)−1H−インドール−2−イル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(E45);
6−クロロ−2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E46);
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−6−フルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E47);
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−6−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E48);
2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−4,6−ジフルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(E49);
のいずれか1つである、請求項1に記載の化合物、またはそのようなエステルもしくはアミドの塩、およびそのようなエステル、アミド、もしくは塩の溶媒和物を含む、医薬として許容可能なそのエステル、アミド、溶媒和物、もしくは塩。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物を医薬として許容可能な担体とともに含む医薬組成物。
【請求項16】
有機ビスホスホネート;カテプシンK阻害剤;エストロゲン;エストロゲン受容体モジュレータ;アンドロゲン受容体モジュレータ;破骨細胞プロトンATPaseの阻害剤;HMG−CoA還元酵素の阻害剤;インテグリン受容体アンタゴニスト;骨芽細胞同化剤;カルシトニン;ビタミンD;合成ビタミンD類似体;抗うつ剤;抗不安薬;抗精神病薬;抗癌剤;または医薬として許容可能なそれらの塩、もしくはそれらの混合物から選択される追加の治療剤をさらに含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
薬剤として使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
エストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害に関連する状態の治療または予防に使用するための、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
エストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害に関連する状態を治療または予防する薬剤を製造するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
哺乳動物において、エストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害を治療または予防する方法であって、治療有効量の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物、または請求項15もしくは請求項16に記載の組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項21】
エストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害に関連する状態を診断するための診断薬としての、標識された形態である、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物の使用、またはエストロゲン受容体のリガンドを同定する方法における参照化合物としての、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物、もしくはそのような化合物の標識された形態の化合物の使用。
【請求項22】
エストロゲン受容体活性に関連する疾患または障害に関連する状態が、骨減少、骨折、骨粗鬆症、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫疾患、のぼせ、LDLコレステロールレベル上昇、心血管疾患、認知機能障害、加齢性軽度認知障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、抑うつ、閉経期抑うつ、産後抑うつ、月経前症候群、躁うつ病、認知症、強迫行動、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、睡眠障害、過敏性、衝動性、アンガーマネジメント、聴覚障害、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄損傷、脳卒中、自己免疫疾患、炎症、IBD、IBS、性機能障害、高血圧、網膜変性、肺癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、前立腺癌、および胆管癌から選択される、請求項18に記載の化合物、請求項20に記載の方法、または請求項19もしくは21に記載の使用。

【公表番号】特表2012−502961(P2012−502961A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527340(P2011−527340)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062144
【国際公開番号】WO2010/031852
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(500561610)カロ バイオ アクチェブラーグ (17)
【Fターム(参考)】